第4回労災保険制度の在り方に関する研究会 議事録

1.日時

令和7年3月12日(金) 16時00分~18時03分

2.場所

厚生労働省共用第8会議室(※一部オンライン)
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2 中央合同庁舎第5号館19階)

3.出席委員

  • 京都大学大学院人間・環境学研究科教授 小畑 史子
  • 東京大学大学院法学政治学研究科教授 笠木 映里
  • 明治大学法学部教授  小西 康之
  • 同志社大学法学部教授 坂井 岳夫
  • 法政大学経済学部教授 酒井 正
  • 大阪大学大学院高等司法研究科准教授 地神 亮祐
  • 名古屋大学大学院法学研究科教授 中野 妙子
  • 亜細亜大学法学部教授 中益 陽子

4.議題

労災保険制度の在り方について(適用関係等)

5.議事

発言内容
○小畑座長 定刻になりましたので、ただいまから「第4回労災保険制度の在り方に関する研究会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙のところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日の研究会につきましては、笠木委員、小西委員、中野委員、中益委員がオンラインで御参加ですので、会場参加とオンライン参加の双方による開催方式とさせていただきます。なお、中野委員は17時30分頃に退室の御予定です。また、水島委員は欠席と伺っております。カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。
それでは、本日の議事に入りたいと思います。本日の議題は「労災保険制度の在り方について(適用関係等)」となっております。この議題を扱うに当たりまして、まずは労災保険法等の適用範囲について御議論いただきたいと思っております。それでは、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○労災管理課長補佐(企画担当) 企画班長の狩集でございます。御説明します。
まず、資料1です。昨年12月に開催されました第1回研究会で、委員の皆様にフリーディスカッションいただいたところですが、この中でも今回議論の対象となります適用関係に関して事務局のほうでとりまとめたものです。ここで頂いた御指摘も踏まえて、それぞれの議題、論点を設定しているものです。
資料2です。労災保険法の適用範囲についての総論としております。論点ですけれども、労災保険法の適用対象(強制適用)の範囲をどう考えるかとしております。労災保険法は、基本的に労働基準法が適用される労働者の方が強制適用の対象になっておりますけれども、それ以外の就業者で強制適用とすべきというような方がいらっしゃるのか。あるいは、その場合、保険料負担の主体は誰になるのかについて設定しております。
2ページ、強制適用と特別加入について、それぞれのすみわけについて整理したものです。御案内のとおり、労災保険法については、労基法の適用対象である労働者を保護の対象としており、その当該労働者を使用する事業について適用事業としているところです。この強制適用の対象となる事業に従事されない方については、労災保険法の一義的な対象ではありませんが、特別加入制度によって適用対象となるというものです。
真ん中の表は、強制適用と特別加入のすみわけについて表にしたものです。強制加入ですけれども、労基法が適用される労働者を使用する事業が原則として適用対象となっております。また、保険料については、事業主が負担するとなっております。特別加入についてですが、特別加入、大別して3種類あります。ここでは、特に頭数が多いということで、第1種、第2種を主なものとして記載しております。第1種については、中小事業主等です。こちらについては、労働保険事務組合を通じて、中小事業主等の方が御自身で保険料を負担されて特別加入するという枠組みです。第2種です。こちらは、いわゆる一人親方やフリーランスの方たちが当てはまるものですが、こういった方たちについては、そういった職種の方たちによって構成される特別加入団体を通じて特別加入することになっています。保険料の負担ですけれども、負担者としては特別加入団体としております。
労災保険法の規定上は、第2種の方たちの保険料納付については、あくまでも特別加入団体が保険者である政府に対して納入することになっており、特別加入団体の中で個々の加入者からどういったお金の集め方をするかは、団体内の自治になっております。ですので、条文の規定に忠実に、負担者として「特別加入団体」と規定して書いておりますけれども、括弧の中に、実態として個々の加入者本人が負担することが一般的である旨を記載しております。
表の下の※書きですけれども、第3種特別加入というものがありまして、いわゆる海外派遣者です。労災保険法をはじめとした労働法規については、基本的に属地主義を採用しておりますけれども、この場合、海外出張にとどまらず、海外の国に出向等をされて、海外の事業に従事されている方は一義的には労災保険の対象にすることができませんので、そういった方たちのために労災保険の適用の道を開いているという制度です。下の表は、第2種特別加入の対象業務について一覧化したものです。後ほど特別加入に関する御説明の際に類似の表が出てきます。
適用総論に関してですが、本日御欠席の水島委員から御意見が届いておりますので、代読させていただきます。「大阪大学の水島です。本日は、所用のため欠席し申し訳ありません。資料を拝見し、論点について意見を述べさせていただきます。資料2、労災保険の適用対象(強制適用)の範囲について、後の論点に関わりますが、労働基準法が適用される労働者、あるいは適用されるべき労働者であっても労災保険が強制適用されない労働者が存在する現段階で、労働者以外の就業者を強制適用とする考えには反対です。労働者以外の就業者が、労災保険に特別加入できる機会は拡大しており、特別加入を通じた保護が可能です。
なお、第1回研究会で言及しましたが、労働者以外の就業者が特別加入することを前提に、特別加入に係る保険料相当額を、発注事業者が自主的に経費に上乗せすることは望ましいと考えます。事故型の業務災害、例えば町工場の経営者が、従業員とともに機械を動かして製品を作っているケースでは、経営者と従業員との間で、事故のリスクや保障のニーズは大きく異ならないと思います。特別加入制度は、このような趣旨と考えます。
しかし、疾病型の業務災害、特に長時間労働が原因となるような疾病について、経営者と従業員とでは、自ら長時間働くことを選択した経営者と、業務命令により長時間労働を余儀なくされる労働者とでは、状況が大きく異なると考えます。疾病型、特に脳・心臓疾患や精神疾患について、仕事や仕事の量を自ら選択し得る立場にあるものと、それを余儀なくされる立場にあり得る労働者を同様に扱うことに、私は大きな疑問を持っています」。代読は以上です。
○小畑座長 どうもありがとうございました。それでは、資料2の1ページ目の論点に沿って意見をお伺いしたいと思います。御発言の際は、会場の委員におかれましては挙手を、オンラインから御参加の委員におかれましては、チャットのメッセージから「発言希望」と入力いただくか「挙手ボタン」で御連絡いただけますようお願いいたします。御意見、いかがでしょうか。笠木委員、お願いいたします。
○笠木委員 適用対象者との関係で、労基法と労災保険法の関係を今後どのように考えていくべきかは極めて重要な論点であり、初回会合でも委員の間で意見が分かれていたところと記憶しております。この点について、私自身の初回のコメント等の繰り返しも少し含みますが、コメントさせていただきます。
まず、労基法と労災保険法を適用対象者の面で切り離し、労災保険を労基法上の労働者よりも広い範囲に強制適用していくことは、現行法の解釈として難しいことは当然であるものの、法改正によって一定の拡大を図り、労災保険制度の趣旨そのものに一定の修正を加えることは、理論的には排除されないと思われます。他方で、強制加入については拡大せず、労基法とのつながりを維持した上で、加入の必要性の高い者については、加入や保険料負担へのインセンティブを付す。あるいは、これと一部重なる面もありますが、注文者やプラットフォームなどに保険料負担を一定の範囲で求めていくようなスキームを考えるといった方向性もあり得ると考えます。
私個人としては、現段階で、少なくとも現在第2種の特別加入の対象となっている多様なフリーランスの就労者を全て労働者と並べて強制加入の対象とし、同じ保険の中に取り込んでいくことには抵抗を感じております。強制加入拡大という方向性を取るとしても、その方向性で対応できる就労者の範囲には、いずれにしても一定の限界があるように思われ、そのような、つまり強制加入の対象とすべき就労者は誰かという別の問題を論じざるを得ないのではないかと思います。この点、若干の問題の先送りという感じもいたしますが、この点についてはフリーランスに係る今後の社会的な動向、労基法上の労働者概念に関する現在行われている議論の動向、そして、労安衛法上の注文者の責任に係る議論の動向なども踏まえ、少し長期的な議論が必要であるように考えております。
そのため、現段階では現状の特別加入のように、労基法上の労働者についての労災保険とは別枠の制度を維持しつつも、加入に向けた一定のインセンティブや、注文者が保険料負担を行う義務のような保険料負担に係る特別なスキームを一定の条件の下で導入するという方向性がよいのではないかと考えます。ただ、こうしたスキームとして技術的にどのようなものが可能であり、どのような範囲で制度を考えていくかというところまでは、私自身も詰められておらず申し訳ございません。法令上、保険料の保険負担主体となっているのが、現行法上は特別加入団体ですので、特別加入団体による何らかのイニシアチブというものも想定し得るのかなと思っております。
少し長くなりますが、もう一点だけ、適用との関係で、次の特別加入に係る所とも若干、関係するのですが、補足的に指摘させていただきたい論点があります。労災保険においては、適用事業所と労働者の賃金総額のみが特定されており、給付の対象となり得る労働者が特定されないという適用の構造に関する問題です。リスクが現実化した時に受給権を有する者が誰か、ということが加入時に特定される他の社会保険とは異なる、こうした特殊な構造ゆえに、労災保険においては、契約当事者双方が労災の強制加入の対象であると認識していても、事後的に対象ではないことが判明することもあり得るという問題があるかと思います。
本日は問題となっていないのですが、3号の海外派遣について、この問題が顕在化した幾つかの裁判例がありますが、こうしたケース、つまり別途、特別加入の道が開かれているというケースでは、災害が起きてから、本来、特別加入をしておくべきであったということを当事者が認識することになります。フリーランスについて広く特別加入が認められるようになった今日において、特別加入している人の中に強制加入すべき労働者がいるのではないか、という問題の指摘もありますけれども、それとは別に、本来、特別加入をしておくべき人がそれを認識していないという可能性も、労災保険の適用の構造に由来して存在しているという点も、この適用関係の問題、そして、特別加入について考える際に、補足的に考慮しておく必要があるように思われます。長くなりまして、すみません。私からは以上です。
○小畑座長 どうもありがとうございました。続いて、中野委員、お願いいたします。
○中野委員 名古屋大学の中野です。労災保険法の適用範囲については第1回の研究会でも申し上げましたが、私は労災保険の社会保障的性格を強調するのであれば、労働基準法上の労働者に限らず、報酬を得て働く人は全て労災保険に強制加入する制度へと見直していくこともあり得ると考えています。本日、水島先生から明確に反対という御意見を改めて示されてしまいましたけれども、もちろん、これは法制度を根幹から見直すことになりますので、短期的にできることではないことは私も承知しておりまして、長期的な検討課題として申し上げています。短期的には、引き続き、社会のニーズに応じて特別加入制度を柔軟、かつ迅速に拡大していく形で対応していくことが現実的な対応になるだろうと思います。
本日の論点として、労働者以外の就業者に強制適用を拡大する場合、保険料の負担は誰が負うべきかということを挙げていただいておりますので、若干、付言いたします。全ての就労者を労災保険に強制加入させるといった場合、労働者以外の者について保険料を誰が負担するのかは、当然、論点の1つとなるわけですが、使用者に当たる存在がない以上は本人が負担することになるだろうと考えています。すなわち、労働者と労働者以外の就労者を1つの制度に包括するとしても、保険料負担の点において労働者とそれ以外の者の区別は残らざるを得ないと考えています。
確かに、労災保険部会で特別加入の拡大の議論に際して、当事者団体などのヒアリングを拝聴しておりますと、保険料負担が1つのネックになっていることがうかがわれますが、プラットフォームなどの注文主に、制度として保険料負担を課すことは難しいのではないかと思います。もちろん、将来的に労働法における議論が発展して、プラットフォームとプラットフォームワーカーの間にも労働法が適用される、あるいは特別な責任、使用者に類似した責任を負わせることが可能であるといった議論が発達すれば違う考え方ができるかもしれませんが、少なくとも、現在のところは難しいのではないかと思います。
また、フリーランスの方たちは必ずしも企業を相手に仕事をしているわけではなく、企業ではなくて、個人の消費者を相手にビジネスを行うフリーランスのように、使用者としての責任を負わせられるような主体がそもそも存在しないという場合もあり得ます。結局のところ、本人と注文主との間の契約において、保険料負担を含めた費用を相手方に支払うように求めていくといった、当事者間の契約の問題に還元されるように思われます。
例えば、フリーランス法のように、この点を含めて適正な契約が締結されるように法的な手当をしていくことは考え得るけれども、それは労災保険制度として対応する問題ではないのではないかというのが私の考えになります。以上です。
○小畑座長 どうもありがとうございました。ほかは、いかがでしょうか。中益先生、お願いいたします。
○中益委員 中益です。私は、この論点について個人的には否定的に考えております。4点、理由を述べさせていただきます。
第1に、労働基準法は危険責任の原理に基づいているといわれますが、危険という意味では、労務提供において、就労者自身の自由が制約されている労働基準法上の労働者と、そうではない就労者では、やはり危険の内実とその責任の質が異なるように思います。つまり、自らの意思で就労できていたならば避けられたかもしれない災害は、使用者の指揮命令に従い、自由を制約されながら業務に従事する中で発生したというところに、ほかの就労者とは異なる契約に内在する危険と、その金銭的補償を使用者に行わせる根拠があるように思います。
第2に、労災保険法が強制適用される労働者と、労働者ではない者の強制適用となる就労者が認められているような国はありますが、その労働者概念が日本の労働基準法上の労働者と本当に同じなのか、また、強制適用を拡大する根拠について、各国で共通理解があるのかなどの点で不明瞭な点が多いように思いますので、そういった検証のほうが先に必要と思っています。
例えば、今回の資料3ページの海外の例でも、ドイツなどは、基本的に無償労働に関する適用拡大だと思いますし、また、フランスの例も、労働基準法上の労働者に当たりそうな主体が挙げられており、労働者なり被保険者なりに対する認識が、日本とは異なっていることがうかがわれます。
第3に、労働基準法の労働者よりも強制適用を拡大するとして、その基準の設定に難しさがあるように思います。つまり、一方で、ある明確な基準を設ければ、交渉力の弱い就労者の契約相手方にとっては、それが保険料負担を避けるための指標として機能してしまい、基準の更に外側に、こうした契約交渉力の弱い就労者が新たに追いやられるといったことも考えられるところです。
他方で、明確な基準を設けずに総合考慮とすれば、労働基準法の労働者性も総合考慮ですから、その線引きが不明瞭になるおそれがあると思います。つまり、適用を拡大する場合、何らかの意味で、労働者に類似のものを念頭におくことになる可能性が高いと思いますが、両者が類似している上に、労働基準法上の労働者も総合考慮で、類似の者も総合考慮となると、両者の線引きが曖昧になるだろうと想像されます。
最後に第4に、何人かの委員から御指摘がありました保険料負担の点ですが、この保険料負担と報酬の最低保障とが密接に関連しているのではないかと考えております。すなわち、労働基準法の労働者以外の就労者に適用を拡大する意義の1つは、こうした就労者について、使用者に相当する主体に保険料負担を負わせるところにあるかと思いますが、仮に、こうした就労者が契約交渉力の弱い主体であるならば、使用者に相当する主体が行った保険料負担は報酬に転嫁されるおそれがあります。それを防ぐには、最低賃金法のように報酬に関する最低保障の仕組みを整理することが必要です。労災保険法の労働者が最低賃金法の労働者と連動していることの意義は、部分的にはこの点にありそうに思っております。なお、ドイツのように無償労働に拡大することは、この保険料負担の報酬への転嫁が起こり得ませんので、こういった観点からは参考になると思っております。他方で、仮に適用拡大の対象となる就労者の契約交渉力が弱くないのであれば、あえて他方契約当事者に保険料を負担させずとも、報酬の中に災害発生時の金銭補償分なり、あるいは民間保険を利用する保険料分なりを、就労者自身で含めて契約交渉することが一応できるはずですので、こうした就労者に適用拡大の必要性は特にないのではないかと考えております。以上です。
○小畑座長 ありがとうございました。ほかは、御意見いかがでしょうか。一応、労災保険法等の適用範囲についての議論は出そろったということでよろしいでしょうか。地神委員、お願いいたします。
○地神委員 地神です。重なる部分も多いかとは思うのですが、少しだけ発言させていただきます。
この適用に関しては、保険料負担をすべき主体というもの、そして技術的にできる主体というものから考えていくのも1つの見方ではないかと考えられます。これまでも、各委員からいろいろ御指摘はありましたが、現在の労働者というものは、文字どおり、具体的指揮命令を受け、時間的、場所的拘束があり、それがゆえに事業主は補償責任を負い、また、保険料の支払の責任を負うという形になっており、私も、この労災保険の中核自体はそこにあると思っております。他方で、労災保険法が労働基準法とは別の制度である以上、現在の特別加入のように、事業主負担を原則とし、充実した給付を行うという労災保険の本質を崩さない限り、ある程度の拡張は認められるという前提に立った上で、特に第2種、ここが中心的に論じられているかと思いますが、これを労働者として扱わない前提で、では、どこに線引きするんだというようなことが、やはり問題になると考えます。1つの考え方としては、事業主に類似する者が、保険料を負担すべきであるという一定の根拠があり、また、その徴収が技術的に可能かどうか、この点を議論した上で、労働者としては扱わないけれども、また別の制度、それが労災保険制度の中なのか、あるいは別立ての制度を立てるのかということは、また別途問題になりますが、一定の保険料を負担してもらうことを検討してもいいのではないかと考えております。
具体的には、就労者が仕事の発注者に対し、一定期間あるいは一定量以上のサービスを継続的に提供する、かつ災害発生のリスクがある程度高いといった場合には、事業主に類する者についても保険料を負担してもらうという根拠があるのではないかと考えます。
このような場合、発注者は具体的な指揮命令、時間的、場所的な拘束などを行っていませんが、災害発生のリスクがかなり高く内包されているにもかかわらず、自らリスクを負うことなく、ビジネスを遂行することができるという利益を有するものです。それが、事業主に類する者が保険料を負担する根拠になるのではないかと考えております。
もっとも、これまでもほかの委員から御指摘のとおり、労働者と違い、働き方の自由度が高いことや、自ら災害を避けることができるという点を考えると、費用を全額負担というところに拘泥するのではなく、例えば、保険料を折半するなどの方法も考えられるかと思います。そして、適用という側面からすると、先ほど来、私が申し上げているような方向でいくと、特別加入と同様、任意加入を原則とする、けれども、これに対して事業主が保険料を支払うという必要が発生してくるという点で、事業主については、言わば就労者が望めば強制されるという形の強制適用になるかと思います。これも中長期的な発想ではありますので、今すぐにということではないかと思いますが、今後、その具体的内容などについて議論していければよいなと考えております。以上です。
○小畑座長 ありがとうございました。ほかは、いかがでしょうか。一旦、御意見が出そろったということでよろしいでしょうか。今、委員の皆様のお話をまとめますと、中長期的な話、つまり長いスパンでの話であると、労災保険制度そのものを変更する、大きく変えるということも可能かと思いますが、短期的には難しいという前提に立ちますと、皆様、おおむね現在の状況、現在の適用範囲に関する議論を大きく今すぐ変えるということではないといった見地に立っておられると言えるかと思います。また、その過程で、笠木先生から御指摘がありましたが、海外派遣の特別加入の話に関して、出てきた適用事業所や賃金総額相当額というのが特定されていても労働者が特定されていないということをどう考えるのかという点について重要な御指摘があったかと思います。今の時点で、更に何か御意見などはありますか、よろしいでしょうか。では、こちらについて、事務局のほうでも御意見の整理をしていただけたらと思います。ほかに、補足の御意見がないようでしたら、続いて、特別加入について議論をしてまいりたいと思います。事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○労災管理課長補佐(企画担当) 資料3を御覧ください。特別加入についてです。論点としては、一人親方等の労災補償を適切に運用していくため、特別加入団体にどのような役割を担わせるべきかと、設定しております。
2ページ、特別加入制度について趣旨と概要についてです。まず、趣旨について、特別加入制度は昭和40年の改正法で創設されたものです。先ほど総論の所で申し上げましたように、大別して3種類あり、発足当初は第1種、第2種の2種類でした。下の枠内の「参考」の部分にありますが、発足当時の業種は、数としては極めて限られていたことがお分かりいただけるかと思います。趣旨の部分の真ん中の枠囲いですが、基本的に労基法の労働者を対象としております。業務の実態、災害状況等を見まして、また、業務上外の判定など保険関係の適切な処理が技術的に可能かといったことを踏まえて、労働者に準じて保護すべき者については特別加入の制度を設けているということです。
当時の整理としては、比較的抑制的な考え方が採用されていたと言えるかと思います。こうした考え方が変わったのは、つい最近です。2つ目の○の部分ですが、令和元年12月の労災保険部会で労働政策審議会での建議がなされており、ここでは、昭和40年当時に想定されていなかったような仕事、IT関係などが例示されていますが、こういった仕事が出てきたこと、社会経済情勢の変化を踏まえて、特別加入制度についても現代的にアップデートしていくことが提言されたことを受けて、特別加入制度についてはその対象を拡大してきたという経緯があります。
下の、近年の特別加入対象となった事業又は作業の左側の部分ですが、令和に入ってからの対象の拡大がお分かりいただけると思います。大きな所で申し上げますと、令和6年11月に施行されたフリーランス新法に伴って、特定フリーランス事業が対象となっているところです。これによってフリーランスについては、ほぼ広く対象となっていることが言えるかと考えております。
次のページ、特別加入制度について、対象者です。申し上げているとおり、特別加入の対象者は3種類ありますが、この中でも対象業種が非常に広く、分かれているのが第2種です。一人親方その他の自営業者と特定作業従事者とが、第2種となっております。この中の特定作業従事者の下から2つ目の所に、「介護関係業務に係る作業及び介護支援作業」がありますが、こちらは後ほど御説明する家事使用人の方たちが特別加入する際には、この業務として特別加入することになります。
一人親方等と特定作業従事者の区別、メルクマールについては、下の参考部分に逐条解説の記載を抜粋しております。簡単に申し上げますと、一人親方等については、比較的事業性が強い一方で、特定作業従事者に関しては、文字どおり、手を動かす作業の要素が強いということがあり得るところです。一方で、近年、特定作業従事者に、ITフリーランスなどの職種の方が追加されていますが、こういった方たちは事業性の強い側面もあるという御指摘のあるところです。
4ページ、5ページは参照条文です。労災保険法本体では、第33条以降に、特別加入について規定しております。対象業務等の詳細については施行規則に下りており、更に詳細の運用事項に関しては通知等で補っています。
6ページを御覧ください。論点としては冒頭に記載している論点です。現状ですが、第2種特別加入について、一人親方等の方々については事業主といったものがありませんので、こうした一人親方等の方たちによる団体を「事業主」とみなして労災保険を適用するということにしております。この特別加入団体については、労災保険法の中では事業主、「擬制事業主」とされ、一方で、この加入者については「労働者」とみなすということになっております。
しかしながら、こういった特別加入団体については、あくまで保険技術上の擬制事業主ですので、一般的な事業主が負っているような労働安全衛生法等に基づく業務災害防止に関する措置の義務といったものは基本的には課せられていません。この点は、通常の労働者の方との均衡等を考慮して、施行規則の中では、特別加入団体について、業務災害防止に関して講ずべき措置を定める等の義務が課せられております。条文本体に関して、下の部分(明朝体で記載)ですが、労災則第46条23の第2項です。ここでは「業務災害の防止に関し、当該団体が講ずべき措置及びこれらの者が守るべき事項を定めなければならない」としており、あくまでも講ずべき措置、それから加入者の方たちに遵守していただく事項を定めるところまでが義務となっております。
7ページです。こうした特別加入団体について成立要件としては5つの要件が課されております。上の薄水色のアからオまでの5つの要件ですが、アについては、ある特定の業種の一人親方等の相当数を構成員とする単一団体であることで、いわゆる連合団体でなく単一団体であることとされております。また、イからエまでについては、構成員の身分の得喪や、組織、運営に関しての要件があり、組織としても十分機能するということが担保されるかということです。さらに、オは、いわゆる地域要件であり、その団体の主たる事務所の所在地を中心としたエリアで活動することが求められております。
最近の見直し部分について、1つ目の○ですが、地域要件に関しては、近年の情報通信技術の発達等を見据えて見直しがなされております。特別加入団体が、災害防止等に関する研修会を実施する場合には、ブロックを超えた事務処理を認めるということになっております。また、2つ目の〇ですが、昨年11月に施行された特定フリーランス事業に係る特別加入団体については、こうした特定フリーランスの方が、非常に広範な業務の方が全国で活動しておられることも鑑みて、更に4つの要件を課しております。下の薄水色の①~④です。①フリーランス全般の支援のための活動実績を有していること。②全国を単位として特別加入業務を実施すること。その際には、都道府県ごとに訪問可能な事務所があること。③必要な各種支援を加入者に対して行っていくこと。④適切に災害防止のための教育を行った上で、その結果を厚生労働省に報告すること、我々に対してフィードバックしていただくということについても要件になっているものです。
8ページです。特別加入制度の状況についてです。対象業務ごとにどの程度の加入者の方がおられるか、あるいは団体があるかということを記載しております。やはり建設業や運輸といった創設当初からあった業種、危険度がある程度高い業種に加入者の方が多くおられることが分かるかと思います。特定作業従事者で言えば、農作業がボリュームゾーンです。特別加入者の合計は、右下部分ですが、190万人強となっております。労災保険法を国内で適用されている就労者が約6,100万人~6,200万人ですので、特別加入が大体3%程度を占めております。
9ページ、特別加入されている方の令和5年度の新規受給状況の実績値です。実際の給付項目については記載しておりませんが、やはり加入者の方が多数いらっしゃる業種について新規受給されている方たちが多いことが分かるかと思います。
また、下の枠内ですが、特別加入団体が実際に行っている災害防止措置の実例を我々で収集したものです。この主なもので見ますと、研修会や講習会の実施、あるいはテキストや動画、メールマガジンなどのコンテンツの提供、さらには加入者の方に遵守していただく事項についての呼び掛け、こういったことがよく見られるということです。
なお、資料3に関しては、水島委員から特段の御意見は頂いていません。以上です。
○小畑座長 ありがとうございました。資料3の1ページにある論点に沿いまして、意見をお伺いできればと思います。いかがですか。地神委員、お願いします。
○地神委員 2点ほど発言させていただきます。まず1つ目、特別加入制度の趣旨について資料の2ページにあります。少し総論的な部分で、議論しておくべきではないかと考えることですが、特別加入制度の趣旨として、ここに引用されている中で真ん中辺りに、「制度本来の建前を損なわない限度において可能である」と。この点をどこまで維持するべきかというところは、検討する意義があるのではないかと思っています。
まず、制度本来の建前ですが、これをどのように捉えるかというのは、かなり論者によって差があるような気がします。取り分け特別加入に関して見ますと、やはり事業への適用、事業主が保険料を負担すると。この制度が、制度本来の建前ではないかと思われます。
それが故に、現在、特別加入団体を、先ほど御説明いただいたように事業主として扱っているわけです。ただ、その建前がそもそも必ず必要なのかという点、現在のようにフリーランスへの拡大が行われている中において、果たしてこの建前を維持していくだけの理論的な根拠があるのか、あるいは実益があるのかという点は、今、私自身に何か具体的な案があるわけではないのですが、検討していく必要があるのではないか。ひいては、特別加入団体というものを必ず間に挟まなければこの制度自体は成り立たないのかという点は、今後議論してもよいのではないかと思っております。
また、「損なわない限度」という言葉も気になるところです。先ほど制度上の問題として、事業主を擬制しなければならないというのは建前からという点でありますが、この「損なわない」という点に、もし財政的に特別加入制度によって、いわば本体の給付が害されるなど、財政的な問題が発生するという場合には、本来の建て前を損なうことになるのかどうか、この点も少し気になるところです。
先ほど御説明いただいたように、約3%という数字がありますが、仮に今後、フリーランスの特別加入が増大して10%、20%と拡大していったときに、果たして制度本来の建て前を損なっているとは言えないのか。あるいは、損なっていてもいいのだという方向になるのか、この辺りは検討する余地があるのではないかと思っております。以上が、総論的な話です。
もう1つは、非常に具体的な内容です。正に整理していただいた論点である「特別加入団体はどのような役割を担わせるべきか」という点についてです。第2種に係る特別加入団体というのは、先ほど来、御説明いただいているように、事業主拠出という、いわば法の建前から法律上は保険料の納付義務者でもあり、拠出者でもあると言えるのではないかと思います。しかし、通常の事業主のように、保険料を納付する、拠出すること、それによって保険給付が行われることにより、労働基準法の災害補償責任を免れるとか、あるいは中小事業主のように、自らが保険給付を受けるという受益が存在しないものです。そのように、特に金銭的なものを中心として受益の少ない特別加入団体に、現状、ここでお示しいただいたような、以上の災害防止に係る義務や、設立の要件などを課すのは難しいように感じられます。むしろ、それによって、特別加入団体を運営するなどのハードルが上がるのであれば、特別加入制度への加入促進の面からも問題があるように思われます。どちらかと言えば、特別加入団体については義務や要件の設定というよりは、インセンティブの付与、例えば社会復帰促進等事業の安全衛生確保等事業の利用などを通じた災害防止措置を促進するというような形が適切ではないかと考えております。以上です。
○小畑座長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。中野委員、お願いします。
○中野委員 特別加入制度の第2種において、初回の研究会の際に、一人親方等と特定作業従事者への振り分けがどのようにされているのかよく分からないと質問いたしまして、今回の資料3で御説明を頂いて一定の理解はできたところです。
ただ、やはり同じフリーランスでも、一人親方等に当たる場合と、特定作業従事者に当たる場合があるなど、特別加入制度の拡大に伴って業者を区別する基準が曖昧になってきているように思われます。区別が曖昧になってきている状況下で、一人親方等に当たる場合には事業の全体が労災保険の保護の対象になる、つまり、作業のみでなく作業の周辺の部分も保護の対象になるけれども、特定作業従事者の場合は作業に係る災害のみが保護の対象になるというように、補償の範囲に差があるということが適切なのかどうかということは検討の余地があるように思われます。
2点目として、特別加入団体の役割については、労災保険部会の議論でも、特別加入の範囲を新しく拡大するたびに、委員の方たちから特別加入団体が災害防止の措置をしっかり講じてほしいという要望が出されています。資料3の6ページにあるように、特別加入団体は「業務災害防止に関して講ずべき措置を定める等の義務」を負うにとどまっており、実際に当該措置をどのように講じているかのフォローアップが不十分なのだと思われます。
7ページの「最近の見直し」にあるように、特定フリーランス事業の特別加入団体については、災害防止のための教育の実施を厚生労働省に報告することが要件として課されておりますが、ほかの既存の特別加入団体についても同様の要件を拡大していくことが必要ではないかと考えます。
3点目として、これは資料4の先取りになってしまいますが、資料4で、家事使用人の方たちについてお示しいただいたデータを見ますと、労働保険に特別加入していない理由として、「制度を知らなかった」という理由が約20%を占めています。特別加入は任意加入ですので、制度があることを知った上で加入していただけないのは致し方ないのですが、制度が知られていないために活用されていないということは問題だと思われます。
その点で、資料3の8ページ、特別加入制度への加入の状況をお示ししていただいておりますが、これが対象となる方たちのうち、どの程度の人たちが加入しているのかということが問題だと思います。特別加入が新しく認められたときには、厚生労働省のホームページでお知らせが出ますが、関心を持って自ら厚生労働省のホームページにアクセスをしなければ情報を知りようがありませんし、その後の継続的な周知は特別加入団体など、それぞれの業界に任せてしまっているのが現状なのだと思われます。
私が言っているのは特別加入団体の役割というより、行政の役割のような気がしてきましたが、特別加入制度の実効性を担保する上で、この点についても行政側がフォローする必要があるのではないかと思います。先ほどの資料2の論点の所で述べたように、労災保険制度の適用範囲を直ちに労働者以外のものに拡大することは難しく、特別加入の拡大で対応していくことが現実的な対応であるならば、特別加入の制度が十分に周知され、保護を必要とする人に加入する機会がきちんと与えられているということが重要だと思われます。以上です。
○小畑座長 ありがとうございました。笠木委員、お願いします。
○笠木委員 ありがとうございます。2点ほど発言をさせていただきます。1点目は、特別加入団体に、法が使用者に準じた位置付けを与えているというところから、特別加入団体に予防の取組を求めるという考え方には魅力的な面もあり、こうした取組を行っていくこと、あるいはその対象を広げていくということについては異論はありません。
他方で、特別加入団体は加入者の仕事の内容等について具体的に周知しているわけでもなく、権限を持つわけでもありませんので、予防の取組といっても、かなり限定的なものにならざるを得ないと思います。
特別加入団体ということから少し離れますが、予防という観点からは、先ほど私が論点1との関係で申し上げた点と関連して、本来は安衛法における注文者の安全管理の責任なども注目されている傾向と整合的に、注文者にもう少し労災予防に係る何らかの責任を求めるようなことが、先ほど申し上げたような保険料などについての注文者の関与の在り方などと組み合わせて、全体として行われることが検討に値するのではないかと考えております。
2点目は、先ほどの地神委員の発言と重なる所がありますが、特別加入について、例えば、フランスで認められているような完全な個人の任意加入の仕組みとした上で、対象者を制限しないオープンな仕組みとしつつ、一部の業務委託者やプラットフォームなどとの関係で特別な制度を考える、というように、少し段階的、かつある意味ではシンプルな仕組みにすることが可能かどうかということについて、検討の余地があるのではないかと考えております。以上です。
○小畑座長 ありがとうございました。中益委員、お願いします。
○中益委員 中益です。この論点に関して1点発言させていただきます。
保険には、一般にモラルハザードが伴いますので、保険事故の発生について保険リスクにさらされる主体が注意を怠る可能性があるところ、特別加入の仕組みでは、労働者の場合と同じく、特別加入者の過失による災害もカバーされる仕組みとなっているかと思います。ただ、労働者と特別加入者では、労務提供に関する自由の制約が異なりますので、本来、そうした行動の自由がある働き手の不注意を問わないというのは、労働者の場合よりも更にモラルハザードを招きやすいと考えております。
立法論としては、予防に関する仕組みが労働者よりも厚い制度設計も考えられるのではないかと思います。この点は、先ほど笠木委員からも御指摘がありましたように、特別加入団体は、事業主のように働き手に対してあれこれコントロールできるわけではないため、予防と言っても限界がある印象です。したがって、特別加入団体以外の予防策を検討して然るべきかと思います。この点、例えば、フランスやイタリアでは、保険料に関するメリット制について、災害率だけではなく、一定の予防措置をとったかどうかによって保険料率を変動させる仕組みがあるように聞いていますので、とくに特別加入者については、こうした仕組みなども検討に値するのではないかと考えます。以上です。
○小畑座長 ありがとうございました。酒井委員、お願いします。
○酒井委員 皆さんの議論を伺っておりまして、私は法学者ではないので、少し議論についていけない部分もあり、今回の労災補償を適切に運用していくために、特別加入団体にどのような役割を担わせるべきかという論題とは直接的にはふさわしくないかもしれませんが、労災保険制度に課された役割として、もちろん補償を行うということが第一ですが、それと同時に労災保険に労災を抑止するというインセンティブが付されていると考えるならば、やはり、保険料をリスクに見合ったように適切に設定していくということが一般論としてあるかと思います。
今、中益委員から外国の例でメリット制を挙げられましたが、すぐにメリット制を特別加入にも適用できるかどうか私には分からないのですが、少なくとも、業種ごとの労災リスクに適切に応じた保険料の設定が必要になってくるかと思います。
特に、特別加入団体に業務災害防止に関して行政上の指導などを講ずることがなかなか難しいということであれば、保険料の面で対応していくということが一般論としてあるのかと考えております。具体的にどういうふうにやったらいいのかというのは、にわかには私には思い付きませんが、これは初回の研究会でも述べさせていただきましたが、少なくとも、現時点で業種ごとの保険料率が必ずしも適切ではない部分があるとすると、そういったものに対して、きめ細かに対応していく必要もあるのかと思います。
もう一点は、本当に素人質問で恐縮ですが、現状で特別加入団体が業務災害防止に関して行っている措置が具体的にはどういったものなのか知りたいと思っていますので、もし、よろしければ次回以降の研究会等で、例というか、エピソード的なものでも構わないのですが教えていただきたいと。そうすると、特別加入団体で業務災害防止の努力としてどういったことができるのかというイメージが沸くので、それを教えていただけたらと思いました。以上です。
○小畑座長 ありがとうございます。
○労災管理課長 今、酒井委員から御指摘の関係ですが、資料の9ページの「参考」の所に、特別加入団体が行う災害防止措置の実施事例ということで、全てではないのですが一部、県を跨いで取り組んでいる所についてはどういう災害防止教育をしていますかということを報告してもらっています。そういった所からピックアップしたものをここに御紹介させていただいております。また、次回以降で、もう少し詳しいものを何かお示しできるものがあれば用意したいと思います。ありがとうございます。
○酒井委員 ありがとうございます。
○小畑座長 例えば、一人きりで自営でされている方についてが、最新の労災予防のために重要な法規則の改正があったり、新しい危険を避けるための手段に関しての情報があるけれども、お一人お一人に1つずつ届けるというのはなかなか難しいところがあるので、特別加入団体を通じて、そこからアプローチするということも考えられるかと思います。ほかにいかがですか。坂井委員、お願いします。
○坂井委員 特別加入団体の役割に関しての問題意識ですが、問題意識自体は、先ほどの中野委員の御発言の最後の点と重なる部分があるのかと思います。特別加入の前提として、制度の周知が第一だというところを膨らませて考えられないかという話になってきます。
一人親方等の自営業者にとっては、特別加入というのは、民間保険などと並んで、職業上のリスクに対処する自助努力についての選択肢の1つになるのだろうと理解しております。もっともこの自助努力というのはなかなか難しいところがあって、業務災害のリスクを過小に見積ってしまったり、漠然とリスクを認識してはいるのですが、具体的な対処、保険加入などを後回しにしたりという形で、これを怠ってしまう自営業者も少なくないところかと思います。
特に特別加入の対象者には、業務災害に関して一定のリスクがあるということが想定されていると考えると、そういった自助努力が先送りにされるという問題は軽視できないところがあるのだと考えています。
そこで、特別加入団体の役割で何か考えられないかという問題意識を持っていたわけですが、特別加入団体というのは、もちろん個々の団体で多様だと思いますが、特定の業種や職域の自営業者の人たちと一定の接点を持っているということに着目して、まだ特別加入していない自営業者も含めて、職業上のリスクへの対処を促進する役割も期待できないかという問題意識を持っております。
こういった考え方を前提に、特別加入団体や、その母体となるような団体のほうが適切な場合もあるかと思いますが、そういった団体に特定の業種や職域の自営業者を対象にして、また、その団体が属する業種、職域の特性も踏まえつつ、まずは職業上のリスクへの理解を深めると。次に、リスクについて認識してもらったら、当該リスクへの備え、すなわち保険加入などの対処を促すと。さらに、その際の選択肢の1つとして特別加入があるのだという可能性を提示するという周知・広報への貢献を求めることはできないかと考えております。以上の内容というのは、労災保険の趣旨や、特別加入の意義から演繹的に出てくるという話、事柄ではないかとは思いますが、特別加入団体の付随的な役割、各種の自営業者に対して比較的接触しやすい立場にある特別加入団体の付随的な役割として検討できないかという問題意識を持っております。私からは以上です。
○小畑座長 ありがとうございました。ほかはいかがですか。皆様、御意見は出尽くしたとお考えでしょうか。大丈夫ですか。
特別加入につきまして、特別加入団体の役割を超えて、いろいろな御指摘がありました。特別加入団体につきましては、果たして本当に必要なのかというような御意見もあったわけですが、もし特別加入団体が効果的な役割をもっと果たすとしたら、どういうことがあり得るかということについての御意見もあったところです。
また、特別加入団体に特化せずに、一般的に特別加入に関する様々な論点が出てきました。いろいろな方向性、将来的な方向性としても大切な御指摘が相次いだところかと思います。こちらについては、また事務局のほうで御意見を整理して、まとめていただけたらと存じます。事務局のほうでは、今までのところで何かありませんか。大丈夫ですか。ありがとうございました。
続きまして、家事使用人に係る災害補償や労災保険適用について議論してまいりたいと思います。事務局から資料の御説明をお願いします。
○労災管理課長補佐(企画担当) 御説明します。資料4を御覧ください。家事使用人に係る災害補償・労災保険適用についてです。まず、家事使用人に係る災害補償・労災保険への適用に関する議論の前提として、本年1月に取りまとめられています労働基準関係法制研究会の報告書があります。この研究会の中では、労働基準法の中における労働者や事業などの考え方について現代的な見直しなどが議論されているところです。この報告書の中では、家事使用人についても、その取扱いについても記載がなされております。労災保険法の中での家事使用人の取扱いに関してもこの労基法における議論、検討を踏まえながら検討していくものと考えており、その上で論点設定をさせていただいております。
論点①は、労働基準法における災害補償責任を家庭が負うことをどう考えるか。また、労災保険法等を適用する場合、事業主として責任を負うのは誰になるのか。論点②は、仮に、労災保険法等を強制適用する場合、私家庭に強制適用するという場合ですけれども、どのようなことに留意して制度設計をすべきか。この2点について挙げております。
2ページ、家事使用人に係る労基法、労災保険法の中での取扱いについてです。「家事使用人」については労基法上で文言は出てきますが、明確な定義というものは置かれていないところです。しかしながら、この労働基準関係法制研究会の報告書の中にも触れられていますように、一般的には、個人宅に出向いて、私家庭において直接労働契約を結び、その指示のもと家事一般に携わっている方を指しています。その下に、労働基準法の条文を抜粋していますが、116条第2項において、家事使用人については、この法律は適用しないということで、明確に適用除外が謳われております。こうした適用除外がなされている考え方について、この下の薄水色の部分ですけれども、家事使用人の労働の態様は、各事業における労働とは相当異なったものであることがあります。これは当時、いわゆる住み込みの女中さんのような就業形態ですけれども、家庭の中で、家族に準じたような存在としてお仕事をされていると、そういうことを踏まえて、一般的な事業で使用されている労働者の方と同一の規制を施すことが適切ではないということで、こうした判断がなされてきたということです。
労災保険法については、労基法の適用対象である労働者を使用する事業を適用対象としているところですので、労基法の適用がない「家事使用人」については、一義的には労災保険法の適用対象ではなく、必要に応じて特別加入による補償が行われることになります。
3ページです。家事使用人、家政婦さんに関して、その雇用類型に着目して整理を行ったものです。一番上ですが、いわゆる家事代行サービスと言われる事業者に雇用されて、私家庭で仕事をされている方ですが、このような方たちは、このサービス会社で雇用されている労働者に当たりますので、労基法、労災保険法が直接に適用されることになっています。その上で、下の赤枠の部分は、事務局として議論の射程に入る類型の方たちと考えており、私家庭に雇用される方たちで、類型としては2つあると考えております。1つは、口コミ等で私家庭と直接に雇用契約を結んだ上で、その指揮命令の下で仕事をされる方です。もう1つは、家政婦紹介所等を通じて私家庭に赴いて仕事をされている方が想定されるかと思います。一番下に、個人請負といった形態についても挙げております。
右の薄水色の部分は、労働基準関係法制研究会の報告書の中での家事使用人に関する言及についてまとめたものです。先ほど申しましたように、住み込みの使用人という働き方について、昔は想定されていたところですけれども、このような家事使用人の方は減っており、通勤、いわゆる通いで私家庭に出向いて仕事をされているという点で、通常の労働者と変わらなくなってきています。そういう点で、家事使用人を特別視して労働基準法を適用除外する事情は乏しくなっていることが謳われています。
然は然りながら、このような方たちが仕事をされている場所というのは個人家庭ですので、やはり通常の会社、事業とは若干異なってきているところです。こういったところに公法的な規制をどう及ぼしていくのか、私人に対して使用者責任を負わせるとか、私家庭に対して監督・指導を及ぼすことは本当に適切なのか、あるいは、どのような履行確保が考えられるのかといった課題があり、慎重な検討が必要であるところであり、そうしたことも留意して制度設計に早期に取り組むべきというように報告書の中では提言されております。労災保険法についても、ここで挙げられていますような留意点や課題を踏まえて考えていくことが必要かと思っております。
4ページです。冒頭に挙げました論点ですけれども、実際に家事使用人に対して、災害補償責任や労災保険法の適用を及ぼしていく際に、一般的に前提として、事業主の方たちがどういった責任を負っているのかを挙げております。1.労働保険徴収法に規定する事業主の責任です。徴収法の中での事業主の方たちの一般的な責任、まずは保険関係が成立したことを届け出ていただく。それから、適切にその保険料について算定し、申告・納付をする、いわゆる「年度更新(年更)」という作業が発生してまいります。また、未納付が発生した場合には、追徴金を納めるということも発生してきます。
次に、その下の2.労災保険法に規定する事業主の責任です。事業主からの費用徴収を挙げております。適用される場面はさほど多くはないのですけれども、例えば、事業主の方が、故意又は重大な過失により、保険関係の成立を届け出ていない未加入の状態の中で事故が生じた場合、あるいは滞納している期間、督促がきても更に滞納しているような場面で事故が発生した場合、また、事業主が故意、重過失により業務災害を発生させたような場合。こうした場合については事業主から費用徴収をするということが想定されます。
また、その下の「その他の関連する義務」の部分ですが、これは規制的な法律でよく見られるものですが、使用者の報告・出頭、それから立入検査といった行政活動の対象となることが想定されます。また、これらの規定については、下の黒い太字の部分ですが、刑事罰による担保がなされているということです。家事使用人に対する労災保険法の適用を考えるに当たって、こうした事業主の方たちが一般に負ってる責任といったものとの対比をどう考えていくかということがあるかと思われます。
5ページです。こちらは「参考」として、労働保険事務組合に関する概要です。労働保険事務組合については、特別加入の第1種である中小事業主の方たちが特別加入する際に、事務負担の軽減のため、事業主の団体、商工会などが想定されますが、こうした団体が保険料の申告・納付や各種届出などの事務を委託されて、代わりに行うことができるというものです。実際に、私家庭が、仮に使用者として保険料の納付等の行為を行う場合、例えば、こうした何らかの機関が委託を受けてその事務を担っていくようなことも考えられるのではないかというものです。
6ページです。2023年にJILPTが実施しているアンケート調査からの抜粋です。こちらのアンケートでは、2,000人弱の家事使用人やその経験者の方にアンケートを行っております。左上の水色の部分ですが、実際に業務中に被災された病気やけがなどをした経験については、15.2%の方が「はい」と回答されています。また、それらのうち病気やけがの内容は、骨折・ヒビ、切傷、腰痛、打撲が比較的高い割合を占めています。また、「いつ、けがをしたか」については、掃除中の場合が一番多いということで、次に、通勤の方が多いということから通勤時、それから調理中が挙げられています。
7ページです。特別加入の状況です。「保険事業年報」からの抜粋ですが、特定作業従事者の1つである「介護作業従事者及び家事支援従事者」として特別加入している方は、令和5年度で1,714人となっています。JILPTのアンケート調査によりますと、労災保険に特別加入されている方の割合は34.3%、3分の1強です。補償状況については右下の図のとおりとなっております。
8ページです。引き続き、アンケート調査の内容ですが、こちらでは労災保険に特別加入していない理由について聴取したものです。「民間保険に入っているから」という理由を選ばれている方が57%で、半分以上いらっしゃるということです。一方で、「制度について認識していなかった、知らなかった」という方は2割弱いらっしゃいます。実際に民間保険に加入されている方たちがどういった保険に加入されているかということですけれども、一般的に見られる傷害補償保険や医療費助成保険などに加入されている方が比較的多いということです。
9ページです。家事使用人に係る保険料の負担です。アンケート調査によると、特別加入の保険料は、一般的には個々の加入者の方が負担しているところですけれども、職業紹介所が負担していると認識していると回答された方が35.3%で、3分の1強になります。下半分の所ですが、家事使用人については、職業安定法とその施行規則により、有料職業紹介事業者、すなわち家政婦紹介所などですが、そこが求人者である私家庭から特別加入の保険料に当てる金銭を別途に徴収できることになっています。下の図のとおり、こうした保険料の徴収にあっては、こういう団体を活用することができます。
10ページです。御説明しました職業安定法と、その施行規則に係る条文を抜粋しております。資料の説明は以上ですが、この資料4に関して、水島委員から御意見をお預かりしておりますので、代読いたします。
「資料4の家事使用人について、現行法上、家事使用人は労基法の適用除外とされており、労災保険法の適用対象外です。今後の法改正により、家事使用人に労基法を適用することとなった場合、大変難しい問題ですが家庭が使用者としての責任を負うことになると考え、労働基準法における災害補償責任も労災保険法の事業主としての責任も負うことになると考えます。法的整理として、家庭が事業主の責任を負うとしても、現実には一般家庭が事業主としての責務を果たすことは難しいと考えます。
とは言え、それが労災保険の適用事業の事業主となることを免除することにはつながらず、労働者を雇用する以上、使用者ないし事業主であることを自覚し、その責任を認識し、責務を果たしていただくことが必要ですが、手続的、事務的側面の負担は可能であるならば軽減すべきと考えます。具体的には保険関係成立や変更の届け出、保険料の納付等の事務を代行する機関が存在し、そこに負わせることができれば事業主としての負担が軽減すると考えます」。代読は以上でございます。
○小畑座長 ありがとうございました。それでは資料4の1ページ目にある論点に沿いまして、意見をお伺いできればと思います。事務局からは論点①から論点②まで示されておりますが、論点①と論点②をまとめて議論したいと思います。各委員の御意見は、いかがでしょうか。では坂井委員、お願いします。
○坂井委員 ちょっと長くなりそうなので、まず、論点①のほうから発言させてもらいたいと思います。労働基準法ですけれども、全体としては事業への適用となっておりまして、言い換えれば、企業活動を想定した規制を行っているという言い方をしてもいいのかと思います。そうすると、やはり事業というのはなかなか難しいような、純然たる私家庭への適用には慎重であるべきだというように考えております。
これが労基法全体の取扱いに関してですけれども、他方で、災害補償に関する限りでの話ということになってきますと、この災害補償というのは指揮命令下の労働においては、その業務災害の発生ですとか、職業病の罹患に関するリスクを、主として使用者が管理できるのだということを前提にして、危険責任というものを1つの論拠としているのだというように説明されるのだろうと思います。
そうすると、この危険責任というような論拠自体は、私家庭に関しても、家事従事者への指揮命令というものが現にある場合には、その論拠というのは妥当するのだろうというように考えております。
したがいまして、労基法上の災害補償、そして、これを受けた労災保険の保険料の負担に関する責任に関しては、私家庭に、これを負わせるということも可能なのだろうというように考えております。
それを前提に、では労災保険のほうではどうなのかと、また論点①の話になってくるわけですけれども、その労災保険における事業主の責任のうち、危険責任の法理から演繹的に導かれるもの、もう少し具体的に表現しますと、労働災害に関する経済的な補償のために不可欠の責任というものについては、私家庭にこれを負わせることができるのではないかと。先ほど説明していただいた資料の4ページで言いますと、未納付の保険料、追徴金の納付ですとか、事業主からの費用徴収といったところが、そういった責任に当たるのではないかというように思います。
これに対して、事業主の責任の中でも、危険責任の法理から演繹的に導かれるとは言い難いような事業活動への適用、法適用を前提とした技術的な規定については、これは私家庭に負わせることは妥当ではないのではないかと考えております。
やはり、説明していただいた資料の4ページで言いますと、使用者の報告・出頭ですとか、立入検査というものが、そういった規定に当たって、これを私家庭に適用するのは妥当ではないのではないかと。また、保険関係の成立の届出等とか、概算保険料、確定保険料の申告・納付に関しては、これは確かに保険料納付のための手続ではありますけれども、やはり企業活動を想定した複雑な手続というような側面もあるのではないかというように思われ、私家庭については、より簡素化した仕組みの構築というものが目指されるべきではないかというように考えております。論点①に関しては以上になります。
○小畑座長 ありがとうございました。中益委員、お願いいたします。
○中益委員 中益でございます。私は、論点の1点目と2点目について、それぞれ1つずつ発言させていただきます。まず、1点目ですけれども、家事使用人が労災保険法の労働者となるとして、一つ懸念されるのは、事業主に当たるであろう主体の法律上の能力の点です。家事使用人が、例えば介護のニーズなどに応えている場合があると思うのですが、その場合、認知症等いろいろな意味での判断能力が低下した主体が、労働契約の相手方になる可能性が、ほかの種類の事業よりも、かなり高いのではないかと思います。
この点、意思能力さえあれば、労働契約は成立するだろうと思いますけれども、他方で、労災保険法は資料の4ページにあるように、事業主について各種の責任の履行や罰則の適用を予定しておりますし、労働保険事務組合に委託するにしても、少なくとも判断能力の劣る主体が活用するのは一定の困難があるかもしれないとも思いますので、適用の工夫が必要かと思います。先ほど、坂井委員から簡素化の話がありましたが、私も、そのような方向が必要かと思っております。
他方で、労働基準法上も使用者は指揮命令を行うわけですから、指揮命令を行えない程度の判断能力の場合、家事使用人としては労働契約のつもりだったものが、実際には指揮命令が行われず、そもそも労基法の労働者性の判断基準から見て労働者と認められないような事態も起こらないとは限らないように思います。
いずれにせよ、相手方に、どのレベルの法的能力があるのかを、家事使用人が判断するのは、なかなか難しいのではないかと想像しますので、仮に家事使用人を労災保険法の労働者とするならば、家事使用人と契約の相手側の双方を保護するという意味でも、後日の紛争を避けるような何らかのチェックの仕組みが要るのではないかと思っております。
一方、論点2点目ですけれども、家事使用人に労災保険法が適用される場合、事業主となる主体には、保険料負担や手続の履行など、いろいろなコストが掛かりますので、家事使用人を直接雇用するのを避ける動きが出てくる可能性はあり得ないではないと思います。
例えば3ページでいえば、請負の形にシフトすることもありそうですけれども、そのほかにも有償ボランティア、例えば海外でよく行われている住み込み型の、留学生に家事を手伝ってもらうようなオペアなどが使われる可能性もありそうです。
これに伴って、労働契約とのグレーゾーンが増えるのではないかと思いますが、私家庭が事業主となりますと、これを取り締まるのはなかなか難しいと想像しますので、後ほど暫定任意適用事業でも指摘されている問題、つまり業務災害が発生した場合にのみ手続を取るとか、業務災害が起こりそうな危険の高い所だけが、労災保険法の適用事業だと予め名乗りを上げるような逆選択の問題が出てきそうに思いますので、この辺りが難しさかなと考えております。以上です。
○小畑座長 ありがとうございました。それでは、酒井委員、お願いいたします。
○酒井委員 ありがとうございます。議論が深まってきているところで、そもそも論的な話で申し訳ないのですけれども、この問題の背景として先ほど事務局から説明があったように、かつては住み込みの家事使用人という者が主体であったけれども、近年では通いの家事使用人ということで、かつて家族同然で働いていた人たちが中心だったのが、今は変わってきているという話だったかと思います。
これ自体は、家事使用人の中での内訳が変わってきている話なのかなと思うのですけれども、そもそも家事使用人という働き方自体が増えてきているのかというところは、ちょっと知りたいところです。家事使用人という働き方自体が多くなってきているということならば分かる面もありますけれども、そもそも家事使用人自体がそれほど増えていない、あるいは減っているということであるならば、その論点というか、問題意識がどこにあるのかということを知りたいと思いました。
少しヒントになるかと思うのが、今回の御説明の資料で、JILPTの調査結果を紹介されていましたが、確か、同じ調査結果だったかと思いますけれども、家事使用人として働いている人たちは圧倒的に60代・70代の高齢者が多かったかと思います。そのことを考えると、長年働いているというような人が主体で、若い人が新たに増えてきているという話ではないのかなということを思っております。
先ほど中益委員からもありましたけれども、このような状況の中で、労災保険の様々な義務を私家庭に負わせることになると、ほかの形態、例えば家事代行サービスといったものに転換されるといったようなことが予想され、いろいろと複雑な手続を踏んで改正したとしても、結局こういった家事使用人という働き方自体を少なくしていくということにつながりかねないということをどのように考えるかというところも論点の1つかと思いました。
ただ一方で、では、こういった家事使用人に対する労災補償というものは必要ないと考えているかというと全くそうではなくて、先ほども申し上げたように、この家事使用人の人たちは70代が多いという事実に照らせば、むしろ他の年代以上に労災補償が重要になってくるのではないかと思います。それをどういう形でやるのかということに関して私から具体的な提案をできるわけではないのですが、そういった側面からも考えてみる必要があるかなと思いました。以上です。
○小畑座長 ありがとうございます。家事使用人が増えているかどうかは、次回にでもお答えいただけると有り難いと思います。よろしいでしょうか。
○労災管理課長 御指摘ありがとうございます。ちょっとデータとか、どのぐらいあるかは確認してみますけれども、今回、論点として設定させていただいたのは、正に御紹介したとおり、労働基準法のほうで動きがあったということです。実態のところについて、ちょっとどこまでデータが取れるかはあれなのですけれども、ちょっと確認してみたいと思います。
○小畑座長 ありがとうございます。では小西委員、お願いいたします。
○小西委員 私からは、ごく簡単な感想めいたところを、2つポイントでお話してまいりたいと思います。既に各委員からお話があったことと相当重なっています。まず1つ目が、今日、今、お配りしていただきました資料4の3ページの図に書いてある、この区分けの点に関して、法的構成に関してです。
その関係図、4つ上から並んでいますけれども、2つ目と4つ目が2者間の関係ということで、ここでは一方が、上から2段目のほうが雇用契約で、指揮命令関係というように書いてあって、下のほうは請負契約、そのように記載されているところでありますが、既に御指摘があったように、これらが請負か雇用関係があるのかどうかというようなところの判断が非常に難しい、普通の企業でも難しいところなのだけれども、そういったことが、私家庭で十分な判断、適切に判断ができるのかと、そのような問題があるかと思います。
併せて、上から1つ目と上から3つ目は、三者間の関係ということになりますけれども、ここでも3者間の関係において、私家庭と家事従事者との関係は、どのように整理できるのか、その点の判断が、これは一般的な三者関係でも言えることで同じなのですけれども、その判断が難しく、その判断が難しい中に、私家庭が入ってくるという点が一つのポイントになるのかなというように思いました。
続いて、2つ目ですけれども、これも既にお話があったところですが、資料の2ページのところにも関係してきます、労働基準法上の労働者性の中でも、事業性に関連するというところでございます。その適用除外の規定、労働基準法第116条の規定が仮になくなったとしても、第9条の規定が掛かってくるということになってきて、事業性というのが問題になってくるところかなと思います。
そうした場合に、私家庭の場合において事業性が認められるのかどうか、この辺りは労働基準法の審議、議論のほうが主になるのかなというふうに思いますけれども、事業性が認められるのかどうか、認められないケースも相当程度、考えられるかなと個人的には、私はそういう印象を持っているところなのですが、その辺りが一体どういうふうに整理するのか。事業者というように言えると、事業性を認めるということになると、他の法律との関係において、そのような整理が、他の法律にどのような波及効果を与えるのかというようなことも気になるというところです。
このような形で2点申し上げまして、いろいろな難しい問題があるところではありますが、個人的には家事使用人の人に対して、労災保険制度の適用というのは、積極的にというか、適用に向けた検討をしていくことが、一定程度望ましいかなというように思っております。
現在は労働基準法上の扱いの適用除外ということにされていることもあるのかもしれませんが、家事使用人の働き方、実態というのが、なかなか十分に見えてこない印象を持っているところです。家事使用人の働き、就労というものをしっかり保護していくというような観点からすれば、労災保険とか、労働安全衛生とかも含めてですけれども、その適用ということについても考えていくということがあり得るところなのかなというように思います。
今後、こういった家事使用人的な働き方が、マッチングサービスの発展とか、場合によっては外国人労働というようなことも考えられていくかもしれませんが、そういうところで今後は増えてくることも考えられる中で、より労災保険という仕組みの中でも、見える化していくような方向が考えられるのかというように思っています。
具体的な仕組みということになってくると難しいところになってくるかなと思います。事業主ということがなかなか言えない場合に、では一体どうするのかと、みなし事業というようなことも考えられるのかどうか。あと、労働保険事務組合という参考資料も付けていただきましたが、それに類似の仕組みが使えるのかどうかとか、あとは家事使用人の就労の実態が日雇のようなものであれば、そのようなところをどのように考えていくのか、どういう仕組みが考えられるのかというような次の段階、なかなか難しいところではありますが、そのようなことに向けて検討していくことも十分あり得るかなというように考えている次第です。私からは以上です。
○小畑座長 ありがとうございました。ほかは、ございますか。地神委員、お願いいたします。
○地神委員 論点②について、「仮に」ということではありますけれども、労働保険等を強制適用する場合、ここの前提として、労働基準法は適用があるということを想定して発言いたしますけれども、やはり、この資料で言いますと、3ページにありますものの類型のうち上から2つ目、3つ目について、労働基準法、それから労災保険法のいずれも適用されることになるといった場合に、取り分け私家庭と直接契約をするような類型において、この把握が非常に難しいことは、まず間違いないかと思います。労働基準法のほうで履行確保をどうするのかという問題があり、これは極めて現実的に難しい問題だと思っております。
その際に、労働基準法が適用されるということになると、災害補償に係る規定もそれぞれ適用され、もし、これがちゃんと保険に入っていなければ、災害補償の民事訴訟で争われるケースがあるというようなことを周知するというようなことによって、適用漏れというものを減らしていくと、そのような方策も現実的にはあろうかなというようなことを少し思いました。
そして、上から3つ目の類型において、紹介所等が入っているというような場合もありますけれども、このような場合に、紹介所に一定の手続促進のための義務、ないしは努力義務というものを課して、加入を促進するというと、強制加入なので少し変な感じがしますけれども、履行性確保を図るということもあってよいかなと思っております。以上です。
○小畑座長 ありがとうございました。ほかは、ございますか。よろしいでしょうか。坂井委員、お願いいたします。
○坂井委員 論点②の制度設計の留意点に関して2点ほど発言させていただきたいと思います。1点目は、先ほどの論点①の労基法上の災害補償の責任を、私家庭についても肯定し、それを受けて労災保険に関しても一定の責任を負ってもらうという場合には、やはり事務負担の軽減というのは非常に大事になってくるのだろうと思います。
この点は、先ほどの中益委員、あるいは酒井委員の御発言と大分、問題意識や内容が重なるのですけれども、私もちょっと気になっていたところですので、一言触れさせていただきます。私家庭が直接、家政婦さんを雇用するというような場合に、その労災保険を適用して一定の事務負担を求めるということになってくると、利用者にそのような負担が生じない事業者が提供する家事代行サービスとの関係で、直接契約を結ぶ類型で働いている人たちのほうが、著しく不利益な立場に置かれるのではないかと。もう少し平たく言いますと、家政婦さんに来てもらうと、えらい面倒臭いらしいから、これからは業者さんにお願いしようというような事態が生じないかというところは懸念しているところであります。そういった観点からも、やはり家庭の負担だけではなくて、働いている人との関係でも、事務負担の軽減については十分な配慮が求められるのではないかと考えているところです。
もう一点ですけれども、先ほど小西委員から御指摘がありましたが、労基法との関係では、労基法の適用を認めない、災害補償責任も認めないというふうな考え方も、他方であり得るのではないかというような御指摘に関連するところですけれども、そのような立場を前提としますと、問題状況、問題の構造としては、むしろ今の特別加入のような状態に近付いてくるのかなと考えております。要するに、労基法上の災害補償とは結び付いていない労災保険の適用をしていくのだと。特別加入のような任意加入ではなくて、当然適用、強制適用をしていくという形ではありますが、特別加入と類似の構図を持っているのかなというような印象を持っているところです。
そういう場合には、むしろ、現行の特別加入の仕組み、すなわち業界団体を事業主と擬制して、それを基に制度を組み立てていくというような視点なども、一つあり得るのではないかと感じているところであります。私からは以上です。
○小畑座長 ありがとうございます。笠木委員、お願いいたします。
○笠木委員 ありがとうございます。既に発言があった内容と重なる部分が多いのですが簡潔に申し上げます。家内労働者については、労基法が適用された場合には、労災保険の適用に当たって既に指摘されているとおり、様々な問題がある一方で、事故の危険性も高く、労災補償を行う必要性自体は高い人たちなのだと理解しております。
他方で、これも既に御指摘が出ておりますように、私も、実際に、その一般家庭と家事使用人が直接契約するという形での働き方が今の日本において実態として、どの程度、重要な現象であるのか。また、労基法、労災法を適用するといったときに、どの程度その状況を国が把握して、現に法適用を行えるのかというところが一番気になっているところです。
そもそも今日の問題提起が、労基法の適用をめぐる議論を受けたものになっていると思われますので、労基法を適用していく場合に私家庭に対する国の監督が、どのように行われていくのかといった点とも平仄を合わせながら議論をしていくという必要があるのかなと考えております。
また、先ほど中野委員から、注意喚起がありましたように、特別加入について、実はできること自体を知らないということで、入っていない人が結構いるようでもあります。労基法に係る議論の動きを見守りつつも、今のところ、加入を希望する方については特別加入を今まで以上に促していくといったことが、同時に必要だと考えております。以上です。
○小畑座長 ありがとうございました。ほかは御意見はございませんね。ありがとうございます。今、御指摘ございましたけれども、こちらの議論、労基法上の労働者の議論に接続しております。そちらはどうなのかということを睨みながらのお話となるかと思いますが、然は然りながら、労災保険制度の中で、ケアをしていく必要性が高い人がいるのではないか。しかし、家事使用人というのが労基法の適用除外ということで、データがかなり少ないのではないかと思われるわけですが、何とか、その実態が分かるとすれば、その実態を見ながら、様々な労災保険法を適用するとした場合に、どのような問題が起こり得るかということについて、随分いろいろな御指摘がございましたので、その辺りを精査していく必要があるというように考えます。さらに、何か御意見等ございませんか。大丈夫でしょうか。事務局のほうでも整理をお願いしたいと思います。それでは、もう1つ、最後の論点になるかと思いますが、事務局のほうから御説明をお願いいたします。
○労災管理課長補佐(企画担当) 御説明します。資料5です、おめくりください。暫定任意適用事業をめぐる論点についてです。こちらは現行の暫定任意適用となっている農林水産業の事業についても強制適用とすべきかというところを論点としております。
2ページです。暫定任意適用事業の概要です。御案内のとおり、労災保険は、労働者を使用する全ての事業に適用されるところですが、この強制適用の例外として、暫定任意適用事業があるところです。この概要にありますが、農業、林業、水産業それぞれ若干、要件は異なっておりますが、かい摘んで申し上げれば、非常に小規模な個人経営の事業体というように考えていただければよいかと思います。ただし、労働者の過半数が加入を希望する場合は、強制適用となります。
下のほうですが、こちらは法律上の構造です。労災保険法の中では3条で、全面適用の考え方が謳われているところです。暫定任意適用に関する直接の規定に関しては、昭和44年の改正法の中の附則に規定が置かれております。具体的な対象範囲については政令に下りており、ここで主な対象事業として規定がなされております。また告示の中で、この任意適用事業の例外として、危険な業務については強制適用とするといったことを規定しております。こうした複層的な構造になっておりますので、どういった範囲で見直しを行うか、この改正内容に応じて、実際にどのレベルの法令改正するのかといったことは異なってまいります。
3ページです。暫定任意適用事業に係る特例です。一般に保険は、いざというときに備えて事前に入っておくのが原則ですが、この暫定任意適用に関しては、保険関係が成立する前に発生した業務災害であっても、事業主の申請によって、後から保険給付を行うことが可能になっております。こうした特殊な取扱いをしている背景については、薄水色の部分に記載しておりますが、一般的な労災保険法の対象となる労働者との均衡などを考慮された措置となっております。ただし、留意すべき点といたしまして、被災労働者が療養を経ずに死亡した場合、即ち即死された場合には対象となりませんし、また、こうした特殊な状況においても一般の保険料だけでカバーするといった公平性の問題もありますので、事業主の方は所定の期間、特別保険料を納付するといった義務が生じてまいります。
4、5ページに関しては参照条文を抜粋しております。6ページは、暫定任意適用事業に係る改正経緯です。労災保険法は、発足当時は、強制適用と任意適用といったものを法律等の中で書き分けていたのですが、昭和35年の法改正により、長期給付、年金の概念が入ってきたことで、労災保険法の適用対象となるかどうかで補償の水準が違ってくるといったことが課題となり、そこから全面適用の気運が高まってきたと言われております。こちらを見ていきますと、昭和43年以降、縷々適用範囲が拡大されているところで、平成3年の法改正の際に、現行の形となっているものです。
7ページです。こうした暫定任意適用事業が存置されている理由です。平成3年の制度改正時の施行通知ですが、ここは、あくまで農業に関する記載です。端的に申し上げますと、農業独自の労働環境、これは集落全体で作業に当たることにより、労働者か使用者かといった見分けがつきにくい、繁忙期のみに人を使っているといった特殊な事情があるといったことが理由として挙げられております。
8ページです。昭和63年に取りまとめられた、有識者の先生方による研究会の報告です。こちらは農林水産業一般についてですが、小規模な事業体が多く、広い地域に散在しており把握が難しい、あるいは災害は多発していないといった事情が述べられているところです。40年たった今日、こういった状況がどこまで妥当しているかといったことが1つの論点かと思われます。
9ページです。こちらは、自発的に任意適用されている事業体に関して、令和3年度から令和5年度までの3か年度において、実際に支給決定された重大事故、こちらでは遺族(補償)等給付、それから障害(補償)等給付のうち年金給付を便宜上選定しております。御覧いただくと、総計21件となっております。件数だけで見ますと、多くないとみる向きもあるかもしれませんが、申し上げましたように、こちらは自発的に任意適用されている事業体ですので、労働災害や災害防止に関するリテラシーが一定程度高い方たちであると考えられることは割り引く必要があるかと思います。
資料については以上ですが、資料5に関しまして、水島委員から御意見を頂いておりますので代読いたします。
「資料5の、現在、暫定任意適用事業となっている農林水産業の事業ですが、私は強制適用すべきと考えます。労働実態の把握が困難であることが理由とされてきました。「ゆい・手間替え」は、現在もあるのかもしれませんが、立場の曖昧性が強制適用不要の理由にならないと考えますし、暫定任意適用事業にこれまで強制適用されなかった背景には近所の助け合いという労力の相互融通の習慣があったとも考えられます。労働実態は少しずつかもしれませんが、現代的になっているはずであり、把握の手段も多様化していると考えます。確かに、件数は多くないかもしれませんが、暫定任意適用事業における重大事故が散見され、その中には若い方が重い障害を負ったケースもあり、保護の必要性があるといえます。
なお、農林水産業の事業を強制適用する場合、先ほど家事使用人の所で述べたように、手続的、事務的側面の負担を軽減するための仕組みを整備することが望ましいと考えます」。代読は以上です。
○小畑座長 ありがとうございました。それでは、資料5の1ページにある論点に沿いまして、御意見をお伺いできればと思います。御意見はございますか。中益委員、お願いいたします。
○中益委員 中益です。私も水島委員と同じで、農林水産業に関しては、強制適用のほうがよいのではないかと考えております。まず、労働基準法上は、農林水産業を含めて適用事業となりますので、農林水産業であったとしても、労働者を見分けられるという前提に立っていると思います。にもかかわらず、労災保険法が労働者かどうかを見分けられないとの前提に立つとすれば、一貫性が取れないのではないかという印象があります。
また、ほかの国では農林水産業は賃金支払いの点で他事業とは異なる特徴があるとみて、みなし保険料の仕組みなどが取られる例があるかと思いますが、日本ではこの事業についても最低賃金法が適用されますので、この点でも、ほかの事業と同じだという前提に立っているように思います。
他方で、資料8ページに指摘されているように、それでも、なお逆選択の問題があるということかと思いますが、労働者の過半数が労災保険の加入を希望する場合や、法人なりした場合には強制適用となること。また、平成3年改正により、事業主が農業について特別加入している事業も強制適用事業となることからすると、逆選択の弊害は、農林水産業に関しては、ある程度甘受されているようにも見えます。こうしたことから見ますと、全体的には、やはり農林水産業についても強制適用としていく方向で考えられるのではないかと思っております。以上です。
○小畑座長 ありがとうございます。ほかに、いかがですか。今、農林水産業の事業でも強制適用すべきという御意見が2つ出てまいりました。ほかに御意見はございますか。では、坂井委員、お願いいたします。
○坂井委員 農業分野の労働実態に関わるところで、私としてもまだ十分な知識を持ち合わせていなくて、私は、断定的にこうすべきだという方向までは見出せていないのですが、主として課題の指摘という形で発言させていただきます。基本的には、今まで意見が出てきたとおり、農業従事者の保護という観点からも、あるいは事業主の保険利益という観点からも、全面適用の意義としては当然、当たり前ですが大きいだろうと考えております。
他方で、資料7ページに記載されていますが、先ほど説明していただいた全面適用の困難性という部分に表われている農業の特性を見ると、確かに全面適用には障害もあるのだというような印象も持っております。この点、同じ7ページの中で、強制適用の話ではなくて、特別加入との関係で農業協同組合の役割への言及というものがありますが、この辺りは興味を引いたところで、強制適用とした場合にも、農業協同組合の協力、その他の手法を活用することによって、保険者においては適用事業の把握が困難であるとか、やはり事業主においては事務負担が大変であるといったことなどの問題や障害を解決する余地があるのかと。農業協同組合の協力という枠組を使うことによって、そういった問題を解決、解消する可能性がどれほどあるのかというところについては、検証の余地があるのかなというような印象を持ったところです。私からは以上です。
○小畑座長 ありがとうございます。ほかには、いかがですか。特にございませんか。今、まとめますと、強制適用すべきという御発言が続いておりましたが、するという場合の課題、障害となるものは資料の御説明の中でも出てきたところで、その辺りについての検討が必要ということかと思います。更に追加の御意見等はございますか。よろしいですか。ありがとうございます。
それでは、事務局において整理していただき、また進めていただければと思っております。では、事務局にマイクをお返しいたします。次回の日程などについて、よろしくお願いいたします。
○労災管理課長補佐(企画担当) 次回の日程に関しましては調整の上、また改めて御連絡いたします。
○小畑座長 ありがとうございました。少し延長してしまい、失礼いたしました。これにて「第4回労災保険制度の在り方に関する研究会」を終了いたします。本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。