2025年2月26日 第17回政策評価に関する有識者会議 福祉・年金WG 議事録

日時

令和7年2月26日(水)14:57~17:06

場所

厚生労働省共用第9会議室

出席者

菊池座長、新保委員、平野委員、藤森委員

議事

発言内容

○政策立案・評価担当参事官室長補佐
定刻より少し早いですが、皆様おそろいになりましたので、ただいまから第17回「政策評価に関する有識者会議福祉・年金ワーキンググループ」を開催いたします。
政策評価の担当をしております田中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、感謝申し上げます。なお、本日、岩崎委員におかれましては、御都合がつかず会議を御欠席となりました。
本日の会議では、事前に御案内させていただきましたとおり、ペーパーレスとして、タブレットの会議とさせていただきます。資料となるファイルは、下にスクロールすると次のページに、横にスクロールすると次の資料に参ります。
それでは、この後の議事進行につきましては、座長の菊池先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○菊池座長
本日は、議事次第にありますように、「令和7年度実施施策に関する政策評価の事前分析表(案)」を中心に委員の皆様に御議論いただきたいと思います。それでは、本日の議事の進め方について事務局から御説明をお願いいたします。

○政策立案・評価担当参事官室長補佐
議事の進め方について御説明いたします。お手元のタブレットに格納されております議事次第を御覧ください。本日は、令和7年度事前分析表(案)のうち、令和8年度に実績評価を行うもの、つまり、令和8年の夏に開催する本ワーキングにおいて評価書を御議論いただく施策目標について御意見をいただきたいと考えております。
具体的には、議事次第に記載されている3つの施策目標について御議論いただきます。テーマによって多少時間が異なりますが、まず、担当課より10分程度で説明を行い、その後20分程度で御議論をいただく形で進めていただければと思います。説明を終えた課は随時退室いたします。
なお、会議資料の「概要(事前分析表(案)のポイント)」の2ページ目に事前分析表の「確認すべき主な事項」をまとめておりますので、こちらも適宜御参照いただいた上で、委員の皆様から御意見をいただければ幸いです。
また、御欠席の岩崎委員より御意見等を預かっておりますので、御出席の委員の皆様から御意見等をいただいた後、事務局より代読させていただきます。事務局からは以上です。

○菊池座長
それでは、1つ目のテーマ「施策番号Ⅶ-1-3 ひきこもり支援、権利擁護支援、地域住民の複合・複雑化した支援ニーズへの包括的な支援等により、地域の多様な主体が連携して地域の課題に取り組む体制を整備すること」につきまして、担当課から10分程度で御説明をお願いいたします。

○社会・援護局地域福祉課長
社会・援護局地域福祉課長の金原でございます。よろしくお願いいたします。それでは、資料1-2の施策番号Ⅶ-1-3について御説明をさせていただきます。
まず、概要資料の3ページを御覧いただきたいと思います。施策目標といたしましては、ひきこもり支援、権利擁護支援、地域住民の複合・複雑化した支援ニーズへの包括的な支援等により、地域の多様な主体が連携して地域の課題に取り組む体制を整備することを掲げております。
この目標を実現するために、具体的な取組といたしましては、「包括的な支援体制の整備」「ひきこもり支援の推進」「成年後見制度の利用促進、権利擁護支援の推進」について、さらに詳細に順番に御説明をさせていただきたいと思います。
それでは、概要資料の先ほど開いていただきました3ページ目の一番左側になります。1つ目は「包括的な支援体制の整備」です。地域共生社会を実現するための包括的な支援体制の整備につきましては、そのための一つの手段といたしまして、令和2年の社会福祉法改正により、令和3年度から重層的支援体制整備事業を新たに設けまして、加えて、予算事業といたしましても、重層的支援体制整備事業への移行準備事業を設けさせていただきました。
このほか同法第6条第3項において、国及び都道府県は市町村での体制整備に係る必要な助言、情報の提供その他の援助を行うこととなっておりまして、国といたしましては、12ページに重層的支援体制構築推進人材養成研修・広報啓発事業や、13ページには、市町村の要請に応じまして、都道府県にキャラバンという形で出向いて、それぞれ助言等を行う事業も実施しております。さらには14ページになりますが、都道府県の現場ニーズの政策に反映させるため、さらに密な意見交換を都道府県ともしていただきたいということで、都道府県による後方支援事業も実施しております。
続きまして、課題でございます。戻っていただきまして、8ページになります。現状では、重層的支援体制整備事業を行っていない市町村に対する調査を実施いたしまして、約4割の市町村で整備に係る具体的な検討が行われていないということが分かっております。一方で、約2割の自治体では重層的支援体制整備事業以外の方法で包括的な支援体制の整備を行うと回答をいただいております。
続いて9ページを御覧いただきたいと思います。包括的な支援体制整備を進めるに当たっての市町村の要望についてですが、重層的支援体制整備事業を実施している市町村、実施していない市町村にかかわらず、真ん中の赤囲みでありますけれども、多くの市町村が国あるいは都道府県から支援、例えばノウハウや好事例の提供をしてほしいとか、社会資源の開拓・調整に対する支援をという声が多くなっております。
先ほど8ページで、実際具体的な検討が行われていないのはどういう理由からかという事前の御質問もございましたが、更問は取っておりませんが、こういったノウハウや好事例の提供が必要ということでございますので、何をすれば包括的な支援体制の整備ができるかというところについて、まだ各自治体について手探り状態であるのではないかということで、先ほど申しました研修、人材養成、キャラバンといったような事業も引き続き重要だと考えております。
行ったり来たりしてすみません。3ページに戻っていただきますと、左側の一番下、1のところにありますが、達成目標といたしましては、国などにおいて助言等そのほかの援助を適切に行うといったことで、市町村において包括的な支援体制を適正かつ円滑に整備するということを掲げております。
測定指標といたしましては、重層的支援体制整備事業の実施自治体数、それから策定された支援プラン件数、包括的な支援体制の整備に係る研修の参加自治体数を掲げております。令和5年度に設定された指標はいずれも達成をしております。
続きまして、2つ目の「ひきこもり支援の推進」についてでございます。まず、ひきこもりに関する現状ですが、記載はありませんが、令和4年度に行われた内閣府の調査によりますと、広義のひきこもり状態にある方は50人に1人という調査結果が出ております。その前に行われた調査結果と比べて増加をしているような状況です。
それでは、15ページを御覧いただければと思います。ひきこもり状態にある本人あるいは家族への支援策としては、これまで都道府県、指定都市に設置してきましたひきこもり地域支援センターを市町村にも設置可能といたしました。これが令和4年度からになります。それ以外にも、ひきこもり支援ステーション事業を創設したり、ひきこもりサポート事業を拡充したりということで、いわゆる基礎自治体において、ひきこもりに対する相談窓口の設置、また居場所づくり、それから地域のネットワークによる支援等の充実を進めてきたところです。
このような取組もございまして、16ページにございますが、こういったひきこもりに特化した事業、センター窓口への相談件数、実人員も共に増加傾向にございます。
こうした現状から、ひきこもり状態にある本人・家族を孤立させずに、一人一人の気持ちに寄り添った丁寧な支援が可能となるよう、引き続き、市町村における相談窓口の設置、居場所づくりの取組を推進してまいりたいと思っております。
3ページにお戻りいただいて、達成目標といたしましては、より身近な市町村域におけるひきこもり支援に特化した事業の推進を図る、それから、人材養成研修等を実施するといったことで支援体制をより一層充実させていくことを掲げております。
測定指標といたしましては、ひきこもり地域支援センター、それから、ひきこもり支援ステーション事業の実施自治体数、ひきこもり地域センター等による居場所の設置数、ひきこもり地域支援センター等によるひきこもり支援従事者養成研修の実施数、さらにはひきこもりサポーターの活動件数を掲げております。
現状、指標についてはおおむね達成しておりますが、未達成の養成研修については、国が主体として実施する人材養成研修もございますので、こういった事業を通じて各地域における研修を中核的に担う人材を育成するなど、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
それでは、3つ目になります。「成年後見制度の利用促進、権利擁護支援の推進」でございます。19ページを御覧いただければと思っております。まず、成年後見制度の利用の促進に関する法律に基づきまして、令和4年3月に、令和4~8年度の5か年を計画期間とする第二期成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定されました。この第二期計画において、成年後見制度の利用促進に向けて、総合的かつ計画的に講ずべき施策として、こちらのスライドの下段、Ⅱの3になりますが、「権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり」が掲げられております。全市町村においてネットワークが構築されることを目指しております。続いて20ページになります。権利擁護支援の地域連携ネットワークのコーディネート役を担う機関でございます中核機関の整備状況になります。
一番上、令和6年4月1日時点で整備済みの市町村は68.2%となっておりますが、これを人口規模別に見ますと1万人未満の自治体は55.0%の整備率になっており、人口規模が小さいほど取組が進んでいないという状況になります。
続いて21ページになります。成年後見制度の利用促進に関する施策についての基本的な計画である市町村計画の策定状況でございます。こちらも令和6年4月1日時点で策定済みが78.0%、ただ、一方で、1万人未満の自治体は61.6%と、こちらも人口規模が小さいほど取組が進んでいないという状況でございます。
今後、認知症の高齢者ですとか単独世帯の高齢者の増加が見込まれます。全国どの地域においても必要な方が成年後見制度を利用できる体制の整備を推進する必要があると考えております。
3ページにお戻りいただきます。達成目標としては、各地域において権利擁護支援の地域連携ネットワークの中核機関の整備、ネットワークづくりの推進等のさらなる制度の運用改善に向けた取組を行うことを掲げております。
測定指標としては、中核機関を整備した市町村の数、意思決定支援研修を実施している都道府県の数、コーディネート機能強化に取り組む中核機関の数の増加、協議会を設置した都道府県の数を掲げております。現状、指標についてはなかなか達成できておりませんが、第二期計画期間である令和8年度までの達成を目指して、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
なお、3ページのスライドの右側の一番下、色がついたところに書いておりますけれども、現在、地域共生社会に関しましては令和6年、昨年の6月より、地域共生社会の在り方検討会議において、改めてその概念の整理ですとか包括的な支援体制の整備、重層的支援体制整備事業の今後の方向性ですとか、身寄りのない高齢者等が抱える課題等への対応について検討しております。本年の夏をめどに取りまとめを行う予定としております。私からの説明は以上です。ありがとうございました。
 
○菊池座長
どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問などございませんでしょうか。平野委員、お願いします。
 
○平野委員
御報告ありがとうございました。テーマ的にも、私自身の研究でもとても関係しているので、細かな質問かもしれませんけれども、意見を述べさせていただきたいと思います。
個々に幾つかあるのですけれども、時間の関係でそれは割愛しまして、施策大目標1の文章を読むと、今日、基本的に体制整備上、自治体がどれだけ実施しているのかとか、センターがどう整備されているのかという数値が評価指標として出されているということは妥当だろうと思うのですが、施策大目標1の2行目にある「地域の多様な主体の参加・協働を促し」という点が、うまく指標が取れないのかなと。これからそういうデータを取っていただくことも含めて、少しその点について、この3つが私の認識ではかなり関係し合っている。在り方検討委員会もそのために成年後見の話と重層の話はくっついた議論になっているかと思うので、そういう観点からそれぞれについて提案というか、こういうことはできないのかということを述べたいと思います。
1つ目は、自治体がどんどん手を挙げていく、あるいはそういうモデルといいますか移行準備のほうも手が挙がっていくということは確かに分かるのですけれども、その中でここに掲げてある多様な主体が参加・協働するという辺りのところまで踏み込んだデータが取れないのかなという思いが一つあります。その点では、特に新規として実施されている多機関協働や参加支援などにおいて、複数の委託機関とか、これはなかなか自治体別にも難しいかと思うのですけれども、取りあえず委託先がたくさんあればいいというものではないのですが、多様な主体が協働するという点の一つとして、委託先数を全体として新規分だけですけれども集計してみるというのは一つの指標にならないのかなという思いがちょっとあります。もちろん直営でやった場合にはそうはならないのですけれども、目標としてはそういうことを言っているのではないかと思ったので、そういうことを考えられないかと思った次第です。
そういう点では、ひきこもり支援のほうも、あるいは権利擁護のほうもですけれども、権利擁護も中核機関とくくられているのですが、実際には成年後見センターとか支援センターとかというものが中核を受託するという形もあるので、実際には中核で取るだけではなくて、実施センターあるいはそれの委託機関といいますか、それが具体的に取れるといいかなと思っているのと、結果的には法人後見の実施組織が増えないという問題が大きいので、多様な主体がたくさん登場するという点では、法人後見の実施機関数みたいなものが増えていくということが一つ重要な要素なのではないかなと。自治体が直営でやった場合には当然法人後見できないわけですので、何らかの形で多様な機関が増えざるを得ないとなるのではないかなと思いますし、先ほどのひきこもりのものについても、それぞれのセンターが今のところ当然1か所みたいなところだとは思いますけれども、いずれ将来的にどういう形で多様な機関が手を挙げているのかという辺りまでもし掘り下げていただけるのであれば、少し多様な主体という話が把握できるのではないかなという意見です。以上です。
 
○菊池座長
ありがとうございます。今のご意見は指標の設定の仕方についてであると思いますが、いかがでしょうか。
 
○社会・援護局地域福祉課長
ありがとうございます。どのような指標を取ったらいいか難しいところだと思いますけれども、何かできることはないか検討させていただきたいと思います。ただ、一つ今、例えば重層の関係で検討会議とかでも指摘されているのですが、委託先に全部お願いしてしまっていて、実際に市町村として包括的な支援体制をどう整備していくかを検討できていないところもありますので、特に多機関協働事業については、もう少ししっかり市町村にやってもらわなければいけないのではないかという意見もあります。一方で、ひきこもり支援ですとか権利擁護支援というのは地域の多様な主体が参加して共に支援をしていくことは当然我々としても望んでいるところでございますので、そういうところはどうやって把握できるか難しいとは思いますが、検討させていただければと思います。ありがとうございます。
 
○平野委員
1点だけ関係して、スライドの18、ひきこもりの件ですけれども、この調査結果が達成の数字に使われていますよね。例えば居場所づくりの数も715自治体というのは指標に使われています。この調査は毎年やるという理解でよろしいのですか。
 
○地域福祉課長
ひきこもりの調査は毎年自治体にお願いしてやっております。
 
○平野委員
さっき言い忘れたのですけれども、スライド18の第2弾調査の1つ上にプラットフォームの設置状況とございます。下には、2つ目の連絡協議会とかネットワークづくりという項目もそうだと思うのですけれども、先ほどの多様な主体の話と似通っているというか、こういう場合にプラットフォームの構成機関数とか、ちょっと細かな話なのですけれども、あるいはプラットフォームや下のネットワークづくりが、100%ではないのですが、ただ、ほかの数字に比べるとプラットフォームは割に増加傾向にあるかなという感じもしていて、プラットフォームやネットワークづくりそのものを先ほどの多様な機関が協力するというか参加するとかという指標に発展的に、毎年調査されるのであれば少しそういうことも御検討いただければという意見です。以上です。
 
○社会・援護局地域福祉課長
ありがとうございます。参考にさせていただいて、ぜひとも考えたいと思います。ありがとうございます。
 
○菊池座長
ありがとうございます。藤森委員、お願いします。
 
○藤森委員
藤森です。御説明ありがとうございました。私も自分の研究している分野に少しかかっているところがありまして、大変興味深く聞かせていただきました。
私のほうからは、先ほど御説明のあったところで、概要の8ページにあった「何らかの取組が必要とは考えているが、現時点で具体的な検討は行っていない」という回答をされている自治体の方の特徴があるのかどうなのか。それは自治体の規模であり、何が一体要因になっているのかというところ、先ほどノウハウがなかなかないというところのお話がありましたけれども、好事例があればもう少し進むのではないかということがあったのですが、そもそもこの回答をされている自治体の特徴みたいなものがあって、そのところに対して何か広げていくための目標などが設定できるのであるならば検討していったらどうかというのが1点目です。
2点目なのですけれども、事前分析表の3ページ目に居場所という形で設置件数が置かれていて、なかなか難しいなと思うのは、僕は居場所はとても大事だと思っているのですけれども、何をもって居場所と言うのかというところの難しさがあろうかなと思っておりまして、あまりがちがちではなくて、緩やかなものも含めて居場所というものがそれぞれの地域にたくさんあるということが望まれることではないかと思うのですが、そのときに居場所設置数の決め方、カウントの仕方みたいなところもどのように考えられているのか教えていただければと思います。それこそ、もっと日常的な生活の中に居場所というものがあるような置き方ができれば一番いいかなとは思うときもあるのですが、その辺りのところを教えていただければと思います。
3点目なのですけれども、事前分析表の4ページ目に、御説明の中に成年後見制度のコーディネート機能の強化に取り組む中核機関の数の増加ということがありまして、先ほど身寄り問題ということで、少し最後のほうで言葉があったかと思うのですが、この問題の中に身寄り問題があって、特に判断能力はあるけれども身元保証人がいらっしゃらない。後見人は保証人ではないのだけれども、後見人がつけば病院や介護施設に入院・入所というのはできるのですが、判断能力のある方がなかなか入れないというところが今、身寄り問題の一つの課題として挙げられているところのように思います。そもそもなぜ身元保証人が必要なのかという、そもそも論のところの議論から必要なところだと思うのですが、身寄りのない方の課題に対して、比較的ここに書かれているのは成年後見の視点からのところが目標として設置されているかと思うのですが、権利擁護の視点から、判断能力があるけれども、なかなか身寄りがなくて入院や入所ができないというところに対しての施策というものが必要ではないかなと思いますので、その辺、御見解をいただければと思います。
 
○社会・援護局地域福祉課長
ありがとうございます。まず、最初に御質問いただきました8ページにございます、いわゆる「何らかの取組が必要とは考えているが、現時点で具体的な検討は行っていない」と回答したところの傾向の分析までは行っておりません。また、そういう観点で調査を行っておりませんので、今のところどういうところかというのがなかなかないのですけれども、逆に一生懸命やっている、できていると回答しているところは、高齢者、障害者、こども、生活困窮、いずれかの分野がもともと一生懸命頑張っていて、その分野が重層的支援体制整備事業の核になってやっているようなところが多いかと思っております。また、小さな自治体がなかなかついてこられないとかということでもないように思います。
 
○藤森委員
どこも力を入れられていないところがこのような回答をされているという可能性があるので、なおさらそこは注視して、そこがどのようにすれば力を入れていくようになるかというところを何がしか見ていく必要があるのだろうなと思います。
 
○社会・援護局地域福祉課長
ありがとうございます。都道府県キャラバン等、自治体にお伺いした際に実際のお話を聞きながら、どのような助言を行えばよいか考えていきたいと思います。
2つ目のひきこもりの居場所については、例年実施している調査では、各自治体が居場所として設置しているかどうかという形での聞き方なので、特定の要件を設けたうえで居場所の数をカウントしていないという形です。自治体によっては、様々な方法により工夫した取組を行っていただいていると思っていまして、例えばNPOに居場所を設置していただいているとか、江戸川区では居場所として駄菓子屋を開いていて、まずはそこにいて安心して過ごすことから始め、御本人が何となくモチベーションが上がってきたら、ちょっと手伝ってみないというようなことから、さらには就労体験につなげるという取組の仕方もしております。自治体の実情に合わせて、緩やかにといいますか、あまり堅苦しく考えないで、居場所を設置させていただいております。
3つ目の御質問のいわゆる判断能力があるけれども身寄りのない高齢者の問題につきましては、これから本当に増えていくというようなデータもございますので、我々としてもここについてどういうことができるかをしっかり考えていかなければいけないと思っています。これにつきましては、地域共生社会の在り方検討会議の中で議論しておりますが、現在の施策としてはモデル事業を実施しております。具体的には、身寄りのない方の相談を受け、地域の社会資源につなげるコーディネーターを配置する取組ですとか、あるいは、意思決定支援を行いながら日常生活の支援とか、場合によっては死後の事務までをパッケージで提供する取組をモデル事業として実施しておりまして、今年度からでございます。まだ政策評価の対象とする段階ではないと思っていますので、あくまでもモデル事業で、実施しております。今後、検討会議で御議論いただいて、方向性が出たら、法改正なり、あるいは新しい事業の実施なりを考えていかなければならないことだと思っています。以上でございます。
 
○藤森委員
分かりました。
 
○菊池座長
ありがとうございます。それでは、新保委員、お願いします。
 
○新保委員
御報告をいただきありがとうございました。今回御報告いただいた施策は、新しい課題やこれから取り組むべき課題、それから分野横断的な課題に対して、仕組みづくりや体制づくり、それから人材育成ということも力を入れながら進めていらっしゃる、とても重要で、これから一層の充実が求められる施策だなと思いながら聞かせていただきました。
私からは、事前分析表の3ページ目なのですけれども、4、5、6、7の令和7年度の目標値が前年度比増ということになっているのですが、ここはもしかすると具体的な目標を掲げながら、そのために何をどうするのかということを考えながら進めていかれてもよいのではないかと思ったところで、意見としてお伝えします。以上です。
 
○社会・援護局地域福祉課長
ありがとうございます。ひきこもり支援施策の経過について若干御説明をさせていただきますと、概要の15ページの資料を見ていただきたいと思います。最初に、ひきこもり支援の事業では、ひきこもり地域支援センターを都道府県と指定都市に設置しました。これが平成30年度までに完成しました。そこが一番下の左側に書いてあるところです。その後に、就職氷河期世代の関係もございまして、ひきこもり状態にある方々に対して全ての自治体で相談ができるような体制をということで、真ん中の中段の右に書いてありますが、全ての自治体に対して、ひきこもり状態にある方が相談をできる窓口を明確化した上で、住民の方に周知してくださいというお願いをして、令和5年度末時点で、1,741自治体中1,487自治体になっています。これが令和2年度にお願いをしました。ただ、市町村に対して相談窓口明確化のお願いをするだけではということで、令和4年度からは上の市町村域に対して、ひきこもり支援に特化した事業を設置することにより、ひきこもり支援体制の構築を図ってきたという流れになっています。いわゆる窓口を明確化してくださいといったときに、都道府県のセンターとの関係もありますし、困窮制度の窓口であったり、重層の窓口であったりするところも幾つかございます。ですから、改めて特化した事業をやらずにもサポート事業という形で、居場所だけで組み合わせてという事業もかなりあると思っています。
そういう意味では、目標値をどう整理していくかというのが、実は我々としても令和4年度から3年間継続してきた結果を踏まえて、今後の検討が必要なことと考えております。先ほど言った自治体の窓口を明確化して、さらに市町村のプラットフォームの設置をお願いしてきたところ、補助金等を必要とせず取り組めている自治体と、取組が進んでいない自治体もあります。今年度、実際自治体のどこの窓口がひきこもり支援を行っているか、例えば特化した事業であるか、ひきこもり地域支援センター以外であるかも調査をして、状況を踏まえながら、今後の方向性を検討していきたいと考えています。達成目標としては、窓口を明確化して周知することを設定して、その一助としてひきこもり支援推進事業を使っていただくということも考えられます。そのような後押しがあると、100%の自治体に窓口の明確化をしてくださいということが言えると思います。目標とする指標のつくりが、100%の自治体で窓口を明確化することを政策の目標としながら、いわゆる予算事業のほうの数となってしまっていて、若干そこの目標がぶれているというのが実情でございます。構成員が言われたように今後整理をして、どっちの目標にしていくか、あるいは予算事業としてもある程度の目標を立てていくかというのは検討させていただきたいと思っています。以上でございます。
 
○菊池座長
ちなみに今の15ページの明確化自治体数、プラットフォームの設置自治体数、これ自体を指標とするというのは考えられないことですか。
 
○社会・援護局地域福祉課長
予算との連携みたいな政策評価のつくりになってしまっていたので、言われるとおり、こちらを目標にしながら、あくまでもそれの達成手段として予算は全てではないけれどもというつくり方はできるのかなと思います。
 
○菊池座長
私からも。大変なのはよく分かるのですが、一つは指標の設定の仕方です。施策自体、この分野はどんどんアップデートされているので、長期的な指標を立てるのは結構難しいと思います。それは重々承知しているのですが、その中でも重層事業実施自治体数は、実態としてこんなに多くていいのだろうか、本当にやる気があって手を挙げているのだろうか、本当に実施自治体数を増やすことだけが施策目標なのかと問われると、必ずしもそうですと本当に言い切れるかという部分があるではないですか。仮にそうだとすると、実施自治体数を指標とすること自体がどうなのだろうという発想になるのです。じゃあその都度、指標はどんどん変えていけるかというと、変え過ぎると今度比較ができなくなってしまうので、そこら辺が難しいところで、そこは事務局とも相談いただく必要があるのですけれども、その難しさがありながらも、何を指標としていくかは考えていただく必要があると思う。
それはこの政策評価のために、お忙しい中、時間を取っていただている。それは余計な時間を使っているということではなくて、これを考えることが、この施策を考えるに当たって何が大事なのかを考えるいいきっかけになると思うのです。そこをお考えいただきたいなということ。
1つは新保委員からもありましたように、前年度比増というのは、しかもそれが続くというのは、さっき言ったのと同じで、要するに政策評価は要するにこの施策を自分たちがどういう戦略でどこまでやる、どこが目標か、そのためには段階を追って、まずここまでやって、そしてここまでやってという戦略がないと施策は立てられないじゃないですか。政策評価はそれを考えるいい材料なのです。なので、千七百幾つというのも、1年で千七百幾つにすると宣言しているのと同じなので、そのためにどういう戦略があるのですかと問われると、そうではないと思うのです。段階的に、こういうことをチェックして、ここまでまず上げる。そこからまた積み上げていって、4年後、5年後に1,700という立て方だったら、施策として考えられていて、そのために立てられた指標なんだなというのが分かるのですけれども、ここは多くの所管課になかなか御理解いただけていないところなのですが、自分たちが何を大事に考えていて、それを実現するためにどういう根拠を持って、こういう数字で積み上げていく、そういうものに政策評価を使っていただきたいというところなので、その辺りですごく流動的で大変だとは思うのですけれども、すみませんけれどもお考えいただきたいなと思うのです。
 
○社会・援護局地域福祉課長
ありがとうございます。本当に今、検討会議のほうでもいろいろ御意見もいただいておりますので、そういうのもどこまでやれるかというのもあると思いますし、先生が言われたように、本当に戦略を考えながら、目標もしっかり持ちながらということも考えて、検討もさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 
○菊池座長
よろしくお願いします。それから、岩崎委員からも御意見をいただいていますので、事務局からお願いします。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
代読させていただきます。「成年後見制度の利用促進ということで、中核機関が整備されつつあるが、その内実については、地域格差が大きい印象を受けている。中核機関としての役割の中で、コーディネート機能がより重要であり、その強化に取り組む中核機関数が徐々に増加していることは一定の評価ができる。その一方で、取り組む自治体数が目標値ということでよいのかどうかという点には疑問が残る。現行の成年後見制度は課題も多く、見直しが行われている渦中ではあるが、中核機関が担う地域連携ネットワーク構築に係る評価を示すもう少し具体的な指標の設定というのは難しいのだろうか。」以上でございます。
 
○菊池座長
よろしいですか。
 
○社会・援護局地域福祉課長
今のお話も目標の数値のことだと思いますので、先ほどの座長に御指摘いただいたことも含めて検討させていただきたいと思います。
 
○菊池座長
ほかには委員の皆様から。平野委員、どうぞ。
 
○平野委員
今の後見の話で、先ほど法人後見の機関の実施数も触れましたけれども、市民後見人の受任件数というか、そちらのほうで数字は取れると理解してよろしいですか。
 
○社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室長補佐
成年後見制度利用促進室長補佐をしています高橋と申します。よろしくお願いします。先ほどの中核機関の委託の箇所数やどのようなところが委託しているか、また、法人後見の実施法人市民後見人の受任者数というのは毎年度の調査で取ってはおりますので、そういったものをどこまで指標にできるかというのは検討させていただきたいと思います。
 
○平野委員
ぜひこの3つがつながりながら、ある指標が形成される要素を私としてはできれば希望したいなということも含めて、少しそういう発言をさせていただきました。よろしくお願いいたします。
 
 
○菊池座長
ありがとうございます。ほかにはよろしいですか。ありがとうございます。担当課におかれましては、本日の議論を踏まえ、事前分析表への反映を適宜お願いいたします。どうもありがとうございました。それでは、次のテーマに移りますが、少しお待ちください。
続きまして、「施策番号Ⅶ-1-4 困難な問題を抱える女性への更なる支援体制の充実を図ること」につきまして、10分程度で御説明をお願いいたします。
 
○社会・援護局総務課女性支援室長
厚生労働省社会・援護局総務課女性支援室の中村と申します。よろしくお願いいたします。お配りしておりますお手元の資料の主に概要のほうに基づいて、御説明をさせていただければと思います。
おめくりいただきまして、資料の3ページを御覧いただければと思います。令和7年度の事前分析表の概要でございます。もともと女性支援に関しましては、現在、女性支援新法と通称呼んでおりますけれども、新しい法律が令和4年の5月に成立をしておりまして、昨年の4月から施行されているところでございます。この前から売春防止法に基づく施策ということで、女性支援に関しては各種事業を遂行してまいりました。その現状(背景)のところを簡単に申し上げますと、現状、女性相談支援員という自治体に置かれている相談員が困難な問題を抱える女性の相談を受け付けて、その後の支援につなげていくという形を取っているわけですけれども、この相談の件数自体は平成15年以降基本的に伸び続けているという形でございます。相談の内容につきましては、夫等からの暴力、いわゆるDVに関する相談が多くを占めておりますけれども、それ以外の相談、暴力以外の家族問題ですとか経済関係等に関しても様々な相談内容がありまして、内容が複雑化している状況です。
一方で、これを支える相談支援員の人材確保ですとか民間の支援団体の育成といったところはまだ緒に就いたところといったことで、現状の課題としましては、支援団体等の支援、地域の資源がまだ乏しく、行政や民間のいずれの支援体制も十分とは言えないことから、そのために必要な体制を整備するということで、下の施策目標3つ、相談支援員の配置数を上げる、来所相談の件数を上げていく、それから民間団体の支援体制、掘り起こし等に関する補助事業でございますけれども、これの実施自治体数を増やしていくというところが目標となってございます。
資料をおめくりいただきまして4ページでございますが、女性支援新法のポイントについて簡単に記載した紙でございます。女性支援につきましては、右側の売春防止法という法律、昭和31年に制定をされたものでございますけれども、従来、これに基づいて、売春をなすおそれのある女子に対して補導する、もしくは保護して更生をするといったような法律になっておりまして、風紀を乱す女性に関して、矯正的な意味で更生をさせていくのだといったような形で法律ができていたところでございます。
先ほども申し上げましたけれども、もともと売春防止法ができて以降ずっと指摘をされてきたところでありますけれども、女性をめぐる課題は必ずしも売春だけではなくて、様々な生活困窮であったり、性暴力等も含めた暴力被害、それによる精神的な疾患ですとか、家庭関係の破綻とか、昨今ですと例えば若い女性に関して、例えばトー横、グリ下みたいなところで、家に居場所がない女の子たちがそういったところに集まって、様々な犯罪に巻き込まれるといったような問題も生じておりますので、こういった複雑化した問題に対応するために、強制的な補導とか、保護更生といった売春防止法に基づく支援というものはなかなか限界があるということで、令和4年の5月に女性支援新法というものが成立をしてございます。形式としては、売春防止法の第3章補導処分を廃止して、第4章保護更生に関する規定を廃止して新しい法律に塗り替えたといったような形になっております。
新法のポイントですけれども、大きく3つほどございます。まず1つは目的・基本理念のところに書いておりますが、法律の目的自体をがらっと売春防止法から変えまして、女性の福祉の向上というところを目的に据えたというところが一番大きなところであります。先ほど申しましたけれども、どうしても補導処分とか保護更生といった法律ですと、支援が必要な女性に対する必要なケアができないといったようなところで、支援というものを法律の目的に大きく据えたというところが一つございます。
これに基づいて、2つ目のポイントとしましては、国や自治体の責務等も法律上規定をして、具体的には国の定める基本方針に基づいて、各県で基本計画というものを策定して、困難な問題を抱える女性に対する支援を計画的に各自治体で行っていくというところを法律上義務づけたという部分がございます。
これに併せて支援調整会議というものを新しく、努力義務ですけれども設置をしまして、後ほど御説明します関係機関、女性支援に関して様々ございますので、いろいろな機関で個別ケースも含めて、この人の支援をどうしていったらいいかというところの支援方針も含めて、相談をする場をつくっていきましょうというところ、こういった形をきちんと整えたというところが2つ目のポイントでございます。
3つ目は、民間団体との「協働」による支援というものを法律上位置づけたというところが大きな変化かなと思っております。女性支援に関しては、その上に茶色い3つの箱、主に支援3機関と呼んでおりますけれども、各自治体に置いている支援機関、女性相談支援センター、もともと婦人相談所と言われていたものですが、各県に必ず設置をするということになっております。また、各県の女性相談支援センターや自治体の市役所の福祉事務所等に設置をされている女性相談支援員が話をまず聞く。さらに、中長期的な支援が必要な方に関しては、女性自立支援施設というものがございまして、任意ですけれども基本的に各県に設置をされていて、ここで少し中長期的に、ケアが必要なPTSDを持っている方ですとか、一人で地域で生活していくには不安の多い、生活習慣の確立していないような方、そういった方をここでケアをするといったような形になっています。
こういった仕組みの中で、もともと先ほど申し上げたトー横とか繁華街などでの例えばアウトリーチみたいなところは、民間団体のほうが先行している部分もありますので、こういったところと必要な協働をしていくという形で、それに必要な補助等も国や自治体が行うという旨も法律上規定をしているところでございます。
次の5ページを御覧いただければと思いますが、そういった支援を行うに当たって関係する機関が非常に多くございます。その中で連携をしていくというところも一つ新法の大きなポイントとなっておりまして、まず困難な問題を抱える女性をいかに広くキャッチをしていくかというところで、もちろん女性相談支援センターや相談員だけではなくて、それ以外の福祉部局ですとか民間団体も含めて、支援の必要な女性をいかに広く見つけていくか。見つけた女性に対して、例えば緊急に一時保護が必要であればシェルターのようなところに一時的にかくまう。その上で、その先どうしたら必要な福祉のいろいろな手段も使って地域のほうに戻していけるかというところをいろいろな福祉事務所ですとか、ここに書いていませんけれども、例えば性暴力・性被害ワンストップセンターですとか、そういったところの力も借りながら検討していくという形になっております。
来所相談の件数は、下にグラフがありますが、おおむね8万人前後で推移をしております。内訳としては、ピンクのところです。女性相談支援員として、各福祉事務所に設置をされている方が受けるものが近年多いという傾向にございます。
来所相談の内容ですけれども御覧いただきますと、夫等からの暴力に関するものが45%程度を占めているという状況であります。一方、子や親とか親族、あと交際相手からのものも含めますと、暴力被害の占める割合が全体の半分以上になっておりまして、この相談内容に関しても、ここ15年、20年ぐらいの統計で見ますと、夫等からの暴力の割合もだんだん増えてきてはいるのですが、それ以外の方から暴力を受けている方の割合も増えているということで、全体に占める暴力被害の割合がじわじわ増えてきているといったような傾向がございます。
続きまして、6ページですけれども、相談の状況でございます。各市町村に設置をされている相談支援員が受けた相談の状況でございますけれども、平成15年以降どんどん右肩上がりに増えてきているところが御覧いただけるかと思います。
次の7ページですけれども、指標1に関連する部分でございます。指標1は、女性相談支援員の配置数について、令和7年度までに1,894人にするというところが目標でございますが、御覧いただきますと平成20年度以降、数としては増えてきておりますが、現状約1,600人という状況でございます。市町村設置の相談員の数が増えてきているなという状況であります。
一方で、相談員に関しては非常勤の方が80%ぐらいを占めている。会計年度任用職員がそのぐらいいるというところですので、定着率に関しても現状課題になっているというところでございます。
続きまして、8ページを御覧いただければと思います。こちらも指標2の関係であります。来所相談人数の推移ですけれども、今の女性相談支援センター等の相談員ですが、基本的に最初は電話相談を受けるというような形になっておりまして、といいますのは、相談支援センターで一時保護所を併設している場合も多いですので、一時保護所は場所が明らかになってしまうと追いかけてくる旦那さんとかがいて、身の危険が生じるということで、場所を秘匿にしている、いきなり来所はできないというようなところも多くございます。ですので、まず電話をして、内容を少し聞いてから、来所のほうで本格的にどういった課題があるのかということを聞くという形にしておりますので、指標としては来所相談の人数ということにしているのですけれども、その数自体は、先ほども出てきましたが、8万人ぐらいで推移しているところです。
最近ですと令和3年度に6,000人ぐらい大分落ち込んでいるのですが、ここはコロナの影響で、外出が制限される緊急事態宣言等が頻繁に出されていた時期の影響ではないかなと見てございます。
続きまして、9ページ、指標3の関係でございます。民間団体の支援強化・推進事業の実施自治体数を対前年度比で増加をさせるという目標になっておりますけれども、実施自治体数自体は順調に増えてございます。
この事業の内容としては、女性支援を行う民間団体の掘り起こしをする。さらにそこの育成・強化をしていくための様々な支援を行っていくという内容になっておりますけれども、基本的に、今既にあるいろいろな活動をしている団体のほうに女性支援にも参入をしていただくといったようなところを中心に、自治体のほうで実施をされているところが多いと聞いております。
時間の関係で10ページだけ少し説明させていただければと思いますが、令和7年度予算の概要でございます。赤字のところが令和7年度予算に追加で新しく盛り込んだものでございます。まず、体制構築・広報啓発というところで8でございますが、次の相談支援の1とは対象者が違うだけで事業の内容は一緒なのですけれども、相談支援センターや自立支援施設、2の1は女性相談支援員について、スーパービジョン整備事業というものを始めたいと思っております。これも先ほど申し上げた女性相談支援員、業務の内容も相当重い相談が多いというところ、それから非常勤の方がかなり多いというところで、なかなか職場の支援体制も十分ではない。さらに言うと一人職場の方もかなりいらっしゃるということで、困難ケースがあったとき相談先がないというのも離職の要因になっているのではないかなというところも我々は危惧しておりますので、そういったところを中心に、経験豊富な職員OBですとか有識者の方に、困難事例を中心にアドバイスをもらうような体制をつくるというものを新しく始めたいと思っております。
それから、2の6のところですけれども、官民協働等女性支援事業というものがございます。新規と書いておりますが、現状、若年被害女性等支援事業というものがありまして、民間団体が例えばアウトリーチから始めて、居場所の提供、一時的にシェルターみたいなものを確保して、地域で自立して生活していくための支援をするといったようなものに関して、各自治体のほうで補助を行う、もしくは委託を行うという形で、民間団体の活動を支援するものでございます。これは地域定着に向けた部分等を拡充した上で、新規事業として打ち出したものでございます。
最後にもう一つ、3の3のところに書いてございますが、女性自立支援施設通所型支援モデル事業というものがございます。今回拡充したいと思っている部分ですが、女性自立支援施設の入所率が現状低下をしておりますが、というのが追跡のあるDV被害者の方も施設に入られるために、秘匿性を確保しなければいけないということで、施設の中で他の利用者も含めて携帯電話を使えないとか、外出が思うようにできないといった、なかなか生活ルールが厳しいところがありますので、入所に限らず通所という形でも必要な支援をやっていけるようにしたいという目的で今回拡充をしているものでございます。
駆け足になりましたけれども、女性支援の現在の状況と今後の対応について、御説明は以上でございます。
 
○菊池座長
ありがとうございます。それでは、御意見、御質問などをお願いできればと思います。平野委員、お願いします。
 
○平野委員
すごく今後重要になる施策だと思うのですけれども、1つは民間との協力の件なのですが、今回の指標で言うとそういう事業を実施した自治体数ということになって、年々これが上がっていくことを期待したいのですけれども、これだと指標としては寂しいかなという感じがしていまして、都道府県も入っているという理解でよろしいのですか。
 
○社会・援護局総務課女性支援室長
入っています。
 
○平野委員
そうすると、こういう民間への支援というのは、かなり民間が広範囲に動く場合、都道府県という場合もあって、市町村も入っているわけですか。
 
○社会・援護局総務課女性支援室長
はい。
 
○平野委員
都道府県と市町村を合体して数がこうだと言うのもちょっと厳しい感じがあるかなというのが1点あるので、民間との協力関係を、何か具体的なもうちょっとそれが施策目標の重要な要素なのだということを示すような指標に追加でも結構ですけれども、これはこれで意味があると思いますが、なかなかそれは難しくて、実は私の博士論文の指導学生が、性ビジネスから昼転職を促進することの国際比較の研究をやっている人がいて、何で私が指導しているかよく分からないのですけれども、私も実際の活動をしている民間の人にインタビューに行くというから付き合った経緯もあるのですが、この事業が経済的な意味もあるので、民間を取り上げるときも、民間が持っているプログラムというかノウハウみたいなものまで、こういう指標化は難しいかもしれませんけれども、今回新規の話も非常に共感する部分が多いので、いい案がないのですけれども、何とか官民協働が促進できるような指標をやっていただけないかなという感じが一つあります。
その場合、暴力の場合とちょっと違っていて、暴力の場合は一定ここに出てくるようなシェルターの話は一つあるのですけれども、昼職でないと駄目だというわけでもないのですが、転職を促すような活動がすごく大事なのではないかなという感じもしているので、その点に関しては、これは指標と直接関係ないのですけれども、10ページのスーパービジョンの話がありますね。できれば官民でこういうムーブメントができないのかなというか、もちろん自治体の中に派遣するということもあるのですけれども、民のノウハウをというわけでもないのですけれども、相互にそういうことの壁が結構あるようにも思いますので、そういう点も含めて、この領域が官民でうまく進むといいかなということを日頃から希望していたものですから、指標とずれている面もあるのですけれども、指標の点だけで言うと、自治体数を超えた何か具体的な指標の開発をお願いできればという意見です。以上です。
 
○社会・援護局総務課女性支援室長
ありがとうございます。まさに御指摘はおっしゃるとおりだと思っておりまして、指標の3つ目の民間団体の支援強化・推進事業に関しては、もともとこの指標をつくったときが令和3年ぐらいでまだ新法ができる前の時期だったかなと思いまして、当時、民間団体の育成自体、そもそも女性支援というものが今よりもあまり、そんなのやっているのという状況でもあったので、まずは育成というところだったのかなと思うのですが、先ほど御説明させていただいた最後の予算の資料のほうも御覧いただきますと、2の6の官民協働等女性支援事業、現状では若年被害女性等支援事業というものをやっておりますという話をさせていただいたのですが、民間団体の育成、掘り起こしというところだけではなくて、一定数、都市部が中心にはなってくるのですが、民間団体で実際のそういう活動をされているところは増えつつあります。
また若年被害女性等支援事業の中で、各自治体からの支援を受けて、民間団体の活動している数も大分増えてきてはおりますので、例えば今後そういった事業の実施自治体数ですとか、支援を受けている団体数ですとか、その辺りも指標にするということも考えられるのではないかと思ってございます。
先ほどお話のあった昼職への転職を促す、そこもすごく大事だと思っておりまして、官民協働等女性支援事業の中で自立支援というところもメニューに入れております。例えば若い女性が昼職に転職するというところの支援も当然行いますし、あとは教育、若い女性だと学校に行って、手に職をつけて、夜の仕事ではないところに転職をしたいというような子もいますので、そういうところに例えば民間団体が支援をする際にお金が出せるような形の事業にもなっておりますので、そこの部分も含めて支援をしていきたいなというところです。
スーパーバイズの事業に関して、民間の知恵も含めて何かというところ、おっしゃるとおりで、この法律の3つ目のポイントのところでお話ししたのですが、民間団体との協働というのはすごく大事だなと思っております。今、公的な支援3機関と民間団体のほうで、お互いにやっていることがよく分からないとか、考えていることがよく分からないと。ここに支援が必要そうな女の子がいるのだけれども、例えば民間団体にお願いしてしまって大丈夫かな、逆に民間団体からすると、センターに言ってきちんと支援してくれるのかなというところで、お互いに何が得意なのかがよく分かっていなかったり、どういう考えに基づいているのかよく分かっていなかったりというところもありますので、来年度、例えば民間団体の人も、公的な支援機関の人も、みんな一緒に交ぜて研修をするということも今考えております。
そんな形で、両方、お互いの知恵も聞いて、どういうことができるのかというところの情報共有をしながら、一緒に支援を前に進めていくということができればと思っているところでございます。
 
○菊池座長
藤森委員、お願いします。
 
○藤森委員
藤森です。とても新しい分野で、重要な分野を担われているなと思っております。私のほうでは3点申し上げたいなと思っているのですが、一つは今あった民間団体との連携というところと、加えて、施策間の連携というものがもっとできないのかなということを思いました。一つは生活困窮者自立支援制度の相談機関というのは置かれておりますので、そことの連携、それから、住宅セーフティネットの部分でも、住宅確保要配慮者の中にDV被害者というのは入っていますから、家の問題はそことの連携もあり得るだろうし、今ある施策とそれぞれの地域の中での連携をどのようにやっていくのかというところと、もちろん特有の暴力のところとかもありますので、特化したところもあると思いますので、今ある施策との連携というところも重要になってくるのではないかということを思いました。これが1点目です。
2点目としては、今回、来所相談人数というのは目標に上がっておりますけれども、そもそもこういった課題を抱えながら相談支援センターに来所される方の経路というか、どんなことでそのセンターを知り、あるいは電話をし、そして来るというような、この経路はどうなっているのかと。そこに来られる方というのが、本当に氷山の一角なのかもしれないし、その経路がどうなっているかによって、来所者数をどのように設定していくのかということとの関係性もあると思うので、そこの実態を明らかにしていくというところがあるのではないかなと思いました。これが2点目です。
そして最後、相談に乗る側の支援員が、先ほど重い相談であり、それから、やはり非常勤の方が多いとおっしゃられ、しかも一人相談ということもあって、ここは非常に大きな課題だなと思いました。質の部分です。相談員の質をどうやって担保していくのかというところ、一つは先ほどの既存の制度と連携しながらチームでもう少しやれるようなことが考えられないのかということもあると思いますし、研修のようなものをどのようにこれから、もう既にやられているのではないかと思いますけれども、強化していくのかといったところも施策目標としてはあるのかもしれないと思いました。以上3点です。
 
○社会・援護局総務課女性支援室長
ありがとうございます。まず、施策間の連携というところです。本当に我々もそこはすごく大事だと思っておりまして、まさにおっしゃったような生活困窮施策でも困難女性が来ると思いますし、あと住宅に困っている方はすごく多いです。一つ今回の法律の中でポイントになると思っているのは、支援調整会議の活用というところかと思います。資料の最初のほうの法律の説明のところで出てきますけれども、新法ができる前、我々は売春防止法に基づく組織というところで、またDV被害者の方の相談も受けていて、秘匿性もかなり厳しく言われるというようなところで、各自治体においても、ほかの福祉部局と情報共有するとか連携するというのがなかなか難しかったとは聞いております。ただ、新法ができて支援が中心の法律となりましたので、そこはもっと前面に出ていかなければいけない。
各相談支援員さんにもお話をしているのは、ほかの施策の調整会議みたいなところにもどんどん出ていっていただきたいと。女性支援でどういうことをやっているかというところもどんどん説明をしていってくださいと。DVに関しても、別に個別のケースについて名前を出すようなことでなければ、こういうケースがあって困っているということはどんどん伝えてくださいというお話はしています。
また、支援調整会議に関しても、各自治体のほうで努力義務という形にはなっているのですが、これを設置して、いろいろな関係者の方と、今こういう困っている女性がいて、こんな支援施策を使いたいんだとか、もしくはどういうことができますかというところをオープンにしていくというところがすごく大事だと思います。自治体レベルでいろいろな機関に入ってもらって実際のケース会議をやってもらうというところが一番大事かなと思っております。
どんな経路で来るかなのですが、毎年実態調査というものを実施しておりまして、女性相談支援センターに直接ご本人から電話相談などで来るケースが一番多いです。ただ、福祉事務所経由で、ちょっとこの人をということで紹介されて来る方ですとか、母子支援の関係から紹介されて来る方とかが一定数いまして、今後相談者をきちんとキャッチしていくためには、そういうところからちゃんと相談を回してもらえる体制づくりがすごく大事だなと思っていますので、さっきの支援調整会議も十分活用しながら、より多くの機関から紹介を受けられるような形で進めていきたいなと思っております。
あと、女性相談支援員の研修に関しても、ここは大事なところだと思っておりまして、先ほど予算事業のほうで、スーパービジョンの体制で、一人相談員の方の負担軽減、心理的なものも含めて負担軽減というのを一つ打ち出しているのですが、より質の強化という意味では、もちろんそこだけではなくて研修の強化というところも力を入れていきたいと思っております。
昨年度、各県で処遇改善のための補助金のメニューを用意しているのですけれども、それを使う際に、研修を受けた方はランクアップするというような仕組みになっておりまして、その研修のシラバスを作成して、具体的に各県で補助する対象者の方にはこのような研修を受けてもらってくださいというものをつくっています。今年度はそれに基づく具体的な研修教材も作成をして、専門家の先生方にお話ししていただいて、女性支援の基本的なところ、いろいろな若年女性の問題だったり、高齢女性であればこんな問題が、母子家庭はこんなとか、歴史的な背景とかも含めて一通りメニューをつくっておりますので、まずはそれをベースにした研修を受けてもらうというところをやっていきたいなと思います。
あと、実際の相談者の中では、精神障害を持っている方などが非常に増えてきています。暴力被害を受けるとPTSDを発症する方がかなり多くなると言われておりますので、そういったトラウマケアみたいなところに関しても技能を磨きたいという方も多いです。例えばそういうところも今後検討していく必要があるというふうに考えております。
 
○藤森委員
今、とても重要な御指摘をいただいたと思いますし、特に支援調整会議みたいなところの重要性はこれからますます増していくだろうと思うのですが、そういったところをこの目標に入れ込むというのは難しいでしょうか。
 
○社会・援護局総務課女性支援室長
支援調整会議の実施自治体数みたいなところですか。
 
○藤森委員
あるいは研修というところでもいいと思いますし、そんなところを今度目標として入れていくと、加速していく可能性があるのではないかなと思いました。
 
○社会・援護局総務課女性支援室長
そこも検討したいと思います。ありがとうございます。
 
○菊池座長
では、新保委員、お願いします。
 
○新保委員
御説明ありがとうございました。売防法の保護更生から女性支援に転換するというのは本当に歴史的な大転換で、これから名実ともに女性支援を展開していっていただきたいなというところでは、これからが大事な時期ですし、そういう意味で、体制整備のところの目標値になっているということでは納得しています。ちょうど今、藤森委員とのやり取りの中で出てきたのですけれども、私自身は、法律の第6条に緊密な連携というタイトルがついている条文なので、結構力強いし、太いと思うのです。その緊密な連携を支援調整会議で進めていこうとされているのであれば、努力義務ゆえに、これがどれぐらい実施されているのかを数値目標にしたり、さらに基本方針のほうを拝見しますと、支援調整会議の中に代表者会議、実務者会議、個別ケース会議というような分類もありますので、そういう分類別でどのぐらい推進しているのかという数値を取っていくことで、その重要性を自治体の皆さんも気づいていけるのかなと。
まさに今のお話の中であったように、女性支援の体制整備というのはあるのですけれども、かなりいろいろな領域と一緒に関わらなければならないですし、生活困窮などのほうの支援も、体制が脆弱だと言われているのですが、そこを一人だけでやるのは大変で、みんなで一緒に、なかなか社会が変わらないと解決できない課題も多くありますので、そこは一人ではなくていろいろな人が多面で関わって、問題は解決しないけれども、その人がよりよく生きるを支えるというようなことを支援員の皆様が孤立しないでやっていけるといいなと。そういう中では、まずは支援調整会議のところの指標化というのも検討しやすいところかなというところで、御提案したいなと思っていました。以上です。
 
○社会・援護局総務課女性支援室長
ありがとうございます。まさにおっしゃるとおりで、支援調整会議、今どのぐらいの自治体がやっているか、我々もきちんと確認をしていかなければいけないなと思っておりますし、いい連携をしている事例があればどんどん共有をして、特に小さい自治体だとなかなかどうやっていいか分からないというところもあるかと思いますので、そういうところも含めて、より効果を幅広く、地域にも広げていきたいなと思います。ありがとうございます。
 
○菊池座長
ありがとうございます。 先に岩崎委員からの御紹介をお願いしていいですか。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
代読致します。「女性が抱えている問題が多様化・複雑化しているという状況から、女性相談支援員の配置数が目標値として掲げられているが、厚生労働省の令和6年の「困難な問題を抱える女性への支援について」という資料によると、非正規の相談員が多く、約3割の相談員が経験3年未満となっている。電話等による相談から来所相談につながることが具体的な問題解決に向かう可能性を高めるのではないかと考えられるが、来所相談数が横ばい傾向という現状と相談員の質の関連についてどう考えるか。非正規の方への手当の拡充や研修、スーパービジョン整備事業なども行われてはいるものの、それで施策を進めていく上で十分な人材確保や育成が可能なのかどうか。」以上でございます。
 
○社会・援護局総務課女性支援室長
ありがとうございます。御指摘のとおりで、支援が必要な方をしっかり適切なところにつないでいくという意味で、相談をしっかり受けられる人材育成というのは非常に重要だと思っております。女性相談支援員に関しては御指摘のとおりで、3年未満で離職する方が3割ほどということになっていまして、これに関して一つ、相談の内容が非常に重く職責もかなり重いものを、一人相談員の方、全体で4割ぐらいいると言われているのですが、抱え込むことの苦しさというところが一つ。それを何とかしようということで、スーパービジョン事業というのを今回始めようとしているところです。あと定着に向けて、一つには処遇改善というところも大事なのかなと思っております。研修をきちんと受けて、長くいればいるほど処遇が上がるというような形の補助事業を今つくっているところですけれども、こういったところの処遇改善と、研修による質の向上というところかと思っております。
質の向上というところで言うと、先ほど申し上げた研修、シラバスを作成して基礎的な内容をまずはみんな受けられるようにしようというところ。さらに言うと、先ほど少し申し上げましたけれども、国の研修の中で、民間団体ですとか、あとは相談支援センター、相談支援員、施設の職員も含めて、みんな交ざって具体的なケースも含めて検討しながら、お互いにどういう支援が得意なのか、やりたいのか、どういう能力があるのか、どういう意見を持っているのかというところも、みんな一緒に交ざって垣根を低くしましょうみたいなことも考えていますので、実際に処遇の改善と研修の実施、さらに言うと民間団体との連携、もうちょっと言うとほかの福祉施策との連携というのももちろん入ってくるのですが、そういった連携をどうやって進めていくかというところも含めて、育成のプログラムの中で対応していきたいと考えております。以上です。
 
○菊池座長
ありがとうございます。私からも若干述べさせていただくと、問題意識は藤森委員、新保委員と共通しているのですけれども、この施策の独自性とか固有性というのを、様々な関連施策がどんどん今、出てきている中でどう確保していくかは難しいと思うのです。
一つは、ここでの女性は若い世代が相対的に多いのではないかなと想像されるのです。若いというのは、40代、30代、20代、10代。その中で今、支援というとSNSですよね。相談待っています、電話待っています、もうそういう時代ではないというのは恐らく明らかなのです。ただ、SNSとかそういうのはここには一切出てきていないと思うのです。先ほどお話があった中では、民間団体支援のところで、アウトリーチのほうで今、力を入れているのでという話はあったのですけれども、施策の中身と現実に求められているものがマッチしているのかという辺りなのですが、その中でも一つは民間団体支援強化推進事業でやっていますということだとして、ここでの直接の補助の対象になっているのは、一つは立ち上げ支援とか団体育成支援、直接支援からするとかなり遠いです。直接支援というのはさらにその先の話なので、それがどう現実の困難を抱えていらっしゃる方につながっているのか、支援になっているのか、これだけで測れるのかなというのが一つ。
そして、令和6年度で8自治体、予算24億、前年度26億、1自治体1,200だったら1億でいいのではないかと思うのです。ということは、最初に申し上げたいろいろなところでいろいろなことをやっている、例えばこども家庭庁等々でやっている若者支援と重なっている部分が多々あって、若者支援のところでSNS等を駆使していろいろなことをやっていますよね。ひょっとしてこの自治体が増えていかないのは、若者支援とかそういうのとの重なりがあってということなのか、だとすると、この事業のスキーム自体がどうなのか、そういうところまで考えるというか、政策評価として考えていただくことによって、施策の中身がどうなのかというところに振り返って考えていただくいい機会だと思うのです。そこがどうなのだろうというのが、いろいろ申し上げたのですけれども、実態とやろうとしている支援が合っているのかどうか。やろうとしていることの指標としてこれでいいのかどうかということ。もし今、何かコメントがあったらいただければと。
 
○社会・援護局総務課女性支援室長
ありがとうございます。まず、今、この指標の2番目に入っている来所相談の件数に関して言うと、実際にセンターとか相談支援とかに来られた方の数ですので、SNS相談の数はこの中には入っていないです。一方で、数自体は取っていまして、毎年の実態調査の中で、来所相談プラス電話ですとか、メールとか、SNSも含めてどのぐらい相談が来ているかという数は取っています。さらに女性相談支援センターに対する補助メニューの中で、女性相談支援センターの中にもSNS相談をやっているところが幾つかありまして、そこにSNS相談する場合には、こういう補助が出ますよというようなメニューもつくっていまして、徐々に増えてきてはいるのですが、一方で、行政の支援機関のほうから、SNSも使って特に若い世代にリーチできているかというと、確かにそこはまだまだな部分もありますので、そこはより進めていきたいなというところではあります。
指標の中で、確かにおっしゃるように、このときはまだ女性支援をやってくれる民間団体がそもそもどれぐらいいるのかというところが、よく分からない状況だったのでこの指標になっていると思うのですが、現状で申しますと、先ほど来申し上げたような若年被害女性等支援事業の中で、各自治体が民間団体の行う支援に関して補助を出しています。これは結構いろいろなメニューがありまして、一番最初のアウトリーチの際にSNSも当然含めて、もしくは町に出て声をかけたり、電話を受けたりとか、LINEの相談を受けたりとか、そういう相談支援をやるところから、次に一時的な居場所を確保しようという費用ですとか、あとはステップハウスと言いますけれども、各地域に出て、一人暮らしをする前に生活が不安だなというような方に支援をしながら、一時的な住む場所を提供する事業。さらに言うと、地域に出たのだけれども、戻ってきてしまったというようなこともかなり多くありますので、そういうアフターケアの部分も含めて、いろいろなメニュー自体は用意をして、それをやっている自治体の数とか支援団体の数が増えてきているところではありますので、それは新法ができたことによる効果もかなりあるのかなと思いますが、例えばそういった指標のほうに今後見直しをするとかというところも、より実態を反映した指標にするという意味では、そこもあり得るのかなと思っております。
 
○菊池座長
私がいろいろ現場で伺う範囲では、相当アウトリーチというか、いかにそういう若者をまず把握するか、つながるか。でも、それだけでは支援にならない。やはり直接話せる、そこまでどう持って行くか、それが大事だと伺うのです。でも、やっていますよというのであれば、じゃあ見せてくださいと。そこが見えないと、そこがちゃんと見えれば、ちゃんとやっているんですねと。それをちゃんと指標化して見せてくれればいい。ここまでやっていますよというのが見えるのではないですかということなのですけれども、そういうことなのか、それとも実はちらほらしかやっていないのか。その辺り、藤森委員、御専門だと思うので、いかがですか。
 
○藤森委員
若者に対しての支援をしている支援の現場の方からお話を聞くと、雑談だとか話をして、そして信頼関係を築いて、じゃあ仕事をどうする、家をどうするとかいう話になっていくということを聞いていますので、その間の長い時間、雑談をしたりするその時間をいかに取れているのかというところは大切なところで、かなり時間のかかる、手間のかかることだけれども、実はそれが一番早道だというのではないですけれどもなというところがあるので、そういったところに支援員の方がもっと体力をつけられるような体制ができればいいのではないかなということは思っています。
 
○菊池座長
新保委員から。
 
○新保委員
今、菊池座長がおっしゃったようなことも、少しまた今後の指標のところに念頭に置いていただいて、新法ができて、そこの体制が充実すればするほど、そこへの期待とともに、縦割りになっていってしまう、どんどん縦割りになってしまって、そこの人だけで頑張ってくださいみたいになってしまうことを今、包括的支援体制づくりとか、政策間の文脈の中でみんなでやっていこうとしているので、ただ、今、第一義的にはこの体制づくりはすごく重要だと思いますので、そこに力を入れていただきながら、もう少し広げていく過程で、今、座長がおっしゃったことや藤森委員がおっしゃったようなところの指標化をどうやってできるのかをまた検討していけるといいのかなと思いました。以上です。
 
○菊池座長
ありがとうございます。おっしゃるように、連携という視点が見えない。関連領域との関連ではそこがとても重要だというのは間違いないところだと思いますので、その辺りを考えてみていただければ。あとは何かよろしいですか。平野委員。
 
○平野委員
先ほどの支援会議の件数と同時に、室長も言われましたけれども、他の支援会議に出ていくというか、相談支援員がいるよと。それは指標化するのはとても難しいと思うのですけれども、そういう実態調査の中で、どれぐらい他の会議に出席しているのかということも含めて、何か抱え込みがちになる分野で、先ほど菊池先生もおっしゃったように、他のところとどういうふうに分業しつつ、言わばセールスポイントというか固有性をどう出すかということ辺りが、もちろん難しいとは思うのだけれども、相談支援員側からの提案というか、そういうものが出てくるように、その人たちの政策立案での役割みたいなものを高めていただけるといいかなという感想を持ちました。以上です。
 
○菊池座長
ありがとうございます。それでは、かなり時間も押してまいりましたので、担当課におかれましては、本日の議論を踏まえ、事前分析表への反映をお願いいたします。どうもありがとうございました。
それでは、次のテーマに移りたいと思います。かなりお待たせしてしまいまして申し訳ございませんでした。「施策番号ⅩⅢ-2-1 データヘルス改革を実施すること」につきまして、まず担当課から10分程度で御説明をお願いいたします。
 
○大臣官房参事官(情報化担当)
よろしくお願いいたします。大臣官房参事官の岡部でございます。「施策番号ⅩⅢ-2-1 データヘルス改革を実施すること」について御説明いたします。関係課室が複数にわたりますので、私からまずまとめてお話をいたします。
最初に資料の訂正でございます。お手元に紙がございますが、資料3-1、事前分析表(案)という2枚組の紙でございます。タブレットの中の電子情報と異なっておりまして、具体的には2ページ目を開いていただいて、真ん中の達成手段1の(3)のところ、黄色で塗って見え消しのとおり修正をしております。最新のものが抜けていたというところで、タブレットの中は古いものが入っておりますので、御承知おきください。
それでは、御説明に入ります。概要ポイント資料という3-2の資料を御覧ください。3ページ目で御説明いたします。
まず、データヘルス改革の現状と背景でございます。書いてありますとおり、世界に先駆けて高齢化が進んでおります我が国におきましては、健康・医療・介護の情報につきまして、その利活用を積極的に推進していくことが個人の健康増進に寄与するということでございます。さらに医療現場における業務効率化の促進と効果的な医療サービスの提供を行っていく上で非常に重要な取組となっているところでございます。
この中で、健康・医療・介護分野のデータの有機的な連結、それからICTなど技術革新の利活用の推進によりまして、国民の健康寿命の延伸と効果的・効率的な医療・介護サービスの提供を目指しているというもの、これがデータヘルスの改革でございます。
具体的には真ん中の3つの水色の囲みに記載しておりますとおり、全国で医療情報の確認をできる仕組みの拡大、それから自身の保健医療情報を活用できる仕組み、さらには電子処方箋の仕組みの構築、これについて令和3年6月に工程表をつくりまして、これに基づいて5年間のタームで取り組んでいるところでございます。この3つの分野について指標を定めているところでございます。
さらにその下、課題と達成目標でございます。課題といたしましては、デジタル化を通じた強靱な社会保障を構築するために、オンライン資格確認等システムやマイナンバー制度等の既存インフラを最大限活用しつつ、効率的かつ迅速にデータヘルス改革を進めるということでございます。
達成目標といたしましては、データヘルス改革に関する工程表に沿って着実に取組を推進するということでございます。
最後に、測定指標について御説明いたします。下の4つなのですが、先ほど訂正をいたしました事前分析表と併せて御覧ください。
1つ目でございます。全国の医療機関における電子カルテの普及率、一般病床200~399床以下ということでございます。これはアウトカム指標でございます。健康・医療分野における情報連携を進める上で基盤となります電子カルテの普及率を指標としたものでございます。資料3-1の下のところ、小さい字で恐縮ですが、測定指標の選定理由というところに書いてありますが、400床以上の一般病床における電子カルテ普及率につきましては、令和2年度に91.2%、それから令和5年度には93.7%まで上がっているところでございます。93.7%でございますので、ほぼ全ての医療機関に普及したというところで、今般、測定指標から400床以上というカテゴリーを外しまして、今後は200~399床以下の一般病院における電子カルテの普及率を測定指標といたします。具体的には令和8年度で普及率を85%と設定しているところでございます。令和7年度が「‐」になっているということなのですが、この指標の達成状況について、確認する元となります医療施設調査を3年ごとに行っているところで、次回の調査は令和9年秋を予定しておりますが、令和9年秋において令和8年度の数値が出てくるところでございます。ですので、3年に一度の目標値にするということと、次の目標値は令和8年度の数値ということになります。
次にその下、1枚の説明資料と資料3-1で共通でございますが、2の保険医療機関・薬局のオンライン資格確認導入に係る補助、具体的には顔認証カードリーダーの交付件数と、3つ目の全国の医療機関等におけるオンライン資格確認の運用開始施設数、こちらはアウトカム指標ということで設定しております。
2つまとめて御説明いたします。マイナンバーカードを用いまして、御自分の保健医療情報を活用できる仕組みでありますオンライン資格確認につきまして、医療機関等におけるオンライン資格確認に必要なシステムの導入、整備を行うために、令和5年度までの間、医療機関等においてカードリーダーの無償提供事業を行っていたところでございます。この事業におけます顔認証付カードリーダーの交付件数をアウトプット指標としたところでございます。
それから、医療機関等におけるオンライン資格確認につきましては、令和5年4月より導入が原則義務化されております。この結果、おおむね全ての施設での運用が開始されております。このような状況を踏まえまして、顔認証付カードリーダーの無償提供事業は令和5年度で終了したところでございます。このため、これまでの実績値を記載して、令和7年度の目標は記載しておりません。令和5年度で終わりということでございます。
次に、医療機関等においてオンライン資格確認に必要なシステムが整備されることで、実際にオンライン資格確認の運用が可能になるということ。この結果、患者の方々がマイナ保険証を使えるようになるということで、3つ目でございますが、全国の医療機関等におけるオンライン資格確認の運用開始施設数をアウトカム指標として設けているところでございます。
2つのアウトプットとアウトカムの関連といたしまして、カードリーダーの交付件数をアウトプットとしておりまして、これが増えればオンライン資格確認の運用開始施設数というアウトカムにつながるという関係であります。医療機関等においてオンライン資格確認が運用されるようになることで、患者の方の同意を基に医療情報の閲覧が可能になるということで、患者自身がよりよい医療を受けられる環境が整うということでございます。
最後に4つ目、※で電子処方箋の新たな目標については令和7年度、今年の夏を目途に見直しを行うと書いてあるところでございます。資料3-1のほうは、電子処方箋のシステムの運用開始施設数というアウトカム指標としているところでございます。背景がございますので詳しく御説明いたします。
電子処方箋は過去、システム開発の調達の都合上、データヘルス改革の工程表にありました令和4年夏ではなくて、令和5年1月から運用を開始したところでございます。電子処方箋を導入した医療機関・薬局では、患者自身の直近の処方・調剤情報の確認が可能となったということでございます。患者自身も薬剤の情報をリアルタイムでマイナポータルから確認できるようになりました。今年3月までにオンライン資格確認システムを導入したおおむね全ての医療機関・薬局で電子処方箋を導入するということを目標として、これまで取組を進めてまいりました。しかしながら、今の足元のペースを維持した場合、薬局では8割ぐらいの導入が見込まれるものの、医療機関ではまだ1割弱にとどまっているという見通しでございます。つまり、全医療機関・薬局で導入するという目標にはなかなか達していないという状況でございます。
医療機関にとって電子処方箋を利用しやすく、かつ安全に運用できる仕組み、環境をまず整えること。それから、引き続き導入に取り組んでいくという方針は変わりませんが、この状況を踏まえまして、電子処方箋の普及に関する新たな目標について、今年の夏ぐらいをめどに見直しを行うということで、はっきり申しますと現時点ではまだ目標が立てられない状況ということでございます。このため、施策目標の測定指標についても、新たな目標を設定した上で、今後設定していくということでございます。私からの説明は以上でございます。
 
○菊池座長
ありがとうございます。それでは、委員の皆様から御意見、御質問などをお願いできればと思います。藤森委員。
 
○藤森委員
御説明ありがとうございます。2点御質問させていただければと思うのですが、一般病床の400床以上のところは電子カルテの普及が9割以上で、ここは97%ということで、目標を変えて200~399床にしたというところは適切ではないかなと思っております。
その上でお伺いしたいのは、先ほどの概要のところに、電子処方箋の導入を進めることを目標としていたが、当該期限までに、薬局は約8割弱、医療機関は約1割弱の導入にとどまっているとございましたけれども、この部分は何がしか目標をつける必要はないのかというところが1点目になります。概要の真ん中のところにあったものです。オンライン資格確認を導入したおおむね全ての医療機関・薬局へ電子処方箋の導入を進めることを目標としていたというところが、医療機関のほうは1割でしたので、ここは目標を設定する必要はないのかというところが一つ。
もう一点目が、電子カルテを今後普及していくということの目標には、概要の左側の青色のところにあるように、電子カルテの情報共有というところがあるのではないかと思っているのですが、情報共有というところについての実態、そして電子カルテの普及というところから、情報共有というところは自然にいくものなのかどうなのかというところもお伺いさせていただければと思います。以上です。
 
○菊池座長
お願いします。
 
○医薬局総務課長
ありがとうございます。まず、最初の電子処方箋の部分について、私からお答えいたします。今、御指摘がございましたように、電子処方箋は今年3月末までにおおむね全ての医療機関・薬局という目標を設定している中、薬局については現時点では8割弱、医療機関では約1割弱が見込まれるというのは御指摘のとおりでございます。まさにその部分も含めまして、特に薬局はかなりの部分で入るわけであります。全てではないのですが、かなりの部分では入りますが、医療機関についてかなり低調だということで、これについてはいろいろな導入が進まない理由、要因についても、我々は医療現場から話は聞いているところではございますけれども、そういったことも含めまして、導入がされていない医療機関に対する導入阻害要因についてのフォローアップといったようなことや利活用の状況の調査、こういったことを我々はこれから行い、一部、今、着手しているものもあるのですけれども、そういったものを行いたいと思っておりまして、そういったものの結果の分析を踏まえて、夏をめどに新たな目標を設定したいと考えておりますので、医療機関1割弱、今の現状を踏まえた新しい目標を夏をめどに設定をしたい。そういうことでございますので、今時点では資料にございますように、主要な指標については、※印で書いてありますように令和7年夏をめどに見直しを行いたいということで、今その検討を行っているというような状況でございます。電子処方箋については以上です。
 
○医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室企画官
医政局の企画官でございます。2点目の御質問の電子カルテと情報共有の話でございましたが、御指摘のとおり電子カルテを入れただけでは直ちに情報共有できるわけではありません。これはセットで進めないといけないと考えております。今、厚労省としては、電子カルテ情報の共有サービスというものを準備して、システム構築中であります。さらにこれを法律に位置づけてやっていくということで、今国会に医療法の改正法案を提出しているところであります。法律が成立すれば令和7年度中からも電子カルテ情報の共有サービスというシステムを稼働させたいと思っております。目標としては、2030年には全ての医療機関で電子カルテの情報共有が可能なようにするということを目指しているところであります。
 
○藤森委員
ありがとうございます。最初のほうの質問、※印のところでした。申し訳ないです。後者の質問についてですが、これは今回の2030年には全てのところで電子カルテを情報共有できるようにしていくということで、法律が改正されていれば、目標には上がってくるということなのでしょうか。
 
○医政局企画官
ありがとうございます。医療DXについて、政府が定めた工程表がありまして、おととしに定めている。その中で、2030年に全ての医療機関で情報共有を可能にするという目標を立てております。
 
○藤森委員
今回の目標の中には入っている。
 
○医政局企画官
今回はあくまでも病院の電子カルテの普及率を設定させていただいたということですけれども、情報共有という意味では、2030年という目標を書くことはできると思います。
 
○藤森委員
法律を改正した上で、これを追加することができるという認識でよろしいですか。
 
○医政局企画官
はい。
 
○藤森委員
分かりました。
 
○菊池座長
ありがとうございます。ほかには。平野委員。
 
○平野委員
今日の範囲を超えてしまう質問になるかもしれませんけれども、施策目標の上に施策大目標2というのがありますよね。施策目標1をカバーしているというか。このデータヘルス改革の中には、介護分野の情報というのが入っていないという理解でよろしいのですか。それは一番最初の目標との関係の質問になっているのです。
 
○大臣官房参事官(情報化担当)
お答えいたします。データヘルス改革そのものがどこまでをターゲットとしているかということだと思いますけれども、介護分野もエリアに入っております。ただし、厚生労働省の施策目標の中には、具体的には挙げていないところでございます。
 
○平野委員
一応データヘルス改革という改革の中には、介護データとのリンクとかも含めて入っているという理解でよろしいのですか。今回の施策目標1の中では、もちろん今それを入れてほしいという意味では全然ないのですけれども、枠組みの問題だけなのですが、工程表の中には入っているという理解でよろしいですか。
 
○大臣官房参事官(情報化担当)
おっしゃるとおりです。政府全体でつくった工程表には入っておりますが、政府全体ですので、その中で厚生労働省の担当ということで、今回の政策評価の目標値を立てている。ただ、介護は載っていないということかと思います。
 
○平野委員
その理由ではないのですけれども、何かありますか。範囲を超えているので変な質問で恐縮です。
 
○大臣官房参事官(情報化担当)
今立てたものではないので、過去の経緯というのがいちばん大きいと思うのですが、当時、データヘルスということで、データの利活用ということが前面に出ていた。その中で、基盤となるいちばん大きなものをあまりいっぱい入れるわけにいきませんので、取り出したということかと思います。
 
○平野委員
そうすると基本的には、今回の指標の中にはないのですけれども、利用という意味で、結局患者の側として利用という場合のデータは取り得る可能性はあるのでしょうか。先ほどから医療間のデータの共有というのはあるかと思ったのですけれども、患者のほうがどういうふうに利用したかということ自体は、何らかの形でデータの取りようがあるのでしょうか。つまり、利活用という概念の中には、患者自身の活用もあるという理解でよろしいのですか。
 
○大臣官房参事官(情報化担当)
そのとおりです。今、指標に挙げております電子カルテにしても、電子処方箋にしても、マイナンバーカードを使って本人自身がそのデータの確認ができますし、それから、その利用というのは関係機関の間での共有がまずベースになると思いますけれども、そのためのインフラとしてつくったものですので、そういう意味ではまさに施策の目的の一つに、本人も確認した上でそれを活用するということが当然のってくるかと思います。
 
○平野委員
その場合、その本人が確認というか利用しているというデータは技術的には取れないという理解でよろしいですか。
 
○大臣官房参事官(情報化担当)
本人が利用しているというのもどういう状態を指すのかというのがあるとは思うのですけれども、例えばマイナポータルで自分の調剤情報を確認するということは、どなたでも今既に可能になっております。それを見たことの件数というのは、技術的に不可能ではないと思いますけれども、それを取ることに例えばどれぐらいの意味があるのかとかいうことかなと思います。見たから活用されているのかというと、活用というのは何なんだろうということもあると思いますけれども、本人が使ったとか使っていないという概念で数字をあえて出しているというのは、あまり承知はしておりません。
 
○平野委員
そのことが今、厳密におっしゃったように、政策上どういう意味があるかということ自体は分からないではないのですけれども、ただ、利活用という概念の中に、本人の言わば健康意識といいますか、そこを高めるということ自体はこの施策の中には入っているかなと思ったので、ぜひともそれを考えてほしいというわけでもないのですけれども、どこかでそのことを国民としても何らかの形でこれが有効利用、本人の健康意識の向上等に役立っているという話が議論の俎上にのるのがとても重要かなという意見とお聞きいただければと思います。以上です。
 
○大臣官房参事官(情報化担当)
全体の構成を申しますと、恥ずかしながら例えば電子処方箋の普及率は先ほど申し上げたとおり医療機関ではまだ1割に達していないということですので、活用の前段階のインフラがまだ整っていない部分があるということで、まずそれをつくってから、実際に使われているのかどうかというところはワンテンポ遅れて来るのかなということもございます。
一方で、例えば調剤情報を確認した上で、重複投薬を防止することにデータの共有というのは非常に意義があるのだということについて、国民一般とか医療機関の従事者などがもっと分かってもらいたいなというところは当然ございますので、意識の向上について、広報なり何らかの取組を強化するということ、これについては我々も問題意識がございますので、それについては並行して考えて対策を取っていきたいと思います。
 
○平野委員
ありがとうございました。以上です。
 
○菊池座長
ありがとうございます。新保委員から。
 
○新保委員
オンライン資格確認ですとかマイナ保険証の推進というところは、医療機関も高齢者の方にはサポートするなどして、この取組をすごく推進しているということを日頃から実感できるような状態になっているなと思っています。本当にこれからもより一層の推進が求められるところだと思っております。3ページの現状(背景)の2ポツ目の最後のところ、「こうした情報の利活用を積極的に推進していくことが不可欠。またその際には、医療分野等のセキュリティ対策を強化していくことが必須。」と書かれているのですが、こういう現状認識の中で、セキュリティ対策の強化などは今後、課題や指標等に取り入れていくようなお考えはおありでしょうか。以上です。
 
○大臣官房参事官(情報化担当)
全体の話かと思います。例えば電子カルテのシステム、これは国が開発するものでございます。それから電子処方箋についても同じでございますが、医療情報というのは非常に機微ですので、セキュリティの保持というのはもしかしたらいちばん大きな課題だということで、当然ながらシステムの構成においても最新の技術を用いつつ、そこには最大の配慮をしているところでございます。
今、医療機関ではオンプレミスといって、そこにあるコンピューターにソフトウエアをインストールして、回線でつないで共用するというのがもともと主流ではあったのですが、情報が分散して、かつ、機器がそれぞれの医療機関の中にあるということ自体、正直申しまして日本全国の数多くの医療機関のそれぞれのコンピューターの中にそういう情報が入っているというのは、セキュリティの保持の関係ではちょっと弱いところがあるということで、我々としては、政府全体の方針でもあるのですけれども、いわゆるクラウド方式に転換することによって、そういう面でのセキュリティを非常に強化することが可能になると考えております。これからオンプレミスであります各種医療システムを、時間はかかるかもしれませんけれども、だんだんクラウドのほうに移行していくということ、これも具体的に取り組む必要があると考えておりますので、もちろんそれはセキュリティだけではなくて、情報連携なり利活用の面からも有利であると。それから、費用の面でも有利であるということもありますけれども、セキュリティの保持というのは目的の大きな強みというか、利点の大きな一つですので、それを前提に進めていこうということでございます。
ただ、現状、セキュリティに関する指標は立てていないというか、立てにくいのかなということで、そういうセキュリティへの配慮というか、最大限の工夫を凝らしたシステムをつくった上で、その訴求を図るというところを最初の目標として掲げているということかと思います。
 
○医政局企画官
補足させていただきますが、今回御議論いただいているデータヘルス改革のところではないのですけれども、別の施策で医療・衛生ワーキングのほうで御議論いただいたのですけれども、そこでは病院のセキュリティ対策についての目標を立てさせていただいております。病院のネットワークの外部接続点の確認といったオフラインバックアップといった対策をどれだけやれるかというところの目標を立てさせていただいたところであります。

○菊池座長
ありがとうございます。私からも1つ、目標の立て方、課題の置き方の辺りなのですけれども、今、最後にお話のあった医療のほうで目標を立てていてという話で、そちらとの関係性もあるかなと思ったのですけれども、基本目標としては、国民生活の利便性の向上に関わるICT化を推進することなので、施策目標1、データヘルス改革を推進すること、課題、データヘルス改革を進める必要がある、達成目標、データヘルス改革に関する工程表に沿って実施、ごもっともなのですけれども、何も踏み込んでいないに等しいとも言えなくはないと思う。そういう見方もできる。だから、確かにそうなのですけれども、ごもっともなのですが、基本目標があって、国民生活の利便性の向上が基本目標です。
もちろんデータヘルス改革に関する工程表に沿ってなのだけれども、実体的な目標ではないですよね。具体的な国民生活との関係で、工程表に沿って推進ということなので、現状があって、現状の中でも具体的な材料として3つ挙げておられる。電子カルテ、オンライン資格確認、そして電子処方箋、これに関わって今どういう現状があって、課題があって、例えば課題は先ほど課長がおっしゃったのですけれども、電子処方箋の関係では重複投薬のおそれ、それを乗り越えるために、デジタル化を通じてそういうのをなくしていく。さらに利便性を追求するというのがもちろんあると思うのです。
具体的な今の国民生活の利便性に支障を来すような課題があって、それをデータヘルス改革を通じて、電子処方箋を普及することを通じて、例えば薬による安全性を高めるみたいな、そう考えるともっと具体的なレベルでの複数の課題を立てて、それぞれに具体的な達成目標を置いて、それぞれに一つもしくは複数の測定指標を立てることも可能ではないかなと考えて、例えば電子カルテ普及率、もちろん次はここがターゲットなので、一般病院を対象に指標を立てるのも一つのやり方なのですが、逆に言うと、200床未満のところはいいのか。そうではありませんよと。所管課としては、そこも大事だと思っているとすれば、場合によってはそこも付随的に参考で指標として挙げておくとか、そういう捉え方もできると思うので、言いたいことは、工程表に沿うのは非常に重要なのだけれども、所管課として、国民生活と利便性の向上に向けてこれはやるんだと。それをもっと前面に出していただけるような目標の立て方とか指標の置き方ができるのではないかなという感想を持ったものですから、今後に向けて参考にしていただければなというところであります。もし何かあれば。
 
○大臣官房参事官(情報化担当)
ありがとうございます。菊池先生のおっしゃることは、こういう基盤というかシステムを普及させることによって、国民が具体的にどういうベネフィットを受けるのかというところにもうちょっとフォーカスすべきではないかという御指摘かと理解しました。5年間の目標ということで、中間の御報告ということも兼ねるのですが、特に電子カルテなり電子処方箋についてはまだまだ普及期であるというところと、オンライン資格確認についても、やっとここまで来たというところ。つまり、まだ普及期のぎりぎり中にはいるのかなというところでございます。
我々としては、だんだんできてきた基盤を使って、じゃあどういういいことがあるのかというところ、つくっただけではなくて、それが活用されているのか、関係者がそれをうまく使って期待どおりの仕事ができているのかという指標は、この次の段階ですぐ考えなければいけないのかなというのは、それは御指摘のとおりだと思いますので、続く指標というのは、そういう視点をよく考えてつくっていかなければいけないかなと思います。
 
○菊池座長
ありがとうございます。ほかにはよろしいですか。ありがとうございます。それでは、ただいま出ました御議論を踏まえ、事前分析表への適宜お願いしたいと思います。よろしくお願いします。どうも御苦労さまでした。
今日、余裕を持って終わるのではないかと実は思っていたのですが、延長してしまって申し訳ございませんでした。予定しておりました議事は全て終了いたしました。熱心かつ有意義な御議論、御審議を賜りまして、ありがとうございます。それでは、事務局から、本日の議論の取扱いについて御説明をお願いします。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
本日いただきました御意見等の取扱いですが、まず、事前分析表(案)の記載に関する御指摘につきまして、担当課において必要な修正等をいたします。その後、御意見等への対応について、本年夏に開催予定の本ワーキングにおきまして事務局より御報告等の上、事前分析表につきまして、ほかの施策目標に係るものと併せて取りまとめの上、総務省への通知及び厚生労働省ホームページでの公表手続を進めさせていただきます。
また、本日の会議の場で伝え切れなかった御意見等ございましたら、3月5日(水)までに事務局まで御連絡ください。説明は以上でございます。
 
○菊池座長
それでは、これをもちまして本日の会議を終了とさせていただきます。お忙しい中、ありがとうございました。