2025年2月19日 第17回政策評価に関する有識者会議 医療・衛生WG 議事録

日時

令和7年2月12日(水)15:57~18:05

場所

厚生労働省共用第9会議室

出席者

印南座長、井深委員、大西委員、佐藤委員、田宮委員(オンライン)

議事

発言内容

○政策立案・評価担当参事官室長補佐
では、定刻より少し前ではございますが、皆様おそろいでございますので、ただいまから第17回「政策評価に関する有識者会議医療・衛生ワーキンググループ」を開催いたします。政策評価の担当をしております田中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、感謝申し上げます。
 なお、本日、田宮委員におかれましてはオンラインでの御参加となっております。本日の会議では、事前に御案内したとおり、ペーパーレスとしてタブレットでの会議とさせていただいております。資料につきましては、下にスクロールいたしますと次のページに、横に大きくスクロールいたしますと次の資料にまいります。
ここで報道関係者の方に御連絡です。本日の会議の撮影に関しましては「頭取り可」としているところですが、撮影はここまでとさせていただきます。
 それでは、この後の議事進行につきましては、座長の印南先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○印南座長
本日は、議事次第にありますように、「令和7年度実施施策に関する政策評価の事前分析表(案)」を中心に委員の皆様に御議論いただきたいと思います。それでは、本日の議論の進め方について事務局より説明をお願いします。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
議事の進め方について御説明いたします。お手元の議事次第を御覧ください。本日は、令和7年度事前分析表(案)のうち、令和8年度に実績評価を行うもの、つまり、令和8年の夏に開催する本ワーキンググループにおきまして実績評価書を御議論いただく施策目標につきまして御意見いただきたいと考えております。
 具体的には、議事次第に記載されている6つの施策目標について御議論いただきます。テーマによって多少時間が異なりますが、まず、担当課より5分程度で説明を行い、その後15分程度で御議論いただく形で進めていただければと思います。説明を終えた課は随時退出します。
 なお、会議資料の概要の2ページ目に事前分析表(案)の「確認すべき主な事項」をまとめておりますので、こちらも適宜御参照いただいた上で、委員の皆様方から御意見をいただければ幸いです。事務局からは以上です。
 
○印南座長
それでは、1つ目のテーマ「施策番号I-3-1 医療等分野におけるデータ利活用や情報共有の推進を図ること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。
 
○医政局企画官
医政局の医療DX担当企画官の西川と申します。よろしくお願いします。本日、参事官の田中が体調不良で欠席となりましたので、すみませんが、代わりに私から御説明させていただきます。
施策につきましては、医療等分野におけるデータ利活用や情報共有の推進であります。この施策の概要のところを見ていただきますと、現在、医療DXにつきましては、医療DXの工程表というのを一昨年、政府でまとめておりまして、これに基づいて進めております。そうした中で、医療分野のセキュリティ対策を強化しながら、保健・医療・介護の情報を関係者間で共有できる全国医療情報プラットフォームの構築を進めているところであります。
施策を取り巻く現状、政策実現の課題のところは飛ばさせていただきますが、簡単に申し上げますと、全国医療情報プラットフォームの構築をしていく中では、まず、医療機関の中で電子カルテの普及を進めていくということと、サイバーセキュリティ対策を強化するということが2つ、大きな課題であると思っております。医療機関の電子カルテの普及率については、400床以上の大病院は94%ぐらいまで来ておりますけれども、中小の病院ですとか診療所については、まだ5割強というような状況になっておりまして、ここを進めていく必要があると考えております。医療DXの工程表の中でも、2030年にはおおむね全ての医療機関で情報共有可能な電子カルテの普及という目標を掲げておりますので、それに向けて進めていく必要があると考えております。もう一つは、サイバーセキュリティ対策の強化でございます。今回、事前分析表の1枚目の下半分の達成目標1についてというところで、大きく2つの測定指標を掲げさせていただいております。   
1つ目が、全国の医療機関における電子カルテ普及率であります。今回は、一般病院200床以上399床以下に絞ってございます。これまでは200床以上の病院ということにしておりましたが、先ほど少し申し上げましたが、400床以上の病院につきましては電子カルテ普及率が令和5年度時点で94%ぐらいに達しておりますので、その次のカテゴリーであります200床から399床以下というところに絞って目標を立ててございます。現在の目標は、令和8年度に85%ということで掲げております。令和5年度時点の実績としましては、真ん中の表の下段になりますけれども、79.2%でございます。これは3年に一度の医療施設調査で測定しておりまして、前回調査が令和2年度の調査でございましたが、その頃から比べますと5ポイントぐらい増えている状況でございます。令和8年度の85%という目標に向けて進めていきたいと考えてございます。
2つ目が最後のところでございますが、病院におけますサイバー攻撃を測定したBCPの策定率でございます。こちらについては、令和5年度の足元の実績が27%という状況であります。目標値は、令和7年度50%ということにしたいと考えております。近年、医療機関へのサイバー攻撃が増えておりまして、電子カルテシステムを停止せざるを得ない事態も出てきております。サイバー攻撃を想定した業務継続計画、BCPの策定をお願いしているところであります。病院について、令和6年度36%、令和7年度50%に向けて進めていきたいと考えてございます。
資料の2枚目は、それに関連する政策に反映する予算を計上しているものでございます。説明は以上になります。よろしくお願いします。
 
○印南座長
ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等があれば、お願いしたいと思います。井深先生、お願いします。
 
○井深委員
ありがとうございます。何点かありまして、最初に質問1点と、それからコメントと申しますか、申し上げたいと思います。
本日は事前分析表(案)に関する議論ということなのですが、測定指標が2つございまして、2点目のサイバー攻撃を想定した一般病院のBCP策定率という点に関してですが、目標からするとセキュリティ対策の強化というのが、もちろん非常に重要なものですので、その測定指標として、こういった指標が上げられているというのはすごく大切なことだと思うのです。それと、達成手段との関係というのを拝見していて、その達成手段というのは、2ページ目にあります3番目の医療情報セキュリティ等対策経費というところに対応するのではないかなというふうに拝見していました。その観点から、この資料を拝見していて、令和5年度の予算額と執行額が、そもそも予算額が非常に大きな額が総体でついているのに対して、執行額との差がちょっと大きいなと見ておりまして、その点について、どういう状況なのかということを質問させていただきたいというのが1点目です。
2点目に関しては、達成目標1の測定指標1に関することの追加的なコメントなのですけれども、測定指標1の電子カルテの普及率というものが非常に重要な指標だということは理解しております。また、医療機関の対象を絞っているという点についても、理由が非常に明確で、よく分かりました。同時に、データの利活用というのは比較的新しい話だと思いますので、これからどんどん拡充していくべき点というのがあるのではないかと思っております。資料1-2の6ページ目にあるDX推進に関する工程表というのを拝見しておりますと、電子カルテの普及というのが重要であるということと同時に、様々なほかの点についても、この全国医療情報プラットフォームの構築について、大事な点が上げられているのではないかと拝見しております。例えば、電子処方箋については2024年度で導入が完了する予定であるということですが、その下にあるレセプト情報、または電子カルテに関しても、その普及がもちろん第1だと思うのですが、その後、電子カルテ情報の標準化に関しても重要な課題になっていくと理解しておりますので、こういった点に関する指標についても検討の余地があるのでしょうかという点について、お伺いしたいと思います。以上です。
 
○印南座長
よろしいですか。
 
○医政局企画官
御質問いただきまして、ありがとうございます。まず、予算の医療情報セキュリティ対策等経費の予算額と執行額の乖離の点でございます。令和5年度36.99億円に対して執行額が0.96億円となってございます。こちらは令和5年度補正予算で35億円余りが計上されたものでございまして、令和5年度中に大部分、執行ができなかったということでございますが、令和6年度に繰り越しをしまして、今、執行しております。
 予算の内容としましては、右側に書いておりますが、医療機関の人材育成のための事業、それから病院のネットワークの外部の接続点がどこにあるのか。また、そこの脆弱性がきちんと対応できているのかというところを支援する。また、オフラインバックアップの整備を支援するという内容になっておりまして、具体的には病院から申請していただいて、そこに専門家を派遣してやっていくということであります。病院全ての中で、今、電子カルテが入っているところが約4000病院ありますので、そこを計画的に全て回っていくということで進めております。ですので、令和5年度は、今、申し上げた理由で執行が進んでおりませんが、今後、進めていく予定にしております。
 それから、測定指標1の電子カルテのところでございます。今回、電子カルテの普及率を指標に上げさせていただいておりますが、御指摘ありましたとおり、医療DXの工程表の中では、2030年に向けて情報共有可能な電子カルテを普及させていく。おおむね全てということになっております。御指摘いただいた中でも、情報共有可能なというところがポイントでありまして、これから、今、つくっております電子カルテ情報共有サービスに多くの医療機関が参加していただく必要があると思っております。この電子カルテ情報共有サービスは、もちろん電子カルテを入れないことには駄目なのですけれども、その電子カルテの標準化をして、医療機関同士で共有可能な状態にシステム改修もしていただきます。また、これは今通常国会に関連法案を提出して法律に位置づけてやっていくことを想定しております。令和7年度中の本格稼動を目指しておりますので、2030年までの間に100%にしていくということの目標を持っております。その間、どこのマイルストーンで何%まで行けるかというところを、今、設定するのが難しいと思いましたので、今回は電子カルテの普及率ということにしておりますが、電子カルテを情報共有可能な状態にしていくというところを、我々としてはしっかりと進めていきたいと考えております。
 
○印南座長
よろしいですか。それでは、大西先生、お願いします。
 
○大西委員
御説明、どうもありがとうございました。私からの質問は、測定指標、2つありますけれども、それぞれの設定の仕方に関する所管課としての背景にある考え方の確認みたいなニュアンスに近いものですけれども、測定指標1の電子カルテのほうでは、今回、一般病院200床以上399床以下という形で、ある程度対象を絞っているのに対して、測定指標2のBCPの策定率に関しては、一般病院20床以上ということで、大分広く網をかけるような測定指標の設定の仕方をされておりまして、それぞれについて、一方は対象を絞ってフォーカスしていく必要があるのに対して、もう一方は、まず最初の段階で全体的な状況把握のために広く網をかける必要があるという考え方に基づいて、この種の指標は設定されるのだろうなというところまでは推測できますけれども、さらにその辺りに関する具体的な所管課としてのお考えをお伺いできればと思います。
 
○医政局企画官
ありがとうございます。御指摘のとおり、指標の設定については、どちらも病院全てにこれを普及させていくということを目標にしているものであります。電子カルテについては、病院全てを対象にしながらも、400床以上のところはおおむね94%ということで、そこの目標が大体達成できてきたので、1つ下の中小病院のカテゴリーというところで今回フォーカスさせていただきました。一方で、サイバー攻撃のBCPについては、指標にするのも今回初めてのところがあります。我々も全ての病院にこのBCPをつくってもらう必要があると思ってやっていますが、足元ではまだ27%ということで、かなり低い率になっております。ですので、ここももう少し病院の中の類型とかをよく分析して、どういう病院類型のところができていないのかとか、規模とか診療科といったところを分析していけば、もう少しカテゴリーを絞って進めていくこともできるのではないかと思っていますが、今はそこまでまだ至っていないというのが正直なところでありまして、まずは全ての病院に対してやってくださいといった上で調査しているという段階であります。なので、もう少し取組を進めれば、弱いところにフォーカスして、そこに指標を立てていくこともできるようになるかなと思っております。
 
○印南座長
よろしいですか。佐藤先生、お願いします。
 
○佐藤委員
産経新聞、佐藤です。御説明ありがとうございました。3つ申し上げます。1つ目と2つ目は、井深先生とほぼ同じで、普及について、普及しないことには始まらないので、普及が目標になるのはいいかと思うのですけれども、電子カルテ情報共有のための経過的な指標というのが、次の目標値の設定のときには欲しいなと思いました。加えて、二次利用のために、電子カルテ情報の標準化のための指標がもう一つ欲しいと、次の回には欲しいと思ったところです。
 もう一点、死亡診断書の情報を医療情報プラットフォームに取り込んでいく必要があるかと思っているのですけれども、その方向で進んでいると聞いていますが、現状、それはどのような進捗状況で、いずれどこかで医療DXの中に上がってくるのかどうか教えてください。今回の達成目標の指標としては、この2つの数値を上げたことについては、私はこれでいいと考えています。以上です。
 
○医政局企画官
御指摘ありがとうございます。情報共有のための指標ということと、医療データの二次利用のための指標ということが次は必要だという御指摘だと思います。医療データの二次利用についても、今国会に関連法案を提出する中で、厚生労働大臣のデータベースについての利用促進の内容を入れております。まず、法律を提出して成立した上で関連システムを整備してからと思っていますが、御指摘を踏まえて、どういった指標設定が可能か検討したいと思います。それから、死亡診断書の情報でございますけれども、多分、御指摘は、死亡情報を例えばレセプトデータとかカルテのデータとひもづけて分析できるようにするということが重要ということだと思っております。今は、死亡診断書そのものの情報を電子化して集めるというところまではまだ至っていないところであります。これはまだ検討中でありますが、死亡情報そのものについては、まだ年に1回というペースでありますが、NDBの中に取り入れるところまでは来ているところであります。ですので、死亡、予後の情報とひもづけて分析できるような環境がこれから整っていくというふうに考えております。死亡診断書自体の電子化、それをデータベースに集めてくるというほうも検討を進めていきたいと思っております。
 
○印南座長
ほか、いかがでしょうか。田宮先生、お願いします。
 
○田宮委員
ありがとうございます。先生方、もう大分御指摘いただいたところで本当に同感ですけれども、長期ビジョンでの議論というのも今回は少しということなので、今回御説明いただいた指標については、私もこれでと思いますけれども、ただ普及しても、フォームが1つじゃないと活用できないので、そこは本当に大事だと思っているのと。それから、死亡のこともとても大事ですね。健康のアウトカムとしてとても重要なので。もう一点、私の追加としては、資料1-2の13ページの最後に今後の対応方針というのが述べてあって、これは本当に重要な方向が形になっていて、まだ(案)と書いてありますけれども、ぜひこれに向かって、次のときとかは指標を考えていただいて。特に、公的DBなどの利用申請はとても時間がかかっているということもあります。それから、臨床情報との連結というのが、今はまだ難しいところなので、この辺、きちんと大事なことが書いてありますので、具体的にそれに向かって、ぜひ進めていただきたいという思いです。以上です。
 
○印南座長
ありがとうございます。どうぞ、お願いします。
 
○医政局企画官
御指摘ありがとうございます。資料1-2の13ページに書かせていただいた、二次利用の推進に向けた対応方針について(案)となっております。右肩にありますが、11月の審議会で出させていただいた資料ですが、まさにここに書かせていただいた内容を、今通常国会の中で法案に盛り込んで提出しようと考えております。ここに書いてあります電子カルテ情報共有サービスで共有されるカルテ情報の二次利用を可能にするということですとか、公的データベースの仮名化情報の利活用を可能にするとか。あと、クラウド環境で利用できるような内容にするといったことを実現していきたいと考えておりますので、御指摘を踏まえて、また進めてまいります。よろしくお願いいたします。
 
○田宮委員
よろしくお願いします。
 
○印南座長
ほか、いかがでしょう。私から1つよろしいですか。揚げ足取りじゃないのですけれども、400床以上の病院で普及率が94%ですね。6%の病院は電子カルテを導入していないということですね。400床以上の病院で電子カルテなしでどうやってやっているのだろうと、私なんかストレートに疑問に思ってしまうのですけれども、何か御存じでしたら教えてください。
 
○医政局企画官
おっしゃるとおり、まだ6%が入っていないということで、そこの分析まではできていないのですけれども、一般的に電子カルテが入っていないところは、精神科単科の病院とか療養型の病院が多いです。中には、療養病床だけの500床クラスの病院というのもあって、そういったところがまだ入っていない可能性があると思っていますが、すみません、6%の内訳がちゃんと分析できていないというのを確認いたします。
○印南座長
どうもありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。それでは、担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて、事前分析表への反映をお願いいたします。どうもありがとうございました。
 
○医政局企画官
どうもありがとうございました。
 
○印南座長
それでは、次のテーマに移りたいと思います。「施策番号I-5-1 新興感染症への対応を含め、感染症の発生・まん延の防止を図ること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。
 
○感染症対策部感染症対策課長
それでは、資料2-2「概要 施策目標Ⅰ-5-1 新興感染症への対応を含め、感染症の発生・まん延の防止を図ること」ということで、3ページの【概要】事前分析表を基に御説明申し上げたいと思います。施策目標は、赤字にしておりますように、「新興感染症への対応を含め、感染症の発生・まん延の防止を図ること」ということで、この1つ上の大目標が、この後に出てきます「感染症による健康危機発生時に迅速かつ適切に対処する体制を整備する」と併せて、いわゆる感染症関係の施策について評価いただくということでございます。このⅠ-5-1について、大きく3つ掲げさせていただいております。1つ目は、新興・再興感染症等対策になります。そして、2つ目が予防接種、予防ワクチンに関する施策。3つ目に肝炎対策、これは肝炎も感染症でございますが、慢性的になりましてがんが発生するということで、感染症の中でも少し特殊という部分で大きく3つの柱にさせていただいております。  
1つ目の新興・再興感染症対策でございますが、御存じのように、コロナの流行も背景にございまして、コロナで抑えられていたほかの感染症が、コロナ禍後、5類移行後、たくさん増えているという部分もあります。そういう意味では、しっかりと引き続き感染症の対策を進めていくことが1つ。あとは、いろいろな感染症の種類があります。ですので、どれを取ってというのが難しいところでございますけれども、例えば入院勧告するような1類、2類の感染症の中で、2類感染症の中で毎年発生している数が多いのが結核でございますので、結核について、主要指標、測定指標とさせていただいているところでございます。課題でございますけれども、ここに書いてありますように、様々な感染症に対する感染症対策の充実・強化でございますし、その達成目標としましては、サーベイランス、発生状況の把握とともに、患者への医療提供体制、発生予防措置の徹底を図るということでございます。
そのための測定指標としましては、医療体制の部分につきまして、身近なところに、陰圧病床も含めて、第一種感染症指定医療機関を設置している都道府県数ということでアウトプット指標。そして、先ほど申し上げました、いろいろな感染症の中で代表として掲げさせていただいておりますのが結核ということでございますが、こちらについては、実際に患者さんがどのぐらい罹患しているかということでアウトカム指標。そして、もう一つ、感染症の中で国際的にも重要になっておりますAMR、薬剤耐性対策ということでございます。こちらについては、人口1000人当たりの1日抗菌薬の使用量ということでアウトカム指標とさせていただいております。こちらの表と別に、事前分析表の数値を少し修正させていただきますが、1つは、最後に申し上げました1日抗菌薬使用量の部分でございますけれども、AMRのアクションプランという政府全体のプランの中で、2022年に大きく変わりました。ですので、その前後、令和4年、5年の間で3の測定指標が変わっております。これまで括弧書きにしてきたものにつきましては、令和4年以前については、それまでの基準で2017年の基準に対してという数値。それ以降につきましては、2022年以降の数値ということで変えさせていただいております。それと、直近のデータとして1日抗菌薬の使用量が増えているという背景があるのですが、これは先ほど申し上げましたように、コロナ禍以後、急にというか、元に戻ったというか、ほかの感染症が出てきておりまして、そういう全体として感染症はまだまだ増えているというところがございますので、それに対して抗菌薬の使用量が増えてきたというものでございます。これは補足でございます。
そして、2つ目の柱が予防接種でございます。こちらは基本計画に基づいて進めているところでございますが、特に麻しん・風しんにつきましては、非常に感染力が高いというところもございますが、逆に予防接種で防げるということもございますので、予防接種の接種率につきましては、アウトプット指標として麻しん・風しんということで進めさせていただいているところです。基本的には95%以上となるように積極的に働きかけていくということでございます。達成目標2で、これは両方ともアウトプット指標でございます。
先ほど申し上げました肝炎対策につきましては、B肝につきましてはウイルスの排除がなかなかできないということで、助成の対象者数が増加傾向でございます。C型肝炎につきましては、良いお薬ができましたので、排除できるようになっておりますけれども、そういう意味では助成自体が近年減少傾向ではございます。一方で、先ほど申し上げましたが、肝炎については、適切な治療を行わないまま放置すると慢性化しまして、肝硬変あるいは肝がんというような、より重篤な病態ということになりますので、課題3でございますが、慢性化・重篤化しないように肝炎に対する理解を深めるということ。患者さんになられた方に対しても、安心して生活できる環境づくりに取り組むことが必要でございます。達成目標3でございますけれども、移行者を減らすこと。そして、罹患率をできるだけ減少させるということで、それぞれアウトプット指標、アウトカム指標になりますけれども、都道府県における肝炎対策に関する数値目標を含んだ計画ができているかどうかということと、結果として肝炎医療費の助成者数がどのようになっているかということをアウトカム指標として示させていただいております。下線を引いておりますので、これは全て主要な指標という形にさせていただいております。感染症は様々な種類がございますので、先ほど申し上げましたように、ポイントとなるようなものについてを主要指標とさせていただいておりますが、量が結構多いというような状況になっているところでございます。あと、後ろのほうは参考資料になりますので、ここでは説明を割愛させていただいておりますけれども、ぜひ評価をいただければと思っております。以上でございます。
 
○印南座長
ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、御意見や御質問等があれば。佐藤先生、お願いします。
 
○佐藤委員
御説明ありがとうございます。産経新聞、佐藤です。よろしくお願いします。事前分析表の測定指標1です。年度ごとの目標値、上段が47になっていて、実績値の下も47になっています。47より増えることはないと思うので、実績は満たしているものを改めて目標に上げることは必要なのかという気がしました。参考までに5年前の事前分析表を拝見してみたところ、そこでも同じ目標値が上がっており、平成30年度から47都道府県は満たされていることが分かりました。目標値の見直し時期にあたる5年前は2020年度ということで、結核感染症課にとっては、それはそれは大変な年で、5年前に新たな目標値を掲げられなかったことは致し方ないとは思います。しかし、そこから5年たって、あれだけ大変な新型コロナの騒動を経て、なおかつここで5年前と同じ数値を上げるのはいかがなものかと思います。感染症課にとって新型コロナをなかったことにはできませんので、何らか新型コロナの経験を踏まえた目標設定をしていただきたいと思います。今で言うと、感染症法が改正されて、医療機関と自治体との契約締結が始まりましたので、そういったものを上げることも可能かと思ったんですけれども、実務的には課が違うということで難しいのかなと思いまして、であればサーベイランス等で指標を上げていただくことを御検討いただけないでしょうか。以上です。お願いします。
 
○感染症対策課長
ありがとうございました。佐藤委員、大変貴重というか、重要な御指摘いただきました。確かに目標について、ずっと達成しているという部分でございますし、コロナ禍を経て、そこを変えなくていいのかということであります。最初に申し上げましたように、感染症につきましてはサーベイランスもありますし、なったときの医療の提供体制ということが重要でございまして、そういう観点で感染症の指定医療機関、しかも各都道府県に1つ以上は必要だというところで、これまで47都道府県全県に第一種感染症指定医療機関があることが重要だということで書かせていただいているところであります。
コロナを経て、さらに新型インフルエンザ等政府行動計画が昨年7月に改定されたところでございます。新型コロナの経験を基にということでございますが、対応初期においてもそうでしたけれども、病態についての情報が非常に少ないというような状況に対応して、例えば特定感染症の病床につきましては、国立国際医療センターの成田とか、全国4か所あるのですけれども、そこで起きるかどうかは分からない。流入を前提としますと国際空港があるところに置いているのですけれども、流入じゃなくて国内発生の可能性もございますので、各県での1類感染症の患者は施設基準の高い第一種感染症指定医療機関で対応することが望ましいということで、そこについては各県を含めて、国としても整備をお願いしているところでございます。一方で、御指摘いただきましたように、コロナ禍を受けまして、予防計画の中で、特に何か起こったときにすぐに入院あるいは外来で診ていただけるような協定医療機関というのを各県に協定を締結していただいているところです。第一種と第二種。こちらについても、御指摘いただいたように医政局のほうを中心にやっていただいておりまして、医療体制という観点からすると、感染症指定医療機関の通常の感染症に対するしっかりとした体制とともに、何か起こった、ネクストパンデミックが起こった際に事前に協力をしていきましょうという2段構えかなと思っております。こちらのほう、どちらかというと全体として感染症ではあるのですけれども、平常時においての感染症の体制。先ほど申し上げました、例えば入院勧告する2類については、結核を代表選手にしておりますが、1類、2類のものが発生した場合には、都道府県内で完結できるという最低限のところは、この47かなと思っていますが、御指摘いただきましたので、どういう指標が適切なのか、医療体制は外せないと思いますので、それについては少し検討させていただきたいと思っております。以上です。
 
○佐藤委員
ぜひ見直しをお願いいたします。
 
○印南座長
ほかはいかがでしょうか。井深先生、お願いします。
 
○井深委員
御説明ありがとうございました。私からは1点質問させていただきたいと思います。達成目標1の3つある測定指標のうちの3番の抗菌薬使用についてですけれども、これは達成するのがなかなか難しいような状況にあるのかなと思いながら拝見していたわけですけれども、この抗菌薬使用量を測定指標としていて、これに対応する達成手段というのがどこになるのか、拝見していて私の中ではよく分からなかったものですから、その御説明をいただきたいと思いました。達成手段の中でどういう取組をされていて、抗菌薬の使用量を減少させていこうという取組につながっているのかという点について、お伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
 
○感染症対策課長
ありがとうございます。資料2-2の8ページ、政府全体としてAMR対策ということで、アクションプランというのを2023年に改定してつくっているところでございます。その中で、様々な動向調査・監視するという目標が6つある中で、今、直接は目標4の抗微生物剤の適正使用ということです。単純に言いますと、細菌に合ったお薬、抗生剤を出してくださいということで、これは医療現場において実際使われますので、そちらに対するアプローチが重要だと思っているところでございます。これについて、具体的にどういうふうな取組でそういう目標を達成しようとしているのかというような御質問でございます。まず、医療現場の中で使っていただく先生方に対して、直接的には薬剤耐性対応ということで、「抗微生物薬適正使用の手引き」というものをこれまで作ってきております。昨年も第3版ということで230ページぐらいあるものを作ったり、それでは見ていただけないので、それを基に、より簡易なものを作って、それを例えば医師会を通じて発送するなど、そういう形で臨床現場でいかに適正に使っていただくかということをやるとともに、あとは、患者さんというか、国民の方に対しても、医療機関に行ったら何かお薬があったほうがいいねという方もいらっしゃいますが、そういう普及啓発ということで、これは厚労省だけではなくて、内閣官房の感染症危機管理統括庁とも連携しながら、11月の中旬がAMR月間ということになっておりますので、それに併せて国民への啓蒙ということも行います。そういうことで、何とか適正使用になるようにということで取り組んでいるところでございます。
 
○印南座長
よろしいですか。大西先生、お願いします。
 
○大西委員
御説明どうもありがとうございました。私からは、肝炎対策に関する質問ということで、専ら現状確認に近いような内容になりますけれども、測定指標6で肝炎対策に関する数値目標を含んだ計画等を策定している都道府県が、現状では47都道府県中44県ということでまとめられておりますけれども、ここで上げられている数値目標というのは、具体的に何に関する数値なのかということと。
 あと、数値目標が含まれた計画等が、現状で策定未了ということで把握されている3都道府県については、数値目標以外で何らかの指標を立てるような計画等は策定されているのかということについて事実確認ができればと思います。
 
○がん・疾病対策課肝炎対策推進室長
ありがとうございます。肝炎対策推進室の安田と申します。1点目ですけれども、国からこれについて数値目標を掲げてくださいという言い方はしておりません。都道府県ごとにそれぞれ独自の目標を立てております。例えば、最初のウイルス検査の検査数を幾つにするであるとか、あるいは肝がんによる死亡率を幾つにするとか、そういった形でそれぞれ数値目標を定めておられます。定めていないとされている3県については、もちろん何も目標がないわけではなくて、定性的な目標を定めているという状況で、何か数値を幾つ以上にするというのではなく、まさにふわっと促進するであるとか、あるいは前年度より減らすとか増やすという程度の目標の定め方をしているという状況にあります。
 
○大西委員
その定性的な目標のみを定めている3県について、数値目標をあえて設定していないことに関する、その自治体なりの何らかの考え方があって、そうしているのか、それとも単に数値目標に対する、その県の肝炎対策のいわば感度みたいなものがあまり強くなくて、現状そうなってしまっているのか、その辺りに関してはどのように把握されておられますでしょうか。
 
○肝炎対策推進室長
数値目標をどういった理由から定めていないのか、直接詳しく分析まではしていないのが現状でして、基本的には47都道府県の目標はこうなっていますというものを取りまとめて公表するという形を毎年取っております。公表をされるという中で、自分たちのところだけ定めていないのだなというのはもちろん分かるようにしていますし、我々もその都道府県に対して、1年間の取組状況を取りまとめるに当たって、調査をかけるときに定めていないというのは分かるようにしますけれども、背景として何が問題かというところの詳細は分析しておりません。
 よく言われるのが、特にC型あるいはB型の患者団体と対話をすると、皆さん、それぞれ住んでいる地域での取組というのは気になりますし、地域ごとの患者団体というのもあります。その中で自治体の温度差がある。自治体の中で担当する方がすごく熱心であれば、そういう取組が進む時期もあるんですけれども、そうでないときにはそうでないというのはよく耳にするところです。
 ですので、そういった意味で、我々、肝炎対策を進める中で自治体ごとのでこぼこをなくしていく、均てん化という言葉を使っていますけれども、均てん化を進めるのが重要であると思っていまして、取組をまとめて公表していくというのも、その一つの手段だと思っていますし、あるいは自治体を回って自治体の取組事例を紹介しながら、おたくでもこれができるのではないですかという気づきを持ってもらう、そういったブロック会議を開いたり、そういった形で均てん化を進めているという状況です。
 
○大西委員
分かりました。ありがとうございます。
 
○印南座長 
ほか、いかがでしょうか。田宮先生、お願いします。
 
○田宮委員
ありがとうございます。
先ほど佐藤委員からもありましたけれども、コロナという大きい出来事があって、感染症対策を国を挙げていろいろ改革しているところだと思います。1つ大きいことは、JIHSができることで、この4月から始まりますね。その中では、即、感染症の状況を、今までできなかった、ファクスでいろいろやり取りしていたようなことをデジタル化してデータを分析するということですとか。あと、ワクチンのほうもデジタル化して、接種者がちゃんとアイデンティファイできるような仕組みをつくることが多分入っていたかと思うのですけれども、その辺が、今回と言わなくても4月からですけれども、そういうものは長期ビジョンとして非常に重要なのではないかと思いますけれども、そういうことへの動きみたいなものを指標にしていくみたいな話は何かないのでしょうか。今までと大分変わるはずなのですね。変わらなければいけない。特にJIHSの役割との関連についての指標というのは、特に今回出ていないので、いかがでしょうか。
 
○感染症対策課長
田宮委員、ありがとうございます。
 まさに佐藤委員からも御指摘いただきましたように、コロナ禍を受けて感染症対策というものは変わっているはずだと。例えば、今、御指摘いただいたように、発生届もファクスとか紙でなかなか進まなかったということで、DX化ということは言われておりますし、それに向けて様々なシステムあるいは法改正も含めて、今、対応しているところでございますし、一部につきましては、既に例えばコロナの発出のデータを基に、それを第三者提供できるような形にして研究に利活用していただくというようなことで、徐々に進めているところでございます。御指摘いただいたように、この4月から国立感染研と国立国際医療研究センター(NCGM)が一緒になって、新しい特殊法人でありますJIHSができます。こちらにつきましては、すみません、冒頭申し上げましたが、次のⅠ-5-2のところで、まさに「感染症による健康危機発生時に迅速かつ適切に対処する体制を整備すること」という施策目標をつくっておりまして、それに対する測定指標というのもつくらせていただいておりますので、そちらのほうも併せて施策評価いただければと思っております。以上です。
 
○田宮委員
よろしくお願いします。
○印南座長
ほか、いかがでしょうか。大西先生の質問にちょっと関連して、各都道府県が目標を設定して、それをまとめて公表して均てん化を図る。それは、国としての統一的な政策を出すこととちょっと違うのではないかというふうに私は感じます。それは地方自治体が、建前がそうなっているからということですか。
 
○肝炎対策推進室長
ありがとうございます。地方自治だからとか国だからというのは、特に意識しているわけではないのですけれども、国として施策の全体の方向性・方針みたいなものは、基本指針という形で5年に1回、見直しをして定めます。その中で、その方針に沿って、ただ、医療提供体制については都道府県が責任を持ってやっていくというふうに役割分担しておりますので、そういった医療提供をするという中で都道府県の中で目標を定めてもらって推進していく、対策を進めていただくという形を取っています。なので、全体方針は指針という形で、国で定めますというような役割分担という形です。
 
○印南座長
一応、そうなっているけれどもということですね。そういう熱心でない都道府県のC型肝炎の患者さんは非常に気の毒ですね。担当者の熱意がなかったりして、この県では目標を達成してやっていないというふうになってしまいますね。
 
○肝炎対策推進室長
もちろん、何もやっていない県があるというわけではなくて、やっている中での温度差という意味と私たちは捉えています。ただ、その温度差があるのも困りますので、均てん化は重要ですという考えで進めております。
 
○印南座長
分かりますけれども、せめて数値目標ぐらいはきちんと出しなさいという指導ができるのかどうかはよく分からないですけれども、お願いか何かはできるんじゃないか。
 
○肝炎対策推進室長
まさに国と自治体は、今、対等の関係という形で進めておりますので、指導という形はなかなか難しいのですけれども、そういう意味では、こういうソフトなやり方で全部出してしまって、ここはやっていないねというのが分かるようにして。当然、そこの都道府県にお住まいの患者団体であるとか、そういったところからはいろいろな声が挙がるでしょうからというのは1つあると思います。
 
○印南座長
分かりました。
 
○大西委員
では、今の印南座長の御指摘に関連して質問者として。さっきの質問の背景的なところの考え方をちょっと述べさせていただくと、定性的な目標のみを設定している都道府県に関しても、その都道府県なりの、特に肝炎対策分野に関連した医療提供体制の実情とか、あるいは担当者なりのしっかりした考え方みたいなものがあって、定性的な指標が数値目標に変わり得るほどのしっかりした肝炎対策に対する考え方に裏づけられていて、その都道府県においては、そういう定性的な指標の実現をしっかり推し進めていくことによって、他都道府県と同様の肝炎対策医療の均てん化が図られるのであれば、それはそれで、そういう計画の策定の仕方もありなのではないかというふうに、さっき質問しながら思ったわけです。少なくとも所管課の把握としては、そこまでしっかりした考え方が立てられているということは、数値目標未設定の3都道府県に関してはないという現状把握でいらっしゃるようなので、残り3県に関して数値目標の策定に向けた施策を推し進めていかれるということに関しては、合理性があるのではないかというふうに委員として考えました。以上です。
 
○肝炎対策推進室長
ちょっと補足になりますけれども、その3県が数値目標は定めていないのですけれども、先ほどもちょっと触れましたけれども、例えば肝がんの罹患率を減少させるとか、そういう感じの定性的な目標の定め方をしていて、多分、目標となる、どんな率を下げましょうかというところまでは厳密に定まっていないので、そういうところは数値目標を定めていないというふうに我々は分類しているところではあります。なので、本当に何もやっていないかのような感じではなくて、対策自体はやっておるのですけれども、何割削減させますとか、そこまでの緻密な目標を立ててというところまでは行っていないというふうにお考えいただければと思います。
○印南座長
半分ぐらいですね。そもそもKPIを設定することの意味がそれでは不十分じゃないかとなってしまいますけれども、この辺にしていただきたいと思います。ほかにいかがですか。それでは、担当課におかれましては、本日の議論を踏まえ、事前分析表への反映をお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、次のテーマに移りたいと思います。続きまして、「施策番号Ⅰ-5-2 感染症による健康危機発生時に迅速かつ適切に対処する体制を整備すること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。
 
○感染症対策課国立健康危機管理研究機構設立準備室長
ありがとうございます。国立健康危機管理研究機構設立準備室長でございます。お手元の資料の3-2に沿いまして説明させていただきます。今ほどのⅠ-5-1の中でも御指摘いただいておりましたけれども、Ⅰ-5-2の資料3ページ、基本目標、施策大目標とございまして、施策目標は「感染症による健康危機発生時に迅速かつ適切に対処する体制の整備」ということでございます。下の現状のところにございますけれども、政府の感染症危機管理体制としましては、一昨年の9月に内閣感染症危機管理統括庁が設置され、厚労省には感染症対策部を設置いたしました。それと併せまして、次の感染症危機に対応する政府の司令塔機能の強化の一つということで、国立健康危機管理研究機構(JIHS)がこの4月に発足いたします。政府に科学的知見を提供する新しい専門家組織ということで、国立感染研と国際医療研究センター(NCGM)を統合するわけですけれども、コロナの際に初動の感染症の情報分析とか、少し目詰まりがあった部分を、一体化することで、科学的知見の取りまとめとか研究開発環境の立ち上がりを早くするといったことを目的とするものであります。  
下のところに課題がございますが、あらかじめ有事の際の対応策を整理して、平時の備えの充実を図るというのが大事な点でございます。その中には、この資料に細かく書いておりませんけれども、感染症の情報収集とか、平時から臨床研究のネットワークをしっかり組んでおくとか、様々なことがございます。国際連携とか自治体の人材育成のようなことも含まれてまいります。そうしたベースがあった上で、質の高い科学的知見を提供していただくということでございまして、測定指標が一番下にありますが、まず、省内においては、健康危機管理調整会議を定期的に開催して、コロナ禍で感染症についても扱っておりますけれども、そうした情報共有を平時からしっかりやっていくということ。それから、2点目のほうが主要な指標になりますが、JIHSの法人の業績評価が毎年度ございます。これにおいて標準評価以上を受ける項目の割合をアウトプットとして置いてございます。資料の4ページが厚労省内の健康危機管理の枠組みということでございまして、これは感染症以外も含めて様々上がってきたものについて、厚生科学課が全体の取りまとめはされますけれども、感染症は感染症対策部で主に対応いたします。いずれにしましても、健康危機管理調整会議、左下のほうにございますが、こちらで情報共有を図っていくということで考えております。5ページは「感染症対策部」の概要ということでありますが、感染症有事におきましては、医療提供体制等々も含めて、感染症対策部が全体の取りまとめをし、各担当と連携して対応していくということでございます。6ページを御覧いただきますと、JIHSの第一期中期目標案ということで、今はまだ関係審議会の御意見を聞いたりしている途中でございますが、この4月の法人発足時に指示するものでございます。重要なのは一番上の1のところでございまして、感染症有事における初動対応の強化とし、インテリジェンスの情報収集・分析のハブになって一体的に、迅速に行うということと、速やかに様々な対応を取りまとめていくということでございます。概略だけ書いておりますが、こうしたことが実際にワークしていくためには、業務フローのレベルでしっかり落とし込んでおくということですとか、それに応じてしっかり訓練しておくということが重要でありますので、中期目標の実際の文章では、そうしたことまで具体に記載しまして、それに沿って評価していくというのが今後想定されております。説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
 
○印南座長
ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御質問や御意見があればお願いします。井深先生、お願いします。
 
○井深委員
御説明ありがとうございました。測定指標2に関して質問させていただきたいと思います。期待を込めてということですが、今後のことですので、JIHSが発足されて、その後、評価をどうしていくかというのが非常に重要だと思うのですけれども、こちらでは法人の業績評価に基づいて、この政策評価を行う方針だということは理解しました。
 そうなのですけれども、この中身について具体的に知りたいなと考えておりまして、もう一つの資料を拝見していると、6ページの第一期中期目標案のポイントというのを先ほど御説明くださいました。この1から4の目標と関連した形で、業績評価の目標値の各項目が設定されるようになっているのか、それともまた独立に定められるのか、具体的な項目の中身、どういった点がカバーされているのかという点について、お伺いしたいと思います。以上です。
 
○国立健康危機管理研究機構設立準備室長
どうもありがとうございます。目標の項目立てにつきましては、まだ省内の作業中でございまして、これで決めているというものはないのですけれども、資料の6ページで御説明させていただいた4つの柱というのが、大きな部分として目標の中の柱立てになっておりますので、この部分のウエートがかなり高くなってくると考えております。JIHSの場合は、現行の国立国際医療研究センター、感染研の双方の業務を全て引き継ぐ関係で、例えば看護師の人材養成ですとか、感染症有事対応にすぐ結びつかない業務もございますけれども、ここに記載しておりますような有事対応の部分の重要度を高く設定しまして、この部分の努力が法人評価にしっかり反映されるような構成にしていきたいと考えております。
 
○印南座長
ほかに。佐藤先生、お願いします。
 
○佐藤委員
産経新聞、佐藤です。御説明ありがとうございました。測定指標の1について、お伺いします。前にこの会議でこの指標が出てきたときに、たしか設定されていた目標値が、会議で検討された課題の数だったような気がします。非公開の会議なので、何を指標にするかがなかなか難しく、課題の数が上がっていて、本当に早い段階で問題把握ができたのかというような内容に迫る指標を挙げられないかと申し上げたような気がするのですけれども、今回、目標にしている会議の数値を月2回と目標値に掲げることになったのは、ほとんど後退ではないかと思います。そもそも月に2回予定しているものを、この目標値として月2回と書くことが、リスクを早期に把握した指標として適切なのかということは、極めて疑問に思います。もう少し本質的な目標を立てていただけないかと思いますが、いかがでしょうか。
 
○大臣官房厚生科学課国際健康危機管理調整官
厚生科学課のほうから回答させていただきます。御指摘ありがとうございます。この指標はかなりいろいろ悩ましいところではあるものの、もともとこの調整会議というものが薬害エイズを基にして、それぞれの部局の中で行われていることが、なかなか情報共有が図られていなかったというところをベースとしてつくられているような仕組みとなっています。そうした中で、定期的に必ず情報交換をするということ。また、有事の際には、急ぎでこういった情報交換の場を設けるということ。そうしたことを1つ目標として掲げさせていただきました。御指摘のとおり、以前は中で扱った情報の数ということを指標に上げたこともあるのですが、実際のところ、これは我々がコントロールできるところではないというのが実情でして、本当にありがたいことに何もないような時期ももちろんありますし、かと思えばたくさんある時期もある。これに関しては、なかなかコントロールできるところではなくて、それよりはきちんと定期的に情報交換をしている。少なくとも月に2回程度、交換するような内容がある。実際にない場合は中止すること等も検討するのですが、そこの部分というのはアンテナを高くしておくということ。その上で、年に1回2回あるか程度であるのですが、有事に急ぎで情報交換するということがきちんと見られているということの指標に、間接的には見れるかなということで上げさせていただいております。
 
○佐藤委員
難しいだろうなとは思うのです。月2回と目標値を立てて、それより実績値が多ければいい、というものでも多分ないと思いますし、少なかったら駄目だったと言うのかなとは思いますけれども、引き続き、よりよい指標の検討をしていただければと思います。よろしくお願いします。
 
○国際健康危機管理調整官
ありがとうございます。またお知恵も拝借できればと思っております。ありがとうございます。
 
○印南座長
ほかにいかがでしょうか。田宮先生、お願いします。
 
○田宮委員
先ほど私もJIHSについて申し上げたのは、JIHSのほうは会議をやるとか、業務の評価。これからやることなので、こういうこともあるかもしれませんけれども、もう少し具体的に、これだけ大きい変更ができているのですから、先ほどの指標ともっと有機的に結びつけて考えていただきたいなと思っています。先ほど申し上げたのも、今までとあまり変わらない。これができることによって、例えばワクチンのデジタル化ですとか、具体的に進むためにこの機構ができているので、もうちょっと突っ込んだ指標を、お互い有機的に、その結果、ワクチンのほうがどうなっているのかとか。
 今、もともと経緯的に別々のところでやっていらっしゃるのかと思うのですけれども、JIHSができたことで先ほどの指標も変わることも十分あり得ると思うので、その辺をむしろもうちょっと中長期的に考えていただきたい。これだけ国の新たな機構ができたものの評価としては、定期開催件数というのは今の議論のとおりですので、考えていただきたいなと思います。以上です。
 
○国立健康危機管理研究機構設立準備室長
先生、御指摘をありがとうございました。先ほどの1つ前の指標とも併せてということだと思いますので、中長期的に指標の在り方は考えていきたいと思います。私どもも、まだJIHSの運用がこれからということでありまして、様子を見ながらというか、走りながら考えるところがございますので、引き続き御指導いただければと思います。ありがとうございます。
 
○印南座長
ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて事前分析表に反映させてください。ありがとうございました。続きまして、「施策番号Ⅰ-10-1 データヘルスの推進による保険者機能の強化等により適正かつ安定的・効率的な医療保険制度を構築すること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。
 
○保険局総務課長
ありがとうございます。保険局総務課長の姫野でございます。よろしくお願いいたします。施策目標Ⅰ-10-1ということでありますが、パワーポイントの資料と個別の達成目標とか達成手段など記載しましたエクセルの資料と、両方照らし合わせながら御説明したいと思います。
まず、基本目標としましては、安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進することということになっておりまして、その中で、この医療保険制度について安定的・効率的なものを構築するということになっております。今回のこの施策目標1については、大きく2つの要素が入っておりまして、データヘルスの推進による保険者機能の強化というものが1点目。2点目といたしましては、医療保険制度の安定性・効率性を構築するという、この2つに分かれてございます。資料の3ページを御覧いただければと思いますけれども、保険者機能の部分と医療保険財政の安定性という部分と、2つに大きく分けて記載してございます。
前後いたしますけれども、課題のところを見ていただければと思いますが、1番目の保険者機能の課題ということですが、健康寿命の延伸と医療費の適正化を同時に達成するため、保険者による予防・健康づくりに資する保健事業というものを進めていく。その中でもレセプト・健診情報等のデータ分析に基づいて効率的・効果的に実施していくということが昨今の課題であるというふうに認識してございます。こういった課題に対して、少し戻りますけれども、保険者機能を発揮していただくということで、健康保険組合とか国保の運営主体である自治体、こういった保険者が加入者の立場に立って健康の保持・増進を図り、病気の予防などを図る役割を期待されておりますので、こうした取組を国としてもサポートしていくということで各種の事業を行っていきたいということでございます。こういった事業の達成状況を測る達成目標といたしまして、データヘルスの推進による保険者機能の強化をどう図っていくのかということでありますが、測定指標で記載しておりますように、大きく3つ掲げてございます。1つは、加入者や企業への予防・健康づくり、健康保険の大切さについて学ぶ場の提供などに取り組む保険者の数を増やしていくということであります。表の資料のほうを見ていただければと思いますが、こちらの2ページになります。目標値といたしましては、健康保険組合とか市町村国保、それぞれ分かれた目標値が設定できておりませんが、現在、293保険者が実施しているところ、2000まで増やしていくという目標にしてございます。この目標設定自体は、一番右側の目標値の設定の根拠というところにございますけれども、日本健康会議という経済界、医療界、そして行政。厚生労働省だけではなくて経済産業省なども入っていただいて取り組んでいる会議体がございます。ここの中で、経済界、医療界のほうからボトムアップで上がってきた目標値というのが2000という数になっておりますので、これを我々としても尊重しながら、この日本健康会議の取組を進めることで、こういった目標値を達成していきたいということで設定してございます。それから、先ほどの概要資料に戻りますけれども、2つ目の測定指標といたしまして、アウトカムベースでのKPI設定をしたデータヘルス計画を策定する保険者の割合というものも設けております。これを重点指標という形で設定してございます。これは先ほどの表になった資料でいきますと、4ページから達成手段というものを記載してございます。この中でいきますと、例えば5ページ、20番ということで、データヘルス計画に基づく保健事業の実態把握・分析といった事業を国としても行っておりまして、こういったデータヘルス計画の効果といったものを国として把握して、各保険者さんにも普及していくということで、データヘルス計画をつくっていくことの重要性、特にその中でアウトカムベースのKPIを設定していくということの重要性なども普及していくということで、こういった達成手段とひもづけているところでございます。それから、元の概要資料に戻りまして、3つ目、保険者とともに健康経営に取り組む企業数ということで、こういった健康保険組合だけではなくて、その母体となる事業主さんの協力を得ていくということで、こういったものも日本健康会議の取組を進めることによって、測定指標に掲げてございます。
次、右側、2つ目の柱でありますが、医療保険財政の安定性・効率性を維持していくということであります。課題の2にありますように、高齢化の進行、医療の高度化に伴いまして、医療費が3%から4%程度、年々増え続けてございますが、そういった中で昨今も政策課題になっておりますような、現役世代を中心とした保険料負担がこれ以上上がらないように抑制していくためにも、医療保険財政の安定化を図るということが大変大きな課題になっていると認識してございます。そういった意味で、達成目標にありますように、保険者による適用、被保険者の資格をきちんと適用していくということ、拡大していくということ。それから、徴収、そして給付の適正化といった多方面での取組をしながら、医療保険財政の安定化を図っていくということを目標として設定してございます。具体的にこれを測定する指標としましては、4番から8番まで記載してございますけれども、まず、アウトカムということで分かる指標といたしまして、保険者ごとの総収支差。あるいは、5番にありますような経常収支といったものが赤字にならないようにということを指標として記載してございます。また、こういったアウトカムを達成するためにも、その下位の項目としまして、保険料の収納率。これは被用者保険はそんなに問題にならないと思いますけれども、特に国保・後期高齢者医療といった地域保険の場合には、こういった保険料の収納率というのが非常に重要なファクターになってくるかと思っております。また、7番目、8番目は、医療給付の適正化という意味では、後発医薬品の差額通知を実施していく。あるいは、その結果、後発医薬品の使用割合を高めていくといったこともアウトカムの指標として測定しながら進めていきたいと考えているところでございます。以上、駆け足になってしまいましたけれども、説明でございます。ありがとうございます。
 
○印南座長
ありがとうございました。ただいまの説明に関して、御質問や御意見等があればお願いしたいと思います。井深先生、お願いします。
○井深委員
御説明ありがとうございました。私から何点かございますが、まず第1点目に達成目標1の測定指標の1番目に関してですが、先ほど目標値が2000保険者に設定されているということと、その根拠について、お話があったと思います。2000保険者というのが日本健康会議のほうで掲げられている目標との整合性ということは分かったのですけれども、この取組について、保険者間で目標を変えるべきだというようなお考えの下に、この議論はなされているのかどうかという点について、お聞きしたいのです。具体的に申しますと、目標値が全体の保険者で2000保険者となっていて、各保険者についてはまだ定められていないような状態だとおっしゃられたのですけれども、この予防・健康づくりということが、例えば後期高齢者の保険に関しては、そんなに当てはまるものではないというような形でお考えなのか、そういうわけではなくて、全ての保険者に等しく大切であるというようなお考えで、これからこの目標で実際に事業を展開されていくのかという点について、お伺いしたいです。その点と関連しまして、これはコメントなのですけれども、目標値が2000保険者だということに向けて、今、事業をされていると思うのですけれども、こことの関連で、年度ごとの目標設定というのが前年度を上回るというふうになっておりまして、つまり、今の状態と目標値の間に差があることを考えますと、もう少し野心的な目標値を設定するというような考え方もあるのではないかと思いまして、その点について、お伺いしたいと思います。1点目については以上です。
 
○保険局総務課長
御質問ありがとうございます。日本健康会議につきましては、保険者さんもまさに参画していらっしゃいますので、目標値を設定する際には保険者さんの中でも議論されて設定されていると。これは今、正確に思い出せないのですけれども、5年とか6年といったスパンで次の目標をつくってということで、ある意味PDCAサイクルを回していくということが内在しているものでありますので、そういった取組を我々としても尊重していきたいと思っております。そういった意味では、健康保険組合だけではなくて、ここに後期高齢者医療の広域連合の代表の方、自治体の首長さんですけれども、参画されております。ですので、当然、健康保険組合がターゲットにするような周知の活動、それから後期高齢者をターゲットにした健康づくりの取組というのは異なってくると思いますが、そこはどの保険者さんも等しく、こういった取組をしなければならないということを意識されていると我々も思っておりますし、現に、今回の目標設定の中でも、後期高齢者とか市町村国保も含めて、きちんと進捗管理していくということにしてございます。それから、2000という目標に対して、現状293ですので、10分の1強ということで、非常にまだ乖離があるということでありますので、もっと野心的な年次目標をつくっていくべきではないかという御指摘は、大変厳しく受け止めないといけないかなと思ってございます。一方で、これはある意味経済界、医療界、保険者も含めて、行政と皆さん対等な立場で話し合っていきましょうというふうに進めているものでありますので、実際の取組を進める保険者さんたちの実情なども踏まえながら見守っていくという立場もあるものですから、そこは国のほうから一律に、じゃ、この目標でいきましょうというのもなかなか言いにくいという構成ではありますけれども、また次の見直しの機会などには意欲的に取り組んでいただけるように、国としても働きかけをしていくべきものなのかなというふうに思ってございます。
 
○井深委員
ありがとうございました。よく分かったのですけれども、データヘルスの推進によって保険者機能を強化していくというのは非常に重要な点だと思いますので、そういう意味で、このデータを活用しながら、保険者機能の強化に向けて、国からこういう各種保険者に対してできる取組があったら、積極的に展開をお願いしたいというふうに思います。ありがとうございます。
 それが1点目で、もう一点なのですけれども、そちらに関しては、達成目標2に関するお話になります。医療費適正化に関しての指標が2つございまして、その両方が後発医薬品に関するものであると受け止めております。後発医薬品の促進というのは、もちろん引き続き重要な課題であるというふうに思うわけですが、同時に、第4期の医療費適正化計画、2024年から2029年において、ほかにも上げられているような重要課題というのがあるのではないかと思います。具体的に言うと、バイオ後続品の使用。あと、医療資源の効果的・効率的な活用の中で、効果が乏しいとエビデンスがあることが指摘されている医療に関するものであるとか。あとは、医療資源の投入量に地域差がある医療に関しても指摘があると思うのですけれども、これらに関して保険者の立場から何か指標化することができれば、重要な点なのではないかと私は考えているのですけれども、その点について、お考えをお伺いできますでしょうか。
 
○保険局総務課長
御指摘ありがとうございます。バイオシミラーとか、効果に乏しいと言われている医療の適正化といったものも指標に取り込んでいくべきではないかという御指摘、もっともだと思います。我々もここは政策の展開とともに変えていくべきだと思っております。一方で、バイオシミラーに関して言いますと、実は昨年の10月から、いわゆる後発品の利用に当たっては、先発品と後発品の差額分の4分の1を選定療養として別途負担いただくという仕組みがスタートいたしましたが、実はバイオシミラーはまだそれの対象外になっております。そこは我々、政策担当部局として今後検討していかないといけない課題ということでありますので、この時点で保険者さんたちの指標に加えるのに至っていないところでありますが、先生御指摘のとおり、今後、施策の展開とともに、そういった指標を加えていくべきであろうということはおっしゃるとおりだと思います。そういった意味で、ほかの、例えば医療の地域差などにつきましても、これは局が変わりますけれども、地域医療構想の新しい形を法律として提案することなども検討しているところでありますので、そういった施策の展開とともに、保険者さんにお願いして経年で反映していくべき目標があれば取り入れていくということは検討していきたいと思っております。
 
○印南座長
ほかにいかがでしょうか。大西先生、お願いします。
 
○大西委員
御説明どうもありがとうございました。私からは、達成目標に医療保険財政の安定化に関する課題の測定指標4に関する質問といいますか、指摘のようなコメントになりますけれども、保険者が4分類されていて、その中の市町村国保と後期高齢者広域連合に関しては、いずれも毎年、実績値が0%になっていて、市町村国保については都道府県が財政責任を担うことになっているので、要は赤字が補塡された結果、毎年、0%になっていると。後期高齢者広域連合に関しても、どういう制度的枠組みでそうなっているのか、今すぐに具体的に思い出せませんけれども、そういった制度的枠組みの下に赤字が解消されて、毎年の実績値が0%になっている保険者について、ほかの2分類の保険者と同様の年度ごとの目標値を設定する実益がどの程度あるのか。   
せめて、補足的な参考指標として、赤字補塡の対象となった組合の数ですとか、赤字の補塡率といったようなサブの指標になるようなものも、併せて設定したほうがいいのではないかということを、この測定指標の数字を見て感じましたので、その点についての所管課としての御見解をお伺いできればと思います。
 
○保険局総務課長
御指摘ありがとうございます。おっしゃるとおり、測定指標4の部分で見ますと、市町村国保は最終的に繰り入れとかも含めた後の数字が出ていますので、これだけ見てもあまり意味がないのではないかという御指摘、確かにそのとおりかなと思います。一方で、その次の測定指標5については、経常収支ということで、いわゆる保険事業の保険給付の収支といったものを見ていくという数字も示して、そこは多角的に示しているところではありますが、おっしゃるとおり、法定外繰り入れについてもどういう形で推移しているのかというのを参考で捉えていくというのは重要な視点かと思いますので、今後の施策を進める中では、当然、我々は把握しながら、毎年公表しながらやっておりますので、その視点も大事にしていきたいと思ってございます。
 
○印南座長
ほかにいかがですか。田宮先生、どうぞ。
 
○田宮委員
ありがとうございます。私は、パワーポイントのほうの3ページ、達成目標1のことですけれども、前にも時々、私、申し上げた、アウトプットとアウトカムという言葉は、ちょっと一般的なことと違う部分もあるのかなと思いつつも、測定指標2、アウトカムベースでのKPIを設定した計画を策定する保険者の割合はアウトカムではないんじゃないかと思うんですね。右側の財政指標のほうは、財政指標のお金のこととか赤字であるとか、それがアウトカムというのは分かるのですけれども、2番目は、本当にアウトカムを目指すということはとても大事なことなので、例えば主なKPIの中から具体的なアウトカムを、何が幾つであるとか、そういうことを目指すべき、それがアウトカムだと思うのですけれども、いかがですか。アウトプットだと思います。アウトカムと書くのであれば、何か代表的なKPIで、それが大体どのぐらいを達成したというところまですればアウトカムと言えると思うのですけれども、その辺、いかがですか。
 
○保険局総務課長
御指摘ありがとうございます。ここは、恐らくどのレベルのものをアウトカムに設定するのかという意識の違いなのかと思います。もともとデータヘルスの推進による保険者機能の強化というのが目標でありますので、それが達成できるかどうかというのを我々、アウトカムというふうに認識してございます。その先、健康になるとか、医療費が適正化されるとか、そういうアウトカムをイメージすることもあるかと思いますが、今回の目標の立て方として、こういう保険者機能の強化というものをアウトカムに設定しましたので、それをデータヘルス計画の中にアウトカムベースのKPIを設定するということ自体が、まさにデータヘルスの推進による保険者機能の発揮と理解をしまして、こういう書き方をしています。一方で、アウトプットに掲げているようなものは、保険者さんが何を働きかけるか、取り組むかということだけと言うとあれですけれども、だけなので、これでもってデータヘルスの推進による保険者機能の強化とまでは言えないだろうということで、アウトプットと置いていますが、データヘルス計画のPDCAを回して、KPIもアウトカムベースのものを設定してやっていくということは、まさにこの保険者機能の強化をアウトカムとして達成するということではないかということで整理してございます。おっしゃるとおり、この先、もう少し上の目標を設定すべきだということになると、恐らく施策目標の立て方自体がこれでいいのかという議論になってくるのかなと思いますので、今回の時点では、この施策目標に沿って設定すると、こういうアウトカムという整理かなと思ってございます。
 
○田宮委員
いつもこの辺が釈然としないところが。3ページのスライドの1番の保険者機能というところの文章、どの辺が一番目的とおっしゃいましたか。どの文章が一番のゴール。
 
○保険局総務課長
3ページの赤字で書いている施策目標1のところにありますように、データヘルスの推進によって保険者の機能を発揮していただく、強化していくというところが最終的なゴールかなと思っております。
 
○田宮委員
そういう制度の構築がアウトカム。
 
○保険局総務課長
制度もそうですし、実際にそういうアウトカムベースのデータに基づく計画をつくっていく健康保険組合ですとか市町村国保が普及していく、広がっていくということが、この目標のゴールというふうに考えてございます。
 
○田宮委員
そうすると、1とか3はアウトカムではない。3番は企業数。
○保険局総務課長
3も、ここはどこまで厳密にこの目標を捉えるかだと思いますが、3は企業とともに予防・健康づくりに取り組んでいくということで、大括りにアウトプットとしていますが、もしここで、例えばデータに基づく予防・健康づくりということであると、よりアウトカムに近づいてくるのかなと思います。確かに、ここはいろいろとどこで線を引くのか、先生おっしゃるとおり、なかなか難しいところかなとは思います。
 
○田宮委員
わかりました。ただ、目指すのは、本当の健康状態、住民の健康状態が本来のアウトカムですから、長期的にはそれをというお考えも今、お話しいただきましたけれども、そこを長期的には目指すということをきちんと把握していただいた上での、まずはこのアウトカムということであれば了解しましたので、長期的には本当の意味でのアウトカムを考慮に入れてお願いできればと思います。ありがとうございます。
 
○保険局総務課長
この目標の立て方なども、時代とともにまた考えていかないといけないことかと思いますので、御指摘も踏まえて、よく検討していきたいと思います。
 
○印南座長
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて、事前分析表への反映をお願いいたします。ありがとうございました。続きまして、「施策番号Ⅰ-10-2 生活習慣病対策等により中長期的な医療費の適正化を図ること」について、担当課のほうから5分程度で説明をお願いします。
 
○保険局医療費適正化対策推進室長
医療費適正化対策推進室長の吉川でございます。御説明させていただければと存じます。私ども、資料5-1と資料5-2を提出させていただいておりますけれども、資料5-1のほうはやや詳細でございますので、5-2の概要のほうを御説明させていただければと思います。資料5-2の3ページ目に事前分析表の概要の内容がございますので、そちらに沿って御説明させていただきます。本施策目標としましては、生活習慣病対策等により中長期的な医療費の適正化を図ることと設定してございます。現状及び背景でございますけれども、高齢者の医療の確保に関する法律、私ども高確法と略称して呼んでおりますけれども、そちらにおきまして医療保険制度等の持続可能な運営を確保するため、保険者・医療関係者等の協力を得て、住民の健康増進や医療費の適正化を進めるべく、6年を1期として、国において「医療費適正化基本方針」を定めるとともに、都道府県において「医療費適正化計画」を定め、目標の達成に向けて取組を進めているところでございます。ちょうど2024年度から第4期の医療費適正化計画の時期が始まったところでございまして、今年度から新たに都道府県、そして国において、こうした医療費適正化の取組を進めているところでございます。
2ポツ目でございます。医療費の急増を抑えていくためには、生活習慣病の予防対策が重要であることから、2008年度から、特定健康診査及び特定保健指導の実施を保険者に法律上義務づけているところでございます。特定健診・特定保健指導に関しましては、御案内のところかと存じますが、運動・食事・喫煙などに関する不適切な生活習慣が引き金となり、肥満、脂質異常、血糖高値、血圧高値から起こる様々な疾患の発症・重症化を予防し、医療費を適正化するため、保険者が共通に取り組む保健事業として設定しているところでございます。
いわゆるメタボ健診というところでございまして、これは保険者が健診結果により、様々なリスクに応じて対象者を選定して、対象者自らが健康状態を自覚し、生活習慣改善の必要性を理解した上で実践につなげるよう、専門職が個別に介入するのが特定保健指導となっております。
特定健診の受診者は全国で約3000万人、実施率は全保険者平均で58.1%が直近のデータとなっております。現状、目標として掲げております70%には及ばないものの、保険者、医療機関、健診実施機関、専門職等の取組によって着実に実施され、実施率は向上する傾向にございます。
一方、特定保健指導の全保険者平均の実施率は26.5%と、目標の45%を上回る優良な保険者もある一方で、保険者間の実施率の差が大きいといったことになります。ちなみに、こちらの実施率は、単純に一度面談をしたかどうかではなくて、最後までしっかり保健指導をやり遂げた方の割合が26.5%ということになります。
また、特定健診の受診者に占めるメタボリックシンドロームの該当者及び予備群の人数も増加傾向でございますが、2022年度のメタボリックシンドロームの減少率、これは2008年度を標準人口として比を取っているものでございますが、こちらは16.1%ということで、前年度と比較して2.3ポイントの向上となっております。
こうした背景を踏まえまして、課題としましては、特定健診の実施率は徐々に向上してきている一方で、特定保健指導の実施率は目標値との乖離がまだ大きい状態でございます。また、保険者間の差も大きく、特定保健指導の趣旨への理解が十分とは言えない状況でございます。また、特定健診・特定保健指導、共に被扶養者への実施が行き届いていないといった課題も従来からございまして、制度への一層の理解が必要だというふうに考えております。
今回、取り上げさせていただきました達成目標に関しましては、特定健診・特定保健指導を着実に実施し、保険者全体でさらなる実施率の向上を達成するということで、具体的な目標としても特定健診の実施率、特定保健指導の実施率などを掲げているところでございます。また、目標に乖離のある特定保健指導については、特に好事例の共有等を通じて理解の徹底を図ることによって、さらなる実施率向上を図っていきたいというふうに考えております。
説明としては以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○印南座長
ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御質問や御意見、お願いします。佐藤先生、お願いします。
 
○佐藤委員
産経新聞、佐藤です。御説明ありがとうございました。ちょっとよく分からないので教えていただきたいのですけれども、特定健診も特定保健指導も人数ベースで出ていますけれども、保険者ごとにフィックスでは出せないということでしょうか。
 
○医療費適正化対策推進室長
御質問ありがとうございます。保険者種別ごとのデータとしましては、資料5-2の10ページ目を御覧いただければと思います。こちらに保険者種別ごとの人数、そして各年度の実施率をお示ししているところでございます。また、さらに詳細な保険者ごとの実施率に関しましても、毎年度、ホームページ上で公表しているところでございます。
 
○佐藤委員
ありがとうございます。これを見ますと、保険者の種別で大分違いがある感じがしますが、特に市町村国保の低さについては、割とアプローチができる保険者さんかと思いますけれども、どうお考えでしょうか。
 
○医療費適正化対策推進室長
ありがとうございます。御指摘いただきましたように、健保組合・共済組合は高い傾向、一方で市町村国保や国保組合に関しては低い傾向となっております。まず、こちらの現状の分析でございますけれども、特定健診の実施率に関しましては、雇用者が行う職場健診に関しても、そのデータを保険者と共有した場合は特定健診の実施率に含められることとなっております。これは被保険者、働いている世代の方がより利便性が高く健診を受診できるような形の制度をつくっているといった観点であります。そうした観点から、健保組合や共済組合の方々は、職場での健診を実施して、そのデータが保険者に共有されることによって、特定健診の実施率としては高い形になるというふうに理解しております。一方、市町村国保に関しては、この値が十分ではないというふうな形で、これは様々な国保の担当者の方々にもお話を伺いましたけれども、自営業の方などに関しては、そもそも健診を受診に行くこと自体、かなりハードルが高いというふうな形で伺っております。それに関しましては、それぞれの国保が行っている事例など、どういうふうな工夫を行っているかということを我々、調査やヒアリングをした結果をとりまとめており、それをホームページなどに公表して、こういうふうな形で受診率の向上を図っている好事例があるので、ぜひ参考にしてほしいといった示し方をしているところでございます。まだまだ向上の余地があるところであるかと思いますけれども、着実に実施率の上昇を図っていきたいというふうに考えております。
 
○佐藤委員
ありがとうございました。
 
○印南座長
ほか、いかがでしょうか。田宮先生、お願いします。
 
○田宮委員
ありがとうございます。先ほどの私の質問とも関係して、パワーポイントの3ページですけれども、こちらは本当のアウトカム指標を掲げておられるので、チャレンジングだなと。主な指標と書いてありますけれども、3は主な指標にはなっていないんですけれども、この3つを指標として扱うということでよろしいですか。メタボリックシンドロームの該当者・予備群の減少率をアウトカムと書いているところについて、主要ではないけれども、やるという意味でしょうか。
 
○医療費適正化対策推進室長
御質問ありがとうございます。こちらの3つの指標に関しましては、事前分析表、資料5-1でも掲げておりますように、この3つを我々、重要な指標だというふうに考えております。こちらも先ほどの議題と共通するアウトプット、アウトカムの考え方、整理の部分にも関わってくるかと思いますけれども、より施策と直接的に関わるものとして、アウトプットとして特定健診の実施率、特定保健指導の実施率を示しておりまして、さらにその先で目指すべきは、人々の健康といった観点から、メタボリックシンドロームの減少率というものをアウトカムとして整理しているところでございます。
 どちらを主とするかに関しましては、こちらもいろいろと考え方があろうかと思いますけれども、保険者などがより具体的に取り組みやすい指標として、健診の実施率、保健指導の実施率の主要な指標として設定しているところでございます。
 
○田宮委員
分かりました。この整理だったら、私もすんなり行くので。3つをちゃんと指標として扱うけれども、より1と2を保険者さんに指標として説明するという感じでしょうか。確かに、アウトカムは難しいですね。もともとの性質といいますか、もともとの特性というのがありますから、なかなか評価は難しいところですけれども、こうやって出していただくのはとてもいいことかなと思いましたので、伺いました。了解しました。ありがとうございます。
 
○印南座長
ほか、いかがでしょうか。井深先生。
 
○井深委員
御説明ありがとうございます。先ほどの施策目標とも関係するので、お聞きしたいのですけれども、今日「確認すべき主な事項」というものを事務局から頂いていまして、最初に「施策目標の実現に向けて、どのような課題があるかを過不足なく記載できているか」という点があるので、その点について、お伺いしたいんですが。生活習慣病対策等により中長期的な医療費の適正化を図ることということが施策目標とされておりまして、それで達成目標というのが特定健診・特定保健指導を実施する。そして、保険者全体で実施率を向上していくということになっているかと思います。
 もともとの施策目標が生活習慣病対策等によりと書いているので、生活習慣病にもちろん焦点が当たるということは非常によく分かるのですけれども、具体的に医療費適正化計画のことも触れられているので、医療費適正化計画の中に入っている、ほかの部分については、こちらの達成目標の中に課題として整理されて、達成目標として、こちらで立てられるべきなのか、それともそうではないのかということをちょっとお聞きしたいなと思いました。
 具体的に、先ほど申し上げた後発医薬品の話は、1つ前の施策評価、施策目標で扱われる内容かと思うのですけれども、医療資源投入量の地域差の話であるとか、効率的な医薬品の使用に関しては、もしかしたら医療費適正化の枠組みの中で達成目標を立てられるというような考え方もあるのかなと思いまして、お伺いした次第です。
 
○医療費適正化対策推進室長
御質問ありがとうございます。御指摘のとおり、医療費適正化の基本方針は国が定めているところでございますけれども、この中には様々な施策が含まれている形になります。具体的には、資料5-2の4ページ目に主な記載事項、そして具体的な取組というものが書かれておりまして、大きく分けますと、住民の健康の保持の推進というものと、医療の効率的な提供の推進という形に分かれておりまして、さらにその中に特定健診・保健指導の実施率であったり、たばこの対策、予防接種、重症化の予防であったり、高齢者の疾病・介護予防など、様々な取組もございます。
 先ほど挙げていただきました後発医薬品というものに関しましては、医療の効率的な提供の推進というところに入っております。御指摘いただきましたように、これが医療費の適正化を図ることという形になりますと、ここに入っているもの、あるいはここには十分含まれていないものや、これから新たに出てくるものについても、含めるという考え方もあろうかと思っております。
 今回に関しましては、生活習慣病対策等によりということで、そちらをまずフォーカスして政策の目標を定めることによって、より具体的な目標を設定したり、どういうふうなアクション、行動計画を定めていくのかということも取りやすいようにという形で、ここに比較的フォーカスを絞った形の事前分析表を定めていくということになります。これ以外のものの必要性が低いというわけでは決してございませんけれども、一旦、この整理として、今後の達成目標を掲げた上での行動推進としては、ある程度フォーカスを絞る必要があるのではないかなというふうに考えて、こうした形で整理させていただいているところでございます。
 
○井深委員
ありがとうございます。4ページ目の2つに分けられている、この枠組みの住民の健康保持の推進にフォーカスされているということで、非常によく分かったのですけれども、医療の効率的な提供の推進ということも併せて大事だと思っておりますので、どこの施策目標と関連するかということについてはいろいろな考え方があるのかもしれないですけれども、どこかで目標の中の達成目標として反映されるということも考えていくことも重要なのかなと思った次第です。どうもありがとうございました。
 
○印南座長
はい。
 
○政策立案・評価担当参事官
政策立案・評価担当参事官です。御質問の件ですが、現行の政策体系では、例えば医薬品の適正使用につきましては施策大目標7-3で掲げております。今回の10-2につきましては生活習慣病対策等にフォーカスしておりますが、医療費適正化計画による医療費の適正化も含んでおります。整理の仕方がそういう形になっているところです。
 
○印南座長
よろしいでしょうか。それでは、担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて事前分析表への反映をお願いいたします。ありがとうございました。
 続きまして、「施策番号Ⅱ-4-1 生活衛生関係営業の振興等を通じて、公衆衛生の向上・増進及び国民生活の安定に寄与すること」について、担当課から5分程度で説明をお願いいたします。
 
○生活衛生課長
健康・生活衛生局の生活衛生課長でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、資料6-2の3ページの概要に基づきまして、まず御説明させていただければと思います。私どものほうで生活衛生関係の施策目標につきましては、施策目標1ということで、「生活衛生関係営業の振興等を通じて、公衆衛生の向上・増進及び国民生活の安定に寄与すること」が掲げられているところです。現状のところで、テーマは2つ設定させていただいています。
左側の生活衛生関係営業の衛生水準の確保・振興の件ですが、生活衛生の関係営業と申しますのは、飲食、理容、美容、旅館、公衆浴場、またクリーニングなどの業種を指すものでして、こうした事業者につきましては、多くが中小零細で、また個人営業の方も非常に多いということで、経営基盤が非常に脆弱であるということがございます。このため、個別法の食品衛生法などの衛生規制をやっていくのはもちろんですが、それと併せまして生衛法、生活衛生の関係営業の運営の適正化と振興に関する法律に基づきまして、これら生活衛生の営業者の経営の健全化を支援することを通じまして、衛生水準の維持・向上を図る形になっています。具体的には、各営業者の自主的な取組を促進する。この中では、業種ごとに県単位で同業組合を組織していただき、その業種の振興計画の策定をしていただくというものがございます。また、国といたしましても、各組合や各営業者の皆様を支援するため、予算、日本政策金融公庫での融資、または税制を通じて業振興を図っているところです。その振興の計画につきましては、※1のところで補足の説明をさせていただきますと、厚労大臣の方で業種ごとに、振興に係る指針をお示しし、それを踏まえて、各同業組合におきまして、組合員たる営業者の方々の営業振興を図るために必要な事業の計画を立てていただくことになっています。これは5年に一度のサイクルで策定いただきまして、その上で県知事の認定を受けることとなっています。足元での課題といたしましては、課題1のところですけれども、生衛業の衛生水準の向上のためには、当然、行政サイドも保健所等を通じた指導を様々行うわけですが、中小零細の企業も多いという中で、同業組合等を通じました互助・支援の取組を組み合わせながらやっていくことが必要になっているということ。また、生衛業の経営面を見ますと、経営者の方々は高齢化していたり、後継者の確保が非常に難しいという状況もございます。また、コロナ禍が明けましても、まだ厳しい経営状況にございまして、足元での物価高騰あるいは人材確保といったところが非常に難しいテーマになってきているところです。こうした点も踏まえて、デジタル化などを通じて生産性の向上なども取り組んでいく必要があるという状況です。これを踏まえまして、達成目標としましては、関係営業の衛生水準の確保、また振興等を図るという形にさせていただき、それに向けての測定指標としては、主要な指標として、各組合で策定いたします振興計画の業種別の認定割合をアウトプットの指標として設定させていただきたいと考えています。
それから、右側ですけれども、もう一つのテーマとして、建築物内部での衛生対策の推進がございます。私ども、建築物衛生法というものを所管していますが、多くの方々が御利用されるような規模感の建物の維持管理に関連しまして、例えば空調ですとか給排水の施設につきまして、遵守していただくべき衛生管理の基準を定めまして、建物内部の環境衛生の保持を図っているところです。また、2つ目のポツにございますように、こうした建築物の維持管理に関連する事業の中でも、清掃業、ビルクリーニングの分野につきましては、特に労働集約的なところがございますが、現在、非常に人手不足の状況にあり、数年前から特定技能の分野として外国人材の受入れを開始しているところです。課題につきましては、近年、建物の高層化などが進んでいる中で、空調設備や給排水の設備なども技術革新が行われている状況ですので、より高度な技術・知識が専門人材にも求められる状況になっています。また、ビルクリーニング分野で人手不足がこれ以上進むことになりますと、衛生状態の悪化等にもつながりかねないと考えているところです。その上で、達成目標につきましては、建築物衛生に関連する専門人材の育成を図りますとともに、ビルクリーニング分野では、人手不足の解消を図ることを通じまして、建築物内部の衛生環境の保持を図るとさせていただいています。その上で、測定の指標につきましては、3番のところ、建築物衛生法の中で、空調や給排水の設備などの様々な観点で衛生基準を満たしておらず、かつ、御利用される方々の健康を害するおそれがある事態と都道府県等が判断した場合には、改善命令等を発することになっていますが、こうした事態が発生することを極力少なくするということをアウトカムの指標とさせていただいています。また、もう一つ、4番で、ビルクリーニング分野の特定技能外国人の受入れの人数ということもアウトカムで指標とさせていただいています。
資料6-1のほうで、それぞれの測定指標の補足の説明をさせていただければと思います。2枚目ですけれども、1つ目の生活衛生関係営業の観点での指標につきまして、1番のところ、振興計画の業種別の認定率を主要な指標とさせていただいています。こちらは、生活衛生関係営業の中でも、近年、特に策定状況が悪い業種に絞った形で指標とさせていただいています。興行場、公衆浴場、旅館、その中でも簡易宿所の営業者。また、氷雪販売業という4つの業種に絞った形で認定の割合を増やしていくということで、足元では6割程度ですので、まずは、こちらを7割程度まで引き上げるという目標にさせていただいています。それから、3ページですが、先ほどの建築物衛生の関係の2つ目のテーマについての達成目標に関連しての指標です。3番のところで、建築物衛生法での都道府県知事による改善命令の件数としています。近年、10件未満になったことはない状況ですが、まずは、10件を下回るような形で推移できるようにやっていくことを掲げています。それから、4番のビルクリーニング分野での外国人受入れに関しましては、近年、少しずつ受入れが増えてきていますが、そうした近年のトレンドから、プラス20%程度を乗せて、できるだけ速やかに受入れが進むようにということで、8600人程度を令和7年度の目標として掲げているところです。説明については以上でございます。
 
○印南座長
ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御意見や御質問があればお願いいたします。大西委員、お願いします。
 
○大西委員 
御説明どうもありがとうございました。
 達成目標1の測定指標1に関して、背景となる基礎知識的なところに関連する質問となります。まず、振興計画を認定する場合、認定期間みたいなものがあるのでしょうか。例えば、振興計画を5年ごとに振興指針を改定する形で見直されるとすると、認定期間も5年を単位とするような形で、行政処分の際にそういう形で認定期間が設定されるのかということですね。
 もう一点は、認定期間が切れた場合には、当然、更新が必要になるかと思うんですけれども、業種によっては振興指針が見直される、改定されるごとの新たな振興計画の認定を得るための人的なリソースとか、その対応力が足りなくて、どうしても認定率が下がってしまうような業種があるのかどうか、存在するのかどうかということについて、ちょっと実情をお伺いできればと思います。
 
○生活衛生課長
御質問ありがとうございます。振興計画につきましては、基本的には国のほうで、5年ごとに指針を作った上で、各組合におきましても5年間という形で計画をお作りいただくことになっていますので、基本的には5年間のサイクルが回っています。
 その上で、今、目標に掲げていますような4業種につきましては、御指摘のとおり、ほかの業種に比べますと人的リソースが少ないと申しますか、組合に属する営業者の数が少ないところもございまして、これまでお作りになっていたところが振興計画の策定が途絶えてしまったところもありますし、一方で組合そのものの存続が難しくなり廃止になってしまったところもありまして、近年、分子・分母、両方の意味で数字は動いてきているというところかと思います。
 私どもといたしましては、そうした人的リソースで少し不利な面がある組合におきまして、しっかりとした計画をお立ていただけるように、できるだけの支援を引き続きしていくことが重要であると考えています。
 
○大西委員
その場合の支援の具体的な中身というのは、差し支えなければ、今、御説明可能な範囲で教えていただけると。
 
○生活衛生課長
私どもの予算でも、組合で様々な活動をするための予算。また、組合の全国組織で連合会というものがございますが、そうしたところが各組合に対して様々なサポートをするときの活動の費用を支援できる予算を持ち合わせているところでして、特にその中のテーマとしても、こうした計画を策定していないところができるだけ解消できるようにと、私どもといたしましては、まずは連合会にしっかりと働きかけをし、その予算も活用して策定に向けた指導をしていただくということになろうかと思います。
 営業環境そのものは、県をまたいだからといってあまり大きく変わるものではないかと思いますので、類似の例も参考にしていただきながら策定を促進していくことを全国の連合会と一緒にやっていく形になろうかと思います。
 
○印南座長
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、どうもありがとうございました。担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて事前分析表に反映をお願いいたします。ありがとうございます。
 本日予定しておりました議論は、全て終了いたしました。本日は、熱心に有意義な御審議をいただき、ありがとうございます。
 それでは、事務局より、本日の議論の取扱いについて説明をお願いします。
 
○政策立案・評価検討参事官室長補佐
本日いただいた御意見等の取扱いですが、まず、事前分析表(案)の記載に関する御指摘につきまして、担当課において必要な修正等をいたします。その後、御意見等への対応につきまして、本年夏に開催予定の本ワーキンググループにおいて事務局より御報告等の上、事前分析表につきましては、他の施策目標に係るものと併せて取りまとめの上、総務省への通知及び厚労省ホームページでの公表手続を進めさせていただきます。また、本日の会議の場で伝えきれなかった御意見等ございましたら、2月19日(水)までに事務局まで御連絡いただければと思います。説明は以上でございます。
 
○印南座長
これをもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもお疲れさまでした。