第8回柔道整復療養費のオンライン請求導入等に関するワーキング・グループ議事要旨(2025年2月27日)

日時

令和7年2月27日(木)14:00~16:00

会議形式

ハイブリット開催

議題

柔道整復療養費のオンライン請求導入等について(その3)

議事要旨

議事内容

事務局から「柔道整復療養費のオンライン請求導入等の中間とりまとめ案について」について、説明、主な意見・要望等については以下のとおり。


基本的な考え方について

  • 療養費と療養の給付とでは法律上の建て付けが異なっているものの、効率的で適正な審査支払業務を担うという意味で、療養の給付の事務フローを参考に、全国一本のシステムを構築するということは、実務的合理性が高いだろうと考える
  • オンライン請求導入に伴い、保険者や施術者を含めてどのくらいメリットがあるのか。現行の事務フローとの比較も含めて、費用対効果的な検証も含めて今後やっていくべきではないか
  • 今回の中間とりまとめ案は、あくまでワーキンググループの現時点におけるとりまとめであって、まだ議論を尽くしたものとは言えないと考える。来年度以降も引き続き議論していくことになるが、できるだけ期間を空けずに議論を継続して、早めに方向性を出していく必要がある
  • オンライン請求導入後の全体像というものが分かりづらい。事務局や構成員がそれぞれイメージしているものを、これから一致させなければならないため、事務局には全体像を示していただきたい
  • 健康保険法第87条の趣旨から、オンライン請求への参加はあくまで保険者裁量であるということが、最も重要な基本方針であると考える。保険者側から見てもメリットがあるものを作っていただければ、結果として全ての保険者が参加というものがついてくるのではないか
  • 請求と支払についてはオンライン回線、オンライン資格確認のネットワークインフラを活用することで、事務の効率化を図ることは可能だろうと思うが、保険者の権能が療養費と療養の給付とは異なる中で、支払基金で審査もやるということは、現行法令の下では無理なのではないか
  • 基本的な考え方に記載のとおり、1.療養費の確実な支払、不正行為の防止、2.事務の効率化、システム整備・運用の効率化、3.審査の質の向上、審査基準等の標準化、4.より質が高く効率的な施術の推進を目的・効果とすることが重要であるが、最も重要な視点は、国民にとってメリット、恩恵があるものにしなければならないことである
  • 各論点を議論したり、方向性を考えるに当たり、目的・効果にどう貢献していくのか、システム導入に際して本当に効率化されるのか、良くなるのかというのが分かりにくくなっているため、中間とりまとめ以降についてはそのあたりの検討を進めていくべき

審査支払機関の位置づけ、審査のあり方について
  • 審査支払機関は法律上、運用上の位置づけが明確でなく、連合会ごとに実情に応じた業務実態が存在している部分があるため、引き続き実態を聞きながら検討を進めていただきたい
  • 療養の給付型をベースに検討を進めることは合理的である。一方で、柔道整復療養費独自の仕組みもあるため、その辺りをうまく調整しながら、簡素で効率的なシステムを作っていければと考える
  • 各種の審査や点検等を導入する、あるいは全国標準的な審査基準を作成することについて、厚労省においては審査基準の明確化や審査委員会の権限の明確化について、取り組んでいただきたい
  • 法的には審査支払機関を通さなければならない仕組みとはなっていない。オンライン化したときに、柔整療養費の審査支払を委託しない保険者があると不合理な差異が残るため、それがないようにしていただきたい
  • 今後はオンライン請求を機に外部委託に頼らずに、保険者側も施術者側も納得できる審査委員会のあり方を協議していただきたい
  • 支払基金が審査を全て行うことが困難だという意見は承知しているが、中間とりまとめ時点で審査することを諦めるのではなく、国保連の事例も参考に、もう少し審査内容について議論し、どこまでなら審査が可能なのか整理して詰めていく必要があるのではないか
  • 事務局なり保険者なり施術側の関係者とより緊密にコミュニケーションを図り、審査支払機関、審査委員会がそれぞれどういった役割を担うのかということを、より明確化していく必要がある。そうして理解を深めていただければ、支払基金の非常に困難という意見も変わってくる可能性があるのではないか
  • 審査支払機関の役割についても相互に理解を深めていき、今後結論を出していく必要がある
  • 審査支払機関が国保連を意味しているのであれば良いが、支払基金が実施主体候補の基本と読めるのであれば、支払基金は審査支払機関には含まれないことを明確にしていただきたい
  • 保険者や国保連でどういうコンピュータチェックができるのかということをまず検討いただきたい。支払基金は、療養の給付でASPの受付チェックを実施しているが、そういうものまでできないと否定しているわけではなく、請求受付のところで機械的にチェックできるもの、やれるものがあれば、それは否定するものではない
  • 支払基金に審査を実施させることを既成事実化するものではないということを記載いただきたい
  • 「審査」は形式的な機械チェックの部分なのか、保険者権能に関わる部分なのかよく分からないため、その辺りを議論していくべき
  • 負傷部位や症状によって多部位や長期・頻回が多い場合や少ない場合、またはない場合などもあるため、単なるそれらのキーワードでコンピュータチェックを行うと、問題のない療養費支給申請書までチェックを受けてしまう。「不適切な多部位への施術や長期・頻回施術に関する審査」としていただきたい
  • 再審査について、オンライン請求の導入を機会に、コンピュータチェックや審査基準等を踏まえたルール、運用方法について、最終的には協定なりに明記いただきたい

過誤調整の取扱いについて
  • 過誤調整は円滑な支払業務に不可欠だが、柔整療養費においては、遡って大きな金額、返金を求められるケースもあるのではないかと考えられる。受領委任規定には保険者は速やかに給付の決定をするということが定められているため、大きな返還金を求めることがないように御配慮いただきたい
  • 不支給決定が行われた場合、施術者側が被保険者分を引かれると不足することがあるので、施術者側から被保険者への徴収方法も盛り込んでいただきたい
  • 過誤調整と相殺は異なるのではないか。相殺は、本来請求した被保険者、世帯主に支払わなければならないものが、他人が不支給決定したために、本来支払われるべき人のものから他人の分を差し引く行為であって、これは判例趣旨からも認められない
  • 法律改正をしない中で、当事者間での合意により軽微な事務的な誤りで限定的に過誤調整が認められることは協力できるが、他の患者の不支給決定での過誤調整は認められず、関係者の合意のみで療養の給付のような相殺は認められない。この過誤調整については不支給による返金の方法と事務的な間違いによる軽微な調整を分けて議論し、慎重な取扱いが求められる

署名・代理署名の取扱いについて
  • 資格確認書で施術を受ける場合や、災害などによって通信環境が整わない場合、そしてマイナ保険証、資格確認書を忘れた患者の取扱いなど、いろいろな想定を検討して対応策を示す必要がある
  • 「施術を受けた都度、委任を行うこと」について、取扱規程では「施術管理者は、患者から施術を求められた場合は、オンライン資格確認又はその者の提出する被保険者証によって療養費を受領する資格があることのみを確認すること」となっており、資格があるかどうかを確認することのみとなっている。「施術を受けた都度、委任を行うこととすべきである」は非常に強い表現であり、判断しかねる

紙請求等の取扱いについて
  • 紙請求との併存はしないということをお願いしてきているところ、厚労省においては十分な事前の環境整備を行っていただき、施行時においては、施術者が無理なくオンラインで請求できるように対応いただきたい

施術所管理について
  • 施術所管理等について、人に着目した管理から療養の給付等における保険医療機関同様、施術所単位での管理ということが実務上の効率性にも資するため、この方向での検討をお願いしたい
  • 現状、箱は保健所、人は厚生局と別々の管理になっており連携もない。システム化に際して、箱と人に番号をつけた場合に厚生局で一括して行うのか、それとも新しい機関を作るのか
  • 施術所と施術者を連携させて、施術所と施術者が変わったとしても一元的に管理が可能な仕組みを検討していただきたい

復委任について
  • 入金手数料について費用を要するが、これを各県の社団ごとや、認可制にすると随分入金手数料が減ることになる。保険者の支払いコストを軽減するという考えも入れていただきたい
  • 支払基金が支払代行をすることになった場合、委託手数料、振込手数料を保険者に請求することになる。その際にあまり高くない振込手数料となるような振込単位にしたほうが効率的であると考える
  • 介護保険制度や障害福祉サービス制度、他の制度でもそういった代理請求が行われているが、療養費は法的な位置づけや性質も異なるため、これらの制度で認められているから療養費で認める、という理由にはならないと考えている
  • 小規模施術所があるから、代理請求をしたいという意見があるが、そういったことがないように簡素で分かりやすいシステムを構築するというのが前提になるため、保険給付の請求を行う以上、各施術所も責任を持って直接請求をするべきである

その他の論点に係る検討の方向性について
  • 費用負担とスケジュールについて、業務やシステムの大きな変更を伴うため、少なくとも初期費用は国の全面的な責任において賄っていただくということが前提条件となる
  • 電子申請書管理について、支払基金では医療のレセプトの原本は保険者に渡している。療養費では国保と同じように被用者保険の保管・管理もできるのかということは、今後も議論していく必要がある