第34回肝炎対策推進協議会 議事録

健康・生活衛生局がん・疾病対策課肝炎対策推進室

日時

令和7年3月7日(金)10:00~12:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム
 東京都港区新橋1−18−1 航空会館501号室

出席者

委員
  • 赤羽 たけみ(宇陀市立病院長)
  • 秋山 実(健康保険組合連合会理事)
  • 五十川 正記(国立感染症研究所ウイルス第二部長)
  • 出田 妙子(薬害肝炎原告団)
  • 伊藤 公子(薬害肝炎原告団)
  • 及川 勝(全国中小企業団体中央会常務理事)
  • 考藤 達哉(国立研究開発法人国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター長、肝炎情報センター長)
  • 木下 真純(日本肝臓病患者団体協議会)
  • 坂上 博(読売新聞調査研究本部主任研究員)
  • 坂本 泰三(公益社団法人日本医師会常任理事)
  • 竹原 徹郎(大阪大学大学院医学系研究科教授)
  • 辰巳 創史(全国B型肝炎訴訟大阪原告団)
  • 新沼 かつら(日本労働組合総連合会労働条件・中小地域対策局長)
  • 萩部 義一(日本肝臓病患者団体協議会)
  • 日浅 陽一(愛媛大学大学院医学系研究科教授)
  • 梁井 朱美(全国B型肝炎訴訟九州原告団)
  • 山﨑 喜彦(日本肝臓病患者団体協議会)
  • 山下 輝夫(兵庫県保健医療部長)
参考人
  • 江口 有一郎(ロコメディカル総合研究所所長)

議題

(1)会長の選任及び会長代理の指名
(2)肝炎対策の国及び各自治体の取組状況について
(3)研究報告について
(4)その他
 

議事

議事内容
○安田肝炎対策推進室長 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまより、第34回肝炎対策推進協議会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課肝炎対策推進室長の安田です。冒頭の議事進行を担当させていただきます。
 本日の協議会は、委員の皆様におかれましては対面とオンラインの併用の形で開催させていただきます。また、傍聴される方やメディアの方に対してはYouTube配信をさせていただいております。
 本日は、ウェブ上で御参加される方もいらっしゃることから、接続状況により、画像・音声が乱れる場合がございますので、あらかじめ御承知おきいただければと思います。
 それでは、開会に当たりまして、健康・生活衛生局長の大坪から挨拶をいただきます。
○大坪健康・生活衛生局長 皆様、おはようございます。健康・生活衛生局長の大坪でございます。
 本日は、御多忙のところ、皆様、朝からお集まりをいただきまして、ウェブの皆様方にもお時間いただきまして、ありがとうございます。
 本日は、10月の改選以来の最初の会議ということになりまして、14名の先生方には引き続き御参画をいただけるということ、ありがとうございます。また、新たに6名の委員の方々に御参加をいただいております。後ほど御紹介をと思っておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の会議では、議事次第にございますように、国及び地方自治体における肝炎対策の取組状況につきまして事務局から御報告をさせていただきたいと思います。また、本日は、厚労科研を主催していただいています医療法人ロコメディカル総合研究所の江口先生に参考人として研究成果を御発表いただくこととしております。
 委員の皆様におかれましては忌憚のない御意見を頂戴できればと思っておりますので、本日、どうぞよろしくお願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございました。
 会議の進行に当たりまして、委員の皆様にお願いがございます。会議中、マイクはオフにしてください。また、御発言を希望される方におかれましては挙手を、ウェブ上で御参加の方は、ZOOMの画面の下のほう、リアクションをクリックした後、挙手ボタンを選択してください。その後、会長より指名されましたら、マイクをオンにしていただき御発言をお願いします。御発言の際には、お名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくりお話しいただければ幸いです。より多くの委員の御発言の機会を確保するため、可能な限り簡潔に御発言いただければと存じます。
 操作などの御質問がある場合は、事務局までお問合せください。
 続きまして、本日は、協議会委員の改選後初めての開催となりますので、委員の皆様の御紹介をさせていただきたいと思いますが、お手元の名簿の配付にてかえさせていただきたいと思います。
 新規に御参画いただきます6名の委員の方におかれましては、恐縮でございますが、一言ずつ簡単に挨拶いただければと考えております。
 まず、五十音順で恐縮ですが、宇陀市立病院長の赤羽たけみ委員、お願いします。
○赤羽委員 御紹介ありがとうございます。宇陀市立病院の赤羽たけみと申します。
 私は、昨年度まで、奈良県の拠点病院であります奈良医大附属病院の消化器内科におりまして、そのときに奈良県の肝疾患相談センターの医師として、行政やそのほかの関連の病院、その患者会であったり、様々な肝炎対策に携わってまいりました。また、宇陀市に参りまして、地域医療に貢献するとともに院内の肝炎医療コーディネーター、たくさんのコーディネーターと共に肝炎対策に携わっておりますので、どうぞ皆様よろしくお願い申し上げます。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。続きまして、国立感染症研究所ウイルス第二部長の五十川正記委員、お願いいたします。
○五十川委員 国立感染症研究所ウイルス第二部の五十川と申します。
 私はずっとB型肝炎の研究に携わってきております。基礎研究のほうで長年貢献させていただいております。
 来年度から国立感染症研究所がJIHSに変わるということになりますけれども、引き続き基礎研究のほうを通して肝炎患者の皆様に貢献できればと考えております。よろしくお願いします。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。続きまして、薬害肝炎原告団の伊藤公子委員、お願いいたします。
○伊藤委員 おはようございます。初めて薬害肝炎原告団の委員になりました伊藤公子と申します。私はC型肝炎患者の家族になります。家族の立場からいろんな発言をさせていただけたらと思いますので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。続きまして、日本肝臓病患者団体協議会の木下真純委員、お願いいたします。
○木下委員 おはようございます。私は、肝炎兵庫友の会に所属しております日肝協の木下と申します。私は13歳でB型肝炎ということが判明しまして、それから経過を経まして、今、看護師として地域のクリニックで働いております。何かのお役に立てることがあるとうれしく思います。よろしくお願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。続きまして、同じく日本肝臓病患者団体協議会の萩部義一委員、お願いいたします。
○萩部委員 皆さんおはようございます。日本肝臓病患者団体協議会の萩部義一と申します。私は、東京の肝臓友の会、それから八王子の肝友会の運営にも携わっております。私、核酸アナログ、実は25年飲み続けておりますので、さらに肝炎コーディネーターのほうも、今、患者として持っておりますが、その前は実は職域もちょっと持っていたりしておりますので、皆さんの代弁として発言ができるよう頑張りたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。最後となります、全国B型肝炎訴訟九州原告団の梁井朱美委員、お願いいたします。
○梁井委員 おはようございます。B型肝炎訴訟原告団の梁井と申します。今回初めてでございます。私はB型肝炎で、抗ウイルス薬のおかげで、「ウイルス検出せず」までウイルスの量は減っております。ただ、出産の際に子供たちに肝炎を感染させておりまして、今では、ワクチンも進んでおりまして若い方の患者さんというのは少なくなっているのですけれども、まだ少しずつ肝炎患者さんがいるし、娘のことも考えて、若い人たちのためにも何かお役に立つことをやっていきたいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございました。続きまして、委員の出席状況について申し上げます。
 本日は、郡山千早委員、西垣明子委員から、御都合により御欠席の御連絡をいただいております。20名のうち18名の委員に御出席をいただいております。定足数に達しておりますので、本日の会議は成立いたしますことを御報告いたします。
 また、本日は参考人として、ロコメディカル総合研究所の江口有一郎先生に御出席いただいております。
 続きまして、本日の資料について確認させていただきます。議事次第、委員名簿、座席表、配付資料一覧、それぞれ一枚ものが4枚あるかと思います。続いて、資料番号振っておりますものが資料1から資料3までございます。そのほかに、参考資料1から9までとなっております。
 以上が本日の配付資料となります。不備等ございましたらお申しつけいただければと思います。
 また、この後、議事に入らせていただきますが、ここまでのところで接続状況の不具合や操作方法等で御質問ございましたら併せてお申しつけいただければと思います。
 それでは、まず議題1「会長の選任及び会長代理の指名」でございます。参考資料3として「肝炎対策推進協議会令」を配付しておりますが、その第2条におきまして、協議会に会長を置き、委員の互選により選任すると規定されております。本規定に基づきまして、委員の互選により会長を選任いただきたいと思いますが、どなたか御推薦ございますでしょうか。発言される方は挙手いただきますようお願いいたします。
 日浅委員、お願いいたします。
○日浅委員 日本肝臓学会理事長でもいらっしゃいます竹原徹郎委員を推薦させていただきたいと思います。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。ただいま、日浅委員から会長に竹原委員を御推薦いただきましたが、皆様、御異議ございませんでしょうか。
(委員首肯)
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。それでは、御承認いただきましたので、竹原委員に本協議会の会長をお願いしたいと思います。
 それでは、竹原委員、この後の議事進行をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○竹原会長 承知いたしました。会長を務めさせていただきます竹原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、会長代理についての指名をさせていただきたいと思います。今ここに挙げていただいております参考資料の肝炎対策推進協議会令の第2条第3項において、会長に事故があるときには、あらかじめその指名する委員がその職務を代理すると規定されております。本規定に基づきまして、考藤委員を会長代理に指名させていただきたいと思います。考藤委員、よろしくお願いいたします。
○考藤委員 考藤でございます。謹んでお受けいたします。よろしくお願いいたします。
○竹原会長 よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。本日の協議会では、事務局より御案内されている議事に従って進めさせていただきますけれども、まず肝炎対策の国及び各自治体の取組状況について御説明をいただきます。それから、江口参考人より研究成果の御発表をいただくことになっております。
 それでは、まず議題2ですけれども、肝炎対策の国及び各自治体の取組状況ついて、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
 なお、本日の協議会の開催に当たりまして、患者を代表されています委員の皆様より、要望書をあらかじめ頂戴しております。事務局からの説明の前に、まず要望書の内容につきまして委員からの御発言はございますでしょうか。
○山崎委員 失礼いたします。日肝協の山崎と申します。
 資料3の要望書につきましての御説明をさせていただきます。3団体の委員から7名の連名で要望書を提出させていただいております。大変申し訳ありませんが、最初に訂正のお願いがあります。
 裏面の2番、上から11行目ですけれども、その最初のところに、「ウイルス検診率が低く」と、「低く」を加えてください。それから、「肝がん死亡率ともに」のところに、「が高い」ということで、「ともに」を「が」に訂正をお願いいたします。分かりますでしょうか。すみません。
 それでは、かいつまんで御説明をさせていただきます。要望の趣旨につきまして、本協議会の場で以下の3点を説明させていただきたいと思います。1「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の要件緩和後の実績と今後の見解について」、2「肝炎医療・肝炎検査の均てん化に向けた具体的な施策について」、3「ウイルス性肝炎患者等の重症化予防事業の推進に係る今後の対策について」ということで、要望の理由から言いますが、時間もない関係でかいつまんで話をさせていただきます。
 1の「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の要件緩和後の実績と今後の見解について」の部分ですが、今年度、2024年度4月から要件緩和をされましたので、その後の全国的な実績については本日御説明があるかと思いますが、まだこの会で報告がなされておりませんので、要件緩和以降の利用実績についての報告、状況の説明及び厚生労働省としての見解を求めたいと思います。
 裏面に移ります。2番、「肝炎医療・肝炎検査の均てん化に向けた具体的な施策について」ですが、まだ十分な制度の利用が進んでいません。よって、下のほうに移りますが、ウイルス検査、検診率が低くて、肝がん死亡率が高い都道府県や区市町村も散見されますので、大きな改善が見られていない状況にあります。そこで、ウイルス検診率、肝がん死亡率ともに大きく改善された上位の取組事例を下位に紹介するなど、踏み込んだ施策も必要ではないかと思われます。肝炎検査・肝炎医療の均てん化に向けた具体的な施策についてお聞かせいただきたい。
 それから、3番目の「ウイルス性肝炎患者等の重症化予防事業の推進に係る今後の対策について」ですが、これも制度が始まってから随分になるのですが、まだまだ利用が促進されている状況にありません。肝炎の重度化予防を推進するためにも、手続の簡素化、助成回数の増加等、見直しを御検討いただき、さらに今後の取組についても事業の推進に向けた見解をお聞かせいただきたいと思います。
 以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○竹原会長 山崎委員、御説明ありがとうございます。それでは、ただいまの要望書の内容を踏まえまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 事務局です。それでは、資料1に基づきまして説明をいたします。
 本日の協議会は、肝炎対策基本指針に定められた取組の状況について、国は定期的に報告することとされております。これを踏まえまして、国及び地方自治体における肝炎対策の取組状況について御報告をさせていただきます。また、今後の肝炎対策の進め方などについて御議論いただければと思います。
 今回、資料のページが多くなりまして、細かな点に関しては十分御説明できないところもあるかと思いますが、適宜資料全体を御参照いただきながらお聞きいただければと思います。
 それでは、資料1の2ページから6ページまでが肝炎の総合対策についてということで説明をさせていただきます。まず2ページです。
 肝炎についての概要でございます。B型肝炎、C型肝炎のキャリア数につきましては、合わせて200万から250万人という推計がございます。右下の円グラフですが、肝がんの原因内訳でございますけれども、C型肝炎ウイルスが39%、B型肝炎ウイルスが12.5%、その他のアルコール性や非アルコール性脂肪肝炎が48.5%と、こういう状況となっております。
 続きまして3ページです。こちらはB型肝炎、C型肝炎についての患者数や治療法などをまとめた資料でございます。御参照いただければと思います。
 続きまして4ページでございます。肝炎ウイルス感染から肝がんに至るまでの病態の進行に応じた施策をまとめた資料でございます。原則無料で、肝炎ウイルス検査を実施していますが、検査結果が陽性の場合の精密検査、あるいは経過観察を要する場合の定期検査に要する費用への助成、核酸アナログ製剤治療やインターフェロンフリー治療への医療費助成、肝がん・重度肝硬変治療への医療費助成などを実施しております。
 これに加えまして、下のほうですが、B型肝炎特措法、あるいはC型肝炎特措法の対象者に対する給付金の給付なども行っております。
 続きまして5ページをお願いします。こちらの資料は肝がんの年齢調整死亡率を都道府県ごとに表した資料でございます。上に平成25年から令和5年までの年齢調整死亡率の平均値を記載してございますけれども、次第に下がってきているという状況で、平成25年には人口10万人に対してで6であったところ、令和5年は3.3という状況でございます。
 続きまして6ページ、令和7年度肝炎対策予算案についてです。この予算案については、現在、国会において審議中ではございますけれども、政府提出の予算案ということで説明をさせていただきます。
 肝炎対策につきましては、資料の上のところ、「基本的な考え方」に書いてありますとおり、肝炎対策基本指針に基づきまして、肝硬変、肝がんへの移行者を減らすことを目標として、5つの柱に沿って取組を進めております。その柱に沿ってこの予算立てをしているところでございます。
 総額が162億円ということで計上しております。5つの柱として、1つ目が肝疾患治療の促進について、肝炎治療の医療費助成及び肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業、これは合わせて80億円となってございます。括弧書きが昨年度の額となりますので、これに比べてもらえば分かりますが、令和7年度予算案では4億円の減額となっております。
 この点につきましては、特にC型肝炎については、インターフェロンフリー治療によりましてウイルスの排除が可能となっておりますから、患者数の減少ということもありまして、実態に応じて必要な予算を確保しているということでございます。
 2つ目が肝炎ウイルス検査と重症化予防の推進、こちらで39億円、3つ目として地域における肝疾患診療連携体制の強化、こちらで5億円、4つ目として、国民に対する正しい知識の普及に2億円、5つ目の研究の推進に36億円の予算を計上しているところでございます。
 続いて7ページ、8ページでございますが、こちら、都道府県の肝炎対策に係る計画等についてとなります。7ページですが、都道府県の肝炎対策に係る計画や目標、目的の策定状況について調査を行った結果を取りまとめてございます。全ての都道府県において肝炎対策に係る計画や目標策定をいただいております。各都道府県が策定した主な計画や目標につきましては、別途参考資料5として配付させていただいております。また、今回、計画や目標に加えまして、その目標の達成状況についても各自治体から報告をいただいて取りまとめております。これも参考資料5としてまとめておりますので、併せて御覧いただければと思います。
 次に8ページでございます。都道府県における肝炎対策協議会の開催状況、構成メンバー、あるいは主な議題を取りまとめたものとなっております。
 続いて9ページから26ページまでが肝炎ウイルス検査についてとなります。まず、9ページでございますが、肝炎ウイルス検査の概要となります。いずれも地方自治体が行うものですが、健康増進事業として市町村が実施するものと特定感染症検査等事業として、都道府県、保健所設置市、特別区が行うものがございます。
 10ページです。地方自治体の肝炎ウイルス検査の受検者数でございます。自治体のウイルス検査の受検者数は、令和4年度は全体で、B型で78万6,219人、C型で77万620人となっています。引き続き受検促進について取組を進めてまいりたいと思います。
 次に11ページです。地方自治体の肝炎ウイルス検査の陽性率の推移でございます。令和4年度を見ますと、B型肝炎については0.51%、C型肝炎につきましては0.19%と、傾向としては引き続き低下傾向となっております。
 続きまして12ページでございます。B型肝炎ウイルス検査の受検者数を県別に表したものでございます。
 13ページは、この県別の受検者数につきまして、特定感染症検査等事業と健康増進事業、いわば保健所で実施するものと市町村の健康増進事業として実施するものの内訳を示したものとなります。
 12ページ、13ページがB型肝炎ウイルスについてのものとなりまして、同様のものが14ページと15ページ、こちらでC型肝炎ウイルスについての県別のデータとその事業別の内訳を示してございます。
 続きまして16ページ、17ページですが、今申し上げましたウイルス検査の20歳以上人口比で示したものとなります。
 続きまして18ページでございます。こちらが都道府県、保健所設置市、特別区において、この特定感染症検査等事業として実施している検査の実施状況になります。
 次の19ページは、今度は市区町村の健康増進事業として実施する検査の実施状況でございます。資料にあるとおりですが、1,628の市区町村で肝炎ウイルス検査を実施していただいておりまして、引き続き各市区町村での検査体制の整備をお願いしたいと考えております。
 20ページ、21ページにつきましては、各自治体における肝炎ウイルス検査の周知方法をまとめております。健康増進事業におきましては、特に個別の案内や勧奨の実施が多くなっていると思われます。
 続きまして22ページと23ページです。こちらは利便性を高める取組についてまとめております。特に他の検査との同時検査という取組が多くなっております。
 続きまして24ページでございます。こちらは職域検査促進事業の概要と実施状況でございます。職域への啓発活動を実施していただいておりますけれども、令和5年度におきましては、16の都道府県と6つの保健所設置市で事業を実施していただいております。
 続きまして25ページです。令和4年3月に肝炎対策基本指針を見直しました。その際、職域におけるウイルス性肝炎に対する一層の推進といったものが盛り込まれております。そうしたものも受けまして、関係団体に対して職域における周知及び協力の要請をさせていただいているものでございます。
 26ページ、こちらは令和5年3月に関係団体に対して、手術前に行う肝炎ウイルス検査での結果説明、またその受検、受診勧奨について周知しているものとなります。
 続きまして、27ページから36ページまでが重症化予防の推進についてになります。まず27ページですが、肝炎患者等の重症化予防推進事業の流れについて記載しています。肝炎ウイルスの陽性者を早期に発見するため、ウイルス検査をまず行います。その後、陽性者の方に、御本人の同意をいただいて、フォローアップを実施する。そして精密検査費用の助成や経過観察が必要な方への定期検査費用の助成などにより重症化予防を促進するというものでございます。
 続きまして28ページですが、この初回精密検査費用助成と定期検査費用助成制度について、これまでの拡充内容などをまとめた資料となっております。
 続きまして29ページでございます。重症化予防事業の実施状況となりますけれども、初回精密検査、定期検査につきまして、自治体における単独事業も含めますと、令和3年度より全ての都道府県で実施されております。
 また、30ページは初回精密検査費用の助成の都道府県別の受給者数になります。表で色分けしているのはその内訳となっております。
 次の31ページですが、これは直近3年間の都道府県ごとの実績を記載しております。
 その次の32ページ、こちらは定期検査費用助成の県別の受給者数、そして33ページが直近3年間の実績となっております。
 34ページは初回精密検査の勧奨方法、そして35ページは初回精密検査後の受療が必要となった方に対する勧奨方法についてまとめたものとなります。
 36ページですが、こちらは母子健康手帳についてとなりますが、厚生労働省令で様式を定めています省令様式のほかに、日常生活上の注意や乳幼児の養育に必要な情報を示した面を別に設けるとされておりまして、この任意の様式、任意様式を令和5年度に見直しを行いまして、妊婦健康診査における肝炎ウイルス検査をやっていただいているところですけれども、その支援制度ですとか相談先等の情報を掲載しているところでございます。
 ここで、関連して、資料3の要望書について説明いたします。御要望事項の3として、「ウイルス性肝炎患者等の重症化予防事業の推進に係る今後の対策について」、具体的な手続の簡素化、あるいは助成回数の増加等について御要望をいただいています。手続の簡素化という観点について、先ほど説明いたしました定期検査費用助成については、世帯の市町村民税課税年額が23万5,000円未満といった要件がありますことから、世帯構成員の住民票であるとか、あるいは課税証明書の写しを申請いただく際に提出していただく必要があります。
 これについて、なかなか手間である、あるいは負担であるといったことも御指摘いただいているところでございますので、こういった面から簡素化できないかということを今回受け止めてちょっと検討したいと思っております。
 また、助成回数の増加についてでございますが、この定期検査費用助成については年2回とされております。ただ一方で、肝がん診療ガイドラインにおいては、超高危険群に分類されます肝硬変は年3回から4回の検査が提案されているとも承知しておりますので、こういったことも踏まえながら、いただいた御要望については引き続き検討させていただきたいと思っております。
 続きまして、37ページから43ページまでが肝疾患治療の促進についてであります。37ページを御覧ください。左側に肝炎治療特別促進事業の概要がありまして、右側にその医療費助成の受給者証交付件数を記載してございます。このインターフェロンフリー治療につきましては減少しておりまして、令和5年度については7,904件という状況、あと、インターフェロンにつきましては、既にかなり数は減っておりますが、令和5年度では84件、一方で核酸アナログ製剤治療につきましては、引き続き高止まりというか、令和5年度でも8万8,920件という状況になっております。
 続きまして38ページですが、今申し上げましたそれぞれの治療につきまして、都道府県別の受給者数をまとめたものとなっております。
 39ページは核酸アナログ製剤の処方患者数に対しての核酸アナログ製剤治療助成受給者証を持っている方の割合を県別に表したものでございます。
 40ページが同様にインターフェロンフリー治療の処方患者数に対して同様の受給者数の割合を示しているものとなります。
 41ページは、肝炎治療特別促進事業の対象医療について、昨年の12月に発出した事務連絡となります。これは肝炎治療特別促進事業の対象医療として、これまでも抗ウイルス治療を行うために必要又は関連のある検査であると判断されるものは対象とするとしておりましたが、これについて改めて再度周知を行ったものとなります。
 42ページ、43ページでございますが、こちらは長期収載品の選定療養におけます肝炎治療特別促進事業の助成対象について、B型肝炎の核酸アナログ製剤であるバラクルード錠がこの選定療養の対象となりましたので、それに伴いまして保険給付から外れる部分については、この医療費助成の対象からも外れるということを周知しているものとなります。
 続きまして44ページから48ページまで、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業について御説明いたします。こちらも資料3の要望書の中で、要望事項1として「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の要件緩和後の実績と今後の見解について」というものをいただいておりますので、それにも触れながら説明いたしたいと思います。
 44ページですが、この事業の概要となります。下のほうに書いてありますとおり、昨年の4月から要件を緩和しまして、これまで、過去1年間で3月以上高額療養費の限度額を超えることを要件としておりましたが、昨年4月からは、過去2年間で2月以上と緩和いたしました。また、今年度からは新たに普及促進のための事業ということもしておりまして、各拠点病院等での取組を支援しております。
 実際の実績ということで45ページになりますが、この要件緩和後の直近の実績をまとめております。赤枠で囲っておりますが、令和6年4月から11月までに新規に認定された方は、令和5年度の553件に比べて701件と増加しております。まだ8か月分での集計ですが、既に昨年度を上回っているという状況になります。
 また、令和6年度については4月から11月までの各月の状況も記載しておりますが、それぞれ新規認定者の欄には括弧書きを入れておりまして、この括弧書きは令和5年度の同月の件数を入れております。これを見ておりますと、令和6年度については、昨年度と比べておおむね2倍の新規認定がなされているのではないかと考えております。引き続き利用促進に努めてまいりたいと考えております。
 続いて49ページから62ページまでが肝疾患診療体制の整備についてとなります。49ページでございますが、肝疾患診療連携拠点病院につきましては、各都道府県に1か所以上選定しまして、肝疾患専門医療機関は二次医療圏に少なくとも1か所以上確保することが望ましいとしております。資料にもありますとおり、診療所、病院等々、複層的にそれぞれの役割に応じて肝疾患診療連携体制を地域において構築していただいているところでございます。
 50ページですが、上のところに基本指針の抜粋を記載しています。基本指針では、国及び肝炎情報センターは都道府県間での肝炎医療の均てん化に資するように、その実施状況に鑑みて適切な情報提供や助言を地方公共団体あるいは拠点病院に対して行う、また、必要な意見交換を行うということを規定してございます。
 肝炎対策に係る課題の把握ですとか、肝がん事業の助成実績の向上に向けた対応を検討するために関係者との意見交換会を実施しておるところでございます。
 51ページでございますが、肝炎情報センターの戦略的強化事業の概要となります。令和6年度も、先ほどの意見交換会の実施をはじめ、肝炎医療の均てん化を図るために肝炎情報センターが都道府県における肝炎対策の実施状況を把握して、策定指標を基にした評価を行う、それに併せ、さらに都道府県が肝疾患診療連携拠点病院ですとか、あるいは地域の医療機関等との連携対策を構築するための支援を行うこととしているところであります。
 続きまして52ページでございます。拠点病院等連絡協議会の開催状況、構成メンバー、主な議題などについてまとめているものとなります。
 53ページは令和5年度の拠点病院と専門医療機関の選定状況になります。拠点病院につきましては、今、全国で72か所、全ての都道府県で選定されております。専門医療機関については全国で3,249か所、選定されているところでございます。
 次に54ページでございます。今申し上げた都道府県においての専門医療機関の指定状況でございますけれども、その要件につきましては、全ての都道府県で厚生労働省の通知に掲げている全ての要件を満たしていると回答いただいております。
 続いて55ページでございます。ここからは肝炎医療コーディネーターに関する資料が続きます。55ページはコーディネーターの概要資料となります。
 56ページを御覧ください。肝炎医療コーディネーターの養成数になります。47都道府県全てで肝炎医療コーディネーターの養成が行われておりますが、令和5年度は3万8,805名が養成されているところでございます。
 57ページですが、コーディネーターの職種をグラフにしたものになります。肝炎医療コーディネーターの養成数増加によって全体的に数値が増加しておりますが、特に傾向としては、歯科医師ですとか介護福祉士、福祉関係者の増加が見られるところでございます。
 続いて58ページですが、今の肝炎医療コーディネーターにおける肝炎患者等の参画状況でございます。33都府県において303名の肝炎患者等がこのコーディネーターとして養成されていまして、主な活動内容としましては、右側にありますように、普及啓発、こういったものが多くなっているところでございます。
 59ページを御覧ください。肝炎医療コーディネーターの養成等に関してとなります。研修の内容や研修の開催方法といったことについてまとめております。
 次に60ページですが、肝炎医療コーディネーターの認定等に関してとなります。定期的に更新を行う県が増えているというところでございます。
 61ページにつきましては、肝炎医療コーディネーターの技能の向上、活動支援について、また、62ページについては肝炎コーディネーターの活動場所と活動割合についてまとめておりますので御覧いただければと思います。
 また、要望書でいただいています要望事項2の肝炎医療・肝炎検査の均てん化に向けた具体的な取組について、関連して御説明いたします。
 先ほども説明で触れましたが、肝炎情報センター戦略的強化事業におきまして、肝炎対策地域ブロック戦略会議、こういったものを開催して、都道府県であるとか、あるいは拠点病院における取組の横展開を図るなどを進めております。
 また、ブロック単位ではなくて、個別の都道府県単位でも、肝炎対策推進室、あと肝炎情報センターが出向きまして、都道府県、あるいはそこの拠点病院とともに意見交換を行いまして、その地域の課題について率直に話し合い、都道府県と拠点病院の連携強化につながるような取組を進めておるところでございます。
 また、これまでの資料でお話ししましたが、肝炎ウイルス検査であるとか各種の費用助成について、都道府県別にデータを出していますので見ていただければ分かるとおりですが、都道府県ごとに実施状況にも様々なばらつきがあります。人口比などもありますので、これがすなわち、数字自体が都道府県の取組の度合いを表すということに必ずしもつながらないかもしれませんが、相対的に見て、実施状況が相対的に遅れているという自治体に対しては、何が要因なのかというものを個別にヒアリングなど行って聞き取って、例えば都道府県と市町村との間で連携がうまくいっていないのではないかというような課題があるということも少し見えてきたりもしておりますので、こういった点について何か支援ができないか、取組が進められないかということを検討したいと今考えているところでございます。
 続きまして、63ページから75ページまでが普及啓発になります。63ページですが、肝炎総合対策推進国民運動事業の概要でございます。具体的には「知って、肝炎プロジェクト」という通称で呼んでおります事業になりますが、歌手・俳優でいらっしゃいます杉良太郎さんを特別健康対策監といたしまして、多くの著名人の方々に肝炎対策の普及啓発に御協力をいただいております。
 64ページは、この「知って、肝炎プロジェクト」のこれまでの取組状況を地図に落とし込んだものになります。
 65ページからは令和6年度の「知って、肝炎プロジェクト」の活動についての報告の資料を掲載しております。
 66ページですが、例年7月28日が日本肝炎デーとなってございますけれども、これに合わせて、その前後の期間で啓発イベントを開催しております。
 67ページ以降ですが、「知って、肝炎プロジェクト」は平成28年度から各都道府県と連携して集中的な広報活動を行ってきておりますが、集中広報県というのを指定して連携して取り組んできたところです。令和4年度からは、この集中広報県の指定による取組をさらに発展させまして、積極的に広報を実施したいという自治体を私どもとしても後押しするということで、保健所設置市も対象としながら、そういった自治体を選定して進めてまいったところでございます。引き続き各世代や地域の取組に応じた啓発を実施したいと考えております。
 72ページですが、肝炎患者等の人権の尊重に関する取組になります。肝炎対策基本指針におきましては、肝炎患者等の人権を尊重するためにどのようにふるまうべきかを考えて学ぶことが重要といった観点も盛り込んでおります。令和6年版の人権教育啓発白書にも引き続きこの肝炎に関する記述を盛り込んでいただいております。引き続き連携して、肝炎患者等の人権尊重に取り組んでまいります。
 73ページでございます。厚生労働省の具体的な取組として、厚生労働科学研究、政策研究で肝炎ウイルス感染者に対する偏見や差別の解消のための肝炎患者を対象としたアンケート調査、あるいは患者団体に寄せられた相談事例の解析を行っております。これらをもとにホームページやソーシャルメディア、SNSを使用した発信を行ったり、あるいは公開シンポジウムの開催をしているところでございます。
 74ページですが、集団予防接種によって、感染以外を含むB型肝炎に対する正しい知識の普及を図ることを目的に、中学校向けの肝炎教育に関する副読本「B型肝炎いのちの教育」というものを、全国B型肝炎訴訟原告団の皆様の御協力のもとで作成しております。こちらの副読本は、毎年度文部科学省と連携して、全国の中学校3年生の教員の皆さんに配布するとともに、希望があれば生徒分の配布も行っているというところでございます。
 この副読本を用いた授業の実施につきましても、患者団体の皆様によりまして、いわゆる患者講義、こういった派遣をさせていただいておりまして、希望する学校に対して随時実施させていただいております。
 続いて76ページからが最後のパートとなりますが、研究開発についてでございます。
 76ページですが、こちらは肝炎対策における研究事業の位置づけについてお示ししております。肝炎対策基本法に基づいて策定されました基本指針、これがもとになるわけですが、さらに研究についての方向性は、「肝炎研究10カ年戦略」というのを平成23年に定めております。さらにこれを令和4年の5月に「肝炎研究推進戦略」として改定しているところでございます。
 77ページですが、令和4年5月に策定しました「肝炎研究推進戦略」における目標についてでございます。WHOが公衆衛生上の脅威としてこのウイルスの排除達成を2030年までの目標として掲げていることを踏まえまして、具体的な目標等々を設定しているところでございます。
 78ページですが、こちらは厚生労働科学研究の政策研究における政策課題の一覧になっております。
 また、79ページ以降はAMEDのほうで実施しております肝炎等克服実用化研究事業の内容となります。肝炎等克服緊急対策研究事業として60課題、B型肝炎創薬実用化等研究事業として24課題を実施しているところでございます。
 駆け足となりまして恐縮ですが、資料3についての説明は以上となります。
○竹原会長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 竹原会長、こちら、梁井委員から挙手があります。
○竹原会長 梁井委員、よろしくお願いいたします。
○梁井委員 B型肝炎訴訟原告団の梁井です。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、資料1の5ページ、肝がん年齢調整死亡率について及び6ページ、令和7年度予算案の概要の5、研究の推進についてお尋ねいたします。
 人口50万人に対する肝がん年齢調整死亡率が平成25年から令和5年までの11年間で6.0から3.3と約半減していることは高く評価できることです。しかし、令和5年度だけを見ると、2.2の県もあれば5.0の県があるなど、約2倍の格差が生じています。この格差は、感染率が地域によって異なるという以外に、ほかにどのような理由をお考えでしょうか。そして、この格差を是正し、肝炎医療の均てん化を図るために今後どのような手だてを講じられるのでしょうか。これまでもブロック会議で情報提供されていると思いますが、改善の見込みなどはあるのでしょうか。自治体によっては、個別勧奨などを徹底して行うなど特別な工夫や施策を講じておられると考えられますが、それの横展開を図るなどして、全ての都道府県の肝がんによる死亡率の低下につなげていただきたいと思います。
 それから、資料1の6ページ、令和7年度予算案の概要5、研究の推進についてです。令和7年度の研究の推進に係る予算要求額は45億円でした。それがどうして本年度予算の38億円よりも少ない36億円に減額される結果となったのか、その経緯をお聞かせいただけませんでしょうか。
 研究の推進に係る予算は78ページ以降の肝炎等克服政策研究事業などの研究予算の減額になり、肝炎対策の推進にブレーキをかけることになり、私どもは大変危惧しております。とりわけ、多くのB型肝炎患者はウイルスを排除する画期的な新規治療薬を強く待ち望んでいます。研究推進予算の減額は新規治療薬の開発も後退するのではないかと危惧しております。よって、今後は研究の推進に係る予算の確保に十分努めていただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございます。
○竹原会長 梁井委員、ありがとうございます。事務局から御説明をお願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。まず最初の肝がん年齢調整死亡率についてでございますけれども、前提として、このデータ自体はウイルス性以外によるものも含まれているというものになります。格差があるという御指摘だと思いますが、その要因については、地域ごとの状況はもとよりですけれども、様々あるのかなとは思いますが、言い換えれば、その要因を一概にこれだと申し上げるというのもなかなか難しいところにはなります。
 また、少しお話もありましたが、死亡率とウイルス検査との相関というものも、検査のほうのデータと見比べたりも我々しておるのですけれども、必ずしも検査の受検率が高いところが死亡率下がっているとかいう直接的な相関が必ずしもあるわけでもないのかなとは思っておりますので、様々な要因があって、この死亡率の増加、あるいは改善につながっているのかなと思われます。
 今回、我々、この数字をまとめる過程で、例えば数値がよくなっているようなところ、あるいは悪化しているようなところの自治体に幾つか個別に聞いたりもしておるわけですが、そちらの自治体でも、こういうことをやったからよくなったとか、こういう取組で悪化したのかみたいな思い当たるところが直ちに出てくるわけではなくて、自治体のほうでもちょっとこれから分析したいと思っていますというような状況でしたので、なかなか一概にその要因をこれだと特定するのは難しい状況なのかなとは思っております。
 ただ、均てん化ということは我々もかねてから重要であると言っておりますし、先ほどの説明でも触れましたけれども、ブロック会議であるとか意見交換会を通じた横展開であるとか課題の抽出、解決ということも努めております。さらに、個別の都道府県に聞き取りをして、何が課題になっているのかというのを抽出して、例えば県と市町村での連携がうまくいっていないということがちょっと見受けられたりもしましたので、そういったことについても個別に何か対応を打っていけないかと今考えている状況になります。
 もう一点、予算の関係、なかなか厳しい御質問だと思っております。研究開発の推進は重要であると我々も思っておりますので、そういう意味では、概算要求の段階ではあくまで増額要求ということをさせていただいております。ただ、最終的には政府全体としての財政状況というものを踏まえてそれぞれ調整がなされて、予算の配分がなされるということになりますので、最終的な政府予算案として今36億となっているというのが、事実としてはそうなっているということになります。我々としましては、令和8年度以降についても引き続き、研究開発の推進に係る予算の確保には努めてまいりたいと考えております。
 以上となります。
○竹原会長 ありがとうございます。それでは、手挙げていただいております出田委員、よろしくお願いします。
○出田委員 薬害肝炎原告団の出田と申します。よろしくお願いします。
 私のほうからは3点御質問させていただきます。1点ずつよろしいでしょうか。
 まず、資料9ページの地方自治体における肝炎ウイルス検査についてお尋ねします。市町村の行う健康増進事業では5年刻みで行われておりますけれども、上限が65歳の自治体もあれば70歳の自治体もあるようですけれども、上限を教えてください。
○竹原会長 個別に回答いただきましょうか。
○出田委員 はい。よろしくお願いします。
○安田肝炎対策推進室長 5歳刻みでの上限ということでございますけれども、国のほうからの実施要綱としましては上限を特に定めておりませんので、こちら、御指摘のように、自治体ごとで定めておるというような状況になります。
○出田委員 ありがとうございます。では2点目、16ページ、17ページのB型、C型肝炎ウイルス検査の受検者数の対20歳以上人口比について、山梨県が突出して多くなっております。また、5ページの肝がん年齢調整死亡率では、過去、山梨県は東日本の中では高い水準で推移していたと思われますけれども、令和5年度は、全国平均3.3に対して2.8と大きく下回っております。山梨県のこのような改善が見られた理由や取組の内容を御存じでしたらぜひ教えていただきたいと思います。
○安田肝炎対策推進室長 事務局ですが、よろしいでしょうか、会長。
○竹原会長 お願いします。
○安田肝炎対策推進室長 まず、御指摘の山梨なのですけれども、我々もこの資料を取りまとめるに当たりまして、確かに突出しているなと思いましたので、個別に山梨県のほうには問合せをしたりもしました。ただ、そこでおっしゃっていたのは、山梨県としても、なぜこんなに突出しているのかというその要因がなかなか分からないというお話がありまして、ちょっとそこは分析したいと言っておりましたので、それはまたちょっと聞き取りたいとは思っておるところです。
○出田委員 よろしくお願いいたします。3点目、51ページの肝炎情報センターの戦略的強化事業についてお尋ねします。主な事業の中に「地域における肝炎対策の評価」とありますけれども、実際に評価が行われているのでしょうか。また、今後どこかでこの評価が行われているとしたら公表される予定があるのでしょうか、お尋ねいたします。
○安田肝炎対策推進室長 事務局です。
 研究班のほうで、自治体の肝炎対策に対する取組を見える化するという形で、そもそもどういった指標で見える化するのがよいのかというところから研究をしていただきまして、その成果をまとめて、その後、その指標に基づいて各自治体がどのような取組状況になっているかというものを分析してまとめていただいております。その結果は研究班のほうから各自治体のほうにフィードバックされておりまして、自分たちの自治体が全体、全国で見てどのような位置づけにあるのかといったことが分かる、気づきになるような形でフィードバックをしていただいております。
 この研究自体は引き続きまだ続けていただくことになると思っていますので、その中で、例えばその指標について見直しが必要なことがあれば見直しをしていただくことになるのだと思いますし、それこそ、肝炎対策というのは基本指針に基づいて全体進めていくとなっておりますので、この基本指針の5年ごとの改定に合わせてそういった指標の見直しも、もし必要があるのであればそういったことも検討していただくのかなとは思っておるところでございますが、これはまた研究班との相談になってくると我々としては思っております。もし考藤先生のほうで補足等ありましたらお願いいたします。
○考藤委員 考藤です。情報センター長をしております。
 加えて、今、安田室長からお話があった指標の作成と調査を継続して研究班で行っております。御指摘の地域における肝炎対策の評価というのは、なかなか曖昧な表現になっているのですけれども、今日いろいろお話があったとおり、まだ地域間でその達成状況のいわゆる温度差というのがありますので、室長からもお話があったとおり、それがどこから来ているのかというのはやはり個別にいろいろと伺っていくしかないというところです。全体のいわゆる位置づけとか進捗状況というのは指標の推移ということで評価しています。その結果は、もちろん情報センター内でも共有しておりますので、研究班と情報センターの連携は十分取れています。その指標調査結果を個別に、さらに全体の中での位置づけを、各自治体にお返しすることで、次への対策、要因分析に使っていただいているという状況です。定期的にこういった調査報告は取りまとめまして、フィードバックを行うことで貢献していきたいと、このように考えています。
 以上です。
○出田委員 ありがとうございました。最後になりますけれども、今年度の薬害肝炎原告団と厚労大臣との定期協議の議事確認書が本日の資料として配付されておりますので、ぜひ皆様御覧になっていただければ幸いです。
 以上です。ありがとうございました。
○竹原会長 ありがとうございます。そのほか、御意見、御質問いかがでしょうか。
 日浅委員、どうぞ。
○日浅委員 愛媛大学の日浅です。
 資料の5ページにあります肝がんの年齢調整死亡率についてですけれども、愛媛県の責任者でもありますので、愛媛県の現状ということで、参考になればということでちょっとお話をさせていただきたいと思います。
 5ページです。これで見て、明らかに愛媛県、ワースト1位なのですけれども、ついこの3年間ずっと3.5近辺を推移しておりまして、突然今年悪くなって、ワースト1位に返り咲いたということになっています。この要因については、我々も県の中でいろいろ議論しているのですが、1つは、全国的にそうですけれども、肝がんの成因がウイルス性肝炎というのはかなり少なくなっておりまして、現在、愛媛県の中でもほぼ4割から5割程度になっております。つまり、脂肪肝とかアルコールによる肝がんの死亡というのが半分以上を占めるという状況になっておりまして、この肝がんの年齢調整死亡率というのが果たしてウイルス性肝炎の対策の指標としていいのかというのはかなり私自身は疑問に思っております。
 愛媛県は香川県と並んで全国一脂肪肝が多いと言われておりまして、その影響もあって、かなり増えたのではないかと推測はしているのですが、もちろんそれだけではないと思いますが、県の中でも出た要望としましては、肝がんの原因が、ウイルス性肝炎によるものか、脂肪肝やアルコールなどのウイルス性肝炎ではないものか、肝がんの原因を含めた統計解析をして、ウイルス性肝炎による肝がんのみの指標がつくれればいいのではないかという意見がありました。集計が難しいかもしれないのですけれども、肝炎ウイルスの指標としては、将来的に考えていただきたいと思っています。
 以上です。
○竹原会長 ありがとうございます。肝がんも非常に多様な原因で多くの患者さんが苦しんでおられるということかと思います。そのほかいかがでしょうか。
○安田肝炎対策推進室長 会長、こちら、坂上委員から挙手がありますので。
○竹原会長 坂上委員、よろしくお願いいたします。
○坂上委員 すみません。読売新聞の坂上です。
 44ページの肝がん・重度肝硬変などに関連して質問します。肝炎の医療費補助などの制度はしっかりしていると思うのですが、肝炎ウイルス感染者の方で、今、問題となっている高額療養費制度の見直し、引上げに影響を受けそうな人は、どのくらいいらっしゃるのでしょうか。不勉強なので分からないのですけれども、例えば、感染者の方でも年収によっては大きな影響を受けるのでしょうか。また重度肝硬変医療費補助制度の対象とならない、比較的軽度な肝硬変の人たちなどは、影響を受けるのでしょうか。影響を受ける可能性がある人がいるならば、この協議会の場でも、感染者やその家族の皆様の声を聞くべきだと思います。いかがでしょうか。
○安田肝炎対策推進室長 会長、よろしいでしょうか。
○竹原会長 よろしくお願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 まず、高額療養費制度の見直しについては、今、御承知のとおりの状況ですので、ちょっと予断をもってこれについてお話しできる状況にないということをあらかじめ御理解いただければと思います。
○坂上委員 確かに、事態が動いている現在、お話ししにくいとは思います。私は、難病と小慢の合同委員会の委員も務めているのですが、その場でも、高額療養費制度の見直しについて発言しよう思ったのですが、この問題は医政局マターの話で詳しく分からないようだったので、意見を述べるのをやめました。しかし、まだ見直しの内容が決まっていないにしろ、やはり患者さんやその家族の皆さんにちゃんと説明すべきだと思うのです。ぜひともその点、御検討いただけたらという要望です。
 以上です。
○竹原会長 そのほかいかがでしょうか。
○安田肝炎対策推進室長 会長、こちら、萩部委員から挙手があります。
○竹原会長 ではよろしくお願いいたします。
○萩部委員 ありがとうございます。日肝協の萩部でございます。
 資料1の24ページ、職域検査促進事業についての発言でございます。こちらにございます職域検査におきましては、肝炎ウイルスの検査結果が陽性となりますと、人事評価や偏見・差別、解雇が懸念されまして、社内での処遇を心配する従業員も多くいるかと思います。そのため、職域での肝炎ウイルス検査の普及が進まないという実態もございまして、この問題を解決するために、ぜひ事業者と協会けんぽ等の保険者とが連携をして、場合によっては産業医とも連携をし、従業員全体に対して肝炎ウイルスに関する正しい知識を広める社内研修等を積極的に実施することをお願いしたいと思います。
 また、保険者側におきましても、陽性者のフォローアップが十分に機能していないということも課題であろうかと思いますが、陽性者フォローアップが標準化されることについても保険者側との連携の実施もお願いしたいと思います。
 こちらの肝炎検査促進事業を推進していただくことによりまして、早期発見、早期治療によりましてウイルス肝炎陽性者の不安を払拭することにもつながりますし、陽性者でも安心して働ける職場環境を整えることが非常に大切であろうかと。重症化を防止することによりまして、保険者側の財政的な負担、これも大幅に減少させることが可能ではないのかと思います。
 それで質問でございますが、令和5年の実施状況を見る限り、周知啓発活動でございますが、都道府県数で16、保健所設置市で6とございます。これは実は前年度の報告数から減少しているという実情があるのですが、こちら、都道府県等で決定している周知啓発等に関しましては、前回の本会議においても、引き続き職域事業を採用いただける都道府県が増えるように働きかけをしていきたいという御発言もあったと思うのですが、結果的には減っているという状況なのですが、各都道府県及び各自治体に対する具体的な働きかけの内容と今後の対策について御説明いただけるとありがたいと思います。
 以上です。ありがとうございます。
○竹原会長 事務局、お願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。御指摘いただいた点は大変我々も重要だと思っております。ウイルス検査という意味では、多様な検査機会を確保するという意味もありますし、あるいは、今であれば、心身への負担がより少ない治療というのが可能となっておりますので、肝炎患者の皆様が働きながら継続的に治療を受けることができるようになってきています。そうした中で、医療保険者であるとか、あるいは事業主のこういった肝炎についての理解、あるいは協力というのはまさに不可欠であろうと我々も思っております。
 お尋ねのところですけれども、この職域検査促進事業について、都道府県の数、あるいは保健所設置市の数が減っているという御指摘で、それについての御指摘は我々も甘んじて受けなければならないと思っております。例えば、この促進事業に限らず、普及啓発という枠組みの中で我々やっております、先ほども説明いたしました「知って、肝炎プロジェクト」という中においても、事業主のところに赴いて、もちろん都道府県と連携してですが、そういった啓発ということも併せてやっておるところでございます。
 先日も広島のマツダの本社のほうに行きまして、そこで従業員の皆様に大きな講堂に集まっていただいて、普及啓発ということもさせていただきました。そういったことのPRなんかも通じて、事業主に、あるいは保険者にそういった気づきを促していけないかということは併せて取り組んでおるところでございますが、より直接的な事業としてはまさにこの職域検査促進事業というものがありますので、これについて引き続き都道府県に働きかけを行ってまいりたいと思います。
 あと、幾つか触れていただいた点についても併せてお話しさせていただければと思いますけれども、保険者、あるいは事業主に陽性者のフォローアップの標準化をという話もありました。ただ、なかなかこれは難しい課題であると思っております。1つは、検査の情報というのはプライバシーの観点から軽々に取り扱うのは難しい課題でありますし、もう一つは、事業主であるとか保険者に標準化というと何か義務づけのようなイメージ、強制力を持った何かお願いをするという形になってきますので、そうすると、事業主が責任を持ってそれをやらないといけないのかというところの理屈づけがなかなか難しいかなとは思っております。
 いずれにしても、都道府県が主体となって連携をしてやっていただくというのが今の枠組みであり、それをまずは進めていきたいと思っております。
○竹原会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 そのほか御質問、御意見ございますか。
○安田肝炎対策推進室長 会長、こちら、辰巳委員から挙手があります。
○竹原会長 では、よろしくお願いします。
○辰巳委員 B型肝炎訴訟原告団の辰巳です。よろしくお願いします。
 私からは、44ページ以下の肝がん・重度肝硬変の治療研究促進事業について何点か発言させていただきます。
 まず、先ほど坂上委員からもありましたように、高額療養費の限度額が改定されると、やはりこの治療研究促進事業にも影響があるのではないかと懸念はしております。現在、がん患者の団体等がこの限度額の改定の凍結を求めて請願等を行っているところではありますが、私たち肝炎患者も同じ思いです。病気で苦しむ患者の命に関わる本当に大きな問題であって、私たちも、この高額療養費限度額の改定の凍結を求めたいと思っています。
 資料1の45ページのところについてですけれども、前回の令和3年度の改定の際には、新規の認定件数というのは約4倍まで増加していたのですが、先ほど御説明があったように、令和6年度の改定ではおよそ2倍に近い数字は出ているのですけれども、令和3年度ほどの増加は見られていません。
 1つよく分からないので教えていただきたいのですが、助成件数ですが、令和3年度は助成件数自体も3倍近くに増えていたのですが、令和6年度は、新規の認定件数は2倍に増えているにもかかわらず、助成件数のほうが、これは8か月の暫定値だと見たとしてもそれほど増えていないというか、むしろ減っているようにも見えるのはどうしてなのかというのを教えていただきたいと思います。
 その上で、今年度の状況を分析して次年度以降さらに増やしていくためにどのような手だてを講じられる予定かを聞かせていただけたらと思っています。
 ちなみに、薬剤師の方にお話を伺う機会があったのですけれども、助成制度の申請の簡単な流れとか、薬価が高く、制度を利用できる可能性がある薬をチラシなどに掲載して、そのような処方を見たときはお声がけしてみてくださいというような案内をされているような資料が薬剤師さん向けにあればいいのですがというお話もありまして、それに関連して、47ページの資料に取組例が書いてあるのですが、その中に薬局側の目線から見たマニュアルやQ&Aの作成とあって、これは既に作成が済んでいて普及も始まっていると理解していいのか教えていただきたいと思います。
 あともう一点、資料の46ページの数字、都道府県別の肝がん・重度肝硬変治療の促進事業の助成件数ですけれども、これを見ると、人口比からしても数値にかなりのばらつきがあって、私の住んでいる奈良県と佐賀県とではそんなに人口は変わらないと思うのですけれども、佐賀県のほうは59という数字が出てきて、奈良は8ということで、かなりの差が出ています。せっかく江口先生来ておられるので、佐賀県でこういう助成件数を増やすような何か取組をされているのであれば教えていただければと思っています。
 以上です。
○竹原会長 それでは、まず事務局から御回答いただきまして、最後に江口先生から御発言いただければと思います。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。まず最初の高額療養費制度の見直しの点については、我々、責任持ってお答えできるところではありませんが、非常に重要な問題とは思いますので、きちんと担当の部署にはお伝えさせていただきます。
 2つ目ですけれども、今回、昨年4月の見直し後の実績というところについてお示しをさせていただきました。令和3年の見直しについて触れていただきましたけれども、あのときは、高額療養費の該当月数を4月から3月にするということと併せて、外来も対象にするということをしていますので、その外来も対象というのが大きなポイントだったのかなと思います。なので、今回と直ちに比較というのは難しいのかなとは思いますが、先ほども説明したとおり、約2倍の新規認定数になっていると我々としては見ておるところです。
 一方で助成の件数のほうについては思うように伸びていないのではないかということかと思いますが、どうしてもこの助成の件数についてはタイムラグが生じてきまして、遅れて数字が挙がってくるような状況になっています。というのも、患者さんから都道府県に申請をして、償還払いの形で請求するということになっていたりもしますので、都道府県での支払いの審査の状況であるとかそういったこともあって、同時期に件数が出てくるというものではないので、ちょっと今の段階でこの件数が多い少ないという評価は難しいかなと思っているところであります。
 3点目、薬剤師向けのマニュアルということを触れていただきました。47ページでございますけれども、この普及促進事業は今年度から進めております普及のための事業となりまして、それから、各拠点病院でこういった事業を進めていただけるようにという財政支援をしますというものになりますので、今年度この事業を利用して拠点病院でこういったことが進められるのではないかという意味での例を書いておりまして、実際の実績については今まさに集めておるところでございますので、またこれについては取りまとまりましたら何らか御報告できればとは思うのですけれども、そういう意味では、この中の普及促進事業でどういったものがされたかというのを、まさに好事例みたいなものを抽出して今後は横展開するということで、来年度以降もこの普及促進というのにつなげていきたいと考えているところでございます。
 最後、都道府県別の助成件数のところについて、少しだけ私のほうからも申し上げますけれども、我々もこのデータを見ながら、極端に少ないようなところというのがやはり気になりますので、個別に聞き取ったりもしております。その中では、1つは、自治体の単独事業でやっておるので、この助成制度としての件数としては計上していないのですけれどもといった自治体もありましたし、一方で、なかなか対象者も少ないという状況もあり、かつ、これまで制度も複雑だったので、なかなか進んでいなかったのかなということをおっしゃるところもありました。
 いずれにしても、さっき申しましたような普及促進事業、今年度やってみて、実際の取組というのをこれから集めてみて、好事例というのが今後の横展開につなげて、そういった底上げを図っていけるのかなあと思っております。
 私のほうから以上になります。
○竹原会長 それでは、江口先生から、佐賀県で、この件数について何か取組されているかどうかございましたら御発言をお願いいたします。
○江口参考人 江口でございます。
 佐賀県につきましてちょっと御紹介いたしますと、佐賀には5個の二次医療圏がございます。圏内には中核医療機関、肝がんの治療を内科、外科、全てできるという医療機関は8つございます。佐賀大学にございます拠点病院、肝疾患センターの医師、それから肝炎医療コーディネーター、相談員が8つの医療機関全部回りまして、まずヒアリングを行ったり調査を行っております。調査だけですと、医療機関そのものも、やる気といいましょうか、拾い上げに関しましてモチベーションまでは上がりませんので、直接出向きまして、現地で、特に診療の報酬にかかわります医事課の方々もしくはソーシャルワーカーの方々に関しまして対面でお話しして、実際どのくらい、どうやって拾い上げをやるのか、チェックするのかということを専門医が御紹介して、それから、うまくいっていないということが分かりましたら、小まめにサポートして、各病院でレセプトのコンピューター等々と違いますので、その辺りを個別に対応した結果、特にこの数年で、というのは、実は3年前までは、奈良県と同じように、非常に低迷しておりました。ところが、このやり方をやりますと非常に拾い上げが増えたということでございます。
 あと、私、兵庫医科大学の肝疾患センターでもセンター長補佐としてお仕事させていただいておりますが、兵庫も比較的、人口のわりにしましてまだまだと思いますけれども、ここも10個の中核医療機関に関しましてアンケート調査を昨年行いまして、そういう取組をやることで、制度に関して医療機関で注目を持っていただくということで、この兵庫の取組に関しましては、雑誌『肝臓』のほうで論文として発表させていただきましたが、やはり拠点病院の活躍ということが非常に重要でなかろうかと思っております。
 以上でございます。
○竹原会長 ありがとうございました。ぜひこういう好事例を横展開するという方向で進めていただければと思います。そのほかいかがでしょうか。
○安田肝炎対策推進室長 会長、伊藤委員から挙手があります。
○竹原会長 伊藤委員、よろしくお願いいたします。
○伊藤委員 薬害肝炎原告団の伊藤でございます。
 ちょっと資料が前後してしまいますが、御容赦くださいませ。資料1の27ページからの肝炎患者の重症化予防推進事業について発言させていただきたいと思います。31ページに報告のとおり、陽性者のフォローアップとしての初回精密検査費用助成の受給者数もこのところ頭打ちのようです。また、都道府県によりかなりの格差がございます。兵庫県のように受給者数が多いところの好事例をぜひ参考にしていただきたいです。
 次に、32ページからの定期検査費用助成についてです。室長の御説明がございましたので、重複になる部分があるかと思いますけれども、御容赦いただければと思います。
 特にC型肝炎は多くの方が治療されて、SVRになられた方がかなり多いですのに、この制度の受給者数が全く伸びておりません。手続もかなり複雑で、その割にメリットが少ないので、この制度を引き続いて利用しない患者が多いです。ウイルス排除後の患者がその後の定期検診を安心して受けることができるよう、診断書だけにとどまらない書類や手続の簡素化、また様々な周知をお願いしたいと思います。
 回数につきましては、室長の御説明がございましたので、引き続きの御対応をお願いしたいと思います。
 最後ですけれども、利用者が伸びない原因を引き続き究明していただいて、この制度を使い勝手のいいものにしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。ありがとうございました。
○竹原会長 それでは、事務局からお願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。我々もこの助成制度がなかなか伸び悩んでいるのではないかという問題意識は持っておりますので、引き続き、どうすればもっと使ってもらえるのかというのは考えていきたいと思っています。先ほどもお話ししたとおりですけれども、まず、手続が繁雑ではないかという御指摘もありますので、そこの簡素化というのは少し考えていきたいと思っております。回数のところは、先ほども説明したとおりのような形で考えを進めたいと思っております。
 以上となります。
○竹原会長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
○安田肝炎対策推進室長 会長、こちら、山崎委員から。
○竹原会長 山崎委員、お願いいたします。
○山崎会長 失礼します。日肝協の山崎です。
 資料1の53ページ、肝疾患診療拠点と専門医療機関の選定状況について発言したいと思います。令和5年度の第30回の協議会で御回答いただいたのですが、全国で山間部や島しょ部の7つが第二次医療圏で肝疾患専門医療機関が未設置でしたが、その後改善が進んだのかお聞きしたいと思います。
 また、厚生労働省から肝疾患診療連携拠点病院、肝疾患専門医療機関、それから協力医療機関の役割や基準が示されておりますが、実際にそれを選定するのは各都道府県の肝炎対策協議会で行われていて、選定基準も異なっています。専門医療機関や協力機関の数も大切ですが、肝炎医療の質が最も大切だと考えています。
 私が居住する県では、昨年の県の肝炎対策協議会で肝疾患専門医療機関と協力医療機関の選定要件が緩和されて、肝臓専門医の常勤、非常勤を問わないということに変更になりました。それで、私が居住する第二次医療圏では、平成20年に専門医療機関、協力医療機関の選定が始まって約16年経つと思うのですが、やっと昨年4月に、地域の基幹病院の一つが肝疾患専門医療機関になりました。
 要件の緩和でなったとはいえ、地域に肝疾患専門医療機関ができて、肝臓専門医の先生に診察していただけることは大変うれしいことです。そして、実際は非常勤の肝臓専門医の先生がお一人で週1回の肝臓外来を担当し、大学病院から派遣されていらっしゃいますので、片道に2時間ぐらいかけて来院されて、その後、通常の診察を行うというような実態になっています。先生に本当に申し訳ないぐらいの状況で、お一人で週1回の非常勤なので、肝炎患者は入院ができない。もしできたとしても、入院した後は専門医外の先生に診ていただかなければいけない状況になっています。
 それから、肝がん患者へのラジオ波焼灼療法も、先生お一人ですので行えないというような肝疾患専門医療機関もあるというのが実態です。全ての肝疾患専門医療機関の充実を図り、全ての地域で質の高い肝炎医療が提供できる体制の整備を早急に行っていただきたい。そして、肝炎対策基本法に示す肝炎医療の均てん化が図れるよう踏み込んだ施策や支援を進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
○竹原会長 それでは、事務局からお願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。最初の点のお尋ねについては、すみません、今直ちにお答えできないのですけれども、参考資料6として、今回取りまとめているデータなどの自治体に対して調査をかけた回答、フィードバックのもとになるものを、紙ですとA3の形で配付させていただいていまして、そこに二次医療圏全てにあるかないかということも自治体ごとに分かるようにお示ししていますので、ここで直ちにお答えできればよいのですが、今それを見てお答えできるだけの材料を持ち合わせておりませんので、恐縮ですが、後ほどそちらを御確認いただければ幸いでございます。
 2点目でございますが、御指摘いただいているとおり、二次医療圏に肝疾患専門医療機関が1つあることが望ましいという形で我々お示ししておりまして、肝臓専門医が必ず常駐していなければいけないとなるとそれもなかなか難しいですので、それについての、ある意味、緩和するというか、そういった要件も併せてお示しさせていただいております。
 御指摘のように、質も確保しながら数も確保するという、両方大事なのですけれども、それのバランスをどう取っていくかというのが非常に難しい点なのかなと思っておりますし、あと、肝臓の分野だけでなくて医療全体として言えることとして、医師偏在の問題がありますので、こちらについては、今ちょうど厚生労働省としては地域医療構想の見直しであるとか、医師偏在対策であるとか、あるいはDXを推進していくというようなことを進めるための法案を、医療提供体制の改革に向けた法案をちょうど出しておるところでございますので、そういった全体の動きもよく見ながら、引き続き大きな課題として我々も考えていきたいと、取り組んでいきたいと思います。
○竹原会長 ほかにいかがでしょうか。
○安田肝炎対策推進室長 会長、こちらの木下委員から挙手があります。
○竹原会長 木下委員、お願いします。
○木下委員 日肝協の木下です。
 先ほどのコーディネーターのほうとちょっと関連があるのですけれども、資料1の62ページ、肝炎医療コーディネーターの活動場所と活動割合、令和5年度についてというところですが、拠点病院と保健所の活動の割合が高いと評価しているということですが、余り活動できていないというこのグレーのライン、かなり多いと思いますが、その活動できていない内容について、もしあれば教えていただきたいと思います。それが問題点になって、今度改善されていけるのではないかなと思います。
 私が仕事をしている個人病院のほうでは、コーディネーターに配置できるような人数もいませんし、時間も確保することが難しいという      ふうに思っております。病院全体とか市町全体が肝炎を撲滅させるという意識が高くないと、これを持っていけないのではないかと考えておりますので、できれば国や自治体からコーディネーター活動というのを推奨されて、活動できるようにしていただければいいなと思っております。
 患者コーディネーターの活動として私が思っていることですが、地域のほうの健康事業や、サロンというところに出向いて、そこでピアサポートとして話ができた場合、肝臓専門医につなげることができるという気持ちでおります。その肝臓専門医につなげる場合に、患者コーディネーターとして、医療機関へ紹介することができるように仕組みをつくっていただければありがたいと思っております。
 以上です。
○竹原会長 では事務局からお願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。まず、資料1の62ページについての御指摘ですが、これは都道府県の評価を取りまとめておるところでして、その都道府県の中で、拠点病院や保健所で高いと評価している都道府県が多いというような形を書いておりますけれども、逆に余り活動できていない要因というところまで、この自治体に聞いて集計しているものではないので、率直に申しますと、そこはちょっと分からない状況ではあります。
 ただ、この調査ということではなくて、まさにこの後、江口先生からお話、報告いただきますとおり、研究班のほうで、どのようにすればコーディネーターが活躍できるのかということを研究していただいていますので、その中でも、もちろんその要因があって、こうすれば改善するということは研究していただいていると承知しておりますので、この後の発表なんかも我々も詳しく聞きたいと思っていますし、研究班自体は引き続き研究続いていきますので、そういった研究班の活動であるとかその後の成果なんかも見ながら、我々も引き続き取組を進めていきたいと思っております。
 2点目の紹介の話については、今直ちに何かお答えできる材料がないので、引き続きよく話を聞かせていただければとは思いますが、よろしいでしょうか。
○竹原会長 ありがとうございます。そのほかよろしいでしょうか。
○安田肝炎対策推進室長 会長、こちらの萩部委員から。
○竹原会長 萩部委員、お願いいたします。
○萩部委員 ありがとうございます。かいつまんで御質問させていただきたいと思います。資料1の76ページの肝炎研究推進戦略に関してでございます。この戦略につきましては、「肝炎研究10カ年戦略」が令和4年に「肝炎研究推進戦略」として再度取りまとめられておりまして、WHOの提唱する2030年までに肝炎ウイルスの排除ということで方向性が示されているかと思います。現在、B型肝炎ウイルスは排除する薬がありません。ウイルスを排除する画期的な創薬は、日本中のみならず、世界中の多くの患者が待ちわびております。
 その中で、次の77ページに戦略目標がございます。この1のB型肝炎では、累積5年HBs抗原陰性化率を現状の3%から5%という戦略の目標がございまして、この目標が低過ぎるのではという御指摘もありますけれども、2030年までに肝炎ウイルスの排除とかなり大きな開きもございますので、ここを、なかなか難しいとは思いますけれども、現在の陰性化率の数値とさらに高い目標数値を設定して実現するための政策についてお教えいただきたい。
 2つ目は、このB型肝炎創薬実用化等研究事業での創薬実用化の現状と課題、今後の早期のウイルス排除についての政策について御説明をいただければありがたいと思います。
 以上です。よろしくお願いします。
○竹原会長 お願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 ありがとうございます。2点いただいていると思いますが、すみません、まとめての回答となりますけれども、お願いします。
 1つ目の陰性化率の現状の数値ということでありますが、先ほど触れていただきました戦略目標の現状の約3%のこのベースになった論文の数字がありまして、それ以降の論文なり知見というものが出ておりません。我々としては把握していないという状況ですので、そういう意味で申しますと、約3%というのが引き続き現状の数値かと思います。
 今の研究の状況ということをちょっと説明いたしますが、現在、AMEDのほうの研究において、例えば核酸アナログ製剤と併用することで陰性化率が向上する薬剤といったもの、あるいは新規の作用機序があるような薬剤の開発というものが進められているとは承知しております。その詳細についてはちょっと差し控えたいと思いますけれども、引き続き我々としては、その研究開発の促進、予算の確保を含めて進めてまいりたいと思っております。
○萩部委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
○竹原会長 よろしいでしょうか。
 それでは、議題2をこれで終了させていただきまして、議題3に移らせていただきます。「肝炎医療コーディネーターの育成と育成後の活動支援」についてということで、ロコメディカル総合研究所の江口有一郎参考人から研究成果の御発表をいただきます。資料2を御覧ください。
 江口先生、よろしくお願いいたします。
○江口参考人 よろしくお願いいたします。では資料に基づいて御紹介させていただきます。
 まず、研究の背景ですけれども、先ほど話題となっておりました肝炎医療コーディネーターについて、やはりまだまだ全国的に凹凸があるということが指摘されておりまして、そこを何とか、特にボトムアップしていくということにつきまして、どうやったらいいのかということを、現状、それから課題解決についての宿題をいただいて研究を進めてまいりました。
 次のページにいきますと、私どもの研究班の取組としましては2つ、今回は御紹介させていただきます。まず1つは現状に対する研究班の取組でございますけれども、まず、育成について地域や個人に差があるということについて課題として認識しておりまして、この課題としましては、肝炎医療コーディネーターの育成を行う際に、例えば、1つは肝炎医療コーディネーターの人材の養成と活躍の推進がまだまだ均てん化が必要であろうと。それから、各地での基本的な役割や活動内容について明確にした上での育成も全国的に課題が残っていると認識しております。
 取組については後ほどまた御紹介させていただきます。
 それから2つ目でございますが、肝炎医療コーディネーターの育成後の活動支援、先ほどの余り活動できていないというところについての研究になりますけれども、これも全国的に地域や個人にかなり差があるということを認識しております。この活動の支援としての肝炎医療コーディネーター同士の情報共有、こういうことができていますよ、こういうことをやりましょうというような情報共有の仕組みですとか連携しやすい環境の創出を進めなければならないということで研究を進めてまいりました。
 次のページを御覧ください。まず1つ目について御紹介させていただきます。まず1-1でございますけれども、研究班の班員は北海道から沖縄まで広く全国から班員に入っていただきまして、全国の課題を抽出しておりますけれども、まず会員の都道府県もしくは周囲の都道府県に調査を行いまして、どのような養成状況であるかということを見てまいりますと、養成の回数ですとか日程、職種、講義形式、研修時間、試験方法、それから講義の項目、認定期間等々で非常にばらつきがあるということになっています。これはそもそも肝炎医療コーディネーターの養成につきまして都道府県で具体的に決めていくと明示されておりますから、都道府県の考え方で差が出てきているのだろうなと思っております。
 次のページにいきますと、例を御紹介しておりますが、医学的なテーマを挙げて、今回はC型肝炎の講義について御紹介しておりますけれども、一番左の列が佐賀県、それからA、B、Cという都道府県でございますが、御覧のとおり、学ぶべきことといいますのは、日本肝臓学会の項目等々、専門医の習得すべき項目等々と照らし合わせますと、1から27の項目があると考えますと、各都道府県で学ぶべき内容が非常に差があるということが明らかとなりました。
 それから、BとCの県を見ましても、2つの二階建て制度ですね。肝炎医療コーディネーターも地域の方々が学べる方法もしくは行政の保健師さんを対象とするというようないろんな研修する窓口が分かれているということもありまして、いろんな都道府県での工夫が見えると考えてもいいかと思いますが、非常にばらつきがあるということが分かりました。
 それから1-2、次のページにまいりますけれども、養成ですとかスキルアップ内容も、私どもの研究班では3つに分類できるということを提言させていただきました。1つは基礎重視系とネーミングしておりますが、従来どおりの講義がメインで、座学の内容でございます。メリットとデメリット挙げておりますけれども、これは一般的な講義ということになりますが、真ん中の臨床演習系というのは、これが非常にコーディネーターとしては有意義だろうと私どもは思っておりますが、グループワークですとか事例の検討ですね。例えば近くに専門医療機関がない場合にどうしたらよろしいかとか、症状がないから、まだ治療を先延ばししている方々、どうやって背中を押せばいいのだろうかということを事例挙げて学んでいくというようなスタイルでございます。
 それから一番右が創造発展系というもので、講義とグループワークを併せたような、一番これが質としては高いのではなかろうかと私ども思っておりますが、このような3つの内容で教育されているということが分かりました。
 それから、COVID-19のパンデミックからオンラインでの受講が非常に広まりまして、これは非常に受けやすくなった。特に北海道ですとか沖縄県のような非常に遠隔に人々が住んでいるようなところからは受講者数が非常に増えたということで、オンラインについてのハイブリッドがだいたい一般的になっているのではなかろうかということが分かりました。
 次のページをおめくりください。1-3でございますが、そういうことで、先ほどの学習内容が非常にばらつきがあるということで、スタディブック、テキストを研究班でつくろうということで、今進めているところでございます。これも文字だらけですと、いろんな方々が肝炎医療コーディネーター、学んでいただいておりますので、問題集形式で取っつきやすい内容でまとめようということで、今年の令和7年度の上期に完成を予定しておりまして、今年度中に全国にお示ししたいと思っております。
 その次のページが例えばの例でございますけれども、見開きで内容をまとめておりまして、左側にいろんな項目につきまして問題があって、○×クイズのような形で、特に知っていただきたいことにつきまして挙げまして、それから解説、そして肝炎医療コーディネーターとしてのポイントですね。コーディネーターだからこそ知っていただきたいようなポイントをまとめて、それから参考資料を挙げていくということで、各班員で今分担をして進めているところでございます。
 次のページをおめくりください。1-4でございますが、これはもう展開を始めておりますけれども、何やっていいか分からないという方が非常に多いということですので、「肝炎医療コーディネーター活動ガイドブック」ということで、職種は、この全17職種の調査を全国で行いまして、活動ガイドブックをまとめました。この中では、肝炎の患者さん、もしくは御家族の方々がどういうことをやったらいいかということも含めまして、医療職のみならず、幅広い職種で活動のガイドブックについてお示ししております。
 次のページにいきますと、これは私どもが開いておりますポータルサイト、「肝Coと仲間たち」というホームページから無料でPDFからダウンロードいただくような形で全国展開を進めております。この目的としましては、ホームページもそうですけれども、私どもの定義としましては、肝炎医療コーディネーターの活動は自分の職種や専門性の立場を強みと捉えることを強調しておりまして、強みとほかの職種との連携ということをとにかく進めたいということで、このコンテンツもつくっているところでございます。
 次おめくりください。青い、イラスト入っているところが一つの活動ガイドブックでございますけれども、これは臨床検査技師を例として挙げております。これも検査技師だからこその強みをまず挙げまして、それから、肝炎医療コーディネーターとしての活動事例、具体的に実際行われているものにつきまして調査で分かったものを挙げて、活動の見本としてお示ししております。
 それから、やはりやりやすいところから、非常に難しいけれども、ファインプレーと申しましょうか、こういうことまでやっておられるのだということにつきまして、ホップ、ステップ、ジャンプということでまとめておりまして、非常にハードルが高いものではなくて、低いことからもできますよということを強調して示しております。
 次のページですね。この臨床検査技師さんのページは4ページでまとめているのですけれども、先ほど申しましたホップ、ステップ、ジャンプで最初できることからレベルアップしていって、活動の度合いを高めてみてはいかがでしょうかということと、右側のページ、「先輩肝CO臨床検査技師からのアドバイス」ということで、実際、お互い刺激し合うような内容でまとめさせていただきました。
 次おめくりください。1-4でございますが、こちらは先ほども木下委員様から御指摘ありました、余り活動できていないというところを念頭に置きましてまとめたものでございます。これも全国から集めた活動の事例を挙げておりますが、これも取り付きやすいために、「肝ニングペーパー」ということで、この言葉を使うことはどうかと思いますけれども、「肝ぺ」ということでニックネームをつけまして、これも全14職種、56ページにわたるかなり大作になったわけですが、これはだいたい5年ぐらいかかって集めたデータでございます。この例は管理栄養士さんを挙げておりますけれども、「肝Coのこんな活動も」、これは厚生労働省様が示しております予防、受検、受診、受療、それからフォローアップにつきまして、全国で活動されている事例を全部挙げております。
 先ほど木下委員様からも御指摘ありました、活動できていないということについてということですが、これをチェックリストにやってもいいのかなと先ほど思いつきましたので、こういうことでやっていますか、やっていませんかと。先ほど御質問ありましたが、実はいろいろヒアリングしていますと、活動できていないと御自分が評価していながら、ところが実際はやっているという方々も非常に多いのですね。問いかけについて、活動できていますかといいますと、特にイベントに行っているというような大きな活動をしていれば活動できていると思いがちな方がいらっしゃいまして、実は通常の、例えば肝臓の専門病院の病棟で御勤務の方々は、肝炎医療コーディネーターの知識を使いながら、肝臓で入院されている方々に、その検査の重要性ですとか不安を解消するような助言をするということで、立派な活動であるということで、私どもが分かったことは、活動できていないと自分で判断しておられるのですが、実は日々の業務が立派な活動であるということで、肝炎医療コーディネーターという資格という認識ではなくて、あくまで御自分の職種の付加価値ということで認識してはいかがでしょうか、もしくは付加価値として自分の業務でクオリティを上げていただくという考え方はいかがでしょうかということを全国で強調しているところでございます。
 ですから、先ほどいただきました御意見では、この肝ペにつきましてチェックリストにしまして、活動はこういうものも活動ですよと気づいていただくというような差し込み方も意義があるのではなかろうかと思った次第でございます。
 それから、次のページが研究班で制作したコンテンツの活用事例で、実際、今、右側、奈良県のコーディネーターの養成研修会をしておりますが、実は私、奈良県の肝疾患センターも昨年度からお手伝いしておりましたので、先ほどの重度肝硬変等々もございますが、積極的に活動を今支援させていただいておりますが、私どもの研究班でつくりました資材もコーディネーター養成研修会で活用いただきまして、今、拠点病院のほうからも、特に奈良県の専門医療機関等に直接声かけをしてやっていく。それから、奈良県とも非常にタイアップがうまくいきつつありますので、今後、奈良県も大きく進歩するのではなかろうかと期待しているところで、研究班のほうでもかなり支援をさせていただいております。
 次のページをおめくりください。ページ番号16番になりますが、これが1の取りまとめになります。今お話ししましたとおり、スタディブック、教科書を問題集形式で完成させまして、これらの成果物と併せて全国展開を進めていきたいと思っておりますし、先ほど愛媛県からも御指摘ありましたが、非ウイルス性、脂肪性の肝疾患等々で疾病の構造がかなり変わっておりますので、あとは高齢化が非常に進んでいる。B型肝炎の核酸アナログをお飲みの方でも非常に認知症が進んで、どこまで飲めるのだろうかという問題も非常に挙がってきておりますから、その辺りもしっかり認識をして、コーディネーターの活躍をより進めていきたいと思っております。
 次、2番目について御紹介させていただきます。先ほどお話ししましたコーディネーターのホームページ、2-1でございますが、ポータルサイトです。「肝Coと仲間たち」ということで、肝炎医療コーディネーター向け、それから一般向けへの情報啓発もしたいということでホームページをつくっておりまして、新しくリニューアルをいたしました。この新しくリニューアルしましたのも、活動をとにかく均てん化を進めたいということで、調べやすい、もしくは欲しい情報にたどり着きやすいということで全面的に改定をいたしました。
 昨年の11月に一般公開を行いまして、約2か月半でページビュー数が5万5,000回ということで、ある程度見ていただいているということが分かりましたし、アクティブユーザー、常にちょこちょこ見てくださる方が約2万人ということですので、これまで全国の肝炎医療コーディネーター、約4万人養成されておりますから、半分ぐらいの方はこのホームページを見てくださって、定期的にチェックされているということで、ある程度の一定の成果は出ていると認識しております。
 次の2-2でございますが、連携についての方法でございますが、私どもは、SNS、特に全国で一番使われていると総務省からも発表がありましたLINEを用いて情報の連携、情報共有をしております。役割としましては、情報発信、活動の支援、活動報告、それから、先ほど来課題となっております活動評価についてもアンケートができるということでやっております。これは全国で研究班を中心とした13の都道府県でトライアルをやっておりまして、送信回数が、これまで25万回送信しております。
 次のページをおめくりください。実際の画面を御覧いただきますけれども、各都道府県で、リッチメニューといいまして、下の画面のスクリーンショットの下3分の1のところでございますが、これが各都道府県でアレンジできる内容でございまして、今いろんな情報がたどり着けるようにしておりまして、例えば肝炎情報センターがおつくりの肝炎医療ナビゲーションシステムに直接飛んでいく仕組みですとか、医療内容、拠点病院等々の情報も肝炎情報センターもしくは肝臓学会のホームページにたどり着くようなことで情報を誘導しているということでございます。
 次のページが実際どのようにして使っているかという画面でございますが、研究班からの全国配信、これは例えばでございますが、兵庫県から、熊本県から、それから研究班から全国へアンケートを行うということもやっておりまして、それから、熊本県でトライアルを行ったものですが、熊本県の肝炎医療コーディネーターにアンケート調査を行って、活動の評価を行うということもできました。このコーディネーターのアンケート調査に関しましては、一昨年、雑誌『肝臓』で掲載させていただきまして、有用であるということを発信させていただきました。
 次のページをおめくりください。SNSの新たな働きといいましょうか、災害についての緊急連絡網としても活用されていたということが確認されました。これは昨年の元旦にありました能登の地震について、16時10分に発災がありましたが、研究班としまして、18時57分に、LINEを使って情報を発信しております。
 それから、特に問題となりましたのは、核酸アナログ等々のお薬の配備について非常に能登でもなくなったということで、モバイルファーマシー等々が出動するのも2か月ぐらい経ちましてからですので、その間どうするのだということで、これは東京肝臓友の会の皆様もこのLINEを活用いただいておりますから、LINEを使って石川県の資料を拡散してくださいということで、SNSを使って情報発信することができまして、それから、肝炎医療コーディネーターでありながら災害栄養士、JMATの訓練を受けている栄養士さんからも、被災地の避難所におきます肝臓病の方々の食事のアドバイス等々も発信いただきまして、かなり活用としては有意義なものであったと思っております。
 それから、次のページがLINEによる情報発信数の推移でございますが、日本肝炎デーにつきましては非常に発信の回数が多いですし、それから、秋にだいたい研修会が開かれるのですが、研修会、それから、最も発信数が多くてLINEによる情報交流があったのは、能登の地震のときが一番高かったということを確認することができました。
 次のページをおめくりください。肝炎医療コーディネーターに関しましては患者様にもかなり参画していただいておりまして、最新の調べでは、先ほど発表ございましたが、33の都道府県で肝炎医療コーディネーターとして患者の皆様が、もしくは御家族の方々が活躍いただいているということで、この場をおかりしまして深く御礼を申し上げます。
 その次のページですが、肝炎医療コーディネーター、患者の方々の活動というのは私ども医療者と違う視点から、私どもが手が届かないような、もしくは気づかないようなところを御指摘いただく、もしくは活動いただけるということで非常に期待しておりますし、医療職の肝炎医療コーディネーターが非常に頼りにしているというところが正直なところであろうと思いますが、活動につきましては、私ども研究班としましてもぜひ応援させていただきたいと思いますし、どんどん活躍の場を広げていただきたいと思っております。
 1つそれの成果としまして、2-3、これも肝炎医療コーディネーター、右側に「かんかんこ」とニックネームをつけていただきましたが、かんかんこの皆様の活動をとにかく世に広めたいという思いから、患者講義をまとめまして、学生さんの声がどのぐらい響いているのかということを世に知らしめたくて、学生さんの声につきましてまとめて全国で配布しているということで、この冊子に関しましては医学部、健康学部、薬学部等々の100名の学生さんの感想や学びを記載して、全28ページで、こちらも無料でホームページからも見ていただけるような仕組みでおります。また、もっともっとこういう方々が、活動が増えていくということを願っております。
 それから次のページですが、実際の事例でございます。5つのポツがございますけれども、一番上を御紹介しますと、ピア外来、ピア相談、肝臓専門医と併設して、ピア相談の外来を設置することがどのぐらい効果あるのかということをトライアルでやっておりますが、非常に満足度が高い。私ども医療従事者が聞き取れない患者様の不安解消に非常に役に立つということで、患者医療コーディネーターに関しましてはもっともっと活動しやすいような仕掛けがある、もしくは支援するということが今後のやっていくべき内容でございますけれども、非常に頼りがいがあるといいましょうか、患者さんとしても、実際コーディネーターの方々、ピアの声を聞くということが非常に有意義であるということが分かりました。
 そのほか、啓発事業に参加いただいたり、もしくは、右側は兵庫県のスキルアップ研修会を挙げておりますけれども、こういう研修会で実際登壇いただきまして、パネルディスカッションだったり御自分の経験だったりを、肝炎医療コーディネーターになろうと思っている方々、もしくはスキルを上げようと思っている方々に対して生の声をお話しいただくということで参画いただきまして、アンケートを行いますと、一番印象に残ったもの、もしくは医療者、今後コーディネーターとしてやっていくに当たって参考になったものは何かといいますと、やはり患者様の声だったということが圧倒的に強いインパクトが出ておりますので、この活動は今後も進めていきたいということで、研究班が声をかけられるところに関しましては、この内容をぜひということでお勧めしている内容でございます。
 それから最後のポツですが、これもトライアルでやりまして、患者様のコーディネーターが肝臓の専門医療機関、専門医がいるところをサーベイしていただきまして、患者さん目線で、どのようなものが足りていて、どのようなものをやるともっと患者様の居心地がよくなる、頼れる医療機関になるだろうということで御指摘いただくようなサーベイランスも、かんかんこの方々にやっていただくと意義があるということも私どもは明らかにすることができました。
 最後のところ、2-4でございますが、スキルアップですね。活動がうまくできていないというところに関しましても、肝Coのサポートプログラムを一昨年前から開始しておりまして、先ほど申し上げました基礎重視系、臨床演習系、創造発展系というカテゴリーの中で、それがいずれもうまくいっていないというところを特に研究班から支援したいと認識しまして、ベテラン肝Co、非常に経験豊富な肝Coの方々に協力いただきまして、次のページにその主要パッケージをお示ししておりますが、このサポートに関しましては地域が自走化して、よりクオリティの高い養成研修会、それから、スキルアップ研修会をやっていただくためのお手伝いをやっていくということですが、満足と自信、活動への展開、それから研修に積極的に参加できるような内容とか仲間づくりができる、こういうことを主眼に置いて、もっと活動したいというところの都道府県にお邪魔しましてサポートさせていただいております。これもやると、来ていただいてよかったということで、茨城県でも昨年うまくやりまして、自走化ができるような仕組みになりましたので、このお互い助け合う仕組みということも効果がありますし、地域の均てん化に資するものと思っております。
 2のところのまとめが先ほど挙げたところでございます。
 最後のページ、御紹介いたしますと、研究班の成果、発信、提言につきましてまとめているところでございますが、ありがたいのは、日本肝臓学会の総会等々で、肝炎医療コーディネーターの発表の枠、機会を設けていただきまして、第55回の総会、埼玉医科大学の持田教授の回から始まったものでございますが、恒例となっておりまして、最も参加者が多い、拝聴する者が多いというセッションまで成長しておりまして、こういう発表の場で全国に発信できるということに関しましては非常にありがたく、研究班としましても、日本肝臓学会の取組に関しましてはお礼をこの場で申し上げたいと思っております。そういう場で発表させていただいたり、特別発言の機会をいただいたり、それから国際シンポジウムにお呼びいただきまして、日本の取組について世界に発信する機会もいただいております。
 今後は、先ほど申し上げましたとおり、活動のツールを全国に発信して、より均てん化、もしくはもっと底上げしたいというところをお手伝いできればと思っております。
 以上でございます。
○竹原会長 江口先生、どうもありがとうございます。非常に重要な研究班の成果報告をいただきました。本当に横展開できるようなものがいっぱいあったと思いますので、また引き続きよろしくお願いします。ちょっと時間の関係で、質疑応答は割愛させていただければと思います。
 それでは、最後に議題4ということで、その他について事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○安田肝炎対策推進室長 事務局です。
 その他として、今回、1点御報告をいたします。参考資料9を御覧ください。公費負担医療のオンライン資格確認について御報告となります。
 1ページでございます。「マイナンバーカードを活用した医療費助成の効率化の推進」ということで、中ほどの左の絵を御覧いただければと思いますが、公費負担医療においてその対象者に受給者証を発行して、これを医療機関等において受診される際に提示していただくということを行っていますが、この受給者証に代えて、マイナ保険証によっても医療機関等においてその受給資格が確認できるような仕組みを整備していこうというものになります。
 2ページはそのメリットなどをまとめた資料となっておりまして、3ページを見ていただきたいのですが、現在、この公費負担医療の検討を進めております公費負担医療の一覧となります。表になっているものがその公費負担医療が法律上位置づけられているものということでして、肝炎の関係で言いますと、特定B型肝炎特措法に基づく定期検査費や母子感染防止医療費が含まれております。
 これに加えまして、その表の下に書かれております1つ目の※のところですが、こちらは予算事業で行われているものになりまして、肝炎治療特別促進事業、あるいは肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業も同様に検討を進めているというものになります。
 この表のほうの法律上位置づけられている公費負担医療のオンライン資格確認を進めるということで、これは法律の改正が必要となってきますので、その関係の法案がこの国会に今提出されているということでございます。その概要は4ページにつけておりますので、御参照いただければと思います。
 私からは以上になります。
○竹原会長 マイナを使うことによって特に支障が出ないようにと思いますが、何か特別に御発言よろしいでしょうか。
 それでは、以上で本日の議事を終了させていただきます。安田室長にマイクを戻したいと思います。
○安田肝炎対策推進室長 本日は長時間にわたりまして御審議いただきましてありがとうございました。次回の開催日程等につきましては、改めまして事務局から御連絡させていただきます。
 事務局からは以上となります。
○竹原会長 ありがとうございました。
 それでは、これで閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

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