第29回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録

健康・生活衛生局 感染症対策部予防接種課

日時

令和7年2月20日(木) 13:00~15:00

場所

WEB会議にて開催
(厚生労働省 共用第9会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

(1)高齢者に対するインフルエンザワクチンについて
(2)その他

議事

議事内容
○佐々予防接種課課長補佐 それでは、定刻になりましたので、第29回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会」を開催します。本日は御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日の議事は公開・頭撮り可です。また、前回同様、議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
 なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りは、議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 開催に先立ちまして、事務局に人事異動がございましたので、御紹介申し上げます。令和7年1月1日より、山口予防接種課課長補佐が着任しております。
 次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
 本日は、近藤委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 現在、委員8名のうち7名に出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 また、本日は参考人として、岡田賢司福岡看護大学客員教授、新城雄士サノフィ株式会社ワクチンメディカル部メディカルマネジャーに御出席いただいております。
 本委員会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイル及びお手元の配付資料で閲覧する方式で実施いたします。番号01の議事次第及び委員名簿から番号05の利益相反関係書類までを用意しております。資料の不足等、御不明な点等がございましたら事務局までお申し出ください。
 申し訳ありませんが、冒頭の頭撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(頭撮り終了)
○佐々予防接種課課長補佐 それでは、ここからの進行は鈴木委員長にお願いいたします。
○鈴木委員長 よろしくお願いします。
 国立感染症研究所の鈴木基です。
 それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項等について報告をお願いいたします。
○佐々予防接種課課長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。
 本日御出席いただきました委員・参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、薬事承認等の申請資料への関与、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況について申告をいただきました。各委員及び参考人からの申告内容については、番号05、利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
 まずは、薬事承認等の申請書類作成の関与ですが、議題(1)については、新城参考人よりエフルエルダ筋注について、申請書類作成の申告をいただいておりますので、該当ワクチンの審議または議決が行われている間は「退室」に該当しておりますので、併せて取扱いについてお諮りいたします。
 次に、寄附金等の受け取りの状況の報告でございますが、審議参加規程第8条の規定により、「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する委員・参考人はいらっしゃいませんでした。
 各委員・参考人におかれましては、繰り返しのお願いで大変恐縮ですが、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますよう、お願い申し上げます。
 事務局からは以上です。
○鈴木委員長 ただいま事務局のほうから、本日の審議参加について説明がございました。
 予防接種・ワクチン分科会審議参加規程の第5条の規定では、当分科会が特に必要と認めた場合には、出席し意見を述べることができるとなっています。
 今回、当委員会から参考人の出席をお願いしているところです。審議に御参加いただき、議決の部分については加わらないということで、本委員会として議論を進めていくということで、皆様よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鈴木委員長 御首肯いただいたかと思います。
 それでは、委員の皆様から了解いただいたということで、本日はそのように取扱いをさせていただきたいと思います。
 それでは、本日の議事に移りたいと思います。
 本日の議題は1点「高齢者に対するインフルエンザワクチンについて」となっております。
 それでは、本議題に関しまして、事務局から資料の説明をよろしくお願いいたします。
○佐々予防接種課課長補佐 事務局でございます。
 資料1-1を御覧ください。タイトルは「高齢者に対するインフルエンザワクチンについて」でございます。
 2ページ目を御覧ください。
 こちらは本日の御議論いただきたい論点となっております。初めに「インフルエンザワクチンに係るこれまでの経緯と薬事承認の状況」について御説明させていただきます。
 4ページ目を御覧ください。
 インフルエンザワクチンに係るこれまでの経緯でございますが、平成13年に高齢者等に接種した場合の発症防止・重症化防止効果が確認されたことから、予防接種法改正により、インフルエンザが二類疾病(現在のB類疾病)に位置付けられ、高齢者に対するインフルエンザワクチンが定期接種化されております。
 平成25年に、経鼻投与ワクチン等の改良されたインフルエンザワクチンが開発優先度の高いワクチンの一つに位置づけられ、開発要請を行ったところでございます。
 今般、令和6年12月に、高用量インフルエンザHAワクチンの60歳以上に対する使用について、薬事承認がされたといった状況でございます。
 5ページ目を御覧ください。
 インフルエンザワクチンの薬事承認の状況についてでございます。
 我が国におけるインフルエンザワクチンについては、不活化インフルエンザHAワクチン、高用量インフルエンザHAワクチン及び弱毒生インフルエンザワクチンが薬事承認されており、それぞれの効能及び効果、用法及び用量等は表のとおりとなっております。
 なお、赤枠でお示ししているワクチンが令和6年12月に薬事承認された高用量インフルエンザHAワクチンとなっております。
 6ページ目を御覧いただければと思います。
 7、8ページがインフルエンザの発生動向、疾病負荷等についてとなっております。
 7ページ目を御覧ください。
 インフルエンザの発生動向となっております。
 インフルエンザは、5類感染症として、全国約5,000か所のインフルエンザ定点医療機関から報告されており、小児及び成人を含めたインフルエンザの報告状況は、こちらの図のとおりとなっております。
 国立感染症研究所によると、2024/25シーズンのインフルエンザは、2024年第44週に全国的に流行開始と判断される定点当たり報告数1.00を上回り、その後も定点当たりの報告数は増加し、第52週は64.39でございました。
 この定点当たりの報告数64.39は、感染症法にもとづく現行の報告体制となった1999年以降最大であったとのことでございます。
 8ページ目を御覧ください。
 インフルエンザの重症化率の動向についてでございます。
 NDBによる解析では、65歳以上では、入院、死亡及び重症の割合が他の年齢層より高く、特に入院と死亡の割合については、年齢とともに上昇する傾向にございます。
 9ページ目を御覧いただければと思います。
 ここからは「高用量インフルエンザHAワクチンの有効性、安全性等」となっております。
 今回、高用量インフルエンザHAワクチンの有効性、安全性等について、製造販売業者のサノフィ株式会社より、参考人として御出席をお願いしておりますので、ここから参考人からの御説明をいただく形でもよろしいでしょうか。
○鈴木委員長 それでは、サノフィ株式会社からお越しいただいております新城参考人から御説明をいただきまして、その後、委員・参考人からの質疑としたいと思います。
 それでは、新城参考人、よろしくお願いいたします。
○新城参考人 鈴木委員長、ありがとうございます。
 本日は貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。
 サノフィの新城と申します。
 サノフィは、世界全体で年間2億5000万本のインフルエンザワクチンを出荷しているインフルエンザワクチンのリーディングカンパニーですが、本日はサノフィで開発された高齢者向けの高用量インフルエンザワクチンの臨床試験成績等を紹介いたします。
 めくっていただいて2ページ目、まずは製品概要です。
 販売名はエフルエルダ筋注。
 一般名は高用量インフルエンザHAワクチンです。
 効能または効果は、インフルエンザの予防です。
 60歳以上の者に1回、0.7ccを上腕に筋肉内注射します。
 注意点として、皮下注ではなく、新型コロナワクチンなどと同様に、筋注となっております。
 続いて3ページ目、先生方には釈迦に説法になりますが、高齢者におけるインフルエンザの疾病負荷になります。
 インフルエンザは、右上に示した円グラフのように、全ての年齢群で大きな疾病負荷があります。一方で、入院サーベイランスの年齢群別の入院患者の相対的割合を見てみると、左下に書かれているとおり、パンデミック前の2シーズンのデータなのですけれども、入院の6割以上は60歳以上の高齢者となっております。
 今シーズンにおいてはピークアウトしているかと存じますが、過去10年間で最も大きなH1優位の流行であり、インフルエンザの疾病負荷を再認識するシーズンであったかと存じます。
 続いて4ページ目、疾病負荷の続きですが、特に高齢者においては、インフルエンザは軽症の呼吸器感染症にとどまらず、主要な臓器に大きな障害をもたらす可能性があるとされています。
 二次性の細菌性肺炎は恐らくよく知られているかと存じますが、そのほかにも様々な合併症を起こし得ます。例えばこちらで示したように、インフルエンザに罹患した後には、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患のリスクが大きく増加するとされています。
 また、感染症全般に言われることですが、糖尿病患者においては、血糖値異常が増加します。さらに高齢者においては、インフルエンザによって、23%でADL、自立性が低下してしまったというような報告も海外からはあります。
 続いて5ページ目、疾病負荷が大きい一方で、高齢者は免疫機能が低下し、従来のインフルエンザワクチンでは効果が得られにくい可能性があります。実際に高齢者のインフルエンザワクチンの有効率は、小児及び若年・中年のものと比較して低いとされています。
 海外のインフルエンザワクチン有効性のシステマチックレビュー・メタ解析では、小児及び若年のものでは49%、37%であった一方で、65歳以上では31%と低い傾向でした。日本のワクチン有効性評価においても同様の傾向が見られます。
 ただ、右枠のとおり、研究によってデザインが異なり、また、年によって流行株やワクチン株が異なるため、これらの結果は解釈に注意を要します。
 また、一般に発症予防効果よりも重症化予防効果のほうが高い傾向にあるかと存じます。
 続いて6ページ目、こうした高齢者のインフルエンザ予防におけるアンメットニーズに応えるために開発されたのが高用量ワクチンになります。
 高用量ワクチンHDは、その名のとおりHA抗原を現在日本で流通している標準用量ワクチン(SD)の4倍量を含んでおります。
 米国では2009年に承認されて、以降、世界30か国以上で承認され、2021年1月時点で全世界で1億6600万回接種されています。
 国内では、右に示すとおり、開発優先度の高いワクチンに指定されて開発が要請されております。
 続いて7ページ目、高用量インフルエンザワクチンの臨床試験データについて示していきます。
 まず、米国での免疫原性評価に基づく承認後、十数年前に米国とカナダで2シーズンにわたって行われた大規模な臨床試験についてです。
 こちらは126施設で65歳以上の成人3万2000人を対象に、1対1で高用量または標準用量にランダム化して行われました。
 主要評価項目は、インフルエンザ様症状を認め、検査診断されたインフルエンザです。
 ここで重要なポイントとなるのが、対照群がプラセボではなくて標準用量ワクチンであるというところです。これは高齢者において標準用量ワクチンがスタンダードケア、標準予防法となっているからです。
 今日紹介する試験研究は、全て標準用量ワクチンが対照群となっております。
 続いて8ページ目、本試験の基本属性です。
 半数強が女性で、平均年齢は73歳でした。
 合併症を有する者は67%を占め、前シーズンのインフルエンザワクチンの接種者は74%でした。
 続いて9ページ目、結果になります。
 主要評価項目である標準用量ワクチンと比較した高用量ワクチンの相対的有効性は24.2%でした。
 続いて10ページ目、副次的評価項目になりますが、1シーズン目は中程度から高程度の抗原性のマッチであったため、より相対的有効性が高く、2シーズ目はミスマッチシーズンでした。
 また、傾向として、A型とB型で同程度の有効率であることが分かります。
 また、ワクチンと類似した株における解析でも、より高い相対的有効性でした。
 続いて11ページ目、探索的評価項目にはなりますが、この試験ではインフルエンザからの二次性の細菌性感染症として多い肺炎や、そのほか冒頭でお示ししたインフルエンザ後にリスクが上昇し得る呼吸器疾患・心血管疾患による入院のリスクも見ています。
 標準用量と比較して肺炎による入院を40%減少させ、深刻な呼吸器疾患・心血管疾患による入院を18%減少させました。さらに全ての原因による入院として見ても、7%減少とされました。
 続いて12ページ目、探索的解析として、年齢群別合併症やフレイルの有無等の結果になります。
 層別化した解析においても有効性を認めていることが分かります。
 続いて13ページ目、安全性のデータです。
 重篤な有害事象としてワクチンに関連すると判断されたものは、高用量ワクチン群で1例ありましたが、打ち切りには至らず、消失しました。
 また、死亡については、ワクチンに関連すると判断されたものはありませんでした。
 詳細な安全性、特にReactogenicityについては、後述の国内第III相試験で記述します。
 続いて14ページ目、さきの大規模な臨床試験以降、多くの介入研究・観察研究が行われてきましたが、これらを基にシステマチックレビュー・メタ解析が行われております。
 本研究は、2023年4月30日までに公表された文献を含んでおります。
 15ページ目にPRISMAフローチャーを示しております。
 スクリーニング後に、最終的には高用量と標準用量を比較した21研究がメタ解析に含まれました。このうち6例がランダム化比較試験、15個の研究が観察研究となっております。
 続いて16ページ目、メタ解析の結果になります。
 12シーズンにわたる21研究では、4500万人分のデータが含まれております。標準用量と比較して、先に示したインフルエンザによる救急受診や入院、肺炎による入院、呼吸器疾患・心血管疾患による入院のリスクを低下させることが分かります。
 ここでは示しておりませんが、プロットを見るとほとんどの研究で相対リスクが1未満であり、一貫した結果を示していることが分かります。
 もともとこれらの疾患の罹患率というのは非常に高いので、リスク値で見るとそこまで高いように見えませんが、リスク差で見ると、つまりどれぐらいの入院数が予防し得るかというところで見ると、かなりインパクトが大きいものと存じます。
 続いて17ページ目、研究デザイン別で見ると、ランダム化比較試験においても、観察研究においても、同様の傾向を認めております。
 続いて18ページ目、年齢群別で見ておりますが、年齢が高い群で相対的有効性が高い傾向にあります。これは年齢が高いほうが標準用量ワクチンの有効性が低い傾向にあることによるかと存じます。ただ、あくまでも傾向であり、層別化した全ての年齢群において入院に対する有効性を認めております。
 続いて19ページ目、シーズン特性別の結果で、H3、H1それぞれ優位の年、抗原性がマッチした年、ミスマッチした年と層別化しております。いずれにおいても類似した傾向にあることが分かります。
 続いて20ページ目、最後に国内において免疫原性と安全性を検討した第III相試験が行われておりますので、これについてお話しします。
 2020年から21年に国内の10施設で行われたランダム化比較試験で2,100名を対象に行われ、他の試験と同様に標準用量との比較になります。ここで標準用量というのは国内のワクチンの標準用量になり、皮下注されております。
 高用量ワクチンについては、今回の添付文書どおりに筋注されております。
 続いて21ページ目、基本属性です。半数が女性で、平均年齢は68歳でした。60代が60%、70代が40%弱、80代が1.5%程度含まれます。
 合併症を有する者は70%強を占めており、前シーズンのインフルエンザワクチンの接種者は30%強でした。
 続いて22ページ目、接種28日目の免疫原性ですが、こちらの試験においては全ての株でより高いGMTを示し、GMT比でいうと2~3倍程度でした。また右側、抗体の陽転率で見ても、標準用量の40~50%と比較し、70~80%でした。
 これらから、免疫原性評価における高用量ワクチンの優越性が示されました。
 1点ポイントとして、2020年、21年シーズンは、高用量インフルエンザワクチン株と国内で選定された標準用量株が共にWHOの接種株であるものの、H3とB/Victoriaは少し異なっておりました。そこで主要評価項目としては、高用量インフルエンザワクチンにとっては不利な日本の選定株を用いてHAI試験や抗体陽転率が検討されています。それにもかかわらず優越性が示されたというところになります。
 続いて23ページ目、年齢群別のGMTになります。両群とも高年齢で低い傾向にあります。
 続いて24ページ目、年齢群別の抗体陽転率です。こちらも両群ともに高年齢で低い傾向にあります。
 続いて25ページ目、安全性、特にReactogenicityのところになります。局所反応と自発的な報告による有害事象の頻度は、皮下注であるということもあり、標準用量で若干高く、一方で、全身性反応は高用量で若干高い傾向でした。ただ、両群とも大多数はグレード1で、例えば発熱の頻度についても1%未満でした。
 これらから、新たな安全性の懸念はなく、忍容性は良好と考えます。
 続いて安全性の続き、26ページ目になります。高用量ワクチン群では即時性反応は認めず、重篤な有害事象は高用量で0.2%、標準用量で0.5%で、いずれもワクチンに関連すると判断されたものはありませんでした。また、死亡や注目すべき有害事象については、両群ともに認めませんでした。
 続いて27ページ目、年齢群別のReactogenicityです。両群ともに高年齢で頻度が低い傾向にあるのが分かります。
 続いて28ページ目、最後に世界の高用量インフルエンザワクチンの高齢者に対する推奨状況をお示しします。
 本日お示しした10年以上蓄積された臨床的なデータをもって、主要国の公衆衛生機関は、高用量ワクチンが高いレベルのエビデンスを有しているとしております。これらのデータを基に、米国や英国、ドイツなどでは、高用量ワクチンが標準用量ワクチンよりも優先的に推奨されております。
 最後、29ページ目、まとめと定期接種化に向けた供給準備の考え方になります。
 高用量インフルエンザワクチンは、免疫機能が低下しているとされる高齢者を対象として開発されました。
 米国や欧州の主要国では、標準用量ワクチンと比較して、12年間にわたってインフルエンザ感染だけでなく、インフルエンザ関連の呼吸器疾患・心血管疾患による入院を低減することが多くのエビデンスで示されております。
 これらのエビデンスを基に、米国や欧州などの主要国の公的機関により、高齢者における高用量インフルエンザワクチンの優先的な使用が推奨されています。
 国内においても第III相試験において、現状のB類定期の対象である60歳以上を対象に免疫原性及び安全性が検討されました。
 有効性・安全性の観点からは、有用性が高いと考えられ、費用対効果については今後検討されるものと考えます。
 本ワクチンが2026年10月から定期接種化された場合においても、安定供給を行うための準備を進めております。
 サノフィからの発表は以上になります。ありがとうございました。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 それでは、今、御説明していただいた内容につきまして、委員・参考人から御質問、御意見がございましたらよろしくお願いいたします。
 大藤委員、お願いします。
○大藤委員 詳細な御説明ありがとうございます。
 海外でも結構長年使われているワクチンで、いろいろなデータも蓄積されてきて、結構安心感があるかなと思っているのですけれども、1点教えてほしいのですが、システマチックレビューで年齢別の相対的有効性を見たもので、高齢になるほど相対的な有効率が高まっているということがあったと思うのですけれども、システマチックレビューの対象になったのが65歳以上の人ということなのですが、日本で定期接種の対象で60~64歳の基礎疾患を持っている人とかもいらっしゃると思うのですが、諸外国のデータで60~64歳での相対的有効率の情報とかがあれば教えてください。
○新城参考人 重要な点ありがとうございます。
 こちらについてはデータが存在するかどうか確認して、お調べして、共有可能な情報をまた後日共有させていただければと思います。
○大藤委員 ありがとうございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 それでは、池田委員、お願いします。
○池田委員 池田でございます。
 最後のところで、費用対効果については今後検討されると考えられると書いてあったのですが、これは企業として検討予定だと理解していいのでしょうか。
 その場合に、費用のデータなどは海外と日本では随分違うと思いますので、日本のデータで検討されるということなのか、もし検討されるならばどのくらいの時期にそれは御報告いただけるのかということを教えてください。
○新城参考人 ありがとうございます。
 企業としての費用対効果については現在検討中ですので、また情報共有できればと存じます。
 時期については、現状検討中というところでとどめさせていただければと思います。
○池田委員 国内のデータを分析されるということでよろしいですか。
○新城参考人 疾病負荷のデータについては、国内のデータを用いた上で、臨床的有効性については国内のデータが恐らく免疫原性しか現状ではないので、海外のデータ等を用いることになろうかと存じております。
○池田委員 ありがとうございました。
○佐々予防接種課課長補佐 事務局から失礼いたします。
 一度委員の皆様から御質問をいただいた後、参考人から御回答をいただくのはいかがでしょうか。
○鈴木委員長 了解しました。
 それでは、菅沼委員、よろしくお願いいたします。
○菅沼委員 御説明ありがとうございました。
 1点だけ、もし分かればなのですけれども、両群とも、前にワクチンを打っている方が3割ぐらい、残りは打っていないという方です。そうなると、もともと打っている方で今回の高用量のものを打った方、あるいは、もともと既に従来のものを打っていた者で従来のものをもう一回打った方、あるいは打っていない方が高用量のものを打つ、あるいは従来のものを打つという形で幾つかパターンがあると思うのですけれども、その中で免疫原生がどうだったかという比較はありましたでしょうか。
○鈴木委員長 続きまして、原委員、よろしくお願いいたします。
○原委員 御説明ありがとうございました。
 2点教えていただきたいのですけれども、1つ目が12ページの大規模臨床試験の探索的解析のところなのですが、御説明で75歳以上になると標準用量での有効率が低いので、相対的な有効率が高くなるという御説明だったかと思うのですけれども、そのほかの例えば合併症やフレイルとかになりますと印象が逆転しているように思ったのですけれども、この辺りはどのように解釈すればよいのかというのが1つ目です。
 2つ目は、28ページ目で世界の推奨状況に関してのところですけれども、標準用量よりも優先して推奨されるというのは分かったのですけれども、同様に推奨されるというのは、接種者が自分で選ぶという意味でよろしいのでしょうか。特にどちらを優先してではなく、打つ人が自分で選ぶという意味でしょうかという2点、教えてください。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 それでは、氏家先生のところまででまとめたいと思います。
 氏家先生、お願いします。
○氏家委員 ありがとうございます。
 直接今御説明いただいた安全性・有効性のデータの質問ではないのですが、高齢者で日本で初めて日本の企業以外が提供するインフルエンザワクチンになるということで、これまで国内で検討を毎年されている株選定会議の決定に従わない初めてのワクチンとなると理解しています。通知も出ていまして、海外で製造されたワクチンについては、国内の指定する株でなくても、WHOの推奨であれば一変で流通できるということが定められているところだと思いますが、今回の当該ワクチンは、サノフィが、カナダ、アメリカ、そしてフランスで製造されていらっしゃると思うのですけれども、そのいずれかから輸入するワクチンで、基本はWHOの推奨株に従った、毎年北半球の推奨株に従った製造をしたものを日本に輸入するという理解でいいのかどうかを確認させていただければと思います。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 それでは、菅沼委員、原委員、それから氏家委員から御質問いただきましたので、新城さんからよろしくお願いいたします。
○新城参考人 ありがとうございます。
 まず菅沼委員からいただいた御質問で、現状、ワクチンを過去に打っていたかどうかで層別化したような免疫原性の解析が行われておりませんので、また解析可能かどうかを確認した上で、後日共有できればと思います。ありがとうございます。
 原委員からの御質問、まず1点目、合併症、フレイルがある者においては低い傾向にあるのではないかというところで、本当におっしゃるとおりで、あくまでもこれらの年齢群別とか合併症別の解析というのは探索的な解析であって、本当に傾向を見ているだけなので、かつ、コンフィデンス・インターバルもオーバーラップしているので、実際に異なる傾向なのかというのは本当に分からないところなので、あくまでも傾向というところで、確かにおっしゃるとおり合併症とかフレイルがある者においては、一つの仮説としてはより免疫が落ちている可能性もあるのか、低い傾向にある可能性はあるかと存じます。なので、これの解析についてはあくまでも探索的解析で、いわゆる有意差を出せるようなパワーを持って解析しているものではないので、あくまでも傾向というところにとどめさせていただければと思います。ありがとうございます。
 次に、世界の推奨状況についてなのですけれども、同様に推奨というのはおっしゃるとおりで、医療者や一般の方が選択して接種するという形になろうかと存じます。
 最後に、氏家先生からいただいた御質問に関しては、まさにおっしゃるとおりで、WHOの選定する株の中から、サノフィの株についても、日本の選定株についても選ばれているかと存じますので、そのような形で用いられるものと存じます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 そのほか御質問、コメントございますでしょうか。
 岡田先生、お願いします。
○岡田参考人 参考人の岡田です。ありがとうございました。
 1つはお願いと1つは質問です。
 25ページにあった国内の安全性の試験の中で、先ほど新城さんからはコメントで、SD、標準用量のほうは皮下注だから、このように局所反応が多いということが示されましたけれども、この資料の中にはどこにも国内での標準用量が皮下注になっているということが書かれていませんでした。この資料はいずれ公開されると思いますから、社会に誤解を生まないように、標準用量は皮下注でしたということを書いていただいたものを公開されたほうがいいのかなと思いました。
 それから、もう一つはお願いです。先ほど池田先生から御質問があったような費用対効果をサノフィさんが研究されるときに、できれば今回のように年齢群別で費用対効果が出せるのかどうかということを検討していただきたいなと思いました。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 新城さん、いかがでしょうか。
○新城参考人 重要なコメントありがとうございます。
 まず、国内の標準用量ワクチンについては、承認されている接種経路が皮下注であるという点については、追記して資料を事務局に提出できればと存じます。大事な点をありがとうございます。
 それから、費用対効果解析についてなのですけれども、年齢群別について、持ち帰って社内で検討できればと思います。こちらも重要な点をありがとうございます。
○鈴木委員長 そのほかいかがでしょうか。
 よろしければ、私から1つだけ質問です。
 最後から2枚のスライドで、海外においてよりほかのというか、通常の標準用量よりも優先的に推奨されている国々があるということですが、例えば米国において、全体のインフルエンザワクチンのうち高用量が使われているシェアというか割合について、もちろん公表ベースでいいのですが、何か情報がありましたらよろしくお願いします。
○新城参考人 ありがとうございます。
 こちらについても、それぞれのワクチンの種類のシェアについては手元に持ち合わせていないので、また公開できる情報がありましたら共有させていただければと思います。ありがとうございます。
○鈴木委員長 分かりました。ありがとうございます。
 ほかはよろしいでしょうか。大丈夫そうですか。
 分かりました。
 それでは、新城さん、どうもありがとうございました。
 続きまして、事務局から引き続き資料の説明をよろしくお願いします。
○佐々予防接種課課長補佐 引き続き、事務局から御説明させていただきます。
 資料1-1の11ページ目を御覧ください。
 11ページ目、12ページ目は、米国及びカナダのケベック州の高用量ワクチンに係る費用対効果分析の知見となっております。
 まず11ページ目でございますが、米国では、費用対効果分析の検討において、65歳以上を対象とした標準量不活化ワクチンに対する高用量不活化ワクチン(アジュバント付加ワクチンを含む)の費用対効果については、各シーズン前のインフルエンザの疾病負荷とインフルエンザワクチンの有効性によって異なるものの、高用量不活化ワクチン(アジュバント付加ワクチンを含む)の使用を推奨することは、標準量不活化ワクチンと比較し合理的で効率的な資源配分であると報告されております。
 次に、12ページ目を御覧ください。
 カナダのケベック州における65才以上を対象とした費用対効果分析では、標準用量のワクチンに対する強化されたワクチンの費用対効果については、慢性疾患を有する75歳以上においても最も費用対効果が良好であると報告されております。
 なお、強化されたワクチンにつきましては、高用量ワクチンやアジュバント付加ワクチンに限らず、免疫原性が強化されたワクチンという意味でございます。
 最後、おまとめの14ページ目を御覧いただければと思います。
 高齢者に対するインフルエンザワクチンに関する論点となっております。
 おまとめとしては、インフルエンザワクチンに係る経緯等でございますが、平成13年に予防接種法改正により、インフルエンザが二類疾病(現在のB類疾病)に位置づけられ、高齢者に対するインフルエンザワクチンが定期接種化されております。
 平成25年に経鼻投与ワクチン等の改良されたインフルエンザワクチンは、開発優先度が高いワクチンに位置づけられておりました。
 令和6年12月27日に高用量インフルエンザHAワクチンの60歳以上に対する使用について、薬事承認されていたところでございます。
 インフルエンザの高齢者における疾病負荷につきましては、65歳以上では、入院、死亡及び重症の割合が他の年齢層よりも高く、特に、入院と死亡の割合については、年齢とともに上昇する傾向にございます。
 高用量インフルエンザHAワクチンの科学的知見についてございますが、有効性については薬事承認時の審査報告書において、日本人でのインフルエンザに対する一定の有効性が期待できるとPMDAにおいて評価されております。
 海外の知見では、3価の標準量不活化ワクチンに対する3価の高用量不活化ワクチンの相対有効性は24.2%でございました。
 安全性については、日本人を対象とした臨床試験において、海外臨床試験や海外の製造販売後で認められている有害事象と比較して新たな安全性の懸念は認められておらず、国内標準量不活化ワクチンと比較して、特定反応の発現割合が若干高い傾向があるものの、その多くが軽度であることを踏まえると、認容可能とPMDAにて評価されております。
 国内第III相試験において、高用量不活化ワクチン及び標準量不活化ワクチンの両群とも、年齢が高いほど特定反応が低下する傾向にあると企業は報告しております。
 費用対効果につきましては、米国における費用対効果分析の検討では、高用量不活化ワクチン及びアジュバント付加ワクチンの使用を推奨することは、合理的で効率的な資源配分であると報告されております。
 カナダのケベック州における費用対効果分析では、標準量のワクチンに対する強化されたワクチンの費用対効果については、慢性疾患を有する75歳以上において最も費用対効果が良好であると報告されております。
 その上で論点でございます。
 令和6年12月に高用量インフルエンザHAワクチンの60歳以上に対する使用について薬事承認がされており、当該ワクチンを用いて高齢者のワクチンの接種を行う場合、有効性、安全性や費用対効果分析の知見について、どのように考えるか。不足している知見等はあるか。
 2つ目が、高齢者に対する高用量インフルエンザワクチンの接種について、ワクチンの評価に必要な知見が一定程度集積していると考えられる場合は、本日の御議論も踏まえ、高齢者のインフルエンザワクチンに係るファクトシートの作成を国立感染症研究所に依頼することとしてはどうか。また、現状のエビデンスを踏まえ、ファクトシートを作成するにあたり留意すべき点はあるか。
 3つ目でございますが、作成されたファクトシートの内容を踏まえ、再度議論することとしてはどうかについて御議論いただければと考えております。
 なお、参考には諸外国における推奨インフルエンザワクチンなどの情報を付しております。
 事務局からは以上となります。
○鈴木委員長 資料の御説明どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの資料、それから論点について、14ページに挙げていただいております。これに関しまして、委員の先生方、参考人の先生から御意見、御質問いただければと思います。いかがでしょうか。
 氏家委員、よろしくお願いいたします。
○氏家委員 ありがとうございます。
 先ほどサノフィの新城さんからも御説明いただきましたように、国際的には2010年から使用が開始されて、広く医学的なデータの蓄積があるワクチンであり、安全性、有効性が国内でも認められ、承認されたということ。そして、現在日本で流通しているワクチンと比較して、特に定期接種の対象者である高齢者において、より高い有効性を示す報告が複数あること。さらには、2013年に策定された予防接種に関する基本的な計画において、改良されたインフルエンザワクチンの開発が求められていたこと。こういったことを踏まえれば、この新しく承認された高用量のワクチンをファクトシートの作成を通じて検討を進めていくという方針については賛成という意見です。
 その際の注意点を幾つか述べておきたいなと思うのですが、先ほど御指摘させていただいたように、これまで日本のインフルエンザワクチンというのは複数社製造がありますけれども、全て同じ株で同じ作り方をしているものでしたので、今回、定期接種に入る高用量のワクチンは、恐らく価格も違う、安全性、有効性も異なるという観点で違いが出てくると思います。複数の種類のワクチンを使って定期接種を行うということは、来年度から予定されている帯状疱疹のワクチンでも検討されているところですが、これをどのように情報提供して、接種対応を進めていくのが公衆衛生的に正しいのかということをしっかりと議論できる比較検討に資する情報が必要だろうと思います。
 費用対効果の観点では、国内での流通価格がまだないわけですが、一定程度価格の想定を踏まえた費用対効果の議論も必要だと思いますし、先ほど岡田先生が指摘されたような、年齢別での階層別の評価ということも重要になってくると思います。
 また、そういったデータを踏まえ、異なる種類のワクチンを対象者が同様に好きなように接種を受けて良いのか、それともどちらかにより高い推奨を置く必要があるのか、こういったことがファクトシートの結果を踏まえて検討されるとなるだろうと考えています。
 もう一点、注意点として挙げておきたいのが、高用量のほうが局所反応や全身反応の頻度が高いという点です。インフルエンザの定期接種においては、ほかのワクチンと異なる点として、接種後の発熱者を接種不適当者とする事項が実施要領に定められています。約1%の方に発熱が認められると、実際の臨床現場ではそのように運用されていない可能性が高いのですが、事務的には発熱者が次回接種から不適当者になってしまうので、制度上では毎年受ける予防接種の不適当者になってしまう可能性が考えられます。
 そういった医学的に見てこの規定をどう評価するのかということも、インフルエンザにだけ特殊な規定が設けられていますので、過去の経緯等や、高用量ワクチンの安全性が少し発熱率が高いというところも踏まえ、規定の在り方も併せて考えていくことが必要になるのかなと思います。
 私からは以上です。
○鈴木委員長 氏家委員、どうもありがとうございました。
 ファクトシートを作成していくに当たって押さえておくべきポイント、それから、評価をしていく際に、これまで使われている国内の不活化ワクチン、標準量のワクチンとは幾つか違うポイントがある。それを押さえた上で評価をしていく必要があるという点について御意見をいただきました。
 大藤委員、よろしくお願いいたします。
○大藤委員 ありがとうございます。
 私も氏家先生の御意見と同じで、本当に諸外国とかでも実績が高いワクチンで、有効性、安全性のデータもかなり蓄積してきているので、ファクトシートの作成に進めていただくという方向で特に異論はありません。
 その際に、相対的有効性が高齢になるほど高くなっていることとか、安全性に関しては高齢になるほどいろいろな副反応が少なくなってくるとか、そういった年齢別での違いがあるので、費用対効果のこととかもございますけれども、そういった年齢別での評価ができるような形まとめていただければなと思っています。
 その際には、先ほども指摘しましたが60~64歳の基礎疾患がある人に対してはどうするかといったところも判断できるような形で、そういった情報も含めていただけるとありがたいなと思いました。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 原委員、お願いいたします。
○原委員 私も、氏家先生や大藤先生がおっしゃったことに賛成で、今後ファクトシートを作成していくということで賛成なのですけれども、費用対効果の点に関して、年齢階級ですとか、ハイリスクの方については層別化した形でしていただくということに加えて、価格の設定を幾つかということだったと思うのですけれども、例えばこれぐらいまで下げるとより費用対効果がよいといった、仮説というよりも、これぐらいまで下げられそうかとかいうような視点もあってもいいのかなと思いました。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 それでは、菅沼委員、お願いいたします。
○菅沼委員 先ほどから皆さんがおっしゃっているとおりで、海外でも2009年からもう蓄積があってということで、安全性と効果についてはかなりデータがそろっているのではないかなと思います。
 あと残っているのは、先ほどからお話に出ている費用対効果というところで、これから高齢化社会になっていって、我々も臨床ではよくインフルエンザ後肺炎というのを見ており、難渋することもあるということもあって、従来型よりも2割ほど効果が高いということであれば、かなりボリュームとして大きいところになるかなと思いますので、ファクトシートに進めていただいて、実用化に向けて検討していただければと思います。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 ここまでいただいた御意見の中で、まず論点としてのファクトシートの作成に進めるに当たって、現状で有効性、安全性含め検討するに十分なエビデンスがあるのかという意味では、既に海外で導入実績があり、実際にプログラムに組み込まれて、有効性、安全性という観点からは、既にデータはあるだろうと。加えて今回、サノフィから説明がありましたが、国内での免疫原性に関する結果もあるということで、ファクトシートの作成を進めていくことについては、これまでの委員の先生方から特に異論がないと解釈はしております。
 それに当たってどこの部分を踏まえておくのか、特に年代別の効果の違い、それに伴う費用対効果の違いについてもしっかり検討しておくべきではないかというような御意見もいただいたかと思います。
 そのほか、先生方いかがでしょうか。
 岡田参考人、よろしくお願いいたします。
○岡田参考人 ほかにどなたもなければ発言させていただきます。事務局にお願いです。まとめのところの安全性評価の2行目ですけれども、国内標準量不活化ワクチンと比較してということですから、量は標準量だけれども、国内の現行の不活化ワクチンと比較はしていないと思いますから、先ほどの接種ルートの違いも含めて、少し誤解のないような書き方にしていただくのがいいのかなと思いました。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 まだもう少し意見はお伺いしたいと思いますが、ひとまずここまでいただいた御意見、それから今の岡田参考人からの御指摘を踏まえて、事務局から何か応答ございますでしょうか。
○佐々予防接種課課長補佐 事務局でございます。
 ファクトシートに係る注意点や趣旨について、御意見いただいたものと承知しております。
 岡田参考人からいただきましたまとめの安全性のところでございますが、ここに関しては審査報告書の記載ぶりを事務局のほうで再度確認させていただき、必要に応じて記載の修正など検討していきたいと考えております。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 その他御意見いかがでしょうか。
 事務局から御発言ありますか。
○山口予防接種課課長補佐 ありがとうございます。事務局でございます。
 先ほど、氏家委員から御指摘いただきました、発熱の方が1%程度見られ次回不適当者になってしまうという点について、事務局で少々まとめさせていただきます。
御指摘のとおり、現行の定期接種の実施要領の項「予診並びに予防接種不適当者及び予防接種要注意者」のなお書きにおきまして、インフルエンザの定期接種で接種後2日以内に発熱の見られた者及び全身発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者で、インフルエンザワクチンの接種をしようとする者は、予防接種を行うことが適当でないものに該当することに留意すること、という記載があり、こちらの御指摘かと思います。
 氏家委員からは、実施要領上、今後、1%の方が不適当者に当たってしまうのは問題であり、事務局でも検討してほしいという御指導だったかと承知しております。
 御指摘を踏まえまして、まずは現行の実施要領の内容について精査を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 氏家先生の御指摘、まず国内株と海外の標準化の違いのところと、今の発熱者の扱いのところ、非常に重要なポイントであったと思います。
 それでは、おおむねファクトシートの作成に進めるということについては、大きく異論がなかったのかなと思いますが、ファクトシートといっても、高用量インフルエンザワクチンに関するファクトシートなのか、当然ながら今使われている標準量の不活化ワクチンも含めた高齢者に対するインフルエンザワクチン一般に関するファクトシートなのかといったところも、作成前にコンセンサスをつくっておく必要があるのかと思いますが、いかがでしょうか。委員の先生方、そもそもこのファクトシートの果たすべき役割ということも含めて、もし御意見がございましたらよろしくお願いいたします。
 氏家委員、お願いいたします。
○氏家委員 ありがとうございます。
 先ほどファクトシートを作成するに当たっての注意事項として、既存の流通しているワクチンとの違いを比較できる形での、記述が望ましいと申し上げた観点からすると、いろいろと論点で、安全性、有効性、ワクチン株、そして価格という観点で、それぞれが既存のものと異なるということがありますので、一定程度コンセンサスの得られた既存のワクチンの情報というのも併せて記載いただくほうが議論がしやすいだろうとは思います。
 また、ファクトシート自体は当然広く接種を推奨するに当たっての基本事項として、感染研に作成していただいている内容だと思いますが、一般の方にも説明をするに当たって、非常に基本的かつ重要な情報源として公開されている内容のものだと思います。そういった評価に当たって必要な安全性、有効性の情報というのは、基本的には広くあったほうが、医療従事者や一般の方も使用しやすいですし、説明がしやすいという観点でも、広く既存のワクチンも含めた情報があったほうが良いのかなと思います。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 原委員、よろしくお願いいたします。
○原委員 私も、既存の標準用量についてもあったほうがよいと思っています。
 理由としては、新城参考人に紹介していただいた世界の公的機関の推進状況のところにあったように、高用量を優先して推奨する場合も、どうして優先するかということで比較が必要ですし、もし同様に推奨するということになった場合に、医療関係者とか接種する人が自分で判断しなければならないとかいうことになった場合にも、比較するときに分かりやすい資料が必要だと思いますので、2つ合わせて評価していくことが妥当ではないかと思います。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 ここまでの御意見を踏まえると、高用量に限らず、既存のワクチンと比較して高齢者に対するインフルエンザワクチンに関するエビデンスを集めるといったファクトシートが求められるのかなと思いますが、依頼される側の森野委員は何か御意見ございます。
○森野委員 ありがとうございます。
 今、委員の皆様方からコメントいただきました点、私としても同じく得心するところでありまして、評価という意味で必要となってくる項目であるのかなと思っております。特に、ファクトシートの構成としては疫学、有効性、安全性、費用対効果、海外導入状況というような形で、大きく項目がありますが、いずれにおいても結果的に標準用量(ワクチン)の情報も求められてくる、含まれてくるようにも意識しております。
 ありがとうございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 私も感染研側なので、こちらからの意見として申し上げておきますけれども、実はインフルエンザワクチンそのもののファクトシートというのはこれまでないということで、今回、高用量がきっかけではありますが、実際は初めて、高齢者に限定するとしてもファクトシート作成になるということになりますので、一定程度時間的な猶予はぜひ作成チームには与えていただきたいと思うところが1つです。
 それから、ファクトシート作成に当たって押さえておくポイントは、既に主要なところは指摘していただいておりますが、恐らくその後の議論で大事になってくるのが、今の65歳以上あるいは60~64歳の背景疾患のある方というくくりだけではなくて、例えばより高齢な70歳とか75歳以上により強く推奨するとかそういったことも想定されるとは思うのですが、そのときに今の日本の制度でより優先的に推奨するというようなやり方ができるのかどうか。今ここで結論は出ないと思いますが、その辺りも念頭に、ファクトシートの中にそこまでもちろん踏み込めないと思いますが、ファクトシートが出てきた後にそこのところは論点になるのかと思います。これは私のコメントなのです。もうちょっとそういった観点から、委員の先生方で何かアイデアとかございましたらありがたいのですが、いかがでしょうか。難しいところです。
 氏家先生、お願いします。
○氏家委員 ありがとうございます。
 インフルエンザは今、予防接種法でB類疾病に規定されていますので、積極的勧奨がない形の個人での重症化予防を目的とした定期接種に位置づけられているかと思います。その観点で、対象者を政令で65歳以上の年齢に限定して規定されていますので、推奨の強さという意味ではなかなか強弱をつけることは多分難しいのかなとは思います。一方で、先ほどお話ししたような製剤の優先度という意味においては、異なる種類の複数のワクチンのうち、どちらを優先して打つことみたいな情報を実施要領の通知に規定している肺炎球菌ワクチンもあるので、明らかな違いがあるということであれば、同様に年齢を併せて書けば実施要領にはもしかしたら落とし込めるかもしれないのかなと私の中では思いました。
 あと大事な点として、今まで日本で選定された日本のワクチンは日本でしか使用経験がないですし、逆に今回、日本で使われることになる高用量のワクチンは海外でしか使用経験がありませんから、実際の研究でこの違いを直接比較できるデータはどこにもないだろうと思います。当然、使用されている制定株の違いであるとか、その地域におけるその流行株の違いなどで、有効性の結果が変化するということは当然あり得ることだと思いますので、純粋な意味での比較ということは難しいだろうと思います。
 一方で、今後、両製剤が使用されるようになれば、同じ環境下においての比較が可能になりますので、それは今回の制度化に関する評価には直接関係がありませんが、日本におけるワクチンが、世界的に使われているワクチンと比較してどういう位置づけなのかというところについて、株設定会議の継続性も含めて、検討してもいいのではないのかなと、そこは個人的に思うところではあります。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 ほかの先生方、よろしいでしょうか。
 今日の会議は1時間の予定なのですね。
 もう時間が終わりに近づいておりますけれども、それでは、今日の論点としましては、高齢者に対するインフルエンザワクチンに係るファクトシートの作成を国立感染症研究所に依頼することとしてはどうかという点に関しては、異論がないということでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鈴木委員長 一方で、様々な論点も出てきましたので、それについてはまた引き続き議論ができればと思います。
 それでは、ひとまず本日の論点については以上、取りまとめということで、事務局におかれましては、感染研と十分連携しながら、ファクトシートの準備を進めていただきたいと思います。
 以上となりますが、事務局の方いかがでしょうか。
○山口予防接種課課長補佐 委員長、ありがとうございます。
 また、先生方、活発な御議論いただきまして誠にありがとうございます。
 先生方から御意見を頂戴しました、まさに先生方あるいは国民の皆様が選択するに当たって、分かりやすいようなファクトシートをおまとめいただく非常に重要な論点かと思います。
実際にまだこの時点では予防接種法上に位置づけて接種していくかどうかはまだ決まってはおりませんけれども、最終的にはファクトシートを踏まえて、各年齢の方にそれぞれ選択いただけるよう、あるいは臨床の先生方に説明していただけるようなファクトシートをおまとめいただき、さらに予防接種法上に位置づけるとなりました場合につきましては、事務局といたしましても、そうしたことが伝わりやすいよう情報提供資材を作成し、周知広報に努めてまいりたいと思います。
 また、鈴木基委員長からいただきました推奨の度合いを変えることができるのかという点につきましては、氏家先生からもコメントいただきましたとおり、現行の制度ですとなかなか踏み込めるかどうかというのは定かではございませんけれども、一方で、先生方として、この委員会の御意見としてこういった形での御意見があったというような、審議会資料としてのまとめのような資料は作ることができると思いますので、そうした形で対応していくことを検討してまいりたいと、このように考えております。
 以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 まさにそこですね。ファクトシートとしてファクトをまとめる。一方で、ここに集まっている専門家として、このワクチンに関する推奨というのも意見として出していくことはできるのだろうと思いますので、それはまたその場でぜひ議論させていただきたいと思います。
 時間が延長して申し訳ありませんでした。
 それでは、本日の会議は以上となります。
 どうもありがとうございました。