2024年12月25日 薬事審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和6年12月25日(水)18:00~

場所

厚生労働省共用第6会議室

出席者

出席委員(18名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理


欠席委員(5名)五十音順


行政機関出席者
  • 佐藤大作 (大臣官房審議官)
  • 高江慎一 (医薬局医療機器審査管理課長)
  • 野村由美子(医薬品医療機器総合機構審査センター長) 他

議事

○医療機器審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、「薬事審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催いたします。医療機器審査管理課長の高江でございます。委員の先生方におかれましては、御多用の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。本会議は、Web会議形式を併用して開催しております。また、本部会では、会議の様子をYouTubeでライブ配信させていただいておりますので、御了承いただきたいと思います。
 現時点で、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、18名に御出席いただいておりますので、薬事審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。また、11名の委員に関しましては、Webシステムの参加となっております。
 次に、本日の審議に参考人として御出席いただく予定の皆様を御紹介させていただきます。議題1につきまして、日本OTC医薬品協会理事長、磯部総一郎様。
○磯部参考人 よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 一般社団法人、日本臨床検査薬協会常務理事、繁田勝美様。
○繁田参考人 よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 それぞれ御出席いただいております。
 議事に先立ちまして、所属委員の薬事審議会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告いたします。薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任された委員はおられませんでしたので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 続けて、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。
○事務局 事務局でございます。本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明いたします。令和6年薬事審議会確認に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2については、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。
 会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。また、Webにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料を手元に御用意ください。Web会議で御参加される委員の皆様におかれましては、審議中はマイクミュート、通信環境等に支障がない限り、カメラオンでお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上でございます。
 以降の進行ですが、小野部会長、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 それでは、ただいまの事務局の説明について御意見、御質問等がございますか。特にないようですので、よろしければ、これより議題に入りたいと思います。
 本日は議題1から2まで全て審議事項となっております。それでは、議題1「一般用検査薬の一般原則について」の審議に入ります。事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。それでは、議題1、一般用検査薬の一般原則について、まず、医療機器審査管理課より資料1-1を用いて御説明させていただきます。
 まず、資料の前半部、これまでの経緯です。令和6年3月11日に開催しました本部会において、本日の議題1と同じ議題である、一般原則の見直しについて、御審議いただいたところです。その中で、業界団体より、毎年、継続研修を行っている専門性の高い薬剤師がいる施設から提供する体制が重要と考えており、高度管理医療機器等販売業許可を持つ薬局・店舗販売業、もちろん薬剤師が勤務している所になりますが、そこに限定して販売することはどうかという御提案がありました。これに対して、本部会委員より下記の御意見を頂いたところです。一部、日本語を補っていますが、御紹介させていただきます。
 高度管理医療機器等の販売等に係る継続研修では、受講者が「自己血糖測定器」の使用補助を理解するために、教材全体の中では何分の1ぐらいの割合なのでしょうか、との旨の御意見を頂きました。それに対する御回答です。まず、本回答を作成するに当たり、継続研修の1機関である日本薬剤師会にも御協力いただきましたので、その事例として御紹介をさせていただきます。
 高度管理医療機器等の販売等に係る継続研修において日本薬剤師会が用いている継続研修のテキストは、注釈にもありますが、全150ページあります。その中で、「採血用穿刺器具」は第5章「薬剤師が知っておきたい機器等の話題」の一つとして取り扱われておりまして、その割合は3ページ程度でした。第5章自体が37ページありますので、割合としては8.1%程度になります。なお、その他の研修機関においては、「採血用穿刺器具」などがそもそも取り扱われていない所も確認できました。資料1-1の御説明は以上です。
○医療機器審査管理課長 それでは、業界団体の方から資料1-2の御説明を、磯部様、繁田様、よろしくお願いいたします。
○磯部参考人 このような機会を頂きまして、部会長をはじめ、ありがとうございます。それでは、資料にしたがって、私、OTC医薬品協会の磯部のほうから全体をまとめて説明させていただき、また必要であれば、繁田常務からもお話をさせていただきたいと思います。
 1枚めくっていただき、全体として、今、医療機器審査管理課からお話がありました。前回のときに、特に研修をめぐってお話がいろいろありました。その関係で、私どもとしての考え方について、今回、それを中心に御説明していきたいと思います。
 3ページを御覧ください。前半の上の部分は先ほどのとおりですが、私どもとしては、特に糖尿病の関係の血糖自己測定器のOTC化ということです。そのための研修用として、現在の高度管理医療機器等販売業の継続研修で用いていただくものは、先ほど事務局からもお話がありましたが、若干分量的にも十分ではないのではないかということもありましたので、その点について更なる充実を図っていきたいということで、各研修機関と、今後、いろいろとお話をさせていただきたいと思っております。
 その中で、この部会でも御意見がありましたが、現在でも既に販売しているではないかと。つまり、高度管理医療機器、在宅の自己血糖測定器は、医療機器にその試薬の部分を体外診断用医薬品の部分で組み合わせて使うこともあり、全体としては高度管理医療機器販売業の中で、それがないと実際には販売して使えないものですから、現場では実際に提供されているという状況があります。多くの場合は、この在宅の自己検査用測定器を販売する患者さんのニーズがあることから、各薬局でこの許可を取っているケースが多く、そのほか、在宅医療で用いるカテーテルなども取り扱う薬局もありますので、そういう部分の許可を取っているということです。
 そういう意味では、かなり使われているわけですが、今回の問題は、ここに書いてありますように、患者を適切に医療機関へつなぐと。今回OTC化するということで、我々としては、患者さんに対する、より分かりやすい、適切な使用をきちんとできるような資材とか添付文書を準備させていただきまして、より適切に使っていただくような形を考えておりますが、糖尿病と診断されていない方もお使いになることが当然考えられてきますので、実際に血糖値が高いのではないかという方については、患者さんをより適切に医療機関につないでいくということを、このテキストの中でも盛り込めないかと思っております。
 また、これについては継続研修の枠組みでお願いできないかということもあります。そこの管理薬剤師に研修を受けていただいて、受講証も出すような仕組みになっておりますので、どこで受けているのかがはっきりするということで、そういう内容を確認した上で、メーカーのほうからもそのような薬局に販売をしていくという流れを考えているところです。
 次の4ページを御覧ください。これはもう釈迦に説法ですが、糖尿病の我が国の実態ということで、健康日本21から抜粋させていただいた部分です。また、患者数としても、これも釈迦に説法ですが、このような糖尿病が強く疑われる方、また可能性を否定できない方ということで、1,000万人を超える方がおられます。
 特定健診の受診率ですが、これについては、国のほうで大変御努力をされていますが、まだまだ未受診の方もおられるということで、こういった方々に、より適切に、生活習慣病の管理・予防のために必要な健診や検査を受けていただくことも考えていく。また、このような血糖自己測定検査のOTC化ができますと、私どもメーカーのほうでも一般の方にいろいろな情報提供をやりやすくなるという側面がありますので、企業団体としても、そういうことに積極的に取り組んでいきたいと思っております。
 7ページです。糖尿病の診療ガイドラインを拝見いたしますと、糖尿病の診断については、空腹時血糖値、HbA1cを測って、その数値から基本的には判断をしていくということですが、その糖尿病の診断基準より下の部分であっても、やはりその発症の10年ぐらい前から高値を示すので、基本的には糖尿病と診断を受ける前から、こういう血糖の管理をしていくことが大事であると。早期に重症化の予防の取組を開始することが大事であるということが診療ガイドラインに書いてありますので、こういった方々に向けて、我々のOTC検査薬も提供できればいいなと思っているところです。
 次の8ページです。私どもは、定期的にOTC医薬品の普及啓発イベントをさせていただいております。その中で、検体測定室としまして、HbA1cを検査できるコーナーを作っております。今年の10月にもさせていただき、実際にHbA1cの検査では207人の方が希望されたので測ってみたところ、207人のうち5名の方が要受診者で、かなり高いHbA1cの数値を示されています。要注意の方も207名中46名おられました。当然、そこのブースには私どもの薬剤師が座って、受診をしたほうがいいということを申し上げていますが、こういったイベントの中でもこのようなことが出てくるということが、我々としては気に掛かっているところです。
 次の10ページを御覧ください。現在の保険診療の中では、血糖の自己測定が保険適用になっている方というのは、インスリン製剤、ヒトソマトメジンCとかGLP-1などを使用されている方で、それらの方については、保険診療の中で穿刺の針などが提供されて測れるわけです。先ほど言った実際に薬局で販売しているというものも、なかなかその対象にはなっていませんが、私としては、適切に、1日何回も測って血糖の管理をしていきたいと。特に糖尿病薬を飲んでおられる方は低血糖も非常に気にされておられますので、そういったことも含めて、ニーズもあり、そういった方々に薬局で現在の高度管理医療機器を提供させていただいているということです。
 11ページを御覧ください。先ほどから御説明したことを簡単に図示しております。糖尿病の少し手前の方々も対象、それから、糖尿病治療を行っているが、更に自宅で血糖測定をしたいという方々を考えております。12ページ、13ページは、私どもとして、OTC化をすることで、使われる方々にどのようなメリットがあるのかということをまとめさせていただきました。自己管理をしやすくするということで、このようなことを12、13ページにまとめさせていただいております。
 14ページを御覧ください。今回の研修内容といたしましては、高度管理医療機器の継続研修ということでした。日本薬剤師会でやっているものは、かなり多数の方が受けられているということもあり、ここでは自己血糖測定器や採血用穿刺器具の特徴、基本的にはそれを目的に許可を取っておられる方々ですので、そういった特徴などをやっておられます。これからOTC化に行くのだということであれば、我々としても、提供時のチェックシートやセルフチェックは非常に重要なことです。特に血糖値が高い方については、早期の受診にどうつなげていくのかということを患者さんとお話しながら、なぜ、そういうことが必要なのかを含めて、言ってみれば医療につなげていくということをやっていかなければいけないということです。
 15ページです。そのチェックシートの中でも、いろいろ記載をしております。アドバイスや支援もありますし、医療機関の紹介であっても、「医療情報ネット(ナビイ)」、厚労省がやっておりますが、非常に充実したサイトもありますので、そういった話を患者さんといろいろしながら、どこがいいのかということをアドバイスしていこうということです。
 16ページは感染症の関係です。廃棄に関しましても、医療廃棄物になりますので、各自治体によって対応するということです。大変恐縮ですが、宮川先生の御所属の日本医師会で非常にいい資料がありましたので、私どもはこれをまた参考に、充実させていただきたいと思っております。
 17ページです。全体の流れとしまして、薬剤師の方から生活者の方に情報提供をして、やはり健康リテラシーを高めていくために各薬局は努力されていると思っております。私どもは、それがやりやすいような形での支援をやっていきたいということで、このような流れで進んでいけばいいなと思っております。18、19ページは、仮に作ったチェックシートの案ですので、御覧ください。このような内容を取りまとめ、先ほどの継続研修に加え、中でこういったものを提供していこうと思っております。
 20ページです。全体としまして、申し上げたように、OTC化については、現行の継続研修の中の更なる充実が必要な部分があります。私どもとしては、その内容の詳細を十分検討させていただき、厚労省や各研修機関、現在、14の研修機関がありますが、薬局向けをやっているのは、もう少し数が少なくなっていると思いますが、そういった方々と薬剤師の方々に、どういう形でやれば一番適切にできるかということの詳細も検討させていただき、その内容を継続研修の中に加えていただくことをお願いしまして、適切な研修が実施できるようにしたいと思っております。また、各社の製品の特徴もありますので、メーカーからの製品情報、資材の提供についても行わせていただき、適切な患者さん、生活者の方への提供ができるようにと考えております。
 21ページを御覧ください。施設数としては、高度管理医療機器の販売業を取っている実際の許可業態数としては2万3,000ぐらいあります。実際には日本薬剤師会が一番多くなっており、1万9,000名ぐらい毎年受講されております。
 そのようなことで22ページにまとめさせていただきました。継続研修で薬剤師に正しい知識を学んでいただき、穿刺血を使った血糖自己測定検査薬のOTC化を推進し、生活者の方の健康管理をよりサポートしやすいような形でやっていきたいと思っております。当然、これから医療体制は非常に厳しくなってくるところですが、更に「上手な医療のかかり方」というものを推進し、生活者の方が適切な判断をできるようにサポートすることを、我々としても現場の支援をしていきたいと思っております。
 最後になりますが、23ページです。釈迦に説法で大変恐縮です。今、本当に日本の医療は苦しいところだと思います。ここにおられる医療関係者の皆さんも、日々、御苦労されておられると思います。2040年問題とか言われておりますが、85歳以上の人口は、現状の700万人から、15年ぐらいで1,000万人を超えてくるという時代です。24ページに書いておりますが、85歳以上になりますと、大体6割の方が要介護認定を受けるということで、医療と介護の複合ニーズは高まり、このケアをどういうふうに確保していくのかということも、非常に大変な問題です。
 一方、25ページに書いておりますが、ヒューマンリソースに関しては、医療・介護・福祉の事業者は他の産業に比べてまだ確保できているほうですが、この需要がますます増えるという中では、本当にこれで十分いけるだろうかというところだと思います。単位時間当たりのサービス提供、生産性も、全体としては5%以上改善しなければいけないということも、地域医療構想の議論の中では出ております。
 また、26ページに書いておりますが、日頃から、かかりつけ医として我々の健康管理をしていただいている開業の先生方におかれましても、本当に60代以上の方が多くなっており、この地域医療構想の中でも、もし事業承継される方がいないとすると、80歳まで働いたらどうかとか、75歳まで働いたらどうかとか、このような推計まで出ているところです。今日は宮川先生がおられますが、本当に先生方は御苦労されていると思います。我々としては、こういった状況下の中で、何とか日本の医療を守りたいという気持ちでおります。
 27ページに書いておりますが、元気な高齢者も増えて、働いておられる高齢者も多くなっておりますので、こういった方々については、実際に我々が今まで築いてきました大事な医療資源でありますので、これをうまく有効に活用させていただき、こういったOTC検査薬も活用することにより、自分で健康管理をする、こういう場合はお医者さんにかかる、こういう場合は薬局でいろいろサポートを受ける、基本的に自己管理をなるべくしていく、そういう中で、医療に上手にかかっていくようなことを作り上げていく。そのための一助といたしまして、このようなことにも多くの方々に少しずつ慣れていっていただきたいという気持ちを込めて、私どもの思いを書かせていただきました。
 最後、28ページの新たな地域医療構想の取りまとめの中でも、実際に医療提供の維持をどうするのかは大きな課題になっております。その中では、また薬局・薬剤師との連携をどういうふうにやっていくのかということもいろいろ言われていますので、そういうことに我々としても少しでも貢献できるように努力させていただければと思い、今回の提案をさせていただいております。
 私の説明は以上でございますが、繁田さん、何かございますでしょうか。よろしいですか。それでは、私どもの説明は以上にさせていただきたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。
○小野部会長 どうもありがとうございました。先ほどの説明資料1-2のとおりですが、本日の論点としては、「薬剤師から穿刺血を用いる血糖自己測定検査薬を提供するための環境整備」が挙げられると思います。そこで、業界からお示しいただいた環境整備について、まずは委員の先生方から御意見、御質問等を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。今、縷々お話いただいたわけですけれども、後段の23ページから28ページで、日本における非常に大きな課題をお示しいただいたわけです。過疎地という形で人がいなくなってしまう。それは、受診する人もいなくなってくることが大前提です。その中で、どのように過疎地を守るかを考えると、医療者の介入が必要で、ICTが非常に重要であるということが最後のほうの提言なのです。全ての医療者という形になると、医師も薬剤師も看護師も、その地区にはなかなかたどり着けないという過疎地が出てくるという形なので、薬はあってもいいと思いますけれども、殊更いろいろなOTCがあっても、機器があっても全く役立たないということが前提なのに、大変大きな話をしていただいたと思っております。ですから、それは大きなところで少し認識が違うのではないかと理解しております。
 それでは、個々の話をしていきたいと思います。実際に7ページで説明がありましたけれども、糖尿病診療ガイドから抜粋されてきたものと書いてありますけれども、ここには全て「診療」という言葉が入っています。診療ということは、診断が付いて治療をしているので、前提条件として、医療の管理下においてやられている方が自己血糖測定器が必要であると考えなければおかしいので、それを殊更その前の段階の疑われる人間というところに言葉として波及されることは、論理の飛躍であるだろうと考えます。ですから、早期に予防の取組を開始することが重要、赤にしてアンダーラインが付いて強調されておりますけれども、厚労省にお聞きしたいのですが、この予防の取組というのは、どういう意味合いでしょうか。これは、運動や食事のいろいろな制限、制限というか適正化なので、実際には医療の管理下においてされていると理解しているのですが、厚労省としてはどのようにお考えでしょうか。
○小野部会長 事務局からお願いします。
○医療機器審査管理課長 事務局です。こちらは診療ガイドラインの中にある記載でして、リスクモデルを当てはめて、そのリスク者を同定した上で、早期に予防の取組を開始するということですので、この文言だけからいきますと、医療の管理下に全ての者が入るということではありませんが、診療の臨床現場に加えて、リスク者を同定した上で、予防の取組を行うというのが、それは医療の管理下というのが原則で、この文言が書かれているものと承知しております。診療ガイドラインでお医者さんが書かれているという前提ですので、そのような理解でおります。
○宮川委員 ありがとうございました。5ページですが、糖尿病を強く疑われる糖尿病予備群というのは、どのように合計2,000万人という、すなわち図ではそれぞれ1,000万人、1,000万人という実数を出されたのか。厚生労働省にお伺いしたいのですが、糖尿病を強く疑われる予備群というのは、どのように検出したのでしょうか。
○小野部会長 事務局、お願いいたします。
○医療機器審査管理課長 こちらにつきましては、生活習慣病の調査統計での血糖値、HbA1cの数値を基に推計されているものと考えております。数値だけしかありませんので、当然、糖尿病の確定診断などはできないわけですが、一般に診療ガイドライン等で示されているような数値に当てはめた場合に、このような可能性があると。強く疑われる方は糖尿病の閾値を超えておりますし、糖尿病の可能性を否定できないものは、きちんとグレーゾーンの数値があるかと思いますので、そこに当てはめての推計という形で理解しております。
○宮川委員 ありがとうございます。常に、元の診断ができているのは、医療機関ないし健診等で強く疑われる、予備群などと言われた人が、いわゆる医療の管理下で何%いるのかを、日本国民に当てはめた数字と理解してよろしいのでしょうか。
○医療機器審査管理課長 そういう理解でよろしいです。
○宮川委員 ありがとうございます。
○小野部会長 よろしいですか。磯部さん、お願いします。
○磯部参考人 今の糖尿病診療ガイドラインについては、実は今回の説明をするに当たって全体として私も勉強してまいりました。糖尿病の場合には非常に患者数が多いこともありまして、実は全部で21章から成っているのですが、最後の21章は、表題が2型糖尿病の発症予防ということで、どのように発症を予防していくのか、つまり、医療に入ってくる前も考えておく必要があるということで1章割かれて、ほかの診療ガイドラインでは余りないと思いますけれども、そういう部分についても割かれています。そういう中で、このようなデータを、別に、ファクトに基づきまして診療ガイドラインに明確に書いておりますので、早期に予防の取組を開始することが大事であるということは、糖尿病の専門の先生方から見ると、実際に糖尿病として診断を受ける前から考えていく必要があるという専門の先生方の気持ちを書いているものだと。一般的には、当然、高江課長からお話があったとおり、診療ガイドラインはそういうものと思っておりますが、特に糖尿病の今の状況でそういう話があるということも、釈迦に説法で大変恐縮ですが、そのようにも理解しておりますので、そのために今回これを引用させていただきました。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。ありがとうございました。糖尿病の診療ガイドラインも高血圧の診療ガイドラインも、全て診療ガイドライン、ガイドというのがあって、そこの一番最後のほうに予防ということが書いてあるのですが、予防というものは、適切な運動と適切な食事が大事であると、糖尿病に関しては、食事全般的な摂り方などが重要であると書いてある。高血圧の診療ガイドも含めてですけれども、そこには適切な運動と減塩ということが書いてあるので、全く筋が違ってくる。
 その前に、では、家庭血圧測定器が重要である中で、家庭血圧測定器もかなり売られているわけですけれども、今の現状の中で薬局が、登録販売者も含めてですけれども、それに介入しているのか。血糖測定器よりもはるかに多い、2、3万台以上の家庭血圧器が販売されているのですが、そこには、薬剤師等を含めてですけれども、管理者が積極的に出て来られないところがあって、大変希薄です。脳卒中を含めてですが、日本人に多い大きな病気に対して、そういう方々がなかなか介入してくれていないことが、非常に私にとっては不安材料の一つであります。
 そして、14ページに書いてあるように、高度管理医療機器の中には広く国民に使われているコンタクトレンズがあります。特定管理医療機器等とは、家庭用電気治療器、補聴器等を含むという形になっていて、これも全て医療の管理下の中で売られているものです。家庭用の電気治療器は違いますけれども、コンタクトレンズ、補聴器というのは、ある程度診断が付いて、そこでこういう形を使ってくださいと言われます。合わなければ、また医療に戻っていただいて補聴器の調整をする。コンタクトレンズにおいても同じような形であって、これは全て医療から始まっているということで、全く平場の中で健康管理という形の中から始まったことではないということを御理解いただければと思います。
 その中で、カリキュラムの持続的なe-learningということがあり、コロナ禍にe-learningになっているわけですけれども、インターネットを利用した動画配信で、受講期間中24時間受講可能という形になっているので、どれだけ教育効果が上がっているのかの検証というのはなかなか難しい。そういう意味では、テストを含めて、ある程度、そういう精度を上げていかないといけないというところが示されているのだろうと思うので、そこはもう少し考えていかなければいけないところです。
 そして、10ページ、11ページ全てですけれども、ここで使われている血糖の測定器というものが売られているわけですけれども、今や血糖の個別の気づきという点になるところも別に置いて、治療で使われているのは24時間の血糖持続測定器であり、代表的なものでリブレというものがありますけれども、そういう中で、しっかりとした血糖管理が必要であるということが、本来的な筋の中で述べられています。ですので、殊更、予防だけという形ではないので、そこも論点が飛躍した形のものを持ってこられていると思いましたので、御意見させていただきました。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。これについて、事務局ないしは参考人のほうから、何か御意見や回答はございますか。
○磯部参考人 ファクトベースとしてですけれども、高度管理医療機器の販売業の研修に当たっては、今、宮川先生がおっしゃったように、非常にいろいろな各種各様の高度管理医療機器、いわゆるクラスIII、クラスIVという国際原則に従ったルールがございまして、ペースメーカーと先ほど出ていましたが、いろいろなものがございます。例えば薬局やドラッグストアの場合は、ペースメーカーとかを扱うわけではありませんので、基本的には血糖測定器とか、在宅薬剤管理師をやる場合はその関係や、いろいろカテーテルなども一部扱うときはありますけれども、そういうことを中心にやられております。正しく、そういう意味では医療の中に入っている方が多いのですが、非常に議論があるのはコンタクトレンズでありまして、私も過去に眼科医会ともいろいろなお話をさせていただいて、要処方箋はどうかというのは、ずっと平行線の議論がございます。そういう意味で、なるべく検査を受けて医師の診断を受けてやるようにということは、当然、添付文書にも書いているわけですが、なかなかそこも必ずしもうまくいききれていないというところが医療機器の難しさであります。医療の中に入っている方、それから、医療の中に入るか入らないかというところでやられているような高度管理医療機器も一応ありますので、それもうまく使いこなしながら適正に使っていただくということを、高度管理医療機器の販売業の許可制度ができて、平成14年からですので、長年かけて、いろいろ苦労して関係者がやってきたという状況があることだけ報告させていただきます。以上でございます。
○宮川委員 よろしいですか。
○小野部会長 お願いします。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。そういう意味では、今のような高度管理医療機器等を含めてですけれども、そういうものの販売をされているだけで、その実態の中でしっかりとしたリテラシーを十分に国民に植え付けるという、そういうような試みが全く今までできていないと。ただ、販売しているだけという状況です。
 それは何でかというと、医師中心の医療者がしっかりとした診断、それから、指導している中で、そういうことが行われてきた。それを、現場でどれだけそういうことができるのかというのは、テキストも含めてですけれども、もっともっと大切なところが、たくさん前提条件にあるのではないかというように思っています。ですから、ただ受診したほうがよいというアドバイスだけではなくて、どういう所にきちんと行ったほうがいいのかという、そういうものが受診勧奨ということで、受診をすればいいのだという話だけではないと思います。受診勧奨というのは、もっと具体的であるべきだというように思うわけです。
 そうすると、そういうことができていたかどうかというところでお聞きしたいのですが、先ほど、8、9ページの所で実例が出てきました。この中の要受診が6.5、要注意というのが5.6~6.4という形で出て、5名の方がそういう意味では要受診という形で、非常に問題であるということであった。その中で、下枠に括弧で書いてありますけれども、健診毎年受診者が3名、健診未受診者が2名、この健診を受けている3名というのが、では、そこでそういう方々が受診勧奨されていたのかというと、なかなかしていないというところが見て取れるということです。そして、実際に46名の方が要注意者という形になっているのですが、ここでこの催し物をやった薬剤師というのは、先ほど参考人から薬剤師が付いてというお話があったのですが、そういう方々は、どのように指導したのかという実績はあるのでしょうか。つまり、5人、46人というのは、その上を見ると、東京23区が115人、埼玉、千葉、神奈川、それから、東京23区以外、不明というのがあるわけです。このイベントをどこで開催したのか私も知っているのですけれども、秋葉原に近い所だったはずなのですが、そこで開催したということは、1点に集まってやるわけですから、東京23区以外からも来ているということです。そういう人たちの受診勧奨というのは実際にどうされたのでしょうか。その実績というか、この51名に受診勧奨するということをどのように具体的にされたのか、つまびらかに教えていただければ幸いです。
○小野部会長 磯部様、どうぞ。
○磯部参考人 御指摘ありがとうございます。これについては、神田明神、御茶ノ水駅から少し下りた所にイベントのホールがありまして、その地下の部屋でやらせていただきました。これについては、イベントで自分の体の状況を知ろうということで、血管年齢、肌年齢などで自分の体を知ろうということで、セルフチェックの意義を高めるという視点でこういったものをデモとしてやらせていただいているのが現実でございます。その中では、当然、先生が言われた受診勧奨、これがこれだけ高いのだから受診しなければいけないということについては、ちょうどその場所が、左側の検体測定室の下のほうにある絵なのですが、そのような形でやらせていただいております。
 そういう意味では、宮川先生、これはイベントでございますので、先生が考える受診勧奨と比べれば、通り一遍のものになっているということは、私は否めないかなというように思ってございます。ただ、これはイベントですので、通常の薬局やドラッグストアに検体測定室もありますが、実際にそれを中心に薬局の薬剤師の先生方にやっていただいておりますので、それとは少し意味合いが変わるのかなと思っております。
 ただ、これを出したかったのは、普通にこういうイベントで、たかだか200人ぐらい測っただけでも、高い方がそのまま何もされていないという状況があると。だからこそ、こういった日頃からのセルフチェックというものを、よく考えていく必要があるということを指し示すために、今回のデータをお示しさせていただきました。以上でございます。
○宮川委員 ありがとうございます。そういう意味では、9ページに表題の下にある、「糖尿病治療歴がない生活者や糖尿病だが受診していない患者を医療機関へつなげていく」ができていないのにもかかわらず、ここに書かれるということは不適切かなと思ったので、お聞きした次第です。
 では、その中の51名はどこに居住していたのか、そのパーセンテージを教えていただきたいと思います。幾らイベントだと言われても、どこにお住まいなのかは出ているわけですから、各地の受診した中に何パーセントそういう人たちがいるのか。糖尿病が疑われる、若しくは要注意、要受診者はどのくらいこの居住地にいたのか、それをお示しいただければと思います。
○小野部会長 どうぞ。
○磯部参考人 すみません、今、手元にそのデータはございません。先ほどから申し上げているように、これは、自分の体を知ろうということで、イベントの一環としてやらせていただいております。個人情報をどのくらい聞くか。ここに書いてありますように、何歳台とか、どこに居住しているかといったことはありますので、確認すれば出るかもしれませんが、もし、そういったことが分かれば、後ほどでも御提供したいと思います。あくまで、実際に薬局でやっている今の検体測定室というよりは、こういう活動を知ってもらおうということに意義がありますので、そこら辺も御理解を賜れれば有り難く思います。
○宮川委員 そういう意味で、イベントと何回も繰り返し参考人が言われたので、イベントのそういうような事例がここに出てきたという形で、殊更、医療につながるということではないというような理解ができましたので、ありがとうございます。
 それから、実際の薬剤師の方が現場でこういうような血糖測定器を必要として、それを強く医療機関にしっかりとつなげるということを、どのように日本薬剤師会は考えているのか。それが必要性があるのか、多くの人間がそれを望んでいるのか、薬剤師会にお聞きしたいと思います。
○小野部会長 川上委員、お願いいたします。
○川上委員 聞こえますでしょうか。日本薬剤師会の川上です。
○小野部会長 聞こえております。
○川上委員 発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。提案のまとめの中の、薬剤師が正しい知識を学んで、患者さんのみならず、まだ患者とはなっていない地域住民等を含めて健康管理をしていくという、大きな流れや方向性は理解できると思います。ただし、薬剤師だけが単独でそういったことを行うのも難しいかと思います。実際には、医療の枠組みの中であれば、医師の先生方や他のメディカルスタッフの皆さんと連携・協働しながら、チーム医療として進めているのが実情ではないかと思います。
 今回のお話を伺っていて思ったことですけれども、高度管理医療機器販売等に係る継続研修の枠組みを活用する御提案かと思います。私ども日本薬剤師会は、今日も参考資料で紹介いただいていますけれども、こういった研修テキストを監修しています。その編集・発行をしているのは公益財団法人医療機器センター様でございますけれども、資料21ページにあるように、2022年度実績で申し上げると、2万人弱の方に研修を受けていただいているのが実情でございます。ただし、薬局薬剤師は全体で19万人おります。それから見ると1割ぐらいの方しかこれを受けられていない背景としては、高度管理医療機器販売に関する継続研修が、その販売業者の営業所管理者に受講させることが薬機法上義務付けられていることがあります。そういった意味では、こういった機器を患者さんに販売して説明する現場の薬剤師が、どの程度この継続研修を受けているのかについては、十分に考える必要があろうかと思います。また、私ども日本薬剤師会のみならず、他の研修提供者も13団体あるかと思いますので、そういった所で実際にどのような研修がされているかについても考える必要があろうかと思いました。
 それから、先ほど来、宮川先生のお話を伺っていて、私が思ったことですけれども、穿刺血を用いた自己血糖測定という作業とか実際に行うこと自体は、既に販売している機器の場合と近いものかもしれませんけれども、対象者が大分異なってくると思います。通常、医療機関に既に掛かっていて、医師から疾患に関することや、これから行う薬物治療のことなどを十分に指導されているような方を対象に説明する場合と比べると、資料11ページの主なターゲットの特にマル1とマル2の方は、全くそういった環境にはないと思います。そういう意味では、既に医療機関を受診している患者さんと、マル1とマル2の方に対する御説明と内容は、相当変わってくるものと理解しております。
 資料14、15ページやチェックリストである18、19ページに、かなり具体的な方法をお示しいただいていますけれども、これで果たしてマル1とマル2の方に対して十分な内容かどうかは考える余地はあろうかと、資料を拝見して思った次第でございます。私からは以上でございます。
○小野部会長 ありがとうございます。幾つか御意見がございましたけれども、磯部様、いかがでしょうか。
○磯部参考人 ありがとうございます。日本医師会、日本薬剤師会の御意見は、よく分かりました。正しく今の11ページで言いますと、マル1とマル2は、薬局ビジョンで言います健康サポート機能を具体化して、どうしても生活習慣病リスクの高い方が、発症予防をどのようにやっていくのかという、薬局の機能強化の議論が別途されています。その中で、このような穿刺血を用いた糖尿病の発症抑制、また、実際に医療に掛かられた方は、医療機関と連携しながらやっていくという側面ですけれども、そういったことは、今、宮川先生がおっしゃるように、うまくできていないのではないかという指摘があることはよく理解できます。このような健康サポートが必要な段階から、薬局の薬剤師も介入もして、どのようにきちんとした医療につなげていくかということは、これからの薬局機能にとって大変大きな課題、重要なポイントだと思っております。それが正しく薬局の役割そのものではないかというのも、別途の検討会で議論もされています。私としては、長年、薬局の問題、薬剤師の問題をライフワークとして取り組んだ者として考えますと、そういったことは、大変だし、うまくできていないところもあるかもしれないけれども、避けては通れない問題だというように考える薬局薬剤師の方は極めて多いと認識をしております。また、そういったことをやっていかなければいけないと思っておられる方々と、こういうものを提供することによって、具体的にこういうことがあることによって、更にそういうことをやっていこうということにもなっていくと思いますので、そのようなことの一助にしたいと思っております。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに御意見や御質問はございますか。北澤委員、どうぞ。
○北澤委員 北澤です。今までの御意見と少し違う観点なのですけれども、医療を受ける立場から、医療に関する様々な数字について意見を述べたいと思います。私が子供の頃は、せいぜい体重とか体温計ぐらいしかなかったのですけれども、今は家庭血圧計など、いろいろな数字に囲まれています。特にコロナの3年間で劇的に変わったと思うのですけれども、酸素飽和度を自分で測ってくださいとか、体温が何度以上になったらどうだとか、消費者が数字を自分で判断して、行動することを求められる機会が劇的に増えています。また、それに関係するメディアやメディア以外のネットの情報が山ほどあります。医療従事者が関与するか、しないかにかかわらず、身の回りに数字がたくさんあって、幾らでも自己判断できる世の中になっています。
 それを前提として考えると、結局、検査をするかどうかに加えて、その検査の結果をどのように読むのか。先ほども宮川先生からリテラシーというお話がありましたけれども、正にリテラシーが非常に大事だと思っています。
 では、そのリテラシーを誰が教えてくれるのか。そういったことを気軽に聞けて、きちんとしたことを教えてくれる医療従事者が1人でも多くなってほしいし、それが聞ける場が身近な所にできてほしいです。薬局とかドラッグストアとか、薬剤師の先生方がおられる所で、気軽に教えていただけるような機会がもっと増えればいいと思います。OTCにしていいのかどうかの議論からはそれるのですが、もし、OTCになった場合には、薬剤師の先生方に、結果をどう解釈すればいいのか。どういう場合にどうすればいいのか。あるいは、こういう場合なら気にしなくていいのか。そういったことを、ちゃんと教えてくれる人が1人でも増えてほしい。そうすることによって、間違って治療が遅れたり、逆に、病気でもないのに心配したりする人が減るように、医療従事者の先生方に活躍してもらいたいなと常々思っておりますので、一言意見を述べさせていただきました。
○小野部会長 ありがとうございました。三つの異なる立場から、それぞれ御意見を頂きました。糖尿病という、非常に病気の根源というか、万病の元になるものに対して、正しい知識と治療指導によって、これを治癒に導いていくという医療環境下、これがもちろん大前提になることは、もう論をまちませんが、その一方で、11ページにあるような自らの健康に無関心な人たちを、どのように自らの生活改善にアプローチさせるのかという動機付けという一つの部分がある。それと同時に、なかなか病院には行けないけれども、ネットなどで豊富にある一般情報というか、医療情報もあるわけですけれども、そういったものを自ら適切に、適切という言葉がふさわしいかどうか分かりませんが、自分が理解したなりに、医療リテラシーで、その治療アプローチなのか、生活習慣の改善にしていくのか。三つのそれぞれ異なったアプローチの御意見が出ました。
 それにOTCの販売がどうアプローチしていくのかというのが、まだうまく見えないというところで、本日、議論がそういう段階にきたと思われます。これについては宿題ということで、今後、その辺の立ち位置をどうするのかということは、もう少しお互い、OTCのほうの立場からも、より説得力のある回答というか、出口というのをお示しいただくことで、より良い議論が更に深まるのではないかと、私、部会長として感じた次第です。今、三者三様で出てきた意見をどのようにうまく方向付けていくのかということも含めて、改めて部会でこの件について議論させていただければと思います。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 部会長、ありがとうございます。そういう意味では、医療者という者、特に医師は、いろいろな訴訟も含めて、患者さん、利用者から常に法的なところも受けて立つということが大事であろうということで、日々真剣に医療をしているわけですけれども、同時に、医療者というようにひっくるめられても困るわけです。では、薬剤師の方、看護師の方は、どれだけ法的なところで患者さんに責任を持って、訴訟も含めて、そういう法的なところを受けて立てるのか。こういうようなものが出てきたときに、その法的なところも含めてしっかりとした考え方がないと、ただただ、それを販売すればいいという形になってしまう。リテラシーを置き去りにして、そして、動機付けやその先にある行動変容というものをしっかりとサポートするという決心がなければ、そういうものを世に出すということは非常に危険である。その法的なことを受けて立つというところまで、しっかりとした自覚というものを持っていただくことが重要なのではないかなと思って、今、部会長のお話を伺っていた次第です。以上です。
○小野部会長 御意見どうもありがとうございます。それでは、以上で議題1の審議については終了いたします。ありがとうございました。
○医療機器審査管理課長 それでは、以後の議論は非公開とさせていただきます。本日は、磯部様、繁田様、どうもありがとうございました。
――参考人退出――
 準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を開始させていただきます。
○医療機器審査管理課長 それでは、準備が整いましたので、部会を再開いたします。審議に先立ちまして、まず、事務局から御報告させていただきます。
○事務局 本日の議題2の審議事項に関する競合品目・競合企業について、御報告いたします。資料3「競合品目・競合企業リスト等一覧」をお開きください。本日の審議事項に関する競合企業として、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、議決に参加できない委員は、議題2において松宮護郎委員が該当しております。この際、御退室いただく必要はございません。以上、御報告いたします。
○医療機器審査管理課長 それでは、以降の進行につきましては、小野部会長、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ただいまの事務局の御説明に何か御意見、御質問はありますか。よろしいですか。
 それでは、これより議題に入りたいと思います。議題2「医療機器「BrainswayTMSシステム」の使用成績評価の調査期間の延長について」の審議に入ります。事務局より、説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、事務局より議題2について御説明いたします。資料2の1ページを御覧ください。「BrainswayTMSシステム」の概要となっております。申請者はセンチュリーメディカル株式会社です。本品は、既存の抗うつ剤治療で十分な効果が認められない成人のうつ病患者を対象に、パルス磁場を用いて脳皮質の局所領域に電流を誘導し、ニューロンを刺激することにより治療を行う経頭蓋治療用磁気刺激装置です。
 ここで、本品の概要について事前に質問を頂いておりましたので、当日配布資料を基に簡単に御説明いたします。本品は、当日配布資料の1ページの赤丸で示した部分において、最大の刺激が与えられます。この位置は、左側の背外側前頭前野に当たります。うつ病患者では、その活動性の低下が比較的共通して報告されており、本品はここに刺激を与えるものになります。本品は、配布資料の2ページにあるとおり、運動野に刺激を与えて右手親指の運動が認められる程度を治療強度として設定し、治療が行われます。
 それでは、資料の調査期間の延長の考え方に戻ります。本品の使用成績評価の要否については、平成30年12月の部会審議により、本品と同一の原理を有する他社既承認医療機器であるニューロスターTMS治療装置の調査期間を参考に3年とし、平成31年1月21日に承認されました。よって、当初の調査期間は令和4年1月20日まででした。
 本品は、承認条件として、関連学会が作成した適正使用指針の遵守が求められていました。しかし、当初、指針の作成過程において、海外での有害事象を踏まえ、国内で当該機器を使用する場合の安全性担保のための体制構築に関して、学会との調整に時間を要しておりました。このような状況の中で、令和3年12月の部会で使用成績評価の調査期間延長の可否を御審議いただき、その結果、3年延長し、令和7年1月20日までの6年とすることとされました。
 その後、適正使用指針が令和6年5月に公示され、同年7月1日に保険適用となりました。適正使用指針の策定に時間を要したため、本年7月から製造販売と使用成績評価が開始された状況を踏まえて、使用成績評価の調査期間を再延長したいと考えております。その期間については、先行する類似の他社既承認医療機器が既に存在している状況を踏まえて、納入までの交渉や準備に時間を要すると推定されるため、6年延長し、12年とすることが妥当と考えております。説明は以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見等はありますか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 教えていただきたいのですが、指が動くというのは、どの指が動くという形なのでしょうか。左右ありますし、運動領野にある程度届くという形、局所の皮質にという形であったのですが、どのぐらいの動き方をするのか。それから、五指ありますが、そのどこが動くのか。そういうことも含めて、手首まで動くのではない、指だけが動くという認識でよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。御質問いただき、ありがとうございます。本品の刺激の強度を決める際に使用する指としては、右手の親指になります。動き方としては、大きく動くわけではなく、少しピクッと反応する程度と伺っております。
○宮川委員 そのパルスの周波数というか、頻度はどのぐらいなのでしょうか。動くという形が、一過性に動くのか、一瞬で動くのか。ある程度、何秒かやると、こうやって、運動領野ですから、ゆっくり上がってくるのだろうと思いますが、どのような動きをされるのか教えていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。本治療で使う際の指の動き方としては、およそ10回につき5回動く程度です。周波数については、1秒間に18回となっております。
○宮川委員 ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等はありますか。先行品があるということで、その先行品に準じた形で、使用成績調査の症例数と期間を延長するということです。永井委員、お願いします。
○永井委員 永井です。この機器は2019年に承認され、その後の保険適用までに時間が掛かり、そして、いまだに販売実績がないということです。それを聞くと、この機器が本当に必要なのかという気がしてしまうのです。うつ病の治療にはみんな困っており、本当に必要で効果があるなら、もっとスムーズにいったのではないかという気がします。このように遅れ、しかも販売実績がまだないというのは、何か事情があるのでしょうか。既存のニューロスターの使用状況なども踏まえてコメントを頂けると有り難いです。
○小野部会長 ありがとうございます。それでは、事務局から御回答をお願いします。
○事務局 御説明いたします。本品が承認された後、海外製造元の作成資料から、痙攣発作が既承認品より多く発生するのではないかという可能性について、学会から安全性の懸念が出ておりました。これに対して追加で調査が行われ、実際の痙攣発作発生率は既承認品とほぼ同等であるという結果が提示されている状況です。学会との調整に時間を要したというのが回答になります。
○永井委員 分かりました。ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はありますか。
○宮川委員 よろしいでしょうか。
○小野部会長 宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 事務局にお伺いしたいのですが、先行品は同様に左右が違っていたのか。ヘルメットと同じようにかぶるのですが、全部に電極があったのかどうか、正確には覚えていないのですが、このような形で、片方が上がっていて、片方が90度角度が付いて、フォーカスを当てるという形になっているのですか。先行品はどのような形になっていたのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。先行品については、ヘルメット型のコイルではなくて、八の字型のコイルを使用しております。ヘルメットではなくて、局所をねらった、もう少し小さいコイルで、当てたい場所にスポットで当てて使用される製品となっております。
○宮川委員 そうでしたよね。実際には小さい形で電極を付けていく形なので、こういうように外側からある程度枠としているので、多少、違いがあったのかどうかという形なのだろうかなと思います。今、永井先生がおっしゃったので、確かに形が違っていたと思ったので、そういうところが少し響いていたのかなとは思いますけれども、いかがなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。おっしゃるとおりでして、コイルの形状が違うと、脳に当たる磁場、電場の強度が変わり得ます。既承認品よりも、形状が違うといったところで、安全性についてはどうかというふうに、学会の先生方も気にされていました。そこで、企業と学会さんで調整、海外における販売実績を含めて確認の作業を行っていたということになります。
○宮川委員 ありがとうございました。明確になりました。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はありますか。よろしいですか。
 それでは、議決を行いたいと思います。医療機器「BrainswayTMSシステム」の使用成績評価は、期間を12年として指定することでよろしいでしょうか。御異議のある方は、挙手又は挙手ボタン発言をお願いいたします。特に御異議はないようですので、そのように議決をいたします。なお、本件は審議会にて報告を行うことといたします。これで、議題2を終了いたします。
 本日の議題は以上です。事務局から連絡事項はありますか。
○医療機器審査管理課長 委員の先生方におかれましては、本日、御多用の中、また、年末押し迫った遅い時間になってしまいまして、誠に申し訳ありませんでしたが、医療機器・体外診断薬部会に御参加いただきまして、誠にありがとうございました。
 次回の部会は、年明け1月16日(木)18時からを予定しております。詳細につきましては、また後日メールで御連絡させていただこうと思います。連絡事項は以上です。
○小野部会長 それでは、これをもちまして本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。遅い時間までありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 冨田(内線4226)