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第5回公的職業訓練の在り方に関する研究会議事録
人材開発統括官付訓練企画室
日時
令和7年1月27日(月)13:30~
場所
厚生労働省 専用第15会議室(12階)
議題
(1)民間教育訓練機関における職業訓練の質の向上を促す取組について
(2)その他
(2)その他
議事
○今野座長 時間になりましたので、ただいまから「第5回公的職業訓練の在り方に関する研究会」を開催いたします。
まず、新たに御参加いただく構成員について御紹介をいたします。法政大学キャリアデザイン学部教授の坂爪洋美さん。続いて、法政大学経営大学院のイノベーション・マネジメント研究科教授の山田久さん、最後に、関東学院大学理工学部教授の吉川厚さん。この3人が新しいメンバーですので、よろしくお願いいたします。山田さんと吉川さんはいらっしゃいますので、よろしくお願いします。
あと坂爪さんの出席状況について、横田さん、お願いします。
○横田政策企画室長 本日、坂爪構成員がほかの用務の終了後、間に合えば本研究会に合流予定となります。そのほかの構成員の方は会場にお越しいただいております。
山田構成員におかれましては、オンラインでの参加です。御発言を希望する際には、Zoomの「手を挙げる」機能により意思表示を行っていただき、座長から指名された後に御発言いただくようにお願いいたします。また、音声の乱れや接続に問題等が生じましたら、事務局宛にチャット、メール又は電話で御連絡いただくようお願いいたします。
○今野座長 議事に入りたいと思いますが、その前に、山田さん、聞こえますか。
○山田構成員 はい、聞こえます。
○今野座長 発言される場合はZoomの「手を挙げる」機能を使っていただきたいのですが、多分私から余り見えないので、何か言っていただいて、勝手にしゃべって結構ですので。
○山田構成員 承知いたしました。
○今野座長 よろしいですか、はい。積極的に御参加ください。
それでは最初の議題は、「民間教育訓練機関における職業訓練の質の向上を促す取組について」です。この議論に当たりまして前回に引き続き、オブザーバーとして民間職業訓練サービスガイドラインの協議会と認証委員会の座長をされました、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 職業能力開発総合大学校より、原圭吾さんに御出席いただいております。よろしくお願いします。
また今日はヒアリングをいたしますので、その対象者として、職業訓練サービスガイドライン適合事業所の方に御出席いただいております。まずお一人は、株式会社ソフトキャンパス執行役員の佐藤真美さんです。よろしくお願いします。
○佐藤執行役員 よろしくお願いいたします。
○今野座長 続いて、学校法人柏木学園柏木実業専門学校研修センター 研修センター長の武尾誠子さんです。
○武尾研修センター長 よろしくお願いいたします。
○今野座長 それではまず、事務局から資料の説明をお願いします。
○横田政策企画室長 事務局より、まず、資料1についての説明をさせていただきます。資料1を御覧ください。「サービスガイドライン関連資料」と題したものです。そちらの1枚ページから次のページのほうにスライドを移していただければと思います。こちらは黒澤構成員より、前回、適合事業所と適合事業所以外の比較について、分母を修了者で取った就職率だけではなく、受講者がどれくらいコースを修了したのか、修了率を見ていくことが重要だという御指摘を頂きました。修了率については、適合事業所のほうが各年度で3%程度低くなっており、これをどう読み解くかは難しいのですが、1つはコース運営を厳しくされているケースが考えられます。
また、訓練機関とは別の要素として、訓練のマッチングのほうがあります。これは求職者支援訓練の受講者は、ハローワークで受講あっせんを受けて訓練を受講する手続になりますので、このあっせん時のマッチングの精度によってはコースが合わなかったと、途中で辞めてしまう受講生が出ることにもなり得ます。今回表の一番右側に分母を受講者、分子を就職者で取った割合を記載させていただきました。こちらは受講者からどれくらい就職する者が出たかという割合ですので、就職率と修了率このどちらも盛り込む形での割合となります。それで比較しますと、適合事業所のほうが各年度で5%前後高くなっております。
また、黒澤構成員からは修了率の御指摘とともに、回帰分析の御指摘も頂いておりました。こちらは労働者の属性も踏まえたものでという御指摘でしたが、業務データ上、訓練機関のデータベースと受講者の属性のデータベースが異なっており、難しいところがありました。適合事業所の認定の効果検証については、御指摘の受講者属性も踏まえる形でのデータ連結やデータ整備も含めて、今後どのように行っていくのかというところ、今後の検討課題とさせていただければと思っております。
次のスライドに移ります。こちらは宮地委員より御質問を頂いておりました。求職者支援訓練を行う民間訓練機関の企業規模についてです。求職者の支援訓練の認定は、事業所に行われるコース単位の形で申請を受けていますので、各企業の大中小企業分類というものを把握しているわけではありませんでした。ただ、規模間を示すために、この度、企業ごとに申請を行っている都道府県数の形で分類させていただきました。一番上の所が1つの都道府県で申請を行っている所です。コース数が2,328、企業数が583で、割りますと4程度です。1つの企業で4程度のコースを行っている、余り企業規模としては大きくない、小さい所の企業が多いのではないかと。若しくは単独県の学校法人とかそのような所も入って、ここの583が構成されているところだと認識しております。
次の2~9、例えば東京、神奈川のように隣県での事業所で申請されているものもこちらに含まれます。このような形のものが、企業数として32、コース数として533、展開しておりまして、1企業当たりで割ると10数の形です。そして申請を行っている都道府県数、一番下の10県以上は、企業数が3で、コース数が372で、1企業で100数十を行っているという形です。以上のところで、前回頂きました2つの点の資料の説明です。
○今野座長 ありがとうございました。まず、黒澤構成員、よろしいですか。
○黒澤構成員
ありがとうございます。最初の資料のほかにも、私は個別に御説明いただきましたが、結論としては、受講者ベースでのデータがないのでその単位での分析はできないということでした。これは後ほどちょっとお伺いしたいのですけれども、恐らく訓練を提供してくださっている事業所には、履修者ベースで、どういう訓練をしたのか、その方の性別や年齢、就業経験などについての情報をお持ちだとは思うのですけれども、それが機構あるいはハローワークなりにシェアできるような体制になっていないことにつきまして、大きな問題を感じました。ですので、先ほど横田様がおっしゃってくださったように、今後は例えば、委託をする際の要件として、そういった情報を挙げていただくようなことを是非お考えいただきたくお願いします。
なお、訓練を実施する事業所として、訓練後の就業状況までを追跡することがもし困難だとすれば、それはハローワークの雇用保険の業務データとマッチングさせる形でデータを整備し、そして訓練プログラムの改善を、エビデンスを用いた分析を通して、恒常的にやっていくよう整備をしていただけると大変有り難いと思いました。ちなみに、こちらは事業所のコースごとのデータですけれども、コースの内容を全てコントロールした上でも、認定事業所のほうが就業率にはプラスで有意な結果が出ておりますので、それだけは申し上げたいと思います。どうもありがとうございます。
○今野座長 何かありますか。大丈夫ですか。
○横田政策企画室長 はい、大丈夫です。
○今野座長 では、お受けしておくということでいいですか。ほかにいかがですか。2枚目の資料についてもいいですか。この2枚目の資料の一番下の3社はすごいね、1社120コースぐらいやっていますね。
○横田政策企画室長 この場で個別の企業についてちょっとお答えすることはできないのですが、3社で372という形で、おっしゃるとおり単純に割ると100数十、県としてかなり10を超え、大きく超えるようなカバーをされている企業もありますので、求職者支援訓練の貴重な担い手という形で考えております。
○宮地構成員 これは私からお願いした資料ですので、一言申し上げさせていただきたいのですけれども。恐らく小規模の企業が多いだろうと予想はしていたのですが、予想以上だったというところです。9割以上、ほとんどの企業が1つの都道府県で4コース程度の実施となっています。小さな企業を中心として、離島などを含めた日本全国でしっかりと求職者支援訓練を担っていただく必要があることを踏まえますと、やはり認定の負担感を軽減していく方向性は正しいのかなと思いました。以上です。
○今野座長 別にデータがなくてもいいのですが、ざくっとした印象でいいのですけれども、例えば、この3社は非常に多くのコースですけれど、一般的に大手がやろうとすると、固定費が大きいのでお客さんの少ない地域には出にくい、そうすると大手は意外に都市部中心でやっている、そうでない地域では、規模の小さい企業がカバーをしているとかというような印象はありますか。
○横田政策企画室長 参考にですが、この10社以上の所は首都圏や関西圏以外の所にも出ていますが、この2~9の所はやはり首都圏から関西圏に集中しているところがありまして、ある程度2~9の展開規模の方ですと大都市圏の形ですので、今おっしゃったことにどの程度とは思いますが、やはり都市圏のほうが展開しやすいところはあるのだろうと思います。1の所は本当に各県で、ただこれもどうしても首都圏が多い形にはなりますので、企業規模にとらわれず、多少首都圏のほうがどうしても多くなってしまうことはあります。
○今野座長 例えば、しつこいようですが、先ほどありました離島みたいな所はやはり1社の小さい企業がカバーするとか、いや、そうではなくて、やはりそういう所も含めて大手がやっているとか、そんな印象はありますか。なければなくていいんですよ。
○横田政策企画室長 全て見たわけではないですが、大手がその離島までカバーしているようなケースは余り聞いたことはありません。可能性としては、その県でオンラインを申請されている場合とか、オンライン訓練の場合ですとそのような多少へき地の部分についてもアクセスできるかとは思います。
○今野座長 ありがとうございました。ほかに何かありますか、よろしいですか。
それでは続いて、職業訓練サービスガイドライン適合事業所からお話を伺って議論をしたいと思います。先ほど御紹介いたしましたように、ソフトキャンパスの佐藤さんと、柏木学園の武尾さんに、順にお話を頂ければと思います。最初に佐藤さん、お願いいたします。
○佐藤執行役員 株式会社ソフトキャンパスの佐藤と申します。本日はこのような場にお招きいただき、ありがとうございます。私は普段は弊社の新宿校にて、訓練実施責任者、就職支援責任者、事務担当者として、訓練の運営業務に当たっております。またサービスガイドラインの認定手続も担当いたしました。本日は訓練運営に関わる立場と、あと適合事業所認定に関わった立場としてお話をさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
まずは簡単に弊社について御説明いたします。資料の6ページを御覧ください。弊社は社会人向けのパソコンスクールとして、1995年に青森県の弘前市で設立されました。現在も本社は弘前市にございます。当初は青森県内で教室を運営しておりましたが、2003年に仙台校、2015年に新宿校、2019年に横浜校が開校しまして、現在は青森、宮城、東京、神奈川の計5校でスクールを運営しております。
設立から約30年たちましたが、社会人向けのパソコンスクールといたしまして、オフィスソフトや簿記、医療事務、Web制作、CAD、プログラムなど、就職・転職を目指す方や、在職中でスキルアップを目指したい方に対して、マンツーマン授業を提供しておりまして、就職や転職の支援も行ってまいりました。そのほか職業訓練の運営や、自治体からの就職支援事業や研修事業の受託、学習試験の運営なども行っております。
資料の7ページに、受託させていただきました各省庁や自治体を一覧にまとめました。パソコン講習や就職支援セミナーの運営、氷河期世代の方や子育て中の女性に対しての就職支援事業など、様々なお仕事を受託させていただいております。
続いて資料の8ページを御覧ください。求職者支援訓練について、弊社では前身の基金訓練の時代から約15年、職業訓練の運営をさせていただいております。こちらに直近3年間の弊社受託の求職者支援訓練の実績を挙げております。全校合わせて年間30コースほど実施させていただいております。
長らくWeb制作に関するコースを多くやってきたのですけれども、最近ではCADやキャリアカウンセラーの養成のためのコース、事務コースなど新しい分野でも実績を頂いております。
資料の9ページを御覧ください。弊社は昨年適合事業所認定を取得いたしました。以前は2015年にISO29990の認証を取得しており、それを2020年まで継続しておりました。規格の廃止に伴い、認証の継続は断念しております。しかしコロナ禍を機に訓練を実施する事業者が増えたなという実感がございまして、弊社でも申請したコースがなかなか認定されないということが増えてまいりました。
また訓練運営に関わる事務作業や、作成する書類の数が多岐にわたり、それらを完璧にこなせる事務担当を育成するということが、なかなか難しいということもあり、特定のスタッフに負担がかかったり、スキルが人に属人化してしまうという懸念もありました。
一番の申請の理由としては、訓練の申請の際の加点が付くというところが、一番の理由ではございましたが、訓練運営についてマニュアル化することによって、コースの評価や社会のニーズの分析なども一緒に行えることがありまして、社会のニーズに合った訓練の運営や、当校の運営の質の向上にも役立つと考えまして、認定の取得を行うことにいたしました。
申請の準備においては、ISOを取得していた当時のマニュアルをベースに整備をしてまいりました。ISOの規格については、職業訓練に限らない教育サービス全体についての規定でございましたので、それを職業訓練に特化した形でマニュアルを再整備してまいりましたが、それらにかなりの時間が掛かりました。
エビデンスなどはそのまま実施の中で使えるものが多かったので、そちらでは余り苦労はございませんでした。認定は一昨年の12月に取得いたしました。認定において加点が頂けるようになりましたので、申請の認定という意味でも、少し効果があったかなと実感しております。また訓練運営について、自己評価をして改善するというサイクルが、より強力になったと感じております。
適合事業所認定を取得して感じたこととしましては、学校ごとの認定であることによって、費用面の負担がかなり大きいと感じております。ISOが廃止になったタイミングで、サービスガイドラインの適合事業所認定も検討したことがあったのですけれども、当校が5校運営をしていることもあり、費用的な負担というのが大きかったことと、当時は申請も通りやすかったので、そのメリットを比較して、その当時は断念しています。
ただ、今回認定制度が休止されるということもあり、横浜と新宿の2校で取得させていただきました。もし休止がなければ、このまま全校で取得をしたいなと考えておりましたが、今回ちょっと間に合わず、2校だけの認定となりました。
そういった複数校運営する立場としてお話させていただければ、訓練の運営というのは全地域というか、日本全体で共通する部分が多いので、学校ごとの認定というよりは、会社としての認定ということで、その中の複数校という形で認定させていただけるような制度であると、非常に有難いと思っております。
そうしますと申請手続も同じものは省いたり、まとめての申請ということができますと、非常に有り難いなと思っています。また複数校の申請を行った場合に、2校目以降費用が安くなるといったような、割引の制度などもあると非常に助かるなと思っております。そういったことがあれば、更に申請に興味を持つ事業所の方が増えるのではないかなと感じております。以上、こちらでお話させていただきたいことといたします。御清聴ありがとうございます。
○今野座長 ありがとうございました。それでは皆さん御質問あると思いますけれど、柏木学園の武尾さんのお話を聞いてから、まとめて議論したいと思いますので、よろしくお願いします。
○武尾研修センター長 神奈川県の大和市にあります、学校法人柏木学園からまいりました。このような機会を頂きましてありがとうございます。
まず学校の紹介ですが、学校法人柏木学園は令和8年に80周年を迎える学校で、専門学校、高等学校、高等専修学校、幼稚園等をそれぞれの地で運営しております。
職業訓練を実施しております研修センターは、2011年に専門学校を移転建て替えした跡地、学園の創立の地なのですが、そこに建てていただき、鉄筋コンクリート3階建、1階にはPC31台ずつ入ったOA教室を2部屋、入浴実践室、介護実践室、2階3階には普通教室8室、ノートPC20台入った教室、視聴覚室等を用意して、そこで日々生徒は学んでくださっています。それ以前は、専門学校の校舎の中の1部屋2部屋、ときには3部屋を使って訓練を実施しておりました。
当学園での職業訓練の歴史は長く、創立者の学園長が、社会人の学び直し、即戦力の育成に早くから力を入れており、1969年から職業訓練を開始していると聞いています。職業訓練の歴史が長いことは、長年培ってきた訓練の方針や、多くのノウハウがありますが、逆に運営の方法に慢心してしまうこともあるのではないかという危機感も持ち合わせております。
そのような中で、職業訓練施設としてPDCAサイクルを活用した、正しい運営ができているか。長年実施してきたことで、訓練方針に慢心していないか。職業訓練として求められていること、受講生に対して正しい取組と支援が実施できているかというところを、サービスガイドライン適合事業所認定を申請することで、改めて確認することができました。
申請において求められているエビデンスを整備することは、大変な作業でした。しかし新たな課題も見つけることができました。そして認定を頂けたことで、質の向上に取り組んだ正しい運営の確信が持てたこと。これが大変に誇らしく、職員の意識向上やモチベーションの向上にもつながっております。
サービスガイドライン適合事業所認定は、職業訓練実施校として運営の評価を頂けたということで、大変に魅力のあるものだと感じております。当研修センターでは常勤職員が10名、非常勤職員が50名ほど在籍しておりますが、非常勤職員においては、サービスガイドライン研修を全員が受講しております。更には国家資格のキャリアコンサルタント有資格者、記録では5名と書かせていただきましたが、現在6名でございました。
2枚目の資料を見ていただきたいと思います。当研修センターでの職業訓練は、分野で言いますと大きく4つの分野に分かれて実施をしております。専門学校創立より力を入れております、簿記を中心とした経理分野。医療事務・調剤事務・介護事務の資格を取れる医療事務分野。福祉関連でのお仕事に必要となる、介護職員初任者研修を取得できる介護訓練。そしてパソコンの基礎を習得する、PC分野です。
どの分野においても、必ずパソコン オフィスのワード、エクセル、パワーポイントの授業を組み込んでおります。研修センターでは、各種検定試験の会場にも申請して、試験会場としても取組をしております。
訓練の実績ですが、当研修センターでは求職者支援訓練と、神奈川県の委託訓練、即戦力を中心に実施しております。実績数ですが、大体1年間に20~22コースの実施。受講生の総数は、年度にもよりますが、350名~450名ぐらい。今年度はまだ継続実施中ですが、求職者支援訓練を11コース、委託訓練を11コース、合わせて22コースの運営と、受講生は現在のところ450名ほどが学んでおります。
職業訓練を実施していく上で、PDCAサイクルを適用し、質の向上と継続的な改善を心がけて、引き続きサービスガイドライン適合事業所の認定を頂きたいと思っております。
認定制度について、残念なことは私どもの受講生のほとんどが、この適合事業所認定を受けている訓練施設であるということを知りませんでした。この制度を認知していただけたら有り難いなと思います。以上でございます。
○今野座長 ありがとうございました。それでは、お話いただきましたので、皆さん、御自由に御質問、御意見を頂ければと思います。私が最初に伺います。この認定事業所を取ったということが受講生のお客さんに何か影響がありますか、どうですか。
○武尾研修センター長 私どもの受講生に、うちの制度はこのような認定を受けておりますというお話をしたところ、皆さん、全く御存じなかったです。ただ、申請のときには神奈川県のほうで10点の加点を頂けていますので、そこは有り難いなと思います。
○今野座長 佐藤さん、いかがですか。
○佐藤執行役員 そうですね、やはり受講生の方にとっては、このサービスガイドライン適合事業所認定というところの認知度はほとんどないかなと考えております。ただ、それが認知されて適合事業所がやっている訓練というふうになれば、判断のポイントの1つになるのかなとは思っているのですが、現時点では先ほどもお話したとおり、申請のときのメリットというのが一番感じているところではございます。
○今野座長 ありがとうございます。皆さん、いかがですか。山田さん、どうぞ。
○山田構成員 ありがとうございます。オンラインで大変失礼いたします。2つの事業所に同じ質問ですが、この認定作業をする際にサービスの質が向上したという御発言が、ソフトキャンパスさんからあったと思います。柏木学園さんのほうからも、認定の申請で新たな課題が見つけられたということで、これが結局、サービスの質の向上につながったということなのだと思いますが、それをもうちょっと具体的に、どういうところが特にこの認定制度のチェック項目の中で、こういうところをやったことでサービスの質が向上したか。特にどういうところだったのか教えていただきたいと思います。
○今野座長 佐藤さんから順番でお願いします。
○佐藤執行役員 今、御質問いただきました点に関しては、認定作業の際に提出書類として点検表ですね、サービスガイドラインに合わせた点検表ということで自己点検を行った記録を、年1回、必ず提出することになっています。そちらはサービスガイドラインの認定の際にも、もちろん必要なものとなりまして、内部でしっかりとサービスガイドラインに合わせた運営ができているか確認できるものとなります。
もちろん、そちらのサービスガイドラインに合わせてやれているかを年1回確認することが、よくできているかなと思ったのと、あと、認定申請の際にエビデンスをそろえていくとき、今までノウハウでやっていたことで文書化されていなかったことがありまして、例えば時期のニーズや、訓練コースを選定するに当たってのニーズもそうですけれども、そういったものを調べていったりはするのですが、それを文書に残すことを今までやってこなかったのです。それは要求事項の中にもございまして、そういったものを文書化して蓄積すること。あとは、やり方のマニュアルなどについてもしっかりとマニュアル化して残すことによって、新しいスタッフが入ったときの業務マニュアルにもいかされていますし、先ほど言った属人化というところが防げるようになってきたのかなと感じています。
○武尾研修センター長 柏木学園研修センターでも、今、佐藤さんがおっしゃったことと同じようなことでございます。受講生をお預かりして面談もたくさんしますし記録も取ってはいるのですが、それをPDCAサイクルにのっとってきちんとまとめて、それをどこでも確認ができる。そういうきちんとしたものに意識をしてそろえるところは、認定作業でより明確にできたと思います。そのことが、また職員の意識にもつながってきているので大変有り難いと思います。
○山田構成員 分かりました。プロセス自体を文書化したり明確化していったり、いわゆる「見える化」をしていったりというところで、事業所としての継続性というか、そういうところを担保していったことで経営の質が上がってプラスになったということかと理解しました。分かりました。ありがとうございました。
○今野座長 ほかに、いかがでしょうか。どうぞ。
○武石構成員 具体的にいろいろ聞かせていただき、ありがとうございます。特に佐藤さんから企業単位でやっていただきたいというお話があったと思いますが、実際にこの認定のためにいろいろな書類作成など、どのぐらいの負担感があるのか。人数的なものとか、もし差し支えなければコスト的なものがあれば教えていただきたいと思いました。
○佐藤執行役員 ありがとうございます。申請にかけた実感としましては、担当は私が一人でやりました。マニュアルを作るのに丸々1か月ぐらいかかりました。その後、エビデンスを集めて、運用している状態を整えて申請をするというところだったので、マニュアルを作るのに時間が掛かったかなという印象です。ただ、それは他の学校でも流用ができるものかなと考えています。
○武石構成員 マニュアルというのは、この申請のために必要なマニュアルを作らなければいけないからということでのマニュアルですか。申請の手続のマニュアルではなくて。
○佐藤執行役員 申請の手続に係る書類とはまた別で、弊社で職業訓練を運営する際に、こういうふうにやりますよという概念だったり、やり方が書かれたマニュアルです。
○武石構成員 それは企業として1個作ると、ほかの事業所でも汎用性があるものということ。
○佐藤執行役員 そうですね。ほぼ流用というか、同じように共通で使うことはできると思います。
○武石構成員 なるほど。逆に事業所ごとに何か個別性のある内容というのは、あるのですか。
○佐藤執行役員 そうですね。先ほどお話した地域の求人ニーズだったり、情勢もそうですし、あと、割と雇用支援機構も都道府県の支部によってそれぞれのルールがあったりするので、そういったところに対応する意味では個別で学校ごとの部分も必要になるかと思います。
○武石構成員 よろしければ柏木学園さんも、どれぐらいコストが掛かるか。
○武尾研修センター長 研修センターでは常勤職員全員で当たりました。佐藤様が、お一人で作ったのはすばらしいなと思います。エビデンスに関してはほとんど資料があるのですが、それをどの項目に対してどのエビデンスを提出すればいいのか。そこのところを検討して編集というか、組み合わせたりする作業にかなりの時間が掛かりました。職業訓練に実際に当たっているのは常勤職員10名ほどですが、訓練自体はずっとお休みなくあるので、訓練が終わってからほぼ徹夜の時間が2週間ぐらいあったと思います。そこで時間を作って、資料はほとんどあったのですが、何に対してどの資料を付けて御説明ができるかというところに時間を取られたと思います。
○武石構成員 ありがとうございました。
○大嶋構成員 貴重なお話、ありがとうございました。お話いただいた中でプロセスの改善や、これまで言語化されていなかったノウハウを言語化できるなど様々なメリットがある一方で、今、御説明いただいたように負担も非常に大きいということでしたが、そうしたメリットの部分を維持する上で、ここは効率化しないほうがいい部分、ここは効率化したほうがいい作業というのがあって、そのバランスが大事かなと伺っていて思いました。このプロセスは認定制度の効果を維持する上で重要だと思われるプロセスがもしございましたら、是非、教えていただければと思います。佐藤様、武尾様のお二人に伺ってもよろしいでしょうか。
○佐藤執行役員 そうですね。認証をこれから自分が続けていくために必要だと思われるプロセスということで。
○大嶋構成員 そうです。より良いサービスを提供していくに当たって、この認証プロセスの中でも特に重要だったと思われる作業、プロセスを教えていただければと思います。
○佐藤執行役員 ありがとうございます。この規格というか、この認証自体がPDCAというところを一番重要としていまして、そこが一番かなと思います。実際に運営をしていると、結果がこうだったね、しようがないねで終わってしまうこともあるのですが、そこはなぜ駄目だったのかを検証しながら次にどうやって動くかというところは、やっているのですが、それを明確に言語化して、あとは報告からの指示という形で次のサイクルに移すところがかなり明確化されたと思っているので、そこが一番よかったかなと思っています。
○武尾研修センター長 よろしいですか。私どもでは、いろいろエビデンスをそろえるときに、実際に訓練につながっているところは、私どもの現場でより良く把握できているので、そこのところの資料であるとか、それがすごく大事だと思いますが、私どもは学校法人ですから財務的なところは学園本部のほうで全て把握しているので、その辺りのところですね。書類の中で財務や事業戦略といったところをそろえるときに、本部のほうから資料を取り寄せてこないといけないなど、実際、職業訓練に直面していないところの資料は少し手間取ったので、そこよりも訓練をやっているところの資料をたくさん見ていただけるのが有り難いなと思いました。
○今野座長 吉川さんも質問があると思いますが、実はもう1つ、今日、構成員の中原さんからプレゼンしていただくのでそれをしていただき、それも含めて御質問いただければと思います。中原さんに、民間訓練ガイドラインの基となったJEEDにおけるPDCAサイクル運用と、求職者支援訓練を通じた民間職業訓練の質の向上に関する取組について、お話いただきますので、それも材料にして議論したいと思います。よろしくお願いします。
○中原構成員 JEEDの中原でございます。よろしくお願いいたします。資料3-1になります。スライドの2ページから御説明させていただきます。
機構版職業訓練ガイドラインにつきましては、平成21年4月21日に制定されたものでございます。このガイドラインは長年にわたり、JEEDにおける職業訓練事業で蓄積したノウハウを体系化、明文化したものがこのガイドラインとなっています。
機構版ガイドラインは、この図に示すように4つの章で構成されていまして、第1章ではガイドライン策定の意義やガイドラインの位置づけ、基本理念などが書かれています。この章で、プロセス管理の基本ルールとしてPDCAサイクルを採用することとしています。2章では、適用範囲や用語の定義について記載しているところです。3章では、ここにも記載のとおり職業訓練サービス、4章では組織マネジメントが書かれていまして、PDCAサイクルによる訓練運営についてはこの3章、4章に記載されているような状況となっています。
続いて、次のスライドをご覧ください。ガイドラインの3章、4章に記載している項目が、具体的にPDCAサイクルのどこに該当するかを整理した図となっています。Planでは、職業訓練ニーズ等の明確化と職業訓練プログラム等の設定について記載しています。Doでは、職業訓練プログラム等の実施、職業訓練プログラム等のモニタリングというような形で実施の部分を記載しています。Checkでは、職業訓練サービスの評価が記載されています。Actは、見直し及び改善が該当しPDCAサイクルを回しているところです。
次のスライドをご覧ください。PDCAサイクルの各項目に対して、当機構の具体的な取組について少し御紹介させていただければと思います。Planでは職業訓練ニーズ等の明確化の項目がございます。その具体的な取組の1つとして、先ほど来、お話がありました人材ニーズ調査がありまして、当機構では都道府県内の中央団体へのヒアリングや訓練関係分野の事業所へのヒアリングを行っています。このほか、各都道府県労働局が開催する地域職業能力開発促進協議会に参画するなど、各地域の訓練ニーズの把握に務めている状況です。
次のページをご覧ください。Checkの部分の所になります。職業訓練サービスの評価という部分があります。この部分の結果を踏まえて、次の見直し及び改善を行っていくことになります。職業訓練サービスの評価の具体的な取組として、ここに記載されているとおりフォローアップ調査を実施しています。これは訓練受講者へのアンケート調査や就職先事業所へのヒアリング調査を実施しています。また、先ほどのニーズ調査やこのフォローアップ調査など、機構におけるPDCAサイクルの取組において使用する様式は全国で統一の様式を使って、調査結果の取りまとめ、分析について効果的、効率的に実施できるようにしている状況です。
次のページが、見直し及び改善になります。これは実際にフォローアップ調査などを踏まえて見直し及び改善をした事例となります。例えば見直し前の③番の所で言いますと、訓練修了者からの意見として、技術文書の書き方を知らないため、入職後苦労したとの意見があり、見直し後として、技術文書の作成方法について指導するカリキュラムを導入したり、入職後、スムーズに実際の仕事ができるように状況の改善を図るなど、様々な改善を図っている状況です。
次のスライドをご覧ください。監査の取組となります。監査の取組につきましては訓練コースの設定から実施、評価に至る業務プロセスについて、PDCAサイクルによる業務運営が有効に機能しているかを、業務プロセスの点検を行い確認している状況です。点検という行為を通して、機構が行う職業訓練サービスの信頼性と品質の維持・向上に繋げることを目的としています。点検の一定の客観性と質を確保するため、点検事項に関し、自ら業務を担当する者以外の者が行うとして、点検に必要な知識を有する者が行うこととしています。点検には訓練ごとに作成された業務プロセス点検表を使用して、施設長が重要であると考える項目を点検項目としています。しかしながら、業務プロセス点検表におけるリスクレベルが14以上の点検項目については、毎年、実施しています。リスクレベルが10以上、13以下の点検項目については、3年間の中で全て点検する形としています。なお、リスクレベルというのは、我々の定義の中では危険状態が発生する頻度、危険状態が発生するときに危害に至る可能性、危害の重大性の3つの評価点を合計したものとなっています。業務プロセス点検表の点検項目数は、令和4年度で資料の一番下段に記載しているとおりとなっています。
次のページです。これは離職者訓練で使っている業務プロセス点検表となります。PDCAの各段階の確認事項、確認のための具体的なエビデンスは何か、そして判定基準というものを定めています。もし判定がバツとなった場合に関しては改善措置の記入をして改善に務めることになっています。以上のように当機構ではPDCAサイクルにより継続的な改善を行い、職業訓練の品質の維持・向上に取り組んでいる状況です。これがガイドライン関係の御説明となります。
続いて、求職者支援訓練の認定及び実施状況の確認等について御報告させていただきます。スライドの2ページです。我々、JEEDでは表の右枠のとおり、民間教育訓練機関等の訓練カリキュラムが就職に資する内容になっているかどうかの審査・認定、適切に訓練がなされているか確認・指導・助言などを行っている状況となっています。
次のスライドをご覧ください。主な取組内容を①で記載しています。毎年度、適切に審査・認定業務に取り組んでいます。また、下段のとおり、社会のデジタル化に対応するようデジタル系訓練コースの設定促進に務めるなど、直近の社会情勢や雇用情勢を踏まえた対応や、民間教育訓練機関等の効果的な訓練申請を促進するために、各訓練分野の訓練カリキュラムや職業能力証明シートを盛り込んだ「カリキュラム作成ナビ」を、ホームページ上で公開しています。カリキュラム、訓練計画等の作成を支援する形で、制度に関する説明会を含め実施している状況です。
次のスライドをご覧ください。実施状況確認の実施等です。民間教育訓練機関等に対して、適切に訓練が実施されているか、受講者に対するアンケート結果に対して適切に対応しているか、就職支援体制が整備されて適切に対応しているか。このような項目について確認をしている状況になります。実施状況確認につきましては、各コース、月1回の実施状況確認を実施しています。適切に訓練が実施されているか等を確認しつつ、必要な指導を行っています。また、民間教育訓練機関等が抱える課題等に対して必要な助言等を併せて行っています。各コースの実施状況確認のうち、1回は抜き打ちの方式で確認を行っている状況です。令和6年度につきましては計1万4,230回の実施状況確認を行いました。加えて、そうした中で把握した多くの民間教育訓練機関等に共通する課題に、求職者支援訓練サポート講習という形で、機構のノウハウを展開して課題解決に務めるなどの取組を行っているところです。
最後に、参考になりますが、求職者支援訓練の全体スキームを掲載しています。関係機関が役割を分担して業務に当たっていまして、JEEDの役割は訓練の審査・認定、訓練実施に係る助言・指導となっています。以上です。
○今野座長 ありがとうございました。吉川さん、どうぞ。先ほどの件でも結構です。
○吉川構成員 私、ISOとかガイドライン作成のときに関わったので、先ほどの件のほうを先にやらせていただきます。結局、ISOの場合ですと、マネジメント企画とサービス企画の両面があったのが、2つ含まれているのが駄目になってしまったという経緯ですけれども、でも、それがないと両方とも運営できないですよね。それでガイドラインにしたときに、その盛り込みをしようと考えて作られたというのが、多分、見て分かると思います。結局、制度としては何が狙いだったかというと、ガイドラインとして示したようにに明文化してやることによって、例えば皆さんがお客さんに対するサービスの時間が早くできるようになったとか、誰でも対応できるから、結局、トータルでのパフォーマンスが良くなったとか、お客さんからのクレームが減ったとか。そういう結果論が見えてくる形で評価を期待しているのですけれども、そういうような実感というのは、ガイドラインを取った結果、あったのでしょうかというのを皆さんに聞きたいのです。
○佐藤執行役員 ありがとうございます。取ってみての実感というところでいくと、先ほどのお話とも被るのですが、マニュアルを整備して誰でもできるようになったところは大きいと思います。求職者支援訓練の運営業務はかなり数が多くて書類も多いですし、間違いなく運営することが必要になるのですが、そのエビデンスを整理して、こういうときはこの書類をという形で社内でも共有することができたので、その上で教えるときにも楽になりました。教えられる側も、困ったらこれを見ればいいというのが整備されて、お互いにとって時間の削減という意味ではよくなりましたし、事務担当が辞めなくなったというところもあるかなと思います。
○今野座長 武尾さん、何かありますか。
○武尾研修センター長 ほぼ同じですが、受講生にとって認定制度がどういきているかというところはちょっとまだ分かりかねます。実施している施設としては制度が整えられたというところで、先ほどのお話と同じでございます。
○今野座長 よろしいですか。それでは、どうぞ。
○黒澤構成員 ありがとうございます。お二人とJEEDの中原様にお伺いします。皆様の組織の中で、認定を受けたことによって人事管理に変化があったということですね。評価項目の中にきちんと評価しましょうということも書いてありました。文書化するというのは簡単だと思いますが、評価を実施するとなると根本的なところにも関わってくると思いますけれども、それでモチベーションがアップしたとか、そのモチベーションを高めるために工夫なり帰結があったのか、もしありましたら教えていただきたい。お願いします。○佐藤執行役員 ありがとうございます。弊社では人事の評価を行う際に面談を含めて本人に評価票を書かせてという形で、一般的な人事評価を行ってきたのですが、訓練の事務担当、また講師に当たる者に関しまして、この認定取得をきっかけにもう一度人事考課のやり方を整理し、今まではかなり抽象的で、管理者が事業を観察してというところと、あと生徒さんからの評価を中心に行っていたのですが、もう少し細分化してこういうことができる、こういうことができるというのを細かくした上での評価票を新たに作り直したところがございます。
それをやることによって、講師や事務担当のスタッフにおいても、自分はこういうことができて、こういうことができないというのを新たに確認し、その上で面談で管理者がフォローアップしてという形で回るようになったのと、その面談を経て社内の話でいきますと時給が上がったスタッフもいます。そういったところで評価が適切にされて、それが反映されることで社内が回るようになったと感じています。
○武尾研修センター長 私どもは学校ですので役職者は役職者でいますが、あと、教員は一律横に並んでいる形です。それでも担当決めのような形で、何に対して誰が責任を持つというところと、あと、とにかく受講生にいかに寄り添って指導するかというところに力を入れているところもありまして、職員の意識も変わってきました。職員はそれぞれ担当する教科の指導ができるだけでなく、受講生に対して、どのようにより良く寄り添っていくことが、この職業訓練として正しい運営につながるか。そういうところに意識が向いてきたところが国家資格のキャリアコンサルタントの勉強につながっていって、訓練の受講のときから一定期間ごとに受講生との面談はもちろんのこと、記録として受講生と職員側で自己確認という形で、今、生活がどのように変わってきたか、訓練を受けて意欲がどのように湧いてきたか、就職に向けての準備がどのようにできてきたかという記録をずっと取っているのです。そこをきちんとまとめ直すとか、意識が大分変わってきて、認定を受けた施設で正しい訓練を実施するというところで、意識レベルがすごく変わってきたように思います。
○黒澤構成員 大変貴重なお話、ありがとうございます。もう1つ、佐藤様と武尾様にお伺いしたいのですが、ニーズの把握というのがありますね。PDCAサイクルの中で修了生、在校中の方のフォローアップ等、アンケートは大変大事だと思いますが、ニーズ調査というのは、各学校がやらないといけないことになっているのですか。
○今野座長 そうですよね。
○佐藤執行役員 はい。
○黒澤構成員 それで、もちろん離島などはしようがないと思いますが、例えば首都圏だと統計的なニーズ調査でしたら、例えばJEEDがいわゆる製造業だけでなくいろいろな所を対象に行い、その情報を共有すればいいのではないかと感じたのですが、その辺りについてはどうかというのを中原さんも含めてお伺いしたいのと、もう1点は、一番最初に私が申し上げた点ですけれども、修了生というか履修者のデータというのを個別で皆様はお持ちであるかどうか、またそのデータにはどのような情報が収集されているのかを教えてください。例えばPDCDの一環としての訓練終了後の追跡調査で、就職先についてどこまで把握されていらっしゃるのかでしょうか。それが必要とされたら、例えばハローワークなりJEEDなりに御提出いただくことは可能なのかどうか。その辺りを教えていただければと思います。
○今野座長 申し訳ないですが、短めにお願いします。
○佐藤執行役員 まず、就職のニーズの把握については弊社で人材紹介なども行っていますので、そういった企業からの聞き取りをメインに行っています。そちらを機構で共有いただけれるのであれば非常に有り難いなと思っています。あとは利用者の情報の蓄積ですが、入校時、皆様に就職の希望のアンケートを取らせていただいています。前までの職歴、これから希望するお仕事だったりというところを細かく聞いて、あとは期間中、3回のキャリアコンサルティングと、修了後の後追いという形でお話を聞いて情報が蓄積されています。そちらは、もし何かの形で共有をということであれば、個人情報ですので共有化の許可を取った上でということになります。
○武尾研修センター長 ニーズの情報に関しましては委託元から、こういう科を設定してほしいという形でのお話は伺っていて、私どもでは経理、医療事務、介護、PC分野をやっていますので、その関連する会社や施設とは常に連絡を取り合っていますので、そこのところのニーズの把握には務めています。修了生の情報ですが、修了生に関しては一定期間、修了後3か月間の就職報告は上げさせていただいていますけれども、それ以後は個人情報に関われないことになるので3か月後までです。それ以後は、修了生はすごく学校にたくさんいらっしゃるので、個人的にいらっしゃった場合には、例えば介護初任者を取った方が介護福祉士が取れましたという報告に来てくださるとか、そういうこともありますが全員の把握というのは難しいと思います。
○今野座長 最後、中原さん、ニーズ調査をみんなで共有したらどうかですか。私は、経営からしたら一番重要なところなので共有できないと思っていますけど、どうぞ。
○中原構成員 JEEDで行っているニーズ調査につきましては、毎年、約3,400社ほど実施しています。そのうち、製造業、建設業等のものづくり分野がおおむね2,700社、これは全国で実施していまして、それ以外の分野が概ね700社となっています。ニーズ調査の実施は各施設の職業訓練指導員が中心になって行っていまして、これは非常に難しいところではあるのですが、ある程度、具体的な話を聞くためには専門分野での知識を持つことが重要になるのかなと考えています。ヒアリングをする際、事業所の方に必要なスキルを聞いたときに全く専門外の方が聞いても、具体的なニーズであるのか判断するのが非常に難しいところがあります。JEEDも全ての分野で専門家がいるわけではございませんので、何とも言えないかなと思っています。以上です。
○今野座長 時間なのですが、どうしますか。
○菅沼構成員 よろしいですか。
○今野座長 どうしようかと思って考えているのですが、では1分だけ。
○菅沼構成員 最後に、先ほどJEEDからPDCAサイクルの自己点検のお話があったのですが、こちらは、JEED内部の施設だけでなく、サービスガイドラインの民間訓練機関の審査に応用することが可能かどうか、お伺いできればと思っています。理由は2つありまして、1つ目が、適合事業所の認定制度については委託事業者の入替えがあって一貫性が出てこないのではないかという懸念があること、2点目が、通常は業界団体が審査を担うことが多いと思いますが、もし業界団体がいないのであれば公的機関が担ったほうがいいのではないかということ。その視点から御質問させていただきます。
○中原構成員 ちょっとなかなか答えにくいところではあるのですが、適用できるかどうかに関して言うと、活用できるのかなというふうには思います。大きく言うと4点あって、1点目が民間教育訓練サービスガイドラインの中で、関連文書の中に機構版のガイドラインの文書が挙げられていることが1点と、PDCAサイクルによる訓練運営をしており、ニーズ把握をして訓練カリキュラムを変更してという改善の取組の部分です。あと、我々、内部でのチェックをしているところも似ているのと、求職者支援訓練で言うと実施状況の確認や認定申請等をやりながら、ある一定の知見を有しているところからすると、そういうふうになるのかなと感じています。以上です。
○今野座長 まだ御質問があると思いますが、もう時間なので諦めてください。次回、もう少しゆっくり時間があったほうがいいですね。御検討ください。それでは、前回と今回でいろいろ御意見を頂きましたので、それを事務局で整理していただいて、その整理したものに基づいて、次回、議論したいと思っています。本日は時間をオーバーしましたけれども、これで終わりにしたいと思います。事務局にお返しします。
○横田政策企画室長 ありがとうございます。次回、頂いた御意見を踏まえて事務局で整理させていただいたものを提示させていただければと思います。今野座長、ありがとうございました。また皆様、貴重な御意見、ありがとうございました。次回の開催日程につきましては改めて調整させていただきます。なお、この後、「第1回 今後の人材開発政策の在り方に関する研究会」を開催いたします。オブザーバーやヒアリング対象の皆様、事務局の入れ替わりがありますのでしばらくお待ちください。ありがとうございました。
まず、新たに御参加いただく構成員について御紹介をいたします。法政大学キャリアデザイン学部教授の坂爪洋美さん。続いて、法政大学経営大学院のイノベーション・マネジメント研究科教授の山田久さん、最後に、関東学院大学理工学部教授の吉川厚さん。この3人が新しいメンバーですので、よろしくお願いいたします。山田さんと吉川さんはいらっしゃいますので、よろしくお願いします。
あと坂爪さんの出席状況について、横田さん、お願いします。
○横田政策企画室長 本日、坂爪構成員がほかの用務の終了後、間に合えば本研究会に合流予定となります。そのほかの構成員の方は会場にお越しいただいております。
山田構成員におかれましては、オンラインでの参加です。御発言を希望する際には、Zoomの「手を挙げる」機能により意思表示を行っていただき、座長から指名された後に御発言いただくようにお願いいたします。また、音声の乱れや接続に問題等が生じましたら、事務局宛にチャット、メール又は電話で御連絡いただくようお願いいたします。
○今野座長 議事に入りたいと思いますが、その前に、山田さん、聞こえますか。
○山田構成員 はい、聞こえます。
○今野座長 発言される場合はZoomの「手を挙げる」機能を使っていただきたいのですが、多分私から余り見えないので、何か言っていただいて、勝手にしゃべって結構ですので。
○山田構成員 承知いたしました。
○今野座長 よろしいですか、はい。積極的に御参加ください。
それでは最初の議題は、「民間教育訓練機関における職業訓練の質の向上を促す取組について」です。この議論に当たりまして前回に引き続き、オブザーバーとして民間職業訓練サービスガイドラインの協議会と認証委員会の座長をされました、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 職業能力開発総合大学校より、原圭吾さんに御出席いただいております。よろしくお願いします。
また今日はヒアリングをいたしますので、その対象者として、職業訓練サービスガイドライン適合事業所の方に御出席いただいております。まずお一人は、株式会社ソフトキャンパス執行役員の佐藤真美さんです。よろしくお願いします。
○佐藤執行役員 よろしくお願いいたします。
○今野座長 続いて、学校法人柏木学園柏木実業専門学校研修センター 研修センター長の武尾誠子さんです。
○武尾研修センター長 よろしくお願いいたします。
○今野座長 それではまず、事務局から資料の説明をお願いします。
○横田政策企画室長 事務局より、まず、資料1についての説明をさせていただきます。資料1を御覧ください。「サービスガイドライン関連資料」と題したものです。そちらの1枚ページから次のページのほうにスライドを移していただければと思います。こちらは黒澤構成員より、前回、適合事業所と適合事業所以外の比較について、分母を修了者で取った就職率だけではなく、受講者がどれくらいコースを修了したのか、修了率を見ていくことが重要だという御指摘を頂きました。修了率については、適合事業所のほうが各年度で3%程度低くなっており、これをどう読み解くかは難しいのですが、1つはコース運営を厳しくされているケースが考えられます。
また、訓練機関とは別の要素として、訓練のマッチングのほうがあります。これは求職者支援訓練の受講者は、ハローワークで受講あっせんを受けて訓練を受講する手続になりますので、このあっせん時のマッチングの精度によってはコースが合わなかったと、途中で辞めてしまう受講生が出ることにもなり得ます。今回表の一番右側に分母を受講者、分子を就職者で取った割合を記載させていただきました。こちらは受講者からどれくらい就職する者が出たかという割合ですので、就職率と修了率このどちらも盛り込む形での割合となります。それで比較しますと、適合事業所のほうが各年度で5%前後高くなっております。
また、黒澤構成員からは修了率の御指摘とともに、回帰分析の御指摘も頂いておりました。こちらは労働者の属性も踏まえたものでという御指摘でしたが、業務データ上、訓練機関のデータベースと受講者の属性のデータベースが異なっており、難しいところがありました。適合事業所の認定の効果検証については、御指摘の受講者属性も踏まえる形でのデータ連結やデータ整備も含めて、今後どのように行っていくのかというところ、今後の検討課題とさせていただければと思っております。
次のスライドに移ります。こちらは宮地委員より御質問を頂いておりました。求職者支援訓練を行う民間訓練機関の企業規模についてです。求職者の支援訓練の認定は、事業所に行われるコース単位の形で申請を受けていますので、各企業の大中小企業分類というものを把握しているわけではありませんでした。ただ、規模間を示すために、この度、企業ごとに申請を行っている都道府県数の形で分類させていただきました。一番上の所が1つの都道府県で申請を行っている所です。コース数が2,328、企業数が583で、割りますと4程度です。1つの企業で4程度のコースを行っている、余り企業規模としては大きくない、小さい所の企業が多いのではないかと。若しくは単独県の学校法人とかそのような所も入って、ここの583が構成されているところだと認識しております。
次の2~9、例えば東京、神奈川のように隣県での事業所で申請されているものもこちらに含まれます。このような形のものが、企業数として32、コース数として533、展開しておりまして、1企業当たりで割ると10数の形です。そして申請を行っている都道府県数、一番下の10県以上は、企業数が3で、コース数が372で、1企業で100数十を行っているという形です。以上のところで、前回頂きました2つの点の資料の説明です。
○今野座長 ありがとうございました。まず、黒澤構成員、よろしいですか。
○黒澤構成員
ありがとうございます。最初の資料のほかにも、私は個別に御説明いただきましたが、結論としては、受講者ベースでのデータがないのでその単位での分析はできないということでした。これは後ほどちょっとお伺いしたいのですけれども、恐らく訓練を提供してくださっている事業所には、履修者ベースで、どういう訓練をしたのか、その方の性別や年齢、就業経験などについての情報をお持ちだとは思うのですけれども、それが機構あるいはハローワークなりにシェアできるような体制になっていないことにつきまして、大きな問題を感じました。ですので、先ほど横田様がおっしゃってくださったように、今後は例えば、委託をする際の要件として、そういった情報を挙げていただくようなことを是非お考えいただきたくお願いします。
なお、訓練を実施する事業所として、訓練後の就業状況までを追跡することがもし困難だとすれば、それはハローワークの雇用保険の業務データとマッチングさせる形でデータを整備し、そして訓練プログラムの改善を、エビデンスを用いた分析を通して、恒常的にやっていくよう整備をしていただけると大変有り難いと思いました。ちなみに、こちらは事業所のコースごとのデータですけれども、コースの内容を全てコントロールした上でも、認定事業所のほうが就業率にはプラスで有意な結果が出ておりますので、それだけは申し上げたいと思います。どうもありがとうございます。
○今野座長 何かありますか。大丈夫ですか。
○横田政策企画室長 はい、大丈夫です。
○今野座長 では、お受けしておくということでいいですか。ほかにいかがですか。2枚目の資料についてもいいですか。この2枚目の資料の一番下の3社はすごいね、1社120コースぐらいやっていますね。
○横田政策企画室長 この場で個別の企業についてちょっとお答えすることはできないのですが、3社で372という形で、おっしゃるとおり単純に割ると100数十、県としてかなり10を超え、大きく超えるようなカバーをされている企業もありますので、求職者支援訓練の貴重な担い手という形で考えております。
○宮地構成員 これは私からお願いした資料ですので、一言申し上げさせていただきたいのですけれども。恐らく小規模の企業が多いだろうと予想はしていたのですが、予想以上だったというところです。9割以上、ほとんどの企業が1つの都道府県で4コース程度の実施となっています。小さな企業を中心として、離島などを含めた日本全国でしっかりと求職者支援訓練を担っていただく必要があることを踏まえますと、やはり認定の負担感を軽減していく方向性は正しいのかなと思いました。以上です。
○今野座長 別にデータがなくてもいいのですが、ざくっとした印象でいいのですけれども、例えば、この3社は非常に多くのコースですけれど、一般的に大手がやろうとすると、固定費が大きいのでお客さんの少ない地域には出にくい、そうすると大手は意外に都市部中心でやっている、そうでない地域では、規模の小さい企業がカバーをしているとかというような印象はありますか。
○横田政策企画室長 参考にですが、この10社以上の所は首都圏や関西圏以外の所にも出ていますが、この2~9の所はやはり首都圏から関西圏に集中しているところがありまして、ある程度2~9の展開規模の方ですと大都市圏の形ですので、今おっしゃったことにどの程度とは思いますが、やはり都市圏のほうが展開しやすいところはあるのだろうと思います。1の所は本当に各県で、ただこれもどうしても首都圏が多い形にはなりますので、企業規模にとらわれず、多少首都圏のほうがどうしても多くなってしまうことはあります。
○今野座長 例えば、しつこいようですが、先ほどありました離島みたいな所はやはり1社の小さい企業がカバーするとか、いや、そうではなくて、やはりそういう所も含めて大手がやっているとか、そんな印象はありますか。なければなくていいんですよ。
○横田政策企画室長 全て見たわけではないですが、大手がその離島までカバーしているようなケースは余り聞いたことはありません。可能性としては、その県でオンラインを申請されている場合とか、オンライン訓練の場合ですとそのような多少へき地の部分についてもアクセスできるかとは思います。
○今野座長 ありがとうございました。ほかに何かありますか、よろしいですか。
それでは続いて、職業訓練サービスガイドライン適合事業所からお話を伺って議論をしたいと思います。先ほど御紹介いたしましたように、ソフトキャンパスの佐藤さんと、柏木学園の武尾さんに、順にお話を頂ければと思います。最初に佐藤さん、お願いいたします。
○佐藤執行役員 株式会社ソフトキャンパスの佐藤と申します。本日はこのような場にお招きいただき、ありがとうございます。私は普段は弊社の新宿校にて、訓練実施責任者、就職支援責任者、事務担当者として、訓練の運営業務に当たっております。またサービスガイドラインの認定手続も担当いたしました。本日は訓練運営に関わる立場と、あと適合事業所認定に関わった立場としてお話をさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
まずは簡単に弊社について御説明いたします。資料の6ページを御覧ください。弊社は社会人向けのパソコンスクールとして、1995年に青森県の弘前市で設立されました。現在も本社は弘前市にございます。当初は青森県内で教室を運営しておりましたが、2003年に仙台校、2015年に新宿校、2019年に横浜校が開校しまして、現在は青森、宮城、東京、神奈川の計5校でスクールを運営しております。
設立から約30年たちましたが、社会人向けのパソコンスクールといたしまして、オフィスソフトや簿記、医療事務、Web制作、CAD、プログラムなど、就職・転職を目指す方や、在職中でスキルアップを目指したい方に対して、マンツーマン授業を提供しておりまして、就職や転職の支援も行ってまいりました。そのほか職業訓練の運営や、自治体からの就職支援事業や研修事業の受託、学習試験の運営なども行っております。
資料の7ページに、受託させていただきました各省庁や自治体を一覧にまとめました。パソコン講習や就職支援セミナーの運営、氷河期世代の方や子育て中の女性に対しての就職支援事業など、様々なお仕事を受託させていただいております。
続いて資料の8ページを御覧ください。求職者支援訓練について、弊社では前身の基金訓練の時代から約15年、職業訓練の運営をさせていただいております。こちらに直近3年間の弊社受託の求職者支援訓練の実績を挙げております。全校合わせて年間30コースほど実施させていただいております。
長らくWeb制作に関するコースを多くやってきたのですけれども、最近ではCADやキャリアカウンセラーの養成のためのコース、事務コースなど新しい分野でも実績を頂いております。
資料の9ページを御覧ください。弊社は昨年適合事業所認定を取得いたしました。以前は2015年にISO29990の認証を取得しており、それを2020年まで継続しておりました。規格の廃止に伴い、認証の継続は断念しております。しかしコロナ禍を機に訓練を実施する事業者が増えたなという実感がございまして、弊社でも申請したコースがなかなか認定されないということが増えてまいりました。
また訓練運営に関わる事務作業や、作成する書類の数が多岐にわたり、それらを完璧にこなせる事務担当を育成するということが、なかなか難しいということもあり、特定のスタッフに負担がかかったり、スキルが人に属人化してしまうという懸念もありました。
一番の申請の理由としては、訓練の申請の際の加点が付くというところが、一番の理由ではございましたが、訓練運営についてマニュアル化することによって、コースの評価や社会のニーズの分析なども一緒に行えることがありまして、社会のニーズに合った訓練の運営や、当校の運営の質の向上にも役立つと考えまして、認定の取得を行うことにいたしました。
申請の準備においては、ISOを取得していた当時のマニュアルをベースに整備をしてまいりました。ISOの規格については、職業訓練に限らない教育サービス全体についての規定でございましたので、それを職業訓練に特化した形でマニュアルを再整備してまいりましたが、それらにかなりの時間が掛かりました。
エビデンスなどはそのまま実施の中で使えるものが多かったので、そちらでは余り苦労はございませんでした。認定は一昨年の12月に取得いたしました。認定において加点が頂けるようになりましたので、申請の認定という意味でも、少し効果があったかなと実感しております。また訓練運営について、自己評価をして改善するというサイクルが、より強力になったと感じております。
適合事業所認定を取得して感じたこととしましては、学校ごとの認定であることによって、費用面の負担がかなり大きいと感じております。ISOが廃止になったタイミングで、サービスガイドラインの適合事業所認定も検討したことがあったのですけれども、当校が5校運営をしていることもあり、費用的な負担というのが大きかったことと、当時は申請も通りやすかったので、そのメリットを比較して、その当時は断念しています。
ただ、今回認定制度が休止されるということもあり、横浜と新宿の2校で取得させていただきました。もし休止がなければ、このまま全校で取得をしたいなと考えておりましたが、今回ちょっと間に合わず、2校だけの認定となりました。
そういった複数校運営する立場としてお話させていただければ、訓練の運営というのは全地域というか、日本全体で共通する部分が多いので、学校ごとの認定というよりは、会社としての認定ということで、その中の複数校という形で認定させていただけるような制度であると、非常に有難いと思っております。
そうしますと申請手続も同じものは省いたり、まとめての申請ということができますと、非常に有り難いなと思っています。また複数校の申請を行った場合に、2校目以降費用が安くなるといったような、割引の制度などもあると非常に助かるなと思っております。そういったことがあれば、更に申請に興味を持つ事業所の方が増えるのではないかなと感じております。以上、こちらでお話させていただきたいことといたします。御清聴ありがとうございます。
○今野座長 ありがとうございました。それでは皆さん御質問あると思いますけれど、柏木学園の武尾さんのお話を聞いてから、まとめて議論したいと思いますので、よろしくお願いします。
○武尾研修センター長 神奈川県の大和市にあります、学校法人柏木学園からまいりました。このような機会を頂きましてありがとうございます。
まず学校の紹介ですが、学校法人柏木学園は令和8年に80周年を迎える学校で、専門学校、高等学校、高等専修学校、幼稚園等をそれぞれの地で運営しております。
職業訓練を実施しております研修センターは、2011年に専門学校を移転建て替えした跡地、学園の創立の地なのですが、そこに建てていただき、鉄筋コンクリート3階建、1階にはPC31台ずつ入ったOA教室を2部屋、入浴実践室、介護実践室、2階3階には普通教室8室、ノートPC20台入った教室、視聴覚室等を用意して、そこで日々生徒は学んでくださっています。それ以前は、専門学校の校舎の中の1部屋2部屋、ときには3部屋を使って訓練を実施しておりました。
当学園での職業訓練の歴史は長く、創立者の学園長が、社会人の学び直し、即戦力の育成に早くから力を入れており、1969年から職業訓練を開始していると聞いています。職業訓練の歴史が長いことは、長年培ってきた訓練の方針や、多くのノウハウがありますが、逆に運営の方法に慢心してしまうこともあるのではないかという危機感も持ち合わせております。
そのような中で、職業訓練施設としてPDCAサイクルを活用した、正しい運営ができているか。長年実施してきたことで、訓練方針に慢心していないか。職業訓練として求められていること、受講生に対して正しい取組と支援が実施できているかというところを、サービスガイドライン適合事業所認定を申請することで、改めて確認することができました。
申請において求められているエビデンスを整備することは、大変な作業でした。しかし新たな課題も見つけることができました。そして認定を頂けたことで、質の向上に取り組んだ正しい運営の確信が持てたこと。これが大変に誇らしく、職員の意識向上やモチベーションの向上にもつながっております。
サービスガイドライン適合事業所認定は、職業訓練実施校として運営の評価を頂けたということで、大変に魅力のあるものだと感じております。当研修センターでは常勤職員が10名、非常勤職員が50名ほど在籍しておりますが、非常勤職員においては、サービスガイドライン研修を全員が受講しております。更には国家資格のキャリアコンサルタント有資格者、記録では5名と書かせていただきましたが、現在6名でございました。
2枚目の資料を見ていただきたいと思います。当研修センターでの職業訓練は、分野で言いますと大きく4つの分野に分かれて実施をしております。専門学校創立より力を入れております、簿記を中心とした経理分野。医療事務・調剤事務・介護事務の資格を取れる医療事務分野。福祉関連でのお仕事に必要となる、介護職員初任者研修を取得できる介護訓練。そしてパソコンの基礎を習得する、PC分野です。
どの分野においても、必ずパソコン オフィスのワード、エクセル、パワーポイントの授業を組み込んでおります。研修センターでは、各種検定試験の会場にも申請して、試験会場としても取組をしております。
訓練の実績ですが、当研修センターでは求職者支援訓練と、神奈川県の委託訓練、即戦力を中心に実施しております。実績数ですが、大体1年間に20~22コースの実施。受講生の総数は、年度にもよりますが、350名~450名ぐらい。今年度はまだ継続実施中ですが、求職者支援訓練を11コース、委託訓練を11コース、合わせて22コースの運営と、受講生は現在のところ450名ほどが学んでおります。
職業訓練を実施していく上で、PDCAサイクルを適用し、質の向上と継続的な改善を心がけて、引き続きサービスガイドライン適合事業所の認定を頂きたいと思っております。
認定制度について、残念なことは私どもの受講生のほとんどが、この適合事業所認定を受けている訓練施設であるということを知りませんでした。この制度を認知していただけたら有り難いなと思います。以上でございます。
○今野座長 ありがとうございました。それでは、お話いただきましたので、皆さん、御自由に御質問、御意見を頂ければと思います。私が最初に伺います。この認定事業所を取ったということが受講生のお客さんに何か影響がありますか、どうですか。
○武尾研修センター長 私どもの受講生に、うちの制度はこのような認定を受けておりますというお話をしたところ、皆さん、全く御存じなかったです。ただ、申請のときには神奈川県のほうで10点の加点を頂けていますので、そこは有り難いなと思います。
○今野座長 佐藤さん、いかがですか。
○佐藤執行役員 そうですね、やはり受講生の方にとっては、このサービスガイドライン適合事業所認定というところの認知度はほとんどないかなと考えております。ただ、それが認知されて適合事業所がやっている訓練というふうになれば、判断のポイントの1つになるのかなとは思っているのですが、現時点では先ほどもお話したとおり、申請のときのメリットというのが一番感じているところではございます。
○今野座長 ありがとうございます。皆さん、いかがですか。山田さん、どうぞ。
○山田構成員 ありがとうございます。オンラインで大変失礼いたします。2つの事業所に同じ質問ですが、この認定作業をする際にサービスの質が向上したという御発言が、ソフトキャンパスさんからあったと思います。柏木学園さんのほうからも、認定の申請で新たな課題が見つけられたということで、これが結局、サービスの質の向上につながったということなのだと思いますが、それをもうちょっと具体的に、どういうところが特にこの認定制度のチェック項目の中で、こういうところをやったことでサービスの質が向上したか。特にどういうところだったのか教えていただきたいと思います。
○今野座長 佐藤さんから順番でお願いします。
○佐藤執行役員 今、御質問いただきました点に関しては、認定作業の際に提出書類として点検表ですね、サービスガイドラインに合わせた点検表ということで自己点検を行った記録を、年1回、必ず提出することになっています。そちらはサービスガイドラインの認定の際にも、もちろん必要なものとなりまして、内部でしっかりとサービスガイドラインに合わせた運営ができているか確認できるものとなります。
もちろん、そちらのサービスガイドラインに合わせてやれているかを年1回確認することが、よくできているかなと思ったのと、あと、認定申請の際にエビデンスをそろえていくとき、今までノウハウでやっていたことで文書化されていなかったことがありまして、例えば時期のニーズや、訓練コースを選定するに当たってのニーズもそうですけれども、そういったものを調べていったりはするのですが、それを文書に残すことを今までやってこなかったのです。それは要求事項の中にもございまして、そういったものを文書化して蓄積すること。あとは、やり方のマニュアルなどについてもしっかりとマニュアル化して残すことによって、新しいスタッフが入ったときの業務マニュアルにもいかされていますし、先ほど言った属人化というところが防げるようになってきたのかなと感じています。
○武尾研修センター長 柏木学園研修センターでも、今、佐藤さんがおっしゃったことと同じようなことでございます。受講生をお預かりして面談もたくさんしますし記録も取ってはいるのですが、それをPDCAサイクルにのっとってきちんとまとめて、それをどこでも確認ができる。そういうきちんとしたものに意識をしてそろえるところは、認定作業でより明確にできたと思います。そのことが、また職員の意識にもつながってきているので大変有り難いと思います。
○山田構成員 分かりました。プロセス自体を文書化したり明確化していったり、いわゆる「見える化」をしていったりというところで、事業所としての継続性というか、そういうところを担保していったことで経営の質が上がってプラスになったということかと理解しました。分かりました。ありがとうございました。
○今野座長 ほかに、いかがでしょうか。どうぞ。
○武石構成員 具体的にいろいろ聞かせていただき、ありがとうございます。特に佐藤さんから企業単位でやっていただきたいというお話があったと思いますが、実際にこの認定のためにいろいろな書類作成など、どのぐらいの負担感があるのか。人数的なものとか、もし差し支えなければコスト的なものがあれば教えていただきたいと思いました。
○佐藤執行役員 ありがとうございます。申請にかけた実感としましては、担当は私が一人でやりました。マニュアルを作るのに丸々1か月ぐらいかかりました。その後、エビデンスを集めて、運用している状態を整えて申請をするというところだったので、マニュアルを作るのに時間が掛かったかなという印象です。ただ、それは他の学校でも流用ができるものかなと考えています。
○武石構成員 マニュアルというのは、この申請のために必要なマニュアルを作らなければいけないからということでのマニュアルですか。申請の手続のマニュアルではなくて。
○佐藤執行役員 申請の手続に係る書類とはまた別で、弊社で職業訓練を運営する際に、こういうふうにやりますよという概念だったり、やり方が書かれたマニュアルです。
○武石構成員 それは企業として1個作ると、ほかの事業所でも汎用性があるものということ。
○佐藤執行役員 そうですね。ほぼ流用というか、同じように共通で使うことはできると思います。
○武石構成員 なるほど。逆に事業所ごとに何か個別性のある内容というのは、あるのですか。
○佐藤執行役員 そうですね。先ほどお話した地域の求人ニーズだったり、情勢もそうですし、あと、割と雇用支援機構も都道府県の支部によってそれぞれのルールがあったりするので、そういったところに対応する意味では個別で学校ごとの部分も必要になるかと思います。
○武石構成員 よろしければ柏木学園さんも、どれぐらいコストが掛かるか。
○武尾研修センター長 研修センターでは常勤職員全員で当たりました。佐藤様が、お一人で作ったのはすばらしいなと思います。エビデンスに関してはほとんど資料があるのですが、それをどの項目に対してどのエビデンスを提出すればいいのか。そこのところを検討して編集というか、組み合わせたりする作業にかなりの時間が掛かりました。職業訓練に実際に当たっているのは常勤職員10名ほどですが、訓練自体はずっとお休みなくあるので、訓練が終わってからほぼ徹夜の時間が2週間ぐらいあったと思います。そこで時間を作って、資料はほとんどあったのですが、何に対してどの資料を付けて御説明ができるかというところに時間を取られたと思います。
○武石構成員 ありがとうございました。
○大嶋構成員 貴重なお話、ありがとうございました。お話いただいた中でプロセスの改善や、これまで言語化されていなかったノウハウを言語化できるなど様々なメリットがある一方で、今、御説明いただいたように負担も非常に大きいということでしたが、そうしたメリットの部分を維持する上で、ここは効率化しないほうがいい部分、ここは効率化したほうがいい作業というのがあって、そのバランスが大事かなと伺っていて思いました。このプロセスは認定制度の効果を維持する上で重要だと思われるプロセスがもしございましたら、是非、教えていただければと思います。佐藤様、武尾様のお二人に伺ってもよろしいでしょうか。
○佐藤執行役員 そうですね。認証をこれから自分が続けていくために必要だと思われるプロセスということで。
○大嶋構成員 そうです。より良いサービスを提供していくに当たって、この認証プロセスの中でも特に重要だったと思われる作業、プロセスを教えていただければと思います。
○佐藤執行役員 ありがとうございます。この規格というか、この認証自体がPDCAというところを一番重要としていまして、そこが一番かなと思います。実際に運営をしていると、結果がこうだったね、しようがないねで終わってしまうこともあるのですが、そこはなぜ駄目だったのかを検証しながら次にどうやって動くかというところは、やっているのですが、それを明確に言語化して、あとは報告からの指示という形で次のサイクルに移すところがかなり明確化されたと思っているので、そこが一番よかったかなと思っています。
○武尾研修センター長 よろしいですか。私どもでは、いろいろエビデンスをそろえるときに、実際に訓練につながっているところは、私どもの現場でより良く把握できているので、そこのところの資料であるとか、それがすごく大事だと思いますが、私どもは学校法人ですから財務的なところは学園本部のほうで全て把握しているので、その辺りのところですね。書類の中で財務や事業戦略といったところをそろえるときに、本部のほうから資料を取り寄せてこないといけないなど、実際、職業訓練に直面していないところの資料は少し手間取ったので、そこよりも訓練をやっているところの資料をたくさん見ていただけるのが有り難いなと思いました。
○今野座長 吉川さんも質問があると思いますが、実はもう1つ、今日、構成員の中原さんからプレゼンしていただくのでそれをしていただき、それも含めて御質問いただければと思います。中原さんに、民間訓練ガイドラインの基となったJEEDにおけるPDCAサイクル運用と、求職者支援訓練を通じた民間職業訓練の質の向上に関する取組について、お話いただきますので、それも材料にして議論したいと思います。よろしくお願いします。
○中原構成員 JEEDの中原でございます。よろしくお願いいたします。資料3-1になります。スライドの2ページから御説明させていただきます。
機構版職業訓練ガイドラインにつきましては、平成21年4月21日に制定されたものでございます。このガイドラインは長年にわたり、JEEDにおける職業訓練事業で蓄積したノウハウを体系化、明文化したものがこのガイドラインとなっています。
機構版ガイドラインは、この図に示すように4つの章で構成されていまして、第1章ではガイドライン策定の意義やガイドラインの位置づけ、基本理念などが書かれています。この章で、プロセス管理の基本ルールとしてPDCAサイクルを採用することとしています。2章では、適用範囲や用語の定義について記載しているところです。3章では、ここにも記載のとおり職業訓練サービス、4章では組織マネジメントが書かれていまして、PDCAサイクルによる訓練運営についてはこの3章、4章に記載されているような状況となっています。
続いて、次のスライドをご覧ください。ガイドラインの3章、4章に記載している項目が、具体的にPDCAサイクルのどこに該当するかを整理した図となっています。Planでは、職業訓練ニーズ等の明確化と職業訓練プログラム等の設定について記載しています。Doでは、職業訓練プログラム等の実施、職業訓練プログラム等のモニタリングというような形で実施の部分を記載しています。Checkでは、職業訓練サービスの評価が記載されています。Actは、見直し及び改善が該当しPDCAサイクルを回しているところです。
次のスライドをご覧ください。PDCAサイクルの各項目に対して、当機構の具体的な取組について少し御紹介させていただければと思います。Planでは職業訓練ニーズ等の明確化の項目がございます。その具体的な取組の1つとして、先ほど来、お話がありました人材ニーズ調査がありまして、当機構では都道府県内の中央団体へのヒアリングや訓練関係分野の事業所へのヒアリングを行っています。このほか、各都道府県労働局が開催する地域職業能力開発促進協議会に参画するなど、各地域の訓練ニーズの把握に務めている状況です。
次のページをご覧ください。Checkの部分の所になります。職業訓練サービスの評価という部分があります。この部分の結果を踏まえて、次の見直し及び改善を行っていくことになります。職業訓練サービスの評価の具体的な取組として、ここに記載されているとおりフォローアップ調査を実施しています。これは訓練受講者へのアンケート調査や就職先事業所へのヒアリング調査を実施しています。また、先ほどのニーズ調査やこのフォローアップ調査など、機構におけるPDCAサイクルの取組において使用する様式は全国で統一の様式を使って、調査結果の取りまとめ、分析について効果的、効率的に実施できるようにしている状況です。
次のページが、見直し及び改善になります。これは実際にフォローアップ調査などを踏まえて見直し及び改善をした事例となります。例えば見直し前の③番の所で言いますと、訓練修了者からの意見として、技術文書の書き方を知らないため、入職後苦労したとの意見があり、見直し後として、技術文書の作成方法について指導するカリキュラムを導入したり、入職後、スムーズに実際の仕事ができるように状況の改善を図るなど、様々な改善を図っている状況です。
次のスライドをご覧ください。監査の取組となります。監査の取組につきましては訓練コースの設定から実施、評価に至る業務プロセスについて、PDCAサイクルによる業務運営が有効に機能しているかを、業務プロセスの点検を行い確認している状況です。点検という行為を通して、機構が行う職業訓練サービスの信頼性と品質の維持・向上に繋げることを目的としています。点検の一定の客観性と質を確保するため、点検事項に関し、自ら業務を担当する者以外の者が行うとして、点検に必要な知識を有する者が行うこととしています。点検には訓練ごとに作成された業務プロセス点検表を使用して、施設長が重要であると考える項目を点検項目としています。しかしながら、業務プロセス点検表におけるリスクレベルが14以上の点検項目については、毎年、実施しています。リスクレベルが10以上、13以下の点検項目については、3年間の中で全て点検する形としています。なお、リスクレベルというのは、我々の定義の中では危険状態が発生する頻度、危険状態が発生するときに危害に至る可能性、危害の重大性の3つの評価点を合計したものとなっています。業務プロセス点検表の点検項目数は、令和4年度で資料の一番下段に記載しているとおりとなっています。
次のページです。これは離職者訓練で使っている業務プロセス点検表となります。PDCAの各段階の確認事項、確認のための具体的なエビデンスは何か、そして判定基準というものを定めています。もし判定がバツとなった場合に関しては改善措置の記入をして改善に務めることになっています。以上のように当機構ではPDCAサイクルにより継続的な改善を行い、職業訓練の品質の維持・向上に取り組んでいる状況です。これがガイドライン関係の御説明となります。
続いて、求職者支援訓練の認定及び実施状況の確認等について御報告させていただきます。スライドの2ページです。我々、JEEDでは表の右枠のとおり、民間教育訓練機関等の訓練カリキュラムが就職に資する内容になっているかどうかの審査・認定、適切に訓練がなされているか確認・指導・助言などを行っている状況となっています。
次のスライドをご覧ください。主な取組内容を①で記載しています。毎年度、適切に審査・認定業務に取り組んでいます。また、下段のとおり、社会のデジタル化に対応するようデジタル系訓練コースの設定促進に務めるなど、直近の社会情勢や雇用情勢を踏まえた対応や、民間教育訓練機関等の効果的な訓練申請を促進するために、各訓練分野の訓練カリキュラムや職業能力証明シートを盛り込んだ「カリキュラム作成ナビ」を、ホームページ上で公開しています。カリキュラム、訓練計画等の作成を支援する形で、制度に関する説明会を含め実施している状況です。
次のスライドをご覧ください。実施状況確認の実施等です。民間教育訓練機関等に対して、適切に訓練が実施されているか、受講者に対するアンケート結果に対して適切に対応しているか、就職支援体制が整備されて適切に対応しているか。このような項目について確認をしている状況になります。実施状況確認につきましては、各コース、月1回の実施状況確認を実施しています。適切に訓練が実施されているか等を確認しつつ、必要な指導を行っています。また、民間教育訓練機関等が抱える課題等に対して必要な助言等を併せて行っています。各コースの実施状況確認のうち、1回は抜き打ちの方式で確認を行っている状況です。令和6年度につきましては計1万4,230回の実施状況確認を行いました。加えて、そうした中で把握した多くの民間教育訓練機関等に共通する課題に、求職者支援訓練サポート講習という形で、機構のノウハウを展開して課題解決に務めるなどの取組を行っているところです。
最後に、参考になりますが、求職者支援訓練の全体スキームを掲載しています。関係機関が役割を分担して業務に当たっていまして、JEEDの役割は訓練の審査・認定、訓練実施に係る助言・指導となっています。以上です。
○今野座長 ありがとうございました。吉川さん、どうぞ。先ほどの件でも結構です。
○吉川構成員 私、ISOとかガイドライン作成のときに関わったので、先ほどの件のほうを先にやらせていただきます。結局、ISOの場合ですと、マネジメント企画とサービス企画の両面があったのが、2つ含まれているのが駄目になってしまったという経緯ですけれども、でも、それがないと両方とも運営できないですよね。それでガイドラインにしたときに、その盛り込みをしようと考えて作られたというのが、多分、見て分かると思います。結局、制度としては何が狙いだったかというと、ガイドラインとして示したようにに明文化してやることによって、例えば皆さんがお客さんに対するサービスの時間が早くできるようになったとか、誰でも対応できるから、結局、トータルでのパフォーマンスが良くなったとか、お客さんからのクレームが減ったとか。そういう結果論が見えてくる形で評価を期待しているのですけれども、そういうような実感というのは、ガイドラインを取った結果、あったのでしょうかというのを皆さんに聞きたいのです。
○佐藤執行役員 ありがとうございます。取ってみての実感というところでいくと、先ほどのお話とも被るのですが、マニュアルを整備して誰でもできるようになったところは大きいと思います。求職者支援訓練の運営業務はかなり数が多くて書類も多いですし、間違いなく運営することが必要になるのですが、そのエビデンスを整理して、こういうときはこの書類をという形で社内でも共有することができたので、その上で教えるときにも楽になりました。教えられる側も、困ったらこれを見ればいいというのが整備されて、お互いにとって時間の削減という意味ではよくなりましたし、事務担当が辞めなくなったというところもあるかなと思います。
○今野座長 武尾さん、何かありますか。
○武尾研修センター長 ほぼ同じですが、受講生にとって認定制度がどういきているかというところはちょっとまだ分かりかねます。実施している施設としては制度が整えられたというところで、先ほどのお話と同じでございます。
○今野座長 よろしいですか。それでは、どうぞ。
○黒澤構成員 ありがとうございます。お二人とJEEDの中原様にお伺いします。皆様の組織の中で、認定を受けたことによって人事管理に変化があったということですね。評価項目の中にきちんと評価しましょうということも書いてありました。文書化するというのは簡単だと思いますが、評価を実施するとなると根本的なところにも関わってくると思いますけれども、それでモチベーションがアップしたとか、そのモチベーションを高めるために工夫なり帰結があったのか、もしありましたら教えていただきたい。お願いします。○佐藤執行役員 ありがとうございます。弊社では人事の評価を行う際に面談を含めて本人に評価票を書かせてという形で、一般的な人事評価を行ってきたのですが、訓練の事務担当、また講師に当たる者に関しまして、この認定取得をきっかけにもう一度人事考課のやり方を整理し、今まではかなり抽象的で、管理者が事業を観察してというところと、あと生徒さんからの評価を中心に行っていたのですが、もう少し細分化してこういうことができる、こういうことができるというのを細かくした上での評価票を新たに作り直したところがございます。
それをやることによって、講師や事務担当のスタッフにおいても、自分はこういうことができて、こういうことができないというのを新たに確認し、その上で面談で管理者がフォローアップしてという形で回るようになったのと、その面談を経て社内の話でいきますと時給が上がったスタッフもいます。そういったところで評価が適切にされて、それが反映されることで社内が回るようになったと感じています。
○武尾研修センター長 私どもは学校ですので役職者は役職者でいますが、あと、教員は一律横に並んでいる形です。それでも担当決めのような形で、何に対して誰が責任を持つというところと、あと、とにかく受講生にいかに寄り添って指導するかというところに力を入れているところもありまして、職員の意識も変わってきました。職員はそれぞれ担当する教科の指導ができるだけでなく、受講生に対して、どのようにより良く寄り添っていくことが、この職業訓練として正しい運営につながるか。そういうところに意識が向いてきたところが国家資格のキャリアコンサルタントの勉強につながっていって、訓練の受講のときから一定期間ごとに受講生との面談はもちろんのこと、記録として受講生と職員側で自己確認という形で、今、生活がどのように変わってきたか、訓練を受けて意欲がどのように湧いてきたか、就職に向けての準備がどのようにできてきたかという記録をずっと取っているのです。そこをきちんとまとめ直すとか、意識が大分変わってきて、認定を受けた施設で正しい訓練を実施するというところで、意識レベルがすごく変わってきたように思います。
○黒澤構成員 大変貴重なお話、ありがとうございます。もう1つ、佐藤様と武尾様にお伺いしたいのですが、ニーズの把握というのがありますね。PDCAサイクルの中で修了生、在校中の方のフォローアップ等、アンケートは大変大事だと思いますが、ニーズ調査というのは、各学校がやらないといけないことになっているのですか。
○今野座長 そうですよね。
○佐藤執行役員 はい。
○黒澤構成員 それで、もちろん離島などはしようがないと思いますが、例えば首都圏だと統計的なニーズ調査でしたら、例えばJEEDがいわゆる製造業だけでなくいろいろな所を対象に行い、その情報を共有すればいいのではないかと感じたのですが、その辺りについてはどうかというのを中原さんも含めてお伺いしたいのと、もう1点は、一番最初に私が申し上げた点ですけれども、修了生というか履修者のデータというのを個別で皆様はお持ちであるかどうか、またそのデータにはどのような情報が収集されているのかを教えてください。例えばPDCDの一環としての訓練終了後の追跡調査で、就職先についてどこまで把握されていらっしゃるのかでしょうか。それが必要とされたら、例えばハローワークなりJEEDなりに御提出いただくことは可能なのかどうか。その辺りを教えていただければと思います。
○今野座長 申し訳ないですが、短めにお願いします。
○佐藤執行役員 まず、就職のニーズの把握については弊社で人材紹介なども行っていますので、そういった企業からの聞き取りをメインに行っています。そちらを機構で共有いただけれるのであれば非常に有り難いなと思っています。あとは利用者の情報の蓄積ですが、入校時、皆様に就職の希望のアンケートを取らせていただいています。前までの職歴、これから希望するお仕事だったりというところを細かく聞いて、あとは期間中、3回のキャリアコンサルティングと、修了後の後追いという形でお話を聞いて情報が蓄積されています。そちらは、もし何かの形で共有をということであれば、個人情報ですので共有化の許可を取った上でということになります。
○武尾研修センター長 ニーズの情報に関しましては委託元から、こういう科を設定してほしいという形でのお話は伺っていて、私どもでは経理、医療事務、介護、PC分野をやっていますので、その関連する会社や施設とは常に連絡を取り合っていますので、そこのところのニーズの把握には務めています。修了生の情報ですが、修了生に関しては一定期間、修了後3か月間の就職報告は上げさせていただいていますけれども、それ以後は個人情報に関われないことになるので3か月後までです。それ以後は、修了生はすごく学校にたくさんいらっしゃるので、個人的にいらっしゃった場合には、例えば介護初任者を取った方が介護福祉士が取れましたという報告に来てくださるとか、そういうこともありますが全員の把握というのは難しいと思います。
○今野座長 最後、中原さん、ニーズ調査をみんなで共有したらどうかですか。私は、経営からしたら一番重要なところなので共有できないと思っていますけど、どうぞ。
○中原構成員 JEEDで行っているニーズ調査につきましては、毎年、約3,400社ほど実施しています。そのうち、製造業、建設業等のものづくり分野がおおむね2,700社、これは全国で実施していまして、それ以外の分野が概ね700社となっています。ニーズ調査の実施は各施設の職業訓練指導員が中心になって行っていまして、これは非常に難しいところではあるのですが、ある程度、具体的な話を聞くためには専門分野での知識を持つことが重要になるのかなと考えています。ヒアリングをする際、事業所の方に必要なスキルを聞いたときに全く専門外の方が聞いても、具体的なニーズであるのか判断するのが非常に難しいところがあります。JEEDも全ての分野で専門家がいるわけではございませんので、何とも言えないかなと思っています。以上です。
○今野座長 時間なのですが、どうしますか。
○菅沼構成員 よろしいですか。
○今野座長 どうしようかと思って考えているのですが、では1分だけ。
○菅沼構成員 最後に、先ほどJEEDからPDCAサイクルの自己点検のお話があったのですが、こちらは、JEED内部の施設だけでなく、サービスガイドラインの民間訓練機関の審査に応用することが可能かどうか、お伺いできればと思っています。理由は2つありまして、1つ目が、適合事業所の認定制度については委託事業者の入替えがあって一貫性が出てこないのではないかという懸念があること、2点目が、通常は業界団体が審査を担うことが多いと思いますが、もし業界団体がいないのであれば公的機関が担ったほうがいいのではないかということ。その視点から御質問させていただきます。
○中原構成員 ちょっとなかなか答えにくいところではあるのですが、適用できるかどうかに関して言うと、活用できるのかなというふうには思います。大きく言うと4点あって、1点目が民間教育訓練サービスガイドラインの中で、関連文書の中に機構版のガイドラインの文書が挙げられていることが1点と、PDCAサイクルによる訓練運営をしており、ニーズ把握をして訓練カリキュラムを変更してという改善の取組の部分です。あと、我々、内部でのチェックをしているところも似ているのと、求職者支援訓練で言うと実施状況の確認や認定申請等をやりながら、ある一定の知見を有しているところからすると、そういうふうになるのかなと感じています。以上です。
○今野座長 まだ御質問があると思いますが、もう時間なので諦めてください。次回、もう少しゆっくり時間があったほうがいいですね。御検討ください。それでは、前回と今回でいろいろ御意見を頂きましたので、それを事務局で整理していただいて、その整理したものに基づいて、次回、議論したいと思っています。本日は時間をオーバーしましたけれども、これで終わりにしたいと思います。事務局にお返しします。
○横田政策企画室長 ありがとうございます。次回、頂いた御意見を踏まえて事務局で整理させていただいたものを提示させていただければと思います。今野座長、ありがとうございました。また皆様、貴重な御意見、ありがとうございました。次回の開催日程につきましては改めて調整させていただきます。なお、この後、「第1回 今後の人材開発政策の在り方に関する研究会」を開催いたします。オブザーバーやヒアリング対象の皆様、事務局の入れ替わりがありますのでしばらくお待ちください。ありがとうございました。