2024年9月12日 薬事審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和6年9月12日(木)18:30~

出席者

出席委員(17名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理 



欠席委員(4名)五十音順

行政機関出席者
  •  城克文  (医薬局長)
  •  佐藤大作 (大臣官房審議官)
  •  中井清人 (医薬局医薬品審査管理課長)
  •  野村由美子(医薬局医薬安全対策課長)
  •  鈴木洋史 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、「薬事審議会医薬品第二部会」を開催いたします。本日は、お忙しい中御参集いただきましてどうもありがとうございます。本会議はペーパーレスでの開催といたしますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点がありましたら、適宜事務局がサポートいたしますので、よろしくお願いします。
 本日の会議における委員の御出席についてですが、亀田委員、登美委員、南委員、山口委員より御欠席との御連絡を頂いております。このほか、大曲委員からは、遅れての御参加と伺っております。また、川上委員がまだ参加されておりませんが、後ほど参加されると思います。
 本日は、現在のところ、当部会員数21名のうち15名の委員がこの会議に御参加いただいておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。
 続きまして、薬事審議会規程第11条への適合状況については、全ての委員の皆様より、適合している旨を御申告いただいておりますので御報告させていただきます。先生方におかれましては、会議開催の都度、御協力を賜り、誠にありがとうございます。それでは、清田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○清田部会長 本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、委員からの申し出状況について御報告をお願いいたします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。あらかじめお送りさせていただいた資料No.1~6を用いてますので、お手元に御用意ください。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは、資料No.6に記載のとおりです。これらに関する委員からの申し出状況を踏まえた薬事審議会審議参加規程第5条、第8条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは次のとおりです。
 議題1、「トロデルビ」は、退室委員は安藤委員、浦野委員、大隈委員、川上委員、山本昇委員、議決に参加しない委員は、中野委員です。
 また、議題2についても、各委員より寄附金・契約金の受取りの申告を頂いておりますが、本議題は薬事審議会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの御説明で、特段の御意見はございますか。よろしいですか。
 よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
 本日の非公開議題は、審議事項2議題、報告事項1議題となっております。それでは、審議事項の議題に移ります。大隈委員、川上委員におかれましては、利益相反のお申し出に基づきまして、そして、安藤委員、山本昇委員におかれましては、薬事審議会審議参加規程第5条に基づきまして、また、浦野委員におかれましては、薬事審議会審議参加規程第8条に基づきまして、議題1の審議の間、会議から御退室して御待機いただくことといたします。安藤委員、浦野委員、大隈委員、川上委員、山本昇委員は御退室をお願いいたします。
──安藤委員、浦野委員、大隈委員、川上委員、山本昇委員 退室──
○清田部会長 それでは、議題1について機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 審議事項第1、資料No.1、医薬品トロデルビ点滴静注用200mgの製造販売承認の可否等について説明します。
 本剤の有効成分であるサシツズマブ ゴビテカン(遺伝子組換え)は、TROP-2に対するIgG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体とトポイソメラーゼⅠ阻害作用を有するカンプトテシン誘導体であるSN-38をペプチドリンカーを介して結合させた抗体薬物複合体です。本剤は、腫瘍細胞の細胞膜上に発現するTROP-2に結合し、細胞内に取り込まれた後にリンカーが加水分解され、遊離したSN-38がDNA合成を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。
 今般、本剤は、「全身療法歴のあるホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」を効能・効果として承認申請されました。
 令和6年5月時点において、本剤は米国、EUを含む48の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議には、10人の専門委員に御参加いただきました。詳細は、資料No.5を御覧ください。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。審査報告書33ページを御覧ください。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、化学療法歴のあるホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌患者を対象とした海外第III相試験であるASCENT試験の成績が提出されました。
 有効性については、審査報告書38ページの表32及び図2を御覧ください。ASCENT試験において、主要評価項目とされた脳転移を有しない集団における無増悪生存期間(PFS)について、医師選択治療群に対する本剤群の優越性が検証されました。また、審査報告書41~42ページにお示しておりますが、検定手順に従って実施されたITT集団における全生存期間(OS)についても、医師選択治療群に対する本剤群の統計学的に有意な延長が認められました。以上より、化学療法歴のあるホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌患者に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書45ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時に特に注意すべき有害事象は、骨髄抑制、下痢、infusion reaction、感染症及び間質性肺疾患(ILD)であり、これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による患者の観察、有害事象の管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。ただし、製造販売後には、使用実態下における安全性及びG-CSF製剤の予防投与の有無別の骨髄抑制の発現状況の検討を目的とした製造販売後調査の実施が必要であると判断しています。
 以上のような審査の結果、機構は、「化学療法歴のあるホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。
 本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年とすることが適当であり、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事審議会には報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問等ありましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。特にないようですので、よろしければ議決に入りたいと思います。なお、中野委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいですか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されている安藤委員、浦野委員、大隈委員、川上委員、山本昇委員をお呼びください。
──安藤委員、浦野委員、大隈委員、川上委員、山本昇委員 入室──
○清田部会長 続きまして、議題2に移ります。議題2につきまして、事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 議題2、生物学的製剤基準の一部改正について御説明申し上げます。資料No.2を御覧ください。こちらにファイルが三つありますが、その中の生物学的製剤基準の一部を改正する件、こちらが正式の資料になっております。2ページに今回の改正内容をお示ししております。まず、「貯法及び有効期間」の項を追加して、その上で、一旦有効期間を過ぎたロットについて、改めて有効期間を設定するための規定を設けるという形の改正になります。分かりやすいように、参考資料2のファイルとして、「乾燥細胞培養痘そうワクチン」の基準の全文を載せております。こちらにあるように、1ページの後半の所から、小分け製品の試験ということで設定している3.4.1は含湿度試験、3.4.3の力価試験、もう一つが3.4.4の安定性試験、この三つの試験を行うことによって、これに適合することを確認した場合には、別途必要に応じて、そのロットの有効期間を改めて設定することができるという形の規定を設ける改正を検討しております。
 現在、痘そうワクチンの有効期間は、-20℃の保管で10年となっておりますが、10年以上、国家備蓄しているロットについて、これらの試験を実施して品質を確認することによって、改めて有効期間を設定した上で、その期間内に出荷して使用することができるようにすると、そういう改正を行うこととなります。
 元来、ワクチニアウイルス、ポックスウイルスといったものは安定性が非常に高く、20年以上冷凍保存していても力価がほとんど落ちないことは分かっているのですが、痘そうワクチンに関するWHOのTechnical Report Seriesにおいても、同様の長期備蓄ワクチンのリテストについて言及されています。それについては、参考資料マル1に、WHOのTechnical Report Seriesを入れております。このTRSの60ページに、そのリテストの規定が記載されております。60ページのリテストの規定の中に、「The retesting should involve the accelerated degradation test given in PartA,section A.5.4.」と記載されております。このAの5.4の試験が、いわゆる生物基で言いますと、安定性試験というものです。こういった規定に基づきまして、今回の生物基の改正では、3.4.4の安定性試験に加えて、力価試験と含湿度試験を実施することにしております。力価試験はワクチンにとって最も重要な試験であること。また、含湿度試験については、バイアルのゴム栓の劣化による密封性の影響を担保する試験として項目を設定しております。こういう形で今回、生物基の改正を検討しておりますので、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。この件について、委員の先生方から御質問等ありましたら承りますが、いかがですか。石井先生から、御質問があるようです。
○石井委員 WHOの資料を確認させていただきました。WHOの方では、規格及び試験方法などから特定の試験を挙げているのではなく、全部に適合した場合に有効期間の延長が可能となっていると思います。今回の御提案では、無菌試験は実施しないということですが、含湿度試験に関連してゴム栓の劣化の懸念があるということでしたので、無菌試験がなくても大丈夫かという点について御説明をお願いできますでしょうか。
○事務局 石井先生、ありがとうございます。WHOのTRSでは、まず全ての規格試験を行うと、最初に設定した期間と同じ期間の有効期間をもう一度設定することができるという話と、最低限リテストを行う場合には、安定性試験を含めることという形の設定になっております。今回、我々の方で緊急にリテストを行うことを考えた際に、一番重要な力価試験と安定性試験を行うこと。もう一点は、無菌試験も検討はさせていただいたのですが、一旦、バイアル瓶に分注して製剤化をしたときに、無菌性が担保されていれば、あとは容器の密封性が確保されていれば、その点については大丈夫であろうということで、最低限必要な項目として力価試験と含湿度試験と安定性試験という形で今回は設定させていただいております。
○清田部会長 石井先生、いかがですか。
○石井委員 無菌の場合に、その時点でのテストが合格だった場合に、付与される追加の有効期間はどの程度になりますか。
○事務局 こちらについては、その試験の結果によりますが、あくまで、この規定というのは、備蓄品を出荷して使うという形の前提で行われるものですので、それを使うに当たって必要な期間が設定されることになるのではないかと考えております。
○清田部会長 石井先生、よろしいですか。
○石井委員 実時間、実保存が基本ではあると思いますが、安定性は、リテストのときに合格しても、その後に出荷するときに合格かどうかはなかなか予測は難しいかと思いましてお伺いしました。今回の提案では、リテストを可能とするものの、そのリテストによって決まる有効期間までは規定せず、状況に応じて定めるということになりますでしょうか。
○事務局 状況によって設定することにはなると考えております。
○石井委員 安定性のモニタリングは行われますか。
○事務局 痘そうワクチンについては、これまでも10年の安定性を研究班で確認し、そこから定期的に備蓄されているロットの品質を確認しておりますので、そういった結果を総合的に踏まえて、ある時点で確認した結果から、一定程度、この期間は使っても大丈夫であろうというところを設定して、それをもとに出荷、国の備蓄品を外に出すという形になります。
○石井委員 リテスト後の安定性モニタリングは続けるということでよろしいですか。
○事務局 それも定期的に確認することになるかと思います。
○石井委員 分かりました。ありがとうございました。
○清田部会長 松下先生から御質問があります。
○松下委員 そちらの方は余り分からないのですが、今、ここに出てきた背景は、世界的に痘そうワクチンの需要が急増することが予想されているからですか。
○事務局 現在、WHOの方で、エムポックス対策の中で、日本のLC16の供与というか、そこが期待されているところで、そういった中で我々もできることを進める必要があるということです。
○清田部会長 よろしいですか。
○松下委員 そうすると、これは輸出されることも念頭に置いているということですね。
○清田部会長 そういうことになりますね。
○松下委員 現時点では、これは10年が有効期限なのですね。
○事務局 はい、2年前に4年から10年に、有効期間を延長しております。
○松下委員 そうすると、10年以上たっているものもあるのですか。
○事務局 それは、なかなか申し上げにくい事項ですが、国、政府の意向で長期間備蓄しているところです。
○松下委員 そこまで長く備蓄しているもので、ゴム栓の劣化とか、普通はあると思いますが、実際は大丈夫ですか。
○事務局 そういった懸念がありましたので、研究班の中でゴム栓の劣化も含めて、安定性を試験して、最長で、今のところ製造から10数年までのデータはありました。それをもとに、2年前に有効期間を10年に延ばしていますが、その時点では、特に問題はなかったという状況です。
○松下委員 ほかにも質問はありますが、一応、分かりました。ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに御質問はありますか。よろしいですか。それでは、議決に入りたいと思います。本議題について改正を可としてよろしいですか。
 御異議がないようですので、改正を可とし、薬事審議会に報告させていただきます。
 続きまして、報告事項の議題に移ります。報告事項、議題1について事務局から御説明をお願いします。
○事務局 報告事項、議題1について御説明いたします。販売名は「コスタイベ筋注用」、一般名が「コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン」になります。申請者は「Meiji Seikaファルマ株式会社」です。本剤は昨年11月に、起源株対応のワクチンとして承認されておりますが、この度、オミクロン株JN.1系統に対応したワクチンを製造可能とするための一変申請が行われたものになります。
 ワクチン株を変更した場合の有効性及び安全性プロファイルへの影響をまず確認しております。これは起源株とオミクロン株のBA.4-5系統の2価ワクチンを用いて、コミナティ筋注を対照薬として臨床試験を実施しております。そちらの結果は審査報告書の10~11ページ辺りに示されております。
 有効性については、対照薬としたコミナティに対して、中和抗体価の非劣性が検証されて、安全性についても、対照薬のコミナティ筋注に比べて有害事象の種類や、発現頻度等に特段の違いは認められないということが確認されております。
 また、本剤の最初に実施されている1価の起源株ワクチンの有効性、安全性プロファイルとも特に違いがないということが確認されております。こういったところから、この「コスタイベ筋注用」についても、先行する他のコロナワクチンと同様に、株を変更したとしても有効性、安全性プロファイルに大きな違いは起きないということを確認した上で、今回、JN.1対応とするために、非臨床試験においてマウスを用いた免疫原性試験が行われております。この中で、現在、流行しているKP.3等を含めて、オミクロン株に対する幅広い中和抗体価の上昇が確認されたという結果をもちまして、今回、コスタイベ筋注用についても、株変更を行って、JN.1対応ワクチンを製造することができるという形の一変申請に対して、承認して差し支えないと判断しております。説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問がありましたら承りますが、いかがですか。よろしいですか。
 では、ないようですので、この報告事項については御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はありますか。
○事務局 次回の部会は令和6年10月30日午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。どうもお疲れさまでした。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬局

医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)