第16回労働基準関係法制研究会 議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

令和6年12月24日(火) 9:00~11:00

場所

厚生労働省 専用第15会議室

議題

労働基準関係法制について

議事

議事内容
○荒木座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第16回「労働基準関係法制研究会」を開催いたします。
 構成員の先生方におかれましては、御多忙のところ御参加いただき、ありがとうございます。
 本日の研究会につきましても会場参加とオンライン参加の双方の形式で実施させていただきます。
 本日は、石﨑先生、島田先生、首藤先生、水島先生がオンラインでの御出席ということでございます。
 カメラ撮りはここまでということでお願いいたします。
(カメラ退室)
○荒木座長 それでは議事に入ります。
 前回、労働基準関係法制研究会報告書の案について議論を行い、その後も先生方から様々な御意見をお伝えいただいたところです。先生方の御意見を踏まえて、事務局において報告書をさらにブラッシュアップしていただきましたので、本日はこれを基に議論したいと考えております。
 まず、資料について事務局から説明をお願いいたします。
○労働条件確保改善対策室長 事務局でございます。お手元に資料を配付させていただいております。
 先日、12月10日の研究会でいただきました御意見、そして、その後、先生方に御相談している中でいただきました御意見を踏まえて修正をした報告書案でございます。修正した箇所について、かいつまんで御説明を申し上げます。
 3ページの冒頭、「労働基準関係法制の意義」のところでございます。まず、この研究会において労働基準関係法制としてどのようなものを念頭に置くかという部分につきまして、労働基準関係法制にどういうものが含まれるかというのを書いておりますが、その中で、後にも出てきます労働保護法というもの、このグループが労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法等々ということで、その定義を追記しております。これに伴いまして、初めの段落のところで、やや重複するとか、分かりにくくなっている部分がございまして、そこの部分については削除いたしております。
 3ページ下の部分でございますが「また」の段落の3行目で「自発的な法目的の実現の促進を図る手法」ということで、ここは用語の整理をさせていただいております。
 続いて4ページの冒頭、これまでの経緯の部分でございますが、1947年の労働基準法制定当時の記載につきまして、ここの部分で重要なのは就業者に占める雇用労働者の割合が今より高くなく4割程度であったということでございましたので、その数字について追記させていただき、その関係で周辺の用語の整理を行わせていただいております。
 少し飛びまして、7ページの下の脚注の部分でございますが、労働者以外の方に対する保護に関する部分を書かせていただいているところです。対象者の範囲ですとか、法律の名前、それから、今回2024年に対象になりました特定フリーランス事業の対象者となる方の定義につきまして、正しく書き直すということで加筆修正をしております。
 続いて8ページの真ん中、2の「加えて」の段落のところですが、労働条件という表現が重複しておりましたので、そこを修正しております。
 それから、8ページの一番下のところは用語の整理をさせていただいております。
 9ページ、引き続いて用語の整理をした上で、「労働時間法制の具体的課題」の部分でございますが、こちらの部分にも、先述はしておりますけれども、働き方改革関連法附則第12条でどのようなことが書かれているか、それを受けて本研究会でこのような検討をすることにしたという文脈で加筆修正をさせていただいております。
 続いて10ページ、労働者性の冒頭の部分ですけれども、労働契約を交わしていない方、労働契約という名称でない契約の方でも実態として労働者に当たれば労働者であるということに関する説明の部分で、どのような契約の下で何をしているのかという部分の用語に関してやや揺れがありましたので、先生方の御指摘もございまして修正させていただいているところでございます。
 下から8行目の部分でございますが、原案では労働者性の実施判断の予測可能性を高めるために、昭和60年労働基準法研究会報告がなされたと書かせていただいておりましたけれども、ここの部分について内容は共通するものでございますが、当時の報告書にどのような表現で書かれていたのかということを確認した上で、文言の修正を行っております。
 11ページに関してはギグワーカーやプラットフォームワーカーといった部分に関する用語の整理をさせていただいた上で、下に脚注をつけさせていただいているという修正を加えております。
 12ページも用語の整理を全体的に行って修正をしております。
 13ページも同様でございます。
 14ページでございますが、家事使用人の最後の段落のところに関しまして、冒頭に2行ほど説明書きを書いていたのですが、それがこれ以前の段落に書いていることを要約した部分となっておりました。繰り返しになっているという御指摘もございましたので、最終段落で「こうしたことを踏まえ」ということで、ざっくり受けるような形で修正をしております。
 15ページの下の①、②、③、④、16ページに続く箇条書きの部分でございますが、その後ろの部分で、現行案では最後に「なお」ということで労働安全衛生法、最低賃金法ということを書かせていただいています。これはもともと前にございましたが、この「なお」に関しては箇条書きの部分も受けているということで場所を移動しております。
 17ページは用語の整理をさせていただいております。
 18ページも同様でございます。
 19ページの真ん中の「その際」で始まる段落のところでございますが、この部分、12月10日の案におきましては3行ほど説明を書いておりましたが、この説明がその前の段落で書かれていることとほぼ同内容ではないかということで削除し、「その際」と受けたものとなっております。
 また、下の「加えて」の段落のところですが、ここは表現の順番を入れ替えまして、より読みやすくするといった修正を加えております。
 20ページの(2)の労働組合による労使コミュニケーションの下から2つ目の段落の真ん中から「過半数労働組合、過半数代表者のいずれが過半数代表の役割を果たす場合においても」という部分でございますが、ここに関しても12月10日のものと比較をいたしまして、表現の順番を入れ替えまして読みやすくするという修正を加えております。また、そのほか幾つかの用語の整理をさせていただいたものとなっております。
 20ページの「(3)「過半数代表者」の適正選出と基盤強化について」、冒頭の箇条書きの②のところでございます。前回案では「積極的な立候補が得られないことが多いこと」で止まっていたものでございますけれども、立候補が得られないことのほかに、立候補された方がいて選出をされたとしても役割を適切に果たせているかどうかというような課題があるという御指摘をいただきまして、その部分について追記をしたものでございます。このほか幾つか用語の整理をさせていただきました。
 22ページも用語の整理をしております。
 23ページの(3)-2の部分、箇条書きが終わった次の「過半数代表者が」の段落でございますが、ここの部分に関して、原案では事業場の働き方に関する情報は過半数代表者が役割を全うするために必要ということを書いておりましたけれども、ここに事業場の情報だけでなく、そもそも法定基準がどういった趣旨であるかということも御理解していただいた上で議論をしていただくことが必要ではないかという御指摘をいただきましたので、その旨、修正をさせていただいております。
 24ページに関して(3)-3の相談支援の部分に関しまして、労働組合による相談支援も考えられるのではないかということで「労働組合等」と追記をさせていただいております。それに伴いまして、前後のつながりがよくなるように表現等々を修正させていただいております。
 少し飛びまして27ページの上から3つ目の段落のところです。36協定をはじめとした労使協定に関する部分で、ここに関して、もともと研究会の御議論の中で事業場単位より企業単位で検討することがふさわしい場合もあるというような御議論があったと、しかしながら、そういった場合も考えられるとはいえ、事業場ごとの働き方の実態が異なる場合というのは多いので、この実態を適切に反映するため、事業場単位で原則はやるべきだと、こういう文脈の流れであったものが少し抜けている部分があるということで、加筆修正をさせていただきました。
 少し飛びまして29ページの下から3つ目の「将来的な」の段落の部分でございますが、これはもともとの案ですと「より深い研究が必要となる」というのが2か所出てくるような形となっておりました。ですので、中身が分かりづらいということで、前の部分の「諸外国の例を見ても、国によってとっている方向は異なっていることから」の次の部分に「労使関係の実態も踏まえたより包括的・多角的な」ということで、「深い研究」の内容について記載をさせていただいております。
 30ページは用語の整理をさせていただいております。
 続いて31ページ、まず、上から2つ目の「なお」の段落のところでございますが、もともとの案文では「免罰効等を有するものであり、労働条件を定めるものではない」という書き方をしておりましたけれども、ここの部分に関して教科書等々も参考に、より正確な表現をしたほうがいいのではないかという御指摘をいただきまして、「免罰効等」の「等」は強行性解除効であるということ、それから、労働契約上の労働条件や労働義務を設定するものではないということ、これについて詳述させていただいたものとなっております。
 下の部分に関しては、労働者の分断が進んでしまう可能性もあるというような言い方ではなく、前向きな言い方でということで、これからの時代について、長時間の時間外労働を前提としない働き方が、通常の働き方とされる社会としていくことが重要であるというように表現を適正に修正するという御指示をいただきましたので、修正したものでございます。
 32ページは多少の用語の整理を加えたのみでございます。
 33ページ、本日の案では最後の段落の「加えて、管理職が」という「管理職」の部分でございますけれども、これはもともと労働者個人の段落より前に入っていたものでございますが、前回の御議論の中で、労働者個人に対する情報開示が先で、管理職に対する情報共有が後ろのほうがいいのではないかという御指摘をいただきましたので順番を入れ替えております。
 34ページ、前回かなり御議論いただきました「テレワーク等の柔軟な働き方」の部分でございます。ここに関しまして、まず②の「緩やかな時間管理の中でテレワークを行い」云々の最後の部分でございます。②の最後のところで「実効的な健康確保措置を設けた上で、テレワーク時の新しいみなし労働時間制を設けることが考えられるか」ということで、ここは表現を適正化したものでございます。
 また、後ろの部分でございますが「新たなみなし労働時間制」ということで「新たな」という表現を足しております。これは現行のみなし労働時間制ではなく、ここでの議論は新しくテレワークのときに使用できるものについての議論をしたということで、「新たな」というものを追記させていただきました。
 それから、35ページに移るところのフレックスタイム制の改善でございます。まず、冒頭のところですが、1日の勤務の中でも労働時間と家事・育児の労働以外の時間が混在しがちということで、これはもともと「近接しており」と書いていたのですが、混ざり合ってまだらになっているということで、このように表現を変えさせていただいております。
 36ページ、「テレワークのみなし労働時間制」についての部分でございます。ここに関しては、まず、「一方で」の段落のところでございますけれども、もともとの案では、実労働時間管理が求められる以上、自宅内での就労に対する過度の監視や一時的な中抜け時間のためにも紛争が生じたりすることがあるというような書きぶりだったわけですが、実労働時間管理そのものが問題であるというよりは、実労働時間管理を理由として使用者が監視をしてしまったりですとか、そういった紛争が生じるというような懸念があるので、その部分を正確に書くということで加筆修正をさせていただいております。
 その次の「こうしたことから」の段落に関しましても、用語の整理をしつつ、実効的な健康確保措置というのが、仮にみなし労働時間制を入れるということであれば、必要なのだということを詳述させていただいたものとなっております。
 その下の箇条書きの部分の2つ目のポツのところですけれども、健康管理時間の把握については客観的なことが必要だということで、表現を追加させていただいているような修正をさせていただいております。
 それから、ポツが並んでいる3つ目のポツ、4つ目のポツのところでございますけれども、ここに関しましては、前回の記載でありました、みなし労働時間制を導入するに当たってフレックスタイム制を前提とするという部分の表現につきまして、今の4つ目のポツを追記したものでございます。条件設定の仕組みについて、本人同意の撤回の自由の実効性の検証も必要ではないかというようなお話をいただきましたので、そこを追記させていただいております。
 その次のポツのところにつきまして「新たなみなし労働時間制を適用したとしても」ということで、その場合の労働時間の把握や管理の在り方を具体的に検討することも必要ではないかという部分を追記させていただいております。
 その後ろの部分に関しましても、テレワークという言葉と在宅勤務という言葉が少し揺れておりましたので、在宅勤務という言葉に統一したということ、あと、健康管理時間の把握をめぐる課題ですとか、労働時間の長さや時間帯、それから、労働時間の実態といったようなものの管理が必要であるというような部分、それから、最後の部分で労使コミュニケーションの実態を把握した上で、みなし労働時間制の下での実効的な健康把握の在り方の検討が必要という部分、こういったところについて先生方と御相談し、追記・修正をさせていただいたものでございます。ここの部分に関してはかなり様々な修正が入りましたので、前回の案と少し見比べていただくことが必要かと思っております。
 続いて37ページの「(4)法定労働時間週44時間の特例措置」のところですが、ここは下の脚注の部分を含めての修正でございます。下の脚注のところにデータを書いておりますが、12月10日のときの案では「「35時間超40時間以下」が84%」というところのみ書いておりまして、35時間以下の3.2%が抜けているという御指摘をいただきました。これを踏まえまして、足すと87.2%ということで、数字を正確にということで(4)の本文の部分に関しても、もともと8割以上と書いていた部分を、87.2%と数字を正確に書く修正をさせていただきました。
 続いて37ページの「(5)実労働時間規制が適用されない労働者に対する措置」ということで、最初の段落の中ほどでございます。「一方で、管理監督者等については」の後ろで、もともと労働基準法制定当時から特別な健康・福祉確保措置は設けられていないことを書いておりましたが、労働基準法はそうであるけれども、労働安全衛生法に関しては労働時間の状況把握が義務化され、長時間労働者への医師による面接指導の対象とされているのではないかという御指摘をいただきまして、そこの前の部分の「一方で」の次のところにその旨を追記させていただいております。
 続きまして38ページ、「労働からの解放に関する規制」の最初の段落の最後の部分でございます。解放規制の中に勤務間インターバル制度もこれに該当するということで、その旨を追記させていただいております。
 少し飛びまして、その間は用語の整理を多少しているというものでございます。
 勤務間インターバル制度のところでございますが、本文ではなく、42ページの下の脚注の部分でございます。脚注の25番の部分で勤務間インターバル制度に関する諸外国での議論について触れている部分でございますが、論文の引用などが分かりづらかったということで、ここに関しましては、労働政策研究・研修機構におけるこの文章において説明されている内容はこうですということが分かるように修正をさせていただいております。
 続いて43ページ、「つながらない権利」でございます。冒頭のところの表現が少しこなれていない、日本語として正しくないのではないかという部分がございましたので、その部分を削除し、修正させていただいているものでございます。内容的に変更はございません。
 少し飛びまして、48~49ページの副業・兼業の割増賃金の部分でございます。48ページの2つ目の「この取扱いについては」の段落のところでございますけれども、もともとの文案では制度の運用が複雑で企業側に重い負担が求められるものになっているというようなことを書いていたところでございますが、企業の負担ということだけではなく、この制度の運用が日々求められることによって、結局のところ、雇用型での副業・兼業が難しくなっていたり、あるいは実際に副業・兼業されている方が割増賃金の通算の話を申告しなければならないということで、それがなかなか申告できずに、申告しない状態で副業・兼業を行う要因にもなっているのではないかという御指摘があったということで、その部分を追記させていただいたものでございます。
 その次の「なお」の段落でございますが、ここはもともとフランス、ドイツ、イギリスでと書かせていただいておりましたが、書籍等々を確認いたしまして、欧州諸国の半数以上の国でも実労働時間の通算を行う仕組みとなっているものの、その中でもフランス、ドイツ、オランダ、イギリス等では副業・兼業を行う場合の割増賃金の支払いについて通算を行う仕組みになっていないという表現に正確化させていただいたものでございます。
 副業・兼業の割増賃金の最後の部分でございます。「具体的には」の箇条書きの後ろでございますが、「なお」というところで、副業・兼業先が非雇用の場合であっても、健康確保の観点から、本業先の企業が就業時間や疲労度に応じて何らかの配慮を行うことも期待されるといった御意見をいただきましたので、そこを追記したということです。
 それから、副業・兼業を行う労働者自身の健康管理に対するリテラシーも期待されるものであるという御意見がございましたので、追記をさせていただいたものでございます。
 雑駁ではございましたが、今回修正した点については以上でございます。よろしくお願いいたします。
○荒木座長 ありがとうございました。
 まず、前回の報告書案から変更された箇所などのうち、最初に先生方に御確認いただきたい点が3点ほどございます。それについて御議論いただいた後に、報告書の全体について御意見を伺うという形で進めたいと思います。
 この場で確認・議論いただきたい点の第1点ですけれども、3ページの「労働基準関係法制の意義」の部分です。ここでは本報告書の労働基準関係法制とは何を念頭に置いているのかということを確認しております。また、報告書の中で何度か出てくる労働保護法という表現がありますので、その意味についても改めて記述を加えたところです。
 前回の案では、労働基準関係法制の説明が労働基準法を中心とする労働保護法の説明になっていたのですけれども、この研究会の前の今野先生を座長とする「新しい時代の働き方に関する研究会」で、いわゆる労働基準法制、労働保護法に限定することなく労働契約法も視野に検討を行うべきとされまして、そこで本研究会も労働保護法のほかに労働契約法も対象とすることとし、さらにはワークライフバランス法制など、関係する法規制は狭い意味での労働基準法制に留まらないことから、関連する法規制は幅広く視野に入れて検討することとしたところです。
 また、いわゆるハードローによる規制のほかに、ガイドラインなどのソフトローや市場原理の活用といった手法についても所期の目的を達成するためには有効ですので、これも考慮に入れながら検討するということでした。
 そうしたことを確認するということで、3ページの最初の「労働基準関係法制の意義」のところは整理させていただいたところですが、このような内容でよろしいかどうか、今一度御確認をいただければというのが1点目でございます。
 ちなみに第2点は休憩に関するところの39ページの記載、それから、第3点は副業・兼業の割増賃金についてです。
 まず、第1点の3ページのところから御確認をお願いしたいと思います。特段問題のない表現になっているということであれば、御確認いただいたということになりますがいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 先生方が頷いておられますので、この点は問題ないということにさせていただきます。
 第2点は表現ぶりになるかもしれません。今日配付されているもので言いますと、39ページの下から3段落目の「また」というところで一斉休憩の議論がなされております。これまで休憩についての書きぶりは、こういった問題があるということについて、ほかの箇所では「研究会としてはこう考えるべきだ」という記載があるのですけれども、この一斉休憩については「検討することが考えられる」という結論になっておりますので、少し読みづらい気もいたします。
 そこで、休憩の一斉付与の原則は工場労働を前提としたものであり、ホワイトカラー労働者の増加や働き方の多様化を踏まえると、休憩の一斉付与の原則を見直すべきかについても議論となった。しかし、実効的な休憩の確保の観点も踏まえると、労働基準法34条第2項の原則を直ちに見直すべきとの結論には至らなかったというのが、この研究会の議論の内容だったのではないかと思います。もし、御異論がなければ、そういうことで問題が何か、それについて研究会でどう考えたのかということを正確に書くのがよろしいかと思いましたけれども、この点はいかがでしょうか。
 水町先生、どうぞ。
○水町構成員 確認です。配付されているものの文言を、座長が今おっしゃったように修正する提案がなされたということですね。何ページの何行目から何行目にそれを入れて、どこを削除する、しないというところをもうちょっと正確に教えていただけますか。
○荒木座長 39ページの下から3段落目の「また」という休憩の一斉付与、そこです。そこの最初の文章に、「また」は恐らく取ることになると思いますけれども、「休憩の一斉付与の原則は工場労働を前提としたものであり、ホワイトカラー労働者の増加や働き方の多様化等を踏まえると、休憩の一斉付与」までは現状どおりで、その後の「休憩の一斉付与の原則を見直すべきかについても議論となった。しかし、実効的な休憩確保の観点も踏まえると、労働基準法34条第2項の原則を直ちに見直すべきとの結論には至らなかった。」というように修正してはいかがでしょうかという提案です。
 つまり、ほかのところは、「こういったことが問題として考えられる」といって、結論がそれぞれ書いてあるのですが、ここだけは「必要かを検討することが考えられる」といって、では、どう検討したのかが書かれていないと、宙ぶらりんのようなことになります。議論の内容としては、今のようなことだったのではないかということで、今提案をさせていただいたところですが、よろしゅうございましょうか。
それでは、特段御異論がないということで、そのように対応したいと思います。
 それから、3点目は48ページの「(2)副業・兼業の場合の割増賃金」に関する現状の弊害などに関する記載が前回から改められているところです。これは委員の先生方からいただいた御意見を基にこのような記載としてまとめたところですけれど、先ほど事務局からありましたとおり、少し修正が込み入っておりますので、御確認いただき、このような修正でよいかどうか、この場でも議論し、確認したいところでございます。これが3点目になります。
 先生方から御提案いただいた内容をまとめると、こういうことになるのではということで、これでもよろしいかと考えているところですけれども、いかがでしょうか。
 山川先生、どうぞ。
○山川構成員 内容には異存ございません。「受入れ」という言葉が出てまいりまして、48ページの(2)の2段落目、下から3行目からですが「雇用型の副業・兼業の許可や受入れを難しくしていたり」という部分の「受入れ」です。この次の次の段落を見ると、要は他社の労働者の受入れという趣旨かと思いますけれども、前に書いてありますが、単に自社の労働者が雇用、兼業をすることを許可しないというような意味での受入れと誤解されるかもしれませんので、下に合わせると、「雇用型の副業・兼業の許可や、他社の労働者の受入れ」とか、あるいは、「副業・兼業となる他社の労働者の受入れ」というほうが、受入れの趣旨が明確になるかと思いました。そういう趣旨であるとするならば、そういう表現上の問題です。
 もう1点、同じ段落で、「労働者が企業に申告せずに副業・兼業を行う要因になったりしているのではないか」という点です。これだけが要因とも取られかねないのですが、過度に制限的な就業規則の規定なども要因になるかもしれませんので、「要因の一つ」くらいにしてもいいのかなと思いました。
 以上です。
○荒木座長 ありがとうございました。
 安藤先生、どうぞ。
○安藤構成員 今の山川先生の御発言を聞いていて思ったところなのですが、先生の御指摘された「このことが」という3行分のところは、主語が企業側の話だけになっているのです。副業や兼業を希望する労働者の希望がかなえられにくくなっているとか、何か労働者の視点からの書きぶりも加えることができるのだったら、そのほうが適切なのかなと少し感じました。
 以上です。
○荒木座長 ありがとうございます。
 山川先生の御指摘の点はそのとおりでありまして、雇用型の副業・兼業を許可する、これは今本業で雇っている企業が副業・兼業についての許可をしないという話の問題、それから、受入れというのは副業・兼業として働きたい労働者を雇うほうの受入れの話ですので、そういう趣旨で書かれていますけれども、これを分かりやすい表現にしたいと思います。
 それから、安藤先生の御指摘の企業側の観点がそこまでの話でありまして、その後、労働者側の話がここで書いてあるということで、労働者が副業・兼業をする場合に、自分が副業・兼業者として働いていることを雇われる企業に申告せずに副業・兼業を行う要因の一つとなっているということですので、この点も分かりやすく表現をしたいと思います。
 前回は企業側にとっての課題のようなことのみが書いてあったところ、そうではなくて、労働者が副業・兼業をするといった場合に、現行の規制が、むしろ副業・兼業をしたいという方にとっての障害となっている点も重要ではないかということで、今回はそれを盛り込んだ修正をしているので、そのことが伝わりやすい表現にしたいと考えております。
○安藤構成員 くどいようですが、私がこだわっているポイントは、労働者のことが書かれているのですけれども、企業に申告せずに駄目だと言われたときに副業・兼業を強行する。言わないということだけではなくて、うちの会社は駄目ですと言われたら諦める。本来自分のキャリアとかステップアップとか、またはやりたかった仕事を副業・兼業で週末にやりたい。でも、会社からうちは駄目ですと言われて諦めるという行動も労働者にとっては望ましくないものではないかということで、ここの最後のところは企業に申告せずに副業・兼業を行うことだけ書かれているけれども、副業・兼業をしたいのだけれども、できない、やらないということも含まれませんかということが申し上げたかったことでした。
○荒木座長 分かりました。「労働者が企業に」というのは、今、本業をやっている企業にと読む可能性があるということですね。ここは趣旨としては新しく雇うほうの企業も含んで書いていたところなのですけれども、確かに本業の企業に申告せずというのもあり得るところですし、それに加えて、自分が副業・兼業で足すと8時間を超える労働になりますと言って、雇ってくださいと言った後に、いや、そういうことであれば、あなただけ割増賃金を9時間目に払うことはできないというので、副業・兼業したいという労働者が副業・兼業できなくなる。その両者を含んでいたのですけれども、確かにこれは全部本業の企業との関係だけで読もうと思ったら読めますので、その点について、両方の趣旨が含まれる形で修文したいと思います。貴重な御指摘をありがとうございました。
 水町先生、どうぞ。
○水町構成員 改めて読み直してみて、先ほどの48ページの「この取扱いについては」の段落のすぐ直後の「通常の労働時間管理が概ね月単位で行われているところ、」という意味が分からないので、これは削除したほうがいいのではないかと思います。
○荒木座長 事務局、この点はいかがでしょうか。
○労働条件政策課長 失礼いたしました。後ろとの関係で、恐らく健康確保のための労働時間通算ということになると、月単位での把握ということになるわけでございますが、ただ、「この取扱いについては」のところは、副業・兼業をしていない会社さんでいえば、自分のところの労働時間を日々積み上げていって最終的に週を超えたところとか、日を超えた、月を超えたところで締めてみて賃金計算をすることを意味して書いておりましたが、なくても文意が通るということが先生方の御趣旨であれば、削って問題があるものではないかと思っております。
○荒木座長 実は私も水町先生と同様の感触を持っていたところでございますので、ここはなくとも文意が通ると思いますので、御提案のとおり削除することにしたいと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、まず、御議論いただきたい3点は以上ということになります。
 残りの時間は報告書全体についてお気づきの点などがございましたら御自由に、配付されている最終版の報告書の何ページと言っていただいたほうが分かりやすいかもしれませんが、そういう形で場所を指定して御発言いただければ幸いです。
 黒田先生、どうぞ。
○黒田構成員 全体を通してということで、特定の場所というよりは、会社から見えづらいところの労働時間というのが適切か難しいですが、健康管理時間に関する点です。テレワークみなしに関する35ページ及び兼業・副業に関する49ページ辺りで、健康管理時間の把握に関しては触れられています。最近も複数の職場でのストレス、心理的負荷合算による労災の報道がありましたけれども、会社あるいは上司が行う健康状況の把握に関しても重要である、という観点を改めて見直す必要があるかなと思いまして発言いたしました。
 以上です。
○荒木座長 ありがとうございます。
 健康情報の把握が重要であるということで、報告書の各章では触れられてはいるのですけれども、具体的にどこかでということになりましょうか。
○黒田構成員 時間だけ把握するということで十分とは思えないので、健康管理時間の把握の後に、加えて、会社あるいは管理監督者による各労働者の健康状況の把握も必要であるというようなコメント、そういう文言を挿入していただけるといいのかなと思いました。
 報告書に盛り込まれたもともとの意見とは違った趣旨になってしまうかもしれませんが、テレワークみなしに関しては、36ページのポツ2つ目の「健康確保のための時間把握は必要になるのではないか」のところに健康状況の把握について追加しても良いかと思います。兼業・副業に関しては、48ページの下から3~4行目のところに「健康確保」について記載がありますが、ここは「賃金計算上の労働時間管理と、健康確保のための労働時間管理は分けるべき」というのが主な部分なので、そこにさらに健康状況の把握について追加するのは、文章として変かもしれません。49ページのポツ1つ目の「健康確保措置の在り方を整理すること」に含めるのが良いかもしれません。
いずれにしても、一人一人の労働者の健康状況の把握が、会社から十分見えないような働き方をしている方という共通する要素がある、テレワークみなし、兼業・副業をしている方、両方に関して、その文言をしっかりと追記していただくことが必要かと思いました。2個目の兼業・副業のところはに加えることが難しければ、健康管理措置の在り方ということで今後の引き続きの検討ということに含まれるかと思います。
 ポツの1つ目の「とるべき健康確保措置の在り方を整理すること」のところに、それぞれの労働者の健康状況の把握という意味が含まれていると理解しますけれども、重ねて書くかどうかというのは、最終的に座長のほうで御判断いただければと思います。
 以上です。
○荒木座長 ありがとうございました。
 御趣旨は特定の制度、テレワークとか副業・兼業の場合に限った話ではなく、労働時間、あるいは健康管理時間の把握と関連して、労働者の個人的な健康情報の把握ということも重要であるという趣旨で理解してよろしいでしょうか。
○黒田構成員 健康情報というか健康状況です。なので、実際には上司が見るという感じになると理解しています。
○荒木座長 そうしたら、労働者の健康状況の把握ということは恐らく全体に関わる論点だと思いますので、各制度の中で書くと、その制度についてだけそのようなことが要求されるように捉えられるのも少し誤解を生むかもしれませんので、労働時間の管理と健康確保の関係で適切に書き得るところがあれば、そこで反映するということを検討させていただきたいと思います。
○黒田構成員 補足です。全体に係ることも確かに大事なのですが、一つの会社で労働しているとなるとそんなに大きな問題にはならないと思うのですが、一つの会社であってもテレワークみなしを行ったり、兼業・兼務したりするような、会社や上司から実態がはっきり分からないような働き方2点において、特に健康状況の確認が必要であるということを発言したかったということです。
○荒木座長 趣旨についてはよく理解しました。
 安藤先生、どうぞ。
○安藤構成員 今の点、黒田先生の時間だけではなくて健康の実態を見てほしいというお気持ちは非常によく分かるのですが、現在、まずは労働時間をしっかり把握するというところが多分できていないからやろうとしているところで、労働時間を把握するというのは副業や兼業の場合など、通算するのが難しいとはいえ、何とかできるとして、上司に当たる人が、医学的な素養があるわけでもないのに、うちだけで働いているとは限らない人も含めて部下の健康状態を把握することが果たしてできるのか。
 ストレートな言い方をすれば、できないことを求めても仕方ないので、今までの法律とか立てつけというのは労働時間をまずは見ましょう、労働時間が一定の長さを超えると、仮に健康被害があったら因果関係があると捉えることにして、そこから今度は逆算して、一定の労働時間を超えた働き方は健康に悪影響があるから止めましょうという整理をしてきたと思うのです。
 それを飛び越えて、上司に直接的に部下の健康状態を個々で把握させるということは、御趣旨はよく分かりますが、実効性があるのかという点には少し疑問があるのです。具体的に、例えば上司になる人には部下の健康状態を把握する方法について教育・訓練を行うとか、何らかの裏付けがないと難しいような気がするのですが、この辺りはどうお考えでしょうか。
○黒田構成員 御指摘のとおりかと思います。メンタルヘルスに限らず健康管理全般で、ラインケアという概念が、基本的にはどの会社でも管理監督者に今必要な要素として教育をされていると期待したく、されていると思います。そのラインケアの範囲で、パフォーマンスが落ちてきたら、勤怠ですとか、それぞれの行動ですとか、言動ですとか、状況を把握して必要な資源につなぐところまでが求められることだと思います。上司が部下の健康管理を直接することはできませんので、健康状況を把握してつなぐというところまでが求められることかと思います。
 あまり細かいことをこの研究会の報告書に書くのは難しいし、次の検討の機会に委ねられるのかと思いますが、健康状況の把握ということは、労働時間の管理や把握さえすればいいのかというと、そういうわけではないかと思います。ただし、労働時間の管理や把握ができていないことが問題だというのはそのとおりで、まずそれをやって、その上でという2階建ての部分かとは思いますが、労働時間の管理だけで留められるのが研究会の報告書としては不安があったのでコメントしました。
 以上です。
○荒木座長 ありがとうございました。
 ほかに先生方も手が挙がっていますのでお聞きしたいと思います。石﨑先生、お願いします。
○石崎構成員 もともと発言しようと思っていたことと、今の御議論を伺っていて発言しようと思ったことがあるので、先に後者のほうから発言したいと思います。
 私自身もこの報告書を読ませていただき、また、これまで議論に参加させていただいた中で、実効的な健康確保措置というのは何なのかというのが一つ大きな課題になっていると感じていたところです。そういった中で、今、黒田先生がおっしゃられたように、労働時間の管理だけで健康確保として十分なのかという問題意識は私自身も同様に持っているところであります。
 他方で、健康状況といいますか、健康に関わるいろいろな要因を全て把握せよという話になってくると、今度はそれはそれで恐らく労働者のプライバシーの問題と抵触してくるところでして、どこまで何を求めていくのかは慎重な議論が必要であると思うのですけれども、要するに労働者のほうからそうした部分に関しての情報の提供というのか、申し入れみたいなものがあったときに、使用者側として、そうした状況を踏まえた上で配慮しなければならないというようなことはあり得ると思います。報告書でどう書き込むかというところは難しい部分があるかもしれませんけれども、時間管理だけでは終わらない問題であるというようなところの問題提起はしておいてもよろしいのではないかと私自身は感じたところであります。
 もう1点、もともと発言しようと思っていたことは、報告書50ページの最後の段落で「本研究会は厚生労働省労働基準局長の開催する研究会である。」ということが書かれているのですけれども、改めて読んだときに、ここでこう言っている趣旨はどういうことなのかなというのが若干気になったところがあります。というのは、冒頭で座長も確認されたように、労働基準関係法制は非常に幅広い領域に関わるということも確認させていただいたところですし、ここで含まれる提案の中には、実は労働基準局所管のものだけでないようなテーマ、情報開示の部分ですとかに含まれるようにも思うところでして、これも報告書に書き込んでいただく必要があるかどうかは、また御検討いただければと思います。
 要するに、言いたかったのは、もちろん労働基準局で開催していただいている研究会ではあるのですけれども、今後さらに検討していただくに当たっては、厚生労働省内でのいろいろな部局との連携を図っていただきたいというのは、恐らく委員の皆様も御賛同いただけるのではないかと思いますので、そういった趣旨で理解させていただけるとありがたいと思った次第になります。
 以上です。
○荒木座長 ありがとうございました。
 続いて、水島先生、お願いします。
○水島構成員 形式面の指摘ですけれども、6ページで、「5 本研究会における検討の柱」とあります。次の7ページにこの検討の柱の中に同じ書き方で1、2、3と、この後出てきまして、これがやや読みにくいように思いましたので、もし、工夫が可能でしたら御検討いただければと思います。
 以上でございます。
○荒木座長 ありがとうございました。
 今の御指摘は、形式面としては数字の1というレベル感からして少し混乱を生じかねないのではないかという趣旨でしょうか。これは表記の問題ですので、同じ1というもののレベル感がどうなるかという辺りで少し事務局とも相談したいと思います。
 神吉先生、お願いします。
○神吉構成員 細かい点で恐縮ですが、47ページの割増賃金に関する箇条書きの整理の一番下のポツ、下から7行目ぐらいに「割増賃金の計算の基礎となる「通常の賃金」」とあるのですが、第37条の法文では「通常の賃金」ではなくて「通常の労働時間又は労働日の賃金」になるのかなと思いました。その解釈が明確にされていないという法文上の問題であるならば、なおさらそこは正確にしたほうが、例えば有給休暇に関する第39条第9項でいう「通常の賃金」とは違うので、その辺りは明確にしたほうがいいと考えます。
○荒木座長 括弧で引くのであれば、「通常の労働時間の賃金」とか、そういった表現が適切と思いますので、そこは対応したいと思います。
 山川先生、お願いします。
○山川構成員 一つは表現ぶりだけなのですが、37ページの下から2行目からですけれども、「管理監督者は」云々で「適用除外となるという制度であり」という、主語と述語が一致していないと思いますので、「管理監督者については適用除外となるという制度が取られており」くらいのほうがよろしいかなと思います。お任せします。
 もう1点、次の38ページの「加えて」から始まる段落で、「現行の管理監督者等がどういった性質のものであるかを明らかにするために」という趣旨が、要件の明確化の目的が管理監督者等の性質の明確化にあるわけでは必ずしもないと思いますし、そういう趣旨の記述でもないと思いますから、「現行の管理監督者等についての制度趣旨を踏まえて」とか、それが多分ここで書かれていることの趣旨だと思いますので、そういうことではいかがかと思いました。
 それから、先ほど黒田先生のおっしゃったこととの関係で、大きく言えば、労働時間そのものの規制と違って、健康の観点から労働時間自体ではないものも含めて規制を行うというのが、この数年というか、働き方改革関連法のできる前から裁量労働制の健康・福祉確保措置ですか、その辺りから出てきており、ある種、労働時間規制の中に新しい流れができているという感じがいたします。
 今更ながらという感じもするのですけれども、労働時間規制についての一つの側面である健康管理という観点からの新たな側面が出てきており、いきなり健康管理の話が各論として出てくるよりは、先ほどの黒田先生の問題意識は趣旨の基本的な位置付けにかかわるものといえますので、テレワークと副業についてはそれぞれ書いてあるのですが、総論に入れてはいかがかと思います。
 例えばですけれども、座長にお任せしてよろしいと思いますが、30ページの1の最長労働時間規制のところで、最後の辺りに、「その中では、実労働時間規制そのものとは別に、健康確保の観点からの新たな規制も導入されてきている」とか、そういうことを総論的にも書いておいたほうが、その後によく出てくる健康の確保の問題の呼び水的な制度の位置付けになるのかなと思いまして、ここで書くのがいいかどうか分かりませんけれども、視点としてそういうものを総論的な箇所に入れておいてはいかがかなと思いました。
 以上です。
○荒木座長 ありがとうございました。
 具体的な修文の御指摘はもっともだと思いますので、御指摘の方向で対応したいと思います。
 黒田先生が提起された問題は、私も30ページの最長労働時間規制、労働時間規制との観点との絡みで、まさに議論すべき問題ではないか。今、山川先生の御指摘のとおり実労働時間規制がかからない裁量労働制や、あるいは高度プロフェッショナル制度などについて健康確保措置というものがクローズアップされ、その方向での政策を展開してきたところです。
 そこで、最長労働時間規制の在り方とともに労働者の健康を確保するための労働時間に限らないような対応方法が問題となっている。そういう御指摘が黒田先生の御趣旨でもあると思いますので、そうした形で最長労働時間規制と健康確保の在り方、この観点から少し記述ができないか。もし、お任せいただければ、今のような趣旨を適切に文章化できるかを事務局とも検討しながら考えたいと思いますけれども、そのようなことでよろしゅうございましょうか。
 黒田先生、その他の先生も首肯していただいているようですので、今の点については、そういう形で修文を考えさせていただきたいと思います。
 ほかに特段御指摘がなければ、この場で確認できたように、表現ぶりについて少し御指摘の方向で直すべき部分もありましたし、今の健康確保の観点については少し表現を考えたいと思いますけれども、報告書の内容自体については、先生方、このような内容で御了承いただけたものと受け止めてよろしゅうございましょうか。
 ありがとうございました。それでは、報告書の内容については御承認いただいたということで、若干の表現については、事務局及び座長に御一任いただければと考えますが、そういう形でよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。それでは、この報告書については、このようなことでまとめさせていただきたいと思います。
 それでは、今日で研究会は最後ということになりますので、ここで一言、私から御礼を申し上げさせていただきたいと思います。
 この労働基準関係法制研究会では働く人々の多様化、それから、働き方の多様化、そして、雇用を取り巻く環境の変化などを受けまして、労働基準法を中心としつつもそれに限定されず関連する多様な個別的労働関係法、さらには集団的労使関係法との関連も視野に入れて、将来の労働法制全体を見通しながら大きな議論をさせていただきました。全体の報告書の半分を占める「II 労働基準関係法制に共通する総論的課題」は、労働者概念、事業概念、労使コミュニケーションという今後の労働法全体にも関係する基本的な考え方の方向性について議論いただきました。
 同時に、働き方改革関連法の5年後見直しとして要請されていた労働時間法制についての具体的な検討においても、前回の改正以外の労働時間規制に関連する多様な論点について検討を深めていただきました。今回の議論の一つの特徴は、これまで長時間労働規制という労働時間の長さの規制に議論が集中していたところ、この研究会では労働から解放される時間の規制(労働開放時間規制)の重要性に着目し、休日規制や勤務間インターバル規制、つながらない権利などについて、新たな政策の方向性を打ち出していただいたと思います。この点は、この研究会の一つの成果ではないかと思います。
 この研究会では、本年の1月から16回にわたって先生方に大変真摯に議論していただきました。研究者による研究会ですので、ブレインストーミング的な、自分が本当にそれが正しいかどうか分からなくても、こういう点はどうだろうかという問題提起の発言も大いに歓迎されまして、それを契機に闊達な議論がなされたと思います。
 しかし、種々の議論・検討を経た上で、このように研究会報告としてまとまった方向性を示すことができましたのは、先生方の研究者としての見識、それから、少しでも労働法政策をよりよい方向に進めたいという思い、これが一致していたことの賜物ではないかと考えております。先生方の御協力に改めて感謝を申し上げたいと思います。
 それから、事務局の皆様には、各先生からの研究会席上での議論はもちろん、報告書を取りまとめる段階での多種多様なコメントについて大変誠実かつ緻密に対応いただきました。古い表現を使いますと、まさに寝食を忘れて対応いただいたということなのですが、勤務間インターバルを議論するこの研究会で寝食を忘れてというのは、本来は死語にすべき言葉かもしれません。いずれにしても、よりよい労働政策のために一緒に協力したいということで、事務局の皆様には大変御尽力いただきました。そのことに改めて御礼を申し上げたいと思います。
 研究者には、それぞれに理想とする労働法政策というものがあり、それを踏まえて、議論をいただいたわけです。ですから、大局的な議論もありますし、狭い意味での労働基準局の管轄を超えるような論点についても闊達に議論いただいたところです。そういった研究会の議論を寛大に受け止めて許容いただきました労働基準局長をはじめ、厚生労働省の皆様には改めて、御礼を申し上げたいと思います。
 本研究会報告書は早期に取り組むべき事項と中長期的に検討を進める事項について提言をするものです。今後の労働法政策を考える上で、この研究会の報告書が参照・活用いただけることを心から期待しているところでございます。
 1年間真摯に議論いただきました構成員の先生方、そして、献身的に議論をサポートいただきました事務局の皆様に改めてこの場で御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
 それでは、最後に、岸本労働基準局長から一言いただければと思います。
○労働基準局長 労働基準局長の岸本でございます。研究会の最終回に当たりまして、一言御礼申し上げます。本研究会、本年1月から1年間、計16回にわたり精力的な御議論をいただきまして厚く御礼申し上げます。
 本研究会は今野先生に座長を務めていただきました「新しい時代の働き方に関する研究会」において取りまとめられた御提言と、平成30年に成立した働き方改革関連法の施行から5年が経過することを踏まえて、労働基準関係法制について包括的かつ中長期的な検討を行うために設置をさせていただいたものでございます。
 今、荒木先生からお話もありましたとおり、本研究会におきましては労働基準法の労働者概念、事業概念、労使コミュニケーションの在り方といった労働基準関係法制に共通する総論的課題から、労働時間法制に関する具体的な課題まで、幅広い視点に立って専門的なお立場から濃密かつ闊達な御議論をいただきました。総論、それから、労働時間法制に関する具体論、どちらも重みを持つ同じ重要性を持つものとして受け止めておりますが、特に本研究会で総論について非常にウエイトを割いて御議論いただきましたこと、冒頭、この研究会の第1回のときに、当時の労働基準局長の鈴木から将来にわたる永続的な労基法の考え方の確立ということを御挨拶の中で申し上げておりました。まさにそれに当たるものとして、大変重要な御提言・御知見をいただいたものと思っております。
 一言、私ごと的な感想をお許しいただければと思いますが、特に労働基準関係法制に限らず、例えば育児・介護休業法ですとかの立案に当たりましても、ある程度標準的に定めるルールを設定しながら、職場の実情に応じてバリエーションを持たせることが、かえってお互いの労使のため、あるいは法目的の実現のためになるのではないかといった観点から、他局の所管法令ですけれども、労基法の過半数代表の仕組みを導入するといった経験を多くしてまいりました。
 そのたびに、そういった仕組みを設けることの趣旨は公労使に広く御理解いただきながらも、過半数代表制が持つ性質、手続の問題であるとか、そういった問題についていろいろな御指摘をいただいて、それをその場その場で解決できないまま、そういった立法をしてきたという経験がございました。
 そのたびに、いつかこの問題は歩みを進めなければいけないのではないかと思っておりましたが、今回そういった提言をいただくことができまして大変ありがたく思っている次第でございます。その他の点もいずれも重要な点でございますが、1点、感想として毎回そう思っておりましたことを思い出しながら議論を拝聴しておりました。
 今後、本研究会の報告書の内容を労働政策審議会に御報告をいたしまして、議論の場を労働政策審議会に移して、法制度に関する点について労使双方にとって有益な制度となるよう、具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。また、労働者性の在り方、労働者性の概念については、専門的な検討の場を引き続き設けていくべきという御提言をいただきました。これも具体化をしてまいりたいと思います。こういった形で、この研究会の提言を生かしていくべく努力をしてまいります。
 構成員の先生方におかれましては、今後ともそういった歩みを御指導・御鞭撻いただければ幸いでございます。1年間、誠にありがとうございました。
○荒木座長 ありがとうございました。
 それでは、これで労働基準関係法制研究会は終了とさせていただきます。
 1年にわたり御協力いただきましたことに改めて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。