2024年3月11日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和6年3月11日(月)18:00~

場所

厚生労働省専用第22~24会議室

出席者

出席委員(21名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理

他参考人2名出席


欠席委員(2名)五十音順

行政機関出席者
  • 城克文  (医薬局長)
  • 吉田易範 (大臣官房審議官)
  • 中山智紀 (医薬局医療機器審査管理課長)
  • 野村由美子(医薬局医薬安全対策課長)
  • 鈴木洋史 (医薬品医療機器総合機構審査センター長) 他

議事

○医療機器審査管理課長 それでは、時間となりましたので、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多用の中御出席くださいまして、ありがとうございます。本日の本会議はWeb会議と併用という形で開催いたします。また、本部会の議題1は「一般用検査薬の一般原則について」という議題ですが、これについてはWeb会議の様子をYouTubeにおいてライブ配信しておりますので御了承いただければと思います。
現時点で、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、19名の委員の方々に御出席いただいております。3名の方は少し遅れて御出席いただくということで、欠席は1名のみとなっています。19名のうち15名の委員はWebシステムで参加いただいております。
 次に、参考人として御出席いただく予定の先生を御紹介いたします。議題2について、独立行政法人労働者健康安全機構千葉労災病院院長の岡本美孝先生、国立大学法人東北大学大学院医学系研究科医学統計学分野教授の山口拓洋先生に御出席いただくことになっております。
 議事に先立ち、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告いたします。薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任された委員はおられませんでしたので、報告させていただきます。会議開催の都度、書面の提出を頂いており御負担をお掛けしておりますが、引き続き御協力をよろしくお願いいたします。
 続きまして、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明いたします。
○事務局 事務局です。本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年の薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2及び議題3については医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。
会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。また、Webにて御参加されている委員の皆様におかれましては、事前にお配りした資料をお手元に御用意ください。Web会議で御参加される委員の皆様におかれましては、審議中のマイクはミュート、通信環境等に支障がない限りカメラはオンでお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。以降の進行については、小野部会長、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ただいまの事務局の説明について、何か御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、これより議題に入りたいと思います。本日の議題1から3の全てが審議事項となっております。それでは、まず議題1「一般用検査薬の一般原則について」です。事務局より説明をお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 本件については、資料の説明を業界団体の方から御説明をしていただくことになっております。OTC医薬協の磯部様、臨薬協の繁田様、それぞれからの御説明がありますので、よろしくお願いいたします。
○OTC協会理事長 御紹介いただきましてありがとうございます。OTC医薬品協会で理事長をしております磯部と申します。どうぞよろしくお願いします。まず、資料1-1を御覧ください。1ページです。以前にも御審議いただきましたOTC検査薬の一般原則の見直しについて御検討賜れればということで、提案させていただきます。今回は穿刺血を用いた検査項目の追加についてです。私どもは、OTC検査薬の基本的な役割としまして、やはり自分の体のことをもっとよく知りたいと、当然、医療機関で受診をされて検査をされるということもありますが、もっと自分の体の状況はどうなのかということをよく知りたい、また、生活者のニーズに応えて、なかなか医療機関に受診されないような方々を医療につなげていくということをどうしていくのか、そういうところにOTC検査薬の役割があるということで、これから少し説明をさせていただきます。
 2ページを御覧ください。全体としてはこのような構造になっております。
3ページを御覧ください。今申し上げたことで、特に私どもがこのOTC検査薬の対象に考えるような方々を大きく三つ挙げさせていただいています。健康でも何か気になる、当然、自分で疾病を持っておられる方、持ってない方、いろいろいると思いますが、もっと日常生活の中でも状態を確認したい方というのはいると思われます。また、働き世代の方で、どうしても仕事を優先して、少し気になることはあるのだけれども先延ばしにしてしまっている方も結構おられると思います。また、それなりに自分の健康には自信を持っているのだけれども、本当はちゃんといろいろな健診も受けたりしなければいけないのだけれども、未受診でそのままにされているという方もおられると思います。こういった方々をきちんと必要な医療につなげていくことを考えなければいけないということです。
 次のページを御覧ください。これは、コロナ禍で特に健康意識が高まった方が多くなったということを御紹介しています。次ページを御覧ください。先ほど、自分の体をもっとよく知りたいということで、我々もいろいろなイベントをやっておりますので、少し御紹介いたします。毎年10月に行っております、東京のお茶の水の神田明神でのOTC医薬品の普及啓発イベント、今年も武見大臣にビデオメッセージを頂きました。その中で、検体測定室、HbA1cや健康チェックの状況を確認するコーナーを設けて、必要な説明を行った上で、これを受けに来られる方がいます。全体としては1,500人ぐらいがこの会場に金・土で訪れましたが、そのうちの500人以上がこのような方で、認知機能から始まり、受けられているということで、非常に自分の健康について、これだけ意識が高い人がいるということの証左かと思います。
 次の6ページを御覧ください。その中でもHbA1cの検査については、特に若い世代、なかなか受診に行ってないような方々が多いと思いますが、女性の方がかなり多く、6.5以上で、本当は受診したほうがいいのではないかという方々がおられ、イベントとは言いながら、受診されたほうがいいということをお伝え申し上げている方が出てきております。また、ドラッグストアショーというのを8月に行っております。この中でもそういった御希望をされる方が多く、やはり、こういうことをやりますと、次の8ページにあるように、ある程度要受診の方がどうしても出てくるのが現実です。また健診についても、年代別受診率を9ページに記載しております。これは釈迦に説法ですが、どうしても若い世代は全体として健診の受診率が、ある程度年代がいった方に比べますと少し低めに出ているのが現状かと思います。
 続きまして、10ページを御覧ください。我々は鹿児島市で便潜血のプロジェクトをやったこともあり、鹿児島大学の衛生学の堀内先生から御紹介いただいたデータです。実際に予防健診に関しても、協会けんぽ加入者の方々でもこのような受診にとどまっています。中小規模の事業者の場合は産業医もおられないので、どうしても健診受診率が低い傾向にあるということも現実に起こっております。健診を受けない理由については、国民生活基礎調査などで見ますと、時間がとれないとか、年齢が高めの方に多いのですが、いつでも医療機関にかかれるから、面倒だからということで、こういった方々をどういうふうに医療につなげていくかということだと思います。
次の12、13ページは、これまでこの部会で頂いたことですので御紹介にとどめます。後で何かございましたら見ていただければと思います。
次の14ページを御覧ください。後ほど繁田常務からガイドライン、チェックシートの関係を御紹介いただきますが、特にこれまでの議論で、どういう方々が提供することが適切なのかということでいろいろ議論がありました。やはりきちんとした方が取り扱わないと十分な対応ができないということだと思います。そのため、今回は、特に穿刺血の場合には定量の検査機器を使うこともあり、それを高度管理医療機器販売業の許可ということで、初期研修から継続研修をきちんと受けられている管理薬剤師の方々で、そういった薬局・店舗販売業の方々に対象を絞って、対応をお願いすることでどうかということです。
 また、血液検体ガイドラインとチェックシートは繁田常務から詳しく御紹介いただきますが、かいつまんで申し上げます。チェックシートの大まかなフローは、提供時に薬剤師が確認をする、使い方についても、どうしても慣れないことなのでイラストなどもかなり準備ができております。また、日本薬剤師会で行われている高度管理医療機器の継続研修でも非常に分かりやすいイラストなども入れて、どういうふうにやるのかということを薬剤師に対して説明をしております。薬剤師の方々に必要な知識がきちんと行われ、毎年2万人ぐらいの方が受けられているということです。こういった研修を薬局の管理薬剤師の方が受けられていて、そういった薬局では、勤務する薬剤師の方々が購入時にこういったチェックシートを用いて測定結果の見方などを説明するということで、19ページに記載のあるとおりです。
 先ほど、鹿児島大学の堀内先生のお話をさせていただきました。ちょうど薬事日報に、以前そのプロジェクトが出ました。なかなか健診を受けられていない世代、少し若めの働き世代の方々がおられるということで、どちらかというと入りやすい薬局で、それを大腸がん検査の拠点として便潜血の定量の検査を300人ぐらいで行ったところ、便潜血の検査で陽性者が出て、そういった方々をかなりの割合で必要な医療機関につなぐことができました。単に医者に行けばいいということだけではなく、ここに書いてありますように、どういう医療機関がその人にマッチするのかを、薬局で決めるわけではなくその患者さんに決めていただくわけですが、ふだんかかっていない医療機関に行くこともありますので、そういったお話をよく伺った上で、医療につなげていきますと、かなりの割合できちんと受診されることも分かってまいりました。そういったことをやると受診にもうまくつながっていくということが分かったプロジェクトです。
 次がリテラシーの向上です。特に、使った血液が付いているものの取扱いをどうするのか、また、何かあったときにどういう対応をするのかということで、22ページに書いているように、うちに相談をくださいと、ちゃんとどこに聞いたらいいのかをはっきりさせていくことが大事になります。
 次の23、24ページです。販売時のフォローアップが非常に重要になってきますので、特に抗血栓薬を服用されている方は、それはなかなか販売できませんので、理解、確認できてから販売をするという流れを作っていく、そういうことをきちんとチェックシートにチェックをしていただき見ていくということです。また、ネット販売に関してもどういう対応が必要なのかを26ページに記載をしております。
 そういった状況で、きちんとこういったことを適切に行える専門性の高い薬剤師がいる施設から提供する体制ということで、高度管理医療機器等販売業許可を持っている薬局・店舗販売業の方々にということでして、これまでも、日本薬剤師会の主催で、毎年たくさんの方が受けられており、大体2万人の方が受けられています。チェーンドラッグストア協会でも聞いたところ、このような研修を受けられている施設が7,000ぐらいあるということでした。29ページは確認をいただければと思います。
 我々としては、検査項目として、血糖や血中脂質、アレルギーなどがOTC検査薬でできるようにということでお願いできればと、最後まとめさせていただきます。
私の説明は以上です。あと続いて、ガイドラインなどの説明をお願いいたします。
○臨薬協繁田様 私は日本臨床検査薬協会の常務理事を仰せつかっております繁田と申します。資料1-2について御説明させていただきます。今日の議論、またこれまでの議論を基にして、一般検査薬に関わる血液検体に関するガイドライン(案)を作成させていただきました。内容的には、基本的にチェックシートを用いて様々な情報提供をしたり、確認をするといったことが盛り込まれております。
 続いて、資料1-3についても簡単に御説明させていただきます。これまでの議論も踏まえて、血液検体を利用させていただけるということになったときの具体的な製品の例として、自己検査用グルコースキットに係る一般検査用の試薬のガイドラインを御用意させていただきました。ですので、この内容については、先ほどのガイドラインやこれまでの議論も踏まえて、様々な自己検査用のグルコースキットを一般用にするにおいて求められる事項について、まとめさせていただいております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。ただいま御説明していただいた内容について、委員の皆様方から御質問、御意見等はありますか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川です。厚労省にお聞きしたいのですが、この高度管理医療機器等販売の許可を持つという、研修を受けている方の従来の目的は、何を取得するために受けられているのでしょうか。私が今まで伺っているところによると、ペースメーカーやコンタクトなどのところを目標にされてきた方が多いと聞いているのですが、どのような形を目標にどのような研修をされているのでしょうか。研修内容が非常に重要なことであろうと思いますので、これは、今お話になったように、血液を採る、採らないというような形に波及していくわけで、もともとの資格者というのは何を勉強してそれを取っていらっしゃるのかをお聞きしたいと思います。
○小野部会長 それでは、厚労省の担当部局がありましたら、よろしくお願いいたします。
○事務局 事務局です。こちらの高度管理医療機器の研修なのですが、先生御承知のとおり、高度管理医療機器というのは必ずしもこの穿刺の針だけではなくて、いろいろな機器があります。そういったものを適切に販売するに当たって、使用者からの問い合わせ等について、的確に答えられるように、研修のプログラムが組まれていると承知しております。その中に、穿刺針の使い方についても適切に販売者が理解し、適切な使用法を伝達できるように資料が組まれております。具体的には、先ほど御説明のありました資料1-1の30分の18ページに、穿刺針に関する、あと自己血糖測定器の取扱いについて抜粋したものを載せておりますが、例えば針を使うに当たって、どういったところに気を付けた上で使用していただくかという留意事項をまとめた資料になっており、その内容について十分に理解し、それを伝達することが求められるというふうに理解しております。
○宮川委員 ありがとうございます。では、自己血糖測定器の補助、理解という内容は、研修全体の中の何分の1ぐらいなのでしょうか。先ほど言ったように、ペースメーカーやコンタクトなど、いろいろなところを勉強されているのですが、血液に関する受講の履修に関しての時間配分というのはどのようになっているのでしょうか。
○事務局 先ほど説明させていただいたとおり、必ずしも穿刺針に特化した教材にはなっておりませんので、全体の中の一部であるというような位置付けであるとは理解しているのですが。大体どれぐらいの配分なのかということについては手元にデータがありませんので、確認させていただきたいと思います。
○宮川委員 はい。是非、それはお願いしたいです。採血用の穿刺の機器に対して、概念だけ知っているだけで、そういうものに対してしっかりとした履習をされていないということであれば、前提条件が少し違ってくるのかと思いますし、概念だけで取り上げられても困ります。今まで十分勉強されている方は、ペースメーカーの問題やコンタクトの問題、眼科の問題などを主に勉強されていることは私も知っておりますので、その辺りの確認を厚労省はしっかりしていただきたいと思っております。ありがとうございました。
○小野部会長 ありがとうございます。そうしましたら、よろしくお願いいたします。
○OTC協会理事長 今の宮川先生の御指摘はごもっともだと思います。おっしゃるように、高度管理医療機器は非常に幅広く、ペースメーカーからこういった穿刺針まであるわけです。当然、取り扱われる事業者の方々によって、範囲が大分変わってまいります。実際にペースメーカーを取り扱われている事業者の方々は、薬局ではありません。事実上、医療機器販売業の卸の方々ですので、薬局向けの研修ではやられていないというのが現実です。ですから、日本薬剤師会でやられているものは、薬局で取り扱うような高度管理医療機器ですから、一番多いのはこういった自己血糖測定器や、在宅医療で用いるようないろいろなシステムがありますが、そういったものを中心に行われております。また、コンタクトレンズに関しては、必ずしも薬局だけで取り扱っているのではありませんし、特にコンタクトレンズについては、日本眼科医会とコンタクトレンズ販売協会の許可を受けるのが基本になっていますので、そういう所でかなり専門的に突っ込んでやっています。ですから、その業態ごとに、どちらの許可で行うのかということになってまいります。
 実際に、時間配分は、法令的なことも多いのですが、かなり医療機器の内容に重点を置いたほうがいいだろうということで、多くの事業者の研修は全体の研修の半分ぐらいを占めており、そこで特に用いられているような研修にかなり力を入れられていると思いますので、薬局向けの研修に関しては、穿刺血の研修にかなりウエイトがあると理解をしております。
○小野部会長 追加のコメントをありがとうございます。髙松委員、お願いします。
○髙松委員 日本薬剤師会の髙松です。日本薬剤師会としても、毎年この研修の受講は義務になっておりますので、毎年新しいテキストを使いながら内容を説明しております。今、毎年の研修修了者が約2万人とありましたが、先ほど磯部理事長がおっしゃったように、卸の方々もいらっしゃいますが、実際に私たちが行う研修については薬局の方々が9割以上です。その内容は、薬局でこれまでも扱っているSMBG、針の扱いや様々な内容についてしっかり継続してやっております。ですから、2万人は、継続して毎年受けていると御理解いただければと思います。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はありますか。Webの先生方は、手挙げボタンでお願いします。福山委員、お願いします。
○福山委員 国民生活センターの福山です。今さら言うことではないかもしれないのですが、最終的にこういう機器を使うのは一般の消費者ですので、その結果自体を正しく判断するためには、例えばどういった所に相談すればいいのかを、きちんと販売員に伝えていただいて、正しく最終的に医療につなげるようにしていただけるよう、十分留意していただければと思います。よろしくお願いいたします。
○小野部会長 御意見ありがとうございます。ほかに御質問、コメントはありますか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川です。先ほど、磯部参考人からいろいろお話がありましたが、資料前半の所で、いろいろな健康に関するイベントに出られる方がいて、そこで自分の体のことをもっと知りたいというような方がいらっしゃるということでしたが、これは、当然のことだろうと思います。そういう所に来て、いろいろなチェックをしていただくとか、健康のことを教えていただくという所に出られる人がいるということは、承知しているわけですが、このOTC医薬品普及啓発イベントは、場所は神田明神文化交流館ですよね。そこに出られる方が、6ページにあるように、東京23区115人、埼玉、千葉、神奈川、23区以外、不明はしょうがないとしても、かなり広範囲にいらっしゃるわけです。神田明神の交流文化館に行くために、相当な距離と時間を費やしていらっしゃるわけで、これは相当健康意識の高い方と理解してよろしいのでしょうか。
○小野部会長 よろしくお願いします
○OTC協会理事長 ヘルスリテラシーがどのぐらい高いのかという調査をこの中でしているわけではありませんが、都心のお茶の水から少し歩く所ですが、そこまで集まっていただいていますので、当然そういう方々がかなり多いのではないかとは思っております。
○宮川委員 ありがとうございます。そうすると、先ほど7ページにあったようなドラッグストアショーも、かなり都心から離れているビッグサイトまで行くということは、実際には電車、ゆりかもめに乗っていらっしゃるという形で、かなり時間を費やして行かれるという方と理解してよろしいのだろうと思います。そうすると、11ページにある健診を受けない理由の中で、実際に磯部さんからお話があったように、ターゲットのマル1マル2で「時間がとれなかったから」という方、それからターゲットのマル1マル2で同じように「めんどうだから」という理由があるわけです。そして、「時間がとれなかったから」というのと「めんどうだから」というもののパーセンテージだけを見ると、「時間がとれなかったから」という人の中に「めんどうだから」という意識をされている方が35~39歳の範囲では4分の3入っているのです。ですから、そういう方が健診を受けないという人たちの理由の主なところです。今言ったように、神田の交流文化センターに行ったり、ビッグサイトに行かれる方は、それだけの時間を取られて行っているのですから、相当健康意識が高いというか、そういう欲求の高い方なのだから、健診を受けない方の理由のこういう表を出されたり、それから鹿児島のように健診をうけるという意味でいろいろな困難がある地域、すなわち一次産業に携わってなかなか受診することが困難であるという、漁師の方やいろいろな方の困難と、同軸で資料を出されるという意味は、私はよく分からないです。この整合性をどう取られるのかが非常に大きな問題であろうと考えます。ですから、このような資料を出されるときには、そういう中身をしっかりと検証されて、同じような軸の中で健診を受けない理由の方がいらっしゃるとすれば、果たしてその中身がどうなのかということを考えて、もし「時間がとれない」「めんどうだから」という形であれば、このようなビッグサイトや交流館に集まってくる方の調査と一緒になって論拠のように語られるのはどうなのかと思いましたので、御指摘申し上げました。
○小野部会長 ありがとうございます。OTC医薬品の関係者の磯部さん、何かありますか。
○OTC協会理事長 宮川先生、ありがとうございます。確かに、いろいろなシチュエーションの状態を持たれている方が、先ほどから申し上げているように、私どもの資料の3ページで、一応三つの類型を示させていただきました。確かに、この健康イベントに関しては、先生がおっしゃるように、そういう方が多いであろうとは思っております。その中でも、HbA1cがある程度高めの方でも、糖尿病の治療歴がないという方がおられるのも事実です。どうしても、いろいろな状況によって受診にうまくつながっていない方はいるだろうと思っております。それを、今回は幾つかの類型に分けて御説明をさせていただいているので、ある特定の類型の方だけが大事だということでは必ずしも言えないので、幾つかの類型に入られる方のニーズがあると。どちらにしても、なかなか気になっていてもかかられていないと。正直申し上げまして、薬局かドラッグストアのほうが、いろいろなことのついでといったら大変恐縮ですが、入りやすい方々もおられるとは思いますので、そういった方々のいいように、そこを一つのゲートウェイにして、こういう形を考えるということは意味があるのではないかと思っている次第です。
○宮川委員 ありがとうございます。そういう意味では、そのような広い中で拾ってくることはいいのですが、イベントの中で205分の2とか、154分の2というような形で挙げていくことが、同列に論拠として出されることは、確かに意味のないことで、そういう意味でのこのような実例を出されることは、ミステイクというかミスリードにつながるのではないかと思います。
 先ほど言いましたように、マル1、マル2、マル3という中で、非常に赤のマル1の所が大きいわけです。そういう所を拾うのにどうしたらいいのかということ、つまり、リテラシーの問題であったり、気づきの問題であったり、広くそういう意味では啓発することが大事なのです。そこにいたとしても、こういう「めんどうだから」とか「時間がないから」という人は、イベントやドラッグストアの中でそういうのがあったとしても、だからといってそれが受けるのかといったらなかなか受けないという中で、こういう取組をするよりは、OTC協会もチェーンドラッグストア協会も、もっとはるかにリテラシーを高める教育や啓発をもっと主眼にやっていただいた方が良いと思いますので、向く方向が違うのではないかと思ったので、少し御意見をさせていただきました。
○小野部会長 ありがとうございました。OTC協会等からは、何かコメントはよろしいですか。
○OTC協会理事長 いつも宮川先生から、そういう御指摘を頂いておりますので、重く受け止めたいと思います。私どもが提案しているのは、正しくヘルスリテラシーを高めることも非常に重要ですし、今のようなある意味できっかけづくりを、こういう検査薬を提供することによって、そういうことも大事です。なかなか一つに決めてスパッとはできないと思いますので、いろいろな取組を通じて、とにかく日本の国民、特に働き世代の方々で健診を受けられていない、なかなか医療につながっていないような方々をゲートウェイとしてヘルスリテラシーを高めること、またこのような選択肢を提供すること、そういったことを組み合わせながら、日本の国民の健康に少しでも貢献していきたいと考えております。
○小野部会長 ありがとうございます。それでは北澤委員、よろしくお願いします。
○北澤委員 北澤です。厚労省に聞いたほうがいいのかもしれませんが、こういった検査薬がOTC化された場合、広告はどのようなことになるのでしょうか。マスメディアへの広告がどのぐらいできるようになるのかについて、教えてください。
○小野部会長 では磯部様から、お願いいたします。
○OTC協会理事長 私ども協会のほうでも、広告の問題はいろいろやっておりますので、少し私が知っていることでお話をしたいと思います。基本的には、医療用というものについては一般人向けの広告ができないと。これは、医薬品についても検査薬についても同じです。OTC化をすることで、そのような一定の広告ができる形になります。その広告についても、多分宮川先生からいろいろ御指摘を受けるようなやり方でないような広告ということですが、一番適切に一般の方への普及啓発、情報提供ということで、きちんとした情報が伝わるような広告にしていかないといけないと思います。また、これが認められれば、そちらについてもどのようにやっていくのか、厚労省といろいろ相談しながら進めていきたいと思います。
○小野部会長 ありがとうございます。続いて、塩谷委員、お願いします。
○塩谷委員 消化器内科の立場から少しお聞きしたいのですが、先ほど大腸がん健診のお話がありました。少し趣旨とは異なりますが、この便潜血なども、こういったOTC検査薬化する予定はあるのでしょうか。
○医療機器審査管理課長 私からお答えいたします。便潜血のOTC化というのは、実は5年ほど前に部会で審議され、一定の了承を得たという経緯はあるのですが、学会の方からいろいろと御意見を頂戴し、それ以降、OTC化の手続は止まっているという状況です。学会の皆様方の御意見をよく聞いた上で、今後どうするのかということも含めて検討していきたいと思っている状況にあります。以上です。
○塩谷委員 ありがとうございます。今、大腸がんは非常に進行がんが増えて、特に女性を中心に増えています。注射針は使用しない反面、便による感染の問題はありますが、便のOTC検査薬化も検討いただければと思い発現しました。以上です。
○小野部会長 ほかに何か御質問、コメントはありますか。髙松委員、お願いします。
○髙松委員 日本薬剤師会の髙松です。先ほど、ヘルスリテラシーのお話が出ましたが、私どもも年に1回、「薬と健康の週間」に合わせて、各都道府県、地域で様々なイベントを開催しております。その中では、医師会の先生方とも協同して、自分の健康管理についての啓発もやっております。まず、こういうことは啓発することがすごく大事だと思うので、このようなイベントはこれからも続けてまいります。それから、健康サポート薬局として基準を満たした薬局もありますし、全ての薬局が健康サポート機能を持ってほしいということで、私どもは今働きかけをしております。そういった意味では、未病、若しくは早期の段階で、何か医師の方々につなげるようなきっかけを増やしたいと思っておりますので、御紹介をさせていただきました。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等はありますか。
○宮城委員 横浜市大の産婦人科の宮城です。先ほどの大腸がんの件は、やはり自治体の健診に組み込まれているので、自治体が受診者の名前や結果を把握しなければいけないということで止まったのではないかと推察したのですが、そうかどうかの確認です。
 それから、産婦人科医師なのですが、今厚生労働省で、次年度からできる自治体はということで、子宮頸がんの健診を細胞診からHPV検査への切り替えを開始しています。少し危惧しているのが、通販等でHPV検査の自己採取を民間でできてしまうのです。そうすると、結果が陽性でも、きちんと精密検査を受けたかどうかが分からないということになっていて、とても心配しています。そのようなネットでの問題をどのように捉えているか、お聞かせいただきたいと思います。少し本題から離れるかもしれませんが、教えてください。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。将来的な懸念ということになると思います。事務局から、お願いします。
○医療機器審査管理課長 まず、便潜血に関しては、学会の皆様から御意見を頂きますと、やはり自治体を通じた健診の仕組みがしっかり確立しているので、そこを大事にすべきではないかという御意見を頂戴しているというのは事実です。それと、仮にOTC化という話が出た場合に、そのいい点、悪い点と両方あると思いますので、そういった点全体を考慮しながら、学会の皆様方の御意見をよく尊重して、いろいろ考えていきたいという状況です。
 それから、HPVのほうは、詳しくはありませんが、やはり一定の検査サービス的なものが世の中にあるということは承知しています。検体の採取が適切なのかなど、様々な課題、問題があるとは承知しておりますので、そこに対してはしっかり情報を把握した上で、行政として取るべき対応をしっかり取っていきたいと考えている状況です。以上です。
○宮城委員 ちょっと懸念材料ですので、よろしくお願いいたします。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 宮川です。塩谷委員や宮城委員から、いろいろなお話が出ています。先ほどから何度もお話しているように、健診を受けない方々というのは、「時間がとれない」とか「めんどうだから」というような意識を持っている方がたくさんいらっしゃる。その中で、受診勧奨というものができなければ、適切に医療機関につなぐことができなければ、これは全く意味のない話なのです。ですから、幾ら検体測定室を含めて検査をやったとしても、そのような適切な指導、そして医療機関につなげるというようなことができなければ、塩谷委員や宮城委員がおっしゃったような不幸な事例がたくさん出てきてしまう。このことをしっかり考えていかないと問題だろうということは明らかではなかろうかと思っております。
 さらに、先ほどから言いましたように、不適切な広告がたくさんあります。そういう意味では、いろいろなネット環境の中では適切な情報、正しい情報というよりも、はるかに間違った方向、それから間違った治療に結び付くような、それから自由診療の中で金銭的なほうに導くような方向性になる広告というものが非常に多く見られるので、そういうことに関しても警鐘を鳴らしていかなければいけない、慎重に取りはからっていかなければいけないと考えております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。受診勧奨をどのようにこのOTC検査を通じて行っていくかと。磯部様、どうぞ。
○OTC協会理事長 ありがとうございます。私は全く同意見です。どちらかというと、受診勧奨という言葉が私は余り好きではありません。なぜかというと、お医者さんに行けと言うだけで終わるのかという問題です。それでは、どうやってその人が何を気にされていて、特にかかりつけ医をお持ちの方は当然いいわけですが、そういう方が必要になる場合というのは、そうでない所にかかりますから、その人の状況に合わせて、一番その人に適した医療機関を御紹介するとか、どういう医療機関で、例えば女医さんが良いとか悪いとか、どのような専門性を持っている方が良いといった、かなり細かいことをきちんとサポートすることが必要であって、実はそのサポートが鹿児島の事例、これはあくまでOTC検査薬の事例ではありませんが、そのサポートをしっかりやることで実はかなりよい医療につながるような形が出て、地元の医師会でもかなり評価を頂いているようなことも聞いています。そういったやり方は非常に重要になりますので、こういったことが認められれば、そういったこともしっかり我々のほうでも考えて、宮川先生に、これならよくやっているじゃないかと言われるようなことを是非考えていきたいと私は思っております。御指導をよろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございます。将来展望を含めて、どこにポイントを置くべきかということの一つの焦点は見えてきたということだと思います。ほかに御意見、御質問等はありますか。髙松委員、どうぞ。
○髙松委員 日本薬剤師会の髙松です。やはり、その方々を医療に結び付けるというのはすごく大事だと思っているのですが、その地域の医療提供体制をしっかり把握していないと、なかなか紹介に結び付けるのは難しいかと思います。
 今、資料を見させていただいて、OTC医薬品協会様の26ページのスライドにネット販売のことが少し書かれているのですが、ネット販売の場合にその地域への紹介などはすごく難しいのかと。この辺りの課題をもう少し解決しなければいけないのではないかと思っております。ここに書いてありますように、必要な説明をするときに「電話又はWeb等での説明」と書かれているのですが、私は電話ではなかなか説明しにくいのではないかと思っております。これだけオンラインが進んでいて、国もDX化を進めている中では、ネットで購入する方であっても画面上でいろいろ見ながらやり取りはできると思うので、どちらかというとそちらを優先していただければ有り難いと思っております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。将来的な一つのリテラシーを広げるための方策についての御意見を頂きました。大分時間がたってまいりましたが、そろそろ本日の御提案について、お認めするかどうか、整理をしていきたいと思います。今日は決議をするというよりは、頂いた意見を整理して、改めてそれに対応するような形での御提案を少しブラッシュアップしていただくということですので、貴重な御意見を頂きまして、どうもありがとうございます。以上で、この議題1の本日の審議については、終了いたします。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。それでは、以降の議論は非公開とさせていただきます。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を開始いたします。
――非公開案件の審議の準備――
○医療機器審査管理課長 それでは、準備が整いましたので、部会を再開いたしたいと思います。審議に先立ちまして、事務局から報告します。
○事務局 事務局です。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業について御報告させていただきます。資料4「競合品目・競合企業リスト等一覧」をお開きください。本日の審議事項に関する競合企業として、資料4に示す企業について、委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第13条より、議決に御参加できない委員はいらっしゃいません。以上、御報告いたします。
○医療機器審査管理課長 それでは、以降の進行につきまして、小野部会長、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ただいまの事務局の説明について、何か意見等はございますでしょうか。 よろしければ、これより議題に入りたいと思いますが、審議内容の関係から、順番を入れ替えて議題3から先に審議をさせていただければと思います。それでは、議題3「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」に入ります。まずは事務局から御説明をお願いします。
○事務局 事務局です。議題3について、資料3に基づきまして御説明させていただきます。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、いずれのクラス分類に該当するかについて、また、その保守管理に専門的な知識を要するものとして特定保守管理医療機器に指定するか否かについて、御審議いただいております。
 今回は、医療機器の承認に際し、一般的名称の新設が必要なものが1件ございます。1ページの「新設する一般的名称(案)について」を御覧ください。新設予定の一般的名称は「眼科用視野確保材」、その定義は「緑内障観血的手術時に、観察領域または処置領域に塗布することにより、視野の確保、観察及び処置の支援に用いるものをいう。」です。
 2ページに、新一般的名称が付される予定の品目概要がありますので、初めに2ページの図を御覧ください。本品は、外観図にありますとおり、自己集合性ペプチドSPG178塩酸塩を主成分としたゲル状の製品であり、緑内障手術における強膜弁作製時に本品を塗布することで、当該部位への血液の流入を防ぎ、術者の視認性を確保するものです。
 1ページの参考に記載されております類似の一般的名称としては、「自然開口向け内視鏡用視野確保ゲル」がありますが、こちらは消化器内視鏡検査・治療の際に、内視鏡の視野確保のために用いられる製品を想定しています。一方で、本品は、緑内障手術時の術者の視野を確保するために用いるものとなっておりますので、引用するGHTFルールが異なり、本品の承認申請に当たり、一般的名称を新設することとなりました。本品はクラスIII、高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については非該当と考えております。以上でございます。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御意見、御質問等はございますか。新しく一般的名称を新設するということで、緑内障の手術野の出血を防止して、視野を確保するためのゲルであるということですが、眼科だと山上先生が委員としていらっしゃいますが、山上先生、何か御意見ございますか。
○山上委員 目的が従来の使い方とは全く違っていて、眼科の手術の補助にななるので違う名前を付けているということで、これは問題ないと考えています。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。専門の立場から問題ないという御意見でしたが。それではよろしいでしょうか。特にほかに意見等ございませんので、議決に入りたいと思います。
「眼科用視野確保材」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。御異議のある委員の先生方は、挙手又は御発言をお願いします。
特に御異議はないようですので、そのように議決をしたいと思います。なお本件は、分科会にて文書報告を行うこととなっております。これにて議題3を終了いたします。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。次の議題に移る前に、参考人の先生を御案内することになっておりますので、少々お待ちください。サンプルを頂いているので、今の時間少し御覧いただく時間にしたいと思います。
――岡本参考人、山口参考人入室――
○医療機器審査管理課長 それでは部会長、よろしくお願いします。
○小野部会長 それでは、議題2「医療機器「DRシート」の製造販売承認の可否について」に入りたいと思います。議題2については、参考人として、独立行政法人労働者健康安全機構千葉労災病院院長の岡本美孝先生、国立大学法人東北大学大学院医学系研究科医学統計学分野教授の山口拓洋先生に御出席いただいております。それでは事務局より御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。資料2の1ページの専門協議委員一覧を御覧ください。本審査にあたりまして、こちらの4名の専門委員から御意見を頂きました。以降の説明は、資料2の3ページからの審査報告書に基づいて御説明いたします。ページ番号は緑色の通しページ番号、審査報告書のページ番号及び左に記載の行番号を用いて御説明いたします。また審査報告書に修正がありますので、机の上にお配りしている当日配布資料1の正誤表にてお示しています。本件、深くおわび申し上げます。
 まず初めに、品目の概要を御説明いたします。資料7ページ、審査報告書5ページ、1行目からです。以下、「本品」と言いますが、「DRシート」は季節性アレルギー性鼻炎の患者さんの症状緩和を目的とした○○○のシートです。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○酸化チタン組成物が、図1の○○のシートに塗布されています。
 次に、開発の経緯を御説明いたします。資料7ページ、審査報告書5ページ、28行目からです。本品の適応である季節性アレルギー性鼻炎に対する治療法として、○○○○による抗原の除去と回避を基本とし、対症療法として薬物療法等が用いられています。非臨床試験において、○○○○○○○○酸化チタンにより○○○○○○○○によって○○○○○○○○○作用が確認されたとして、アレルギー性鼻炎患者の症状緩和を目的に本品の開発が進められ、臨床試験において有効性が確認されたとして、本申請に至りました。
 本品は、後ほど御説明する臨床上の有効性に係る重要な問題点が解決されていないため、臨床試験成績を中心に御説明いたします。資料11ページ、審査報告書9ページ、1行目からです。本邦で2020年にHATS-03-01試験、2021年にHATS-03-02試験、2022年にHATS-03-03試験の合計3本の臨床試験が実施され、これらが本品の臨床評価資料として提出されました。以下、それぞれを01試験、02試験、03試験と言います。
 これらの試験の結果、01試験及び02試験では有効性が示されず、03試験で有効性が示されたとして、本品が申請されたため、本品の有効性評価において最も重要な03試験の試験成績を中心に御説明いたします。
資料23ページ、審査報告書21ページの11行目からです。03試験は、季節性アレルギー性鼻炎患者を対象に、被験機器と酸化チタン組成物を含まないプラセボである対照機器の有効性及び安全性を比較することを目的とした無作為化二重盲検並行群間比較試験です。本試験では、既承認のアレルギー性鼻炎治療薬と同様に、アレルギー性鼻炎の症状を評価するために、主要評価項目として、患者の自覚症状である「くしゃみ発作」、「鼻汁」、「鼻閉」及び「鼻内掻痒感」をスコア化した鼻症状合計スコア(4TNSS)が主要評価項目として設定されました。
 また、申請者は、先行試験である01試験及び02試験において、プラセボとの有意差を示すことができなかった点について、プラセボ効果が大きかったものと考え、3回目の試験である本試験では、プラセボ効果を軽減することを目的に、スクリーニング期であるI期及び治療期であるII期に使用する機器の外観を統一した上で、本試験がI期及びII期から構成されることについて、患者への通知を控えることとしました。また、先行試験のうち02試験は、花粉飛散量が少ない年に実施されたこと、及びコロナ禍による外出自粛下で実施されたことから、03試験では日常的に外出する機会がある患者のみを組み入れました。
 03試験の症例構成について御説明いたします。資料26ページ、審査報告書24ページの1行目の図4です。03試験では、無作為化された被験群○○○例、対照群○○○例のうち、被験群○○例、対照群○○例、合計○○○例が主要評価項目の解析対象とされた最大の解析対象集団(FAS)から除外されていました。申請時には、○○○例を除外した際の試験成績が提出されておりますので、まずその内容について御説明いたします。
 有効性に関して、資料27ページ、審査報告書25ページの項目(2)主要評価項目の結果を御覧ください。本試験の主要評価項目とされた「鼻症状合計スコア(4TNSS)の各日とベースラインとの14日分の変化量」について、被験群と対照群の間に有意差が示されました。
安全性について、資料28ページ、審査報告書26ページの項目(4)有害事象及び不具合を御覧ください。有害事象の発現割合について、表23のとおり、被験群と対照群の間に明確な差異はなく、また、不具合はスクリーニング期に1件、紐の破損が認められました。
 次に、総合機構における審査の概要を御説明いたします。まず初めに、審査報告書の本文中には記載しておりませんが、臨床試験の統計的原則が記載されたガイドラインであるICH-E9に基づくITTの原則について御説明いたします。ITTの原則では、無作為化後の脱落例や除外例などの不完全症例を解析から除外せず、割り付け時の群構成に基づいて解析することとされております。しかし、実際の臨床試験では、主要な登録基準を満たさなかった、被験機器を使用しなかった、無作為化後のデータが得られなかった、といった症例も発生し得るため、ICH-E9では、このような除くべき理由のある最低限の症例を除外した集団を「最大の解析対象集団(FAS)」と定義した上で、有効性の検証を目的とした臨床試験では、FASを用いて解析することとされております。そのようにする理由としては、不完全症例を含めた有効性の解析を行うことによって、後の実臨床での効果をより正確に反映することができるため、と理解しております。
 それではまず、申請者がFASから除外した症例について御説明いたします。資料30ページ、審査報告書28ページの表25です。詳細は後ほど御説明いたしますが、このような五つの理由により、被験群と対照群合わせて○○○例がFASから除外されていましたが、総合機構としては、いずれの除外も不適切であり、除外された○○○例を含めて有効性を解析することが適切であると判断しております。
 続いて、除外症例の詳細、及びそれに対する総合機構の判断について御説明いたします。資料33ページ、審査報告書31ページの29行目からです。除外症例1は、主要評価項目のベースラインスコアとして3日間のスコアを取得することにしていたものの、1日分のスコアが未入力であり欠損した症例です。申請者は、3日間のうち1日分のスコアが取得されていないため、主要評価項目のベースライン値を算出できないと説明しています。機構は、除外された症例は無作為化後のデータが存在するため、FASに含めることが適切と考えます。またベースラインスコアについては、得られた2日分のデータを用いて算出することで一定の評価は可能と考えます。
 除外症例2は、患者自身の評価において、ベースラインスコアが6点未満の症例です。申請者は、試験の目的は、中等度以上の季節性アレルギー性鼻炎患者に対する治療効果を評価することであるため、スコアが6点未満である軽度の患者は本試験の主要な登録基準を満たしていないと説明しています。しかし、本試験の選択基準では、ベースラインの患者評価のスコア結果に基づいて組み入れるものではなく、I期開始日及びII期開始日における医師評価のスコアに基づいて試験への組み入れを行うこととされており、被験群○○例、対照群○○例は、この選択基準を満たすことが治験責任医師又は治験分担医師により確認されております。そのため、機構は、FASからの除外は不適切と判断しております。
 除外症例3及び除外症例4については、まとめて御説明いたします。除外症例3は、鼻症状合計スコア(4TNSS)のベースラインスコアがI期開始日の医師評価スコアに比べ大きく上昇した症例、除外症例4は、I期開始2日間の鼻症状合計スコア(4TNSS)がI期開始日の医師評価スコアに比べ大きく低下した症例です。申請者は、これらの症例は適切に自覚症状を入力できていない被験者と考え、選択基準とされていた「自覚症状をePROに入力できる者」に該当しないと説明しています。しかし、これらの症例は患者日誌ePROに入力された4TNSSのデータが存在しており、また治験責任医師又は治験分担医師により本試験の選択基準に適合することが確認された上で組み入れられているため、FASからの除外は不適切と判断しております。
 除外症例5は、同意取得時以降に併用禁止療法、洗眼又は市販のマスクを使用した症例です。申請者は、併用禁止療法を使用しており、選択基準「同意取得以降にアレルギー性鼻炎治療を目的とした薬物療法または併用療法を中止できる者」に該当しないため、本試験の主要な登録基準を満たしていないと説明しています。しかし機構は、主要評価項目のデータは得られているため、FASからの除外は不適切と判断しております。なお、プロトコルに違反した症例であることから、PPSから除外することは可能と考えております。以上をまとめると、機構は、いずれの症例もFASからの除外は不適切と判断いたしました。
 次に有効性について、資料37ページ、審査報告書35ページの項目(2)本品の有効性について、から御覧ください。除外された○○○例を含めて解析した場合、主要評価項目の結果について、被験群と対照群の群間差は-○○○○○であり、p値は○○○○○○であったことから、対照群に対する被験群の優越性は検証できておらず、さらに臨床的にもその群間差は小さいものでした。したがって、本品の季節性アレルギー性鼻炎に対する有効性は示されていないと判断いたしました。
 一方、安全性については、資料41ページ、審査報告書39ページの1行目から記載しているように、01試験、02試験及び03試験において、被験群と対照群の間で因果関係が否定できない有害事象の発現割合に明確な差異はなかったこと、被験群において重篤な有害事象の発現はなかったことなどから、本品の安全性については特段の問題はないと判断いたしました。
 次に、後ほど参考人からもコメントがあるかと思いますが、本審査における専門委員からの御意見を紹介いたします。資料が前後してしまい、恐縮ですが、資料38ページ、審査報告書36ページ11行目からです。一部、要点をかいつまんで御説明いたします。
・申請者が先行試験で危惧した患者の不自然な恣意的とも疑われる影響を排除したいとするのであれば、試験実施計画書をよく検討すべきであったと考える。事後的な除外症例の設定、解析の変更は試験成績を恣意的に解釈した姿勢が疑われるものと危惧する。
・追加解析は妥当な方法で行われていないことなどから、HATS-03-03試験成績から本品の有効性は示されていない。
・従来の○○○○○○と比較してより高い有効性が示されれば、花粉症に対する自己管理に寄与するものとして意義はあると考えるものの、申請者が提示した試験成績から医療上の必要性に見合う有効性を本品が有していると判断することは困難である。
・多くの状況で、ICH-E9に従った本来のFASにより得られる試験治療の効果の推定値は、後の日常診療での効果を反映する可能性がより高いことが期待されるが、無作為化後の除外は意図的・非意図的な偏りの混入をもたらす可能性がある。
 次に、資料38ページ、審査報告書36ページの29行目からです。以上を踏まえ、申請者は除外症例3、4及び5については機構の意見を了解しました。しかしながら、除外症例1及び2については、FASからの除外は適切と説明しております。機構としては、先ほど御説明したとおり、除外症例1及び2についても、FASからの除外は不適切と考えております。また、資料40ページ、審査報告書38ページの16行目に示すように、プロトコルに記載された取扱いの基準を盲検下レヴューの際に緩和することは望ましくなく、試験開始後に、変更又は新たに規定する取扱事項が多いことは試験の妥当性を大きく損なう可能性があるものと考えております。
 以上の審査を踏まえ、総合機構は、資料41ページ、審査報告書39ページの32行目から記載しているように、本品の安全性は示されているものの、有効性は示されていないと判断いたしました。したがって、今般の申請における申請データパッケージでは、季節性アレルギー性鼻炎に係る使用目的に対する本品の承認は困難と考えております。
総合機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。引き続き、機器課のほうからお願いします。
○事務局 ありがとうございます。続きまして、参考資料1の御説明をさせていただきます。参考資料1をお開きください。こちらの資料は、申請者のDRC医薬株式会社から医療機器・体外診断薬部会部会長及び厚生労働省医薬局医療機器審査管理課課長宛てに提出があった資料です。
内容について簡単に申し上げますと、有効性解析対象集団の選択に関する見解及び臨床試験のための統計的原則(ICH-E9)に関する解釈が、企業や医療機器総合機構との間で異なっていること、また、類似薬効の既承認医薬品の承認審査では、複数症例の除外が医薬品医療機器総合機構において認められたものの、本品の審査では当該除外が認められていないことから、機構の審査内容には納得ができないと主張されております。また、同文書において、医薬品医療機器総合機構からは、取下げ、再治験、不服申立制度の活用等を打診されたものの、今後も医薬品医療機器総合機構が評価することにかわりないため、部会審議を希望する旨、記載がございます。本品に係る有効性解析対象集団の不適切な選択や、臨床試験のための統計的原則の内容については、先ほど機構の方から御説明がございましたので、「○○○○○○○○○○○○」と本品とでの除外症例に関する考え方の違いについて、機構より追加で御説明頂ければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 それでは機構より御説明いたします。申請者であるDR.C医薬から提出された文書において、○○○○の「○○○○○」が挙げられておりますが、○○○○○とDRシートでは状況が大きく異なるものと考えております。まず、○○○○○の臨床試験のデザインについて御説明いたします。○○○○○の臨床試験は、最長○○週の約○年間にわたる長期の試験であり、○シーズン目を主要評価項目として設定をしておりました。公開されている情報のみから、DR.C医薬は確認することが困難なところもございますが、機構で当時の申請資料の細部を確認する限り、FASから除外されたのは主要評価項目とされた○シーズン目のデータが記録されていない症例でした。○○○○○の臨床試験では医薬品の特徴を踏まえ、基本的に○シーズンにわたる効果を評価することとしており、○○○○が設定したFASからは、○シーズン目のデータが記録されていない被験者を除いているという状況です。しかしながらFASから除外された被験者を評価していないわけではなく、それらの被験者を含む○シーズン目の評価、つまりFASからの除外が少なく、得られた最大限のデータを利用した評価も行っております。また、結果として、○シーズン目と○シーズン目で一貫して有効性が示されております。さらに、DRシートとは異なり、被験群と対照群の群間差は約○○○程度と大きく、除外による影響はDRシートと比較して小さいものと推察されます。加えて、○○○○○では除外症例についてプロトコルで事前に規定されていた一方、DRシートではデータが収集された後の症例検討会でFASへの採否が決められております。また、GCP調査を踏まえて解析から除外されている点については、試験結果に関連するものではなく、申請資料自体の信頼性の問題であり、除外理由と試験結果は無関係です。
なお、○○○○○が審議された部会において部会委員からも質問があり、当時機構から回答したとおり、除外の有無にかかわらず優越性が示されていることが確認されております。一方で、DRシートの場合、○○○例の除外により結果が大きく異なる、つまり、除外前は被験群と対照群の間でほとんど違いが見られず、除外後にのみ有意となるような差が見られたことも問題点と認識しております。
以上のことから、○○○○○とDRシートでは状況が大きく異なっており、申請者が挙げた○○○○○は類似事例には該当しないものと考えております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、本日御出席の参考人の先生方から追加での御説明をお願いしたいと思います。まず最初に、岡本先生よりお願いいたします。
○岡本参考人 岡本です。よろしくお願いいたします。花粉症は、花粉によって引き起こされる鼻粘膜あるいは結膜で起こるI型アレルギー疾患です。特に、スギ・ヒノキ花粉症は患者さんの数も多く、国民病とも言われております。治療は、原則は、まず一つは、こういう花粉の回避、接触しないということ。その他の治療法としては薬物療法、これは最も広く行われております。また、そのほかに免疫治療、それから手術治療があります。花粉と接触しないことが最も大事なことだと言われていますが、実際にはなかなか難しい。もちろんスギ花粉の飛散がないような地域に移住すればいいのでしょうが、実際難しいので、マスクや眼鏡といったものが一般的に推奨されています。一定の効果はあるだろうと考えられていますが、エビデンスとしては十分な検討がされていません。海外においても、GARDによるガイドラインなどでもそのエビデンスがないというような評価になっています。ただ、一定の有効性は十分期待できるだろうと考えられます。
薬物療法も広く行われて、いろいろな薬剤も開発されていますが、患者さんの治療満足度が十分ではないことも課題になっています。免疫治療は舌下免疫療法が広まってきているということで、ある程度効果も強いことも確認され、治療後の病態修飾といったこともエビデンスとして出てきています。ただ、欠点としては、非常に治療期間が長いこと、どうしても効果が出ない人も2割は見られることも明らかになっています。
花粉症の治療評価は結構難しく、その背景の一つには花粉の飛散数によって非常に症状が違うこと、飛散数は年によって、地域によっても違うことです。また、患者さんのライフスタイルによって花粉にどれぐらい曝露されるかは大きな影響を受けるので、なかなか評価が簡単ではないということがあります。もう一つ評価を難しくしているのが、プラセボ効果が高いといったようなことがあります。例えば、小児で行った鼻噴霧ステロイド薬の有効性の検討試験では、私も関係したのですが、中等度以上改善というのが、実はプラセボの5割に認められていました。ただ、実薬の鼻噴霧ステロイド薬は8割ぐらいの効果があったということで、結果として有意差はついています。また、免疫治療、舌下免疫療法についてもやはりプラセボ効果は高く、プラセボ群で5割ぐらいの改善が見られるということが国内外の試験で知られています。ただ、実薬のほうがそれをはるかに上回る効果を期待できるということで、国内外で承認されているのが現状です。
今回のこの試験、特に03の試験で評価、有効性が証明されていないことと関連して、やはり除外したことは自然ではないと思います。プラセボ効果を排除するというのは簡単ではありませんし、また、本当にプラセボ効果かどうかの判断も容易ではありません。花粉の量が日によって違いますので、それに伴なって症状が大きく変化することは日常診療で認められます。症状が大きく動いたから直ちにそれがプラセボ効果と判断するのも非常に困難だと思います。
 また、○○○○○○○は試験を行うとかなりの花粉を通さないということは確認されています。○○○○○○もそうなのですが、○○○の問題は、やはり生活している以上○○するわけですし、○○もするわけで、どうしても○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○というのが大きな問題になります。ですから、今回のこの○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○というのは理解できるのですが、付着した花粉が一体どうやって○○○○○○○○○○○といったようなことも、本来は評価は難しいのではないかと個人的に思います。○○○○そのものは、今の○○○○○○○○○○○○○○○ことは証明されているのですが、それが実際の臨床ではパーフェクトではないというのは、先ほどお話しした通りです。それを今回の○○○が本当に改善しているのかどうかというのは非常に興味がありますが、御説明があったように、この臨床試験から評価するというのは難しいのではないかと考えます。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。それでは、続きまして山口先生からも御意見ございましたら、追加の御発言をお願いいたします。
○山口参考人 東北大の山口と申します。このような機会を頂き、ありがとうございます。私からは3点、特に統計学的な考え方から補足説明させていただければと思います。まず、機構さんのほうからも御説明ありましたITTの原則とか、FASの考え方です。先生方、釈迦に説法かもしれませんが、HATS-03-03試験ですね、ランダム化試験ということで、被験者を無作為に被験機器群と対照機器群にランダムに割り振るということで、いろいろな要因、結果に影響を及ぼすようないろいろな要因、背景要因とかがグループ間で均等に分布して、それをもって妥当な群間の比較が行えるということです。そこが可能となるというのがランダム化とか無作為化と呼ばれる方法論です。この性質を最大限に生かして割り付けられた群のとおりに解析されるべき、その原則が機構さんからも御説明があったITTの原則と呼ばれていまして、ランダム化試験においては主要な解析方針です。これはグローバルから見ても当然一番主要な解析方法ということになります。
 一方で、不適切な理由で被験者を除外して、その群間での比較可能性が崩れてしまうと、せっかくランダム化がうまくいって比較可能な状態ができているのに、その比較結果にやはりバイアスが生じてしまう可能性があるということ。当然除くべき被験者を除かなくてはいけないという状況もあるかもしれませんが、そのITTの集団から最低限被験者を除外できる状況、当然、限られますが、除くべき理由がある、そういう方を除いて解析する。その場合、その集団を「FAS」、最大の解析対照集団、Full Analysis Setと呼んでいます。本申請では、このFASへの被験者の選択に疑義があるということで、機構さんが審査されたというところです。説明は、先ほど総合機構さんからあったとおりで、本来除外すべきでない被験者がFASから除かれてしまいますと、そうすると当然結果にバイアスが生じる可能性があるということで、被験機器の評価が適切に行われていないという可能性が出てくるというのが、まず1点目の指摘です。
 それから2点目です。機構さんの指摘によって、申請者の方の共変量を追加した追加解析ですね。新たな追加解析を行ってきて、その成績をもって有意だと、差があるという御主張をされてたのですけれども、これはもともとプロトコル、治験実施計画書で規定された方法と同じ方法ではなかったわけです。事前に規定がなかった変数で調整して、それで結果を出してきています。いわゆる後出しじゃんけんではないですが、先ほどから、ICHの統計ガイドラインの話も出ていますけれども、プロトコルですね、治験実施計画書に予定された解析の結果のみが検証的であるとみなされる、これはグローバルの考え方です。先生方がお考えになっても当然そうかと思うのですが、なので、追加解析というのは飽くまで事後解析結果であって、検証という意味では、第III相試験、検証的な試験、検証的な結果とは考えにくいということになるかと思います。
 以上を踏まえまして、3点目です。HATS-03-03試験の結果ですが、被験者とかデータの解析上の取扱い、それから先ほどから議論になっていますFASとかのその解析対象集団の決定、それから事後解析、解析方法に関して、やはり方法論的な観点からは妥当とは考えにくく、頑健な結果も得られてないというふうに思います。結論として、本試験結果から被験機器の有効性が検証されたと判断できないというふうに、統計的な観点から考えております。私から以上になります。
○小野部会長 ありがとうございます。機構からは、今回、承認することは適切でないという審査結果が先ほど取りまとめられて、述べられております。後ほど、申請者からの意見も聴取したいと考えておりますが、ここまでの説明で、委員の皆様方から何か意見、御質問などございましたら、挙手お願いできればと思います。ズームの参加の先生方、それでは福山委員、お願いします。
○福山委員 国民生活センターの福山です。御説明には少しあったかもしれないのですが、基本的にこのⅮRシートを○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○と比べて有効性を出すその仕組みというか、機序というか、それはどういったふうになっていると考えればよろしいのでしょうか。その辺についてもう少し詳しく教えていただきたいのですけども。
○小野部会長 これは事務局のほうからお答えいただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問頂きありがとうございます。機構よりお答えいたします。こちらについては、○○○○○○○○○○○○○と説明されております。○○○○○○○○○○○○○○○○原理については、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○というふうに、申請者から説明を受けております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか、福山委員。
○福山委員 その部分については、○○○○○が花粉を○○○○というところは分かるのですけれども、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○と思うので、結局○○○○になるのか。そういったところの具体的なデータがあるのかというところですが、その辺はどうなのでしょうか。
○小野部会長 これは事務局のほうから答えられますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。実際に○○○○が発生しているというような非臨床データは得られておりません。したがいまして、○○○○○花粉がその後患者さんに○○されるか、そういったデータも現時点ではございません。以上です。
○小野部会長 要するに、花粉の○○○○は分かっていないということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○福山委員 はい、ありがとうございます。
○小野部会長 では永井委員、お願いいたします。
○永井委員 京大の永井です。既に機構や山口先生から御説明があったとおりですが、ICHガイドラインの解釈以前の問題として、基本はITTです。どうしても解析に入れられない、後から不適格が判明した、あるいはエンドポイントのデータがない、介入が行われなかったなど、例外的なものを除いたものがFASです。すなわち、基本はITTなのであり、余り議論の余地がないのではないかと思います。
 もう1点は、エフェクトサイズです。実際の差はほんの少しであり、臨床的に意味があるところまで達していない気がします。以上、2点です。ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに委員の先生方から御質問、御意見ございますか。佐久間委員、お願いします。
○佐久間部会長代理 今の委員の先生の質問にも関連するのですけれど、この有意に差があったという、○○○○と○○○○、この○○○○というのは、これは素人目に見ると意味がないぐらいの小さな値かなと思うのですけど。そのぐらいの判断を意味がない値と見てよろしいのかどうかということについてです。
○小野部会長 これはどなたへの質問ですか。
○佐久間部会長代理 専門委員の先生に伺えればと。
○小野部会長 では、これは臨床的なシグニフィカントするかどうかということですね。では岡本参考人、よろしくお願いします。
○岡本参考人 岡本です。なかなか評価が難しいですが、一般的には医薬品、抗ヒスタミン薬とプラセボを比べると有効性に10%弱有意差が出る、それから鼻噴霧ステロイド薬は15~20%出るとは言われています。そういったものと比べると今回の○○○はかなり低いですし、臨床的にどんな意味があるかというのはなかなか評価が難しいと思います。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見ございますか。ありがとうございます。それでは、先生方から御意見も頂いたところでありますが、先ほど触れましたが、申請者の意見も聴取するという上で、結論を得たいと思っていますが、そういう方向で進めてよろしいでしょうか。
 それでは、申請者の意見を聞くために本会場に参加を頂きます。なお、申請者の意見の後に、改めて質疑の時間を設けることにしております。審議に関する質問はお控えいただいて、申請者の意見についての御質問の時間としていただければと思っております。では、事務局のほう、準備をお願いいたします。
──申請者入室 ──
○小野部会長 それでは申請者の方より、審議品目に係る主張をお願いしたいと思います。その後、適宜、委員から質疑応答に御対応いただくことになりますので御理解いただきたいと思います。それではお願いいたします。
○申請者 DR.C医薬の申請者であるDR.C医薬株式会社の○○○○と申します。よろしくお願いいたします。この度は弊社の開発品目である「DRシート」の承認申請の可否に関し、本部会において御審議いただくことを、また、このような機会を設けていただきましたことを御礼申し上げます。
まず、DRシートを簡単に説明いたします。DRシートは、○○○○酸化チタンを塗布したシートから構成される○○○○の新規の医療機器製品です。このDRシートですが、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ことにより種々のin vitro試験により認められており、その結果は元理化学研究所の○○○○○との共同研究においても確認されました。この○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○され、アレルギー性鼻炎症状を緩和すると考えております。
 これらの成績をもとに、弊社は、20○○年から機構と綿密な相談を行い、また、機構からの指導を受けて、アレルギー性鼻炎患者に対する二つの探索試験、臨床試験を実施し、それらをもとに2022年2月から4月にかけて、検証的臨床試験を実施しました。 弊社は、検証的臨床試験の成績に関し、治験実施計画書及び統計解析計画書をもとに、症例検討及び分類を行い、DRシートの臨床的有効性が示されたことから、昨年3月3日に新規な医療機器としての製造販売承認申請をいたしました。
 次に、機構との意見の相違について、承認申請の直前直後から、特に有効性解析対象集団について、弊社と機構との見解が異なることが明らかになりました。この機構と弊社との見解の違いについては、○月○○日の審議のお願いと、○月○日付けの追加資料Aにて御説明をさせていただいております。重複しますが、要点を御説明します。併せて追加資料Aを御覧ください。
4点の項目に分けております。まず第一に、FASの取扱いの見解の違いです。弊社としては、治験実施計画書と統計解析計画書に従って、有効性の解析対象者として不適切な一定の症例をFASから除外したのは、ICH-E9に反するものではないと考えております。一方で、機構は、ICH-E9からすれば、割り付け後に投与がなされた症例は全症例をFASとして取り扱うことが通例とされているとの御主張でした。
 マル2、追加資料Aのマル1マル2にも記載させていただきましたが、弊社はICH-E9に沿って治験実施計画書並びに治験実施計画書の解析対象集団からの除外症例を定義し、会見前に作成した統計解析計画書では、治験実施計画書に定められた定義との対応関係を明らかにして除外症例を定めております。また、ICH-E9には、症例除外に関して、他疾患ではないと除外が認められないといったような極めて限定的な解釈をとることまでは記載されておりません。さらに、二次機能を持つ花粉症治療薬である○○○での臨床試験では、ICH-E9に記載のない症例も除外されて解析が行われていますが、この○○○の審査段階で、このことが特に問題視はされていませんでした。
 弊社としては、この取扱いの前提となるICH-E9の解釈を変更することが、何らかの機関で合意されたといったこともないと理解しております。また、弊社は、FASの取扱いに関して、複数の外部の統計専門家への聞き取り調査を行いましたが、各位、弊社の考えに対し、妥当又はおおむね合意との確認を受けております。
次にマル3、新たな有効性に関する通知の指摘です。審査報告書では、本品の有効性に関する機構の結論及び考察において、被験群と対照群間の4TNSSの差がおおむね○程度と、臨床的に意味のある最小の差は花粉の大量飛散年及び症例飛散年でそれぞれ○○○○○、○○○○○との報告もありといった記載があります。しかしながら、有効性を検討する際に、これらの数値を引き合いとして取り上げることは、承認要件でもない当該数値の意味が独り歩きしかねないとも考えております。なお、弊社が20○○年に初めて機構に相談してから、これまで一度もこういった数値を示されたことはありませんでした。
 マル4です。最後に、恣意的な解釈をした姿勢への疑念です。審査報告書には、専門委員の意見として、「事後的な除外事項の設定、解析の変更は試験結果を恣意的に解釈した姿勢が疑われるものと危惧する」という記述があります。しかし、弊社は、治験実施計画書において、開鍵前に解析の詳細を記述した統計解析計画書で除外事由を定めておりますので、事後的に除外事項を設定したり、解析を変更したりしたことはありません。また、当然、試験結果を恣意的に解釈するような姿勢で治験に臨んだことはありません。
 最後になりますが、機構が推奨している、無作為化された症例○○○例を有効性解析対象集団として鼻閉スコアについて統計解析計画書に従って解析した結果をお伝えしておきますと、DRシート群はプラセボ群に比較して有意な改善効果が確認されております。具体的な数値は追加資料Bを御参照ください。鼻閉スコアは、季節性アレルギー性鼻炎の主たる症状です。また、最新の鼻アレルギー治療ガイドラインでは、重症度を分類する際の評価項目にも用いられている重要なスコアになります。このような鼻閉スコアで改善効果が無作為化された○○○例でも認められたことからも、本品はアレルギー性鼻炎症状の緩和効果を有していると考えております。
以上、御審議いただきますよう、よろしくお願いいたします。御清聴ありがとうございました。
○小野部会長 御説明ありがとうございました。ただいまの申請者からの説明に関して、委員の皆様から、今の説明に対する御意見、御質問などありますか。なお、申請者におかれましては、事前にお伝えしているとおりですが、部会委員からの質疑に対する応答にとどめていただきたいということで、回答の仕方にも御配慮いただければと思います。委員の先生からいかがですか。
○佐久間部会長代理 データを見させていただいて、もともとのデータでの差が○○○○ということで、これが臨床的に意義があると。今日の説明の中では、薬等では○○○とか○○○とか、○○○○値が出ている。これがこの程度でも有効だと思えているということは、どう考えていらっしゃるかということについて御意見を頂けますか。
○申請者 私自身、○○○○医です。○○○○医が○○をするときに、アレルギー性鼻炎の方が多数おられます。その際に、全ての薬を投与することはできません。約1年間にわたって、やはり、お薬はやめようねと、非常に苦しい中で我慢を強いていて、解決手段が一つもないのが現状です。そういう中で一つでもあるのが有効性であれば、私は臨床的な意義があるのではないかと。今回の適応は○○○科に限ったと、まだそこまで言及するものではありませんが、今まで私どもは偶然にも様々な方から、もともと薬が飲めない、あるいは薬を飲むと眠くなって手術ができないという同僚、透析患者さんであるとか、薬がそもそも飲めない。あとスポーツ選手などではドーピング検査に引っ掛かるので薬が一切入らないと。そういったものに対する0に対して1になり得るものではないかということであれば、臨床的群間差が少ないものでも、私は医師としても臨床的な意味があるのではないかと考えております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに委員の皆様方ら御質問、御意見はありますか。
○佐久間部会長代理 もう一つよろしいですか。今回、全部の例を入れたとき、除外しないときには有意差が出なかった。今回、追加資料Bで出した新しい指標の「鼻閉」では差があったと。これは、この差が出た原因はどういうことにあると考えられるのですか。多分、指標をどう取ったかによるということだと思いますが、症状としてはどういう違いがこの差に現れたということですか。
○申請者 今まで過去に3回臨床試験を行っております。その際も、やはり鼻閉が一番群間差が出る傾向にありました。そのメカニズムに関しては、まだ解明しきれておりません。もちろん、アレルギー性鼻炎自体がどうして起こるかも100%は分かっていない昨今ですから、完全には分からないと思いますが、傾向としては1回目、2回目を通して、鼻閉が一番そういう差が出る傾向にあると。それを改善することによって、患者様は一番QOLが上がるのではないかと考えております。
○小野部会長 ありがとうございます。委員の先生からほかに御質問、御意見はありますか。
○永井委員 臨床試験の基本的なところとして、エリジビリティークライテリアというのは非常に厳格に運用されるものです。かつ、臨床試験の基本はITTが原則です。そうした中で、○○○症例のうち○○○症例も除外したら、当初に想定した対象集団からかなりずれてしまう可能性があり、臨床試験の信頼性が揺らぐと思います。ICHにどう書いてあるかの文言解釈は置いておいて、○○○例中○○○症例を除外することは、当初の目的から大分ずれる可能性があります。私自身は余り見たことがないのですが、この辺についてはいかがですか。
○小野部会長 申請者のほうからよろしくお願いします。
○申請者 私どもも、それ程ずれるとは当初思っておりませんでした。御存じのように、アレルギー性鼻炎はプラセボ効果、心理的効果が一番大きいものですので、私どもは、○○%ほどはずれるのではないかという専門医の先生の指摘もあったものですから、当初、1回目、2回目の治験のときは、○○○数十例でやっていたのですが、非常に明らかにというのもあれですが、これはプラセボ効果ではないかと。試験を開始する前後になって急にスコアが上がったり下がったりする人が非常にたくさん見受けられました。最終的に統計学的処理は、○○○数十例あれば十分ではないかという、○○%という判断を逆算して、私どもは○○○数例を入れて、○○○名ぐらいはプラセボ効果で脱落するのではないかというのを前提に、この疾患に関してはそういうものを1回目と2回目の治験で推定して設定したのですが、設定した結果、約○○例ぐらいは脱落の対象になってしまったと。その結果、○○○例が有効性の対象になったのですが、それは私どもとしては1回目、2回目は○○○例前後でやっておりますので、想定した数にきちんと落とし込めたのではないかというような考えを持っております。以上です。
○小野部会長 永井委員、追加で御発言はありますか。
○永井委員 ありがとうございます。ただ、適格基準は医師の評価ですよね。そのとおりに評価すると、これほど解析除外例は出ないのだと思いますが。
○申請者 統計解析を担当している○○と申します。先生からの御質問ですが、確かに医師の評価を基準に登録をしております。一方で、統計解析計画書のほうでは、これまで2回の試験の経験から、患者さんの評価でも値が短い1期の間のスクリーニング期間で、自分の症状を的確に入力できるかというところも、この鼻アレルギー、花粉症のアレルギーの評価としては難しいということで、統計解析計画書のほうでは、患者評価の点数に閾値を与えて、そして除外をしているという背景があります。
○永井委員 事情は分かりました。ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はありますか。それでは、ほかに今のところ御質問はありませんので、申請者の方には御退室をお願いします。ありがとうございました。
──申請者退室 ──
○小野部会長 それでは、これら質疑応答、説明の内容を踏まえて、何か委員の方々から御意見はありますか。これは臨床試験の在り方というか、除外の仕方というか、それの考え方が基本的に大分違っているのが印象で、委員の皆様方お感じになったことで、もちろん、これまでの治験を通じて、必要な患者数の規模を想定して、その上で除外がどのぐらい起こるかということを考えて、対象症例を算出するという、このnの考え方というのは確かにそのとおりなのかもしれません。事前の除外のプロトコルに明らかに記載されていないような基準をもって恣意的な解釈で除外を行っているというのが、機構の事務局からの御報告もありましたし、そこはITTとFASの考え方の、それをどのように最低限の除外をするのかといったようなこととも関わるということというふうに私も拝聴させていただきました。では富田委員、お願いいたします。
○富田委員 事実関係の確認ですが、機構にお聞きしたいのですが、今申請者がおっしゃった、全部をFASにした場合に、鼻閉スコアは僅かな差が出る、しかし、治験のプライマリーエンドポイントとして設定されたスコアには有意差はないという理解でよろしいのですか。
○小野部会長 事務局、お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えいたします。先生がおっしゃるとおり、鼻閉に関しては群間差が-○○○○○、p値が○○○○○○でしたが、主要評価項目として設定されていた4TNSSに関しては、有意差はありませんでした。
○小野部会長 ありがとうございます。富田委員、よろしいですか。
○富田委員 分かりました。ありがとうございます。
○小野部会長 それでは私から今度は事務局に質問です。この鼻閉スコアで評価するというのは、何かセカンダリーの副次評価項目として設定されていたものですか。
○医薬品医療機器総合機構 副次評価項目として「鼻閉」は設定されておりました。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに委員の方から何か質問、御意見はありますか。佐久間委員、お願いします。
○佐久間部会長代理 今の鼻閉の件ですが、前の経験で出やすい指標を選んだという言い方をされていた点が非常に私は気になりました。それを明確に質問に対しておっしゃっていたので、その点が少し気になりました。
○小野部会長 ありがとうございます。臨床試験のエンドポイントの置き方にも関わるという御意見だったと思います。ほかに御質問、御意見はありますか。事務局からですか、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 鼻閉に関して補足させていただきます。まず、4TNSS、今回四症状ありますので、恐らく申請者は4回統計的に検定をされていたものと思われます。繰り返し検定をしますと、p値が0.05を下回りやすい傾向がありますので、それによって、偶然、鼻閉に有意差が0.05を下回ったという結果が出た可能性もあります。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。これはむしろ山口先生にお聞きしたほうがいいと思いますが、四つの症状のスコアがあったときに、それぞれのスコアはお互いに相互作用があるので、その相互作用をどうやってうまくキャンセルしながら、最終的に有意差評価をするのかというのは、意外に難しい統計操作だと思いますが、何か先生のほうからありますか。
○山口参考人 今、先生がおっしゃったとおりでして、機構さんからも御説明があったとおりで、ほかに幾つかスコアがありますので、恐らくそちらの解析、検定も行って、多分、鼻閉が有意となったのかと。いわゆるノストラダムスの大予言と言いますか、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる的な捉え方もできなくもないと思いますので、そこはしっかり統計的な根拠、方法論に基づいて結果を出してきてほしかったところです。
 もう一点補足です。先ほど永井委員から御指摘があった点ですが、比較可能性の問題、それから数の問題だけではなく、そもそも○○○も除外されて、本来、選択除外基準で考えていたポピュレーション、対象集団が○○○も除かれて、そこがきちんと反映されているのかどうかというところ。極端なことを言いますと、全然違ったポピュレーションになっている可能性があるのではないかというところも御指摘されていて、その辺りもうまく御回答いただけなかったかなと個人的には思いました。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。それは他の委員の皆さんもお感じになっているところではないかと推察いたします。ほかに御意見、御質問はありますか。特にないようであれば議決に入りたいと思いますが、よろしいですか。それでは議決に進みたいと思います。
医療機器「DRシート」について、本部会として承認を与えないものとするということで差し支えないかどうかということですが、御異議のある委員の先生方は挙手又は御発言をお願いいたします。御異議はないようですので、そのように議決をしたいと思います。なお、本件は分科会で文書報告を行うこととなっております。
○北澤委員 一つ質問させていただいてよろしいですか。議決には異議はありません。今回こういったケースが、私が委員をさせていただいてから初めてなので、参考のために伺いたいのですが、こうした場合の審査報告書というのは、どこにも公開されずにそのままになるということですか。
○小野部会長 これは事務局側から御回答を頂けますか。
○事務局 事務局です。回答させていただきます。おっしゃるとおり、医療機器のほうでこういったものは初めてでして、取扱いは医薬品のほうを参考にさせていただいておりますが、医薬品のほうで一製品不承認になった事例がございます。こちらの事例について、不承認になった際の審査報告書は、機構のホームページで公開させていただいております。今回の件も、不承認となった場合には、そういった取扱いになるかと存じます。よろしくお願いいたします。
○北澤委員 ありがとうございます。これを読まれた方もいろいろ勉強になることもあると思いますので、是非、公開をお願いします。
○小野部会長 ありがとうございます。
それでは、審議の結果報告書として意見を取りまとめて、委員の先生方に御確認を頂くということにしたいと思います。事務局がこの意見を取りまとめている間、5分間休憩ということで少しお時間を取りたいと思います。よろしくお願いします。
──休憩──
○小野部会長 それでは、再開したいと思います。取りまとめた審議結果報告書(案)について、画面を御覧いただいて、事務局より読み上げていただければと思います。
○事務局 審議結果報告書について案を読み上げます。こちらは審議結果でございます。
令和6年3月11日の医療機器・体外診断薬部会の審議結果は次のとおりであり、この内容で薬事分科会に報告することとされた。本承認申請については、次の点から承認することは適切ではない。1.申請者から提出された臨床試験において、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○、適切な解析対象集団では有効性は示されず、季節性アレルギー性鼻炎に対する有効性は頑健性のある結果として示されていない。2.上記1により、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第23条の2の5第2項第3号のイに該当すると判断した。(参考)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第23条の2の5第2項第3号のイ、申請に係る医療機器又は体外診断用医薬品がその申請に係る効果又は性能を有すると認められないとき。
以上でございます。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、審議結果報告書(案)について、何か御意見はありますか。ありがとうございます。細かいことですが、改行が少しずれていますので、報告書の体裁を整えていただければと思います。永井委員、お願いいたします。
○永井委員 画面に出していただきたいのですが。適切な解析対象集団とありますが、その適切かどうかが論点なので、○○○○○○○○○○○○○という言葉がどこかにあったほうがいいと思い、もう一度見せていただきたくお願いしたところです。
○小野部会長 ありがとうございます。確かに、改めて読むと、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○、これが一つですね。次の「適切な解析対象集団では有効性は示されず」、これは○○○の話ですよね。なので、○○○が先にあって、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○という。確かに少し順番が逆のようにも感じられるかもしれません。
○永井委員 はい、ありがとうございます。
○小野部会長 事務局のほうからは、どうされますか。
○事務局 事務局の医療機器審査管理課です。今頂いた意見を踏まえまして、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○が行われていなかったということが分かるように、こちらの文は修文させていただきたいと思います。
○小野部会長 永井委員、どうもありがとうございました。ほかに何かお気付きになった点はありますか。それでは、適切な修文を行っていただくということで、審議結果報告書については、適切に修文された審議結果報告書についてはどういう形で委員には提示いただけますか。
○事務局 修文された審議結果報告書を、改めて提示させていただきます。よろしくお願いいたします。
○小野部会長 修文されたものが改めて提示されるということですね。ありがとうございます。それでは、以上をもって議題2を終了したいと思います。
○事務局 申し訳ございません。もう一つ御確認いただきたいものがありまして、お時間をいただければと思います。
○小野部会長 はい、どうぞ。
○事務局 お時間いただいて、申し訳ございません。こちらは本日21時から予定している報道発表資料の内容です。こちらの内容についても皆様の御意見を頂いて、御確認いただければと思います。
令和6年3月11日に開催された薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会において審議された「DRシート」については、承認することは適切ではないと判断されたところです。なお、審議の概要は下記のとおりです。1.審議結果。申請者より提出された申請データからは本品の有効性が示されていないと判断し、承認することは適切ではない。2.主な議論。(1)臨床試験のための統計的原則に基づく解析対象集団の解釈、(2)本品の有効性に関する主要評価項目等の結果の臨床的意義。3.今後の予定。薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会の審議結果を基に、厚生労働省にて不承認としての手続を進める。
以上でございます。お気付きの点がありましたら、いただければと思います。
○小野部会長 ありがとうございます。何かお気づきの点はありますか。
○医療機器審査管理課長 不承認の方向で手続を進めるというふうに修正してはどうかという意見がありましたので、そうさせていただければと思います。
○小野部会長 はい。では、不承認としてよりは、不承認の方向でということで。
○医療機器審査管理課長 不承認の方向でということで。
○小野部会長 やや柔らかい表現に修文するということのようですので。これは、私どもは細かいことは言わなくてもよいということですが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。これで本日の議題は以上となりました。事務局より、そのほかの連絡事項はありますか。
○医療機器審査管理課長 本日は、委員の先生方、遅い時間帯でいろいろ議論いただきまして、本当にありがとうございます。次回の部会の日程は、後日メールにて御連絡させていただきたいと思います。連絡事項は以上です。
○小野部会長 それでは、以上をもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会したいと思います。本日は大変長い時間、非常に重要な御意見、御質問を頂きまして、大変にありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 井上(内線4226)