2024年2月19日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和6年2月19日(月)18:00~

場所

厚生労働省専用第14会議室

出席者

出席委員(21名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理


欠席委員(2名)五十音順


行政機関出席者
  • 城克文 (医薬局長)
  • 吉田易範(大臣官房審議官)
  • 中山智紀(医薬局医療機器審査管理課長)
  • 鈴木洋史(医薬品医療機器総合機構審査センター長) 他

議事

○医療機器審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多用の中御出席くださいまして、どうもありがとうございます。現時点におきまして、医療機器体外診断薬部会委員23名のうち19名の先生方に御出席いただいており、3名の方は遅れてお入りになるかと思います。今のところ参加いただいている19名の方のうち13名はWebシステムで参加ということでございます。薬事食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしていることを御報告いたします。
 議事に先立ちまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任された委員はおられませんでしたので、御報告いたします。委員の皆様には、毎度書面で御提出をいただいておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 続けて、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、事務局から説明いたします。
○事務局 事務局でございます。本日の議題の公開、非公開について、説明いたします。平成13年の薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1及び2については会議を公開で行い、議題3以降の議題については医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。また、Webにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料をお手元に御用意ください。Web会議で御参加されている委員の皆様におかれましては、審議中はマイクをミュートにし、通信環境に支障等がない限りカメラオンでお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上でございます。以降の進行につきましては、小野部会長、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ただいまの事務局の説明につきまして、何か御意見等はありますか。特にないようですので、これより議題に入りたいと思います。本日は議題の3~5が審議事項、議題1、2及び6が報告事項となっております。それでは議題1「医療機器の承認基準及び認証基準の改正について」に入ります。それでは事務局より説明をお願いします。
○事務局 事務局より議題1「医療機器の承認基準及び認証基準の改正について」、資料1に基づき御報告いたします。今回、認証基準として改正2件、承認基準として改正1件を行います。
 まず、基準について御説明いたします。本法において医療機器はリスクに応じてクラスIからクラスIVに分類されており、比較的リスクの低いクラスII及び一部のクラスIII製品については、厚生労働省が認証基準を定めることで、厚生労働大臣が認定した民間の登録認証機関による審査・認証を認めております。
 また、承認基準では、後発医療機器の承認申請を行うに当たり必要な非臨床試験項目や各試験方法等を明確化しており、開発企業にとっては承認申請までのプロセスを効率的に進めることができるとともに、承認審査の迅速化を図っております。
 それでは、資料1-1を御覧ください。認証基準の改正について御説明します。1件目の「核医学診断用ポジトロンCT装置」です。令和元年に改訂された認証基準は全身用PET装置及び乳房専用PET装置を対象としており、頭部専用PET装置は認証基準の対象外としておりましたが、これまでに計3品目の頭部専用PET装置が新規承認されたことを受けて、適用範囲に追加する改正を行います。頭部専用PET装置は、全身用と比較すると検出器の径が小さく、省スペース化、コスト削減などを実現した機器となっております。
 資料1-2の1ページの表を御覧ください。こちらが、「核医学診断用ポジトロンCT装置」の基準案文となっております。使用目的又は効果として、赤字のように頭部専用PET装置の場合の記載を新たに規定しております。
 続きまして、2件目の「汎用針付注射筒」について御説明します。資料1-1の1ページ、下段を御覧ください。現行の認証基準では、2ページの図にある「針が取り外し可能な針付注射筒」を対象としておりますが、今回の改正では「針が接合された針付注射筒」を対象といたします。新型コロナウイルス感染症の状況下において、ワクチンの無駄削減を意図したデッドスペースの少ない針一体型の注射筒が認証基準の対象外となっていたことから、今後に向けて認証基準の対象とするために改正を行うものです。
 資料1-2の4ページ以降を御覧ください。こちらが「汎用針付注射筒」の基準案文となっております。同等性を評価すべき主要評価項目として、「接続する併用医療機器等からのデータ受信機能」等の三つの項目を規定し、使用目的又は効果は、「注射針等を用いて注射用医薬品を注入し、又は血液若しくは体液等を採取すること。」としております。6ページからは医薬局長が定める基準の通知案です。針が注射筒と接合している場合の規定には下線を引いて示しております。
 続きまして、承認基準の改正について御説明します。資料1-1の2ページを御覧ください。「インスリン皮下投与用注射筒等」の承認基準で引用している日本産業規格が改正されたことに伴い、その変更内容を反映するため承認基準の改正を行います。引用しているJIS T 3253において、エンドトキシン試験が削除された一方、薬事規制上引き続き留意が必要な事項であることから、基準にてエンドトキシンの評価に係る規定などを追加すること。また、針刺し事故防止装置を有する注射筒の要求事項に追加されたため、当該基準案にも追加する改正となっております。資料1-3にて改正予定の承認基準案を示しており、エンドトキシン試験については4.5にて新たに追記しております。
 以上、御説明させていただきました承認基準及び認証基準のパブコメを既に実施しており、内容を変更するような意見は頂いていないことを申し添えます。御報告は以上でございます。
○小野部会長 ありがとうございました。認証基準の変更が2件、承認基準の変更が1件でございましたけれども、委員の先生から何か御質問、御意見等ありますか。Webの先生方は挙手ボタンを押していただければ、こちらの方で指名いたします。よろしいでしょうか。
特に御意見、御質問等はないと見なさせていただきます。以上をもちまして、意見がございませんので、これで議題1は終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは議題2「セラミック製の歯科用インプラント材に係る評価指標作成事業の成果に基づき策定された医療機器の評価指標について」に入ります。それでは事務局より御説明をお願いします。
○事務局 資料2に基づきまして御説明させていただきます。こちらはセラミック製歯科用インプラントに係る評価指標ですが、令和4年度に実施されました評価指標策定事業で策定されたものです。資料2の1ページが、このセラミック製インプラント材の評価指標の策定を行った経緯です。背景として、歯科用インプラントについては、国内の既承認の製品がチタン製のものがほとんどですが、一方で、セラミック製の歯科用インプラントについて優位性があるということから海外で上市が始まっているということなど、今後、日本でも承認申請が見込まれる状態です。その中で、既承認品がチタン製のものがほとんどであり、セラミック製の歯科用インプラントの審査に係る知見が不十分であるという背景があるため、本事業において評価事項や評価するべき指標を示すことで、承認申請資料の収集、評価の迅速化を目的として、評価指標が作成されました。
 セラミック製歯科用インプラントにおける承認の現状ですが、アバットメントにはセラミック製の既承認品があるものの、インプラント体については、日本ではセラミック製の製品の承認がなく、また、歯科用インプラントの承認基準では、セラミック製のインプラント体が基準の適応範囲内に含まれていないということがあります。チタン製の既存の歯科用インプラントとセラミック製インプラントの差異としては、チタンに比べてゆっくりとした力への抵抗である静的な強度に優れることや、金属アレルギーに対応できるということ、また、チタンと違って色調の面での審美性に優れているという点があります。一方で、チタン等金属に比べて展延性がないことや、評価に資する前例に乏しく耐久性に優れるかに疑義がまだ残っているという状態です。
 2ページを御覧ください。こちらは評価指標のポイントについて概要で示させていただいています。本評価指標では、チタン製のインプラント材と比較して同等以上の安全性を求めるとともに、セラミック特有の性質について、適切に作製が行われているかというところの観点も評価するということで、品質に関する事項として、化学組成、微細構造、安定性、熱水安定性を、性能評価に関する事項としては、セラミック製インプラントに特有なものとしての破壊靭性、X線造影性についても確認を行うよう規定をしているというものです。
 3ページ以降が評価指標の本文です。こちらの評価指標については、法令上の基準ではなく、あくまで製品開発の効率化・承認審査の迅速化のための指標であることを最終行で述べております。
 評価指標の案の本文は4ページ以降です。こちらが先ほどの2ページの評価指標のポイントで触れた内容について記載されています。こちらの内容に基づきまして評価指標として公表させていただければと考えております。
こちらの評価指標の御説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様方から、何か御質問、御意見等はありますか。歯科用インプラント材に係る評価指標作成事業の成果となるわけですが、この歯科の分野に関わる先生方として、久保庭先生お願いいたします。
○久保庭委員 久保庭です。こちらの評価指標の内容については、特に意見はないのですが、インプラントの場合、生体親和性、それからインプラント周囲炎の発症程度等々を考える必要があるのではないかと思うのですが、こちらの評価に関してはどれくらいの期間で考えているのか御教示いただけますか。
○小野部会長 ありがとうございます。事務局の方から御回答お願いいたします。
○事務局 御指摘いただき、ありがとうございます。大変申し訳ありません、こちらの内容につきましては、チタン製の製品と比較したところのセラミック製の評価でございまして、チタン製のインプラントの方でも、生体親和性等についての評価は行うものでございまして、そちらにつきましては、評価指標内ではそこまで評価指標として示していないという状態です。評価に当たっては、この評価指標以外のところでの別個に評価を行うものとなっているものでございます。
○小野部会長 久保庭委員、よろしいですか。
○久保庭委員 はい、結構です。
○小野部会長 ありがとうございます。私の方から少し追加でお聞きいたします。これがチタン製の歯科インプラント材の場合にも、恐らくそれに準じた形での今回の評価指標作成に至っているのではないかと思いますが、そちらのチタン製の方のインプラント材でも、いわゆる生体親和性については特には触れられていないというような状況なのか、事務局の方で分かりますでしょうか。
○事務局 御質問いただきありがとうございます。チタン製のインプラント材につきましては、歯科用インプラントの承認基準、こちらの評価指標とはまた別のものですけれども、そこはございます。こちらの方ですけれども、使用材料と生体組織、細胞及び体液との間の適合性等につきましては、JIS T 0993-1、医療機器の生物学的評価と、JIS T 6001、歯科用医療機器の生体適合性の評価、こちらに基づいて試験等を行って、この規格に適合することが求められているという状態です。
○小野部会長 御回答ありがとうございます。そうしますと、評価指標とは別に承認基準というのが定められていて、そちらに盛り込まれているということになります。ありがとうございました。ほかに委員の先生方から何か御質問、御意見等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、ほかに意見がございませんので、議題2についてはこれで終了させていただきたいと思います。
○医療機器審査管理課長 それでは、以降の議論は非公開とさせていただきますが、傍聴の方はおられないようですので、引き続き審議を進めたいと思います。では事務局から報告をお願いします。
○事務局 事務局より御報告いたします。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業について御報告いたします。資料7、競合品目・競合企業リストの一覧をお開きください。現在投影させていただいております。本日の議事事項に関する競合企業として、資料7に示す企業について、委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第13条より、議決に参加できない委員は、議題3において、小野委員、佐久間委員、田中委員、富田委員、松宮委員が該当しております。また、議題5について、田中委員が該当しております。この際、御退出いただく必要はありません。以上、御報告いたします。
○医療機器審査管理課長 それでは、以降の進行について、小野部会長、よろしくお願いします。
○小野部会長 ただいまの事務局の説明について、何か意見、確認等ありますか。よろしいですか。特にありませんので、これより議題3に入りたいと思います。議題3「医療機器「PulseSelect PFA Loopカテーテル」及び「PulseSelect PFAジェネレータ」の使用成績評価の要否について」に入ります。事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より議題3について御説明いたします。資料3をお手元に御用意ください。1ページを御覧ください。通常、基本的な構造・原理、使用目的などが既承認品より明らかな新規性を有する品目については、承認の可否を部会にて審議いたします。本品は、12月医療機器・体外診断薬部会で審議された既承認品と同様にパルスフィールドを用いた肺静脈隔離による治療に用いられるものであるため、原理に新規性を有しません。また、本品と同一の原理の既承認品と比較すると持続性心房細動が対象疾患に追加されておりますが、アブレーションカテーテルにおいては持続性心房細動の適応を有する他の既承認品目が複数あり、使用目的に新規性を有しません。これらの理由から、本品において製造販売承認の可否を審議することは不要と判断し、使用成績調査の指定の要否のみを審議することといたしました。
それでは、本品の説明をさせていただきます。2ページを御覧ください。今回御審議いただく品目の概要となっております。販売名は「PulseSelect PFA Loopカテーテル」及び「PulseSelect PFAジェネレータ」です。申請者は、日本メドトロニック株式会社です。本品は、不可逆的電気穿孔法により心筋組織に焼灼巣を形成するために使用するカテーテル及び出力発生装置であり、パルスフィールドによるアブレーションによって、薬剤抵抗性症候性の発作性及び持続性心房細動の治療に用いられる機器です。
 本品の使用成績評価の調査期間については、既承認品と同様の考え方に基づきまして、計4年とすることが妥当と考えております。
御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは委員の皆様方から御意見、御質問等ありますか。今回は既承認品と、同等・同効の製品であって、新たな試験は要らず、使用成績調査を行うというものです。期間を4年ということです。これは既存品と同じであるということでした。いかがでしょうか。
○永井委員 後学のために教えてください。既承認品で、使用成績調査の指定の要否だけを審議するのは非常に珍しいことですが、何でここにわざわざ上がってきているのか。
○事務局 御回答いたします。既承認品がありまして、その後に使用成績調査のみを審議するということは珍しいことではないと理解しております。例えば、去年、11月に静脈ステントの審議がありまして、その後、1月に同様の製品として、静脈ステントが使用成績評価のみの御審議をいただいたと認識しております。
 使用成績評価に関しては、薬機法の方で、薬事・食品衛生審議会に意見を聴いて指定するものとしておりますので、こちらは部会に上げて審議いただくというものです。
○永井委員 ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかの委員の方々から何か御質問、御意見はありますか。いわゆるアブレーションデバイスの使用成績調査ということになるわけですが。よろしいですか。特に御意見、御質問等はありませんので、それでは議決に移ります。
医療機器「PulseSelect PFA Loopカテーテル」及び「PulseSelect PFA ジェネレータ」について、本部会として、使用成績調査は期間を4年として指定するということで、議決を取りたいと思います。御異議がある委員の方々は挙手、あるいは何らかの発言をお願いいたします。特に御異議はないとみなされましたので、そのように議決をしたいと思います。なお、本件は分科会で報告を行うということになっております。
 それでは、議題4の「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」に入りたいと思います。まずは事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 議題4について、資料4に基づき御説明いたします。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、いずれのクラス分類に該当するかについて、また、その保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否かについて、御審議いただいております。今回は、医療機器の承認に際し、一般的名称の新設が必要なものが2件あります。
それでは1ページの「新設する一般的名称(案)について」を御覧ください。新設予定の一般的名称は「脳血管用誘導補助器具」、その定義は「血管の屈曲等により通常のガイドワイヤでは脳血管内治療に用いるカテーテル等の誘導が困難な患者において、カテーテル等を誘導するために用いる器具」です。3、4ページに、この製品の品目概要があります。4ページを御覧ください。4ページに図を掲載しております。こちらの製品は、ニッケルチタン合金製のプッシャーワイヤであり、先端にアンカーの役割を持つ自己拡張型のステント構造、スタビライザー構造を有する製品です。
 3ページの「6.既存品との相違点」の欄を御覧ください。脳血管内治療におきましては、血管内での治療機器の送達時に、動脈瘤内へのカテーテルの迷入や高度屈曲血管におけるカテーテルの引っ掛かり等により送達困難となる症例が存在いたします。現状、このような送達困難症例に対しては、アンカーテクニックと呼ばれる手技が選択されております。アンカーテクニックとは、適応外使用にて、既存のステントリトリーバーやバルーンカテーテルなどを標的部位の遠位で展開し、足場とすることで、カテーテルを引いてたわみ等を解消する手技です。先に申し上げたように、アンカーテクニックを目的とした既存品はなく、現在、適応外使用されている状況であったことから、今般、本品がアンカーテクニックを行うための専用品として開発をされました。
1ページに戻りますが、アンカーテクニックにおける治療機器の誘導補助を目的とする医療機器のための一般的名称は存在しませんので、本品の承認申請に当たり、一般的名称を新設することになりました。
 本品は、クラスIV、高度管理医療機器に指定されるものべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については非該当、QMSについては該当と考えております。こちらの一般的名称については以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御意見、御質問等ありますか。IVRに使う補助デバイスの新たな区分、名称の創設ということになると思います。田中委員、お願いします。
○田中委員 奈良県立医大の田中です。2点お伺いしたいと思います。1点目は、脳血管用というふうに、血管の部位が指定されていますが、これは今後の状況から広がる可能性もあるように思いました。実は私は腹部専門ですが、こういうデバイスは非常に有効ですし、現に今はバルーンなどでそういうテクニックを代用することは仕方なくやっていることですので、この「脳血管」という言葉そのものが必要かどうかというのが1点目です。
 2点目は、ステント用の形状のデバイスは今回開発申請されてくるわけですが、形状は全く指定せずに、用途という認識でよろしいですか。その2点についてお願いします。
○小野部会長 ありがとうございます。それでは、事務局よりお願いします。
○事務局 御指摘いただきましてありがとうございます。初めに「脳血管用」と記載した背景については、現状、まずは脳血管内治療を目的とする製品を対象とした一般的名称として、今回新設をさせていただきました。例えば他の部位、腹部などになりますと、クラス分類がクラスIVではなくて、クラスIIIなどに該当するようなものもあり、一つの一般的名称に全てを含めるのは、現状少し難しいところもありまして、まずは開発が予定されている「脳血管用」を使わせていただきました。恐らく、今後、例えば、腹部の血管用や、そういったものが出てきた場合は、別に一般的名称を新設する、若しくはこの一般的名称内で読めるように定義変更するといったことを検討することになると考えております。
 二つ目に御指摘いただいた構造の点に関しては、おっしゃるとおり、用途のみを特定するという形にしております。背景としては、今回はワイヤ型の製品が申請されていますが、将来的に、例えばカテーテル型のものや、ほかの構造の製品が導入されることを想定して、今回も補助器具という形で、形については特に特定をしないような一般的名称を作らせていただいたという背景があります。事務局からの説明は以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。田中委員、よろしいですか。
○田中委員 はい、理解しました。承知しました。ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございます。先ほど富田委員が挙手をされていましたが、いかがですか。
○富田委員 田中先生の御質問と同じです。私どもも似たようなテクニックを使うことがあるので、部位を特定しないほうが有り難いと思っただけです。
○小野部会長 分かりました。ありがとうございました。そのほかの委員から何か御質問、御意見はありますか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 田中委員にもお伺いしたい専門的なところについてです。カテーテルの径並びにこのたわみを少し直すというか、そういうところは、やはり大きな血管よりは脳血管の方でないと、こういうような仕組みはより取りにくい、だからこそ、こちらを取ったのかどうか。実際には、事務局にも聞きたいのですが、このスタビライザーそのものが、先が特殊な形というか、私は最初理解がなかなかできなかったのですが、こういう形をしているのは、脳血管だからこそ特殊にこういうやり方、バルーンよりははるかにこちらの方が有利なのか。今、田中委員がおっしゃったように、普通であれば、大動脈とかそちらの方でしたら、別のバルーンとか、その方が手技的には楽なのかどうか。そういうことも含めて、脳血管という名称が付いたのかなと、私はそのように最初理解していました。今、田中委員からそういう御質問があったので、どのようにこれから考えたらいいのかということを、これは私の知識の補完というか、そういうことも含めて、お教えいただければと思います。よろしくお願いします。
○小野部会長 それでは、田中委員から最初に御説明いただけますか。
○田中委員 これはテクニカルに部位に関係なく、屈曲した血管から細い枝が出るときには、そこにガイドラインを引っ掛けるのに、非常に難しい角度で分岐している場合があります。ですので、奥で支えはアンカーにしておいて、ここに当て付けるように入れるということは、どこの領域においても有効なテクニックです。実際、腹部領域においては、バルーンでアンカーにして入れるという論文はあります。
 御質問いただいたステント形状のこれが、そういうことに使えるかどうかというのは、これは非常にユニークな発想だなと、私これは存じていなかったので、こういうものがアンカーになるというのが、かなりユニークなデバイスとして出たのかなと認識します。ですので、将来、これが本当に有効であれば、腹部用のものが同じ形状で出てきてほしいなということだと思います。
 最後に、腹部と脳血管で分けている理由としては、これは私の認識ですが、IVRのかなりのデバイスが脳血管用だけ特別に付いているのです。脳血管用のものを腹部に代用できないような形になっています。もう一度、腹部で取り直すというようなことに、保険上、されているように認識していますので、先ほど事務局の方から御説明があったように、今回は脳血管に限定するというのは、そういうことかなと思いました。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。事務局から何か追加はありますか。
○事務局 ありがとうございます。まず、このデバイスの構造ですが、こちらは、従来、脳血管内治療で使われている血栓をからめ取ってくるようなステントリトリーバーという製品がありまして、こちらの構造を参考に作られている製品です。ただ、そういった血栓を取ってくるデバイスとは違い、本品は何か治療を目的としたものではなく、あくまでもアンカーデバイスとして補助をするためのものですので、固定力や血管壁への安全性などを考慮した適切な軟らかいデバイスとして開発をしております。今後、企業によっては、バルーンカテーテル型などいろいろ出てくるとは思いますが、それは各企業の得意分野もありますので、まずはこの企業については、従来のステントリトリーバーを参考とした構造の製品を申請してきたという背景です。ほかの領域へのデバイスの開発について止めるものではなく、今後、そういったものが出てくれば、一般的名称の新設等を行うことはできると考えております。繰り返しになりますが、今回は脳に使える製品として開発がされてきたもので、ほかの部位に使えるものですと、リスク上、クラス分類が変わる可能性もあるということで、まずは脳血管用として一般的名称を新設させていただいたという背景です。事務局からは以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 ありがとうございました。つまり、スタビライザーの先端ではなくて、途中の所の金属の所に引っ掛けて、そこがアンカーというか、曲げる基点になって、そして、カテーテルの先端が少し横に向くというか、そして入るという、そういう認識でよろしいわけですか。つまり、スタビライザーがこのように入っていって、普通であればバルーンとかそういうものは先端を当てて、そこで曲げていくのですが、このスタビライザーは、スタビライザーの金属の途中の所に1回でも引っ掛かれば、そこから曲がっていくということで、挿口が変わる、細い血管のところに入るというふうに認識してよろしいのですか。
○小野部会長 これについては、恐らく田中委員から御説明いただいたほうが、より明確だと思います。
○田中委員 恐らく、これはフルエクスパンドした写真が載っていますが、ある程度エクスパンドせずに、血管の、要は送行を遮断するという形で当てる、バルーンの代わりのようなことになると思います。宮川委員がおっしゃったとおり、ステントのメッシュの先端の方は全く使わずに、手前側に押し当てて入れるのではないかと想像します。
 先ほど事務局から御説明があったみたいに、血栓回収デバイスとして、非常に軟らかいステントで、血管壁にやさしいという意味で、この距離はあえて作って、摩擦抵抗と言いますか、奥にずれにくいためにこの距離を取っている。このステント部分が短いと、恐らく、スパジャーゴースという、拡張力を強くしないと余計に動いてしまいますので、恐らく長くすることで軟らかさを保っているのかなと想像します。以上です。
○宮川委員 田中先生、つまり、先端の所が非常にメッシュが強く、密が高いのですが、その手前側の所から入るというふうに考えると私も思ったのですが、そういう考え方で、図2のスタビライザーの拡大図の所で見ますと、網の目が粗い所で結局は曲がっていくという、そこが基点になると考えてよろしいのですか。
○田中委員 そのように思います。
○森田委員 よろしいですか。私は脳血管内治療の専門医ではないのであれですが、基本は脳の血管というのは、動脈瘤もですが、コイルを入れたり、治療するときに、90度以上曲がってかなり行きにくい場所、カテーテルを誘導しにくい。脳動脈瘤に関しては、最近ステントアシステッドコイルと言って、ステントを置いて、母血管の方に置いて、ステントの網目の中からカテーテルをちょこっと入れると、すごく安定して、そこから入れやすい。ただ、ステントを母血管にそのまま置いておくと、そこから血栓が飛んだりするので、形としては、それを外してもいいような形にしたのだと思います。コイルだけ詰めて、ちゃんと動脈瘤の中にカテーテルを向けられるように、網目を通して向けられるようにしてコイルを入れる。若しくはカテーテルを更に末梢血管に持っていって、それが済んだら、多分、ステントごと回収してしまう、デバイスとして使うということで、屈曲の強い所にカテーテルを通すのに非常にやりやすい道具として、多分、そういうことを思い付いた脳血管内外科医がいたのだと思います。それでこれを開発したのだと思います。
○小野部会長 ありがとうございました。非常によく分かりました。ほかに御質問、御意見等ありますか。ありがとうございました。
それでは、特に追加の御質問、御意見はありませんので、議決に移ります。「脳血管用誘導補助器具」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないということで、よろしいですか。これは分類の問題ですね。特に御異議はないだろうと思います。
ひとまずここでこれは終了して、次の「逐次型空気圧リンパ流促進装置」についての御説明をお願いします。
○事務局 こちらは資料4の5ページにより御説明させていただきます。こちらの「新設する一般的名称(案)について」を御覧ください。新設予定の一般的名称は「逐次型空気圧式リンパ流促進装置」で、その定義は「リンパ浮腫の非侵襲的治療に用いる用品をいう。リンパ浮腫の軽減を目的に患肢、体幹又は両方を圧迫し、リンパ流を促進する。本品は複数のチャンバからなるスリーブと空気を供給する本体からなる空気圧ストッキングであり、各チャンバが逐次的に膨張・収縮する。通常、病院又は施設で用いるものであるが、医師の指導の下で在宅でも用いる。」です。
 7ページを先に御覧いただければと思います。こちらは新一般的名称が付される予定の品目概要ですが、販売名は「リミティ」、申請者は株式会社テクノ高槻です。本製品は、本体、スリーブとして、片側ブーツ、両側ブーツ、パンツ及びアームで装着する器具と空気を送る本体から構成され、空気圧によって末端から中枢に向けてマッサージするような形で空気圧によるリンパ流促進を行う製品です。
 8ページを御覧ください。こちらは外観の図ですが、空気を送る(1)本体と、装着をする部分としての(2)スリーブでして、片側ブーツ、両側ブーツ、パンツ、アームがあります。
 戻って5ページの下部です。類似する既存の一般的名称のいずれにも該当しないと考える理由の所ですが、類似する一般的名称には、「逐次型空気圧式マッサージ器」や「弾性ストッキング」がありますが、「逐似型空気圧式マッサージ器」は、静脈の血行促進を目的として四肢を圧迫するものです。こちらの「逐次型空気圧式リンパ流促進装置」は、リンパ流促進でリンパ浮腫の軽減を目的とすること、また四肢だけではなく胴体にも圧力を加えることの差異がありまして、別のものであり、新設が必要と考えております。
 6ページで、また、「弾性ストッキング」については、四肢の静脈血、リンパ液のうっ滞の両方を軽減、予防する器具ではありますが、こちらは非能動型、電源等のないものでして、本品目、「逐次型空気圧リンパ流促進装置」は能動型機器であるという点で異なりますので、これらをもって、今回、一般的名称の新設が必要だと考え、新設をすることになりました。本品は、クラスIIの管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器及びQMSについて該当と考えております。
説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○小野部会長 御説明ありがとうございました。それでは、委員の方々から、御質問、御意見等を承りたいと思いますが、いかがでしょうか。宮川委員。
○宮川委員 宮川でございます。本体のポンプの所ですが、ここには挿入部分として空気圧が徐々に末梢から変わるように、これは六本か何か束ねた形で、六本別な形になっているのですが、それを逐次圧を変えていくという概念でよろしいのでしょうか。つまり、末梢から中枢にかけて圧が変わらなければ、リンパ流というのはある程度促進するとか、流れをよくすることはできなくて、均一に掛けてしまう、全て圧迫するわけですが、この本体とスリーブの部分、六つの管があるのですが、この六つの管が圧を全部変えると、そういう概念でよろしいのでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。御指摘のとおり、これがそれぞれ六本別々に、チャンバが、膨らませる場所が複数ありまして、一度にそれを膨らませるのではなく、それぞれが奥から順番に、末端から押し流すように圧力を掛けられるということになっております。
○宮川委員 ありがとうございます。
○小野部会長 どうもありがとうございます。ほかに御意見、御質問等はありますか。河野委員、よろしくお願いします。
○河野委員 河野です。今、これは静脈とリンパと対象が違うから新たに設定するということなのですが、基本的には原理的に全く同じもので、これまでにある一般的名称が「マッサージ器」という名前で、今回のが「リンパ流促進装置」で、ほとんど原理が同じで、対象が四肢だけでなく体幹も入ることと対象がリンパということで、新たに何か設定するというのは少し違和感あります。これは「逐次型空気圧式マッサージ器」の中に体幹を含めてリンパも含めるというほうが包括的で、新たな特定なものを作るよりも現実的なように思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○小野部会長 では、事務局から御回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。まず確認をしたいのですが、現実的というのはどのようなことか、質問としてお聞きしたいのですが、お願いできますか。
○河野委員 もう一度繰り返しますが、原理的にも同じ作動メカニズムで、目的とするものも圧によって液体を流すというもので、ほとんど同じもので、体幹が入ることと、相手にリンパが入るということで、それを全く別のものとして新たに区分するのは非常に違和感があるように思うのですが。わざわざ、しかもマッサージ器という名前から外して、今度はリンパ流促進装置という名前を新たに付けていることが、ほとんど同じ機序で同じ目的で使うものに、新たに一般的名称を付けるというのが、何か余計なように感じたので発言しました。
○医薬品医療機器総合機構 これは一般的名称の新設がどの基準で行われるのかについて、こちらからは回答をしかねるところではあるのですが、一応、今回の話で考えていたのは、まず適応が違うことが明白であるので、そこの点について線は引くべきかと考えた次第です。
○事務局 同じような原理であったとしても、対象者、それから使い方、そういったものが全て違うことになりますので、そこで一般的名称としてのカテゴリーは異なるべきものと考えた次第です。
○河野委員 分かりました。皆さんが私の発言で余り意味を感じないのであれば結構ですが、何か、「逐次型空気圧式マッサージ器」という名称に今回のものも含まれるような印象があったので、それの定義を変えるのではなくて新たに作るというのが、私は違和感があったので発言しました。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。事務局から何かまた追加で御発言はありますか。
○医療機器審査管理課長 新たに一般的名称を新設することになった経緯ですが、逐次型空気圧式マッサージ器が対象を比較的広く使用されていて、リンパ流促進という形での差別化というか、しっかり別の装置としての差別化を図りたいという趣旨が、承認をするに当たって、検討するに当たってあったという経緯があると私は理解しています。最初、私も、逐次型空気圧式マッサージ器の定義を一部変更すればそれで含まれていいのではないかという話は出しました。いろいろ話し合いましたが、やはり一般的名称として、別ものとして、器具として別なものとしての差別化を図りたい趣旨があるのだということで、私は一般的名称を別に定めるということで、一応の納得をした形で、今日審議を頂いているという状況です。
○小野部会長 まだ追加でありますか。では事務局お願いします。
○事務局 事務局です。追加的なところですが、今回、「逐次型空気圧式リンパ流促進装置」という一般的名称を作るに当たりましては、「逐次型空気圧式マッサージ器」の所には記載してないものとして、新たに「通常、病院又は施設で用いるものであるが、医師の指導の下で在宅で用いる。」というところで、あくまで医科用で、医師が診断して、その上で使う必要があるものであるということを明確化させていただいております。これの背景といたしましては、「逐次型空気圧式マッサージ器」において、こちらにつないで、あくまで静脈に対して使用するものという側面があるところであるものの、こちらについて不適切に使用されてしまっているケースがあるという報告もありまして、その観点からも「逐次型空気圧式リンパ流促進装置」というところで新たに新設をいたしまして、こちらについてはちゃんと医師の診断の下、病院又は施設で用いる、あるいは、在宅で用いる際には医師の指導の下で使用するということを明確化することで、こちらの内容として検討していたものです。
○河野委員 承知しました。ありがとうございました。
○小野部会長 ありがとうございます。座長の私が少し追加をさせていただきますと、これは、AMEDの医工連携イノベーション推進事業で審査したデバイスです。この開発をされた方は、○○○○○○○というのを、○○○○○○○○解析して、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○検討して、○○○コンパートメントに分けていますが、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○、あるいは患者特性に合わせた形での圧の掛け方を段階的に掛けるということで、単に下から上にもみ上げるという従来型のマッサージとは全く違うという特徴を備えていることだと、私は○○○○○○○○○○理解しておりますので、恐らくそういったところが、医師の処方が必要な、いわゆる特定保守管理医療機器に該当するだろうという判断に至っているのだろうと思います。追加でございます。ほかに質問等はありますか。
○事務局 部会長、失礼します。清水先生がお手を挙げています。
○小野部会長 失礼しました。では、清水委員、お願いします。
○清水委員 本質とは全然関係がないところですが、7/8ページの表の「6.既存品との相違点」の中に「抹消から中枢に向けて」という表現があるのですが、「抹消」の漢字が間違っていましたので、修正をお願いします。
○事務局 御指摘していただきまして、ありがとうございます。すみません。
○小野部会長 御指摘ありがとうございます。ほかに御意見、御質問等はありますか。よろしいでしょうか。それでは、「逐次型空気圧式リンパ流促進装置」を管理医療機器として指定して、特定保守管理医療機器としても指定するということでよろしいでしょうか。御異議のある委員の方々は、御発言あるいは挙手をお願いします。
特に御異議はないと思われますので、そのように決議をしたいと思います。なお、本件は分科会にて文書報告を行うこととなっております。以上をもって議題4を終了します。
 それでは、議題5の医療機器「冷凍手術器 Visual-ICE」を希少疾患用医療機器として指定することの可否について、入りたいと思います。まず、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 議題5、資料番号5、「冷凍手術器Visual-ICE」を希少疾病用医療機器として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。
 まずは希少疾病用医療機器の指定制度につきまして、簡潔に御説明させていただきます。本制度は、医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないことにより、本邦での開発が進んでいない製品に対して、その開発を促進することを目的とした制度です。
 希少疾病用医療機器の指定基準は三つあります。
一つ目として、用途に係る対象者数が本邦において5万人未満であること、ただし、その用途が指定難病の場合は人口のおおむね1,000分の1程度であること。二つ目として、重篤な疾病を対象とするとともに、代替する適切な医薬品等又は治療法がない、あるいは既存の医療機器等と比較して、著しく高い有効性又は安全性が期待されること。三つ目として、対象疾患に対して、当該医療機器を使用する根拠があるとともに、その開発に関わる計画が妥当であることを認められること。これらの三つの指定要件に合致するものを厚生労働大臣は希少疾病用医療機器として指定を行います。
 なお、この指定が直ちに医療機器の製造販売承認に結び付くものではなく、今後、製造販売承認申請がなされた際には、新医療機器として、本品の機能や有効性・安全性について本部会で審議を諮ることとなります。
 それでは資料5に基づきまして御説明させていただきます。本品の名称は「冷凍手術器Visual-ICE」、予定される使用目的又は効果は「生体組織を凍結・壊死させる冷凍手術器である。適応症は結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫である。」です。申請者はボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社です。
まずは資料のページ26を御覧ください。本品の原理の概要について御説明いたします。本品は、ニードルを生体内に穿刺し、高圧アルゴンガスを使用してニードルの先端部を低温状態にし、周囲の組織を凍結・壊死させる冷凍手術器となります。
 次に、希少疾病用医療機器の指定要件への該当性について、医薬品医療機器総合機構の事前評価報告書を用いて御説明いたします。お戻りいただきまして、資料ページ3を御覧ください。まず、対象者数について御説明いたします。結節性硬化症、略して(TSC)と呼ばれるものですが、多様な器官に過誤腫と呼ばれる良性腫瘍が形成される希少疾病で、指定難病にも指定されています。本品は、TSCに伴う腎血管筋脂肪腫(AML)を対象としており、TSC-AMLを有する患者数は、約7,500人未満と推計されております。以上のことから、希少疾病用医療機器の指定基準である5万人未満の条件を満たしていると考えております。
 次に、医療上の必要性について御説明いたします。TSC-AMLは、10歳代で出現頻度の増加や、腫瘍径が急に大きくなることがあり、特に若年の女性に多く発症するため、治療開始時においては、妊娠の可能性を配慮する必要がある疾病です。現在、TSC-AMLの標準治療は動脈塞栓術や外科手術ですが、AMLの増大抑制、AMLの破裂予防、腎機能保持の三つの観点で十分な治療効果が得られていないことに加えまして、外科手術を繰り返し行うことは技術的に困難という課題があります。また、平成24年に薬物療法として、mTOR阻害薬であるエベロリムスが承認されておりますが、腫瘍の成長を抑制する効果にとどまっており、投与を中止するとAMLが再増大するため、副作用を加味しながら服用を継続する必要があり、また、エベロリムスは妊婦等に禁忌となっています。
 本品は、高圧アルゴンガスを使用してニードル先端部を低温状態にし、周囲の組織を凍結・壊死させる冷凍手術器であり、外科手術より低侵襲で、腎機能への影響が小さく、一時的に薬物療法を中断することもできるエビデンスもあることから、副作用による患者負担を軽減することが期待でき、かつ、妊娠を希望する女性においても高い安全性が期待されます。以上のことから、医療上の必要性も高いと考えております。
 最後に、開発の可能性について御説明いたします。本品は、令和2年に小径腎悪性腫瘍への適応が承認されており、腎腫瘍への使用については、安全性が認められている治療となっております。また、TSC-AMLを有する16歳以上の患者を対象とした臨床研究におきまして、凍結療法施行9か月後におきまして腫瘍縮小傾向が認められています。以上のことから、開発の可能性についても該当していると考えております。
したがいまして、希少疾病用医療機器の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは委員の方々から御質問や御意見等はございますか。宮川委員どうぞ。
○宮川委員 このシャフトを挿入するのは、腎生検と同じような形で人体に挿入すると考えてよろしいですか。体内への到達の経路というのは、これは後腹膜臓器ですので、そのように考えるしかないのだろうと思いますが、いかがなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そのようにお考えで問題ないかと思います。
○宮川委員 ありがとうございます。それから、このシャフトのところなのですが、印象としては非常に長く見えるのですけれども、実際に熱交換器の所のサイズというのがシャフトに比べて短くなっているのですが、どのくらいのサイズなのでしょうか。つまり、シャフトがあって、熱交換器があるわけなのですが、その間、19ページと20ページでは、20ページの方は真空構造、中空円筒というのがあるのですが、その前の19ページには書いていなくて、そのものの所は熱交換器の所が二つ形状があるのですが、それはそれぞれ腫瘍のサイズによって違うのか、それから冷却能力というものがどのように関係しているのかということをお聞きしたいと思います。
○小野部会長 事務局からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から回答させていただきます。おっしゃるとおり、熱交換器の長さとニードルの長さに差分があるかと思います。宮川先生のおっしゃるとおり、ニードルの長さによって凍結のアイスボールの直径の大きさがそれぞれ異なります。ニードル長が長いものほどアイスボールの直径は大きくなりますし、ニードル長が短いものほどアイスボールの直径が短くなるというように御理解していただければよろしいかと思います。
○宮川委員 それでは、ニードルと、それから真空のところがあることによって、真空のところのは、つまり温度というのは下がらないと。シャフトの所が結局は温度が下がってくるのですよね。ノズルの所です。シャフトの所でなくて、ノズルの所で、熱交換器と書いてあるのですが、熱交換部の所の熱が下がってくるというだけで、シャフトは温度は変わらないという認識で、それによって、熱交換器が1個のものと2個のものと分かれているわけですが、それは腫瘍のサイズによって変わると考えてよろしいのか。熱交換器の一つの所は何センチ何ミリのものなのか何も書いていないので、腫瘍のサイズも含めて、本当に細かい作業ができるのかどうかということでお聞きしたわけです。熱交換器の部のサイズを知りたいということです。
○事務局 今回、オーファンの指定に関する審議でございまして、品目審査ではないため、細かい数字について企業から頂いておりません。承認申請の際には、その辺の内容も確認した上で審査を進めていきたいと思っています。
 また、先生から御質問いただいたとおり、今回、使う予定のあるニードルというものは3種類ありまして、真空構造がない熱交換器が一つのものと、真空構造が付いていて熱交換器が一つのもの、真空構造が付いていて熱交換器が二つのものがあります。それぞれ三つのものについて、やはり能力が違うということなので、腫瘍径の大きさによって使えるものが変わってくるという形になっております。
○宮川委員 ありがとうございます。では、熱交換器の大きさというのは、また変わってくる可能性があるということでしょうか。つまり、申請のときには、いろいろな熱交換器のサイズによって腫瘍というものに対する対応が変わってくると思うのですが、それに関しても何も書いていなかったもので、ただ想像でしかないということで、申請のときにはしっかりと議論をしなければいけないのだろうと思いますが、そのように理解してよろしいのでしょうか。原理原則だけで、これをある程度認めるというわけではないですけれども、了解してくださいという話ということでいいのでしょうか。
○事務局 先生の御指摘いただいたところにつきましては、企業から承認申請があったときに、しっかり審査させていただきたいと考えております。
○宮川委員 ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに御質問や御意見等はございますか。永井委員どうぞ。
○永井委員 京大の永井です。この機器については先進医療Bの下で臨床試験が行われて、既にエベロリムスを超える効果が証明されています。また、これは治験を必要とするということではないと思いますが、もしそうなら、すなわち、臨床評価報告書だけでいくとするなら、わざわざ希少用医療機器に指定しなくても、すぐにでも申請したらよいのではないのですか。
○小野部会長 事務局からお願いします。
○事務局 事務局より回答させていただきます。先生の御認識のとおり、今回先進Bの方で臨床試験をされておりまして、探索的治験等は行っておりません。
また、おっしゃるとおり、データがあれば承認申請をすぐにしたらいいのではないかというのは、御指摘として、ごもっともだと考えておりますが、オーファンの医療機器に指定されますと、例えば審査期間が短くなるとか、助成金を得られる等のメリットもございまして、そういった背景も踏まえて、今回、企業がオーファン指定を受けたいという希望があり、申請があったという背景でございます。
○永井委員 そうですか。分かりました。
○小野部会長 Webで入られている田中委員はいかがですか。
○田中委員 奈良医大の田中です。根本的な質問になるかもしれませんけれども、教えていただきたいのですが、AMLの治療について、これはTSCであるから、4cm以下のサイズが治療適用と考えてこういう申請になっているのか、たまたま希少疾病用医療機器という枠に当てはめるためにこのTSC-AMLというのを対象にしているのか。私たちIVRで、出血のIVRはもちろん塞栓術はするのですが、破裂予防をするという基準が4cmと一般的に決まっていまして、大型のものは事前に塞栓術、それはTSCにかかわらずAML、全てに対して一律に行っているもので、その辺を教えていただきたいと思いまして。
○小野部会長 田中委員、質問としてはサイズについて質問されているのか、疾患の病態について質問されているのか、どちらですか。
○田中委員 サイズが4cm以下のものを対象にされるという、それをTSC-AMLとして申請するという理解だと思っているのですが、これはTSCを外れても適応になるものか、若しくは、別の言い方をすると、TSCだと小型のものも治療しておかなければいけないのかということなのですけれども。
○小野部会長 事務局、お願いします。
○事務局 今回オーファンを指定した適応症の以上の形で承認申請することは、先ほど言った開発促進のメリットとかも含めて除外されることになりまして、あくまでもオーファンの指定の範囲の中で承認申請を取っていくという形になっております。なので、先生の御理解のとおりなのですけれども、今回の指定の範囲としてはTSC-AMLの治療に用いるものになっております。
○田中委員 分かりました。これは53ページの、多分、これは承認のときにもう一度議論されるのかと思うのですけれども、データを見ると、1~3cmがほとんどなのです。Cryo-tsc studyというデータを見ると、3~4cmは、4cmを超えると破裂のリスクが上がるということで適応は理解できるのですけれども、例えば1cmのものに治療する意義というのがどういうことかと。そもそも先進に通っておられるので、議論はされたのだと思いますけれども、実際にこういう小型のものを見付けて、どんどんクライオ化させていくことが必要なのかということは、今日、議論になるのかどうか分かりませんけれども、承認のときにされるのかどうか分かりませんが、お聞きしたいのですけれども。
○事務局 大きさについては、承認の際にしっかり審議していただきたいと考えております。また、今回の問題点の経緯としましては、妊娠の可能性のところの部分もありますけれども、エベロリムスの副作用がかなり強いこともありまして、こういった形で治療することによって、エベロリムスが休薬や服用量が少しでも減らせることも可能と聞いておりますので、今後、臨床現場でこのような使用の御要望があると聞いているところでございます。
○田中委員 分かりました。結節性硬化症のAMLのガイドラインもあるので、エベロリムスの使用状況も踏まえて、また承認のときに議論させていただければと思います。ありがとうございました。
○小野部会長 ありがとうございます。他に、宮川委員どうぞ。
○宮川委員 宮川です。今、お二方のいろいろ御質問というのは、その真意は何なのかというと、TSCでAMLであるということが希少疾病用という形で審査しやすいというわけではないのですが、そのような形で導入して、それより大きな範囲でいろいろなことを今後やっていくというもくろみの中で、希少疾病用のことですと、先ほど言ったように、審査というのは非常にそういう意味では促進されるようなことがあるので、実際そういうような考え方で行っているのかなというのが、先ほどのお二方の質問の真意にだんだん近づいてくるのだろうと思うのですが、そういう認識で事務局は考えていると考えてもよろしいのでしょうか。つまり、今後いろいろなところで同じようなことが起こってくる可能性もあるので、多分、それは永井委員がおっしゃったようなところと、それから、今、田中委員がおっしゃったように、腫瘍サイズの話にもなって、実際にはそこは、このような適応ということが本来からするとない、4cmのところにまだ未到達であると、それは1cmの所で行っているというところの真意がよく分からなかったので。ただ、審査のところだけでその話をするのか。希少疾病用でも、そういう指定をするということは、その前段階として当然なのかどうか、妥当なのかどうかということも、やはり考えていくべきなのかと思って、今、お二方の質問を聞いておりました。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。事務局から何か追加で回答はございますか。
○事務局 貴重な御意見ありがとうございました。希少疾病用医療機器は、確かに開発促進というところもあり、患者数が少ないところに対して治療を拡大していくという部分がありますので、3要件のところはしっかり見させていただいた上で、そこはしっかりと議論させていただければと考えております。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに御質問や御意見等はございますか。よろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。医療機器「冷凍手術器 Visual-ICE」を希少疾病用医療機器に指定するということでよろしいでしょうか。御異議のある委員の方は挙手、あるいは御発言をお願いします。
特に御異議はないものとみなし、そのように議決いたします。なお、本件は、分科会で報告を行うこととなっております。以上をもちまして、議題5を終了いたします。
 それでは議題6、部会報告品目について移ります。まずは事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。資料6、横向きの資料を御覧ください。こちらの資料では、令和5年8月1日から令和5年10月末までの3か月間に承認された品目のうち、クラス4の医療機器、臨床評価が必要な医療機器、承任基準外の体外診断用医薬品など、本部会への報告対象となっている品目の概要を記載しております。医療機器については、今回49品目が該当しております。1ページからは、臨床試験の試験成績が提出され、審査し、承認した医療機器、12品目について。それらの一般的名称、販売名、クラス分類などとともに概要をお示ししております。次に、9ページからは、臨床試験成績を必要とせず、承認審査、承認した34品目の一覧で、28ページまで続いています。29ページでは、再製造、単回使用医療機器の1品目をお示ししております。30ページでは、プログラム医療機器の2品目をお示ししております。最後に、31ページから、該当する体外診断用医薬品の6品目をお示ししております。
 これらの報告品目については、事前送付をもって報告とさせていただいておりますので、この場での個別の説明は割愛させていただきます。資料6の説明は、以上でございます。
○小野部会長 品目数が多いのですが、委員の皆様方から何かお気付きになられたこと、御意見や御質問等はございますか。既に承認品ということになるわけですが、よろしいですか。特に御質問等はございませんので、これで議題6を終了したいと思います。
 本日の議題は以上となりますが、事務局よりその他の連絡事項等がありましたらお願いします。
○医療機器審査管理課長 委員の皆様におかれましては、御多忙の中、本部会に御参加いただき、誠にありがとうございました。次回の部会は、3月11日(月)の18時からを予定しております。詳細につきましては、またメールで御連絡させていただきたいと思います。連絡事項は以上です。
○小野部会長 それでは、以上をもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会したいと思います。本日は、どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 井上(内線4226)