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第192回社会保障審議会医療保険部会 議事録
日時
令和7年1月23日(木)15:57~17:35
場所
全国都市会館 大ホール
議題
- 1.電子処方箋の現況と今後の対応
- 2.高額療養費制度の見直しについて(報告)
- 3.令和7年度予算案(保険局関係)の主な事項について(報告)
- 4.骨太方針2024 を踏まえた取組方針について(報告)
議事
- 議事内容
- ○姫野課長 それでは、定刻前ではありますけれども、予定の皆様はおそろいでありますので、ただいまより、第192回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、内堀委員、河野委員、村上委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、菊池部会長代理より、途中から御出席との御連絡をいただいております。
本日の会議は、傍聴希望者向けにユーチューブにおいてライブ配信を行っております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。カメラの方は御退出をお願いいたします。
それでは、以降の議事運営は、田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 では、まず欠席される委員の代わりに御出席なさる方についてお諮り申し上げます。内堀委員の代理といたしまして根本和代参考人、村上委員の代理といたしまして小林司参考人、以上2名の出席につき、御承認を賜れればと存じますが、いかがでございましょう。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
それでは、早速議事に入ってまいりたいと思います。
本日は「電子処方箋の現況と今後の対応」、それから、2番目といたしまして「高額療養費制度の見直しについて」、こちらは報告事項でございます。「令和7年度予算案(保険局関係)の主な事項について」、こちらも報告事項でございます。それから、4番目といたしまして「骨太方針2024を踏まえた取組方針について」、こちらも報告事項でございます。
以上の4つを議題としたいと存じます。
それでは、まず「電子処方箋の現況と今後の対応」を議題といたします。事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○重元課長 医薬局の総務課長でございます。よろしくお願いいたします。
資料1に基づきまして、電子処方箋の現況と今後の対応について御説明をいたします。
資料1の1ページ目を御覧ください。こちらは電子処方箋の概要でございます。電子処方箋は、オンライン資格確認等システムを拡張いたしまして、これまで紙で行われておりました処方箋の運用を電子で実施する仕組みでございます。令和5年1月から運用開始となっており、患者さんの直近の処方・調剤情報の閲覧、当該データを活用した重複投薬等のチェックが可能となってございます。
2ページ目をお願いいたします。電子処方箋システムによる薬剤情報の拡充についてでございます。医療機関・薬局が電子処方箋システムを導入いたしまして、電子または紙の処方箋の発行形態を問わずに電子処方箋管理サービスへ処方・調剤情報を登録いただきますことで、医療機関・薬局間をまたいだ患者さんの薬剤情報の確認が可能となっております。また、医療機関が電子処方箋システム未対応でございましても、薬局が紙の処方箋を受け付けたとしても、調剤結果登録をすればリアルタイムでの薬剤情報の活用が可能となってございます。
3ページ目をお願いいたします。電子処方箋推進に向けたこれまでの取組についてでございますけれども、その導入の推進のために、医療情報化支援基金による導入費用の補助でございますとか、都道府県と連携した導入費用の助成による追加的な支援を行っておりまして、さらに、令和6年度診療報酬改定におきましては、医療DX推進体制整備加算の創設をしております。また、公的病院等に対しまして電子処方箋導入の要請を行っております。このほか、各種導入準備や運用に係る支援を行ってきております。
4ページ目をお願いします。さらに電子処方箋の認知や理解を促すために、電子処方箋の好事例や臨床上のメリットの周知、ダッシュボードの作成、周知広報などを実施いたしております。
次のページをお願いいたします。5ページ目が、電子処方箋の運用状況でございます。令和7年1月12日現在でございますが、全国4万7681施設で電子処方箋の運用の開始をしております。医療DXの推進に関する工程表におきましては、2025年3月までにおおむね全国の医療機関・薬局に対し普及させるとしておりますけれども、仮に足元の導入実績が継続いたしますと、薬局においては年度内に約8割弱、医療機関については導入率約1割弱というところが見込まれておるところでございます。
6ページ目でございます。薬局における電子処方箋の利用につきましては、導入は順調に進んでおりまして、紙の処方箋も含めた電子処方箋管理サービスへの調剤結果の登録も進んでおります。年度末には数多くの薬局で直近の薬剤情報を活用できる状態となることを期待しております。また、このサービスで蓄積されます患者さんの直近の薬剤情報が充実することに伴いまして、重複投薬等チェックの機能の利用も増加しているということでございます。
7ページ目をお願いします。電子処方箋の機能拡充状況につきましては、運用開始以降、医療現場からいただいた御意見も踏まえまして、機能の拡充を順次実施しておりますけれども、本日1月23日からは、院内処方のプレ運用を開始しております。
8ページ目をお願いします。院内処方情報登録のプレ運用の実施概要でございます。運用開始以降、これまでは院外処方箋の処方・調剤情報のみを取り扱ってまいりましたが、処方・調剤情報を拡充するため、院内処方の情報も取り扱うことが今回のプレ運用から可能となるということでございます。このプレ運用開始当初から一定期間は院内処方機能の本格運用までの間の課題解決を目的としたプレ運用と位置づけておりまして、電子処方箋の院内処方に関する機能が現場で問題なく利用され、かつ、効果を発揮することを重点的に確認し、検証してまいりたいと考えておるところでございます。
また、プレ運用として開始していただける施設につきましては、現在調整中でございますけれども、運用状況の確認状況等、適宜御協力いただきまして、周辺の医療機関・薬局にも院内処方の情報を閲覧できるように必要に応じてシステム改修を依頼する予定としておるところでございます。
9ページ目でございます。電子処方箋の一斉点検の実施についてでございます。こちらは昨年末に一部の医療機関・薬局におきまして、システム設定の際の不備によりまして電子処方箋を受ける薬局側のシステムで処方と異なる医薬品名が表示されるという事例が報告されましたことを受けて、昨年12月20日から26日までの間、医療機関からの電子処方箋の発行の停止をし、点検を促す周知を行ったところでございます。医療機関やシステムベンダーに対して周知に対する確認が取れましたので、12月27日より再開をしたという状況でございます。
次の10ページ目でございますけれども、こちらは医療機関やベンダーから挙げられている主な導入阻害要因と令和7年の対策を整理したものでございます。左側に医療現場が電子処方箋の導入をためらう要因を挙げておりまして、これらの要因に対しまして、先般の事例も踏まえながら、令和7年には右側に掲げた対策を講じてまいりたいと考えております。電子処方箋を安全に運用できる仕組みや環境の整備のために、電子処方箋管理サービス側の改修でありますとか、継続的にシステム改修による負担を防ぐために医療機関や薬局側における機能追加というものを当分の間見送り、運用する上での必要最小限の機能を提示するなどの各種の対策を講じてまいりたいと考えてございます。
次の11ページ目です。電子処方箋導入の目標の達成状況と今後の課題でございますけれども、薬局につきましては、先ほど申し上げましたとおり今年3月末までで約8割弱、2025年夏にはおおむね全ての薬局での導入が見込まれているところでございます。電子処方箋を導入した薬局から調剤結果の登録が行われますことで、直近の薬剤情報が活用可能となり、これにより効果的な重複投薬等チェックの実施というのが可能になります。これによりまして、複数機関を受診される患者さんにつきまして、薬の相互作用リスクから守ることができるということが言えると思います。また、直近の薬剤情報が整いますので、災害等における治療の継続支援、救急時における搬送受入れ等、有事の際に調剤情報の活用ということが可能になりまして、より良い医療が実現されるというところが言えると思います。
その一方で、課題のところにありますように、医療機関への普及率が1割弱にとどまっているということ、また、医療現場にとっては電子処方箋を利用しやすく、安全に運用できる仕組み・環境の整備というところが課題として残っているのではないかと認識をしております。
次の12ページ目でございます。電子処方箋システムの一斉点検の実施を踏まえた対応につきましては、先ほど来申し上げておりますように、電子処方箋は安全に運用できる仕組みや環境整備をするということから、医療機関等に対しまして、当分の間、医薬品マスタの設定等が適切に行われているかなどの安全に運用できる状態であるかどうかを点検していただき、厚労省に報告いただくということをお願いしております。今のような対策を含めた、このページに記載の対応をお願いしているところでございます。
また、既に着手しておりますけれども、厚労省といいますか、電子処方箋管理サービス側でのシステムの改修を含む防止策につきましても行ってまいりますとともに、医薬品コードの仕組みの在り方につきましても、令和7年夏、今年の夏頃を目途に今後の方向性の整理をしてまいりたいと考えてございます。
次の13ページ目、最後のページでございます。電子処方箋に関する今後の対応でございますけれども、医療現場への導入に引き続き取り組むということで、まず、1つ目の黒ポツのところにありますけれども、導入されていない医療機関等に対するフォローアップの実施を行ってまいりたいと思っております。国民の皆さんが全国どこでも電子処方箋による質の高い医療を受けることができるようにするためにも、電子処方箋システムを導入した薬局におけるシステムへの調剤結果登録、また、重複投薬等チェックの実施徹底というのを要請してまいりたいと思っておりますし、また、導入されていない医療機関への対応ということが不可欠でありますので、先ほど整理をしておりました阻害要因を踏まえた対策というのも検討してまいりたいと思っております。
また、さらなる導入策ということで、これまでの導入策や診療報酬による対応に加えまして、公的病院等への導入再要請、システムベンダーへの早期導入開発要請、周知広報の強化、その他もろもろ含めましてさらなる導入策を講じてまいりたいと思っております。
次に、機能の追加実装の一時停止をいたしたいと考えております。現在、システムで存する機能をもちまして必要最小限の基本機能が開発されましたことから、さらなる機能の追加につきましては、必要な改修を除き当分の間行わないことといたしたいと思います。
最後に、医療機関等への利活用状況の効果等の調査も実施をしたいと思っております。
これらの取組を踏まえまして、電子処方箋の新たな目標につきましては、今年令和7年の夏をめどに見直しを行いたいと考えているところでございます。
以降、参考資料として何枚か資料をおつけしておりますけれども、先ほど申し上げました一斉点検を踏まえた対応でありますとか、システムベンダーにおける対応状況、あるいは電子処方箋関連の令和6年度補正予算の内容について、資料としておつけしておるところでございます。
私からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたら、挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いでございます。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
これまでも申し上げておりますが、電子処方箋については、安全かつ効率的な医療が実現し、患者並びに保険者のメリットにもつながるため、健保組合からの期待も大変大きいものがございます。
そのうえで御報告がありましたように、今年度3月末に普及目標の期限を迎える中で、医療機関・薬局における取組格差が大きく出ていることは極めて残念だと思いますけれども、一方で、薬局における導入が進み、重複投薬のチェックや直近の薬剤情報を活用する環境が相当部分で整ってきたということにおいては一定の成果が出ているのではないかと思います。そこについては厚労省として現時点における効果額がどれぐらいなのかをぜひ示していただきたいと思っています。
また、今後の展開に当たっては、院内処方をはじめとして病院における早期の導入推進が重要になると考えております。その意味において、新たに院内処方のプレ運用が始まって、医療機関に対する普及を図ることは理解できますし、特に医科の医療機関、とりわけ病院への導入を重点的に進めて、少なくとも公的病院においては速やかに普及率を100%にすべきであると考えております。また、薬局についても全ての薬剤情報の登録、または重複投薬のチェックを確実に実施いただきたいと思います。
また、厚労省として夏場に新たな目標を設定されるということでございましたが、ここについては阻害要因をより詳細に分析いただいて、電子処方箋のメリットを早急に最大化するための計画を策定いただくとともに、定量的に効果を検証して結果を公表すべきと考えます。
また、診療報酬における取扱いについては中医協においてきちんと議論していただきたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横本委員、よろしくお願いいたします。
○横本委員 それでは、発言させていただきます。
5ページを拝見いたしますと、電子処方箋の運用はまだ低位にとどまっております。電子処方箋は医療機関間の処方情報の共有や重複投薬の確認、患者自身が直近の処方内容を電子的に確認できるなど、メリットは大きいと理解しております。また、医療情報プラットフォームにおいても重要な情報基盤の一つでもあると考えておりますので、目下の課題に適切に対処した上で利用促進を一層進めていただきたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、根本参考人、よろしくお願いいたします。
○根本参考人 ありがとうございます。
今回、電子処方箋の現状と今後の対応についてお示しをいただきました。医療機関における電子処方箋管理サービス導入の阻害要因の一つとして、導入費用の負担が挙げられております。電子処方箋管理サービスの普及促進を図るために、引き続き国による導入支援をお願いいたします。
あわせて、都道府県における導入支援においては、国民が平等にサービスを享受できるよう、地方負担分の財政措置をお願いいたします。
医療の質を高めるためには、医療機関・薬局双方で電子処方箋の一定の普及を図ることが不可欠ですので、引き続き支援をお願いいたします。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
医療機関への普及が進んでいないということでございますが、本日の資料の10ページに医療現場・ベンダーから挙げられた主な導入阻害要因というものが示されておりますが、この阻害要因を見ますと医療機関の非によるものではないということが明らかであろうと思っておりますので、横に「令和7年の対策」としてそれぞれ示されているこの対策をしっかり実行・実現していただきたいと思います。
特に11ページの一番下にありますとおり、医療現場にとって電子処方箋を利用しやすく、安全に運用できる仕組み・環境の整備が最大の課題となっているわけですが、そのためには、13ページの一番下にありますとおり、電子処方箋の新たな目標について、令和7年の夏を目処に見直しを行うという大きな方針転換をお示しいただいております。この電子処方箋の管理サービス全体を今後、徹底的に見直していただいて対策を講じるべきと考えておりますし、これに関しましては日本医師会といたしましても協力をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、小林参考人、よろしくお願いします。
○小林参考人 ありがとうございます。
資料の12ページから13ページにかけて、医師の処方と異なる医薬品名が表示される事例などが起こったことを受けた今後の対応について記載がございます。安全に運用できる仕組み・環境の整備は普及促進の前提でありますので、きちんと今後の対応を進めていただくようお願いします。
また資料12ページには、処方内容の控えが患者に交付されていないことがあることに留意する、と書かれています。患者が処方内容を確認するに当たっては、マイナポータルへのアクセスが必要という点を含め、国民・患者の認知や理解の向上、さらには重複投薬の抑制など、具体的なメリットも周知していきながら、引き続き対応いただくよう要望いたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 利用者の立場から幾つか疑問点と要望を申し上げたい。。電子処方箋がどんどん進むというのは当然の世の中の流れかと思うのですが、10ページ辺りに阻害要因がありますが、若者世代にPRするということが書いてありますけれども、一番お薬に依存するのは高齢者だと思いますので、高齢者にどう伝えるか。患者からのニーズを感じないとありましたけれども、高齢者に対してどういうメリットがあるかというのをどう伝えていくかというのも重要ではないかと思います。
それから、ちょっと疑問に思う点の一つは、お薬手帳が今後どうなるのかということです。つまり、若い世代はスマホやパソコンを使って自分で医療情報や投薬情報を管理できると思いますが、それができない世代、今は過渡期だと思うのですが、そういうことを考えると、まだまだお薬手帳でかなり自分でコントロールできる面もあるのではないかと思いますので、この辺は厚労省がどのようにお考えになっているのか知りたいと思います。
それから、もう一つ気になっているのは、電子処方箋というのは医療機関で処方されたお薬だけですね。でも、最近は市販薬を買えという動きが非常にあります。例えば頭痛薬や解熱剤、風邪薬というのは保険を使わないでドラッグストアで買ってくださいと医者からも言われたことがあります。そうした場合に市販薬の情報はこういうものに入らないですね。そうした場合に何か不都合が起こるおそれがないのかということで、この辺を心配しているのですが、どなたかお答えいただけないでしょうか。
○田辺部会長 ありがとうございました。
何点か御質問がございました。お薬手帳はどうなるのというのと、市販薬との関係、お答えいただければと存じます。
○重元課長 医薬局の総務課長でございます。御質問いただきましたので、まとめてみたいな感じになってしまったら恐縮でございますけれども、順次お答えをさせていただきます。
まず、電子処方箋の課題、現況と今後の対応に関しまして、現時点における効果額をお示しいただきたいというお話がございました。電子処方箋によりまして薬剤情報が共有されますことによりまして重複投薬が減る、これによる医療費の適正化という効果があるということは我々も認識をしているところでございます。ただ、その医療費削減の効果の試算に当たりましては一定の仮定を置くことが必要になりますので、重複投薬をどのように定義するかなど、いろいろな課題もあるかと思っておりまして、なかなか現時点ではお示しできるような案があるわけではございません。ただ、御指摘の点も踏まえまして、今後、どういった形でそういった効果をお示しできるのかということについては引き続き検討したいと思ってございます。
また、公的医療機関で100%にすべき、あるいは重複投薬等のチェックの確実な実施についてでございますけれども、公的病院につきましては、以前も厚生労働大臣からも要請をする、また、その後も我々のほうでもフォローアップをするといったことで公的病院で率先して入れていただくという取組を進めてまいりましたので、こういった取組を引き続きやっていって、公的病院でより多く入れていただくよう努力を続けてまいりたいと思ってございます。
また、重複投薬等のチェックにつきましては薬局にお願いをして、今でも十分取り組んでいただいておりますけれども、引き続きお願いをしたいと思ってございます。
また、電子処方箋のメリットを早急に最大化するための定量的な効果検証や結果の公表につきましても、目標自体を夏目途に見直しを行いますので、その策定の過程の中でどういった形でこの効果検証を行うのかといったことも併せて検討していきたいと思ってございます。
それから、利活用の促進を進めるべきという点につきましては、導入を進めていく中で電子処方箋を利用することのメリットということを分かりやすく周知啓発・広報することで訴えていきたいと思っております。
また、導入費用の負担に対する支援、都道府県に対する財政措置といった点についての御意見をいただきました。導入費用の負担につきましては、現在、予算措置でICT基金の中で医療機関・薬局に対する補助、また、令和6年度補正予算の中で都道府県がさらなる支援を行う場合の上乗せ支援に対する国としての補助といったことを予算措置として用意しておりますので、こういった予算措置を積極的に活用していただけるよう、我々もよく周知をしてまいりたいと思っております。
導入阻害要因に対する対応をしっかりやるようにという御意見をいただきました。こちらにつきましても本日の資料の10ページで整理をさせていただきましたけれども、これも基本にしながらさらに取組をしっかりと進めていきたいと思っております。
一斉点検を踏まえた安全に運用できる仕組みの関係については、こちらも年末の事案を踏まえまして、医療機関・薬局に対する一斉点検というのをお願いし、一斉点検が終わるまでの間は紙処方箋で対応していただくようお願いをしております。こういったお願いをしていく中で、点検を済ませていただいた医療機関はかなり増えてきておりまして、もう7~8割ぐらいの数字にはなってきているところでございます。引き続き、我々は適切に電子処方箋が発行されるようなモニタリングもやっておりますので、そういったモニタリング結果も見ながら、安全に利用できる環境整備といったことに取り組んでまいりたいと思っております。
それから、高齢者の方にどのように分かりやすくメリットを伝えるかという御意見がございました。様々な形で周知広報ということを行っておりますけれども、御指摘のとおり、高齢者の方にいかに分かりやすく訴求をしていくかということにつきましては、周知広報のやり方を進めていく中でしっかり問題意識として持ちまして、検討してまいりたいと思っております。
また、お薬手帳との関係についての御質問もございました。先ほどの中にもございましたように、一般薬に関しては、電子処方箋に関してはあくまでも処方箋に基づくものでございますので、医療用の医薬品の関係になります。ただ、お薬手帳の関係で言いますと、一般用医薬品は電子処方箋ではフォローできませんので、一般用の医薬品のほうでフォローできるお薬手帳の役割というのは引き続き残るのではないかと思っておりますので、その辺の連携といったことを考えなければいけないと思っています。特に電子版のお薬手帳に関しましては、マイナポータルとの連携で電子処方箋に基づく医療用医薬品の情報とも連携できるような形で機能をつくっていただくようなガイドラインも我々はお示ししておりますので、そういったところで情報連携を進めていくことが必要になってくるのかなと思っております。
あと、新たな目標に関しましては、きっちりと方針を見直していくようにという御指摘もございましたけれども、新たな目標の見直しに関しましては、先ほどの資料の13ページにもありますように、医療機関に対するフォローアップをきっちり行いまして、導入阻害要因に対する対応などもきちんと前提に置いた上で新たな目標というのを設定していきたいと考えてございます。
ちょっと雑駁になってしまいましたが、私からは以上でございます。
○田辺部会長 袖井委員、よろしゅうございますか。
○袖井委員 電子版お薬手帳というのを初めて聞きましたが、それはいつ頃できるのですか。
○重元課長 電子版お薬手帳は実はもうあるものではございますけれども、それにつきましては先ほど申し上げましたように、厚労省のほうで電子版お薬手帳に関する機能のガイドラインというものを作っておりまして、その中でマイナポータルとの連携でするという機能も標準的な機能として考えられるということでガイドラインをお示ししているところでございます。なかなか電子版お薬手帳の普及状況自体は今、我々の手元に数字というのがございませんけれども、こちらは既に民間主体で開発をしていただいているものでございます。
○袖井委員 ありがとうございます。
○田辺部会長 では、横尾委員、お願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
今日は詳しいデータ等を示していただいてありがとうございました。資料の5ページ目には薬局は63%まで伸びたものの、ほかはまだ1割ぐらいという数字が出ていまして、今後に期待感が高まっていると思っています。
また、10ページにその要因も分析されておりますし、それを踏まえた11ページに記述の残された課題については、ぜひ全体を俯瞰していただきながら、個別の、例えばベストプラクティスや、都道府県別にある何か参考になるものなど、そういった取組における良い事例があったら全体で共有できることも必要と思います。
そして、13ページに今後の対応につきまして記されておりますので、これらを全て円滑に推進いただくことが肝要と思ったところでございます。
特に高齢者の皆さんにとりましては、デジタルというのはまだまだ苦手感があるかもしれません。それでも、今後は必要になるとは思っています。特に団塊の世代の皆さんは結構スマホ等を活用されていますので、新たな後期高齢者として、いわゆるデジタルに少し馴染んだ方として今後活用されるのではないかと思います。それ以上の高齢者の皆さんも、利便性・必要性を求めていると思っています。加えて、特に年配の皆さんにとっては、国としての保険行政、あるいは医療ケアなどにつきましての運営はとても重要なものであります。そのシステム開発、また、マネジメントや実用につきましても、国の先行きを常日頃からしっかり見極めつつ尽力をされている各省庁、特に厚生労働省の皆さんが頑張ってきておられますので、年配の皆さんは多分よかれとの思いで御覧になっているのです。そういった観点でこれからの着手すること、あるいは推進についても、そのように受け止める方が多いと思っているところです。
その期待感にぜひ応えていただくように万全を期していただきたいと思います。
ただし、一方では、デジタルデジタルといってもリテラシーがないとなかなか困惑もしますし、最近の詐欺などにも巻き込まれてしまうのです。
けれども、例えば海外の例ですけれども、デンマークなどではデジタルリテラシーの向上について、国内の主要な高齢者の団体が2つか3つあるそうですけれども、それぞれリテラシーのセミナーや研修などの、馴染むことのできるような機会、学ぶ機会の展開をやりながら、いわゆる啓発をしつつ、リテラシー向上にも資するように取組をされているように聞いたことがあります。ぜひこういったことにつきましても、厚生労働省を中心に進めることも一方では重要かと思っています。特に若年層は今、GIGAスクールで本当にこどもたちは日々使っていますので馴染んでいきます。つまり、年配の皆さんが取り残されることがないように、ぜひこのリテラシーの向上についても、直接的に効果を生みだすものではないですけれども、間接的に有効です。そして、このリテラシーの向上は、全ての今後のSociety5.0を目指す日本政府のデジタルガバナンス、あるいはそれに伴う行政サービスの改善・変化ということを支える重要な柱になっていきますので、ぜひこれらについてよろしくお願いしたいと思っているところです。
デジタル社会を迎えるに当たって、私は2つの柱があると思っています。一つはすぐれて利便性の高いハードとシステムの開発や運用、整備がとても重要です。もう一方ではそれらをきちんと良識を持って使いこなせる人が増えていかなくてはいけないと思います。こういった啓発等も含めてやっていただければ、より多くの方々が正しいニーズをお感じになって、いろいろな政府の今後の改革もサポートされるのではないかと思っていますので、よろしくお願いします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。薬剤師会の渡邊です。
先ほどの袖井委員の御意見に、冒頭少しだけ薬剤師会としても補足しておきたいと思いますけれども、今後もお薬手帳に関しては紙であれ電子であれ、その必要性は続くと思っています。かつ、先ほど総務課長からもありました電子版のお薬手帳は薬剤師会からも提供しておりますけれども、電子お薬手帳に関してはOTC医薬品のバーコードも読めますので、電子お薬手帳の中にはOTC医薬品もデータとして入ります。それ以上に今後、成分の相互チェック等々の部分に関する機能追加、機能充実という部分は今、開発中なのでまだこれからということにはなりますけれども、データとしては入るということは御紹介できればと思います。
また、電子処方箋なのですけれども、薬局の導入状況は現在6割を超えたところで、その応需体制の整備に努めているところであります。その上で、スライドの6ページにも示されているように、導入している薬局においては調剤した患者さんの約85%の調剤情報を管理サービスに登録しているという現状になっています。このようなシステムの活用が進む中、確認可能な情報の追加拡充という部分も非常に重要な部分と思っています。それがスライドの8ページに記されていますけれども、院内処方の情報の活用という部分に関しましては、現在進んでいる外来でのがん化学療法に関しましては院内で注射剤が使用されているのですけれども、外来で使用された注射の抗がん剤の情報がその後に行かれた薬局で見られるというのは大変有効なデータということになりますので、現状、患者さんも把握されていないですし、手帳に書き込まれない限り、当該情報をリアルタイムで共有はできないわけですけれども、このような情報の活用ができればかなり安全ながん化学療法への道ということにもなると思っていますので、ぜひお願いをしておきたいと思います。
また、このプレ運用に関しましては、ぜひ何らかの課題が発見された場合は速やかに対応した上で本稼動していただきたいと思います。
それと、昨年末に発生したダミーコードの医薬品に関する部分で、処方した薬剤と違う薬剤が薬局で表示されたという案件に関しては、医療安全上非常に危険な事象ですので、これに関しましては全面的に電子処方箋を停止してでも一斉点検をなされたというのは必要だった措置だと評価しております。
ただ、今回の点検で完全にその危険性が払拭されたわけでは決してないと思っていますので、ぜひ今後、管理サービスのシステム的にも医薬品がダミーコードのまま電磁的に処方がなされないように、サービス側でもぜひしっかりとしたシステム改修をお願いしておきたいと思います。これは数字としてはかなり少ない割合ではありましたけれども、それであったとしても発生してしまうこと自体あってはいけない事象ですし、今後、普及の中で分母が増えれば分子は増えますので、そのリスクを排除していただくように、資料にもありましたが、より安心・安全に本システムが使えるように早急な対応をお願い申し上げたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。2点ございます。
1点目でございます。資料10ページの②にあるとおり、システム改修が断続的に必要となると、ユーザー側には大きな負担になります。事業者は先々のことを見越して動いておりまして、将来像が不明瞭では、たとえメリットがあったとしても導入を足踏みしてしまいます。対策として挙げられているとおり、国ができるだけ早期に基準や指標を明確に示し、事業者の予見可能性を高めることで導入を促進していただきたいと思います。
2点目でございます。医療DXの推進については、コスト削減効果はもちろんのこと、1ページ、2ページ目にあるとおり、リアルタイムでの薬剤情報の活用などはまさに患者の命を救うことにつながる大きなメリットであります。こうしたメリットや必要性、重要性の理解を深める周知広報を充実させるとともに、実現可能性のある戦略を立てて導入を強力に推進していただきたいと思います。
それからもう一点、先ほどOTC医薬品のお話がございましたが、これは非常に重要なことだと思っております。医療用医薬品と同じような成分のOTCも最近増えてきていますので、オーバードーズの問題や、規定量以上にたくさん飲んでしまって知らず知らずにオーバードーズを起こしてしまう、ということは絶対にあってはならないと思います。業界ではOTCデータベースセンターの運用をしており、現段階で全てのOTC医薬品を網羅しているわけではないですが、可能な限り網羅性を高める努力を業界としても進めています。ぜひこういったシステムと連携していただくことで、有効な対策になるのではないかと思っています。
また、最近、外国の方が多量のOTC医薬品を買っているのが放置されていることを心配しております。それほど影響の出ないようなものであればよいのですが、明らかに強い成分のものを必要以上に大量に買っているケースが散見されます。日本人だけでなく、外国の方でも安全に薬を使っていただくのは非常に大事なことであり、問題が起きれば日本の評判を下げることにもなりかねませんので、場合によってはたとえ海外で使う場合であっても必要以上に買わせないなど、ぜひ水際でしっかり抑えるということをやるべきではないかなと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。歯科の立場として発言と要望及び確認をさせていただきたいと思います。
電子処方箋に関しては、医療DXを進める上で有効な一つの手段であり、歯科医療現場としても推進していかなければならないと考えております。しかしながら、8割以上の多くの歯科医院が院内処方による投薬が中心であり、院外処方を前提とした現在のシステムでは現場に十分にメリットが享受されておらず、普及率が伸びていないのが状況であります。1月から開始される院内処方の拡充に向けた取組に大変期待しておるところであります。
そこで1点目の要望ですが、スライド8の「院内処方情報登録のプレ運用の実施について」で本年1月から院内処方の情報も取り扱えるようなシステムの検証を行うことと記載されておりますが、この点に関して、検証を終えないと歯科医療機関に説明または現場に導入もしにくいという事情がございますので、できるだけ早期に検証結果を御報告していただき、また、電子処方箋というシステムが院外処方にしか使用できないという現場の誤解が生じないような丁寧な周知をお願いしたいと思います。
また、2点目の確認は、先ほどの要望にも関連しますけれども、1月からのプレ運用を踏まえて、歯科のベンダーも電子処方箋のシステム開発に乗り出しているメーカーもありますが、院内処方のみの歯科医療機関が7割を占めている現状においても、ベンダーにおいては院外処方のシステムを基本にした上で院内処方のシステムを加えて開発していくという方向性でよいのか、確認をさせていただければと思います。
最後になりますが、歯科診療所の電子処方箋の取組が推進されるよう、できるだけ早めに情報を御提供していただき、医療現場にとって電子処方箋を利用しやすく、安全に運用できる仕組み・環境の整備をしていただき、メリット等も分かりやすく周知していただきますよう要望いたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
1点御質問がございましたけれども。
○重元課長 ありがとうございます。医薬局の総務課長でございます。
全般的な話になりますけれども、今後の電子処方箋の普及・導入に向けた取組につきまして、10ページ目に整理しております要因の分析とそれへの対応をきっちりと行うことで、しっかりと円滑に進むような取組をしてまいりたいと思っております。
また、渡邊委員から院内処方の外来化学療法に関する関係についても御指摘をいただきましたので、こちらも院内処方のプレ運用の中でこういった情報提供もしっかりと行えるようにしたいと思っております。
それから、ダミーコード関係のシステム改修につきましても、7年夏を目途にということで考えておりますので、しっかりと取り組んでまいります。
それから、歯科の御質問いただいたベンダーさんとの関係でございますけれども、こちらは歯科のほうでも導入しやすいようにやっていきたいと考えておりますので、また具体的にはいろいろと御相談をさせていただきたいと思っております。
以上、もろもろ含めまして、電子処方箋の導入に向けた取組というのを私どもとしてもしっかりと進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○田辺部会長 大杉委員、よろしゅうございますか。
○大杉委員 はい。これからよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょう。
では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
電子処方箋に関しましては、今後、より質の高い医療が享受できるようになるものでありまして、また、その運用経費を保険者が負担しているところですので、保険者の立場から、加入者が電子処方箋のメリットを十分に実感できるよう、一刻も早く全国の医療機関・薬局で導入されるよう、国のリーダーシップの下、一層の取組をお願いしたいと考えております。
そうした中で、電子処方箋システムの一斉点検を実施しなければならない状況になったということは極めて残念であり、信頼回復に全力を尽くしていただければと考えております。
なお、8ページ目の院内処方情報登録のプレ運用についてですが、院内処方の情報も電子処方箋で取り扱えるようにすることは極めて重要だと考えております。その運用費用等についても、今後の議論が進む中で本格運用が始まる前に医療保険部会の場でまた説明・議論をお願いできればと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見がなければ、本議題につきましてはこれまでとしたいと存じます。厚生労働省におかれましては、本日の御意見も参考にいたしまして、取組を進めていただければと思います。
では、次に「高額療養費制度の見直しについて」を議題といたします。事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○佐藤課長 保険課長でございます。
タブレットの資料2のファイルを御覧ください。高額療養費の見直しについてということでございます。この医療保険部会におきましても4回ほど熱心に御議論いただきまして、基本的な方向性といいましょうか、考え方を様々いただきました。それを踏まえて政府において議論を行い、年末の大臣折衝において最終的な方向性について確定をした上で、年末の医療保険部会におきましても口頭では御報告を申し上げましたけれども、今回、資料を御用意いたしましたので、改めて簡単に御報告を申し上げるという趣旨でございます。
資料でございますけれども、右下の1ページ目を御覧ください。「高額療養費の見直しについて」ということで、これがエッセンスでございますけれども、上のほうに趣旨を書いてございます。こちらはこの医療保険部会でもたびたび御意見をいただきましたけれども、1つ目のポツでございますけれども、高齢化、それから高額な薬剤の普及ということによって高額療養費の総額が年々増加をしているという中において、現役世代を中心とした保険料も増加しておりますので、この高額療養費はセーフティーネットとしては大変大事な仕組みでございますので、この仕組みを維持しつつ、他方で健康な方を含めて全ての世代の被保険者の保険料負担の軽減を図るという観点から検討を行ってまいりました。
具体的な見直しということで、下のところに「自己負担上限額の見直し」「外来特例の見直し」という形で書かせていただきましたけれども、こういう観点から見直しを行っているというものでございます。
また、併せてというところでございますけれども、この外来特例につきましても医療保険部会において様々な御意見をいただきました。そういう中において、低所得高齢者への影響を極力抑制しつつ、70歳以上固有の制度である外来特例の見直しを行うことによって被保険者の保険料負担の軽減を図るという取組をしております。
1ページ目の左側の「自己負担上限額の見直し」というところでございますけれども、まずは本年8月から施行ということで考えてございますけれども、各所得区分ごとの自己負担上限度額の見直しということでございます。考え方と具体的な引上げ幅を書いてございます。ピンクで枠囲いしておりますのが年収370万から770万ということで、いわゆる平均的な所得層でございますけれども、これが前回見直しを行った約10年前からの平均給与の伸び率が10%から12%ぐらいであったことを踏まえて、平均的な所得層の今回の引上げ幅を10%に設定した上で、それより所得がある方については引上げ幅を若干多めにさせていただく、他方で、それよりも所得が低い方については引上げ幅を低めに設定していくことによって、応能負担といいましょうか、能力に応じた支え合いということを行っていくというものでございます。
それに加えまして、②、下に矢印を引っ張ってございますけれども、各所得区分の細分化についてもこういう方向でやっていくべきではないかという形で様々御意見をいただきましたものですから、住民税非課税世帯を除く各所得区分をさらに3区分に細分化して、それぞれの所得区分に応じて自己負担上限額を引き上げていくという形で、これにつきましては激変緩和という観点から2段階で引上げを行っていくということを実施したいと思っております。ですので、今でしたら年収370万と770万のところは全く同じ区分に入っているわけでございますけれども、そこを3段階に刻んでいくことによって、応能負担といいましょうか、きめ細かい制度設計を行うとともに、この区分を超えたら今は自己負担上限額が倍ぐらいになってしまうものですから、その辺りは補正を図っていくということでございます。
それから、1ページ目の右側「外来特例の見直し」ということでございまして、こちらにつきましては、今は一般というものと住民税非課税の2つの区分しかなかったわけでございますけれども、ここにつきましてもきめ細かい制度設計を行う観点から少し区分を細かくいたしまして、見直しを行っていくということでございます。これに関しましても、低所得者への配慮という観点から、所得が一定以下、具体的には80万円以下の住民税非課税の方については外来特例の上限額、これは月額の上限額については据え置いた上で、それより若干所得がある方についてはその所得の状況に応じて引上げを行っていくという形で見直しを行っていくというものでございます。こちらにつきましては、システム改修等々の関係もございますので、来年2026年8月からの施行を予定してございます。
これに伴う財政影響試算ということでございますけれども、1ページ目の右下に黄色で枠囲いしてございますけれども、加入者1人当たりの保険料軽減額、これは単純な頭割りでございますので、例えば家族構成でありますとか、あるいは所得に応じてもちろん変わってくるわけでございますけれども、年間1,100円から5,000円程度の保険料軽減額が発生するというものでございます。
右下の2ページ目がイメージでございます。イメージ図ということで3段階に分けて引上げ、あるいは細分化を行っていきますというものでございます。この医療保険部会でも似たような形で図はお出ししておりますけれども、こういうイメージで最終的には決着をさせていくというものでございます。
3ページ目が、今年8月からのまず第1段階目の見直しということでございまして、こちらにつきましては今の所得区分と全く同じまま月額の上限額について見直しを行っていくというものでございます。
それから、右下の4ページ目でございますけれども、来年8月からの見直しでございます。こちらにつきましては所得区分をきちんときめ細かく制度設計をしていくということでございまして、できるだけ階段の上がり幅が大きくならないような形で工夫をしたものでございます。
4ページ目がまず来年の8月からの見直し、そして、5ページ目が最終形といいましょうか、令和9年、再来年の8月からの見直しでございます。こういう形で見直しを行っていくということについて、引き続き今後とも丁寧な周知を行っていきたいと思っております。
参考資料は7ページ目だけ御紹介を申し上げます。7ページ目でございますけれども、周知の仕方はこれからまたいろいろと工夫をしていきたいと思ってございますけれども、7ページ目に高額療養費の上限額が変わりますという形で図を作ってございますけれども、右側に緑の点線で例1、例2と書かせていただきました。例えば70歳未満で年収500万円の方、例1のほうでございますけれども、例えば医療費が300万円かかった場合には、こういう方々は3割負担でございますので、現行でございましたら横棒のグラフの青い部分でございます自己負担限度額が約10.7万円であったものが、見直し後は11.5万円に、8,000円弱上がるということになります。それに伴って高額療養費が同じ金額だけ下がるわけでございますけれども、そういう形で、自己負担はそこの点におきましては上がることになりますけれども、高額療養費のセーフティーネット機能としての役割をしっかり果たしていけるような仕組みにしていくのですという趣旨等々を含めまして、背景も含めて見直しの趣旨を丁寧に周知してまいりたいと考えてございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
本件は報告事項ではございますけれども、御意見等がございましたら、お願いいたします。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
本件については、全世代型社会保障構築の観点から、負担能力に応じた負担、また、保険料負担の軽減を図るために、高額療養費の自己負担限度額の引上げや所得区分の細分化、さらには外来特例の見直しまで踏み込んでいただいたことについては評価をしたいと思います。
とはいえ、現役世代はまだ高齢者医療に係る拠出金等を通じて過重な負担を強いられているというのも事実でございますので、さらなる現役世代の負担軽減に向けた取組が不可欠だと考えております。これをふまえ、高齢者の窓口負担割合の見直しも含めた高齢者医療制度の在り方の見直し等、給付と負担の見直しには引き続き取り組んでいただくことを強く要望したいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
以前も申し上げたところでありますけれども、傾斜配分という形でやってくというのは一つの選択だろうと思っていますけれども、その分制度が非常に複雑になっているということで、今日も7ページに広報用の資料がありましたけれども、丁寧な説明というのが必要なのかなと思っております。
特に今回の資料ですと、4ページや5ページを見ますと、実は現在の計算式のところは定数の部分と1%の部分に分かれているわけでありまして、今回、拝見すると1%のところはいじっていない。これは考え方によると、いざというときに医療費が高い人にとってはここの部分は非常に大きいわけですので、そういった点で低所得の方にも配慮し、そして、医療費の高い人にも配慮し、そしてまた、保険料の部分についても一定の効果があるといったところも含めて広報していただくといいのかなと。そうしませんと、どうしてもこの上がる部分のところにだけ目が行ってしまいますので、改めてでありますけれども、ちょっと複雑な式なので、恐らく一般の方にとってはこの計算式自体は非常に分かりにくいものだと思いますので、ここに込められた意味合いというのを丁寧に御説明いただければと思います。
以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
昨年末から議論を重ねてきました高額療養費制度の見直しでございますが、今、事務局から御説明もありましたとおり、本制度は長年病気を抱える人や、突然入院や手術を要する病気にかかった人などにとっては大変大きなセーフティーネットとしての役割を果たしているというのは御承知のとおりと思います。特に外来特例の廃止については反対の意見を述べてきたわけですが、今回、上限額が引き上げられましたけれども、月額上限のほか、年間上限も継続されたということについては評価したい、感謝したいと思います。
しかし、前回の限度額の引上げから、世帯収入等の上昇等を理由に、今回、限度額の引上げや区分の細分化が実施されることになったわけでございますが、世帯収入が上昇したということで、決して国民の方の手取りが増えているというわけではないというのは報道等によっても皆さんも御案内のとおりで、物価高騰による支出の上昇も大変大きいという状況になっているわけでございます。
したがって、今回の見直しが適切なものであるのかどうか、患者さん等への影響がどうなのかということに関してはしっかりと調査・検証を行っていただきたいということは事務局にお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、根本参考人、よろしくお願いいたします。
○根本参考人 ありがとうございます。
高額療養費制度の見直しにつきましては、最初の自己負担限度の引上げが今年の8月となっておりますので、被保険者等への周知広報や保険者のシステム改修等の作業を早急に進める必要があります。国においては、現場で混乱が生じないよう、丁寧かつ十分な対応をお願いいたします。
また、今回の制度見直しが低所得者をはじめ患者の受療行動にどのような影響を生じさせるのかなど、動向を注視していく必要があると考えております。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
高額療養費制度は大変重要な制度であると思いますし、助かっている方も多いと思います。ただ、現状の医療費が増大していく中では、このように全世代型社会保障制度の理念で、全ての人々がそれぞれの負担能力に応じて支え合うという趣旨からしたら、今回の御説明があった内容は当面必要かと思います。
ただ一方で、考えますに、言わばこれは対症療法的な対策とも言うことができまして、課題が出てきたのでそれをよく分析し、実情をつかんで、その対策を考え出して実行することは基本的に行政で必要なことだと思っています。けれども、今の年々上昇していく医療費の現状を見ると、これはずっとこのままの傾向で続いていくと、医療費総額がずっと増えてていく話ばかりになるのです。だからこそ、迂遠になるかもしれないけれども、本質的にこの問題を解決するにはどうしたらいいか、恐らく厚生労働省のスタッフ、官僚の皆さんはよくよくそれらもお考えをそれぞれされていると思います。健康を保持して、必要な時に適切な医療にアクセスすることが適時できるようになっていくことがやはり目指すべき姿だと思います。そのためにはまず一人一人が日常における健康の意識、自分の健康は自分で守るという意識を持つことと、食事などにおける配慮、また、改善について、もっと力を入れてやるべきですし、それぞれの自己管理意識ということを高めるとともに、行動をレベルアップしていくことが欠かせない、大切なことだということは論を待たないと思います。
そのための対策として、例えば若い頃から栄養摂取や食事の管理、自分に合った運動の在り方など、いわゆる生活習慣といったことに加えて、健康チェックについては人間ドックの検査指標や項目等がございますし、これらについてもぜひ若いときに文部科学省と連携をしていただいて、若い世代、特に学生のときに教えていただくことはとても必要だと思います。
このことについて、実際に自分の経験を振り返ってみても、当時のいわゆる「技術家庭」科目の授業の中で健康や医療といったことを学んだ記憶はありますけれども、それは受験科目では必ずしもないために、恐らく受験生になればなるほど取りあえず知っておくという程度だと思うのですね。でも、実際に就職をしたり進学をしたりして、自分自身で暮らすようになると、これらは基本的に重要なことです。しかも、坂本龍馬時代頃の想定での人生50年で終わるのではなくて、今や人生100年時代ですので、何と100年続く健康の基礎知識となるものだと思います。そういった意味ではとても大切だと思います。
例えば私ども多久市では、こどもの健康につきまして、人間ドックで検査する血液検査項目に準じたチェックをこどもたちにも行っています。もちろん悉皆ではなく学年を指定して行っています。その結果何が分かるかというと、肥満ですよとか、こどもだけれども糖尿になっていく危険性や可能性がありますよということなどが分かってきます。このことで一番目覚められるのは、実は親であるお父様やお母様です。「このままだといけないな、こどもの健康を守ろう」ということで、食事の改善をしたり、「軽く運動しなくては駄目だよ」とか自覚され、そのことはひいては家族全体に伝わっていきます。特に食事に関することはそうです。こどもの健康チェックに由る気づき、そのことによって家族全員が健康を取り戻したり、より健康になったりしていかれます。
こういった、ある意味で地道で目立たないけれども、とても大切なことを食生活改善の運動やそれに関係をしていただいている方が多数全国におられますけれども、そういった方々とも連携をしながらぜひやっていくべきではないかなということを思えてなりません。
そのことによって、例えば食事の改善や自分の体重コントロールなどができていくと、いわゆるメタボ、メタボからくる病気などの改善が可能になる。佐賀県内で詳しいドクターの先生方と話をすると、メタボで命がどんどん削られる感じがあるということなのです。心疾患にしろ、脳疾患にしろ、血液が流れている血管の病とも言えます。また、一方ではがんは食事などのいろいろなことの影響を受けて発生の率が高まったり、気づいたときにはもう戻れないステージになったりしています。そういったことを啓発も含めてぜひすべきではないかなと思っています。
こどもの健康チェックのことが家族の意識を改革しますし、そのことがより良いものにつながっていくと思いますので、健康のレベルを上げて医療的ケア、医療費の適正化などなど、大きなテーマもございますけれども、一方ではぜひこういったことを取り組むことによって結果的に後から保険料の負担の軽減やより良い健康を保持することができるという実のある結果も出てくると思います。これらは、直接的な対策とか、この対策費は幾らという予算審議には必ずしもならないのですけれども、本質的にとても重要なことなのです。ぜひ文部科学大臣と厚生労働大臣が並んでいただいて、世の中に訴えていただく、あるいは保健に詳しい医師会の皆様や、特に歯科医の存在が大切だなと思います。例えば、歯のかみ合わせは物凄く重要で、かみ合わせが狂ってしまうと体のあちこちに痛みが生じてくるとも聞いています。また、歯並びは姿勢とも連携していて、姿勢が悪いと歯並びが悪くなるそうです。ついこの間、歯科医で聞きました。歯のクリーニングをしてもらいながら傾聴し、なるほどだなと思うのです。
こういった小さい知識もとても大切だなと思います。そして、そのことを怠らずやることで自らが健康になる、そして、より良い社会生活、あるいは社会への貢献もできる。ひいては医療費の増加を少しでも適正化できて、よりみんなが元気になる。ぜひこういった循環を生み出していただきたいと心からお願いをしたいと思います。
後期高齢者医療の制度も我々は広域連合として尽力しています。若いときからの健康に関する意識をもつ方や、健康に気遣ったり食事を気遣う方々は、やはり長寿、健康でいらっしゃいます。敬老の月に100歳の方に、私も長寿のお祝いにお訪ねして行きますけれども、ここで前に言ったかもしれませんが、「おばあちゃんの好きな料理は何ですか」と言うと「蛋白質確保のためのステーキとか、適度に体に良いものを自分で集めてきて食べている」という方々は意識が高いですね。そして、姿勢が何よりも良いですね。
ぜひこういったことの啓発を厚生労働省にもお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、小林参考人、よろしくお願いします。
○小林参考人 ありがとうございます。
今回の見直しに当たっては、保険料の負担軽減、高額な医療の増加、実効給付率の状況、世帯収入の増加など、複数の観点から検討が進められましたが、資料1では保険料負担の軽減だけが目的のように見受けられます。今後の周知に当たり、先ほど御説明のありました7ページ目には上限額の変更の内容だけが書かれていますが、それだけではなく、なぜ見直したのか、引き上げたのかという点も含めて、国民の理解を得るために丁寧な説明が必要だと考えます。
また、家計に対する医療費の自己負担が過重なものにならないのかどうかという点につきましては、今回の引上げの影響について、必要なデータの把握の方策などを含め今後検討とされています。患者に対する影響の把握もしっかり対応いただくようお願いいたします。
さらに、公的医療保険制度の中で負担能力に応じた負担というものをどのように取り入れていくべきなのか、負担をどこに求めるのか、その際に高齢者医療制度はどうあるべきなのかということも含め、納得性、公平性の確保に向けて根本的な議論を進めていくことを要望いたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
高額療養費制度の見直しはやむを得ないことであり、見直しに賛同いたします。
なお、我が国の皆保険制度を維持していくためには、自己負担の議論とともに給付の適正化、ひいては社会保険制度の在り方そのものについて議論を行う必要もあります。
高額の医薬品が問題になっていますが、医薬品の世界は完全に輸入過剰であり、今後、非常に高額の医薬品がどんどん導入されることが予想されておりますので、どこかで歯止めが必要なのではないかなと思います。もちろん、感染症など、やむにやまれないものは別として、生活習慣病などは高い薬剤を使わなくていいように普段から努力をすることが重要だと思います。先ほど横尾委員からも発言がありましたが、ヘルスリテラシーの向上やセルフメディケーションの推進など、まずは自助を実践するという意識を国民が共有するということが重要であり、ぜひこういった議論を深めるようにお願いしたいと思います。
もう1点、こどもの教育についても繰り返しですがご案内させていただきます。全国法人会総連合ではこども向けに租税教育セミナーを実施しておりますが、この中に医療のコンテンツを増やしてほしいという要望が強くあります。今、対応をお願いしているところですので、準備ができ次第、全国の単位会で実施したいと思っています。ご活用のご検討をよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、北川委員、よろしくお願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。
高額療養費制度の見直しにつきましては、方針としてこれは進めていくべきだと考えておりますけれども、特に今年8月から制度が変わるということになりますので、先ほど来御指摘があるとおり、ぜひ加入者の皆さんの混乱がないよう、国においてしっかりと周知広報をお願いしたいと考えております。
また、こども向けの健康教育というのも協会けんぽとして今、大変強く取り進めておりまして、全支部において進められるような体制を取りましたので、またぜひ関係団体とも協力しながら進めていければと考えております。
ありがとうございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、中村委員、よろしくお願いいたします。
○中村委員 この制度変更がもたらす影響というのが2つ考えられるわけで、一つは医療利用に与える影響、医療利用が減るというのが必ずしも悪いことではない可能性があるわけですけれども、どういう減り方をしたのかということで、望ましい方向で減ったのか、望ましくない方向で減ったのか、それから、どれぐらい減ったのかということを事後的に検証しなければいけないと思います。
もう一つは、特に非常に重い病気で非常に医療費が多くかかった人や低所得者など、低所得者だけではなくてむしろ今回の影響を多く受けるのは中程度の所得の方かもしれないのですけれども、その人たちへの経済面での家計への影響がどうなったかということをきちんと検証しなければいけないと思いまして、そういう所得と健康状態と医療利用が分かるようなデータを研究者が使えるようにしていただきたいと思います。
それから、今回のことはいろいろな状況を勘案するとやむを得ないことだったのかもしれませんけれども、こういうことにならないように、例えば選定療養費によって患者サイドでの過剰な医療利用を抑えるとか、治療の標準化といったことで適正な医療供給がなされるようにしていくことも非常に大事ではないかと思いました。これ以上自己負担の上限というのが上がっていくと本当に大きな影響が出てくると思いますので、本当にその点をこれからよく努力していかなくてはいけないと思います。
以上です。ありがとうございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見がなければ、次の議題に移ってまいりたいと思います。「令和7年度予算案(保険局関係)の主な事項について」を議題としたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いします。
○姫野課長 ありがとうございます。総務課長でございます。
資料3について御説明をいたします。昨年末に閣議決定いたしました政府予算の中の医療保険に関係する予算案について整理したものになります。
1ページ目でございますけれども、各医療保険制度における医療費の国庫負担額でございますが、10兆2619億円ということで、その下にありますような薬価の改定、また、今、御報告いたしました高額療養費の見直し、また、食費の基準額の20円の引上げなども含めました診療報酬の対応といったものを諸々含めまして、過去の医療費のトレンドなども踏まえて、若干増ということで計上してございます。
次の2ページ目ですけれども、「安定的で持続可能な医療保険制度の運営確保」ということで、各医療保険者に対する財政的な支援、国民健康保険については3071億円、また、被用者保険については1253億円ということで前年度の財政支援を確保してございます。
「医療分野におけるDXの推進」ということでは、NDBデータのさらなる利活用推進のための予算も増額して確保してございます。
次のページから、予防や重症化予防、健康づくりに関する事業費を計上してございます。まずは国保の保険者努力支援制度の予算1292億円、また、高齢者の介護予防との一体的な保健事業の推進のための予算、また、③ですが、糖尿病性腎症患者の重症化予防事業に対する予算や大規模実証事業に対する予算なども確保してございます。
次の4ページが予防・健康づくりの続きになりますけれども、後期高齢者医療における歯科健診事業の予算の確保、また、⑤といたしまして、レセプト等のデータに基づいた保健事業の推進の予算、また、⑥については保険者協議会における保健事業、そして、⑦といたしまして保険者の予防・健康インセンティブの取組の支援といった予算を確保してございます。
次の5ページでございますが、まず1つ目が、東京電力福島第一原発事故によりまして帰還困難区域に指定されました地域の住民の方々に対する保険料の免除措置を延長する予算、これも継続して、若干地域が縮小していることもありまして減少しておりますが、必要な予算を計上しております。また、医療・介護保険料等の収納対策の予算についても確保しているというところでございます。
簡単ではありますが、説明は以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
本件も報告事項ではございますけれども、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
よろしゅうございますでしょうか。
では、御意見がないようでございますので、次に移ってまいりたいと思います。「骨太方針2024を踏まえた取組方針について」を議題としたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○姫野課長 ありがとうございます。総務課長でございます。
資料4について御説明をいたします。まず1ページでございますが、こちらは「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる骨太2024におきまして、6年間の中期的な経済財政政策の枠組みであります「経済・財政新生計画」というものが定められまして、これに基づきましてEBPMの強化策、それから、経済・財政一体改革の工程を具体化するということが求められておりまして、昨年末に「EBPMアクションプラン2024」、それから「改革実行プログラム2024」というものが決定されましたので、その御報告になります。
まず、左側にあります「EBPMアクションプラン2024」でございますけれども、これは医療に限らず幅広い政府の政策について横断的にまとめたものでございます。医療に関して言いますと、効率的な医療・介護サービスといったことで取り上げられてございます。分野横断的に政策体系のロジックモデル、また、検証事項、分析・検証方法や分析のための体制、そして、データ整備におけるロードマップ、政策見直しへの活用方法などを明確化するというものになってございます。こういったEBPMの取組の成果や定量的に把握された政策効果について、骨太方針の策定などを通じまして翌年度以降の予算編成過程においても反映していくということが目的とされたものでございます。
右側の「改革実行プログラム2024」とありますが、こちらも社会保障、文教・科学技術など、各分野横断的に整理をしたものであります。今後3年間を中心に何をいつまでにどのように進めるのかといったロードマップを具体化したものでありますが、その下にありますように、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」というものや、これまでの「改革工程表2023」「骨太方針2024」といったところで既に掲げられている事項を集約・整理したという性格のものでございます。
次のページから各論でございますけれども、まずEBPMアクションプラン2024につきまして、3ページにありますように、こういった10の分野についての政策を整理した形になってございます。医療保険制度に関して言いますと、「社会保障」という中で効率的な医療・介護サービスの提供体制の構築、また、その次の年齢・性別にかかわらず生涯活躍できる環境の整備といった2つの分野で関連が出てくるところでございます。
次の4ページから各論に入りますけれども、まず1つ目の柱「効率的な医療・介護サービスの提供体制の構築」というところでありますが、政策目標としては国民皆保険の持続可能性の堅持ということも掲げられておりますし、健康で有意義な生活を送りながら活躍できる社会を実現するということが大目標として掲げられております。その中に4つほど細目がありますけれども、例えば2つ目にありますような国民の生活の質の維持・向上を確保する観点から、今後、医療費が過度に増加しないようにしていくとともに、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図るとか、③にありますような医療DXの推進といったものを通じてサービスの効率化を図って、国民自身の予防促進、良質な医療やケアを受けられるような環境といったことを目指していくということが掲げられております。
これを次の5ページにありますようにアウトカム指標を設定し、関連する施策というものもあらかじめ特定した上で、どのような進捗状況になっているのかということを把握していくという取組でございます。
次の6ページ以降にありますように、検証すべき事項、それから、7ページにありますように分析するための確認するべきエビデンス、分析・検証の方法、また、用いるデータ、そして、4番にありますような分析・検証の体制、そして、次の8ページにありますが、ロードマップ、そして、エビデンスの政策見直しへの活用方法といったものをあらかじめ設定したものとなってございます。
次の9ページが2つ目の柱でありますが、医療DXについても同様にあらかじめ確認すべきエビデンスや分析・検証方法、どういったデータを用いるのかといったことを整理した形になってございます。
以下、10ページについても同様に検証体制、ロードマップなどを整理してございます。
少し参考資料を飛ばしまして13ページですけれども、これがもう一つの柱でありますが、生涯活躍できる環境整備という大きな目標の中の細目になります。政策目標の中に3つほど項目がありますけれども、特に「③生活習慣の改善による健康寿命の延伸」というところに医療保険制度も大きく関わってくる形になってございます。
次の14ページに指標の整理をしてございますけれども、一番下のところになりますが、左下、健康日本21に掲げられております生活習慣に関する指標の改善、あるいは各保険者のデータヘルス計画における共通の評価指標といったものをアウトカム指標に用いまして、政策の効果というものを分析していくという形になっております。
以下15ページからは、先ほどと同様に検証すべき事項、また、16ページにありますような分析・検証に用いるデータ、検証手法といったものを整理し、17ページにそのロードマップなどを整理した形になってございます。
以上がEBPMのアクションプランについての御説明になりまして、続きまして、21ページからが改革実行プログラム2024の抜粋資料になります。
22ページでございますけれども、社会保障分野についての改革の主な概要を整理してございます。基本的にはこれまで全世代型社会保障で目指す改革工程などを再整理したものになりますので、何か新しい事項があるということではありませんけれども、一覧としてスケジュールも含めて見やすくしたという形になってございます。
22ページの下の段にありますけれども、まず1つ目が、短時間労働者の被用者保険の適用拡大といった取組による働き方に中立的な制度の構築というものが挙げられております。また、生産性の向上、効率的なサービス提供、質の向上という意味では、本医療保険部会でも何度か御議論いただいておりますけれども、全国医療情報プラットフォームの構築とか、その3つ下になりますけれども、多剤重複投薬の適正化や医療費適正化、都道府県のガバナンス強化といった事項が列挙されてございます。また、能力に応じた全世代の支え合いという意味では、医療・介護における「現役並み所得」の判断基準の見直しなど、個別の項目も取り上げられているところでございます。
以下23ページ以降、各事項につきまして、大まかなものではありますけれども、年度ごとのロードマップを記載した形になってございます。
以下、各論については説明を省略させていただきますけれども、以上が概略でございます。
説明は以上です。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
本件も報告事項ではございますけれども、御意見等がございましたら、よろしくお願い申し上げます。
では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
今回、「EBPM」という言葉が出てまいりまして、私もいろいろなところで言ったり書いたりしているのですけれども、とても重要なことだと思います。特に今回、目に留まりましたのは、資料の5ページでしょうか、「年齢調整後の一人当たり医療費の地域差」というアウトカム指標が出ていまして、今後のことを考えますと、人口減少、そしてそういう中での医療資源の地域偏在ということもあるわけですので、そういった中で地域差というのが今後どうなっていくのか、その辺りは医療保険の指標としては非常に重要なのではないかなと受け止めさせていただきました。
そして、具体的には一人当たりの医療費の地域差、年齢調整後ということからしますと、厚生労働省が毎年出している地域差の分析のことをイメージされているのかなと考えましたけれども、現在も県別に見ましてもいろいろとかなりばらつきというものがあるわけですので、この辺りは何をやったらこれが解消していくのか、その辺りのエビデンスというものが重要かと思いまして、関連施策のところでその辺りも今後研究されるということのようですので、その辺りは期待したいなと思っております。
また、今までもそういった点では地域差の解消に努めてきているわけですけれども、ばらつきというと標準偏差でしょうか、そういった面でこの地域差指数というのがここ10年、20年ぐらいで解消する方向に来ているのか、拡大しているのか、その辺りが分かれば、またいずれ教えてほしいなと思いました。
以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
何か手元に資料、数字等をお持ちですぐ答えられるという状況でございましょうか。
○鈴木課長 調査課長でございます。
現時点で地域差ということで各県の地域差指数を年齢調整後の医療費ということで公表させていただいておりますけれども、ばらつきも今、標準偏差とおっしゃられたようにいろいろな測定の仕方があります。KPIということで地域差の評価ということをしている枠組みも既にございますけれども、なかなか評価は難しいところでございます。特にすごく広がったというわけではないというところはそうなのですけれども、ではすごく縮まったか、なかなかそこら辺の評価は難しいというところで、そういったところも含めてこういった中で分析をしていくということなのかなと考えております。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○伊奈川委員 結構です。ありがとうございます。
○田辺部会長 それでは、横本委員、よろしくお願いいたします。
○横本委員 少々発言させていただきます。
EBPMアクションプラン2024、それから、改革実行プログラム2024はいずれも重要な内容でございまして、確実に実現していくことが不可欠だと考えております。例えばEBPMアクションプランで掲げられている事項のうち、医療費適正化計画について、エビデンスに基づいて医療費の地域差の縮減、優良な取組事例の横展開を進めることが非常に重要です。
また、医療DXについても、情報基盤の整備状況、マイナ保険証や電子処方箋、電子カルテ情報の活用状況を具体的に見える化し、分析・検証の上、効果を高めることが求められると考えております。お示しいただいているロードマップに基づきまして取組が確実に進むよう、当部会においても適宜対応を検討し、フォローアップいただければと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、島委員、よろしくお願いいたします。
○島委員 ありがとうございます。
効率的な医療提供を行うことによって医療費を抑制することは非常に重要なことだとは考えておりますが、現在の医療施設の中で、診療所も含めてですが、特に病院の経営が非常に厳しい状況になっております。この状況が続くと、日本中の必要な医療施設がどんどん倒産していく可能性が非常に高い状況に今、陥っております。そうなりますと、世界に冠たる皆保険制度の維持も困難になることが予想され、現在、議論を尽くしている地域医療構想も構築できない事態となり、地域住民の命と健康を守れないことになりかねません。
ですが、こういったいろいろ示されている施策案というのはあくまでも今ある医療施設がきちんと存続しての話になっていますので、喫緊の課題として、医療施設がどうやって経営を維持していくかといったことが非常に重要な話になってくると思われますので、ここで皆様方にそういう話を知っていただいて、本当かなと思われる方もおられると思いますが、地域の皆様がお住まいになっている医療施設の経営状況を調べてもらったら、私が言っていることがうそではないということが分かると思います。
ということで、私の発言を終わります。以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
島委員のご発言に関連した発言かと思いますが、今の医療状況は島委員がおっしゃられたとおりでございます。資料4の34ページの改革実行プログラムについてですが、ここには2024年度の診療報酬改定において、医療分野の職員の処遇を改善するための措置を確実に届けるとともに、医療従事者の賃上げの状況、食費を含む物価の動向、経営状況等について実態を把握するというのがこのプログラムになっているわけですが、現状は、島委員がおっしゃられたように、昨今の賃上げ、物価高騰のスピードに対して医療分野は全くついていけないという状況になっておりまして、特に病院を中心とした医療機関は著しく運営状況というものが逼迫しているということで、言ってみれば実態の把握にとどまっているという状況ではないということです。
今、各医療機関においては職員の処遇を改善するための対応に尽力をしているわけでございますが、医療・介護業界でも他産業並みの賃上げが可能となるよう、物価、賃金の上昇に応じたタイムリーな対応ができる仕組みの導入が必要ではないかなと思っております。まずは補助金での迅速な対応が必要になるかと思いますが、令和8年度の診療報酬改定の前に、期中改定も視野に入れて対応していく必要も出てきているのではないかなということで、このことは先日の中医協でもその議論の必要性について発言をさせていただいたところでございます。
この原因となっているのは、骨太方針における社会保障予算のいわゆる目安対応だと思いますので、この取扱いを今後は廃止するということをしっかりと検討していただくように、厚生労働省として対応をお願いしたいなと思うぐらいに現状は大変厳しいということを皆様方にも御理解いただければと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、小林参考人、お願いいたします。
○小林参考人 ありがとうございます。
政策の立案・実施に当たっては、そもそもどういう効果を期待するのかを明確にした上で、具体的にどの事業、どの政策がどのように効果があったのかを分析し、見直しながら施策を講じる必要があると考えます。
EBPMアクションプラン2024には、例えば6ページ目には検証事項として2025年に向けた地域医療構想の課題への対応、2040年頃を見据えた新たな地域医療構想の推進、医師の偏在是正についても盛り込まれています。これらを含め、効果検証がしっかり行われることを期待いたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 私からも1点だけ、21ページ以降に実行プログラムの工程表が書かれているのですけれども、その中の29ページの一番下のところにバイオシミラーの使用促進についての記載がなされています。ここの記載に「選定療養も参考にしつつ」と書かれているのですけれども、バイオシミラーに関しては現在の選定療養に係る後発医薬品のような変更は不可能ですので、使用の開始時点からドクターと連携しながら準備をして、それで開始するということが必要になりますので、この辺に関しては「選定療養も参考にしつつ」とは書かれていますけれども、現在使用中の注射剤の使用量をもってそれをバイオシミラーに差し替えたらこれだけの置換率になるという計算は通じませんので、バイオシミラーに関しましてはぜひその辺りの考慮をお願いしておきたいと思います。
あわせて、現下の医薬品の不安定な供給の中では、ましてその変更に関しては注意を要するということになりますので、医療保険上の対応を検討すると書かれていますけれども、十分に慎重な検討をよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
30ページに⑪、⑫で国保と後期高齢者医療制度のことがあり、特に国保と都道府県単位の運営という記述になっていて、その水準統一のことが書かれています。ぜひこれらにつきましては現状の各事務局が広域連合としてしっかり対応もしているところでございますので、ヒアリング等をしっかりしていただいて、都道府県ごとに若干の状況の違いなどがあれば、それも尊重しながら対応しつつ、より良い次なるステージへ進むということをお願いしたいなと思っています。
各都道府県の後期高齢者医療広域連合に関しましては、都道府県域内の各自治体から1人以上出していただいて、全てそこで運営をさせていただいています。また、各連合の現場での課題についても取りまとめをして、夏と秋に厚生労働大臣へ、あるいは保険局長さんへ提言等を出しているところでございます。
また、国保についても多くの自治体の首長は大変関心を持って見ています。令和9年以降が統合化をめざすということを一つの目安と思っていますので、今、ちょうど大事な統合に向けてのステップ・バイ・ステップのところです。これについてもヒアリングしていただいて、より良い着陸ができるような対応をお願いしたいと思います。○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、御意見がないようでございますので、本日はこれまでとしたいと存じます。
次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡申し上げます。
本日は御多忙の折、御参加いただきましてありがとうございました。これにて閉会でございます。