第133回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和6年12月20日(金)10:00~

場所

オンライン・対面による開催(中央合同庁舎第5号館 専用第22~24会議室(18階)東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

○山川分科会長 おはようございます。それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第133回労働政策審議会障害者雇用分科会」を開催いたします。委員の皆様方、お忙しいところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

 議事に先立ち、12月20日付けで障害者雇用分科会の委員に交代がありました。新しく就任された方を御紹介させていただきます。一言、御挨拶をお願いいたします。労働者代表につきまして、まず、内田文子委員が退任されたことに伴い、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会政策部門社会政策担当専門部長の河崎智文委員に御就任いただいております。河崎委員、よろしくお願いいたします。

○河崎委員 ただいま御紹介いただきました電機連合の河崎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○山川分科会長 どうぞよろしくお願いいたします。それから、同じく労働者代表につきまして、亀田隆仁委員が退任されたことに伴い、サービス・ツーリズム産業労働組合連合会副会長の大喜多輝彦委員に御就任いただいております。大喜多委員、お願いいたします。

○大喜多委員 サービス連合の大喜多と申します。よろしくお願いいたします。

○山川分科会長 よろしくお願いいたします。本日は、大井委員、影山委員、倉知委員、冨高委員、それから大喜多委員、河崎委員、藤川委員、門﨑委員が会場にお越しでございます。それから、清田委員が御欠席とのことです。事務局では、山田職業安定局長、藤川高齢・障害者雇用開発審議官、安蒜地域就労支援室長が欠席とのことです。

 本日の分科会は、Zoomによるオンラインでの開催と、会場からの参加の両方となっております。開催に当たって事務局から説明があります。

○原田障害者雇用対策課長補佐 事務局です。本日も多くの委員にZoomを使ったオンライン参加を頂いております。開催に当たって、簡単ではありますが、オンラインについて操作方法のポイントを御説明いたします。

 本日、分科会の進行中は皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言される際は、画面上の「手を挙げる」ボタンをクリックし、分科会長の許可があった後に、マイクをオンにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。Zoomの操作方法については、事前にお送りしたマニュアルを御参照ください。会議進行中、トラブルがありましたら、事前にメールでお送りしている電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には、一時休憩とさせていただくこともありますので、御容赦くださいますことをお願いいたします。オンライン会議に係る説明については以上です。

○山川分科会長 それでは議事に入ります。カメラの頭撮りがありましたら、ここまでとなっておりますので、よろしくお願いいたします。

 本日の議題は、(1)が「2024年度の年度目標に係る中間評価について」、(2)が「その他」となります。それでは、議題(1)の2024年度の年度目標に係る中間評価について、事務局から説明をお願いいたします。

○西澤障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の西澤でございます。議事の1ですけれども、資料は資料1-1、資料1-2、また、参考資料2と参考資料5が関連いたします。2024年度目標の中間評価について、資料1-1を中心に御説明いたします。

 目標は大きく3つありまして、最初の目標は、資料1-1の1ページですけれども、ハローワークにおける障害者の就職件数です。こちらの目標は、2023年度の実績以上ということで、110,756件以上ということです。それに対して、2024年度上半期の実績は59,108件となっていまして、2023年度の同期比を5.0%上回っておりまして、目標を達成できる水準となっております。

 これは、まず求職申込み、求人申込みともに増加傾向にあったということ、あとは、ハローワークにおいて、雇用率未達成企業への支援や、求人者・求職者双方への能動的なマッチングなどを行ってきた結果かと認識しております。引き続きこうしたきめ細かなマッチングに取り組んでいき、年度目標の達成をしたいと考えております。

 前回の議論で、就職件数について、件数だけではなくて定着も大事で、定着について何らかの数字を取るべきではないかという御指摘がありました。今回、まだ半年間ですので、年度目標を最終的に評価する際に何らかの数字を出せるように検討していきたいと考えております。

 次の目標は障害者雇用率関係です。これは、2023年度の目標を、翌年、2024年6月の障害者雇用状況報告で評価することにしております。2023年度の目標の1つ目は雇用率達成企業の割合ですけれども、目標が46.6%以上というところ実績が46.0%ということで、達成はできていなかったということになります。それに対して、2つ目の目標は、障害者雇用ゼロ企業(昨年6月1日時点)のうち、2024年6月1日までに新しく雇用した企業の割合ということで、目標が15.2%というところ、実績が15.3%ということで、目標を達成できたということです。

 分析の所ですけれども、障害者雇用状況報告、参考資料5を簡単に御説明いたします。雇用者数や実雇用率としては着実に過去最高を更新しておりまして、雇用指数としては伸びているという状況です。段階的な雇用率の引上げもありましたので、雇用率の引上げに影響を受けるような企業に対して、ハローワークから積極的に働きかけをしたこともあって、雇用者数や雇用率の伸びにつながったということがあります。目標を達成しなかった要因としては、参考資料5のほうでも企業規模別のデータが出ておりますけれども、比較的小規模の企業で少し雇用率達成割合が低くかったということで、全体としてはそこが影響して目標の達成にまでは至らなかったと考えております。

 障害者雇用ゼロ企業への対応ですが、そちらは目標を達成できたわけですけれども、こちらは先ほど申し上げたとおり、優先的に取り組むべき企業を特定して、ハローワークが働きかけた結果だと考えております。今後ですけれども、また雇用率が段階的に引き上がりますので、支援を必要とする企業を優先的に特定して、ハローワークで積極的に引き続き取り組んでいきたいと思っております。2024年度の雇用率達成割合の目標は46.8%になっておりますので、これを目指して引き続き取り組んでいきたいと考えております。

 次に、3つ目の目標は精神・発達障害者雇用サポーター支援実績です。こちらの目標は、支援を終了した方のうち、就職した方の割合でして、目標は72.8%以上というところ、上半期の実績は79.7%ということで、現状としては目標のペースを上回っている状況です。

 要因としては、今年度から、従来の精神障害者雇用トータルサポーターと発達障害者雇用トータルサポーターに代えて設置した「精神・発達障害者雇用サポーター」が、関係機関と連携しながら、きめ細かな支援を提供してきた結果だと考えております。他方で、労働局ごとに見ていくと、若干低調な所がありまして、そういった所は、職場実習や事業主への支援が少し低調なところがありますので、そちらについても支援のノウハウの共有などを更に図っていきたいと考えております。

 資料1-1は以上です。資料1-2は、加えて過去の実績や、4、5ページ辺りは過去の求人、求職の数、産業別の数、職種別の数などです。6ページには、障害種別の就職件数などについて掲載しております。参考資料2は、年度目標に係る四半期ごとの実績になっております。こちらは、また四半期の実績が出たら委員の皆様に提供させていただきたいと考えております。

 最後に参考資料5です。障害者雇用状況報告の恒例の公表をしております。正に今朝、ホームページに掲載したものです。ポイントをかいつまんで御説明いたします。1、2ページが全体の概要です。先ほど少し申し上げたとおり、民間企業の雇用は、21年連続で雇用者数、実雇用率が伸びているという状況です。障害種別としては、特に精神障害者の伸びが大きかったということになっております。法定雇用率の達成割合は、先ほど申し上げたとおり、46.0%となっております。企業規模別の状況ですけれども、こちらにあるとおり、基本的には全ての企業規模で雇用者数は伸びているという状況です。

 2ページ目です。産業別でも全産業で雇用されている障害者の数が伸びているという状況です。法定雇用率未達成企業の状況を見ると、不足数は0又は1という所が過半数を占めているという状況で、0人企業は36,485社と、それが未達成企業の57.6%になっておりまして、あと1人雇えば達成できるといった所が未達成企業には多いという状況になっております。特例子会社は、昨年よりも増えて614社になっております。

 公的機関ですけれども、こちらの2ページにあるとおり、国の機関は44機関中43機関が6月1日時点で達成できておりまして、残る1機関も現在では達成状況にあるという状況です。

 概略ですけれども、細かいグラフなどは以降に付いております。御参照いただければと思います。説明は以上です。

○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見がありましたら、オンライン参加の方は「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、こちらで指名した後に、聴覚・視覚障害者の皆様への情報保障の観点から、お名前を名乗って御発言をいただくようにお願いいたします。会場参加の方も、こちらについては同様です。それでは御質問、御意見等はありますか。門﨑委員、よろしくお願いいたします。

○門﨑委員 御指名ありがとうございます。労働代表の門﨑です。私からは、3点述べさせていただきます。まず1つが、ハローワークにおける障害者の就職件数についてです。4月~9月の就職件数は、対前年同期比で5.0%と上回りましたが、御説明のとおり、その背景としては、新規求職申込件数が前年同期比を大きく上回る水準になったことが影響していると承知はしています。

 一方、資料1-2の就職率の記載を見ますと42.3%ということで、前年、前々年に比べて低い水準になっています。これは今般の報酬改定等によるA型事業所の廃止なども影響していると承知していますが、年度評価に当たっては、就職件数はもとより、就職率、また課長からもお話がありましたが、定着率についても、精緻に分析した上で、雇用の質の面でも取組が進むよう、具体的な支援につなげていただきたいと思います。

 続いて、障害者雇用率関係です。最新の状況を御報告いただいたとおり、障害者雇用ゼロ企業に対する支援の成果が徐々に出てきています。引き続き、力を入れて取り組んでいただきたいと思います。

 最後に参考資料5、障害者雇用状況の集計結果についてです。私は自治労という、自治体の労働組合におりますが、公的機関の雇用状況については、国、都道府県は法定雇用率を上回っておりますが、市町村でも小さい市や町村がやはり法定雇用率を上回っていない状況があります。引き続き、総務省との連携もあるとは思いますが、御指導のほうをよろしくお願いいたします。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございました。事務局から何かございますか。

○西澤障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の西澤です。御指摘ありがとうございます。御指摘いただいたように、就職率ですが、先般、社会保障審議会障害者部会でも資料を公表したA型の関係の影響が若干出ているところはあります。ただ、それも含めて少し注視をしていきたいと考えておりますし、定着率を含め、年度目標でどういったことができるか検討していきたいと思っております。ゼロ企業対策は力を入れていきたいということと、自治体については、御指摘のとおり、どちらかと言いますと、都道府県よりも市町村のほうが低いという現状は変わっておりません。引き続き、ハローワーク等での支援に力を入れていきたいと考えております。

○山川分科会長 そのほかに御質問、御意見等はありますか。倉知委員、お願いします。

○倉知委員 九州産業大学の倉知です。3点発言させていただきます。1点が、障害者雇用率関係です。今後、引き続きハローワークで援助していくということは是非お願いしたいと思いますが、実は、今年度から雇用相談援助事業が制度化されていると思います。せっかく企業を支援する制度が出来上がって動き始めているので、ここを積極的に活用していただいて、より進むようにしていただければというのが1点です。

 もう一点は、精神・発達障害者雇用サポーターについてですが、支援実績を見ますと効果があるのだなとよく分かります。ですので、例えば日数を増やすとか、更なる充実をすることでより進むのではないかと思っていますので、その辺を検討いただければと思っています。

 最後に、これはお願いですが、雇用状況の集計結果を見させていただいて、いつも分からないのは、雇用障害者数は出ているのですが、実際に何人の方が働いているのかが分からない。2人でカウントされている方もいれば、0.5人でカウントされている方もいるので、実際どれぐらいなのか、もし分かれば参考までに付けていただけると有り難いです。これはお願いです。よろしくお願いいたします。

○山川分科会長 ありがとうございます。事務局から何かありますか。

○西澤障害者雇用対策課長 ありがとうございます。相談援助事業ですが、支援がだんだん始まっておりますので、そういった実績なども把握しつつ、ハローワークでは連携して取り組んでいきたいと思っております。

 精神・発達サポーターの件ですが、今年度から日数を増やしておりまして、今後の対応について引き続きどういったことが必要かということは考えていきたいと思っております。

 最後の雇用状況報告については、確かにそこの部分についてはご指摘のとおりと思います。参考資料の11ページに、障害種別の雇用状況という非常に細かい表があります。例えば身体障害者ですと、マル2のaからeまでが実は実人数なので、これを足すと実人数になるのですが、これに0.5を掛けたり2を掛けて足し上げたものが67万なので、ここから確認できなくはないのですが、そこは御指摘を踏まえて、来年はどういうことができるか考えたいと思います。

○山川分科会長 今の点は、御検討を頂ければと思います。ほかにいかがですか。オンラインから、大谷委員、まずお願いします。

○大谷委員 おはようございます。育成会の大谷です。よろしくお願いいたします。1つだけちょっとお願いの部分ですが、精神・発達障害のサポーター関係で良い数字が上がっておりますが、私どもは知的障害の関係がありますので、療育手帳をお持ちの方、愛の手帳などがありますが、知的障害をお持ちの方がこの中でもあると思いますので、その実態を、急ぎませんので、どの程度その中に含まれているかというような数字を、後日で結構ですので、是非とも教えていただければいいなと思っております。よろしくお願いいたします。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございます。以上の点、事務局からいかがですか。

○西澤障害者雇用対策課長 すぐに実績の中にどのぐらい療育手帳の方が含まれているかというのは分からないのですが、サポーター以外も含めて、療育手帳を持っている方で発達障害の方はもちろん支援の対象者になりまして、基本的にはその方に応じた支援をしていくということはハローワーク全体としては心掛けてやっております。どういった事例などが取れるかは少し考えたいと思います。

○山川分科会長 それでは、新田委員、お願いいたします。

○新田委員 経団連の新田です。御説明ありがとうございました。私からは、障害者雇用率関係について発言させていただきます。資料1-1、資料1-2で、中間評価等々を拝見させていただきました。法定雇用率については、今年4月に、皆さん御承知のとおり、2.5%に引き上げられたということもあって、法定雇用率達成企業の割合が46.0%と、再び5割を切ったと承知しております。更に言えば、2023年度の目標として掲げられていた46.6%以上も未達成になってしまったと認識をしております。さらに、今回御提供いただいた参考資料5で企業規模別の達成状況を確認したところ、法定雇用率の引上げ前から報告対象であった全企業規模で前年よりも低下しています。とりわけ、1,000人以上の企業における減少の幅が非常に大きく、数字を申し上げると、12.8ポイントにも達しているということで、今回の法定雇用率の引上げのまさに影響が、この数値からも如実に見て取れるのではないかと思っております。

 こうした中で、2026年7月には2.7%に引上げを予定されていると承知しております。やはり雇用の「数」ではなくて、「質」を重視した政策をずっと議論してきたわけですから、そういった政策のあり方を改めて検討する必要があると考えているところです。

 加えて、障害者雇用ゼロ企業のうち新たに障害者を雇用した企業の割合は15.3%と、前年から少し上昇して、目標であった15.2%は何とか達成したという御紹介もありましたが、やはり伸び悩みの感は否めないと考えております。引き続き、ハローワーク等におかれましては、優先的に支援する企業を明確にしながら、積極的に事業所訪問を行う、あるいは企業における課題やニーズをしっかりと把握したうえで、効果的な支援等の実施を継続していただきたいということを、要望として申し上げておきたいと思います。私からは以上です。

○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、事務局からいかがですか。

○西澤障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の西澤です。御指摘ありがとうございます。後段については、御指摘のとおりで、正に限られた人員と資源で有効に支援ができるように取り組んでいきたいと思っております。

 前段の御指摘については、後ほど参考資料で御説明する研究会もありますので、引き続き、この分科会でも議論をしていただければと思っております。

○山川分科会長 それでは、岡本委員、お願いします。

○岡本委員 日本身体障害者団体連合会の岡本と申します。私のほうから1点お聞きしたいことがあります。今、ハローワークあるいは国のほうも含めて、御努力によって、前年に比べて雇用数が増えていることはうれしく思いますが、資料1-2の6ページに、各障害別にいろいろと統計を出していただいている中で、特に身体障害者に関しては細かく出していただいていて、その中で、私ども身体障害者の就職件数が軒並み減になっているということがあるのです。先ほども就職率のことをちょっと触れられた委員がいましたが、それ以上に、この辺の件数が少なくなっているというか、前年比で、ほかの知的、精神、あるいはその他の障害者の方は増えているのですが、身体だけが減になっているのはどういうことがあるのか、その辺がお分かりでしたら教えていただきたいと思います。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございます。資料1-2の6ページ辺りに障害別のデータが出ている、その辺りかと思いますが。事務局、いかがですか。

○西澤障害者雇用対策課長 これと言って1つで説明できる理由はなかなか難しいのですが、年齢構成が違ったりとか、いろいろな要素があるのかなと思います。あと、求職申込みに比して、就職件数の伸びは一定程度小さくなっている傾向は、障害種別を通じてあります。全体では、求職申込みの伸びが9.3%で、就職件数の伸びが5%ということです。身体障害者の求職申込みの数自体の伸びが、ほかの障害種別より少し小さいという傾向もありますので、その求職申込みと就職件数の関係から見ると、ほかの障害種別より少し就職件数の増え方が少なくなる傾向にはあるのかなと思っております。いずれにしても、求職申込みをしていただいた方については、その人に応じた支援をできるだけしていくということかと思いますので、こういった数字も注視しながら取り組んでいきたいと思います。

○山川分科会長 岡本委員、御質問に関して何かありますか。

○岡本委員 ありがとうございました。ということは、申込みの件数が少ないというふうにお伺いをしたのですが、その辺は、私どもの団体からも、もう少しいろいろな方にお話していくべきかなと、ちょっと感想としては持ちました。いろいろな面で、またハローワークを中心に、求人のほうもPRなり何なりしていただければ有り難いと思っています。以上です。ありがとうございました。

○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はありますか。田中委員、お願いします。

○田中(伸)委員 日本視覚障害者団体連合の田中です。私からは1点だけ、都道府県・市町村の教育委員会の法定雇用率の関係で発言させていただきます。

 関係者、関係機関の御尽力もありまして、少しずつ達成割合は上がってきているところかと思いますが、依然として2.7%に比べますと少し低い率になっております。都道府県では47機関のうち22機関、市町村では46機関のうち28機関が達成という数字です。この点について、もう少しより一層の努力をお願いしたいと思います。日本は障害者権利条約の締約国で、一昨年の9月には、国連の障害者権利委員会から、インクルーシブ教育についてはより一層の推進をするようにという勧告も出されているところです。やはり、教育委員会の中で障害当事者が職員として活動して、これは業務の切り出しをどうするかという問題だけではなくて、共に学ぶ教育の環境作りに障害者当事者の声を反映させる。こういう大きな意味もあると思いますので、是非、これは関係者、関係機関で協力して、より一層の推進をお願いしたいと思います。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございます。事務局から何かありますか。

○西澤障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の西澤です。教育委員会の課題は、今御指摘いただいたとおりかと思います。取組として、厚労省としては、もちろんハローワークでの支援とか、やはり自治体ですので、要は、自治体のマネジメント層への労働局からの働きかけといったことはしておりますし、教育委員会の中でも達成できている所はありますので、そういった所の事例を展開したりとかということでやっております。教員ということで、文科省との連携も必要ですので、この情報はもちろん文科省にも提供して、問題意識は伝えておりますので、引き続き取り組んでいきたいと考えております。

○山川分科会長 ほかにいかがですか。御質問、御意見等はありますか。ないようでしたら、議題1については以上にさせていただきます。各委員におかれましては、もし追加で御意見がありましたら、12月26日(木)までに、事務局宛てにメールで御意見等は御提出いただければと思います。

 その上で、当分科会としての2024年度の年度目標に係る中間評価につきましては、本日の議論、追加で御提出いただいた御意見等を踏まえまして、従前どおり、私と事務局で相談して取りまとめたいと考えておりますが、そのような取扱いでよろしいですか。ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。

 続きまして、議題(2)その他について、事務局から説明をお願いします。

○西澤障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の西澤です。参考資料3と参考資料4について御説明いたします。まず、参考資料3です。今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会の開催要綱です。この検討会は12月3日から開催をしております。その名のとおり、今後の雇用制度等の在り方について検討する場として開催しておりまして、メンバーにつきましては別紙のとおりです。検討事項としては、雇用の質の向上、雇用率制度の在り方、特に、障害者雇用分科会令和4年度の報告書で残された課題などを中心に議論をしていきたいと考えております。この研究会で、めどとしては来年中ぐらいにまとめたいと思っておりますので、その後の分科会でも引き続き制度の在り方について御議論いただければと考えております。参考資料3は以上です。

 参考資料4は、障害者雇用ビジネスに係る実態把握の御報告です。昨年12月の分科会でも御報告させていただきました、ビジネスの実態把握の件です。数字の部分を更新しておりまして、下の四角の把握状況の所ですが、事業者39法人で186か所、72か所をハローワークで訪問しております。利用企業の333社を特定でき、そのうち64社については事業所訪問等を実施しているという状況です。利用企業や就業障害者数の数は、こちらに掲載していますとおり、1,583以上、9,355以上と見ておりまして、いずれも昨年11月末時点の報告より少し数は増えている状況です。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございました。参考資料3、参考資料4についてまとめて御説明を頂きました。こちらについても質疑応答に入ります。御質問、御意見等がありましたら、先ほどと同様の方法で手を挙げていただいて、お名前をおっしゃってから御発言をお願いしたいと思います。御質問、御意見等はありますか。冨高委員、お願いします。

○冨高委員 労働側の冨高です。障害者雇用ビジネスの取組について御説明いただきましてありがとうございました。今回の報告で、事業所訪問を通して事業者や利用企業の実態把握、意識啓発に取り組んでいただいていることが承知できましたけれども、引き続き、雇用の質の確保、向上の観点から、実態把握と不適切な事案があれば助言・指導等をお願いしたいと思います。

 先ほど御説明いただきました研究会の中でも、雇用の質の観点から、障害者雇用ビジネスを利用する企業が増加する可能性についての懸念の声もあったかと存じます。先ほど新田委員からも雇用の質の重要性について触れていただきましたが、状況を分析していただきながら、しっかり議論をしていくことが必要だと思います。その点お願い申し上げたいと思います。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございました。事務局からいかがでしょうか。

○西澤障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の西澤です。御指摘ありがとうございます。御指摘いただいたとおり、12月3日の研究会でも御指摘いただいておりますので、雇用の質の議論の一環として、今後も御議論いただきたいと考えております。

○山川分科会長 ほかに御質問、御意見等はありますか。影山委員、お願いします。

○影山委員 横浜市立大学の影山でございます。私も雇用ビジネスについて意見があります。以前ちょっと申し上げたことですが、雇用ビジネスを展開する事業者及び利用する企業にとっても、ガイドラインになるものが必要かなという気がいたします。以前は指標という言い方をしましたが、評価指標というのはガイドラインにもなります。つまり、こういった方向が望ましいということを示すことにもなるので、指標作りが必要かなと思います。

 その際に考慮に入れていただきたい点が4点ほどあります。正に今、冨高委員が言われた雇用の質を示すような指標が必要かと思います。これを一から作るのは大変そうに見えるのですが、もにす認定の基準というのはよく作られております。ただ、もにす認定そのままですと重い指標になってしまいますので、ここから何か適切なものを取り出して、少し加工して使っていくことはあり得るかと思います。

 2番目に考慮すべきことは、テレワーク的な形を取っていると思うのですが、テレワーク自体は障害者の方が働きやすい環境を作るという面もあるのですが、一方で、健常者の社員と全く接触がないとか、障害者の方が作られたものがマーケットに乗ってこない。社内でも健常者社員に無償配布されてしまって、受け取った社員も、「ときどき野菜もらえるけれども、何これ」みたいな感じになっているケースがあります。つまり、社会的包摂及び経済的包摂に関する指標的なものが必要かと思います。

 3番目ですが、雇用ビジネスを活用している企業を拝見しますと、仕事の切り出しがもう限界にきているとか、障害者に対する対応がうまくできない、合理的配慮がなかなか難しいというお悩みを抱えている企業も多いように思います。一方で、先ほど冒頭で倉知委員が質問の際に触れておられた企業支援の制度も、厚労省は整備されてこられていますので、こういう点ではよろしいのですが、企業自身が障害者雇用に経営的な意味があるということを認識していくことが必要なのではないかなと。中小企業でたくさん雇用されている所は人手不足解消になっているということも言われているのですが、もう一点の観点がありまして、障害者の方がいる職場というのは健常者も働きやすくなりますし、もっとおもしろい効果としては、障害者の方がいる職場は心理的安全性が高まったり、健常者の方が多様な意見を言いやすい雰囲気になっていく傾向があります。心理的安全性と多様性はイノベーションやリスクマネジメントを呼ぶので、そういうことでも意味があります。このようなことを企業が認識する、そういう指標をお作りになられるとよろしいかと思うのです。

 最近では難しくなくて、例えばマイケル・ポーターのCSVの議論があります。さらに、最近では、SDGsに関わって、SDGsコンパスという企業向けのガイドラインが発行されているのですが、ここには、社会性の取組は企業にとって経営的な意味があるから取り組みましょうということが明確に書かれています。これを受けて、国連では、SDG Impact Standardsという企業が自己認識をするためのツールを作っていまして、この中には、社会性の取組によって付加価値がどれだけあがったかをきちんと書きましょうとなっています。ここまで国連が言っているような時代になっています。こういったことで、企業にとっても奇異なものではないと映ると思いますので、こういうものも必要かと思います。

 最後の4点目ですが、障害者の方をなかなか雇用しにくいという声の中から、雇用率制度に手を入れてほしいという意見が出てくる可能性もあるかと思っています。平たく言うと、実雇用率の算定の仕方を変えてほしいみたいな。今、例えば施設外就労の受け入れなどで障害者施設を支援していても、これは実雇用率に算定できないのですが、こういうものを考慮してほしいという声も出てくる可能性はあるように思うのです。しかし、雇用率制度に手を入れるのはなかなか難しいように私は思います。安易に手を入れないほうがいいような気がします。ただ一方で、何か支援をしていたり、障害者の方に何かして差し上げていることに関して、例えば特例子会社は作れないけれどもB型事業所を作って、それは社内に事業所があって、そこに仕事を依頼しているようなケースもありまして、こういうものを考えますと、ちょっと違う雇用率的な指標考えてもいいかなと思っております。

 埼玉県立大学の朝日雅也教授が、以前、施設外就労を受け入れている企業などが増えてきていることを受けて、インクルーシブ就労率みたいなものを法定雇用率とは別に作ってはどうかという提案をされていました。こういうものがあると、法定雇用率の制度に手を入れるということではなくて、別途何か評価して差し上げるものがあると、企業も取り組みやすいかなという気がしております。以上、4点です。

○山川分科会長 有益な情報、御提案も含め、大変ありがとうございました。事務局から何かありますか。

○西澤障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の西澤です。非常に示唆に富む御発言ありがとうございました。順を追いますと、雇用の質については、御指摘のように、もにす認定があります。こういう取組もありますし、もにす認定を受けている企業も増えてきています。そうしたところも考慮しながら、雇用の質についても、より一層何ができるかというところを議論していく必要があるかと思っております。

 テレワークの件です。テレワークについては、いろいろな企業が取り組む事例が出てきています。企業の声を聞いていると、いかにして普通に働いている方とのコミュニケーションを取って、それが人によってどのぐらいニーズがあるかというのが違ったりするので、その辺をうまくやっているような企業のお話を聞いたりします。ここは増えてきている分、いろいろな事例は出てきていると思いますので、そういうところを勉強させていただきたいと思っております。

 企業支援ですが、先ほど申しましたとおり、相談援助事業を今年度から労働局での認定も支援契約も作って始めていまして、実績もだんだん出てきていますので、研究会や分科会の場でそういう事例なども出せればと思っております。

 あと、雇用率の在り方や、雇用ではないけれども障害者の就労に貢献している所をどう考えていくかということですが、先生の御指摘のとおり、正に雇用率は雇用されている数や雇用を求めている方の数で設定していますので、そこに簡単に入る、一緒にするとか、そういうところは難しい性質があるのは御指摘のとおりです。ただ、雇用の質の文脈なのかもしれませんけれども、そういうところも含めてどう考えていくかは、研究会でも議論の1つのテーマになるかと思っています。これから、研究会や分科会で、ヒアリングなども含めて、いろいろな御意見を踏まえながら、また検討していきたいと思っております。

○山川分科会長 影山委員、何かございますか。

○影山委員 特にございません。よろしくお願いいたします。

○山川分科会長 ありがとうございます。では、大谷委員、お願いします。

○大谷委員 育成会の大谷です。障害者雇用ビジネスについては、育成会として私どももすごく危惧している部分が多いところです。働くことと、このビジネスの中で、これが本当にどうつながっているかという一番大きな問題が絡んでいるとは思うのですけれども、ビジネスでやられて、人数派遣という形になって数字だけのものになるということで、そこで働いている人たちが収益が上がっているかというと、そうではないという、ちょっと矛盾した部分がある。ですので、何らかのルールを設けてもらわない、これは一般就労で働いている方たちと、受け入れている企業との格差が出ることになりますので、これからその辺の対策というかルール作りをしっかりお願いしたいと思っております。

 ただ、現時点で把握されている数字では9,000からの数字があるということで、この数字につきましても、昨年もそうですが、一応把握されている部分をデータ化していただければと思います。これが全てではないとは思うのですけれども、分かる範囲内で、毎年調査されていると思いますので、その数字の動向等を少し注視していただければ有り難いなと思います。

 それと、一番怖いのは、A型の報酬改定があったときに、5,000人からの方がA型から退職、ひどい所では、退職届を出しなさいと言われたこともあったり、B型へ移行されたりとか、報酬改定によって、いろいろなことが一気に、特に株式会社系がありました。これと一緒で、この雇用ビジネスについても、規制が入ればそこで一気に多くの方の就労が失われるということもあるので、慎重にやっていただかないといけないとは思います。ただ、呆然とこのままに置いておくと、やはりきちんと受け入れていただいている企業にとっては、どういうことなのかということになりますし、雇用率の問題だけではなくなるとは思いますので、今後、是非ともこの辺を課題として整理していっていただければいいかなと思います。よろしくお願いしたいと思います。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございました。事務局からいかがでしょうか。

○西澤障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の西澤です。御指摘いただいたとおり、確かに、現に働いている方もかなりいらっしゃることも踏まえつつ、どういうことが必要かは検討する必要があるかと思っております。先ほど冒頭でおっしゃられた、企業の収益につながっているのかとか、企業の生産活動へどう貢献するかという視点、これは影山委員からも御指摘がありましたけれども、そうした考え方については、現在、普及啓発に使っているリーフレットにも書いてあります。正に障害者雇用制度というのは、企業への雇用を通じて経済活動に参加するという趣旨ですので、そこの視点は非常に重要だということはリーフレットでも書いています。ですので、こうした視点も含めて今後検討していく必要はあるかと思っております。

○山川分科会長 大谷委員、何かございますか。

○大谷委員 難しい問題ですけれども、先々になって何かあったときに困るのは、そこに登録されている方々ですので、是非とも、できるだけ早い対策をお願いしたいと思います。以上です。

○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はありますか。特にありませんので、これで本日の障害者雇用分科会を終了させていただきたいと思います。最後に、事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。

○原田障害者雇用対策課長補佐 事務局です。次回の日程につきましては、分科会長と御相談の上、皆様に御連絡させていただきます。以上です。

○山川分科会長 お忙しい中、皆様ありがとうございました。散会いたします。