第4回電子処方箋推進会議 議事録

日時

令和7年3月3日(月)15時00分~16時00分

場所

都道府県会館101大会議室(1階)
東京都千代田区平河町2-6-3

議事

議事内容
○長嶋課長補佐 定刻になりましたので、ただいまより第4回「電子処方箋推進会議」を開催いたします。
 本日は、大道構成員、小野寺構成員、関口構成員、田中構成員、長島構成員、美原構成員はオンラインにて出席いただいております。
 また、参考人としまして、株式会社メドレー病院・有床診療所領域COO、病院事業部事業部長の久間田様にお越しいただいており、「クラウド型電子カルテの普及と電子処方箋について」御説明いただきます。
 オンラインでも、同社代表取締役社長CEOの瀧口様、執行役員医療プラットフォーム本部CTOの宍戸様にも御参加いただいており、御質問等についてお答えいただきます。
 また、こちらの事務局の医薬局長ですが、所用が発生したため、後ほど冒頭挨拶の後、退席させていただきます。よろしくお願いいたします。
 では、資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第、資料1、資料2、参考資料をお手元のタブレットに格納しております。会場のほうには手元にタブレットの操作方法の説明資料も置いておりますので、御不明点等がございましたら、近くの事務局職員にお尋ねいただきますよう、よろしくお願いいたします。オンライン出席の皆様には事前にメールにてお送りいたしております。
 次に、進行について御説明いたします。
御意見、御質問の際は挙手にてお知らせいただきまして、事務局より指名された後、御所属と氏名をおっしゃってから御発言いただけると幸いです。オンラインで出席いただいている構成員におかれましては、Zoomの挙手機能にてお知らせいただけると幸いです。
 御発言の後はマイクをミュートにしていただくよう、お願いいたします。
 事務局の紹介は割愛させていただきます。
 会議の開催に当たって、医薬局長の城から挨拶を申し上げさせていただきます。
○城局長 医薬局長の城でございます。お忙しい中、御臨席を賜りましてありがとうございます。
 皆様からの御協力もありまして、電子処方箋のメリットである直近の薬剤情報を活用した薬の相互作用リスクの防止といったよりよい医療が行える環境が徐々に実現しつつある状況であります。一方で、医療現場や患者全体でメリットを享受するためにも、さらなる普及が必要であると考えております。今後の対応、目標見直しに向けた取組状況を事務局から説明させていただこうと考えております。
 皆様から忌憚のない御意見を頂きまして、電子処方箋の着実な普及につなげたいと考えております。本日はよろしくお願いいたします。
○長嶋課長補佐 医薬局長ですが、所用のため、こちらの挨拶をもって退席させていただきます。
 そうしましたら、議事に入らせていただきたいと思います。カメラのみの方は御退席いただきますよう、よろしくお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○長嶋課長補佐 それでは、まず、議題1について、事務局から説明させていただきます。
○重元総務課長 医薬局の総務課長でございます。
 まず、資料1、取組状況についての御説明を私のほうからいたします。
 本日の内容でございますが、本年1月22日に開催いたしました「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームでお示しした対応状況を中心に御説明いたします。
 こちらは電子処方箋の導入状況を示したものでございまして、薬局において導入が進んでいるという状況でございます。
 電子処方箋導入の目標達成状況と今後の課題についてでございます。
 薬局における導入拡大によりまして、直近の薬剤情報活用による、よりよい医療の実現という主要な施策目標につきましては、おおむね達成されるのではないかと考えておりますけれども、一方で、医療機関への普及、医療機関にとって電子処方箋を利用しやすく、安全に運用できる仕組みや環境の整備が課題として残ってございます。
 こちらは医療現場やベンダーから挙げられております主な導入阻害要因を整理しますとともに、それらに対応した令和7年の対策を掲げてございます。
 課題への対応のため、こちらに示しております大きく4つの取組を行いまして、今年の夏をめどに電子処方箋の目標見直しを行いたいと考えてございます。
 こちらは緑の棒グラフが調剤結果登録数、赤い棒グラフが重複投薬チェックの実行回数で、数値は左の軸に対応しております。また、緑の折れ線グラフが薬局の電子処方箋導入割合、青い折れ線グラフが調剤結果登録の割合でございます。患者さんを薬の相互作用リスクから守りまして、疑義照会の削減などによる業務の効率化や医療機関におけます電子処方箋の普及に加えまして、薬局の調剤結果登録割合の引上げ、それらの情報を活用いたしました重複投薬等チェックの実行の推進の必要がございます。
 こちらは薬局における調剤結果登録と重複投薬等チェックに焦点を当てた資料となります。薬局の皆様方におかれましては、医療DX推進体制整備加算の施設基準の要件にもされております、全ての調剤結果を速やかに電子処方箋管理サービスに登録していただくことをお願いしたいと思います。
 加えまして、1枚の処方箋に対しまして、重複投薬等チェックを1回以上実施していただくようお願いいたします。特に重複投薬等チェックにつきましては、電子処方箋や引換番号つき紙の処方箋以外の場合にも遺漏なく実行をお願いいたします。
 導入阻害要因の分析や結果を踏まえた必要な施策の検討のために、フォローアップ調査を実施いたしております。医療機関におきましては、電子処方箋を導入しない理由として、費用が高額であることや導入する経済的・業務効率化のメリットを感じないといった回答が多くなってございます。今後、更なる阻害要因の分析やその結果を踏まえた必要な施策の検討を実施してまいります。
 こちらからが導入策に関する取組状況の説明に関する資料になりますけれども、まず、こちらは医療DX推進体制整備加算の対応でございます。電子処方箋システムへの対応を評価する見直しとしておりまして、この4月から薬局は電子処方箋システムの対応によって加点の対象になります。医療機関は、電子処方箋システムの対応の有無で点数に差がつくということになります。
 導入補助事業でございますけれども、ICT基金、都道府県の助成事業につきましては、目標の見直しまでの間の令和7年9月までに電子処方箋を導入した施設を対象に支援を延長します。機能拡充につきましても、院内処方機能を加えまして、引き続き事業を実施する方向です。それ以降の補助事業の取扱いは、新たな目標を踏まえまして改めて検討する予定でございます。
 こちらが電子処方箋システムの導入に際して活用できる既存の税制制度をまとめたものです。また、これら以外にも、電子処方箋システムの導入に当たりまして、業務効率化等のために導入したタブレット等の装置がある場合には、医療施設等経営強化緊急支援事業など、各種制度の中で定められた目的の下で利用できる仕組みもあると思われますので、適宜御活用いただければと考えてございます。
 今年2月19日に公的病院等に対して電子処方箋の対応要請をしました。導入状況の調査や医薬品のマスタ設定、電子処方箋のさらなる発行や患者さんへの理解醸成、院内処方情報登録機能のプレ運用への積極的な参加などについてお願いをしております。
 電子カルテが未導入の施設におきましては、電子処方箋を利用しづらい実態があるということ、あるいは電子カルテ導入済みの施設におきましても費用負担が重いという実態、オンプレミス型の施設におきましては、独自カスタマイズによって費用の高騰につながっているというケースもございます。こういった課題解消の一つの手段として、標準型電子カルテやクラウド型電子カルテの普及も進めながら、電子処方箋システムの導入を進めていくことを考えてございます。
 こちらは電子処方箋の機能につきまして、現状存する機能をもちまして必要最小限の基本機能が開発されたと考えておりまして、その必要最小限の基本機能を整理しております。
 また、システム事業者の対応状況につきましても、今後導入される場合につきましては、こちらを御参考にしていただきますとともに、必要最小限の基本機能に対応できていらっしゃらないシステム事業者におかれましては、早急な対応をお願いしたいと考えてございます。
 なお、参考資料にシステム事業者の対応状況の一覧を整理しておりますので、また後ほど御参照ください。
 こちらが医師の処方と異なる医薬品名が表示された事例に関するものでございまして、昨年末に一斉点検を行いました。
 この一斉点検の実施を踏まえた対応のうち、【システム上の対応】と【更なる今後の対応】の部分につきまして、御説明いたします。
 まず、1つ目が電子処方箋管理サービスにおきまして、医薬品のダミーコードを受け付けない仕様に変更するということ、それから、2つ目でございますが、一般名処方マスタから削除されまして使用できなくなった一般名コードにつきましても、使用できるようにシステム上の措置を講じたいというものでございます。
 また、これまではYJコードが廃止されますと、YJコードとレセプト電算処理システム用コードがともに使用できなくなるという状況でしたけれども、こちらもレセプト電算処理システム用コードが有効となっている間は有効となるような措置を行うものでございます。そのほか、医薬品コードの資料の充実や、中長期的な対応として各種コードの在り方の方向性の整理を今後、実施してまいりたいと考えてございます。
 院内処方のプレ運用につきましては、電子処方箋の院内処方に関する機能が現場で問題なく利用され、かつ、効果を発揮することを重点的に確認・検証するという方針の下、医療機関やシステム事業者を中心に対応しているところでございます。
 こちらの資料は国民向けの周知広報の取組状況を示したものです。
 さらに、3月14日に開催予定の医療従事者向けのオンライン説明会も、周知のために入れてございます。
 以上、本日、これまで御説明しましたもの以外でも、導入目標の設定につきまして、検討や具体的な支援策についても並行して検討を進めているところでございます。
 私からの説明は以上でございます。よろしくお願いします。
○長嶋課長補佐 続きまして、議題2について、久間田参考人から御説明をしていただきます。よろしくお願いいたします。
○久間田参考人 初めまして。株式会社メドレーの久間田と申します。病院・有床診療所向けの電子カルテ等の事業部長をしております。
 本日は、このような貴重な機会を頂き、誠にありがとうございます。
 私からは「医療DX推進者視点での電子処方箋の普及へのインプット」というテーマでプレゼンテーションをさせていただきます。皆様にとって有益な情報を御提供できるよう努めますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 弊社は人材採用システムやオンライン診療の会社として認識されることが多いのですが、弊社はヘルスケア領域に特化したインターネットサービス企業として、電子カルテをはじめとした広範囲なサービスを提供している会社です。
 電子カルテは、診療所向けのクラウド型電子カルテ「CLINICS」と病院向けのオンプレミス型電子カルテ「MALL」を提供しています。また、クラウド型電子薬歴の「Medixs」が2025年1月にグループ入りし、歯科診療所向けのクラウド型電子カルテ、レセコンも提供しておりますが、本日は病院・診療所向けの電子カルテの側面から電子処方箋の普及に向けた課題について述べてまいります。
 当社顧客における電子処方箋の導入は政府主導の取組によって進捗しております。本日の議題で電子処方箋の普及率は病院が5.2%、診療所が12.1%となっているとお聞きしました。弊社顧客においては、既に電子カルテを導入してくださっているため、病院等の領域では申込み率が15%程度、無床診療所の領域では申込み率が56%程度と、全体よりは高進捗となっています。しかし、数字が語るように、推進する現場としては申込み率や活用開始済み率にいまだ大きな改善余地があると考えています。また、既に電子処方箋システムを御導入いただいた病院・診療所についても、十分に活用されていない状況となっています。
 病院・診療所において電子処方箋の普及が進まない理由は大きく3つあると考えております。
 1点目は紙との並行運用です。紙の処方箋をなくすためには、病院・診療所周辺の薬局が電子処方箋対応をしている必要や、全ての医師がHPKIを取得している必要があります。また、HPKIカードやスマートフォン等を忘れてしまえば、紙の運用も行う必要が出てきます。HPKIカードに関しては、セカンド証明書の登場により認証作業が簡便になっていますが、有償化が公表されたことにより、やや二の足を踏む病院・診療所が多くなっていると感じています。こうした課題は、多数の薬局と連携したり、非常勤医を含めた医師数が多い病院等において顕著に発生しています。
 2点目は日々の運用作業負担です。御承知のとおり、電子処方箋への切替えにより処方箋への署名作業の運用変更に伴う負担が増加します。また、これに加えて患者様への御説明が必要となるので、現場の方々の負担は小さくありません。病院等においては職員数も患者数も多いため、この傾向が顕著になっています。例えば、電子処方箋システムの機能等にはベンダー差がありますので、導入したシステムがローカル署名対応のみの場合は、複数診察室利用の場合など、HPKIによる認証作業等が1日に複数回発生してしまうこともあると聞きます。
 そして、3点目には収益性が挙げられます。これまで述べてきた課題に加えて、ベンダーから請求される電子処方箋の初期費用と利用料やセカンド証明書利用の費用などが発生します。これにより、電子処方箋の導入・運用コストに対する投資回収期間の長期化が起こります。
 弊社の病院向け電子カルテはソースコードのカスタマイズをしていないため、電子処方箋システムは高額ではありませんが、それでも外来収入の割合が少なかったり、職員や連携薬局が多い病院・有床診療所においては、収益性の魅力を感じていただけないケースが多くあります。
 電子処方箋の申込みを増やすために、僭越ながら弊社の考えを御提示させていただきます。
 1つ目は、薬局への電子処方箋の普及促進です。先ほどの議題にもございましたように、2025年夏頃にはおおむね全ての薬局での導入が見込まれるとのことでしたので、この課題は短期で解決されると考えています。
 2つ目は、セカンド証明書の普及促進です。特に病院等に向けては、HPKIカードと比べて運用負荷が低いセカンド証明書の普及を100%とする必要があると考えています。加えて、実際の運用を鑑みると、スマートフォンなどを忘れた場合などにスムーズに対応するための一時的な解決方法の設置も必要と考えています。これらの実現に向けて時間がかかる場合は、経過措置としてHPKI以外の代替手段を政府が提起することや、HPKI認証を電子カルテ等のユーザー登録時のみに緩和するなどの施策が必要ではないかと考えています。
 3つ目は、DX対応が遅れている電子カルテベンダー等のリプレース促進です。電子カルテベンダー等によって、電子処方箋を含めた今後のDX化や標準化に対して積極度合いには大きな差があります。しかし、現在、医療機関がベンダーを変更したい場合、既存ベンダーが顧客流出を防ぐために、移行用のデータ抽出作業に数千万円の見積りを提出したり、移行先へのテーブル定義書を開示しない事例が発生しており、ベンダーロックインの状態となっています。また、ソースコード非統一の電子カルテ等では、仕様上、電子処方箋を含めたDX対応を提供するための費用が多く発生する傾向があります。
 電子処方箋普及のためには、これらのベンダーから乗り換えやすくすることが重要です。ベンダーがロックインする以外の手段で顧客流出防止に努める流れができれば、業界全体の健全なサービス改善が推進されるものと考えます。
 次に、電子処方箋の活用を増やすための弊社の考えも御提示させていただきます。
 現在は電子処方箋普及に向けた経過措置の段階かと思いますが、医療DX推進体制整備加算が電子処方箋発行の体制整備を要件としており、電子処方箋を発行すること自体は要件となっていません。そのため、先ほど述べた運用負担を踏まえ、電子処方箋システムを導入しても活用していない事例が多く発生しています。例えば、現時点での無床診療所における弊社顧客の例では、導入はしているが未活用の状態にとどまっている割合が全顧客のうち36%となっています。これは導入していただいた医療機関の85%がまだ利用していないということになります。もちろん、令和7年4月からの加算要件の運用状況によっては、活用が進んでいくものと考えております。
 電子処方箋を導入する場合のオンプレ型、クラウド型の差異について、簡単に触れさせていただきます。
 まず、一般的にクラウド型はソースコードが統一されており、オンプレ型は医療機関ごとにカスタマイズされているため、ソースコードが統一されていないというイメージがあると思います。そうしたケースが多いのが現実ですが、一部のオンプレ型の電子カルテベンダーではソースコードでのカスタマイズを行わない形で安価に提供しているケースもあるため、ミスリーディングとならないように今回は区分して記載いたしました。
 実質的な一般論として、差異について御説明をいたします。
 電子処方箋の機能に関しては、オンプレ型、クラウド型で大きな差はありません。動作速度も同様に大きな差はありませんが、インターネット環境に依存してオンプレ型のほうが軽快な傾向があります。
 差異が大きいのは導入期間、導入費用です。この課題はオンプレ型、クラウド型の差によって発生するものではなく、ソースコードが統一されているか否かで発生しています。ソースコード非統一の場合は、開発及びプログラム動作確認等が個別に必要なため、導入期間や導入費用がかさむ傾向にあります。先ほど御説明したとおり、導入費用が高いことは病院の収益性に悪影響を与えるケースがあります。そのため、電子処方箋の推進という観点では、ソースコード非統一の電子カルテベンダー各社には何らか安価に提供するための工夫をしていただく必要があると考えております。
 補足説明資料として病院・診療所のカルテのオンプレとクラウド双方の長所と短所の一般論について、各アーキテクチャーの比較表を掲載させていただいております。
 本日は、皆様の貴重なお時間を頂きまして、誠にありがとうございました。引き続き弊社メンバー一丸となり、電子処方箋の普及推進に努めてまいります。
○長嶋課長補佐 ありがとうございました。
 久間田参考人及び事務局の説明事項に関しまして、御意見、御質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。
 なお、回答ですが、事務局、参考人ともにまとめて最後に御回答させていただきます。
 質疑応答のほうをよろしくお願いいたします。
 小野寺構成員から御質問をよろしくお願いいたします。
○小野寺構成員 今回の資料で、電子処方箋の補助が延期になったということ、今まで歯科のほうでは、ベンダーがほとんど対応できていないのに締切りになってしまうという事例が多くて、会員からも非常にクレームがあったのですが、これについては大変評価したいと思っています。
 ただ、前もお話ししたとは思うのですが、歯科の場合は院内処方を行っている医療機関は2割しかいないと言われています。院外処方が8割ほどと言われています。ところが、今回見ると、院内処方する機能を入れるのにまたプラス20万円ぐらいの金額がかかっているということになりますと、以前も申し上げましたけれども、五月雨式にだんだん負担が増えているというイメージを大変受けました。
 そうしますと、理事会の中でも電子処方箋のシステムに乗るメリットがよく分からないという意見が出ておりますので、そこら辺については、費用対効果の観点からメリットについて詳細に丁寧な説明をいただくことと補助に関しても、もう少し手厚い補助をということを私のほうからはお願いしたいと思います。
○長嶋課長補佐 ありがとうございます。
 回答はまとめてと思っておりますので、続きまして、長島構成員からよろしくお願いいたします。
○長島構成員 日本医師会の長島でございます。
 今回、電子処方箋の導入に関しては、基本的な方針が大きく転換されたものと受け止めております。つまり、最初、工程表においては、この3月末までにおおむね全ての医療機関で導入ということを目標とされておりましたが、今回、例えば、【残された課題】において、医療機関への普及率は約1割弱にとどまる見込みであり、医療現場にとって電子処方箋を利用しやすく、安全に運用できる仕組み・環境の整備とまとめられました。ここが極めて重要な点だと思います。
 日本医師会は一番最初からこう申しております。スピード感は重要だが、拙速に進めて医療提供に支障や混乱を起こしてはならない。もし国民や医療者の不安や不信を招いたならば、それが最大のブレーキとなると申し上げたところです。したがって、今後、電子処方箋が広がるためには、医療現場にとって利用しやすく、安全に運用できる仕組み・環境の整備が最も重要です。その結果として着実に広がっていくということを目指すべきだと思います。
 では、何を整備すればいいかというのがまとめられたのが5ページです。「医療現場が導入をためらう要因」が7つリストアップされて、それぞれどう対応していこうかという非常に現実的で地道な取組だと評価しています。また、それに基づいて、4つの項目に分けて、やはりこれもしっかりやっていく。例えば、先ほど御指摘もありましたけれども、五月雨式は現場が導入をためらう最大の原因の一つでもあるので、3つ目の「機能の追加実装の一時停止」ということ、これは非常に重要かと思います。
 また、院内処方への対応というのは、今後の普及を進める上で実態をしっかり調べるためのものと受け止めておりまして、これは必ずしも導入しなければいけないというものでは全くないということなので、ここは別物と扱っているという明確なメッセージを出したほうがいいと思っています。
 また、導入を広げる上では、医療現場ではどうしようもない理由が非常に多くて、例えば、特にシステムベンダー側の対応も非常に重要です。その辺りは、日本医師会としては、医療DXの大きな目的の1つが医療現場の費用負担・業務負担の軽減と考えておりますが、実際はむしろ両方とも増大しているということで、当然、普及しにくいということかと思います。
 それに対応するものとして以前から御指摘しているのは、例えば、標準型の電子カルテ、あるいは標準仕様の電子カルテを導入すれば、電子処方箋も含めた医療DXの機能がいわばワンパッケージとしてすぐ使えるようになっているということが極めて重要かと思いますし、様々な修正とか機能追加をする場合も、例えば、クラウドであれば医療機関の負担も極めて少なくて済むということで、そのような形でとにかく医療現場の負担を軽減することが最も重要だと思っています。
 その観点からすると、今日、メドレー様から重要な指摘があったと思います。このところで、例えば、クラウド型とかオンプレミス型、あるいはソースコードの統一という論点が示されたと思います。
 一方「電子処方箋の普及(申込)を進めるため」という1つ目で、全薬局が電子処方箋システムの活用を開始していただくということも重要ですが、2つ目も極めて重要かと思います。HPKIセカンド電子証明書を導入するためのハードルをできるだけ下げていくということです。そのためには、例えば、費用負担が生じると、これは導入をためらう大きな理由となりますので、ここは国がしっかりと費用も含めて補助する、あるいはしっかりと支援する。そして、医療機関がHPKIセカンドを導入しやすくする。これが今後に向けて極めて重要だと思いますので、国のほうでしっかりとしていただきたいと思います。
 3つ目ですけれども、これは先ほど申した標準型電子カルテ、あるいは標準仕様の電子カルテを導入することで医療DXは進みやすくなる。そのためには、囲い込みがされてしまうとよいものに変えられませんから、囲い込みしてはいけないということで、特にデータの移行等ができるように、これは国のほうからもしっかりと働きかけていただきたいと思っております。
○長嶋課長補佐 ありがとうございます。美原構成員からよろしくお願いいたします。
○美原構成員 今、長島先生からお話しされたことにほとんど尽きるかと思うのですが、実は当院では電子処方箋に対応する体制は整えております。しかしながら、3月1日現在において利用者はたった1名です。なぜそうなのかということを現場に聞きました。現場に聞いた意見はこういうものでした。
 これも既にメドレーさんがきちんと確認してくださっていることそのままなのですが、まず、対象患者さんが電子処方箋を使いたいよと言ってきます。言ってきたときに、電子処方箋を使う薬局がそれに対応できるかどうかを僕らは知らないわけです。そうすると、それが使えますかということを聞かないといけないわけです。あるいは電子処方箋に対応している薬局をお勧めすることも、そこに患者さんを任せることになって、これもできないわけです。ですから、電子処方箋に対応できる薬局リストが全部あればいいなという話があったのですが、しかしながら、それをチェックするのもすごく大変だということです。
 それから、電子処方箋と紙処方箋が一緒の場合に、患者さんごとに切替えをしなくてはならないわけです。それが診察中のドクターにかかってくると、非常に手間がかかります。ですから、患者さんには診察の受付のときに、今日は電子処方箋を使いますよとか、使いませんよと言ってもらわなければいけないわけです。そうしないと、対応できない。そして、事務方が電子カルテで紙でいくか、電子処方箋でやるかの切替えするということです。これもメドレーさんがおっしゃっていたように、紙と電子処方箋の両方でいくときには避け難いことです。
 一方、これに対して、電子処方箋に対応するにはHPKIカードを持っていないといけないわけです。当院の常勤医でも半分ぐらいしか持っていません。というのは、これを聞いたらば、半導体不足によって、頼んでもそれがなかなか回ってきていないのだそうです。
 一方、スマホによるセカンド電子証明書利用というのもあるのです。これは、例えば、パート・非常勤医師が外来をお手伝いしてくれるときなどに、彼らがカードを持ってきてくれない場合にはスマホでやるわけです。それに対して毎年5万円ぐらいの負担がそれぞれの病院にかかってくるということになります。ですから、セカンド電子証明書を利用することが病院の負担になってしまうということが大きいように思いました。
 実際にストラクチャー、電子処方箋に対応できる体制はあるにもかかわらず、実際にそれが進んでいないというのは、メドレーさんが御指摘くださったように、事務負担がとても大きくなってしまうのが現状であるということだろうと思います。
 これの改善はどうしたらいいでしょうかというのは、一元化されるということだろうし、そこまでに様々な問題を一つ一つ具体的に解決していかないと、なかなかこれは進まないのであろうなと思われました。これは現場で全然使われていないという病院からの意見としてお聞きくださればよいかと思います。
○長嶋課長補佐 ありがとうございます。
 続きまして、田中構成員からよろしくお願いいたします。
○田中構成員 ありがとうございます。日本薬剤師会の田中でございます。
 皆さんと同じで、電子処方箋に対する方向性というのは、安全性をしっかりと担保した上でという大前提があるのですが、薬局としましては、いつでも電子処方箋を受けられるように対応を整備しておくということも一つあって、こういった導入の数値になっているというのは御理解いただけると思うのですけれども、その中で、ダミーコードの問題等々がどうしても発生したりしています。
 こちらのほうはどうしてもダミーコードでなければ対応できないタイミング等々があるのも理解はしているのですけれども、本来コードがあるものにダミーコードが使われたり、システムで誤ってダミーコードに何か紐付けできるようになっていたりすると今回のようなことが起こり、これでは皆が安全に使うことができないということで、導入することに対して、こういった細かいところの作業も絶対に忘れてはいけない。これが医療安全という面では絶対に大前提で、ここだけはしっかりと行っていただきたいところになります。
 質問させていただきたい部分なのですが、いろいろなシステム上の対応というのがあるのですけれども、システムコードの有効期間・廃止時期にはYJコードが途切れてしまう。それはレセプト請求用のレセプトコード、レセプト電算コードのほうで対応するということになっているのですけれども、こちらは最終的にいつぐらいまで薬局のほうから処方内容等々が見られるのか。このコードが切れてしまうと、処方内容が消えてしまうおそれがあるなと思いまして、ここのところを少し確認しておきたいということが1つ。
 それから、処方内容に関して院内処方の病院さん等々も少し上げられるようになっているということで、今、プレ運用が始まっているかと思うのですけれども、薬局として特に院内に対して何が一番確認したいかといったら、今、外来で何をやってきたのかという内容をリアルタイムにどうやって薬局のほうで対応できるのか。院内処方の医院さん、施設さんに対しては、どうしても薬局としてはそういったところがすごく気になるところであるので、この辺りのシステムの内容がどういった形で動いているのかというのを確認しておきたいということが1つ。
 あとは、事務的なところになるかもしれないのですが、「電子処方箋または引換番号による処方情報の取得」ということになっていますが、これは電子処方箋と紙の処方箋の両方を例えているかと思うのです。一番最後の調剤後に「調剤結果登録」があって電子署名を受けているのですけれども、この電子署名というのは、紙の場合は電子署名は必須ではないので、紙の処方箋でも電子署名が必須になったのかなと混乱しそうなので、この辺りをクリアにしていただきたいなと思いまして、発言させていただきました。
○長嶋課長補佐 ありがとうございます。関口構成員からよろしくお願いいたします。
○関口構成員 日本チェーンドラッグストア協会の関口でございます。
 今、田中先生がおっしゃられたことと同じこともございましたので、その分は割愛させていただきますが、まず、田中先生の御発言につけ加えという形になりますが、医療情報がリアルタイムで反映されていない部分があるので、どうしても我々としてはおくすり手帳でそれを確認することが必要になってくるというところが現状ですので、その部分のシステム改修というか、情報のリアルタイム化をぜひ目指していただきたいと思います。
 それから、医療DX推進体制整備加算とか、こういったところを非常に評価いただいていることに対して感謝を申し上げたいと思います。これがかなり大きなインセンティブになっていると思いますが、これから在宅医療DXに関しては課題が残っておりますので、患宅に行く場合は、薬局と違ってマイナ保険証を確認・利用する方法に投資が必要になってきますので、その辺に対してしっかりと対応していきたいと思います。
 また、先ほど美原先生のほうから電子処方箋の対応をしている薬局が一元的に分からないというお話がありましたけれども、そういったことを解消するためにも、医療情報提供ネットのナビィを使っていただいて、その検索上位に電子処方箋対応薬局を持っていく、もしくは電子処方箋対応の医療機関を掲示するという形にすれば、いろいろな形で患者の導入面でも、動員面でも大きなメリットとなっていくのではないかと思いますので、その辺を御提案させていただきたいと思います。
○長嶋課長補佐 ありがとうございます。新垣構成員、お願いします。
○新垣構成員 JAHISの新垣です。ありがとうございます。
 いくつかご要望がございます。
 電子処方箋の新たな目標については、令和7年度の夏頃を目処に設定すると記載されていますが、他の構成員からもお話があるように、安全・安心を最優先にした目標設定をしていただけると大変助かります。というのも、ベンダー側には追加の機能改善や機能改修が求められる状況であり、それに伴い医療機関側でも慎重にマスタ設定を追加で行わなければならない状況が生じるからです。次回の目標設定においては、ぜひとも安全・安心を重視した目標設定を心がけていただけるようお願い申し上げます。
 もう一点、本日メドレーさんからで発表いただいた資料の中で、最も重要なポイントが最後のページに記されておりますので、改めてお伝えします。
 医療DXを推進する観点では、クラウドか否かではなくソースコードが統一されているか否かで評価することが重要だと考えております。これは大変重要なポイントであり、クラウドであれオンプレであれ、ソースコードを統一することで、医療DXを推進する立場がより強化されるのです。現状では必ずしもそうなっていない部分もありますので、ぜひ国としてもこの観点を重要視し、積極的に推進していただけると大変助かります。
○長嶋課長補佐 ありがとうございます。柄澤構成員からよろしくお願いいたします。
○柄澤構成員 ありがとうございます。
 薬局については、日本薬剤師会さんとチェーンドラッグストア協会さんのお話と本当に重なるところで、私が日本保険薬局協会から預かってきたところは、今日のメドレーさんのお話で、医療機関さんの電子処方箋の普及の難しさというのは非常に分かりやすくて、大変勉強になりました。その中で、薬局は取りあえず勤務している社員も少ないわけですから、何とかこのように普及はできているところなのですけれども、電子処方箋と引換番号付き紙処方箋の処方箋業務が非常に複雑になっているというところは解決していっていただきたい。安全面はすごく担保していきたいなという気持ちです。
 コードの間違いのときに、なかなかミスを薬局側で見つけられない、見つけるには非常に困難だということで、非常に不安があったということも協会では聞き取っております。皆さんと同じような話ですけれども、私もオペレーションの複雑なところは解決していかなければならないなと考えております。
○長嶋課長補佐 ありがとうございます。
 先ほど構成員の皆様から頂いた件に関しまして、まとめて私から御説明させていただければと思います。
 御指摘等ありがとうございます。そちらに関しましては、種々の吟味をしながら対応していきたいと思います。
 また、田中構成員からのコードが廃止されてしまうと電子処方箋管理サービス側での情報も消えてしまうのではというご質問にお答えします。ある時点でコードが有効なものは、電子処方箋管理サービスを通過でき、通過したものは医療情報としての活用を継続できる状況となります。
 また、病院からの院内処方情報に関してですが、化学療法といった病院内対応についても、即時的な情報として周辺薬局に共有いただいたとの確認はできております。
 HPKIの運用のところの御指摘についても、今後、御意見は重々受け止め、できる対応を検討していきたいと思っております。
 薬局の調剤結果の登録において、紙の処方箋の場合は電子署名が要らないのではないかという御指摘はおっしゃるとおりですので、資料修正を検討したいと思います。
 医療安全に対する御指摘、業務負担等に関しましても、できる対応を引き続き進めていきたいと思っております。引き続き皆様方の御意見、御協力をいただきながらよい形にしていくことができればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。参考人様からも何かございますでしょうか。
○久間田参考人 本日の資料を作成するに当たって、弊社も改めて様々なことを調べさせていただきました。その中で再認識したことは、移り変わりも含めた仕組みの複雑性です。ベンダーとしても理解に時間がかかる中、医療機関のシステム担当者の方々の負担は小さくないのではないかと考えております。システム担当者がいらっしゃらない医療機関の場合はなおさらかと思います。そのため、電子処方箋を普及していくためには、政府の説明に一任するのではなく、ベンダーの立場から簡易的に顧客に説明していく必要があると再認識しました。
 また、この複雑性は電子処方箋開発の複雑性にもつながっていると思います。こうしたさなか、先ほど述べたソースコード非統一の電子カルテにおける工数負担は大きいと考えております。
 繰り返しにはなりますが、ソースコード非統一の電子カルテベンダー各社には、何らか安価に提供するための工夫をしていただく必要があると考えております。
○長嶋課長補佐 久間田参考人、ありがとうございました。
 最後に、審議官の佐藤から一言御挨拶を申し上げさせていただければと思います。
○佐藤審議官 厚生労働省の大臣官房審議官、医薬担当の佐藤でございます。
 本日は、非常に熱のこもった皆様方からの御議論を賜りまして、誠にありがとうございました。大変お忙しい中、お時間を頂戴いたしました。
 本日の皆さんの御議論を聞いておりますと、医療機関・薬局双方での電子処方箋の普及・活用についての様々な課題があるなということを改めて認識してございます。もともと電子処方箋の導入というのは、さらなる医療の質の向上ですとか、業務負担の軽減につながっていくことを期待しているものではございますけれども、現実にこの導入に当たって医療機関の中のオペレーションが複雑になったり、業務が増えたり、さらに、コスト的にも増加傾向にあるという御指摘を頂くというところについては、電子処方箋を進めるという立場から見ても非常に矛盾を感じる部分になってきているところでございます。
 そういった課題を着実に解決していかないと、これはどうにもならないことでもございますし、本日、いろいろと御指摘いただいたような課題となる部分、さらに、これは本当に標準型電子カルテの普及とともに進めていかなければならない話でもございますし、そういう中で、今日もございましたようなソースコードの統一問題という部分、ここは本当に電子カルテ業界ですとか、ベンダーさんの業界でも積極的に対応いただきたい部分ではありますが、そういうところも含めて、今後、また令和7年度の夏頃に新たな目標を考えていくわけですけれども、そういうものを考える中の要素の一つにも、こういったものは当然踏まえていかなければいけないということだと我々も今日改めて認識したところでございます。
 そういう中で、今後、皆様方ともまた引き続きよく御相談させていただき、着実な電子処方箋の普及へとつなげてまいります。そして、令和7年度の夏頃新たな目標をつくらせていただきたいと思っておりますので、引き続き皆様方の御協力、御指導をお願いしたいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。
○長嶋課長補佐 本日皆様方から頂きました御意見につきましては、電子処方箋の普及等に向けてさらに検討を進め、次回、また御報告させていただければと思います。
 次回の電子処方箋推進会議の開催につきましては、追って事務局より連絡いたします。
 以上で第4回電子処方箋推進会議を終了したいと思います。
 本日は、皆様方、ありがとうございました。
(了)