2025年3月3日 第68回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録

職業安定局雇用開発企画課建設・港湾対策室

日時

令和7年3月3日(月)14:00~16:00

場所

厚生労働省職業安定局第1会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館)

出席者

公益代表
勇上座長、小野委員、蟹澤委員、中村委員

労働者代表
西委員、初野委員、松葉委員、横澤委員

使用者代表
岩田委員、堀川委員、最川委員、若鶴委員

オブザーバー
松田国土交通省不動産・建設経済局建設振興課専門工事業・建設関連業振興室長

事務局
藤川高齢・障害者雇用開発審議官、島田建設・港湾対策室長、布施建設・港湾対策室長補佐、村前建設・港湾対策室長補佐

議題

(1)建設雇用改善計画(第十次)の実施状況について
(2)建設業の人材確保・育成に係る令和7年度予算案の概要について
(3)その他

議事

○布施補佐 定刻となりましたので、ただいまから「第68回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会」を開催いたします。冒頭は事務局が進行させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まずは、マスコミの方への留意事項を申し上げます。カメラ等の撮影をされる場合は、議事が始まる前までとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
さて、本日の専門委員会では、公益代表の小野委員、蟹澤委員、中村委員におかれましては、オンラインでの参加となっております。会議の進行中に通信トラブル等で接続が切断された場合や、音声が聞こえなくなった場合などトラブルがありましたら、操作マニュアルに記載の事務局担当者まで御連絡ください。また、委員の皆様におかれましては、御発言の際はできるだけ聞き取りやすい発音と速度でお話いただきますようお願いいたします。
 次に、配付資料の確認をさせていただきます。会場にお集まりの委員におかれましては、お手元のタブレット端末を御覧ください。こちらに本日使用する資料が保存されております。保存されているファイルは議事次第、配付資料が資料1-1から資料2まで、参考資料が参考資料1から参考資料5までの合計9種類となっております。資料に不足等はありませんか。タブレットで資料を開くときは、開きたい資料を押していただき、閉じる際には右上の「完了」を押していただきますと、元の画面に戻ることができます。また、資料を開いた状態で横にスライドすることで、資料を閉じなくても次の資料を見ることができます。操作方法でお困りのときは事務局がサポートいたしますので、お近くの職員にお声掛けください。オンライン参加の委員におかれましても、事前に同様の資料を送付しておりますので、御確認をお願いいたします。ここまでで御不明な点がありましたらお申し出ください。
 まず初めに、令和6年10月18日付け及び同年11月15日付けで委員の交代がありましたので、新たに就任された委員を御紹介させていただきます。参考資料4が最新の委員名簿となっておりますので、御覧いただければと思います。労働者代表委員として、全国建設労働組合総連合書記次長の西委員、全国建設労働組合総連合技術対策部長の松葉委員、関東電力関連産業労働組合総連合執行委員の横澤委員が就任されております。皆様から一言ずつ御挨拶をお願いしたいと思います。それでは、西委員からお願いいたします。
○西委員 全建総連で書記次長を務めております西と申します。初めての参加ですので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。
○布施補佐 ありがとうございます。続いて松葉委員、お願いいたします。
○松葉委員 同じく全建総連技術対策部長の松葉です。どうぞよろしくお願いいたします。
○布施補佐 ありがとうございます。続いて横澤委員、お願いいたします。
○横澤委員 関東電力関連産業労働組合、関電工労働組合の横澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○布施補佐 ありがとうございます。本日の専門委員会にはオブザーバーとして、国土交通省不動産・建設経済局建設振興課専門工事業・建設関連業振興室の松田室長に、オンライン参加で御出席いただいておりますので、よろしくお願いいたします。続いて事務局を代表して、高齢・障害者雇用開発審議官の藤川より御挨拶申し上げます。
○藤川審議官 高齢・障害者雇用開発審議官の藤川でございます。よろしくお願いします。事務局を代表して一言、御挨拶を申し上げます。本日は勇上座長をはじめ、委員の皆様方には大変お忙しい中、御参集いただきましてありがとうございます。また、日頃は建設労働行政に御理解・御協力を頂きまして、この場を借りて改めて御礼申し上げます。
 申すまでもないことですけれども、建設業においては技能者で見ると、60歳以上の割合が4分の1、29歳以下が12%です。これはよく言われる数字ですけれども、そういう現状にあって、やはり建設業が引き続き日本経済社会の支え手であったり、最近頻発している災害の対応も含めた「地域の守り手」ということは、もう揺るぎのない事実でございます。こういうものをずっと守っていく、維持していくという観点から、建設業を支える担い手をしっかり確保していかないといけないというのは、ますます重要になってきていることかと思います。政策的には特に若者や女性に重点を当てて、入職や定着を頑張っております。これは担い手の処遇改善と働き方改革、併せて生産性の向上という3つの点を一体的に進めていかないといけないということでやっているところです。
 正にこうした課題に対応するという観点から、本委員会で令和3年度から、第10次建設雇用改善計画を行っています。3年度から7年度、来年度が最終年度ということで、皆様の御協力を得まして、様々な施策を国土交通省とも連携して取り組んでいるところでございます。本日、第10次計画の進捗状況について、事務局から御報告させていただき、計画に基づく施策が効果的かつ着実に推進しているか、どういう取組をどのように進めていく必要があるか、委員の皆様方の専門的な見地から、いろいろな御意見を頂戴したいと考えております。
 簡単ではございますけれども、私からの御挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○布施補佐 それでは、これから議事に入りますので、カメラ等の撮影はここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。
 それでは、本日の委員の出欠状況ですが、全員出席となっております。事務局からの説明は以上です。以後の進行は、勇上座長からお願いしたいと思います。
○勇上座長 勇上でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。それでは早速、議事に入りたいと存じます。本日は議事次第にあるとおり、議題は3つあります。1つ目が「建設雇用改善計画(第10次)の実施状況について」、2つ目が「建設業の人材確保・育成に係る令和7年度予算案の概要について」、最後の3つ目が「その他」となっております。まず、1つ目の議題である建設雇用改善計画(第10次)の実施状況について、事務局から説明をお願いいたします。
○村前補佐 建設・港湾対策室の村前と申します。よろしくお願いいたします。私から議題1について御説明いたします。資料1-1を御覧いただけますか。1ページを御覧ください。第10次計画の計画期間については資料の左上にあるとおり、令和3年度から令和7年度の5か年度となっております。本年度は、計画開始4年目となっております。計画の背景については、皆様も御承知のことと思いますが、建設業はほかの産業に比べて有効求人倍率が高いこと、年齢構成は高齢層の割合が高い一方、若年層が低い状況にあり、新規学卒者の入職・定着が低い状況にあること、更に労働条件の改善の立ち遅れなどの課題を掲げております。こうした状況を踏まえ、計画の課題に記載しているとおり、施策の最重点事項として①担い手の確保・育成、②魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備、③職業能力開発の促進の3つの事項を掲げ、建設労働者の雇用の改善に取り組むこととしております。下のグラフで建設労働者の現状をデータでお示ししておりますが、説明は省略させていただきます。
 2ページを御覧ください。こちらでは第10次計画の「施策の基本的事項」や、「計画の推進体制」に関する項目を整理しております。本日は「施策の基本的事項」の項目ごとに、その施策の実施状況について御説明をさせていただきます。
 では、次の資料1-2を御覧ください。こちらの資料が、第10次計画の進捗状況を取りまとめた資料となっております。右下にページ番号が振ってあります。まず1ページを御覧ください。こちらの表で第10次計画の実施状況を取りまとめておりますが、時間も限られておりますので、表の中央右側の令和6年度の実施状況について、昨年度からの変更点と進捗状況を御説明いたします。まず施策の最重点事項の1番目である「担い手の確保・育成」の(1)の「若年労働者の確保・育成」についてです。上段アの「建設労働に対する理解の促進や建設業の魅力の発信」について、助成金の支給や高校生と建設業をつなぐ事業を実施しており、支給金額や事業実施回数などは、昨年と同水準で推移しており、来年度も引き続き取組を進めていきます。
 下段イの「建設キャリアアップシステム等の推進による担い手の確保」については、業界団体や関係行政機関で構成された、建設キャリアアップシステム運営協議会を構成して取り組むとともに、情報共有や意見交換を実施しております。また、学識経験者や関係者で構成される建設キャリアアップシステム処遇改善推進協議会において、社会保険加入の徹底や建退共制度の適正履行の確保など、技能者の処遇改善に取り組んでおり、こちらも引き続き取組を進めてまいります。
 2ページに移ります。引き続き建設キャリアアップシステムについての記載です。都道府県レベルの働き掛けや、現場管理者やCCUS担当者向けの説明会、登録申請等の様々な相談に応じる認定アドバイザー、ハローワークにおける制度周知や求人票でのPR、CCUS登録済み企業への応募勧奨などに取り組んでおります。CCUSの取組状況については、建設業界挙げての普及促進の効果が現れてきております。建設技能者約300万人のうち、技能者登録が1月末時点で約160万人となっており、一定程度の普及が進んでいる状況です。今後は就業履歴の蓄積や、レベル評価などの活用が期待されております。
 登録者数の増加に伴い、下から2つ目のポツに記載しているCCUS登録者に対する賃金助成の割り増しについては、活用が増加しております。今後の動きとしては一番上のポツにありますように、既にCCUSに係るインセンティブ措置に取り組む地域もあり、地域の実情を踏まえて対応を進めていきます。また、今後は次の段階として具体的な処遇改善につなげていくため、下から3つ目のポツに記載している助成金、建設キャリアアップシステム等普及促進コースについて、来年度から中小建設事業主を対象に、CCUSを活用した雇用管理改善に対する支援に移行してまいります。見直しの概要については、後ほど「その他」の議事の中で御説明差し上げます。
 3ページを御覧ください。令和6年度の新たな動きとしては、上から6番目のポツにありますように、CCUS技能者登録と同時に、能力評価に応じたカード発行を可能とするワンストップ申請の運用を、本年3月から開始いたします。そのほかにCCUSに関するインセンティブ措置を導入したモデル工事や、技能レベルを技能者手当に反映する取組、CCUS応援自販機の設置などについては、順調に推移しております。下段の「マイナポータルを通じた連携等」については、令和7年度以降、デジタル庁が開発を進めている国家資格等情報連携・活用システムと、安全衛生各種免許及び技能講習修了証明書を連携して、マイナポータルから資格情報が閲覧できるように準備を進めております。建退共については、来年度は更なる連携強化に向けて、システム改修等を実施してまいります。
 4ページを御覧ください。若年労働者とのコミュニケーションスキルの向上に向けた研修の実施や教育訓練の充実、キャリアパスの提示に向けた助成金による支援を引き続き実施しております。事業の実施状況については、昨年度と同程度の水準で推移をしております。
 5ページを御覧ください。(2)の「女性労働者の活躍・定着の促進」です。実施状況としては一番上のポツにありますように、令和6年5月に成立した改正育児・介護休業法の周知に取り組んできました。令和7年4月以降、段階的に施行となりますので、引き続き適正な施行及び履行の確保に取り組んでいきます。そのほかに就労環境の整備に向けた取組を、引き続き実施しております。令和7年度に向けては、上から2つ目のポツのイクメンプロジェクトの事業内容や、下から3つ目のポツ、両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)を見直しながら、引き続き実施を予定しております。
 6ページを御覧ください。新たな動きとしては、一番上のポツの建設現場での女性専用トイレ・更衣室等の整備への支援については、令和6年度から1事業年度当たりの上限額を、60万円から90万円に引き上げております。12月末時点の支給決定状況は、昨年度と同水準で推移をしておりますが、更なる活用の促進に向けて取り組んでまいります。また、一番下のポツの建設業への女性の入職及び定着等の促進に向けて、国土交通省において新たな計画の策定に取り組んでいるところです。そのほかの施策については、継続して取組を進めており、昨年度と同水準で推移をしております。
 7ページを御覧ください。上段の「女性労働者の活躍・定着の促進」については、えるぼし、プラチナえるぼしといった厚生労働大臣による認定やコンサルティングなどに取り組んでおります。中段以降、(3)「高年齢労働者の活躍の促進」です。労働局やハローワークによる指導・助言、高齢・障がい・求職者雇用支援機構の70歳雇用推進プランナーによる相談・助言など、継続して実施しております。事業の実施状況は、昨年度と同水準で推移をしております。
 8ページを御覧ください。上段の(4)の「ハローワークにおける支援」については、マッチングの支援や「人材確保対策コーナー」における支援を実施しております。中段以降の2「魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備」の(1)「安定就労の確保」については、雇用管理研修の実施や労働基準法関係法令の遵守の指導などを実施しております。こちらの事業の実施状況は、年度末時点では昨年度と同水準となる見込みです。
 9ページを御覧ください。新たな動きとして、1つ目のポツですが、昨年度に実施した一人親方問題に関する検討会を踏まえ、建設キャリアアップシステム処遇改善推進協議会において、「一人親方の取組に関する申し合わせ」を実施しております。また、その次のポツですが、一人親方等を対象とした説明会については、昨年度から規模を拡大して実施しております。そのほかに業務請負等の適正化や、不安定な雇用形態の労働者に対する対応についても、取組を継続しております。
 10ページを御覧ください。(2)の「働き方改革の推進」についてです。業界全般への理解浸透や、働き方改革を通じた担い手の確保に向けて取組を継続しておりますが、一番下のポツに、昨年6月の建設業法の改正について記載しております。昨年12月から段階的に施行となっており、現場技術者に適正な賃金を行き渡らせるための制度の具体化を進めてまいります。
 11ページを御覧ください。新たな動きとしては、上から5つ目のポツにありますように、情報通信機器の活用等による技術者要件の合理化を図っております。具体的には工事現場に専任しなければならないこととされている監理技術者等について、情報通信技術の利用により、工事現場の状況の確認ができる等の場合には、政令で定める金額・現場数の範囲で兼任を可能としております。そのほかに適切な賃金水準の維持のための業務効率化の推進、生産性の向上やワークライフバランスの推進、過重労働の改善などに継続して取り組んでおります。事業の実施状況についても、おおむね昨年と同水準で推移をしております。
 12ページを御覧ください。新たな動きとしては下から2つ目のポツにある、長時間労働の改善への取組として、「工期に関する基準」を改定し、同基準の周知徹底に取り組んでおります。そのほかに働き方改革推進支援センターの個別相談や、勤務間インターバル制度への取組として、企業の取組事例集などの周知に取り組んでおります。事業の実施状況については、昨年度と同水準で推移をしております。
 13ページを御覧ください。完全週休2日制の普及、休暇の取得促進に向けた助成金や、コンサルタントによる技術的支援の取組を継続しており、事業実施状況についても、年度末時点では昨年と同水準となる見込みです。下段から(3)の「賃金の改善」についてです。一番下のポツですが、令和6年度は建設業許可業者を対象に、社会保険の加入及び賃金の状況等に関する調査を実施しております。
 14ページを御覧ください。CCUSの普及に伴い、技能レベルを技能者手当に反映する取組や、登録技能者への賃金助成の割り増し助成の活用件数が増化しております。また、一番下のポツの賃金向上・資格等手当に関する上乗せ措置については、令和5年度の見直し以降、順調に推移をしております。
 15ページを御覧ください。(4)の「労働・社会保険、建設業退職金共済制度の加入促進」についてです。労働保険や社会保険の適用促進、建設業退職金共済制度の加入促進に向けた啓発、指導等の取組を継続しております。
 16ページを御覧ください。建設業退職金共済制度の加入促進についても、継続して取組を進めております。電子申請利用共済契約者数は増加しております。
 17ページを御覧ください。(5)の「労働災害の防止」についてです。墜落・転落災害の防止に向けた技術的な助言・支援や、健康確保対策の推進に向けた周知・指導、熱中症の予防に向けたキャンペーンの実施などに、引き続き取り組んでおります。事業の実施状況についても、昨年度と同水準で推移をしております。
 18ページを御覧ください。石綿による健康障害の防止に向けた指導や高年齢労働者、外国人労働者の労働災害の防止、建設工事従事者の安全及び衛生の確保に向けた助言・指導などについて、引き続き取り組んでおります。事業の実施状況についても、年度末時点では昨年度と同水準となる見込みです。
 19ページを御覧ください。3の「職業能力開発の促進、技能継承」についてです。(1)の「事業主等の行う職業能力開発の推進」への支援については、助成金や公共職業訓練の実施に取り組んでおります。事業の実施状況については、いずれも昨年度と同水準で推移をしております。
 20ページを御覧ください。DX・GXに対応した公共訓練の実施や、助成金による教育訓練等の支援に取り組んでおります。中段(2)の「労働者の自発的な職業能力開発の促進」については、キャリアコンサルティングの普及促進や、ジョブ・カード活用の推進などに取り組んでおります。下段からの(3)の「建設業を担う人材に対する職業訓練の実施」については、訓練から就職支援までをパッケージで行う建設労働者育成支援事業を継続しております。事業の実施状況は、いずれも昨年度と同水準で推移をしております。
 21ページを御覧ください。(4)の「熟練技能の維持・継承及び活用」についてです。技能承継の促進に向けた若者の実技試験受験料の減免措置や、ものづくりマイスター制度や技能五輪大会の開催、児童・生徒、親に対するイベント等の実施などの取組を継続しており、事業の実施状況も、昨年度と同水準で推移をしております。
 22ページを御覧ください。(5)の「デジタル人材の育成」についてです。助成金による支援や企業内訓練の高度化、高等教育等の受講支援などに引き続き取り組んでおります。事業の実施状況は、昨年度と同水準で推移をしております。
 23ページを御覧ください。4の「雇用改善推進体制の整備」についてです。(1)の「雇用改善を図るための諸条件の整備」について、新たな動きは、上から5番目のポツにありますように、令和6年度から建設Gメンの体制を拡充し、調査対象の拡大や調査内容の拡充を図りました。国土交通省と労働基準監督署が、請負代金の設定や工期の確保等の状況について合同で実地調査に取り組んでおり、違反行為に対しては、建設業許可部局から指導監督を行うことにより、請負代金や工期の適正化を推進しております。来年度も引き続き関係省庁が連携して取組を進めていきます。また、適切な労務費等の確保や賃金行き渡りの担保などの観点から、ここにも建設業法改正について記載しております。
 次の24ページから25ページ上段のCCUS等の普及促進の項目に係る記載は、全て再掲項目となっておりますので、説明は省略させていただきます。
 25ページの下段以降を御覧ください。(2)の「事業主等における雇用管理体制の整備」については、雇用管理研修の実施や助成金による支援を実施しております。事業の実施状況も、昨年度と同水準で推移をしております。
 26ページを御覧ください。(3)の「建設関係助成金の活用」についてです。こちらは助成金の支給申請の円滑化に向けて毎年度見直しを行っておりますが、本年度は円滑なオンライン申請に向けて、申請手順や記載項目、添付書類の見直しに取り組んでおります。中段以降の5の「建設業務有料職業紹介事業及び建設業務労働者就業機会確保事業の運営」の項目、(1)の「事業の適正な運営の確保」については、建設業務有料職業紹介事業の計画変更・許可更新の認定団体数が1団体、建設業務労働者就業機会確保事業の計画変更の認定団体数が2団体、新規許可企業数が3社、更新企業数が11社ありました。なお、こちらには記載されておりませんが、年度内に建設業務労働者就業機会確保事業の計画変更を予定している団体が1団体あります。事業実施に必要な建設職業紹介責任者講習の受講者が6名、雇用管理責任者講習の受講者が42名となっております。実施計画の新規認定はありませんでした。
 27ページを御覧ください。(2)の「事業の活用促進」についてです。建設業務有料職業紹介事業及び建設業務労働者就業機会確保事業に係る相談・援助を実施しております。相談件数は、昨年度と同水準で推移をしております。また、制度見直しを検討する状況は把握できませんでした。中段以降の6の「外国人労働者への対応」です。(1)の「外国人労働者の雇用管理の改善」については、ハローワークや労働基準監督署等の指導を実施しております。(2)の「技能実習生の適正な受入れ」については、法令遵守に向けた周知・指導を実施しており、技能資格の在留資格のうち、建設業の人数は約2万人増加しております。技能実習制度から育成就労制度への移行も見据えつつ、取組を進めていきます。
 28ページを御覧ください。(3)の「特定技能外国人の適正な受入れ」についてです。認定基準の徹底や巡回指導に取り組んでおり、特定技能の在留資格のうち、建設分野の人数は約1万人増加しております。最後に、7の「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた対応」についてです。感染症法上の分類変更に伴い、「工期に関する基準」から当該感染症の項目の削除を行いました。簡単ですが、私からの説明は以上とさせていただきます。
 委員の皆様方には今の説明内容を含めて、第10次計画の取組に関する幅広い意見を頂ければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○勇上座長 御説明ありがとうございました。ただいま事務局より説明がありましたが、本件の内容に限らず、建設業界の現状について、幅広に各委員から御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。なお、各委員から幾つか御意見等を伺った上で、後ほど厚労省、国交省からまとめてコメントさせていただくという流れで進めさせていただきたいと思います。それでは、御意見、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。初野委員、よろしくお願いいたします。
○初野委員 ご安全に、基幹労連の初野でございます。御説明ありがとうございました。私からは、若年層の建設業への入職の所の、女性労働者の活躍・定着の促進について申し上げさせていただきたいと思います。今年4月から改正育児・介護休業法が順次施行ということに当たり、日本における女性労働者の環境が一歩前進すると思い、着実な実施を願っている次第です。
 その中で、義務に関しては、実施の方向で着実に進んでいくと思いますが、努力義務になっているテレワークに関しては、及び腰になるところは否めません。これまでの業務の在り方を前提としないで、また、テレワークに向かないと安易に結論付けないで管理職側の意識を変えることや、業務遂行の方法の見直しを検討することが望ましいと、厚生労働省のガイドラインでは記していただいております。しかしながら、建設業の管理職側の意識は、それまでの業務の在り方を前提とする傾向が建設業においては非常に強く、依然として脱却できない現状があります。努力義務という看板に甘えて、せっかくの改正が反映されないという懸念があります。
 私自身も88歳の母を介護している状態ですが、育児・介護ともに、テレワークによって女性が社会から離れることがなく、女性の可能性を裾野広く広げる観点からも、努力義務の項目ではありますけれども、建設業においては強く押し進めていただきたいと願う次第です。以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。幾つかまとめてお伺いしてからと思いますが、いかがでしょうか。松葉委員、お願いいたします。
○松葉委員 第10次建設雇用改善計画の実施状況について、御説明ありがとうございます。私も女性労働者の活躍・定着の促進について、1つ述べさせていただきます。建設業においては、他の産業に比べて、特に現場従事者の活躍・定着がなかなか進んでいないというのが実態であると、私ども全建総連でも認識しており、担い手確保に欠かせない課題だということで、この間、女性の現場従事者の交流会のようなものも開催してきました。現場での悩みややりがい、それこそ出産、育児をしながらのキャリア形成の経験など、そういったことで交流できる場として提供してまいりました。
 今後、更なる推進を図っていくために、今、女性活躍推進委員会を当会の中で立ち上げようという動きをしております。就労環境の課題などを明らかにしていきたいと考えております。企業や団体において、こうした女性活躍に向けた活動は、今後この業界においては更に活発になっていくと思いますので、引き続き助成金などによる支援で後押しを是非していただければと思います。
 もう一点、CCUSの普及促進のことについて触れられておりました。この改善計画でも中心に掲げていただいていると思います。普及について課題となっている住宅の建築現場、いわゆる町場と言われる所や、中小事業主に普及する上では、分かりやすいメリットがどうしても必要になるだろうと思います。必要性や目的、理念を説明して理解はしていただいても、なかなか普及が進んでいかないという現状があります。これまでも意見等が出たと聞いてはおりますが、安衛法の規定によって携帯義務となっている資格証は、CCUSに登録したら資格証を紙の形で携帯しなくてもよくなるようにしてほしい、そういった意見が以前から出されていて、検討もされているというのは聞いております。例えば、最近出された建キャリのようなアプリで表示をすれば、原本を持っていなくてもOKだよと。そういったことになれば、中小事業主も分かりやすく説明ができ、普及に直結するのではないかと考えますので、是非、引き続き検討を進めて実現いただければと思います。以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。いかがですか。では、ここで一度、厚労省、国交省からコメントをお願いいたします。
○島田室長 建設・港湾対策室長の島田でございます。最初に初野委員、松葉委員からもありました女性活躍の関係です。御指摘いただいたとおり、せっかく新たに制度として取り組んでいく中で、建設は例外という話にはならないと思います。むしろ、担い手の確保という観点から言えば、しっかりとそれに向き合って取り組む必要があります。技能労働者や現場だとどこまでできるかという面はあるにせよ、ここはできるのではないかなどを具体的に検討していくとか、まずはそういう取組の姿勢を事業者の皆様には持っていただきたいと思います。既に取り組まれている事業者もいると思いますが、業界全体として進めていただく必要があるかと思います。技術者で言っても、特にDXのような話の中で現場に行かなくてもよいという場面も出てきているとは思いますので、そういう意味では活用の幅を拡げるというか、一つ一つ業務をしっかりと見た中で、何ができるかを考えていく必要があるのではないかと思った次第です。
 松葉委員からも、全建総連としても女性活躍の取組を進めていただいているということで、私もその関係で、女性の技能者の方が集まって意見交換をするような場を見せていただいたりもしています。そういう働いている人の機運というか、いかに定着してもらうかというのもありますが、やはり女性が現場で働くということが当たり前になっていくようにしていく、雇う側、業界としてそちらの方向に行く必要があるのではないかと考えております。この辺は国交省でも取組をされていると思いますので、補足があれば松田室長からしていただければと思います。
 あとは、CCUSの関係で、普及促進が進んでいる面と、進んでいないという言い方をするときもあります。進んでいない所は、特に町場などで進み具合が遅いという中で、理念やメリットの1つかと思うのですが、資格証の携帯の関係でCCUSと連携させてという御要望は、検討はしている状況です。マイナポータルでは連携ができるようになるようですが、CCUSとの連携で課題となっている真正性の確保をどうしていくかという話もありますが、そういう利便性というか、具体的なメリットが出てくればCCUSも更に進んでいくのではないかと思っておりますので、関係機関の所でまた議論していただきたいと考えております。
○勇上座長 ありがとうございます。松田室長はいかがでしょうか。もし、何か関連する取組について補足等がありましたら、よろしいですか。
○松田室長(国交省) そうですね。大丈夫だと思います。
○勇上座長 分かりました。ありがとうございます。初野委員、松葉委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。他の委員の方々、御質問や御意見等はいかがでしょうか。岩田委員、お願いいたします。
○岩田委員 建専連の岩田です。よろしくお願いいたします。4点ほどあります。まず1点目、建設Gメンの合同調査についてですが、これは非常に有り難いです。今、我々業界では、標準労務費というのをを国交省で進めていますが、これをこれからどういかしていくかという上で、我々とすると行き渡り、お金をちゃんと払うのかということが議論になっているわけです。ここにはお金だけではなくて、処遇には休みなどいろいろなものがあります。賃金台帳だけではなく、就業規則も出すのだと、見せるのだと。そういうことも合わせてこういう賃金になっているということをしっかりと見せて、契約当事者間での納得が業法上、一番大事だと思いますので、元請さんに見せますということを言っております。その上で、国交省だけではなかなか見られません。労働の関係については、やはり厚労省の方にチェックをしていただけるということで、非常に有り難い取組となっており、感謝申し上げたいと思います。
 2点目です。今、働き方改革の話が出ましたが、これからは、今ある状況がこうだから、これだったらできるけれども、これはできないという見方を根本的に変えて、働き手に合わせた労働環境を提供できる所に人が集まると思うのです。そういう意味で言いますと、例えば、夏休みは1か月休むとか、GWは気候がいいのだから日曜日だけにするとか、そうすることによって生産性向上というのも一挙に上がるわけです。夏の暑いときに体が動かないところでやるというよりも。もう1つの見方としては、現在の8時に来て5時に帰るという、大渋滞を起こすときにわざわざ来て、わざわざ帰るというのを見方を変えて、例えば6時から19時など、フレックスにして入退場できるようにするということに取り組むべきだと思います。コロナのときはやりましたのでね。
 私は関西なのですが、コンビナートの特定工事をやったときは、30分単位でずっと入っていくのです。それに対して、安全のポイントなどもDXをいかしてどんどん伝えることも可能だと思いますので、フレックスを基本に置いて、それに対応できる現場の環境を整備していくというように、発注者も含めてサプライチェーン全体で考えていかないと。これは女性活躍の問題で、2、3日前に福岡で女性活躍委員会がありましたが、そのときに出ていましたけれども、拘束時間が全てなのです。子供を持っている人は預けられないのです。ですので、預けようと思えば現場に10時に着いてしまって、お前は社長出勤か、などと嫌みを言われます。退場が5時とか、そこから俺は残業だけれども、お前は残業ではないぞなどと、いろいろな圧が掛かってきて非常にやりづらいというのを共通して言っていました。そういう意味で、働き方改革もそういう視点に変えるべきではないかと感じます。
 3点目は、現在、担い手確保で、当社もなのですが、学卒は工業高校からは来ないです。多いのは普通高校なのです。大学に進学できずに、仕方ない、働こうと思った子は、腕に職を付けて力量で食べていくのだという方向の視点になったときに、3級技能検定です。我々は、工業高校には出前講座にどんどん行って、担い手確保のためだけではなくて施工管理に行っても、我々技能者の職を知っていただきたいということで、技能者の視点という意味でも教育をしようということで、継続してずっと行っています。大学も行っています。そういう意味では、普通校は3級を受けるハードルが工業高校とちょっと違って、2日間やれば受けられますよということなのですが、普通校の先生からは、どうにかしてほしいと。教育時間が限られている中で出前講座を入れられないと言うのです。
 なので、是非ともそこは普通高校でも3級でトレーニングして、受けられるような状況にしてあげることによって、うちも工業高校でしたが、3級を2年で受けて、そうすると高校3年生になったときに2級を受けられますので、それでこの進路で行こうと決めてきました。担い手確保という意味では、そこら辺を柔軟に対応していただけるようになれば促進する、学卒の子にも来ていただけるのではないかと思いますので、是非とも検討願います。
 4点目は、技能の継承です。私は鉄筋の業種なのですが、鉄筋業界は現在、全国で28%が外国人です。この3年で1割以上増えました。高齢者のゾーンを見ていますと、どんどん退場していきますので、都市部では5年ぐらいで5割を超えるのではないかと。技能を伝承していこうと思えば、教える側の問題なのです。高度技能を持った高齢者がどんどんいなくなるのです。現場でばりばり働けないけれども、教える能力はあるのに教える相手がいないのです。技能を伝承させていこうという視点に立って、これからどうすべきかというと、今は請負なので、いろいろな現場に行けるように流動化をもう少し柔軟に、例えば、CCUSの範囲であれば移動をもっと柔軟にできるようにするなどということをして、技能のレベルをどんどん早く上げさせていかないと、1つの請負をやっている現場だけでは習得するものが単体だけになります。
 幅の広い教育をしようと思ったら、流動化をどのようにしていけばいいのか。派遣の問題もあるでしょうし、そこはもうそろそろ議論していくべきではないかと。人がいない、人材をどう活用していくかという意味で、技能力を上げていく、伝承していくということは、我々の本当の課題です。5割を超えてきたときには非常に怖い状態になるのではないかと危惧していますので、是非とも御検討をお願いしたいと思います。
○勇上座長 ありがとうございます。非常に多岐にわたる、次期計画にもつながるような御提案を頂いたと思います。関連の御意見がありましたらお願いします。若鶴委員、お願いいたします。
○若鶴委員 日建連の若鶴でございます。今、岩田委員から言われたものは、まず大変賛同いたしますのは、夏場の酷暑日です。暑いときに、テレビを見ると外へ出るのは危険ですと言っている状況なのに、法律上は別に誰も止めていないと。こういったときには働くなというほうに法律で決めていただいたほうが、我々としてはむしろやりやすいのです。現場を止めるなら止めるで明らかに分かるということであれば、例えばですが、8月1か月は全部休みにしてしまって、ほかの月で全部賄うような、そういう柔軟な働き方ができるような制度改正ができればいいのかなと思っております。
 もう一点は、やはり担い手不足ということなのですが、今の10次計画が出来たときは、担い手不足はまだそこまで深刻ではなかったのです。コロナの頃で、ど真ん中で作ったものでしたからそうだったのですが、今、足下は本当に担い手不足です。私は元請の代表なのですが、元請さんに聞きますと、今、学生さんは週休2日でなければ来ないのですけれども、学生さんの思っている週休2日というのは、土日の休みなのです。だから、今度の土曜日に出勤してくれと言った瞬間に、次の日から来ないなどという新入社員がざらなのです。ですので、この中に週休2日と、次の計画かもしれませんが、できれば土日閉所ぐらいのところまで突っ込んでいただくようなことをしないと若者が入ってこないですし、入ってきてもすぐ辞めてしまうという状況になっておりますので、次かもしれませんけれども、こういったものを危機感を持って対応しなければいけないのかなと。これは我々も含めてなのですが、そのように思っております。以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。横澤委員、お願いいたします。
○横澤委員 電力総連の横澤です。今、夏場の働き方のお話が出ましたので、電力関連産業の熱中症について、一言申し上げさせていただきます。電力関連産業は裾野が広く、屋内、屋外問わず様々な現場で作業を行う多くの仲間を守るために、2年前の夏から熱中症にスポットを当てて、熱中症防止策の展開、会社の取組や対策の共有などに取り組んでまいりました。しかし、ここ数年の酷暑により、現場の作業環境はますます悪化しており、予防と重篤化防止の両面から、熱中症対策の取組が急務であると考えております。1月に開催された安全衛生分科会において、熱中症の重篤化を防止するため、事業者に対して罰則付きで体制整備などを義務付ける方向性が示されました。まずは、早急に取りまとめていただき、今夏に向けてより一層の取組強化をお願いしたいと思います。
 また、工期に関する基準が改正されて、工期設定において一定の猛暑日を考慮し、適正な工期を設定するとしたものの、今後、更に猛暑日が増える可能性があることを踏まえると、先ほど作業はしない、夏場は休みにするというお話もありましたが、考慮した以上に現場第一線において、作業を中止する、中断する判断を迫られることが多くなると懸念されます。現場で迷いなく作業中止などの判断ができる指針の検討も、同じく必要ではないかと思っております。
 次に、若者たちの建設業への入職・定着促進による担い手の確保・育成についてです。建設業は、皆さんも御存じのとおり、社会のインフラ整備という重要な役割を担っております。しかしながら、例えば、道路上の工事などでは、通行される近隣住民の方から御不便に対する不満の声があったり、職場からは仕事がしづらい面があると聞いております。建設業界が目指す新4K「給料がいい、休暇が取れる、希望がある、かっこいい」の実現に向け論議が進められておりますが、機械化やロボット化など、更なる技術革新によって旧3K「きつい、汚い、危険」、このようなイメージを払拭することも必要だと考えております。建設労働に対する理解促進、建設業の魅力発信については、学生の就職先として選択してもらえることを含め、各省庁連携の上、建設業の社会的な役割や新4Kなどの魅力の発信をしていただき、学校などへの更なる理解活動に取り組んでいただくことに加えて、高年齢者、女性など、誰でも働きやすい環境につながるよう、技術革新への更なる支援もお願いしたいと思います。
あと2点申し上げたいことがあり、引き続き申し上げさせていただきます。安全衛生・労働環境についてですが、いわゆる一人親方、個人事業者等に関して、新たに労働安全衛生法の適用対象とすることが、安全衛生分科会の報告に盛り込まれました。就業者保護に資する重要な内容ですので、早期の法律成立を求めたいと思います。法律成立の際には、事業者、注文者に対して十分に周知、指導いただくとともに、一人親方を含む個人事業者に対して、必要な支援をお願いしたいと思います。
 また、性別にかかわらず、誰でもより働きやすい環境となりますよう、本年4月、10月に改正される育児・介護等休業法の趣旨、内容の周知と併せて、女性用トイレ・更衣室の整備をした際に受給できる人材確保等支援助成金などの支援策が積極的に活用されますよう、引き続きの取組をお願いいたします。
 もう一点ですが、建設キャリアアップシステムにおけるレベル別年収についてです。レベル別年収は、技能、経験に応じた賃金について、目指すべき具体的なイメージを業界全体で共有することで、賃上げや適正価格での受発注の促進を目指すことを目的に、令和5年6月に国土交通省で公表されております。年収一覧を公示することで、年収が低い職種に人材が集まりにくくなってしまうことも懸念されるため、建設業全体の給与水準の底上げや、職種ごとの魅力の普及も併せて取組が必要ではないかと考えます。
 先日開催された国土交通省の労務費の基準に関するワーキンググループにおいても、レベル別年収の活用について議論が行われたと承知しておりますが、公表から間もなく2年となりますので、公共工事における設計労務単価の改定や、時間外労働の上限規制による建設業界の賃金の全体の変化などを踏まえつつ、職種ごとの水準の妥当性の検証などをお願いしたいと思います。以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。それでは、事務局からコメントをお願いいたします。
○島田室長 それでは、今、意見を承った点について、まず、何人かの委員の皆様から、夏場の暑さ、酷暑という中での作業、危険な面もあるようなところで、もう少し思い切った取組もする必要があるのではないかというご指摘をいただきました。具体的に言えば、クールワークキャンペーンで国としてもいろいろと暑いときの作業に注意しましょうという周知を図ったりしていますが、では、どれぐらいになると作業をして危険なのか、個々の現場や状況にもよるとは思うのですが、そういった数値の指針は示していないという状況にあるのは御指摘のとおりかと思います。この点については、複数の委員の皆様から、こういった御指摘も頂いたということは担当部署に伝えたいと思います。
 この暑さの問題もそうですし、岩田委員からもありました働く人に合わせていくというのが、今の建設に限らず全体としての流れかと思います。昔であれば、仕事があるので仕事にどうやって合わせていくかというのが基本で、我々はそういう世代であったかとは思うのですが。今は労働者のキャリアアップなり、キャリア形成という中で、いかに労働者が働きやすい環境にしていくかといった考え方をしないと、人もいないときに入ってきてくれないということもあり、そこはやはり努力して、業界としてしっかり取り組んでいく、そういった観点も必要なのではないかと考えております。
 また、一人親方の関係の法令の適用の話もありましたし、女性の活躍の関係で言うと、女性トイレの設置の話もありました。厚労省の人材確保等支援助成金の中でそういったトイレの設置のコースもメニューとしてあるのですが、もっと活用されてもいいのではないか、活用してほしいという状況でありまして、我々もしっかり周知していこうとは思うのですが、皆様方からも、こういうものがあるので活用して取り組んでいこうとお伝えいただければ助かります。
 あと、レベル別年収の関係は国交省さんから後ほどお話いただくとして、岩田委員からありました、労働力の需給調整の関係についてのお話もあった点で言えば、昨年度も複数の委員の皆様から、CCUSという施工体制が見えるような透明化が図られる状況となったのであれば、もう少し柔軟にできるのではないかといった御指摘も頂いたところです。先ほどのCCUSとの関連で言えば、進んでいると言いつつ進んでいない面もあるという中で言うと、実は登録だけして終わっているという人がかなりいて、就業履歴の蓄積があまりなされていないという面もあります。先ほど町場にはあまり普及していないというご指摘もありました。そういう意味では、一部しか就業履歴が見られないというのが現状というのもあります。
 また、今ある就業機会確保事業については、この事業が20年ぐらい前、建設労働者の供給過剰みたいな状況の中で、雇用不安があったときに、緊急避難的に労働者の雇用安定を図るために生まれた制度で、それで派遣法の禁止の例外として作ったというものである点からすると、団体がしっかり計画を作って、それに基づく労働者の需給、あぶれた雇用が保てないような所から空いている所にというのが本来の趣旨であるので、そこの根幹というのは、法律の枠組みとして、これだったらぎりぎりやれるというところで決まっています。その中で、仮にCCUSが進んだ場合に、何か、どういったことができるのかというのは、現状ではなかなか具体的なイメージができていないところです。まずは、そこら辺の施工体制の透明化、労働者保護という観点も十分に踏まえながら検討していく必要があるのではないかと思っております。
 あと、若鶴委員と横澤委員から、人材確保へ向けた建設業の魅力を伝えていくことが大事だという御意見を頂いており、私どもとしても同じ認識でおります。現状の人材確保の助成金の中で、若者や女性の魅力ある職場づくり事業コースというものがあり、こちらの中で職業理解の取組やインターンシップを受けるための経費の支援等もしております。こういった助成金の活用促進も図りながら、より魅力が伝わるように取組を進めてまいりたいと思います。
○勇上座長 ありがとうございます。松田室長、先ほどのレベル別の年収について、何かコメントはありますか。
○松田室長(国交省) 松田です。横澤委員からの御指摘で、そもそも全体を底上げしていかないといけないよねというところは正にそのとおりだと思っておりまして、我々、建設業界全体の賃上げを図るために、労務費の基準ということを議論しながら、そこでレベル別年収とどう関係性を付けるかを議論しているところです。公共工事設計労務単価も今年で13年連続で上昇となり、いろいろと状況は変わっているので、妥当性というか見直しがあったほうがいいのではないかということは、担当のほうにきちんと伝えていきたいと思います。どういうタイミングで、どういうことができるかは、すみません、私がはっきり申し上げるのは難しいのですけれども、しっかり伝えていきたいと思います。以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。岩田委員、若鶴委員、横澤委員、よろしいですか。では、まだ少しお時間があるようです。オンラインの先生方、よろしいですか。
○蟹澤委員 Webのほうからよろしいですか。
○勇上座長 お願いいたします。
○蟹澤委員 蟹澤です。今日、マレーシアからオンラインで参加させていただいております。まず1つ目、皆さんとかぶらないところで質問です。これはいろいろな問題に絡むのですけれども、いわゆる建設現場の朝礼の問題があります。先ほど岩田委員からも、朝礼に来ないことによってという話がありましたが、子育ては女性だけの問題ではありませんけれど、やはり男性が参加するにしても、保育園に寄ってから現場に来るということもあると思いますし、全員が一律8時ということで、いわゆる早出残業の問題ですね、会社に寄って来るときも残業の問題にも絡みますし、8時に現場に来ても、しばらく仕事がない方はたくさんいらっしゃるのです。ですから、生産性向上の面からも、全員が8時に集まらなければいけないということが本当なのかどうかという辺りに非常に疑問を持っているのですけれども。これは安衛法上の元請責任もあるので、ゼネコンの皆さんが非常に真摯に現場運営をする上で、朝礼は絶対参加だよというのが業界の1つの慣習のようになっているのですけれども、それこそ、コロナの時代は、DXを使うことによって全員集まらなくていいよという傾向になったのですが、今はまた戻ってしまったと。これについては是非、厚労省がDXでどういう要件を満たせれば、全員が8時に集まらなくてもしっかりと安全管理をしたことになりますということを通達か何かで言っていただかないと、元請団体もなかなか朝礼を全員集合というのはやめましょうというようにはできないと思うのです。ですから、これはいろいろな問題に絡みますので、どうにかして厚労省のほうから手立てを御提示いただくことができるといいのではないかなと思います。これについては、そのような可能性があるのかどうかという質問です。
 2つ目はCCUSに関連して、これは皆さんからの御意見の繰り返しになりますが。まず、少なくとも、もう5年以上、分母が300万人というのが前提で、ようやく半分ですと。多分1月で、今月で160万人になると思いますけれども、だから何か少なく見えるのですが、技能者全体も減っていますし、そういうことで考えると、例えば、250万人と考えると、もう65%入っているわけですし、200万人と考えれば、もう75%入っているわけです。このCCUS、しかも建設業振興基金が非常に熱心に真正性の確認、本人確認をしているという実態の上で、労働法についても、特にこれは業界の悲願が2つありまして、1つは、資格情報の原本承認の問題です。聞くところによると、特別教育に関してはいいんだよということになってきたようなのですが、やはり技能講習、その辺が残っていると。これについて、是非業界としても、これはCCUSの価値向上にもなりますし、先ほどありましたように、これがちゃんと認められれば、レベル認定もタッチ率も必ず上がるはずですので、ここについて、すぐは難しいにしても、是非、厚労省からスケジュール的なものを御提示いただけると有り難いなと思います。
 それから、就業機会確保事業に関しても、建設業界の悲願です。前回も申し上げましたが、是非ともCCUSというツール、業界の基盤を持っているんだと。要するに、港湾のようにまだ全員にはなっていませんが、もう70%ぐらいの人がしっかりと登録をされているという上での制度設計があれば、もう少し就業機会確保というのも広く認められていいのではないかと思います。その辺はもしかしたら第11次の課題になるかもしれませんが、スケジュール感も併せて御提示いただけると有り難いなと思います。
 もう1つは、やはり新卒人材です。今日、皆さんからも出ましたが、ここ1、2年、本当に厳しくなっています。人材の取り合いですね。高卒人材も工業高校卒は金の卵です。工業高校卒だけの有効求人倍率は、もう20倍以上あると言われていますが、専門工事会社の皆さんや工務店の皆さんは全く採れなくなっている。それを少しでも緩和するためには、やはり就業前教育、要するに高校生のうちに就業体験をする、その上でマッチングをする。今、一部は認められていますが、現状の制度の中でこれを拡大することが非常に難しいものですから、その辺をもうちょっと拡大していただくような考えがあるか、又は、できないとすれば何が足かせであるのか、この辺を伺っておきたいなと思います。
 先ほどもありましたが、一人親方の労働者性の問題ですが、これも人材の確保、育成も含めて、今、インボイスの問題もあって、あと2年間は8割控除になりますが、それが終わった後、かなりベテランの一人親方がお辞めになって、ますます人手不足が顕在化するのではないかと思います。こういう悪循環をなくすためにも、それから、CCUSみたいなツールができたことを鑑みても、やはり一人親方、特に偽装一人親方というのを排除するためにも、しっかりと一人親方の労働者性の問題について、これも第11次での課題かもしれませんが、そろそろしっかりと解決をしなければいけないのではないかなと思います。
 もう1つ、労働時間のことです。これも皆さんから出ているように、例えば、ドイツには労働時間貯金制度というものがあります。例えば、日本では10月~6月、気候のいい間に毎日1時間、要するにその間だけ、例えば1時間残業して、それを貯金しておくと丸々1か月以上ぐらいの労働時間が貯まります。それを活用して、真夏の暑いときに1か月休んで、その分プールしておいた労働時間に相当する賃金が何か保険のような形で支払われるような制度など、そんなことは先の問題かもしれませんが、何かぼちぼち建設業、産業全体的にそんなことも考えないと。この日本の酷暑、今、私はマレーシアにいますけれども、東南アジアの熱帯諸国より日本の夏のほうがよほど暑いので、この辺については、本当に抜本的な今までとは全然違うような法則というのが、もしかしたら第11次の課題かもしれませんけれども、考えなければいけない時期になっているのではないかなと思います。以上です。ありがとうございました。
○勇上座長 蟹澤先生、ありがとうございました。それでは、最川委員、お願いします。
○最川委員 西松建設の最川です。まず1つは、働き方改革の推進です。先ほどからも出ているのですが、適正工期の話です。私もこの委員会に出席させていただいて大分たつのですが、以前から比べれば、週休2日が確保できるようになったという実感がここ2、3年あります。現状を申し上げると、国の発注工事については、ほぼ週休2日を見込めるような当初の工期を設定していただいておりますが、地方公共団体と民間工事はまだまだというところです。国が指導や適正工期を見込むという事を継続してやっていただいたお陰でここまで改善されてきていると思っております。引き続き、地方公共団体発注工事と民間工事の発注団体に働き掛けをお願いいたします。
 それに関連して、先ほど、岩田委員からも建設Gメンの話が出ましたが、元下間の発注や工期の問題はもちろんあるのですが、私は以前にも言ったと思いますが、適正工期で受注したときはちゃんと工期は確保されていて、計画どおりいけばちゃんと休みも取れるというのがほとんどだと思うのですが、発注者の問題で着工ができないということが結構あるのです。着工段階でもう3か月遅れていて、引き渡し日は変わらないということがあるので、そういうところもしっかり確認していただきたい。それを元請だけが下請に対する工期をちゃんと与えていないみたいなところだけ注目されてしまうと、元請としても厳しいので、もし、そういう指導をされる、された所もあるというのは伺っているのですが、発注段階での適正工期の確保の点も、指導をしっかりお願いしたいと思います。
 それと、建設キャリアアップの件については、先ほど蟹澤先生にも言っていただきましたが、私も、当初からインセンティブを与えるというところで、安衛法に関する資格証を持たないようにしてくれと、もう以前からお願いしていて、検討しますという返事はいただいています。やっとここにきてそれが見込めるような回答になっているのですが、やはりいつまでにやるというところまで返事がいただけていない。もう5年以上たつと思いますが、改善されていない。私、当初から資格証の代わりにCCUSカードを提示できれば資格証を持たなくても良い事にできませんかということをお願いしています。例えば1年後でも2年後でもいいので、そこまでにやる見込みですとか、そろそろ回答していただきたいというお願いです。私は次の更新がないので、今日が多分最後になると思うのですが、是非、次の方にもその辺の要望をしっかりしていただいて、働く方が便利なものにしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。堀川委員、お願いします。
○堀川委員 奥村組の堀川です。皆さんの御意見を承り、それに対する事務局の回答をお聞かせ頂きました。ありがとうございます。この中で、女性の入職について触れさせていただきます。女性活躍推進法が2015年に施行されてから、各団体で女性活躍の活動に携わってきております。女性の活躍と言われて10年たちましたが、建設業においては、これがなかなか進んでおりません。これがなぜかというと、皆様から御意見を頂きましたように、働き方が根本的にどうしても男性目線で見られてしまう。夏場の現場の作業の厳しさを改善というお話も多く承りましたが、そういう環境の厳しいところがありますので、言葉は悪いですが、女性は現場に出しても役に立たないとか、女性のほうも、「私は体力がないから」ということで、どうしても退場してしまう、退職してしまう方も多く見ております。
 育児・介護休業法も改正され、2022年には男性が主に取得する出生時育児休業がかなり手厚くなり、弊社においても若手の意識が大分変わってきました。男性も働き方を変えて、女性が今まで1人で担ってきたものも分担して、働く環境も女性に配慮してという意識も出てきております。このような流れをますます厚生労働省でも進めていただきたいと思っておりますし、各委員からお話を頂いた、働く人に合わせた制度が本当に重要になる。若手のみならず、女性の活躍にも大いに必要になるのではないかと思っております。
 また、先日、2月28日だと思うのですが、国交省から土木工事に関する業務の積算基準等の改定が、改めて出されたかと思います。こちらは非常に有り難い通知だと思っております。ここで言うのは間違いかもしれませんし、私の勘違いかもしれませんが、先ほど最川委員もおっしゃっておりましたように、特に民間での建築等については、まだ厳しい状況が残っていると思います。難しいかもしれませんが、国交省からも何か一言お声掛けを頂いて、業界の標準、基準というものを打ち出していただければ、非常に有り難いと思っているところです。以上、2点述べさせていただきました。
○勇上座長 ありがとうございます。事務局からお願いします。
○島田室長 CCUSと資格証の連携の部分は、先ほども申し上げましたが、真正性の確保のような話があってとお答えしたわけですが、CCUSは法律にこそないものであれ、国交省、関係団体や厚労省もタイアップして進めている制度であるので、一定の真正性はあるのではないかと思います。そういう意味では、本当にそれができないという技術的な問題なり、考え方として適切ではないというものがあるならば、それはそれとしてなのですが、担当部署には改めて本日、複数の委員から早く進めるべきではないかというお話があったことは伝えたいと思います。
 それから、蟹澤先生からありました朝礼の関係ですが、これも担当に聞くと、安全衛生の意識や体制をしっかり確保することの規定があり、それに基づいて朝礼をやっている中で、朝礼そのものについて必ず朝礼を何時からしなさいという形にはなっていないようなのです。そういう意味では、先ほどDXでやったという例もあったというお話もありましたが、いかに安全衛生の意識を高めるかということで、必ずしも今行われている朝礼という形でなくても可能だとは思います。とはいえ、今までの慣習や集まってやるのが安全意識を高めるという考えもあるでしょうし、どこまでどのようにできるかという現場の判断もあるとは思うのです。国としてこういった基準であればこうしていいということを、もともと規定していないものをこういう形でと、なかなか言いにくいとは思うのですが、いずれにしても、本日のお話は伝えたいと考えております。
 それから、CCUSと就業機会確保事業の関係は先ほども出ましたが、行政の考え方として言えば、労働者の安全や雇用の安定が前提となる中で、それから、CCUSを絡めてとなると、登録しただけをもって、例えば重層下請構造の中にある雇用関係の複雑な部分から生じるような課題が解決するとも思えないのです。それは、先ほど申し上げた登録で、最低でも就業履歴があって、どこで誰が現場にいるということが見えるというのは、この関係でどういったことができるかということにつながるとは思うのですが、現状では、そのようになっておりません。そういう意味では、CCUS登録イコール就業機会確保事業とは結び付かないのかと思うのです。ただ、就業機会確保事業かどうかは置いて、いろいろ柔軟な需給調整が逆に雇用の安定を図る面もあるというような考え方もあるのかもしれませんが、それはしっかりと働く場所を確保できるという意味かと思います。
 ただ、何分そういった下請構造の中で需給調整を行うのは、いろいろな問題が生じる面もあるので、ここについては来年度が計画策定の年であり、その計画そのものの中にもこの事業について検討していくというようなことが書いてありますので、どのような方向性というか、何が可能なのかというのは、恐らく論点になってくるのではないかと考えているところです。
○村前補佐 蟹澤委員から、高校生の就職促進に向けた職業理解の取組の拡大で、何が足かせになるのかという御質問を頂きました。ここについては慎重な対応が必要と申しますか、学校の立場としては、高校生の可能性をどれだけ広げてあげるかというのが、高等学校教育という考え方もあります。一方で、産業界からしてみれば、人材を輩出していただくという面もあり、学校のカリキュラムについては、それぞれの自治体や学校法人の考え方もありますので、なかなか一律にここを拡大するというのは、慎重に行う必要があるのかと思います。
 また、最川委員から頂いた建設Gメンの件ですが、こちらについては実態調査を幅広く行っております。実地調査を行うときには、効率的に行うために書面調査を事前に行って把握した疑義情報や、駆け込みホットラインという相談窓口も設けております。そういった所にあった問合せの中で、違反の疑いのあるものを優先して実施するなど、工夫して行っております。その中で、実際に民間の発注者に対する指導も、既に指導例としては発生しておりますので、こちらは引き続きしっかりと対応を進めさせていただきます。以上です。
○勇上座長 御発言いただいた委員の方々、よろしいでしょうか。小野委員、現在のこの計画というか実施についてのお話でよろしいですか。もし、来年度の話にも関連するようでしたら、次の所で御発言いただこうかと思うのですが。
○小野委員 控えたほうがいいですか。
○勇上座長 いえいえ、どうぞ。
○小野委員 3点ほど意見を言わせていただきたいと思っております。まず1つ目が、皆さんから出ていたCCUSの話です。160万人が現在登録をされているということで、全体的には登録者数自体は思うようにうまく進んでいるという認識は持っていますが、先ほど来おっしゃったように、登録しているだけであるということもあります。この間送っていただいた建設関係の調査も見たところ、CCUSに登録するメリットが分からないというような声もあるようですので、やはりメリットをつくっていかないといけないというのが、まず1つあるだろうと思います。
 それから、これは次の期のことになるかもしれませんが、やはりこれだけお金を使って行っている事業ですので、何の効果があったのか、何がよくなったのかということが、アウトカムを設定して見ていく必要はあるだろうと思います。これはEBPMということで、エビデンスをきちんと追っていかなければ、お金を投じた意味がどこにあるのかというのは、やはり検証せねばならないと思います。EBPMというのは、基本的にビフォーとアフターで見るものですから、ビフォーの数字は取っておく必要があるだろうと思います。アウトカムについては、賃金であるとか資格の話であったり、キャリアがどのようになっているかというように、いろいろな取り方があると思うのですが、その辺りの調査を行う必要があるのではないかと思っています。
 これは、やはり職種別に賃金やいろいろなものが動きますので、公的統計の賃構、賃金センサスの中の建設業の職種と紐付けて見る必要があるのだろうと思っています。そこの内側部分の職種を細分化するにしても、最終的には公的統計に紐付けられるような調査をしていく必要があると思っておりますので、その辺りは少しお考えになったほうがいいのではないかと思っております。
 2つ目は、女性労働について、いろいろお話があったと思います。働き方改革の話もあったと思います。女性労働が進まないのは、乱暴に言ってしまえば、私は労働時間の問題だと思っています。長い労働時間、そして週休2日がなかなかかなわない業界ですね。働き方改革は2019年から行われておりますが、資料1-1の真ん中辺りにも労働時間が出ております。これを見ると、今は建設業界の労働時間は、働き方改革前の製造業と同じぐらいなのかという感覚です。ですので、製造業がガッと下がっていますし、働き方改革でそのほかの産業の労働時間が下がっていっている中で、ここに入職してくる人は、新人も含めて女性も含めて、相対的にどこで働くかを判断しますので、相対的に見て建設業が幾ら頑張っていても、ほかの業界に比べたら長時間労働であるということがまだあるのであれば、人手不足を解消するのはなかなか難しいと。特に女性に関しては、労働時間が足かせになってしまうのは、仕方がないと言ったらあれですが、そこが要因になっていると私は思っております。ですので、女性を増やすということになった場合に、男性も含めて、やはり労働時間というものを柔軟に少し短くしていく努力が、かなり必要になってくるのではないかと思っております。
 3つ目は、担い手不足の人材確保の点です。建設事業に関しては、外国人労働者がかなりたくさん入ってきております。CCUSにも登録されているということですが、どのぐらいの外国人労働者の方が登録されているのだろうというのがあります。このCCUSに登録したときに、自分で確認ができるものは、英語であったりそれ以外の言語で見れたりするのかというのが、私は存じ上げないので、そこが分かったら教えていただきたいです。
 それから、最近、外国人労働者もグローバルで見た場合、取り合いになっていると。日本の賃金が低くなっていて、外国人労働者が日本になかなか来てもらえないということがあるかと思います。ただ、実は技能実習でやられている外国人労働者の方は、帰国されてからほかの国に非常に高い値段で行かれるという事実があるそうです。それはなぜかといったら、日本できちんと技能を習得して、良い人材として他国で働けるということがあるらしいのです。ですので、日本の技術が広く見たら、世界でも使われているということです。
 例えば、CCUSの中でサーティフィケイトがしっかり出されるようなことになると、グローバル的にもこのCCUSでこういうサーティフィケイトが出ているということで、その人材の資格であったり能力が認められることになっていきますので、まずはそこを使って外国人労働者の人たちにも登録していただけるメリットがあるのかとは思っていたりしました。雑駁な意見ですが、以上です。よろしくお願いいたします。
○勇上座長 小野委員、ありがとうございます。事務局からお願いします。
○島田室長 事務局からお答えいたします。CCUSの関係で、先ほどからメリットの話が出ている中で、今、小野委員からもその辺りをもう少し分かるようにする必要があるのではないかという御意見を頂きました。後ほど説明させていただきますが、CCUSの普及促進コースを、来年度から活用促進コースというものに、助成金を衣替えをしようとしております。それは、正にメリットにつながるようなもので、ある程度普及した中で、実際に技能者がカードをタッチした就業履歴や資格などに基づいてレベル評価を受けてもらいますと。そうしたら、レベル2であった、1であったと。そこから昇格したときに、今は全体的に賃上げや処遇の改善という話は出ておりますが、せめて昇格した、レベルが上がっているような人が一定程度賃金が上がらないというのは、能力評価に応じた処遇、これはCCUSの目的ではありますが、そこにまだ至っていないという現状がある中で、まずはしっかりそれに取り組んでいただきたいと考えております。先ほどの就業履歴のタッチもそうですし、能力評価も進めて、最後は労働者の処遇の改善につながっていくようなものとして制度設計をしており、そこも1つのメリットにはなろうかと思います。こういうものがしっかりできた上で、処遇の改善という中で来てもらえる産業の賃金という部分では、可能になっていくのかと考えております。
 それから、CCUSは国交省の方から全体の話もあるかとは思いますので、厚労省だけのお答えは難しいのですが、どうやって効果を測っていくかという中で、先ほど説明した話ではないですが、CCUSを活用して取り組んだ事業主が増えた結果、労働者の賃金も上がったというところは見えていくかと思います。網羅的にビフォーアフターが分かるか、アウトカムもどこまで設定できるかというのはあろうかと思いますが、貴重な視点かと思いますので検討させていただきたいと思います。
○村前補佐 外国人技能実習生の場合には、CCUSの登録が義務化されておりますので、CCUSには登録いただいてはおります。こちらで外国人の方がどれだけいらっしゃるのかというのは、把握できておりません。申し訳ありません。以上です。
○勇上座長 小野委員、よろしいですか。それでは時間もまいりましたので、2つ目の議題に移ります。2つ目の議題は、建設業の人材確保・育成に係る令和7年度予算案の概要についてです。事務局より御説明をお願いいたします。
○村前補佐 それでは、資料2に基づきまして御説明をさせていただきます。建設業の人材確保・育成に係る令和7年度予算案の概要です。資料の右下にページ番号を付しておりまして、1ページを御覧ください。令和7年度の予算案については、今年度同様、資料中央に記載のとおり、CCUSの普及促進に向けた取組など、厚生労働省と国土交通省が連携して魅力ある職場づくり、人材確保、人材育成に取り組んでいくこととしております。
 2ページを御覧ください。人材確保、人材育成、魅力ある職場づくりの推進について、左側に国土交通省の取組、右側に厚生労働省の取組といった形で整理をしております。◆が建設業に特化した支援、◇が他の産業も含めた支援となっております。以下、厚生労働省の予算案について、昨年度との違いを中心に御説明させていただきます。
 3ページを御覧ください。まず、人材確保についての項目です。一番上の「建設事業主等に対する助成金による支援」については、令和6年度末をもって建設キャリアアップシステム等普及促進コースを廃止しまして、令和7年度から新たに建設キャリアアップシステム等活用促進コースを創設いたします。技能者の能力・経験に応じた適切な処遇を目的として、中小建設事業主が実施するCCUSを活用した雇用管理改善の取組を支援する助成金となります。こちらの詳細は、後ほど別途、御説明をさせていただきます。
 2つ下の「ハローワークにおける人材不足分野のマッチング支援」については、昨年度に引き続き事業内容を拡充しており、令和7年度予算案では、人材確保対策コーナーの設置箇所を増設するとともに、職業相談員や就職支援ナビゲーターの増員を行う予定です。
 次の4ページを御覧ください。人材育成についてです。一番上にあります「中小建設事業主等への支援」として、訓練から就職支援までパッケージで支援を行う建設労働者育成支援事業について、来年度も継続して実施することとしております。その他の事業についても、今年度とほぼ同規模で継続実施の予定です。
 5ページを御覧ください。魅力ある職場づくりの推進についてです。一番上にあります「働き方改革推進支援助成金による支援」について、21億円増額となっております。こちらは時間外労働の上限規制が適用される建設業等の業種が、ほかの業種と比べて労働時間が長い実態があることを踏まえ、これらの業種等に対応した「業種別課題対応コース」の成果目標を拡充したことなどにより、要求額が増加しております。以下、その他の取組については、継続事業ということで、今年度と同様のスキームで事業を実施する予定です。私からは以上です。
○勇上座長 御説明、ありがとうございました。ただいま、事務局より説明がありました来年度の予算の内容について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。中村委員、お願いいたします。
○中村委員 この話というよりは、どこで手を挙げたらよいのかが、なかなか図りにくくて、先ほど、将来的なことは次の議題でというお話がありましたので、ちょっとここで発言させていただければと思います。先ほどからの議論にどちらかというと絡むのですが、今の資料を見ても、CCUSをいかに普及させていくのか、ここで言う「普及」という言葉は、単に登録者がいるとか利用者がいるということではなく、実際に意味のある形で活用されるということを後押ししたいということかなと、今日ずっと聞いていて理解しているところです。
 そこで、実態が分かれば教えていただきたいのですが、例えば、先ほどお話にあったような、登録はしているのだけれども、就業履歴の記録を労働者の方がされないという問題は、どこが一番ボトルネックなのかということです。そこが少し気になって聞いておりました。例えば、労働者個人のほうで、何かカードをタッチするようなイメージなのですかね、それが煩わしくてやってないということなのか、それとも、現場にそういう設備等を用意するのが手間なのでやってないということなのか、いろいろな可能性があると思うのですが、それが何なのかというところです。
 それによって、例えば、普及促進と言ったときにも、何をやらなければいけないかということも変わってくるかと思います。例えば、労働者の方のほうは、そういう設備があったら利用する気でいるのに、なかなか現場にないのだということであれば、事業者に働き掛けないといけないですし、逆に事業者のほうではどんどん使ってほしいのだけれども、個別の労働者の方にそこまで強制しづらいところがあって、できていないということであれば、労働者の方にこのCCUSのメリットをいかに納得させるかなど、そちらが重要だという話になるだろうと。そのようにやっていく施策なども変わってくると思いますので、その意味でも、どこに課題があるのかということです。
 それから、もう1つは、先ほど小野さんの話にもあったように、こういった施策がどれほど意味があるものかという話をするときに、何を基準に見るのかというところも、ちょっと気になるところです。例えば、建設業界の賃金が上がっていくというのは大変重要な指摘だと思うのですが、一方で、やはり使用者のほうの労働者に払う立場から考えますと、安定して品質の高い建設事業を業界の方にやっていただけるというのは、多分、いわゆる建設業界の需要者側の立場だと、そういうのが強くあると思います。そういったことへのつながり、例えば、能力の高い人が増えてきたので、現場のほうで、いろいろ働き方改革で閉める時間を増やしたりはしているのだけれども、きちんと品質が保たれていますとか、そういう、誰の観点からこういったものを評価するのかということもしっかり考えた上で、検証や、今後どういった形で新しい計画を作っていくのかということも考えなければいけないのかなと、そんなことも思いながら皆さんの御議論を聞いておりました。もし、今の段階で何か分かることがあれば、教えていただけますと助かります。いかがでしょうか。
○勇上座長 中村委員、ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
○島田建設・港湾対策室長 CCUSの制度設計なり運用は国交省が基本やっていますので、後ほど松田室長のほうから御説明があるかと思います。私からは、ずっと説明してきた中で言うと、まずメリットというのが伝わっていない、メリットって何だというようなところが、それは労働者も事業者のほうにも十分伝えきれていないというのがあるのではないかと思っています。
 その上で、実際の普及促進のメリットがないとすれば、何でタッチしなければ駄目なのかとか、面倒くさいとかいう労働者側の側面もありますし、全部の現場にカードリーダーを置くのも、今は簡便な方法でできるようになっているのですが、なかなかそれは面倒だという、事業者側もそのメリットを認識し、しっかり蓄積していくのだというのがないなら、なかなか全ての現場に置くというのもできていない。そこは双方あるのかと思っております。
 こういう数字を言うのがいいのか分からないのですが、150万人が登録をしていて、年間7千数百万タッチで、250日勤務日数とすると、全現場にカードリーダーがあったとして、全部タッチしている人は、5人に1人であり、あとの人は全くタッチしていない。あるいは全員がタッチしているのだけれども、1/5の現場にしかタッチする機能がないと、両極端な例で言えば、そういう現状かと思います。
 だから、そのタッチを増やすにも、なぜそのタッチをする必要があるのか、そのタッチをすることによってあなたの就業履歴が蓄積され、それが能力評価につながるみたいな、最終的な処遇につながっていくところまでの説明が長いので、まず、目の前の速効的なメリット、今日の議題にも出ていました資格証などもメリットだと思いますし、やはり、その理念の部分と実益の部分も含めてやっていく必要があるのではないかなと思います。厚労省側から見たら、そういうふうに思っているところです。
○勇上座長 ありがとうございます。松田室長はいかがでしょうか。普及から活用に当たってのボトルネックなどについてのお尋ねです。
○松田室長(国交省) 私もCCUSの直接的な担当ではないので、あまり今後の目標値をどうするのかなどのはっきりしたことを申し上げるのは難しいのですが。何で進まないのかという部分は、先ほど来お話が出ているとおり、いろいろな観点があると思っています。分かりやすいメリットがないとなかなか技能者に伝わっていかないとか、地方の現場に行けば会社自体もあまり理解をしていないとか、いろいろな要因がありますので、今、CCUSに関しては3か年計画を作って、利用拡大に向けていろいろ取り組んでいるところです。3か年ということで昨年から始まっていますが、更にそれをどうしていくのかというのは継続して議論していかなければならない部分だと思っておりますので、その辺もしっかり担当に伝えていきたいと思っております。以上です。
○勇上座長 中村委員、よろしいでしょうか。
○中村委員 ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。私のほうは以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。それでは、そのほか、御意見、御質問等はよろしいでしょうか。
 それでは、特にないようでしたら、次の議題に移りたいと思います。3つ目の議題は「その他」です。これは、建設キャリアアップシステムに係る助成金の見直し概要と建設業における雇用管理状況把握実態調査報告書の概要の2点です。これらについて、事務局より御説明をお願いいたします。
○村前補佐 それでは、まず参考資料2を御覧ください。「人材確保等支援助成金 建設キャリアアップシステムに係る助成金の見直し概要」について御説明いたします。建設キャリアアップシステムは、技能者の能力・経験等に応じた適切な処遇改善につなげることを目的としており、令和4年度から助成金により普及促進に取り組んでまいりました。具体的には、左側の青い枠で囲まれている部分、「CCUS等普及促進コース」のとおり、建設事業主団体を対象に、中小構成員等に対する技能者登録料等を助成する取組や手続に係る支援、就業履歴を蓄積するためのカードリーダー等の導入を促進する取組について助成金を支給してまいりました。
 CCUSの技能者登録数は、1月末時点で約160万人となっており、建設技能者の半数を超え、普及は一定程度進んだことから、CCUSのレベルに応じた処遇改善を進めるため、次の段階として、中小建設事業主を対象に、CCUSを活用した雇用管理改善の取組に対する支援を行います。右側の「CCUS等活用促進コース」、こちらが来年度から予定している内容です。
 新たな要素としては、緑色の枠で囲まれている「雇用管理改善促進事業」です。具体的には、雇用する技能者全ての技能者登録が完了していること、また、レベル判定で昇格評定を受けた技能者の賃金を5%以上増加させていることを要件として、これを満たした技能者1人当たりに対して16万円、1事業年度、1事業主当たりの上限を160万円として支給いたします。また、まだ未登録の技能者も一定数存在しておりますので、技能者登録、事業者登録、能力評価、見える化評価に係る登録料等の支援については、令和7年度に限り、支援を継続する予定となっています。
 次に、参考資料3を御覧ください。「建設業における雇用管理状況把握実態調査報告書の概要」について御説明いたします。まず調査の概要です。この調査は建設業の雇用改善に係る施策の検討に資するため、毎年度実施しているもので、従業員数が2名以上の企業を調査対象としております。調査は、建設事業主に御回答いただく企業調査と、技能労働者に御回答いただく従業員調査を行っており、従業員調査は1社につき1名分の回答を頂いております。今年度は、企業調査が1万5,000社中4,449社から回答があり、有効回答率は29.7%、作業員調査が2,502名から回答があり、有効回答率は16.7%でした。
 次に、調査の具体的な項目は資料に記載のとおりです。基礎調査と特別調査がありますが、基礎調査は企業や従業員の属性、雇用環境や福利厚生の状況、若年技能労働者・高年齢技能労働者・女性技能労働者の雇用状況等について毎年同じ項目を調査するものです。一方で、特別調査は、その年のトピックなどを踏まえ、毎年項目を検討して設定しております。今年度の特別調査項目は、来年度に次期建設雇用改善計画策定の議論を行うに当たり、企業と技能労働者の意識調査を行う趣旨として設けた「将来の建設業を支える担い手の確保に関する事項」と、令和5年度に引き続き、建設キャリアアップシステムの周知・活用状況を把握する趣旨として設けた「建設キャリアアップシステムに関する事項」としております。
 続きまして、2ページを御覧ください。調査結果についてポイントをまとめております。まず、(1)の「若年技能労働者の確保・定着に関する現状」についてです。本調査では、若年の技能労働者は34歳以下の方が対象となっていますが、3つ目のポツにあるとおり、7割の企業が「若年技能労働者を採用できていない」と回答しており、令和5年度調査と比較して73.2%から68.6%と下がったものの、若年技能労働者の不足感は依然として高い状況にあります。
 次に、(2)の「建設技能労働者が置かれる雇用環境の現状」についてです。従業員に仕事や職場に関する13項目についての重要度・満足度を、「とても重視・満足している」「やや重視・満足している」「どちらともいえない」「あまり重視・満足していない」「全く重視・満足していない」の5段階で聞いており、点数化して平均を算出しております。
 1つ目のポツの「重視していること」では、全年齢層では「仕事の内容」、若年層では「雇用の安定」「人間関係」が高くなっております。2つ目のポツの「満足していること」は、全年齢層、若年層いずれも「雇用の安定」が最も高く、若年層については重視している項目と満足している項目が一致している結果となっております。
 最後に、(3)の「将来の建設業を支える担い手の確保に関する現状」についてです。担い手の確保に向けて必要と考える国の取組について、3つの選択肢で聞いたところ、最も高かったのは「若年者等の入職・定着促進」で、企業・従業員とも6割以上となっております。次いで「魅力ある労働環境づくり」が企業・従業員とも5割程度、「職業能力開発の促進、技能継承」は3~4割程度となっております。
 「若年者等の入職・定着を促進するために必要な国の取組」という問については、「若年労働者の確保・育成」が8割と最も高くなっており、ほかの選択肢は3割程度となっております。(1)の結果も含め、改めて若年労働者の確保が課題であるという点が顕著な結果となっております。本調査の報告書については委員の皆様に製本版をお送りしておりますので、お手すきのときに御覧いただけますよう、お願いいたします。以上です。
○勇上座長 御説明ありがとうございました。ただいま事務局より説明がありました内容につきまして、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。松葉委員、お願いいたします。
○松葉委員 CCUS等活用推進コースについてです。先ほどお話いただいたとおり、技能者の能力を適切に評価して、処遇改善をして、人材育成につなげていく。正にCCUSの本来の目的であることに支援をするということで、大変有り難い制度だと思っております。活用が広がることに非常に期待しておりますし、活用促進は当会でもしっかり進めていきたいと思っております。
 もう1つ、この普及促進事業、普及が一定程度進んだのだけれども、一部継続をしていただいているということも、一定は進んだけれども、まだまだ普及が進んでいない所があるということを現状よく認識をしていただいている制度だと思います。先ほどから出ているように、住宅現場では普及がまだまだだという現状はありますが、ここは一定程度進んだということで、厚労省さんにせよ、国交省さんにせよ、国の施策でもこういったCCUS制度が前提となる仕組みが出てくるのが想定されますので、今のところは令和7年度限りとなってはおりますが、単純に全体の技能者登録数ということだけではなく、例えば、どういった所で普及をしているのか、現場の規模、元請さんの規模、種類、職種、地域性など、そういった普及状況については、建設業振興基金さんから非常に細かいデータも出ておりますので、そういった所も注視した上で、状況によっては普及促進事業の延長ということも視野に含めて来年度は御検討していただければと思います。以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。御意見として承ったということでよろしいですか。岩田委員、お願いします。
○岩田委員 この雇用管理改善促進事業は非常に有り難いです。CCUSの普及ですとかメリットとかいう話が出ていますが、お金に変われば全員登録しますよ。今はお金に変わっていないので、これは鶏か卵かで、企業もどうやって賃上げをするか、いつのタイミングでするか、そういうときにこの促進事業は非常に有り難い。
 併せてもう一点お願いしたいのは、国交省でも検討をしていただいているのですが、お金を助成するということだけではなく、標準労務費がキーになってくるのですが、お金が安定してくると、良い企業に出そうという発注者の思わくが働いてくると思いますので、是非とも厚労省サイドでも、お金だけではなく、何かこういう取組をして賃金を上昇させた企業への発注インセンティブなどのキャンペーンを、公共はもとより、民間発注者の方に広げていっていただくことによって、元請さんも払っていただけるというふうになって、我々も賃上げをして結果を見ていくと、そのインセンティブが得られるというような良いサイクルになると思いますので、厚労省サイドでも、是非ともそういうインセンティブに関わるような取組を検討いただければと思います。
○勇上座長 CCUSの活用について、インセンティブという御意見を頂いたと思います。よろしいですか。
○島田室長 発注者との関係のところで、我々はやや土地勘がない面もあるのですが、何が厚労省の立場でできることがあるのか、その辺はいろいろと考えさせていただきます。
○勇上座長 ありがとうございます。それでは、本日予定されておりました議題は以上となります。ほかに御発言はありますか。西委員、お願いします。
○西委員 まだ発言していなかったので、ちょっと1つ発言をさせてください。12月末で組合の決算を終えて、今頃、建設総連の加盟組合で定期大会をしているところが幾つかあるのですが、そういう所に聞いてみると、職業高等専門校の運営に相当苦労している、それはもう皆さんよく御存じのことかと思います。生徒がなかなか集まらない、そういう話はよく聞くのですが、直近で言うと、生徒を送り出す事業所そのものもやはり減っていて、地方でいくと、大工事、特にリフォームが回らなくなりつつあるのではないかという声は複数の所から聞いています。何か数字で持っているわけではありませんが、10年先、20年先の話ではなくて、もう5年先にどうなるか、そういう心配の声を幾つか聞いていますので、今日の議論にあるような施策を、厚労省や国交省の皆様には確実に実行していただきたいと思っているところでございます。
 もう1つ、11次で御議論をされるのであれば、蟹澤先生もおっしゃいましたが、労働者性の認定の議論を仮にするのであれば、先生もおっしゃいましたが、私もインボイスの問題は結構大きいと思います。緩和措置があると、緩和措置が一段弱まったとき、なくなったときにどういったことになるのかということを、一度、留意をして議論をするのであれば議論をされたほうがいいのではないかなと思ったところでございます。以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。来期、第11次の課題を御指摘いただいたと思います。よろしいですか。ありがとうございました。それでは、本日の審議はこの辺にさせていただきたいと思います。活発な御議論を頂きまして、誠にありがとうございました。
 それでは、今後の日程等について、事務局からお願いいたします。
○布施補佐 長時間にわたり、お疲れ様でございました。本日の議事録については、後日、委員の皆様に内容を御確認いただきますので、よろしくお願いいたします。
また、資料にはありませんが、令和7年度の建設労働専門委員会のスケジュールについて御案内をいたします。本専門委員会につきましては、通常、年1回の開催とさせていただいておりますが、御案内のとおり、来年度は令和8年度を始期とする第11次建設雇用改善計画の策定を行うため、本委員会の開催回数を5回から6回程度見込んでおります。なお、参考ですが、前回の策定時期には、本委員会は6回開催をしております。
 次に、来年度の大まかなスケジュールです。1回目のキックオフは令和7年7月中旬から下旬頃に開催したいと考えております。その後、9月頃に2回の開催で関係団体等からのヒアリングを行い、事務局にて計画の原案を作成いたしまして、10月から12月にかけて2回の開催で、計画の原案について御議論を行っていただき、計画を作成したいと考えております。その後、令和8年1月下旬をめどに、本委員会において最終取りまとめを行いまして、計画案を雇用対策基本問題部会へ報告いたします。以上が来年度の本委員会のスケジュールになりますので、委員の皆様におかれましては御承知いただけますよう、お願いいたします。日程調整につきましては、後日、事務局から改めて御連絡をいたしますので、その際はどうぞよろしくお願いいたします。事務局からの連絡事項は以上です。
○勇上座長 それでは、本日の専門委員会はこれで終了いたします。予定の時間を過ぎて恐縮ですが、本日はお忙しいところ、ありがとうございました。オンラインで御参加の委員の皆様におかれましては、適宜、御退室をお願いいたします。ありがとうございました。
(了)