令和7年1月24日 第105回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和6年度第10回薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

日時

令和7年1月24日(金) 15:00~18:00

場所

WEB会議(厚生労働省 共用第8会議室(19階))

1月24日合同部会 議事録

○事務局 それでは、ただいまより第105回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び令和6年度第10回薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきありがとうございます。
 まず、ウェブ会議を開催するに当たり、既にお送りさせていただいておりますが、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合は、まず、名前をおっしゃっていただき、座長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、インスタントメッセージ、または、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、本日の委員の出欠状況について御報告します。
 現在、副反応検討部会委員9名のうち8名、安全対策調査会委員6名のうち6名の委員に御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告します。
 なお、全ての委員において関係企業の役員・職員等でない旨を御申告いただいております。
 また、本日は参考人にお越しいただいております。
 次に、事務局側で人事異動がございましたので紹介させていただきます。
 健康・生活衛生局側の人事異動につきまして、1月1日付で予防接種課の小塩の後任として山口が着任しております。
 また、医薬局側の人事異動につきまして、1月1日付で医薬安全対策課の高畑の後任として坂西が着任しております。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の傍聴への留意事項を必ず守っていただきますようお願いいたします。留意事項に反した場合は退場していただきます。また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、御留意願います。
 本日の座長につきましては、森尾副反応検討部会長にお願いしたいと思います。
 それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして報告をお願いいたします。
○事務局 審議参加について御報告いたします。
 本日御出席をされた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況について、これまでと同様に申告いただきました。
 本日の議題において審議される品目は新型コロナウイルス、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、帯状疱疹、23価肺炎球菌、HPV、百日せき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ、13価肺炎球菌、15価肺炎球菌、20価肺炎球菌、Hib、BCG、日本脳炎、B型肝炎、RSウイルス、ロタウイルスの各ワクチンであり、その製造販売業者は一般財団法人阪大微生物病研究会、グラクソ・スミスクライン株式会社、KMバイオロジクス株式会社、サノフィ株式会社、第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社、デンカ株式会社、日本ビーシージー製造株式会社、ファイザー株式会社、MSD株式会社、モデルナジャパン株式会社、Meiji Seika ファルマ株式会社であり、事前に各委員に申告をいただいております。
 各委員からの申告内容については、事前に配付しておりますので、御確認いただければと思います。
 本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、宮入委員、舟越委員、石井委員、西原参考人が第一三共株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがあるため、新型コロナ、DPT、DT、4種混合、破傷風、MR、麻しん、風しん、おたふくかぜの各ワクチンについて、意見を述べることができますが、議決には参加いただけませんことを御報告いたします。
 また、上田参考人がMSD株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがありますが、23価肺炎球菌、HPV、ジフテリア、B型肝炎、ロタウイルスの各ワクチンについても、意見を述べることができますことを御報告いたします。
 申請資料作成関与に係る申告でございますが、宮入委員がファイザー株式会社の13価肺炎球菌ワクチンの申請資料の作成に関与されているため、13価肺炎球菌ワクチンの審議の際に退出するに該当します。
 引き続き各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
 以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ただいま事務局から審議の参加について報告がございましたが、宮入委員が13価肺炎球菌ワクチンの薬事承認申請資料等の作成に関与していることから、当該ワクチンの審議に御参加いただけません。
 しかし、規定上、申請資料の作成に関与している場合であっても、分科会等が認めた場合には意見を述べることができるとされております。宮入委員におかれましては、当該ワクチンについて深い知識をお持ちであるため、ぜひ意見を述べていただきたいと思いますが、委員の皆様、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○森尾座長 ありがとうございます。それでは、部会として承認いただけたということで、審議に入ります。
 それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 審議に入る前に、本日の資料について説明をいたします。
 議事次第、委員名簿、座席表、資料一覧、資料1-1-1から1-6、資料2-1から2-35、資料3-1から3-5、資料4、参考資料1から21になります。
 資料の不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、審議を始めたいと思います。
 まず、議題1「新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況並びに接種後の健康状況に係る調査等」についてになります。
 まずは資料1-1から資料1-4について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-1から資料1-4を用いまして、新型コロナワクチンに係る副反応疑い事例の報告状況について御説明いたします。
 資料1-1-1をご覧ください。まず初めに、今回より資料構成に変更がございます。部会資料の変更につきましては、7月部会にお諮りをさせていただいておりますが、その際に、原則は特例臨時接種において提示した資料構成を継続すること。ただし、これまで迅速性等の観点から、死亡事例以外で行っていなかった医療機関報告と製造販売業者報告の名寄せ作業について、他の定期接種のワクチンと同様、今後は行っていくこと。VRSの運用終了に伴い、他のワクチンと同様、製造販売業者によるワクチンの出荷量に基づく接種可能延べ人数として提示することについて御了承いただいたところでございまして、それらを踏まえまして、今回より構成の変更を行っております。詳細については、資料の説明の際に御確認をお願いいたします。
 それでは、資料1-1-1、コミナティRTU筋注の副反応疑い報告でございます。今回の御報告につきましては、令和6年7月1日から9月30日までに報告された分を集計し、ご提示しているものでございます。
 御承知のとおり、新型コロナワクチンの定期接種につきましては、昨年10月から実施しているところですので、本資料の集計対象期間につきましては、定期接種として接種された分の報告を含んでおりません。
 一方、新型コロナワクチンの定期接種につきましては、今年度が初めてということもございますので、資料1-4に速報として提示させていただいているところでございます。詳細につきましては後ほど御報告をさせていただきます。
 コミナティRTU筋注について、今回の集計対象期間におきまして、製造販売業者からは14件、そのうち接種日がこの期間内である症例は3件、また、医療機関からは1件の報告がございました。接種可能延べ人数につきましては、対象期間中の納入数は8万2650でありますが、返品数を加味した場合にマイナスとなるため、頻度について今回算出できておりませんが、参考として、下段に令和6年4月1日からの累計をお示ししておりますので、御確認をお願いいたします。
 令和6年4月1日から9月30日までの接種可能延べ人数は3万2060、製造販売業者からの報告は16件、報告頻度は0.0499%、また、医療機関からの報告は今回の集計対象期間に報告された症例である1件、報告頻度は0.0031%、うち重篤例は0となっております。
 下段、接種後の死亡事例としての報告です。今回、製造販売業者からの報告として1件ございました。こちらの症例の詳細につきましては、後ほど資料1-2で御説明をさせていただきます。
 続きまして、2ページ目でございます。重篤例における症状別集計をお示ししております。形式については、現在の定例ワクチンの様式にそろえておりますが、今回の集計対象期間については右3つのカラムで、左から医療機関からの報告、製造販売業者からの報告、総計の順に掲載をしております。集計において、特定の事象の集積は認めてはおりません。
 続きまして、3ページ目でございます。同様の形式で報告基準別集計をお示ししております。今回の報告対象期間における報告はございませんでした。
 続きまして、その次のページでございます。4ページ目、ロット別集計をお示ししております。今回の期間での流通は1ロットのみとなっておりまして、報告のほとんどはロット不明でございました。
 次ページ以降に、製造販売業者から、医療機関からという形で、それぞれの症例ラインリストと専門家評価の対象となる疾病につきましては、因果関係評価と専門家からの御意見をお示ししておりますので、御確認をお願いいたします。
 資料1-1-1の説明は以上でございます。
 続きまして、資料1-1-2、コミナティ筋注6ヵ月~4歳用、資料1-1-3、5歳~11歳用の副反応疑い報告の状況ですが、いずれも今回の報告対象期間での接種は行われておらず、報告もございませんので、説明を省略いたします。
 続きまして、資料1-1-4をご覧ください。スパイクバックス筋注でございます。今回対象期間中の納入数は430、副反応疑い報告はございませんでした。
 資料1-1-4につきましては以上でございます。
 資料1-1-5、資料1-1-6でございます。それぞれダイチロナ筋注、ヌバキソビッド筋注の副反応疑い報告の状況ですが、いずれも今回の報告対象期間での接種は行われておりませんので、報告もございませんでした。説明も省略いたします。
 続きまして、資料1-2でございます。死亡として報告された事例の概要です。
 資料1-2-1をご覧ください。先ほど資料1-1-1で、今回の集計対象期間の死亡事例は1件である旨御報告いたしました。症例の概要につきまして、資料1-2-1の3ページを御確認ください。経過をご覧いただきますと、この症例につきましては、ワクチンの接種日や死亡に至るまでの症状経過、それらの時間的な前後関係の情報がなく、これらを踏まえまして、1ページ戻っていただきまして、2ページ目に専門家の御意見と因果関係評価をお示ししておりますが、γ評価とされているところでございます。
 資料1-2-1の説明は以上でございます。
 資料1-2-2以降については、報告事例がございませんので、説明は省略いたします。
 続きまして、資料1-3、心筋炎又は心膜炎疑いとしての報告事例でございます。
 資料1-3-1をご覧ください。コミナティの心筋炎・心膜炎でございますが、今回の報告対象期間において報告事例はございませんでした。
 資料1-3-2以降についても報告事例はございませんので、説明は省略をいたします。
 続きまして、資料1-4をご覧ください。新型コロナワクチンの定期接種に係る副反応疑い報告の速報でございます。先ほど資料1-1から1-3として御説明した資料につきましては、本審議会で通常御審議いただく資料として、9月末までに報告された副反応疑い報告について、例えば重複の確認等のデータ整理や、PMDAにおける専門家評価など、あらかじめ定められた処理を経て御提示をしているものです。
 一方、10月から新型コロナワクチンの高齢者等に対する定期接種が開始されたことから、定期接種に係る副反応疑い報告の速報とて、10月から11月末までの報告状況を御紹介させていただきます。
 ここにお示しする報告につきましては、現在、重複の確認や専門家評価などの情報の整理を進めておりますため、基本的に医療機関及び製造販売業者から報告のあったものをそのまま掲載させていただいており、掲載されている専門家評価につきましても、暫定的な評価であることについて御承知おきください。
 なお、本情報につきましては、次回の審議会で整理や専門家評価を行った上で、再度、御審議をいただきたいと考えております。
 医療機関からの重篤事例の報告は1ページ目、その次のページに非重篤事例の報告、製造販売業者からの報告を3ページ以降にお示ししており、死亡事例につきましては、PMDAの専門家評価について実施し、専門家意見とともにおまとめをしております。
 医療機関からの重篤事例の報告、No.1から11がコミナティ、12がヌバキソビッド、13から14がダイチロナのように、製剤ごとに並べておりまして、次ページ以降の医療機関非重篤、製造販売業者からの報告につきましても同様の形式となっております。
 死亡事例につきまして、現在の専門家評価におきましては、いずれもγ評価とされております。
 また、11月末までに副反応疑い報告はありませんでしたが、参考資料18を併せてご覧いただければと思います。Meiji Seika ファルマ社のレプリコンワクチンでありますコスタイベ筋注につきまして、昨年9月末から販売が開始されておりますけれども、現在、市販直後調査の中間報告が公表されておりますので、参考という形にはなりますが、この場で御紹介いたします。なお、本情報につきましては、企業の医療従事者向けのホームページにも掲載されております。
 こちらの情報につきましては、ここまでご覧いただきました副反応疑い報告とは異なり、企業が市販直後調査として収集したものになりますので、御留意をお願いいたします。市販直後調査は、新薬の販売開始から6か月間、特に最初の2か月間はおおむね2週間ごとに、企業のMR等が医療機関への訪問やメール等により副反応等の発生状況を強化して収集しているものでございます。この市販直後調査の結果のうち報告が必要な症例につきましては、今後、医療機関や製造販売業者から副反応疑い報告が提出されますので、必要に応じて専門家評価等も付した上で本部会での御評価をお願いしたいと考えておりますが、現時点における発生状況等につきまして、先生方には御確認いただけますと幸いです。
 集計期間は2024年9月30日から12月29日、重篤な副反応は7例8件と報告されておりまして、うち死亡は2件報告がございました。市販直後調査の中にも経過が書いておりますけれども、一例が88歳男性、誤嚥性肺炎、もう一例が70歳男性で、脱水、尿路感染として報告をされた症例で、いずれも接種後20日以降に症状が発現しており、詳細調査を待つ必要があるものの、事務局としましては、現時点で死亡とワクチン接種との間に強い因果関係が示唆されるものとは考えておりませんが、先生方には御確認をお願いしたいと考えております。
 その他の症例につきましても、詳細な経過については報告書に記載されておりますので、御確認をお願いいたします。
 資料1-4については以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございました。
 それでは、資料1-5について、伊藤澄信委員から説明をお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 資料1-5です。
 令和5年(2023年)秋のXBB.1.5接種から1年経過いたしましたので、今回はファイザー社XBBとモデルナ社XBB1年後のデータと、第一三共社XBBの6か月までのデータを取りまとめました。
 前回の合同会議のときに、レプリコンワクチンに関するデータがないので収集が可能かとの打診をいただきましたので、研究班の変更申請を経て、このコホート調査研究班の枠組みの中で実施可能な範囲でデータ収集しましたので、その速報データを報告させていただきます。
 4ページに、今回のMeiji Seika ファルマ社のワクチンについての調査概況を記載しました。開始までの時間が限られていたことと、いろいろな御意見をお持ちの方がいらっしゃることもあって、従来参加していただけていた医療機関に御参加いただくことが難しかったので、順天堂大学だけで実施しております。
 5ページに記載いたしましたが、昨年12月から今年1月14日の間に54人の方に協力いただくことができました。年齢・性別分布は5ページですが、40歳代、50歳代の方が大半で、定期接種対象の方は多くありませんでした。昨年の12月からですので、接種後28日までのデータの収集はできておりませんので、接種後1週間の日誌1を提出していただいた31人のデータをまとめた結果を7ページから示しております。
 7ページです。接種後1週間までの発熱の頻度です。
 37.5度以上の発熱は、接種翌日に20%の方に出ておりました。
 接種部位疼痛は、接種翌日が100%でしたが、接種から3日目には2割程度の方がほぼ軽い痛み程度になっていました。
 27ページからファイザー社の経時的な副反応を載せておりますので、それと比べていただければと思いますが、ほぼ変わりがありませんでした。レプリコンワクチンというモダリティーからは、副反応が遷延するのではないかと予想しておりましたけれども、このデータからはそうした懸念は杞憂のようです。
 13ページに従来型メッセンジャーRNAワクチンとの比較表をつけています。例数が31例と少数ですし、最初の1週間のデータしかありませんので、遷延性の皮膚反応などがあるかどうかについては分かりません。SAEなどは起きておりません。この研究班は今年の3月で終了しますので、Meiji Seika ファルマ社のワクチンの調査は、抗体価採血はしていません。そこが一番大きな限界ですが、御理解いただければと思います。
 15ページからは、2023年度秋のファイザー社のXBB株の結果です。今回追加したのは25ページの1年後までの調査結果の集計です。
 25ページをご覧ください。1か月以降のCOVID-19感染記録と入院歴を回収できた1,964人の方のデータです。前向きにデータを収集しておりますので、COVID-19と診断された日付も収集していますので、ワクチン接種日と感染日との差をカプランマイヤーカーブにしてみました。感染された方が351人、単純集計では17.9%でした。8人の方は1年間に2回感染されたと報告していただいております。
 調査期間は平均345.7日で、ワクチン接種から1回目感染までの平均は172.4日なのですが、ばらつきから見ますと、1日~363日と相当ばらついていました。
 今回、調査の中で、COVID-19に感染後、症状が軽快されたかどうかについても聞いていますが、351人のうち42人が感染後回復したが後遺症ありにチェックされていました。それ以外の方は軽快ということでした。後遺症の詳細については、その後調査をしているわけではありませんので、どんな後遺症があったのかは分かりませんが、感染者351人の中の12%というデータでした。
 同じ結果をモデルナ社のもので示したのが46ページです。
 46ページをご覧いただければと思いますが、こちらは1,306人です。そのうち感染された方が181人で、単純集計では13.9%でした。
 調査期間は、モデルナ社のほうが少しあとから始まったせいもあると思っていますが、328.8日でした。1回目接種から感染されるまでの平均日数は173.1日で、ばらつきは、8~372日でファイザー社と変わりがありませんでした。COVID-19感染後回復したが後遺症ありは11人で、感染者181の中の割合で見ますと6.1%でした。
 感染された方と感染されていない方についてロジスティック回帰分析をしてみますと、ファイザー社、モデルナ社のいずれのデータセットでも、年齢、性別、それから接種日は関係ありませんでした。全ての背景因子を解析しているわけではありませんが、ワクチン接種前にCOVID-19に感染されたことがあった人は、XBB接種後に感染された方が少ないというデータが出ています。
 71ページが第一三共社のダイチロナのXBBワクチンの結果です。こちらは特例臨時接種になったのが2023年12月4日で、コホート調査の開始が去年の1月24日でしたので、当然のこととして12か月後のデータがありませんので、6か月後のデータしか出されておりませんので比較はできませんが、調査期間が183日で、295人のうちの感染された方が26人という状況でした。
 次回は12か月後のデータを提示できると思っておりますので、そのときに3つのワクチンの比較ができるのではないかと思っております。
 報告は以上です。
○森尾座長 最新のデータ及び長期フォローの貴重なデータ、ありがとうございました。
 続いて大曲参考人から、「新型コロナワクチン接種の遷延する症状に係る実態の追加・追跡調査について」、御説明をいただければと思います。
 大曲参考人、どうぞよろしくお願いいたします。
○大曲参考人 ありがとうございます。国立国際医療研究センターの大曲と申します。
 昨年度も行いました調査でありますが、今年度改めて行っておりますので、途中経過でありますけれども御紹介をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 資料は事務局のほうで御提示いただけますでしょうか。
 進めてまいります。それでは、時間もありますので4枚目をお願いします。ありがとうございます。
 この調査ですが、しばらく時間がたちましたので、簡単に経緯を御紹介します。
 新型コロナウイルスワクチンの接種の後に遷延する症状があるのではないかという御意見があります。ただ、実態が分からないということでございました。そこで、遷延する症状も含めまして実態を把握するということで行っているのが本調査でございます。ということで、目的を改めて、ワクチンとの因果関係の有無にかかわらず、ワクチンの接種後の症状を訴えて専門的な医療機関を受診された方の実態を収集し、把握して、得られた知見について情報を御提供するというのが目的でございます。
 調査の方法でありますけれども、実際に患者さんが受診された状況あるいはそのときの状態を把握する技術的な評価であります。実際にワクチンの接種後に症状が出た方が受診した専門的な医療機関、これは自治体で定めておりますが、その医療機関に対して、事前に同意いただいた上で調査票を送付しています。こちらの調査票を集めて、そのデータに関して分析をしているところでございます。
 1点昨年度と違うのは、昨年度の調査で、最終的に転帰が不明という事例がありました。こちらに関しては、今回新たに示す調査期間の中でまた受診されるということもあり得ますので、その事例に関してはその後の経過も集めていただければということでお願いをしています。
 調査対象でありますけれども、全国の都道府県でワクチンの接種後に副反応を疑う症状を診てくださる医療機関が約360設置されています。そのうち調査に協力可能と御回答いただいた136の医療機関が対象でございます。
 今回、調査対象者は昨年度の最終のところからさらに2年延ばします。令和4年6月の1日から令和6年5月31日までに受診した方ということであります。
 調査票は事務的な調査票というところがありまして、病院の地域連携室に送っております。地域連携室で得られるデータを集めています。
 もう一つは医学的な調査票、これは医師にお送りしています。医師ですと、診断ですとか症状の中身、あるいは治療の中身というところが分かりますので、そちらに関しては御記載をいただいています。
 昨年、令和6年8月30日から調査票を送りまして、令和6年、同じ年の10月10日までに回答があった例を評価対象としております。ただ、実はまだこの症例表に関しては疑義照会をかけている最中でありまして、今回は疑義照会が不要であったものに関して御報告をしたいと思います。
 それでは、次をお願いします。
 こちらは実際の患者さんの流れであります。ワクチンを接種された方が一番左にいらっしゃいますが、症状が出た場合には、直接上のかかりつけの先生方に御相談することもあれば、都道府県が設置した相談窓口に相談されることもあります。最終的に真ん中にあります専門的な医療機関に御受診をされるというところです。今回、医療機関の地域連携室から情報をいただく。そして、下の担当医師からも情報をいただくという形で調査を行っております。
 次のページをお願いします。
 現在の回答状況でございます。360専門医療機関があって、136から協力がいただけているところでございますが、最終的に地域連携室から得られた回答が42、該当症例があった医療機関が9でした。105の症例に関して回答いただいています。
 また、担当医師からいただいたものに関しては、136の医療機関のうち8医療機関から回答がございまして、合計106症例の情報をいただいております。
 ブロックごとの回答状況の分布に関しては、こちらをご覧いただければと思います。大きな偏りはないと思って見ております。
 次をお願いします。
 昨年度の調査と規模等を比較しています。昨年度は、専門的な医療機関が470ありましたが、今年は360です。類型の変更もありましたし、行政上の方針の変更も地域ではあったと思って見ています。136の施設に御協力をいただいたところでして、地域連携室9施設、担当医師は8施設から御回答いただきました。
 次をお願いします。
 こちらは集計結果の概要でございます。地域連携室からは105回答いただいておるのですが、まだ疑義照会をかけている最中でありますので、今回の集計対象は105のうち70です。
 医師からの回答に関しては、106症例回答いただいておりますが、疑義照会がかなり多くて、今回集計できたのは10ということになります。
 このような状況であるということを御承知おきいただければと思います。
 次をお願いします。
 まずは事務的な調査票の結果を御報告します。
 次をお願いします。
 現在、70症例に関してデータをいただいております。真ん中から下に年齢と性別ごとの内訳が示してあります。今回の特徴としましては、男性で見ていきますと、現在のところですと60歳から79歳のところの報告数が多いということ。そして女性でいきますと、50歳以上のところが多いというところがあります。男性にしても、女性にしても、前回と比べると報告数が多いのは比較的年齢の高い方々にシフトをしているように見えます。
 次をお願いします。
 こちらは実際に診療対応された診療科の内訳であります。多い順に示しました。総合内科、総合診療科が多くを占めております。
 次をお願いします。
 症状の発症日及びワクチン接種後の症状について当該医療機関を受診された初診日であります。この調査ですと、初診に関していいますと、調査期間に関していえば、2022年の半ば以降でありますけれども、実際に受診された方が多いのは2022年の5月以降でございました。ただ、2023年になりますとその数は大きく減っております。大変失礼しました。症状の発症日に関しては、2022年の5月以降が多かったというところでありますが、2023年は少なくなっています。
 また、あくまで初診日でございますが、見ていきますと2022年に初診という方が非常に多いところですが、2023年の後半に入っていきますと少なくなっていくという状況がございました。
 次をお願いします。
 発症された日からワクチンを接種した後の症状について、実際に医療機関を受診されたところ、発症日から受診までの時間を見たところであります。
 現状ですと比較的多いのが0~30日、それと91~365日というところでございます。
 次をお願いします。
 まずは地域連携室からの調査報告の現状でのまとめでありますが、前回と同じく報告数に関していいますと女性のほうが男性より多いです。ただ、前回よりも高齢の方の割合が高いです。こちらに関しては、ワクチンの接種に関して状況が変わってきていますので、本来は年代別の接種者数を考慮する必要があると思います。
 そして、受診した診療科でありますが、引き続き総合内科、総合診療科が割合としては高かったところです。
 また、患者さんの受診人数でありますけれども、先ほど触れませんでしたが、2022年から24年にかけますと減少傾向にあるというところでございます。
 また、ワクチンを接種して1か月以内の発症事例の割合でありますが、前回から低下をしているところです。0~7日で来られた方が43%だったのが11.4%、8~30日だったのが30.2%から22.9%に下がっているところでございます。
 次をお願いします。
 医師からの調査、医学的な調査票の結果でございます。
 もう一枚めくっていただけますでしょうか。もう一枚ですね。
 こちらは実際の回答状況でございます。疑義照会が多くかかっているので、10例しか今回は集計できていないということを御容赦いただければと思います。
 年齢、性別でいきますと、男性、女性5例ずつ、男性は20~49歳のところに患者さんがいらっしゃるというところであります。女性に関してはもう少しばらけていて、30~39歳と70~89歳に患者さんがいらっしゃいます。
 次をお願いします。
 こちらは基礎疾患の有無でありまして、10人中9人は不明でございました。下には日常生活のいわゆる自立度が示してありますが、皆さん自立されている方でございます。
 次をお願いします。
 また、ワクチンを接種した後の症状に関しての受診状況、要は入院したかどうかというところでありますが、入院した方が10人中1人でございました。
 また、専門医療機関に来られる前に医療機関に受診されてから来たかどうかというところを見ておりますが、基本的にはどの方も全ての方が1つ医療機関を受診されてから専門医療機関を受診されたというルートをたどっておられます。
 次をお願いします。
 こちらはワクチンを接種した後の症状で、当該医療機関にかかられた初診の日であります。2020年6月以降が対象期間でありますけれども、6、7月にそれぞれ4人、3人というところでございますが、その後、11月に1人でありまして、あとは2023年1月に2人でありますが、その後はゼロということになっております。
 次をお願いいたします。
 こちらは今回の症状に影響を及ぼした可能性のあるワクチンの接種時期・接種回数・種類であります。接種時期に関していいますと、2021年の10月から2022年度の12月まで示しておりますが、合計12の話ですけれども、接種時期に関しては分布としてはばらけているところでございます。
 接種回数は、3回という方が60%で、4回という方が20%でございました。
 実際に接種されたワクチンの内容は、右下をご覧いただければと思います。
 次をお願いします。もう一枚めくってください。
 当該医療機関での受診のきっかけとなった症状のうち日常生活の中で最も困っているものは何かということを伺っておりますが、3例ずつでありますが、頭痛、倦怠感、関節痛というものがございました。
 次をお願いします。
 ワクチンを接種した後からこの症状が出現した、もしくはもともと症状があったけれども悪化したというところまでの期間を示しております。0~7日のところで8人、そして25日に1人、28日に1人です。視覚上の分布は左下のグラフをご覧いただければと思います。
 次をお願いします。
 長く症状が出ているというところをどう見ていくかというところは、この調査は非常に大事なところでありますが、1つワクチンの接種から症状の発現、また悪化までの期間が長かったという例を見ていきますと、22~28日のところで2人いらっしゃいます。37歳の男性で、息切れ、しびれ、こちらの方は症状の持続は41日、回復。
 もう一人の方は45歳の男性で、関節痛であります。症状が持続したのは102日間で、不変でございます。
 次をお願いします。
 こちらは症状の持続期間でありますけれども、こちらを見ていただけるとおりでありまして、8日以上という方が多いわけですが、比較的前回の調査よりも長いほうにばらけているところでございます。
 次をお願いします。
 こちらは症状の持続期間が31日~60日であった方の内訳を見ていったものでございます。症状は頭痛、関節等ございますけれども、基本的にはこの5例中4例は回復しているところです。回復していないのは1人、72歳で男性、関節痛というところでありました。接種から症状悪化、また発現までの期間が2日でございます。
 次をお願いします。
 症状の持続期間が61日~120日であった事例が1例ございます。持続期間は102日、45歳の男性でございます。関節痛、この方は未回復でありまして、ワクチンの接種から症状発現、また悪化までの期間が28日でございました。
 次をお願いします。
 もっと長い事例です。症状の持続期間が121日~365日の事例でございます。お示しした81歳の女性、70歳の女性、35歳の女性でございます。3人中2人は回復ですが、70代の関節痛の女性は未回復でございます。
 次をお願いします。こちらは1枚飛ばしてください。
 次をお願いします。
 検査内容、治療内容等です。
 次をお願いします。
 こちらは実際に行われた検査でありますが、血液検査が6例、心電図が3例、レントゲン写真が4例でございました。
 次をお願いします。
 実際行われた治療でありますけれども、10人のうち経過を見た方は6人、リハビリ等が2人、薬剤治療(補液のみも含む)が1人、その他1人でございました。補液の方が1人とその他の治療が1人でございます。
 その他の中身に関して、今日は情報を持ち合わせておりませんので、また確認をしておきます。
 次をお願いします。
 症状で確定病名がついた方で1人、COVID-19のワクチンの接種の副反応という方がございました。
 次をお願いします。
 症状の転帰でありますけれども、回復/軽快の方が7、未回復が3で、合計で10人でございます。
 次をお願いします。
 入院した方が1例ございますけれども、詳細は17歳の女性で、倦怠感、頭痛、嘔気・嘔吐というところでございました。この方は点滴をするということで回復しておられます。
 次をお願いします。
 医師からの調査報告のまとめでございます。
 今回、報告された症例の大部分が疑義照会中ということで、その点で限界がございます。ただ、現状では明らかな性差や年齢の偏りはございません。
 また、接種の回数としては、初回接種者は今回はいなかったというところであります。
 また、初診の症例ですが、2023年1月以降には認めておりません。また、全ての症例は紹介されて来られた方です。
 また、接種から症状の発現までの期間は、前回の報告同様にほとんどが1週間以内、その多くは頭痛、倦怠感、関節痛などの一般症状でございますが、5週間以内に症状が改善している割合は3割と低かったというところです。
 また、転帰の確認された症例のうち、未回復というのは3例の関節痛の症例のみでした。現状ではそうです。
 また、実施された検査では、明らかな異常は今回はなかったというところでございます。
 2枚目、最後の総括のところをお願いします。
 本調査ですが、昨年度行った調査の追加でございます。期間が経過するとともに受診患者数が減少しています。ただ、調査期間が異なりますので、接種者数、そして接種年齢が前回調査と異なっていると思います。
 今回報告された症状、確定した病名、また疑い病名を見ますと、新たに懸念を要するような特定の症状、疾病の報告の集中、いわゆるシグナルですが、現状は見られていないところです。
 また、頭痛、倦怠感、食思の不振、しびれ、息切れということで、非常に症状は多彩でありますけれども、関節痛の方が3人いらっしゃったわけですが、それ以外の7症例では最終的には改善をしております。
 また、1例入院がありました。重篤な有害事象を呈する疾患としまして倦怠感、頭痛、吐き気、嘔吐で1例御入院されておりますけれども、この方は回復されておりますし、行われた限り検査では特段の異常は指摘されていないところでございます。
 ただ、まだ疑義照会をかけている最中ですので、そちらの結果を併せてまた報告の機会をいただければと思います。
 私からは以上でございます。
○森尾座長 大曲先生、どうもありがとうございました。
 せっかくの機会です。もし委員の皆様から質問やコメントがありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 大曲先生、本当にどうもありがとうございます。
 私の不手際で、伊藤澄信委員からの御提示の後、質疑応答の時間を設けさせていただいておりました。もし御質問、コメント等ありましたら承りたいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。
 コスタイベのフォローは3月31日まで、ということですよね。
○伊藤(澄)委員 はい。
○森尾座長 ありがとうございます。
 よろしいですか。どうもありがとうございました。
 それでは、次に移らせていただきます。コロナワクチンの状況について、資料1-6でまとめていただいておりますので、事務局のほうから説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-6では、今回の集計期間における副反応疑い報告状況をおまとめしています。こちらは先ほど事務局から御説明をさせていただきました資料の数値の再掲となります。
 論点としては、これまでの副反応疑い報告を踏まえ、現時点でワクチンの安全性に係る重大な懸念は認められないと考えてよいか。
 また、10月から開始された新型コロナワクチンの定期接種について、副反応疑い報告状況の速報やコスタイベの市販直後調査等を踏まえ、現時点では引き続き、ワクチンの安全性等に関する国内外の情報を収集しつつ、ワクチンの接種を継続することでよいかという2点を挙げさせていただいておりますので、御審議いただければと思います。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 資料1-6にまとめていただいておりますけれども、事務局のほうから報告がありましたこれまでの副反応疑い事例、健康状況に関する調査等について御議論いただければと思っております。
 今、副反応疑い報告に関する論点として、資料1-6に抜粋していただいておりますけれども、これを含めまして御質問、コメント等ございましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 ありがとうございます。それでは、これまで議論された内容をまとめさせていただきたいと思います。これまで確認できた内容としては、以下のようでよろしいかどうか承りたいと思います。
 まず、集計期間における副反応疑い報告の傾向でございますが、対象期間における新型コロナワクチンの副反応疑い報告については、接種数は限定的ではあるが、重大な懸念は認められないとさせていただいております。
 集計期間後における副反応疑い報告の速報でございますけれども、この速報において特定の副反応の集積は見られておらず、引き続き、情報収集及び評価を進めることとしてはどうかとまとめさせていただきました。
 続いて、コスタイベの市販直後調査でございます。参考資料として、コスタイベの市販直後調査が提出されております。参考資料18でございますけれども、重篤な症例が7例8件報告されており、うち死亡例が2例報告されておりますけれども、死亡例はいずれも接種後から20日以上後の死亡であることなど、詳細評価を待つ必要はあるものの、現時点では、重大な懸念があるとは考えられないとまとめさせていただいております。
 新型コロナワクチン接種後の症状についてでございますが、新規新型コロナワクチンを含むコホート調査並びに副反応シグナル全国調査とともに、新型コロナワクチン接種後の遷延する症状について、引き続き実態調査を行うとさせていただきました。
 報告状況のまとめでございますけれども、ファイザー社、モデルナ社、武田社、第一三共社、Meiji Seika ファルマ社ワクチンの接種については、これまで継続的に注視し、議論してきた内容も踏まえると、ワクチンの安全性に係る重大な懸念は認められないと考えてよいのではないかとさせていただいております。
 以上、今回報告のあった具体的な事例を含めまして、新型コロナワクチンについて現状の取扱いを変更する必要があるかどうか、このようなまとめ方でよろしいかどうか、御意見がございましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、今、提示させていただいたようなまとめとして、御審議いただいたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○森尾座長 どうもありがとうございます。皆様うなずいていただいたと認識をいたしました。どうもありがとうございました。
 それでは、コロナワクチンを離れまして、議題2「新型コロナワクチン以外の各ワクチンの安全性について」に入りたいと思います。
 事務局より資料2-1から資料2-35の説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、御説明をさせていただきたいと思います。
 新型コロナワクチン以外の審議対象の全てのワクチンについて、2024年7月から9月末までにおける副反応疑い報告の報告状況について御説明いたします。
 資料は2-1から2-35及び参考資料17になります。
 資料数が多く、また、委員の先生方には事前に資料を配付しておりますので、本合同部会における説明では、特筆すべき点や専門家評価対象となっている症状の報告状況を中心に御説明させていただきます。
 初めに資料2-2をご覧ください。
 麻しんワクチンの副反応疑いの報告状況です。対象期間における接種可能延べ人数について、表の下にも注釈を記載させていただいておりますが、医療機関への納入数量を返品された数量が上回っていることから、マイナスと表記させていただいております。
 対象期間内における製造販売業者からの副反応疑い報告はなく、医療機関からの報告は1例、うち重篤なものはございませんでした。
 なお、医療機関への納入数量がこれまでと比較して少数となっている理由について、製造販売業者へ確認させていただいたところ、麻しんウイルスの力価が承認規格を下回る可能性があることを理由に自主回収が実施されており、現在、麻しんワクチンの供給が停止しているためとの回答を得ております。
 続きまして、HPVワクチンについて御説明させていただきます。資料2-8をご覧ください。
 サーバリックスの副反応疑い報告の報告状況です。対象期間における接種可能延べ人数は約3,500人、対象期間内において製造販売業者と医療機関のどちらからも副反応疑い報告はございませんでした。
 続きまして、資料2-9をご覧ください。
 ガーダシルの副反応疑い報告の報告状況です。対象期間における接種可能延べ人数は約3万3000人、製造販売業者からの報告は10例、医療機関からの報告は4例、うち重篤なものが2例ございました。なお、製造販売業者からの報告頻度は0.0304%、医療機関からの報告頻度は0.0122%となっております。
 続きまして、資料2-10をご覧ください。
 シルガード9の副反応疑い報告の報告状況です。対象期間における接種可能延べ人数は約136万6000人、製造販売業者からの報告は71例、医療機関からの報告は101例、うち重篤なものが48例ございました。なお、製造販売業者からの報告頻度は0.0052%、医療機関からの報告頻度は0.0074%となっております。
 また、中段の参考部分について念のため補足させていただきますが、これまでも本部会で御説明、御了承いただき、また、注釈2にも記載しておりますとおり、「販売開始からの累計」の欄につきましては、製造販売業者からの追加調査により得た最新の時点における医療機関の評価に基づく重篤度を反映しております。そのため、今回のように審議対象期間の件数より、医療機関報告のうち重篤数が少なくなる場合がございますが、具体的な事例の内訳については、これまでどおり参考資料17に記載しておりますので、そちらも御参照いただきますようお願いいたします。
 続きまして、資料2-17-1をご覧ください。
 5種混合ワクチンの副反応疑い報告の報告状況についてです。対象期間における接種可能延べ人数は約50万6000人、製造販売業者からの報告は13例、医療機関からの報告は19例、うち重篤なものが11例ございました。なお、製造販売業者からの報告頻度は0.0026%、医療機関からの報告頻度は0.0038%となっております。
 1ページ目の下段にお示ししている重篤例の転帰の表の下の記載をご覧ください。「令和6年3月から8月までの6ヶ月間から、令和6年4月から9月の6ヶ月間における、報告受付日をもとにした各ワクチンの死亡例の報告頻度は、10万接種あたり0.52~0.58であった」と記載させていただいております。10月25日に開催された前回の合同部会と同様、10万接種あたりの報告頻度が、急ぎの検討が必要とされる10万接種あたり0.5を上回っている状況であるため、死亡症例について内容の確認を行い、その結果を資料2-17-2としてお示ししておりますので、御確認ください。
 今回の対象期間である令和6年7月1日から9月30日までの間に製造販売業者から報告された症例は2例となっておりますが、いずれの症例も報告の重複が判明したことなどを理由に、対象期間後である10月1日以降に報告取下げとなっている症例でございます。
 また、直近の報告状況についても確認させていただいたところ、前回の合同部会から12月末日までの間に新たに2例の死亡例が報告されておりますが、資料2-17-2、別紙No.1の症例は、前回の合同部会における資料2-17-2においてNo.5として御報告させていただいた症例に対し、別の製造販売業者から改めて報告された症例であると考えられます。
 No.2の症例は、これまでに報告がない新規の症例であると考えられ、その内容としては、3か月の男児に5種混合ワクチンを含む複数のワクチンを接種し、ワクチンの接種から1週間後に警察から接種医療機関へ患児が死亡したとの連絡があった症例となっております。ワクチンの接種から1週間以内に死亡が確認された症例となりますが、現在確認できる範囲では、接種から死亡に至るまでの詳細な経過などは不明であり、ワクチン接種との因果関係についても報告医、製造販売業者ともに不明と報告されております。
 なお、これまでの報告において、死亡症例が特定のロットに集積しているということもなく、ワクチン接種と死亡との間に強い因果関係が示唆されるとまではいえないことから、事務局としては、引き続き死亡例やそのほかの副反応の発生状況についてモニタリングを継続することとしてはどうかと考えております。
 続きまして、資料2-18をご覧ください。
 Hibワクチンの副反応疑い報告の報告状況です。対象期間における接種可能延べ人数は約16万5000人、製造販売業者からの報告は2例、報告頻度は0.0012%となっております。なお、医療機関からの報告はございませんでした。
 1ページ目の下段にお示ししている重篤例の転帰の表の下の記載をご覧ください。5種混合ワクチンにおいても御説明させていただいたとおり、6ヶ月間における死亡例の報告頻度を記載しておりますが、「令和6年1月から令和6年6月の6ヶ月間から、令和6年4月から令和6年9月の6ヶ月間における報告受付日をもとにした死亡例の報告頻度は、10万接種あたり0.19~0.44であり、急ぎの検討が必要とされる10万接種あたり0.5を下回っている」状況でございます。
 続きまして、資料2-19-1をご覧ください。
 13価肺炎球菌ワクチンの副反応疑い報告の報告状況です。対象期間における接種可能延べ人数は約1万7000人、製造販売業者からの報告は8例、医療機関からの報告は、重篤なものが1例ございました。なお、製造販売業者からの報告頻度は0.0478%、医療機関からの報告頻度は0.0060%となっております。
 1ページ目の下段にお示ししている重篤例の転帰の表の下の記載をご覧ください。「令和6年1月から令和6年6月の6ヶ月間から、令和6年4月から令和6年9月の6ヶ月間における報告受付日をもとにした死亡例の報告頻度は、10万接種あたり0.40~2.67であった」と記載させていただいております。10万接種あたりの報告頻度が、急ぎの検討が必要とされる10万接種あたり0.5を上回っている状況であるため、死亡症例について内容の確認を行い、その結果を資料2-19-2としてお示ししておりますので、御確認ください。
 今回の対象期間中に死亡例は2例報告されておりますが、製造販売業者からの報告におけるNo.4の症例は、5種混合ワクチンとの同時接種の事例であり、先ほど御説明させていただいたとおり、対象期間後に報告取下げとなっている症例でございます。
 なお、報告書には当初、プレベナーと記載されておりましたが、その後の調査によって製品及びロット番号が特定され、実際には15価肺炎球菌ワクチンであるバクニュバンスが投与されていたことが判明しております。
 製造販売業者からの報告におけるNo.6の症例については、年齢不明の女児にプレベナーを含む複数のワクチンを接種し、2週間ほど経過した後に感冒症状を認め、その後に亡くなられた症例であり、剖検の結果、死因としてRS感染症が疑われていることから、報告書には「ワクチンとの因果関係はない」との報告医の意見が記載されております。
 また、15価肺炎球菌ワクチンの定期接種が開始されたことや、後継である20価肺炎球菌ワクチンの販売が開始されたことなどにより、出荷数量が減少し、令和6年1月から令和6年6月の6ヶ月間と比較して、令和6年4月から令和6年9月の6ヶ月間では接種可能延べ人数が約10分の1にまで減少していることも報告頻度が増加した理由の一つであると推察しております。
 以上を踏まえ、ワクチン接種と死亡との間に強い因果関係が示唆されるとまではいえないことから、事務局としては、引き続き死亡例やそのほかの副反応の発生状況についてモニタリングを継続することとしてはどうかと考えております。
 続きまして、資料2-20をご覧ください。
 20価肺炎球菌ワクチンの副反応疑い報告の報告状況です。今回の対象期間中に接種が開始となっていることから、新たに資料を作成しており、対象期間における接種可能述べ人数は約5万3000人、対象期間内において製造販売業者と医療機関のどちらからも副反応疑い報告はございませんでした。
 続きまして、資料2-25をご覧ください。
 RSウイルスワクチンであるアレックスビー筋注用の副反応疑い報告の報告状況です。対象期間における接種可能延べ人数は約7,000人、製造販売業者からの報告は4例、報告頻度は0.0577%となっております。なお、対象期間において医療機関からの副反応疑い報告はございませんでした。
 続きまして、資料2-26をご覧ください。
 RSウイルスワクチンであるアブリスボ筋注用の副反応疑い報告の報告状況です。対象期間における接種可能延べ人数は約1万3000人、製造販売業者からの報告は10例、医療機関からの報告は重篤なものが1例ございました。なお、製造販売業者からの報告頻度は0.0748%、医療機関からの報告頻度は0.0075%となっております。
 また、医療機関から報告された症例について、転帰は死亡と記載されておりますが、こちらの症例は被接種者が死産を経験した症例であり、被接種者の転帰は報告書に記載されていなかったことから、注釈を追記させていただいております。
 ここまでに御説明させていただいた資料を除く資料2-1から2-29に関してですが、今回の対象期間におきまして、各ワクチンの副反応疑いの報告頻度は、これまでに比べて特段高いということはございませんでした。
 続きまして、専門家評価対象となっている症状の報告状況について御説明いたします。
 資料2-30、ワクチン接種後の後遺症報告一覧でございます。
 今回の対象期間におきまして、ワクチン接種後に後遺症が生じたとする報告が、対象期間前に報告された症例で新たに判明した症例が1例、対象期間内の症例で5例ございました。因果関係評価の結果につきましては、いずれも情報不足等により評価できないとされております。
 続きまして、資料2-31、ワクチン接種後のADEM疑いの報告一覧でございます。
 今回の対象期間におきまして、ADEM疑いが生じたとする報告が、対象期間前の再評価の症例で2例ございました。因果関係評価の結果につきましては、いずれも情報不足等により評価できないとされております。
 続きまして、資料2-32、ワクチン接種後のGBS疑いの報告一覧でございます。
 今回の対象期間におきまして、GBS疑いが生じたとする報告が、対象期間前の再評価の症例で1例、対象期間内の症例で1例ございました。因果関係評価の結果につきましては、いずれも情報不足等により評価できないとされております。
 続きまして、資料2-33、ワクチン接種後のアナフィラキシー疑いの報告一覧でございます。
 今回の対象期間におきまして、アナフィラキシー疑いが生じたとする報告は、対象期間前の再評価の症例で8例、対象期間内の症例で10例ございました。因果関係評価の結果につきましては、このうち3症例におきまして、ブライトン分類がレベル3以上、かつ因果関係が否定できないとされております。
 なお、再評価の症例であるNo.4とNo.5については、子宮頸がんワクチンに対するアレルギー歴のある女性において、パートナーの男性にシルガードが接種されており、シルガードの接種から2年以上経過してから妊娠が成立した後、女性自身と胎児にアナフィラキシーショックが生じた結果、胎児が死亡したとされる症例となります。前回の合同部会では、情報不足等により評価できないとされておりましたが、詳細調査の結果、因果関係評価は、ワクチンと症状名との因果関係が認められないものへ変更されております。
 そのほかの症例の因果関係評価につきましては、いずれも情報不足等により評価できないとされております。
 続きまして、資料2-34、ワクチン接種後の死亡事例の報告一覧でございます。
 対象期間前及び対象期間内に報告された症例は8例であり、そのうちNo.1、No.2、No.5、No.6、No.7の因果関係評価は、情報不足等により評価できないとされております。
 また、対象期間後の報告につきまして、2025年1月10日までに12例が報告されております。期間内に報告された症例も含め、多数の症例が調査中と記載されておりますが、個々の症例評価はPMDAにおける通常の安全監視活動の一環として随時行っており、現在、専門家による評価を行っていただくための手続を進めさせていただいていることから、調査中というステータスとして記載しております。いずれの症例についても、専門家による評価が終了し次第、次回以降の本部会にて御報告させていただく予定となっております。
 最後に資料2-35になりますが、こちらは乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン及び乾燥弱毒生麻しんワクチンの副反応疑い報告状況に関しまして、製造販売業者より修正の連絡がございましたのでお示ししております。
 修正箇所は、2024年7月29日及び10月25日に開催された審議会における資料2-1及び資料2-2のうち、接種可能延べ人数の修正となります。
 接種可能延べ人数は、製造販売業者より報告された対象期間内に納入されたワクチンの数量より推計しており、製造販売業者より報告されるワクチンの納入数量は、通常、製造販売業者への返品分を加味した値となっております。しかし、今回修正の対象となっている資料では、返品された数量が加味されていなかったと連絡がございましたので、返品分を加味した値へ接種可能延べ人数を修正させていただきました。
 また、接種可能延べ人数の修正に伴い、報告頻度も一部修正させていただいておりますので、御確認ください。
 新型コロナワクチン以外のワクチンに関する資料2の御説明は以上になります。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 今回、組換えRSウイルスワクチンの御説明もいただいております。引き続き、5種混合ワクチン、13価肺炎球菌ワクチンでの課題もございました。委員の皆様から御質問、御意見がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 詳細なまとめ、ありがとうございました。
 1つ質問ですけれども、RSウイルスワクチンのことでございます。母子免疫で受けるワクチンのほうですが、赤ちゃんの副反応の症状の中に、「妊娠中のお母さんの接種」という記載のみの方がリスト化されているのですけれども、どういうときにここにリスト化されるものなのか、少し説明をお願いできればと思います。資料2-26だったと思います。よろしくお願いします。
○森尾座長 ありがとうございます。
 事務局いかがでしょうか。
○事務局 御質問いただきありがとうございます。御回答を申し上げます。
 ただいまいただいた御質問は、アブリスボの症例のうち、製造販売業者からの報告におけるNo.5の症例に関する御質問であると推察いたします。
 当該症例は、妊娠32週の40歳代の女性にアブリスボを接種した後、妊娠36週で緊急帝王切開となった結果、早産となった症例であり、出生児の症例として副反応疑い報告書が提出されております。
 報告書では、副作用・有害事象名として、「妊娠時の母体の暴露、妊娠後期」、「骨盤位」、「早産児33週から36週まで」が記載されておりますが、アブリスボを接種された女性本人である報告医師及び製造販売業者から、「早産とワクチン接種との因果関係はない」と評価されております。
 合同部会でお示しする症例ラインリストでは、報告医と企業のどちらか、またはその両方がワクチンとの関連が疑われると評価している症状を副作用名として記載しているため、当該症例は「妊娠時の母体の暴露」のみ記載する形で症例ラインリストに掲載しております。
 以上となります。
○森尾座長 多屋委員、よろしいですか。ちょっと曖昧で分かりにくいですけれども。
○多屋委員 ありがとうございました。
 それでは、これからお母さんに接種をした後こういう御報告があった場合は、このような形で赤ちゃんのほうのリストに記載されていくということでよろしかったでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
 基本的には、母親と子供のどちらの症例として報告書が提出されたかといったことをベースに症例ラインリストは作成させていただきますので、子供の症例として上がってきた報告に関しましては、引き続き、子供の症例としてラインリストのほうに掲載させていただきたいと思います。
○多屋委員 多分説明があったほうが分かりやすいかなと思いました。
 どうも説明ありがとうございました。
○森尾座長 多屋委員、ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 ありがとうございます。もし御質問がなければ、これまでに議論された内容をまとめさせていただきたいと思います。これまで確認できた内容を述べますので、御確認いただければと思います。
 まず、副反応疑いの報告頻度は、これまで検討したワクチンに比べて特段高いことはない。
 後遺症の報告は、対象期間前の症例を含め6例報告され、いずれも専門家の評価では情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係は評価できないとされた。
 ADEMの可能性がある症例は、対象期間前の再評価の症例が2例報告され、いずれも専門家の評価では情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係は評価できないとされた。
 GBSの可能性のある症例は、対象期間前の症例を含め2例報告され、いずれも専門家の評価では情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係は評価されないとされた。
 アナフィラキシーの可能性がある症例は、対象期間前の症例を含め18例報告され、MRワクチン・日本脳炎ワクチン・おたふくかぜワクチンの同時接種の症例等の3例について、ワクチンと症状名との因果関係は否定的ないものとされました。また、対象期間前の症例のうち、シルガード9が接種された事例について、再評価の結果、ワクチンと症状名との因果関係が認められないものとされた。その他の症例については、いずれも専門家の評価では情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係は評価できないとされた。
 死亡症例は、2025年1月10日時点までに20例報告されました。現在調査中の症例を除き、いずれも情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係は評価できないとされた。
 Hibワクチンの6か月間における死亡例の報告頻度は、急ぎ検討が必要とされる10万接種当たり0.5を下回っていた。
 一方、5種混合ワクチンの6か月間における死亡例の報告頻度が、急ぎ検討が必要とされる10万接種当たり0.5を上回っていたことから、報告された症例に関して内容の確認を行った。その結果、報告された症例について、現時点で得られている情報からは、ワクチン接種と死亡との関連が強く疑われる症例はないことから、引き続き死亡例やそのほかの副反応の発生状況について注視することとしてはどうかとまとめさせていただいております。
 13価肺炎球菌ワクチンの6か月における死亡例の報告頻度は、急ぎ検討が必要とされる10万接種当たり0.5を上回っていたことから、報告された症例に関しての内容確認を行った。その結果、報告された症例について、現時点で得られている情報からは、ワクチン接種と死亡との関連が強く疑われている症例はなかった。現在、後継である20価肺炎球菌ワクチンへの切替えが行われているが、引き続き死亡例やそのほかの副反応の発生状況について注視してはどうかということでございます。
 10万接種当たり0.5を上回っているという状況が出ておりますけれども、これからも1例ずつ丁寧に評価するとしてはどうかということでございます。
 このようなことでよろしいかどうか御意見いただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
 齋藤委員、お願いいたします。
○齋藤委員 ありがとうございます。齋藤と申します。
 副反応の頻度の点ではなく、ちょっと戻るのですが、ヒトパピローマウイルスワクチンのシルガードを接種した云々というところで御質問のタイミングを逃してしまいまして、お伺いしてもよろしいでしょうか。
○森尾座長 齋藤委員、どうぞお願いいたします。
○齋藤委員 今、資料2-33の経過が書いてある別紙1を拝見しているのですけれども、シルガードをどなたが打ったかというのがこの経過表でよく分からないのですが、パートナーの男性が2021年にHPVワクチンを打たれて、2021年4月から3回ほど、9月まで接種と書いてあるのですが、これは妊娠されたお母様のほうが接種を受けていたということなのですか。それとも、父親、パートナーの男性がシルガードの接種を受けていたということなのでしょうか。
○森尾座長 事務局お願いいたします。
○事務局 御質問ありがとうございます。御回答申し上げます。
 先ほどもパートナーの男性と説明させていただきましたとおり、治験に参加されていた父親がHPVワクチンの接種を受けられた症例となっております。
○森尾座長 よろしいでしょうか。父親が4月、5月、9月を受けられたということです。
○齋藤委員 どなたが打ったかは了解しました。患児の母親が妊娠して、その後、子宮頸がんワクチンが原因でアレルギーがあった母親と胎児がアナフィラキシーショックを起こし、胎児が死産になると伝えられたというのは、主治医からこういう情報が伝えられたという意味合いでしょうか。
○森尾座長 事務局お願いいたします。
○事務局 死産になると伝えられたのは、母親から父親に対してとなります。
○齋藤委員 転帰としては、実際にお母様は死産をされてしまったということでよろしいのでしょうか。因果関係は自分自身よく分からない状況で言っているのですが。
○事務局 経過のほうに書かせていただいておりますとおり、母親のほうは産婦人科で死産の分娩予定となっておりますので、胎児のほうは亡くなられた症例と考えられます。
○齋藤委員 因果関係が、どちらがどうなっていたのかがよく分からなかったものでお伺いしました。どうもありがとうございました。
○森尾座長 ありがとうございます。ちょっとコンフュージングな症例かなと思いますが、ワクチン接種との因果関係はないということで、よろしいですね。
 ありがとうございます。
 それでは、戻らせていただきまして、まとめについてでございますけれども、先ほど述べさせていただいたような内容でよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○森尾座長 ありがとうございます。
 これを踏まえまして、新型コロナワクチン以外の各ワクチンについて、現状の取扱いを変更する必要があるかどうか、もし御意見がありましたら承りたいと思いますが、よろしいですか。
(委員首肯)
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、御審議いただいたワクチンについては、これまでの副反応報告等によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○森尾座長 ありがとうございます。皆様うなずいていただいたと認識いたしました。どうもありがとうございます。
 それでは、次に議題3「HPVワクチンについて」に入りたいと思います。
 まず、事務局から資料3-1、3-2について説明をお願いいたします。
○事務局 よろしくお願いいたします。事務局でございます。
 事務局より、資料3-1及び資料3-2について御説明いたします。
 まず資料3-1をご覧ください。
 資料3-1は、HPVワクチンのキャッチアップ接種の経過措置についての御報告でございます。
 おめくりいただきまして2ページ目をご覧ください。
 HPVワクチンのキャッチアップ接種については、令和6年11月の予防接種基本方針部会において、キャッチアップ接種の終了に向けた対応として経過措置を設けることとされ、12月のワクチン分科会においても賛成多数で了承されました。
 また、経過措置の周知・広報に当たっては、委員意見を踏まえ、引き続き丁寧かつ確実に情報提供を行うことが重要であるとされました。
 下の青囲みの部分に、ワクチン分科会における審議結果の要点4点を記載しております。
 1つ目といたしまして、令和6年夏以降の需要の大幅な増加に伴う限定出荷の状況等を踏まえ、キャッチアップ接種の期間中に1回以上接種している者については、期間終了後も公費で3回の接種を完了できるよう、経過措置を設けること。
 2つ目として、対象者については、従来のキャッチアップ接種の対象者に加え、令和7年度に新たに定期接種の対象から外れる者も対象とすること。
 3つ目として、期間については、添付文書の記載等を踏まえ、キャッチアップ接種期間終了後、1年間とすること。
 4つ目として、周知・広報に当たっては、自治体の準備等を確保するため、経過措置の内容をできるだけ速やかに情報提供を行う必要がある。また、経過措置の対象者が接種について検討等できるよう、その内容と併せてワクチンの有効性・安全性についても、引き続き丁寧かつ確実に情報提供を行うことが重要であることとされましたので、こちらで御報告を申し上げます。
 続きまして、資料3-2をご覧ください。
 資料3-2はHPVワクチンの実施状況についてということで、各年度の上半期・下半期ごとに、HPVワクチンの定期接種の実施状況について、先生方に定期的に御報告をしているものでございます。
 表題をご覧いただきますと、今回は令和6年度上半期の実施状況をお示ししております。
 表1行目に従来の定期接種の接種数及び実施率、また、表4行目にキャッチアップ接種の接種数を時点更新した数値をそれぞれ接種回数別にお示ししておりまして、1年前の令和5年度の上半期と比較しますと、キャッチアップ接種を中心に接種実績が増加している状況でございました。
 事務局からの資料3-1及び3-2の説明は以上でございます。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 キャッチアップ接種経過措置の報告、実施状況について御報告いただきましたけれども、委員の皆様からいかがでしょうか。何か御意見、御質問がありましたら承りたいと思います。
 多屋委員、どうぞお願いいたします。
○多屋委員 ありがとうございます。
 ここでの質問がよかったのかどうか分かりませんが、HPVのキャッチアップ接種が始まって、多くの方が接種を受けられたと思います。積極的勧奨の差し控えが行われる前に報告されていた疼痛を伴う様々な症状があったと思いますが、その報告は、キャッチアップ接種が始まって以降、増えているのでしょうか、変わらないのでしょうか、あるいは減っているのでしょうか。そちらについてもし分かりましたら教えていただければと思います。
 以上です。
○森尾座長 ありがとうございます。
 事務局、情報がありましたらお願いいたします。
○事務局 多屋先生、ありがとうございます。
 お答えできる範囲でのお答えになりますけれども、お尋ねいただきました症状につきましては、御承知のとおり症状の背景が様々でもあり、なかなか明確にお示しすることが難しい状況ではございますが、これまでも先生方にお示しして御議論いただいてまいりましたとおり、HPVワクチン接種後の副反応疑い報告の報告頻度につきましては、事務局が現時点で集計しております範囲におきましては、積極的勧奨再開前後で大きな変化はないものと承知しております。
 事務局におきましては、引き続き、HPVワクチン接種後の副反応疑い報告の状況について、その報告頻度も含めて、適宜、先生方にも御報告して、御議論いただけるように努めてまいります。
 以上でございます。
○多屋委員 ありがとうございました。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 令和7年度に新たに定期接種の対象から外れている方も対象になるということで、広報とか周知とかはなかなか大変だったと思いますけれども、恐らく接種率もいずれ出てくるということでよろしいですか。
○事務局 ありがとうございます。
 接種率につきましては、今回、上半期分の接種率をお示ししておりますけれども、今後とも下半期分も含め、御報告してまいります。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 どうもありがとうございました。
 それでは、次に移らせていただきます。資料3-3「HPVワクチンの2024年上半期までの累積接種率」ということでございまして、上田参考人にお入りいただいております。
 上田参考人、どうぞ御説明をよろしくお願いいたします。
○上田参考人 御紹介ありがとうございます。大阪大学の上田でございます。
 ちょうど1年前の第100回の当部会におきまして、接種時年齢で集計されているデータを生まれ年度ごとに再集計する必要性とその方法についてお話をさせていただきまして、当時は2022年度末までのデータで提示をしたという経緯でございます。その後、11月に厚労省のほうから、今お話のあった2024年度の上半期の速報値が発表されまして、今回私は確定値が整いましたので提示をさせていただきたいと思います。
 それでは、資料3-3、2ページ目をお願いいたします。
 こちらがその結果で、速報値と大きな差はございません。小さくて恐縮なのですけれども、1994年度~96年度生まれの世代につきましては、緊急促進事業で接種がもう70%程度まで進んでおりまして、キャッチアップの対象でもありませんので、そこはもう既に確定しているデータとなります。
 97~99年度生まれは、緊急促進事業で接種が進んでいましたが、さらにキャッチアップの対象にもなり、そこが上乗せされまして、合計では初回の累積接種率として85%程度まで上昇しております。
 2000年度~2007年度生まれは、積極的勧奨の差し控えに当たった世代で、主にキャッチアップ接種で接種が進み、今のところ累積で40%程度の初回の接種率となってございます。
 2008年度~2012年度生まれは、キャッチアップの対象ではなくて積極的勧奨再開後の定期接種の対象の世代でありまして、この世代では学年によりますけれども4~50%程度になっているというわけでございます。
 次をお願いいたします。
 具体的な計算方法は前回の資料等を御参考にしていただけたらと思いますけれども、まず接種時年齢11歳につきましては全員小学校6年生として扱い、接種時年齢12歳の女子は、4月は全員中学1年生で、以降少しずつ小学6年生が入ってくるといった仮定で算出をいたしております。
 次をお願いします。
 キャッチアップ接種も全く同様の方法、仮定を置いて算出したところでございます。
 私からは以上でございます。
○森尾座長 上田先生、どうもありがとうございます。
 今、詳しく説明していただきました非常に貴重なデータでございますけれども、委員の皆様から御質問、コメント等ありましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
 上田先生、下半期までフォローしていただいて、またデータが出るという感じですね。
○上田参考人 そうですね。現在、接種がまだ進んでおりますので、ぜひそこまでまた集計して、御発表させていただきたいと思っております。
○森尾座長 大分ぐっと伸びてきたということを伺っております。
 齋藤委員、どうぞお願いいたします。
○齋藤委員 ありがとうございます。齋藤玲子と申します。
 上田先生、すばらしい調査結果ありがとうございました。
 私、HPVワクチンの接種について詳しくないので教えていただきたいのですが、先生の結果を見ますと、例えば今、日本で27歳ぐらいまで、第一子を生む直前ぐらいの方までは80%、非常に高い接種率の方がいらっしゃるのですけれども、その下の年代が途中、HPVワクチンが中断してしまった関係で40%台になっていますが、同じような年代のHPVワクチンをやっている海外の国での年代ごとの接種率をもし先生が御存じでしたら教えていただけませんでしょうか。
○上田参考人 ありがとうございます。
 もちろん国によっても違うところはあるのですけれども、高い国ではもう9割ぐらいの接種率になっております。今まで日本はほぼ止まっておりましたので、世界の中でも最低レベルだったのですけれども、やっと4割~5割ぐらいまでになってきて、世界の中でまだ低いほうではあるのですけれども、やっとその辺に追いついてきたかなという状況と理解しております。
○齋藤委員 ありがとうございました。
○森尾座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 上田先生にはまた御登場いただく機会があると認識をしております。本日はどうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 それでは、続いて資料3-4「HPVワクチンの安全性に関するフォローアップ研究」(研究代表者:岡部信彦先生)について、経過報告を行っていただきます。
 研究分担者でいらっしゃいます竹原参考人に今日入っていただいておりますので、御説明をお願いできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○竹原参考人 皆さん、こんにちは。国立成育医療研究センターの竹原です。
 昨年7月の第102回の部会以来の状況の御報告をさせていただきたいと思います。
 2枚目のスライドをお願いいたします。
 現在、我々がずっと行っている全国のサーベイランスの目的は、HPVワクチンの積極的勧奨が再開となった2022年の4月以降、HPVワクチン接種後に何らかの体調不良を主訴として協力医療機関を受診した患者数の推移を把握することということで、毎月1回、全国の協力医療機関に御協力をいただきながら、ウェブアンケート調査で実態を把握して、積み重ねているというものになります。
 調査期間は2022年の3月から毎月1回ということなのですが、2024年の6月から9月は、後ほど少し御説明をさせていただきますが、一度中断をしまして、その時期のデータに関しては、まとめて後ろ向きに10月に集計をさせていただきました。
 次のスライドをお願いいたします。
 全国の協力医療機関に毎月1回、ウェブアンケートで受診患者数について御回答いただきまして、その結果を取りまとめて、厚生労働省に報告するとともに、全国で定期的に実施されているブロック拠点病院事業などでも速報値として共有をさせていただいております。
 次のスライド、4枚目をお願いいたします。
 こちらがサーベイランスを実施している中で明らかになっている受診患者数です。
 まず、2022年度の数値が表示されています。一番上に点線がありまして、その上が積極的接種勧奨再開前の2022年3月の時点の状況になります。その後、積極的接種勧奨が再開されてどのようになったのかというふうに見ていただければと思いますが、ワクチン出荷数としては、2022年度は毎月およそ10~20万件、そして新規受診者数としてはおよそ10~18人ぐらい、そして合計受診患者数としては40、50人あたりで毎月推移をしておりました。
 次のスライドをお願いいたします。
 こちらは2023年度の状況になります。2023年度もワクチンの出荷数はおよそ10~20万件、そして新規受診患者数は2023年の9月にこれまでで初めて20人を超えましたが、その後また20人を下回りまして、およそ10~20人ぐらいで毎月推移をしているという状況は、大きな変化はございませんでした。
 次のスライドをよろしくお願いいたします。
 こちらは2024年度の状況になります。まず、ワクチンの出荷数は、4、5、6、7月あたりと比べて、8月以降はかなり安定供給がされるようになりまして、50万件を超えるような出荷数となっております。そして新規受診患者数ですが、9月にこれまでで最高の43人、10月で57人、11月で49人という人数になりまして、合計受診患者数も10月以降は100人を超える人数となっております。12月はまだ調査を実施中でございますので、これは確定値というよりは、あくまでも速報として提示をさせていただいております。
 このようにワクチンの出荷数も増えておりますし、新規受診患者数、そして合計受診患者数というのも、この夏を過ぎて一気に増えてきたというのがこのサーベイランスから一つ分かることかなと思います。
 先ほど2024年の6月から9月に一時サーベイランスを中断したということに関してですけれども、こちらの下の※4に状況を記載しております。ある協力医療機関から、この研究サーベイランスに参加するに当たって、外部に情報を提供する際に必要な手続及び中央一括審査が行われている研究として、研究代表者の所属機関である当センターのほうが、各協力医療機関での外部へ情報提供することに関する手続などが細かく確認できているのかというような問合せを受けて、そのことに関しまして当センターの倫理審査委員会にて審議をしておりました。そのため、その間、サーベイランスを一時中断しまして、協力医療機関の皆様には、この審査の結果が出たらまとめて御提出いただくことを想定していますので、毎月手元で取りためておいてくださいというようなお願いをして、当センターのほうへの情報の提供は4か月間止めていたということになります。
 そして審議の結果ですけれども、本研究が収集する情報は患者数などの集計値のみで、個人に関する情報に該当しない既存の情報に該当するということで、ヒト指針の適用範囲外と承認された研究として、サーベイランスの継続は可能であると判断をされました。その結果通知なども含めて、各協力医療機関に御説明をさせていただいて、改めて10月からまたサーベイランスを再開しているということになります。ですので、6月から9月だけ、それまで毎月1回、前向きに情報収集していたのが、やや後方視的にデータをいただくというような形になっておりますが、協力医療機関の皆様の御協力もありまして、回答施設数なんかもそんなに大きく減ることはなく、情報を収集することができたかなと思っております。
 7枚目のスライドをお願いいたします。
 まとめですけれども、2024年度の新規受診患者数に関しては、前回報告した時期と比べまして、新規受診患者数が増加している傾向が見られました。キャッチアップ接種が推進されるなど接種者数の増加によるものと見込まれています。
 今後に向けましては、引き続きこのサーベイランスを継続しまして、患者数の把握をしていきたいと思っておりますし、また、今回こうした変動があったというようなことも早期に把握をして、関係各所に周知をするという体制を維持したいと考えております。
 また、任意接種として男性の接種者も想定されておりますことから、サーベイランスの受診者の把握において、性別も注視をしていくところでございます。
 そして最後ですが、拠点病院整備事業の地域ブロック拠点会議といったところでサーベイランスの結果を定期的に共有して、全国の都道府県、協力医療機関と連携を引き続き行ってまいりたいと思っております。
 以上になります。
○森尾座長 竹原先生、貴重なデータをありがとうございます。
 貴重な機会ですので、委員の皆様から質問、コメント等ありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 岡委員、お願いいたします。
○岡委員 岡でございます。
 竹原先生、貴重な御報告ありがとうございました。
 私、実はちょっと誤解していたのかもしれませんけれども、数だけしか調査していないのかなと思ったのですが、今回の資料に性別もと書かれていて、例えば年齢とか性別といったところまでも何か情報はいただいているのでしょうか。それとも、私は数だけなのかなと思っていたものですから、どういったような情報を集められているかだけ教えていただければと思います。
○竹原参考人 ありがとうございました。
 基本的には患者数のみで、個人レベルの情報は収集をしておりません。ですので、受診患者数をお伺いして、そのうち男性の人数というような形で、そちらも集計値として情報を収集しているところです。
○岡委員 分かりました。ありがとうございます。
○森尾座長 ほかにはいかがでしょうか。
 お願いします。
○藤井委員 国際医療福祉大学の藤井と申します。
 大変貴重な報告、ありがとうございました。
 今回、数だけというお話なのですけれども、症状の数ということで、症状の中身はどうしても少し気になってしまいました。症状は様々なものがあって、軽微なものであれば接種の。
○森尾座長 藤井委員、途切れたようです。もう一度お願いできますでしょうか。
○藤井委員 申し訳ございません。もう一度繰り返します。
 今回は数の集計ということで、とても大事だと思うのですけれども、症状の中身がどうしても少し気になってしまいます。例えば接種部位の腫脹であるとか、発熱であるとか、よくあることなので問題はないと思うのですけれども、殊、このワクチンに関しましては、精神症状であるとか、その後長引いたものなのかどうかとか、人格が変わったとか、そうしたことは歴史上今まで取り上げられていたもので、どうしてもその割合がどれぐらいであったのかちょっと知りたくなりました。ただ、今回は数だけということで、そうしたものの区別がなされてはいないという理解でよろしいでしょうか。
○竹原参考人 御質問いただきましてありがとうございました。
 こちらのサーベイランスでは数のみで、具体的な臨床像や症状に関しては情報を収集しておりません。そちらに関しては、この次の資料3-5で西原先生の資料の中に書かれているのかなと思います。
○藤井委員 ありがとうございます。
○森尾座長 宮入委員、お願いいたします。
○宮入委員 浜松医科大学小児科の宮入と申します。
 非常に貴重なデータありがとうございます。
 今回、出荷されたワクチンの数と受診の人数を見ると、1万人当たり1人ぐらいの受診というのがずっと一貫して見られるかなと思いますが、この数字に関しては、ほかのワクチンであるとか、既報であるとか、そういったものと比較して高いのか、低いのか、想定内なのか、そこについて何か考えられることだけでもよいのですが、考察がありましたら教えてください。
○竹原参考人 ありがとうございます。
 まず、受診患者数という定義がHPVワクチンに関してはやや特徴がある捉え方をしているのかなと思っています。実際に因果関係があるかとか、関連した症状であるかどうかということはさておき、御本人もしくはその御家族がそういったことを主訴として受診をされた方という形で、実際こうやってサーベイランスで数を集めておりますので、直接このワクチン接種が恐らくあまり関係がないのではないのかというような方なんかも含まれている可能性は否定できない状況になっています。
 そのため、このワクチンによって患者さんの定義というのがいろいろ異なっていってしまうのだと思われるので、一概にほかのワクチンに比べて多いのか、少ないのかという単純な数の比較は難しいのではないかと考えております。明解な答えではなくて大変申し訳ありませんが、いかがでしょうか。
○宮入委員 ありがとうございます。承知いたしました。
○森尾座長 ほかのワクチンでこういう体制でサーベイランスしているものはなくて、コロナぐらいですか。山口さん、お願いします。
○事務局 ありがとうございます。
 今、森尾座長からもお言葉がありましたとおり、今、事務局のほうで把握しておりますのは、先ほど大曲参考人に御発表いただきました新型コロナワクチンの調査はございます。一方、委員の先生方からお言葉がありましたとおり、そもそも対象となる患者層の違いや、そもそも調査をかけている対象病院も異なりますので、そこを単純に比較するのはなかなか難しいというのは、事務局の見解としても同じ状況でございます。
 以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 これもナイーブな質問ですけれども、厚労事業はいつまで続くのでしたか。
○竹原参考人 ありがとうございます。
 現在の岡部班は再来年度まで、3年間という形で続きます。
○森尾座長 さらなる継続を含めまして、よろしくお願いします。
○事務局 頑張らせていただきます。
○森尾座長 ほかにいかがでしょうか。
 竹原先生、本当に貴重な御報告ありがとうございました。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、先ほど竹原参考人からも御紹介がありましたけれども、続いて資料3-5「HPVワクチンなどのワクチン接種後に生じる様々な症状についての調査とその対応方法に関する研究」(第1報)について、研究代表者でいらっしゃいます西原参考人から御説明をお願いいただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
○西原参考人 よろしくお願いいたします。愛知医科大学の西原でございます。
 それでは、資料のほうをよろしくお願いいたします。
 次のページをお願いします。
 私たちの研究班は、HPVのワクチンを接種した後に症状が出てしまった患者さん、接種者の接種後症状というものを調査しまた、それにどういうふうに対応していくことが望ましいのかということを研究させていただいております。
 概要は、先ほどのお話でも出てきましたけれども、協力医療機関が設定をされて、今、サーベイランスのデータはそこから流れているということになります。
 その協力医療機関の中で、地域のブロック拠点病院を設定いたしまして、全国で12施設設定されております。この施設を受診した患者さんに関して、先ほどサーベイランスは数が中心だったわけでございますけれども、私たちはどんな症例があったのかという情報を集めるというシステムをつくってきているところでございます。
 もともとはHPV以外のワクチンでも、こういうことが起きていないか、コロナのワクチンもそうですけれども、そういうことが検討できないかと話し合ったのですが、今はHPVのワクチンに絞って研究をしているという状況にございます。
 目的に関して言うと、先ほどどういう症状がありますかということで、これは以前、社会問題になったということに関しては先生方もよく御存じだと思いますので、困るような患者さんが生じないようにどういうサポートができるかというために、臨床像をしっかりつかまえましょうというのが目的になってまいります。
 いろいろな項目を調べさせていただいて、どういう症例があったかということを話し合うというような機会を定期的に持つようにしております。対象の大学は以下のようになっております。
 今日は私、この会は初めてでございますけれども、去年、令和5年の4月から令和6年の3月まで調べたデータについてお示しをしたいと思います。
 これは先ほどの説明のとおりでございます。一部大学が変わってはおりますけれども、中身としては、最終的にこういうデータをもってどういうふうに患者さんに対応していったらいいかというマニュアルをブラッシュアップすることを最終目標としております。
 先ほどの岡部先生の班との関係性を示しているものになりますけれども、協力医療機関のほうのサーベイランスは岡部先生の研究班がやってくださっているというところで、そこからブロック拠点のほうにも流れますし、直接ブロック拠点のほうに行かれる患者さんもおられると思いますけれども、ここの臨床像を集めるということになります。実質、岡部先生のところを受診してくださった患者さんの数と我々の数は、直接比較というのはあまり意味がないのですけれども、参考にはしていかなければいけないところかなと思っているところでございます。
 厚生労働省の事業で、HPVのワクチンの予防接種に関する相談支援の強化の事業と連携しながら行っているというような状態にあります。
 5枚目のスライドでは、地域のブロック拠点病院が、協力医療機関はもちろんなのですが、様々な自治体や関係団体、医師会等、地域の医療機関と連携しながら、ハブとして機能していくという形の事業を展開しているということになってまいります。
 次のスライド、6枚目をお願いします。
 結果でございますけれども、どんな症状がありましたかということでございます。
 令和5年4月から令和6年3月まで、我々ブロック拠点を受診した患者さんが44名になります。この間、その患者さんがどういう症状があったかということになりますけれども、接種時に症状があった、最初の段階から症状があったという人が26人おられたということでございます。
 受診のきっかけとなる症状というのは、1か月以内に出現していた人が37人と多くを占めていたということになります。ただ、しばらくたってから受診されるという患者さんもこのワクチンに関しては拾っていこうということで、HPVワクチン接種後に症状が出た場合には、うちはデータとしては拾っていくというような形にさせていただいているところでございます。
 それが下のほうになってまいりますが、接種回数でありますとか、接種時に出てきた症状、接種時に症状がなくても、その後に症状が出てきたら、それをきっかけに受診していただくという形になっております。こんなケースでもいいという形にしております。
 何らかの症状が接種時にあったという人が多いのですけれども、痛みでありますとか急性ストレス反応、血管迷走神経反射といった病態が含まれてくるということになります。痛みが多いというのは特徴的なところかもしれません。
 接種から受診のきっかけとなる症状までは、このような人数の差がございます。
 次のページをお願いいたします。
 最も頻度が高い自覚症状は、疼痛及び感覚障害ということになってまいります。これはとても重要な点になりますけれども、他覚症状でありますとか検査時の異常、例えば可動域制限があるとか、筋力が低下しているとか、紅斑が見られたとか、そのような症状で、外から見て判定できるような所見が得られたり、検査で何らかの異常がある。軽微なものであってもいいのですけれども、検査異常があったというようなものを含めて17人おられたということになります。
 実際の治療の経過なのですが、先生方もよく御存じだと思うのですけれども、こういう患者さんたちの治療に関していいますと、これという決まったやり方があるわけではございません。我々は慢性痛の治療を中心としておりますけれども、そういう場合には一人一人に対応していくというのが通常のやり方ということになってまいります。ですので、いろいろなタイプの治療を行ってきました。
 特に薬も少なからず使うわけでございますけれども、CBT的なアプローチでありますとか運動療法、痛い患者は特に体を動かさなくなってしまいますので、これを運動療法するということになってまいります。
 症状に関しては、自覚症状として、先ほども言いましたように疼痛、感覚ですが、これは過敏性を獲得してしまう患者さんが時々おられますので、そういう患者さんが25人おられたということでございます。
 運動障害であるとか自律神経、認知機能障害、認知機能障害というのが先ほどもお話がちょっと出たと思うのですけれども、平成25年あたりのときには非常に大きな社会問題になったことを覚えておられるのではないかと思います。今のところ認知機能障害の数はそれほど多くはありません。このデータでは1人ということになっています。
 ほかにどういう病態があったかということでありますが、ADEMとかMSというような状態の診断がついた人もいますし、自律神経の症状として起立性低血圧とか、不安神経症、今は不安症と言いますが、不安症という状態になる。もしくは腱板炎をしているというようなケース、こういう状態もありました。
 お薬としては、自己免疫系の病気のときにはステロイドを使ったりとかいうことはもちろんされているのですが、それを除きまして一般的なところでいいますと、ガバペンチンでありますとか、NSAIDsであるとか、一般的には鎮痛薬、鎮痛補助薬を使う、もしくは漢方薬などを使うというような感じの治療が主体となってまいります。
 それ以外の治療として、先ほど言いましたCBTであるとか運動療法も行ってきたところでございます。
 次のページをお願いします。
 3か月以上フォローしてきた患者さんの中で、実際に症状が持続している人が8名ぐらいおられます。3か月というのは、慢性痛というような病態を診断するときに3か月ぐらいで切りますので、それで3か月となっておりますけれども、3か月で症状が消えている患者さんが14人、相当数おられると言っていいだろうと思います。ですので、不変であるとか不明の患者さんに比べて、消失している、改善している患者さんのほうが多いということはいえるだろうと思います。
 不変であった4名の患者さんは、眼振が残存しているとか、頭痛が残存しているとか、視力の障害がありましたとか、頭痛、目まい等々です。ただ、全員を追いかけられているわけではないので、どれぐらい残っているかということははっきりしないところもあります。
 一番最後のものが少し強めですけれども、痛みがあったり、倦怠感があったり、歩行困難であったりするような患者さんがおられましたけれども、この方も経過を追って軽快してきていると伺っているところでございます。
 ただ、どういう患者さんがどういう経過をたどっていったかということは、今後また調べていく予定にしております。
 次のページをお願いします。
 まとめでございます。
 患者さんは多くの場合、1か月以内なのですが、HPVの場合はそれを問いませんので、接種後1か月以降でも受診される患者さんはおられるということになってまいります。
 26人、60%ぐらいの患者さんが接種時に何かの症状がありましたけれども、それがないというような患者さんも36.4%ほどおられるということになります。
 他覚所見とか検査所見とか、もちろん軽微なものではあるのですけれども、異常があるというような患者さんがおられたということで、ただ、自覚症状は他覚所見とか検査の所見と一致するものではないことも多いわけでございまして、それぞれ医療機関において患者さんに応じて適切な診療を行ってきたということがいえるのではないかなと思っております。
 観察期間については、ばらつきはもちろんございますけれども、今回の範囲では35人、79.5%の患者さんが、3か月で症状の消失、改善というような状態になっております。
 併存状態として、鬱とか心理社会的なリスクも一定の患者さんは持っておられる。ただ、これはきっと特別なことではないのだろうと。ほかのワクチンの接種後の問題でもこういうことは実際問題としては起こっているだろうと考えていいのではないかと思っております。
 今後、さらに症例を集めてまいります。
 特に今日のお話は去年の期間の話になりますけれども、去年、キャッチアップが増えてきて、それ以降のデータをこれから集めていきますので、実際には先ほどの竹原先生の話にもありましたけれども、相当人数が増えていますので、もちろん受診患者さんも増えています。ですので、その辺をしっかりとチェックしていくということが第1点。それから、それを基にマニュアルをしっかりとブラッシュアップしていきましょうと。患者さんが困らない体制をつくっていきたいというのが我々の研究の目的ということになっております。
 最後のページは参考になりますので、以上になります。
 御清聴ありがとうございました。
○森尾座長 西原先生、どうもありがとうございます。
 いかがでしょうか。貴重な機会ですので、御質問、御意見等ありましたら承りたいと思います。手挙げでお願いできますでしょうか。
 藤井委員、お願いいたします。
○藤井委員 国際医療福祉大学の藤井と申します。
 大変興味深いデータをありがとうございました。非常に分かりやすかったと思います。
 2つ質問ですけれども、全体で44名の副反応の方を検討されていますが、先ほどの施設の中で何人打った中での44名になりますでしょうか。聞き逃したかもしれませんが。
○西原参考人 12大学がブロック拠点病院に指定されておりますので、その12大学を受診した患者さん44名ということになります。
○藤井委員 接種のトータルの母数は44ということですか。受診した人なのですね。
○西原参考人 そうです。患者さんだけです。
○藤井委員 分かりました。
 それから、接種したときに既に症状があった方がかなり多かったと思うのですけれども、その方たちはもちろん接種とは関係のない症状だったという理解でいいのですか。
○西原参考人 もちろん接種時の痛みが強かったとか、そういうことになります。ですから、これは一般的な接種時の反応というものが一つ。もう一つは、例えば動悸であるとか過呼吸がありましたというような症状ということになってまいります。
○藤井委員 接種直後という意味ですね。
○西原参考人 そのとおりです。
○藤井委員 分かりました。ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。岡委員、お願いします。
○岡委員 岡でございます。
 本当に貴重な御報告ありがとうございました。
 こうした体制をつくってきて、どういったような診療が行われているかということを非常に分かりやすく御説明いただけたかなと思っております。
 私のほうは2点質問させていただこうと思うのですけれども、協力医療機関との連携も十分に取っていただいているという御説明だったと思うのですけれども、恐らく協力医療機関、あるいは地域の医療機関もあるのかもしれませんが、結構重たいような方は拠点病院のほうに恐らく御紹介いただけているという理解でよろしいのかどうかということが1点目。
 2点目は、先ほどプロトコールというかマニュアルのようなことに言及されたのですけれども、随分前にたしか一回つくったものがありますが、今度新たに慢性痛の御専門の先生方が集まって、そうしたものをつくっていただけるという理解でよろしいでしょうか。
○西原参考人 御質問ありがとうございます。
 1点目になりますけれども、恐らく私たちの協力医療機関の中で実施した患者さんで、診療を普通にしていて、なかなかこれは難しいというような方々が流れて、紹介してくださって、我々が診ていると基本は考えております。ただ、直接我々のところに来られたりすることもあると思いますので、協力医療機関で診ている患者さん像と我々が診ている患者さん像は、大体同じような患者さんを診ているかということに関しては、調査の範囲を超えてしまいますので、本当のところは分からないというのが1点目になります。
 2つ目のマニュアルでございますけれども、そのとおりでございます。ただし、以前つくらせていただいたマニュアルも、質としては決して悪いものではございません。ただ、そのときにはWHOのいわゆるワクチン接種後の反応を取り入れたという形にはなっていなかったので、WHOの考え方を今回は入れるのと、今回の症例のまとめを入れて、どういう対応をしていくのが望ましいかというのをマニュアルに載せていきたいと考えております。
 以上です。
○岡委員 ありがとうございました。
 とにかく非常に改善している方が圧倒的に多いということで、専門の先生方のお力かなと思って拝見しました。ありがとうございました。
○森尾座長 それでは、宮入委員、お願いいたします。
○宮入委員 大変貴重な調査ありがとうございます。
 今回、最初の症状は疼痛が多くて、その後、様々な症状という話だったと思うのですが、時間的な経緯というところで、痛みが消えてからそういう症状が出てくるのかとか、そういう経過に関する典型例がどういうものかということを教えていただきたいのが一つと、あとは積極的勧奨差し控え前に出ていた患者さんとの相違点というところ、もし分かれば教えてください。お願いします。
○西原参考人 ありがとうございます。
 非常に重要な点を御指摘いただきまして、ありがとうございます。
 経過についてでございますけれども、本当に様々であると言っていいだろうと思います。最初に、この接種は結構痛いワクチンでございますので、非常に強い痛みで、少し痛みにおびえるような被接種者の方は症状が出やすいという傾向はあるかもしれませんが、これははっきりいたしません。
 ただ、最初から痛みがあって、その後の症状につながってくるケースもあれば、打ったときには何もなかったのだけれども、その後に症状が出てきました。例えば先ほどの肩が動きにくい、手足が動きにくいというような症状を訴えられるような患者さんとかもおられたり、1人だけでしたけれども認識機能障害というようなケースもあったというようなことになりますので、本当にまちまちであると考えていいのではないかなと思います。
 2つ目、積極的な勧奨が始まる前に、接種数が少ないときにはほとんど報告されていなかったです。平成25年あたりの非常に問題になったときの受診してくださっていた患者さんの症状としては、先ほどもお話ししたように認知機能障害とか、中枢神経の障害であるとか、運動障害やけいれんを起こしたりとかいうようなケースが多かったように思います。
 それに比べると、いわゆる症状として激しいといいますか、強い症状という患者さんは決しておられないわけではないのですけれども、少ないのではないかなというのが全体的な印象でございます。
○宮入委員 ありがとうございました。
○森尾座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 西原先生、ありがとうございます。ぜひ調査、診療の継続と、またマニュアルのブラッシュアップをよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございます。
 参考人の皆様、どうもありがとうございました。以降は、先生方に御意見や御質問をさせていただくことはございませんので、適宜、必要に応じて御退室いただければと思います。どうもありがとうございました。
 あと2つほど議題がございます。
 次に、議題4「新たに定期接種に位置づけられるワクチンに係る副反応疑い報告基準について」、審議させていただければと思います。
 事務局より資料4の説明をお願いいたします。
○事務局 資料4では、新規に接種が開始される帯状疱疹ワクチンに係る副反応疑い報告基準について御説明させていただければと思います。
 スライド4のとおり、帯状疱疹ワクチンは、予防接種基本方針部会でファクトシートやこれまでの御議論を踏まえ、定期接種に位置づける方針とされました。
 また、スライド5のとおり、定期接種の対象年齢は65歳とし、リスクの高い免疫不全者について、60~64歳を対象とする方針とされています。
 スライド6のとおり、定期接種に用いるワクチンとしては、生ワクチン及び組換えワクチンの両方を位置づける方針となりました。
 また、安全性については、スライド9、10のとおり、組換えワクチンと生ワクチンの安全性について、それぞれ国内臨床試験において確認をされています。
 スライド12~スライド16には、現行の副反応疑い報告制度と副反応疑い報告基準、また、これまで本部会で御議論いただいた副反応疑い報告基準の設定の考え方をお示ししております。
 以上を踏まえ、帯状疱疹ワクチンの副反応疑い報告基準の設定について御議論いただければと思います。
 まず、スライド17に定期接種に用いられる2つのワクチンについてお示しをしております。
 添付文書上に「重大な副反応」として記載されている症状は、組換えワクチンはショック、アナフィラキシー、生ワクチンはアナフィラキシー、血小板減少性紫斑病、無菌性髄膜炎となっています。
 薬事承認上の対象年齢である50歳以上の副反応疑い報告の状況ですが、組換えワクチンにおける血小板減少性紫斑病と無菌性髄膜炎の報告はいずれも0例です。生ワクチンについては、平成28年に帯状疱疹予防の効能が追加されて以降、血小板減少性紫斑病と無菌性髄膜炎の報告数はそれぞれ0例、2例となっております。
 そのほかの安全性プロファイルについてです。組換えワクチンはリスク管理計画において重要な潜在的なリスクとして「免疫の関与が疑われる疾患」が設定されていますが、大規模臨床試験において組換えワクチンとの合理的な関連性が示されておらず、2022年10月12日時点で入手可能な市販後のデータから、安全性における新たな懸念が認められなかったとされています。
 また、生ワクチンについては現在小児の水痘に対する定期接種として用いられており、副反応疑い報告基準に無菌性髄膜炎、括弧書きとして帯状疱疹を伴うものに限るというものが設定されています。こちらは添付文書の「重大な副反応」の項に無菌性髄膜炎が追加されたことを踏まえて設定されたものです。
 設定の経緯についてお示しします。
 水痘生ワクチンの副反応疑い報告において、接種後数年以上経過してから発症した無菌性髄膜炎が報告されたことから、期間について上限を設けずに「予防接種との関連性が高いと医師が認める期間」とされました。
 また、おおむね全ての症例で帯状疱疹を併発しており、水痘ワクチン接種後に水痘・帯状疱疹ウイルスの野生株による帯状疱疹を併発した無菌性髄膜炎の症例は多くはないと考えられたことから、帯状疱疹を伴う無菌性髄膜炎の報告を求めることとされました。
 以上を踏まえまして、スライド18に帯状疱疹ワクチンの副反応疑い報告基準の設定について論点をお示ししております。
 まず、これまで報告基準は、ワクチンごとではなく予防接種の対象疾病ごとに設定されていることや広く情報を収集するという観点から、帯状疱疹を対象疾病とし、両ワクチンを対象とする報告基準とすることでよいか。
 定期接種として使用されるワクチンの添付文書は、小児の水痘ワクチンの報告基準を設定した当時の検討状況、副反応疑い報告の状況等に照らし、記載のとおりの副反応疑い報告基準を適用することでよいか。
 さらに使用するワクチンに重複があり報告対象とする症状及び期間が同一であることから、現行の「水痘」の項に「帯状疱疹」を追記することでよいかという論点を挙げさせていただいております。
 下にある表が事務局案でございます。こちらについて御審議をお願いいたします。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 帯状疱疹に係るワクチンの副反応疑い報告基準の設定についてということで、資料の18ページ目に論点をまとめさせていただいております。こちらにつきまして委員の皆様から御質問やコメントがございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。
 宮入委員、お願いいたします。
○宮入委員 ありがとうございます。
 特に異論はないのですが、集計自体の方法だけ確認させてください。小児の定期接種、あとは帯状疱疹用に接種した場合は、それぞれワクチンごとに副反応の報告が集計されるのか、その点だけ教えてください。
○森尾座長 事務局いかがでしょうか。
○事務局 事務局でございます。ありがとうございます。
 こちらについては、ワクチンごとの集計を予定しております。
○宮入委員 ありがとうございます。そうすると、小児と高齢者は一緒に集計されるということでしょうか。未罹患の患者さんに対する生のワクチンと、あとは帯状疱疹を目的に既往のあるような方に対して接種する場合と、少し状況が違うかなと思いましたが、いかがでしょうか。
○事務局 医薬局でございます。
 分けて集計できればと考えておりますが、現状の集計方法では、小児と高齢者の症例を判断できるのは、ラインリストでのみになりますので、どのようにお見せするのかというところは検討させていただきたいと思っております。
○宮入委員 ありがとうございます。
○森尾座長 齋藤委員、お願いいたします。
○齋藤委員 ありがとうございます。齋藤と申します。
 シングリックスに関しては、これまで任意で日本でもそこそこの数の方が打たれていたかと思いますが、その中で、任意接種の段階で上がってきたメーカーなり委員からの報告の副反応と思われる症状は、ここでカバーしていらっしゃるということでよろしいでしょうか。
○森尾座長 事務局いかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
 1ページ前に戻りまして、17ページに記載をしておりますけれども、今回、報告基準に記載する副反応といたしましては、基本的にワクチンの添付文書の「重大な副反応」として記載されているものをベースにしております。
 実際の報告状況につきましては、2つ目の●のところで書いてございますけれども、シングリックスにつきましては、血小板減少性紫斑病、無菌性髄膜炎の副反応についてはいずれも0例でございます。
 そういったところも踏まえまして、今回、御提案といたしましては、現在の水痘の基準と合わせて使うという形での御提案とさせていただいております。
○齋藤委員 ありがとうございます。添付文書にあるのは大体治験のときのお話で、そうすると例数が数百例とかなり限られるもので、国内で内科でそこそここれまでも打たれていたのかなと思ったので、何かそれに関する情報なんかもあるのかなと思いましたもので聞いた次第です。
 以上です。
○事務局 ありがとうございます。
○森尾座長 追加で加えるべきものはないということですね。
 事務局からほかにありますか。よろしいですか。
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 今お示しいただいております副反応疑い報告基準について、何か追加で御意見ございますか。
 舟越委員、どうぞお願いします。
○舟越委員 舟越です。
 18ページ目の基準については、特段異論はございません。
 ただ、今回、定期予防接種化するときに、免疫不全の患者さんたちを60~64歳のところに入れるということで、この副反応疑い報告基準の項目に出方というのは違いがあるのでしょうか。そこだけ興味がありまして質問です。
○森尾座長 事務局いかがでしょうか。何かデータや情報をお持ちでしょうか。
○事務局 先生、御意見ありがとうございます。
 手元に免疫不全に特化した情報は持ち合わせていないところでございますが、報告基準の一番下のところに書いてございますような、「その他、医師が予防接種との関連性が高いと認める症状であって……」というところで、医師が必要と認めたものについては報告していただけるような基準を設けておりますので、そういったところも含めて引き続き情報収集してまいりたいと考えております。
○舟越委員 ありがとうございました。
 ほかの委員からもからありましたように、小児だったり、あと今回、50歳以上の疫学的なことではなくて、75歳のピークのところというところで議論になったと思うので、今後、副反応の検討、評価をしていくときに、そこら辺の層別化というか分かりやすい形で、こちらのほうもラインリストを見られるようになっていたらいいなと思ってコメントさせていただきました。
 以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。データの収集は非常に重要かなと思います。ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。基準につきまして、よろしいですか。
 それでは、帯状疱疹ワクチンの副反応疑い報告基準、御審議いただきましたが、こちらにつきましては事務局案どおりとさせていただくことでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○森尾座長 どうもありがとうございます。では、そのようにさせていただけたらと思います。
 それでは、本日最後の議題でございますが、議題5「その他」に入りたいと思います。事務局から、これまでの議題以外に何か報告等ございましたらお願いいたします。
 事務局、お願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。
 参考資料19及び20をご覧ください。予防接種後健康状況調査の報告書について御報告を申し上げます。
 参考資料20をご覧いただきながら御説明したいと思います。
 参考資料20の令和5年度の予防接種後健康状況調査、数ページおめくりいただきまして、下段のページ番号1が振られているページ、「調査の概要」をご覧ください。
 本調査は、国民の皆様が正しい理解の下に予防接種を受けることができるよう予防接種に関する正しい知識の啓発普及の一環として、最新の予防接種後の健康状況に関する情報を広く国民の皆様に提供すること等を目的として、保護者の皆様に御協力をいただいて、予防接種後に生じた健康状況の変化の有無及び具体的な症状について調査して、定期的に当審議会で先生方に御報告をしてきたものでございます。
 本調査、令和3年度までははがきを使用しての調査をしてまいりましたけれども、昨今のデジタル化の流れも踏まえまして、今回の令和4年度及び5年度の報告分からは、オンラインでの報告を運用開始しているものでございます。
 調査結果の詳細につきましては、長大でもございまして割愛させていただきますが、例えば6ページ目等をご覧いただきますと、令和3年度と比しまして、今回の令和4年度及び5年度の調査実績数が低下傾向にございます。このため、本調査に御協力いただく保護者や医療機関の先生方の御負担を踏まえつつも、実績数をどのように確保していくのか。また、今般、新たなワクチンが定期接種の対象となってくる流れがあることも踏まえまして、今後の本調査の在り方や工夫について事務局のほうでも検討させていただき、また、先生方の御意見も伺いながら、よりよい調査としてまいりたいと考えておりますので、引き続き、よろしくお願い申し上げます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 今、報告がありました予防接種後健康状況調査最終報告書につきまして、委員の皆様から御質問、御意見がありましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。
 多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 ありがとうございます。
 この調査は、もともと頻度が比較的高い症状を知るために始まったもので、この調査があるので、予防接種後副反応疑い報告は比較的まれな厳選された症状が選ばれているという経緯があったと思います。
 この結果は、予防接種リサーチセンターが発行している「予防接種ガイドライン」や、全てのお子さんに配られる「予防接種と子どもの健康」に、毎年度、このワクチンだったらこれぐらいの割合でこういう症状が出るという記載に使われてきたとても大事な調査ではないかなと思っております。
 最近、報告がウェブになってから少なくなっているということであったのですけれども、現場の先生方のお声を聞きますと、はがきでやっていたときのほうが、やり方としては実施しやすかったというような意見も聞いています。一方、電子化というのはこれからは避けられないことだと思いますので、ぜひ実際にこの調査をやってくださっている医療機関の先生方のところにシステムをつくる方に例えば行っていただくとかして、直接その先生方の意見を聴いて反映していただくことで、より多くの方の調査ができるのではないかなと思いましたので、御検討いただければと思います。
 それから、今回の報告書を拝見していまして、n数が1桁というようなグラフもあって、これだけのグラフ、図表を作るのは大変だったと思うのですけれども、この調査が始まって途中で同時接種が結構多くなりました。最初は今のように4つ、5つ同時接種することは少なかったので、2つだけとか、3つだけとか、あまりにも様々なパターンがあったのですけれども、今は接種のパターンも決まってきていますので、もう一回元の方法に戻して、このワクチンの何回目はこういう症状がこれぐらい出ていたと図表の数を減らして、ただ、その後ろには同時接種の人もいらっしゃいますし、近接接種の人もいらっしゃいますので、今回初めて近接接種の状況を示してくださった表があって、とても役に立ったと思うので、どういう接種をしているかという表は残しつつ、接種後の何日目にこういう症状が出ていましたというのは、ワクチン単独で何回目の接種というだけの簡易な方法に戻すというのも一案かなと思って今回の調査を拝見いたしました。
 詳しい症状、詳しい調査をしていただきまして、本当に集計は大変だったと思います。ありがとうございます。でも、ぜひよい方向に発展させていっていただきたいなと思いました。
 長くなりました。以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 先生、貴重な御意見ありがとうございます。
 まさに我々も臨床現場の先生方の御負担をいかに軽減しつつ、一方で、貴重な情報をいただくかということについて検討してまいりたいと思っております。
 また、今後のデータの示し方についても、利活用の観点から具体的な御提案をいただきましてありがとうございます。先生の御意見も踏まえまして、改めて事務局のほうで検討させていただきたいと思います。
 ありがとうございます。
○森尾座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 どうもありがとうございます。
 それでは、議題が終わりました。
 実は副反応検討部会の委員を務めていただきました多屋委員、長谷川委員、藤井委員、そして医薬品等安全対策部会安全対策調査会の委員をお務めいただきました佐藤薫委員が御退任ということでございます。長い間本当にこの部会に御貢献いただきまして、本会からもお礼を申し上げます。
 一言ずつお言葉を頂戴できればと思いますが、まず多屋委員からお願いしてよろしいでしょうか。
○多屋委員 多屋です。
 2013年の5月に始まったこの副反応検討部会、今年で11年、もう12年目を迎えようとしています。多くの経験をさせていただきまして、様々なことを学ばせていただけたなと思って、ありがたく思っております。
 今日は105回目ということで、これまでの状況を拝見しましたところ、始まってすぐ、第2回目のときにHPVワクチンの積極的勧奨の差し控えというのがあり、その後、新型コロナワクチンが始まった2021年は、何と1年間に23回の副反応検討部会が開催されて、国民の方に多くの情報を届けて、ここに至れたのかなと思います。
 先生方の御意見もとても勉強になりましたし、事務局の皆様、本当にありがとうございました。またこれからも何かでお世話になることがあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。(拍手)
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、長谷川委員、お願いできますでしょうか。
○長谷川委員 ありがとうございます。国立感染症研究所の長谷川と申します。
 私は、2015年(平成27年)の9月の第15回から、約10年間にわたって参加させていただきました。その間、多屋先生もおっしゃったように、コロナのワクチンの接種が始まって、今までにない数の委員会と、あと副反応報告などを経験しまして、私自身、インフルエンザのワクチンを開発してきている身でありまして、副反応の重要性というものを非常に勉強させてきました。
 あと、いかに正確な真の副反応というものを考えるというのは本当に難しいなというのをパピローマ、あとはコロナのワクチンを通じて感じているところであります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○森尾座長 ありがとうございました。
 続いて、藤井委員、お願いできますでしょうか。
○藤井委員 国際医療福祉大学の藤井でございます。いつも大変お世話になっております。
 私は3年ぐらい、こちらのワクチンの副反応部会のほうにお世話になりました。小児神経学が専門で、神経症状や後遺障害となるものの動向に対して非常に興味を持って拝見しました。
 2点感じたことがあって、1点は、非常に綿密で、かつ詳細な検討がなされているということを実感いたしました。特に事務局が作られる資料の膨大さと、それからその精密さに本当に感銘を受けて、よくこういうまとめをきちんとされているなと思いました。結構夜まで残業されていたのだと思うのですけれども、ちゃんと残業代はついているのかなという心配もちょっといたしました。本当にありがとうございます。
 もう一点は、やはりコロナの時代にあって、ワクチンに反対される方々もかなり多くて、非常に多くのお手紙を直接頂きました。恐らく多くの委員が受け取っていらっしゃると思うのですけれども、それほど時代の先端にあって、特にワクチンというもので、疾病の予防につながることの確実さといいますか、副反応に対する注意だとかそうしたものの思いを持っている人は非常に多いということを実感いたしました。
 その意味では、この会というものは非常に重要で、かつ皆さんから非常に有意義な議論をいただいて、自分自身のためにもなったかなとも考えております。
 後任、新しい人になると思いますけれども、どうか積極的にまた議論していただいて、正しいワクチン行政につなげていただければと思います。
 本日はありがとうございました。(拍手)
○森尾座長 ありがとうございました。
 それでは、佐藤薫委員、お願いできますでしょうか。
○佐藤委員 長い間大変お世話になり、ありがとうございました。
 ふだん私は基礎研究のほうがメインなのですけれども、臨床の先生方と本当に日本の安全を守るとでも言いましょうか、そういったところでデータをどういうふうに見ていくか、正確さをどうやって追求するかは本当に難しいなと思いながら、勉強させていただきました。
 部会のほうにはまだ残ることになっておりますので、引き続き御指導のほど、よろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○森尾座長 多屋委員、長谷川委員、藤井委員、佐藤薫委員、改めまして、今までの多大なる御貢献、そしてお言葉をいただきまして、どうもありがとうございました。
 本日の議題は以上となります。
 そのほか全体を通じて御質問、御意見がありましたら承りたいと思いますが、よろしいですか。
 それでは、最後に事務局より次回の開催等についてお願いをいたします。
○事務局 副反応検討部会の事務局より申し上げます。
 長年にわたり多屋先生、長谷川先生、藤井先生におかれましては、御貢献いただきまして、誠にありがとうございます。引き続き、安全なワクチンの実施に向けて、我々も尽力してまいりたいと思います。どうもありがとうございました。
 簡潔ではございますが、御礼と代えさせていただきます。
○事務局 安全対策調査会の事務局として申し上げます。
 長年にわたりまして佐藤薫先生におかれましては、御貢献をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、長時間にわたりまして、先生方、活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。
 次回の開催につきましては、日程調整の上、日時について御連絡をさしあげます。
 以上でございます。
○森尾座長 それでは、本日の会議はこれで終了いたします。
 活発な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。
 閉会といたします。