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2025年2月10日 第2回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ 議事録
政策統括官付参事官付統計企画調整室
日時
令和7年2月10日(月) 13:00~13:24
場所
厚生労働省仮設第1会議室
出席者
- 構成員(五十音順、敬称略、◎:主査)
-
- 風神 佐知子
- ◎加藤 久和
- 高橋 陽子
- 樋田 勉
- 元山 斉
- 構成員以外の関係者
-
- 川辺 健一郎(東京都総務局統計部人口統計課長)
- 事務局
-
- 森川政策統括官
- 河野政策立案総括審議官
- 古瀬企画調整担当参事官
- 飯島統計企画調整室長
- 長山審査解析室長
- 角井雇用・賃金福祉統計室長
- 細野雇用・賃金福祉統計室長補佐
- 境谷雇用・賃金福祉統計室長補佐
議題
- 1 母集団労働者数の推計における雇用保険データの適用率について
- 2 その他
議事
- 議事内容
〇飯島統計企画調整室長
定刻になりましたので、ただいまから第2回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループを開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の委員の出席状況ですが、全ての委員が御出席でございます。また、本日は審議協力者として東京都総務局統計部人口統計課の川辺課長に御出席いただいております。
それでは、以後の進行につきましては、加藤主査にお願いいたします。
〇加藤主査
皆様、こんにちは。本日は、お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。本ワーキンググループの主査の加藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事を進めてまいります。本日の議題ですが、「1.母集団労働者数の推計における雇用保険データの適用率について」「2.その他」となっております。本日のワーキンググループは、15時までを予定しておりますが、予定時間を若干過ぎる可能性もあるかと思います。そのような場合、御予定がある方は御退席いただいても結構です。
まず、1つ目の議題の「母集団労働者数の推計における雇用保険データの適用率について」ですが、こちらは前回のワーキンググループでの御議論を踏まえ、事務局で労働力調査及び事業所母集団データベースの検証結果を取りまとめた資料を準備していただきました。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
〇角井雇用・賃金福祉統計室長
事務局でございます。私から、資料について説明したいと思います。右肩に、「資料」と書かれたものがありますが、こちらの資料を基に説明いたします。
その前に、前回の第1回のワーキンググループの資料の一部に訂正がありましたので、御説明いたします。参考資料1の最後に、正誤表を付けております。右側が間違っている「誤」で、左側は「正」ということになるのですが、労働力調査や事業所母集団データベースなどのデータの中に、「乖離率の二乗平均の平方根」というものがあったと思います。こちらについての数字が一部間違っていましたので、左側の「正」のほうの数字に直しております。今回の資料につきましては、この「正」の数字を基に資料を作成しております。
資料にお戻りください。1ページです。今、座長から言われたように、第1回ワーキンググループにおいて皆様から頂いた御意見を列挙いたしました。
最初は、Kの設定の基となるデータについてです。労働力調査については、2つあります。1つ目が、最新のデータが把握できるとともに、基準値との乖離が最も小さくなっていること。事業所母集団データベースと動きの傾向は似ているので、サンプル調査であっても代表性は担保できているのではないかという御意見がありました。2つ目が、そもそも労働力調査は世帯調査であること、標本調査であり標本の入れ替えの度に見直しを行う必要があること、公表数値が万人単位であること等を、どのように考えるかということです。また、80区分を見たトータルの誤差を見ると、ほかのデータに比べて大きく有利な点というのはなかったという御意見を頂きました。
2つ目の丸のデータベースにつきましては、経済センサスをベースにしているところで、経済センサスに概念が最も近く一番妥当ではないか。ただ、どうしても遅れて公表していることから、最新のデータが得られる労働力調査との違いについて、どの程度の影響があるのかというところで、今回、試算結果1で試算しております。
3つ目の丸ですが、労働力調査と事業所母集団データベースは、それぞれ設定したものを平均してKを算出する方法、ハイブリッド的なものではどうなるかという御意見がありました。こちらについては、これを試算結果2として試算しております。ただ、手間が掛かるというところで留意が必要かなと考えております。
4つ目の丸は、雇用保険データを用いることについて、そもそも毎月、この雇用保険データを使って補正しているということで、二重の補正が掛かるのではないかというところでデメリットがあるということと、法改正の影響を受けやすいところもあります。
労災保険データについては、サービス業が一つの産業になっていたり、規模別に把握できないデメリットがありました。これは個票を使っても同様に、産業が日本標準産業分類に準拠していないというところがありますから、いずれにしても精緻な計算はできないのかなというところです。
次は、検証における間隔の設定などについてです。間隔につきましては、最初の丸にありますとおり、労働力調査と事業所母集団データベースにつきまして、乖離率の二乗平均の平方根の計算については、産業・規模別のウエイトを加味したもので計算したらどうかということです。もう一点は、二乗平均ではなくて絶対値として計算してはどうかということで、これは試算結果3で試算しております。
次の丸はKについてです。Kは、2016年6月から使用するK1から2021年1月から使用するK6までの推移を、それぞれどの程度の変動があるのかということで、各データを産業・規模別で確認しています。これが試算結果4で試算しました。
最後の丸です。Kは細かく設定したほうが良いということですが、その分、ぶれやすくなるということで、ある年の間隔1年と、その前の年の間隔の後方移動平均として計算してはどうかということで、これは試算結果5と試算結果6で試算しております。そのほか、Kの設定については、以下の3つがありました。ということで、今回、御意見を頂きました試算を1から6までやってみました。
2ページです。まず、試算結果1です。データの公表の遅れについて、どの程度の影響があるのかを、今回ここで計算したものです。下の表を見てください。左側は産業・規模別に見た乖離率になっています。左側が事業所母集団データベースで、右側が労働力調査になっております。前回の第1回ワーキンググループで試算したものについては、比較可能として全てのデータを2年遅れで算出しておりました。ただ、実際は労働力調査が、1年遅れで少し早めにデータが出ますので、その影響を見たものです。同時に、事業所母集団データベースも一応、参考で出しております。「2年遅れ」にあるのは、前回、試算結果1で出した結果です。
事業所母集団データベースの2.22%に対して、1年遅れで早めに出したものは2.14%になっています。労働力調査については、年次データで「2年遅れ」にあるのは、前回お示ししたものです。1年遅れで早めに出したものでも、2年遅れの1.03%に比べて少し悪くなっていました。更に労働力調査は、月次で出ていますので、最も早く、新しいデータについて、これは1月分になるのですが、「遅れなし」としております。こちらで出したもので見ると、トータルで2.83%になっており、この結果、早ければ良いということでもないという結果になりました。月次データは少し粗くなるにしても、最新にすれば良いという結果ではなかったかなと思います。
右側は、乖離率の平均になっています。こちらも、それぞれ2年遅れと1年遅れ、月次データを掲載しております。黄色で塗ってあるものは、この中で一番良いもの、いわゆる乖離が小さいものですが、労働力調査の年次データの1年遅れのものが比較的良かったというものでした。これが試算結果1です。
3ページが試算結果2です。事業所母集団データベースのものと労働力調査のものとの平均値でKを設定した場合です。ハイブリッド的なものです。左側を見ていただくと分かるとおり、事業所母集団データベース、労働力調査、事業所母集団データベース+労働力調査とありますが、労働力調査が比較的良かったという結果になっています。ただ、右側の乖離率の平均を見ると、これは平均したものが比較的良かったとなっています。とはいえ、そんなに大きな違いは見られなかったかと思います。
4ページです。こちらは、乖離率の二乗平均の平方根で、それぞれの産業・規模別のウエイトを取って加重平均したものです。上段が単純平均で、下段が乖離率の二乗を加重平均して平方根をとったものです。上段は、比較的試算5が小さいのですが、下段の加重平均したものは、試算2や試算1が良かったという結果になっています。ただ、数字的にはそんなに大きな違いはなかったかなと思います。
5ページです。こちらは乖離率の絶対値を単純平均にしているものです。上段が単純平均、下段は加重平均にしています。単純平均にすると、試算5が比較的数字が小さくなっていました。
6ページからは試算結果4で、それぞれのK1からK6の推移を産業・規模別に見たものです。6ページ目は、そのうちの8産業です。その1つの囲みの中の、例えば左上の「C鉱業」ですが、上が事業所母集団データベース、下が労働力調査の結果です。これを見て分かるとおり、推移にどういう傾向があるのかというのはなかなか難しい動きになっており、0と1を往復するというジグザグした動きが、どの産業、どの規模を見ても大体似たような動きになっています。
7ページ目が、残りの8産業です。こちらも、どの産業・規模別で傾向を見つけるのが難しいという感じになっております。
8ページの試算結果5については、間隔1年と、その前年の1年の結果を2年後方移動平均したものです。少しマイルドな動きになるのではということでやったものですが、何らかの傾向が見られるような動きにはなっていません。
10ページが試算結果6で、事業所母集団データベースと労働力調査それぞれ2年後方移動平均したものです。事業所母集団データベースと労働力調査のそれぞれでやっております。試算結果1は前回やったもので、2年後方移動平均したものが右隣の列にありますが、見てのとおり、労働力調査のほうは、計は0.42%でこの中では一番良い結果になっています。右側は、乖離率の平均です。こちらもほとんど差はないのですが、2年後方移動平均の労働力調査が、この中では良くなっているという結果になっていました。
11ページは、これらの試算を踏まえての試算結果と今後の考え方をまとめたものです。試算結果については、ただいま御説明しましたとおりです。
その下が今後の考え方です。今回、労働力調査と事業所母集団データベースを中心に行いましたが、1つ目のポツにあるとおり、労働力調査につきましては、これまでいろいろ試算したものの中で比較的乖離が小さくなっているということが言えるかと思います。ただ、当初メリットとされていた最新のデータを使えるということについては、試算結果1にあったとおり、それほど乖離率は小さくならなかったということでした。2つ目のポツですが、事業所母集団データベースについては、ベンチマーク更新で用いている経済センサスに概念が近いこともありますので、そういう意味では事業所母集団データベースが良いのではないかと考えています。
最後にあります間隔については、実は第1回ワーキンググループにおいては議論があまりなかったのですが、今回の試算結果の3-1や3-2を参考にすると、この中で乖離率が比較的小さくなっていた5年としてはどうかと書いております。また、間隔を5年にすると、必ずその中に経済センサスの結果が入ってきますので、そういう意味でも事業所母集団データベースの5年が良いのではと考えております。私からの説明は以上になります。
〇加藤主査
どうもありがとうございました。改めて試算をしていただきまして、ありがとうございました。それでは、ただいま御説明のありました事項につきまして、御意見、御質問がありましたら各委員の皆様、どうぞ御自由に御発言いただければと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。
〇樋田委員
では、よろしいでしょうか。
〇加藤主査
すみません。風神委員から先に手が挙がっていますので、次に樋田先生、お願いします。
〇風神委員
どうぞ、後でも結構です。
〇加藤主査
お二人からお話を伺いますので、まず、樋田先生、お願いいたします。
〇樋田委員
追加の情報の提供や計算等、ありがとうございました。コメントですが、労働力調査と事業所母集団データベースを用いた結果を比べると、「卸売業,小売業」や「宿泊業,飲食サービス業」、規模でいうと5~29人の区分では、労働力調査のほうが乖離率が小さいという傾向がありますけれども、今回計算していただいた加重平均バージョンの二乗平均、あるいは絶対値の差で見ても、差は僅かかなと考えています。
労働力調査については、データの公表が早いという点が、優れた点かと考えていたのですけれども、試算の結果では、大きな改善はないという結果でした。そうしますと、労働力調査を用いた方法が、事業所母集団データベースを用いた方法に比べて特段優れているという傾向は見られない。大きな違いがないのであれば、よりシンプルな方法のほうが良いでしょうし、毎月勤労統計調査の設計から見ても、経済センサスに近い事業所母集団データベースを利用するのが妥当ではないかと思いました。
全体としては、これまで一律に、K=0.5としていたところを、80区分について調整ができる仕組みになって、毎月勤労統計調査の精度はのKの値によって全てが決まるわけではないのですけれども、一定の改善につながるのではないかと期待しています。以上です。
〇加藤主査
ありがとうございました。すみません。お待たせしました。風神委員、お願いいたします。
〇風神委員
ありがとうございます。たくさんの試算をどうもありがとうございました。私も当初は、労働力調査のほうが最新のデータを使えるメリットがあるのではないかと考えておりましたけれども、今回の試算結果1を拝見しますと、最新のデータが使えるメリットがさほどないのではないかと考えております。
また、試算結果4、5の動きを見ていますと、事業所母集団データベースと労働力調査で、何か異なって、偏った動きがあることも見られませんでした。また、間隔のために試算したデータの試算結果6の2年後方移動平均を拝見していますと、いつのデータで試算するかということで乖離がどの程度小さくなるかは変わると推察しています。そうすると、ベンチマークで使用している経済センサスと概念の近い事業所母集団データベースという案に対して異議はございません。以上です。
〇加藤主査
ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。元山委員、お願いいたします。
〇元山委員
ありがとうございます。この度は、たくさんの計算をしていただいて本当にありがとうございます。ざっと結果を拝見したところ、全体として僅かではありますが労働力調査の方が優れているとは思いますが、事業所母集団データベースのほうが概念に近いということ。そして、今回、Kの間隔を5年に1回という形で行うのであれば、事業所母集団データベースを使うことで良いのではないかと思いました。以上です。
〇加藤主査
ありがとうございます。いかがでしょうか。高橋委員、いかがでしょうか。
〇高橋委員
ほかの委員の先生方がおっしゃっていた御意見と全く一緒です。作業していただいて確認することができましたので、どうもありがとうございます。
〇加藤主査
ありがとうございました。4人の委員の先生方からお話いただきましたように、以下のように考えさせていただければと思います。
労働力調査には、最新のデータが得られるというメリットがありましたが、最新のデータを用いても必ずしも乖離率が小さくなるわけではないということが分かりました。
そうすると、標本調査であることや、世帯調査であることの懸念点が残り、経済センサスと概念が近い事業所母集団データベースを用いることが適当ではないかと考えられます。
間隔については、難しい問題ですが、どの間隔でも、そこまで大きな違いがなかったことから、経済センサスのデータを必ず含むこととなる5年とするのが適当ではないでしょうか。
以上、本ワーキンググループとしての取りまとめ結果としたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
〇加藤主査
ありがとうございます。それでは、本ワーキンググループでのこれまでの審議内容を事務局において報告書として取りまとめ作業を進めていただきますよう、お願いいたします。
委員の先生方、どうもありがとうございました。
最後に、議題2として、その他となっておりますが、事務局から何かございますでしょうか。
〇飯島統計企画調整室長
事務局からは特段ございません。
〇加藤主査
ありがとうございます。それでは、本日予定しておりました議題は以上となりますが、全体を通して、先ほどの追加ということでも結構ですが、御質問、御意見等がございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、本日の議題は全て終了となります。それでは、事務局のほうにお返しいたします。
〇飯島統計企画調整室長
皆様、本日は、お忙しい中御出席いただきましてありがとうございました。これをもちまして、第2回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループを終了させていただきます。次回の開催日程につきましては、事務局から、追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。本日は、どうもありがとうございました。
(了)
照会先
政策統括官付参事官付統計企画調整室
電話:03-5253-1111(内線7373)