2025年1月29日 中央社会保険医療協議会 総会 第603回議事録

日時

令和7年1月29日(水)10:00~

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア8階

出席者

構成員等
事務局

議題

  • 費用対効果評価専門組織からの報告について
  • 先進医療会議及び患者申出療養評価会議からの報告について
  • DPC対象病院の再編に係る報告について
  • その他
  • 医療DXに係る診療報酬上の評価の取扱いについて(諮問)
  • 個別改定項目について
  • 答申書附帯意見について
  • 答申について


 

議事

議事内容

○小塩会長
 おはようございます。ただいまより第603回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、委員の出席状況について、御報告いたします。
 本日は末松委員、岡本専門委員が御欠席です。
 会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
 それでは、議事に入らせていただきます。
 初めに「費用対効果評価専門組織からの報告について」を議題といたします。
 本日は、費用対効果評価専門組織の田倉委員長、福田参考人にお越しいただいております。田倉委員長より御説明をお願いいたします。
○田倉委員長
 費用対効果評価専門組織委員長の田倉です。よろしくお願いいたします。中医協総-1の資料を御覧ください。
 「医薬品・医療機器等の費用対効果評価案について」ですが、ゴアCTAG胸部大動脈ステントグラフトシステム、リットフーロカプセルについて、費用対効果評価案を策定いたしましたので、御報告をいたします。
 なお、当面の間は専門組織での検討状況についても、資料に記載をしております。
 2ページ目を御覧ください。
 対象品目名は、ゴアCTAG胸部大動脈ステントグラフトシステムです。
 本品目は、胸部下行大動脈病変のうち、一定の要件を満たす疾患の治療に用いるステントグラフトシステム及びデリバリーカテーテルからなるステントグラフトシステムであります。
 本品目の分析対象集団の評価区分は、費用削減となっております。
 3ページ目からは、参考として、ゴアCTAG胸部大動脈ステントグラフトシステムの費用対効果評価案策定に係る主な検討事項を記載しております。
 続きまして、5ページ目を御覧ください。
 対象品目名は、リットフーロカプセルです。
 効能または効果は、円形脱毛症、ただし、脱毛範囲が広範囲に及ぶ難治の場合に限るとなっております。
 上段に、費用対効果評価専門組織で決定した費用対効果評価案を記載しております。
 下段に補足として分析対象集団のICERの区分を記載しております。
 6ページ目からは、参考として、リットフーロカプセルの費用対効果評価案策定に係る主な検討事項を記載しております。
 御説明いたします内容は、以上となります。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
 お願いいたします。
○高町委員
 ありがとうございます。
 リットフーロカプセルについてですが、費用対効果評価で成人向けが費用増加となっております。費用増加というのは、分かりにくい言葉ですが、患者にも分かりやすい表現にしますと、比較薬と効果が変わらないのに、価格が高くなっているということだと思います。
 そうだとすれば、加算分だけに係数を掛ける見直しだけではなく、比較薬と同じ価格にするなど、より分かりやすい見直しをするべきではないのでしょうか。
 このような例は、リットフーロカプセルだけではなく、過去には、新型コロナウイルス感染症治療薬、ラゲブリオなど、数例があったと思います。
 このような論点については、2026年度の費用対効果評価見直しに向けて、ぜひ御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○小塩会長
 高町委員から御要望がございましたが、事務局、何かコメントはございますでしょうか。
○木下医療技術評価推進室長
 事務局、医療技術評価推進室長でございます。
 今、分かりにくいという御指摘をいただきました費用増加に関しましては、意味するところとしましては、ただいま高町委員がおっしゃったように、本剤を用いた治療が比較対象技術を用いた治療を行った場合と比較して、効果は同等で費用が増加するという趣旨でございます。
 それは、分かりにくいということもございまして、今後どう伝えていくか、資料上どう示すかということについては、少し考えさせていただければと思っております。
 また、今、御指摘いただいている費用増の扱いに関しましては、これまでも中医協の中で御議論をいただいているところでございます。
 今後につきましては、まずは、レカネマブに関しまして、特例的な取扱いということもさせていただいておりますので、その結果等々も含めまして、引き続き中医協で御議論いただきたいと考えております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 高町委員、よろしいでしょうか。
○高町委員
 費用対効果の制度をより有用にするために、見直しが必要だと考えておりますので、よろしくお願いします。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかに御質問は、松本委員、お手が挙がっています。お願いします。
○松本委員
 質問ではございませんけれども、今ほど、高町委員から出た意見でございますが、健保連としても全く同じ認識を持っております。費用対効果評価を積極的に活用する観点からも、加算の範囲にとどまらない価格調整について、今後ぜひ議論が必要だと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
 田倉委員長、福田参考人、どうもありがとうございました。
○田倉委員長
 失礼いたします。
○小塩会長
 続きまして「先進医療会議及び患者申出療養評価会議からの報告について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○木下医療技術評価推進室長
 事務局、医療技術評価推進室長でございます。資料総-2-1を御覧ください。先進医療の実績報告になります。
 まず、1ページ目の表につきまして、まず、①の令和6年6月30日現在の先進医療技術の数でございますが、先進医療Aとして認められている技術が27種類、先進医療Bとして認められているものが49種類、計76種類となっております。
 実施医療機関数、全患者数につきましては、表のとおりでございます。
 ⑥の総金額につきましては、先進医療Aが約911.1億円、先進医療Bが約17.3億円、計約928.4億円という額になっておりまして、このうち、保険外併用療養費の総額と、先進医療に係る費用は表のとおりでございます。
 3ページにお進みください。
 過去5年間の実績をお示ししております。
 令和6年6月30日時点の実績が、全患者数が約17万7000人、総金額が約928億円となっております。
 こちらにつきましては、令和4年4月から保険適用となりました不妊治療に関する技術におきまして、一定のエビデンスがあるものの保険収載に至らなかった技術については、先進医療として実施していることにより、不妊治療に関する技術の実施件数が増えたことが影響しているところでございます。
 4ページ以降に具体的な技術における費用等の一覧、登録症例数等の進捗状況の一覧等をお示ししておりますので、御参照いただければと思います。
 続きまして、総-2-2を御覧ください。患者申出療養の実績報告となっております。
 1ページ目の表を御覧ください。
 ①の令和6年6月30日現在の患者申出療養技術数は7種類、実施医療機関数については表のとおりでございます。
 ⑤の総金額は、約2億円となっております。
 このうち保険外併用療養費の総額と、患者申出療養に係る費用は表のとおりでございます。
 3ページに過去5年間の実績を示しております。
 全患者数が287人となっております。
 4ページ以降につきましては、患者申出療養の各技術についての費用等の一覧をお示ししておりますので、御参照いただければと思います。
 報告は以上となります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。特にほかには御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
 続きまして「DPC対象病院の再編に係る報告について」を議題といたします。本件は報告事項です。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
 医療課長でございます。総-3を御覧ください。
 DPC対象病院を含む複数の病院の再編予定があり、再編前にDPC対象病院等でなかった病院または再編により新たに開設される病院が、再編後にDPC制度への参加を希望する場合には、参加の可否について審査・決定するということでございますけれども、ここにお示しをしております類型につきましては、先日のお認めいただきました基準では、事務局のほうで審査をし、報告をするという類型でございます。
 再編事例のところにございますけれども、大阪警察病院、第二大阪警察病院が再編して大阪警察病院となり、DPC算定病床数についても表のとおりに変更があるというものでございます。
 これにつきましては、DPC制度の参加について問題ないと考えてございますので、御報告をさせていただきます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。特に御質問等ないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
 続きまして「その他」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○町田医療指導監査室長
 その他ということでございまして、医療指導監査室長でございます。お手元の総-4-1を御覧いただければと存じます。
 当方より「令和5年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況について」を御報告いたします。
 まず、1番の「指導・監査等の実施件数」でございます。
 個別指導に関しましては1,464件、対前年比41件減、新規個別指導におきましては6,576件、対前年度比166件減、適時調査につきましては2,748件、対前年比445件増、監査は46件、対前年比6件減でございます。
 令和5年度は個別指導につきまして、対前年度微減となっておりまして、適時調査については、対前年比で増加をしております。
 いずれも対前年比で見ますと、多少の増減、変動がございますが、徐々にコロナの影響等々がなくなってまいりましたので、令和元年度の水準まで戻っていく途上であると認識しております。
 新規個別指導につきましては、新規指定を受けた全保険医療機関等を対象に、保険診療の取扱い、診療報酬の請求等について周知するために実施をすることから、令和3年度以前に未実施であった機関も含めて実施することとしておりまして、対前年比で減少しているものの、令和元年と比較し、実施件数は増加傾向にございます。
 続きまして、2番「取消等の状況」でございます。
 保険医療機関等に関しまして、指定取消の処分が行われたものが8件、既に保険医療機関等が廃止され、取消処分が行えない場合は、指定取消相当という形で取り扱っておりますが、こちらが13件ございまして、合計21件でございます。対前年比3件の増でございました。
 保険医等に関しましては、登録取消が13人、登録取消相当が1人ということで合計14人となりまして、前年と比較し同数でございました。
 保険医療機関等の取消し等の原因としましては、架空請求や、付増請求など、不正の内容は多岐にわたっております。
 指定取消処分に係る端緒といたしましては、通報、情報提供によるものが18件、取消件数の大半を占めておりました。
 続きまして、3番の「返還金額」でございます。
 保険医療機関等から返還を求めた額は、約46億2000万円で、内訳でございますが、指導による返還分が約13億5000万円、対前年度比、約3億3000万円の増。
 適時調査による返還分が132億円、対前年度比、約24億円の増。
 監査による返還分が約7000万で、対前年度比、約8000万円の減となっておりました。
 次の2ページ目に参ります。
 2ページ目でございますが、ただいま御説明いたしました、指導・監査並びに取消しの状況につきまして、医科、歯科、薬局の内訳をお示ししているものでございます。
 続きまして、3ページでございますが、こちらは、令和元年度から令和5年までの5年間の推移をお示ししているものでございます。
 以下、4ページ目に関しましては、令和5年度の指導・監査の実績について、都道府県ごとの件数をお示ししているものでございます。
 5ページに関しましては、先ほど御報告申し上げました、保険医療機関等の取消し等の状況についてまとめており、以降、6ページ、7ページに関しましては、医科、歯科、薬局から、実際の取消事例の中から返還額の多いところをお示ししているものでございます。
 最後8ページ以降でございますが、用語解説を御参考までにつけさせていただきました。
 説明は以上でございます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
 それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 指定取消処分に係る端緒として、医療費通知に基づく被保険者からの情報提供とあります。被保険者が情報を得る手段として、医療費通知は重要な役目を果たしていることが分かると考えます。
 現在は、レセプト減額査定により、患者の窓口負担において過払いが生じた際に、その金額が1万円以上の場合は、保険者から医療費通知が送られていると思います。
 本来は、医療機関等がきちんと対応すべきものだと考えますが、1万円未満でも通知することを検討してはいかがかと考えます。そうすることで、被保険者の情報把握、適切な保険給付につながると考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 そのほかに御意見等ございますでしょうか。
 高町委員、お願いいたします。
○高町委員
 ありがとうございます。
 指導や監査があったときに、多くの返還額があったことが報告されていますが、これは、全て保険者からの支払い分だけであって、患者の自己負担分については、厚生労働省は、患者にも自己負担分を返還するように伝えているだけで、実際には、患者には返還されていないと聞いています。
 その理由は、患者自身が返還されるべき状態になっていることを知らされていないこと、また、知らせても自ら医療機関に返還を求めなければならない状況があるからだと思います。
 自分が診療を受けたい医療機関で監査や個別指導があって、自己負担分が返還されるという事実を知ることは、健全な医療保険制度にとっては当然のことと考えます。自己負担分が返還されないままの状況が続いていることには疑問を感じますので、このことに関しましては、ぜひ御検討いただきたいとお願いいたします。
 
○小塩会長
 ありがとうございました。
 佐保委員、それから高町委員から御意見をいただきましたら、事務局から何かございますでしょうか。
○町田医療指導監査室長
 医療指導監査室でございます。御指摘いただき、ありがとうございます。
 先ほど佐保委員のほうからもお話しいただきましたが、1万円を超える自己負担額の変動がある場合は、保険者から御案内をいただいているという仕組みとなっております。
 また、医療指導監査の現場としても、医療機関側には、保険者、患者に自主点検の上、返還をということでお願いをしていますが、今の御意見を踏まえまして、指導監査の現場で返還を改めてどうお願いするかということについて検討して参ります。
 ありがとうございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御質問等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。他には御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
 そのほかに、事務局から報告がございましたらお願いいたします。
○清原薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。資料総-4-2を御覧ください。
 大変申し訳ございません、1月15日に開催されました中医協の資料の訂正でございます。
 令和6年度制度改正では、収載後の外国平均価格調整について、対象品目の拡大と薬価の引上げのルールが追加になり、薬価引上げの要件該当の対象につきましては、1ページ目の下の図のピンク色の箇所でございます。
 2ページ目を御覧ください。
 前回、この要件の該当期間を明確化するために、表の右側のとおり薬価算定の基準の案をお示しいたしましたが、正しくは左側でございますので、修正させていただきたいと思います。
 なお、薬価専門部会の委員の方々には、書面にて御報告しております。
 説明は以上となります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいま訂正についての御説明がありましたが、質問等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
 続きまして「医療DXに係る診療報酬上の評価の取扱いについて(諮問)」を議題といたします。
 本日、厚生労働大臣より諮問がなされておりますので、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○林医療課長
 医療課長でございます。資料総-5を御覧ください。
 医療DXに係る診療報酬上の評価の取扱いに関して、中央社会保険医療協議会、小塩隆士会長に対しまして、福岡資麿厚生労働大臣より諮問書が出されております。
 健康保険法第82条その他関係法令の規定に基づき、医療DXに係る診療報酬上の評価の取扱いについて、貴会の意見を求めますというものでございます。
 なお、答申に当たっては、別紙として添付をしております、令和6年7月17日の中央社会保険医療協議会答申書の別添、答申書附帯意見に基づき行っていただくよう求めます。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 こちらの諮問を受けまして、何か御質問等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、この諮問を受けまして、本件につきまして、さらに検討を進めてまいりたいと思います。
 そこで「個別改定項目について」を議題といたします。
 先ほどの議題で諮問のございました「医療DXに係る診療報酬上の評価の取扱い」につきまして、これまでの議論を基に、事務局に「改定項目」を整理してもらいました。本日は、この、いわゆる短冊について議論したいと思います。
 事務局、説明をお願いいたします。
○林医療課長
 医療課長でございます。個別改定項目について御説明を申し上げます。まず、総-6-1を御覧ください。
 先ほど諮問いたしました事項につきまして、改定案を、いわゆる短冊としてまとめてございます。
 内容につきましては、もう一つの資料総-6-2の補足説明資料に経緯を含めてまとめておりますので、こちらに基づいて御説明をさせていただきます。
 総-6-2の2ページを御覧ください。
 まず、令和6年度診療報酬改定で新設された医療DX推進体制整備加算について、令和6年6月から9月まで適用された要件等をまとめてございます。
 次に3ページでございます。
 同じく新設された在宅医療DX情報活用加算について、現時点でも適用されている要件をまとめてございます。
 続いて、4ページでございます。
 2ページの医療DX推進体制整備加算を昨年7月に見直し、10月から施行されたものの内容でございます。
 マイナ保険証利用率の実績要件につきましては、令和6年10月からは、3つの点数それぞれ15%、10%、5%、令和7年1月からは30%、20%、10%とされました。
 この際、令和7年4月以降については附帯意見において、令和6年末をめどに検討設定することとされておりました。
 また、医療DX推進体制整備加算、在宅医療DX情報活用加算ともに、電子処方箋に係る要件の経過措置が令和7年3月までとされているところでございます。
 次に、5ページ、6ページを御覧ください。
 昨年12月2日の健康保険証の新規発行停止に伴う資格確認方法の取扱いの変更について、まとめてございます。
 7ページでございますが、昨年12月のマイナ保険証の利用率は25.42%ということで、真ん中の赤い線でございますけれども、利用率が伸びてきているところでございます。
 8ページにつきましては、レセプト件数ベースとオンライン資格確認件数ベースの利用率の定義を示しておりまして、レセプト件数ベースのマイナ保険証利用率についても、その推移をお示ししているところでございます。
 9ページにつきましては、マイナ保険証のレセプト件数ベースの利用率に関しまして、それぞれの施設類型別に分布をお示ししているところでございます。
 10ページは、年齢階層別に集計できるオンライン資格確認件数ベースでのマイナ保険証利用率でございます。年齢階層別のグラフにしております。0歳から19歳までの層につきましては、それより年齢の高い層と比較して、利用率が低いという傾向がございます。
 11ページは、昨年7月の総会でお示ししたヒアリング結果の抜粋でございますけれども、子供では顔認証が実施しづらい、公費補助との連携ができずメリットを感じにくい等の意見が挙げられておりました。
 12ページは「小児科外来診療料の算定・届出状況」でございます。令和4年時点では、約1万1000医療機関が算定している状況でございます。
 続いて、電子処方箋について、ここから何枚か御説明をさせいただきます。
 13ページを御覧ください。
 電子処方箋については、医療DXの推進に関する工程表において、おおむね全国の医療機関、薬局に対し、2025年3月までに普及させることが目標とされているところでございます。
 14ページを御覧ください。
 電子処方箋の概要でございますが、電子処方箋は、令和5年1月から運用が開始され、紙で行われていた処方箋の運用を電子で実施する仕組みで、直近の処方、調剤情報の閲覧や、重複投薬チェックが可能となってございます。
 15ページですが、医療機関における電子処方箋の対応有無による発行可能な処方箋や医療機関で患者に渡されるものの違いをまとめた資料でございます。
 電子処方箋対応医療機関では、電子処方箋に限定されることなく、引換番号や二次元コードを印字した紙の処方箋を発行することも可能となってございます。一番左だけではなくて、2つ目、3つ目の形のものを発行することもできるということでございます。
 また、16ページは、電子処方箋対応の薬局が行う対応についてでございます。
 電子処方箋対応の薬局は、15ページのいずれの場合でも対応することが可能となっております。いずれの場合でも、また、電子処方箋管理サービスに調剤結果情報を御登録いただくことをお願いしているところです。
 17ページでございますが、電子処方箋については、令和5年の運用開始以降、医療現場からいただいた御意見を踏まえまして、機能の拡充を順次実施してまいりました。
 また、令和7年1月23日より院内処方のプレ運用を開始したところでございます。
 18ページにその内容について、お示しをしております。
 19ページを御覧ください。
 昨年末、一部の医療機関や薬局においてシステムが設定された際の不備により、電子処方箋を受ける薬局側のシステムで、医師の処方と異なる医薬品名が表示され得る事例が報告されたということで、対応状況を記載しております。
 20ページは、こうした事例を踏まえまして医療現場が、電子処方箋を利用しやすく、かつ安全に運用できる仕組み、環境を整備するために行う対応を記載しております。
 21ページは、電子処方箋の普及状況でございます。
 令和7年1月12日現在、全国4万7681施設で電子処方箋の運用を開始しているところでございます。
 薬局のほうで、現時点で63%程度、病院、医科診療所、歯科診療所では御覧のとおり1割以下ということでございます。
 こうした導入実績が継続すると、薬局については、年度内に約8割弱の薬局への導入が見込まれるという状況となってございます。
 22ページを御覧ください。
 左側に医療現場が電子処方箋の導入をためらう要因を挙げております。これらの要因に対して、令和7年には、右側に掲げた対策を講じてまいります。安全に運用できる仕組み、環境の整備をしつつ、各種対策を行っていくこととしております。
 23ページ、そして、24ページには、電子処方箋に関する今後の対応を記載しております。導入されていない医療機関等に対するフォローアップ、さらなる導入策、追加の機能実装の一時停止、医療機関等の利活用状況の効果等の調査を実施してまいります。
 こうした取組を踏まえまして、電子処方箋の新たな目標につきましては、令和7年夏をめどに見直しを行う予定としております。
 25ページに、医療DX推進体制整備加算等に関する課題と論点ということでまとめてございます。
 課題につきましては、大きく2つございます。
 1点目は、令和7年4月以降のマイナ保険証利用率の実績要件について、昨年7月の中医協答申書附帯意見において、令和6年12月2日から、現行の健康保険証の発行が終了することを踏まえ、マイナ保険証の利用状況、保険医療機関、保険薬局における利用促進に向けた取組状況と実態を十分に勘案した上で、検討を設定することとされております。
 2点目は、電子処方箋の導入要件の経過措置が、令和7年3月末で終了することも加味し、同じく附帯意見において、電子処方箋及び電子カルテ情報共有サービスの整備状況や、運用の実態等を十分に確認した上で、評価の在り方及び必要な対応について検討することとされております。
 これを踏まえた、下段に論点を記載しておりますけれども、これらについては、次のページで御説明をさせいただきます。
 26ページを御覧ください。
 まず、1つ目の○でございますが、マイナ保険証利用率の実績要件について、令和6年12月2日からマイナ保険証を基本とする仕組みへと移行したことや、これまでの利用率の実績を踏まえつつ、今後もより多くの医療機関、薬局で、医療DX推進のための体制を整備いただくため、令和7年4月から9月までを対象期間として、マイナ保険証の利用率の実績要件を新たに設定してはどうか。下の表で言いますと、一番下の利用率というところになります。
 次に、2つ目の○において、電子処方箋については、電処方箋システム一斉点検の実施を踏まえた対応や、新たに示された電子処方箋に関する今後の対応を踏まえつつ、電子処方箋管理サービスへの登録の手間を評価する観点から見直してはどうか。
 具体的には、医療機関については、医療DX推進体制整備加算の要件を見直し、電子処方箋の導入の有無に関する要件を具体化した上で、既に導入した医療機関において、電子処方箋管理サービスに処方情報を登録する手間を評価する観点から、導入済みの医療機関と未導入の医療機関の間で、加算に差を設けてはどうか。
 具体的には、その下にあります、算定構造のようなものを想定するところでございます。
 また、加算3、6について、小児科外来診療料を算定している医療機関であって、かつ、前年の全ての外来患者のうち、一定割合が6歳未満の患者であった場合に、マイナ保険証利用率の要件を緩和してはどうか。
 薬局については、令和7年3月31日までに多くの薬局での導入が見込まれていること、紙の処方箋も含めた調剤情報を登録する点も評価する観点から、経過措置を終了し、電子処方箋を導入した薬局を基本とした評価としてはどうかということでございます。
 続いて、27ページでございます。
 通知等での規定事項についてまとめてございます。
 本年4月から9月までのマイナ保険証利用率の実績要件を新たに設定してはどうか。電子処方箋の要件については、厚労省が示すチェックリストを用いた点検が完了した医療機関、薬局を電子処方箋導入済みとして取り扱ってはどうか。また、要件を具体化し、医科、歯科は原則として院外処方を行う場合には、電子処方箋または引換番号が印字された紙の処方箋を発行することとしてはどうか。
 調剤については、紙の処方箋を受け付け、調剤した場合を含めて、原則として全てにつき、調剤結果を速やかに電子処方箋管理サービスに登録してはどうかと考えております。
 28ページを御覧ください。
 届出に関する事項についてまとめてございます。
 また、29ページを御覧ください。
 在宅医療DX情報活用加算についても、医療DX推進体制整備加算と同様の考え方により、評価を見直してはどうかと考えてございます。
 30ページ以降は参考資料となります。
 資料の説明は以上でございます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 ただいま、医療DX推進体制整備加算の見直し案の考え方について御説明がありました。
 私からは、総論的なコメントをした上で、見直し案の考え方について、幾つかコメントをさせていただきます。
 日本医師会が目指す医療DXは、ITを駆使して適切な情報連携や業務の効率化などを進めることにより、国民、患者の皆様に、安心・安全で、より質の高い医療を提供するとともに、医療現場の費用や労力の負担軽減をし、その結果として、医師や医療者が、これまで以上に患者さんに寄り添うことができるようにしていくことであります。
 そのためには、スピード感は確かに重要であります。しかし、拙速に進めるあまり、医療提供体制に混乱、支障を生じさせてしまっては、本末転倒であるとともに、国民の安心や信頼を失い、普及の最大のブレーキになってしまいます。
 マイナ保険証を入り口とした医療DXのサービスを、国民、患者の皆様に広く利用していただくためには、当然ながら、確実な安心と安全を提供し、信頼を得ることが大前提です。しかしながら、それが大きく不足しているのが現状であります。
 マイナ保険証利用率について申し上げますと、資料総-6-2の11ページのヒアリング結果にもありますように、小児特有の問題があります。子ども医療費助成のための紙の医療証が必要なために、マイナ保険証1枚では済まないこと。マイナ保険証の顔認証が難しいこと。また、10ページにもありますように、4歳未満では、マイナンバーカードの保有率そのものが低いことなどです。したがって、小児への配慮が必要です。
 電子処方箋について申し上げますと、昨年末のダミーコードにまつわるインシデント発覚を契機に、数字だけを求めてやみくもに普及を図るのではなく、今般、一度立ち止まって、医薬品マスターの整理などの足元、環境をしっかり固めて、着実に進めていく形に方向転換がなされました。
 資料総-6-2の22ページにありますように、医療現場が電子処方箋の導入をためらう要因、いわば医療機関には責任のない要因が示されたことから、それぞれの阻害要因に応じた、的確な対策を国としてしっかり進めて、23ページの下にあるように、医療現場にとって、また、国民の皆様にとっても、電子処方箋を利用しやすく、安全に運用できる仕組み、環境の整備を行うことが最も重要であり、改めて国に強く要望いたします。
 また、電子処方箋に係る、このような状況を踏まえれば、電子処方箋未導入の場合でも、点数は、現在より引き下げるべきではないと指摘させていただきます。
 これまで繰り返し申し上げてきたとおり、国民が誰一人、日本の医療制度から取り残されないという安心感こそが、最大の推進力であり、国民、患者の皆様の信頼を勝ち取るために、国、保険者、そして我々医療提供者、全ての関係者が一丸となり、数字だけを求めて性急に急ぐのではなく、丁寧に、きめ細かく、環境整備に取り組んでいく必要があるということを改めて強調したいと思います。
 そして、これを中医協の総意とする必要があると考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。池端です。
 今、長島委員のおっしゃったことと、ほぼ重なりますけれども、病院の代表としても、一言お話しさせていただきたいと思います。
 もちろん、病院団体としても、この医療DX推進は、自分たちの病院の効率化にもつながることで、積極的に取り組むことには全く異論はありませんし、そのように動いている現状ではあります。
 ただ、21ページにお示しさせていただいたように、電子処方箋に関しては、非常に普及がまだ遅れている。見ていただいて、薬局は63.2%、かなり高い数字を持っていますので、受けるところは、かなり体制が整っていますけれども、病院は3.9%、1割にも満たない状況、なぜかというと、それが22ページにお示しされているように、いろいろな状況があって、非常に体制的にもあるいは財務的にも、まだまだ持ち出しもしなくてはいけない。それと、院内処方の登録が、ようやく令和7年1月にプレ運用が始まったばかりで、まだまだ効率化につながるようなことが同時スタートできていないという状況で、しかも、HPKIカードを申し込みしても、今、実は数か月待たされている状況、もう一つの方法でできないことはないということをお伺いしていますけれども、そういう状況で非常に進みが悪いということもあります。
 今、長島委員もおっしゃったように、我々は努力していないわけではなく、努力していても、なおかつ届かないところが、この数字に出ているのだろうと思いますので、ぜひその辺をお考えいただきまして、見直し案については、少なくとも努力をしているところにブレーキをかける、あるいは精神的にダメージを受けるような、そういう減算等々は行わないでいただきたいということを、今ようやく一緒に頑張ろうというところなので、ぜひお願いしたいと思います。
 それと、ここで話すべきことではないですけれども、既にいろいろなメディア等でお示しさせていただいたように、病院全体がかなり財務的に厳しい状況の中で、ここに対する余裕もないというのが現状だと思いますので、それもお考えいただいて、ぜひ前向きな見直しを行っていただきたいと思っています。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 本日提出されている医療DX推進体制整備加算等に関する内容につきまして、歯科の立場から発言させていただきます。
 これまでも発言しておりますように、医療DXを推進していくことは、医療現場にとっても、国民にとっても重要なことでございまして、日本歯科医師会としても推進すべく、しっかりと周知をしてきたところでございます。
 その上で、本日提案されている医療DX加算の見直し案につきまして、2点要望をさせていただきます。
 まず、1点目は電子処方箋の有無による点数設定に関してです。
 何度も申し上げておりますが、歯科は8割方が小規模の個人立歯科医院で、昨年の安定供給問題の際に、日歯で調査した結果によりますと、回答医療機関の約9割が院内処方を行っております。
 歯科は電子処方箋の普及率もまだまだ低く、今後、院内処方の電子処方箋管理サービスへの対応等、運用面を含めてより推進できる方向性を示していただくことが重要と考えております。
 この1月から院内処方情報登録のプレ運用が実施されると伺っておりまして、進捗に関しまして非常に期待を寄せておるところでございます。
 これら情報登録の検証結果を踏まえて、医療現場がより取組やすい内容で御検討いただきたく、要望したく思っております。
 また、電子処方箋に取り組む歯科診療所はまだまだ少ない中、取組を後押しするような早めの情報提供もお願いいたします。
 続きまして、2点目はマイナ保険証利用率に関してです。
 マイナ保険証の利用率につきましては、本加算の算定根拠となるレセプト件数をベースにした利用率への一本化に加え、仮に、4月からの利用率の引上げになれば、算定できなくなる歯科医療機関の影響がどの程度なのか危惧しております。
 今後、歯科医療現場での医療DX基盤整備の推進が停滞することのないよう、御配慮をよろしくお願いしたく思っております。
 マイナカードの保有者や利用者につきましては、現状において100%ではございません。現時点においては、有効期限内の保険証や資格確認証が交付されており、歯科医療機関からも、マイナ保険証への切り換えに係る声がけは徹底しておるところではございますが、マイナカードそのものを保有していない患者さんが一定数おられます。
 また、マイナ保険証利用率の伸びも、当初、保険証廃止といった12月までの予想とは状況が異なっており、単純にレセプト件数を分母にした利用率には違和感があります。
 特別な広報が継続しない限り、なかなかその利用率が自然と向上してくるのは難しいのではないかと感じております。
 医療機関ごとにリアルタイムにデータを把握することの難しさは理解しておるところではございますが、今後、マイナ保険証の利用率を設定される際は、医療DXの基盤整備がしっかりと継続して進められるよう注視することが重要です。
 国民のマイナカードの保有率や利用率の状況も把握した上で、適切で柔軟な設定を引き続きお願いしたいと思っております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 課題や論点を踏まえた医療DX推進体制整備加算の見直し案が示されていますが、幾つかコメントをさせていただきます。
 薬局においては、引き続きマイナ保険証の利用と、電子処方箋を受ける体制を整備し、調剤情報の登録を進めていきたいと考えております。
 マイナ保険証の利用率についてですけれども、今、林委員からありましたけれども、マイナ保険証の利用を開始してから積極的に取り組んでいるものの、現場では思ったよりもマイナ保険証の利用は伸びていない、また、伸び悩んでいるように感じています。
 その要因として、幾つかあると思いますけれども、1つは、国民の理解や不安の払拭がまだまだ進んでいないこと、また、マイナンバーカード自体は、国民全員が所持しているわけではなく、所有率が現在約七十数パーセントだということも影響していると考えます。
 薬局、医療機関の取組だけでは限界があります。国や保険者などの関係者からも、国民の理解促進や不安払拭、マイナンバーカードの普及に尽力いただきたいと思っております。
 また、ここで1点質問になりますけれども、38ページから39ページ目の薬局の都道府県別の利用実績を見ると、一番進んでいる佐賀県は約31%である一方で、一番進んでない沖縄県は11%であり、両者の間に約3倍の開きがあります。この要因について、何か分析、把握をされていますでしょうか。マイナ保険証の利用は道半ばというより、まだ始まったばかりで、地域性や年齢等により差があるのが現状ですし、同じような取組をしていても施設による差もあるところです。
 私の薬局でも店舗によって、今、3倍以上の開きがあります。こうした実情を踏まえて利用率については慎重に検討していくべきだと考えます。
 ここで、もし、事務局から何か把握していることがあれば、お答えいただきたいと思います。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいま、森委員から38ページの資料についての御質問がありましたが、いかがでしょうか、事務局、御対応できますでしょうか。
○山田医療介護連携政策課長
 医療介護連携政策課長でございます。
 都道府県別で利用率の差が非常に大きいという御指摘をいただきました。現時点でしっかりとした分析はできておりませんけれども、今後、分析をしっかりとしていきたいと思っております。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 現場で取り組んでいるものの、地域によって3倍以上差があることを踏まえると、現場での取組だけでは、マイナ保険証の利用は一律に進まないということだと思います。
 また、その要因を分析することにより、利用率向上に向けた対応ができると思います。しっかりと要因を分析して、国や保険者でもしっかりと対応をしていただきたいと思います。
 次に、電子処方箋についてなのですけれども、薬局では、紙にするか、電子にするか、処方箋の受付方法を選べません。どちらの場合であっても受付体制を確保して、調剤後は調剤情報を電子処方箋管理サービスに登録するという流れが重要で、そのことで、より安全な医療提供に結びつくものと考えます。
 今後も電子処方箋の受入体制、調剤情報の登録に積極的に取り組んでいきますが、それは安全な電子処方箋システムであるということが大前提になります。
 今回の見直し案において、電子処方箋の導入について、チェックリストを用いた点検を完了することが求められることになりますが、先日の医療保険部会では、本年夏までに安全に運用できる仕組みの環境を整備するため、電子処方箋管理サービスにおけるシステム改修を終えることが公表されています。
 現場側での点検はしっかりと進めていくべきことは理解いたしますが、システム側での対応も必要であり、両側からの対応がなされないと医療現場は安心して電子処方箋を活用できません。現場側だけが先にチェックが済んでいても、システム側での対応が終わらなければ、リスクは常に存在することになります。
 現場は常に動き続けていますので、夏までとはせず、できるだけ早期にシステム改修を終えていただけるよう、担当部局におかれましては対応をお願いいたします。
 また、現状、電子処方箋の利用は少なく、実運用における未知のリスクの検証が十分でないと考えます。未知のリスクの既知化、既知化したリスクに対して迅速に対処できる体制を整備し、医療現場のみならず、国民から見ても安全・安心に使用できる、信頼できる電子処方箋システムと思えるような適切な対応をお願いいたします。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 それでは、まず、総論として、医療DXに関する基本的な考え方を申し上げたいと思います。
 医療DXは、安全・安心で効果的・効率的な医療につながるものであり、強力に推進すべきであるということは、先ほど来、2号側の委員からも出ている御意見かと思います。
 その際、体制整備は補助金で対応することが本来適当であり、医療機関のランニングコストを診療報酬で手当する場合でも、患者がそのメリットを実感できることが大前提となります。
 マイナ保険証による受診や電子処方箋は患者にメリットがございますが、医療機関においても、システム上で過去の情報を正確に把握できることや、重複投薬や併用禁忌を自動で点検できるといったメリットがございます。
 本来は、医療機関の中でコストを吸収すべきであり、過渡期のコスト増に配慮して、加算をつける場合には、質の高い医療を担保することが不可欠だと考えております。
 こうした認識に基づきまして、25ページの論点並びに26ページの見直し案についてコメントいたします。
 まず、マイナ保険証の実績要件についてですが、現在、医療機関の窓口で患者への説明や補助に追加の手間が生じていることは、一定程度理解できますが、保険者や事業者の努力も含め、社会全体で今まさにマイナ保険証の普及に取り組んでいるところであり、医療機関以外の要素で利用率が向上することも十分に踏まえて、基準値は着実に引き上げるべきです。特に報酬が算定できない、いわゆる足切りラインは、全体の底上げとして非常に重要です。
 資料の7ページにありますとおり、足元で利用が大きく伸びていることを十分に踏まえて、医療機関の努力が促される基準値を設定すべきです。
 その上で、年齢階層別に利用率が異なることについては、資料の10ページを見ますと、小児、特に乳幼児で利用率が低いことは事実ですけれども、現在、マイナンバーカードが1週間で発行できる特急発行が始まり、また、通常小児の場合は、保護者がパスワードを入力している対応だと思います。11ページで指摘されている顔認証がしづらいということは、単純な理由にはならないと考えます。
 マイナ保険証の利用率が低いということは、冒頭に申し上げました質の高い医療を受ける患者が少ないということを意味しております。
 公費との関係を含め、利用率が低いことをもって小児科に配慮するという発想は、この加算の場合はなじまないというのが率直な意見です。
 ただ、保険証の新規発行を停止した12月以降の状況が見えていない中で、マイナ保険証の利用促進を諦めることがないよう、低い基準値を設定するということであれば、期間、対象施設も限定した上で、少なくとも現状よりは高いハードルを設定することが不可欠だと考えます。
 また、点数の高い上位区分のラインは、昨年の見直しの際に申し上げたとおり、十分な実績にふさわしい目標となる高い基準値を設定して、めり張りを利かせるべきだと考えます。
 次に、電子処方箋の評価についてコメントいたします。
 電子処方箋については、今年度末までに、おおむね全国の医療機関、薬局に普及するという目標の期限を迎える中で、資料21ページを見ますと、医療機関と薬局にかなり大きな格差があり、医療機関の導入率が1桁台ということは極めて残念だと言わざるを得ません。
 経過措置の期限が、この3月までということは周知のことであり、医療機関に普及していないことを理由に、経過措置を単純に延長することは不適切で、調剤のように未導入の場合は加算なしとすることが自然な流れだと考えます。
 一方で、未導入の医療機関に加算を全て認めないことで、マイナ保険証の利用促進を阻害する懸念があることから、次善の策として導入済、未導入で点数に格差をつけることは理解いたします。
 今後、院内処方の機能が追加され、医療機関が電子処方箋を導入する重要性が高まります。夏には新たな目標が提示されることを踏まえ、早期の普及を強力に進めていただきたいと思います。
 また、薬局においては、紙の処方箋であっても、きちんとシステムを登録することで、重複投薬等のチェックの実効性が高まりますので、100%の登録を、ぜひお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、鳥潟委員、お手が挙がっていましたので、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 昨年12月2日を迎えまして、11月から12月でマイナ保険証の利用率の上昇が加速していることが、今回の資料でも分かります。
 マイナ保険証の実績要件等については、そうした直近のマイナ保険証利用率を踏まえつつ、今年の12月の保険証完全廃止に向けて、マイナ保険証のさらなる利用促進につながるように、基準を引き上げていくべきだと考えております。
 また、小児医療機関につきましては、年齢別の利用実態を踏まえると、別途実績要件を設けることは仕方のない面もあるかとは思いますが、基本的な考え方としましては、同様にマイナ保険証のさらなる利用促進につながるような要件を設定すべきと考えております。
 電子処方箋につきましては、適切な薬学的管理や重複投薬の防止といったメリットを国民が実感できるためには、医療機関、薬局に電子処方箋が十分に導入されている必要があります。
 そうしたことから、導入済みの医療機関と未導入の医療機関の間で差を設けることは、まだ、導入が十分ではない中ではありますが、一定理解できるものと考えております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員
 ありがとうございます。
 松本委員、鳥潟委員と少しかぶりますけれども、マイナ保険証利用率の実績要件について意見を述べたいと思います。
 マイナ保険証は、医療DXを推進する上で基盤となるものであります。これからの日本社会の社会インフラの1つであると考えております。
 既に昨年12月から健康保険証の新規発行が停止され、マイナ保険証による受診が基本になったと認識しております。この利用率を一層高めていくことが不可欠であると思います。
 こうした観点からも、今回、実績要件を見直すに当たり、利用率を一層高めるためには、相当高い実績要件を設定すべきと考えております。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 では、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 電子処方箋についてですが、そもそも電子処方箋の導入に対して、患者に負担を求めるというのはいかがなものかと考えますが、仮に負担を求めるのであれば、患者がそのメリットを実感できるようにする必要があると考えます。
 しだかって、この加算の在り方については、今後しっかり議論する必要があると考えます。
 また、患者に対しては、電子処方箋のメリットを含め、周知をしていただきたいと考えます。
 なお、19ページから20ページにかけて、システム設定等の不備により、医師との処方と異なる医薬品名が表示された例もあり、一斉点検の実施に加え、システム改修などの防止策にも着手しているとあります。
 安全に運用できる仕組み、環境の整備は、普及促進の前提であり、しっかり対応を進めていただくようお願いいたします。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
 御指名ありがとうございます。
 私のほうからも、マイナ保険証の利用率の基準について、お話をさせていただきたいと思います。
 まず、どちらにしても、今回の部分で医療機関に対して非常にメリットがあるという実感は、これからどんどん進んでいくと考えております。また、医療機関でも、もう既にカードリーダーの普及が進んでいます。
 その上で、マイナ保険証の保有率も、これから飛躍的にどんどん上がっていくということを考えると、おのずと、あとは手間ということで、これは慣れという部分もありますので、今、拙速に立ちどまるというよりは、確実に進んでいくのだということが、はっきりと分かるということだと思っておりますので、ある程度、加算の基準のところでも、目標も上げてやはり、みんなでやっていくのだという形で意思表示をするべきだと考えておりますので、そういった形で御検討をいただければと思います。
 私のほうからは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 改めて申し上げさせていただきます。
 マイナ保険証や電子処方箋は、目的ではなくて手段です。目的は、日本の医療をよりよくすることです。
 したがって、性急に急ぐ余りに、医療の提供に支障を来したり、あるいは国民が1人でも医療から取り残されることがあれば、本末転倒であると考えています。これは、中医協の総意とすべきと考えています。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、高町委員、お願いいたします。
○高町委員
 ありがとうございます。
 医療DX体制推進整備加算について、私は異存ありません。
 その上で、患者の立場として発言をさせていただきたいと思います。電子処方箋になることによって、マイナポータルへの患者の薬の記録の反映が、これまでの1か月から即時になることは、大変すばらしいことだと思います。
 ただ、医師や薬剤師等が利用する電子処方箋管理サービスでは、過去5年間の情報があるのに対して、マイナポータルでは3年間となっているのは、なぜなのでしょうか。同じように5年間にはできないのでしょうか。
 また、そもそも過去5年というのも、これまでの薬害の教訓が生かされていないと残念に思っております。
 薬害被害者は、5年以上前に処方された薬によって副作用を生じます。そのときに原因が何であるのか、また、どのような薬が使われたのかといったことが分からずに苦しんでいる被害者がたくさんいます。紙の時代であれば3年や5年は分かりますが、これからは電子の時代ですから、少なくとも20年ぐらいの情報を蓄積していくことが、患者のためには重要だと考えております。ぜひ御検討いただきたいと思います。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいま、高町委員からマイナポータルからの情報提供についての御質問がありましたけれども、事務局、何かコメントはございますでしょうか。
○山田医療介護連携政策課長
 医療介護連携政策課長です。御指摘いただきましたことも踏まえまして、関係省庁と相談していきたいと思います。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかには、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 改めて、お話しさせていただきます。
 1号側のおっしゃることもよく分かりますし、医療機関のメリットを享受するためにも、電子処方箋を進めること、現在、薬剤情報はなかなかタイムリーな薬剤情報がないので、電子処方箋が普及されれば、それがよりタイムリーになることは、十分医療機関側も理解をしているところです。
 ただ、あまりにも医療機関がためらっているから導入されていないということではないということを、長島委員さんも盛んにおっしゃったと思いますが、私も自身もそう感じています。私は、ちょっと病院団体を外れますけれども、県の医師会の立場で、かなり積極的にやっていて、その中で、いろいろな声が聞こえる中で、自治体のほうでマイナ保険証、もうなくなるのですねと患者さんが言った、いや、まだ紙で出せますから、そんなに慌てなくて大丈夫ですよと、窓口でそういうことをおっしゃる担当の方が結構いらっしゃるのです。それは、あまり強く言うと、住民から反発があるからということだと思いますけれども、その辺を併せて、みんなが共有しなくてはいけないと思うので、自治体のほうにも、ぜひ、そういうことを、これはペナルティではないかもしれませんけれども、自治体も競って増やすような、そういう努力をするようなディスインセンティブあるいはインセンティブをかけていただかないと、なかなかそこで止まってしまうと利用が増えないところがあるので、ぜひそういうこともあるのだということも、現場の感覚からお話ししておきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
 ありがとうございます。
 今、1号側の皆様方から大変厳しい御意見をいただいておりますが、本当に今、医療の現場を見ていただいて、それだけの余裕があるかということをお考えいただきたいなと思っております。
 今、本当に物価高と賃金上昇の中で、我々医療側は公定価格でやっている中で、全く追いついていっていない。その余裕のない中で、このようなことがもめるということは、医療の前に非常にもめてしまうということは、非常に多うございます。だから医療に専念できていないというのは、現状ではないかなと思っております。そのことを少しお考えいただきたいと。
 その意味で、日本医師会は拙速に進めていただきたくないということを言っているわけで、一生懸命医療ができて余裕があれば、我々はしっかり頑張ります。でもその余裕が、今ないのですね。その中をもう少し理解をしていただきたいということをお願いしたいと思います。
○小塩会長
 太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 電子処方箋に関してのコメントと、厚労省への要望ということになります。
 病院の医療情報システムというのは、非常に大規模で複雑です。なかなか簡単なシステム改修で電子処方箋システムを入れるというのができないという状況の中で、また、医師資格の認証システムそのものも構築及びその運用にもかなりの労力を要する状況になっています。
 電子処方箋の導入に関しては、厚労省から当然補助が準備されております。ただ、関係する病院にいろいろ聞かせていただくと、その想定されている見積額を大きく超えた見積もりが提示されているという病院も多数聞きます。
 先ほど茂松先生からありましたが、現在、マスコミで様々報道されつつありますが、病院の経営状況というのは非常に厳しいものがあります。
 私自身、医療DXは進めるべきだと思っておりますけれども、全国での電子処方箋の運用体制の構築のためには、導入補助の拡充に関しては、ぜひ厚労省として真剣に御検討いただきたいと思っております。
 今回の診療報酬上の見直しに関しては、特に意見はございません。
 
○小塩会長
 ありがとうございました。
 松本委員、お願いいたしいたします。
○松本委員
 先ほど来、2号側のほうから拙速に進めるべきではないという御意見が多数出ております。
 13ページに、医療DXの推進に関する工程表、全体像が示されております。これに関しては、例えば、厚労省が一方的に示したものではなく、我々あるいは当然2号側のほうの団体の方も多数参画された上で、こういう形で進めましょう、それに伴って診療報酬はこうしていきましょうと決めたことかと思います。
 それが、急に何か普及が進まないから拙速ではないか、それを中医協の総意にしてほしいと、ちょっと議論が飛躍し過ぎだと感じております。
 今回は、診療報酬の見直しという中で、そうしたものをどう進めていくかというのを議論する場だと思いますので、そういう議論にはならないということについては、ぜひ理解をいただきたいと思います。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 例えば、電子処方箋が、本年3月末におおむね全てのオン資導入のところで導入されるという目標が掲げられましたが、日本医師会は、早期のうちから、これは実現困難であると、極めて難しいと、したがって、現実的な目標を再設定し、現実的な課題に対し、それに応じて適切な対応を進めるべきだということを、ずっと申し上げてまいりました。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかには、茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
 いろいろな施策で工程表というのは作られるのですが、今まで工程表にのっとってしっかりできてきたという事例はあるでしょうか。少しずつ全て遅れてきているのではないかなと思います。それは、現実を見ながらやっていくということになるわけですね。電子処方箋が、これだけ広がらないということは、やはりそこにいろいろなデメリットがあるということなのですね。それをやはり反省して、修正して、戻していくということが非常に大事ではないかなと思います。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。大体委員の方々から一通り御質問、それから御意見を頂戴いたしました。
 そこで、本件に関しましては、これまでいただいた御意見も踏まえまして、一度附帯意見も作成した上で、さらに意見の調整ができるか、引き続き議論していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
 それでは、この後、一旦休憩を挟みます。その休憩中に事務局は、附帯意見案を作成して、委員の皆様に配付していただき、その上で、1号側委員、2号側委員の皆様は、それぞれ分かれて話し合いをしていただきたいと思います。
 その後に会議を再開し「答申書附帯意見案について」を議題として議論していただきたいと思います。
 それでは、休憩に入らせていただきます。よろしくお願いします。
(休憩)
○小塩会長
 それでは、再開いたします。
 続きまして「答申書附帯意見案について」を議題といたします。
 事務局より追加資料といたしまして「答申書附帯意見案」が提出されております。説明をお願いいたします。
○林医療課長
 医療課長でございます。
 今、配付いたしました資料総-7を御覧ください。
 配信を御覧の方におかれましても、厚労省ホームページに、今、掲載をいたしたところでございます。
 会長の御指示、そして、委員の皆様からの御意見を踏まえまして、事務局として答申書附帯意見の素案を作成させていただきました。そのまま読み上げさせていただきます。
 「1 医療DX推進体制整備加算に係る令和7年10月以降のマイナ保険証利用率の実績要件の設定に当たっては、マイナ保険証利用率の更なる向上に向け、本年7月頃を目途に、マイナ保険証の利用状況、保険医療機関・保険薬局における利用促進に関する取組状況等、実態を十分に勘案した上で検討、設定すること」。
 「2 電子処方箋については、令和7年度夏を目途に見直しを行うこととされている電子処方箋に関する新たな目標の達成等に資するよう、その評価の在り方及び実効的な措置について、次期診療報酬改定に向けて検討すること」。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明も踏まえつつ、引き続き、委員の皆さんより、御質問、それから御意見を頂戴したいと思います。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 総-7に示されました附帯意見案の文言について、異論ございません。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 総-7に示されました附帯意見案でございますが、先ほどまでの短冊協議の内容が反映されたものと受け止めております。
 支払い側としては、事務局から示した附帯意見案に異論はございませんが、その上で2点コメントをいたします。
 まず、1つ目の意見の10月以降の実績要件についてでございますが、今年12月の保険証の完全廃止を念頭に、マイナ保険証利用率のさらなる向上のために、保険者としても努力をしてまいりますので、国から国民へのさらなる働きかけ、医療と質の効率化の観点から医療現場の積極的な取組に期待をいたします。
 2つ目の電子処方箋につきましては、特に医科の医療機関、とりわけ病院への導入を重点的に進める必要があると認識しておりますので、患者負担にも配慮しつつ、どのような評価がふさわしいのか、議論の準備を事務局にはお願いいたします。
 私からは以上ございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、よろしいでしょうか。
 それでは、これまで本件の「医療DXに係る診療報酬上の評価の取扱い」についての議論を終えたため、附帯意見案も含め、御意見や御質問を一通り頂戴いたしました。
 これまでの議論の状況を踏まえますと、ある程度、議論、検討が行われ、この総会として答申を行うことができる段階を迎えたのではないかと考えております。
 そこで以上をもちまして議論は終え、この後休憩を挟んだ上で「答申について」を追加議題といたします。
 また前回の総会で諮問を受けました「入院時の食費基準額の取扱い、口腔機能指導加算及び歯科技工士連携加算の取扱い並びに特定薬剤管理指導加算の取扱い」につきましても「答申について」を追加議題としたいと考えますが、それでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、この後一旦、再び休憩といたします。休憩中に、事務局は答申案を作成して各委員に配付していただき、その上で、1号側委員、2号側委員の皆様は、それぞれ分かれて話し合いをお願いしたいと思います。
 その後に、会議を再開し「答申について」を議題といたしまして、議論をしていただきたいと思います。
 それでは、休憩に入らせていただきます。
(休憩)
○小塩会長
 それでは、再開いたします。
 続きまして「答申について」を議題といたします。
 「入院時の食費基準額の取扱い、口腔機能指導加算及び歯科技工士連携加算の取扱い並びに特定薬剤管理指導加算の取扱い」につきましては、本年1月15日に、また「医療DXに係る診療報酬上の評価の取扱い」につきましては、本日、厚生労働大臣から諮問されました。
 ここで、これまでの中医協における議論の成果を踏まえまして、答申書及びこれに添付する附帯意見が提出されております。
 その内容につきまして、事務局から補足することなどがございましたら、よろしくお願いいたします。
○林医療課長
 事務局でございます。
 まず「入院時の食費基準額の取扱い、口腔機能指導加算及び歯科技工士連携加算の取扱い並びに特定薬剤管理指導加算の取扱い」に関する答申につきまして、資料を御紹介させていただきます。
 資料総-8-1に、具体的な点数等を記載した資料を御用意させていただいております。昨年12月25日に議論いただいた内容を踏まえたものでございます。
 そして、総-9-1の別紙の資料がございます。
 この別紙は、それぞれの改正案を示したものでございます。別紙1、別紙2、別紙3それぞれ、医科、それから歯科、調剤、それぞれの改正案となってございます。
 そして、ここまでが食費など、既に前回までに御議論をいただいた、期中改定の内容でございます。
 続けて、DX加算について御説明をさせていただきます。
 こちらのほうが、資料総-8-2でございます。会場の資料では、総-8-1と一緒にとじてございます。2枚めくっていただいたところにございます。
 先ほどの短冊の資料に、具体的な点数を追記させていただいたものでございます。さらに、一番分かりやすいのが、総-8-3でございます。資料の一番後ろ側についてございますが、総-8-3に具体的な点数、そして、マイナ保険証利用率の要件等を表にまとめさせていただいているところでございます。
 これに加えまして、総-9-2の資料をお配りいたしております。
 1ページ目が答申書のかがみとなっております。本日の日付でございます。
 2ページ目が別添となっております。先ほど御審議、御了解いただきました答申書の附帯意見でございます。
 その上で、総-9-2の別紙1が医科点数表、別紙2が歯科点数表、別紙3が調剤点数表となってございます。
 資料につきましては以上でございます。御確認をいただきまして、御審議いただき、承認いただけましたら、いずれも2月中の告示や通知等を目指して作業を進めさせていただきたいと考えているところでございます。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、1号側委員、2号側委員を代表して、それぞれ御発言がございましたら、お願いいたします。
 最初に、1号側委員、お願いいたします。
○松本委員
 1号側委員を代表いたしまして、コメントを申し上げます。
 支払い側の総意といたしまして、今、総-9-1、総-9-2で示されました答申書の内容を了承いたします。
 その上で、9-2に関して2つコメント申し上げます。
 本日の2号側の御意見を聞いておりますと、医療DX、特に電子処方箋の導入が本当に進むのかどうか、非常に不安を覚えます。システムの不具合を改善することは当然ですが、今回加算の点数を電子処方箋の導入済と未導入で分けたことで、電子処方箋を導入しなくても構わないという誤った方向に進まないよう、医療現場への丁寧な周知と速やかな電子処方箋の導入促進を要望いたします。
 また、マイナ保険証の利用実績の基準値については、加算1と4は15ポイント引き上げるということで、一定の目標として機能すると受け止めます。
 また、加算3と6は、資料の6-2の8ページ、9ページを見てみますと、直近の平均値より低く、中央値付近ということで、かなり現場に配慮した水準だと考えます。
 今後速やかにマイナ保険証の利用率をさらに高める取組を医療現場に期待いたします。
 小児科外来診療料を多く算定している医療機関についても、この半年間で、成人の患者と同様に、マイナ保険証の利用を促進し、確実に配慮措置を終了することをくれぐれもお願いいたします。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、2号側委員、お願いいたします。
○長島委員
 2号側を代表いたしまして、長島から申し上げます。
 まず、総-9-1、入院時の食事基準額の見直し等について示された具体的な額につきまして、異論ございません。
 次に、総-9-2、医療DXの推進に係る診療報酬上の評価の取扱いにつきまして、今回示された具体的な点数や割合の数字につきましては、電子処方箋が、このような状況の中、未導入医療機関の点数が引き下げられることは遺憾ではありますが、全体として理解したいと思います。
 また、診療側も医療DX推進の重要性は初期からしっかりと認識し、全力で取り組んでまいりましたし、これからも全力で取り組んでまいります。
 ただ、そのためには、様々な環境整備も極めて重要であるということで、ぜひ、国及び保険者の皆様も一丸となって御協力いただければと思っております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局から提出していただきました、この答申書、それから附帯意見をもちまして、中医協から答申を行うこととしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、そのようにさせていただきます。事務局におかれましては、答申書の正本を御準備願います。
 本日は、私より鹿沼局長に答申書をお渡ししたいと思います。
(会長から局長で答申書を手交)
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、局長より一言御挨拶をお願いいたします。
○鹿沼保険局長
 保険局長の鹿沼でございます。
 小塩会長をはじめ、委員の皆様におかれましては、日頃から厚生労働行政の推進に関して御指導いただき、心から感謝申し上げます。
 ただいま「入院時の食事基準額の取扱い、口腔機能指導加算及び歯科技工士連携加算の取扱い並びに特定薬剤管理指導加算の取扱い」について、「医療DXに係る診療報酬上の評価の取扱い」について、それぞれ答申をいただきました。
 本日も精力的に御議論いただき、また、貴重な御意見を賜り、その上で答申を取りまとめていただきましたこと、改めて御礼申し上げます。
 本日、取りまとめていただきましたこれらの答申、いずれも早急に対応が必要なものでございますので、我々厚生労働省といたしましても、この答申に基づいて速やかに告示や通知の整備を行い、関係者の皆様と連携しつつ、その円滑な施行に努めてまいりたい、このように考えております。
 また、医療DXに係る診療報酬上の評価の取扱いに関しまして、いただきました2つの附帯意見、こちらにつきましても真摯に受け止めて対応していきたい、このように考えております。
 委員の皆様方には、引き続き、国民皆保険を堅持し、国民が望む安心・安全で質の高い医療の実現に向けた御議論を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、御礼の挨拶とさせていただきます。
 本日は、どうもありがとうございました。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、私のほうからも皆様方に精力的な御議論をいただきましたことに、深く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
 特に、医療DXにつきましては、いろいろ貴重な御意見を頂戴いたしました。医療DXを進めることにつきましては、皆様、大賛成というコンセンサスが得られたというのは当然なのですけれども、本日、答申書の附帯意見を頂戴いたしました。医療DXの推進に向けて、解決すべき課題があるということも、今回新たになりましたので、引き続き、御協力をお願いしたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
 以上をもちまして「答申について」の議題は終了いたします。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
 それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。