第378回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2025年(令和7年)1月22日(水) 10時00分~

場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
職業安定局第1会議室(12階)

出席者

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員

議題

  1. (1)労使協定書における賃金等の記載状況(一部事業所の集計結果(令和6年度))等について(公開)
  2. (2)同一労働同一賃金部会の開催について(公開)
  3. (3)犯罪実行者の募集への対応について(公開)
  4. (4)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
  5. (5)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)

議事

議事内容
○山川部会長 おはようございます。ただいまから「第378回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は、労働者代表の木村委員が所用により御欠席、小野委員、坂爪委員、永井委員、田尻委員がオンラインでの御参加となっております。
 本日は、議題(1)「労使協定書の賃金等の記載状況(一部事業所の集計結果(令和6年度))等について」、議題(2)「同一労働同一賃金部会の開催について」、議題(3)「犯罪実行者の募集への対応について」のそれぞれ御報告があります。その後、許可の諮問に係る審査を行います。許可の諮問に係る審査については、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱うことから、「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」という場合に該当しますので非公開になっております。では、議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでにお願いいたします。
 それでは、議題(1)労使協定書の賃金等の記載状況(一部事業所の集計結果(令和6年度))等について、事務局から説明をお願いします。
○鈴木需給調整事業課長補佐 事務局です。よろしくお願いします。資料1に沿って御説明させていただきます。まず、【1-1】です。労使協定の見直しを行う派遣元事業主への支援及び取組の進捗状況について御説明いたします。お手元の資料1の4ページを御覧ください。
 ハローワーク別地域指数に関する私どもの算定の誤り及び、その訂正に伴う対応については、労使協定の再締結及び賃金の引上げとともに賃金の引上げに伴う差額を補う対応を実施いただく派遣元事業主への支援策として、人材確保等支援助成金(派遣元特例コース)の創設について、昨年6月の本部会において取りまとめていただいております。
 その後、昨年6月30日を期限とする労働者派遣事業報告書に添付された労使協定書の写しの内容の確認作業を進め、全ての内容の確認を完了し、誤って低く算定していたハローワーク別地域指数を、労使協定に記載している全ての派遣元事業所に個別に連絡を取らせていただき、お詫び申し上げた上で、助成金の周知及び利用勧奨を含め、労使協定の改定及び賃金の引上げ、並びに賃金引上げに伴う差額分の支給の要請などの取組を進めてきました。その進捗状況については、まず昨年8月の本部会で御報告させていただいた後、前回、昨年10月の本部会において、経過措置の期限となる昨年9月末時点の状況を御報告したところです。今回、御説明する資料については、各派遣元事業所への労働局によるフォローアップの昨年12月末時点の結果報告を集計しており、把握している全体像を御報告させていただくものです。
 その集計結果を資料の進捗状況の囲みの中に整理いたしましたので御覧いただければと存じます。昨年10月の部会の資料を12月末時点にアップデートしたものです。概況としては、①賃金の引上げ及び差額の支払いを実施済み又は実施が確定しているものが232事業所、派遣労働者数では2,835人となっております。ここには、一般賃金を下回ったため改定を行った事業所のほか、下回ってはいなかったが、一般賃金に対する相対優位度に影響があったため、改定した事業所の両方が含まれております。また、備考欄にも記載しておりますが、令和6年4月1日以降に働いたことがある方で既に離職された元派遣労働者も含め、該当する労働者全員に実施済み又は実施が確定していることを確認しております。
 次に、②の令和6年4月1日からフォローアップ時点までの間において当該誤りのあった指数による労働者派遣の実績がないものが、1,109事業所となっております。こちらは労使協定の書面上に当該指数が記載されているものの、実際のところ、その間に派遣労働者が雇用されていなかったり、都道府県別の指数が賃金設定に使われていたりといった状況を個別に確認しております。
 その上で、③は引き続きフォローアップしていくものです。③の差額の支払いについてフォローアップ中のものが59事業所、288人となっております。既に賃金の引き上げや差額の支給について御検討を進めていただいているもので、労働者において引き続きその状況を丁寧にフォローアップさせていただくこととしております。以上、御説明したものが対応の全体像及び進捗状況です。
 労働局において、関係する方々に対応のお願いをするに当たっては、取組を支援するための助成金の活用を御案内し、また御迷惑をおかけすることになった派遣元の労使の皆様の御理解を広くいただく中で、ここまでフォローアップを着実に進めることができましたが、進捗状況の③においては、引き続きフォローアップ中としている事業所への対応に注力していきたいと考えております。
 続いて5ページを御覧いただければと思います。こちらは昨年6月の本部会において設けることとした「人材確保等支援助成金(派遣元特例コース)」について、昨年12月末時点の支給申請状況の集計をしたものです。活用状況を囲みの中に整理させていただきましたので御覧いただければと思います。賃金の引き上げ及び差額の支払いを実施済みの派遣元による助成金の支給申請状況です。①にあるように、支給申請が全体で22件、派遣労働者数で182人となっております。次の②③は、①の内訳となっております。②は、訂正後の一般賃金水準を下回ったため、賃金の引き上げ及び差額の支払いを実施したものであり、支給申請が16件、派遣労働者数で103人となっております。③は、訂正後の一般賃金を下回ってはいなかったが、一般賃金に対する相対優位度を確保するため、賃金の引き上げ及び差額の支払いを実施したもので、支給申請が6件、派遣労働者数で79人となっております。
 以上が、昨年12月末時点で支給申請まで終えた事業所の状況です。このほかに、もう既に賃金の引き上げ及び差額の支払いを実施済み、又は実施が確定している事業所であって、助成金の申請の準備を頂いている所、予定をしている所については、これまでのフォローアップを通じて個々に把握しておりますので、引き続きスムーズな申請をいただけますよう、しっかりと丁寧に支給申請支援を行っていきます。
 続いて、【1-2】に移りますので、9ページを御覧いただければと思います。労使協定書の賃金等の記載状況(一部の事業所の集計結果(令和6年度))について、御説明させていただきます。事務局において、令和6年度に各派遣元において締結されている労使協定の内容についての抽出調査を行った結果を取りまとめたものです。まず、本集計では労働者派遣法第23条に基づき派遣元事業主に提出が求められている「労働者派遣事業報告書」及び当該報告書に添付されている労使協定書の写しのうち一部事業所を無作為に抽出し、賃金制度に関する記載状況を集計したものとなっております。
 抽出方法は、例年同様の方法を取っておりますが、次のページ以降で御説明する項目の1~7については、企業規模別に無作為抽出を行った400事業所を基に集計を行っております。また、項目8は、労働者派遣事業報告書の賃金額の標準偏差から必要なサンプルサイズを算出した上で算出されたサンプル数を別途、労使協定書から抽出した上で集計を行ったものです。
 集計結果の概要の御説明に移らせていただきますので、資料の10ページを御覧ください。まず、項目1の「選択している待遇決定方式」についてです。待遇決定方式の選択の割合については、「派遣先均等・均衡方式」が7.7%、「労使協定方式」が90.5%、「両方式の併用」が1.8%となっております。括弧内に昨年度の集計結果を併記しておりますので参考にしていただければと思います。
 続いて11ページを御覧ください。項目2の「能力・経験調整指数の選択状況」です。能力・経験調整指数とは、能力及び経験の代理指標として算出した指標となりますが、3年を選択している割合が68.8%、5年が44.9%、10年が70.1%と、他よりも高い割合で選択されております。続いて項目3の「地域指数の選択状況」を御覧ください。地域指数については、都道府県別の指数を選択している割合が85.4%、公共職業安定所別の指数を選択している割合が12.0%、これらを併用している割合が2.0%となっております。
 続いて12ページを御覧ください。項目4の「通勤手当の支給状況」です。通勤手当の支給については、実費支給が94.4%、定額支給が1.3%、時給額等に合算して支給しているものが3.0%となっております。続いて項目5の「退職金の支給状況」です。退職金の支給については、退職金制度によるものが24.3%、退職金を毎月の賃金に上乗せするなど前払合算しているものが63.5%、中小企業退職金共済制度等によるものが6.0%となっております。
 続いて13ページを御覧ください。項目6の「賃金改善に係る記載状況」です。能力の向上に伴う賃金の改善については、高度な就業機会の提供に行うものとしているのが75.1%、昇給によるものが57.1%、別手当の支給によるものが34.2%などとなっております。続いて項目7の「労使協定書の締結主体・有効期間」です。労使協定の締結主体については、過半数労働組合が2.7%、過半数代表者が97.3%となっております。また、有効期間については、1年が86.4%、2年が12.0%となっているところです。この有効期間に画一的な基準を設けているものではありませんが、2年以内にすることが望ましいということをお示ししております。
 続いて14ページを御覧ください。項目8の「労使協定書の賃金(基準値0年)の記載状況」です。抽出された事業所の各労使協定書に記載された基準値0年の賃金額が幅を持っている記載となっている場合には、その下限額を集計したものです。例えば、労使協定書に「1,000円~」と記載されている場合は、「1,000円」として集計しております。これは、あくまでも労使協定書に記載されている賃金制度の状況であり、今日、実際に派遣労働者に支払われている賃金額を集計したものでないという点については御留意いただければと思います。
 なお、一般賃金の額を算出する際は、地域の物価等を反映するため、地域指数を乗じることとなりますが、本集計では、抽出した事業所のうち地域性を除去するため、地域指数を100に換算した上で額を集計しております。また、集計に当たっては、厚生労働省編職業分類の中分類ごとに行っております。このために賃金構造基本統計調査の職種が記載されている労使協定書については、これに対応していると考えられる職業分類の中分類にて集計を行っております。中分類ごとに平均額として集計した結果を記載した上で、最大値、中央値、一般賃金との差額の平均値、職業安定業務統計と賃金構造基本統計調査等の使用割合を参考に記載しております。集計結果はページ数が多いので、参考資料1としてまとめております。本日、説明は割愛させていただきますが、集計において必要なサンプル数を満たしていない職業もあり、それはバー(―)で表示をさせていただいております。
 お手元の資料1の14ページは、派遣労働者数の多い主要な職種として一般事務員、製品製造・加工処理、情報処理・通信技術者の3職種について御説明させていただきます。まず、表の最上段が一般事務員です。こちらは平均値が1,150円で、昨年度比74円の増、最大値が1,454円、中央値が1,088円、一般賃金等の差額の平均値が46円で、昨年度比30円の増となっております。次に、製品製造・加工処理です。こちらは平均値が1,095円、昨年度比31円の増、最大値が1,619円、中央値が1,067円、一般賃金等の差額の平均値が21円で、昨年度比6円の増となっております。続いて情報処理・通信技術者です。こちらは平均値が1,417円で、昨年度比22円の増、最大値が1,810円、中央値が1,389円、一般賃金等の差額の平均値が27円で、昨年度比10円の増となっております。資料1の御説明は以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御質問等がありましたら挙手をお願いいたします。Zoomで御参加の委員はZoom内の手を挙げる機能を使われるか、画面上に映るように挙手をお願いいたします。御質問等はありますか。永井委員、お願いします。
○永井委員 御説明ありがとうございました。資料1の4ページ、労使協定の改定の進捗について御報告を頂きました。前回の報告時から、①と②の移行が進み、丁寧にフォローアップいただいているものと認識しております。必要に応じて助成金を活用いただきながら、引き続き丁寧なフォローアップ等をお願いしたいと思っております。
 同じ資料の8ページ以降の【1-2】の労使協定書の集計結果についても意見を申し上げたいと思います。例年申し上げていることですが、賃金水準が上がってきている職種もあると思いますが、一般賃金水準と平均値の差が少ない職種も、まだ散見されます。当該職種に限るものではありませんが、政府による個別労使が待遇改善に取り組みやすい環境整備をお願いしたいと思っております。以上です。
○山川部会長 御意見と御要望、ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 御説明ありがとうございました。4、5ページに関わることです。今までの作業、本当に短期間で御苦労さまでした。その中で私から質問です。この4ページにある対象事業所数の中で、5ページとの関連で、せっかく用意いただきました「人材確保等支援助成金」について、これは今年度までのものだと思いますけれども、申請件数というか、利用された件数が少ないのではないかと思いました。労働局や本省の皆様が周知したり、説明していただいたりしていると思うのですけれども、金額、科目の改定や就業規則の改定などに要する費用等、あまり必要がなかったのか、その辺をお伺いできればと思います。
○山川部会長 ありがとうございます。御質問でしたので、事務局からいかがでしょうか。
○中嶋需給調整事業課長 永井委員から、フォローアップを引き続き丁寧に進めていくべきという御指摘を頂きました。正に事務局としても、労働局の現場とともにしっかりと助成金の周知や利用の支援を通じて数字を上げていきたいと思っております。
 その上で、佐久間委員からの御指摘で、実施済みや実施が確定という事業所に比べて、現在は申請の数がそれほどではないという御指摘でした。こちらについては、今の時点で申請まで至ったものということで、この22件という数字なのです。私どもが個々にフォローしていく中で、助成金の活用の意向を既に示していただいたり、そこに向けて準備中という所も把握しており、多くの声を頂いているところです。今後、件数としては増えていくというように見込んでおりますけれども、着実に申請につながるように丁寧にフォローアップをしていきたいと存じます。
 永井委員からは、同一労働同一賃金の施行状況について御指摘を頂きました。例年、御指摘を頂いております、一般賃金との差の平均を取った値が、一般賃金と大きく変わりがないのではないかという御指摘です。ここのところは数十円という単位で上向きの動きがあるわけですけれども、ここの部分が、より力強くなっていくように、政府としても、また労使の皆様における取組においても進めていきたいと考えているところです。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
○山川部会長 永井委員、佐久間委員、何かありますか。よろしいでしょうか。ほかに御質問等はありますか。以上は報告事項です。
 続いて議題(2)「同一労働同一賃金部会の開催について」です。事務局から説明をお願いします。
○鈴木需給調整事業課長補佐 引き続き、事務局より御説明させていただきます。資料については、資料2を御覧ください。働き方改革関連法の附則に基づき、施行後5年をめどとした検討を、雇用環境・均等分科会及び職業安定分科会に設置されている「同一労働同一賃金部会」において開催することについて御報告させていただきます。
 労働者派遣法及びパートタイム・有期雇用労働法については、平成30年の働き方改革関連法により、同一労働同一賃金に関する規定が整備され、令和7年4月で施行後5年を迎えます。このため、同法附則の見直し検討規定に基づきまして、施行状況について検討を行う必要があります。また、この間、非正規雇用労働者に関しては、各種政府決定文書等において、正社員転換等の支援に更に取り組むこと等が求められております。
 こうした状況を受けて、同一労働同一賃金の施行状況などを踏まえ、必要な制度の見直しについて検討を行うため、雇用環境・均等分科会及び職業安定分科会に設置されている「同一労働同一賃金部会」を開催することとなりました。この旨を、職業安定分科会については1月23日、雇用環境・均等分科会については1月24日に、御報告させていただくこととしております。
 同一労働同一賃金部会において御議論いただく事項ですが、働き方改革関連法による改正後パートタイム・有期雇用労働法及び労働者派遣法の規定について、すなわち均等・均衡待遇規定、説明義務、行政ADRや関係ガイドラインなどの予定をしております。
 進め方・スケジュール案については、資料の2ページを御覧ください。2月に議論を開始した後、有識者や労使関係団体などからヒアリングをさせていただき、その後、パートタイム・有期雇用労働法、労働者派遣法、関係ガイドライン等の各論について議論を行うものです。このように、平成30年の制度創設時と同様に、同一労働同一賃金部会において制度を一体的に御議論いただくこととなりますが、一方で、派遣労働者の同一労働同一賃金に関する議論については、これまで本部会において施行状況等フォローアップいただいたことなどを踏まえて、同一労働同一賃金部会で各論の議論がされた段階、また、取りまとめに向けた議論が始まった段階において、同部会における議論の内容などについて本部会にも御報告をさせていただき、コメントや御意見などを頂くことにより、同一労働同一賃金部会における議論が、より良いものとなるよう、適切な連携の下、進めてまいりたいと考えておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。資料2の御説明は以上となります。
○山川部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御質問等がありましたら、先ほどと同様の方法で挙手等をお願いいたします。御質問等はございますか。冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。御説明いただいた同一労働同一賃金部会の開催についてですが、法施行後に職場労使で協議し、派遣労働者、パート・有期で働く労働者の待遇改善を進めてきたと認識しておりますが、依然として雇用形態間の格差が解消されていないと認識しています。また、派遣労働に関しては、派遣先均等・均衡方式、労使協定方式と複雑なルールとなっており、それぞれの待遇改善の状況や理解度を含め、現状を踏まえた分析が必要ですし、同一労働同一賃金の法整備時の残された課題も含め課題を洗い出し、雇用形態間格差の是正に向けて法改正を含めた見直しを行っていくことが重要だと考えておりますので、そうした観点での議論をお願いしたいと考えています。先ほど事務局から同一労働同一賃金部会で議論されるという説明がありましたが、議論状況は本部会にも適宜共有していただきたいと思います。以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。御意見を頂きましたが、事務局から何かありますか。
○中嶋需給調整事業課長 大変ありがとうございます。御指摘の点をよく心得て進めてまいりたいと、そのように存じます。この部会で、これまで報告をしてまいりましたような施行状況もありますし、それから、いろいろな調査で判明している実情や、あとは労働局でも指導監督などの状況もありますので、そういったことを施行状況としてお示しして議論に供して、かつ、御指摘いただきましたように、当部会との連携を保ちながらしっかりと進めてまいりたいと存じます。
○山川部会長 よろしいでしょうか。それでは小野委員、お願いします。
○小野委員 ありがとうございます。この見直しの議論は、パートと派遣が同時に行われると思いますが、派遣とパートでは同一労働同一賃金の制度のやりかたが相当違うのですね。ですので、特に派遣については、先ほど冨髙委員もおっしゃったように、現状をしっかり踏まえた上でやっていただきたいと思っています。
 現在、この法制度が作られたときの日本全体の経済状況とは、全く異なってきています。特に、賃上げの局面で、高い所は7%の賃上げをしていくという状況になっています。その中で、先ほどの資料にもありましたけれども、今の現状として、労使協定方式の割合が増えてきています。これは、どういうことかというと、これまで派遣先均等・均衡方式だったところが、労使協定方式でやったほうが賃金を含むコストが抑えられると考えている会社が多くなってきているのではないかと私は思っています。というのは、一般賃金は2年前の統計をベースに作られておりますので、現状の急激な賃上げ局面の賃金を反映したものではないということですね。
 ですので、先ほどの資料の説明のときに、あくまでも労使協定での賃金であって、現状の数値を表すものではないというお話もありましたけれども、事業報告書は毎年できていると思いますので、その現状と、この労使協定の金額がどのぐらい乖離しているのか、その辺もしっかり踏まえた上で現状の賃上げ局面の中で労使協定方式の課題をどのようにみるのかを議論しないといけないと思っておりますので、特に派遣のところについては、しっかりと時間を割いて議論をしていただきたいと思っております。以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。現状把握に関する御要望を頂きました。この点について、事務局から、いかがでしょうか。
○中嶋需給調整事業課長 御指摘、大変ありがとうございます。事務局としても今、委員から御指摘いただきましたような問題意識に適うような資料をしっかり準備して議論に供していきたいと思います。とりわけ、委員からは賃金の実際の状況や、そのような点に、よく目配りをしていくということであったと存じます。私どものほうでも、この労使協定方式は、労働市場全体の平均によってベースを作るということで、底堅いものがあるというように思っておりますが、同時に、それを超える部分で、更に向上させていくための工夫については、この部会でもこれまで御指摘を頂いておりますし、事務局としても問題意識として持っているところですので、5年後の見直し議論でも、今いただいた視点を持ちながら検討いただこうと、そのように考えております。
○山川部会長 小野委員、何かありますか。
○小野委員 よろしくお願いします。
○山川部会長 ありがとうございました。ほかに、御質問等はありますでしょうか。平田委員、お願いします。
○平田委員 御説明ありがとうございました。不合理な待遇差の解消は非常に重要だと考えております。御説明いただきました通り、関係者のヒアリング等も通じて施行状況のチェックをしていただいて、実態も十分に踏まえながら進めていただきたいと思います。また、すでに御意見がありましたが、労働者派遣法とも関連する議論ですので、本部会と連携しながら議論を進めていただきたいというように思っております。以上です。
○山川部会長 ありがとうございます。こちらも事務局から何かありますか。
○中嶋需給調整事業課長 御指摘、大変ありがとうございます。御指摘いただきましたように、確かにヒアリングもさせていただこうというように思っております。そのような点も含めて実態をよく把握して踏まえながら、それから、この部会との連携という御指摘も心得てまいります。
○山川部会長 平田委員、よろしいでしょうか。ほかに御質問等はございますか。ないようでしたら、続いて議題(3)「犯罪実行者の募集への対応について」です。事務局から説明をお願いします。
○木原需給調整事業課長補佐 ありがとうございます。次に、議題(3)「犯罪実行者の募集への対応について」を御説明します。こちらも報告事項となっています。
 まず、資料3-1を御覧ください。こちらは、昨年12月17日の犯罪対策閣僚会議において決定されました、いわゆる「闇バイト」による強盗事件等から国民の生命・財産を守るための緊急対策の資料です。ここにありますように、緊急対策としては「被害に遭わせない」ための対策、「犯行に加担させない」ための対策、「犯罪者のツールを奪う」ための対策、「犯罪者を逃がさない」ための対策の4つの項目ごとに整理されています。こちらは政府全体の取組で、例えば、1の被害に遭わせないための対策においては、SNSアカウント開設時の本人確認の厳格化、4の犯罪者を逃がさないための対策においては、仮装身分捜査の検討及び実施など、各般にわたる施策が盛り込まれています。
 このうち、2の犯行に加担させないための対策において、赤の枠で囲んでいる所ですが、職業安定法に関する取組が盛り込まれていますので説明させていただくものです。まず、1つ目の赤囲みの箇所について、いわゆる「闇バイト」の募集情報の実効的な削除に資するよう、労働者の募集を行う者が広告等により募集情報を提供するときは、職業安定法に基づき、求人者の氏名又は名称・住所・連絡先、業務内容、就業場所及び賃金の表示が求められ、これらの表示がないものについては違法である旨を通知により明確化し、広く周知徹底することとされています。
 また、2つ目の下の赤囲みの箇所ですが、こちらにおいては、雇用仲介事業者に対し、「闇バイト」に関する求人情報の掲載防止のための取組内容を確認し、必要に応じ、事前審査の厳格化を始めとした防止措置の強化など指導等を行うとともに、業界団体においても闇バイトに関する求人情報の掲載防止のための取組を推進することとされています。
 これらの内容について、資料3-2を用いて説明させていただきますので、そちらを御用意いただければと思います。資料3-2の1ページですが、この1ページに関しては、先ほどの資料3-1の緊急対策の資料の1つ目の赤囲みの取組についての資料となっています。4ページに関係条文をお示していますが、職業安定法第5条の4においては、労働者の募集を行う者などは、広告等により求人等に関する情報提供をするときは当該情報について虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならないこととされています。
 今般、この規定に基づき、広告等による求人等に関する情報を提供するときは、①労働者の募集を行う者の氏名又は名称、②住所、③連絡先、④業務内容、⑤就業場所、⑥賃金の6つの情報を明示することが求められることを厚生労働省において明確にしました。具体的には、昨年の12月18日に、この解釈を示した通知を都道府県労働局宛てに発出するとともに、事業主の方々などに周知をしているところです。
 また、この矢印の下の部分ですが、この解釈の明確化を起点として、関係機関等が連携して犯罪実行者の募集情報の実効的な削除を実施していく形となっています。まず、1つ目のポツですが、SNS事業者は不適切な情報を削除するに当たっての削除基準を策定することとなっています。その策定に当たって参考とするガイドラインを総務省で作成することとなっています。このガイドラインにおいて、SNS上の求人に関する情報について、事業主の氏名や業務内容など、先ほどの6つの情報の記載がない場合は法令違反となることを位置付けることにより、SNS事業者による犯罪実行者の募集情報の削除が促進されることが期待されるというものです。
 さらに、その下のポツですが、警察庁から委託されているインターネット・ホットラインセンターにおいては、SNS上などの違法な情報に対して削除要請を行っています。今回、求人に関する情報について、事業主の氏名や業務内容などの6つの情報の記載がない場合には法令違反となるということを明確にすることにより、その求人に関する情報が違法なものなのか否かの判断が容易になり、このインターネット・ホットラインセンターが的確な削除要請を行うことができるようになるというものです。
 次に2ページを御覧ください。こちらは先ほどの資料3-1の緊急対策の2つ目の赤い囲みの取組に関する資料です。まず、左側ですが、令和5年3月の時点において既に求人メディア等に対して、「犯罪実行者の募集」など、違法・有害な募集情報の掲載防止のための対応など、「犯罪実行者の募集」の募集情報を発見した場合には直ちに削除等の措置を取ることなどを要請していたところです。昨年11月に、犯罪実行者の募集等に起因する強盗事件が発生したことも踏まえ、改めて、これらの対応を要請するとともに、警察庁が整理した犯罪実行者の募集の手口や事例を共有し、掲載防止への活用と求職者への注意喚起を依頼してきたところです。
 また、右側の一番上の○ですが、厚生労働省としても令和5年3月以降、求人メディア等から不審な募集情報の報告を受けた場合に、削除を確認するとともに、当該事案を警察と情報連携する等の取組を行ってきたところですが、昨年12月の先ほどの緊急対策も踏まえ、更に求人メディアやスポットワーク事業者等への取組内容を確認するとともに、これに応じた事前審査の徹底等の必要な指導を実施しているところです。
 最後に、3ページです。犯罪実行者の募集に関しては、厚生労働省としても注意喚起や周知の取組を行っています。具体的には、先ほどから説明しているように、広告等により募集情報を提供する際の募集主の氏名、業務内容等の明示に関する周知と併せまして、このページの下にイメージを添付していますが、犯罪実行者の募集に関する注意喚起として、求人者や求職者向けのリーフレットというものを作成しています。この求職者向けリーフレットにおいて、一番右のイメージですが、こちらにおいては犯罪実行者の募集に関する注意喚起に加えて、各種の相談なども行いやすいように、警察の相談窓口や生活困窮者向けの自立相談支援機関の窓口、ハローワークの連絡先といったものも掲載しています。
 また、その真ん中ですが、求人者向けリーフレットにおいては、不適切な求人の例示に加えて、Q&Aで求人を行う際に明示が求められる具体的な内容などを説明しているところです。これらのリーフレットに関しては、一番左が厚生労働省のXのアカウントに投稿したものの画像ですが、厚生労働省のホームページやSNSアカウントなどを活用し、また、関係省庁とも連携して広く周知しているところです。
 また、各労使団体の皆様の御協力を頂きながら、求人企業や、仕事をお探しの方などへ広く周知するとともに、雇用仲介事業者の団体などを通じて仲介事業者やその利用者へも周知を図るなど多様なチャネルの活用を図っているところです。こうした取組を通じて、厚生労働省としても、仕事をお探しの方などが安心して求職活動を行うことができる環境を整備しているというところです。
 次のページが参照条文ですので、こちらは御参考です。説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○山川部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御質問がありましたらお願いいたします。冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 ありがとうございます。今、報告いただいた内容については、政府全体で、この問題の根絶に向けて全力を上げて取り組んでいただきたいと思います。
 先ほど周知について説明もありましたが、やはり特に若者などは厚生労働省のホームページ等を見ることは少ないのではないかと思いますので、リーフレットなども作成いただいているということですが、様々なツールを使い、また分かりやすい表記にするなど、そういったところに心砕いて、未然防止にいただきたいと思います。
 また、今回の対応自体は重要ですが、やはり実質的な課題解決のためには、安定法などの現行の規制で本当に対応ができるのかということについては、これまでも申し上げていますが、実態をよく把握し、必要に応じて規制の強化を図っていくということも含めて検討いただきたいと思います。以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。事務局から、いかがでしょうか。
○中嶋需給調整事業課長 大変ありがとうございます。周知の部分では既に御協力を頂いていまして、御指摘がありましたように、なかなか厚労省のホームページだけというわけにはいきませんので、我々が工夫をしながら、ただ限界のあるところや、周知の部分などでお力をお借りしているという次第です。訴求力を持った形で、きちんと対象者にリーチしなければいけないわけですので、文言や分かりやすさなど、心を砕いていきたいと考えます。
 その上で、様々な厳しい対策をやっていく上で、規制強化も含めて、実態もよく踏まえてやれることをやっていくべきという御指摘でした。御指摘として受け止めまして、その上で政府として、今、取りまとめたものを着実にやりながら成果を上げていきたいと、そのように考えているところです。
○山川部会長 冨髙委員、何かありますか。よろしいでしょうか。ほかに御質問等がありましたらお願いいたします。田久委員、どうぞ。
○田久委員 御報告ありがとうございました。冨髙委員が言われるように、本当に引き続き、この対策はしっかりしていただいて、犯罪に巻き込まれる若者をなくしていくということは、是非、国全体で考えていただきたい。私も前回のところで意見させていただいたのですが、言葉遊びになっている闇バイトの件が、こういった犯罪実行者の募集、やはりこれをきちっと使っていって、バイトというか、そういうことではないということを改めて認識し、特にマスコミも含めたところで広げていただくといったところも、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
○山川部会長 ありがとうございます。事務局からはいかがでしょうか。
○中嶋需給調整事業課長 前回も御指摘を頂戴しました。正に言葉については、この犯罪実行者の募集というのが、実態を踏まえた表現だと思っていますので、私どもはこういった言葉で周知していきたいと考えているところです。
○山川部会長 田久委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかに御質問がありましたら・・・、平田委員、どうぞ。
○平田委員 感想で、コメントは不要です。広報という意味でいろいろな発言がありました。私に引っ掛かっただけなのかもしれませんが、正月の箱根駅伝において先導する白バイのステッカーは、大きなインパクトがあったと思います。若者に届いたかどうか分からないのですが、いろいろな工夫をして情報が届くようにしていただければと思います。
○山川部会長 ありがとうございました。少なくとも大学関係者は、かなり関心を持って見ていたのではないかと思います。コメント不要とのことですが、事務局のほうで何かありますか。
○中嶋需給調整事業課長 御指摘ありがとうございます。私どもも、いろいろ知恵を絞りながら考えていきたいと存じます。
○山川部会長 よろしいでしょうか。ほかに御質問等はありませんか。原委員、お願いいたします。
○原委員 私も感想なのですが、闇バイトの問題は、この資料3-1の1枚目にありますように、いろいろな角度から、様々な省庁や関係部署が正に力を合わせて対応していくべき問題ということで、引き続き様々な連携に意識をしていただければと思いました。
 その上で、資料3-2の1ページ目ですが、この部会が関係する職業安定法に関しては、ここにありますように客観的な基準、資料3-2の1ページで言うと、①~⑥の中で抜けているものがあれば、これは職業安定法違反だということを明確にしていくということが、非常に分かりやすくて望ましい取組だと思いました。
 SNS事業者の方々には、この①~⑥のどれかが欠けていれば、即、職業安定法違反で、あれこれ判断せずにスピーディーに削除するといったことを、ガイドラインや、それを受けた各事業者の削除基準の中に盛り込んでいただくことが必要だと思います。
 犯罪に加担させないということで、そういった情報に触れさせないという視点も重要かと思います。情報について正しく判断する力も重要ですが、まずは特に若い方を中心に、そういった甘い(情報)、ついつい見てしまうといった情報に触れさせないということも、社会としては重要かと思います。そのためには、とにかくそういった情報を流通させないということが重要だと思います。
 ですから、この資料3-2の1枚目の下にありますように、これらが欠けていたら、(もちろんこの対応だけで全てが完結するわけではないと思いますが)とりあえず①~⑥で欠けているものがあれば即削除ということを事業者の方に徹底していただき、また更には、この削除の要請も含めてやっていくということです。こういったところで、取組を是非、これは総務省との連携ということもあるかと思いますが、進めていただければと感じました。以上です。
○山川部会長 ありがとうございます。有益な御提案も頂きました。事務局からお願いいたします。
○中嶋需給調整事業課長 御指摘ありがとうございます。正に今回、この安定法5条の4の解釈の明確化ですが、このことを通じまして求職活動の安心ということも、もちろんなのですが、併せまして、委員から御指摘がありましたように、そもそもそういう情報に触れさせないように、削除が促進されていくための起点として、この解釈があるということです。この解釈に基づいて、御指摘がありましたように総務省でガイドラインを整備して、それに基づいてSNS事業者が自社の削除基準を定めて、それに従った対応をしていくという流れです。その削除の推進の中では、警察庁から委託を受けているインターネット・ホットラインセンターの活動もあるところですので、御指摘いただきましたように各省連携の中で、こういう情報がSNSから削除されていくように、引き続き取り組んでいきたいと存じます。
○山川部会長 よろしいでしょうか。ほかに御質問等はありませんか。ありがとうございました。
 それでは、御質問等がないようでしたら、公開の議題はここまでとさせていただきます。