2024年7月30日 薬事審議会 化学物質安全対策部会 議事録

日時

令和6年7月30日(火)14:00~

開催方法

Web会議

出席者

出席委員(13名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理

他参考人2名出席

欠席委員(1名)
行政機関出席者
  •  佐藤大作(大臣官房審議官)
  •  田中里依(化学物質安全対策室長) 他

議事

○化学物質安全対策室長 ただいまから、「令和6年度第1回薬事審議会化学物質安全対策部会」を開催させていただきます。皆様にはお忙しいところ、御参加を頂きましてありがとうございます。本日の部会はWeb開催としておりまして、基本的に委員の皆様には厚生労働省の外から御参加をいただいております。傍聴に関しましては、非公開案件が終了しましたら、YouTubeでライブ配信を行う予定としております。
 次に、今年2月の本部会開催以降に委員の御異動がありましたので御報告をさせていただきます。まず、退任された委員ですが、杏林大学医学部教授の苅田委員、国立研究開発法人産業技術総合研究所副研究部門長の蒲生委員、国立医薬品食品衛生研究所室長の桒形委員、名古屋市立大学大学院薬学研究科教授の頭金委員、主婦連合会環境部副部長の山崎委員が御退任されました。5名の先生方にはこの場をお借りしまして、これまで貴重な御意見を頂きましたことについて御礼を申し上げます。
 続きまして、新任の委員を御紹介いたします。差し支えなければ、一言ずつ御挨拶を頂ければ幸いです。50音順で御紹介させていただいております。一般社団法人全国消費者団体連合会事務局長の郷野智砂子委員です。
○郷野委員 全国消団連の郷野と申します。全国消費者団体連絡会は、消費者の権利の実現と暮らしの向上、消費者団体の活性化を目的として活動しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○化学物質安全対策室長 ありがとうございます。続きまして、国立医薬品食品衛生研究所有機化学部部長の出水庸介委員です。
○出水委員 国立衛研有機化学部の出水でございます。専門は有機化学でございますので、化学的な観点から、本部会に貢献できればと思います。よろしくお願いいたします。
○化学物質安全対策室長 ありがとうございました。続きまして、国立研究開発法人産業技術総合研究所安全科学研究部門研究グループ長の内藤航委員です。
○内藤委員 こんにちは。産総研の内藤です。私は化学物質リスク評価にかなり長い間、関わってきていまして、OECDのばく露評価枠組み委員も務めております。どうぞよろしくお願いします。
○化学物質安全対策室長 ありがとうございました。続いて、国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター薬理部第四室室長の安彦行人委員です。
○安彦委員 国立医薬品食品衛生研究所薬理部第四室長の安彦と申します。この度は、どうぞよろしくお願いいたします。
○化学物質安全対策室長 ありがとうございました。続きまして、事務局に異動がございましたので、報告いたします。本年7月、医薬担当の審議官に佐藤が着任をしております。
○佐藤審議官 皆様、はじめまして。厚生労働大臣官房審議官医薬担当の佐藤でございます。7月5日付けで着任をいたしました。委員の先生方におかれましては、御多忙のところ、本日、化学物質安全対策部会に御出席を頂きましてありがとうございます。
 この部会は生活環境中の化学物質、家庭用品中の化学物質の安全対策を御審議いただく場ということでございまして、本日の化学物質安全対策部会では、残留性有機汚染物質に係るストックホルム条約の関係で、新たに規制対象物質とされた物質群について、化審法の第一種特定化学物質に指定することの可否について御審議を頂き、また、家庭用品規制法における今後の検討対象物質選定スキームについても御報告させていただく予定にしてございます。
 また、新しく着任された先生もおられますが、部会の先生方におかれましては、それぞれの専門の立場から、高い御見識と御経験に基づいて御議論を頂ければと思ってございます。簡単ではございますが、御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○化学物質安全対策室長 また、化学物質安全対策室に、鉄橋補佐、湯本専門官が着任しております。申し遅れましたが、私、稲角の後任として4月に化学物質安全対策室長に着任しました田中と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、以後の進行につきまして、合田部会長にお願いいたします。
○合田部会長 それでは、本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。議事に入る前に、委員の出席状況等の報告と、資料の確認を事務局からお願いします。
○事務局 本日の会議における委員の出席について御報告いたします。本日は黒田委員より御欠席の御連絡を頂いております。また、齋藤委員は後ほど接続でき次第御参加いただける予定となっております。化学物質安全対策部会の総委員数14名のうち、12名の先生に御出席いただいておりますので、この会議は定足数を満たしていることを御報告いたします。なお、木村委員より、途中で御退室されるということを御連絡いただいております。
 次に、薬事審議会規程への適合状況について御報告いたします。薬事審議会規程第11条では委員、臨時委員または専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならないと規定しております。今回、全ての委員の皆様より同規程第11条に適合している旨、御申告いただいておりますので御報告いたします。委員の皆様におかれましては会議開催の都度、書面で御提出を頂いておりまして御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜わりますようよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、会議の公開等についてです。本日の会議は審議事項(1)に関しまして、「第一種特定化学物質のエッセンシャルユースに係る議論の詳細の内容が開示されることにより、国の機関が行う事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼす恐れがある」ため、審議は非公開とし、審議事項(2)以降につきましては、非公開とするべき場合には該当しないため、公開で行い、資料及び議事録も公開としたいと考えておりますので、御承知おきいただければと思います。
 次に、オンライン会議について申し上げます。御発言時以外は画面をオフにし、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言いただく際には、はじめにお名前をお知らせください。また、画面をオンにしていただきますようお願いいたします。音声の調子が悪い場合には、チャットによりメッセージを送っていただければと思います。
資料につきましては通信負荷軽減の観点から、画面に投影いたしませんので、お手元の資料等を御確認くださいますようよろしくお願いいたします。動作不良等がありましたら事前にお伝えしている事務局の連絡先まで御連絡ください。万が一ビデオ会議が途中で終了してしまった場合には、事務局からメール等で御連絡をいたします。
 続きまして、参考人の出席について御報告いたします。議題2.の報告事項に関しまして家庭用品安全対策調査会の委員でもいらっしゃる、国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部第四室長河上強志先生、国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター安全性予測評価部第一室長井上薫先生に参考人として御出席いただく予定としております。
 続きまして、議題の順序の入れ替えについて御案内いたします。本日、議題3.その他事項といたしまして、化審法に関する御報告があります。化審法に係る事項を続けまして、議題1.審議事項3件の後、議題3.その他事項の御報告、その次に議題2.の報告事項の順とさせていただければと考えております。
 最後に、資料の確認です。あらかじめ、議事次第、資料一覧に記載の資料及び参考資料を委員の皆様へメールにて送付しております。不足等がありましたらお知らせください。事務局からは以上です。
○合田部会長 どうもありがとうございます。それでは、議事を進めたいと思います。まず、審議事項(1).(1)第一種特定化学物質に指定することが適当とされたデクロランプラスに係る所要の措置について事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項(1)について御説明いたします。資料1-1が審議事項(1)に係る詳細な説明となっています。概要に基づいて説明したいと思いますので資料4を御覧ください。
 スライド1ページの図では化審法の体系を示しています。化審法の大きな柱の一つが新規化学物質の審査です。図の左側、新規化学物質を製造又は輸入しようとする者は、製造又は輸入に先立って当該物質に関する分解性、蓄積性及び毒性に関するデータを国に届け出る必要があります。本部会の下に置かれている化学物質調査会において、その試験結果等に基づいて審査が行われ、この判定結果が届出者に通知された後、初めて新規化学物質を製造又は輸入することができます。もう一つの化審法の大きな柱としては、化学物質の性状等に応じた規制及び措置であり、化審法においては第一種特定化学物質、監視化学物質、第二種特定化学物質といった規制区分が設けられております。
 第一種特定化学物質は、難分解性、高蓄積性及び人又は高次捕食動物、植物への長期毒性を有する物質となりますが、本日は第一種特定化学物質の指定及び措置の要否について御審議いただきたく存じます。
 続いて、3ページです。第一種特定化学物質の主な規制措置を示しています。第一種特定化学物質の代表的な規制が製造・輸入の許可制とあり、これは事実上の禁止を意味します。第一種特定化学物質が使用されている製品の輸入の禁止、マル3例外的な用途以外の使用の禁止、マル4製造・取り扱う場合の技術上の基準の適合等の措置があります。
 続いて、4ページです。残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(いわゆるPOPs条約)についてです。この条約においてはマル1~マル4に書かれている人又は生体に対する長期毒性、難分解性、生物蓄積性、長距離移動性を有する化学物質を残留性有機汚染物質、POPsと定めております。このような物質による環境汚染は、1か国にとどまらない環境汚染防止の取組が必要となるため、国際条約を通じて製造・使用等の原則的な規制措置を講じることにより、国際的にPOPsの廃絶、削減等を行うものとなっております。
 5ページです。POPs条約に基づいて各国が講じるべき対策は、POPs条約が附属書A、B、Cで各国が講じるべき規制の措置が異なり、附属書Aに追加された化学物質は製造・使用を原則禁止する措置を講じる必要があります。本部会では、このうち、デクロランプラス、PFHxS関連物質及びPFOA関連物質の化審法上の措置について御審議いただきたく考えております。ここまでが全体像の御説明です。6ページから審議事項(1)の内容について御説明いたします。
 6ページが表題、7ページがストックホルム条約第11回締約国会議の概要となります。こちらの3物質については令和5年11月の本部会で御審議いただき、いずれも第一種特定化学物質に指定することに関して御了承を頂きました。その後、パブリックコメントを行ったところ、デクロランプラスについてマル2例外的に使用を認める用途として改めて検討いただく必要が生じたところとなります。
 8ページ、審議会における化審法に基づく措置の検討事項を示しております。デクロランプラスについては、令和5年12月の本部会でマル1からマル4についてご審議いただき、第一種特定化学物質に指定し、例外的に使用を認める用途は指定しないこと等に関してご了承をいただきました。その後、パブリックコメントを実施したところ、マル2例外的に使用を認める用途について改めて検討が必要な事例が確認された状況となります。
 9ページです。化審法第25条においては、代替困難な用途がある場合においては当該用途を指定し、それ以外の用途への使用を制限することとされております。代替困難な用途を指定する場合には、当該用途はPOPs条約で除外が認められている用途である必要がありますが、デクロランプラスについては、POPs条約において航空宇宙、防衛産業、医療画像及び放射線治療に用いる機器及び設備等の用途を適用除外することが認められております。
パブリックコメントにおいて、防衛産業で用いる断熱材の製造にデクロランプラスが使用されていることが確認されました。関係省庁の防衛省にも確認した結果、他の物による代替は困難と判断いたしました。また、関係省庁とのリスク評価の結果、当該用途での使用により環境汚染が生じて、人の健康又は生活環境動植物の生息・生育に係る被害を生じるおそれはないとのことから、化審法上の指定要件を満たすと判断いたしました。以上を踏まえ、デクロランプラスの使用を例外的に認める用途としては、防衛産業で用いる断熱材の製造を指定することとしたいと考えております。
 10ページは、参考としてデクロランプラスの構造式を示しております。なお、本件については、本年7月の化学物質調査会で御審議いただき御了承を頂いております。審議事項(1)の御説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○合田部会長 説明どうもありがとうございました。化学物質調査会の座長の平林先生、コメント等はございますか。
○平林委員 本年7月の化学物質調査会において、本件について審議いたしました。調査会としては、事務局の提案内容を妥当と判断したところです。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの事務局からの説明内容について、御意見等はありますか。委員の先生方、よろしいですか。
 出水先生に教えていただきたいのですが、このデクロランプラスは立体的に、実際に存在するものは何種類存在するかというのは御存じですか、分かりますか。
○出水委員 そうですね、私、調査会のほうには出ていなくて。ただ、この構造式を見る限りにおいては、恐らく、真ん中の8員環の所の両端に6員環が二つビシクロが付いていると思うのですけれど、相対的な関係からすると2種類かなというようには思われます。ただ、この構造を見る限り、製造において作られ得る相対的な配置としては、恐らく同じ側に6員環側、ビシクロ体が向いた側がメジャーのプロダクトとして作られているのではないかなというように推察いたします。
○合田部会長 ありがとうございます。構造について、もっといろいろな情報をお持ちの方はいらっしゃいますか。命名の仕方としては、いろいろなものをまとめて全部指定しているので問題はないとは思いますけれども。CASワードを見ると三つ付いているので、両方混ざっているやつを一つ入れて、それで三つということなのかもしれませんね。ちょっとそこら辺は正確に分からないのですけれど。立体的には、もっといっぱいあり得るのですが、現実に存在し得る形としてどうなのかなというのは気になりました。この辺の情報をお持ちの方はいらっしゃいますか。これは、最終的に何か分析をしなければいけないときに、幾つあるかというのは知っておいたほうがいいかなと思って質問をさせていただいたのですけれども。ほかに、御質問等はありますか、よろしいですか。郷野先生、どうぞ。
○郷野委員 私からは質問ということではないのですが、デクロランプラスの使用を例外的に認める用途として、防衛産業で用いる断熱材の製造を指定することには異論はございません。使用後の廃棄についても環境汚染につながらないよう、しっかりとした管理体制の構築をお願いしたいと思いました。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。事務局よろしいですか。
○化学物質安全対策室長 POPs条約上のお答えになりますが、もともと、製造や使用の禁止だけではなく、廃棄物の管理に関しても締約国に義務をかけるということが条約上で入っております。ですので、従来から、このデクロランプラスに限らず、POPs条約において対象となっている物質に関しては、環境上、適切な方法を各国で取るということが取り組まれております。日本においても当然そういうことで、例えば、廃掃法などがありますが、環境法令に基づいて適切な枠組みが設けられて、その中で処理をされていくということになるかと存じます。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。郷野先生、よろしいですか。
○郷野委員 はい。ありがとうございます。よく分かりました。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問等はありますか、よろしいですか。それでは、以上で、本件についての質疑を終わりたいと思います。   
事務局より、本件の取扱いについて説明をお願いいたします。
○事務局 ただいま御審議いただいたデクロランプラスに係る所要の措置については、資料5の1ページのとおり、厚生労働大臣から薬事審議会へ諮問されており、薬事審議会の規定において、本件の諮問に係る事案は本化学物質安全対策部会において審議することになっております。資料1-2の「デクロランプラスを化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に規定する第一種特定化学物質に指定することに伴う同法第25条の政令で定める用途の指定について(答申案)」を御覧ください。御審議いただいた内容に基づき、防衛産業で用いる断熱材の製造をデクロランプラスが使用できる用途として指定したいと考えております。事務局からは以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、審議いただいた内容について、資料1-2のとおりにすることが適当であると部会として了承してよろしいでしょうか。御異議のある方はいらっしゃいますか、よろしいですか。それでは、御了承を頂いたものといたします。以上で、審議事項(1)について終了いたします。
○事務局 審議事項(1)の御審議ありがとうございました。ただいまをもって非公開の審議事項は終了いたしましたので、冒頭に申し上げたとおり、これから本審議会を公開に切り替えたく思います。事務局側の不手際で大変恐縮ではございますが、公開するに当たり、一旦、こちらの会議リンク先から御退室の上、先ほどお送りした新たな会議のリンクから御参加いただきますようお願い申し上げます。以上です。
――再開――
○事務局 ただいまYouTube配信を開始いたしました。それでは、薬事審議会化学物質安全対策部会について、引き続き審議事項(2)以降の議事進行について、合田部会長よろしくお願いします。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは次の審議事項について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局です。審議事項(2)について、資料4の概要資料により御説明します。なお関連する資料は、資料2-1及び2-2の審議事項(2)に係る詳細な資料、資料2-3の(答申案)、資料5の諮問書です。
 審議事項(2)について資料4の概要資料により御説明します。12ページを御覧ください。ストックホルム条約第10回締約国会議の概要となります。ペルフルオロヘキサンスルホン酸とその塩(PFHxS)関連物質については、表にお示しの内容でPOPs条約の附属書Aへの追加が決定しました。
 このうち、PFHxSとその塩については、令和5年2月の本部会で御審議いただき、第一種特定化学物質へ指定することなどが妥当とされ、令和6年2月に第一種特定化学物質に指定しました。
 本日は、PFHxS関連物質、これは環境中で分解してPFHxSを生成する化学物質を指しますが、これについて御審議いただくものとなります。
 続きまして13ページを御覧ください。審議会における化審法に基づく措置の検討事項となります。PFHxS関連物質については、マル1第一種特定化学物質の指定、マル2例外的に使用を認める用途の指定、マル3取扱いに係る技術上の基準を定める製品の指定、マル4輸入禁止製品の指定について、本日御審議いただきたいと考えています。
 14ページ、第一種特定化学物質の指定の内容となります。PFHxS関連物質について、POPsとしての要件を満たすことは、締約国会議の下で専門・技術的事項の議論を行うPOPRCにより、既に科学的に評価されているとともに、そのほかの機関においても知見が蓄積されている状況です。
 したがって、当該物質は難分解性、高蓄積性、かつ長期毒性を有し、第一種特定化学物質相当の性状を有するものであると考えられることから、対応(案)の項の記述のとおり、「PFHxS関連物質については、過去に附属書Aに掲げられている物質と同様に、化審法第2条第2項に基づく第一種特定化学物質に指定する」ことを考えています。
 続きまして、15ページになります。PFHxS関連物質は、環境中で分解して、PFHxSを生成する化学物質と定義されており、様々な化学物質が該当する可能性があります。POPRCは例示的物質リストを作成していますが、当該リストの変更があった場合でも、機動的に第一種特定化学物質として指定できるようにするため、政令に置いたPOPs条約の定義を引用して、政令(案)の規定の記述のとおり、PFHxS関連物質の外延を規定し、具体的な物質については省令において別途指定することを考えています。
 また、省令で別途指定する具体的な物質としては、POPRCの第19回会合で示された、例示的リストに収載されている物質の中から、環境中で分解しているPFHxSを生成することが十分に考えられる物質として、こちらの記載は省略しますが、こちらの記載の要件を満たすものについて、今後開催される3省合同会合及び化学物質安全対策部会の意見を聞いた上で、3省省令において指定することを考えています。
 続いて16ページになります。例外的に使用を認める用途についてですが、PFHxS関連物質については、POPs条約において特定の用途を除外する規定はなく、また国内製造、輸入等の実績は認められていません。したがって、「PFHxS関連物質については、例外的に使用を認める特定用途の指定を行わないこととする」という対応(案)としています。
 続いて、17ページです。取扱いに係る技術上の基準を定める製品についてです。化審法第28条第2項において、第一種特定化学物質及びその含有製品の取扱事業者は、別途定める取扱い上の技術上の基準を遵守する。また化審法第29条第2項において、容器等の当該第一種特定化学物質による環境の汚染を防止するための措置などに関する事項を表示することとされています。
PFHxS関連物質が使用されている製品のうち、既に在庫等の形態で製品として存在し、使用が継続される可能性があり、かつ環境汚染の可能性がある製品として、消火器、消化器用消火薬剤及び泡消火薬剤が挙げられます。
 国内への輸入状況の詳細は不明ではあるものの、海外でPFHxS関連物質を使用した泡消火薬剤の製造実績があること。またPFHxS関連物質に該当すると考えられる化学物質が、使用された泡消火薬剤が在庫等の形態で製品として存在していることが確認されていることに鑑み、その取扱いなどにおいて環境汚染を未然に防止するための措置を講じることが望ましいため、「PFHxS関連物質を使用している消火器、消化器用消火薬剤及び泡消火薬剤を、化審法第28条第2項に基づく取扱いに係る技術上の基準に従わなければならない製品として指定」との対応案としています。
 続いて、18ページです。輸入禁止製品についてです。化審法第24条第1項において、海外における使用事情等を考慮して、輸入を禁止する製品を指定することとされています。PFHxS関連物質を使用した製品については、海外調査の結果消火器、消化器用消火薬剤及び泡消火薬剤などの10の製品について、主に海外での製造実績などが確認されています。
 したがって、これらの製品について、マル1国内に輸入される恐れがあり、マル2輸入を制限しない場合に環境汚染の可能性があると考えられるものに該当するため、輸入禁止製品として指定との対応案を出しています。審議事項(2)の御説明は以上です。
 なお本件については、本年6月及び本年7月の化学物質調査会で御審議いただき、御了承いただいております。御審議よろしくお願いいたします。
○合田部会長 説明ありがとうございます。それでは化学物質調査会の座長、平林先生、コメント等ありますでしょうか。
○平林委員 本年6月及び7月の化学物質調査会において、本件について審議いたしました。調査会としては、事務局の提案内容を妥当と判断したところです。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。それではただいまの事務局からの説明内容について、御質問御意見等ございますでしょうか。郷野先生。
○郷野委員 御説明どうもありがとうございました。17、18ページの取扱いに係る技術上の基準を定めるところなのですが、PFHxS関連物質を使用している消火器、消火器用消火薬剤及び泡消火薬剤を、化審法第28条第2項に基づく取扱いに係る技術上の基準に従わなければならない製品として指定すること、また輸入禁止製品として指定することに、異論はありません。
 その上で、在庫等の形態で製品が存在していた場合、回収するのか、事業者等のほうで適切に処分するのかなどの対応についても、周知していただきたいと思います。
 また輸入に関しては、インターネットなどで海外から直接購入することもできてしまう可能性があるため、関係省庁で情報を共有し、横断的な対策の検討をお願いしたいと思います。質問ではなくてコメントでした。以上です。
○合田部会長 郷野先生ありがとうございます。事務局何かありますか。よろしいですか。
○事務局 事務局です。郷野先生、コメント、御意見ありがとうございます。回収についてですけれども、環境省において環境モニタリングデータに基づいて環境リスク評価を行っていますけれども、この中ではリスク懸念箇所が確認できませんでしたので、現時点において法に基づく製品の回収等の措置を命じる必要はないと考えています。
 PFHxSの関連物質については、国内製造、輸入等確認されていないということ。それから製品輸入の詳細は不明ですけれども、平成22年4月以降、国内の消火器メーカーが製造した消火器等には、PFHxSを含有する製品はないということが、関連する工業団体より発表されていると承知しています。
 またそれ以前市場に設置されていた、PFOS及びPFHxS含有消火器については、その97%以上が既に処理を完了していると発表されていることも、承知しておりまして、そういった取組が継続されていくものと承知しています。
 製品輸入に関しては、化審法において輸入禁止製品を指定することにより、何人も自然人であろうと法人であろうと、輸入ができない状況になります。こちらについては、輸入を管理する関係省庁と情報を共有し、対策をしていきたいと考えています。以上です。
○合田部会長 ありがとうございました。それではほかに、御質問、御意見等ございますか。先生方よろしいですか。赤渕先生お願いします 
○赤渕委員 ありがとうございました、赤渕です。今の御質問とそれに対する事務局からの御回答に関してですが、在庫等について何か調査をするということは、考えられないのかということが1点と、あともう一つは、回収等の措置を講じないことについて、環境省のモニタリングデータで検出された地点がないからということが、理由として御説明されていたように私は理解したのですけれども、もう少し制度上の建付けについて、御説明いただけますか。以上です。
○合田部会長 事務局よろしいですか。
○化学物質安全対策室長 ありがとうございます。在庫の調査というところについては、従来から泡消火薬剤にPFAS、いわゆるフッ素系のものが使われているということが確認され、環境省など関係省庁のほうが調査を進めているところです。
 本件に今回のPFHxSに関連しても、在庫量に関する調査の御協力を願うということを進めていると承知しています。
 もう一つ御質問いただきました、環境リスクに関するところです。本日の資料にも少し書かせていただいていたと思うのですが、資料2-2を御覧ください。資料2-2の中の7ページ、2-4.その他の必要な措置について、というところです。読み上げますが、「平成30年度から現在までに、環境省において実施・公表された環境モニタリングデータに基づいてPFHxSの環境リスク評価を実施した。環境濃度を基にしたばく露量と、PFHxSの毒性に関連する情報を基にした人及び高次捕食動物の有害性評価値・予測無影響濃度を比較した結果、現時点ではリスク懸念箇所は確認できなかった。したがって現時点において、製品の回収等を命じる必要はないと考えられる」と書いています。
 その参考資料に、今回参考資料9というナンバーを付けています。ちょっと詳細は読み上げ等は割愛しますが、今回のPFHxSに関して、持っていたデータと有害性の毒性の評価値との関係の評価を実際に行った文書が、参考資料9になります。枠組みというよりは、今回この指定に際して、提出されている資料のとおり、一通りリスク評価を行ったという形で御報告させていただきます。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。参考資料9はお持ちですか。よろしいですか。赤渕先生、大丈夫ですね。
○赤渕委員 ありがとうございます。モニタリングして出ていないから、回収する必要がないというのも何かちょっとおかしいというか、個人的には違和を感じるところがなくはないのです。
 すなわち出ていなくても回収すべきものは、直ちに回収すべきだということにはならないのかなと。出ていて危ないから回収するというのも、タイミングとしては一歩遅れた対応になるのではないかという印象を受けるのです。その根拠はどういうことなのか、すみません、こだわるようで恐縮ですが教えていただけますか。なぜそのようになっているかということです。条文上そのようになっているのでしょうか。
○化学物質安全対策室長 化審法第34条に、第一種特定化学物質の指定に伴う措置命令という条項があります。この中で、特に指定をされた場合において、必要に応じて回収を図るとか、命じることができるという条文はあります。
 その際に実際に評価をして、どうしても必要な場合においては当然回収を図るということですけれども、回収の難易度であるとか、使用量の程度であるとか、環境汚染を防止するために最も合理的なことはどうなのかというところを評価した上で、決定をすることになっています。
 今回に関しては、実際に平成22年以降の製造輸入量、あるいは輸入の状況などを勘案した上で、更にリスク評価を行って今回は回収等は行わないという案を出しているところです。以上です。
○赤渕委員 すみません、どうもありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問等ございますか。皆様よろしいですか。それでは以上で本件の質疑を終了します。事務局より本件の取扱いについて説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。ただいま御審議いただいたPFHxS関連物質の第一種特定化学物質の指定及び所要の措置については、資料5の2ページのとおり、厚生労働大臣から薬事審議会へ諮問されており、薬事審議会の規定において、諮問に係る事案は本化学物質安全対策部会において審議することになっています。
 資料2-3のペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)関連物質の化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律における第一種特定化学物質の指定及び所要の措置について、(答申案)を御覧ください。御覧いただいた内容に基づいて、1~4に分けて記載しています。
 1、PFHxS関連物質を第一種特定化学物質に指定すること。2、PFHxSが使用されている場合、輸入することができない製品として、消化器、消化器用消火薬剤及び泡消火薬剤を指定すること。3、PFHxS関連物質を使用できる用途を指定しないこと。4、PFHxS関連物質が使用されている場合に、技術上の基準の指針に従わなければならない製品として、消火器、消火器用消火薬剤及び泡消火薬剤を指定することとしたいと考えています。事務局からは以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは本日審議いただいた内容について、資料2-3のとおりにすることが適当であると、部会で了承してよろしいでしょうか。皆様御異議はございませんか。よろしいですか。それでは了承いただいたものといたします。以上で審議事項(2)について、終了いたします。
 続いて、審議事項(3)に入ります。次の審議事項について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局です。審議事項(3)について、資料4の概要資料により御説明いたします。なお、関連している資料は、資料3-1の審議事項(3)に係る詳細な資料、資料3-2の答申案、資料5の諮問書です。
 それでは、資料4を御覧ください。20ページです。ストックホルム条約第9回締約国会議の概要です。ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質については、表にお示しの内容で、POPs条約の附属書Aへの追加が決定されました。
 21ページです。POPs条約での決定を受け、PFOA関連物質を化審法第一種特定化学物質に指定することの要否等について、令和6年2月の本部会で御審議の上、令和6年7月に改正政令を公布いたしました。本件は令和7年1月10日に施行予定です。
当該政令においては、例外的に使用を認める用途を定める必要があった2物質、(ペルフルオロオクチル=ヨージド、8:2フルオロテロマーアルコール)については個別に政令にて指定しましたが、それ以外の物質については「政令の規定」にあるとおり、政令では外延を規定するだけにとどめ、具体的な物質については3省の省令で定めることとされました。
 次のスライド、22ページです。3省の省令で定める個別の物質の要件については、令和6年2月に開催された本部会において御審議いただき、POPRCの第19回会合で示された例示的リストに収載されている物質の中から、資料に記載のマル1~マル4のいずれかの要件を充たしている物質とされました。要件を充たす物質については、資料3-1の別表に掲げた138物質であり、これらの物質は省令において指定することとしたいと考えております。審議事項(3)の説明は以上です。本件については本年7月の化学物質調査会で御審議いただき、御了承いただいております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 説明ありがとうございました。それでは、化学物質調査会の座長の平林先生、コメント等はございますでしょうか。
○平林委員 本年7月の化学物質調査会におきまして、本件について審議いたしました。調査会としましては、事務局の提案内容を妥当と判断したところでございます。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの事務局からの説明内容につきまして御意見、御質問等はございますでしょうか。委員の先生方、よろしいですか。特に御質問等がないようですので、質疑の時間はこれで終わらせていただきます。事務局より、本件の取扱いについて説明をお願いいたします。
○事務局 ただいま御審議いただきましたPFOA関連物質の第一種特定化学物質の指定については、資料5の4ページのとおり、厚生労働大臣から薬事審議会へ諮問されており、薬事審議会の規定において、諮問に係る事案は本化学物質安全対策部会において審議することになっております。資料3-2、第一種特定化学物質であるペルフルオロオクタン酸関連物質として、厚生労働省令、経済産業省令、環境省令において規定する化学物質について、答申案を御覧ください。御審議いただいた内容に基づき、別添に掲げる化学物質をPFOA関連物質として指定したいと考えております。事務局からは以上です。
○合田部会長 具体的に別添に掲げているのは非常にたくさんございますが、本日審議いただいた内容について、資料3-2のとおりにするということが適当であると、部会として了承してよろしいでしょうか。
 皆様、御異議ございませんね。よろしいですね。
――異議なし――
○合田部会長 それでは、了承いただいたものといたします。以上で審議事項(3)について終了いたします。
 審議事項(3)に関して、今後の手続について説明をお願いいたします。
○事務局 本日御審議いただき、御了承いただいた三つの審議事項については、薬事審議会の規定に従って、次回の薬事審議会で報告いたします。また、パブリックコメントなどの所要の手続を踏まえた上で、政省令改正を行う予定しております。以上です。
○合田部会長 ありがとうございました。以上で審議事項(3)について終了させていただきます。
 続きまして、議題2.の報告事項の前に、先ほど説明いたしましたように、議題3.「その他」の事項について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 議題の順番を入れ替えまして、化審法に関係する報告をさせていただきます。配付資料はないのですが、過年度に開催した本部会の化審法に係る資料において、誤記載がありましたことをお詫び申し上げまして、資料の訂正を行ったことを御報告申し上げます。
 誤記載がありましたのは、令和5年度第2回の参考資料10と、令和元年度第3回の参考資料6です。誤記載は、資料の表において、本来は値が記入されていなければならない所が未記入であったり、引用文献の年度の転記ミス、また元データからの値の転記ミスとそれに伴う計算ミスといった内容でした。このような誤記載がありましたことについてはお詫び申し上げます。これらの誤記載による審議結果への影響がないことを確認しまして、当該の資料掲載ページにおいて正誤表と訂正版の資料を掲載済みであることを御報告申し上げます。
 経緯としては、本部会の下にある化学物質調査会と化審法を共管する経済産業省及び環境省の審議会の3省合同審議会の資料において、誤記載のある箇所が見付かり、元データを保有する経済産業省において資料への加工作業も行われていたことから、経済産業省において過年度の資料に遡って確認作業が行われました。その結果、複数の誤記載があることが見付かりましたので、審議結果への影響がないことを確認しまして、7月19日に開催された3省合同審議会においてお詫びを申し上げ、訂正を行ったことを御報告したところです。
 誤記載のあった3省合同審議会の資料の中に、冒頭に御案内した、本部会において参考として提示していた資料がありましたので訂正を行った次第です。御報告は以上です。
○合田部会長 説明、どうもありがとうございました。化学物質調査会座長の平林先生、本件についてコメント等はありますでしょうか。
○平林委員 本年7月の化学物質調査会におきまして、本件について報告を受けました。調査会としましては、事務局の御説明内容を確認したところでございます。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの事務局からの説明内容について御意見、御質問等がございますでしょうか。皆様、よろしいですか。まあ、参考資料ですからね。そこのところはよかったなと思っています。それでは、本件について御確認いただいたものといたします。
 続きまして、議題2.「報告事項」に入りたいと思います。本件では、冒頭に事務局から説明がありましたように、国立衛研の生活衛生化学部第四室長の河上先生、それから、同じく国立衛研の安全性生物試験研究センター安全性予測評価部の井上薫室長に参考人として出席をいただいております。それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。議題2.の報告事項について御説明をいたします。資料6を御覧ください。こちらは「検討対象物質選定スキームを活用した今後の家庭用品の安全対策について」です。次の2ページを御覧ください。有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(略称;家庭用品規制法)は、家庭用品の規制として事業者の責務や家庭用品及び有害物質の基準の設定、あるいは基準に合致しない家庭用品の販売禁止、回収等の規定を定めているものです。
 次の3ページを御覧ください。この法律において対象となる「家庭用品」は、「主として一般の生活の用に供される製品」と定義付けをしております。なお、他の法令、食品衛生法や薬機法で規定しているものについては除いております。
 次の4ページを御覧ください。4~6ページでは、現時点で家庭用品規制法で基準を設けている物質と、その対象及び基準を列挙しております。詳細な説明は割愛させていただきますが、現時点で21の物質群について基準を設けております。
 飛びまして7ページを御覧ください。こちらが基準制定までの基本的な進め方をお示しした図になります。平成24年の本部会でお示しをしたものです。こちらが、化学物質や家庭用品に関する情報収集に始まり、当該物質の実態調査、試験法(測定法)の開発の後、必要となれば基準を制定していくといった流れとなっております。この基準の設定においては、本部会において審議いただき、設定されるものとなっております。
 次の8ページを御覧ください。前ページの流れも踏まえ、より詳細なやり方について、厚生労働科学研究や検討会を立ち上げて検討を進めてまいりました。詳細は次ページ以降で御説明をいたしますが、「有害性」と「ばく露」の2点からなるリスクベースでの評価を行うこととしております。そして、今般、これらの考え方を整理をしまして、パブリックコメント及び家庭用品安全対策調査会で御議論いただき、「家庭用品の検討対象物選定スキーム」としてまとめておりますので、本部会でも御紹介をさせていただければと思っております。
 次の9ページを御覧ください。こちらの図は、平成24年の図からより具体的な流れを示しています。まず母集団としては、家庭用品で使用されている化学物質を幅広く拾うために、政府によるGHS分類が実施されている物質を設定しています。その母集団に対して、長期の影響と短期の影響の二つに分け、有害性のスコア付けを行い、その後、製品のカテゴリを踏まえた重み付けとして、ばく露のスコア付けを行い、その有害性とばく露のスコアのマトリクス形式により総合評価を行い、予備調査を経て検討対象物質の選定と進めていきます。ここで選定された検討対象物質について、その後、詳細評価を経て対応策を検討していくといった流れとなっております。
 このスキームに関しましてパブリックコメントを実施した際には、スキームに対して大きな反対意見はありませんでしたが、その対象物質の選定手法、評価手法といった点について明確にすべきといった御意見を頂きましたので、以降のスライドで本スキームの位置付けや考え方、あるいは具体的な取組などをお示しをしております。
 次の10ページを御覧ください。まず本スキームの位置付けです。こちらの2ポツ目、家庭用品に使用され、含有される可能性のある物質に関して、必要に応じて所要の管理措置が必要となります。この管理措置の必要性の判断に当たって、3ポツ目、法第4条に規定する国による基準の設定と、法第3条に規定する事業者の自律的な取組、このバランスを考慮する必要があります。そこで、家庭用品への適切な使用状況を確認する必要のある物質をスクリーニングするために、有害性とばく露ポテンシャルを踏まえた手順として本スキームを策定したものになります。
 4ポツ目、このスキームにおいて考慮する有害性ですが、長期の影響と短期の影響の二つに分けております。一つ目の長期影響については、影響の早期把握が一般的には難しいことから、本スキームによるスクリーニングを経て評価を実施をしていき、適切なリスク管理の検討を先行して進めることとしています。一方で、短期影響については影響の早期把握が可能であり、適時的確な手段による対応が期待されます。まずは事業者での自律的な取組の推進、例えば製品設計によるばく露低減や成分の表示、注意喚起表等を含むリスク管理の方法の整理を行い、その上で本スキームの適用のあり方も含めて取るべき対応策を整理していきたいと考えております。
 なお、基本的には、今後、本スキームに基づき検討を進めていく予定としておりますが、下から二つ目のポツに記載をしておりますが、保健衛生上、緊急を要する場合等については、本スキームによらず基準設定をすることはあり得ると考えております。また最後のポツに記載をしておりますとおり、最初の検討対象物質の詳細評価がある程度進んでいった段階で、適宜、母集団の更新やスコア付けの方法の更新等を行い、2巡目以降の検討も予定をしております。
 次の11ページを御覧ください。長期影響に関するスキームと、その後の進め方をお示ししております。基本的な流れは先ほどのスライドと同様ですが、予備調査や詳細評価として具体的に実施する項目を、青枠として記載をしております。また最終的に取り得る措置として、詳細評価の結果に応じて家庭用品規制法における基準の設定、自主基準の設定や製品設計の工夫によるばく露低減のほか、特段の措置を必要とせず評価終了として、有害性評価値やばく露情報の更新により必要に応じて再評価といった様々な流れがあり得るということで、記載をしております。
今般、長期影響については、検討対象物質の選定までの手順が完了しておりますので、後ほど説明をさせていただきます。なお、今回選定された検討対象物質については、あくまでも今後詳細評価を行っていく対象の物質となりますので、現時点で規制が予定されている物質ではないことは、留意が必要と考えております。
 次の12ページを御覧ください。以降のスライドでは、具体的な選定の流れや考え方をお示しをしております。この12ページについては、政府によるGHS分類の活用について整理をしたものです。まずは長期の影響と短期の影響の母集団の選定に用いること、そしてもう一つが、有害性のスコア付けに関しては、GHS区分で健康に対する有害性として下に記載している10項目を、短期の影響と長期の影響に分類をして、短期の影響の有害性のスコア付けに活用することとしております。
 次の13ページを御覧ください。こちらがそれぞれ具体的な流れを示しております。政府によるGHS分類済みの物質を母集団として、短期の影響については感作性や刺激性に着目をして、GHS分類を利用してスコア付けをしていきます。一方で長期影響については、一般毒性、生殖発生毒性、発がん性等に着目をし、文献等からその有害性評価値を利用してスコア付けをしていく流れとなります。なお、今般実施した長期影響における検討対象物質の選定においては、2023年3月末時点の政府のGHS分類済み物質、こちらが約3,000物質になりますが、そちらを母集団としております。
 次の14ページを御覧ください。長期影響の有害性のスコア付けを示したものです。右下の表に書いてある、信頼性が高い情報源から有害性評価値を採用しまして、その評価値そのものをスコア付けに用いております。なお、吸入の有害性評価値については、比較可能なように経口ばく露量に換算をしております。
 次の15ページを御覧ください。長期影響では有害性評価値の大きさに応じて1~6点のスコアを付与しております。この有害性のスコア付けの後、ばく露ポテンシャルのスコア付けを行っていく手順となっていますが、ここで母集団の3,000の物質のばく露ポテンシャルのスコア付けを行うというのが、なかなか難しいといった背景もあり、今回対象となる物質を100程度に絞り込むために、有害性評価値として4×10-5以下を物質に対して行うこととしております。また、これらに加え、GHS分類が未実施であるものも、化審法のスクリーニング評価・リスク評価が実施されている物質で、有害性評価値が、同じく4×10-5以下の物質を対象に追加をしております。
 次の16ページを御覧ください。16ページ以降4ページにわたって、ばく露ポテンシャルのスコア付けをお示ししています。まず16ページでは、ばく露ポテンシャルによるスコア付けについては、まず情報源1を探索し、製品形態による4点から1点を付与します。情報源1で家庭用品の用途が見付けられなかった場合には、情報源2を探索し、同様に4点から1点を付与していきます。この情報源2を探索しても見付けられない場合については0点となっております。また、それと別に業務用及びニッチな製品に該当する場合については、一般の消費者に広く使われるものではなく、家庭用品規制法の中での対応が難しいといった背景もあり、追加係数を掛けるといった措置を行っております。なお、実際のばく露量を考慮した評価という観点については、詳細評価において家庭用品ごとのばく露シナリオを設定して行う予定としております。
 次の17ページを御覧ください。考え方や留意点を補足をしたものです。ばく露ポテンシャルのスコアの考え方については、成型品よりも、物質そのものを使用している調剤製品、こちらのスコアを高く設定をしております。調剤製品の中でも、呼吸器のばく露と経皮のばく露の可能性の高さを考慮して、噴霧する製品、皮膚に直接触する製品、皮膚接触の可能性のある製品の順番に、4点、3点、2点と高くスコアを設定しております。
 次の18ページを御覧ください。ばく露ポテンシャルのスコア付けに当たり、調査する情報源1、2について記載をしております。第一段階の情報源1としては、学術論文や製品のSDS(安全データシート)や製品カタログ等の情報のほか、NITEのサイトなどを確認することとしています。また、第二段階の情報源2としては、日本のデータベースがないといった背景もありますので、米国で運営されているCPIDというデータベースの情報に基づいて、物質の含有の有無や家庭用品としての用途、その製品が日本で販売されているかなどを確認することとしております。
 次の19ページを御覧ください。業務用及びニッチな製品の考え方について整理をしております。業務用の製品については、これまでも家庭用品規制法のQAの中でお示しをしてきた考え方と同じですが、「業務用」という表示があっても、一般消費者が容易に購入できる形で販売されている場合については、家庭用品の用途ありと判断をしております。一方で、製品の使用に当たって労働安全衛生法におけるリスクアセスメントが求められている製品などについては、「業務用」と判断をして、ばく露ポテンシャルのスコアに追加係数の0.1を掛けることとしています。また「ニッチな製品」については、例えば、車の整備が趣味の人しか使わないクリーナーなどを想定しており、ごく一部の一般消費者は使用するものの、使用頻度が極めて低いと想定される製品については、同じくばく露ポテンシャルスコアに追加係数の0.1を掛けることとしております。
 次の20ページを御覧ください。これらを踏まえ、20ページは総合評価となります。有害性のスコアとばく露ポテンシャルのスコアによるマトリクス法を採用しまして、今回は赤線で示している有害性スコア、4×10-5以下の物質のうち、マトリクスの「高」と「中」の物質について予備調査を実施しております。
 次の21ページを御覧ください。予備調査です。有害性によるスコア付けに使用した有害性評価値の根拠となる試験のばく露経路と、ばく露ポテンシャルの根拠が一致するかの確認を行い、こちらの表にまとめたとおり採用の可否を判断しております。詳細は表のとおりですが、一部、家庭用品の使用環境下で生じることが想定されない毒性根拠については、採用しないといった措置を取っております。
 次の22ページを御覧ください。以上、説明してきた過程を経まして、長期影響に関する詳細評価対象物質として表に示した9物質が挙がってきました。これらについて、今後、詳細評価を進めていきたいと考えております。なお、繰り返しになりますが、これらの詳細評価対象物質については、今後詳細評価を行っていく物質になりますので、現時点で規制が予定されている物質ではないことは留意が必要かと考えております。
 次の23ページを御覧ください。こちらは短期影響に関するスキームと、その後の進め方をお示ししております。基本的な流れは長期影響と同じになりますが、長期影響と異なる点として、右上の緑枠内に記載しております。皮膚感作性について、その定量的評価法が開発されつつあるものの、適用範囲が限られているといったこと、海外の規制時には、物質が持つ感作性ポテンシャルだけではなく、臨床情報を考慮しているといった課題がありますので、本年度から厚生労働科学研究で、どのような場合にどういったリスク管理方法が考えられるのかについて整理を行うこととしております。そのため、短期影響の物質の選定に際しては、引き続き整理を行っていく。長期影響の物質については、先ほど選んだ9物質について先行して詳細評価を検討して進めていきたいと考えております。
 次の24ページを御覧ください。24、25ページは参考になります。GHS分類における区分を基に、短期影響でのスコア付けの考え方をお示しています。先ほど申し上げたように、短期影響については、今後の厚生労働科学研究のほうの整理も踏まえ、さらなる検討を進めていければと考えております。
今後、本スキームの運用状況については、家庭用品安全対策調査会で御議論いただく予定としていますが、本部会でも御報告、御議論いただく予定としております。説明は以上です。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは、家庭用品安全対策調査会の座長の五十嵐先生、コメント等はありますでしょうか。
○五十嵐委員 五十嵐です。昨年12月及び本年7月の家庭用品安全対策調査会において、本件について議論しました。調査会においては、事務局の提案した検討対象物質選定スキームを運用していくことを、長期影響に関しては選定された9物質について、今後、詳細評価を行っていくこと。短期影響に関しては、事務局から説明のあった課題の整理を踏まえ、調査会で改めて議論することについて確認したところです。以上です。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの説明内容について御質問、御意見等はございますでしょうか。今回は、これからの方針について説明されたわけですが、よろしいですか。こういうマトリクスを作って順次やっていこうという考え方ですが。御質問等はありませんね。それでは、本件については御確認いただいたものとします。
 本日の議題は以上ですが、ほかに事務局から何かありますでしょうか。
○化学物質安全対策室長 特段、ございません。次回の開催については、日程調整の上、御連絡をさせていただきます。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、以上で、本日の化学物質安全対策部会は終了といたします。委員の先生方、御協力、どうもありがとうございました。
( 了 )
 
備考
 審議事項1については、第一種特定化学物質のエッセンシャルユースに係る議論の詳細な内容が開示されることにより、国の機関が行う事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、非公開で開催された。
 

照会先

医薬局

化学物質安全対策室 室長補佐 小川(内線2910)