技能実習評価試験の整備等に関する専門家会議(第85回)議事要旨

人材開発統括官海外人材育成担当参事官室



日時:令和7年2月7日(金) 16:30~17:00
場所:Web会議
出席者:漆原委員、大迫委員、後藤委員、當間委員、花山委員
厚生労働省人材開発統括官付海外人材育成担当参事官室、出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課、外務省領事局外国人課、外国人技能実習機構
(介護職種関係)シルバーサービス振興会、厚生労働省福祉基盤課、オブザーバー(特定非営利活動法人東京ケアネットワーク 小山副理事長、UAゼンセン 山﨑医療・介護・福祉部会事務局長)
 
議題
(1)介護職種の作業範囲拡大について(訪問系介護サービスの追加)
 
【概要】
(1)介護職種の作業範囲拡大について(訪問系介護サービスの追加)
○ 介護職種の作業範囲に訪問系介護サービスを追加することについて、厚生労働省福祉基盤課から説明があり、主として以下のような質疑が行われた。
・外国人技能実習生が訪問介護を行うに当たっては、介護職員初任者研修を修了するだけでよいのか、訪問介護を行うにはどのような経験が必要かオブザーバーに確認したいとの意見があった。オブザーバーからは、訪問介護ではイレギュラーなことが起こりやすいこと、基本的に1対1での対応であることから、介護施設の中での実務経験は不可欠であり、少なくとも1年の実務経験を積んだ方が良い。介護職員初任者研修は非常に初歩的であるため、より深い内容を扱う介護福祉士実務者研修の受講経験を持つことが望ましいとの意見があった。これに対し、実務経験については、これまでも、提供するサービスの質の観点から、受入事業所の判断によって、訪問系サービスの従事を2年目以降の外国人に限定することも考えられると申し上げてきたが、オブザーバの方々から現場の意見をいただいたので、もう一段工夫ができないか検討するとの回答があった。
・サービス提供責任者等の同行訪問について、どの程度の期間や頻度が必要かについてオブザーバーに確認したいとの意見があった。オブザーバーからは、十分な期間としては一定程度の期間、最低でも半年程度は必要であり、技能実習生の意向を確認しながら目標達成まで続けていくことが必要である、との意見があった。これに対し、同行訪問については非常に重要であり、事業所の遵守事項の一つとして、一定期間の同行訪問等必要なOJTを行うことをあげている。その上で、御指摘の点については、先ほどの御指摘も含めて、特に実務経験が浅い方をどのようにしていくかなどについて検討するとの回答があった。
・訪問介護に必要な日本語によるコミュニケーション能力についてオブザーバーに確認したいとの意見があった。オブザーバーからは、施設介護では第2号技能実習でN3が必要とされているが、訪問介護では基本的に1対1対応になることを考慮すると、もう1段階高いN2であればサービスの質が担保されうるのではないか。日常生活や業務について会話として成立する程度の能力は必要であり、日本人が仕事の話をしたり、日常会話を行うレベルと同等の能力をもっていることが重要である、との意見があった。これに対し、コミュニケーション能力は不可欠であり、継続的な日本語学習が重要。キャリアアップ計画も活用して、日本語学習を計画的に実施していくことが必要であり、キャリアアップ計画の作成について、遵守事項の1つとして挙げている。一方、コミュニケーション能力については、現場での経験を積みながら、レベルアップしていく側面もあるのではないかという意見もある。この中で、先ほどの実務経験の御指摘も含めて検討するとの回答があった。
・訪問先の選定は事業者の配慮事項となっているが、要介護認定には主治医の意見書が必要なことを踏まえ、例えば、意見書で認知症とされていれば、技能実習生の訪問先から除外することも考えられるのではないか。そもそも、事業者自身には利用者の要介護度などを判断することができない以上、訪問先の選定に関して事業者による配慮事項とするのではなく、意見書などをもとに国として訪問先の一定の基準を示すべき、との意見があった。これに対し、技能実習生の実務経験にもよるため、事業者等が訪問先を決める際に配慮することが必要であると回答があった。これに対し、利用者等の状況と技能実習生の能力等を踏まえ訪問先を事業者等が総合的に判断するとあるが、小規模事業所では適切に判断することは難しいのではないか、との意見があった。オブザーバーからは、事業者の判断は一定必要であるが、配慮したとさえ言えば技能実習生を対応が難しい訪問介護先に従事させることになりかねないため、一定程度の判断基準は設定する必要があると考える。トラブルになりがちな金銭の受け渡し等が生じる利用者については訪問先から除外することも考えられるのではないか、との意見があった。これらの意見に対し、認知症の理解については介護職員初任者研修で研修を行っており、生活支援技術についても丁寧な声かけを通じて納得を得ながら介護を学ぶこととしている。それらを前提に、利用者等の状況と技能実習生の能力等も踏まえ、総合的に訪問先を選定することが大切であると回答があった。
・利用者の中には外国人に偏見を持つ利用者もいることが想定されるため、利用者・家族から事前に同意を得る必要性について、オブザーバーに確認したいとの意見があった。外国人労働者が訪問介護に従事する中で、利用者からクレームを受けることは実際あるため、利用者の同意は事前に必ず得るようにすべき、との意見があった。これに対し、利用者や家族に対しては丁寧な説明が必要だと考えており、事業所に十分な配慮いただくことを想定しているが、御意見を踏まえて何か工夫ができないか検討するとの回答があった。
・1人でサービスを提供する訪問介護の場合、すぐに技能実習指導員が駆けつけられる体制が不可欠で、利用者・家族の同意を前提に、ICTを使うこともあると思うが、そうした体制整備を、要件化することについてどう考えるかとの質問があった。これに対し、遵守事項のなかで環境整備を掲げており、その例示としてICTを活用することも示している。ICT活用に関し、見守りカメラなどでは利用者の同意も必要と思うが、しっかりそういうものを活用することが重要だと思っているとの回答があった。
・座長から、本日、オブザーバーからいただいた、実務経験、同行訪問、日本語能力要件、利用者の選定についての意見は、互いに関係することから、整理する必要があること、訪問介護についての議論はこれまで専門家会議で4回にわたり相当議論できたと思っており、次回、一定の結論を出したいと思っていることから、今回の意見に対し真摯に検討いただくことを厚生労働省福祉基盤課に求めた。
○ 検討の結果、介護職種の作業範囲拡大(訪問系介護サービスの追加)については、次回、議論が行われることになった。
 
(以上)