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第31回アルコール健康障害対策関係者会議 議事録
社会・援護局障害保健福祉部企画課アルコール健康障害対策推進室
日時
令和7年1月27日(月) 14:00~16:00
場所
航空会館ビジネスフォーラム(701会議室+702会議室)
(東京都港区新橋1-18-1)
(東京都港区新橋1-18-1)
議題
- 第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について
- その他
議事内容
○小野室長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、第31回「アルコール健康障害対策関係者会議」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本検討会はオンライン併用ですので、一部の構成員はオンラインでの参加となっております。
ペーパーレス化の取組として、資料は原則としてタブレットで御覧いただきたく存じますが、操作等で御不明点や紙による資料の御希望等がございましたら、適宜事務局までお申しつけください。
また、本日の会議は、あらかじめ傍聴を希望された方を対象に音声の配信を行っておりますので、御発言の際はマイクを近づけていただいた上で、お名前を名乗ってできるだけ大きな声で発言いただき、発言時はマイクを御使用いただき、発言されない際はマイクを切るよう御協力をお願いいたします。
傍聴される方におかれましては、開催案内の際に御連絡しております「傍聴される皆様へのお願い」事項の遵守をお願いいたします。また、会場設備の関係で音声に不具合が生じる可能性がありますので、聞き取れなかった箇所につきましては、後日、議事録を公開させていただきますので、そちらで御確認をお願いいたします。
冒頭、社会・援護局障害保健福祉部長の野村部長より御挨拶を申し上げます。
○野村部長 皆さん、こんにちは。障害保健福祉部長の野村でございます。よろしくお願いいたします。
この関係者会議委員の皆様方におかれましては、普段よりアルコール対策の関係ということで御理解、御協力を賜りまして、誠にありがとうございます。改めて御礼を申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
このアルコール健康障害対策でございますけれども、いわゆるアルコール依存症以外にも、大量飲酒による健康への影響でございますとか、20歳未満あるいは妊婦の方といった方々の飲酒の問題、さらに飲酒運転など、様々な問題があると承知しております。今日、お集まりの委員の皆様方をはじめ、多くの関係者の方々あるいは関係府省庁の御理解、御協力をいただきながら、こうした課題の解決に向けて、20歳未満の方々への飲酒の防止の教育であるとか、飲酒運転の防止の活動であるとか、さらには専門機関・相談機関の整備といったものなどに取り組んでまいったところでございます。
昨年の2月になりますけれども、健康に配慮した飲酒に関するガイドラインというものを策定し、さらに併せて、純アルコール量と、それに必要な分解時間を把握できるウェブツール、アルコールウォッチというものを開発してウェブ上に公開するといったような取組を進めてきているところでございます。個人的にもちょっと飲み過ぎたなとなったときには、このアルコールウォッチを使ってみて、自分の体にどれぐらい影響がありそうなのかというのを試してみることなどもやったりしているところであります。世の中に対して、この問題に意識を持ってもらうということでツールを開発しているところであります。また、広く活用を引き続き促していきたいと思っております。
本日の会議でございますけれども、次期基本計画の見直しに向けまして、委員の方々や参考人の方々から様々な課題、お取り組みなどについて、お話をお聞かせいただければと考えております。今日いただいたお話を含めまして、次期アルコール健康障害対策基本計画の見直しに向けまして、委員の皆様方から忌憚のない御意見をお寄せいただければ幸いかなと考えております。
最後になりますけれども、関係府省庁や地方自治体、さらにはアルコール問題に取り組む民間団体の方々などとさらに連携を深めていく。こういったことを通じまして、引き続きアルコール健康障害対策に取り組んでまいりたいと考えております。委員の皆様方の御指導、御協力を引き続きよろしくお願い申し上げまして、私からの冒頭の挨拶に代えさせていただきます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
○小野室長補佐 続きまして、本日の出席状況について御報告いたします。会場での御出席が、小野里委員、渋木委員、白川委員、塚本委員、稗田委員、保坂委員、堀井委員、松下会長、山口委員となっております。勝嶋委員については、会場での御出席ですが、遅れての参加となっております。オンラインでの御出席が、東委員、石井委員、上村敬一委員、上村真也委員、江澤委員、金城委員、小松委員、白石委員、米山委員となっております。現在、19名中18名出席となっておりますので、会議が成立することを御報告申し上げます。
また、本日は、山本由紀参考人、長嶺乃里子参考人、白井明美参考人の3名の参考人にお越しいただいておりますので、御紹介させていただきます。
さらに、本日は、関係省庁より、法務省、国税庁、文部科学省、警察庁、こども家庭庁、国土交通省よりオブザーバーとして参加いただいております。
以上、よろしくお願いいたします。
この後の進行は、松下会長にお願いしたいと思います。
○松下会長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
初めに、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○小野室長補佐 資料の確認をさせていただきます。
資料1 小野里委員提出資料「ビール酒造組合啓発活動」
資料2 渋木委員提出資料「“最後の砦”酒類小売販売売場の立場から」
資料3 山本参考人提出資料「アルコール問題のある親と暮らす子どものニーズと家族支援」
資料4 長嶺参考人提出資料「アルコール依存症の親を持つこどもの立場から願う支援」
資料5 白井参考人提出資料「アルコール家族(ヤングケアラー)の現状とその対策への要望~自分の体験から~」
参考資料1 アルコール健康障害対策基本法
参考資料2 アルコール健康障害対策関係者会議令
参考資料3 アルコール健康障害対策推進基本計画
参考資料4 委員名簿
不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
以上となります。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、早速議事に入りたいと思います。議事次第第1「第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について」です。本日は、2名の委員と3名の参考人に御発表いただきたいと思います。お一人当たり15分の御発表でお願いしておりますので、時間に御留意いただいてお話をいただきたいと思います。13分になるとベルが鳴ります。あと2分ということで、まとめていただければと思います。
本日は5人の方に御発表いただきますので、2回に分けたいと思います。まず、お二人目の渋木委員まで御発表いただいて、その後、質疑応答の時間を10分ほど取りたいと思います。その後、山本参考人、長嶺参考人、白井参考人の3名の参考人の方々から御発表いただいて、その後に質疑応答の時間を15分取りたいと思います。
それでは、まず小野里委員より御発表、よろしくお願いいたします。
○小野里委員 ビール酒造組合の小野里でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、資料1ページ目でございます。こちらは、本日説明させていただきたい内容といたしまして、ビール酒造組合の啓発活動に加えまして、加盟各社の啓発活動について、お話をさせていただきたいと考えております。
次のページをお願いいたします。こちらのほうに概要が記載されておりますが、我々ビール酒造組合のアルコール問題に関する啓発活動ですけれども、真ん中に記載のとおり、アルコール健康障害対策推進基本計画の第2期、それから飲酒ガイドラインにのっとってやっているというところでございます。大きく言いますと、左側に記載のとおり、20歳未満の飲酒防止、それから、右側の上に記載のとおり、有害な使用の低減、それから、右下にあります妊娠中飲酒の防止、こういったところに取り組ませていただいております。
それでは、それぞれにつきまして具体的に説明させていただきます。次のページ、4ページでございます。こちらが20歳未満飲酒防止についての具体的な取組ということになりますが、まず、STOP!20歳未満飲酒プロジェクトというのがございます。
左側に広告の画像が出ておりますけれども、こういった感じで、「「ちょっとくらい」ならいい? 20歳まではゼッタイNG!」や「ことお酒については、「本人の自主性まかせ」じゃダメ!」というのを、手のひらマークを使いまして訴求するような啓発広告を打っております。こちらの広告認知率は今や50%弱になっておりますけれども、さらに高めることによりまして行動変容までつなげていきたいと考えております。
また、左下のところ、同じようなデザインの広告を交通広告ということで打たせていただいておりまして、これはコロナ禍にありまして、一時、ストップしておりましたけれども、昨年から再開させていただいたところです。
あと、右側はコンビニエンスストアの事例でございます。手のひらマークを使った啓発活動を行っております。実は、いろいろ広告を打っているのですけれども、どうやら店頭認知率というのが非常に高くて、手のひらマークの認知経路といたしましては、コンビニとかスーパー、カラオケボックスといったところに貼らせていただいているポスターからその多くが認知されているということがございますので、引き続き、これをやっていきたいと考えております。
なお、先ほどプロジェクトの認知率は50%弱というお話をさせていただきましたけれども、現状、手のひらマークの認知率は86%ぐらいまで来ておりまして、ほとんどの方が御存じのマークというところまで進んできております。
次のページをお願いいたします。こちらは学校教育支援についてのお話でございまして、全国の中学校・高校、約1万5000校に対しましてファクスを打たせていただいております。
左下にファクスのチラシ画像が載っておりますけれども、こういったファクスを送らせていただいておりまして、学校の先生が学校内で啓発活動をする際に使えるような教育動画DVD、真ん中にございますけれども、「学ぼう!10代のお酒のキケン動画」とか「ビールすごろく」といった分かりやすいツールを配布させていただいて、学校の先生の啓発活動のお役立ちになれればということをやらせていただいております。
右側、グラフでございますけれども、これが20歳未満者の飲酒率でございますが、中学校・高校、アンダーエイジの飲酒率は、ここ10年でいずれも大きく下がってきているところでございまして、こういった取組が幾ばくかでも貢献できているのかなというふうに考えております。
次のページをお願いいたします。
「適正飲酒のススメ」という冊子を毎年、作らせていただいております。特に、昨年に関しましては、飲酒ガイドラインというのが2月に発出されておりますので、これに合わせるような形で内容を改定して作成しております。全国の大学とか企業・団体といったところでの啓発教材として、10万部ほど配布させていただいているところでございます。
右側の妊産婦飲酒防止というところでは、妊産婦の方がよく使われるアプリで「ninaru」というものがございますけれども、こちらのほうに適正飲酒の情報を入れさせていただきまして、ビール酒造組合として発信させていただいているといったような取組でございます。
次のページ、お願いいたします。こちらは「飲み方カエルプロジェクト」というプロジェクトをやらせていただいております。
目標を、上にありますとおり、健康日本21の目標であります生活習慣病リスクを高める飲酒の割合、男女合計で10%以下、女性6.4%以下。これをKGIに置かせていただきまして、このプロジェクトをやることによりまして、この数値にできるだけ近づけていければ、その貢献ができればというふうに考えております。
具体的にどんなことをやっているのかというのが左下なのですけれども、ノミカタ・カエル。カエルのキャラクターを使いまして、少し面白おかしく、分かりやすく。ただ、上にありますとおり、生活習慣病リスクを高める純アルコール量。これは男性1日当たり40gとか女性20gをしっかりと御理解いただく、認知していただくといった取組をさせていただいております。今日は時間の関係で動画は流させていただかないのですけれども、ビール酒造組合のホームページの中に入っていくと動画を見ることができますので、ぜひ御覧いただければと思いますが、こちらの動画の認知率は20%強になっておりまして、これもさらに認知を高めることによりまして行動変容につなげていくことができればと考えております。
真ん中は飲みかえルール6か条。これも飲み方プロジェクトの中でホームページを見ていきますと出てくるものですけれども、例えば第1か条で、ノンアルに置きカエル。2か条でペースからカエル。3か条、飲んだ量は振りカエル等々、カエルに引っかけまして飲み方を変容させていくといったような啓発を行わせていただいております。
次のページ、お願いいたします。こちらはJR西日本様との共同の取組でございまして、2017年より継続してやらせていただいております。
左側にポスターデザインがございますけれども、こういった形で飲酒して酔っぱらった状態で電車に接触しないようにということで啓発活動をやらせていただいております。それでも、昨年、実は7件ほど接触事故があったというような話も聞いておりますので、本年、もうちょっとインパクトの強いデザインに変えて、また取組を進めていきたいということをJR西日本様と進めているところでございます。
次のページをお願いいたします。今のところまでがビール酒造組合の取組でございましたけれども、ここからは加盟各社の取組になります。
まず、アサヒビールの取組でございますが、左上、適正飲酒セミナーの様子が写真で出ておりますけれども、こういった感じでセミナーをやらせていただいております。これは実はアサヒビールだけではなくて、ほかの会社も適正飲酒セミナーというのをやっております。今、どのぐらいの数の聴講者がいるのかなというのをヒアリングしてみましたところ、昨年、2024年の実績でいきますと、4万9000人ぐらいに対してセミナーをビール各社で実施しているというところでございました。
その下、飲酒コントロールというのは、先ほどアルコールウォッチのお話がございましたけれども、アサヒビール社でもこういったアプリを活用した飲酒コントロールの仕組みというのがございます。
また、その下、飲食店向けのコンテンツとして動画です。これは20歳未満のお客様にお酒を提供すると、お店のスタッフも罰せられるんですよといったような啓発の動画を作らせていただいて流しているところでございます。
また、右下、スマドリバー、これは御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、渋谷に常設のバーを造っておりまして、こちらでビールではなくてノンアルコール、アルコール0%とかアルコール0.5%、もしくはアルコール3%のような、必ずしもビールのようなアルコール度数のものではないものを提供するといったバーを展開させていただいて、飲める人も飲めない人も、飲みたい人も飲みたくない人も一緒に楽しめるような取組をしているというのがアサヒビールでございます。
次のページ、キリンビール社の取組でございます。
左下のところを見ていただきますと、ノンアル/低アルコールの製品の選択肢の拡大ということで、こちらはキリンビール社のCSVコミットメントというのがございまして、その中で、例えば2024年でいきますと、このノンアル/低アルの売上前年比を117%にしよう。ノンアル/低アルに関しまして高い目標を掲げることによりまして、企業の中におけるノンアル/低アルの割合を増やそうといったことをやらせていただいております。
また、真ん中、純アルコール量のラベル表記。これは日本の酒類業界の中におきましては、ビール各社が先行してアルコール健康障害対策推進基本計画の第2期の中で示されておりました、酒類事業者は純アルコール量をパッケージに表示するということを実行しているところでございます。
次のページ、サッポロビール社。記載されておりますとおり、先ほどのアサヒビール社と同様に、適正飲酒のセミナーを展開させていただいているというようなお話が記載されてございます。
そして、次のページ、サントリー社。
左上、モデレーション広告とありますけれども、新聞とかYouTubeを使って、こういった啓発広告を流させていただいているところでございます。
また、左下のドリンクスマイル活動というのがありますけれども、こちらに関しましては、昨年11月、東京のミッドタウン日比谷の1階アトリウムにこういったブースを設けまして、自分の適量に合ったお酒を楽しんでもらおうといったような取組をされております。
また、真ん中のところ、ビール酒造組合でも冊子による啓発をやらせていただいておりますが、サントリー社におきましてもこういった冊子を作って、ブラックジャックを模したホワイトジャックというキャラクターが、大学生に特に必要な飲酒の知識を訴えるといった取組をしております。
また、サントリー社におきましては、右下の適正飲酒のアンバサダー制度というものがございまして、社員自らがアンバサダーになって啓発活動を行っている。営業であれば得意先等がございますが、そういった方々に対しまして直接啓発活動をやるといったような取組もされております。
次のページ、オリオン社でございます。オリオン社に関しましては、行政と連携した取組が評価されまして、下のほうにあるような写真、飲酒運転根絶対策優良事業者に認定されたり、その隣、豊見城市でございますが、こちらも適正飲酒推進の優良事業者に認定されたといったような形になっております。
以上でございまして、冒頭申し上げましたとおり、ビール酒造組合、また加盟各社といたしましては、厚生労働省が進めておりますアルコール健康障害対策推進基本計画、また飲酒ガイドラインにのっとりまして、節度ある飲酒の啓発活動に取り組ませていただいているところでございます。
ちょっと駆け足になりましたけれども、以上で説明を終わらせていただきます。
○松下会長 ありがとうございました。
続きまして、渋木委員より御発表をよろしくお願いいたします。
○渋木委員 全国小売酒販組合中央会の渋木と申します。よろしくお願いいたします。
早速、説明のほうに移らせていただきたいと思います。
次のページ、お願いいたします。酒類業界は、製造、卸、小売からなる大きく3層の業態となりますが、私たちは消費者に最も近い小売となります。本日は小売業者の観点から御説明させていただきます。
次、お願いいたします。最初に簡単に組合の概要を申し上げます。全国小売酒販組合中央会は、昭和28年に設立されました。酒類業組合法に基づき、酒税の保全等の協力や、法定研修である酒類販売管理研修の開催など、公益的活動を行う酒類小売業唯一の団体となります。当会の会員は、沖縄県を除く46都道府県にある小売酒販連合会です。さらに、その翼下には原則、税務署管内ごとに約350の小売酒販組合があります。酒販店をはじめ、酒類を扱うコンビニエンスストア、スーパーなどの酒類小売販売場約3万5000軒が小売酒販組合に加入しております。
次、お願いいたします。私たち全国小売酒販組合中央会、連合会、小売酒販組合の活動について御説明いたします。地域に根差した私たち小売酒販組合は、地域の特色を生かした様々な社会貢献活動を行っております。その中で最も代表的ものが20歳未満飲酒防止・飲酒運転撲滅全国統一キャンペーンです。写真は、令和6年度に全国各地で実施されたキャンペーンの一部で、委員の皆様にもキャンペーンを御存じの方、あるいは御覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。回を重ねるごとに実施地域が拡大し、我々組合員だけでなく、多くの皆様に御参加いただけるようになりました。小売酒販組合の行う社会貢献活動として定着し、ありがたいことに地域の皆様にも好評いただいている活動となっております。
次、お願いいたします。平成21年に第1回キャンペーンを実施されて以降、毎年開催しております。令和7年度で17回目となります。ここ数年は、全国で約200か所、7000名ほどの方が参加していただき、組合員をはじめ、国税局や税務署、警察署、そして最近では地域の高校生にも多く御参加いただいております。後援は、国税庁、厚生労働省、警察庁、文部科学省、こども家庭庁の5省庁で、酒類業中央団体連絡協議会をはじめ、酒類を扱う多くの団体に協賛いただいて実施しているものです。
駅や商店街などで行う街頭キャンペーンのほか、学校を訪問し、高校生へ直接、20歳未満飲酒防止について、お話しさせていただくこともございます。令和4年4月に成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたこともあり、18歳もいらっしゃる高校生へのキャンペーンはとても有意義であったと、学校関係者の方から評価をいただいております。
次、お願いいたします。キャンペーンでは、20歳未満飲酒防止と併せて飲酒運転撲滅を訴えております。令和6年11月に改正道路交通法が施行され、自転車の酒気帯び運転が新たに罰則の対象となりました。我々酒販店の取引先である飲食店のほか、4月から実施いたします令和7年度のキャンペーンでは、自動車の飲酒運転撲滅とともに、自転車の飲酒運転についても注意を呼びかけてまいります。
左のほうが、兵庫県西宮小売酒販組合の組合員店舗で、自転車で来店されるお客様や取引先である飲食店に配布しているステッカーです。
また、右は、令和7年度のキャンペーンで配布する予定のポケットティッシュデザインです。令和7年度については、約20万個を用意し、配布することにしております。
次、お願いいたします。続きまして、小売酒販組合の活動として、2つ目の柱となる酒類販売管理研修について申し上げます。
次、お願いいたします。酒類販売管理研修は、平成15年より実施されている法定研修となります。次のページにも参考として載せておりますが、この関係者会議で策定し、平成28年5月に閣議決定されましたアルコール健康障害対策推進基本計画の不適切な飲酒の誘引の防止におきまして、20歳未満の者への販売の禁止の徹底、酒類の特殊性とリスクの知識を習得し、適正な販売管理の確保が図られるよう、酒類販売管理研修の受講を強く促すと明記されました。これが大きな後押しとなりまして、議員立法による酒類販売管理研修の受講義務化が実現いたしました。
酒類販売管理研修は、最新の知識を持ち、酒類の販売管理の確保に当たるため、3年ごとの再受講が義務づけられており、未受講の場合には酒類を販売するのに必要な酒類販売業免許の取消事由となりますが、この法改正により受講率は大きく改善し、現在の受講率はおおむね100%となっております。
次をお願いいたします。こちらは御参考という形になりますので、目を通しておいてください。
次、お願いします。酒類販売管理研修では、全国約15万の酒類小売販売場に1名選任されている酒類販売管理者へ向けて、20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律や、アルコール健康障害対策基本法等の法令、年齢確認の徹底と方法、酒類の陳列場所における表示、酒類が脳や体に与える影響などについて講義をしております。初回は約3時間。3年ごとの再受講の際は、法令が中心となりまして、約2時間の研修となっております。
次、お願いいたします。また、当会では、酒類販売管理研修の重要性に鑑み、昨年8月より、一部地域にて、インターネット環境があれば24時間365日、酒類販売管理研修を受講することができるe-ラーニングによる酒類販売管理研修を実施しております。これにより、離島や研修開催が少ない地域の方の利便性の確保に寄与するとともに、e-ラーニング研修が急な異動等により速やかな受講が必要な方の受け皿としての役割を果たせればと考えております。
動画とチェックテストを組み合わせた研修となりますが、受講者の方からは、チェックテストにより、理解が深まった。店舗を長時間不在とすることが難しいため、e-ラーニング研修があって助かったなど、好意的な御意見を多く頂戴しております。現在、実施地域が限られていますが、順次拡大していければと考えております。
次をお願いいたします。次は、消費者とじかに接する立場にある小売業者として、酒類小売販売場の現状と私たちが考える課題について御説明いたします。
次、お願いいたします。まず1つ目に、酒類の公正取引について申し上げます。国内においても、第1期、第2期のアルコール健康障害対策基本計画における不適切な飲酒の誘引の防止の販売に、酒類業者には、致酔性、依存性等の酒類の特殊性を踏まえた販売価格を設定することが望まれるとあります。飲酒環境の整備における酒類の価格の重要性は、委員の皆様にも深く御理解いただいているものと思います。
次、お願いいたします。また、2010年5月の第63回WHO総会において全会一致で採択された、アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略で示された政策オプションと介入策の中の領域7に価格設定政策があります。特に、価格については、スライドの四角の中に記載のあるとおり、アルコール飲料の値上げは、アルコールの有害使用を減少させる最も効果的な介入策の一つであるとされております。
次、お願いいたします。もともと酒類はおとり商品として扱われやすい商材であると言えます。この表は、公正取引委員会の不当廉売注意件数の推移となりますが、グラフのブルーの部分は酒類です。左のほうを見ていただくと分かるとおり、6割程度を酒類が占めるなど、長年、酒類は最も廉売、安売りが多い商品でした。しかし、真ん中、平成29年を境に酒類の注意件数が減少しています。これはこの年、この後申し上げる酒類の公正な取引の基準という価格の新たなルールが平成29年6月に施行されたことによるものです。
次、お願いいたします。酒類の価格については、独占禁止法のほか、平成18年に国税庁が発出した酒類の公正な取引のための指針というルールがありました。しかし、この指針には罰則が規定されておらず、先ほど御覧いただいたように、販売場過多の状況と相まって、酒類の廉売、安売りは後を絶ちませんでした。酒類の行き過ぎた価格競争は、20歳未満の者の飲酒やアルコール健康障害を助長させる可能性もあること。そして、先ほど申し上げたWHOをはじめとする世界的潮流を背景に、私たち小売酒販組合では罰則つきの価格の改正のルールの策定を求め、平成29年に酒類の公正な取引に関する基準が施行されています。
この基準は、平成18年に国税庁が発出した酒類の価格についての指針を一部法制化したものです。基準に違反した者は、段階的な措置を経て免許の取消しとなるもので、新たなる価格のルールができたと言えます。
次をお願いいたします。こちらは酒類の公正な取引の基準に基づく指示件数です。施行する国税庁では、調査やフォローアップにも努めていただいております。国税庁には、深度のある調査を継続していただくとともに、調査等に対し、全国津々浦々にある小売酒販組合を活用していただけないかと要望しているところです。
次、お願いいたします。酒類の価格設定政策については、アルコール健康障害との関係性が深いとされており、酒類の価格のルールである酒類の公正な取引の基準や独占禁止法等の厳格運用がなされることが、真の国民の利益のために重要であると考えております。私たち小売酒販組合といたしましては、この酒類の公正な取引の基準や独占禁止法といった酒類の価格のルールが遵守されているか、また、その運用状態についても引き続き注視してまいりたいと思います。
次、お願いいたします。次に、近年、多く見かけるようになりました無人レジ、完全無人店舗について申し上げます。小売業においては、人材不足への対応として様々な取組がされていますが、省人化や省力化の手段として無人レジが普及しています。現在多くある無人レジについては、酒類の購入に際して従業員による年齢確認が行われるものが中心です。
しかし、最近ではマイナンバーカードや運転免許証などを読み込むことで年齢確認を実施し、従業員が全く関わらずとも酒類の購入ができる店舗も多く出現しています。このような無人レジの場合、基本的にはバックヤードなど、店舗内のどこかに人がいる無人店舗。一方で、店舗内に誰も人がいない完全無人店舗での酒類の販売を求める要望が、昨年、経済団体より提出されました。国の推進するDXについては理解しておりますが、酒類の特殊性から、このような販売方法を取る完全無人店舗が増加していくことを、我々としては非常に強く懸念しております。
次、お願いいたします。無人レジや完全無人店舗については、私たち小売酒販組合では次のように考えております。年齢確認は、デジタル技術の向上により問題なく実施できるものと思いますが、酒類の特殊性を踏まえ、年齢確認のみならず、飲酒に起因する各種の事件・事故、販売トラブルの防止や泥酔者、アルコール健康障害の方への配慮、未然防止等の社会的要請に応える必要から、無人レジ、完全無人店舗は酒類の販売には適さないものと考えております。
また、諸外国に比べて、我が国の酒類の販売や飲酒については規制が少なく、24時間365日、いつでも酒類を購入し、飲むことが可能です。販売に際して、これ以上ハードルを下げる必要はなく、利便性やデジタル化は酒類の販売にはなじみません。対面販売を原則とし、特に完全無人店舗での酒類の販売については反対の立場であります。
次、お願いいたします。今、申し上げたように、無人レジ、無人店舗はできないようにしていただければと思っております。
次、お願いいたします。私自身も東京で酒販店を営んでいますが、私たち酒販店、まちの酒屋は、地域に根差し、顔が見える販売をしているのが大きな特徴です。また、今は減りましたが、御用聞きや、さらに消防団や保護司など、様々な活動をしている者が多くおります。小売酒販組合の組合員の約7割がこのようなまちの酒屋となります。酒類小売業免許の規制緩和以降、コンビニエンスストア、ドラッグストアなど、酒類を扱う事業者が増えましたが、小売酒販組合への新規加入は進んでおらず、現在の組織率は約20%です。酒類を扱う者の責任として、キャンペーンをはじめとする社会貢献活動を全国で今後も展開・開催していくために、国税庁にも御相談、御助力をいただきながら、様々な業態の皆様にも加入いただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
酒類に起因する様々な問題・課題等を申し上げましたが、酒類が人々の生活に豊さと潤いを与えるとともに、酒類の伝統と文化は私たちの生活に深く深く浸透しております。これからも適切な飲酒環境を目指してまいりたいと思います。
ありがとうございます。長々とすみませんでした。
○松下会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの小野里委員、渋木委員のお二人からの御発言について、御意見、御質問をお願いしたいと思います。発言時は、会場参加の委員は挙手の上、オンライン参加の委員は挙手機能を御使用いただいて、私のほうで指名させていただきますので、御発言いただくよう御協力をよろしくお願いいたします。それでは、いかがでしょうか。
上村真也委員、まず、お願いします。続きまして、小松委員。あと、会場の委員、お願いします。
○上村(真)委員 読売新聞の上村と言います。
ビール酒造組合の皆さん、全国小売酒販組合中央会の皆さんが適正飲酒に関して啓発活動に力を入れていただいていることに、まず敬意を表したいと思います。ありがとうございます。その一方で、サントリーと京浜急行電鉄で蒲田駅の駅名にお酒の名前をつけて、駅のホームで飲酒できるようなイベントを開くということがありました。これにはASKさんの申入れでイベントを縮小する形の流れになったと聞いているんですけれども、この騒動の中で、ASKさんの側にも誹謗中傷が殺到するとか、ちょっと不幸な経緯をたどったというふうに認識しております。
せっかくメーカーの皆さんや小売の皆さんが適正飲酒を正しく啓発しても、こういう不幸な一件によって、積み上げてきた啓発の歴史というものが水の泡になってしまうようなケースもあると思うので、こういう啓発をしていますよと取り組むのももちろん大事なんですが、こういうキャンペーンはやめましたという形の、マイナスをゼロにするような取組も並行して進めていくことができれば、より適正飲酒に対する実効性が高まるのではないかと思っています。
その上でお尋ねなんですけれども、アルコールの広告をめぐっては、酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準というものを設けておられると思うんですが、これは適宜見直されているかと思いますが、直近にいつ改正していて、今後、何か改正の予定であるとか、そういったものが決まっていたりとかしますでしょうか。また、もしその予定があるような場合は、どのような問題意識を皆さんが持たれているのかという部分も教えていただきたいと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、小野里委員、お願いします。
○小野里委員 御質問ありがとうございました。
まず、ビール個社、加盟社の蒲田でのイベントに関しましては、今回に関しましてはビール酒造組合という形で参加させていただいております。今回のイベントはRTDのイベントだったかと思いますので、回答を差し控えさせていただきますのと。
もう一つ、自主基準のお話がございました。自主基準に関しましては、硬直的なものではなくて、必要があれば改定していくということでやっておりますけれども、直近の改定、2024年の改定というのはございませんでした。必要に応じて改定していきたいと考えております。
○松下会長 どうもありがとうございました。
続いて、小松委員、お願いします。小松先生、Wi-Fiの状況がよくないみたいですが。申し訳ないんですが、後ほどとさせていただいて、会場の委員から何人か挙手があったと思います。
では、塚本委員、お願いします。
○塚本委員 ASKの塚本です。
先ほどの話もありましたけれども、小野里委員の説明の中で2つ意見がありました。
1つは、ホーム転落の対応について。とてもいい取組だなと思っていたんですけれども、ASKとして気になったのは、昨年、駅看板を商品名にしたり、駅のホームを酒場にするような事案があったことです。交通広告の効果が高いということは、もう組合としても重々承知だと思いますが、一方で、控えることをやりつつ、売ることをする。そこの難しさはあると思うんですけれども、だからこそ自主基準の徹底が必要なのではないでしょうか。先ほど、いつ頃やったのか分からないというか、ちょっと曖昧な感じの答えでもあったので、継続的な自主基準の見直しが必要なのだと思いました。
もう一つ、私、気になったのが、適正飲酒セミナーというものを4万9000人に受講してもらったという話をしていて、これもすごいいいことだなと思って聞いていたんですけれども、一方でヒヤリハットのような事案。例えば、大学で未成年の飲酒の問題があって救急搬送されて、死亡には至らなかったような場合があったときに、ASKのほうに問合せといいますか、適正飲酒セミナーみたいなものを対象者に向けてやってほしいということが結構あるんですね。そういったところに行くと、学校で、例えば大学生1年生の新入生に飲酒セミナーをやっていたかと聞くと、やっていないというところがほとんどです。
大学側にどうしてやらないのか話を聞くと、大学側のほうとしては結構反応が薄かったりするんです。関わる省庁として厚生労働省、今日、文部科学省の人も来ているので、中高生だけではなくて、大学生の人たちに飲酒について学んでもらう機会を作ってください。大学によっては、結構ちゃんとやっているところもありますが、そのばらつきは結構ひどいなと思う事例が結構あります。それを適正飲酒セミナーとつなげることができるのではないかと感じました。
渋木委員に対して1つありまして、最後のほうに言われたコンビニの無人販売についてですが、ASKでは飲酒運転の全国の事例を集めたメールマガジンを毎月1回発行しておりまして、そのメールマガジンを見ていくとコンビニの店員から通報という例が結構あるんです。それこそ警察とコンビニが連携して通報のやり方を学ぶというか、そういう訓練をしていて効果があったりするので、無人販売はどうなのだろうと、お話を聞いて思いました。なので、強く反対を求めますというのも納得しました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
何かコメント、よろしいですか。
○渋木委員 今の飲酒運転の撲滅のことに関してですけれども、非常にいいお話を聞かせていただきまして、ありがとうございます。ただ、小売酒販店が20%ほどの組織率になっているということで、ほとんどのコンビニエンスさんのほうでは入っていない方のほうが多いので、そこの部分で言うのはなかなか難しいです。今の中で1つ言えるのは、コンビニエンスは無人レジではあるんですけれども、無人店舗ではないんです。人がいる。見る方がいらっしゃる。無人店舗をやっていくということは、そういう面で言えば非常に危険性があるのではないか。通報じゃないですけれども、こういうことがありましたというものが見えないのは危ないと思いますので、今のお言葉に協力という形で、無人店舗に対しましては強く反対を続けさせていただきたいと思います。
○小野里委員 御意見、御質問ありがとうございました。
まず、表示基準に関しましては、ちょっと分かりづらい表現だったかもしれませんけれども、2024年には改定がございませんでした。
それから、大学生に対する適正飲酒セミナーの部分でございますけれども、我々もアルコールの有害な使用の低減というのは本当にやりたいことでございますので、関係省庁のお力もお借りして、ぜひ大学生を含めて広げていきたいという思いがございます。
また、今、ネットの時代でございますので、リアルでやるのが一番いいかなと思うんですけれども、先ほどの啓発動画等も含めまして、ネットの力も借りて、より多くの消費者の皆様にアルコールの有害な使用がなされないように、そういったような取組をしていきたいなと考えております。ありがとうございます。
○松下会長 どうもありがとうございました。
それでは、小松委員。
○小松委員 いつもと違うところでつないでおりまして、電波状況が悪いので画面オフで発言させていただきます。
先ほど切れてしまったのですけれども、広告の自主基準は2024年、改定なしというお話でしたが、交通広告と言うんでしょうか、私、あまり広告は詳しくないのであれなんですが、駅とかにバーンと全部、通勤とか通学していたら嫌でも見なければいけないようなものは規制があったほうがというか、ほかの国ではやっていないと思うので、ぜひ検討していただきたいというのが1点と。
それから、先ほど小売酒販組合中央会さんからあった完全無人店舗。塚本委員からもありましたけれども、私もとても賛成で、全く人がいないところで売るというのはとてもまずいと思います。WHOのアルコールの有害使用を低減する戦略の中で、ベストバイとWHOが言っているのは、お酒へのアクセスをとにかくきちんと規制するというところがすごく大事なんだけれども、日本はそれがとても遅れているということはずっと指摘されていますので。いま以上にずるずると24時間。例えば、taspoのときもそうでしたけれども、借りてアクセスしようとする人たちは必ず出てくると思うんですね。だけれども、バックヤードに人がいたりすれば、その辺は違ってくると思うので、完全無人店舗で売るのは世界の趨勢に逆行していると思います。
以上でございます。
○松下会長 どうもありがとうございました。
お時間、少しあるんですけれども、ほかに何か御質問、コメントございましたらお願いいたします。
金城委員、お願いします。
○金城委員 金城です。
1点は小野里委員に質問ですけれども、今回、見せていただいた啓発活動というので、20歳未満の飲酒を防止するという点ではよいと思うんですけれども、一方で、ビール組合、酒造組合が啓発するということで、宣伝の部分と啓発の部分はすごく微妙なラインのところがあるのかなと思います。例えば、今回、資料の中で挙げていただいている、細かくは見えないですけれども、「ビールすごろく」を見ると、ビールがよくもなるし、悪くもなるしという両方のメッセージが入っていて、お子さんたちにダイレクトに20歳未満での飲酒がいけないということにつながるのかどうか。逆に、それによって飲酒に対して興味を持ってしまうというところの微妙なラインに関する工夫というのをされているのかどうかというのが1点です。
もう一点は、渋木委員の御発表に関して、私も無人販売原則禁止に賛成するところです。その中で、今回、不当廉売の数が減少してきているというのがありますが、インターネット等での販売に関しては、この不当廉売の中に入っているのか、この小売組合というところで、対面での販売以外にインターネットでの販売というのを含めておられるのかどうか、というところをお聞きできればと思います。よろしくお願いします。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、小野里委員、お願いします。
○小野里委員 御質問ありがとうございました。
まず、「ビールすごろく」に関しましては、広告要素は全くございませんで、あくまで啓発のツールという形になっております。手のひらマークの広告のところにもございましたけれども、このぐらいだったらビールを飲むのは許されるんではないかみたいなグレーのところを潰し込むような、潰し込むと言うとちょっと固い表現ですが、そこを柔らかくゲーム感覚で、すごろくで学んでいただくといったツールになっています。
例えば、お正月だったか、親戚が集まったときに年長者から勧められて、ちょっとぐらいならいいと思って飲んでしまいましたみたいなことは駄目なんですけれども、もしかすると目上の人が勧めるんだからいいとか、年に1回のお祝い事なんだからいいみたいな認識があるんであれば、それは違いますというのを分かりやすく訴求するようなツールでございますので、組合のホームページのほうにデジタル版のすごろくもございますので、ぜひ一度お試しいただければなと思っております。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、渋木委員、お願いします。
○渋木委員 ただいまのインターネットのことに関して、価格なんですけれども、酒類の公正な取引に対する基準とか指針というものは、販売・商売という形でやっていく場合は利潤を生まなければならない。そこのところで販管費という販売管理に対しての経費というものを仕入れのところに上乗せして、それで適正な価格を出せという形のものがありまして、それが非常に曖昧になって、そこの部分をほかの販売管理の部分から差し引いたりして安く店頭で売るという形になっております。
ただ、インターネットであまりにも安いものは見ていると思うんですけれども、今、インターネットのほうで反対に問題になっているのは、厳格に20歳未満であるかどうかというところをどのように見ているかというのが、ちょっと難しいのではないかということがあるのですけれども、インターネットに関しましては、このぐらいのお話しかできないので、深くは分かりません。申し訳ございません。また調べてみます。
○松下会長 ありがとうございました。
では、米山委員から挙手いただいていますが、米山委員を最後にしたいと思います。よろしくお願いします。
○米山委員 私からビール酒造組合の小野里さんに質問です。
先ほど上村委員からもサントリーの会社の事案が報告されて質問が出されていたんですけれども、教育や啓発を目指す部門と販促を目指す部門との内部のあつれきといいますか、そういったことが酒造会社の中で、これはサントリーさんに限らず、いろいろなところであるんじゃないかと思うんですね。そういう意味では、アルコールに関する啓発教育に関しては、ビール酒造組合という組合だけではなくて、同じ会社でもビール部門、ほかのお酒部門、いろいろあると思いますので、全体的な取組が必要なのではないかと思うんですけれども、そういったことについて、どうお考えか教えていただきたいと思います。
○松下会長 ありがとうございます。
それでは、小野里委員、お願いします。
○小野里委員 御質問ありがとうございました。
本日、私はビール酒造組合として来ておりますけれども、加盟各社は各社で製造している酒類に応じた組合に加盟しておりまして、例えば蒸留酒組合とか洋酒酒造組合といった組合にも加盟して、それぞれで適正飲酒の啓発活動というのを行っているところでございます。ですので、ビール酒造組合だけで啓発しているのではないというのが1つ。
それから、先ほど各加盟社の事例を紹介させていただきましたけれども、今はそれぞれの組合団体だけで啓発活動しているということではなくて、各加盟社でも積極的に適正飲酒の啓発活動というのをさせていただいております。というのは、各社におきましても、ただお酒を造って売ればいいという感覚はもはやございませんで、アルコールの有害な使用の低減とセットで取り組んでいかないと酒類業界の未来はないというふうに考えております。非常に重要課題として、各社、取り組ませていただいているところでございます。
○松下会長 ありがとうございました。
まだ御質問等あるかもしれませんが、次の発表もございますので、質疑応答はこれまでとしたいと思います。
○米山委員 すみません、松下先生、一言よろしいですか。
○松下会長 どうぞ。
○米山委員 小野里委員、ありがとうございました。
ただ、酒類別の組合で縦割りで対応されているというのが現状だと思いますので、もう少し縦割りの垣根を取り払って、企業・業界で対応するという体制をぜひ今後、お考えいただけるといいのかなというふうに個人的には思っております。よろしくお願いいたします。
○小野里委員 御指摘ありがとうございました。
先ほど言い足りなかったところで、言葉足らずで申し訳ありません。酒中連という団体がございまして、ビール酒造組合ですとか、先ほど申し上げました日本洋酒酒造組合、日本蒸留酒酒造組合、また、渋木委員もおられます全国小売酒販組合中央会等々が9団体で酒中連という団体を形成しております。その中でも啓発活動の話を連携を取ってやるような形になっております。まだ完全にできているということではないのかなという御指摘かと思いますので、しっかりやっていきたいと思います。
○米山委員 ありがとうございました。
○松下会長 もし、まだ何か御意見等ございましたら、後日、個別に事務局まで連絡いただきたいと思います。
続きまして、山本参考人より御発表をよろしくお願いいたします。
○山本参考人 国際医療福祉大学の山本由紀と申します。東京・渋谷で遠藤嗜癖問題相談室というアディクションのカウンセリングルームを仲間と開いて、もう33年になるところでございます。
本日のプレゼンテーションの内容ですけれども、飲酒に関するこども家庭の相談実践から見えること。そして、その後でこども家庭やヤングケアラー支援施策とアルコール健康障害対策推進基本計画との関係について触れられたらと思います。最後に、依存症の家庭のこどもだけを扱った全国研究があまりなくて、メンタルヘルスの課題(依存症を含む)がある親と暮らすこどもの困難に関する研究から少し御紹介して、実践と関係があるということをお示しできればと思います。
次、お願いします。来談者の立場というところまで進んでください。その前は、これから御報告するこどもの困難を視覚化した、相談室はこういうところですということを紹介したものです。特別にこども家庭とか児童福祉に関する実践の場では全然ありませんで、普通のアディクションの相談室ですが、10代から80代までの広い相談があります。ここ1~2年に限った新規のものだけをちょっとまとめています。
来談者の立場のところを見ていただくと、私たちからは妻であり、母である、父であるという家族の立場なんですが、受付表は「どなたのことで」というところに御自身のことでとつけている方が多いですね。役割で見ずに、家族自身にニーズがあるということがよく分かります。
次の問題のアセスメントのほうへ行きますと、これもこどもの相談に来るわけではなくて、いろいろな相談にいらっしゃるんですが、こちら側が家族全体を視野に入れていると、背後にこどもの苦難が見えてくる。赤丸で示したものは、主訴は違いますけれども、こどもが巻き込まれているだろうなというふうに想像できる問題です。
次、お願いします。依存症の家庭のこどもたちの困難は、アダルトチルドレンという名前で1990年頃から依存症の支援領域では有名になっております。カウンセリングルームなどには、いまだにACを自認した人たちが自分の苦しかった家庭の話や影響を洗い出すために登場してまいります。このACのアセスメントができる、これを目的としたカウンセリングが、いまだにうちの相談室は数多くあります。
次、お願いします。そのACのカウンセリングの語りに例えて、そこから見られるこども時代の生活困難エピソードを抽出してみました。精神的な大変さもさることながら、いわゆる生活困難を抱えてきたということがとても目につきます。
食事がない。勉強する環境がない。家の整頓と清掃が行われていない。通学、親は起きられないので、自分で起きて登校するので、いつも遅刻した。居場所が家にも学校にもない。アルコール問題と暴力がくっついていると、安全な場がない。これは全部、私が体験したケースですけれども、母親と妹はシェルターに何とか逃げてもらったけれども、高校生だった男の子はシェルターが使えないので、しようがないので知人宅を泊まり歩くみたいなこともありました。そして、父・母とも家を一旦出てしまった時期は、高校生はそのまま電気・水道が止められて生活したというようなエピソードも聞いています。サバイバーとして本当によく生き延びたねというふうに評価するんですけれども、リアルな時点で何かできなかったかなというふうに思います。
次、お願いします。それから、リアルなニーズを語るケースもあります。AC云々の前に、まずは自分がどう生活したらいいんだろう、どう生きていったらいいんだろうかというところのケースです。
1行エピソードにまとめたスライドですが、上の3件は生活保護の担当者や関係者からの紹介で、父親がアルコールで入退院を繰り返しているけれども、それに付き添うので定職に就かずにいるという高校中退生。
次は、ネグレクトで時々見られるんですが、心臓疾患になるほどの肥満で対人関係の問題があって、仕事もできていないという女性です。自分の問題ではなく父親のアルコール問題で離脱症状のてんかんに対応し救急車を呼んだり、母親がうつで通院に付き添ったり、事業所にお母さんが行くのを励ましたり、両親へそんな役割をしていた方もいらっしゃいます。
後半のDから下は、妻の立場の相談、依存症当事者である母親のカウンセリング、依存症当事者である父親のカウンセリング、叔父のカウンセリングなどから、背後にいるこどもがリアルに大変な状況であるということが発覚したというケースです。これも母親や父親の相談だけでなく、お子さんもつなげたほうがいいですねということで、最終的にはこどもも相談室につながっています。つながらないケースももちろんありまして、こどもがどうなっただろうかというふうに気になるまま終結するということも、とても多くあります。
次、お願いします。こういうケースに関して、うちの相談室は全員が公認心理師を持つソーシャルワーカーで、社会的な支援もとても意識しております。なかなか資源がないので、使えるものは何でも使うぐらいの形で、時には家からの分離、施設やアパート探し、就労の応援、生活相談。自助グループの紹介はもちろんですけれども、地域によっては、自助グループがなく、苦労しております。
それから、行政のこども家庭支援サービスを利用したり、人によってはトラウマへの心理教育と認知行動療法を中心とした包括的な支援をしたり、まさにいろいろなできることを、そのこどもに必要なことを支援してまいりました。ただ、こういう有料の相談室に来る方は限られていますので、直接のこども若者支援施策がもっと十分にならないかなというふうにいつも思っておりました。
次、お願いします。依存症家族のこどもたちへの支援で足りなかったものは何だろうということを、ちょっと図式しています。虐待が発見されれば、それについては児相と連携して介入もしますし、依存症の家庭で育った影響を認めた方、ACというのは自認が前提になってきますので、そういう方たちは、大人になってから、カウンセリングに来ることがあります。そして、影響を受けた上で、次世代の依存症やメンタルヘルスの問題が生じた方は、患者として心療内科や精神科に登場します。でも、必要だったのは、その間の日々の生活支援で、こどもが健全に育成される権利を保障して、まず、当たり前に地域で暮らすための支援が少なかったんじゃないかと思います。
次、お願いします。まとめたものですので、これは省かせていただいて、もう1枚進んでいただきまして、うちの相談室もそうですけれども、こどもの領域の支援の場でなくても、医療や相談の場でできることが何かあるのではないかというふうに思います。こどもへの直接の対応はなかなか限られますけれども、本人、キーパーソンとしての家族が相談に出てきている、家族会につながっているならば、その家族を通してこどもの権利擁護的な活動が関われるのではないか。
それから、有料になると難しいんですが、こどもの受ける影響を緩和するために、こどもプログラムというものも一部の病院では行われていますけれども、こういうものが広がっていかないかなというふうに思っています。
次、お願いします。では、近年のこども家庭・ヤングケアラー支援施策はどうなっているかということを少しお示ししました。これは少し進んできていまして、児童福祉法が改正されたり、それから、昨年ですけれども、子ども若者育成支援推進法が改正されまして、ヤングケアラーへの支援というものがもう文言化されております。アルコール健康障害対策推進計画はこうしたこども若者支援と連動して何か考えていけないかなというふうに思っています。
次、お願いします。依存症の家庭は、じゃ、ヤングケアラーなんでしょうか。こども家庭庁の支援策のホームページを見てみますと、ヤングケアラーの10例のうち、アルコール・薬物・ギャンブル問題を抱える家族に対応するこどもがちゃんと紹介されています。そして、こどもたちは自分ではSOSを出しませんので、援助職あるいは関係機関は、ヤングケアラーの発見・把握の入り口になるということが求められていることが掲げられています。
次の絵のところをお願いします。左の下にこんなふうに紹介されています。寝転がっているお父さんの前で、こどもが酒瓶を片づけている絵ですね。
次、お願いします。こういう役割を本当はさせたくなくて、この役割から解放させたいところなんですが、ACの視点で言うと、こういうケアテイカーだけじゃなくて、母親と一緒になって問題解決を図るヒーロー役。家から忘れられているロストチャイルド役。この家族、変ということで自分がアクティングアウトを起こしていくスケープゴート役。家が暗いといって明るく道化に徹するピエロ役。巻き込まれていろいろなこどもがいるということです。
次、お願いします。厚労省が2019年に行っている委託調査ですけれども、ヤングケアラーの実態調査があります。これの飲酒問題の親を中心に、ちょっと抜粋してみます。要保護児童対策地域協議会に上がっているケースを調査したものですけれども、ケアの相手として父親に絞ると、アルコール依存症の割合がほかに比べて高いということが出ています。精神保健福祉士の調査だと、母親がアルコール依存症という方に対応しているケースが多くて、つまり、これは氷山の一角ではないかなと思っています。依存症の家庭のこどもたちは、この調査によると、学校を欠席したり、教育上の困難があるこどもの割合が高かったり、関係を壊したり、行動上の感情面の問題が生じやすかったり、メンタルヘルスの問題が生じやすいということも分かっています。
次、お願いします。ヤングケアラー支援に関する国の横断的な通知をちょっと紹介します。既に障害福祉・高齢者福祉の中では、簡単に言うとヤングケアラーは介護力とみなすなというふうに通知が出ています。そして、医療・精神科医療の中では、診療報酬の中でこどもの困難に気づく役割。そして、そこから支援を始める役割。それをすると診療報酬に反映されるということが少し入り始めました。
2枚めくってください。そして、私が仲間と調査した、精神保保福祉士がヤングケアラーをどう見ているか。これは依存症の親に限らず一般精神障害にかかわるワーカーたち対象です。でも、その20%が依存症の家庭に対応していると上げてくださっているものです。直近1年で5割近くの方がヤングケアラーを日常の相談活動の中で見つけていて、見つけている方は何らかの対応を既に5割にしているということです。
それから、危機介入や症状に対応しているということも意見が寄せられています。シングルペアレントの場合は生活支援が必要だということも意見が寄せられていて、そして10代になると、メンタルヘルスの問題が生じていく印象があるという意見も寄せられています。
2枚めくってください。所属機関の種別ごとのヤングケアラーの概念に関する認識を調査したんですけれども、医療機関や障害福祉サービスの機関に勤めているワーカーたちの半分が、ヤングケアラーという言葉は知っているけれども、業務を通して特別に何もしていないと答えています。ここについてもう少し具体的な動きができるようになればと思います。
次、お願いします。アルコール健康障害対策推進計画などに家族支援はどのように盛り込まれているかということですけれども、家族支援についてはたくさん触れられています。ただ、それが相談に行ける家族を前提としているということで、SOSを出さない家族に対しては、まだ何も盛り込まれていないということが分かります。
次、お願いします。今、私、栃木県にいるので、特に栃木県のほうは検討委員に入っていまして、昨年の計画には依存症に対応する家族等のケアラー(ヤングケアラーを含む)に気づいた場合、必要に応じて相談機関につなぐことを入れてもらいました。栃木県はケアラー支援条例があるので、この辺はスムーズだったんですが、こうした計画に少しでも盛り込んで、資源がまだまだないところですけれども、少しでも支援が始められたら、まずは気づくことから始められたらというふうに思います。
この後は参考資料でして、今日、ちょっと時間がありませんが、ヤングケアラーの行政における支援だけでは足りないということを言いたくてつけたものです。メンタルヘルスの課題がある親と暮らすこどもの困難の先行研究ですけれども、具体的な独特のニーズがあります。特に、症状が分からずに巻き込まれてしまう。危機に立ち会ってしまう。長期的な影響は、とても深刻な、複雑でPTSDのようなものまであるということ。
それから、生理的な欲求から安全の欲求、社会的・愛着の欲求というようなことから自己実現欲求に至るまで、こども一人一人が必要なニーズが違うということがある。それを私たちはぜひ行政やこども家庭の支援のところと手をつなぎながら、あるいは現場の中でできる支援を始められないか。まずは、計画の中に盛り込んでいただけたらと思います。
以上です。
○松下会長 どうもありがとうございました。
続きまして、長嶺参考人より御発表をよろしくお願いいたします。
○長嶺参考人 皆様、初めまして。沖縄県那覇断酒会家族会員の長嶺と申します。本日は「アルコール依存症の親を持つこどもの立場から願う支援」ということでお話しをさせていただければと思います。文章の多い資料となってしまい、申し訳ございませんが、私の体験と交えてお話しさせていただければと思います。よろしくお願いします。
私ですけれども、簡単に自己紹介だけさせてください。先ほど申しましたアルコール依存症のこどもの立場になります。当事者は父親ですが、母方の祖父も父の後にアルコール依存症と診断が出まして、世代連鎖した家庭に育っております。父の依存症の発症前に、私自身、中学校不登校を経験して、中学校は通っておりません。そういった経緯があり、今回、このようなチャンスをいただくことができました。
父親ですけれども、依存症と診断されてから16年間、断酒することなくずっと飲み続けまして、2019年に救急搬送されて2020年のパンデミック直前に亡くなりました。その後から私のほうでも気持ちの整理、大変ということで自助グループに深く関わらせていただき、今日があります。そのため、自分の経験を踏まえて家族支援が何かできないかということで、こちらには書いていないんですけれども、沖縄オンライン家族会ということで公式LINEを立ち上げて、1人でも多く家族の方が救われたらいいなということで、情報配信を行う活動を行わせていただいております。
次のページ、お願いします。簡単に私の父親との経験を、本日、ヤングケアラーのお話なんですけれども、依存症の父親との関わり方も私の人生に大きく影響を及ぼしておりますので、かいつまんでお話しさせてください。いわゆるアルコール依存症、飲んだくれているという印象ですけれども、24時間365日、飲んでいる父親。大げさに言いますと、浮浪者と生活しているような状況が家庭内に起こります。そうしますと、視覚的にも嗅覚的にも、五感で常に家の中が緊張状態という中に暮らしていくことになります。私は、これを思春期のときから経験しております。そうすると、どんどん気持ちが追い詰められていったり、自己肯定感も下がる人格形成につながったと私は考えております。
次のページ、お願いします。アルコール依存症と向き合っていく中で、病気と理解することはできました。ですけれども、本人を止めるのはとても大変です。やめるきっかけを私たち家族はたくさん模索するんですけれども、時間も気力もどんどん消費されていきます。その中で、私たち家族は、家族会に行きなさい、自助グループに行きなさいというだけで、何ら支援を受けることはできませんでした。
どんどん衰弱していき、酒量が増していく父親を見ていく中で、私の中でだんだん攻撃的な気持ちが湧いてきます。親の死を願うというこどもの心境が湧いてくるんですね。ちょっと過激かもしれないですけれども、私は父親の飲み残した水割りのコップにハイターを入れたらどうなるかなと考えたことがあります。それで私が警察に捕まってもいいかな。それで家の何かが変わるんだったらいいかなと考えるような心境です。私のこの例は過激かもしれないですけれども、それに近いことを願うぐらい家族が追い込まれるということを御理解いただければと思います。
では、ヤングケアラーとしての一面、次のページ、お願いします。アルコール依存症当事者の父親に対して、ヤングケアラーだったんじゃないかという面ですけれども、先ほど山本参考人のお酒の瓶などの片づけのイラストがあったと思うんですけれども、それだけではないんです。ちょっと汚い話ですが、吐しゃ物や排泄物の片づけも家族はしなければなりません。イメージしてほしいんですけれども、要介護者になってしまった方をケアするのはとても大変ですけれども、そういう認定が下りていない人間の下の世話をするというのは、とても悲しいことです。
また、私の家のほうでは異性トラブルもありまして、裁判も行いました。その資料をつくったのは私です。父親と相手方のやり取りの資料作成をしました。これは私の中でトラウマになっており、今でもまだクリアできていない壁となっております。
次、お願いいたします。ヤングケアラーとしての一面の2ですけれども、母親に対して。こちら、少しボリュームを持ってお話ししたいと思っております。ヤングケアラーのお話をいただいたときに、私が該当するのかというのはよく分かりませんでした。ですが、いろいろ解説していただいた中で、私がずっとやってきたこと、母親のカウンセラーやメンターの役割。そして、私にきょうだいが3人おりますが、4人全員が母親からの気持ちの掃きだめ役をやってきた経緯があります。長いときには、休日に3時間とか、長電話で延々と母親の愚痴を聞くこととかも、以前やっておりました。
母親も自分を何とか奮い立たせようとするんですけれども、だんだん気力が消耗してきます。そうしてくると、自己決定力がだんだん失われていく状況が起きていきました。そうすると、私たちこどもに何とかしてほしい。自分じゃ決め切れないから何とかしてほしいという決定忌避型思考という思考に陥りがちになって、私は現在、そちらのケアもやっております。
次のページ、お願いします。そういう経緯の16年間、家庭環境にあった中で、こどもの心境として、私の心境ではありますが、ほかの方たちも該当することが多いかと思います。
まず、気持ちのよりどころが家庭内にありません。家庭が安全でない。母親は依存症ではないけれども、父のことでずっと気が立っていて、私たちこどもが甘えたいとか、そういった感情を持ったときにも受け入れられる余力がないというところがあります。それが十何年も続いていきますと、不幸というものが通常運転なんです。幸せを知らないという感覚を送っていく人生になります。これは私の経験で書かせていただきましたけれども、多くの仲間たちと交流する中で、同じような感情を持っている方はとても多かったです。
私は女性ですので、結婚やこども、家庭を持つことも考えたことがあるんですけれども、世代連鎖していく中で、私がそういう結婚とか何か人生のステップを踏むことで、次にまた同じことが生まれるんじゃないかという恐怖と闘うという瞬間も、こどもたちの中にはあるかと思います。
次、お願いします。先ほどから、十何年、依存症の父親といたということをお話ししましたが、長年、依存症と生活していく家族がどうなっていくかという心情的なところをお話しさせてください。
まず、痛みに鈍感になります。自分の心や体の悲鳴に気づけないというのがあります。私もそうでしたが、ほかの家族にもそういった事例が出ております。ほかの御家族さんと交流していく中でも、自分の体のケア、心のケアというところにはとても鈍感だなということを感じております。同じ家族に対してもその状況が出ていくので、それが新たなヤングケアラーや、先ほどありましたアダルトチルドレンにつながっていくのではないかなと考えております。
次、お願いします。まとめですけれども、母親を批判するような激しい言葉を使う形になってしまうんですけれども、実際、母親からの影響がとても大きいなというのを私は感じております。ですが、それを言うことで、女性たち、母親の立場の方、奥様の立場の方に私が悪いんだと思ってほしいわけではありません。そこから回復するチャンスをつかみ取ることを私は申し上げたいと思っております。そうしないと、当事者が回復しても、また次の世代連鎖が生まれてしまったり、当事者が回復するためのきっかけも失ってしまうように私は考えています。
母親を責めてしまうんですけれども、苦労してきたのも私は実際見ています。ただ、そのときにもっと欲しかったなという支援があります。支援者さんたちに、自助グループに行ってくださいとか、家族会で回復してください。家族会には回復した人たちがいますよと教えていただくんですけれども、実際、当事者間の対応とかには、既に会員だったりする方たちは慣れていらっしゃいます。ですが、メンタルヘルスに関しては、大変失礼ながら私たちは素人です。なので、ここをどうしたらいいかというところ。病院に行ってみたらとか、同じ仲間同士でも申し上げることはできません。
そこで言ってほしかったのは、支援者の方々に、あなたの依存症の家族は、少なからず心や体にダメージ、トラウマを抱えているのでカウンセリングを受けてみませんか。お子さんのメンタルヘルスチェックをしてみませんかと言ってほしいということと。あと、CRAFTやアンガーマネジメントなどのコミュニケーションスキルの講座なども開催してくださるところもあります。ですけれども、それは当事者に向けてばかりのお話なんです。いきなり当事者にできないんです。当事者に対応してみて、失敗して、すぐ心が折れてしまう。私自身も心が折れた経験がありますし、折れた御家族さん、たくさん見てきました。それで支援の場から離脱していく方たちもいっぱい見てきました。
なので、支援者の方には、すぐに当事者さんにやるんじゃなくて、お子さんや職場やお友達に練習してから当事者にやってみましょう。自分の口と体が慣れて、思考が慣れてからやっていきましょうというふうに伝えてほしいということをこちらでお話しさせていただきたいと思います。まとめの資料のほうには記載しておらず、後半の御一読くださいという参考資料のほうにその辺は書かせていただいたんですけれども、本日、会議に参加させていただいた中で、ここは言葉で伝えておこうと思いまして、今、申し伝えさせていただきました。
拙い発表ですけれども、私のほうからは以上です。本日はチャンスをいただき、ありがとうございました。以上です。
○松下会長 どうもありがとうございました。
続きまして、白井参考人より御発表をよろしくお願いいたします。
○白井参考人 御紹介いただきました白井明美と申します。父と夫がアルコール依存症を持つアルコール依存症家族です。14年前から川崎断酒新生会つばき家族会とパトリス家族会に所属しています。また、ASK依存症予防教育アドバイザーとして、断酒会の仲間と依存症オンラインルームのスタッフをしています。仕事としては、英語講師として幼稚園生から高校生までのこどもたちと20年以上、関わってきました。本日は、アルコール依存症のある親を持つヤングケアラーとして、有識者の皆様にお伝えできる貴重な機会をいただき、ありがとうございます。提出させていただきました資料に沿って、自分の体験をお話しさせていただきます。
資料、(1)アルコール依存症家族(ヤングケアラー)の中に何が起きているか。私の場合でお話しします。
まず、アルコール依存症当事者の世話についてですが、今、長嶺さんがお話ししましたけれども、うちの父も飲み過ぎて二日酔いになりますと、よく嘔吐していました。私は家の床に嘔吐されないように父を観察して、そうなりそうになったら洗面器の中に新聞紙を敷いて、父の枕元に持っていくことが私の仕事でした。私の父ではありませんが、酔うと家族に暴言、暴力をしたり、何時間もこどもに説教したりする依存症者もいます。それも依存症当事者の病気の症状に合わせているという意味では、こどもが当事者の世話をしていると言えるのではないかと思います。
次に、アルコール依存症によって起きる家庭内の危機対応→親の問題行動の後始末や病気・けがへの対処(常に家の中に緊張感と期待したことが守られない落胆があり、親への不信感が高まる)。私の父は静かなお酒でしたが、母が病的なほどに父がアルコールを飲むことを嫌いました。そのため、アルコールをめぐる両親のけんかが絶えずあり、それを私が仲裁に入ったり、2人の機嫌を取って、けんかを阻止しようとしていました。いつも両親の顔色を伺って、いざ何か起きたときに自分が対処しなくてはと緊張し、身構えていました。父が外に飲みに行くようになり、遅くまで帰ってこないと、繁華街に父を母と探しに行きました。
父がアルコール優先の生活になっていくと、楽しみにしていたイベントもドタキャンになり、約束を守ってもらえませんでした。どうせ期待しても裏切られるんだから、初めから信じるのをやめようと思っていました。また、楽しいことがあっても、父のアルコールのことで、またすぐに事態がひっくり返る不安があり、心から楽しめませんでした。
資料、依存症当事者でないもう片方の親の相談相手、情緒的ケア→こどもには重過ぎる役割を担わされている→それを手放そうとすると罪悪感に襲われ、自分のことを優先できなくなる→自分の感情を抑圧することで親の期待に応えようとする。このことがアルコール依存症のこどもとして、私が一番苦しんだことであり、皆さんにお伝えしたかったことです。
アルコールの問題が出たことで、父は家の中での役割ができなくなり、母がそれを担わなくてはならなくなりました。近所や親族のことや家の経済のこと、夫婦で話し合ったり、相談することができなくなり、代わりを私に求めるようになりました。母は父のことで大変なのだから、私が助けなくてはならないと思いました。そのために頑張らなくては、しっかりしなくてはと思い、10歳くらいでしたが、早く大人にならなくてはなりませんでした。しかし、母が望む行動ができなかったり、自分の気持ちを優先すると罪悪感に襲われてしまうので、自分の感情を抑えることで母の期待に応えようとしているうちに感情が麻痺していきました。
資料、その結果、情緒が安定しない環境の中で自己肯定感が低くなる。母や父から、期待に応えると褒めてもらいましたが、それができないと、自分がもっと頑張らないからだと自分を責めていました。自分のすること、考えることに自信がなく、自己肯定感が低くなっていったかと思います。
資料、人への不信感、人へ頼ることができない。父のアルコールによって、決められたり、語られることにいつも矛盾が起きて混乱するとともに、親も含めて、人を信じてはいけないと思うようになりました。そして、自分の家の中で起きていることは、ほかの人に知られたくなかったです。話してはいけないと思っていました。
資料、こどものときは親に合わせてどうにか頑張ってきたことが、思春期になると心の折り合いがつかなくなり、問題が出る→非行・引きこもり・親への犯行・友達や周りの人たちとのコミュニケーション障害。私の場合は、中学校2年生の頃から苦しくなっていきました。そばに人がいると緊張して、人の視線が気になり、いろいろなことに集中できなくなっていきました。どうしていいのか分からず、保健室の先生に相談に行っていました。友達とのコミュニケーションも、自分の気持ちをうまく伝えられなくて悩みました。
高校に入学して間もなく、学校に行けなくなりました。朝、ベッドから起き上がるのがしんどくなり、母には胃が痛いと言って、しばらく休みました。病院で検査を受けて軽い胃炎だと診断された後、学校に戻りました。母には私のSOSは届きませんでした。大学に入った頃には人がたくさんいる電車に乗るのが怖くなり、ついにもう無理だと思い、母に精神科を受診したいと言ったら、こんないい娘が何でと泣かれてしまい、受診できませんでした。
誰も助けてくれないんだと思っていたときに大学の心理学の先生との出会いがあり、その先生のカウンセリングを受けることができました。ようやく自分の苦しさを理解していただける人に会えたと思いました。しかし、父の病気については話しませんでした。私に起きている心の状態が、病気と診断されていなかったアルコール依存症と関係があるとは思いませんでした。カウンセリングへは、就職して結婚するまで6年間通いました。
資料、成人した後もその影響は続く→親や家族の世話を続け、それができないと罪悪感を持ち、自分の人生を生きづらい。仕事や結婚等の中での人とのコミュニケーションに支障。カウンセリングのおかげで少しずつ気持ちは楽になっていきましたが、母との関係は変わりませんでした。私が結婚してからも、父の相談をされると、自分がどうにかしなくてはいけないと思い、奔走していました。自分の生活もあり、大変だったのですが、自分のことは後回しになっていきました。
資料、苦しさから逃れるために何かに依存する→世代間連鎖(当事者またはその家族になる)。私の場合は、アルコール等に依存はしませんでしたが、仕事にのめり込んだり、何かに取り組むと集中し過ぎて疲れ切ってしまうことがありました。そして、家族への世話焼きが夫に変わり、気がついたらアルコール依存症を持つ夫の妻になっていました。
資料、(2)アルコール家族(ヤングケアラー)への対策としての要望。支援をお願いしたいことです。父はその後、母がつながった断酒会で回復して30年が経ち、私も14年前に断酒会につながり、いろいろな方たちから支援をいただき、夫のアルコールも止まり、断酒歴も10年目に入りました。自分がアルコール依存症の配偶者の立場になって、母の当時の大変さを理解できるようになりました。父が病気だとも分からず、助けも求められず、必死に私たちこどもを育ててくれていたこと。私を頼らずにはいられなかったことも分かりました。もっと早い段階で病気だと気がついて支援につながっていたら、私も母ももっと楽に生きられたのではないかと思います。
そのような経験を経たこどもの立場からお願いしたい支援を挙げさせていただきました。資料、児童(10歳くらいまで)へ。こどもが情緒的ケアを担わなくて済むよう、依存症者でない親への支援をより強化しいただきたいです。依存症でない親を、安心して話せる場所(相談先や家族会)、知識・対処の仕方が学べる場所(家族セミナー、専門病院の家族教室)へつなげていただきたいです。私自身が夫のアルコールの問題に取り組む中で、この2つの場所がとても大切でした。安心して話せる場所である家族会で病気に巻き込まれて混乱した気持ちを話して共感してもらうことで、情緒を安定させながら、家族教室で病気の知識や対処の仕方を学べました。
私には、家族会の先輩たちがアルコール依存症に巻き込まれた家族から回復していこうと、30年以上前に立ち上がったパトリス家族会の家族教室が身近にあり、依存症支援者の方から毎月学ばせていただいてきました。依存症でない親がこういった場所に参加することで健康を取り戻し、知識を得ることで、こどもへの負担が軽減されると思います。
資料、相談機関や家族教室の依存症の知識の中に、こどもが受ける影響、こどもへの声かけについて盛り込む。ありがたいことに、自治体をはじめ、様々な場所でアルコール依存症の家族セミナーが行われていますが、残念ながらアルコール依存症によるこどもへの影響や声かけの仕方についての説明が見られません。ぜひ盛り込んでいただきたいです。
資料、依存症でない親が気持ちを下ろせる家族会への自治体からの支援(親が家族会で依存症者への怒りや不安を話すことで、こどもにぶつけなくて済む)。家族会は、同じ体験をしている仲間の中で安心して話せる、家族にとって安全な場所であり、また、先を行く仲間の体験を聞くことで希望を見出せる場所です。依存症者でない親が家族会の中に自分の居場所を見つけて気持ちが安定することで、こどもが情緒的なケアを親にしなくて済みます。家族会は長い間、草の根活動として地道に活動していますが、場所・資金の確保が厳しいのが現状です。ヤングケアラーの依存症でない親を支える居場所として、もっと自治体からの支援をお願いいたします。
資料、ティーンエイジャーへ。ヤングケアラー全体に、個別に相談できる環境を整備してほしいです。有料カウンセリングに経済的な補助を。こどもの頃からの親のアルコール依存症や、依存症者でない親をケアしてきて心の不調が出たとき、もっと手軽にカウンセリングを受けられるように援助をお願いしたいです。
資料、アルコール家庭のヤングケアラーに対して。専門病院のアルコールこどもプログラム導入の推進(例として、成増厚生病院東京アルコール医療総合センターで実施されているこどもプログラムや思春期プログラム)。こどもの頃につらかったのは、どうしてなのかが分からないことでした。父がお酒を買うために、私の財布からお金を取ってまで飲みたいのはなぜなんだろう。母が、父がアルコールを飲むことにあんなに怒るのは何でなんだろうと思っていました。当時、父がアルコールを飲まずにはいられなくなる病気にかかっているのだと分かっていたら、自分が頑張ったり、我慢したらよくなる病気ではないんだと分かっていたら、気持ちを親に合わせて抑圧しないで、ありのままの自分でいられたのではないかと思います。
そして、自分と同じように、親のアルコール依存症で悩んでいる同世代の人たちと気持ちを分かち合えて、悩んでいるのは自分だけではなかったと知れたら、安心して人に相談できたり、心を開いて1人で悩まないで済んだのではないかと思います。そういう意味で、例に挙げさせていただいた成増厚生病院アルコール医療総合センターで実施されているプログラムは、こどもの年齢に合わせて病気を理解したり、病気によって抑圧された気持ちを話す機会をこどもに提供していただいていると思います。このようなプログラムを推進していただき、訳が分からないまま親の病気に巻き込まれて、どうしたらよいか分からないこどもたちの不安を和らげていただきたいです。
資料、②教育現場(スクールカウンセラー等へのアルコール依存症を親に持つこどもが受ける影響について啓発)。こどもの相談を受けるスクールカウンセラーの方に知識として知っていただくことで、アルコールヤングケアラーとして見つけていただける機会になってほしいと思います。
(3)最後に、アルコール家庭のヤングケアラーへの支援の要は親への支援から→依存症者が外で仕事ができていても、家の中ではアルコールの問題は起きています。早期に発見、相談につながる啓発をお願いします。私も母も、父や夫のアルコール依存症という病気のために問題が起きても、支援につながるまで長い時間がかかりました。それは、父も夫も仕事に行くことができていたからです。家族は、仕事を続けさせるために必死に支えて、燃え尽きて、どうしようもなくなって、やっと外に助けを求めます。支援につながるまでの長い間にも、こどもは成長していきます。仕事ができていても、家族が困っていたら支援は必要です。家族自身が病気に気がついて、こどもがヤングケアラーにならない啓発・支援を心からお願いいたします。
本日は、アルコール家族のこどもの立場からお話しさせていただく貴重な時間をいただきまして、ありがとうございました。
○松下会長 どうもありがとうございました。
それでは、御発表いただいた3人の参考人からの説明について御質問、御意見をお願いしたいと思います。なお、時間が大分限られておりますので、簡潔にお願いしたいと思います。
それでは、会場から白川委員、お願いします。
○白川委員 全国精神保健福祉センター協会のほうから出てきております白川ですけれども、お三方の御発言をいただきまして、非常に御苦労されているということが分かりました。
それで、白井参考人のほうから成増のプログラムのお話が出ておりましたけれども、ぜひその発表をしていただく機会をこの場で設けていただければと思いますので、御検討いただければと思います。
○田中室長補佐 事務局でございます。
実は、成増厚生病院のほうで、このプログラムが現時点で行われていないところでございますので、可能かどうかを後日、また検討させていただけたらと思います。取材のほうはもうしておりますが、すみません。
○白川委員 よろしくお願いいたします。
○松下会長 ありがとうございました。
では、稗田委員、お願いします。
○稗田委員 社会福祉士の立場から、稗田です。
お三方の発表、本当にありがとうございました。私自身も、実はアルコールではないんですけれども、自分がヤングケアラーでACを自認していますので、ヤングケアラーの苦しみが本当によく伝わってまいりました。
それで、思っていることなのですけれども、お二人の話から、依存症のヤングケアラーの特性というのは、本来、こどもが担うべきじゃないものを担ってきていて、その結果として大人になってからも生きづらさを引きずっている。それがまた世代間で伝わっていくということが本当に今まで言われてきたけれども、生々しく再確認できたかなと思います。そういう意味では、私は相談業務の立場として、相談支援の拠点が全国にありますけれども、そこの専門職の皆さんたちに今まで以上にアディクションの支援ということ。それに加えて、今はヤングケアラーと言うと思うんですけれども、ACを自認している方たちの個別の相談が受けられる力をもっと身につけていくということ。
それは、私は教育の中にいますので、養成課程のプログラムとか人材育成の教育の中に、それがなかなか反映され切れていないというか、病気は知っているけれども、そういうこどもたちへの支援は分からないとか。そういうことで自助グループさんに、ある意味おんぶにだっこというところで、行政でも都道府県レベルでそういう方たちが配置されているところでは、人材育成の力をもっと入れていっていただきたいなと思っています。特に、教育カリキュラムの中にきちんと支援、親の支援、こどもの支援を入れていただきたいと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
ウェブ参加のほうでは、米山委員、小松委員、上村真也委員、石井委員から挙手いただいています。残りが限られておりますので、米山委員から手短にお願いします。
○米山委員 山本さん、長嶺さん、白井さん、体験やお仕事のお話、ありがとうございました。
3人のお話を聞いて、私が思ったことです。意見です。若者・こども向けのプログラム、支援策としてこども向けのシェルターとか、成増厚生病院でかつて行われていた親とこども向けの支援でこどもプログラムといったものを、もっと広くいろいろな地域で実践できていくといいのかなと思いました。
実は、DV被害女性を支援するSaya-Sayaという団体があるんですが、その中でDV加害者がお酒の問題を持っているという人も結構いまして、そこで母子に対してコンカレントプログラムというのをやっていて、母親とこどもを分けて、こども向けにプログラムを実施しているということがあります。そういう中で、こどもたちが自分の体験していることがどういう意味があるのかとか、何が起こっていたのかというのを理解していく、そういう理解を助ける支援プログラムが非常に有効だということがありましたので、ぜひアルコールでも、成増で行っていたような、ノメノメ星人という役で分かりやすく説明するというようなことを展開していただけたらと思いました。
それから、2つ目ですが、依存症ではない親への支援プログラムをぜひ強化していただきたいという白井さんのお話の中で、私もそれは非常に重要だと思うんですけれども、行政などでの相談支援などは、9時-5時とか、日中の時間に限られているということがあると思うんです。ですので、9時-5時以外、あるいはオンラインを活用したプログラムとか、家族やこどもたちが参加しやすいツールというものをもっと展開していく必要があるんだなと思いました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、上村真也委員、お願いします。
○上村(真)委員 読売新聞の上村です。僕も父親がアルコール依存症で亡くなっているので、ある意味ヤングケアラーで、お二人のお話、体験談を我が事のように聞かせていただきました。
1つ、長嶺さんに質問なんですけれども、自助グループにつながったきっかけ。断酒会とか、あるいはお父様が亡くなられた後にオンラインの自助グループ、オンラインルームにも参加されているようですけれども、どういうふうな形でアクセスして、具体的にどういうふうな学びがそこであったのか。あと、どういうふうな情報とか体制があれば、自助グループあるいは後方的な支援にもっと早くつながることができると思いますか。御自身の体験も踏まえて、せっかくなので、この場で教えていただけるとうれしいです。
○長嶺参考人 ありがとうございます。
私の資料のほうに漏れていたかもしれないですけれども、まず最初に母親が自助グループ、断酒会とつながりました。それに誘われていましたけれども、私の中でそこには行きたくないという抵抗があったんですが、先ほど資料に書かせていただいた、父親の死を願う気持ちなどが発端で、これじゃ駄目だと、自分の中で、いわゆる底つきと言われることになるかと思うんですが、それで母親に頼んで自助グループに参加させていただきました。そのときは、わあっと体験談を話して楽になったんですけれども、じゃ、これをいつまでやっていたらいいんだというところにたどり着いたときに、ちょうど父親が亡くなり、パンデミックが起きてオンラインが普及する形になって全国の人とつながる形になりました。
コロナ前までは、私は沖縄県内だけの自助グループとかでしか、この自助グループというものを知らなかったんですけれども、全国の方のお話を聞く中で、私と同じこどもの立場の方たちのお話を聞くチャンスが広がったことで、とてもよかったなというふうに思いました。島の中ですと、部落意識だったり、内に籠もる傾向がありますので、外で数打ちゃ当たるじゃないですけれども、多くの人の話を聞くことで、自分に刺さる経験だったり、近しい経験の人と刺さってほしいなということで、オンライングループにつなぐ仲介も今はさせていただいています。
欲しい支援というところでは、最後のまとめでも言ったんですけれども、ただ自助グループに行ってくださいとか、自助グループで回復してくださいだけじゃなくて、もう少しカウンセリングも併用してみませんかとか、自助グループでは言いっ放し、聞きっ放しだけなんですけれども、対話によって気づく自分の内面というものがあると思うので、私はできたらぜひそちらを支援に盛り込む形を行政にも取ってほしいなと思っております。
あと、参考資料のほうには書かせていただいているかと思うんですけれども、保健所などの保健師さんとかに相談に行った仲間たちは、人によって対応のばらつき、知識のばらつきがとても差が大きいということにみんな悩んでおります。家族の私たちから保健師に教えるというケースも多く聞いておりますので、その辺の保健師さんとか行政の方たちの知識のアップデートがもう少しあったら、また家族やほかの方にも、よりよい支援につながるんじゃないかなと考えております。
お答えになっていれば幸いです。以上です。
○上村(真)委員 ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、石井委員、お願いします。
○石井委員 山本さん、長嶺さん、白井さんのお話、今、お酒が止まっているとしても、アルコール依存症の本人として非常に胸が痛む思いで聞かせていただきました。
感想と今後に向けてのことですが、まず、お願いです。さっきの酒造組合の方のお話もありましたけれども、いろいろな研修を組合の活動として学校とか医療の現場とかでもしていただいているおかげで、アルコール依存症が体の病気だということは、もうかなり広まってきたと思うんですね。次に、それが回復していく病気だと、普通の人のように幸せに生きていくことができる病気なんだという希望の情報も、併せてたくさんの人の認識の中に入るような時代になっていくといいなと思います。病気で終わりじゃなくて。
そうでないと、いろいろな相談機関とか医療機関にかかる人たちのまだ病気への偏見、あと御家族の気持ちのつらさとかは、小さくならない。次の段階の、病気が回復していく、普通に生きていかれる病気だということがこれから広まっていくような研修の仕方、研修の情報、相談する各県の拠点、県の精神保健福祉センターとか、地方にも専門病院とか、たくさん行政のほうの支援があって造られているわけですけれども、そういったところへの相談なり受診なりができるような情報を必ず研修の中で盛り込んでいただきたい。もちろん、本人として私自身が助かった自助グループということも必ず入れていただきたいなということを強く願います。
それで、御家族の方のお話ですけれども、当事者と同じように孤立しない。同じような状況を経験している人たちの共感というのは、人間にとってはすごく大事なことかなと思います。そのつらい状況の中から、まず自分自身が、病気の本人もそうですけれども、周りの人たちの個人が傷の状態から回復して、そして人としていろいろなたくさんの傷を持ったところから、今度は次に成長していけるような学ぶ場所といったことが、先ほどの相談する拠点とか専門病院のほうから伝わっていけるような、参加していけるような流れを、これからもっと深く強くつくっていただけたらなと思います。
それで、疑問だったんですけれども、私、以前、かなり前ですが、ASKで発行されている「Be!」という本の中で、アルコールのこどもプログラムを日本の中の病院で行っている特集が載っていて、かなり前の記憶なんですけれども、日本の中でもこういうこどもさんを対象にした関わり方をやっていく病院ができてきたんだなと、非常に希望を持ちました。
その後、そういった情報を自分も探したわけではなかったんですけれども、今日のお話を伺っても、特集を組んでいただいた病院がそれをやめているのか、またそういったことが必要だと思っている医療機関が立ち上がっても、それが継続していけないような状況なのか、それはこれからの医療の中での大きな大切なことかなと思います。本人もですけれども、特に家族の人は、専門病院というのに非常に希望を持つわけです。そこに父親なり母親なり夫なり妻なりが入院すると、その先にはいいことが待っているんだろうと思うんですけれども、専門病院のレベルも、多分、すごく幅があると思うんです。そういったところをもっとレベルアップしていくこととか。
あと、私も依存症者のお嬢さんから相談を受けて一緒にカウンセリングを探したことがあるのですが、私の住んでいる地域でカウンセリングを探すとなると、本当にないんです。あってもすごい高い料金。そういったところを利用していただいた方もいますけれども、都市部にはもっと数があると思うんですが、日本はどうしてカウンセリングが増えないのかなと。その辺も今後、そういったことがいいほうに行くようなことを願いながら、こういった行政での会議なので、発言させていただきました。
○松下会長 ありがとうございました。
まだまだ御意見あろうかと思いますが、既に予定の時刻を過ぎております。もし、最後にこれだけはということがあれば。
では、稗田委員、手短にお願いします。
○稗田委員 ぜひお願いしたいのは、このメンバーに都道府県の行政の方とかも、もし可能でしたら入れていただいて、行政レベルで施策を展開していきますので、こういう声を聞いていただくなり、意見を反映していただくようなことでできたらなと提案したいと思っています。
○松下会長 米山委員から挙手がありますが、では、これを最後にさせていただきたいと思います。では、お願いします。
○米山委員 成増厚生病院のこどもプログラムを簡単に私の知っている範囲で御紹介したいんですけれども、よろしいですか。
○松下会長 事務局のほうでそれは。
○米山委員 分かりました。
○松下会長 それでは、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。御発表、御質問、本当にいろいろありがとうございました。
最後に、事務局からお願いします。
○小野室長補佐 本日はありがとうございました。
次回の開催日程については、決まり次第、御連絡させていただきます。
○松下会長 それでは、第31回「アルコール健康障害対策関係者会議」を閉会いたします。
本日は御多忙のところ御参集いただきまして、どうもありがとうございました。
委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本検討会はオンライン併用ですので、一部の構成員はオンラインでの参加となっております。
ペーパーレス化の取組として、資料は原則としてタブレットで御覧いただきたく存じますが、操作等で御不明点や紙による資料の御希望等がございましたら、適宜事務局までお申しつけください。
また、本日の会議は、あらかじめ傍聴を希望された方を対象に音声の配信を行っておりますので、御発言の際はマイクを近づけていただいた上で、お名前を名乗ってできるだけ大きな声で発言いただき、発言時はマイクを御使用いただき、発言されない際はマイクを切るよう御協力をお願いいたします。
傍聴される方におかれましては、開催案内の際に御連絡しております「傍聴される皆様へのお願い」事項の遵守をお願いいたします。また、会場設備の関係で音声に不具合が生じる可能性がありますので、聞き取れなかった箇所につきましては、後日、議事録を公開させていただきますので、そちらで御確認をお願いいたします。
冒頭、社会・援護局障害保健福祉部長の野村部長より御挨拶を申し上げます。
○野村部長 皆さん、こんにちは。障害保健福祉部長の野村でございます。よろしくお願いいたします。
この関係者会議委員の皆様方におかれましては、普段よりアルコール対策の関係ということで御理解、御協力を賜りまして、誠にありがとうございます。改めて御礼を申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
このアルコール健康障害対策でございますけれども、いわゆるアルコール依存症以外にも、大量飲酒による健康への影響でございますとか、20歳未満あるいは妊婦の方といった方々の飲酒の問題、さらに飲酒運転など、様々な問題があると承知しております。今日、お集まりの委員の皆様方をはじめ、多くの関係者の方々あるいは関係府省庁の御理解、御協力をいただきながら、こうした課題の解決に向けて、20歳未満の方々への飲酒の防止の教育であるとか、飲酒運転の防止の活動であるとか、さらには専門機関・相談機関の整備といったものなどに取り組んでまいったところでございます。
昨年の2月になりますけれども、健康に配慮した飲酒に関するガイドラインというものを策定し、さらに併せて、純アルコール量と、それに必要な分解時間を把握できるウェブツール、アルコールウォッチというものを開発してウェブ上に公開するといったような取組を進めてきているところでございます。個人的にもちょっと飲み過ぎたなとなったときには、このアルコールウォッチを使ってみて、自分の体にどれぐらい影響がありそうなのかというのを試してみることなどもやったりしているところであります。世の中に対して、この問題に意識を持ってもらうということでツールを開発しているところであります。また、広く活用を引き続き促していきたいと思っております。
本日の会議でございますけれども、次期基本計画の見直しに向けまして、委員の方々や参考人の方々から様々な課題、お取り組みなどについて、お話をお聞かせいただければと考えております。今日いただいたお話を含めまして、次期アルコール健康障害対策基本計画の見直しに向けまして、委員の皆様方から忌憚のない御意見をお寄せいただければ幸いかなと考えております。
最後になりますけれども、関係府省庁や地方自治体、さらにはアルコール問題に取り組む民間団体の方々などとさらに連携を深めていく。こういったことを通じまして、引き続きアルコール健康障害対策に取り組んでまいりたいと考えております。委員の皆様方の御指導、御協力を引き続きよろしくお願い申し上げまして、私からの冒頭の挨拶に代えさせていただきます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
○小野室長補佐 続きまして、本日の出席状況について御報告いたします。会場での御出席が、小野里委員、渋木委員、白川委員、塚本委員、稗田委員、保坂委員、堀井委員、松下会長、山口委員となっております。勝嶋委員については、会場での御出席ですが、遅れての参加となっております。オンラインでの御出席が、東委員、石井委員、上村敬一委員、上村真也委員、江澤委員、金城委員、小松委員、白石委員、米山委員となっております。現在、19名中18名出席となっておりますので、会議が成立することを御報告申し上げます。
また、本日は、山本由紀参考人、長嶺乃里子参考人、白井明美参考人の3名の参考人にお越しいただいておりますので、御紹介させていただきます。
さらに、本日は、関係省庁より、法務省、国税庁、文部科学省、警察庁、こども家庭庁、国土交通省よりオブザーバーとして参加いただいております。
以上、よろしくお願いいたします。
この後の進行は、松下会長にお願いしたいと思います。
○松下会長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
初めに、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○小野室長補佐 資料の確認をさせていただきます。
資料1 小野里委員提出資料「ビール酒造組合啓発活動」
資料2 渋木委員提出資料「“最後の砦”酒類小売販売売場の立場から」
資料3 山本参考人提出資料「アルコール問題のある親と暮らす子どものニーズと家族支援」
資料4 長嶺参考人提出資料「アルコール依存症の親を持つこどもの立場から願う支援」
資料5 白井参考人提出資料「アルコール家族(ヤングケアラー)の現状とその対策への要望~自分の体験から~」
参考資料1 アルコール健康障害対策基本法
参考資料2 アルコール健康障害対策関係者会議令
参考資料3 アルコール健康障害対策推進基本計画
参考資料4 委員名簿
不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
以上となります。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、早速議事に入りたいと思います。議事次第第1「第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について」です。本日は、2名の委員と3名の参考人に御発表いただきたいと思います。お一人当たり15分の御発表でお願いしておりますので、時間に御留意いただいてお話をいただきたいと思います。13分になるとベルが鳴ります。あと2分ということで、まとめていただければと思います。
本日は5人の方に御発表いただきますので、2回に分けたいと思います。まず、お二人目の渋木委員まで御発表いただいて、その後、質疑応答の時間を10分ほど取りたいと思います。その後、山本参考人、長嶺参考人、白井参考人の3名の参考人の方々から御発表いただいて、その後に質疑応答の時間を15分取りたいと思います。
それでは、まず小野里委員より御発表、よろしくお願いいたします。
○小野里委員 ビール酒造組合の小野里でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、資料1ページ目でございます。こちらは、本日説明させていただきたい内容といたしまして、ビール酒造組合の啓発活動に加えまして、加盟各社の啓発活動について、お話をさせていただきたいと考えております。
次のページをお願いいたします。こちらのほうに概要が記載されておりますが、我々ビール酒造組合のアルコール問題に関する啓発活動ですけれども、真ん中に記載のとおり、アルコール健康障害対策推進基本計画の第2期、それから飲酒ガイドラインにのっとってやっているというところでございます。大きく言いますと、左側に記載のとおり、20歳未満の飲酒防止、それから、右側の上に記載のとおり、有害な使用の低減、それから、右下にあります妊娠中飲酒の防止、こういったところに取り組ませていただいております。
それでは、それぞれにつきまして具体的に説明させていただきます。次のページ、4ページでございます。こちらが20歳未満飲酒防止についての具体的な取組ということになりますが、まず、STOP!20歳未満飲酒プロジェクトというのがございます。
左側に広告の画像が出ておりますけれども、こういった感じで、「「ちょっとくらい」ならいい? 20歳まではゼッタイNG!」や「ことお酒については、「本人の自主性まかせ」じゃダメ!」というのを、手のひらマークを使いまして訴求するような啓発広告を打っております。こちらの広告認知率は今や50%弱になっておりますけれども、さらに高めることによりまして行動変容までつなげていきたいと考えております。
また、左下のところ、同じようなデザインの広告を交通広告ということで打たせていただいておりまして、これはコロナ禍にありまして、一時、ストップしておりましたけれども、昨年から再開させていただいたところです。
あと、右側はコンビニエンスストアの事例でございます。手のひらマークを使った啓発活動を行っております。実は、いろいろ広告を打っているのですけれども、どうやら店頭認知率というのが非常に高くて、手のひらマークの認知経路といたしましては、コンビニとかスーパー、カラオケボックスといったところに貼らせていただいているポスターからその多くが認知されているということがございますので、引き続き、これをやっていきたいと考えております。
なお、先ほどプロジェクトの認知率は50%弱というお話をさせていただきましたけれども、現状、手のひらマークの認知率は86%ぐらいまで来ておりまして、ほとんどの方が御存じのマークというところまで進んできております。
次のページをお願いいたします。こちらは学校教育支援についてのお話でございまして、全国の中学校・高校、約1万5000校に対しましてファクスを打たせていただいております。
左下にファクスのチラシ画像が載っておりますけれども、こういったファクスを送らせていただいておりまして、学校の先生が学校内で啓発活動をする際に使えるような教育動画DVD、真ん中にございますけれども、「学ぼう!10代のお酒のキケン動画」とか「ビールすごろく」といった分かりやすいツールを配布させていただいて、学校の先生の啓発活動のお役立ちになれればということをやらせていただいております。
右側、グラフでございますけれども、これが20歳未満者の飲酒率でございますが、中学校・高校、アンダーエイジの飲酒率は、ここ10年でいずれも大きく下がってきているところでございまして、こういった取組が幾ばくかでも貢献できているのかなというふうに考えております。
次のページをお願いいたします。
「適正飲酒のススメ」という冊子を毎年、作らせていただいております。特に、昨年に関しましては、飲酒ガイドラインというのが2月に発出されておりますので、これに合わせるような形で内容を改定して作成しております。全国の大学とか企業・団体といったところでの啓発教材として、10万部ほど配布させていただいているところでございます。
右側の妊産婦飲酒防止というところでは、妊産婦の方がよく使われるアプリで「ninaru」というものがございますけれども、こちらのほうに適正飲酒の情報を入れさせていただきまして、ビール酒造組合として発信させていただいているといったような取組でございます。
次のページ、お願いいたします。こちらは「飲み方カエルプロジェクト」というプロジェクトをやらせていただいております。
目標を、上にありますとおり、健康日本21の目標であります生活習慣病リスクを高める飲酒の割合、男女合計で10%以下、女性6.4%以下。これをKGIに置かせていただきまして、このプロジェクトをやることによりまして、この数値にできるだけ近づけていければ、その貢献ができればというふうに考えております。
具体的にどんなことをやっているのかというのが左下なのですけれども、ノミカタ・カエル。カエルのキャラクターを使いまして、少し面白おかしく、分かりやすく。ただ、上にありますとおり、生活習慣病リスクを高める純アルコール量。これは男性1日当たり40gとか女性20gをしっかりと御理解いただく、認知していただくといった取組をさせていただいております。今日は時間の関係で動画は流させていただかないのですけれども、ビール酒造組合のホームページの中に入っていくと動画を見ることができますので、ぜひ御覧いただければと思いますが、こちらの動画の認知率は20%強になっておりまして、これもさらに認知を高めることによりまして行動変容につなげていくことができればと考えております。
真ん中は飲みかえルール6か条。これも飲み方プロジェクトの中でホームページを見ていきますと出てくるものですけれども、例えば第1か条で、ノンアルに置きカエル。2か条でペースからカエル。3か条、飲んだ量は振りカエル等々、カエルに引っかけまして飲み方を変容させていくといったような啓発を行わせていただいております。
次のページ、お願いいたします。こちらはJR西日本様との共同の取組でございまして、2017年より継続してやらせていただいております。
左側にポスターデザインがございますけれども、こういった形で飲酒して酔っぱらった状態で電車に接触しないようにということで啓発活動をやらせていただいております。それでも、昨年、実は7件ほど接触事故があったというような話も聞いておりますので、本年、もうちょっとインパクトの強いデザインに変えて、また取組を進めていきたいということをJR西日本様と進めているところでございます。
次のページをお願いいたします。今のところまでがビール酒造組合の取組でございましたけれども、ここからは加盟各社の取組になります。
まず、アサヒビールの取組でございますが、左上、適正飲酒セミナーの様子が写真で出ておりますけれども、こういった感じでセミナーをやらせていただいております。これは実はアサヒビールだけではなくて、ほかの会社も適正飲酒セミナーというのをやっております。今、どのぐらいの数の聴講者がいるのかなというのをヒアリングしてみましたところ、昨年、2024年の実績でいきますと、4万9000人ぐらいに対してセミナーをビール各社で実施しているというところでございました。
その下、飲酒コントロールというのは、先ほどアルコールウォッチのお話がございましたけれども、アサヒビール社でもこういったアプリを活用した飲酒コントロールの仕組みというのがございます。
また、その下、飲食店向けのコンテンツとして動画です。これは20歳未満のお客様にお酒を提供すると、お店のスタッフも罰せられるんですよといったような啓発の動画を作らせていただいて流しているところでございます。
また、右下、スマドリバー、これは御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、渋谷に常設のバーを造っておりまして、こちらでビールではなくてノンアルコール、アルコール0%とかアルコール0.5%、もしくはアルコール3%のような、必ずしもビールのようなアルコール度数のものではないものを提供するといったバーを展開させていただいて、飲める人も飲めない人も、飲みたい人も飲みたくない人も一緒に楽しめるような取組をしているというのがアサヒビールでございます。
次のページ、キリンビール社の取組でございます。
左下のところを見ていただきますと、ノンアル/低アルコールの製品の選択肢の拡大ということで、こちらはキリンビール社のCSVコミットメントというのがございまして、その中で、例えば2024年でいきますと、このノンアル/低アルの売上前年比を117%にしよう。ノンアル/低アルに関しまして高い目標を掲げることによりまして、企業の中におけるノンアル/低アルの割合を増やそうといったことをやらせていただいております。
また、真ん中、純アルコール量のラベル表記。これは日本の酒類業界の中におきましては、ビール各社が先行してアルコール健康障害対策推進基本計画の第2期の中で示されておりました、酒類事業者は純アルコール量をパッケージに表示するということを実行しているところでございます。
次のページ、サッポロビール社。記載されておりますとおり、先ほどのアサヒビール社と同様に、適正飲酒のセミナーを展開させていただいているというようなお話が記載されてございます。
そして、次のページ、サントリー社。
左上、モデレーション広告とありますけれども、新聞とかYouTubeを使って、こういった啓発広告を流させていただいているところでございます。
また、左下のドリンクスマイル活動というのがありますけれども、こちらに関しましては、昨年11月、東京のミッドタウン日比谷の1階アトリウムにこういったブースを設けまして、自分の適量に合ったお酒を楽しんでもらおうといったような取組をされております。
また、真ん中のところ、ビール酒造組合でも冊子による啓発をやらせていただいておりますが、サントリー社におきましてもこういった冊子を作って、ブラックジャックを模したホワイトジャックというキャラクターが、大学生に特に必要な飲酒の知識を訴えるといった取組をしております。
また、サントリー社におきましては、右下の適正飲酒のアンバサダー制度というものがございまして、社員自らがアンバサダーになって啓発活動を行っている。営業であれば得意先等がございますが、そういった方々に対しまして直接啓発活動をやるといったような取組もされております。
次のページ、オリオン社でございます。オリオン社に関しましては、行政と連携した取組が評価されまして、下のほうにあるような写真、飲酒運転根絶対策優良事業者に認定されたり、その隣、豊見城市でございますが、こちらも適正飲酒推進の優良事業者に認定されたといったような形になっております。
以上でございまして、冒頭申し上げましたとおり、ビール酒造組合、また加盟各社といたしましては、厚生労働省が進めておりますアルコール健康障害対策推進基本計画、また飲酒ガイドラインにのっとりまして、節度ある飲酒の啓発活動に取り組ませていただいているところでございます。
ちょっと駆け足になりましたけれども、以上で説明を終わらせていただきます。
○松下会長 ありがとうございました。
続きまして、渋木委員より御発表をよろしくお願いいたします。
○渋木委員 全国小売酒販組合中央会の渋木と申します。よろしくお願いいたします。
早速、説明のほうに移らせていただきたいと思います。
次のページ、お願いいたします。酒類業界は、製造、卸、小売からなる大きく3層の業態となりますが、私たちは消費者に最も近い小売となります。本日は小売業者の観点から御説明させていただきます。
次、お願いいたします。最初に簡単に組合の概要を申し上げます。全国小売酒販組合中央会は、昭和28年に設立されました。酒類業組合法に基づき、酒税の保全等の協力や、法定研修である酒類販売管理研修の開催など、公益的活動を行う酒類小売業唯一の団体となります。当会の会員は、沖縄県を除く46都道府県にある小売酒販連合会です。さらに、その翼下には原則、税務署管内ごとに約350の小売酒販組合があります。酒販店をはじめ、酒類を扱うコンビニエンスストア、スーパーなどの酒類小売販売場約3万5000軒が小売酒販組合に加入しております。
次、お願いいたします。私たち全国小売酒販組合中央会、連合会、小売酒販組合の活動について御説明いたします。地域に根差した私たち小売酒販組合は、地域の特色を生かした様々な社会貢献活動を行っております。その中で最も代表的ものが20歳未満飲酒防止・飲酒運転撲滅全国統一キャンペーンです。写真は、令和6年度に全国各地で実施されたキャンペーンの一部で、委員の皆様にもキャンペーンを御存じの方、あるいは御覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。回を重ねるごとに実施地域が拡大し、我々組合員だけでなく、多くの皆様に御参加いただけるようになりました。小売酒販組合の行う社会貢献活動として定着し、ありがたいことに地域の皆様にも好評いただいている活動となっております。
次、お願いいたします。平成21年に第1回キャンペーンを実施されて以降、毎年開催しております。令和7年度で17回目となります。ここ数年は、全国で約200か所、7000名ほどの方が参加していただき、組合員をはじめ、国税局や税務署、警察署、そして最近では地域の高校生にも多く御参加いただいております。後援は、国税庁、厚生労働省、警察庁、文部科学省、こども家庭庁の5省庁で、酒類業中央団体連絡協議会をはじめ、酒類を扱う多くの団体に協賛いただいて実施しているものです。
駅や商店街などで行う街頭キャンペーンのほか、学校を訪問し、高校生へ直接、20歳未満飲酒防止について、お話しさせていただくこともございます。令和4年4月に成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたこともあり、18歳もいらっしゃる高校生へのキャンペーンはとても有意義であったと、学校関係者の方から評価をいただいております。
次、お願いいたします。キャンペーンでは、20歳未満飲酒防止と併せて飲酒運転撲滅を訴えております。令和6年11月に改正道路交通法が施行され、自転車の酒気帯び運転が新たに罰則の対象となりました。我々酒販店の取引先である飲食店のほか、4月から実施いたします令和7年度のキャンペーンでは、自動車の飲酒運転撲滅とともに、自転車の飲酒運転についても注意を呼びかけてまいります。
左のほうが、兵庫県西宮小売酒販組合の組合員店舗で、自転車で来店されるお客様や取引先である飲食店に配布しているステッカーです。
また、右は、令和7年度のキャンペーンで配布する予定のポケットティッシュデザインです。令和7年度については、約20万個を用意し、配布することにしております。
次、お願いいたします。続きまして、小売酒販組合の活動として、2つ目の柱となる酒類販売管理研修について申し上げます。
次、お願いいたします。酒類販売管理研修は、平成15年より実施されている法定研修となります。次のページにも参考として載せておりますが、この関係者会議で策定し、平成28年5月に閣議決定されましたアルコール健康障害対策推進基本計画の不適切な飲酒の誘引の防止におきまして、20歳未満の者への販売の禁止の徹底、酒類の特殊性とリスクの知識を習得し、適正な販売管理の確保が図られるよう、酒類販売管理研修の受講を強く促すと明記されました。これが大きな後押しとなりまして、議員立法による酒類販売管理研修の受講義務化が実現いたしました。
酒類販売管理研修は、最新の知識を持ち、酒類の販売管理の確保に当たるため、3年ごとの再受講が義務づけられており、未受講の場合には酒類を販売するのに必要な酒類販売業免許の取消事由となりますが、この法改正により受講率は大きく改善し、現在の受講率はおおむね100%となっております。
次をお願いいたします。こちらは御参考という形になりますので、目を通しておいてください。
次、お願いします。酒類販売管理研修では、全国約15万の酒類小売販売場に1名選任されている酒類販売管理者へ向けて、20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律や、アルコール健康障害対策基本法等の法令、年齢確認の徹底と方法、酒類の陳列場所における表示、酒類が脳や体に与える影響などについて講義をしております。初回は約3時間。3年ごとの再受講の際は、法令が中心となりまして、約2時間の研修となっております。
次、お願いいたします。また、当会では、酒類販売管理研修の重要性に鑑み、昨年8月より、一部地域にて、インターネット環境があれば24時間365日、酒類販売管理研修を受講することができるe-ラーニングによる酒類販売管理研修を実施しております。これにより、離島や研修開催が少ない地域の方の利便性の確保に寄与するとともに、e-ラーニング研修が急な異動等により速やかな受講が必要な方の受け皿としての役割を果たせればと考えております。
動画とチェックテストを組み合わせた研修となりますが、受講者の方からは、チェックテストにより、理解が深まった。店舗を長時間不在とすることが難しいため、e-ラーニング研修があって助かったなど、好意的な御意見を多く頂戴しております。現在、実施地域が限られていますが、順次拡大していければと考えております。
次をお願いいたします。次は、消費者とじかに接する立場にある小売業者として、酒類小売販売場の現状と私たちが考える課題について御説明いたします。
次、お願いいたします。まず1つ目に、酒類の公正取引について申し上げます。国内においても、第1期、第2期のアルコール健康障害対策基本計画における不適切な飲酒の誘引の防止の販売に、酒類業者には、致酔性、依存性等の酒類の特殊性を踏まえた販売価格を設定することが望まれるとあります。飲酒環境の整備における酒類の価格の重要性は、委員の皆様にも深く御理解いただいているものと思います。
次、お願いいたします。また、2010年5月の第63回WHO総会において全会一致で採択された、アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略で示された政策オプションと介入策の中の領域7に価格設定政策があります。特に、価格については、スライドの四角の中に記載のあるとおり、アルコール飲料の値上げは、アルコールの有害使用を減少させる最も効果的な介入策の一つであるとされております。
次、お願いいたします。もともと酒類はおとり商品として扱われやすい商材であると言えます。この表は、公正取引委員会の不当廉売注意件数の推移となりますが、グラフのブルーの部分は酒類です。左のほうを見ていただくと分かるとおり、6割程度を酒類が占めるなど、長年、酒類は最も廉売、安売りが多い商品でした。しかし、真ん中、平成29年を境に酒類の注意件数が減少しています。これはこの年、この後申し上げる酒類の公正な取引の基準という価格の新たなルールが平成29年6月に施行されたことによるものです。
次、お願いいたします。酒類の価格については、独占禁止法のほか、平成18年に国税庁が発出した酒類の公正な取引のための指針というルールがありました。しかし、この指針には罰則が規定されておらず、先ほど御覧いただいたように、販売場過多の状況と相まって、酒類の廉売、安売りは後を絶ちませんでした。酒類の行き過ぎた価格競争は、20歳未満の者の飲酒やアルコール健康障害を助長させる可能性もあること。そして、先ほど申し上げたWHOをはじめとする世界的潮流を背景に、私たち小売酒販組合では罰則つきの価格の改正のルールの策定を求め、平成29年に酒類の公正な取引に関する基準が施行されています。
この基準は、平成18年に国税庁が発出した酒類の価格についての指針を一部法制化したものです。基準に違反した者は、段階的な措置を経て免許の取消しとなるもので、新たなる価格のルールができたと言えます。
次をお願いいたします。こちらは酒類の公正な取引の基準に基づく指示件数です。施行する国税庁では、調査やフォローアップにも努めていただいております。国税庁には、深度のある調査を継続していただくとともに、調査等に対し、全国津々浦々にある小売酒販組合を活用していただけないかと要望しているところです。
次、お願いいたします。酒類の価格設定政策については、アルコール健康障害との関係性が深いとされており、酒類の価格のルールである酒類の公正な取引の基準や独占禁止法等の厳格運用がなされることが、真の国民の利益のために重要であると考えております。私たち小売酒販組合といたしましては、この酒類の公正な取引の基準や独占禁止法といった酒類の価格のルールが遵守されているか、また、その運用状態についても引き続き注視してまいりたいと思います。
次、お願いいたします。次に、近年、多く見かけるようになりました無人レジ、完全無人店舗について申し上げます。小売業においては、人材不足への対応として様々な取組がされていますが、省人化や省力化の手段として無人レジが普及しています。現在多くある無人レジについては、酒類の購入に際して従業員による年齢確認が行われるものが中心です。
しかし、最近ではマイナンバーカードや運転免許証などを読み込むことで年齢確認を実施し、従業員が全く関わらずとも酒類の購入ができる店舗も多く出現しています。このような無人レジの場合、基本的にはバックヤードなど、店舗内のどこかに人がいる無人店舗。一方で、店舗内に誰も人がいない完全無人店舗での酒類の販売を求める要望が、昨年、経済団体より提出されました。国の推進するDXについては理解しておりますが、酒類の特殊性から、このような販売方法を取る完全無人店舗が増加していくことを、我々としては非常に強く懸念しております。
次、お願いいたします。無人レジや完全無人店舗については、私たち小売酒販組合では次のように考えております。年齢確認は、デジタル技術の向上により問題なく実施できるものと思いますが、酒類の特殊性を踏まえ、年齢確認のみならず、飲酒に起因する各種の事件・事故、販売トラブルの防止や泥酔者、アルコール健康障害の方への配慮、未然防止等の社会的要請に応える必要から、無人レジ、完全無人店舗は酒類の販売には適さないものと考えております。
また、諸外国に比べて、我が国の酒類の販売や飲酒については規制が少なく、24時間365日、いつでも酒類を購入し、飲むことが可能です。販売に際して、これ以上ハードルを下げる必要はなく、利便性やデジタル化は酒類の販売にはなじみません。対面販売を原則とし、特に完全無人店舗での酒類の販売については反対の立場であります。
次、お願いいたします。今、申し上げたように、無人レジ、無人店舗はできないようにしていただければと思っております。
次、お願いいたします。私自身も東京で酒販店を営んでいますが、私たち酒販店、まちの酒屋は、地域に根差し、顔が見える販売をしているのが大きな特徴です。また、今は減りましたが、御用聞きや、さらに消防団や保護司など、様々な活動をしている者が多くおります。小売酒販組合の組合員の約7割がこのようなまちの酒屋となります。酒類小売業免許の規制緩和以降、コンビニエンスストア、ドラッグストアなど、酒類を扱う事業者が増えましたが、小売酒販組合への新規加入は進んでおらず、現在の組織率は約20%です。酒類を扱う者の責任として、キャンペーンをはじめとする社会貢献活動を全国で今後も展開・開催していくために、国税庁にも御相談、御助力をいただきながら、様々な業態の皆様にも加入いただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
酒類に起因する様々な問題・課題等を申し上げましたが、酒類が人々の生活に豊さと潤いを与えるとともに、酒類の伝統と文化は私たちの生活に深く深く浸透しております。これからも適切な飲酒環境を目指してまいりたいと思います。
ありがとうございます。長々とすみませんでした。
○松下会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの小野里委員、渋木委員のお二人からの御発言について、御意見、御質問をお願いしたいと思います。発言時は、会場参加の委員は挙手の上、オンライン参加の委員は挙手機能を御使用いただいて、私のほうで指名させていただきますので、御発言いただくよう御協力をよろしくお願いいたします。それでは、いかがでしょうか。
上村真也委員、まず、お願いします。続きまして、小松委員。あと、会場の委員、お願いします。
○上村(真)委員 読売新聞の上村と言います。
ビール酒造組合の皆さん、全国小売酒販組合中央会の皆さんが適正飲酒に関して啓発活動に力を入れていただいていることに、まず敬意を表したいと思います。ありがとうございます。その一方で、サントリーと京浜急行電鉄で蒲田駅の駅名にお酒の名前をつけて、駅のホームで飲酒できるようなイベントを開くということがありました。これにはASKさんの申入れでイベントを縮小する形の流れになったと聞いているんですけれども、この騒動の中で、ASKさんの側にも誹謗中傷が殺到するとか、ちょっと不幸な経緯をたどったというふうに認識しております。
せっかくメーカーの皆さんや小売の皆さんが適正飲酒を正しく啓発しても、こういう不幸な一件によって、積み上げてきた啓発の歴史というものが水の泡になってしまうようなケースもあると思うので、こういう啓発をしていますよと取り組むのももちろん大事なんですが、こういうキャンペーンはやめましたという形の、マイナスをゼロにするような取組も並行して進めていくことができれば、より適正飲酒に対する実効性が高まるのではないかと思っています。
その上でお尋ねなんですけれども、アルコールの広告をめぐっては、酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準というものを設けておられると思うんですが、これは適宜見直されているかと思いますが、直近にいつ改正していて、今後、何か改正の予定であるとか、そういったものが決まっていたりとかしますでしょうか。また、もしその予定があるような場合は、どのような問題意識を皆さんが持たれているのかという部分も教えていただきたいと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、小野里委員、お願いします。
○小野里委員 御質問ありがとうございました。
まず、ビール個社、加盟社の蒲田でのイベントに関しましては、今回に関しましてはビール酒造組合という形で参加させていただいております。今回のイベントはRTDのイベントだったかと思いますので、回答を差し控えさせていただきますのと。
もう一つ、自主基準のお話がございました。自主基準に関しましては、硬直的なものではなくて、必要があれば改定していくということでやっておりますけれども、直近の改定、2024年の改定というのはございませんでした。必要に応じて改定していきたいと考えております。
○松下会長 どうもありがとうございました。
続いて、小松委員、お願いします。小松先生、Wi-Fiの状況がよくないみたいですが。申し訳ないんですが、後ほどとさせていただいて、会場の委員から何人か挙手があったと思います。
では、塚本委員、お願いします。
○塚本委員 ASKの塚本です。
先ほどの話もありましたけれども、小野里委員の説明の中で2つ意見がありました。
1つは、ホーム転落の対応について。とてもいい取組だなと思っていたんですけれども、ASKとして気になったのは、昨年、駅看板を商品名にしたり、駅のホームを酒場にするような事案があったことです。交通広告の効果が高いということは、もう組合としても重々承知だと思いますが、一方で、控えることをやりつつ、売ることをする。そこの難しさはあると思うんですけれども、だからこそ自主基準の徹底が必要なのではないでしょうか。先ほど、いつ頃やったのか分からないというか、ちょっと曖昧な感じの答えでもあったので、継続的な自主基準の見直しが必要なのだと思いました。
もう一つ、私、気になったのが、適正飲酒セミナーというものを4万9000人に受講してもらったという話をしていて、これもすごいいいことだなと思って聞いていたんですけれども、一方でヒヤリハットのような事案。例えば、大学で未成年の飲酒の問題があって救急搬送されて、死亡には至らなかったような場合があったときに、ASKのほうに問合せといいますか、適正飲酒セミナーみたいなものを対象者に向けてやってほしいということが結構あるんですね。そういったところに行くと、学校で、例えば大学生1年生の新入生に飲酒セミナーをやっていたかと聞くと、やっていないというところがほとんどです。
大学側にどうしてやらないのか話を聞くと、大学側のほうとしては結構反応が薄かったりするんです。関わる省庁として厚生労働省、今日、文部科学省の人も来ているので、中高生だけではなくて、大学生の人たちに飲酒について学んでもらう機会を作ってください。大学によっては、結構ちゃんとやっているところもありますが、そのばらつきは結構ひどいなと思う事例が結構あります。それを適正飲酒セミナーとつなげることができるのではないかと感じました。
渋木委員に対して1つありまして、最後のほうに言われたコンビニの無人販売についてですが、ASKでは飲酒運転の全国の事例を集めたメールマガジンを毎月1回発行しておりまして、そのメールマガジンを見ていくとコンビニの店員から通報という例が結構あるんです。それこそ警察とコンビニが連携して通報のやり方を学ぶというか、そういう訓練をしていて効果があったりするので、無人販売はどうなのだろうと、お話を聞いて思いました。なので、強く反対を求めますというのも納得しました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
何かコメント、よろしいですか。
○渋木委員 今の飲酒運転の撲滅のことに関してですけれども、非常にいいお話を聞かせていただきまして、ありがとうございます。ただ、小売酒販店が20%ほどの組織率になっているということで、ほとんどのコンビニエンスさんのほうでは入っていない方のほうが多いので、そこの部分で言うのはなかなか難しいです。今の中で1つ言えるのは、コンビニエンスは無人レジではあるんですけれども、無人店舗ではないんです。人がいる。見る方がいらっしゃる。無人店舗をやっていくということは、そういう面で言えば非常に危険性があるのではないか。通報じゃないですけれども、こういうことがありましたというものが見えないのは危ないと思いますので、今のお言葉に協力という形で、無人店舗に対しましては強く反対を続けさせていただきたいと思います。
○小野里委員 御意見、御質問ありがとうございました。
まず、表示基準に関しましては、ちょっと分かりづらい表現だったかもしれませんけれども、2024年には改定がございませんでした。
それから、大学生に対する適正飲酒セミナーの部分でございますけれども、我々もアルコールの有害な使用の低減というのは本当にやりたいことでございますので、関係省庁のお力もお借りして、ぜひ大学生を含めて広げていきたいという思いがございます。
また、今、ネットの時代でございますので、リアルでやるのが一番いいかなと思うんですけれども、先ほどの啓発動画等も含めまして、ネットの力も借りて、より多くの消費者の皆様にアルコールの有害な使用がなされないように、そういったような取組をしていきたいなと考えております。ありがとうございます。
○松下会長 どうもありがとうございました。
それでは、小松委員。
○小松委員 いつもと違うところでつないでおりまして、電波状況が悪いので画面オフで発言させていただきます。
先ほど切れてしまったのですけれども、広告の自主基準は2024年、改定なしというお話でしたが、交通広告と言うんでしょうか、私、あまり広告は詳しくないのであれなんですが、駅とかにバーンと全部、通勤とか通学していたら嫌でも見なければいけないようなものは規制があったほうがというか、ほかの国ではやっていないと思うので、ぜひ検討していただきたいというのが1点と。
それから、先ほど小売酒販組合中央会さんからあった完全無人店舗。塚本委員からもありましたけれども、私もとても賛成で、全く人がいないところで売るというのはとてもまずいと思います。WHOのアルコールの有害使用を低減する戦略の中で、ベストバイとWHOが言っているのは、お酒へのアクセスをとにかくきちんと規制するというところがすごく大事なんだけれども、日本はそれがとても遅れているということはずっと指摘されていますので。いま以上にずるずると24時間。例えば、taspoのときもそうでしたけれども、借りてアクセスしようとする人たちは必ず出てくると思うんですね。だけれども、バックヤードに人がいたりすれば、その辺は違ってくると思うので、完全無人店舗で売るのは世界の趨勢に逆行していると思います。
以上でございます。
○松下会長 どうもありがとうございました。
お時間、少しあるんですけれども、ほかに何か御質問、コメントございましたらお願いいたします。
金城委員、お願いします。
○金城委員 金城です。
1点は小野里委員に質問ですけれども、今回、見せていただいた啓発活動というので、20歳未満の飲酒を防止するという点ではよいと思うんですけれども、一方で、ビール組合、酒造組合が啓発するということで、宣伝の部分と啓発の部分はすごく微妙なラインのところがあるのかなと思います。例えば、今回、資料の中で挙げていただいている、細かくは見えないですけれども、「ビールすごろく」を見ると、ビールがよくもなるし、悪くもなるしという両方のメッセージが入っていて、お子さんたちにダイレクトに20歳未満での飲酒がいけないということにつながるのかどうか。逆に、それによって飲酒に対して興味を持ってしまうというところの微妙なラインに関する工夫というのをされているのかどうかというのが1点です。
もう一点は、渋木委員の御発表に関して、私も無人販売原則禁止に賛成するところです。その中で、今回、不当廉売の数が減少してきているというのがありますが、インターネット等での販売に関しては、この不当廉売の中に入っているのか、この小売組合というところで、対面での販売以外にインターネットでの販売というのを含めておられるのかどうか、というところをお聞きできればと思います。よろしくお願いします。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、小野里委員、お願いします。
○小野里委員 御質問ありがとうございました。
まず、「ビールすごろく」に関しましては、広告要素は全くございませんで、あくまで啓発のツールという形になっております。手のひらマークの広告のところにもございましたけれども、このぐらいだったらビールを飲むのは許されるんではないかみたいなグレーのところを潰し込むような、潰し込むと言うとちょっと固い表現ですが、そこを柔らかくゲーム感覚で、すごろくで学んでいただくといったツールになっています。
例えば、お正月だったか、親戚が集まったときに年長者から勧められて、ちょっとぐらいならいいと思って飲んでしまいましたみたいなことは駄目なんですけれども、もしかすると目上の人が勧めるんだからいいとか、年に1回のお祝い事なんだからいいみたいな認識があるんであれば、それは違いますというのを分かりやすく訴求するようなツールでございますので、組合のホームページのほうにデジタル版のすごろくもございますので、ぜひ一度お試しいただければなと思っております。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、渋木委員、お願いします。
○渋木委員 ただいまのインターネットのことに関して、価格なんですけれども、酒類の公正な取引に対する基準とか指針というものは、販売・商売という形でやっていく場合は利潤を生まなければならない。そこのところで販管費という販売管理に対しての経費というものを仕入れのところに上乗せして、それで適正な価格を出せという形のものがありまして、それが非常に曖昧になって、そこの部分をほかの販売管理の部分から差し引いたりして安く店頭で売るという形になっております。
ただ、インターネットであまりにも安いものは見ていると思うんですけれども、今、インターネットのほうで反対に問題になっているのは、厳格に20歳未満であるかどうかというところをどのように見ているかというのが、ちょっと難しいのではないかということがあるのですけれども、インターネットに関しましては、このぐらいのお話しかできないので、深くは分かりません。申し訳ございません。また調べてみます。
○松下会長 ありがとうございました。
では、米山委員から挙手いただいていますが、米山委員を最後にしたいと思います。よろしくお願いします。
○米山委員 私からビール酒造組合の小野里さんに質問です。
先ほど上村委員からもサントリーの会社の事案が報告されて質問が出されていたんですけれども、教育や啓発を目指す部門と販促を目指す部門との内部のあつれきといいますか、そういったことが酒造会社の中で、これはサントリーさんに限らず、いろいろなところであるんじゃないかと思うんですね。そういう意味では、アルコールに関する啓発教育に関しては、ビール酒造組合という組合だけではなくて、同じ会社でもビール部門、ほかのお酒部門、いろいろあると思いますので、全体的な取組が必要なのではないかと思うんですけれども、そういったことについて、どうお考えか教えていただきたいと思います。
○松下会長 ありがとうございます。
それでは、小野里委員、お願いします。
○小野里委員 御質問ありがとうございました。
本日、私はビール酒造組合として来ておりますけれども、加盟各社は各社で製造している酒類に応じた組合に加盟しておりまして、例えば蒸留酒組合とか洋酒酒造組合といった組合にも加盟して、それぞれで適正飲酒の啓発活動というのを行っているところでございます。ですので、ビール酒造組合だけで啓発しているのではないというのが1つ。
それから、先ほど各加盟社の事例を紹介させていただきましたけれども、今はそれぞれの組合団体だけで啓発活動しているということではなくて、各加盟社でも積極的に適正飲酒の啓発活動というのをさせていただいております。というのは、各社におきましても、ただお酒を造って売ればいいという感覚はもはやございませんで、アルコールの有害な使用の低減とセットで取り組んでいかないと酒類業界の未来はないというふうに考えております。非常に重要課題として、各社、取り組ませていただいているところでございます。
○松下会長 ありがとうございました。
まだ御質問等あるかもしれませんが、次の発表もございますので、質疑応答はこれまでとしたいと思います。
○米山委員 すみません、松下先生、一言よろしいですか。
○松下会長 どうぞ。
○米山委員 小野里委員、ありがとうございました。
ただ、酒類別の組合で縦割りで対応されているというのが現状だと思いますので、もう少し縦割りの垣根を取り払って、企業・業界で対応するという体制をぜひ今後、お考えいただけるといいのかなというふうに個人的には思っております。よろしくお願いいたします。
○小野里委員 御指摘ありがとうございました。
先ほど言い足りなかったところで、言葉足らずで申し訳ありません。酒中連という団体がございまして、ビール酒造組合ですとか、先ほど申し上げました日本洋酒酒造組合、日本蒸留酒酒造組合、また、渋木委員もおられます全国小売酒販組合中央会等々が9団体で酒中連という団体を形成しております。その中でも啓発活動の話を連携を取ってやるような形になっております。まだ完全にできているということではないのかなという御指摘かと思いますので、しっかりやっていきたいと思います。
○米山委員 ありがとうございました。
○松下会長 もし、まだ何か御意見等ございましたら、後日、個別に事務局まで連絡いただきたいと思います。
続きまして、山本参考人より御発表をよろしくお願いいたします。
○山本参考人 国際医療福祉大学の山本由紀と申します。東京・渋谷で遠藤嗜癖問題相談室というアディクションのカウンセリングルームを仲間と開いて、もう33年になるところでございます。
本日のプレゼンテーションの内容ですけれども、飲酒に関するこども家庭の相談実践から見えること。そして、その後でこども家庭やヤングケアラー支援施策とアルコール健康障害対策推進基本計画との関係について触れられたらと思います。最後に、依存症の家庭のこどもだけを扱った全国研究があまりなくて、メンタルヘルスの課題(依存症を含む)がある親と暮らすこどもの困難に関する研究から少し御紹介して、実践と関係があるということをお示しできればと思います。
次、お願いします。来談者の立場というところまで進んでください。その前は、これから御報告するこどもの困難を視覚化した、相談室はこういうところですということを紹介したものです。特別にこども家庭とか児童福祉に関する実践の場では全然ありませんで、普通のアディクションの相談室ですが、10代から80代までの広い相談があります。ここ1~2年に限った新規のものだけをちょっとまとめています。
来談者の立場のところを見ていただくと、私たちからは妻であり、母である、父であるという家族の立場なんですが、受付表は「どなたのことで」というところに御自身のことでとつけている方が多いですね。役割で見ずに、家族自身にニーズがあるということがよく分かります。
次の問題のアセスメントのほうへ行きますと、これもこどもの相談に来るわけではなくて、いろいろな相談にいらっしゃるんですが、こちら側が家族全体を視野に入れていると、背後にこどもの苦難が見えてくる。赤丸で示したものは、主訴は違いますけれども、こどもが巻き込まれているだろうなというふうに想像できる問題です。
次、お願いします。依存症の家庭のこどもたちの困難は、アダルトチルドレンという名前で1990年頃から依存症の支援領域では有名になっております。カウンセリングルームなどには、いまだにACを自認した人たちが自分の苦しかった家庭の話や影響を洗い出すために登場してまいります。このACのアセスメントができる、これを目的としたカウンセリングが、いまだにうちの相談室は数多くあります。
次、お願いします。そのACのカウンセリングの語りに例えて、そこから見られるこども時代の生活困難エピソードを抽出してみました。精神的な大変さもさることながら、いわゆる生活困難を抱えてきたということがとても目につきます。
食事がない。勉強する環境がない。家の整頓と清掃が行われていない。通学、親は起きられないので、自分で起きて登校するので、いつも遅刻した。居場所が家にも学校にもない。アルコール問題と暴力がくっついていると、安全な場がない。これは全部、私が体験したケースですけれども、母親と妹はシェルターに何とか逃げてもらったけれども、高校生だった男の子はシェルターが使えないので、しようがないので知人宅を泊まり歩くみたいなこともありました。そして、父・母とも家を一旦出てしまった時期は、高校生はそのまま電気・水道が止められて生活したというようなエピソードも聞いています。サバイバーとして本当によく生き延びたねというふうに評価するんですけれども、リアルな時点で何かできなかったかなというふうに思います。
次、お願いします。それから、リアルなニーズを語るケースもあります。AC云々の前に、まずは自分がどう生活したらいいんだろう、どう生きていったらいいんだろうかというところのケースです。
1行エピソードにまとめたスライドですが、上の3件は生活保護の担当者や関係者からの紹介で、父親がアルコールで入退院を繰り返しているけれども、それに付き添うので定職に就かずにいるという高校中退生。
次は、ネグレクトで時々見られるんですが、心臓疾患になるほどの肥満で対人関係の問題があって、仕事もできていないという女性です。自分の問題ではなく父親のアルコール問題で離脱症状のてんかんに対応し救急車を呼んだり、母親がうつで通院に付き添ったり、事業所にお母さんが行くのを励ましたり、両親へそんな役割をしていた方もいらっしゃいます。
後半のDから下は、妻の立場の相談、依存症当事者である母親のカウンセリング、依存症当事者である父親のカウンセリング、叔父のカウンセリングなどから、背後にいるこどもがリアルに大変な状況であるということが発覚したというケースです。これも母親や父親の相談だけでなく、お子さんもつなげたほうがいいですねということで、最終的にはこどもも相談室につながっています。つながらないケースももちろんありまして、こどもがどうなっただろうかというふうに気になるまま終結するということも、とても多くあります。
次、お願いします。こういうケースに関して、うちの相談室は全員が公認心理師を持つソーシャルワーカーで、社会的な支援もとても意識しております。なかなか資源がないので、使えるものは何でも使うぐらいの形で、時には家からの分離、施設やアパート探し、就労の応援、生活相談。自助グループの紹介はもちろんですけれども、地域によっては、自助グループがなく、苦労しております。
それから、行政のこども家庭支援サービスを利用したり、人によってはトラウマへの心理教育と認知行動療法を中心とした包括的な支援をしたり、まさにいろいろなできることを、そのこどもに必要なことを支援してまいりました。ただ、こういう有料の相談室に来る方は限られていますので、直接のこども若者支援施策がもっと十分にならないかなというふうにいつも思っておりました。
次、お願いします。依存症家族のこどもたちへの支援で足りなかったものは何だろうということを、ちょっと図式しています。虐待が発見されれば、それについては児相と連携して介入もしますし、依存症の家庭で育った影響を認めた方、ACというのは自認が前提になってきますので、そういう方たちは、大人になってから、カウンセリングに来ることがあります。そして、影響を受けた上で、次世代の依存症やメンタルヘルスの問題が生じた方は、患者として心療内科や精神科に登場します。でも、必要だったのは、その間の日々の生活支援で、こどもが健全に育成される権利を保障して、まず、当たり前に地域で暮らすための支援が少なかったんじゃないかと思います。
次、お願いします。まとめたものですので、これは省かせていただいて、もう1枚進んでいただきまして、うちの相談室もそうですけれども、こどもの領域の支援の場でなくても、医療や相談の場でできることが何かあるのではないかというふうに思います。こどもへの直接の対応はなかなか限られますけれども、本人、キーパーソンとしての家族が相談に出てきている、家族会につながっているならば、その家族を通してこどもの権利擁護的な活動が関われるのではないか。
それから、有料になると難しいんですが、こどもの受ける影響を緩和するために、こどもプログラムというものも一部の病院では行われていますけれども、こういうものが広がっていかないかなというふうに思っています。
次、お願いします。では、近年のこども家庭・ヤングケアラー支援施策はどうなっているかということを少しお示ししました。これは少し進んできていまして、児童福祉法が改正されたり、それから、昨年ですけれども、子ども若者育成支援推進法が改正されまして、ヤングケアラーへの支援というものがもう文言化されております。アルコール健康障害対策推進計画はこうしたこども若者支援と連動して何か考えていけないかなというふうに思っています。
次、お願いします。依存症の家庭は、じゃ、ヤングケアラーなんでしょうか。こども家庭庁の支援策のホームページを見てみますと、ヤングケアラーの10例のうち、アルコール・薬物・ギャンブル問題を抱える家族に対応するこどもがちゃんと紹介されています。そして、こどもたちは自分ではSOSを出しませんので、援助職あるいは関係機関は、ヤングケアラーの発見・把握の入り口になるということが求められていることが掲げられています。
次の絵のところをお願いします。左の下にこんなふうに紹介されています。寝転がっているお父さんの前で、こどもが酒瓶を片づけている絵ですね。
次、お願いします。こういう役割を本当はさせたくなくて、この役割から解放させたいところなんですが、ACの視点で言うと、こういうケアテイカーだけじゃなくて、母親と一緒になって問題解決を図るヒーロー役。家から忘れられているロストチャイルド役。この家族、変ということで自分がアクティングアウトを起こしていくスケープゴート役。家が暗いといって明るく道化に徹するピエロ役。巻き込まれていろいろなこどもがいるということです。
次、お願いします。厚労省が2019年に行っている委託調査ですけれども、ヤングケアラーの実態調査があります。これの飲酒問題の親を中心に、ちょっと抜粋してみます。要保護児童対策地域協議会に上がっているケースを調査したものですけれども、ケアの相手として父親に絞ると、アルコール依存症の割合がほかに比べて高いということが出ています。精神保健福祉士の調査だと、母親がアルコール依存症という方に対応しているケースが多くて、つまり、これは氷山の一角ではないかなと思っています。依存症の家庭のこどもたちは、この調査によると、学校を欠席したり、教育上の困難があるこどもの割合が高かったり、関係を壊したり、行動上の感情面の問題が生じやすかったり、メンタルヘルスの問題が生じやすいということも分かっています。
次、お願いします。ヤングケアラー支援に関する国の横断的な通知をちょっと紹介します。既に障害福祉・高齢者福祉の中では、簡単に言うとヤングケアラーは介護力とみなすなというふうに通知が出ています。そして、医療・精神科医療の中では、診療報酬の中でこどもの困難に気づく役割。そして、そこから支援を始める役割。それをすると診療報酬に反映されるということが少し入り始めました。
2枚めくってください。そして、私が仲間と調査した、精神保保福祉士がヤングケアラーをどう見ているか。これは依存症の親に限らず一般精神障害にかかわるワーカーたち対象です。でも、その20%が依存症の家庭に対応していると上げてくださっているものです。直近1年で5割近くの方がヤングケアラーを日常の相談活動の中で見つけていて、見つけている方は何らかの対応を既に5割にしているということです。
それから、危機介入や症状に対応しているということも意見が寄せられています。シングルペアレントの場合は生活支援が必要だということも意見が寄せられていて、そして10代になると、メンタルヘルスの問題が生じていく印象があるという意見も寄せられています。
2枚めくってください。所属機関の種別ごとのヤングケアラーの概念に関する認識を調査したんですけれども、医療機関や障害福祉サービスの機関に勤めているワーカーたちの半分が、ヤングケアラーという言葉は知っているけれども、業務を通して特別に何もしていないと答えています。ここについてもう少し具体的な動きができるようになればと思います。
次、お願いします。アルコール健康障害対策推進計画などに家族支援はどのように盛り込まれているかということですけれども、家族支援についてはたくさん触れられています。ただ、それが相談に行ける家族を前提としているということで、SOSを出さない家族に対しては、まだ何も盛り込まれていないということが分かります。
次、お願いします。今、私、栃木県にいるので、特に栃木県のほうは検討委員に入っていまして、昨年の計画には依存症に対応する家族等のケアラー(ヤングケアラーを含む)に気づいた場合、必要に応じて相談機関につなぐことを入れてもらいました。栃木県はケアラー支援条例があるので、この辺はスムーズだったんですが、こうした計画に少しでも盛り込んで、資源がまだまだないところですけれども、少しでも支援が始められたら、まずは気づくことから始められたらというふうに思います。
この後は参考資料でして、今日、ちょっと時間がありませんが、ヤングケアラーの行政における支援だけでは足りないということを言いたくてつけたものです。メンタルヘルスの課題がある親と暮らすこどもの困難の先行研究ですけれども、具体的な独特のニーズがあります。特に、症状が分からずに巻き込まれてしまう。危機に立ち会ってしまう。長期的な影響は、とても深刻な、複雑でPTSDのようなものまであるということ。
それから、生理的な欲求から安全の欲求、社会的・愛着の欲求というようなことから自己実現欲求に至るまで、こども一人一人が必要なニーズが違うということがある。それを私たちはぜひ行政やこども家庭の支援のところと手をつなぎながら、あるいは現場の中でできる支援を始められないか。まずは、計画の中に盛り込んでいただけたらと思います。
以上です。
○松下会長 どうもありがとうございました。
続きまして、長嶺参考人より御発表をよろしくお願いいたします。
○長嶺参考人 皆様、初めまして。沖縄県那覇断酒会家族会員の長嶺と申します。本日は「アルコール依存症の親を持つこどもの立場から願う支援」ということでお話しをさせていただければと思います。文章の多い資料となってしまい、申し訳ございませんが、私の体験と交えてお話しさせていただければと思います。よろしくお願いします。
私ですけれども、簡単に自己紹介だけさせてください。先ほど申しましたアルコール依存症のこどもの立場になります。当事者は父親ですが、母方の祖父も父の後にアルコール依存症と診断が出まして、世代連鎖した家庭に育っております。父の依存症の発症前に、私自身、中学校不登校を経験して、中学校は通っておりません。そういった経緯があり、今回、このようなチャンスをいただくことができました。
父親ですけれども、依存症と診断されてから16年間、断酒することなくずっと飲み続けまして、2019年に救急搬送されて2020年のパンデミック直前に亡くなりました。その後から私のほうでも気持ちの整理、大変ということで自助グループに深く関わらせていただき、今日があります。そのため、自分の経験を踏まえて家族支援が何かできないかということで、こちらには書いていないんですけれども、沖縄オンライン家族会ということで公式LINEを立ち上げて、1人でも多く家族の方が救われたらいいなということで、情報配信を行う活動を行わせていただいております。
次のページ、お願いします。簡単に私の父親との経験を、本日、ヤングケアラーのお話なんですけれども、依存症の父親との関わり方も私の人生に大きく影響を及ぼしておりますので、かいつまんでお話しさせてください。いわゆるアルコール依存症、飲んだくれているという印象ですけれども、24時間365日、飲んでいる父親。大げさに言いますと、浮浪者と生活しているような状況が家庭内に起こります。そうしますと、視覚的にも嗅覚的にも、五感で常に家の中が緊張状態という中に暮らしていくことになります。私は、これを思春期のときから経験しております。そうすると、どんどん気持ちが追い詰められていったり、自己肯定感も下がる人格形成につながったと私は考えております。
次のページ、お願いします。アルコール依存症と向き合っていく中で、病気と理解することはできました。ですけれども、本人を止めるのはとても大変です。やめるきっかけを私たち家族はたくさん模索するんですけれども、時間も気力もどんどん消費されていきます。その中で、私たち家族は、家族会に行きなさい、自助グループに行きなさいというだけで、何ら支援を受けることはできませんでした。
どんどん衰弱していき、酒量が増していく父親を見ていく中で、私の中でだんだん攻撃的な気持ちが湧いてきます。親の死を願うというこどもの心境が湧いてくるんですね。ちょっと過激かもしれないですけれども、私は父親の飲み残した水割りのコップにハイターを入れたらどうなるかなと考えたことがあります。それで私が警察に捕まってもいいかな。それで家の何かが変わるんだったらいいかなと考えるような心境です。私のこの例は過激かもしれないですけれども、それに近いことを願うぐらい家族が追い込まれるということを御理解いただければと思います。
では、ヤングケアラーとしての一面、次のページ、お願いします。アルコール依存症当事者の父親に対して、ヤングケアラーだったんじゃないかという面ですけれども、先ほど山本参考人のお酒の瓶などの片づけのイラストがあったと思うんですけれども、それだけではないんです。ちょっと汚い話ですが、吐しゃ物や排泄物の片づけも家族はしなければなりません。イメージしてほしいんですけれども、要介護者になってしまった方をケアするのはとても大変ですけれども、そういう認定が下りていない人間の下の世話をするというのは、とても悲しいことです。
また、私の家のほうでは異性トラブルもありまして、裁判も行いました。その資料をつくったのは私です。父親と相手方のやり取りの資料作成をしました。これは私の中でトラウマになっており、今でもまだクリアできていない壁となっております。
次、お願いいたします。ヤングケアラーとしての一面の2ですけれども、母親に対して。こちら、少しボリュームを持ってお話ししたいと思っております。ヤングケアラーのお話をいただいたときに、私が該当するのかというのはよく分かりませんでした。ですが、いろいろ解説していただいた中で、私がずっとやってきたこと、母親のカウンセラーやメンターの役割。そして、私にきょうだいが3人おりますが、4人全員が母親からの気持ちの掃きだめ役をやってきた経緯があります。長いときには、休日に3時間とか、長電話で延々と母親の愚痴を聞くこととかも、以前やっておりました。
母親も自分を何とか奮い立たせようとするんですけれども、だんだん気力が消耗してきます。そうしてくると、自己決定力がだんだん失われていく状況が起きていきました。そうすると、私たちこどもに何とかしてほしい。自分じゃ決め切れないから何とかしてほしいという決定忌避型思考という思考に陥りがちになって、私は現在、そちらのケアもやっております。
次のページ、お願いします。そういう経緯の16年間、家庭環境にあった中で、こどもの心境として、私の心境ではありますが、ほかの方たちも該当することが多いかと思います。
まず、気持ちのよりどころが家庭内にありません。家庭が安全でない。母親は依存症ではないけれども、父のことでずっと気が立っていて、私たちこどもが甘えたいとか、そういった感情を持ったときにも受け入れられる余力がないというところがあります。それが十何年も続いていきますと、不幸というものが通常運転なんです。幸せを知らないという感覚を送っていく人生になります。これは私の経験で書かせていただきましたけれども、多くの仲間たちと交流する中で、同じような感情を持っている方はとても多かったです。
私は女性ですので、結婚やこども、家庭を持つことも考えたことがあるんですけれども、世代連鎖していく中で、私がそういう結婚とか何か人生のステップを踏むことで、次にまた同じことが生まれるんじゃないかという恐怖と闘うという瞬間も、こどもたちの中にはあるかと思います。
次、お願いします。先ほどから、十何年、依存症の父親といたということをお話ししましたが、長年、依存症と生活していく家族がどうなっていくかという心情的なところをお話しさせてください。
まず、痛みに鈍感になります。自分の心や体の悲鳴に気づけないというのがあります。私もそうでしたが、ほかの家族にもそういった事例が出ております。ほかの御家族さんと交流していく中でも、自分の体のケア、心のケアというところにはとても鈍感だなということを感じております。同じ家族に対してもその状況が出ていくので、それが新たなヤングケアラーや、先ほどありましたアダルトチルドレンにつながっていくのではないかなと考えております。
次、お願いします。まとめですけれども、母親を批判するような激しい言葉を使う形になってしまうんですけれども、実際、母親からの影響がとても大きいなというのを私は感じております。ですが、それを言うことで、女性たち、母親の立場の方、奥様の立場の方に私が悪いんだと思ってほしいわけではありません。そこから回復するチャンスをつかみ取ることを私は申し上げたいと思っております。そうしないと、当事者が回復しても、また次の世代連鎖が生まれてしまったり、当事者が回復するためのきっかけも失ってしまうように私は考えています。
母親を責めてしまうんですけれども、苦労してきたのも私は実際見ています。ただ、そのときにもっと欲しかったなという支援があります。支援者さんたちに、自助グループに行ってくださいとか、家族会で回復してください。家族会には回復した人たちがいますよと教えていただくんですけれども、実際、当事者間の対応とかには、既に会員だったりする方たちは慣れていらっしゃいます。ですが、メンタルヘルスに関しては、大変失礼ながら私たちは素人です。なので、ここをどうしたらいいかというところ。病院に行ってみたらとか、同じ仲間同士でも申し上げることはできません。
そこで言ってほしかったのは、支援者の方々に、あなたの依存症の家族は、少なからず心や体にダメージ、トラウマを抱えているのでカウンセリングを受けてみませんか。お子さんのメンタルヘルスチェックをしてみませんかと言ってほしいということと。あと、CRAFTやアンガーマネジメントなどのコミュニケーションスキルの講座なども開催してくださるところもあります。ですけれども、それは当事者に向けてばかりのお話なんです。いきなり当事者にできないんです。当事者に対応してみて、失敗して、すぐ心が折れてしまう。私自身も心が折れた経験がありますし、折れた御家族さん、たくさん見てきました。それで支援の場から離脱していく方たちもいっぱい見てきました。
なので、支援者の方には、すぐに当事者さんにやるんじゃなくて、お子さんや職場やお友達に練習してから当事者にやってみましょう。自分の口と体が慣れて、思考が慣れてからやっていきましょうというふうに伝えてほしいということをこちらでお話しさせていただきたいと思います。まとめの資料のほうには記載しておらず、後半の御一読くださいという参考資料のほうにその辺は書かせていただいたんですけれども、本日、会議に参加させていただいた中で、ここは言葉で伝えておこうと思いまして、今、申し伝えさせていただきました。
拙い発表ですけれども、私のほうからは以上です。本日はチャンスをいただき、ありがとうございました。以上です。
○松下会長 どうもありがとうございました。
続きまして、白井参考人より御発表をよろしくお願いいたします。
○白井参考人 御紹介いただきました白井明美と申します。父と夫がアルコール依存症を持つアルコール依存症家族です。14年前から川崎断酒新生会つばき家族会とパトリス家族会に所属しています。また、ASK依存症予防教育アドバイザーとして、断酒会の仲間と依存症オンラインルームのスタッフをしています。仕事としては、英語講師として幼稚園生から高校生までのこどもたちと20年以上、関わってきました。本日は、アルコール依存症のある親を持つヤングケアラーとして、有識者の皆様にお伝えできる貴重な機会をいただき、ありがとうございます。提出させていただきました資料に沿って、自分の体験をお話しさせていただきます。
資料、(1)アルコール依存症家族(ヤングケアラー)の中に何が起きているか。私の場合でお話しします。
まず、アルコール依存症当事者の世話についてですが、今、長嶺さんがお話ししましたけれども、うちの父も飲み過ぎて二日酔いになりますと、よく嘔吐していました。私は家の床に嘔吐されないように父を観察して、そうなりそうになったら洗面器の中に新聞紙を敷いて、父の枕元に持っていくことが私の仕事でした。私の父ではありませんが、酔うと家族に暴言、暴力をしたり、何時間もこどもに説教したりする依存症者もいます。それも依存症当事者の病気の症状に合わせているという意味では、こどもが当事者の世話をしていると言えるのではないかと思います。
次に、アルコール依存症によって起きる家庭内の危機対応→親の問題行動の後始末や病気・けがへの対処(常に家の中に緊張感と期待したことが守られない落胆があり、親への不信感が高まる)。私の父は静かなお酒でしたが、母が病的なほどに父がアルコールを飲むことを嫌いました。そのため、アルコールをめぐる両親のけんかが絶えずあり、それを私が仲裁に入ったり、2人の機嫌を取って、けんかを阻止しようとしていました。いつも両親の顔色を伺って、いざ何か起きたときに自分が対処しなくてはと緊張し、身構えていました。父が外に飲みに行くようになり、遅くまで帰ってこないと、繁華街に父を母と探しに行きました。
父がアルコール優先の生活になっていくと、楽しみにしていたイベントもドタキャンになり、約束を守ってもらえませんでした。どうせ期待しても裏切られるんだから、初めから信じるのをやめようと思っていました。また、楽しいことがあっても、父のアルコールのことで、またすぐに事態がひっくり返る不安があり、心から楽しめませんでした。
資料、依存症当事者でないもう片方の親の相談相手、情緒的ケア→こどもには重過ぎる役割を担わされている→それを手放そうとすると罪悪感に襲われ、自分のことを優先できなくなる→自分の感情を抑圧することで親の期待に応えようとする。このことがアルコール依存症のこどもとして、私が一番苦しんだことであり、皆さんにお伝えしたかったことです。
アルコールの問題が出たことで、父は家の中での役割ができなくなり、母がそれを担わなくてはならなくなりました。近所や親族のことや家の経済のこと、夫婦で話し合ったり、相談することができなくなり、代わりを私に求めるようになりました。母は父のことで大変なのだから、私が助けなくてはならないと思いました。そのために頑張らなくては、しっかりしなくてはと思い、10歳くらいでしたが、早く大人にならなくてはなりませんでした。しかし、母が望む行動ができなかったり、自分の気持ちを優先すると罪悪感に襲われてしまうので、自分の感情を抑えることで母の期待に応えようとしているうちに感情が麻痺していきました。
資料、その結果、情緒が安定しない環境の中で自己肯定感が低くなる。母や父から、期待に応えると褒めてもらいましたが、それができないと、自分がもっと頑張らないからだと自分を責めていました。自分のすること、考えることに自信がなく、自己肯定感が低くなっていったかと思います。
資料、人への不信感、人へ頼ることができない。父のアルコールによって、決められたり、語られることにいつも矛盾が起きて混乱するとともに、親も含めて、人を信じてはいけないと思うようになりました。そして、自分の家の中で起きていることは、ほかの人に知られたくなかったです。話してはいけないと思っていました。
資料、こどものときは親に合わせてどうにか頑張ってきたことが、思春期になると心の折り合いがつかなくなり、問題が出る→非行・引きこもり・親への犯行・友達や周りの人たちとのコミュニケーション障害。私の場合は、中学校2年生の頃から苦しくなっていきました。そばに人がいると緊張して、人の視線が気になり、いろいろなことに集中できなくなっていきました。どうしていいのか分からず、保健室の先生に相談に行っていました。友達とのコミュニケーションも、自分の気持ちをうまく伝えられなくて悩みました。
高校に入学して間もなく、学校に行けなくなりました。朝、ベッドから起き上がるのがしんどくなり、母には胃が痛いと言って、しばらく休みました。病院で検査を受けて軽い胃炎だと診断された後、学校に戻りました。母には私のSOSは届きませんでした。大学に入った頃には人がたくさんいる電車に乗るのが怖くなり、ついにもう無理だと思い、母に精神科を受診したいと言ったら、こんないい娘が何でと泣かれてしまい、受診できませんでした。
誰も助けてくれないんだと思っていたときに大学の心理学の先生との出会いがあり、その先生のカウンセリングを受けることができました。ようやく自分の苦しさを理解していただける人に会えたと思いました。しかし、父の病気については話しませんでした。私に起きている心の状態が、病気と診断されていなかったアルコール依存症と関係があるとは思いませんでした。カウンセリングへは、就職して結婚するまで6年間通いました。
資料、成人した後もその影響は続く→親や家族の世話を続け、それができないと罪悪感を持ち、自分の人生を生きづらい。仕事や結婚等の中での人とのコミュニケーションに支障。カウンセリングのおかげで少しずつ気持ちは楽になっていきましたが、母との関係は変わりませんでした。私が結婚してからも、父の相談をされると、自分がどうにかしなくてはいけないと思い、奔走していました。自分の生活もあり、大変だったのですが、自分のことは後回しになっていきました。
資料、苦しさから逃れるために何かに依存する→世代間連鎖(当事者またはその家族になる)。私の場合は、アルコール等に依存はしませんでしたが、仕事にのめり込んだり、何かに取り組むと集中し過ぎて疲れ切ってしまうことがありました。そして、家族への世話焼きが夫に変わり、気がついたらアルコール依存症を持つ夫の妻になっていました。
資料、(2)アルコール家族(ヤングケアラー)への対策としての要望。支援をお願いしたいことです。父はその後、母がつながった断酒会で回復して30年が経ち、私も14年前に断酒会につながり、いろいろな方たちから支援をいただき、夫のアルコールも止まり、断酒歴も10年目に入りました。自分がアルコール依存症の配偶者の立場になって、母の当時の大変さを理解できるようになりました。父が病気だとも分からず、助けも求められず、必死に私たちこどもを育ててくれていたこと。私を頼らずにはいられなかったことも分かりました。もっと早い段階で病気だと気がついて支援につながっていたら、私も母ももっと楽に生きられたのではないかと思います。
そのような経験を経たこどもの立場からお願いしたい支援を挙げさせていただきました。資料、児童(10歳くらいまで)へ。こどもが情緒的ケアを担わなくて済むよう、依存症者でない親への支援をより強化しいただきたいです。依存症でない親を、安心して話せる場所(相談先や家族会)、知識・対処の仕方が学べる場所(家族セミナー、専門病院の家族教室)へつなげていただきたいです。私自身が夫のアルコールの問題に取り組む中で、この2つの場所がとても大切でした。安心して話せる場所である家族会で病気に巻き込まれて混乱した気持ちを話して共感してもらうことで、情緒を安定させながら、家族教室で病気の知識や対処の仕方を学べました。
私には、家族会の先輩たちがアルコール依存症に巻き込まれた家族から回復していこうと、30年以上前に立ち上がったパトリス家族会の家族教室が身近にあり、依存症支援者の方から毎月学ばせていただいてきました。依存症でない親がこういった場所に参加することで健康を取り戻し、知識を得ることで、こどもへの負担が軽減されると思います。
資料、相談機関や家族教室の依存症の知識の中に、こどもが受ける影響、こどもへの声かけについて盛り込む。ありがたいことに、自治体をはじめ、様々な場所でアルコール依存症の家族セミナーが行われていますが、残念ながらアルコール依存症によるこどもへの影響や声かけの仕方についての説明が見られません。ぜひ盛り込んでいただきたいです。
資料、依存症でない親が気持ちを下ろせる家族会への自治体からの支援(親が家族会で依存症者への怒りや不安を話すことで、こどもにぶつけなくて済む)。家族会は、同じ体験をしている仲間の中で安心して話せる、家族にとって安全な場所であり、また、先を行く仲間の体験を聞くことで希望を見出せる場所です。依存症者でない親が家族会の中に自分の居場所を見つけて気持ちが安定することで、こどもが情緒的なケアを親にしなくて済みます。家族会は長い間、草の根活動として地道に活動していますが、場所・資金の確保が厳しいのが現状です。ヤングケアラーの依存症でない親を支える居場所として、もっと自治体からの支援をお願いいたします。
資料、ティーンエイジャーへ。ヤングケアラー全体に、個別に相談できる環境を整備してほしいです。有料カウンセリングに経済的な補助を。こどもの頃からの親のアルコール依存症や、依存症者でない親をケアしてきて心の不調が出たとき、もっと手軽にカウンセリングを受けられるように援助をお願いしたいです。
資料、アルコール家庭のヤングケアラーに対して。専門病院のアルコールこどもプログラム導入の推進(例として、成増厚生病院東京アルコール医療総合センターで実施されているこどもプログラムや思春期プログラム)。こどもの頃につらかったのは、どうしてなのかが分からないことでした。父がお酒を買うために、私の財布からお金を取ってまで飲みたいのはなぜなんだろう。母が、父がアルコールを飲むことにあんなに怒るのは何でなんだろうと思っていました。当時、父がアルコールを飲まずにはいられなくなる病気にかかっているのだと分かっていたら、自分が頑張ったり、我慢したらよくなる病気ではないんだと分かっていたら、気持ちを親に合わせて抑圧しないで、ありのままの自分でいられたのではないかと思います。
そして、自分と同じように、親のアルコール依存症で悩んでいる同世代の人たちと気持ちを分かち合えて、悩んでいるのは自分だけではなかったと知れたら、安心して人に相談できたり、心を開いて1人で悩まないで済んだのではないかと思います。そういう意味で、例に挙げさせていただいた成増厚生病院アルコール医療総合センターで実施されているプログラムは、こどもの年齢に合わせて病気を理解したり、病気によって抑圧された気持ちを話す機会をこどもに提供していただいていると思います。このようなプログラムを推進していただき、訳が分からないまま親の病気に巻き込まれて、どうしたらよいか分からないこどもたちの不安を和らげていただきたいです。
資料、②教育現場(スクールカウンセラー等へのアルコール依存症を親に持つこどもが受ける影響について啓発)。こどもの相談を受けるスクールカウンセラーの方に知識として知っていただくことで、アルコールヤングケアラーとして見つけていただける機会になってほしいと思います。
(3)最後に、アルコール家庭のヤングケアラーへの支援の要は親への支援から→依存症者が外で仕事ができていても、家の中ではアルコールの問題は起きています。早期に発見、相談につながる啓発をお願いします。私も母も、父や夫のアルコール依存症という病気のために問題が起きても、支援につながるまで長い時間がかかりました。それは、父も夫も仕事に行くことができていたからです。家族は、仕事を続けさせるために必死に支えて、燃え尽きて、どうしようもなくなって、やっと外に助けを求めます。支援につながるまでの長い間にも、こどもは成長していきます。仕事ができていても、家族が困っていたら支援は必要です。家族自身が病気に気がついて、こどもがヤングケアラーにならない啓発・支援を心からお願いいたします。
本日は、アルコール家族のこどもの立場からお話しさせていただく貴重な時間をいただきまして、ありがとうございました。
○松下会長 どうもありがとうございました。
それでは、御発表いただいた3人の参考人からの説明について御質問、御意見をお願いしたいと思います。なお、時間が大分限られておりますので、簡潔にお願いしたいと思います。
それでは、会場から白川委員、お願いします。
○白川委員 全国精神保健福祉センター協会のほうから出てきております白川ですけれども、お三方の御発言をいただきまして、非常に御苦労されているということが分かりました。
それで、白井参考人のほうから成増のプログラムのお話が出ておりましたけれども、ぜひその発表をしていただく機会をこの場で設けていただければと思いますので、御検討いただければと思います。
○田中室長補佐 事務局でございます。
実は、成増厚生病院のほうで、このプログラムが現時点で行われていないところでございますので、可能かどうかを後日、また検討させていただけたらと思います。取材のほうはもうしておりますが、すみません。
○白川委員 よろしくお願いいたします。
○松下会長 ありがとうございました。
では、稗田委員、お願いします。
○稗田委員 社会福祉士の立場から、稗田です。
お三方の発表、本当にありがとうございました。私自身も、実はアルコールではないんですけれども、自分がヤングケアラーでACを自認していますので、ヤングケアラーの苦しみが本当によく伝わってまいりました。
それで、思っていることなのですけれども、お二人の話から、依存症のヤングケアラーの特性というのは、本来、こどもが担うべきじゃないものを担ってきていて、その結果として大人になってからも生きづらさを引きずっている。それがまた世代間で伝わっていくということが本当に今まで言われてきたけれども、生々しく再確認できたかなと思います。そういう意味では、私は相談業務の立場として、相談支援の拠点が全国にありますけれども、そこの専門職の皆さんたちに今まで以上にアディクションの支援ということ。それに加えて、今はヤングケアラーと言うと思うんですけれども、ACを自認している方たちの個別の相談が受けられる力をもっと身につけていくということ。
それは、私は教育の中にいますので、養成課程のプログラムとか人材育成の教育の中に、それがなかなか反映され切れていないというか、病気は知っているけれども、そういうこどもたちへの支援は分からないとか。そういうことで自助グループさんに、ある意味おんぶにだっこというところで、行政でも都道府県レベルでそういう方たちが配置されているところでは、人材育成の力をもっと入れていっていただきたいなと思っています。特に、教育カリキュラムの中にきちんと支援、親の支援、こどもの支援を入れていただきたいと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
ウェブ参加のほうでは、米山委員、小松委員、上村真也委員、石井委員から挙手いただいています。残りが限られておりますので、米山委員から手短にお願いします。
○米山委員 山本さん、長嶺さん、白井さん、体験やお仕事のお話、ありがとうございました。
3人のお話を聞いて、私が思ったことです。意見です。若者・こども向けのプログラム、支援策としてこども向けのシェルターとか、成増厚生病院でかつて行われていた親とこども向けの支援でこどもプログラムといったものを、もっと広くいろいろな地域で実践できていくといいのかなと思いました。
実は、DV被害女性を支援するSaya-Sayaという団体があるんですが、その中でDV加害者がお酒の問題を持っているという人も結構いまして、そこで母子に対してコンカレントプログラムというのをやっていて、母親とこどもを分けて、こども向けにプログラムを実施しているということがあります。そういう中で、こどもたちが自分の体験していることがどういう意味があるのかとか、何が起こっていたのかというのを理解していく、そういう理解を助ける支援プログラムが非常に有効だということがありましたので、ぜひアルコールでも、成増で行っていたような、ノメノメ星人という役で分かりやすく説明するというようなことを展開していただけたらと思いました。
それから、2つ目ですが、依存症ではない親への支援プログラムをぜひ強化していただきたいという白井さんのお話の中で、私もそれは非常に重要だと思うんですけれども、行政などでの相談支援などは、9時-5時とか、日中の時間に限られているということがあると思うんです。ですので、9時-5時以外、あるいはオンラインを活用したプログラムとか、家族やこどもたちが参加しやすいツールというものをもっと展開していく必要があるんだなと思いました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、上村真也委員、お願いします。
○上村(真)委員 読売新聞の上村です。僕も父親がアルコール依存症で亡くなっているので、ある意味ヤングケアラーで、お二人のお話、体験談を我が事のように聞かせていただきました。
1つ、長嶺さんに質問なんですけれども、自助グループにつながったきっかけ。断酒会とか、あるいはお父様が亡くなられた後にオンラインの自助グループ、オンラインルームにも参加されているようですけれども、どういうふうな形でアクセスして、具体的にどういうふうな学びがそこであったのか。あと、どういうふうな情報とか体制があれば、自助グループあるいは後方的な支援にもっと早くつながることができると思いますか。御自身の体験も踏まえて、せっかくなので、この場で教えていただけるとうれしいです。
○長嶺参考人 ありがとうございます。
私の資料のほうに漏れていたかもしれないですけれども、まず最初に母親が自助グループ、断酒会とつながりました。それに誘われていましたけれども、私の中でそこには行きたくないという抵抗があったんですが、先ほど資料に書かせていただいた、父親の死を願う気持ちなどが発端で、これじゃ駄目だと、自分の中で、いわゆる底つきと言われることになるかと思うんですが、それで母親に頼んで自助グループに参加させていただきました。そのときは、わあっと体験談を話して楽になったんですけれども、じゃ、これをいつまでやっていたらいいんだというところにたどり着いたときに、ちょうど父親が亡くなり、パンデミックが起きてオンラインが普及する形になって全国の人とつながる形になりました。
コロナ前までは、私は沖縄県内だけの自助グループとかでしか、この自助グループというものを知らなかったんですけれども、全国の方のお話を聞く中で、私と同じこどもの立場の方たちのお話を聞くチャンスが広がったことで、とてもよかったなというふうに思いました。島の中ですと、部落意識だったり、内に籠もる傾向がありますので、外で数打ちゃ当たるじゃないですけれども、多くの人の話を聞くことで、自分に刺さる経験だったり、近しい経験の人と刺さってほしいなということで、オンライングループにつなぐ仲介も今はさせていただいています。
欲しい支援というところでは、最後のまとめでも言ったんですけれども、ただ自助グループに行ってくださいとか、自助グループで回復してくださいだけじゃなくて、もう少しカウンセリングも併用してみませんかとか、自助グループでは言いっ放し、聞きっ放しだけなんですけれども、対話によって気づく自分の内面というものがあると思うので、私はできたらぜひそちらを支援に盛り込む形を行政にも取ってほしいなと思っております。
あと、参考資料のほうには書かせていただいているかと思うんですけれども、保健所などの保健師さんとかに相談に行った仲間たちは、人によって対応のばらつき、知識のばらつきがとても差が大きいということにみんな悩んでおります。家族の私たちから保健師に教えるというケースも多く聞いておりますので、その辺の保健師さんとか行政の方たちの知識のアップデートがもう少しあったら、また家族やほかの方にも、よりよい支援につながるんじゃないかなと考えております。
お答えになっていれば幸いです。以上です。
○上村(真)委員 ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、石井委員、お願いします。
○石井委員 山本さん、長嶺さん、白井さんのお話、今、お酒が止まっているとしても、アルコール依存症の本人として非常に胸が痛む思いで聞かせていただきました。
感想と今後に向けてのことですが、まず、お願いです。さっきの酒造組合の方のお話もありましたけれども、いろいろな研修を組合の活動として学校とか医療の現場とかでもしていただいているおかげで、アルコール依存症が体の病気だということは、もうかなり広まってきたと思うんですね。次に、それが回復していく病気だと、普通の人のように幸せに生きていくことができる病気なんだという希望の情報も、併せてたくさんの人の認識の中に入るような時代になっていくといいなと思います。病気で終わりじゃなくて。
そうでないと、いろいろな相談機関とか医療機関にかかる人たちのまだ病気への偏見、あと御家族の気持ちのつらさとかは、小さくならない。次の段階の、病気が回復していく、普通に生きていかれる病気だということがこれから広まっていくような研修の仕方、研修の情報、相談する各県の拠点、県の精神保健福祉センターとか、地方にも専門病院とか、たくさん行政のほうの支援があって造られているわけですけれども、そういったところへの相談なり受診なりができるような情報を必ず研修の中で盛り込んでいただきたい。もちろん、本人として私自身が助かった自助グループということも必ず入れていただきたいなということを強く願います。
それで、御家族の方のお話ですけれども、当事者と同じように孤立しない。同じような状況を経験している人たちの共感というのは、人間にとってはすごく大事なことかなと思います。そのつらい状況の中から、まず自分自身が、病気の本人もそうですけれども、周りの人たちの個人が傷の状態から回復して、そして人としていろいろなたくさんの傷を持ったところから、今度は次に成長していけるような学ぶ場所といったことが、先ほどの相談する拠点とか専門病院のほうから伝わっていけるような、参加していけるような流れを、これからもっと深く強くつくっていただけたらなと思います。
それで、疑問だったんですけれども、私、以前、かなり前ですが、ASKで発行されている「Be!」という本の中で、アルコールのこどもプログラムを日本の中の病院で行っている特集が載っていて、かなり前の記憶なんですけれども、日本の中でもこういうこどもさんを対象にした関わり方をやっていく病院ができてきたんだなと、非常に希望を持ちました。
その後、そういった情報を自分も探したわけではなかったんですけれども、今日のお話を伺っても、特集を組んでいただいた病院がそれをやめているのか、またそういったことが必要だと思っている医療機関が立ち上がっても、それが継続していけないような状況なのか、それはこれからの医療の中での大きな大切なことかなと思います。本人もですけれども、特に家族の人は、専門病院というのに非常に希望を持つわけです。そこに父親なり母親なり夫なり妻なりが入院すると、その先にはいいことが待っているんだろうと思うんですけれども、専門病院のレベルも、多分、すごく幅があると思うんです。そういったところをもっとレベルアップしていくこととか。
あと、私も依存症者のお嬢さんから相談を受けて一緒にカウンセリングを探したことがあるのですが、私の住んでいる地域でカウンセリングを探すとなると、本当にないんです。あってもすごい高い料金。そういったところを利用していただいた方もいますけれども、都市部にはもっと数があると思うんですが、日本はどうしてカウンセリングが増えないのかなと。その辺も今後、そういったことがいいほうに行くようなことを願いながら、こういった行政での会議なので、発言させていただきました。
○松下会長 ありがとうございました。
まだまだ御意見あろうかと思いますが、既に予定の時刻を過ぎております。もし、最後にこれだけはということがあれば。
では、稗田委員、手短にお願いします。
○稗田委員 ぜひお願いしたいのは、このメンバーに都道府県の行政の方とかも、もし可能でしたら入れていただいて、行政レベルで施策を展開していきますので、こういう声を聞いていただくなり、意見を反映していただくようなことでできたらなと提案したいと思っています。
○松下会長 米山委員から挙手がありますが、では、これを最後にさせていただきたいと思います。では、お願いします。
○米山委員 成増厚生病院のこどもプログラムを簡単に私の知っている範囲で御紹介したいんですけれども、よろしいですか。
○松下会長 事務局のほうでそれは。
○米山委員 分かりました。
○松下会長 それでは、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。御発表、御質問、本当にいろいろありがとうございました。
最後に、事務局からお願いします。
○小野室長補佐 本日はありがとうございました。
次回の開催日程については、決まり次第、御連絡させていただきます。
○松下会長 それでは、第31回「アルコール健康障害対策関係者会議」を閉会いたします。
本日は御多忙のところ御参集いただきまして、どうもありがとうございました。