- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 社会保障審議会(医療保険部会) >
- 第191回社会保障審議会医療保険部会 議事録
第191回社会保障審議会医療保険部会 議事録
日時
令和6年12月26日(木)15:00~15:57
場所
全国都市会館 大ホール
議題
- 1.被用者保険の適用拡大及びいわゆる「年収の壁」への対応について
- 2.入院時の食費について
議事
- 議事内容
- ○姫野課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第191回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折御参加いただき、ありがとうございます。
まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、内堀委員、河野委員、中村委員、横本委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、菊池部会長代理より、途中から御出席との御連絡をいただいております。
本日の会議は、傍聴希望者向けにYouTubeにおいてライブ配信を行っております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず、欠席される委員の代わりに御出席なさる方についてお諮り申し上げます。内堀委員の代理といたしまして根本和代参考人、河野委員の代理といたしまして河野功参考人、横本委員の代理といたしまして井上隆参考人、以上3名につきまして御承認を賜れればと思いますが、いかがでございましょう。よろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
それでは、早速議事に入ってまいります。
本日は「被用者保険の適用拡大及びいわゆる『年収の壁』への対応について」、それから「入院時の食費について」の2つを議題といたします。
では、まず「被用者保険の適用拡大及びいわゆる『年収の壁』への対応について」を議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いします。
○佐藤課長 保険課長でございます。
タブレットは資料1をお開きください。「被用者保険の適用拡大及びいわゆる『年収の壁』への対応について」ということでございまして、一昨日、年金部会が開催されまして、昨日、年金部会における議論の整理というものが公表されております。医療保険部会におきましても、この間、適用拡大、それから年収の壁の関係については何回か御議論いただいておりますけれども、年金部会の議論の整理が取りまとまったものですから、医療におきましても同様の観点から最終的な方向性について御議論を賜りたいというものでございます。
右下のページ、1ページ目でございます。まず1つ目の議題として、適用拡大の関係でございます。1ページ目の一番上のところに●で、「これまでの医療保険部会の議論を踏まえ、年金制度と同様の方向で被用者保険の適用拡大に取り組むこととしてはどうか」という形で整理をしてございます。
その下に箱囲いで年金部会の議論の整理を記載してございますけれども、この間御議論いただいた内容と多分に重複するところがございますので、ポイントのみかいつまんで御説明を申し上げます。
まず、1ページ目の一番上、短時間労働者への適用拡大ということで、2つ目の○でございますけれども、企業規模要件、今50人超となっておりますが、これについては撤廃する方向でおおむね意見が一致したというのが年金部会における議論の整理。それから、3つ目の○、いわゆる賃金要件の話でございますけれども、これについても撤廃する方向でおおむね意見が一致をしたと。ただしということで、年金部会におきましても様々な御意見はいただいておりました。最賃の動向を踏まえつつ、撤廃の時期に配慮すべきでありますとか、あるいは障害者の関係、減額特例の関係等々御意見もいただきました。そういうことを年金部会においても最終的な議論の整理ということで記載をしてございます。
それから、1ページ目の下から2つ目の○でございますけれども、20時間以上の労働時間要件については、今回は見直さない。それから、一番下の○、学生除外要件についても、今回は見直さないというものでございます。
2ページ目に関しましては、上から2つ目の○でございますけれども、5人以上の従業員を使用する個人事業所における非適用業種、今17業種だけが対象になっておりますけれども、これにつきましては解消する方向でおおむね意見が一致をしたと。他方で、常時5人未満の従業員を使用する個人事業所については、今回は見直さないということでございます。
それ以外、下から3つほど○がございますけれども、例えば複数事業所勤務の労働時間の合算でありますとか、あるいは複数の事業所で勤務する方の適用事務の在り方、それから、業務委託契約でありながら実態としては被用者と同様の働き方をしている方については、いろいろと議論はありましたけれども、基本的には引き続きの検討であったり中長期の課題であったりと、そういう形で整理をしてございます。
3ページ目におきましては、医療保険部会においてもるる御意見がございましたけれども、今回適用対象となる事業所への配慮の関係でございます。特に中小企業でございましたり、あるいは個人事業主が対象になるわけでございますので、円滑な移行が大変大事でございます。準備期間の十分な確保、あるいは事業主、労働者の方への積極的な周知・広報、事務手続への支援等々、こういうところについてしっかりと配慮すべきではないかという趣旨の取りまとめとなってございます。
また、国保への影響についても年金部会において御指摘がございました。この医療保険部会においても御議論いただきましたけれども、その辺りについてもきちんと留意が必要であるという形で年金部会においても整理をいただいております。
4ページ目でございますけれども、これはもう一個の論点でございます「年収の壁」への対応についてでございますが、一番上に●をつけてございます。任意で従業員と事業主との合意に基づき、事業主が被保険者の保険料負担を軽減し、事業主負担の割合を増加させることを認める特例を協会けんぽも含めて設けることについて、年金制度における議論も踏まえつつ検討してはどうかということでございます。
これについても、4ページ目、それから5ページ目に年金部会における議論の整理を添付してございます。これにつきましては、まず4ページ目について、単純に保険料を免除するということに関しては、基本的には慎重な意見が多かったというのが4ページ目の整理でございます。
それから、5ページ目でございますけれども、上から2つ目の○でございます。就業調整に対して、保険料負担割合を変更できる特例について、これは年金部会においても御議論いただきました。医療保険部会においても何回か御議論いただきましたけれども、これについては基本的には賛成するという趣旨の意見であったり、他方で慎重あるいは反対の意見がございました。結論といたしましては、5ページ目の一番下の○でございますけれども、賛成意見が多かったものの、制度の細部まで意見が一致せず、一方で慎重意見あるいは反対意見が多くあり、部会としては意見がまとまらなかったと。こういうことを踏まえて、さらに政府において検討を深めるべきであると、こういう形で年金部会においては議論が整理をされているところでございます。
上記2点の論点につきまして、改めて医療保険部会においても方向性について御確認、御議論いただければと思っております。
事務局からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら、挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いです。では、よろしくお願いいたします。
佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。コメントを申し上げたいと思います。
まず1点目の被用者保険の適用拡大については、これまでも申し上げてまいりましたが、社会保障の担い手を増やしていくことが必要であることを踏まえれば、方向性については異論ございませんので、総論は賛成でございます。ただし、資料にお示しいただいた年金部会における「議論の整理」について2点コメントを申し上げたいと思います。
1点目は、資料の2ページの上から4つ目の○には、『複数の事業所で勤務する者の現行の適用業務の見直しを引き続き検討』と記載されておりますが、以前も申し上げた通り、11月21日の医療保険部会でお示しいただいた見直し案は、事業主で行っている作業を単に保険者にシフトする見直しであり、これについては反対でございます。見直しを行うにしても、前回提出された案をベースにするのではなくて、医療保険者と丁寧な意見交換を行った上での議論をお願いしたいと思います。
それから、もう一点は資料の3ページの上から3つ目の○で入っておりますけれども、適用拡大は保険者の財政、運営に影響を当てることになりますので、健保連においても業種ごとの拡大影響はまちまちでございます。特に短時間労働者を多く抱える業種の健保組合への財政影響には十分留意をいただいて、必要な財政支援を改めてお願いしたいと思います。
次に、資料5ページに『就業調整に対応した保険料負担割合を変更できる特例』が示されておりますが、社会保険料負担が生じることを「壁」として捉え、仮にこの特例を導入しても、特例の「対象となる標準報酬月額」と「対象とならない標準報酬月額」のあいだに、新たな壁が生じる懸念があることは申し上げたいと思います。また、仮に特例を実施した場合には、特定の対象者に対する対応となり、健保組合においても個々の事業所において特定の標準報酬月額の等級区分ごとに管理が必要になります。さらに、仮に等級が変わった場合には負担割合も変わる等々、事務負担増が極めて重く、そのためのシステム改修等も大変な作業になると考えております。
また、今回の措置は時限措置と記載されていますが、この措置を終了する具体的な姿も見えないと感じております。その意味においては、本質的な対応案を併せて検討しなければ、真の解決策にはならないのではないかと考えております。
さらに、資料の5ページの一番下の○の中に、仮に特例を導入するとした場合の事業主に生ずる保険料負担の軽減策の検討が記載されております。考えたくもないのですが、万々が一にもその軽減分を保険者が肩代わりすることになると、事業主負担分を保険者に付け替えて、結果的にこれは特例の対象とならない被保険者、加入者の保険料で賄うということになりますので、被保険者、加入者からの納得は全く得られないと思います。負担軽減策を行うのであれば、最低でも国庫負担で実施すべきと考えます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 ありがとうございます。
被用者保険の適用拡大は、第3号被保険者を減らしていく一番妥当な方法ではないかと思っております。年収が一定限度以下の無業のサラリーマンの妻が、社会保険料を払うことなしに老後、基礎年金を受けたり、医療サービスを受けるということについては、この制度ができたときから女性の国会議員や女性団体が反対してきておりまして、何度も廃止してほしいという要望を出したのですが、なかなか難しいということでした。こういう形で少しずつパート労働者を減らしていくというのは、とても穏当な方法ではないかということで、賛成しております。
ただ、気になるのは、夫が生計中心者で、妻はその夫に扶養される被扶養配偶者であるという片働き世帯をモデルにした税制や社会保障制度である限り、年収の限度額を123万にしようと、178万にしようと、やはり壁が出てきてしまう。将来的には個人単位にする。世帯を単位にする税制や社会保障制度に変えていくべきだと思っております。
もう一つ気になるのは、こういうふうに拡大していった場合に、事業主負担がだんだん増えてくるということで、それを避けるために請負とか委託という形にする事業主が増えてくるのではないかということが懸念されます。例えばアマゾンの配達している人たちについても問題になったりしましたので、こういうことにつきましては、労働基準監督署が厳しくチェックして、逃げ道をつくらないようにしていただきたいと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、井上参考人、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。
1ページにございますとおり、年金制度と同様の方向で被用者保険の適用拡大に取り組むということについて賛同いたします。働き方に中立な制度、また労働参画を促すという面からも、非常に重要な課題だと思っておりますので、今回見直しのなされなかった労働時間要件につきましても、引き続き見直しを行っていくべきだと思います。
同時に、壁の問題も含めて、目先の負担増に目が行きがちですけれども、年金にしても、医療にしても、保険制度に加入をするということの積極的なメリットをぜひ広報していただいて、働くとそういう保険に加入でき、メリットを受けられるということを世の中全体で形成していくということがよいと思います。
それから、適用拡大、年収の壁への対応に当たって保険料の負担につきまして、労使折半ではなくて任意に事業主の負担割合を増やすという議論も行われたわけでございますけれども、やはり同一事業所内で不公平が生じることや、あるいは時限的なところが終了した段階で保険料の負担がいきなり増えるといったことを考えると、なかなかこの制度は賛同し難いと考えております。
以上でございます
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、根本参考人、よろしくお願いいたします。
○根本参考人 ありがとうございます。これまでの発言と重なるところがありますけれども、国民健康保険の保険者の立場で発言をさせていただきます。
今回、被用者保険の適用拡大の方向性案について取りまとめていただきましたけれども、多くの国保被保険者が被用者保険に移動することが想定されます。国民皆保険の最後のとりでである国民健康保険が安定した財政運営を継続できるよう、引き続き御配慮いただくとともに、今後も被用者保険の適用拡大を検討する際には、関係者とあらかじめ丁寧に協議を行い、その納得を得ながら検討を進めていただくようにお願いをいたします。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
被用者保険の適用拡大に関しましては、これまでの議論の方向性に沿った形の内容ということでございますので、特に異論はございませんが、今後もこの議論は継続していくものと思いますので、その際には、やはりこの中小の保険者への支援を引き続きお願いしたいと思います。
一方、年収の壁への対応に関しましては、5ページにありますように、年金部会及び本部会においても懸念または反対の御意見というのもあったかと思います。日本医師会といたしましても、やはり対象になるであろう診療所、また病院というものは、昨今の経営状況は極めて悪い、悪化をしているという状況にございます。そういう状況においては、なかなか本部会の提案の対応というものは困難かなと思います。また、対応が可能な医療機関があるとしましても、社会的なインフラでございます地域の医療提供体制に対して、例えばその地域の医療機関間でスタッフの異動等が発生したり、または誘発したりするようなことがございますと、地域の医療提供体制に対してゆがみが生じるということも懸念をされるといいますか、考えられますので、そういう意味におきましては、当会として、この御提案を受け入れることはなかなか難しいというふうに発言をさせていただきたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、河野参考人、よろしくお願いいたします。
○河野参考人 ありがとうございます。
被用者保険の適用拡大につきましては、12月12日の医療保険部会において財政の試算を出していただき、本日の資料にも添付されております。拝見させていただきますと、国民健康保険につきましては、財政、収支は改善するとのことでございましたが、被保険者が国保から被用者保険に移っていくという流れの中、被保険者数は大幅な減少が想定されています。また、被用者が国保から被用者保険に移動することにより、収入が低く年齢層が高いという国保の抱える構造的な問題が変わることはないと考えられます。国保の厳しい状況は今後も続いていくと思われますので、必要な支援を継続的に行っていただくようお願いいたします。
最後に、国保は、国民皆保険制度の最後の砦でございます。国民皆保険制度を堅持していく観点からも、国保が将来にわたって安定的に運営できるよう、基盤の強化などについても検討をお願いいたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
では、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。これまで申し上げてきたことと多少重複する点もございますけれども、改めて意見を申し上げたいと思います。
中小企業は、コロナに代表される大きなイレギュラーな事態を経験した後に、立ち直ったところと、あるいは厳しさが増して業績が低迷しているところと様々でございます。そうした中、ある意味、政府が主導した賃上げが進められ、必ずしも業績が改善しない中でも、それ自体は事業者としてもそうしたいということで頑張っているところでございます。
他方で、中小企業はそれに伴う社会保険料負担の増加に大変苦慮しておりますので、被用者保険のさらなる適用拡大に当たっては、特段の配慮をしていただきたいと思います。その配慮の一つとして、企業規模要件については、小規模事業者の基準である20人で一旦区切るなど、段階的な拡大としていただくとともに、準備に向けた時間を十分にお取りいただくなど、丁寧に進めていただければと思います。
また、5ページの特例につきましては、人手不足対策を考慮されて御提案いただいたものとは思いますが、保険料負担が少しでも増えることに多くの中小企業は対処できないですし、また、企業間格差が人手不足を悪化させかねないといったことから、この創設には賛同し難いと考えます。これにつきましては、特例導入の妥当性そのものの検討も必要だと書かれてもおりますので、慎重な対応を求めたいと思います。
なお、人手不足問題は現実としてございますので、なかなか難しいと思いますが、この特例案とは別の方策で何か対策を御検討いただけると有難いと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
まず、適用拡大についてですが、今回、年金部会で企業規模要件、賃金要件、個人事業所の業種要件の撤廃が示されたことは評価いたしますし、医療保険についても同様にしていくということについて、賛同いたします。
法改正後の課題となりますけれども、円滑に運用されるよう、事業主や労働者への積極的な周知・広報、中小事業主や個人事業主への事務手続等に関する支援をお願いしたいと思っております。
また、年収の壁への対応に関して、5ページで保険料負担割合を任意で変更できる特例について時限的と記載がありますが、期間の想定があれば教えていただければと思います。
○田辺部会長 では、よろしくお願いします。
○佐藤課長 保険課長でございます。
今の段階では具体的な期間までは想定しているものではありませんけれども、やはり労使折半が原則でありますので、仮に導入するとしても時限的であろうと思っております。ただ、これについては、年金もそうですけれども、様々な御意見がございましたので、まずその辺りから含めて慎重に検討していくところは検討していかなければいけないかなと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○村上委員 ありがとうございます。そのお答えをいただいた上で、特例につきましては、これまで様々な御意見が出ておりますので、その御意見を踏まえ、その是非も含めて慎重に御検討いただきたいと考えております。
また、これまでも申し上げてきましたし、先ほど井上参考人もおっしゃっていましたが、社会保険の加入というのは、保険料の負担に着目されている面もありますが、加入することで保険給付を受けられるという面も併せて考えていただくことが重要だと思います。被用者保険では被保険者だけでなく、事業主も保険料を原則として労使折半で負担し、被保険者は給付を受けるということ。また、応益負担だけではなくて応能負担も組み込んで、所得再分配機能もあるということなど、社会保険制度の意義も分かりやすく伝えていただくことも必要かと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。渡邊です。
年金部会での協議を踏まえての方向性に関しては理解をするところであります。ただ、その上で、企業要件と賃金要件の両方を撤廃することになると、我々も含めた企業の規模の大きくない事業所において、かつ短時間労働の方々を抱えているという現状においては、雇用している事業所、事業主側の事務負担増とともに、その短時間労働をされている方々の手取りの減少等々の両方を招き、双方にとってかなり大きな影響が出てくることになります。これに関しては、ぜひ十分な時期に関する部分での配慮等、丁寧な対応をお願いしておきたいと思います。
また一方で、薬剤師においても組合国保が存在している状況にあります。これに関しても、特定被保険者の増加等によって、保険自体の財政負担が大きくなってくる可能性もございますので、ここに関しては御配慮いただいて、補助金等の支援策もお願いしておきたいと思いますので、重ねてお願いしておきます。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。これまでも何回か発言してきましたので、今日は発言していない論点について発言したいと思います。
その前に、全体としては、こういった問題はやはりプライオリティーをつけてやっていくということが必要だと思いますので、今回、全てについては対応できないということは致し方ないことだろうと思っております。その上で、今回、恐らく改革に入ってこない点についても、審議会として一応論点は検討したということが重要だと思いますので、2点ばかり発言したいと思います。
1つは、フリーランスとか、あるいは短時間労働の適用の関係ですけれども、これまで医療保険というのは割と実態に即して、いろいろな知恵を先人がつくってきた制度だと思っています。例えば日雇特例被保険者であるとか、あるいは健康保険の適用除外承認といったような年金にはないような仕組みもあったりしますし、今回、年金の関係でも労使折半原則に対する特例というのも医療保険を参考にしているわけでありますので、今後、今回見直しの対象にはならないと思いますけれども、必ずしも労働法制を待たなくてもいろいろな知恵を出せる部分はあるのではないかと思っておりますので、引き続きそういった点も加味しながら検討していく必要があると思っております。
また、学生の適用除外の関係、これは年金のほうの話ですけれども、かつて学生の無年金訴訟というのもあったりしたわけですので、そういった点で医療保険の場合、学生適用をどうするかというのも論点としてはあるわけですけれども、現在の実態からいうと、シフトの関係を考えるとなかなか実務上も大変だろうと思いますし、年金と違って学生の傷病手当金というのはあまりぴんとこない点もありますので、そういった点では今回、見直しの対象にしないというのは妥当かなと思っております。
以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、兼子委員、よろしくお願いします。
○兼子委員 私のほうからは、高齢者の目で見てですけれども、基本的に適用拡大はその方向だと思うのです。社会保障という観点からいって、ますますその方向は大事な点だと思うのですけれども、残された課題について、あまり私はここに立ち入るほど知識がないのですけれども、私は前から所得による保険の一元化的な考え方、それと、先ほど保険について個人の視点が必要だということでしたけれども、いわゆる所得との関係で見ていけば個人の保険の在り方というのはすっきり整理されるのではないかと思います。そういう意味で、やはり今の制度の細部の手直しということも当然必要なわけですけれども、今後の大きな方向として、そういう一元化の方向の議論も必要なのではないかと。国民の目から見て、制度がやはり分かりやすくないのですね。そういった点の解決になると思いますし、それから、零細事業所のこととかフリーランス等の問題、こういった問題についても事務の簡素化ということで応えることができるのではないかと思います。
あと、前回か前々回だったか、現役と高齢者の対立的な問題があるということでしたけれども、私はそういう見方はすべきではないということをしばしば申し上げてきましたけれども、それはやはり所得によって見ていくと。
それから、今の医療保険についていえば、逆進性があるわけですけれども、そういったことについても所得によって緩やかな傾斜なり、あるいは高額のところは一定程度の率で負担をしていただくという形を取っていけば、逆進性の解消とか、あるいは、私は計算できませんが、財源問題についても手がかりが出てくるのではないかと、こんなふうに思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
被用者保険の適用拡大につきまして、これまでも国保の保険者の立場から発言をしてまいりました。財政面のみならず、国保の被保険者の構成の変化による影響など、十分に検証をしていただき、今後、いずれの国保保険者においても安定的に持続可能な運営ができるように必要な支援をよろしくお願い申し上げたいと思っております。
それから、今回見直さないとされた要件も含めまして、今後、被用者保険のさらなる適用拡大について検討が行われる場合、国保については支え手となる労働者層のさらなる離脱が生じます。結果として国保の運営はなかなか難しくなってくるということも心配をしております。今回は適用拡大の議論が先行するような形で検討が進められましたが、今後は、国保制度に与える影響はもとより、制度の一本化を含めた医療保険制度の抜本的な見直しなど、最終的にどのような医療保険制度を目指していくのかといった議論をしっかりと腰を据えて行っていく必要があるというふうに、この際、申し上げておきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、大杉委員、よろしくお願いいたします。
○大杉委員 ありがとうございます。
事務局におかれましては、議論を整理していただき、感謝いたします。今後の被用者保険の適用拡大の方向性の中で、今回意見の一致を見なかったフリーランスの件、5人未満の従業員を使用する個人事業所の件、国保の被保険者の減少に伴う医療保険制度の在り方など、引き続き健康保険と年金保険の両者の視点から関係するステークホルダーの方々の御意見に耳を傾けつつ、慎重に議論を行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、原委員、よろしくお願いします。
○原委員 ありがとうございます。
私も国保の制度運営という観点からいろいろこれまでこの問題について御意見を申し上げてきまして、そういう意味で前回、財政試算も出していただいて、プラスになるという結果になったこともありますので、今回の提案については賛成をしたいと思います。
ただ、1点、3ページの年金部会の議論の整理のところにあります3つ目の○のなお書きです。医療保険制度の関係についての規定ぶりがございますけれども、前葉委員も先ほどおっしゃいましたように、この適用拡大、今後も続くという、少なくとも年金部会では次の次の中期的な検討というところも出ておりますので、そういった場合にさらなる適用拡大があることについては非常に危惧をしているところでございます。そういう意味で、この3つ目の○の2段目のさらなる適用拡大云々かんぬんというところは大変重要な箇所かなと思って受け止めております。
この医療保険部会では、こういった形で議論の整理は行われないというふうに聞いているものですから、紙にして整理されないと聞いておりますので、もし可能であれば、この問題の当局である保険局の事務局のほうから、さらなる適用拡大についての見解といいますか、お考えみたいなことについてお聞かせいただけるとありがたいなと思います。
○田辺部会長 どこまで言えるか分かりませんけれども、見解をお願いいたします。
○佐藤課長 これは年金部会における議論の整理として、年金部会においても、さらなる適用拡大を進めるに当たっては、医療保険についてはやはり固有の論点があるよねという形で指摘をいただいて、こういう形でまとまっております。これは当然、事務局としても同じようなことを思っておりますので、前回か前々回か、今記憶が定かではありませんけれども、同じように財政試算をお出しした際に、今回はたまたまプラスになっていますけれども、国保の加入者自体が減っていくわけですから、それについては国保の在り方はきちんと議論していかなければいけないと思っておりますと、こういう趣旨で御説明を申し上げて、恐らく各委員の先生方からもそういう趣旨で、そうだよねという形で御意見をいただいているものだろうと思っております。
ですので、恐らく医療保険部会の先生方におかれましても同様の趣旨の御意見で考えておられると思いますので、さらなる適用拡大に当たっては、国保との関係は切り離せないところだろうと思いますので、その辺りも含めて検討を深めていかなければいけないところだろうと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 原委員、よろしゅうございますか。
○原委員 ありがとうございました。結構でございます。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょう。
では、北川委員、よろしくお願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。
被用者保険の適用拡大につきましては、これまでも述べさせていただいておりますけれども、雇用の在り方に中立的な制度としていく観点から、この方向で適用拡大を進めていくべきだと原則として考えております。
ただし、財政影響ということでお示しいただいたように、協会けんぽへの財政影響については規模も大きいことですので十分に留意し、影響を踏まえた上で、我々自身、財政運営に努めていく必要があると認識しております。
次に、いわゆる年収の壁への対応についてですが、保険料負担割合の変更については、特に中小企業の事業主の皆様の保険料負担や手続の事務負担が大きく増えることを大変懸念しております。また、私どもは適用・徴収の実務を年金機構に担っていただいておりますけれども、実際の実務負担が相当程度大きくなるのではないかと懸念しております。この辺りについて、十分な上にも十分に配慮して検討を進めていただきたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見がなければ、被用者保険の適用拡大等につきましては、これまで複数回部会を開催し、また、様々な御意見をいただいたところでございます。来年の年金制度改革の中での対応につきましては、事務局におかれまして、各委員の意見を踏まえまして、適切に御対応いただくことにしたいと存じます。事務局のほうでよろしくお願いいたします。
次に、「入院時の食費について」を議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いします。
○林課長 医療課長でございます。
資料2に基づきまして「入院時の食費について」御説明をさせていただきます。
資料の右下に1と書いてあるページでございますけれども、現在の入院時の食費の基準でございます。令和6年度診療報酬改定で食事療養費の総額が640円から670円に30円引き上げられました。また、自己負担額につきましては、所得区分に応じて30円、20円、10円引き上げられまして、一般所得者の場合で490円というのが現状でございます。
2ページは、入院時食事療養費の考え方についてお示しをしているものでございます。
3ページ、食事療養費制度発足以来の変遷でございます。平成18年以前は3食分、1日当たりで表記をされておりまして、平成18年以降は1食当たりで表記をされております。長く引上げされていなかったものでございますけれども、令和6年6月の改定で640円から670円に引き上げられたということでございます。
4ページは、その後も含めまして、入院時の食費をめぐる状況でございます。昨日の中医協でもお示しをさせていただいた資料と同じものでございますが、2018年を基準とした場合に、CPI、食料部分の伸びを見ますと、2024年1月から10月の平均で19.5%増加しており、また、CPI全体でも8.8%増加しているということでございます。また、食料支出につきましても相応の伸びを示しているということでございます。
こうした中、5ページは給食管理に携わる管理栄養士・栄養士が物価高騰の対策として行っている工夫でございますけれども、アンケート調査によれば、業者から安価な食材を紹介してもらう、また、価格変動が少ない食材の使用頻度を増やす、冷凍食材や加工食品を増やすなどの対応が行われており、食事の内容にまで影響が及んでいるということが考えられます。
6ページは、入院時食事療養費に関する条文をお示ししているものでございます。
7ページ、入院時の食費の基準の見直しについて、これも昨日の中医協にお諮りをした資料でございますけれども、1食当たり30円引上げを行ったが、食材費の高騰はさらに続いている。医療の一環として提供されるべき食事の質を確保する観点から、さらに1食当たり20円引き上げるということをお諮りさせていただき、中医協のほうでは、こうした内容について御了承いただいているという状況でございます。
こうした中で、8ページ、この場でお諮りをする内容でございますけれども、入院時の食費については、令和6年度診療報酬改定において1食当たり30円の引上げを行ったが、食材費の高騰はさらに続いている。医療の一環として提供されるべき食事の質を確保する観点から、さらに1食当たり20円の引上げを行うことが中医協において検討されている。この際の患者負担については、これを踏まえて変更を行うとともに、所得区分等に応じて一定の配慮を行うこととしてはどうかということでございます。
資料の説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら、挙手にてお願い申し上げます。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いです。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
引き続き足下で食料支出が増加しておりますので、緊急的に基準額を20円引き上げる今回のご提案はやむを得ないと考えております。
ただし、以前から申し上げておりますとおり、食事はどのような方であっても必要なものであり、従来から食材費・調理費は自己負担額に入るものということで整理をされてきたと認識をしております。そのため、今回の対応は患者負担の引上げになるものと考えております。当然ながら、低所得の方に対して一定の配慮を行うことは理解しますが、在宅医療との公平性の観点等から、原則保険給付部分への影響はないと受け止めております。また、今後については、食事療養費そのものの在り方についても、この部会において議論すべきテーマではないかと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
今回の大臣折衝事項に示されております食事療養費に対する診療報酬上の手当てに関しましては、やはり必要な対応であろうと考えてございます。令和6年度の診療報酬改定では、食材費が高騰しているということを踏まえて、入院時の食費の基準が30年ぶりぐらいに引き上げられたということでありますが、この資料の4ページに示されておりますように、その後も高騰が続いている状況にあると理解しています。
先ほどもコメントがあったようですが、食事療養というものは治療の一環ということでございまして、非常に重要なものでございます。主治医の指示の下で管理栄養士が患者さんお一人お一人の栄養管理を行って回復を目指すというものでございますが、資料の5ページにありますように、現場では、この食材費を抑えるために冷凍食品、また加工食品を増やすなど様々な工夫を強いられていると。そして、新鮮な食材をなかなか使えないということが発生しております。さらには、光熱費も上がっているということで、医療機関の運営を非常に厳しくしているということで、医療の質を確保することが非常に難しい状況になってございます。こうしたことを踏まえて、医療の質の維持向上のために、時宜に即した評価と受け止めてございます。
なお、この患者さんの負担に関しましては、低所得者の方等に関して、所得区分などに応じて一定の配慮を行っていただくようにお願いをしたいと思います。
私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、島委員、よろしくお願いいたします。
○島委員 ありがとうございます。
今、城守委員からも説明がありましたように、病院とか有床診療所で食事を提供するというのが義務づけられておりますが、このこともやはり非常に経営を圧迫している要因の一つでございます。したがいまして、これだけ食材費が高騰してきますと、自前で給食を賄えるところはいろいろな工夫がありますが、委託して調理をしていただく方たちを雇っているところは、そういった費用も含めて、どうしてもこれが賄い切れなくなっているというのが現状でございますので、こうやって食事療養費を上げざるを得ないということだろうと思います。
一般の所得の方に関しては、自己負担20円というのは当然のことだろうと思いますが、やはり所得が低い方に関しては、城守委員もおっしゃっていたように、ある程度配慮していただければと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井上参考人、よろしくお願いします。
○井上参考人 ありがとうございます。
食材費の高騰に伴う今回の見直しにつきましては、賛同をいたします。
1点、今回の見直しということには限りませんけれども、所得区分に応じて一定の配慮を行うということとされている点について、改革工程表でも検討課題とされているように、単にフローの所得のみならず、応能の負担をするという意味におきましては、金融所得でありますとか金融資産の勘案につきましても、引き続き早期に検討を続けていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
昨今の物価高による食材費等の高騰を踏まえますと、入院時の食費の引上げはやむを得ないものだと考えます。その引き上げた分を自己負担と保険給付でどうカバーするかということでございますが、入院しているか否かにかかわらず、食事は日常生活の一部でございますし、食材費、調理費は自己負担として整理されてきたものでございますので、今回の引上げ分は全額自己負担で賄うのが適切と考えます。
また、本日の議題ではございませんけれども、このように食費、それから燃料、光熱費はどんどん上がっているわけでございますが、なぜ薬の値段だけ下げられるのか全く理解ができません。昨今の薬不足の現況というのはまさにこういうことではないかなというふうに一事業者として非常に強く思う次第でございます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
今回の御提案につきまして、この間の食材費の上昇を踏まえた対応ということで理解をいたします。ただ、その所得区分については一定の配慮が必要だと考えております。
また、前回引き上げた際にも申し上げたのですが、病院における食事は治療の一環という基本は現在も変わらないと考えておりますので、入院時の食事療養費がどういうものなのかという本質的な議論を改めて行っていくことも必要かと考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御意見がなければ、その方向性につきましては、おおむね御了解いただいたということでよろしゅうございますでしょうか。
では、その方向で御対応のほうをお願いいたします。
では、本議題については、これまでとしたいと存じます。
最後に、本日の議題には載せておりませんけれども、事務局から別途報告があるということでございますので、そちらのほうをよろしくお願いいたします。
○佐藤課長 保険課長でございます。
高額療養費の関係で、この場で御報告を申し上げます。医療保険部会におきましても、4回にわたり御議論いただきまして、物価の上昇あるいは賃金の上昇、さらには高額薬剤の増加等々を踏まえると、自己負担限度額の引上げという方向性については、おおむね御異論なく御了承いただいたというふうに理解をしておりますけれども、他方で低所得者への配慮の必要性でありますとか、あるいは丁寧な周知、また外来特例の取扱いについて等々、様々な御意見をいただいたところでございます。その後、政府内で具体案の検討を進めまして、ちょうど昨日、予算の関係で厚労大臣と財務大臣との大臣折衝がございまして、そこで合意いたしましたので、取り急ぎこの場で、口頭で恐縮ですけれども、御報告を申し上げるという次第でございます。できるだけ分かりやすい資料をつくりまして、また改めて医療保険部会の場で御報告を申し上げたいと思いますので、この場は口頭ということで御了承いただければと思っております。
最終的な見直しのポイントとして、口頭で3点ポイントを御紹介申し上げたいと思っております。まず1点目でございますけれども、低所得者の配慮等々いろいろと御意見がございましたけれども、自己負担の限度額、これは定額の部分、一般的な所得の方であったら8万円の部分でございますけれども、この自己負担の限度額につきましては、所得に応じてめり張りをつけながら一定程度引き上げるという形にしてございます。今御紹介申し上げましたけれども、平均的な所得の方、いわゆるボリュームゾーンの方については、前回見直しを行ったのが約10年前でございますけれども、この10年間の間に大体月収が10%強増加しているだろうというふうに推計をされますので、今回の見直しにおきましても、このボリュームゾーンについては10%の引上げといたしまして、そこを基準といたしまして、それよりも高い所得の方についてはもう少し引上げ率を多めにさせていただいて、他方で所得が低い層については引上げ率を緩和するという形でめり張りをつけたものとしております。
とりわけ年金受給者が多いというふうに推定をされます非課税層につきましては、引上げ率について、今年の年金改定率と同じとするなど実質ベースで負担増にならないような配慮を行っているところでございます。
それから、2点目でございます。外来特例の関係でございます。外来特例は今、非課税、それから一般という2区分に分かれておりますけれども、そういう2区分ではなく、非課税の中をさらに2つに分ける、また、一般についてもさらに2つに分けるということで、合計で4区分という形でよりきめ細かい対応としております。具体的に申し上げますと、非課税の中でも一定所得以下かどうかという観点でミシン目を設けまして、一定所得以下の非課税の方については、外来特例の月額上限を今と同じ8,000円という形で維持をすることにしております。
他方で、それ以外の非課税の方、一定所得以上の方については、外来特例の月額上限を1万3000円としてございます。また、一般層についても、ここには医療費の自己負担が1割の方と2割の方がいらっしゃいますので、そこでちょうど境目を設けるという形にしてございます。具体的には、一般層の中でも医療費の自己負担が1割の方につきましては外来特例の月額上限を2万円、年間上限を1万6000円としてございます。また他方で、自己負担が2割の方につきましては、月額上限を2.8万円、それから年間上限を22.4万円としてございます。
3点目、施行時期の関係でございます。施行時期につきましては、この部会におきましてもシステムの問題、周知の問題等々いろいろと御意見をいただきました。丁寧な周知、システムの課題、また激変緩和、様々なそういう趣旨を兼ねまして、来年の8月から3段階に分けて施行していくという形にしていきたいと思っております。
こういう見直しを行いまして、これは単純な機械的な計算ではございますけれども、加入者1人当たりの保険料の軽減額として年間で1,100円から5,000円程度の軽減が見込まれると。もちろん所得でありますとか、扶養がいらっしゃるかいらっしゃらないかによって変わりますけれども、単純計算ではこういう軽減が見込まれるというものでございます。
こういう形で今回、大臣合意という形で医療保険部会の御議論を踏まえた上で、慎重に検討を進めて大臣合意に至ったものでございます。
取りあえず今日は口頭での御報告となりますけれども、きちんと分かりやすい資料をつくりまして、改めて部会の場でも御報告を申し上げたいと思っておりますので、その点について御理解を賜れればと思っております。
私のほうからの説明は以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
大臣合意の中身に関しまして、要領よく御説明いただいたということでございます。
何か御質問と言われても困るかもしれませんけれども、よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
それでは、御意見等なければ、本日はこれまでとしたいと存じます。
次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡申し上げます。
本日は御多忙の折御参加いただき、ありがとうございました。
これにて閉会いたします。皆様方、良いお年をお迎えくださいませ。