第203回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和7年1月16日(木) 16:30~18:00

場所

厚生労働省 専用第21会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館17階)

議事

議事内容
○守島部会長 それでは、ただいまより第203回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、どうもありがとうございます。
 本日の出欠状況ですけれども、公益委員の小畑委員及び佐々木委員が所用のため御欠席となっております。
 それでは、議事に入りたいと思います。議題1は「労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第五項の規定に基づき失業等給付費等充当徴収保険率を変更する告示案要綱について(諮問)」でございます。もう一つの議題2は「労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第八項の規定に基づき育児休業給付費充当徴収保険率を変更する告示案要綱について」でございます。両方とも試問案件となっております。2つは関連しておりますので、少なくとも御説明と議論の段階では一括して取り扱いたいと思っております。まず、資料について、事務局より御説明をお願いいたします。
○鈴木調査官 資料に基づきまして御説明をさせていただきます。資料1関係及び資料2関係でございますが、いずれも昨年当部会におきまして御議論いただき、来年度の雇用保険料率について、一定の方向性を確認いただいたことを踏まえまして、本日告示案ということで諮問させていただくというものでございます。
 まず、資料1関係が失業等給付に関する保険料率の告示案要綱でございます。資料1-2の概要に基づきまして、御説明をさせていただきます。資料1-2を御覧ください。「1.制定の趣旨」の部分でございます。御案内のとおり、①から③までを合計して得た16.5/1000というものが、法律上の雇用保険料率となってございます。失業等給付に関しましては8/1000、育児休業給付に関しましては来年度から5/1000、二事業に関しては3.5/1000となってございます。
 令和5年度の決算に基づく各種のシミュレーション等を踏まえ、昨年御議論いただきました。「2.告示案の概要」の部分でございますが、令和5年度の失業等給付費等を踏まえた変更として、令和7年度の失業等給付費等充当徴収保険率を1/1000引き下げ7/1000とする。※の部分にございますが、農林水産業、建設業及び清酒製造業につきましては、そもそも2/1000高くなっておりますが、こちらも同様に1/1000引き下げ9/1000ということとさせていただきたいというものでございます。
 適用期日につきましては、本日御了承いただけましたら、1月下旬に告示を行い、4月1日からの適用ということで考えてございます。
 続きまして、資料2関係は育児休業給付に関する告示要綱案でございます。こちらも、資料2-2の概要に基づきまして御説明をさせていただきます。「1.制定の趣旨」の部分、先ほどの資料と同様でございますが、①から③の保険料率となっているということで、育児休業給付費充当徴収保険率は、来年度4月1日から本則5/1000ということになります。
 ただし、「2.告示案の概要」の部分を御覧いただければと思いますが、一定の財政的に安定した状況である場合には現状4/1000に据え置くことができるという規定に基づきまして、昨年度御検証いただきましたが、令和5年度の育児休業給付額等を踏まえた変更として、令和7年度の育児休業給付費充当徴収保険率を1/1000引き下げ4/1000とすると。法形式上は本則5/1000にこの4月から引き上がるということになっておりますが、現状の保険料率を維持するということで、1/1000引き下げ4/1000と変更する告示を制定させていただくというものでございます。
 簡単ですが、資料1関係及び資料2関係につきましては以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして御質問、御意見のある方、お伺いしたいと思います。では、渡辺委員、お願いいたします。
○渡辺委員 御説明ありがとうございました。
 議題1について1点申し上げさせていただきたいと思います。御説明いただきました内容は、これまで当部会において議論されてきたものを踏まえたものとなっていると思いますので、おおむね妥当ではないかと思います。
 なお、これまでの部会においても財政状況の試算を行う際に、「給付制限の見直しに伴う被保険者の行動変容を十分に予測することが困難であること」、また、「令和5年度以降受給者実人員が増加傾向であること」などの状況があるされております。来年度以降の保険料率及び雇用保険二事業から失業等給付への返済を決定するに際しては、これらの状況も踏まえた上で、雇用保険二事業も含めた雇用保険全体の財政運営健全化を図っていく必要があるかと思います。
 つきましては、来年度における保険料率の議論を始める前であっても、被保険者に顕著な行動変容が見られた場合には、随時当部会に報告をいただければと思います。
 以上でございます。
○岡雇用保険課長 ありがとうございます。
 御指摘を踏まえまして、もしそういった状況がありましたら御報告をさせていただきたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか御意見、御質問のある方。では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 議題1、2とも料率について異論はないのですが、議題2について、お願いです。説明の最後にありましたが、法改正によって令和7年度から本則は5/1000に引上げられ、かつ、今回諮問のあった大臣告示で令和7年度に適用される保険料率は4/1000なると理解しており、つまり、料率自体は令和6年度と変わらず4/1000です。適用される保険料率は変わらないということが分かるよう周知、広報していただければと思っております。
 以上です。
○岡雇用保険課長 御指摘を踏まえまして、料率が4/1000のままであることが分かるような周知をしたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。では、冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 先ほど渡辺委員もおっしゃいましたが、毎年の財政状況の見通しや、雇用保険制度の趣旨を十分認識した上で、丁寧な議論をぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
○岡雇用保険課長 ありがとうございます。
 御指摘がありましたように、丁寧な議論ができますようにこちらも十分な資料などを御用意して臨みたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。オンラインの方も大丈夫ですね。
 ありがとうございます。
 それでは、議題1の「労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第五項の規定に基づき失業等給付費等充当徴収保険率を変更する告示案要綱」につきまして、当部会としては、「おおむね妥当」と認めることとし、その旨を職業安定分科会長宛てに報告いたしたいと思います。それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第五項の規定に基づき失業等給付費等充当徴収保険率を変更する告示案要綱」の報告文案を画面に示しますので、御確認いただければと思います。
(報告文案画面共有)
○守島部会長 ただいま画面に表示されている報告文案によって、職業安定分科会へ報告したいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、この報告文案で職業安定分科会に報告いたしたいと思います。
 続きまして、議題2「労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第八項の規定に基づき育児休業給付費充当徴収保険率を変更する告示案要綱」について、 それに関しても「おおむね妥当」と認めることとし、その旨を職業安定分科会長宛てに報告いたしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第八項の規定に基づき育児休業給付費充当徴収保険率を変更する告示案要綱」の報告文案を画面に表示いたしますので、御確認ください。
(報告文案画面共有)
○守島部会長 ただいま画面に表示されている報告文案によって、職業安定分科会へ報告いたしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、この報告文案で職業安定分科会に報告いたしたいと思います。
 議題1及び議題2については以上とさせていただきます。
 次の議題に入ります。議題3は、「教育訓練休暇給付金について」でございます。まず、資料3について、事務局より御説明をお願いいたします。
○鈴木調査官 資料3に基づきまして御説明をさせていただきます。
 1枚おめくりいただきまして、2ページでございます。こちらは昨年成立いただきました雇用保険法等の一部を改正する法律、諸々の改正内容がございます。施行期日ごとに区分けした資料でございますが、令和7年4月1日施行分までは当部会におきまして省令事項等について御審議、御了承いただいてございます。令和7年10月1日に本日の議題となる教育訓練休暇給付金の施行がございますので、下位法令の部分や運用部分について本日、御提案をさせていただくというものでございます。
 3ページを御覧ください。こちらは法改正時点の説明資料で、既に公表させていただいているものでございます。教育訓練休暇給付金の目的というところにつきましてもう一度御確認をさせていただきます。労働者が自発的に、教育訓練に専念するために仕事から離れる場合に、その訓練期間中の生活費を支援する仕組みがないということで、労働者の主体的な能力開発をより一層支援する観点からは、離職者等を含め、労働者が生活費等への不安なく教育訓練に専念できるようにする必要がある。こういう問題意識の下、雇用保険被保険者が教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に、基本手当に相当する給付として、賃金の一定割合を支給する教育訓練休暇給付金を創設するということで、法改正に盛り込まれたものでございます。
 法律事項として、下の枠の部分に支給要件等を記載させていただいております。支給要件は、教育訓練のための休暇(無給)を取得するというものであること、被保険者期間が5年以上あること。給付内容は、離職した場合に支給される基本手当の額と同じ。給付日数も被保険者期間に応じて自己都合離職の場合と同様、90日から150日のいずれかというものでございます。
 以上が法律事項、法律レベルで規定されているということでございまして、これを踏まえ、実際の施行に当たりまして、本日具体の部分について御議論をいただきたいということでございます。
 4ページ目以降、各論点について事務局からの御提案ということで、本日お示しさせていただきたいと思います。4ページ目、教育訓練休暇の範囲でございます。法律事項では、教育訓練休暇給付金は、一般被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、職業に関する教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に、支給すると規定されてございます。具体的な教育訓練休暇の範囲につきましては省令に委任されているという状況でございます。
 ここの括弧の部分をご覧ください。この教育訓練休暇給付金の支給を受けますと、休暇開始前の被保険者であった期間は、基本手当の受給資格決定に用いる期間から除かれる。すなわち、被保険者期間がリセットされるという仕組みとなってございます。この部分につきましては、本制度を御検討いただくに当たって留意をいただければと考えてございます。具体的な教育訓練休暇の範囲につきましては省令に委任されているという状況でございます。
 下の省令事項(案)でございます。教育訓練休暇は、労働協約、就業規則等により設けられた制度に基づく休暇であって、被保険者が自発的に取得を申し出、事業主が承認したものとしてはどうか。教育訓練休暇の申し出をする被保険者は、事業主が解雇等を予定している方を除くこととし、解雇等の予定の有無は、事業主が行う教育訓練休暇給付金の手続の際に申告させることとしてはどうか。なお、虚偽の申告をした場合は、雇用保険法第83条第1号の規定による罰則の対象となることを明示してはどうか。被保険者が教育訓練休暇を申し出るに当たっては、教育訓練休暇期間、教育訓練の目標、教育訓練の内容、教育訓練の実施機関名を明らかにすることとしてはどうか。教育訓練休暇は分割取得を可能とする仕組みとするが、一つの単位、教育訓練の初日から末日までの期間は30日以上であることとしてはどうか。教育訓練休暇の対象となる教育訓練の実施機関は、教育訓練の内容・質について一定の水準を担保する観点から、原則として、学校教育法に基づく大学、大学院、短大、高専、専修学校もしくは各種学校または教育訓練給付の講座指定を受けている法人としてはどうか。
 以上のような内容を省令で規定してはどうかということで御提案をさせていただきたいと思います。
 続きまして、5ページ、教育訓練休暇の受給要件でございます。
 法律事項の部分でございますが、教育訓練休暇給付金は、基本手当と同様、原則、休暇開始前2年間に被保険者期間が12か月以上あることが支給要件の一つとして法律上規定されてございます。ただし、基本手当と同様、疾病・負傷その他省令で定める理由により引き続き30日以上賃金の支払いを受けることができなかった一般被保険者については、最大で休暇開始前4年間に被保険者期間が12か月以上あることが要件と規定されてございます。
 この「省令で定める理由」につきまして省令で規定する必要がございますが、下の省令事項(案)の部分、基本手当の場合は、その他省令で定める理由として、以下の理由が省令で定められてございます。事業所の休業。出産。事業主の命による外国における勤務。国と民間企業との間の人事交流に関する法律第二条第四項第二号に該当する交流採用。その他、管轄公共職業安定所の長がやむを得ないと認めるもの。こちらは親族の介護等が要領で記載されているものでございます。教育訓練休暇給付金についても同様としてはどうかということで御提案をさせていただくものでございます。
 続きまして、6ページ、教育訓練休暇の受給期間でございます。教育訓練休暇給付金は、基本手当と同様、原則、教育訓練休暇を開始した日から起算して1年の期間内の教育訓練休暇を取得している日について支給することとされてございます。ただし、基本手当と同様、この1年の期間内に妊娠、出産、育児その他省令で定める理由により引き続き30日以上教育訓練を受けることができない一般被保険者については、ハローワークに申し出ることで、最大で4年の期間内の教育訓練休暇を取得している日について支給することと規定されてございます。
 この「その他省令で定める理由」についてどのように規定するかですが、基本手当の場合は、その他省令で定める理由として、以下の理由が省令で定められてございます。疾病または負傷。その他、管轄公共職業安定所の長がやむを得ないと認めるものということで、こちらも親族の介護等が要領において規定をされているところでございます。教育訓練休暇給付金につきましても同様の規定をしてはどうかということで御提案をさせていただくものでございます。
 また、ハローワークへの申出手続につきましても、基本手当の場合に倣って規定することとしてはどうかと考えております。
 続きまして、7ページ、教育訓練休暇の取得の認定でございます。教育訓練休暇給付金は、30日に1回ずつ直前の30日の各日について、教育訓練休暇を取得していることについて認定することとなっており、具体的な認定方法については、省令に委任されている状況でございます。
 省令事項(案)でございますが、被保険者が教育訓練休暇給付金の支給を受けようとする場合、基本手当と同様、公共職業安定所長が教育訓練休暇を取得していることの認定を受けるべき日を定めることとしてはどうか。2点目として、教育訓練休暇を取得していることを認定するに当たっては、教育訓練休暇給付金が、休暇期間中の生活保障のための給付であることを踏まえまして、収入を伴う就労を行った日については認定しないこととしてはどうかということ。認定日につきましては、認定を受けようとする教育訓練休暇の期間、収入を伴う就労を行った日の有無、利用している教育訓練機関の名称や受講した教育訓練の内容等について申告させることとしてはどうか。
 以上でございます。
 続きまして、8ページは、今までのものに関連して、一連の教育訓練休暇の手続の流れを図示したものでございます。左側は被保険者、受給者でございますが、教育訓練休暇給付金を受ける意思表示を事業主のほうに申請していただきまして、事業主が制度に基づく休暇であるということで承認をした場合には、事業主が事業所管轄のハローワークのほうに希望する被保険者の休暇期間や賃金支払状況等を届け出ていただくと。それをハローワークにおいて確認した後、事業主を経由して被保険者のほうに確認結果を通知する。それを受けまして、被保険者の方が住居所管轄のハローワークに申し出ていただくということで、④の部分ですが、その際には冒頭申し上げたとおり、この教育訓練休暇給付金の支給を受けますと、休暇開始前の被保険者であった期間は、基本手当の受給資格に用いる期間から除かれるという性質のものでございますので、そうしたことを十分理解した上で支給申請いただくと。この部分についてハローワークでよく本人の意向というものを確認させていただくと。その上で支給申請を受理するといったこと。ハローワークがこの受給資格を確認し、⑤として受給資格決定を行った後、30日ごとに被保険者の方が教育訓練休暇取得を申告するという流れとさせていただきたいというものでございます。
 ※の部分にございますが、②、④、⑥の各手続につきましては、電子申請や郵送も可ということで考えてはどうかと考えているところでございます。
 続きまして、9ページ、特定教育訓練休暇給付金受給者の範囲というものでございます。教育訓練休暇給付金の支給を受けますと、休暇開始前の被保険者であった期間は、基本手当の受給資格決定に用いる期間から除かれることになるのが原則でございます。ただし、教育訓練休暇給付金の支給を受け、休暇終了日から起算して6か月を経過する日までに離職した者のうち、受給資格者以外の者であって、以下のいずれかに該当する者については、特定教育訓練休暇給付金受給者として、離職した際の被保険者期間の算定に当たっては、例外的に休暇開始前における被保険者期間も含めるということと法律上されてございます。
 どういう場合が特定教育訓練休暇給付金受給者となるかというものが2つのポツでございますが、離職が、事業主の事業について発生した倒産、事業の縮小・廃止に伴うものである者として省令で定めるもの。このほか、解雇その他の省令で定める理由により離職した者。
 また、特定理由離職者のうち省令で定める者につきましては、基本手当の暫定措置と同様、令和9年3月31日までの間に離職した場合に限り、特定教育訓練休暇給付金受給者とみなすことが法律上規定されているということでございます。
 太字の「省令で定める」部分について、以下、省令事項(案)でございますが、会社都合により休暇終了日から6か月以内に離職した場合、特定教育訓練休暇給付金受給資格者につきましては、基本手当における特定受給資格者に倣って規定することとしてはどうか。2つ目として、特定理由離職者のうち特定教育訓練休暇給付金受給者とみなす者につきましては、特定理由離職者のうち特定受給資格者とみなす者。基本手当におきまして、雇止め、更新の際に希望したが更新できなかった方のような方につきましては、特定受給資格者とみなすという暫定措置がございますが、それと同様に規定をすることとしてはどうかということで御提案をさせていただきたいというものでございます。
 続きまして、10ページ、特定教育訓練休暇給付金受給者における算定対象期間の特例。やや細かくなってしまい恐縮でございますが、こちらは、基本手当の受給資格に係る被保険者期間を計算する場合において、教育訓練休暇給付金の支給を受けたことがあるときは、休暇前の被保険者期間は除かれる、リセットされる。これまで申し上げてきたとおりでございます。
 ただし、先ほどの特定教育訓練休暇給付金受給者につきましては、基本手当の受給資格に係る被保険者期間を計算する場合において、休暇開始前の被保険者期間も含めることとされているということで、こちらは例1、例2ということで図示をさせていただいておりますが、例1のほうが原則ということで、一番右の自己都合離職、教育訓練休暇期間が終了し、9か月たった後に自己都合離職をした場合、被保険者期間が9か月ということでございますが、教育訓練休暇期間の前の部分の被保険者期間はリセットされてございますので、例1の場合は、自己都合で離職した場合であっても、その後、失業等給付は受けることができないということでございます。
 一方、例2、特定教育訓練休暇給付金受給資格者の場合ということですが、一番右が会社都合による離職となってございます。こちらは休暇期間終了後5か月間ということで、会社都合離職をしておりますので、その教育訓練休暇期間の前の部分はリセットされず被保険者期間に含まれるということで、この例で見ますと、算定対象期間2年間のうち合計12か月被保険者期間があるということで、こちらの場合は基本手当の資格要件を満たすということになります。
 ただし、教育訓練休暇期間がこの例であれば1年間ということで、例2の場合であって受けられるわけでございますが、これが1年以上になってしまいますと、この算定対象期間2年間のうち12か月という要件を満たすことができなくなるということでございますので、要領事項(案)というところを御覧いただければと思いますが、この教育訓練休暇期間が1年以上長期にわたる場合であっても、会社都合の場合には受給することができるようにということで、教育訓練休暇期間、長期にわたる場合は、休暇開始前の被保険者期間を含めても、基本手当の受給要件を満たさないときがあるため、算定対象期間の特例として、教育訓練休暇取得を「管轄公共職業安定所の長がやむを得ないと認めるもの」と取り扱ってはどうかということで御提案をさせていただくものでございます。
 続きまして、11ページ、こちらも類似の論点でございますが、介護休業給付・育児休業等給付に係る算定対象期間の特例ということでございます。介護休業給付・育児休業等給付について、みなし被保険者期間を計算する場合において、教育訓練休暇給付金の支給を受けたことがあるときであってもリセットされずに、休暇開始日前の被保険者期間も含めることと法律上されているところでございますが、先ほどと同様、この図で教育訓練休暇期間が1年の場合はこちらを満たすわけですけれども、この期間が長くなってしまいますと、算定対象期間2年間の中に被保険者期間がはまり切らず、受給が受けられなくなるという事態が生じてしまうことから、省令事項(案)の部分でございますが、教育訓練休暇期間が長期にわたる場合は、休暇開始前の被保険者期間を含めても、介護休業給付・育児休業給付の受給要件を満たさないときがあるため、これらの給付における算定対象期間の特例として、教育訓練休暇取得を疾病・負傷その他省令で定める理由として定めてはどうかということで、休暇期間が長くなる場合であっても、これらの給付が受けられるように算定対象期間の特例を設けてはどうかということで、御相談をさせていただくというものでございます。
 続きまして、12ページは参考ということで、こちらは教育訓練休暇給付金の創設に当たりまして、当部会で御議論いただきまして御了承いただきました昨年1月の雇用保険部会報告。こちらにおきましては、この創設に合わせて教育訓練休暇制度の周知や企業への導入支援など、企業の教育訓練休暇制度の普及促進にも取り組むべきであるといった御指摘をいただいておりますし、雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議ということで、衆参それぞれの厚生労働委員会からもろもろ御指摘いただいているところでございまして、施行に当たりましてはこうした点についても留意しながら進めていきたいと考えているところでございます。
 資料3に関しては以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ただいまの御説明に関しまして御質問、御意見がありましたらお伺いしたいと思います。では、古賀委員、お願いいたします。
○古賀委員 御説明ありがとうございました。
 今、お示しいただいた省令等の案について3点申し上げたいと思います。
1点目は、本給付金を受給すると、休暇開始前の被保険者であった期間は、基本手当の受給資格決定に用いる期間からは除かれます。この「期間がリセットされること」について、被保険者がその扱いを十分に認識した上で活用されるよう、ハローワークへの申請の際に、電子申請などの場合も含め、丁寧に被保険者に説明をしていただき、理解されたことを確認した上で資格決定いただくようにお願いをしたいと思います。
 2点目は、事業主による手続時に、解雇等の予定の有無を申告させることについて、こちらも8ページの2の段階で確認をするということかと思いますが、その際に罰則なども含めて周知を徹底していただき、給付金が適切に活用されるように対応をお願いしたいと思います。
 最後に、本制度については、企業に教育訓練のための休暇制度があることが前提のため、有給・無給を問わず、企業における教育訓練休暇の導入促進も併せて取組を進めていただきたいと思います。
 以上でございます。
○岡雇用保険課長 ありがとうございます。
 まず、この給付金を受けた場合に、休暇前の被保険者期間が基本手当の算定のときにリセットされてしまうことについて、十分に理解していただくために、施行に当たって十分周知したいと思います。周知だけですと、気づかない方もいらっしゃると思いますので、、申請書にこの給付金を受けると休暇前の被保険者期間がリセットされてしまうということについてチェックするような欄を設けて、もちろん電子申請の場合もチェックしていただいた上で申請していただくことを考えています。もしチェックがなければハローワークのほうで確認をするなどしたいと思っています。十分理解した上で申請していただくために、いろいろな手法を通じて徹底していきたいと思っております。
 解雇を予定しているかどうかについて事業主が手続の際に、申請書欄チェックをするということで、解雇を予定していないことを同意した上で手続を行っているという形にして、給付金が適切に使われるそようにしていきたいと考えております。
 それから、こういう給付金ができても、そもそも休暇制度がない企業が多いのではないか。特に中小企業についてはそういう制度がないのではないかという御指摘について。、おっしゃるとおり、統計で見ましても教育訓練休暇制度を設けている企業は10%あるかないかというところが現状でございますので、まずは教育訓練休暇制度というのを普及させていくことが必要だと考えております。
 この制度の施行に当たりましては、既に実際に訓練休暇制度を設けている企業があれば、そういった企業の社内規定とか就業規則といったものを参考にして、モデルをつくるなど、周知に当たっては工夫をしたいと思っておりますし、また、好事例なども周知していきたいと思っております。
 これまでも企業向けの助成金のほうで訓練休暇制度を導入した企業に対する助成を行ってきましたが、そんなに活用されているわけではございませんので、助成金も活用していただけるように、そして訓練休暇制度を導入する企業が増えるように取り組んでまいりたいと考えております。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 2点確認させていただきます。
1つ目は、資料4ページ、1つ目の丸です。これを素直に読むと、教育訓練休暇の要件が、被保険者が自発的に取得を申し出て、事業主が承認すると理解しましたが、実態を考えると、実際の申出の前に事業主や上司から勧められて申し出るということも当然想定されると認識しております。そういった場合でも自発的と理解していますが、それでよいのか確認させてください。また、そうであれば、誤解を生じないような書きぶりにしてはどうかと思っております。
 2つ目ですが、同じページの3つ目の丸です。申出に当たって、期間や目標、内容、訓練実施機関を明らかにすることが必要と認識しましたが、一方で、教育訓練等を始めてから申し出た内容と違いが生じる可能性も当然想定できると思います。そういった場合にどのような対応になるのかを確認させていただければと思います。
○岡雇用保険課長 1点目の4ページの1つ目の丸の「自発的に」というところにつきまして、本人が自らどこかから探してきたという場合ももちろんあるでしょうし、一方で、今おっしゃられたように、上司や同僚の方からこういうのがあるけどと紹介されることもあろうかと思います。ここで「自発的に」と書いている趣旨としては、事業主や上司なに強制されて、本人の意に反してこの給付金を受けて、その結果、休暇前の被保険者期間がリセットされるとことがないようにということです。きっかけとして上司などから案内を受ける場合まで否定するものではございませんので、そういった誤解がないようにしていきたいと考えております。
 2点目でございます。当初本人が事業主に休暇の期間や目標を申し出て、事業主もそれを承認して手続をしていただくことになりますが、その後、事情が変わって、休暇期間を延ばしたり、短くしたり、あるいは訓練の実施機関が変わったり、そういった変更もないわけではないと思っております。その場合は、もう一度会社の方に申し出ていただいて、会社が承諾した上で、30日に一度認定する機会にハローワークにそれを出していただきまして、それが要件に合致するかということをハローワークのほうで確認させていただきまして、要件を満たしているようであれば、給付が受けられることにしたいと考えております。そういった事情の変更があった場合はハローワークのほうに申し出ていただければと思っております。
○守島部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。大丈夫ですか。
 ありがとうございました。
 それでは、議題3につきましては以上とさせていただきたいと思います。
 事務局におかれましては、本日委員からいただいた御意見を踏まえて対応をお願いいたします。
 それでは、議題4に移りたいと思います。議題4は「教育訓練受講のための新たな融資制度について」でございます。まず、資料4につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
○鈴木調査官 資料4に基づきまして御説明をさせていただきます。こちらは「教育訓練受講のための新たな融資制度について」ということでございます。先ほどの教育訓練休暇給付金につきましては、あくまで雇用保険の被保険者の方を対象とするリ・スキリングの支援ということでございました。こちらの融資制度につきましては、雇用保険の被保険者以外の方を対象にリ・スキリング等を行う場合の支援ということで創設をさせていただきたいというものでございます。
 2ページ目を御覧いただければと思います。この融資制度の創設自体につきましては、昨年1月の雇用保険部会におきまして、こちらに書かれているように、大枠の部分について御了承いただいているということでございます。個々の労働者が生活費等への不安なく、学び直しのために教育訓練に取り組むことができるようにする必要性は、雇用保険の被保険者ではない者でも同様である。このため、令和7年度中に、これらの者が、自らが選択した教育訓練を受けるに当たって必要な費用について融資を受けられる制度を設けるべきである。
 具体的には、雇用保険被保険者や受給資格者ではない者(雇用保険の適用がない雇用労働者や離職者、雇用保険の受給が終了した離職者、雇用されることを目指すフリーランス等など)であって、一定年数(3年)以上就業したことがあるものを対象に、自らが受ける教育訓練に関してその受講費用と訓練期間中の生活費用を対象に融資を行うものとすべきである。
 多様な教育訓練を対象としつつ、制度の趣旨を踏まえた適切な利用が行われるよう、融資の対象となる教育訓練の範囲をあらかじめ設定するとともに、より教育訓練の効果を高めるためのインセンティブとして、訓練受講後に賃金が上昇した場合に一定額の返済を免除する措置を設けるべきである。
 また、この融資制度は、雇用保険被保険者ではない者を対象として、その就職を促進し、もってこれらの者の職業及び生活の安定に資するものとして、求職者支援制度に基づく事業として実施すべきである。
 以上の大枠につきまして部会報告で規定をしていただいているというものでございます。
 これを踏まえまして、施行に当たり細かな部分を本日御相談をさせていただくというものでございます。
 3ページを御覧ください。まず、融資の名称、事業の位置づけ、実施主体でございます。
 上の部分が先ほど読み上げさせていただきました雇用保険部会報告の抜粋でございます。この融資制度は、被保険者ではない者を対象として、その就職を促進し、もってこれらの者の職業及び生活の安定に資するものとして、求職者支援制度に基づく事業として実施すべきということを御了承いただいてございます。
 これを踏まえまして、対応方針(案)の部分でございます。事業の名称は、「リ・スキリング支援融資事業」としてはどうかということ。
 2つ目でございます。現在実施している「求職者支援資金融資」。こちらはどういったものかと申しますと、職業訓練受講給付金、一定の資産、年収要件を満たした方につきましては、訓練受講中の生活費として月10万円を支給する仕組みが現状の求職者支援制度にございますが、この受講を受ける方につきましては、その10万円で足りない部分につきまして融資を受けることができるということで、求職者支援資金融資というものが設けられてございます。既にあるこの融資に倣いまして、求職者支援制度に基づく事業として実施することとしまして、法令上の位置づけとしましては、「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則」、いわゆる求職者支援法の施行規則におきまして、リ・スキリング支援融資事業の債務保証と債務免除に要する費用負担を行うことを規定することとしてはどうか(その他制度の詳細は要領で定める)ということで、法令上の位置づけとしては、既存の求職者支援資金融資と倣って措置してはどうかという御提案でございます。
 また、実施主体でございますが、「求職者支援資金融資」と同様、労働金庫法に規定する労働金庫が実施するものとしてはどうかということでございます。
 4ページ、融資対象者でございます。雇用保険部会報告におきましては、雇用保険被保険者や受給資格者ではない方であって、一定年数(3年)以上就業したことがあるものを対象にということで記載をいただいているところでございます。
 これを踏まえまして、対応方針(案)でございますが、この対象者につきましては、求職者支援法第二条に規定する「特定求職者」であって、過去に通算して3年以上就業したことがある者を対象としてはどうか。3年以上の就業をどのように確認するかという点につきましては、給与明細、源泉徴収票、雇用保険被保険者資格届出確認照会回答書等、客観的に就業状況を把握できる書類に基づきまして確認することとしてはどうかということでございます。
 また、融資に当たりましては、労働金庫が実施する他の融資と同様、一定の年齢制限を設けることとしてはどうかということで、例えば融資の開始が65歳まで、返済の終了が76歳までという形で定めてはどうかということで御提案をさせていただきたいと思います。
 5ページ、融資内容でございます。部会報告におきましては、融資対象として、自らが受ける教育訓練に関して、その受講費用と訓練期間中の生活費用を対象に行うものとすべきであるという規定をいただいてございます。
 これを踏まえまして、対応方針(案)でございますが、教育訓練費用につきましては、入学金・授業料のほか教育関連資金として教科書、学用品、実験実習費、受験費用等を含むものとして、貸付上限は年間120万円としてはどうか。
 生活費用の貸付額につきましては、貸付上限は同じく年間120万円とした上で、月額10万円で、3か月ごとの振込としてはどうか。
 これらの貸付につきましては、原則、教育訓練費用と生活費用の融資は一体ということでございますが、申請者の希望によって教育訓練費用のみの利用も可能とするとともに、教育訓練費用が原則無料である公共職業訓練等の受講者は、生活費用のみの融資としてはどうか。いずれかの利用のみを認めることとしてはどうかということでございます。
 融資限度額につきましては最大2年間分とさせていただきたいと考えてございますが、返済が前提となる融資というものの特性、また、他の融資制度とのバランスを考慮しまして、年収200万円未満の方や離職者は最大1年間分としてはどうかということ。
 貸付条件につきましては、貸付利率は年2.0%。担保・保証人は不要。返済期間は、教育訓練修了後から1年間。この部分については据置きをした上で、この1年経過後、10年間以内ということ。返済方法につきましては元利均等方式ということでどうかと考えているところでございます。
 続きまして、6ページ、融資対象となる教育訓練でございます。部会報告では、多様な教育訓練を対象としつつ、制度の趣旨を踏まえた適切な利用が行われるよう、融資の対象となる教育訓練の範囲をあらかじめ設定するべきという御指摘をいただいてございます。
 これを踏まえまして、対応方針(案)でございますが、次に掲げるものであって、教育訓練期間が1か月以上のものとしてはどうかということで、学校教育法に基づく大学、大学院、短大、高専、専修学校または各種学校が提供する教育訓練。教育訓練給付金の講座指定を受けている法人が提供する教育訓練。求職者支援訓練または公共職業訓練ということで、一定の質・水準を有する法人が提供するものとしてはどうかということで御提案をさせていただくものでございます。
 7ページ、インセンティブ指置についてでございます。雇用保険部会報告におきましては、より教育訓練の効果を高めるためのインセンティブとして、訓練受講後に賃金が上昇した場合に一定額の返済を免除する措置を設けるべきであると御提言をいただいているところでございます。
 これを踏まえまして、対応方針(案)でございますが、インセンティブ措置の対象となる教育訓練は、融資対象となる教育訓練よりも限定し、教育訓練給付金の指定講座、求職者支援訓練または公共職業訓練としてはどうか。
 教育訓練修了後、安定した雇用(雇用保険被保険者として1年以上の雇用継続)につながった場合であって、教育訓練修了前と修了後の賃金を比較し、5%以上賃金が上昇したときには、残債務の一部の返済を免除することとしまして、具体的には、賃金が5%以上上昇した場合には残債務の30%(上限額は100万円)を免除、賃金が10%以上上昇した場合には残債務の50%(上限額は150万円)を免除としてはどうかということでございます。
 インセンティブ措置につきましては、高所得者に対し所得制限を設けている他の給付制度等を参考に、世帯年収要件として1000万円ということを課すこととしてはどうかということで、こちらは世帯年収1000万円以上というものは、統計を見ますと、約1割いらっしゃるということ。また、類似の制度、他の制度ということで、例えば高等学校等就学支援金というものにつきましては、平成26年度に創設されたものでございますが、こちらは910万円というものが世帯年収要件として規定されてございますので、そういったところも踏まえまして、1000万円という世帯年収要件を課してはどうかということで御提案をさせていただくものでございます。
 8ページがこのインセンティブ措置の賃金上昇の確認方法でございます。大きく3つに分かれますが、1つ目、こちらの制度はフリーランスの方が雇用労働者、雇用保険被保険者になる場合についても活用できるというものでございます。フリーランスの方の場合でありますと、収入状況というものは、課税証明書での判断とならざるを得ないというところでございます。課税証明書というものは1年間の収入を示すものでございますので、フリーランス等の方については、訓練開始前の1年間の収入を課税証明書等で確認し、その後訓練が修了、就職された後に、2年間以内の任意の連続する1年間分の賃金ということでこちらを比較し、5%以上ないし10%以上の上昇があったかどうかというところを判断させていただいてはどうかということでございます。
 2と3は労働者の方でありまして、2が離職者、3が在職者の場合でございます。いずれもこちらの場合には基本手当の賃金日額算定と同様、離職前ないし訓練開始前の6か月間の賃金というものを比較元とし、訓練修了ないし就職後2年以内に任意の連続する6か月の賃金というところでAとBを比較し、賃金上昇率を判断するということとしてはどうかということで考えてございます。
 なお、いずれの場合でありましても、※1にございますとおり、雇用保険被保険者として就職後ないし訓練修了後1年以上の雇用継続実績があるといったところは必要条件、要件の一つとして課させていただきたいというものでございます。
 9ページは、今回新しく創設する融資と既存の融資等についての比較表でございますので、御参考にしていただければと思います。
 10ページ、事業の全体像(案)ということでございます。こちらは①から⑪までそれぞれのプロセスを示させていただいておりますが、基本的な考え方としまして、まず融資対象となる方がハローワークのほうにいろいろ御相談をし、ハローワークのほうでこの融資制度の特性とか要件とか、そういったところを説明し、実際の支給要件に該当するかどうかといったところも確認するということ。実施機関である労働金庫については、そうしたハローワークでの確認を踏まえた上で、この融資対象者の方が労働金庫のほうに申請いただき、ブラックリスト等に該当していないかどうかというところから判断をいただき、融資を実行していただくというようなスキームを想定してございます。
 したがいまして、適切な利用がなされるという観点から、ハローワークにおける実務、施行に向けた準備というものは非常に重要かと考えてございますので、本部会での御意見等を踏まえつつ、施行に向けて取り組ませていただきたいと考えてございます。
 資料4につきましては以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして御意見、御質問のある方はお伺いしたいと思います。では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 4点ほど御検討いただきたいことがあります。
まず1点目は3ページです。名称の問題ですが、教育訓練を表現する言葉は、「リ・スキリング」だけではなくて、能力開発やスキルアップ等様々なことがあり、それらの受け皿にもなると思いますので、例えば「リ・スキリング等」にしてはどうかと思っております。
 2点目は4ページ目です。融資の対象者に一定の年齢制限を設けるということについて、制度の公平性確保という観点から疑問があります。人生100年時代を見据え、政府が政策として実施するものであることから、ビジネス上の他の融資と同様の扱いをするのではなくて、個別の事情を審査して、年齢に関わりなく融資を受けられるようにすべきという方向で検討いただけないかと思います。
 3点目と4点目はいずれも7ページのインセンティブ措置に関わるところです。まず3点目は、学び直しを広く支援するということであれば、インセンティブ措置の対象は、前ページの融資対象訓練と同じものにして、問題があったら少し絞っていくなど、そういった制度の始め方にしてはどうかと思っております。
 4点目は、インセンティブ措置の所得制限です。この制度は、そもそも個人の主体的な学び直しを政府が政策として支援するものと理解しております。また、債務の主体は個人であるということを踏まえれば、世帯ではなく、債務者である個人の年収を要件とすべきではないかと思っておりますので、意見として申し上げたいと思います。
 以上です。
○岡雇用保険課長 ありがとうございます。
 まず、名称でございますけれども、「リ・スキリング」がちょっと狭いのではないかという御指摘だったかと思います。政府の閣議決定でも「リ・スキリング」がいろいろな文脈で出てまいりまして、必ずしもそんなに狭くはないのかもしれませんけれども、ただ、御指摘のような誤解を与えるおそれもございますので、御意見を踏まえて検討したいと思います。
 4ページ目の一定の年齢制限はおかしいのではないかという御指摘をいただきました。確かに今、65歳、70歳まで働きたい人は働くことができるようにという方向になっていく中で、こういった年齢制限はおかしいのではないかという御指摘かと思います。確かに債務保証やインセンティブ措置は国が財政負担を行うので、ある意味公的な制度ということではあるわけですけれども、ただ、融資そのものについては労働金庫の資金で行う融資ですので、返済が前提となることから一般的な融資制度と同様に年齢制限が必要ではないかと考えております。
 また、物理的な話になりますが、もし年齢を上げるとなりますと、融資を実施していただく労働金庫のほうでシステムの改修なども必要となってまいりまして、施行に間に合うかどうかという懸念もございますし、また、高齢者の方のニーズが非常に高ければ改修するコストに見合うのかもしれませんけれども、そういったことも踏まえて検討する必要がございます。可能であれば、施行の状況を見て、高齢者の方のニーズが非常に高いということであれば、労働金庫のほうにお願いして年齢を上げていくことも考えられると思いますので、まずはこの要件で開始できないかと考えているところでございます。
 インセンティブ措置の訓練の範囲が融資対象の訓練よりも狭いのはおかしいのではないかという御指摘について。インセンティブ措置がかなりの額の免除になるということで、融資対象の中でも特に一定の質が確保されているものに限るということで、御提案を申し上げたところではありますけれども、御意見も踏まえまして再度検討したいと考えております。
 所得制限について、世帯の年収制限ではなくて、個人の年収制限にすべきではないかという御指摘をいただきました。今回インセンティブ措置は求職者支援制度として行うということでございます。求職者支援制度では給付金の支給要件融資の要件として世帯の要件というのがありますので、そういったものも参考にして世帯年収要件を御提案をさせていただいたところではございますが、個人で借りるものは個人の収入で判断すべきとの御意見をいただきましたので、その場合にどういった基準にするか、、それが可能かどうかということも含めて検討させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 オンラインの内藤委員が手を挙げていらっしゃいます。どうぞ。
○内藤委員 ありがとうございます。
 本融資制度は雇用保険被保険者でない方などが生活費等への不安なく、安心して教育訓練に取り組めるように創設されたものであることから、離職者に加えて、雇用保険被保険者であっても所得が低い方など、真に支援を必要としている方が活用しやすいよう、周知に工夫が必要だと考えています。フリーランスとして働く方などの場合、ハローワークとの接点がない場合もあることから、そういった方へのアプローチ方法も検討するなど、自治体等とも連携しつつ、丁寧に案内をいただきたいと思います。
 また、より多くの方が融資を受けられるよう融資対象の教育訓練を幅広に用意することに併せて、受講者のよりよいキャリア形成や就職につながるような訓練を受講した場合は、インセンティブ措置の対象にすることで教育訓練や本融資の効果をより高めることができると考えています。
 そのほかお示しいただいた対応方針(案)には特段異論はございません。
 以上です。
○岡雇用保険課長 ありがとうございます。
 まず、離職者の方やフリーランスの方に幅広く御活用いただけるよう、今、自治体との連携も含め、いろいろな手段を講じながら周知を徹底していきたいと思っております。
 幅広い訓練をとの御意見をいただきましたが。先ほど対象となる訓練については一定の水準が保たれるものをお示ししたところでございまして、中には求職者支援訓練や公共職業訓練も対象としてございます。これ以外にも、こういった訓練も必要ではないかというものがあれば、施行後に状況を見ながら追加していくということも考えられますので、そこは柔軟に対応していきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 オンラインの水島委員が手を挙げていらっしゃいます。どうぞ。
○水島委員 ありがとうございます。
 インセンティブの措置を設けることについて一定の意議があることは理解します。しかし、融資は返済が原則でありまして、本日お示しいただいた要件では、債務免除の申請が非常に多くなるのではないかと懸念いたします。現在の人手不足や賃上げ状況からすると、5%以上の賃金上昇は容易に達成できるように思います。また、インセンティブの措置は1年以上の勤務で最大残債務の50%を免除するものです。労働者が海外留学や大学院に進学するに当たり、使用者と金銭消費貸借契約を締結して留学費用や生活費等を借りることがありますが、債務の免除特約は一般に復帰後、継続勤務5年程度と理解しております。それと比較しても今回お示しいただいた要件は緩いように思いました。
 以上です。
○岡雇用保険課長 ありがとうございます。
 まず、インセンティブ措置の要件が緩いのではないかという御意見をいただきました。ことで、例えば賃金の5%以上の上昇という要件はのも、現在の賃金上昇を踏まえると緩いのではないかという御指摘だったかと思います。ただ、大企業を中心に賃金上昇は高いかもしれませんけれども、中小企業の場合はそこまででもないという場合もございます。今後さらに賃上げが進んでいけば、その状況も踏まえてこの要件を見直していきたいと考えてございます。また、就職してから1年についてもというのも、これで緩いということであれば、その施行状況を見ながら柔軟に対応してまいりたいと考えてございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 はい。ありがとうございます。
 それでは、議題4に関しましては以上とさせていただきたいと思います。
 事務局におかれましては、本日委員からいただいた御意見を踏まえて対応をお願いします。
 本日予定されている議題は以上ですので、本日の部会はこれで終了したいと思います。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、どうもありがとうございました。