2024年12月6日 第54回労働政策審議会 議事録

1.日時

令和6年12月6日(金)10:00~12:00

2.場所

厚生労働省省議室(9階)

3.出席者

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員
事務局

4.議題

  1. (1)令和7年度予算概算要求について
  2. (2)令和6年度総合経済対策及び令和6年度補正予算案について
  3. (3)分科会及び部会等の審議状況、法案の国会審議結果について
  4. (4)その他

5.議事

議事内容

○清家会長 皆様、おはようございます。
 定刻より1分ほど早いかもしれませんけれども、皆様おそろいでございますので、ただいまから第54回「労働政策審議会」を開催いたします。
 皆様におかれましては、大変お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 それでは、審議会の開会に当たりまして、鰐淵厚生労働副大臣から御挨拶をいただきます。
 副大臣、よろしくお願いします。
○鰐淵厚生労働副大臣 皆様、おはようございます。
 第2次石破内閣におきまして、厚生労働副大臣を拝命いたしました鰐淵洋子でございます。よろしくお願いいたします。
 第54回労働政策審議会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 本日、お忙しい中御参集いただきました皆様には、日頃より厚生労働行政に格別の御理解と御協力を賜っておりますこと、厚く御礼を申し上げます。
 さて、昨年度から政府を挙げて取り組んでおります最重要課題の1つが、賃上げでございます。今年の賃上げ率は5%を超え、33年ぶりの高水準になりました。これは、ひとえに労使の皆様双方の真摯な交渉のたまものでもあり、この場をお借りいたしまして、改めて御礼を申し上げます。
 こうした賃上げの流れを今年だけの一過性のものとすることなく、持続的に定着させていくことが重要であると考えており、政府としましても、先月、賃上げ環境の整備のための具体策を盛り込んだ総合経済対策を決定し、その対策を実施するための補正予算案を11月29日に閣議決定したところでございます。
 これらの総合経済対策や補正予算案につきまして、本日御報告させていただきますので、ぜひ皆様からも御意見をいただきたいと思っております。
 また、賃上げの流れが地方にも波及するよう、全国47都道府県におきまして、昨年度、賃上げをテーマにいたしました地方版政労使会議につきましても、本日御報告をさせていただきます。
 委員の皆様から本日頂戴いたしました御意見を踏まえまして、地方におけるさらなる賃上げの機運醸成を図ることができるよう、今年度の地方版政労使会議をより実り多い内容とするよう努めてまいります。
 また、私自身も直接足を運ばせていただきまして、その機運醸成の一翼を担っていきたいと考えております。
 また、そのほか、分科会等における審議状況も御報告いたしますので、皆様から幅広い御意見をいただきまして、今後の政策立案に生かしていきたいと考えております。
 労働政策は、日々の国民の皆様の生活に直結するものであり、その政策立案につきましては、現場を熟知されている皆様の参画を得て議論を深めていくことが何よりも重要であると考えております。
 本日、この公労使の三者で構成された本審議会におきまして、皆様には幅広い御見識と豊かな経験に基づき、活発な御議論をいただきたいと考えております。
 本日の会議が充実するよう改めてお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
○清家会長 ありがとうございました。
 なお、鰐淵副大臣におかれましては、公務の御都合により、ここで御退席と伺ってございます。
 鰐淵副大臣、ありがとうございました。
(鰐淵副大臣 退室)
○清家会長 それでは、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。御協力よろしくお願いいたします。
(報道関係者 退室)
○清家会長 では、議事に入ります前に、本日の審議会について、事務局より御説明をお願いいたします。
○宇野政策統括官付参事官 事務局の政策統括官付参事官の宇野と申します。7月5日付で着任いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日の資料は、お手元のタブレットで御覧いただけます。操作方法に不明な点がある場合は事務局にお申しつけください。
 オンライン参加の委員の皆様におかれましては、原則として、カメラはオン、マイクはミュートとしてください。
 御発言の際は、挙手ボタンを押していただき、会長から指名がありましたら、ミュートを解除して御発言ください。
 機器等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、事前に事務局からお送りしている電話番号まで御連絡ください。
 通信遮断などが生じた際には、進行を一時中断とする場合がございますので、御承知おきください。
 続きまして、労働者代表委員及び使用者代表委員に1名ずつ交代がございましたので、新たに就任された委員を御紹介いたします。資料1の労働政策審議会委員名簿を御覧ください。
 9月2日付で就任いただきました、株式会社ベネッセ・ホールディングス常務執行役員、CHRO兼人材・総務本部長の村上委員です。
 続きまして、本日は所用により御欠席と伺っておりますが、11月25日付で就任いただきました、UAゼンセン会長の永島委員です。
 また、事務局にも本年7月に異動がございましたので、御報告いたします。
 まず、労働基準局長の岸本です。
 雇用環境・均等局長の田中です。
 人材開発統括官の堀井です。
 政策立案総括審議官の河野です。
 会計管理官の河村です。
 また、本日は公務により欠席となっておりますが、政策統括官(総合政策担当)の朝川も本年7月に着任しておりますので、御報告いたします。
 最後に、本日は、荒木委員、小畑委員、武石委員、守島委員、安藤委員、永島委員、内田委員が所用により御欠席と伺っております。
 また、オンライン参加の山川委員は、所用により11時45分に退出されます。
 以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります。
 まず、資料2「令和7年度予算概算要求について」、資料3「令和6年度総合経済対策について」、資料4「令和6年度補正予算案について」、資料5「分科会及び部会等の審議状況について」、資料6「法案の国会審議結果について」、資料7「地方版政労使会議について」、それぞれ事務局から説明をお願いいたします。
 最初に、河村会計管理官、よろしくお願いします。
○河村会計管理官 会計課でございます。
 私のほうから、資料の2、7年度の当初予算の関係と、資料の4、令和6年度の補正予算案について御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、全体の状況でございますけれども、7年度の当初予算につきましては、8月の終わりに財務省に厚生労働省から提出をいたしまして、今月末の予算案の閣議決定に向けて、現在、事務方として調整を続けているところでございます。
 令和6年度の補正予算案につきましては、この後、別途御説明があります経済対策、11月22日に決定されておりますけれども、そちらに基づきまして、11月の29日に補正予算案が閣議決定をしております。
 補正予算案の中には、7年度の当初要求として8月末に盛り込んだもののうち、一部につきましては、前倒しできるものは補正予算として計上している構造になっております。ちょうど昨日からの衆議院の予算委員会での審議が始まっているところでございます。
 それで中身につきましては、資料の2に基づきまして、要点を御説明させていただきたいと思います。
 資料の2をおめくりいただきまして、右下にページ番号が振られておりますけれども、1ページをお開きいただければと思います。
 令和7年度の厚生労働省全体の予算の要求の姿でございますけれども、一番上の行にございますとおり、7年度の要求額34兆2763億円と、対前年度でいきますと約4600億円の増になっております。
 そのうち、大きな比重を占めておりますものが中段にございますけれども、年金・医療等に係る経費ということで、社会保険の主に個人給付を中心とする義務的経費が非常に多く増要因として占めることになっております。
 続きまして、2ページが特別会計でございます。
 特会は、一番上の行、労働保険特別会計につきましては、7年度要求額は、3兆3813億円と対前年度で1400億円の増の要求をしているところでございます。
 その下の年金特会が、▲の2兆4000億円の削減になっておりますけれども、こちらは基礎年金の給付費の伸びが少し落ち着いて来ておりまして、令和5年度の決算状況を踏まえて、必要金額を精査した結果としての減でございまして、何か給付減を伴うような改正に伴うものではございません。
 駆け足で恐縮ですが、おめくりいただきまして、3ページが7年度の要求のフレームになっております。
 要求のフレーム自体は例年と大きく変わるところはございませんで、資料の右側のほうにございますけれども、裁量的経費について10%削減をすると。その削減をした額の3倍の範囲で、重要政策推進枠として要求ができるというシーリングの構造になっております。
 左側の年金医療等に係る経費につきましては、先ほども出ましたけれども、自然増が非常に大きな額になっておりまして、4100億円の増が見込まれております。
 こちらは、少し前の時期よりも団塊の世代が、もう75歳以上に入っておりますので、伸びが落ちてきておりますが、従前どおり、自然増、自然体で伸びていったものを、純粋の高齢化の人口構成の変化に伴う増まで抑えるということで、いわゆる目安対応として、大体1000億を超えるぐらいの規模の制度改正による削減を求められておりまして、その関係もありまして、今、年末に向けて、例えば薬価の中間年改定ですとか、高額療養費ですとか関係審議会で、制度改正についての議論が継続されているところでございます。
 続いて、5ページが、厚生労働省の予算の全体像でございます。
 一本目の柱が、左側、全世代型社会保障の実現に向けた、保健・医療・介護の関係。
 真ん中が2番目として、三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進ということで、労働政策の関係。
 3番目が包摂社会の実現として、社会福祉関係の施策が数多く盛り込まれているところでございます。
 このうち、2番目の労働政策関係のものの主なものを9ページ以降で、少し御紹介をさせていただきたいと思います。
 項目が非常に多くございますので、金額規模の大きなものや、あと新規で要求をさせていただいている事項に絞って御紹介をさせていただきたいと思います。
 9ページの左側が、最賃アンド賃上げに向けた支援、非正規への支援ということで、矢羽根の1点目、事業内最賃の引上げに取り組む中小企業等の支援、業務改善助成金でございます。
 業務改善助成金は、当初の要求でも出しておりますけれども、令和6年度の補正予算で執行状況を鑑みまして、前倒しして大きな増額を現在取り組んでいるところでございます。
 それから、右側のリ・スキリングジョブ型人材の労働移動の円滑化で、三位一体の労働市場改革関係でございますが、リ・スキリングにつきまして、一本目の矢羽根で教育訓練休暇給付金の創設、これが新規の要求になっております。
 それから、3点目の団体等検定制度の活用促進についても新規の要求になっております。
 そのほか、4点目の公的職業訓練のデジタル人材の育成支援も、非常に大きな額の要求になっております。
 さらに、一番下のジョブ型人事関係では、企業の導入支援のためのツールの作成等を盛り込んでいるところでございます。
 続きまして、10ページ、左上が労働移動の円滑化関係でございます。
 「job tag」や「しょくばらぼ」等のサイト構築の費用でありますとか、2つ目の矢羽根でございますけれども、特定求職者の開発助成金の中で、成長分野等への就職困難者の雇入れ支援等を盛り込んでいるところでございます。
 さらに、その下の人材確保の支援として、ハローワークの人材確保対策コーナーの増設でありますとか、あと、下から2点目のシルバー人材センターを活用した高齢者の社会参加の促進、こちらについても盛り込んでおりまして、シルバー人材センター関係につきましては、令和6年度の補正予算の中でも一部前倒して要求を行っているところでございます。
 それから、右側のほうが、多様な人材の活躍促進と職場環境改善関係でございますけれども、矢羽根の1点目、ハローワークの機能強化による障害者の雇入れの支援でありますとか、3点目、就職氷河期世代含む中高年への就労支援、また、4点目、非正規の方々に対するキャリアアップ助成金等を通じた正社員転換の促進等の経費を盛り込んでいるところでございます。
 また、下から4点目の矢羽根でございますけれども、地域若者サポートステーションにおける心理相談の体制強化につきましては、新規の要求として出させていただいております。
 また、11ページの左側が、仕事と育児・介護の両立支援、多様な働き方等の関係でございますが、1点目の矢羽根が、両立支援助成金でございます。こちらについては、令和6年度の補正予算の中でも、制度改正の要求を併せて出しております。
 3点目が、今般の法改正で設けられました、出生後休業支援給付ですとか、育児短時間の就業給付の創設関係でございまして、900億円を超える大きな額の要求になってございます。
 また、ここの部分の下から2番目の矢羽根のところですけれども、労働時間の削減、中小企業の就業環境の改善に向けた支援の実施等の経費を盛り込んでいるところでございます。
 また、一番下、ハラスメントの防止対策事業としても予算を盛り込んでいるところでございます。
 また、右側に移りますけれども、産業保健総合センター関係の経費でありますとか、フリーランスの新法の施行関係につきましても、労働局の執行体制の強化ですとか、あとはフリーランス・トラブル110番の支援の関係について盛り込んでおります。
 その下のフリーランスの就業環境整備に取り組む発注事業者の支援については、新規として概算要求を出した上で、令和6年度の補正予算のほうに、前倒しして盛り込んだ経緯になっております。
 その下の女性の活躍促進でございますけれども、男女間賃金格差の是正に向けたコンサルティングの費用でありますとか、マザーズハローワーク等による就業支援関係の経費を盛り込んでいるところでございます。
 補正予算につきまして、今、触れさせていただいたものが多くなっておりますが、資料の4ページでございます。
 今回の6年度の厚生労働省としての補正予算、総額が8450億円になっておりますが、かなり大きな部分を占めておりますのが、1番目の柱の医療・介護・障害分野、これらの分野は公定価格でございますので、なかなか価格転嫁が図れない中ですので、その分野の賃上げを支援するという関係で、大きな額の要求をさせていただいております。
 2番目のところが労働関係の柱でございまして、今、触れさせていただいた内容のものが盛り込まれているところでございます。
 そのほか、5番目の国民の安心・安全の確保の柱の中で、下から3番目でございますけれども、未払賃金の立替払の原資の増額でありますとか、一番下の能登地域の雇用の下支えの支援として、地震の後の大雨に対応した休業支援関係の経費が盛り込まれているところでございます。
 会計課のほうからは以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、河野政策立案総括審議官、お願いいたします。
○河野政策立案総括審議官 資料の3を御覧ください。
 ただいま会計管理官から御説明いたしました、令和6年度補正予算案の前、11月22日に閣議決定をされました、総合経済対策に盛り込まれました、労働関係施策について御説明を申し上げます。3ページを御覧いただけますでしょうか。
 最低賃金につきまして、今年度の引上げ幅は51円と過去最高となりましたが、2020年代に全国平均1,500円という高い目標に向けて、たゆまぬ努力を継続することとなっております。
 中長期的引上げ方針について議論するため、政労使の意見交換を、先月、11月26日に開催しておりまして、厚生労働省といたしましても、先ほど御説明したとおり、補正予算案にも業務改善助成金の積み増しを計上し、中小企業の業務改善や、設備投資に対する支援などに取り組んでまいります。
 続いて、持続的、構造的賃上げに向けた三位一体の労働市場改革を推進するため、改正雇用保険法によるリ・スキリング支援策について、周知広報、団体等検定の合格に向けた講座の教育訓練給付の対象講座への追加等、リ・スキリング支援を進めてまいります。
 続きまして、4ページを御覧いただけますでしょうか。
 本年8月に、内閣官房を中心に策定、公表されましたジョブ型人事指針の周知普及に取り組みます。
 また、ハローワーク職員のキャリアコンサルタントの資格取得を促進するほか、官民の保有する求人、求職、キャリアアップに関する情報の整備、集約、可視化を進めます。
 年収の壁への対応として、昨年11月から実施をしております、年収の壁支援強化パッケージにつきまして、現在行っている助成金の申請書類の簡素化等により利用を促進いたします。
 非正規雇用労働者への支援といたしまして、キャリアアップ助成金の活用や、都道府県労働局と労働基準監督署の連携による同一労働同一賃金の遵守徹底を進めます。
 5ページにお進みいただけますでしょうか。
 令和7年4月から段階的に施行される改正育児・介護休業法の履行徹底や勤務間インターバル制度等の柔軟な働き方の導入企業拡大に取り組みます。
 このほか、今年度内に自爆営業に関連する言動について、違法行為、パワーハラスメントに該当し得る類型例を明確に示すことや、副業・兼業に係る競業避止義務の内容を明確化することなどを盛り込んでございます。
 6ページにお進みいただけますでしょうか。
 地方創生の関係でございますが、若者、女性にも選ばれる地方をつくる観点から、男女間・地域間の賃金格差の是正や、アンコンシャス・バイアスの解消に向けた取組等を推進いたします。
 次のページでございます。
 能登半島における地震、豪雨の被害を受けた事業者、労働者への支援といたしまして、雇用調整助成金について、地震特例終了後も同様の休業支援を受けられることとするほか、産業雇用安定助成金を活用した在籍型出向の支援を行うこととし、補正予算案にも盛り込んでございます。
 いわゆる闇バイト対策としまして、警察庁と連携し、民間の求人メディア事業者における犯罪実行者募集情報の掲載防止及び削除の依頼等の取組を推進いたします。
 次の8ページでございます。
 現在、雇用環境・均等分科会で御議論いただいております、男女間賃金差異の公表義務対象企業の拡大につきまして、今年度内を目途に検討を進め、結論を得ることとしてございます。
 このほか、育児休業の取得に向けた環境整備に取り組む中小企業への支援の拡充などを進めます。
 9ページでございます。
 高齢者雇用につきまして、65歳超雇用推進助成金の積極活用の促進や、シルバー人材センターにおいて、就業支援機器を貸与するモデル事業を実施するなど、会員が安心して就労できる環境を整備することとし、補正予算案にも盛り込んでおります。
 以上、これらの総合経済対策に盛り込まれた施策につきまして、しっかりと取組を進めてまいります。
 以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 では、岸本労働基準局長、お願いいたします。
○岸本労働基準局長 労働基準局長でございます。
 資料5に基づきまして、労働基準関係の分科会及び部会等の審議状況について御報告申し上げます。
 資料5の3ページを御覧ください。
 まず、労働基準局関係の個別の諮問・答申案件について御報告いたします。
 1つ目、労働者災害補償保険法施行規則の改正でございます。
 これは、社会復帰促進等事業及び労災保険事業の事務費に充てるべき額の限度につきまして、120分の20から125分の25に改定をさせていただいたという内容でございます。
 次に安全衛生分科会の関係です。
 2つ目の○ですが、労働安全衛生規則の一部改正でございます。
 新規化学物質の有害性の調査結果の届出申請は、原則電子申請にしていくという内容の改正について諮問をさせていただき、答申をいただいたものでございます。
 3つ目の○、これも労働安全衛生規則の改正でございますが、経緯としては、令和3年の建設アスベスト訴訟の最高裁判決を受けまして、現在、労働安全衛生法令の体系において、雇用労働者のみならず、個人事業者をこの法令の体系に取り入れていくという見直しを進めているところでございます。
 その一環といたしまして、労働安全衛生規則の中で、立入禁止措置や、作業場所からの退避措置を定めている条文がございますが、その対象が雇用されている労働者に限られておりますものを、個人事業者の方も含まれるように措置をするという内容でございまして、これについて諮問をさせていただき、答申をいただいたものでございます。
 めくっていただいて4ページでございますが、これも労働安全衛生規則の一部改正でございます。電気自動車等の整備の業務に係る特別教育というのがございまして、従来、蓄電池の電圧によって、それが高いものが対象だとしておりましたが、これを引下げまして、併せて教育内容の適正化を図ったものでございます。
 それから、その次の○、労働災害防止団体法に基づいて設置をされております、陸上貨物運送事業労働災害防止協会の労働災害防止規定の変更認可に係る諮問について、答申をいただいたものでございます。
 また、個別の諮問・答申案件以外のものとしまして、主なものを3点申し上げます。
 1つは、現在、第14次労働災害防止計画の2か年度目でございますが、初年令和5年度の進捗状況や要因分析について、資料を御用意し、御議論いただいたものでございます。
 また、その他、労働条件分科会のもとに置いております、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会というのがございます。
 ここで、電気事業に関するスト規制の在り方について御議論をいただいております。
 また、安全衛生分科会では、4月から月1回ないし月2回のペースで、審議に御協力いただいておりますが、個人事業者の安全対策、化学物質の安全対策、メンタルヘルス対策の充実などにつきまして、労働安全衛生法の改正も視野に入れた御議論をいただいているところでございます。
 労働基準関係は以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、山田職業安定局長、お願いいたします。
○山田職業安定局長 職業安定局長の山田でございます。
 職業安定局所管の分科会における審議状況等について御説明いたします。
 時間の都合上、法律改正に関係する内容及び主な省令改正の内容に関する事項のみ、御説明させていただきます。
 基準局の次の6ページ目からが安定局ですけれども、まず、4つ目の○のとおり、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱、地域雇用開発助成金の特例措置関係は、令和6年能登半島地震による被災地域の雇用機会の確保を図るため、能登半島地震の発生後に石川県七尾市、輪島市、珠洲市、志賀町、穴水町、能登町において事業所を設置、整備し、求職者を雇い入れる事業主に対して、地域雇用開発助成金、地域雇用開発コース奨励金の特例措置に係る改正を行いました。
 少し飛んでいただいて、8ページ目になりますけれども、一番上の○にありますとおり、職業安定法施行規則の一部を改正する省令案要綱及び職業紹介事業者、次の○になりますが、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働供給事業者、労働局を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針の一部を改正する件案の要綱につきましては、労働力需給調整機能の強化を図るためのさらなる対応策として、1つには、お祝い金禁止の実効性を確保するための方策を含めて、法令遵守徹底のためのルールと施行の強化。
 2つ目に、職種ごとの紹介手数料実績を含め、雇用仲介事業のさらなる見える化の促進、そういった観点から改正を行いました。
 いずれも令和7年4月1日から施行予定であります。
 その他の省令改正等につきましては、参考資料4-2の別紙1、それから5、6、7に改正内容をそれぞれ記載しております。
 また、職業安定分科会及び障害者雇用分科会における、2023年度の評価及び2024年度目標の設定については、別紙7に具体的な数値状況、評価の動向等を記載しております。
 また、さらに求職者等への職場情報提供に当たっての手引については、別紙12の手引の内容を記載しておりますので、こちらを御参照いただければと思います。
 それから、資料6のほうになりますが、令和6年2月9日に国会提出された雇用保険法等の一部を改正する法律案については、第213回国会に提出されて、5月10日に成立し、5月17日に公布されましたので御報告いたします。
 職業安定局からは以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、堀井人材開発統括官、お願いいたします。
○堀井人材開発統括官 それでは、資料5のページは少し飛びますが、14ページをお開きいただきたいと思います。
 人材開発統括官の所管の分科会の審議状況につきまして、幾つかポイントを絞りまして御説明をさせていただきます。
 まず、14ページの1つ目の○のところでございますが、これは、技能検定制度に新たに林業職種を新設する改正を行うということで御議論をいただき、省令案要綱についてお認めをいただいたものでございます。
 続きまして、同じページの3つ目の○でございます。
 こちらは、教育訓練給付制度の指定対象講座の拡充について御議論をいただきまして、見直しを行ったものでございます。
 次に、1つ飛びまして、5つ目の○、14ページについてでございます。
 これは、技能実習制度の抜本的な見直しを行いまして、入管法、そして技能実習法の一部の改正法が本年の6月に成立し、新たな育成就労制度が創設されました。
 その関係の法律につきまして、御報告を行わせていただいた内容でございます。
 引き続き、15ページでございますが、15ページの1つ目の○のところについてでございます。
 こちらは、人材開発支援助成金の人への投資促進コースにつきまして、定額制訓練について、受講者1人1か月当たりの支給限度額を定めるという内容を御議論いただき、省令案について要綱を認めていただいたところでございます。
 最後に、続きましての2つ目の○についてでございますが、これは監理団体審査部会におきまして、技能実習制度の監理団体の許可申請について、定期的に御審議をいただいております。
 前回の本審から本日までの間に5回答申をいただいております。ということについて御報告をさせていただくものでございます。
 人材開発統括官からは以上でございます。
○清家会長 ありがとうございます。
 それでは、再びですが、河野政策立案総括審議官、お願いします。
○河野政策立案総括審議官 16ページを御覧ください。
 労働政策基本部会の審議状況について御説明をいたします。
 労働政策基本部会におきましては、労働政策の中長期的な課題につきまして、人口減少社会に即した働き方について、中小企業、地域の生活を支える産業での労働者の能力発揮に向けてを大テーマに、本年1月から議論を行っていただいてございます。
 4月以降、資料に記載いたしましたとおり、委員、有識者、企業等からのヒアリングを実施いたしまして、次のページになりますけれども、11月29日には、これまでの議論を整理しつつ、意見交換を行っていただきました。
 今後もヒアリング等を実施しつつ、委員間の意見交換を行い、今年度末を目途に報告書の取りまとめを行うこととなってございます。
 以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、田中雇用環境・均等局長、お願いいたします。
○田中雇用環境・均等局長 私からは、雇用環境・均等局関係の分科会の審議状況と地方版政労使会議について御説明をさせていただきます。
 まず、資料5の10ページ目と資料の6を御覧ください。雇用環境・均等分科会の関係です。
 資料5の10ページの一番上ですけれども、育児・介護休業法と、次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律の施行の関係について御議論をいただきました。
 資料の6にありますとおり、当該改正法につきましては、先の通常国会で成立をいたしまして、それを受けましての施行のために必要な政省令、指針について御議論をいただいたものでございます。
 改正法の一部の施行期日を令和7年10月1日とする政令案、それから、柔軟な働き方を実現するための措置の具体的内容などを定めます省令案、一般事業主行動計画の策定変更の仕組みなどを見直す省令案等につきまして、お諮りをしたものでございます。
 資料5、11ページにお進みください。
 真ん中辺りの1つ目でございます。雇用の分野における女性活躍推進の方向性、それからハラスメントの現状と対応の方向性等につきまして、雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会の報告書が8月8日に取りまとめられました。
 これを踏まえまして、9月13日から分科会で報告をし、議論を進めていただいているところでございます。
 引き続き、必要な制度見直しに向けて御審議をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それから、11ページの一番下、雇用環境・均等分科会家内労働部会の関係でございます。
 家内労働法施行規則の規定に基づきまして、都道府県労働局掲示場に書面掲示を行った場合には、ウェブサイトにも掲載することとする省令案についてお諮りをしたものでございます。
 続きまして、勤労者生活分科会につきまして御説明をさせていただきます。
 12ページの上から3つ目の○ですが、令和6年度の住宅ローン控除の要件改正に伴いまして、財形住宅貯蓄における住宅の床面積要件の改正を行う省令案につきまして、諮問をしたものでございます。
 それから、12ページの一番下、勤労者生活分科会の中小企業退職金共済部会でございます。
 中小企業退職金共済制度におけます、令和6年度の付加退職金支給率を諮問いたしまして、妥当との答申をいただいてございます。
 分科会の関係の資料5、資料6は以上でございまして、続きまして、資料7にお移りいただけますでしょうか。
 地方版政労使会議についてでございます。前回の労働政策審議会におきまして、昨年度の地方版政労使会議のフォローアップについての報告をするよう、会長から御指示をいただいたことがございまして、これに沿いまして御説明をさせていただきます。
 資料7の最初の3枚は、昨年度、令和5年度の開催状況等々でございます。
 まず、資料の1枚目、開催状況の①でございます。
 令和5年度の地方版政労使会議ですが、賃金引上げに向けた取組を主たるテーマとして実施いたしました。
 1枚目の右側になりますけれども、本年3月末までに全ての都道府県で開催されております。
 1枚おめくりいただきまして、次の開催状況の②です。
 原則として対面で実施しております。
 労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針等々の周知も、この場で行わせていただきました。
 また、右側です。主な構成員の令和5年度の出席者ですけれども、多くの会議で構成員のトップの御出席をいただいております。
 さらに、もう一枚おめくりいただきまして、開催状況の③でございます。
 左のところに、労使からの主な発言内容等をまとめさせていただいてございます。
 昨年度の地方版政労使会議ですが、半数以上で知事に御出席をいただいております。
 また、報道の状況、確認できた範囲でございますけれども、地元紙を中心に大きく取り上げていただいておりまして、賃上げの機運醸成に寄与したものと考えております。
 一方で、昨年度の取組を通じまして、今年度開催するに当たっての課題も明らかになりました。
 最後のページ、フォローアップのページにお進みください。
 最後のページの左側、労使団体等々からいただいたお話を踏まえまして、6点、課題として整理をいたしました。
 まず、1点目です。構成員のトップの出席を要請し、賃上げへの取組を始めとした、地方における重要な課題を意見交換する場としての政労使会議でございます。そのようなことを開催する趣旨を徹底するということと、機運醸成のための広報上の名称を統一したいと考えております。
 また、2点目、開催は対面ということでございます。
 右にありますように、開催は対面として、時期は1月から2月を中心に集中的に実施をするということを進めたいと考えております。
 また、3点目、日程調整の時間が不十分だったということです。これにつきましては、労働局への開催の基本的指示を12月から大幅に前倒しで発送し、日程調整等々の時間を確保するということで進めてございます。
 また、4点目でございます。価格転嫁、生産性向上への取組についても、意見交換が行えるように、行政から必要なデータや事例集等の紹介を行いたいと考えております。
 また、5点目、活発な意見交換ということです。会議の運営に工夫をするということで、労働局の施策説明時間を最小限としまして、構成員の発言時間、機会を十分確保するなどで対応をいたしたいと考えております。
 最後6点目、全国共通のものとすべきということで、労働局が提出する基本的資料を統一するほか、その内容を、自由闊達な議論を促すものとするよう工夫したいと考えております。
 こうした対応によりまして、本年度の地方版政労使会議において、賃上げの機運が一層醸成されるように努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、ここから委員の皆様より御意見を承りたいと存じます。
 今回もこれまでと同様、一通り委員の皆様から御意見を承った後に、事務局からまとめて回答をしていただく形で進めたいと存じます。
 それでは、御意見のある方は、御自身の名前の札を立てていただきますよう、お願いいたします。
 また、オンラインにて御出席で御意見のある方は、オンラインの挙手ボタンを押していただければ、こちらのほうから指名させていただきます。
 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
 では、大橋委員、よろしくお願いいたします。
○大橋委員 ありがとうございます。
 私からは、雇用保険制度に関しまして2点申し上げさせていただきます。
 1点目は、5月に成立しました改正雇用保険法の周知についてであります。
 資料5の5ページ以降にあるとおり、雇用保険部会等において、その施行に向けた省令等の整備に係る議論が行われていると承知しております。今回の改正は非常に多岐にわたりますので、丁寧な周知を引き続きお願いいたしたいと思います。
 2点目は、雇用保険財政についてであります。
 コロナ禍における失業予防対策としまして、度重なる特例措置によって雇用調整助成金、いわゆる雇調金等が大幅に活用され、約6兆円ですが、雇用の安定に非常に寄与したことは間違いありません。
 一方で、その財源である雇用保険二事業の雇用安定資金は、失業給付等の積立金から約2.9兆円を借り入れているにもかかわらず、2020年度から4年連続で残高がゼロとなっており、コロナ禍のような有事に必要な雇用対策が講じられない危機的状況にあります。
 雇用保険の財政健全化については、雇用保険部会で議論が始まっていると承知しております。その際、雇調金の特例措置によって、働き手とその家族を含む多くの国民生活が守られたことに鑑みれば、その費用の全てを事業主のみで負担している雇用保険二事業で賄うことが適切なのかといった観点からの検討が不可欠であります。
 とりわけ、令和3年度、4年度に積立金から繰り入れました約1.5兆円は、雇調金の特例措置に必要な費用を一般会計で手当した際、法律の関係で形式的に積立金を経由して、雇用安定資金に算入されたことに着目すべきと考えます。
 こうした事実関係に基づきながら、財政健全化への道筋を早期に示し、着実に進めていただくようお願いいたします。
 私からは以上であります。
○清家会長 ありがとうございます。
 では、清水委員、よろしくお願いいたします。
○清水委員 私からは働き方あるいは労働基準法制の関係で発言させていただきます。
 労使が知恵を絞って実現させた働き方改革から5年が経過しました。しかし、依然として長時間労働や過労死の問題は、解決していないと言わざるを得ない現状です。また、深刻な人手不足に直面する日本において、今まで以上に働く人を大事にした政策が必要であると考えます。
 自動車運転者などの適用猶予業種への上限規制の定着も含め、働き方改革を一層推し進め、誰もが心身の健康を維持しながら、安心して働き続けることができる環境整備が重要だと考えます。
 こういった点から、労働基準法に関しては、今年の初めから労働基準局所管の有識者の研究会で見直しの議論がスタートし、議論が大詰めを迎えているとお聞きしております。
 たびたび申し上げておりますが、労働基準法の強行法規性をしっかり堅持した上で、全ての働く者の命と健康、そして、豊かな生活時間を守る観点からの見直しが行われるよう、強く求めたいと思います。
 また、研究会では集団的労使関係が論点の1つになっていますけれども、その中核的な担い手は、やはり労働組合だと思っております。
 私たち労働組合も集団的労使関係の輪を広げるべく、積極的に運動を図ってまいりますので、厚労省としても、労働組合が活動しやすい環境整備に向けた労働政策を講ずるべきと考えています。
 その上で、真の働き方改革を目指すのであれば、ジェンダー平等や、今や労働者の4割を占める状況にある、いわゆる非正規雇用で働く方々の雇用の安定、処遇改善に向けた議論も真正面から行うべきではないかと考えます。
 そして、いわゆる同一労働同一賃金の法規定のさらなる強化を含めて、誰もが公正な労働条件のもとで働くことができる環境整備こそが重要ではないかと思っております。
 厚生労働省としても、そういった点について対応を図っていただきたいと強く要望しておきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、芳井委員、よろしくお願いいたします。
○芳井委員 ありがとうございます。
 私からは、資料2の11ページ、左側にある仕事と育児・介護の両立支援、多様な働き方の実現に向けた環境整備、ワーク・ライフ・バランスの促進に関連して、発言をさせていただきます。
 いわゆる労働力が減少する現在、多様な労働者にその持てる能力を十分に発揮してもらい、また、アウトプットの最大化と生産性の向上を実現させることが求められております。それには、多様なニーズに対応できる柔軟な働き方の拡大が欠かせません。
 当社大和ハウスも、フレックスタイム制やサテライトオフィス、在籍事業所ではなく、自由に利用できるサードオフィスの創設、時間と場所にとらわれない働き方を推進しているところであります。
 また、今回の資料にはありませんけれども、裁量労働制は、企業が社会や働き手のニーズの変化に対応するとともに、働き手が能力を最大限発揮し、日本全体の生産性を上げるために非常に重要な制度と考えております。
 現在、厚生労働省の労働基準関係法制研究会において、労働時間制度についても、様々な議論をされておりますけれども、裁量労働制も含め、特に当社におきましては、若手がもっと働きたい、もっと自分たちで成長したい、こういった声にどのように向き合うかということが非常に大きな課題になっております。
 今後、多様な働き方の実現の制度に、大胆な見直しをお願いしたいと思っております。
 以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、成田委員、よろしくお願いいたします。
○成田委員 私からは、ストレスチェック検討会等を含む、安全衛生法改正について申し上げます。
 現在、安衛法改正を見据えて、安全衛生分科会報告の取りまとめに向けた論議が行われていると承知しております。
 資料5の3ページに記載がある、個人事業者の労災防止は喫緊の課題であり、労働者と類似の作業を行う者は、就業場所を問わず、災害防止に必要な保護がなされるべきであると思います。
 検討事項には、ILO155号条約批准に不可欠な事項も含まれていると聞いております。就業者保護の観点に立って、引き続き審議を深めていただきたいと考えています。
 次に、労働衛生対策では、ストレスチェック制度の見直しなどが検討対象と聞いております。
 労働者であれば、事業場規模にかかわらず、同じ産業保健サービスが提供されるべきです。
 ストレスチェックを全ての事業者に事業場で適用拡大することで、中小規模の事業場におけるメンタルヘルス対策を強化していく必要があると考えます。
 最後になりますが、安全対策を含め、労働災害の減少と、働く者が安心して安全に働き続けるための職場環境の実現に向け、労働者・就業者保護の視点に立ち、必要な法整備の検討を強力に進めていただきたいと考えております。
 以上であります。
○清家会長 ありがとうございます。
 それでは、川崎委員、よろしくお願いします。
○川崎委員 ありがとうございます。
 私のほうからは、資料2の10ページ、右側にあります、障害者、高齢者、多様な人材の活躍促進のところに書かれています、高齢者の労働災害防止のための環境整備、ここに関しまして発言させていただきたいと思っております。
 現在、安全衛生分科会で、今日的な課題に対応するためということで多岐にわたる事項の議論がされていると認識しておりますが、やはり近年、高年齢労働者が増えてきておりますので、そこを中心に、休業4日以上になります死傷病者数が増えていると。
 その中で、この分科会で、高年齢労働者の安全衛生対策が検討されているということは、非常にタイムリーなことだと認識をしております。
 ここに関しまして、2点コメントをしていきたいと思います。
 対策の方向性で、今、エイジフレンドリーガイドライン、これに沿ってハード面、ソフト面両面の取組を広げていくということが非常に肝要だと思っています。
 ただ、一方、現在これに関して必要性を感じないといった理由で、高年齢労働者の労働災害防止対策に取り組んでいない企業も少なくない、そういう状況になっております。
 その意味で、高年齢労働者の転倒、腰痛が多く発生しておりまして、かつ、重篤化しやすいという実態について、ホワイトカラーの職場も含めまして、しっかり周知していくといったことが必要だと思います。
 また、取るべき対策につきましては、業種業態に関わらず職場の規模、そういったものも要素としては大きく異なると思います。
 厚生労働省には、ぜひ、エイジフレンドリーガイドラインに沿った取組の好事例を横展開したり、中小零細企業に対する公的支援の強化をしていくといったような、職場の実態に合った対策が取れるような後押しをお願いしたいと思っております。
 当社グループの製油所の中にも、やはりつまずきですとか、転倒ですとか、そういったものが発生しているところもありますが、従前やっておりましたラジオ体操を、足腰を鍛えるようなアクティブ体操に変えることによって、つまずきが減っていったといったような、非常にその職場環境にあった小さな工夫が改善につながる事例もありますので、ぜひこのエイジフレンドリーガイドラインのハード面、ソフト面の両方の面にわたった支援をお願いしたいと思います。
 続いて、2点目になります。関連しまして、来年の1月から労働者の死傷病報告の電子申請、これが原則義務化されていきます。
 これによりまして、高年齢労働者の災害を含めた詳細な分析が容易になっていくと認識しておりますので、ぜひエビデンスに基づく政策立案に役立てていただきたいと思います。
 あわせて、業界団体ですとか、企業からは、業種業態別の詳細データを独自に利用して分析したいと、それによって労働災害の防止につなげたいという声も聞かれております。データの積極的な公表にも、ぜひ取り組んでいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 私からは以上になります。
○清家会長 ありがとうございます。
 それでは、安河内委員、よろしくお願いいたします。
○安河内委員 安河内でございます。
 私は外国人労働者の保護強化について、発言させていただきたいと思います。参考資料1の115ページでございます。
 6月14日に入管法及び技能実習制度の改正が行われましたけれども、技能実習制度を育成就労制度に見直し、特定技能制度も含め、適正化されると聞いております。
 しかし、改正の実効性を高めていく上で重要な受入れ分野や、監理支援機関の要件などは、今後政省令で定められることとなります。
 政省令の整備に当たっては、国会審議での附帯決議を踏まえ、両制度の適正化、とりわけ労働者保護強化が担保されるよう、厚労省には制度所管省庁または労働行政の所管省庁として、役割を十分に発揮していただきたいと思います。
 制度の適正化においては、外国人育成就労機構の体制強化は大変重要な課題であると考えております。かつての技能実習制度においては、こうした機能が十分には機能せずに、様々な外国人に対する人権侵害が行われたと認識しているところでございます。
 概算要求では、改正法の施行に向けたシステム体制の整備として、昨年より増額要求がされておりますが、転籍支援や特定技能外国人への相談援助等の業務も担うことを考えれば、職員の増員、育成を含めた機構の体制強化は不可欠でございます。
 制度改正前の早い段階から、予算確保を含めた体制整備に着手すべきだと考えております。
 同時に、これまでの活動を振り返ってみますと、労働組合や様々なNPO団体等の中間団体が支援してきたという実績を考えれば、そうした中間団体との密接な意見交換も、ぜひお願いをしたいと思います。
 また、今回、技能実習制度と特定技能制度を適正化することで、他の在留資格で働く労働者にしわ寄せが生じる懸念がございます。
 政府、自治体を含めた全てのステークホルダーがビジネスと人権に関する行動計画に基づいた取組を着実に実施するとともに、外国人との共生を含めた総合的かつ国民的な議論を行い、全ての外国人労働者が安心して働き暮らすことのできる社会を実現することが重要だと考えております。
 この人権デューデリジェンスに関して、先日、ある零細企業において賃金未払いの課題が発生しました。その際、人権デューデリジェンスのガイドラインに基づいて、業界団体に対して、この問題が解決するまで、直ちに取引を停止していただきたいというお願いをしたところ、即日、この問題が解決したということを経験いたしました。人権デューデリジェンスの考え方あるいはガイドラインは、外国人労働者保護において極めて強力な武器になると認識していることを付言させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、オンラインからでございますけれども、村上委員、よろしいでしょうか。
○村上委員 では、村上から資料5の11ページ、雇用環境・均等分科会における女性活躍とハラスメント対策の検討につきまして申し上げます。
 現在、法改正に向けた議論が行われており、女性活躍については男女間の賃金差異の公表義務を中小企業に拡大することや、新たに女性管理職比率の公表を義務化することなどが議論されていると伺っております。
 より多くの企業に女性活躍の取組を促していくことは、非常に重要だと考えますが、例えば業種や業態の特性によっては、女性の採用や職務の拡大が難しいケースもあるのではないかと考えております。
 例えば、当社でも塾の事業を行っておりますけれども、どうしても夜間の勤務が発生するために、女性の管理職任用が難しいという声がございます。
 また、中小企業においては、施策に取り組む人員が限られているといった状況もございます。
 女性活用に向けて、企業に一定の情報開示を求めるアプローチは有効だと考えますけれども、あくまで企業が自主的に可能な範囲でしっかりと取り組んでいくことを基本としていただきたいと考えます。
 あわせまして、中小企業に対する伴走型の支援の拡充の御検討をお願いできればと思います。
 次に、ハラスメントについてですけれども、昨今カスタマーハラスメント対策というのが非常に大きなテーマとなっておるところでございます。
 このカスハラは、社員のパフォーマンス低下ですとか、メンタルヘルスの不調をもたらすのはもちろんですけれども、さらに進むと休職や退職につながるようなケースも発生してございます。
 こちらも企業として対策に取り組んでいくということは、もちろん、当然やっていくべきことであるのですけれども、これは、行為者がお客様であるということ、お客様ですとか、取引先様ということもあって、当社としてもなかなか対応に苦慮しているところでございます。
 ですので、政府におかれましては、このカスハラの定義ですとか、具体例の明確化に加えまして、業界別のガイドラインの策定の御支援ですとか、関係省庁連携による消費者の意識、行動の変容に向けたお取組、これを十分に講じていただきたいと思っております。
 私からは以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、山中委員、よろしくお願いいたします。
○山中委員 ありがとうございます。山中です。
 私からもハラスメントと女性活躍推進法の関係で、意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 まず、ハラスメント対策強化についてです。現在、雇用環境・均等分科会におきまして、カスハラ対策や求職者に対するハラスメント対策強化に向けて、審議が行われていると承知しております。
 労働者が安心・安全に働くためには、職場におけるあらゆるハラスメント対策の強化が不可欠であり、ハラスメントは許されるものではない旨を法律で明確化し、消費者などの権利に配慮しつつ、社会的な合意形成につなげていく必要があると思います。
 今後、厚生労働省だけでなく、関係省庁が連携した対応をお願いしたいと思います。
 次に、女性の活躍促進についてです。
 日本のジェンダーギャップ指数の順位は、146か国中118位と、依然として世界最低のクラスにあります。主要先進国で最下位にとどまっている状況であり、男女間格差の是正は喫緊の課題となっています。
 誰もが持てる能力を発揮し、活躍できる職場環境を実現するには、男女の賃金の差異、管理職に占める女性労働者の割合を公表するだけではなく、格差の要因分析、是正に向けた取組、取り組んだ結果の検証、課題の洗い出しなど、PDCAサイクルをしっかりと行うことが必要であると思います。
 厚生労働省には、企業規模、雇用形態などにかかわらず、全ての女性が活躍できる職場環境実現に向け、事業主に対する支援の充実を図るとともに、取組の加速を促していただきたいと思います。
 私からは以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、野村委員、よろしくお願いいたします。
○野村委員 全国中小企業団体中央会の野村でございます。
 私からは2点、意見を申し上げます。
 1点目は、最低賃金に関してです。今年の最低賃金は、全国加重平均で51円と昨年を上回る大幅な引上げとなりました。
 また、11月22日に閣議決定されました、新たな総合経済対策では、2020年代に全国平均1,500円という目標が掲げられております。
 そのような中、先日開催されました、政労使の意見交換におきまして、弊会会長の森から、「価格転嫁、特に人件費上昇分の転嫁が不十分な現状のままでは、原資確保の見通しが立てられないこと。官公需の調達単価も、人件費や物価上昇分の反映が迅速でなく、中小企業は苦慮していること。生産性向上の実現にはものづくり補助金、中小企業省力化投資補助金などを活用しているものの、利用拡大と、投資効果が現れるには最低3年程度はかかること。」を発言しております。
 その上で、「最低賃金の決定プロセスは、公労使三者で構成される最低賃金審議会で、データに基づき納得感のある決定をすることの重要性と、中小・小規模事業者に、通常の事業活動による支払い能力を超えた最低賃金の過度な引上げで負担をかけないよう、万全のご配慮をお願いしたい。」との意見を申し上げたところであります。
 労働者の約7割を雇用し、地域の雇用の担い手として大きな役割を担っている中小企業が、最低賃金の引上げに継続して対応できるようにするためには、厚生労働省には、具体的に2つのことをお願いしたいと思います。
 1つには、最低賃金の発効日についてです。ここ数年の大幅な引上げで、単なる時間給の改定にとどまらず、社員全体の賃金や初任給にまで影響を及ぼした中小企業も少なくありません。
 改定決定から発効日まで2か月あまりでは、対応に限界があります。最低賃金の発効日につきましては、地方審議会において、10月発効を前提とした議論をさせるのではなく、地域中小企業の対応力に応じた設定ができるよう、環境整備を厚生労働省にて行うように、ぜひともよろしくお願いいたします。
 2つ目には、業務改善助成金についてです。業務改善助成金の来年度の概算要求額は22億円で、先日閣議決定されました補正予算において増額され、昨年度よりも総額で増えております。
 業務改善助成金は、中小企業の最低賃金引上げに向けた、厚生労働省の支援の柱であると考えます。必要とする中小企業が活用できるように、今後は、補正予算での増額ではなく、当初予算での必要額の措置をよろしくお願いいたします。
 2点目は、外国人労働者の雇用に関してです。
 現在、日本で働く外国人労働者数は200万人を超えており、少子高齢化により将来的に労働力不足が見込まれる中で、外国人労働者の受入れは中小企業にとりまして、ますます重要となってきております。
 このような中、6月に技能実習制度を発展的解消し、育成就労制度を創設する法改正が行われ、今後、外国人を受け入れる対象分野や受入れ人数等が検討されることとなっております。
 外国人の受入れ対象分野等の検討に当たっては、全国の多くの中小企業で外国人技能実習制度を活用して受入れを行っている現状に十二分に御配慮いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 私からは以上でございます。
○清家会長 ありがとうございます。
 それでは、堀谷委員、よろしくお願いします。
○堀谷委員 堀谷です。
 私からは、倒産・事業再編時における労働債権・労働者保護の強化について意見を述べさせていただきたいと思います。
 現在、政府においては、動産債権を担保する譲渡担保のルールの明確化のほか、スタートアップ企業の資金調達の円滑化、私的整理を含む事業再編の活性化などについても議論が進められております。
 中小企業等の成長は、そこで働く労働者にとっても重要ですが、一方で、事業再編や担保取引の活性化は、雇用の不安定化や労働条件の悪化、賃金等の労働債権の確保が今よりも困難になるなど、労働者の生活に深刻な影響を及ぼすことも大いに懸念をされると思います。
 実際、近年は企業規模や業種を問わず、再編の波にさらされ、M&A全体の件数も増加傾向にありますが、政府において、労働者保護ルールの強化、整備につながる議論は、ほとんど進んでいないのではないかと感じております。
 事業の維持・発展には、そこに働く人が必要不可欠であり、雇用の安定や労働条件の維持・向上を図ることが重要と考えます。
 また、倒産時においては、労働債権の確保が重要であり、現状を上回る確保策について検討すべきと考えます。
 資料3の新たな総合経済対策の5ページには、会社分割時における会社から、労働者、労働組合への通知や労働者からの異議申立ての電子化に向けた検討も記載されていますが、厚生労働省においては、事業性融資推進法案に対して、衆参両院で付された附帯決議を踏まえ、事業譲渡や合併を含む、あらゆる事業再編時における労働者保護ルールの法制化に向けた検討を進めていただきたいと思います。
 加えて、政府全体でも議論が進むよう、法務省をはじめ、関係省庁への強力な働きかけをお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、西周委員、よろしくお願いします。
○西周委員 西周でございます。よろしくお願いします。
 私からは、障害者雇用に関して申し上げたいと存じます。
 企業などに雇用されている障害者の数は、64.2万人ほどになり、また、実雇用率も2.33%と、いずれも過去最高を更新するなど、企業の懸命な努力もありまして、障害者雇用は着実に進展していると考えております。
 一方、企業からは、障害のある方を採用したくとも、自社のニーズにマッチした人材が見つからない、あるいは募集をしても応募が少ないということや、障害特性によっては、職場への定着が難しい面があるなど、障害者雇用の取組に苦慮しているとの声が多く寄せられております。
 とりわけ、地方の中小企業におきましては、人的、経済的に様々な制約を抱えており、より厳しい状況に置かれておるところでございます。
 こうした中、さきの障害者雇用促進法の改正によりまして、障害者雇用の質の向上の観点から、支援策の拡充が図られたとことと併せまして、法定雇用率が、今年4月に2.3%から2.5%に引き上げられ、2026年7月には2.7%になると承知しております。
 短い期間での法定雇用率の大幅な引上げは、雇用率達成のために雇用の質の確保を優先させ、法改正の目的である質の向上を妨げることにつながるのではないかと危惧しております。
 こうした中、厚生労働省職業安定局長のもとに、今後の障害者雇用の在り方に関する研究会が今月3日に設置され、検討が開始されたと承知しております。
 厚生労働省におかれましては、障害者雇用の実態に即した形での雇用の質の向上が図れるよう、雇用率制度の在り方を含めて、丁寧な議論が行われるようお願いいたします。
 私からは以上でございます。
○清家会長 ありがとうございます。
 それでは、中川委員、よろしくお願いします。
○中川委員 中川でございます。
 私のほうからは、資料7、地方版政労使会議の状況について、意見要望という形で発言させていただきます。
 2024春季生活闘争では、5%台の賃上げが実現いたしました。定昇を除く賃上げ分は過年度物価上昇率を上回っております。これは、実質賃金が継続的に上昇して、経済が安定的に上昇するステージへの転換に向けた大きな一歩であると考えます。
 また、労働組合のある企業の賃金引上げは、労働組合がない企業の賃金引上げを上回っており、労働組合の主体的な取組の成果の1つであるとも考えております。
 一方で、中小組合の賃金引上げは全体の平均を下回っており、企業規模間の格差は拡大しております。
 その要因の1つは、労務費を含む価格転嫁や取引慣行の問題にあると考えております。
 連合加盟の産業別の調査によりますと、価格転嫁ができたか否かで、賃金引上げ水準に差があったという回答がございます。
 ステージ転換を確実なものとするためには、価格転嫁の取組をさらに徹底し、中小企業や小規模事業所の賃金引上げの流れを社会全体に拡大していくことが不可欠であると思います。
 令和5年度の地方版政労使会議は、全ての都道府県で開催され、賃上げに向けた社会的機運の醸成に寄与していたと考えております。
 一方、資料7からは、中小企業や小規模企業の賃金引上げのための適切な価格転嫁は、いまだ不十分であるという指摘が多くなされていることも読み取れます。また、会議の名称、開催の時期、方法など、地域によって会議の開催状況に濃淡があったという声も聞いております。
 こうした意見を踏まえた上で、資料7も作成いただいたものと受け止めているところでございます。
 令和6年度の地方版政労使会議においては、本日の資料に基づき、全ての地域において、政労使の方々が十分な意見交換を行える会議の準備・運営、発言しやすい環境づくりをぜひともお願いしたいと思います。
 先ほども御説明の中にございましたけれども、会議は限られた時間でございますので、説明は簡潔にしていただき、政労使が十分な時間を取って、忌憚のない意見交換を行えるようにしていただきたいと思います。
 さらに、圧倒的に地方でも中小規模、小規模の企業が多くございます。そういった中小企業が置かれた状況を共有するとともに、適切な価格転嫁、生産性向上の取組などについての共通の認識を持ち、労働組合のない中小企業や、そして全ての働く方々の持続的な賃金引上げの実現に向けた機運の醸成にぜひともつなげていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○清家会長 ありがとうございます。
 それでは、小松委員、よろしくお願いいたします。
○小松委員 私からは、主に中小企業の観点から3点申し上げます。
 まず、中小企業の自発的かつ持続的な賃上げについて申し上げます。
 商工会議所が4月に行った調査では、中小企業の賃上げ率は3.62%となっており、5%を超えた春闘の賃上げ率と比べれば低いですが、中小企業も従業員の賃上げに向け、相当努力をしております。
 一方、賃上げを実施する中小企業の6割は、業績の改善を伴わない防衛的賃上げとなっております。
 中小企業の自発的、持続的な賃上げを実現するためには、生産性向上や、取引価格の適正化などを通じた付加価値の向上による賃上げ原資の確保が不可欠となっています。
 厚生労働省におかれましては、他の省庁とも連携の上、業務改正助成金をはじめとした中小企業の賃上げを後押しする支援策の拡充、新設をお願いいたします。
 2点目は、最低賃金制度についてです。
 物価高騰の中、最低賃金は、この2年間で全国加重平均94円の大幅な引上げとなり、影響を受ける中小企業の割合も高まっています。
 今後、さらに大幅な引上げが続けば、中小企業の経営や雇用、地域経済への影響が強く懸念されます。
 現在、政府が目標に掲げる1,500円の達成時期について、前倒しの議論がなされておりますが、仮に2020年代に目標を達成するとした場合、年平均7.3%の引上げが必要となります。
 地方や中小企業からの声に基づき、実態を十分踏まえた政府目標を設定いただくとともに、最低賃金審議会においては、法定3要素のデータを踏まえた納得感のある審議決定をお願いいたします。
 3点目は、人手不足の対策について申し上げます。
 日本商工会議所の調査では、中小企業の3社に2社は人手不足となっております。少ない人数でも事業を継続し、成長させていくための対策として、デジタル化などによる省力化や人材の育成に、これまで以上に取り組んでいくことが求められます。
 厚生労働省におかれましては、ポリテクセンターなどが実施する在職者訓練の拡充や、従業員に対する訓練経費や、訓練期間中の賃金の一部等を助成する人材開発支援助成金の予算維持、利用の促進等により、中小企業における人材育成の一層の支援をお願いいたします。
 私からは以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、則松委員、よろしくお願いします。
○則松委員 ありがとうございます。
 私からは、資料2の11ページ等に関わって、仕事と育児・介護の両立支援について意見を申し上げます。
 今回の育児・介護休業法改正において、共働き共育ての観点から、この年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充や、介護離職を防止するための早期の制度周知、そして、個別の意向確認など、男女がともに仕事と育児・介護の両立をできるようにするために、制度が強化されております。
 仕事と生活の両立には、長時間労働を前提とした働き方の見直しが大前提であり、労使の取組を後押しいただくとともに、改正育介法の円滑な施行に向けて、内容の確実な周知をお願いしたいと思います。
 また、国会審議においては、衆参の附帯決議に、介護休業等の対象となる要介護状態についての現行の判断基準は、主に高齢者介護を念頭に作成されているために、子に障害がある場合などは、解釈が難しいケースも考え得ることから、早急に見直しの検討を開始することが盛り込まれています。
 子に障害のある場合についても、介護休業などの制度が使えるよう、判断基準の早急な見直しを行っていただきたいと思います。
 さらに、障害のある子の育児と仕事との両立の観点では、法整備だけでは十分ではないことから、こども家庭庁などとも連携し、福祉なども含めた包括的支援をお願いしたいと思います。
 以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、矢口委員、よろしくお願いいたします。
○矢口委員 ありがとうございます。
 それでは、意見を申し上げたいと思います。
 中小企業は依然として厳しい人手不足の状況が続いており、日商の調査でも人手が不足しているとの回答が6割を超え、運輸業や建設業では約8割に及びます。
 日本商工会議所としましては、人手不足への対応は最も重要な政策課題と受け止めており、その対策の1つとして、多様な人材の活躍が極めて重要だと考えております。
 こうした視点から2点申し上げます。
 1点目は、先ほど既にご発言された村上委員の意見に一部重なりますが、男女間賃金差異の公表義務についてです。
 この取組の目的は、単なる数値の算出と公表だけではなく、結果の分析を通じて自社の実態を把握し、女性の活躍を進めることにあります。
 この趣旨が正しく伝わらなければ、中小企業にとっては、単に公表義務化という負担が課されると捉えられる懸念があります。
 制度の趣旨、計算や分析方法、数値の説明欄の有効活用などで丁寧に周知いただくことが重要だと考えております。
 また、少しでも多くの企業で女性活躍の具体的な取組が進められますよう、伴走型などによる総合的な支援をぜひ御検討いただければと思います。
 2点目は、年収の壁の解消についてです。
 年収の壁支援強化パッケージが導入されましたが、中小企業からは制度が複雑であり、企業単独では理解するのが困難だという理由で申請をちゅうちょする声が多く寄せられております。
 中小企業の活用事例の展開など、パッケージの利用につながる周知の一層の充実をお願いしたいと思います。
 あわせて、第3号被保険者制度の見直しなどにより、年収の壁問題の抜本的な解消に取り組んでいただければと思います。
 労働力人口の減少により、社会機能の維持に支障が生じる時代が早晩到来すると言われております。労働者の働き方に対するニーズも多様となり、労働力を確保する上では、より柔軟で多様な働き方を進めていくことが求められております。
 厚生労働省におきましては、研究会等を通じて、中長期的な視点から、働き方や労働市場の在り方について議論をされているとお聞きしておりますが、こうした大きな変化を捉えた議論を踏まえた具体的な政策の早急な立案をお願いしたいと思っております。
 私からは以上です。
○清家会長 ありがとうございます。
 それでは、オンラインから石川委員、よろしくお願いします。
○石川委員 ありがとうございます。
 私からは、フリーランスに係る課題について幾つか意見を述べさせていただきます。
 まず、フリーランス法の施行と併せて、11月からフリーランス全業種の労災保険特別加入制度がスタートいたしました。
 連合としましても、特別加入団体を立ち上げ、特別加入を勧めており、11月末時点で314名に加入していただいているところです。
 今後も特別加入の裾野の拡大に向けて運動を進めてまいりますが、課題はどうやって周知をしていくかだと受け止めています。
 連合が8月に公表いたしました、フリーランスで働く人の調査においても、特別加入制度の認知度は極めて低いことが浮き彫りになりました。
 仕事上のけがなどで収入が途絶えたときの補償は、フリーランスの皆さんにとっても重要なセーフティネットであります。
 こうした現実を受け止め、厚労省といたしましても、周知活動を、ぜひ強化していただきたいと思います。
 その上で、改めて強調しておきたいのは、労災保険も含めて、本来労働者として保護されるべきものは、労働法によって保護をすべきだということです。最近はフリーランスであっても、労働者に近い形で働いている人たちが非常に多くいらっしゃいます。労働者性の判断基準は残念ながら、およそ40年前から変わっていませんが、先ほど話題に上りました労働基準関係法制研究会でも、現在の判断基準は、働き方の変化や多様化に必ずしも対応できていない部分も生じているとした上で、見直しの必要性を提起しているところであります。
 より多くの働く者が、労働法の保護を受け、安心して働くことができるよう、労働者概念も拡充していくべきだと考えています。
 また、業務委託によるライドシェアの導入を求める声も一部にあります。雇用からフリーランスや曖昧な雇用など、労働関係法令による保護が及ばない働き方に切り換えていくような流れができないよう、改めて厚労省には求めておきたいと思います。
 私からは以上です。ありがとうございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 藤原委員は、よろしいですか、ありがとうございます。
 それでは、労使双方委員の方々から一通り御意見をいただきました。公益委員のほうで何か御意見ございますか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございます。
 それでは、いただいた意見につきまして、事務局から回答をお願いしたいと存じます。回答はできるだけ簡潔にお願いいたします。
 まず、岸本労働基準局長からお願いいたします。
○岸本労働基準局長 労働基準局でございます。御意見様々ありがとうございます。
 大きく分けますと、労働基準法制の関係、労働安全衛生の関係、最低賃金の関係、担保法制や事業再編に関する関係、それからフリーランスの労災特別加入や労働者性の関係をいただいたと思います。順次御説明申し上げます。
 まず、最初の労働基準法制の関係でございますが、おかげさまで働き方改革関連法が、平成31年施行から5年が経過をいたしまして、また、上限規制のいわゆる適用猶予4業種につきましても、労使をはじめ、関係者の皆様の御協力を得まして、この4月から全面適用することができました。
 そういったタイミングで、この5年間を振り返っての労働基準法制の在り方に関する研究会を、本年1月から参集して開催しているところでございます。学識の先生方に集まっていただいている形式の研究会であります。
 その中では、労働者性の問題、労働基準法が適用される事業の考え方の問題、労使コミュニケーション、過半数代表制度の問題、労働時間制度の問題など多岐にわたって御議論を頂戴しておりまして、議論もまとまってまいりまして、現在、取りまとめに向けた議論の段階に入っているところでございます。
 引き続き、この研究会で有益な議論をしていただきたいと思っているところでございます。
 その中で、労働組合の関係についても御意見をいただきました。労働組合に関しては、この研究会の中でも先生方のおおむね共通の認識として、やはり労働者と使用者の間にある交渉力の格差を埋める、交渉力を引き上げる存在として、労働組合がその中心の位置づけであるということは共通認識となっていると承知をしております。
 また、労働組合の活動に関する環境整備という意味では、基本的には結成や運動は自主性に委ねられるものでありますが、研究会の中での議論としては、特に労働組合が過半数組合として行動する場合に、その活動時間の確保や意見集約のためのほかの従業員へのアクセスの確保などについて議論をしていただいているところでございまして、これについても引き続き、有益な議論を頂戴したいと思っているところでございます。
 それから、労働時間法制に関しましては、先ほど裁量労働制に関する御意見もいただきました。
 多様な働き方、柔軟な働き方を一方で広げていくというニーズも踏まえまして、この研究会でも、1つにはテレワークに関する労働時間法制、特にフレックスタイム制をテレワークで使うときに、フルの週5日のテレワークではなくて、ハイブリッド型で出社と組み合わせるような場合に、うまく適用できる労働時間制度がないのではないかといった議論や副業・兼業を進めていく中で、割増賃金に関する労働時間通算の在り方をどうするかといったことを議論いただいています。
 また、裁量労働制に関しましては、この前の労働政策審議会の議論の流れの中で、本年4月から専門業務型裁量労働制の対象業務追加などの改正を行ったところでございまして、現在、その運用状況を注視しているところでございます。引き続き、この労働時間法制の在り方についても、この研究会でも議論を続けていきたいと思います。
 それから、労働安全衛生の関係でございます。
 労働安全衛生分科会で、この4月から非常に多岐にわたる項目について御議論をいただいております。
 御指摘のあったILO155号条約との関係では、条約批准のネックが複数の事業者に雇用される労働者が混在する現場における統括的な安全管理を、現在、建設業、造船業、製造業の3業種に限定する形で、相互の連絡調整などを規定しているところが、条約の業種を限らないという要請を満たさないところでありますが、その点については、業種を限らない方向に改めることができないかといった議論をいただいているところでございます。
 その他、ストレスチェック制度の対象を、現在、労働者数が50人以上の事業場を対象としておりますが、その拡大や、拡大に当たっての小規模事業場への支援の在り方、また、化学物質による健康障害防止対策など、御指摘の点、議論をいただいているところでございます。
 また、高齢者の労災防止も労働者の高齢化に伴って、若い方であれば、何ということもないような段差でもつまずいてしまうなどは我々行政でも、また各現場でも意識をされている、そういった意識が広まっている局面だと承知をしております。
 アクティブ体操の事例も御紹介いただきましたが、現在、予算事業とガイドラインで、様々な高齢者の身体機能の変化に対応した安全管理について、普及啓発を図っているところでございます。
 また、エイジフレンドリーガイドライン補助金によって、ハード面、ソフト面の対策の支援を行っています。
 好事例の検証など、水平展開や、エイジフレンドリー補助金そのものの維持・拡充に今後とも推進してまいりたいと思います。
 また、労働者死傷病報告は、御案内のとおり1月から原則電子申請でいただくこととしております。困難な場合には、当分の間、書面も認めるということにしておりますが、電子申請化することによって、御指摘のとおり、電子的な集計分析が飛躍的にやりやすくなりますので、労働安全衛生総合研究所と連携をして、災害原因の要因解析をこれまで以上に詳細に行っていきたいと考えております。
 また、死傷病報告データに関する情報発信も強化してまいりたいと考えております。
 それから、最低賃金について御意見をいただきました。現在、政府としましては、2020年代1,500円という高い目標を掲げて、たゆまぬ努力を続けていくというスタンスで、この最低賃金問題に取り組んでおります。
 その第一歩として、先日、政労使の意見交換を開催し、労使各団体のトップに御参集いただいて、石破総理も御出席されて会議が行われました。そこで様々な意見を労使双方からいただいたところでございます。
 総理からは、その意見を踏まえて、対応策としてどのようなことを考えるか、来春までに取りまとめるようにという閣僚への指示をいただきましたので、厚生労働省としてもそれを受けて検討をしているところでございます。
 また、その中期的な引上げ方針というものを、この政労使の意見交換で御議論いただくという立て付けになっておりますが、各年の最低賃金の引上げを決めますのは、これまでどおり、最低賃金法に基づく最低賃金審議会でございます。
 厚生労働省としましては、この三者構成、そして法定の3要素のデータ重視という従来の基本方針を、今後ともきちんと守りながら、また、中期的引上げ方針の政労使の意見交換の議論を今後も注視しながら、来年の最低賃金審議に向けて備えてまいりたいと思っております。引き続き、何とぞ御協力をお願いしたいと思っております。
 また、業務改善助成金は、最低賃金引上げに取り組んでいただく中小企業に対する厚労省としての支援の柱でございます。今回、補正予算案で297億円を計上いたしました。令和5年度が当初・補正を合わせて約180億円でしたので、増額を図ったところでございます。この周知も含めまして、中小企業の賃上げの環境整備に引き続き取り組んでまいります。
 また、この中小企業支援は、厚労省ももちろん中心として取り組んでまいりますが、政府全体の課題でございまして、中小企業庁のほうでも今回の経済対策の中で、中小企業の生産性革命に関する補助金約3400億円を計上されております。実際、その周知に当たっても厚労省、経産省が連携してやっておりまして、政府全体として実効が上がるようにしてまいりたいと思います。
 それから、担保法制、事業再編に関しても御意見をいただきました。当然、賃金は労働者の生活の糧でありますので、万が一の倒産の場合の賃金、債権の保全あるいは立替払の円滑な執行、これは重要であり、引き続き取り組んでまいります。
 また、事業再編時の労働者保護ルールに関しましては、1つは事業性融資推進法の成立により、企業価値担保権が創設されたことを踏まえまして、事業譲渡等指針の改正が必要な箇所が出てくると思っております。
 これについては、労働政策審議会で御議論いただけるよう、現在、準備をしておるところでございます。
 また、担保法制に関する法制審議会にも労働基準局からメンバーを出しておりまして、そこでの議論にも参画をしてまいりたいと思います。
 それから、フリーランスの関係でございますが、御指摘のとおり、特別加入制度がスタートいたしました。特別加入制度に関しましては、私ども従来から関係省庁、関係団体で連携した周知をしておりますが、新しい制度が始まりましたので、このフリーランスの特別加入がスタートしたものについて、今もSNS発信などをしておりますが、さらにどんな取組ができるか、必要かについて検討してまいりたいと思いますし、また、その観点で御意見をいただければありがたいと思います。
 それから、労働者性の判断基準に関しては、御指摘のとおり、昭和60年の労働基準法研究会で示された判断基準が、現在、ベースになっております。
 この点につきましても労働基準関係法制研究会の中で、プラットフォームワーカーなど、新しい働き方が出てきている中で、この判断基準について改めてレビューをするような専門家の集まりが必要ではないかというご意見もいただいておりまして、労働基準関係法制研究会自体、まだ取りまとめに向けた途中段階ではありますが、そのような御提言も受けて、改めて労働者性判断の予見可能性、法的安定性を高めていくような専門的な研究が必要ではないかという問題意識で対応してまいりたいと思っております。
 駆け足でございましたが、以上になります。
○清家会長 ありがとうございました。
 では、次に、山田職業安定局長、お願いします。
○山田職業安定局長 まず、大橋委員から御指摘いただいた改正雇用保険法の周知、雇用保険法財政について御説明申し上げます。
 令和6年5月に成立した改正雇用保険法につきましては、内容がかなり多岐にわたっておりまして、一番最初の施行は、今年の10月にありましたけれども、順次、今、施行されているところでありまして、引き続き丁寧な周知に取り組んでまいりたいと思います。
 それから、雇用保険財政については、コロナ禍における雇用調整助成金等の特例措置による失業等給付の積立金から雇用保険二事業への借入金が依然として2.5兆円を超えており、厳しい状況にあると認識しております。
 雇用保険二事業が果たすべき役割を果たせるようにするために、早期に財政健全化に向けた道筋を示すことが必要と考えておりますが、今の段階では、具体的にどうするということについて申し上げられる状況にありませんけれども、厚生労働省としては、引き続き関係者の方々が納得できるような方策を模索してまいりたいと思います。
 それから、西周委員から御指摘いただいた障害者雇用制度に関する議論について、御説明申し上げます。
 西周委員も触れていただきましたが、昨年1月に本審議会よりいただいた答申を受けて、今月12月3日に、今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会を開始しております。
 障害者の雇用の質の向上や雇用率制度について御議論いただいた上で、来年中を目途に取りまとめを行いたいと考えております。
 今後とも本研究会や障害者雇用分科会において関係者の意見も伺いながら、障害者の雇用の質の向上に向けて丁寧に議論を進めてまいりたいと思います。
 安河内委員から御指摘いただいた外国人労働者の人権保護についてでありますが、今般の法改正において創設された育成就労制度につきましては、従前の技能実習制度において、外国人に対する人権侵害が指摘されていたことも踏まえて、外国人材から我が国が選ばれる国になるように制度の適正化、厳格化を図ったものであると考えております。
 委員から御指摘のあったビジネスと人権がうたわれる中で、国だけではなくて企業にとっても外国人やステークホルダーから選ばれることが重要であると認識しております。
 こういったことも踏まえて適切な雇用管理の改善に向けて、指導、周知をしていくことが重要と考えております。
 矢口委員から御指摘いただいた人手不足対策、多様な働き方の推進について、御説明申し上げます。
 人手不足対策については、働き方改革に取り組むこと等により、女性、高齢者、外国人材などの多様な人材の活躍を促進し、安定的な労働力の確保に取り組んでおります。
 こうしたことが、結果として人口が減少する中で働く人の数自体は変化していないという状況をもたらしていると思っておりますが、そういった安定的な労働力の確保については、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
 多様な働き方の推進につきましては、フルタイムの正社員に限らず、短時間正社員を含む多様な正社員制度や、テレワーク等の活用等により、労働者のニーズに応じ、多様で柔軟な働き方を実現するための環境整備を進めてまいります。
 安定局からは以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
 では、次に、田中雇用環境・均等局長、お願いします。
○田中雇用環境・均等局長 雇用環境・均等局部分につきまして、御説明をさせていただきます。
 まず、清水委員、村上委員、山中委員、矢口委員からジェンダー平等、それから女性活躍推進についての御発言がございました。
 ジェンダー平等、女性活躍推進に向けた取組は、非常に重要な課題であると認識しています。
 雇用環境・均等分科会で、現在、女性活躍推進とハラスメントについて議論をさせていただいております。
 11月26日には、従業員数101人以上300人以下の企業においても男女間賃金差異の情報公表義務とすることですとか、女性管理職比率についても従業員数101人以上の企業において公表義務とするといった一定の方向性を、これまでの議論を踏まえまして、お示ししまして御議論いただいています。
 男女間の賃金差異の公表でございますけれども、その業種とか業態、企業規模等によりまして、状況、課題は異なってまいります。指標の大小それ自体のみに着目するということではなくて、各企業において要因を分析し、改善に向けた自主的な取組につなげると、これが重要でございますので、説明欄の活用を推奨しながら、数値の公表に加えて、数値の要因分析を行うことが重要であることや、要因分析、今後の取組についても情報公表を行うことなどを企業に働きかけております。
 また、厚生労働省では中小企業を中心とした事業主を対象としたコンサルティングの実施、それから賃金差異の要因分析などを分かりやすく公表している企業の好事例の周知などを実施しておりまして、この議論につきましては、引き続き、雇用環境・均等分科会において、必要な対応を御議論いただきたいと考えております。
 続きまして、清水委員から非正規雇用労働者の関係の御発言がございました。非正規雇用労働者、正社員への転換に取り組む事業主に対する支援、同一労働同一賃金の遵守徹底を通じた処遇改善を行っていくということが重要でありまして、引き続きこうした取組を進めてまいります。
 その上で、同一労働同一賃金に係る規定、働き方改革関連法施行5年後の見直し規定、検討規定に基づきまして、その施行状況を把握・分析をした上で、必要な見直しにつきましては、今後検討してまいりたいと考えております。
 それから、村上委員、山中委員からは、ハラスメント対策の強化について御指摘がございました。
 職場におけるハラスメント、働く方の尊厳、人格を傷つけて職場環境を悪化させる、許されない行為であると考えております。
 雇用環境・均等分科会におきましても、その防止対策の強化について、現在、御審議をいただいております。
 11月26日の分科会では、職場のハラスメントは許されるものではないという趣旨の規定を法律に設けることや、カスタマーハラスメントの定義、カスタマーハラスメント対策を講ずる際、消費者法制により定められている消費者の権利等を阻害しないものでなければならないこと等を指針などで示すべきこと、カスタマーハラスメントの防止に向けて、国は消費者教育施策と連携を図りつつ、カスタマーハラスメントは許されないものである旨の周知啓発を行うことといった、一定の方向性をお示しして御議論をいただいております。
 分科会でのこれまでの議論でございますが、業種業態によってカスタマーハラスメントの対応が異なるということも踏まえて、関係省庁と連携をして各業界の取組を推進していくことの必要性についても指摘されています。
 令和6年度の事業では、各業界の取組の支援として、カスタマーハラスメント対策に関心を持つ業界団体が業界内の実態を踏まえて、業界共通の対応方針等を策定、発信するまでの支援を行うモデル事業も実施しています。
 こうしたような取組、関係省庁との一層の連携、それから、また雇用環境・均等分科会での議論を踏まえた取組ということで、ハラスメントのない職場づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、中川委員からの地方版政労使会議について御発言ございました。
 資料7で御説明をいたしましたとおり、今年度の開催に当たりましては、構成員を代表する方の出席を要請して、トップ同士が賃上げに向けた機運醸成のために十分な意見交換をしていただくということで、十分な意見交換をする場を確保するといったことをしっかり準備をさせていただきたいと考えております。
 また、価格転嫁につきましても、各構成員が実施をする取組の説明を行うといった工夫をしながら、より一層の持続的な賃上げの実現に向けた機運の醸成に努めてまいりたいと考えております。
 それから、則松委員から仕事と生活の両立の関係の御指摘ございました。先般の育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法、これらの柔軟な働き方を進めて、男女ともに共働き・共育てということで、様々な年齢層に応じた柔軟な働き方を進める規定を盛り込ませていただきました。
 仕事と生活の両立に向けて、改正法が円滑に施行されますよう、引き続き丁寧な周知に努めてまいります。
 また、国会審議の過程、国会の附帯決議等々で、要介護状態の判断基準の見直しにつきまして指摘をされております。速やかで適切な対応が図られますよう努めてまいります。
 また、附帯決議では厚生労働省とこども家庭庁とが連携し、障害のある子や医療的ケアを必要とする子を持つ親が、このケアと仕事を両立するための包括的支援について検討することとされております。
 これを踏まえまして、引き続き、こども家庭庁と緊密に連携をして対応していきたいと考えております。
 それから、矢口委員から年収の壁支援パッケージの御指摘がございました。キャリアアップ助成金に関しましては、制度内容に関するQ&A、活用事例の作成公表、解説動画での公開、それからワンストップで電話でのお問い合わせを受け付けるコールセンターの開設などを行っております。引き続き、分かりやすい周知に努めてまいります。
 なお、3号被保険者の在り方ですけれども、現在、社会保障審議会年金部会において議論が進められているものと承知しています。
 最後に、石川委員からフリーランスの関係の御発言がございました。
 本年11月、いわゆるフリーランス新法が施行されました。厚生労働省としましては、関係省庁と連携をしながら、本法について、引き続き、丁寧な周知などに取り組むとともに適切な執行に努めてまいります。
 私からは以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、堀井人材開発統括官、お願いします。
○堀井人材開発統括官 それでは、人材開発統括官の関係で大きく2点、お答えしたいと思います。
 まず、外国人の関係ということで、安河内委員、そして野村委員から、育成就労制度の施行に向けた政省令の整備、そして、外国人育成就労機構の体制整備、そして受入れ対象分野の設定等に関しての御意見をいただきました。
 まず、育成就労制度につきましては、今後、外国人労働者の一層の受入れ拡大ということが見込まれる中で、その受け入れた外国人の労働者としての権利保護、そして、人材の育成・確保が適正に図られることが大変重要であると考えております。
 これは、先ほど山田職業安定局長からのお答えの中にもありましたように、今回、技能実習制度を抜本的に見直しして、そして新たな育成就労制度を創設したと、その背景からも明らかだろうと考えております。
 このようなことから、今後、政省令の整備を行うに当たりましては、先ほど労働組合等の意見聴取を丁寧にというお話が、安河内委員からのほうからもありましたが、そのような関係者の御意見なども丁寧にお伺いしながら、出入国在留管理庁とも連携をして、労働者保護の強化のための役割発揮ということで厚生労働省としても、具体的な制度設計を行っていきたいと考えております。
 また、外国人技能実習機構を改組して、新たに外国人育成就労機構ということで設立をするということになりますが、これは、御指摘ございましたように、新たに業務として追加をされることがございます。
 具体的には育成就労外国人の転籍支援、そして、現在行っていない特定技能の外国人への相談援助業務、こういったことも行うことになります。
 したがいまして、今後、具体的な制度の円滑な施行に向けまして、いろいろと検討して参りたいと思います。
 さらに、労働基準監督署、そしてハローワーク、こういった関係機関との連携もさらに強化をして、監督指導機能、支援保護機能、こういったことを強化するとともに、必要な体制整備が図られるように取り組んでいきたいと考えております。
 さらに育成就労制度における外国人の受入れの対象分野、これは特定技能制度の特定産業分野と原則一致をさせるということとしております。
 したがいまして、今後、具体的な受入れ対象分野の設定に当たりましては、有識者、労使等からなる新たな会議体において御議論をいただくことにしておりますが、制度の施行に当たりましては、有識者等の御意見も踏まえて、現行の制度の利用者にも十分に配慮を行いながら進めていきたいと考えております。
 続きまして、2点目、これは小松委員から御指摘をいただいた点に関してでございます。ポリテクセンターにおけます、職業訓練、そして人材開発支援助成金についての御意見をいただきました。
 まず、ポリテクセンター等で、全国87か所で、現在、展開をしております、生産性向上人材育成支援センターでございますが、こちらは、人材育成に関する相談から企業の要望に応じた、言わばオーダーメード型の職業訓練の提供まで一貫した支援を行っております。
 それで御好評をいただいていると認識しておりまして、利用実績なども、利用をされた事業者数等で御覧いただきますと、令和5年度実績で5万7730事業所ということで、過去最高の利用実績ということになっております。
 実際のお声を伺いますと、利用した事業主の方からは、ペーパーレスの推進ですとか、生産管理、品質管理の効率化と、こういう具体的なDXの推進の取組が進んだなど、積極的な前向きな御意見をいただいているという状況がございます。
 このような企業のニーズも踏まえまして、DX関連の生産性向上支援訓練の対象人員、これは令和5年度以降、毎年3,000人ずつ拡充をしているところでございまして、令和7年度も同様に3,000人の拡充ということで、要求をしているところでございます。
 引き続き、こういったセンターの周知と併せて、御利用がいただけるようにということで、関係機関とも連携して周知を図っていきたいと考えております。
 また、人材開発支援助成金につきまして、これまでも御活用をいただきやすくということで、簡素、効率化を図ってきておりまして様式の統合でございますとか、添付書類の省力化、こういったことを進めてきたところでございます。
 さらに、多くの方々に御利用いただけるように、勧奨を進めていきたいと考えております。
 このようなこれまでの取組を背景としまして、利用状況も伸びているのではないかと考えております。具体的には、令和5年度は4年度と比較をしまして、訓練計画件数は23%の増加、そして訓練計画対象労働者数は91%の増加ということで、大幅な増加を見ているところでございます。
 実際、使っていただいている企業にヒアリングを行ったところ、助成金があったので希望の訓練を実施することができた、あるいはより多くの方を受講することができたということで、特に中小の方々のそんなお声をいただいているところでございます。
 今後も助成金業務のDX化を進めるために、企業が使いやすいような観点からの見直しを行って、利用の促進を図っていきたいと思っておりますし、活用事例の横展開、水平展開、こういったことも行いまして、本省、都道府県労働局において周知をしていきたいと考えております。
 あわせて、助成金については、不正利用などがないように、大変貴重な財源でございますので、適正な支給ということにも努めてまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、最後に、岸本労働基準局長から追加的な御説明がございますので、簡潔にお願いします。
○岸本労働基準局長 申し訳ございません、労働基準局でございます。
 1点、お答えが漏れたところがございまして、最低賃金の発効日に関してでございます。すみませんでした。
 発効日は、公労使三者構成の地方最低賃金審議会でお決めいただくという仕組みとなっております。
 実際、中央最低審議会の答申が8月下旬になるような事例も出てきておりまして、そういった場合には、少し発効日もずらすような対応が行われております。
 いずれにしましても、中央最低賃金審議会で真摯な御議論をいただけるよう運営してまいりたいと考えております。
 失礼しました。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様方、よろしゅうございましょうか。
 藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 ありがとうございます。
 先ほど最低賃金の説明の中で、岸本労働基準局長から、現行の最低賃金法の遵守と、最低賃金の審議会の枠組みの維持という御発言ございました。大変重い発言だと思っております。同時に、私どもとしては高く評価したいと思います。
 以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 ほかによろしゅうございますか。
 ありがとうございます。
 厚生労働省におかれましては、今後の政策立案において、委員の皆様から本日いただきました御意見を踏まえて取り組んでいただきたいと思います。
 また、資料7の地方版政労使会議につきましても、委員の皆様からいただいた御意見を踏まえて、開催に向けた準備を進めていただければと存じます。
 最後に、この際、何か御意見がございましたら御発言をいただきたいと思います。
 よろしゅうございますか。
 それでは、本日の会議は、以上で終了といたします。皆様、ありがとうございました。

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