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第189回社会保障審議会医療保険部会 議事録
日時
令和6年12月12日(木)9:59~12:13
場所
全国都市会館 大ホール
議題
- 1.被用者保険の適用拡大及びいわゆる「年収の壁」への対応について
- 2.医療保険制度改革について
- 3.医療DXの推進等について
議事
- 議事内容
- ○姫野課長 それでは、定刻前ではございますが、皆様おそろいですので、ただいまより第189回「社会保障審議会医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、兼子委員、河野委員、横本委員より、御欠席の御連絡をいただいております。また、内堀委員より途中退席されるとの御連絡もいただいております。
本日の会議は傍聴希望者向けにYouTubeにおいてライブ配信も行ってございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。カメラの方は御退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○姫野課長 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず、欠席される委員の代わりに御出席なさる方についてお諮り申し上げます。横本委員の代理といたしまして井上隆参考人の出席につき御承認賜れればと思いますが、いかがでございましょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
それでは、早速議事のほうに入ってまいります。
本日は「被用者保険の適用拡大及びいわゆる『年収の壁』への対応について」、2番目といたしまして「医療保険制度改革について」、3番目として「医療DXの推進等について」を議題といたします。
では、まず「被用者保険の適用拡大及びいわゆる『年収の壁』への対応について」を議題といたします。
では、事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いします。
○佐藤課長 保険課長でございます。
お手元の資料のタブレット、資料番号1をお開きください。
「被用者保険の適用拡大及びいわゆる『年収の壁』への対応について」ということでございまして、一昨日、社会保障審議会の年金部会が開催されました。年金部会で用いました資料がかなり多くございましたので、説明等重複する部分もございますけれども、その点は御容赦いただければと思います。
まず1ページ目、3つ議題がございますけれども、適用拡大、「年収の壁」への対応、それから、市町村国保への影響ということでございまして、まず最初、被用者保険の適用拡大ということで、右下のページ2ページ目でございます。これは、以前この医療保険部会でも被用者保険の適用拡大の見直しの方向性の案ということでお示しいたしました。短時間労働者に関しては労働時間要件、賃金要件等がございます。また、個人事業所についてもどのようにしていくかということで基本的な考え方がございましたけれども、上から2つ目の賃金要件に関しましては、本要件についてどう考えるのかという形で論点をお出しいたしまして、医療保険部会においても御議論いただきました。
そのときの議論、御意見を3ページ目にまとめておりますけれども、この部会における御意見ですので、説明は割愛いたします。
右下の4ページ目でございます。こちらは一昨日の年金部会にお出しした資料でもございますけれども、賃金要件に対する御意見と見直しの方向性の案ということでございまして、最低賃金との関係等がございますけれども、大きな方向性としてはこれをしっかり進めていくべきではないかという御意見が中心でございましたので、見直しの方向性の案ということで4ページ目の下のほうに四角で囲ってございます。
ハイライトをしている部分を中心に読み上げさせていただきますけれども、就業調整の基準として意識されていること、あるいは最賃の引上げに伴いまして労働要件を満たせば、これは自動的にこの要件を満たす地域ですとか事業所が増加しているということを踏まえて、本要件を撤廃することとしてはどうか。また、最賃の動向を踏まえつつ、最賃自体は地域差がございますので、施行時期に配慮してはどうか。また、最賃の一番最後の2行がございますけれども、最賃の減額の特例の対象となる賃金が月額8.8万円未満の短時間労働者については、希望する場合に事業主に申し出ることで任意に被用者保険に加入する仕組みとしてはどうかという形で資料を作っております。特に年金の場合には最低の標準報酬は8.8万円でございますので、こういう形で「また」とつけてございます。
御参考までに、資料がちょっと飛びますけれども、20ページまで資料のスライドをお願いいたします。
20ページに最低賃金の減額特例の参考資料をつけてございますけれども、これはこの医療保険部会でも以前若干御紹介申し上げたことがありますが、例えば障害をお持ちの方でありますとか、あるいは断続的労働に従事する方につきましては、労働局長の許可を受けることによって個別に最低賃金の減額の特例を設けることが認められているということでございまして、障害者の方でありましたら大体2,500人ぐらいの方、年によって差はもちろんございますけれども、それぐらいの方が直近でいらっしゃる。また、断続的労働に従事する方については9,000人強の方がいらっしゃるという状況でございます。
こういう点も踏まえて、またページが戻りまして大変恐縮でありますけれども、年金部会におきましては、4ページ目のように、最賃の減額特例の方については任意に被用者保険に加入する仕組みとしてはどうかという形で論点を提示させていただいております。
それから、ページが飛びまして6ページ目でございます。被用者保険の適用拡大の進め方のイメージということでございまして、この適用拡大はどういう順番で進めていくのかということを整理しておりますのが6ページ目でございます。
見直しの方向性、まず賃金要件の撤廃、企業規模要件の撤廃、ここは短時間労働者の適用拡大の関係でございますけれども、まず賃金要件については、本要件は撤廃してはどうか。また、その際には、最低賃金の動向を踏まえつつ、撤廃の時期に配慮してはどうかという形で整理をしてございます。
また、企業規模要件については、今回の50人以下の中小企業が対象となりますので、その施行に当たっては十分な周知あるいは準備期間を確保してはどうかという形で進め方を整理しております。
また、非適用業種の解消については、今、5人以上の法定17業種のみが対象となっておりますけれども、その業種を解消していくというものでございますけれども、ここは短時間労働者以外のフルタイムの方も適用対象となってくるわけでありますので、やはりここは十分な周知あるいは準備期間が必要となってくる部分でもございますので、こういう形で施行の考え方を整理してはどうだろうかと事務局のほうとして整理をしてございます。
こういう形で適用拡大を進めていくことによって、医療保険の場合にはそれぞれの保険者への財政影響がどういう形で影響が生じてくるだろうか、その辺りについて医療保険部会においても試算を示していただきたいという御意見をかねてより委員の皆様からいただいておりましたので、これは粗い試算でございますけれども、8ページ目以降に適用拡大による医療保険財政への影響ということで試算をしてございます。
まず8ページ目でございますけれども、賃金要件の撤廃によってどのような影響が生じるだろうかという形で試算をしております。
まず、賃金要件を撤廃する時点におきましては、短時間労働者の適用対象事業者は50人超の事業所だけでございますので、その前提で数字を見ていただければと思いますけれども、上のほうに財政への影響、下のほうに加入者数への影響と書いてございまして、財政影響の部分を見ていただきますと、協会けんぽに関しましては収支にそれぞれ420ずつ収入が入っていって、あるいは支出が出ていくということになりますので、トータルではゼロ、とんとんということになります。また、健保組合に関しましては▲220、共済については110、市町村国保についてはプラス170、このようになってございます。
右下9ページ目でございます。続きまして、企業規模要件の撤廃による影響ということでございまして、こちらに関しましては50人以下の企業が短時間労働者の適用拡大の対象となるわけでありますので、基本的には健保組合というよりは協会けんぽに加入される方が中心になるだろうという前提の下で試算をいたしておりますので、協会けんぽに関しては、財政への影響ということで▲で330、他方で健保組合、共済、市町村国保についてはそれぞれプラスが計上されるという見込みになってございます。
続きまして、右下10ページ目でございます。3番目、非適用業種の解消ということでございまして、これは5人以上の個人事業所の関係でございますけれども、こちらは短時間労働者だけではなくフルタイムの方も対象になりますので、一番数字が大きいといいますか、収支ともに数字が大きいのは市町村国保になります。収支の差額ですけれども、市町村国保は▲120であります。協会けんぽが▲で180、健保組合、共済組合はそれぞれ御覧のとおりとなっております。
最終的に適用拡大によって財政への影響はトータルでどうなるのかということを整理したのが11ページ目でございまして、財政の影響ということでございまして、一番収支で影響を受けておりますのが協会けんぽで▲510、健保組合はプラス110、共済組合はプラス280、市町村国保はプラス170となっております。共済組合の場合には、今の50人超の適用拡大を行ったときに、同じようなのが下にありましたけれども、その際には▲が赤字で立っておりましたので、今回は黒字になっているという事情もございます。
これが最初の適用拡大の関係の議題でございます。
それから、2番目の議題、いわゆる「年収の壁」への対応ということでございまして、13ページでございます。以前、医療保険部会におきましても、「年収の壁」への対応ということでございまして、その周辺にいる方につきましては労使折半ではなく会社のほうが多めに保険料を負担するという仕組みを設けてはどうだろうかという御提案を申し上げましてそれに対して、様々御意見をいただきました。
そういう御意見も踏まえまして、こちらも一昨日の年金部会でも御議論いただきましたけれども、14ページ目でございますが、就業調整に対応した保険料負担割合を任意で変更できる特例の案ということで、若干精査をして改めて御議論いただきたいというものでございます。
負担割合を変更する特例ということでございまして、先に14ページ目の左下の特例適用後の手取り収入のイメージという図を見ていただければと思いますけれども、大体標報の8.8万円から12.6万円までの方々を対象に、事業所単位で労使合意に基づいて会社のほうが多めに保険料負担割合を持つことができるという仕組みを設けてはどうだろうかという御提案でございます。
これも前回医療保険部会でも御説明申し上げましたけれども、健康保険組合に関しては、こういう標報の限定とかをすることなく、会社のほうが多めに持てるということを可能とする法律上の規定がございますけれども、医療の場合、協会けんぽにはこのような規定はございません。ですので、仮に年金でこういう仕組みを設けるのだとしたら、協会けんぽのほうについても同様の特例を設けることとしてはどうかという辺りも論点として整理をしてございます。
ただ他方で、保険料負担というのは基本的には労使折半の原則であるということを踏まえて、14ページ目の右側に特例の適用範囲についてということで若干整理をしてございますけれども、特例の適用範囲については、先ほど申し上げましたように「年収の壁」を意識する短時間労働者に限定するでありますとか、あるいは同一の等級に属する者同士でそろえるとか、きちんと幾つか一定のルールをつくった上で整理をしていくということを考えてはどうかと考えております。その辺りにつきましても、改めて御意見を頂戴できればと思っております。
3点目、被用者保険の適用拡大による市町村国保への影響ということでございます。こちらは担当の国民健康保険課長のほうから御説明を申し上げます。
○唐木課長 国保課長でございます。
それでは、説明させていただきます。
16ページは市町村国保の世帯の状況でございます。世帯主の職業別に内訳を見ますと、無職が41%で高齢者中心、被用者は29%で現役世代中心となっております。世帯の平均所得を見ますと、その他の自営業・農林水産業で高くなっておりまして、無職、被用者世帯で相対的に低くなってございます。被用者保険の適用拡大によりまして国保から移動するのは、赤枠で囲んだ被用者、黄色枠で囲んだ無職の方が被扶養者として移ることが想定されます。
次のページが、これまでの被用者保険の適用拡大によります市町村国保の異動数・財政影響でございます。平成24年、令和2年の制度改正時と比較しまして、今回お示ししている案では110万人の被保険者数の減少、財政影響は170億円の財政改善となっております。
今回の見直し案においては、従前と比べて国保から異動します被保険者数が多く、これに対しては保険料水準の統一、事務の効率化等の取組をこれまでも進めてきているとともに、個別の保険者への影響も注視してまいります。また、国保の構造的な課題への対応につきましては、今後の制度改正の中で検討してまいりたいと考えております。
説明は以上です。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたら、挙手にてお知らせ願います。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いでございます。
それでは、まず内堀委員、よろしくお願いいたします。冒頭、事務局のほうから報告がございましたように、内堀委員は途中退席となります。議題1以外の議題に関しましても発言したいとの御意向を伺っておりますので、併せて御発言いただければと思います。
では、内堀委員、よろしくお願いいたします。
○内堀委員 田辺部会長、ありがとうございます。
議題1、2、3について、コンパクトに発言をさせていただきます。
まず議題1についてです。今回、被用者保険の適用拡大による医療保険財政への影響の試算や市町村国保の異動数、財政影響をお示しいただきました。その中で、多くの国保被保険者が被用者保険に異動する想定となっています。このため、国民皆保険の最後のとりでである国民健康保険が安定した財政運営を継続することができるよう引き続き配慮いただくとともに、今後も被用者保険の適用拡大を検討する際には、関係者とあらかじめ丁寧に協議を行い、検討を進めていただくようお願いいたします。
次は議題の2です。今回、高額療養費制度の見直しの方向性案に、所得が低い方に対して一定の配慮を行うことなど、全国知事会の意見を盛り込んでいただきました。ありがとうございます。
平均的な所得を下回る所得区分について、引上げ率は緩和するとありますが、具体的な引上げ率の検討に当たっては、特に住民税非課税世帯について十分に配慮が必要と考えております。
また、施行時期につきましては、被保険者等への周知や保険者のシステム改修に要する期間を十分確保できるよう、お願いいたします。
最後は議題3についてです。医療DXの推進について2点発言いたします。
1点目は、電子カルテ情報共有サービスの費用負担についてです。効果を実感できる程度に制度が普及するまでの間は、保険者に対し特段の配慮をお願いいたします。
2点目は、マイナンバーカードを活用した医療費助成の効率化についてです。医療費助成には地方単独分も含めて様々な制度があり、自治体ごとにシステム改修等の対応に一定の期間を要することになります。全国展開に当たっては、関係者に対して引き続き丁寧な説明を行っていただくとともに、円滑な実施に向け、十分な技術的・財政的支援をお願いします。
私からは以上です。どうぞよろしくお願いします。
○田辺部会長 どうもありがとうございました。
それでは、引き続き藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
初めに、適用拡大について意見を申し上げます。
まず賃金要件についてですが、仮に廃止するのであれば、最低賃金の動向を踏まえ、全国47都道府県で8.8万円の賃金要件が実質的な意味を持たなくなる時期をもって廃止すべきだと思います。その後、パート労働者がどのように働くかは人それぞれだと思いますが、社会保険に加入してもらうことになる場合は、企業も保険料を半分負担することになりますので、その費用と事務の負担の増加が懸念されるということについては、改めて申し上げておきたいと思います。
企業規模要件については、例えば、小規模事業者の基準である20人で一旦区切るなど、事業者の実態に配慮していただきたい、特に、準備に向けた時間は十分にお取りいただくなど、丁寧に進めていただきたいと思います。
なお、適用拡大による各保険者への影響について試算をお示しいただきましたが、実際に適用拡大された後についても、それぞれの保険者の運営に支障を来さないよう、適切にフォローしていただくことが必要かと思います。
また、ここに来て突然提案のありました、保険料負担割合を変更できる特例制度については、企業間格差を生む要因となり、賛成できません。被用者保険の保険料は基本的に労使折半とされていますが、この原則を変更して、事業主と従業員に保険料の設定を委ねる方式にしてしまうことに、強い違和感がございます。
また、現在、多くの中小企業は収益が上がらない中でも必死の賃上げ努力をしており、その原資確保に苦しんでおります。これに加えて保険料の増加となるようなことに耐えられる中小企業が多いとは考えられません。
人手不足だから待遇改善をしたらよい、というのは一面から見ただけの理屈であって、負担余力がない多くの中小企業の現実を理解いただきたいと思います。経営難に直結する問題であり、反対いたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井上参考人、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。
年金部会と同じ立場でございますけれども、働き方に中立で労働参加促進型の制度の構築に向けて適用拡大は進めるべきだと思っております。賃金要件、企業規模要件の撤廃、個人事業所の非適用業種の見直しには賛成であります。
ただ、移行時には当然のことながらコスト負担増、事務負担増が生じますので、撤廃の時期等を含めて配慮をお願いしたいと思います。
14ページで「年収の壁」対策として保険料負担割合を任意で変更できる特例というものが示されております。企業で働く方に、今回、被用者保険を適用するということを原則にしようという中で、この提案というのはまた新たに例外をつくってしまうというものでありますし、また、ここに書かれております時限措置というものがどういう期間なのか、あるいは環境整備というものはどうなのか、時限措置が終わったときには当然手取が減ってしまうので、こうした点をどう考えるのか、あるいは企業内で待遇の格差を生むのではないかといった様々な懸念や不安がありますので、この特例に関しましては賛成し難いということでございます。
社会保障制度は国民の安心を支える最も重要な制度でございますので、なるべく簡素で分かりやすく、国民が納得できる制度にしていく必要があると思います。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
私も被用者保険の適用拡大に関して発言をするのですが、特に国保への影響についてお話をさせていただきます。
今日財政影響を示していただきました。17ページを御覧のとおり、非常に財政影響が大きいのですが、プラス170億ということで出ていました。これは差し引きですよね。このプラス170億の中身は、その前のページで解説していただきましたように、収入が大きく減ってくるということの影響が大きいのですが、16ページにございますように構造的な変化が非常に大きいのですよね。これは赤の点線で囲っていただいたところと黄色の点線で囲っていただいたところが、がさっと国保から抜けていくということになりますので、残りを見ますと自営だとか農林水産業、年金受給者というところの方々をカバーする保険ということになりまして、構造的に大きな変化になろうかと思っております。
恐れ入ります。もう一度17ページをお開き願いますと、異動する被保険者数が▲110万人ということで、これは平成24年、令和2年の改正のときの人数よりもはるかにインパクトが大きいということでございます。
こういうことになりますと、結局は国保の被保険者の構成の変化を踏まえた対応をしなければいけないということになりますので、2点お願いしたいのですが、一つは、こういうことであれば、将来の国保制度の在り方というか形、姿を十分に検討して、きちんと腹に落とした上でこの改革に乗っかっていくということを私ども国保の保険者としてはそのようにしっかりと、要するに腹を据えて取り組まなければいけないということかと思っています。
2番目ですが、その際にお願いをしたいのは、いずれの国保保険者においても安定的に持続可能な運営ができるように、これは非常にきめ細かな支援が必要になろうかと思います。必要な支援をよろしくお願い申し上げたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、城守委員、よろしくお願いします。
○城守委員 ありがとうございます。
私のほうも、この資料1の14ページにございます保険料負担割合を任意で変更できる特例案について発言させていただきたいと思います。
これは、資料の25ページに示されている、年金部会における中小企業への配慮についての指摘がございます。また、先ほどから何名かの委員からもそれに対しての懸念という御意見もありますが、私としても同様の意見を持ってございます。
今回、事務局から提案をしていただいた中において、時限的な措置という形であったとしても、公定価格制度の下における社会的なインフラである医療機関等の安定的な継続性というものが損なわれるわけにはいきませんので、それが損なわれないような環境整備というものが必要条件かなと思っております。よろしく御検討をお願いいたしたいと思います。
私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
1点目と2点目についてコメントをしたいと思います。
まず、被用者保険の適用拡大について、今回6ページに進め方のイメージをお示しいただきましたが、社会保障制度の維持の観点からも担い手を増やしていくというのが極めて重要でございますので、方向性に異論はございません。
その上で、今回11ページに全体の財政影響を示していただいており、健保組合はプラスの190億円と試算されておりますが、個々の健保組合を見た場合には、当然ながら業種ごとに適用拡大の影響はまちまちになります。特に短時間労働者を多く抱える業種の健保組合への財政影響には十分留意をいただいて、必要な財政支援を改めてお願いしたいと思っています。
それから、「保険料負担割合を任意で変更できる特例」の案を14ページに示していただいておりますが、以前も申し上げたとおり、健保組合における現状の「保険料負担割合の特例」は、「特定の標準報酬の人に限って負担割合を変更する」ものとは性質が異なると理解をしております。今回の見直しの方向性や特例の範囲を見ても、特定の対象者への対応となりますので、システム改修対応や事務負担の増が極めて重たいと考えております。
「年収の壁」への対応については、事業主の立場を考えますと、年金制度における取扱いとの整合性も必要ですし、また、先ほどもありましたが、これはやはり本質的な対応案も併せて検討しなければ、真の解決策にはならないのではないかと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、原委員、よろしくお願いします。
○原委員 ありがとうございます。
被用者保険の適用拡大については、その議論の前提として国保の財政基盤や保険者機能に与える影響などに関する資料をお示しいただきたいということでかねてよりお願いをしてきたところでございますけれども、本日、資料をこういう形で出していただきまして、その点については御礼を申し上げたいと思います。
その上で、資料の8ページから11ページにかけて市町村国保の財政収支への影響についての試算結果が出ておりますけれども、賃金要件の撤廃の影響でプラス170億円、企業規模要件の撤廃の影響でプラス130億円、非適用業種の解消の影響で▲120億円と①から③の合計でプラス170億円ということで、心配しておりましたマイナス影響という意味では、今回の試算結果では全体としてはプラスということでございますので、そこは安心したところでございますが、この資料だけだと、前葉委員からも似たような感じの発言がございましたように、分かりにくいところがあるなとも思っておりまして、事務局のほうに要望といいますか、御説明をお願いできればと思って発言をさせていただいた次第です。
それは、いずれのところもそうなのですけれども、収入の部分が保険料収入と公費のみであり、前期高齢者調整額というものが内訳に示されておりません。また、支出の部分でいいますと、医療給付費と後期高齢者支援金に分けて金額が示されていないということがございますので、一定の人数が市町村国保から被用者保険に移ることにより、各項目間でどのような金額の出入りがあるのか。そういうことでこうした結果になっているのではないかと。ただこの結果だけを見てもどうしてそうなっているかということが分かりにくいものですから、この辺のところを事務局のほうからより分かりやすく御説明をいただけると大変ありがたいなということがお願いの1点です。
2点目も同じような趣旨なのですけれども、市町村国保から被用者保険に移る加入者数は、賃金要件の撤廃では30万人、企業規模要件で55万人、非適用業種で25万人ということで合計110万人が移るということでございます。これも多分前期高齢者割合とかそういったものに影響してくるのだと思いますけれども、こういった年齢とか所得の状況とかがどのようなものなのか。市町村国保の保険基盤に与える影響を考える上で大変重要ではないかと考えております。資料の16ページに一応概括的な図をつけていただいていましたので、それなりには理解できるのでございますが、併せて御説明をいただけるとありがたいと思っています。
この適用拡大の議論に当たりましては、今お願いを申し上げた点も含めて丁寧に御説明いただいた上で、国保関係者の意見をしっかりと聞いていただき、理解と納得を得ながら対応を進めていただければと思います。
資料17ページ、最後に記載していただいていますので、私どももそういう方向でぜひ御検討いただきたいと思っていますけれども、今回の試算結果では市町村国保へのマクロの財政影響はプラスという結果になったものの、市町村国保が抱える構造的課題についてはいまだ解消されていないところであり、国民皆保険の堅持の観点から、将来を見据えた国保のさらなる基盤強化のための対策についても、今後の制度改革の中で幅広く検討が行われることを要望したいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
前期の部分は、今、数字とかはお分かりになりますでしょうか。
では、お願いいたします。
○鈴木課長 調査課長でございます。
細かい数字を全てここでお答えするのはなかなか難しいので、構造について少し御説明をさせていただきたいと思います。
まず、先に2番目に御質問いただきました国保から被用者保険に移る方の特性といいますか、どういう方が移るかというところ、こちらは試算にも関係しますので、先に御説明させていただきますと、まず①の賃金要件撤廃ということであれば、賃金要件撤廃ということですので、8.8万円未満の短時間労働者の方ということで、労働者、被用者の中では比較的年収が低い水準の方が移るという形になります。
②の企業規模要件の撤廃という形で、こちらについても一応短時間労働者ではあるのですけれども、要は8.8万円を超える方も含まれますので、先ほどの賃金要件撤廃よりは年収が少し高い方が含まれているというところになります。
ここまでは全て短時間労働者の方ということになります。
③の非適用業種の解消というところ、ここには短時間労働者の方もいますけれどもフルタイムの方も含まれるということで、ここの部分だけ特性がかなり違いまして、年収の高いフルタイムの方も含まれているということで、全てを合わせると全般的には短時間労働者が多いということで、被用者の中では比較的所得の低い方という集団が移ってくるということ。
また、年齢については、当然働いている方ですので65歳未満の方が多くを占めるという形になっております。
最初に御質問いただきました財政影響の細かい要因ということで、通常、財政影響についてはこのような形でお示ししていて、その細かい要因については、この場でお示しすることは難しいのですけれども、まず一つ、前期調整と後期支援金がありますけれども、そういったものは全て今この資料上の支出のところに含まれております。調整後の支出がここに入っていると御理解いただければと思います。
今回、このような財政影響が出るという構造を調整の関係も踏まえて御説明をさせていただきますと、今回適用拡大の対象になります大半であります短時間労働者の方が被用者保険の適用になりますと、収入の面でいきますと当然保険料が減るということになるわけですけれども、先ほど御説明したとおり、被用者の中では、比較的低所得の方、年収が少ない方が抜けていくということになるので、収入に与える影響というのは、要はフルタイムで働いている方が抜けるほどは大きくないというところ。
一方で、支出の面でいきますと、先ほど御指摘いただきましたとおり、当然自前の給付費に加えて前期の調整額、あと、後期の支援金の部分に影響がございます。ですので、若い方が抜けていきますと、自前の給付費はそこまで多くないかもしれませんけれども、人数が減った分、前期調整後の額も減りますし、後期支援金の額も減るという構造で、全般的に言えば、比較的年収の低い方が抜けるという場合にはそういったプラスマイナスの関係で国保の財政収支というのは改善するという傾向になります。
こういった構造は過去の適用拡大でも同様、先ほどお示ししましたとおり、過去の適用拡大でも基本的に短時間労働者の適用という形になると国保はプラスという構造は同じような構造であると御理解いただければと思います。
ただし、先ほどの③の非適用業種の場合にはフルタイムの方が含まれるということで、このフルタイムの方についてはこの上下関係が逆になるということになりますので、③の市町村国保の財政影響がマイナスになっているというのはそういう構造ということでございます。
いずれにしても、各制度が受ける影響というのは今後とも分かりやすくお示ししていきながら、御理解をいただけるようにいろいろと工夫をしていきたいとは考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 原委員、よろしゅうございますでしょうか。
○原委員 ありがとうございました。
○田辺部会長 では、まず横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます発言させていただきたいと思います。
先に、ほかの委員もおっしゃったのですが、まずはこういったこと大きな改革ですので、丁寧な説明とか関係者の意見の十分なヒアリングをぜひ踏まえて、改革や改善の推進に当たっていただきたいと基本的に思います。
特に、有名な「信無くば立たず」という言葉が時々引用活用されます。やはりこれが基本だと思うのです。「信」を確立し、確保していくには、十分な情報の共有、そして、お互いの理解が欠かせません。ぜひ適切な議論ができるようにお願いしたいと思います。
今回は総選挙の影響もあり、いわゆる「年収の壁」が大きなテーマとして非常に注目をされ、ほぼ毎週あるいは毎日のように報道等で取り上げられ、その国会議論についても報告、説明され、次はこういう展開になるのではないか、こういうテーマもあるぞということが報じられています。多くの方々が大変高い関心をお持ちだと思います。
また一方では、ほかの委員もおっしゃいましたが、制度上、企業側の負担も2分の1増えることになる面もありますので、その費用のこと、あるいは御指摘もありました事務的煩雑さが増える、あるいは事務的な対応・システム改修その他のことも当然出てきますので、この辺も十分に考慮していただく必要があるのではないかなと思っています。
あわせて、私は全国後期高齢者医療広域連合協議会から来ていますが、自治体の首長でもありますので、国保のことや自治体の財政のこともいつも気にしつつ、この会議の議論も拝聴させていただいています。
例えば、財政についてはとても大切だと思います。ほかの行政サービスをやめて、その経費を全部こちらに持ってくれば大丈夫ではないかという議論もあるかもしれませんが、極めて荒っぽいと思います。今継続している様々な行政サービスを突然やめるというのはなかなか難しいですし、そこには必ず受け手となる、必要とする住民、市民、町民、村民の方がいらっしゃるのです。ですから、政策論争は国会でも行われているのですが、できるならば財源のことも踏まえた議論がどうしても必要だと思います。そこは別途考えてくれということではなくて、そういうことが必要だと思っています。
首長経験者だと分かりますが、新たな政策を実行するときに財政の見通しを必ず踏まえます。1年だけの対応だったら比較的に判断は容易かもしれません。でも、4年、5年、あるいは10年、あるいはそれ以上続いていく可能性がある制度の変更という形になっていきますと、そこまでの財源が自治体としてあるのか、財政見通しとしてそのことは可能なのかということを必ず財政当局と各首長は何度も議論しているはずなのです。そういったことを踏まえて、やはりやっていくべきではないかなと思います。これは丁寧に慎重にということです。やるなという意味ではありません。
ただ、今回も総選挙での政策論争の中、選挙での支持拡大のためにこういった話題が出てきた面もあるわけであり、それだけで走るのではなくて、地方財政への影響はまだ明確ではないところがあると思うのです。そういったことも踏まえて、地方自治体への影響についても十分に考慮いただくことがとても大切だと思っています。
また、資料でいいますと、14ページに任意に変更できる特例案のことを示していただきました。10日付に年金部会でもお示しがあったということでございましたが、よく見ると、負担割合の特例について整理する必要があるが仮に導入するとしたら次のようなものが考えられるということで、任意の対応という特例を活用するという方向で記述されていて、この中間辺りに「時限の措置とすることとしてはどうか」となっています。時限の措置となると、期間限定でやるのか、例外的にやるのみなのか、これは恒久的な制度とするのかどうかというのはどうしても議論として残ります。やはり本質的な部分や長期的にどうか、そして、それがほかの関係の制度と併せてどうなのかということもぜひ踏まえていただきながらやっていかないと、当面だけやりますよということだけで本当にいいのかどうかということも感じられるような記述になっています。ぜひ丁寧な情報整理と、関係者、特に各団体あるいは各事業所などにおいても、総務系の人たちはこういった制度改革を注視していると思うのです。そういった方々もきちんと分かって対応ができるような対応を今後ぜひやっていただきたいと思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
資料の14ページの労使折半の関係ですけれども、前回までも発言しましたように、被用者・労働者のほうに有利に変更するというのは、大陸ヨーロッパの社会保険を見ていてもあり得ることなのだろうと思っているところであります。
そういった前提の上で、今回の資料を拝見しまして、厚生年金の部分についてどうこうはないのですけれども、やはり健康保険、医療保険のほうにも一定の影響があるのかなということで、確認の意味も含めて発言をさせていただきたいと思っております。
どういうことかといいますと、今回の年金のほうの案というのは今の健康保険法の特例を参考にということのようでありますけれども、こういった厚年の特例というのは今までの健保法の労使折半原則に対する特例とは違って、標準報酬が低いほうの層に有利に変更する一種の傾斜配分の仕組みだろうと思いますので、果たしてそういうことが今の健康保険法上できるのかどうか、私も実際の運用は承知しておりませんけれども、健康保険法の規定を見る限り、そこは労使合意だとも読めるわけでありまして、その辺り、例えば健康保険の場合も標準報酬が低いほうの層に重点的に負担割合を有利にすることができるか否か、その辺りも論点なのかなと思います。また、そういうことは既に運用上はあるのだということであれば、それを前提に考えるということかなと思っているところであります。
標準報酬が高いほうの人ほど有利にというのは恐らく納得感がありませんので、そういう点では標準報酬が低いほうを有利にするというのは絶対駄目ということはないような気がしますけれども、いずれにしてもよく検討する必要があるかなと思いました。
以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
被用者保険の適用拡大につきまして、各保険者への財政影響の試算を示していただき、ありがとうございます。11ページでございます。協会けんぽにつきましては最終的に▲510億円ということで、一定の仮定を置いた試算ではあるものの、今般の適用拡大によりまして、協会けんぽの財政運営に大変大きな影響が生じる可能性があるということが分かりました。
医療保険制度は、働き方や勤め先にかかわらず、ふさわしい保障を得られるようにするとともに、雇用の在り方に中立的な制度としていく観点が重要だと考えております。今回の適用拡大はその観点から進めていくべきものと考えておりますが、今後、実際に適用拡大が行われる際には、おのおのの保険者の状況に応じて対応が必要になることをぜひ御留意いただきたいと考えております。
また、協会けんぽにおいても、財政への影響についてしっかり我々としても注視し、その影響を踏まえた上での財政運営に努めていく必要があるなと感じているところでございます。
また、最終的に155万人の方が新たに協会けんぽに加入するという試算でございますので、そうした場合の適用、徴収、給付などの実務上の課題が発生いたします。加えて、特に申し上げたい部分としては、健診や特定保健指導といった保険者機能を発揮するための体制確保についても準備が必要となってまいります。そうした点を考慮して、ぜひ段階的な施行とする点などの御配慮をいただきたいと思っております。
さらに申し上げますが、健診や特定保健指導といった保険者機能を発揮するため、現場レベルで申し上げますと、短時間労働者が事業主との一定の関係性があるということが被用者としての実態を備えているということでございますので、この大きな施策を進める中でこの前提に御配慮いただきたいと考えております。
また、いわゆる「年収の壁」への対応について、保険料負担の割合変更につきましては、特に中小企業の事業主の保険料負担や手続の事務負担が大きく増えるということにはぜひ御留意いただきたいと思っております。
また、協会けんぽにおきましては、適用・徴収の実務を年金機構に担っていただいております。年金機構における実務上の対応についても十分に御配慮いただければと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
まず、今回の適用拡大については、これまで申し上げてきたとおり、雇用形態、企業規模や業種によって社会保険の適用の有無が変わることは不合理と考えており、賃金要件の撤廃、企業規模要件の撤廃、非適用業種の解消に賛同いたします。
17ページでは国保の構造的な課題への対応も今後検討されると書かれておりますが、その際には5人未満の個人事業所への適用拡大を進めていく前提でぜひ御検討いただきたいと考えております。
また、現在もそうですが、これから適用拡大をしていくにあたって、制度の誤解による就業調整というものを防ぐためにも、制度の内容や給付が充実することなど、社会保険に加入することのメリットを具体的に働く人が実感できるように周知を強化いただきたいと思います。
また、施行までにということですが、社会保険や労働保険の適用に関して中小事業主の皆さんはこれから負担が増えていくということになりますので、そのサポートをできるような仕組みというものも考えていただければと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
被用者保険の適用拡大に関しましては、今後、働き手が不足する中で、働く意欲がそがれない制度になることを期待しておりますけれども、現在働いている方に対しては、制度改正に伴い、何がどのように変わるのか、分かりやすく丁寧な説明が必要と考えています。
また、11月の本部会で、小規模な歯科診療所については制度改正による影響が予想されましたので、慎重な御検討をお願いしました。結論からすると、5人以上の歯科診療所は既に適用対象となっていることや、5人未満の事業所への適用は今回の見直しの対象外ということもあり、小規模歯科診療所は今回の制度改正による影響を受けないと聞いております。こうした事実関係について、多くの歯科診療所が正確に把握できていない可能性がございますので、歯科診療所を含め、小規模医療機関等への説明につきましても分かりやすく御周知いただきますよう要望します。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見がなければ、本議題についてはこれまでとしたいと存じます。
事務局におかれましては、本日いただいた意見を踏まえて引き続き議論を深めていかれますようお願い申し上げる次第です。
次に「医療保険制度改革について」を議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いします。
○佐藤課長 保険課長でございます。
タブレットの資料2をお開きください。
「医療保険制度改革について」ということでございまして、この間、医療保険部会でも3回ほど御議論いただきましたけれども、高額療養費の関係の資料でございます。
右下のページで申し上げますと、1ページ目から5ページ目までは、前回医療保険部会で御議論いただいた際に各委員の先生方からいただいた御意見をまとめております。様々な御意見をいただいておりますので、こちらは御覧おきいただければと思っております。
前回の医療保険部会でもそうですし、それ以前の医療保険部会でも、いろいろなデータでありますとか、例えばこういうシミュレーションをしてほしいとかいう趣旨の御意見をいただいておりましたので、まず6ページ目、7ページ目に外来特例の関係の資料を御用意いたしました。
特に外来特例に関しましては、前回も廃止すべきであるとか、あるいは反対だとか、様々な御意見をいただきましたけれども、廃止を含めた抜本的な見直しを想定した、あるいは年間上限の廃止、月額上限の引上げ等を含めたシミュレーションを行っていただきたいという御意見をいただいていたものですから、幾つかの仮定といいましょうか、機械的に例えばこういうことをした場合にはどうだろうか、こういうことをした場合にはどうだろうかという前提条件を置いて試算をしたものが6ページ目、7ページ目でございます。
この機械的な前提条件の置き方、6ページ目でございますけれども、具体的には3つ前提条件を置いております。6ページ目の上のほうに①、②、③と書きましたけれども、外来特例は年間上限、月額上限というものがございますけれども、まず1つ目の機械的な前提の置き方としては、今、外来特例に関しては、住民税非課税への区分と一般の区分、これは年収の370万円以下の部分でございますけれども、ここについては、月額上限、年間上限ともに外来特例を廃止した場合の影響というものを取りあえず計算してみようというものが①の前提条件でございます。
それから、②の前提条件といたしまして、住民税非課税区分の外来の月額上限は今8,000円でございますけれども、これを2,000円ほど引き上げて1万円にする。その上で、それ以外については廃止するという案について、これを②として機械的に前提を置いて試算をしております。
それから、③でございますけれども、住民税の非課税区分の8,000円を1万円にする。これは②と同じでございます。それに加えまして、一般の区分、年収約370万円までの部分についても、月額の上限については今1万8000円でありますけれども、これを同じように2000円取りあえず乗せて2万円にしてみる。ただし、年間の上限については廃止するという機械的な前提条件を置いた上で計算をしてみるということを行っております。
なお、この計算に当たっては、所得区分の細分化でありますとか、あるいは自己負担限度額の機械的な引上げというのは考慮しておりません。
その機械的な計算結果が7ページ目でございます。①、②、③ごとに粗い推計ということで、保険料への影響はどうだろうか、加入者1人当たりの保険料軽減額はどうだろうか、また、実行給付率の低下幅はどうだろうかということで、機械的に試算をした結果が①から③でございます。
①が外来特例を全て廃止してしまうという機械的な前提を置いた試算でありますので、保険料の影響額あるいは給付費の影響額、また、実行給付率の低下幅というのは一番大きくなっております。これが②、③に行くにつれてだんだん小さくなるという形での新機械的なシミュレーションの結果となっております。この辺りも含めて、また改めて御議論を頂戴できればと考えてございます。
8ページ目でございます。高額療養費制度の見直しの方向性の案ということでございまして、これは一度事務局のほうからまず議論のキックオフの際に考え方というものを御提案申し上げて御議論いただいてきたわけでございますけれども、前回までの議論を踏まえて少し整理をアップデートしたものでございます。
社会経済情勢の変化ということで、1つ目のポツ、2つ目のポツは基本的に書いていることに変わりはございませんけれども、高額薬剤の開発でありますとか普及が高額療養費の総額が年々増加している大きな要因であるということで、この部会でもかなり御意見をいただきましたので、そこを明確にしております。
また、下半分はこれまでの議論を踏まえて見直しの方向性ということでございまして、1つ目のポツは基本的には変わってございません。健康な方を含めた全ての世代の被保険者の保険料の負担の軽減を図る。そのために高額療養費の自己負担限度額の見直し、一定程度の引上げ、あるいは所得区分に応じたきめ細かい制度設計をするという観点からの所得区分の細分化、具体的には住民税非課税区分を除く所得区分を大体3区分ぐらいに細分化をしていくということでございます。
それから、2つ目のポツでございます。負担能力に応じた負担ということでございます。この間、低所得者への配慮等、様々な御意見をいただいております。この辺りを明確にしております。平均的な収入を超える所得区分については、平均的な引上げ率よりも高い率で引き上げる。その一方で、平均的な収入を下回る所得区分の引上げ率は緩和をするなど、所得が低い方に対する配慮を行うということ。また、今回の見直しによって必要な受診が妨げられるようなことがないように丁寧な周知等といった御意見もございましたので、ここを明記してございます。また、予防とか健康づくりについても御意見をいただきましたものですから、こういう働きかけをしっかりやっていかなければいけないということは論をまたないところでございますので、この辺りも明確にしてございます。
それから、施行時期の話につきましても様々な御意見をいただきました。しっかりとした周知の期間を取るべき、あるいはシステム改修は物理的に実務的な課題があるということもございますので、こういう観点から一定の準備期間・周知期間を設けた上でシステム的にも十分対応可能な範囲から施行していく。早ければ来年夏以降からの施行を想定としてございます。
それから、8ページ目の一番下に「なお、」ということで、データの課題等の御意見をいただきましたので、分析のためのデータを把握していくための方策等について今後検討していくという形で整理をしてございます。この辺りを含めてまた改めて御議論いただければと思っております。
9ページ目はイメージ図でありますので、説明は割愛いたします。
あと、参考資料はこれまで基本的におつけしているものでございますけれども、この間、各先生方からいただいた御意見を踏まえて準備したものも幾つかございますので、新しく追加した資料のみ御紹介申し上げます。
タブレット右下の18ページ目でございます。自己負担限度額を引き上げた場合のイメージということでございまして、やはり議論をする上ではイメージが湧くようなものがあったほうがいいのではないだろうかという御意見はいろいろといただいておったものですから、18ページのようなものを御用意いたしました。
例えば医療費が300万円の場合、高額な医療を使った場合には当然高額療養費が適用されるわけでございますけれども、医療費が300万円の場合に、仮に自己負担限度額を引き上げた場合に自己負担限度額がどう変わるのか、あるいは高額療養費がどう変わるのかというものを整理してございます。
これは仮に10%引き上げた場合のイメージと書いてありますけれども、これは5%であろうが、15%であろうが、何%であろうが、数字が変わるだけであってイメージ図は変わりませんので、仮に10%と図示してございますけれども、例1、例2がございますが、例1であっても例2であってもこれも構図は変わりませんので、上のほうに書いてある例1の例で申し上げますと、例えば医療費が300万円であったら保険給付が210万円、ここは数字が書いていませんけれども、7割分は保険給付から出ますので、210万円という構造は変わりません。残り本来窓口負担が90万円のところが、今であったら10万7430円が負担限度額でありますけれども、仮に自己負担限度額の上限を機械的に10%上げたら、これが11万5173円となって、8,000円弱自己負担限度額が多くなるということになります。他方で、高額療養費については、今でありましたら79万2570円高額療養費のほうから支給をされるということになりますけれども、自己負担限度額を仮に10%引き上げたら78万4827円ということで、自己負担限度額が上がった分だけ高額療養費のほうが下がるということになります。
これは仮に高齢者の場合であっても、1割負担の方の場合であっても基本的な構造は全く変わりませんので、こういうイメージとなっております。
それから、ページがまた若干飛びまして、24ページでございます。24ページは外来特例の経緯でありますとか考え方を改めて整理をしてございます。
上のほうに【経緯】とございますけれども、この外来特例に関しましては、平成14年(2002年)の10月にそれまで設けられていた外来の月額上限を廃止して、定率1割負担の徹底を行った際に設けられたものでございます。
その後、高齢者に関しては、平成29年、30年の高額療養費の見直しの際に、一般の区分、今で申し上げましたら月額の上限が1万8000円の区分について、昔は1万2000円だったわけでありますけれども、1万2000円であったものを、6,000円、50%引き上げて1万8000円にした。合わせて外来の年間上限を設定したという経緯がございます。
低所得者のほうについては、平成14年の導入以降8,000円と設定して、その後の見直しは行われていないという経緯でございます。
それから、25ページ目でございます。これは高額療養費の年間該当回数別の患者割合とかなり粗い推計でございますけれども、試み的に整理をしてみたものでございます。全体の年間の患者数、トータルの患者数がいらっしゃいまして、その患者数のうち、高額療養費を使われている方が一定数いらっしゃいますけれども、その高額療養費を使われている方が年間例えば1月当たるのか、2月当たるのか、3月当たるのかということを試み的に推計してみたものでございます。これは1回から12回まで書いてありますけれども、この外側に0回というのがあって、0回が一番大きいのですけれども、それぞれ回数別に数字を整理しておりまして、1回が一番多いわけでありますけれども、2回、3回につれて割合は少なくなっていきますが、当たり前ですが、これも当然一定数いらっしゃるという数字になっております。一番右側に年間12回、要は毎月という方もいらっしゃるということでございます。
なお、この数字につきましては、25ページのタイトルに書きましたけれども、外来特例を除くということでございますので、高齢者に関しては外来特例の数字を抜いた数字でございますので、その点だけ御理解いただければと思っております。
それから、最後に御紹介したいのが31ページ目でございます。疾患ごとの自己負担額についてということで、いろいろな患者さんがいらっしゃいますので、これが全てだということではもちろんないわけでありますけれども、具体的なイメージが持てるようなものがということで御意見をいただいていたものですから、例えば御高齢の方、75歳以上の方でこういう方が比較的多くいらっしゃるだろうということの想定の下に、取りあえず例として記載をしてございます。もちろん薬等の金額は入れておりませんし、様々な複数の疾患をお持ちの方もいらっしゃると思いますけれども、取りあえずこの①から④の前提で置いております。また、年収別にしております。
がんで1か月間入院をした場合と関節症で1か月間通院した場合と関節症及び脂質異常症で1か月間通院した場合、それから、がんで1か月通院した場合ということで、それぞれの1か月当たりの医療費と自己負担額を整理してございます。1か月当たりの医療費は所得によって変わるわけでありませんので、所得にかかわらず、がんで入院した場合には例えば125万円、関節症で外来受診した場合には2.8万円となっております。
ただ、右側の自己負担額(月額)については、3割負担なのか、2割負担なのか、1割負担なのかによってそもそもの自己負担額が違ってまいりますし、あるいは場合によっては自己負担限度額あるいは外来特例に該当する方もいらっしゃいますので、こういう形で天井に当たる方もいらっしゃいますよということを整理してございます。
基本的には入院される方については自己負担割合にかかわらず自己負担限度額に該当するわけでございますけれども、通院される方については限度額に当たるケース、当たらないケース、2割負担の方、1割負担の方については、④のがんで外来受診の場合には外来特例の月額上限に該当するケースがあるという形で記載をしております。もちろんこれが全てではありませんけれども、一つのイメージとして議論の材料にしていただければと思っております。
事務局からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたら挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の皆様方におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いです。
では、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
今回もいろいろなデータを提供いただきましてありがとうございます。感謝したいと思います。
今までも申し上げてきたのですけれども、やはり高齢者医療の拠出金も含めて過重な負担を強いられている現役世代の負担軽減は喫緊の課題だと思っております。また、これまでのこの部会における議論を聞いていましても、「現役世代の負担軽減が必要だ」ということについては共通認識になっているのではないかと受け止めております。それらを踏まえますと、やはり現役世代の方々が実感できるような、すなわち相当程度の規模の保険料負担軽減効果が生じるような見直しが必要だと考えております。
そのうえで、今日の資料の6ページに外来特例の見直しについてのモデル試算を示していただいておりますが、先ほども御説明がありましたように、特に低所得者の方については、平成14年以降一度も限度額の見直しがされておりません。当時の外来特例の限度設定の考え方ももちろん踏まえなくてはいけませんけれども、保険料負担者の実感につながるような保険料負担の軽減効果が得られるように、廃止も含めた抜本的な見直しが必要であると考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
まず、外来特例の見直しについて、今回、初めて具体的な数値を事務局からお示しいただけました。上限の引上げ、廃止によって、財政面だけでなく、受療行動についてもどのような影響が生じるかをよく検証した上で、引き続き検討を進めることとしていただければと思います。
また、8ページに示されている、高額療養費制度の見直しの方向性案について、異論はございません。異議はございませんが、皆保険制度を維持していくため、まずは自助で対応すること、何でもかんでも制度に頼ればいい、ということにならないことが重要だと考えます。その意味で、予防・健康づくりへの取組強化についても、引き続きよろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 ありがとうございます。
高額療養費の見直しにつきましては、前回まで各委員から合意が得られたということで見直すのは当然かと思うのですが、ただ、気になるのは、こういう制度改革で一番影響を受けるのはボーダーラインの方々です。いわゆる非課税世帯はいいのですが、そのちょっと上辺りにかなり影響が出てくるので、非課税世帯ではないけれども所得の低い層については、きめ細かい配慮、あまり上げないようにということをぜひ御配慮いただきたいと思います。
それから、外来特例ですが、私は恥ずかしながら知らなかったのです。私の友人も知らないという人が多くて、何だか知らないけれども何千円か振り込まれているけれども何なのだろうかということを言っていました。後期高齢者医療につきましてはいろいろなサービスを受けているということも前から申し上げているのですが、ちゃんと伝えておく必要があるかなと思います。
ただし、外来特例をいきなりやめてしまうということは心配です。年間の限度額廃止はいいかと思うのですが、31ページの事例などにもありますように、がんなどで外来の場合、結構かかるわけです。最近はあまり入院させてくれない。私の友人でも乳がん手術で1泊2日だったと言っていまして、今はすぐ出してしまう。そうすると外来にかからざるを得ないという事情がございますので、月の限度額を2,000円上げるのか3,000円上げるのか分かりませんが、少し上げる程度は仕方がないかと思うのですが、当分の間はこの制度は後期高齢者について残していただけないかと思っております。これは要望でございます。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、中村委員、よろしくお願いいたします。
○中村委員 ありがとうございます。
資料で具体的なケースの数値をお示しいただいたことで、制度変更による影響が分かりやすくなりました。ありがとうございます。
それから、よりいろいろなことについて分析できるようなデータについても、これから利用可能性を高めていただくということで、その点も非常にすばらしいことだと思います。
個人レベルのマイクロデータを用いた精緻な分析が今後必要になっていくということについて、例えば最近の研究で『Health Economics Review』という国際学術誌に今年掲載された岡本翔平先生らによる御研究を見つけたのですが、日本でもいわゆるCatastrophic health expenditureと呼ばれるものなのですけれども、つまり、経済破綻をもたらすような多額の破滅的医療支出を経験している家計がかなりあるのではないかという指摘がなされています。ただ、この御研究はサーベイデータで自己申告に基づいて1か月の収入とか支出を用いた分析なので、本当は年間の収入や医療支出を、さらに自己申告ではなくて行政データに基づいてしっかり把握して、こういう懸念を検証していく必要があると思います。
それから、長瀬効果、つまり、全体的な医療費負担率の変化が医療費に与える影響の予測に関しましても、前回、私が質問させていただいた点について御説明をいただきました。現状ではマクロの数字で推計するしかないということですね。それから、自己負担の上限に達した患者さんは、自己負担の上限を超えた部分について医療サービスの限界価格、つまり、もう一単位サービスを使用した場合の追加的な価格がゼロになるということから、上限を上げることでそれなりに需要減少が生じると考えて、長瀬効果は今回は自己負担割合が変化した場合と同様に仮定すると伺いました。
今回のそのような長瀬効果の扱いは、現在得られるデータの下では次善の策としてやむを得ないことだと思います。なのですけれども、今後はさらにどんどん財政状況が厳しくなって、上限をさらに上げるようなことも考えなくてはならないかもしれないので、やはりより精緻なマイクロシミュレーションで、つまり個人レベルのシミュレーションを行って、医療費自己負担の制度が変わることでどういうふうに医療費が変化していくかということを正確に予測していかなければならないと思います。
なので、経済破綻をもたらすような高額な医療支出につきましても、それから、自己負担の在り方の変化による医療費の変化につきましても、レセプトと所得の両方が分かるような行政データを研究者が使用できるようにしていく必要があると思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井上参考人、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。
今回の高額療養費の見直しについて、これは社会保障の負担をどういう形で誰がしていくのかという根本的な議論に関わる部分だと思います。本来であれば、私どもとしては税も含めて負担の在り方を抜本的に検討していかなくてはならないと思っていますけれども、今、税の議論というのがなかなか進まない状況でございます。なるべく早く現役世代の過重な負担を減らすという意味で、負担能力のある方に対し、この高額療養費制度につきましても見直しを着実に行なわざるを得ないという状況にあると思います。
あわせまして、今回モデル試算も示されております、外来特例につきましても廃止の方向を含めて検討していただきたいと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
この高額療養費制度ですけれども、確かに現役世代の負担の軽減ということは重要な観点であろうと思いますが、これは高齢者の負担の問題というだけではなくて、現役世代であったとしても、例えば高額な治療が必要な疾患にかかられた場合等においても大変重要なセーフティーネットになっているのだということをまず認識して議論すべきだろうと思います。
その上で、前回の発言の繰り返しになるわけですが、やはり外来特例の廃止ということに関しましては明確に反対と言わせていただきたいと思います。二重、三重という御指摘もございますが、継続的な治療を必要とする病気を抱える経済的に弱い方々にとっては、セーフティーネットの役割は非常に重要なものでございますし、23ページ等にありますように、この制度に該当する人というのは一定程度おられるわけですので、この外来特例が廃止ということになりますと、その影響は極めて大きいと言わざるを得ないと思います。外来特例が適用されている方々に与える影響は、例えば年間の該当割合が少ないといっても、どのような方が適用になっているのか等、しっかりとした分析をしていただいた上で、受診抑制とか必要な医療が受けられなくなるようなことがないよう配慮した上で、適切な上限の設定をお願いしたいと思っております。
先ほども申しましたが、突然入院や手術を要する病気にかかった場合というのは、精神的な不安のほかに経済的な不安というものも生じるわけですので、これは世代に関係なく、この高額療養費制度というものが非常に心強い制度ということも言えるかと思います。外来特例に限らず、所得区分に応じた引上げの検討の際には、過度な負担を強いることがないよう、丁寧な制度設計をよろしくお願いしたいと思います。
私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、島委員、よろしくお願いいたします。
○島委員 ありがとうございます。
今回8ページに示された考え方に関しては、全くよくまとめていただいているなと思って感心しております。これだけ医療費も物すごく年々大きくなってきている中での高額療養費の制度とのバランスというのは当然考えていかなくてはならないので、今まであったいろいろな委員の先生方の意見はこの会として非常に意味があるものだと思っております。
それから、外来特例に関しましては、今、城守委員がおっしゃったように、現場としては、やはりこれを非常に利用する方たちがおられて、特にがんの方たちもそうですけれども、難病を抱えるような方たちはどうしても医療施設に医療を求めざるを得ないということがありますので、この外来特例に関しての制度をどうするかという問題は非常に重要な問題なので、慎重に検討を重ねていただければと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
様々なデータを示していただきましてありがとうございました。
その上で、8ページにまとめていただいている内容について申し上げます。
まず、これまでの議論を踏まえた見直しの方向性の2つ目「平均的な収入を超える所得区分については平均的な引上げ率も高い率で引き上げる」という点についてです。これは以前も申し上げたのですけれども、保険料を負担能力に応じて負担していることも考えれば、高額療養費制度の自己負担限度額の引上げに当たっては、引上げ後の負担が一部の階層に偏らないようにしていただきたいと思います。
9ページのイメージ図は以前も出していただいておりますけれども、傾斜を急にしていけば、中間層の方々の負担も増えていくということかと考えますので、その辺りのところはぜひ御検討いただければと思っております。
実際に負担をどのように割りつけていくのかということについては、外来特例も例外とはせずに、給付と負担のバランス、公平性や納得性の観点から具体的な仕組みにしていただくことが必要と考えております。
今回の引上げの考え方は、次の改正、次に何かしていくときにも影響するかと考えておりますので、そういった考え方で御検討いただければと思います。
また、同じ8ページの2つ目のポツに「必要な受診が妨げられないよう、丁寧な周知等を徹底する」とございます。周知は大変重要ではありますが、具体的な数字が示されていないということから、不安であったり、どれぐらいの負担増になるのかといった懸念もあろうかと思いますので、そういった数字を早期に出していただくということも必要ではないかと考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
今回、多くの案、資料を示していただきまして、ありがとうございます。
所得区分を細分化するとともに、各区分において所得に比した負担という部分を考慮して引上げ率を設定するということに関しては賛成いたしますので、ぜひ丁寧かつ細やかな対応をお願いしておきたいと思います。
ただ同時に、先ほど来出ております外来特例の廃止に関しましては、スライドの23でも示されているように、該当者の率が高い層には負担がかなり大きくなってくるということになります。継続服用を必要とするような薬剤がある場合においては、その負担により飲み控えが生じたりということの懸念も考えられますので、これに関しては避けるべきと思いますので、意見しておきたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
引き続き継続の議論ということで認識をしています。
外来特例は、先ほどほかの委員からもありましたけれども、なかなか詳細に的確に伝わっていない部分があるということで、情報の提供とか説明というのは一方で必要だなと改めて感じました。
また、ほかの委員もおっしゃったのですが、可能ならば、今後、マイナンバーがございますので、ビッグデータとして様々な健康情報に関する情報収集も可能だと思うのです。それを踏まえながら、個別と言うと変ですが、どういった健康維持管理がなされているのか、どのような疾病があるのか、どのような対応をされるべきなのかということも含めた研究も必要かと思います。その先に行動変容を促すような仕組みというのもつくっていくべきではないかなと思います。健康増進や維持に努めれば負担が減るとか、そういったことも社会保障制度の中にビルトインしていけば、意識的にもそういったことがより広く意識されるのではないかと感じました。
2つ目は高額療養費制度の見直しの件でございます。これも引き続き申し上げていることですが、基本は負担能力のある人がそれぞれ応分の負担をして全体を支えるという全世代型社会保障制度という大きな理念の下に今回の改革や見直しも進んでいると受け止めています。そういった中で、この制度で助かっている方もたくさんいらっしゃると思うのです。先ほど説明あるいは意見の中にもありましたように、大きな手術をした場合などには多くの方が本当に緊張感を持って会計窓口に行かれると思いますが、この制度があることで患者負担について、かなり助かっていらっしゃる方は多いと思います。
しかし、それに甘んじてはいけませんので、一方では健康増進、健康を保持する。そのことの大切さを教育や啓発していくということを根本的に実行しないと、医療費の増加についての適正化にはなかなか手を打てません。中長期的な現実の問題である医療費財政のことも踏まえつつではありますが、一方では、本当に自分のペースで健康を保持することができる体制もつくっていくべきと思います。
見方を変えると、例えば憲法の条文の中に国民の義務があります。基本的には、教育と勤労と納税です。今、人生100年時代ということを考えていくと、かなり平均寿命は延びているのですが、身体は途中で新たなものに入れ替えるなどできませんので、かつて50~60年使っていた時代もある身体を、今では100年ぐらい使うことになりますので、本当に健康の意識がとても大切だと思います。そのために、学んだり、啓発を受けたり、あるいは実際にやってみたり、そういったことをしていく時代ですから、ヘルスリテラシーのことが話題になり、また、メディカルヘルスの新しい産業とかも起こったりしていると思うのです。
さらに極端に言うならば、憲法の中の「国民の義務」について、4番目に「健康であること」「健康を保持すること」「健康に関心を持って努める」ことなども加えてもいいのではないかと思います。憲法25条には、「すべて国民は健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する。」とあります。次に、「国は、全ての生活部面について社会福祉、社会保障制度及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」とあります。国民はこのサービスを受ける立場、国や公的機関は出す立場になっていますが、最も重要なのは、国民一人一人がやはり健康ということの大切さを認識して、日々の生活習慣の改善とか努力をしながらやっていかないと叶わないことだと思うのです。
いきなりここで憲法論議をしたい訳ではないですが、それぐらいの意識を持ってやっていかないと、なかなかきちんと生活リズムを整え、生活習慣を改めて、よりよく健康を改善するという意識にならないと思われます。ぜひ厚生労働省を中心に健康の重要性ということを伝えていただく、広めていただくこともとても大切だと改めて最近感じているところです。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
前回、応能負担の観点から、見直しに当たって傾斜配分ということがあるのではないかという発言をさせていただきましたけれども、今日の8ページを見ましてもそういった方向性が出ているということで、一定の低所得者への配慮という点で評価できるかと思っています。
ただ、やはりこの問題というのはセーフティーネットの張り方の問題という点があるのだろうと思います。例えば資産がどうかとかという点もあるわけですし、あるいは年金だとなかなかこういった傾斜配分というのはベンドポイントの議論を見ても難しい面があるのだと思いますけれども、やはり医療の場合はなかなか高所得層でも払えないぐらいの医療費が1か月にかかるというデータもありますので、そういった点では傾斜配分というのはあってもまだ制度という点では維持できるかと思います。
そういった点で、やはりこの問題というのは、引上げ率をどうするか、傾斜配分をどうするか、そして、保険料負担への影響がどうなのかといった点もありますけれども、なかなか全部をシミュレーションで出すというのは難しい部分があるかと思いますので、やはりセーフティーネットという点から言えば、これによってどういう影響が出るのか。これまでもそういった場合、いろいろな貸付制度とかもあったようには思いますけれども、いろいろなこれ以外の対応も含めて考えていく必要があるのではないかと思っております。
以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
高額療養費について、これまでの議論で少しずつ理解はしてきましたけれども、6、7ページに外来特例の機械的な試算をしていただき、事務局に感謝をいたします。①から③によって、加入者の保険料軽減額も変わってくることは理解しますけれども、外来特例を見直すことへのインパクトだけが独り歩きをして、受診動向にそれなりに影響が出る可能性もありますので、できるだけ御配慮をお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、北川委員、よろしくお願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。
8ページ、9ページにおけます見直しの方向性につきましては、これまで申し上げましたとおり、セーフティーネットとしての役割に留意しつつ、全世代型の社会保障の実現と保険料負担の軽減を図る観点から、負担能力に応じた負担となるような見直しの形になっていると認識しております。ありがとうございます。保険料負担の軽減の観点からぜひこの方向での見直しの検討を進めていただければと思っております。
見直しの時期につきましては、システム改修など保険者での実務運営に御配慮いただくことを改めて申し上げます。
また、6ページ、7ページに外来特例についても記載がございますが、平成29年、30年以降見直しがなされていないということで、経済環境が変化していることを踏まえ、今般の見直しに合わせて、全世代型保障の構築や保険料負担の軽減の観点から見直しについて検討を進めていただければと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、菊池委員、よろしくお願いします。
○菊池部会長代理 ありがとうございます。
以前、事務局に資料提出をお願いしていた関係で、今回25ページの資料をお示しいただきまして、ありがとうございました。やはり相当数の方が年間を通じて高額療養費に該当されていることが分かったということでございまして、できればその中でも低所得階層の方がどうなっているのかというのを見たいところではありますが、今回、見直しの方向性案で所得が低い方に対して一定の配慮を行うという一文を入れていただいて、よかったと思っています。何人かの委員からもお話がございましたが、全世代型社会保障構築会議では負担能力別負担という方向性を打ち出しておりますので、この方向性にも沿うのではないかと思ってございます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
ほかに御意見がないようでございましたら、本議題についてはこれまでとさせていただきたいと存じます。
高額療養費制度に関しましては、本日を含めまして4回議論を重ね、様々な御意見をいただきました。見直すことの必要性、それから、大きな方向性に関しましては、皆様方の意見が一致していたという認識でございます。
一方で、受診抑制につながらないような配慮を求める御意見、それから、外来特例の廃止に関しましては慎重な御意見もございました。
今後の進め方でございますけれども、いろいろと御意見はあるかと思いますけれども、高額療養費制度は予算と関係するものであるために、事務局において、これまでの議論を十分に踏まえつつ、責任を持って予算編成過程の中で調整していただくこととしたいと存じます。なお、その結果に関しましては、当然ながら医療保険部会に御報告いただくようお願いしたいと存じます。
よろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございます。
では、次に「医療DXの推進等について」を議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いします。
○西川企画官 医政局企画官でございます。
資料3について御説明させていただきます。
まず1ページ目でございます。電子カルテ情報共有サービスでございます。これは9月30日の医療保険部会に出させていただいた資料でございます。
電子カルテ情報共有サービスは、必要な電子カルテの情報を全国の医療機関等で共有するというものでございます。来年度から法律に位置づけて開始したいと考えておりますが、この制度を運用していくための費用全体をどう負担していくか、関係者のメリット等を踏まえ考えることが必要ではないかということでございました。
次の2ページ目でございます。この費用負担の在り方でございますが、電子カルテ情報共有サービスは、少子高齢化・人口減少社会の中でより安全で質の高い医療を効率的に提供していくための基盤になるものと考えております。患者(被保険者)、医療機関、保険者、国それぞれに一定のメリットがあると考えてございます。
そうした上で、下にあります表のとおり、国、医療機関、保険者等がそれぞれ一定程度このサービス全体にかかる費用を負担するということとしてはどうかと考えております。
国においては、この電子カルテ情報共有サービスのシステム・データベースの開発、また、今後の改修に要する費用、それから、医療機関の電子カルテシステムの改修への財政補助、または標準型電子カルテの開発・普及など、サービスの普及、立上げに関する費用を負担する。
医療機関におきましては、電子カルテシステムの標準化対応の改修を行っていただく必要がございます。また、電子カルテ未導入の医療機関におきましては、標準型電子カルテなど必要な電子カルテの導入をしていただく必要がございます。また、その上で、このシステムの必要な運用保守、また、3文書6情報を都度都度登録していただくための費用というのを御負担していただく必要がございます。
保険者におきましては、電子カルテ情報共有サービスが制度として一定程度確立した後におきまして、支払基金に構築したシステム・データベースの運用費用の御負担をお願いしたいと考えてございます。
具体的な金額につきましては、※のところでございますけれども、年間約18億円程度、医療保険者の加入者1人当たりに直しますと月額約1.25円程度の負担額と見込んでございます。
最後の○ですけれども、この電子カルテ情報共有サービスは来年度から3文書6情報の共有を開始したいと考えておりますが、今後も一定期間システム開発が継続すると見込んでおります。また、これが医療機関に普及するまでにも一定期間を要すると考えております。ですので、それまでの間はまだ制度として確立していない段階と考えてございます。国としましては、速やかにこの電子カルテ情報教育サービスが普及しますように、あらゆる方策を講じていきたいと考えてございます。
続きまして、3ページ、4ページでございます。社会保険診療報酬支払基金の組織体制の見直しでございます。こちらは11月7日の医療保険部会で御議論いただいたものでございます。
4ページをお願いいたします。組織体制の見直しでございますが、組織の意思決定体制につきまして、左の改組後の運営会議につきまして、前回御議論いただいたときは各構成の人数を書いてございませんでした。今回、運営会議につきまして全体9名としまして、学識経験者、被保険者、地方自治体から各1名、それから、保険者から3名、診療担当者から3名という構成で見直しをさせていただきたいと考えてございます。
○草野企画官 情報化担当参事官室政策企画官の草野です。
続いて、6ページ以降のマイナンバーカードを活用した医療費助成の効率化について御説明いたします。
なお、本件については、11月7日の医療保険部会で制度の趣旨や仕組みについて議論いただきました。本日は、前回の御議論を踏まえて、費用負担も含めて具体化した案を御説明いたします。
6ページを御覧ください。前回お示しした医療費助成のオンライン資格確認の全国展開の概要を示すスライドでございますけれども、2点具体化してございます。
1点目は右側のピンクの部分でございますけれども、オンライン資格確認等システムとの緊密な連携に基づき、運用の効率化を図るため、支払基金又は国保連において関連システムの管理・運用等の業務を実施することとしたいと存じます。
それから、2点目はその下の※でございますけれども、関連システムの管理・運用等の業務に要する費用につきましては、生活保護のオンライン資格確認の費用負担等を勘案し、医療費助成の実施主体である自治体等に御負担をお願いしたいと考えてございます。詳細は後述いたします。
7ページを御覧ください。オンライン資格確認を制度化する公費負担医療の案を整理してございます。
国の公費負担医療につきましては、受給者証がない制度や受給者数が非常に少ない制度を除き、基本的にはオンライン資格確認の対象とする予定でございます。
なお、一番下の※のとおり、地方単独医療費助成につきましては、導入するかどうかは自治体の御判断となりますけれども、患者、自治体及び医療機関・薬局にメリットがもたらされるものでありますので、各自治体においては、オンライン資格確認の導入を検討いただきたいと考えてございます。
8ページを御覧ください。本件のメリットを整理したものでございます。基本的に前回の資料どおりなのですが、前回の資料に自治体のメリットの4つ目を追記してございます。地方単独医療費助成の制度情報をまとめた「地単公費マスタ」の整備・活用とあわせて実施することにより、自治体区域外で受診した場合の現物給付化を推進でき、自治体の事務負担を軽減できるところでございまして、自治体さんのニーズも非常に大きいところでございますので、関係部局の緊密な連携の下、しっかりと取り組んでいきたいと考えてございます。
9ページを御覧ください。医療費助成のオンライン資格確認の全国展開に係る運用費用の案を整理してございます。
まず、上の部分でございますけれども、令和5年度からの先行実施においては、円滑な基盤整備を図るため、PMHシステム等の設計・開発等の費用を国が全額負担するなど、国において費用負担を行っております。
次に、全国展開の体制の構築以後につきましては、医療費助成のオンライン資格確認に係るシステムの管理・運用等の業務を実施するための費用については、福祉事務所が実施主体である生活保護のオンライン資格確認において福祉事務所に運用費用を負担いただいていること、それから、今般のオンライン資格確認が自治体等の事務負担・コストの削減及び住民の方の利便性の向上等に資する点を勘案し、医療費助成の実施主体である自治体等において御負担をお願いしたいと考えてございます。
具体的には、この医療費助成のオンライン資格確認に参加した自治体等に、登録受給者1人当たり月額単価に応じた金額の御負担をお願いしたいと考えておりまして、現在精査中でございますけれども、令和6年度ベースの登録受給者1人当たり月額単価のイメージとしては2円程度を想定してございます。
なお、その他の前提や検討事項は記載のとおりでございます。
10ページを御覧ください。参考として、運用費用負担のイメージと解消が期待される自治体の事務コストの粗い試算をお示ししてございます。
なお、本日御説明した内容につきましては、自治体の御担当の皆様に丁寧に御説明することが必要でございますので、11月22日に全都道府県・全市区町村向けのオンライン説明会を開催いたしました。1,300回以上視聴していただき、166件の御質問・御意見をいただき、御質問・御意見への回答についても、12月5日に全ての自治体の皆様に共有させていただきました。今後とも、自治体の皆様への丁寧な説明に尽力してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
○西川企画官 医政局企画官でございます。
最後に2点御報告がございます。
11ページの医薬品の安定供給でございます。
12ページをお願いいたします。現在、医療用医薬品の供給不足が課題となってございます。左の円グラフを見ていただきますと、約19%が限定出荷、供給停止という状況でございます。
次の13ページでございます。それへの対応策としまして、医政局の検討会で議論をしてまいりました。下の赤い枠囲みのところですけれども、需給データを活用したモニタリングを平時からやっていくということが必要ではないかと考えてございます。
次の14ページをお願いいたします。具体的にどういうことをやるかということでございまして、下の赤い枠囲みのところですけれども、支払基金が管理しています電子処方箋管理サービスから、NDBのように調剤のデータベースをつくりまして、これは国の費用負担の下で開発、運用を行っていきますが、それを活用して需給状況を把握していくというシステムを構築したいということでございます。これにつきまして、電子処方箋に影響を与えないような形で実施していくということを考えてございます。
続きまして15ページ、救急時医療情報閲覧の開始でございます。
16ページをお願いいたします。今週12月9日からオンライン資格確認等システムの基盤を活用しました医療情報閲覧機能としまして、新たに救急時の救急医療情報閲覧機能を開始したところでございます。これは、病院に意識不明などで患者の同意が取得困難な方が救急搬送されてきた場合にも、マイナ保険証等によって本人確認を行うことでレセプト情報に基づく医療情報等が閲覧できるようになるという仕組みでございます。
具体的には次の17ページでございます。これまでもレセプト情報などから救急用サマリーというものを作りまして、これを病院の救急担当の医師などが閲覧して医療提供ができるようにするという取組でございます。
資料の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたら挙手にてお願い申し上げます。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンを押してお知らせいただければ幸いです。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
電子カルテ情報共有サービスの費用負担についてコメントと質問をさせていただきます。
まず、コメントとしては、医療DXについては、これまでもオンライン資格確認ですとか電子処方箋等、様々な施策が実施されてきたわけでございますが、運用開始から普及までに大変長い期間を要しているということで、普及率が低いにもかかわらず、保険者に費用負担が生じているということは大変問題だと思っています。
今回の電子カルテの情報共有サービスについては、2030年に至るまでの中間目標も含めた工程管理は極めて重要であり、基盤整備の期間については国が費用面では責任を持つべきだと考えております。
そのうえで、2点質問させていただきたいと思います。
1点目、2ページの資料の中にも保険者等の記載等はございますが、電子カルテの情報共有サービスが一定程度普及し、保険者もメリットを実感できるまでの間は保険者に負担を求めないというお考えでよろしいのでしょうか。
それから2点目、ある時期からは保険者の負担はあり得るとしても、国が考えている目標計画と実際の普及等の状況に乖離が生じた場合には、引き続き国が負担すべきと考えますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
この2点、質問させていただきます。
○田辺部会長 では、回答をよろしくお願いします。
○西川企画官 事務局でございます。
ありがとうございます。2点御質問をいただきました。
まず1点目でございますけれども、資料の2ページ目に書いてございますとおり、電子カルテ情報共有サービスは来年度から開始したいと思っておりますが、まだシステム開発が今後も継続する、また、普及までには一定期間を要すると考えております。これは普及が一定程度しませんと、なかなか被保険者、また、保険者、医療機関にもメリットが発現しないものと考えておりますので、それまでには制度としては確立していないものと考えておりますので、保険者の負担もその後からでお願いをしたいと考えてございます。
また、2点目でございますけれども、国としては今後速やかに普及に取り組んでまいりますが、その時点時点の普及状況、また、システムの開発状況なども踏まえまして、柔軟な対応、また、負担の在り方というのを検討していきたいと考えております。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○佐野委員 ぜひよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
資料2ページの表で、電子カルテ情報共有サービスについて、制度として一定程度確立した後は保険者等が運用費用を負担するという案が示されておりますが、本格的な稼働や普及が図られないまま費用負担を求めるのであっては、関係者の理解を得ることは困難だと思います。広く関係者がメリットを実感できるようになるまでは、国が責任を持って対応していくべきだと考えます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、前葉委員、よろしくお願いします。
○前葉委員 ありがとうございます。
私も電子カルテ情報共有システムについてと、それからもう一点、マイナンバーカードを活用した医療費助成の効率化について発言をさせていただきます。
まず前者でありますが、これはもちろん患者、医療機関、保険者にそれぞれメリットがもたらされるということであれば、当然、システムとかデータベースの運用費用については特定の者のみで負担するのではなくて、関係者で応分の負担をすべきということが基本的な考え方であり、当然のことながら、医療機関における導入状況、それから、それぞれメリットを受ける方々において生じてくる効果を十分見極めた上で、最終的な費用負担については御決定願いたい。その意味で、電子カルテ情報共有システムの効果が十分ではないスタートアップの段階では国に御負担いただきたいという考え方は、私もそのように主張させていただきたいと思います。
その上で、国保の特性を申し上げますと、特定健診等のデータ管理システムで健診結果の電子管理について既に取り組んでおりまして、システムの運用費用も既に負担しております。この電子カルテ情報共有システムが、今後、実際に動いている特定健診等のデータ管理システムと重ねて稼働していくということになると、追加的に受けるメリットというのは必ずしも大きくないわけでございまして、費用的にも二重の負担が生じてくるということは懸念をしております。この点も、十分に踏まえた制度設計としていただくことを希望いたします。
次に、マイナンバーカードを活用した医療費助成の効率化は、公費負担でありますとか、あるいは地方単独の医療費助成においてDXを活用することで事務を効率化しようという趣旨は非常に利にかなったものだと思っております。したがって、御説明にもありましたように、引き続き自治体に対しましては具体的な取組に関する情報提供を丁寧にお願いしたいと思っております。
この点についても、いずれ自治体の費用負担ということになるのかもしれませんが、開始の時期については、自治体におけるシステムの標準化の進捗状況とか、あるいは地域の医療機関においての対応状況等も踏まえて、柔軟な対応をお願い申し上げたいと思います。
最後ですが、これは医療保険とは直接関係しないのですが、PMHについては、医療費助成のみならず、予防接種だとか母子保健の情報、それから、自治体の健診情報なども含めたシステムでありますので、こうしたものを自治体がどのように活用していくか、あるいは医療機関でどのように使っていただくかなどについては、国によってシステム全体の姿と費用負担の全体像もお示しいただければと存じます。自治体の過度の負担にならないような御配慮をよろしくお願い申し上げたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
全体的にDXの推進がもっともっと進めばいいなといつも注目をしています。医療DXについては、ほかの分野も一緒で、DXの推進というのは極めて重要だと思っています。
例えば海外では、こういった医療DXプランをつくるときに医療に精通したドクターなどをチームに参加させ、プランニングの段階から綿密に計画を立て、業務の内容をしっかり把握して業務改善も併せて計画していく。そして、そのことをプログラミング化する、システム化する、全体を国やエリアで共有するということをされているようです。そういったことをやっていくべきだと思います。私も詳細までは調査していませんけれども、それぞれのベンダーやシステム会社が持っているノウハウに基づく提案があると思うのですが、それはその考え方の中なので、むしろ現場の具体的なワークロードとしてのニーズは何なのか、本来はこうすべきなのではないかという知見を持った方も入れていただいて、大きなプランを考えていったらいいなと思っています。また、今日は具体的に幾つかの事例が示されたところですが、このDX時代あるいはデジタル社会を考えますと、データそのものが最重要資源の一つと言われています。私もそう思います。例えば、医薬品の適切なディストリビューションについては、先ほど医薬品の不足感等のこととか課題もありました。こういった問題についても、例えば台湾等ではコロナ禍でも薬剤やマスクの流通状況を把握して管理することを、担当のオードリー・タン大臣が見事にシステムで対応されました。そういったように、データを活用して現状を把握して、的確に効率よく解決していくソリューションをつくる。そういうことも絶対必要なので、ぜひそういったこともこの中では考えたらいいなと思います。
その有効活用に向けても、その先に実はもっともっとこうなりますよ、例えば利便性がよくなるとか、より正確な医療データに基づいて自分の健診結果と照らし合わせて、次に実行する自分の生活習慣改善とか、医療費の改善や健康の改善につながるとか、そういう先のビジョンをどこかで示していただいたら、より広く多くの方々が関心を持ってくださると思います。
そこで重要になっていくことなど、より分かりやすくメリットをお伝えいただいたらいいなと思います。今日の資料でもメリットのことが書かれていますが、可能なら今後はこういった詳しいコンテンツを整理するとともに、アイキャッチで分かりやすいサブタイトルをつける、短いキーワードをつけるなどをしていくと、非常に分かりやすいと思うのです。そういったことをしないと、多くの方々の理解、認識につながっていかないので、ぜひ戦略的なことを考えるとともに、今後はより広くDXを理解して活用していかなくてはいけない時代になっていきますので、この8ページなどのメリットもより分かりやすくデザインを示していくということも一方ではぜひやっていただきたいと思います。
これらのことによって、よい医療の提供を受ける、あるいは自分の医療や健康の改善ができるなどを可能にしていくよう、ぜひお願いしたいと思います。
なお、最後に付言ですが、前回も意見で申し上げましたが、医療機関や薬局等の窓口でマイナンバーカードリーダーがうまく反応しないとか、認証確認できなかったので、保険証を持っているのならそちらも出してくださいということが一部にあるように聞きますので、ぜひそういったことがないようにチェックをお願いしたいと思います。さらに一部の医療機関では、マイナンバーカード保険証も必要ですが、しばらくはこれまでの保険証を持ってきてくださいという掲示もあるようです。医療機関ではそういった対応もあるようですので、その対応を的確にしていかないと、マイナ保険証の認識、ひいては医療DXへの関心の高まりも鈍化しますので、ぜひその辺をよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、城守委員、よろしくお願いします。
○城守委員 ありがとうございます。
この医療DXの取組状況があまり芳しくないというお話がございますが、やはり従来のシステムに導入コストがさらに多くかかるということ等もございますし、さらには、事務負担の軽減というお話もございますが、確かに患者情報のレセコンへ等の入力の手間等は省けるかもしれませんが、実際は不慣れな患者さんへのサポートやトラブル時の対応ということで結果的には別の業務が増えてしまっているという実情等もございますので、まだまだ道半ばかなという感じであろうと思います。こうした実情を踏まえた上で、今回のこの電子カルテ情報共有サービスもそうですが、医療DX全般を推進していくというためには、全国の医療機関がより積極的に参加できるということ、また、並行して取り組まなければならないサイバーセキュリティの対策等もございますので、国にはしっかりと十分な助成、補助をしていただくということが必要最低限かと思いますので、この点は強く要望させていただきたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
2ページの電子カルテ情報共有サービスの費用負担の在り方について、先ほど佐野委員、藤井委員から御意見がありましたけれども、賛同いたします。
その上で2点、質問です。「制度として一定程度確立した後、運営費用の負担を求める」とありますが、この一定程度というのはどの程度なのかということが1点です。
2点目、※3で費用の想定として、精査中とした上で、年間約18億円程度という見込みが書かれております。この18億円というのはいつの時点で想定された数字なのでしょうか。共有する情報が増えていけば、この部分も増加していくのではないかと考えますので、これはどのような試算というか見込みなのかということについて教えていただければと思います。
○田辺部会長 以上、2点ほど御質問がございましたので、お願いいたします。
○西川企画官 御質問ありがとうございます。
まず、1点目の一定程度というところですけれども、これは電子カルテ共有サービスの普及がどの程度進むかにも関わってくると思っております。明確にどの程度になればこうだというのを申し上げるのはなかなか難しいですけれども、目安としてですけれども、やはり関係者の方々がメリットを実感できるようになるには少なくとも5割程度の普及が必要ではないかと考えております。
それから、2点目の18億円でございますが、これは来年度から3文書6情報を共有開始するということを前提に試算したものでございます。今後、共有する情報が増えていくことですとか、また、為替の影響ですとか人件費の高騰などにもよりまして、これが変動する可能性はあると思っております。一方で、システムの構成自体の効率化によって費用自体を効率化できる余地もあると思っております。今後についてはそういった要素をはらんでおりますけれども、今、年間18億円程度で試算しております。
○田辺部会長 村上委員、よろしゅうございますか。
○村上委員 ありがとうございました。
1点目、少なくとも5割程度ということ。5割で患者や被保険者がメリットを感じられるのか、というところは、実際に何年後になるか分かりませんが、その時点で検討することが必要ではないかと思っております。そこに到来した段階で負担の有無などに関して議論できるような条文にしておくことが必要ではないかと考えます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
私からは、現場の今の状況から2点お願いをしておきたいと思います。
現場の状況ですけれども、オンライン資格確認の原則義務化に始まり、電子処方箋システムをその上に乗せる。各システムのそれぞれの追加機能が重なってきています。これに関しては、医療費扶助の部分であったり、在宅の部分であったり、そのたびにシステム改修が重なってきている状況にあります。これにはイニシャルコストもランニングコストも両方かかっている状態で、かなり現場では今の普及状況の中で、このままコストを維持するのかという声が上がっているのは事実です。
その中でなのですけれども、マイナ保険証による医療費扶助の全国展開に関しましては、地単公費マスターのしっかりした整備、活用によって全国的に現物給付がなされていくということに関しては、患者にとっても大きなメリットがあると思いますので、これはぜひ進めるべき部分なのかなと思います。
ただ、この全国展開のためには、患者の基本的な保険情報として確認することを可能にして、全国一律で全ての医療機関・薬局で公費に対応していくべき内容だと思います。ただ、そのためにまたベンダーの改修等の費用が現場に発生して、それをまた負担するというのは、保険の基本情報の確認という部分に関しましては、初期のオンライン資格確認等システムの導入と同じく、全額実費の補助で現場に入れるべき内容だと考えますので、ここはお願いしておきたいと思います。
2点目は情報の活用なのですけれども、医療用医薬品の安定供給の対策が今回資料に挙がっておりますが、薬局での調剤情報を活用することというのは、現段階においては悉皆性のあるデータではないということが前提になると思いますけれども、その上で参考値としてモニタリングに使用するというのは賛成です。
ただ、これも今回資料の39ページにモニタリングの例ということで示されているスライドがあるかと思いますけれども、この場合、例えば右下に出入比率という部分での計算式が書かれているのですけれども、これの分母に関しましては薬局等における投薬・調剤量となっているのですけれども、既に入荷が不十分で医師と薬剤師が処方変更等の調整をしなければならない状況が生じても、その結果が既に分母になってしまっている状況になりますので、それを分母にして分子に薬局の入荷料を調べても、これは既に供給が足りているという状況としての計算の答えが出てしまいますので、これに関しては、どのようなモニタリングで指標をどのように使っていくかということは、データの使用に関してはしっかり現場にかかっている負担が反映されるような指標の計算の仕方という部分も併せて考えていただきたいと思いますので、2点のお願いをしておきます。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、島委員、よろしくお願いいたします。
○島委員 ありがとうございます。
1ページに示されているようなこの絵の状況が、全国の医療機関、医科、歯科、調剤全てにきちんと設置されるということになれば、物すごくメリットは大きいだろうと私は思っておりますが、現状としてはかなり道のりははるかというようなのが現状ですので、これに関しては、特に医療機関へのきちんとした説明と同時に、城守委員もおっしゃっておられましたように、なるべく資金的助成を手厚くお願いしたいというのが一点でございます。
それから、4ページに、先ほど横尾委員もおっしゃっておりました運営会議の構成の中の3番目のポツに診療担当者というのが3名となっておりますが、これは全て医師というわけではないでしょうけれども、どういった方を考えておられるのかを教えていただければと思います。
それから、マイナンバーカードを活用した医療費助成の効率化ということに関しては積極的に進めていっていただきたいなと思いますが、いろいろ地方単独のところとか行政の状態によっては、経済状態によって中身も変わったりすることもありますので、メンテナンスとかも含めて自治体がかなり努力しなくてはいけないような部分がありますので、そこも丁寧に説明をしていただければと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
1点、運営会議の中身に関してどういう構成かという御質問はございましたので、お願いいたします。
○西川企画官 ありがとうございます。
4ページの運営会議の構成のところでございます。診療担当者3名でございますけれども、こちらにつきましては現行の支払基金の理事と同様に、所属団体からの推薦に基づいてお入りいただくことを考えております。具体的には医師、歯科医師、薬剤師のそれぞれの立場を代表する方にお入りいただきたいと考えております。
○田辺部会長 島委員、よろしゅうございますでしょうか。
○島委員 ありがとうございます。理解しました。
○田辺部会長 では、原委員、よろしくお願いします。
○原委員 ありがとうございます。
私のほうからは、今日の資料の中のマイナンバーカードを活用した医療費助成の効率化についてでございますけれども、これは非常にメリットが大きいので、積極的に進めていくべきであると考えております。
その中で、公費負担医療と地方単独医療と両方あるわけでございますが、地方単独医療のほうなのでございますけれども、8ページにそれぞれメリットが書いてありまして、自治体等というところの4つ目の矢羽の中に地単公費マスターという言葉が出てまいります。オンライン資格確認、そして、資格確認と医療費の現物給付化を実現するためには、地単公費マスターというものをしっかりつくらないとシステム的にはできません。どのくらい自治体の皆さんがこれを使いたいかということで要望が出てくるかにもよるのですけれども、少なくとも全てのものを全部システム化するとなりますと、この地単公費マスターについて作成自体も大変になりますし、また、この維持も大変になる。先ほど島委員のほうから自治体側の業務の話も出ていましたけれども、一方でこれを運営する側、地単公費マスターの管理運営を国のほうから依頼を受けて、私ども中央会・連合会のほうで今、作業を進めております。したがって、今後どのくらい活用の要望が出てくるかにもよるのですが、前々回申し上げましたように、業務の標準化みたいなことをある程度進めていただくということが場合によっては出てくるのではないかと思います。その際に、ぜひ地方自治体の皆さんにはそのことを御理解いただきたいし、また、必要な場合には国のほうで地方自治体に対して協力依頼なり、あるいは支援なりをぜひお願いしたいなということでございます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
マイナンバーカードを活用した医療費助成の効率化について、9ページの中ほどを見ますと、全国展開の体制の構築以降の運用費用案が示され、令和9年度から運用が想定されているようですが、地単公費の全国展開等のメリット等は議論に携わっている関係者は理解はしているものの、歯科診療所の現場においてはそのメリットはまだ十分に理解されておりません。
11月の本部会でも発言させていただきましたけれども、6ページも見ましても、先行実施事業に参加している市区町村数は全国1,718の市町村のまだ161市町村であり、また、本事業に協力している医療機関も限定されており、島委員も述べられましたけれども、先の長い話のように感じられます。
今後、全国展開を進めていく上で、財政規模の小さい市区町村や小規模な医療機関にあまり負担にならないよう、引き続き継続的な支援や情報提供をお願いいたしたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、北川委員、よろしくお願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。
医療DXの推進につきましては、デジタルトランスフォーメーションというのは、そもそもそれが実現した際には従来と比べて非連続的に全く新しい世界が実現するというものだと考えて、そのゴールに向かって関係者が一致して目指して努力していかなければならないものだと強く感じております。
この医療DXについては、今、各委員がおっしゃられたように、非常に多くの困難があり、また、時間が必要だと思いますので、そうした中において、国のリーダーシップの下、これが実現されるということを強く期待したいと思っております。
各論ではございますけれども、本日のペーパーの2ページ目に電子カルテ情報共有サービスの費用負担についてという案が示されておりますが、この点につきましては受益に応じた費用負担とすべきと繰り返し申し上げておりました。この中に保険者に運用費用負担を求める理由として、「被保険者がより安全で質の高い医療を効率的に受けられる」ためと記載されておりますけれども、これは医療提供体制の構築に責任を持つ主体が担うべきという論理ではないかと感じております。
そうしたことからも、8月30日の医療保険部会で紹介されました「全国医療情報プラットフォームの普及後の運用費用については、国、保険者のほか、プラットフォームの利用に係る受益者で幅広く費用負担する」という考え方に基づいて、全ての受益者が受益に応じた負担を行うということについて重ねて強くお願いしたいと思っています。加えまして、保険者に負担を求めることについては、保険料を負担する事業主や被保険者の十分な理解が得られるよう、今後その効果について具体的かつ丁寧な説明をお願いできればと思っております。
医療DXの推進については、サービスの効率化や質の向上の観点から不可欠であると考えておりますが、医療関係者の皆様がそうした趣旨を十分に理解し、まずは電子カルテ情報共有サービスが十分に普及され、患者のメリットにつながるよう、国のリーダーシップ、責任と費用負担において早急な普及に取り組んでいただくということをまずお願いしたいと考えております。
保険者の立場としまして、また健診結果の迅速な取得について、これも大変期待しております。現在、協会けんぽでは、保健指導などに生かすために特定健診や事業者健診結果を取得する際、一定の誤記載があることから、情報の確認、是正を行っているところであります。我々としましては、スピードも重要ですけれども、内容の正確性をより強く求めたいと考えております。そのため、健診実施機関から登録される健診結果の誤記載リスクへの対応について、引き続きさらなる検討をお願いしたいと考えております。
また、3ページ以降の支払基金の組織体制の見直しについては、以前申し上げた保険者をはじめとしたステークホルダーが運営会議に参画できる構成としていただきたいということを考えております。
その上で、審査支払業務については、保険者が費用負担を行う形で運営されてきておりますが、基金に新たに医療DXの業務が加わるということを踏まえまして、それらの業務に関連する基金の組織運営の費用の在り方については、これまでと異なる考え方となるということを前提に検討を進めていただきたいと考えております。
最後に、16ページ目からの救急時医療情報閲覧に関しては、患者の安心・安全につながるものであり、その費用について保険者が担うことについては一定の合理性があると認識しております。現場への着実な導入をお願いし、あわせて、今後もこうした医療情報閲覧の拡大等の制度変更につきましては、医療保険部会での説明、議論をお願いしたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
本議題につきましても、様々な御意見を賜ったところでございます。
事務局においては、このたびの各委員の意見に適切に御対応いただくことを前提に、この方向性に関しましてはおおむね御了承いただいたということでよろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、本議題についてはこれまでとしたいと存じます。
ほかに御意見等、何か全体を通じてございますか。よろしゅうございますか。
それでは、本日はこれまでとしたいと存じます。
次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
本日は、御多忙の折、御参加いただきありがとうございました。
それでは、散会いたします。