2025年1月14日 第103回社会保障審議会年金数理部会 議事録

年金局総務課首席年金数理官室

日時

令和7年1月14日 10時00分~12時00分

場所

全国都市会館 大ホール

出席者

(委員)

 翁部会長、小野委員、駒村委員、佐藤委員、庄子委員、寺井委員、野呂委員、枇杷委員


議題

  1. (1)令和5年度財政状況について-国家公務員共済組合-
  2. (2)令和5年度財政状況について-地方公務員共済組合-
  3. (3)令和5年度財政状況について-私立学校教職員共済制度-
  4. (4)その他

議事

議事内容
○楠田首席年金数理官 おはようございます。少し時間が早いのですが、皆様お集まりになりましたので、ただいまより、第103回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。
 審議に入ります前に、資料の確認をさせていただきます。
 本日準備している資料は、議事次第、委員名簿、座席図のほか、
資料1「令和5年度財政状況-国家公務員共済組合-」
資料2「令和5年度財政状況-地方公務員共済組合-」
資料3「令和5年度財政状況-私立学校教職員共済制度-」
資料4「令和5年度実績と財政検証における将来見通しとの比較」
でございます。
 次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
 本日は、山口委員から御都合により欠席される旨の連絡を受けております。
 御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
 なお、駒村委員につきましては、オンラインでの御参加でございます。
 それでは、以降の進行については翁部会長にお願いいたします。

○翁部会長 委員の皆様には、御多忙の折お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 社会保障審議会年金数理部会では、年金制度の安定性の確保に関し、毎年度報告を受けております。本日は、令和5年度財政状況について、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度の報告を聴取いたします。
 カメラの方はここで御退室をお願いいたします。

(カメラ退室)

○翁部会長 本日の聴取に当たりましては、昨年度までと同様、資料4につきましては、各共済組合等の財政状況に関する資料とは別に、各制度をまとめた形で御準備いただいております。こちらにつきましては、そのほかの資料と併せて各共済所管省から御説明をいただきますが、皆様からの御質問に対しては、財政検証について主要な役割を担う厚生労働省からも御説明をいただくこととします。
 それでは、議題1に入ります。
 本日は、お忙しい中、財務省主計局給与共済課の山本課長と武井共済計理官、国家公務員共済組合連合会の大石年金企画部長、小西資金運用部長、小林運用リスク管理室長と高橋年金企画部数理第一課長に御出席をいただいております。
 それでは、令和5年度の国家公務員共済組合の財政状況について説明をお願いいたします。

○山本給与共済課長 ありがとうございます。
 それでは、早速ですけれども、資料1を御覧ください。厚生年金保険給付を取引する厚生年金保険経理の収支状況についての推移の説明になります。
 令和5年度について御説明いたします。収入ですけれども、収入総額は3兆3296億円、それから、国家公務員の共済の会計につきましては、法令上簿価ベースを原則としておりますけれども、預託金時価ベースでは括弧書きになりまして4兆6469億円となっております。収入の内訳ですが、まず保険料収入は1兆2947億円、国庫・公経済負担2691億円、追加費用1044億円、運用収入5707億円となっております。なお、正味の運用収入では5706億円、時価ベースでの運用収入は1兆8879億円となっております。これらを利回りにいたしますと、下の欄の積立金運用利回りにございますように、簿価ベースでは8.44%、時価ベースでは22.77%となります。このほか、収入の欄に戻りまして、基礎年金交付金は165億円、厚生年金交付金1兆702億円、その他の収入40億円となっています。
 次に、支出です。支出総額は2兆9764億円となっています。内訳ですが、給付費は1兆2117億円、基礎年金拠出金は5268億円、厚生年金拠出金は1兆102億円となっております。このように、被用者年金一元化後は厚生年金交付金と厚生年金拠出金によって厚生年金勘定と共済組合等の間の交付や納付を行い、厚生年金等給付に要する費用を分担しております。地方公務員共済とは平成16年度以降の財政単位の一元化によりまして財政調整の仕組みが導入されております。これに伴う地方公務員共済への財政調整拠出金は、先ほどの次の行の2218億円が計上されております。このほか、その他の支出は58億円となっております。
 令和5年度には以上のような収入及び支出があった結果、収支残はプラス3532億円、また年度末積立金は7兆3134億円となっております。時価ベースでは、収支残はプラス1兆6705億円、年度末積立金は10兆1579億円となっております。
 2ページを御覧ください。次に、給付の状況について御説明します。まずは被用者年金一元化前に受給権が発生した共済年金受給権者と被用者年金一元化後に受給権が発生した厚生年金受給権者の合計ですが、令和6年3月末の国共済の受給権者数は、右から2番目の列の一番上の欄にありますように、合計131万8000人であり、前年度に比べプラス8,000人、0.6%の増加となっております。年金総額については、受給権者数の下の欄になりますけれども、合計で1兆4288億円、前年度比プラス30億円、0.2%の増加となっております。
 3ページを御覧ください。被用者年金一元化前に受給権が発生した共済年金受給権者の状況ですが、令和6年3月末の国共済の受給権者数は、右から2番目の列の一番上の欄にありますように、合計で75万3000人、前年比マイナス4万6000人、5.7%の減少となっております。年金総額については、下の欄になります。合計9242億円、前年比マイナス510億円、5.2%の減少です。この年金総額には日本年金機構が支払っている基礎年金給付費は含まれていませんが、昭和61年3月までに裁定された者の基礎年金に相当する分は含まれています。なお、共済年金受給権者の新規発生は原則ございませんので、減少のみとなります。
 4ページを御覧ください。被用者年金一元化後に受給権が発生した厚生年金受給権者の状況ですが、令和6年3月末の国共済の受給権者数は、右から2番目の列の一番上の欄にあるように、合計56万4000人、前年比プラス5万4000人、10.6%増となっております。年金総額につきましては、下の欄になりますが、合計で5046億円、前年比プラス539億円、12.0%の増加となります。この年金総額には日本年金機構が支払っている基礎年金給付費は含まれておりません。このように、厚生年金受給権者は新規発生により年々増加しております。なお、下の欄の特記事項(注2)にありますように、平成29年8月に施行された受給資格期間短縮の対象者は1万1266人となっております。
 5ページ、共済年金受給権者の減額支給・増額支給の状況です。令和6年3月末の男女合計につきましては、減額支給が4万5000人、増額支給が4,000人となっております。
 6ページを御覧ください。厚生年金受給権者では、令和6年3月末の男女合計で、繰上げ支給が1万2000人、繰下げ支給が8,000人となっております。なお、下の欄の特記事項にありますように、令和5年度末時点で70歳の老齢厚生年金受給権者の繰下げ状況は、繰下げ率が3%となっておりました。
 7ページを御覧ください。被用者年金一元化前に受給権が発生した共済年金受給権者と被用者年金一元化後に受給権が発生した厚生年金受給権者における老齢・退職年金の平均年金月額及び平均加入期間になります。受給権者計の令和6年3月末を御覧いただきますと、一番上の男女合計の老齢・退年相当で12万7888円でありまして、前年比プラス866円、0.7%の増加となっております。先ほど申し上げましたとおり、この平均年金月額には日本年金機構から支払われる基礎年金が含まれておりません。そこで、厚労省から提供されたデータを用いて基礎年金額を含む平均年金額を推計したところ、その下の欄を御覧いただきますと18万7115円となり、前年比プラス2,895円、1.6%の増加となります。平均加入期間は436月、前年度に比べ1月の増加となっております。下の欄の男女別ですけれども、男性の老齢・退職相当で13万683円、女性の老齢・退職相当で11万3689円となっております。
 8ページを御覧ください。共済年金の受給権者の令和6年3月末を御覧いただきますと、一番上の男女合計の退年相当で13万5439円、前年比プラス1,470円、1.1%の増加となっております。厚労省から提供されたデータを用いて基礎年金額を含む平均年金月額を推計したところ、その下の欄にありますように19万4943円、前年比プラス3,142円、1.6%の増加となっております。平均加入期間は431月、前年比に比べ0.1%の増加となっております。
 9ページを御覧ください。厚生年金受給権者の令和6年3月末を御覧いただきますと、一番上の男女合計の老年相当で11万4958円であり、前年比プラス1,796円、1.6%の増加となっております。厚労省から提供されたデータを用いて基礎年金額を含む平均年金月額を推計したところ、その下の欄にありますように17万3712円となり、前年比プラス4,616円、2.7%の増加となっております。平均加入期間は444月、前年度に比べ1月の増加となっております。
 10ページを御覧ください。厚生年金受給権者の新規裁定者に係る平均年金月額及び平均加入期間になります。平均年金月額を御覧いただきますと、一番上の男女合計で10万9586円であり、前年比マイナス661円、0.6%の減少、その下の平均加入期間は450月で、前年比7月の増加となっております。また、新規裁定者数は2万1000人、前年比1万2000人の増加となっています。なお、年金の支給開始年齢が3年ごとに引き上がっており、令和4年度に63歳から64歳に引き上がり、翌年度請求になりましたので、令和5年度は新規裁定者数が増加しております。
 11ページから13ページ、老齢・退年相当受給者の給付状況を年齢別にお示ししたものですけれども、説明を少し割愛させていただきます。
 14ページに飛んでください。被用者年金一元化前に受給権が発生した共済年金受給権者と被用者年金一元化後に受給権が発生した厚生年金受給権者について、老齢・退年相当の年齢構成と平均年齢をお示ししたものです。男性及び男女の計は70歳から75歳の階級が、女性は75歳から80歳の階級が最も大きくなっております。男女計では70歳から75歳の割合が21.5%となっており、その後、年齢階級が高くなるに従って減少しております。また、平均年齢は男性が77.0歳、女性が79.8歳で、男女合計では77.5歳となっております。
 15ページから16ページにつきましては、被用者年金一元化前に受給権が発生した共済年金受給権者と被用者年金一元化後に受給権が発生した厚生年金受給権者において、老年・退年相当、通老・通退相当の受給権者数の年金月額階級別分布をお示ししたものです。15ページを御覧いただきますと、共済年金受給権者でございますが、退年相当の男女計では、年金月額階級が13万円以上14万円未満の割合が最も高く16.4%となっており、分布の山となっております。また、通退相当・25年未満の男女計では、年金月額階級が1万円未満の割合が最も高く63.6%となっており、加入期間の短い任期制自衛官がこの階級に含まれているものと考えております。16ページの厚生年金受給権者につきまして、老齢相当の男女計において、年金月額階級が10万円以上11万円未満の割合が最も高く13.9%となっております。
 次に、被保険者の状況について御説明します。17ページを御覧ください。初めに「(再掲)短時間労働者」の欄が斜線になっておりますけれども、こちらは備考欄に記入しましたように、制度上、短時間労働者は、第2号厚生年金被保険者とならないためとなっております。また、被保険者の統計につきましても、全数調査となっています。令和6年3月末の欄を御覧いただきますと、一番上の107万1000人が被保険者数であり、前年度に比べマイナス8,000人、0.7%の減少となっております。男女別では、男性75万6000人、女性31万5000人となっており、全体の約7割を男性被保険者が占めておりますが、徐々に女性の被保険者の割合が増加してきております。その下の被保険者の平均年齢は、男女合計で42.4歳、男女別では、男性43.7歳、女性39.5歳となっており、年齢が僅かずつ上昇しております。その下の標準報酬月額の平均は、男女で42万4855円、前年比プラス6,524円、1.6%の増加です。男女別では、男性44万6980円、女性37万1768円となっております。
 その下の表の上から順番に、標準報酬月額総額は5兆4117億円であり、前年比プラス121億円、0.2%の増、さらに標準賞与総額は1兆7587億円、前年比プラス723億円、4.3%の増加、標準報酬月額総額と標準賞与総額を合計した標準報酬総額は7兆1705億円となり、前年比プラス844億円、1.2%の増加となっております。表の一番下にありますとおり、総報酬の被保険者1人当たりの月額は、男女で合計55万5918円、前年比プラス1万円、1.9%の増加となっております。男女別では、男性58万7193円、女性48万1006円となっております。
 18ページから20ページは、被保険者の年齢階級別、加入期間階級別の分布表です。18ページの男女合計では、50歳以上55歳未満の階級が15.4%と最も多くなっております。次のページの男性でも、50歳以上55歳未満の階級が16.6%と最も多くなっております。さらに、次のページの女性では、25歳から30歳未満の階級が15.9%と最も多く、45歳から50歳未満の階級、50歳から55歳未満の階級でまた山を形成しておりまして、男女とも傾向としましては、厚生年金1号被保険者とおおむね同じ傾向となっております。
 21ページを御覧いただきますと、被保険者の標準報酬月額と等級の分布となります。男女合計で65万円以上の階級が9.0%と最も多くなっておりますが、平均付近の41万円の階級も7.9%と山を形成しております。
 22ページ、厚生年金保険経理の積立金の資産構成を示しております。このページは時価ベースの欄の数値で御説明申し上げます。令和5年度末における年金積立金の合計は10兆1579億円、そのほとんどを固定資産として運用しております。固定資産の内訳は、財政融資資金への預託金1兆2589億円、有価証券等8兆6186億円となっております。預託金の時価については、財投預託金と同じ残存期間である国債の市場における利回りを基に算出しております。運用利回りとしましては22.77%となっております。表には出ておりませんけれども、資産の種類別に申し上げますと、国内債券がマイナス0.94%、国内株式が39.78%、外国債券が15.63%、外国株式が40.43%となっております。
 23ページを御覧ください。資産区分の内訳を示しております。年金積立金総額に占める割合は、国内債券21.3%、国内株式25.8%、外国債券24.2%、外国株式25.9%、短期資産2.8%となっております。
 ここで、資料4をお開きいただけますでしょうか。
 令和元年財政検証については、厚労省で作成されたものですが、将来見通しとの比較を行うため、共済組合から実績を提供させていただいております。比較に当たっては、厚生年金第1号や国民年金、基礎年金の資料と同様、実績を財政検証と比較可能な形に整えたものを用いて行っております。
 8ページを御覧ください。収支の状況についての比較表です。なお、財政検証のベースの実績においては、特記事項及び脚注に記載しているとおり、確定値のベースの額に置き換えるなど、令和元年財政検証の結果との比較のための同水準となるような組替えを行っております。また、比較については、将来見通しのケースIIIとの比較をして説明をいたします。
 収入の欄を御覧いただきますと、将来の見通しのケースIIIでは2兆8898億円に対し、実績では4兆5588億円と、プラス1兆6690億円となります。この乖離の原因ですが、時価ベースの運用収入がプラス1兆7659億円となったことで、見通しよりも運用利回りが上がったとあります。
 次に、支出ですけれども、合計の欄を御覧いただきますと、将来見通しのケースIIIでは3兆519億円に対し、実績推計は2兆9245億円と、マイナス1274億円となっております。この乖離の要因ですが、給付費がマイナス294億円、基礎年金拠出金がマイナス31億円、厚生年金拠出金がマイナス753億円、その他の支出がマイナス196億円となったことが挙げられております。給付費が見通しを2.6%下回っているのは、受給権者数の実績が見通しを下回ったことによるものです。なお、見通しは受給資格期間10年要件を考慮せずに全員裁定していることや、支給開始年齢に達している待期者は5年かけて全員を裁定していることも、実績と見通しの違いに影響しているところです。
 9ページを御覧ください。被保険者数及び受給権者数についての将来見通しと実績の比較表です。令和5年度の被保険者数は、将来見通しが104万8000人であったのに対し、実績は107万5000人と、プラス2万7000人となっております。受給権者数につきまして、将来見通しが132万2000人となっているのに対し、実績は127万9000人と、マイナス4万3000人となっております。
 10ページ以降では、各種財政指標について実績と財政検証の比較をしております。
 10ページでは、年金扶養比率について比較しております。令和5年の年金扶養比率の実績は、上の表の一番左下にありますように1.76となっております。財政検証結果でも1.76となっており、実績と同率となっております。
 11ページを御覧ください。積立比率となります。令和5年度については、実績が5.6であり、括弧内の平滑化後の比率は5.5となっております。財政検証結果では、労働参加が進むケースのうち、ケースIが4.3、ケースIIIが4.4、労働参加が一定程度進むケースが4.4となっており、実績と比較しますと、いずれも財政検証結果のほうが低くなっております。
 令和5年の国共済の状況につきまして総括いたしますと、まず収支状況については、財政検証との比較で大幅に改善しております。例えば被保険者の数は見通しを上回っているものの、賃金上昇が下回ったことなどから、保険料収入は将来見通しを下回っている。しかしながら、運用収入については、年金積立金の運用実績が好調であったことを反映し、将来見通しを大幅に上回っている。以上のことから、収入は将来見通しを上回っている。一方、受給権者数が見通しを下回ったことなどから給付費は将来見通しを下回り、支出は将来見通しを下回っている。それから、収支残が大幅に改善したことから、年度末積立金も将来見通しを大きく上回る結果となりました。さらに、年金積立金の運用については、年度により変動がありますが、令和元年度から令和5年度までの累積で見ると、運用利回りの実績が見通しを上回っており、長期的に必要となる実質運用利回りを確保してきております。もとより年金制度は長期的な制度でありまして、国共済における単年度の結果をもって長期的な年金財政への影響を直ちに判断することはできませんけれども、健全な財政運営が確保できているかどうか引き続き注視する必要がある、このように考えております。
 以上です。

○翁部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関して御質問がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 寺井委員、お願いします。

○寺井委員 御説明いただきまして、ありがとうございました。
 細部になって恐縮なのですけれども、2点質問をさせていただきたく思います。
 1点目は、資料1の1ページ、財政調整拠出金の支出がこれまでの動きと比較してみますと、令和5年度はちょっと多いと思っております。この理由につきましてお伺いできたらと思います。
 もう一点は、資料4の9ページです。被保険者数及び受給者数の比較で、通老・通退相当・25年未満の見通しと実績が異なった主な要因、2つ書かれているのですけれども、受給資格期間10年要件を考慮せずに全員裁定していることというのは厚生年金のところにもありまして、そこで理解をすることができました。今回支給年齢に達している待期者は5年かけて全員を裁定しているということが書かれていまして、裁定までにラグがあるということだと思うのですけれども、発生している理由についてお伺いできたらと思います。
 以上2点です。

○翁部会長 ありがとうございます。
 それでは、御回答をお願いいたします。

○武井共済計理官 1点目の資料1の1ページ、財政調整拠出金が今回大きく伸びている理由について御質問がありました。それについてお答えをいたします。
 財政調整拠出金が令和4年度523億円から令和5年度は2218億円ということで、伸び率として324%の伸びとなっております。これは特異な感じはいたしますが、ちゃんと説明のつくところでございます。この国共済と地共済の間では、財政調整をずっと昔から行っております。今、これは厚生年金保険経理について説明をしたのですが、旧3階と呼ばれる被用者年金一元化前の部分で経過的長期経理というものがございまして、そこで国共済は地共済から財政を拠出金という形で受け入れております。ルールとして、そこで経過的長期経理を受け入れた場合には、こちらが厚生年金保険経理のほうでその同額を反対拠出する形となっております。
 令和4年度、前年度も同じ内容について御説明をしたのですが、令和4年度には途中から、12月ぐらいだと思うのですが、国共済の経過的長期経理においては400億円弱の拠出金の受入れが始まりました。その同額を厚生年金保険経理において、この経理において地共済へ反対拠出するといった流れが始まりました。ですから、令和4年度のところでも財政調整拠出金の額が増えている状況でございます。
 今度は令和5年度、今年度の部分についてですが、令和4年度は途中から始まった、12月ぐらいから始まったものなのですが、令和5年度は4月当初から拠出金の受入れが始まって、大体下に記載をしたのですけれども、1600億円程度、それが拠出をされておりますので、同じように厚生年金保険経理においても同額を反対拠出したといったものが、その財政調整拠出金の中に含まれております。したがいまして、財政調整拠出金が令和5年度のところで額が増えていると。一言で言えば満年度化、令和4年度は12月から半年弱の額だったのですけれども、令和5年度については満年度1年間丸々財政調整を受けるといった形で、ここの額が増えているといった形となっております。
 以上です。

○佐藤数理課長 2点目について私から御説明させていただきます。
 こちら1号厚生年金で説明しておらず申し訳ありませんでしたが、取扱いとしては1号厚生年金も共済も全く同じでありまして、1号厚生年金についても同様に支給開始年齢に達している待期者については5年間かけて全員裁定しているところであります。この方々の中にはいろいろな方がいるかと思います。中には裁定を失念しているということで裁定請求していない方もいるかと思いますが、恐らくは繰下げ待期をしていて意図的に裁定していないといった方々も多く含まれるものであります。そういった方がいつ裁定手続をするか正確なところは分からないのですけれども、将来見通しにおいては一つの仮定として5年間かけて全員裁定してくるという仮定で計算しているところであります。実際には必ずしも5年間で全員裁定してくるということではないことから、見通しが上振れする要因になっていると考えているものであります。
 以上であります。

○翁部会長 どうぞお願いします。

○寺井委員 御説明ありがとうございました。
 2つ目の質問は理解することができました。1つ目の質問もなかなか難解なお答えで全てを理解するのは難しいのですけれども、私なりに解釈いたしまして、ということは、令和4年度の12月時点で制度改正のようなものが発生して、令和5年度はその影響が丸々1年続いていると。ですから、今後もこの水準の拠出金が発生するという受け取り方で合っておりますでしょうか。よろしくお願いします。

○武井共済計理官 ルールにつきましては、もともと従前より整備をされていたものですので、特にここで制度改正を行ったとか、そういった類いのものではない状況でございます。被用者年金一元化のときにこういった先々は国共済側が地共済側から財政的な拠出を受けることは見込んだ上で、想定された上で制度設計をしておりましたので、特に何かここでお金が足りなかったから急に対応したとか、そういった類いのものではありません。ただ、実際、先々はそういうことが見込まれるということでいろいろな推計もしておりましたので、それが実際に起こった形となっております。
 今後の見込みにつきましては、被用者年金一元化前の期間のある方が年金を実際に受ける際には、そういった年金を旧3階の給付を受けることになりますので、しばらくこの水準で財政調整拠出金が発生していくことになるのだろうと見込んではおります。

○寺井委員 全部を把握するのはなかなかすぐには難しいと思いますけれども、制度改革が起こったわけではないけれども、今後もこの程度の変動があり得ることについて理解したと思っております。ありがとうございました。

○武井共済計理官 分かりづらくてすみません。

○寺井委員 いえいえ。ありがとうございます。

○翁部会長 ありがとうございます。
 それでは、ほかに御質問は。
 佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 大変丁寧な御説明をありがとうございました。
 私は質問が2点ございまして、資料1の22ページ目なのですが、区分の最後のほうの流動性負債、これは他の共済とも比べてもともと割合が高いと思うのですが、令和5年度はさらに割合が増えていて、中身はどういったものでなぜ増えているのかを教えていただきたいというのが1点目の質問です。
 2点目の質問は、これは22ページ、23ページの両方に関係することなのですけれども、預託金のウエート、これは将来的に減少傾向にあるものなのでしょうかということを昨年質問させていただいて、流動性の観点からそうであると。実際に令和5年度末は減少しているわけなのですけれども、それと相まって現預金、短期資産の割合が令和4年度末に比べて減少している、これは流動性のほうが確保できたので結果的にこちらも短期資産、現預金の流動性が減ったという理解で合っているのでしょうか。
 以上2点について教えていただければと思います。

○翁部会長 御回答をお願いします。

○武井共済計理官 1点目の資料1の22ページで、流動負債の額が大きいという御指摘だったかと思います。これについてはちゃんと事情がございます。これはどういうことをやっているかといいますと、先ほど説明の中では、資産としては10兆785億円が時価評価として令和5年度は上がったという形となってございます。それは22ページの表の中でも書いてございます。令和5年度の時価ベースのところですね。その1つ左側を見ていただきますと、簿価ベースということで7兆3134億円という数字が計上されております。これは何を書いているかといいますと、厚生年金保険経理上の国の決算書上は簿価評価という形になりますので、ここに委託運用に係る未収収益等が含まれていないのですね。一方で、上の個別の資産を見ますと、未収収益というものを含んでおります。包括信託と呼ばれる5兆8535億円のところには委託運用の未収収益を含んだ形となってございます。
 一方で、その下の7兆3134億円と書いてあるところについては、委託運用に係る未収収益を含んでいない形になります。これは別に何か数字上で操作しているわけではなくて、流動負債を大きくすることによってその決算書上の積立金、その金額に単に合わせにいっているだけのことでございます。これは致し方なくて、国の決算書上、そこの未収収益を含めない数字にするわけですから、仕方がないのでそこの流動負債のところで委託運用の未収収益を控除するような形となってございます。実際に流動負債はこんなに全然大きくはありませんので、そこは御理解いただければと思っております。申し訳ございません。

○小西資金運用部長 2点目について国家公務員共済からお答えさせていただきます。
 短期資産が減っている理由ですけれども、令和5年度の2800億円ぐらいの短期資産の金額は大体平時の数字でございます。ただ、これは年金の支給の月とその前の月で多少前後があります。令和4年度の4000億円近い数字ですが、国内債券のパッシブファンドの設定を検討しておりましたので、意図的に短期資産が積み上がりました。振り返っていただきますと、この頃は金利の上昇が期待されていた時期でもありまして、タイミングを見計らいながらというのと事務的な設定手続などもありまして、この期間はちょうど先ほど申し上げましたようにパッシブファンドの設定を控えていたということでございます。ピンポイントで3月末の状況で切っていますから、こういった数字になっているということでございます。

○佐藤委員 大変よく分かりました。ありがとうございます。

○翁部会長 そのほかに御質問はございますでしょうか。
 野呂委員、お願いします。

○野呂部会長代理 被保険者数につきまして2点ほど御質問いたします。今回も被保険者数8,000人減少ということで、特に男性の被保険者数が減ってきているのですけれども、去年も自衛隊員の方の募集の影響というご説明がありましたが、令和2年からずっと特に男性の被保険者数が減っているという理由は主にそこだという理解でいいのかというのが1点。
 もう1つは、18ページの年齢別のところですけれども、60歳以上の方は再任用のフルタイムの方だけが入っているのではないかと思うのですが、今後定年延長が予定されている中で、この60歳以上の年齢ゾーンは被保険者数が増えていくという見通しでいいのかどうか、この2点について教えてほしいと思います。

○翁部会長 御回答をお願いします。

○武井共済計理官 御質問ありがとうございます。お答えします。
 被保険者数の減少についての御質問がありました。昨年度の説明で被保険者の主な減少の要因はということで、恐らく日本郵政の共済組合の採用の抑制だとか、あるいは防衛省の自衛官の減少だとか、そういったところが挙げられたかと思うのですけれども、この流れは今年度令和5年度も続いております。ですから、委員のおっしゃるような認識でお間違いはございません。それが続いたということです。
 2点目、資料1の18ページでの御質問で、被保険者数の分布ということでしたか。増える見通しなのかということですね。おっしゃるとおり60歳以上のフルタイム再任用者がおります。そういった方は国共済の被保険者の中に含まれております。一方で、定年延長は令和5年度から始まったものだと認識しておるのですが、今後の定年延長による60歳以上の加入者の増加も当然見込まれてくるところという形となっております。現在、それが令和6年度、ちょうど61歳になる方が定年退職なさるという形にはなるかと思うのですが、今後のその推移につきましては、今はフルタイムで働かれている方が退職するというのと、そういった形で定年延長という形で60歳以上の方が増えていくといったところで、それぞれ影響があるかと思うのです。実際にそれが現在の状況の中で、令和6年度が始まったばかりの状況で、そこは今後の推移を見ていかないと、今後ずっと増えていくとか、定年延長しても減少していくとか、その辺は今の段階で申し上げることはできないのですけれども、そういったことは当然想定されるという形となっております。だから、今後も注視して見ていく形にはなってくるかと思います。指摘の点はおっしゃるとおりかと思います。そこは見ないといけないと考えております。

○野呂部会長代理 ありがとうございます。
 今後の被保険者については、増加しそうな要因と、募集などの困難で予定どおりいかない要因など、結構いろいろな要因があるということで理解しました。ありがとうございました。

○武井共済計理官 おっしゃるとおりだと思います。

○翁部会長 ありがとうございます。
 そのほかにございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、以上で国家公務員共済組合についての報告の聴取を終わりたいと思います。
 続いて、議題2に移りまして、地方公務員共済組合について報告を聴取いたします。
 本日は、総務省自治行政局公務員部福利課の宮本課長と工藤数理官、地方公務員共済組合連合会の岡資金運用部長、福嶋年金業務部長、鈴木資金運用部自家運用課長と吉平年金業務部数理課長に御出席をいただいております。
 それでは、御説明をお願いいたします。

○宮本福利課長 総務省福利課長の宮本でございます。本日はよろしくお願い申し上げます。
 それでは、地方公務員共済組合の令和5年度財政状況について資料に沿って御説明申し上げます。
 資料2を御覧くださいませ。
 1ページ目の収支状況になります。厚生年金保険経理の令和5年度について御説明を申し上げます。
 まず、収入の部分になります。一番上の欄の収入総額は9兆9519億円となってございます。以下、その内訳になりますが、保険料は3兆4174億円となってございます。国庫・公経済負担は6862億円となっております。追加費用につきましては2493億円となってございます。そして、運用収入につきましては1兆9444億円となってございます。また、有価証券売却損あるいは運用手数料などを除きました正味の運用収入につきましては1兆9345億円となってございまして、さらに正味の運用収入に評価損益、これが3兆6271億円になりますが、これらを加味した時価ベースでの運用の収入といたしましては5兆5616億円となってございます。そして、基礎年金交付金につきましては375億円となってございます。厚生年金交付金は3兆3934億円となってございます。財政調整拠出金の収入につきましては2218億円でございまして、前年度と比較いたしますと1695億円、324%の増加となってございます。その他につきましては19億円でございます。
 次に、支出でございますけれども、支出総額は8兆1324億円となってございます。以下、その内訳でございますけれども、給付費は3兆7141億円となってございます。基礎年金拠出金につきましては1兆3587億円となってございます。厚生年金拠出金につきましては3兆420億円となってございます。その他が177億円となってございます。そして、収入総額から支出の総額を差し引きました収支残につきましては1兆8194億円となってございます。なお、時価ベースでの収支残は5兆4465億円となってございます。その下を御覧いただきまして、年度末積立金につきましては22兆8572億円となっており、積立金運用利回りにつきましては9.02%となっているところでございます。また、時価ベースの年度末積立金につきましては30兆3997億円となってございまして、同じく時価ベースの積立金運用利回りにつきましては21.92%となっているところでございます。
 以上が令和5年度の厚生年金保険経理の収支概要となってございます。
 次に、給付状況について御説明申し上げます。2ページでございますけれども、ここには共済年金と厚生年金を合計いたしました受給権者の数が記載されてございます。令和6年3月末の欄を御覧いただきますと、受給権者数は合計321万2000人となってございまして、前年度に比べますと1万4000人、0.4%の増加となっているところでございます。また、年金総額につきましては4兆3492億円でございまして、前年度に比べて297億円、0.7%の増加となってございます。内訳等については記載のとおりでございます。
 次に、3ページにお進みいただきまして、共済年金受給権者について御説明申し上げます。令和6年3月末の欄を御覧いただきますと、受給権者数は174万3000人となってございまして、前年度と比べまして10万人、5.4%の減少となってございます。また、年金総額は2兆6460億円となってございまして、前年度と比べると1218億円、4.4%の減少となってございます。なお、共済年金につきましては、新規の受給権者は原則発生しておりませんで、死亡失権等による減少のみという状況になってございます。
 次に、4ページにお進みくださいませ。厚生年金受給権者について御説明申し上げます。令和6年3月末の欄を御覧いただきますと、受給権者数は147万人となってございまして、前年度と比べますと11万4000人、8.4%の増加となってございます。また、年金総額につきましては1兆7032億円となっておりまして、前年度と比べますと1515億円、9.8%の増加となっているところでございます。厚生年金の受給権者数につきましては、新規発生によって毎年度増加する傾向にございます。
 次に、5ページにお進みいただきまして、共済年金の受給権者について減額、増額別に表した表となってございます。減額支給の受給権者数につきましては、令和6年3月末で4万3000人、その年金総額は601億円となってございます。また、増額支給の受給権者につきましては、令和6年3月末で8,000人、その年金総額は108億円となってございます。
 1ページお進みいただきまして、6ページになります。厚生年金受給権者につきまして、繰上げ、繰下げ別に表したものとなっております。繰上げ支給の受給権者につきましては、令和6年3月末で1万8000人、その年金総額といたしましては147億円となってございます。また、繰下げ支給の受給権者につきましては、令和6年3月末で1万2000人、その年金総額は136億円となってございます。なお、特記事項が一番下にございますけれども、ここに記載してございますとおり、70歳の繰下げ率は1.4%となっているところでございます。
 7ページにお進みいただきまして、共済年金の受給権者と厚生年金の受給権者を合わせました受給権者全体の平均年金月額及び平均加入期間についての表となってございます。令和6年3月末の老齢・退年相当の平均年金月額につきましては13万2666円で、前年度に比べまして984円、0.7%の増加となってございます。その1段下を御覧いただきますと、基礎年金を含めた平均年金月額を記載してございます。金額といたしましては19万847円、前年度に比べますと3,233円、1.7%の増加となっているところでございます。さらに2段下に下がっていただきまして、平均加入期間につきましては434月となってございます。
 1ページお進みいただきまして、8ページでございます。共済年金受給権者の平均年金月額及び平均加入期間についての表となってございます。令和6年3月末の退年相当の平均年金月額につきましては14万4404円で、前年度に比べますと1,741円、1.2%の増加となってございます。その1段下を御覧いただきますと、そこに基礎年金を含めた平均年金月額を記載してございます。金額につきましては20万3688円、前年度に比べますと3,291円、1.6%の増加となってございます。さらに2段下にお進みいただきまして、平均加入期間につきましては426月となってございます。
 1ページお進みいただきまして、9ページでございます。厚生年金受給権者の平均年金月額及び平均加入期間についての表となってございます。令和6年3月末の老齢相当の平均年金月額につきましては11万7637円で、前年度に比べまして1,813円、1.6%の増加となってございます。その1段下を御覧いただきますと、そこに基礎年金を含めた平均年金月額を記載してございます。金額につきましては17万4405円、前年度に比べますと5,250円、3.1%の増加となっているところでございます。さらに2段下がっていただきまして、平均加入期間につきましては443月となっているところでございます。
 1ページお進みいただきまして、10ページでございます。新規裁定者に係る平均年金月額及び平均加入期間についての表となってございます。令和5年度におけます平均年金月額につきましては11万3360円となっているところでございます。その1段下にお下がりいただいて、平均加入期間につきましては449月となっているところでございます。
 そして、11ページ以降につきましては、老齢・退年相当の受給権者につきまして、男女別、支給区分別、年齢別に集計した表となってございます。
 続きまして、14ページまでお進みいただきまして、老齢・退年相当の受給権者数を年齢階級別に整理した表となってございます。御覧いただきますと、男性女性ともにいわゆる団塊の世代に当たる年齢でございます70歳、75歳、この階級が最も多くなっているところでございます。平均年齢につきましては、男性が75.79歳、女性につきましては76.72歳、男女合計としては76.14歳となっているところでございます。
 次に、17ページまでお進みいただきまして、被保険者の状況について御説明申し上げます。まず、被保険者数でございますけれども、令和6年3月末現在で293万7000人、前年度に比べますと2,000人、0.1%の増加となってございます。また、平均年齢につきましては、全体では42.9歳、男性が43.7歳、女性が41.7歳となっているところでございます。標準報酬月額の平均につきましては41万1869円でございまして、前年度から2,057円、0.5%の増加となっているところでございます。
 下の表を御覧いただきまして、令和5年度の標準報酬月額の総額を御覧いただきますと14兆3727億円、標準賞与総額といたしましては4兆7127億円、標準報酬総額といたしましては19兆854億円となっているところでございます。
 続きまして、お進みいただいて22ページまで飛んでいただきまして、積立金の運用状況について御説明申し上げたいと思います。令和5年度末におけます厚生年金保険給付積立金の総額につきましては、簿価ベースで22兆8572億円、時価ベースで申し上げますと30兆3997億円となっているところでございます。
 資産区分別の状況につきましては、23ページに記載してございます。構成割合につきましては、一番右の時価ベースを御覧いただきますと、国内債券につきましては21.7%、国内株式が25.6%、外国債券が23.5%、外国株式が25.7%、短期資産が3.5%となっているところでございます。
 続きまして、資料4をお開きくださいませ。地方公務員共済組合の令和5年度の財政状況につきましては以上でございましたけれども、続きまして、資料4につきまして御説明申し上げます。
 通し番号で申し上げると、14ページをお開きくださいませ。収支状況の比較について申し上げます。令和元年の財政検証における将来見通しはケースIIIについて申し上げたいと思います。
 まず、収入について申し上げます。保険料の令和元年財政検証の将来見通しにつきましては3兆4844億円となってございましたけれども、これに対しまして実績が3兆4174億円でございます。また、運用の収入につきましては、将来見通しにおいては3592億円となっていたところでございますけれども、実績が5兆5616億円となってございます。そして、その他ですけれども、将来見通しでは2531億円となっておったものに対して、実績が2398億円となっているところでございます。このようなことから、収入の計のところでは、将来見通しにおいては8兆3452億円となってございましたものが、実績においては13兆3469億円となっているところでございます。
 続きまして、表の右側の支出でございますけれども、給付費の将来見通しにつきましては3兆5063億円に対しまして、実績が3兆4270億円となってございます。また、基礎年金拠出金の将来見通しにおきましては1兆4845億円となっていたものでございますが、実績が1兆4635億円、厚生年金拠出金の将来見通しにおいては3兆2341億円に対しまして、実績が3兆950億円となってございます。このようなことから、支出の計につきましては、将来見通しでは8兆2311億円に対しまして、実績が7兆9934億円となってございます。収支残の将来見通しに関しましては、プラス1142億円だったものに対しまして、実績がプラス5兆3535億円となってございます。
 続きまして、通し番号15ページにお進みいただきまして、被保険者数及び受給者を比較したものとなってございます。こちらにつきましても、厚生年金の財政検証結果との比較を行うに当たりまして、下の特記事項に記載した方法によりまして数値を作成しているということを付言させていただきます。被保険者数につきましては、将来見通しにつきましては278万7000人とされておりましたけれども、令和5年度の実績ベースでは294万3000人となっているところでございます。令和2年度以降、被保険者数の実績が見通しを上回ってございますけれども、この原因につきましては、児童相談所の体制強化などの子育て支援への対応あるいは防災・減災対策、観光や地方創生などへの対応によりまして、地方公共団体の職員数が令和2年度以降増加傾向にあることが要因ではないかと考えられるところでございます。受給者数につきましては、将来見通しでは313万3000人とされているところでございますけれども、令和5年度の実績は308万3000人となってございます。年金種別ごとの受給者数は、それぞれ右に記載させていただいているとおりでございます。
 次に、通し番号の16ページにお進みいただきまして、年金扶養比率に関して比較したものを掲げてございます。財政検証結果の将来見通しにおいては1.39とされていたところでございますが、令和5年度の実績については1.46となっているところでございます。
 次に、通し番号の17ページにお進みいただきまして、積立比率について申し上げます。財政検証結果のケースIIIにおきましては5.6とされていたところでございますけれども、令和5年度の実績では7.0となっているところでございます。
 最後に、通し番号18ページが総括となってございまして、財政検証の結果と比較しますと、大幅に改善していることが言えるかと思います。保険料の収入につきましては、将来見通しを下回ってはいるところですけれども、運用収入が見通しを大幅に上回ったことから、収入が将来見通しを大幅に上回ってございます。一方、受給権者数が見通しを下回ったことなどから給付費は将来見通しを下回って、支出が将来見通しを下回ってございます。この結果といたしまして、年度末の積立金が将来見通しを大幅に上回る結果となってございます。年度の結果については、以上のように例えば年金積立金の運用実績はばらつきがございますけれども、令和5年度までの累積で御覧いただきますと、運用利回りの実績が見通しを上回ってございまして、長期的に必要となる実質運用利回りを確保していると言えるかと思います。今後も引き続き健全な財政運営が確保できるかどうか注視してまいりたいと考えているところでございます。
 私からの説明は以上になります。よろしくお願い申し上げます。

○翁部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関しまして御質問がございましたらお願いいたします。
 庄子委員、お願いします。

○庄子委員 御説明ありがとうございました。
 質問というか私の理解が正しいかという確認を2点させていただきたいと思います。
 1点目ですが、国共済と地共済両方の1ページ目のところで、先ほど寺井委員から御質問がありました国共済の財政支出拠出金の金額は、同額が地共済の財政調整拠出金収入の額になっており、ここで先ほどの厚年経理に関する部分の財政の国共済から地共済への移管がされていると理解しているのですが、それでよろしいでしょうか。
 2点目ですが、これも同じく国共済と地共済と両方を並べて見ていまして、9ページ目と10ページ目、これは今年だけの話ではないので以前にお伺いすればよかったのですが、9ページ目が一元化後に受給権が発生した方の年金額や加入月数で、10ページ目が新規裁定者ですが、特に男性に着目しますと、平均加入月数が大きくは変動していない中で、平均年金月額の金額が若干新規裁定者が下回っているように見えます。これは平均報酬月額が低下していることが理由になると思うのですが、この理解が国共済、地共済とも正しいか、お教えいただければと思います。
 以上でございます。

○工藤数理官 御質問ありがとうございます。
 1点目の御質問でございますが、資料の1ページ目の財政調整拠出金の収入と支出欄の拠出金の額ですね。国共済と地共済、同額入りと出がこちらは計上されてございますので、委員御指摘のとおりの理解で結構かと存じます。
 2点目については、手元に資料がございませんので、こちらにつきましては、確認の上改めて御説明をさせていただければと存じます。よろしくお願いいたします。

○翁部会長 国共済のほうもいかがですか。

○武井共済計理官 この10ページなのですが、これは新規裁定者ということで、主にどういう方が新規裁定者になるかというと、これは特別支給の老齢厚生年金という2階の報酬比例部分のみを受給されている方が主にこの新規裁定者の中で計上されている形となってまいりますので、その一部だけをもらっている方がここの数字として計上されてまいりますので、若干そこのところは少なく出てくるかとは認識はしております。

○庄子委員 ありがとうございます。
 9ページと10ページの男性の平均年金月額の欄に記載されている金額は、給付の内容が異なるという御説明と理解してよろしいですか。

○武井共済計理官 対象の一部と御理解いただければと思います。新規裁定者のみを10ページは掲載している形となっておりまして、9ページについては新規裁定者以外の既に裁定されている方も含んだ形での金額となってまいりますので、それで差は生じてくるかとは思います。

○庄子委員 全体と新規裁定者の金額が異なるということは、新規裁定者の方々の加入期間があまり変わらない中では平均報酬月額が低下していることが理由と私は理解したのですが、その理解が正しいかということが御質問だったのですが、またお教えいただければと思います。

○武井共済計理官 確認いたします。

○翁部会長 分かりました。それでは、よろしくお願いいたします。
 小野委員、お願いします。

○小野委員 ありがとうございます。
 私からは3ページと4ページにある給付状況についてです。細かい御説明がなかったので教えていただきたいのですけれども、給付種類別に見て、私は障害年金に着目しました。まず一元化前ですが、3共済を比較してみると、障害年金に関しては全額支給の方の割合が地共済だけかなり低いですね。他が6割程度ですけれども、地共済は4割程度ということになっております。全額停止に関しては逆になりまして、地共済は5割をちょっと超えていますが、他は3割程度ということになっています。これだけ全額停止の人数が多い理由があったら教えていただきたいということです。
 この傾向は一元化後でも若干残っておりまして、地共済の全額停止の割合は4分の1程度ですが、他の共済はその半分程度ということになっていまして、若干一元化前の傾向が残っているとお見受けしました。
恐らく支給停止の条件が一元化の前後で変わっているのだろうと思います。そこでお伺いしたいのですが、まず一部支給ですが、障害年金の一部支給は旧3階部分は在職中の支給停止になると思いますが、一元化後の厚年部分の障害年金は原則としては支給されるのではないかと思います。一部停止というのはそういう人の旧3階部分の在職中の支給停止を受けていると理解してよろしいのかどうかということです。
 それから、全額停止というのは、障害年金の受給権は発生しているのだけれども、ほかの年金の受給権もあって、例えば老齢厚生年金の受給をするということで、そちらを選択したので障害年金は全額停止になっているという理解で良いでしょうか?いろいろ考えたのですが、私は障害年金についてはあまり詳しくないので、地共済が他の共済と比べて数字の傾向が違っている要因と、今申し上げました一元化前後の支給停止の条件の変化などについて交えて解説いただければと思います。
 以上です。

○工藤数理官 御質問ありがとうございます。
 今の御質問に的確に現時点でお答えできる資料等がございませんので、こちらにつきましても改めて準備の上御回答させていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○翁部会長 よろしくお願いいたします。
 御質問、ほかにいかがでございますか。
 お願いします。

○野呂部会長代理 資料2の最後の23ページで、事務局へのお願いかも分からないのですけれども、国共済、国内債券の内訳が全体合計とぴったり一致しているのですが、私学共済さんと地共済さんはほとんど内訳といってもごく一部なので、もし可能であれば、せっかく内訳を書くのであれば、金利変動局面なので、国内債券の内訳の中身が分かるような形で、来年度以降フォーマットを変えるような工夫がいただけたらと思います。
 以上です。

○楠田首席年金数理官 事務局でございます。
 今まで再掲という形で事務局が用意しているものについて該当するものを各共済さんに書いていただいているのですけれども、ちゃんと内訳の全体像が分かるような形で次回からフォーマットを修正させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○翁部会長 それでは、よろしくお願いいたします。
 それでは、追加的に御質問がないようでしたら、こちらで地方公務員共済組合についての報告の聴取は終わりたいと思います。
 続きまして、議題3に移りまして、私立学校教職員共済制度について報告をお願いいたします。
 本日は、文部科学省高等教育局私学部私学行政課私学共済室の山脇室長と三田室長補佐、日本私立学校振興・共済事業団の佐藤数理統計室長、大山数理統計室参事、資産運用部の廣田部長と荒井運用第一課長に御出席いただいております。
 それでは、御説明をお願いいたします。

○山脇私学共済室長 御紹介ありがとうございます。文部科学省私学共済室長の山脇でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、資料3の御説明をさせていただきたいと思います。
 1ページをまず御覧いただければと思います。こちらは厚生年金勘定・厚生年金経理分の収支状況が記載されておりますが、令和5年度でございます。
 まず、収入総額になりますが、1兆2393億円、2段目の括弧書き、これは時価ベースでございますが、1兆7372億円となっております。内訳でございますが、保険料は5334億円、国庫負担は1230億円、運用収入は簿価ベースで2493億円ですが、これに年度末積立金の評価損益の増減分を加算した時価ベースになりますと7472億円となっております。続きまして、厚生年金交付金でございますが、2923億円、その他は都道府県補助金及び厚生年金勘定・職域年金経理からの保険料軽減分受入れに相当する額等としての404億円を計上しております。
 次に、支出欄を御覧ください。支出総額でございますが、9052億円となっております。内訳は、給付費は3088億円、基礎年金拠出金は2429億円、厚生年金拠出金は3505億円となっております。その他は事務費繰入れ等で30億円となっております。
 次に、収支残でございますが、簿価ベースで3341億円、時価ベースで8320億円となっております。年度末積立金については、簿価ベースで2兆9447億円、時価ベースで4兆89億円となっております。最後に、積立金運用利回りでございますが、簿価ベースで9.29%、時価ベースで22.98%となっております。
 次に、2ページを御覧ください。給付状況について御説明いたします。共済年金と厚生年金を合計した受給権者全体の合計ですが、令和6年3月末で受給権者数は62万1400人、前年度と比較しまして1万8900人、3.1%増加しております。年金総額は、合計が3718億5000万円で、前年度と比較して90億6000万円、2.5%増加しております。
 次に、3ページを御覧ください。2ページの内訳でございまして、これは共済年金受給権者の状況です。令和6年3月末で受給権者数は29万3000人、前年度末と比較しまして1万2900人、4.2%減少し、年金総額は2301億6000万円、前年度末と比較して70億6000万、3.0%減少しております。
 4ページを御覧ください。これも2ページの内訳でして、厚生年金受給権者の状況になります。令和6年3月末で受給権者数は32万8400人、前年度末と比較して3万1900人増加し、年金総額は1416億9000万円で、前年度末と比較して161億2000万円増加しております。
 続きまして、5ページを御覧ください。こちらは共済年金における減額支給及び増額支給の状況です。令和6年3月末で減額支給の人員は1,200人、年金総額は7億4000万円となっております。増額支給の人員は1万5900人、年金総額は175億円となっております。
 6ページを御覧ください。厚生年金における繰上げ支給及び繰下げ支給の状況です。令和6年3月末で繰上げ支給の人員は4,700人、年金総額は8億5000万円となっており、繰下げ支給の人員は1万400人、年金総額は91億2000万円となっております。
 7ページを御覧ください。共済年金と厚生年金を合計した受給権者全体の平均年金月額及び平均加入期間の状況ですが、令和6年3月末で老齢・退年相当の平均年金月額は13万3995円、前年度末に比べ1,416円、1.1%増加しております。基礎年金を含めた平均年金月額は19万2027円で、前年度末より3,305円、1.8%増加、平均加入期間は410月となっております。
 8ページを御覧ください。7ページの内訳でございまして、共済年金受給権者の状況です。令和6年3月末の退職年金の平均年金月額は14万4158円で、前年度末に比べ1,922円増加、基礎年金を含めた平均年金月額は20万3218円で、前年度末より3,278円増加、平均加入期間は402月となっております。
 次に、9ページを御覧ください。7ページの内訳、厚生年金受給権者の状況でございます。令和6年3月末の老齢年金の平均年金月額は11万7638円で、前年度末に比べ2,689円増加、基礎年金を含めた平均年金月額は17万4014円で、前年度末より5,771円増加、平均加入期間は424月となっております。
 10ページを御覧ください。厚生年金における新規裁定の老齢相当の平均年金月額の状況です。令和5年は11万8944円で、前年度に比べ788円、0.7%増加、平均加入期間は427月となっております。
 続いて、14ページを御覧いただければと思います。こちらは老齢・退職年金受給権者(老齢・退年相当)の年齢構成です。年金受給権者数の合計は約14万人、平均年齢は76.7歳です。男女ともに70歳以上75歳未満の割合が最も高くなっております。
 15ページを御覧ください。共済年金における年金月額の分布状況です。退年相当では、男性は17万円以上18万円未満が8.97%、女性は12万円以上13万円未満が6.83%、男女合計では15万円以上16万円未満が7.32%でそれぞれ最も多くなっております。また、通退相当では、男性女性とも1万円未満の区分の人数が最も多くなっています。
 16ページを御覧ください。こちらは厚生年金における年金月額の分布状況です。老齢相当では、男性は13万円以上14万円未満が10.56%、女性は10万円以上11万円未満が9.62%、男女合計では11万円以上12万円未満が9.21%でそれぞれ最も多くなっております。また、通老相当では、男性女性とも1万円未満の区分の人数が最も多くなっております。
 続きまして、17ページを御覧ください。被保険者の状況になります。令和6年3月末で被保険者数は60万900人、前年度末に対して5,400人、0.9%の増加となっており、増加の大部分を女性が占めておりまして、これは全体の大学の規模も大きいということ、続いて幼稚園の規模も大きいということもございますが、この増えている要因としては、大学病院の看護師あるいは認定こども園の教諭などの増加が要因の一つとして考えられると考えております。また、被保険者の平均年齢でございますが、43.5歳、男性は47.3歳、女性は41歳となっております。標準報酬月額の平均でございますが、37万106円で、前年度末に比べ1,610円増加しております。
 次に、標準報酬月額総額でございます。令和5年度で2兆6568億円、前年度に比べて397億円増加、標準賞与総額については7249億円で、前年度に比べて70億円増加、総報酬ベースでは3兆3818億円となっております。また、被保険者数の年度間平均は60万3000人で、前年度と比べ6,800人増加、標準報酬総額の1人当たり月額は46万7318円で、前年度に比べて1,178円増加しております。短時間労働者については再掲で記載しておりますが、令和6年3月末で被保険者数は1万200人、前年度末に対して1,100人、12.3%の増加となっております。
 続きまして、18ページを御覧ください。被保険者の分布状況になります。加入期間別、年齢階級別にお示ししてございますが、年齢階級で一番割合の高い区分は25歳以上30歳未満で13.2%となっております。以降、50歳代まで約11%前後で推移いたしますが、60歳以上の加入者も相当程度おりまして、60歳以上65歳未満の8.8とその次の65歳以上4.4を足しますと13.2%という数字になっております。
 続きまして、19ページを御覧ください。こちらは18ページの内訳、男性の加入状況の分布になります。25歳未満の割合が低くて、25歳から60歳代前半までの各層にほぼ均等に分布しております。
 続きまして、20ページを御覧ください。こちらは女性の加入者の分布になります。男性の分布と異なりまして、25歳以上30歳未満の割合が最も高いものの、20歳以上から60歳未満まで比較的均等に分布しています。また、加入期間5年未満の34.6%と5年以上10年未満の24.2%で合計しますと、10年未満が58.8%ということで、加入期間が短い者が多いという特徴がございます。
 続きまして、21ページを御覧ください。標準報酬月額等級の分布状況になります。男性は上限65万円のところが19.05%と最も高い割合になっております。一方、女性は20万円台を中心に分布し、24万円のところが9.12%と最も高い割合になっております。
 続きまして、22ページを御覧ください。こちらは積立金の運用状況でございます。厚生年金勘定・厚生年金経理についてでございますが、令和5年度末の積立金は、簿価ベースで合計2兆9447億円、時価ベースで4兆89億円となっております。また、運用利回りにつきましては、簿価ベースで9.29%、時価ベースで22.98%となっております。
 23ページは、資産区分別の状況を記載しております。
 資料3については以上とさせていただければと思います。
 続きまして、資料4、通し番号が19ページになりますが、こちら以降、私立学校教職員共済制度についての状況を御説明させていただければと思います。
 20ページを御覧いただければと思います。収支状況の比較でございますが、収入の将来見通しは合計で1兆1169億円でしたが、財政検証ベースの令和5年度の実績は1兆7647億円で、6478億円多くなっております。内訳を見ますと、保険料については5732億円で、将来見通し、基本的にケースIIIで御説明させていただきますが、こちらよりも、小数点の関係で机上の資料と少し誤差があるのですが、273億円少なくなっております。また、運用収入が7472億円と、将来見通しよりも7004億円多くなっております。
 次に、支出の将来見通しは合計で1兆59億円でしたが、これに対して財政検証ベースの令和5年度の実績は9434億円で、624億円、これも小数点の関係で資料とは多少誤差が生じておりますが、少なくなっております。このうち、給付費については3076億円で、将来見通しよりも237億円少なくなっております。この結果でございますが、収支残につきましては、将来見通し上1110億円であったのに対して、財政検証ベースの実績は8213億円と、7102億円、これも小数点の関係で多少誤差はございますが、これだけ多くなっております。また、年度末積立金については、将来見通し上は2兆7693億円でしたが、財政検証ベースの実績は4兆52億円、平滑化後は3兆6971億円となっております。
 続きまして、21ページを御覧ください。被保険者数及び受給者数の比較でございます。こちらは被保険者数の令和5年度の実績は60万3000人で、将来見通しの58万3400人を1万9600人上回っております。受給者数の実績は59万8700人で、将来見通しの66万700人より6万2000人少なくなっております。
 続きまして、通し番号の22ページを御覧ください。こちらは財政指標の比較になります。年金扶養比率は、令和5年度の決算結果(実績)でございますが、これは4.35、令和元年財政検証結果上の令和5年度の年金扶養比率よりも0.34ポイント高くなっております。
 続いて、23ページを御覧ください。積立比率でございます。令和5年度の将来見通しは5.0のところ、財政検証ベースの実績は6.4となってございます。
 続きまして、最後になります。総括のところです。非常に簡易な記載で恐縮でございますが、収支状況につきましては、収入に関して運用収入が将来見通しを大幅に上回る好調ぶりであったほかは、おおむね例年どおりの状況と考えておりますが、将来見通しを下回った保険料収入に関しては、将来見通しにおいて賃金上昇率に比例して標準報酬総額も上がって、その結果、保険料につながっていくのではないかと思っていたのですが、実際は賃金上昇率あるいは標準報酬総額は見通しを下回ったといったところが影響していると考えております。一方、支出に関しては、受給者数が将来見通しを下回って給付費が将来見通しを下回ったことなどにより、将来見通しを下回っております。この結果、収支残は大幅に将来見通しを上回っております。被保険者数でございますが、こちらは経済要素と並んで年金財政上の重要な要素と理解しておりますが、令和5年度実績の将来見通しとの比較においては約2万人上回るとともに、実績値の比較においても増加傾向となっております。積立金の運用状況につきましては、長期的に見て年金財政上必要な運用利回りを確保しておりますが、今後とも様々な状況に留意して適切に運営していくものと考えております。
 私からの説明は以上でございます。

○翁部会長 どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明に関しまして御質問がございましたらお願いいたします。
 枇杷委員、お願いします。

○枇杷委員 御説明ありがとうございました。
 3点御質問させていただきたいと思います。
 1ページ目の保険料の収入の増加が3.7%あったということで、後ろのページで総報酬の伸びが1.4%ということよりも大分大きくなっているということなのですけれども、これは私の理解としてはまだ保険料の引上げが段階的に行われていることが理由だと理解をしておりまして、その理解でよいかどうかというのと、これはいつ完了するのでしたでしょうかという確認が1点ということでございます。
 2点目と3点目は、もしかしたら去年も同じことを聞いているかもしれないので恐縮なのですけれども、4ページ目に特記事項で「最初に年金を決定した時に期間短縮者であった者は」という、この期間短縮者がどういう意味なのかが分からなかったので教えていただきたい。
 3点目は、6ページ目でこの繰上げ、繰下げの状況が書かれている中で、下の段の70歳の退職共済年金受給権者の繰上げ状況の話なのですけれども、これは国共済、地共済にはない概念だったのでこちらの御説明をいただきたい。
 以上3点です。よろしくお願いします。

○山脇私学共済室長 ありがとうございます。
 最初の保険料の伸びと標準報酬の伸びとの関係でございますが、委員の御指摘、御認識のとおりでございまして、基本的にはこの保険料の引上げの影響が大きくあると思っております。大体はこちらの要因でカバーできるのですが、あとは全体的に加入者も増えておりますので、そういったところがこの要因なのかと思っております。

○大山数理統計室参事 2番目の期間短縮者でございますけれども、これは平成29年8月に10年のほうに受給資格期間が短縮されましたので、その影響で新たに年金決定した者の人数でございます。
 3番目の繰下げのところですけれども、これは我々だけ記載しておりますけれども、共済年金者で70歳時点で繰上げをしている者がほとんどでして、300人ほどいるのですけれども、これを分母の退職共済年金と老齢厚生年金で割ったものが大体1.1%という数字になっております。
 保険料の引上げの完了時期ですけれども、令和9年4月に18.3%に一元化法附則で到達するということでございます。

○枇杷委員 ありがとうございます。
 1点目と3点目の後半のほうがよく聞き取れなくて、申し訳ございません。まず、保険料の引上げの完了は令和何年とおっしゃいましたですか。

○大山数理統計室参事 令和9年の4月に附則で18.3%に到達すると。

○枇杷委員 9年ですね。

○大山数理統計室参事 はい。

○枇杷委員 分かりました。
 それから、退職共済年金受給権者の繰上げのお話がよく聞き取れなくて。

○大山数理統計室参事 3点目でよろしいですか。

○枇杷委員 はい。

○大山数理統計室参事 70歳時点でということですので、ほぼ該当者の繰上げ者が全員退職共済年金者ということで、300人ほどいるのですけれども、これを厚生年金と退職共済年金で割ったものが大体1.1%ということになっております。

○枇杷委員 私の制度の理解が追いついていないので、今のでは分からなかったのですけれども、勉強します。ありがとうございます。

○翁部会長 そのほかに御質問は。
 佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 御説明どうもありがとうございました。
 私はコメントなのですけれども、資料4の最後の総括のところは御説明にあったようにあっさりし過ぎているというか、特に今回は単年で見ても累積で見ても運用の貢献が大きかったと思います。総括の書き方を拝見いたしますと、運用収入以外では財政検証と大きな変化がないということだったのですけれども、これは御説明にもあったとおり、運用収入の増加で財政が大幅に改善したということで、他の2共済と書きぶりが同じである必要はないのですけれども、こういう理解で合っていますねということと、最後の御説明にあったようなことがこの総括にも盛り込まれるとよいなと思います。
 運用の結果なのですけれども、これも資料4にある5ページと11ページと17ページと23ページ、厚生年金と3共済の過去5年間の比較があるのですけれども、単年で見ても累積で見ても私学共済が一番数字が良いと思います。マイナスのときにはあまり負けていないし、良いときは更に良いということで、累積でも貢献が非常に大きいと思いますので、そういったことが総括にもきちんと記載されるとよいかと思います。
 以上です。

○山脇私学共済室長 ありがとうございます。
 まさに委員御指摘のとおり私も認識しておりますので、今回は記載には反映が全部できなかったのですが、口頭で多少補足をさせていただきながらでございましたけれども、次回に向けてはきちんと記載ができるようにしていきたいと思います。
 また、運用についても評価をいただいて、大変ありがとうございます。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 最後の行は悪かったときに備えてのリスクヘッジ的な意味もあると思うのですけれども、いいときはちゃんといいという評価があるといいと思います。

○翁部会長 ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 寺井委員、お願いします。

○寺井委員 御説明いただきまして、ありがとうございました。
 先ほどの御説明の内容の確認をさせていただきたくて質問させていただきます。資料3の17ページです。総括のところでも被保険者数が伸びたというお話があったと思うのですけれども、伸び率を見ますと、短時間労働者が増えていると。被保険者全体の中で短時間労働者が占める割合はまだ少ないのですけれども、伸びているのだと思います。先ほどの御説明、私の勘違いかもしれないのですけれども、被保険者の数が伸びた要因に看護師であるとか、要は教育機関の中で医療や福祉に携わる方が伸びたというお話があったと思うのですけれども、これはこの短時間労働者に当てはまることなのでしょうか。男女とも伸びていまして、男性もとても伸びていると思うのですけれども、この点につきましても先ほど挙げていただいた理由が当てはまるということでよろしいでしょうか。
 以上です。

○山脇私学共済室長 ありがとうございます。
 基本的には御認識のとおりで当てはまると思っておりまして、特に短時間のところに関しては適用拡大の影響もございます。そういった社会的な制度の変化の影響もありますし、これは私学の特徴的なところでございますけれども、大学や幼稚園が全体でも7割弱のウエートを占めておりますので、こういったところが今は伸びていまして、その中で職種別、こちらは詳細なデータを持ち合わせてはいないのですが、看護師さんだとか、幼稚園の教諭だとか、こういったところが特に伸びてきているのではないかと分析をしております。

○寺井委員 ありがとうございます。よく理解できました。

○翁部会長 よろしくお願いします。

○野呂部会長代理 お願いします。
 私もその辺をお聞きしたかったのですけれども、たしか昨年度も幼稚園、保育園、それから大学関係者の被保険者が増えているという御説明だったのですが、全体的には大学生も非常に減っていて、幼稚園、特に保育園などの世代は、1学年というか、各年齢で100万人を切っているような状態なので、普通であれば関係職員も減ってくるのではないかと思います。トレンドを見ますと、令和2年3月末以降はずっと安定的に大体5000人から1万人ずつ毎年増えています。制度的な要因ではなくて構造的な要因で増えているあたりが非常に不思議に思います。さらに言えば、小中高あたりも学生数は減っているので、教員も減っているのではないかと思うのですけれども、全体として被保険者数が増えていっているのはどういう構造になるのか、少子化の中で今後も被保険者数は増え続けるのか、そうした点についてもう少し構造を見たほうがいいのではないかと思います。もし今、教えていただけるところがあればと思います。

○山脇私学共済室長 ありがとうございます。
 御質問いただいたように、大学等の加入者が伸びている状況でございます。ただ、世間的には18歳人口が減っていく中で、学生が減っているのに何で伸びていくのだろうという疑問を持たれるところもあるかとは思うのですが、実は確かに18歳人口は減ってきているのですが、それと反対に進学率が非常に伸びております。そういったところで、これまでのところは、大学の数もやや頭打ちになってきましたが、これまでちょっと伸びてきたといった状況がございます。ただ、これからの見通しについては、また違うフェーズがもうすぐ目の前にやってくると認識をしておりますので、そこの辺りについては我々関係者でもいろいろ分析、検討しているところでございます。

○野呂部会長代理 私の認識違いかも分からないですけれども、大学生の数は本当にトレンドとして増えているのでしょうか。定員割れの大学などというニュースを結構見るのですけれども、私の認識違いだったら申し訳ないのですが、その辺りも含めて、お手元に資料がなければ別の機会でもいいですので、今後の被保険者数の見通しということもありますので、分析いただけたらと思います。

○山脇私学共済室長 今、手元にあるところで、大学の進学者に関しては、最近ではやや減少傾向にはなってきております。ここから先、数年以内がまた次のフェーズが来ると思っております。

○野呂部会長代理 そういうことだと思いますし、保育園生世代の人数も随分減っているはずなので、どうして私学共済の被保険者数は増えるのか、生徒の数と私立学教職員関係者の数との関係のようなことについて、今すぐこの場では難しいかも分かりませんけれども、次の機会にでも教えてほしいというのが希望ですので、よろしくお願いします。

○翁部会長 よろしく分析をお願いいたします。
 私からも質問なのですが、21ページの標準報酬月額の等級の分布で、いつも気がつくことですが、65万のところが19%と非常に高くて、ここは今、議論になっているわけなのですけれども、トレンドとして見てこの19%というのは上がってきているのかということを教えていただきたいのと、それから、これは今こういう等級でやっているからなのですけれども、65万よりも上のところの分布状況を1回できれば教えていただきたい、分布を見ておいたほうがいいかと思うのですけれども、この辺りについてはいかがでしょうか。

○大山数理統計室参事 21ページの上限の男性の割合ということでよろしいでしょうか。

○翁部会長 そうです。

○大山数理統計室参事 上限の改定が令和2年にございましたので、そのときに62万でしたが65万に引上げがございましたので、その影響もありまして、このウエートは過去の数字と見ると若干下がり傾向にあるということだと思います。

○翁部会長 あと、65万以上のところの分布はふだんは出しておられないと思いますけれども、状況について一度分析することが可能でしょうか。

○大山数理統計室参事 データとしては持っておりますので、提供することは可能と考えております。

○翁部会長 見せていただければと思っております。
 それから、老齢・退職年金受給権者の年齢構成なのですが、これは全部に関係することなのですけれども、地共済と私立学校共済がほぼ同じぐらいの平均年齢で、国家公務員の平均年齢が結構有意に高い感じがするのですけれども、79.8まで女性の方が上がっていて、この辺りの背景や年金財政上考えておくべきことなどがあるのかと。この辺を少し教えていただきたいと思います。

○武井共済計理官 国共済です。
 申し訳ございません。御指摘されたのは承知しているのですが、確かに比較するとほかの共済あるいは1号厚年と比較すると高くなっているのは事実でございます。健康な方がいらっしゃる以上のことは、現状何でなのかというところに対する明確なお答えは持ち合わせておりません。申し訳ございません。ただ、高いという御指摘は御指摘のとおりだと私たちも認識しております。

○翁部会長 ありがとうございます。
 国家公務員の方の健康状態がいいことは望ましいことなので、年金財政より何よりも健康寿命が長いことはいいことだと思っているのですけれども、また背景など関心を持っていますので、もし分かりましたら教えていただきたいと思います。
○武井共済計理官 分かりました。

○翁部会長 このほかにはいかがでしょうか。
 寺井委員、お願いします。

○寺井委員 蛇足になるかもしれないのですけれども、ほかの委員の方もおっしゃっていたのですけれども、総括の部分なのです。もう少し、公務員の方々の年金、保険料払いはどのようになっているかというありさまと、教育機関で働いていらっしゃる方の年金との関わり方は、多少違っているのだろうと思うのです。それができれば総括の部分である程度表れていると私どもも理解しやすいといいますか、納得しやすいと思うのです。今は拝見すると総括が非常に似ているのですけれども、各制度なりの事情みたいなものをどこまで書き込むかという問題もあると思いますけれども、情報提供していただいたほうが年金財政の安定性についての判断がしやすい、将来見通しもしやすいということであれば、もう少し書き込んでいただくほうがありがたいと思います。
 以上です。

○翁部会長 ありがとうございます。
 先ほど佐藤委員からもコメントがございましたけれども、また一層工夫して、それぞれの年金の特徴を踏まえた記載などもぜひ今後充実させていただければと思っております。
 以上でよろしいですか。
 それでは、これで私立学校教職員共済制度についての報告の聴取も終わらせていただきます。
 今後の進め方でございますけれども、令和5年度につきましても、公的年金財政状況報告を取りまとめることとしております。起草作業はこれまでと同様作業班で進め、報告書の草案の準備ができれば、部会を開催し審議を行いたいと思っております。
 最後に、事務局から御連絡があればお願いいたします。

○楠田首席年金数理官 次回の部会の開催日時等につきましては、改めて御連絡させていただきます。

○翁部会長 ありがとうございました。
 それでは、第103回年金数理部会はこれにて終了といたします。ありがとうございます。