第12回 社会保障審議会年金記録訂正分科会 議事録

日時

令和6年12月24日(火)14:00~15:30

場所

全国都市会館3階 第1会議室

出席者

会場出席委員:
瀨川分科会長代理、池田委員、石倉委員、鈴木委員
オンライン出席委員:
加倉井委員、西村委員、南委員

議題

年金記録の訂正に関する事業状況(令和5年度事業状況及び令和6年度上期概況)

議事

議事内容
○中嶋年金記録審査室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第12回「社会保障審議会年金記録訂正分科会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、年末のお忙しい時期に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 年金記録審査室長の中嶋でございます。よろしくお願いいたします。
 初めに、委員の皆様方の出欠状況につきまして、御報告をさせていただきます。
 本日、山口分科会長、大西委員から、御欠席の連絡をいただいております。
 また、野口委員からも、急遽、御欠席ということで、連絡をいただいているところでございます。
 今の状況でございますが、南委員はオンラインで参加の予定ですが、ちょっと所用がおありになりまして、オンラインの参加が遅れるという連絡がございました。
 本年も、この会場とオンライン併用での開催とさせていただいております。会場の御参加は、瀬川分科会長代理、池田委員、石倉委員、鈴木委員となっております。
 加倉井委員、西村委員、南委員は、オンラインでの御出席になっております。先ほど申しましたとおり、南委員はオンライン御出席の予定ですが、参加がちょっと遅れるという御連絡がございました。
 本日御出席いただきました委員の方が分科会委員の3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
 続きまして、事務局の出席者の紹介をさせていただきます。
 年金管理審議官の巽でございます。
○巽年金管理審議官 巽でございます。よろしくお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 続きまして、日本年金機構の出席者の紹介をさせていただきます。
 年金記録企画部長の瀧波でございます。
○瀧波日本年金機構年金記録企画部長 瀧波でございます。よろしくお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 国民年金部長の高橋でございます。
○高橋日本年金機構国民年金部長 高橋です。よろしくお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 続きまして、厚生年金保険部長の堀でございます。
○堀日本年金機構厚生年金保険部長 堀といいます。よろしくお願いします。
○中嶋年金記録審査室長 それでは、ここからの議事運営ですが、実は、先ほど申し上げましたとおり、本日、諸般の事情によりまして、山口分科会長が御欠席されております。山口分科会長からは、私ども事務局に対しまして、社会保障審議会令5条5項に基づいて、本日は瀬川分科会長代理に進行をお願いしたいという旨のお話がございましたので、改めて、お伝え申し上げさせていただきます。
 また、山口分科会長からは、急遽本日、欠席ということになりまして、委員の皆様方に誠に申し訳ないのですが、どうぞよろしくお願い申し上げたいとの話もございましたので、併せて、お伝えさせていただきます。
 それでは、ここからの議事運営につきましては、瀬川分科会長代理にお願いいたしたいと存じます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○瀬川分科会長代理 今、御紹介いただきました瀬川でございます。今日の議事進行役を務めさせていただきますので、よろしく御協力のほど、お願い申し上げます。これからは、座って議事の進行させていただきたいと思います。
 それでは、議事に入らせていただきますが、まずは、事務局のほうから資料の確認をお願い申し上げたいと思います。
○中嶋年金記録審査室長 それでは、本日の資料でございますが、皆様の机上に配付させていただいておりますが、資料の確認をさせていただきます。
 まず座席表、議事次第、委員名簿、そして、資料として、「年金記録の訂正に関する事業状況」ということになっておりますが、お手元にございますでしょうか。
 それでは、オンラインで御出席いただいている委員の方につきましては、あらかじめ送付させていただいておりますので、お手元に御準備賜るよう、よろしくお願いいたします。
 次に、オンライン会議の運営方法でございます。会議の進行中は、御発言されるとき以外は、常にマイクをミュートにしていただきまして、御発言がある場合には、挙手機能を押していただきますようお願いいたします。分科会長代理の御指名を受けてから、マイクのミュートを解除して、御発言いただき、御発言が終わりましたら、また、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 また、通信トラブルや音声が聞こえづらい、そういった不具合がもしございましたら、チャット機能で御連絡賜りますようお願いいたします。
 以上でございます。
○瀬川分科会長代理 ありがとうございました。
 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。
 今日は、カメラ等はないかとは思いますが、もしございましたら、御退席をお願いしたいと思います。
 それでは、本日の議題は、「年金記録の訂正に関する事業状況(令和5年度事業状況と令和6年度上期概況)」これに関する審議でございます。御存じのとおり、年金記録の訂正請求は、平成27年2月に、当分科会で議論した内容を踏まえまして、厚生労働大臣が示した訂正に関する方針に基づき、平成27年3月から、年金事務所での受付を開始し、同年の4月から、地方厚生局などにおいて訂正請求に関する事務処理を行ってまいりました。
 前回、この分科会では、事務局から令和4年度、それから、令和5年度上期の事業状況の報告を受け、皆様方の御議論をいただいたところでございますが、今回の分科会では、令和5年度及び令和6年度上期の事業状況について、まず、事務局から御説明をいただき、その上で、委員の皆様に御意見をお諮りしたいと、このように考えております。
 それでは、恐縮ですが、事務局から資料の説明をお願い申し上げます。
○中嶋年金記録審査室長 それでは、年金記録の訂正に関する事業状況につきまして、御説明をさせていただきます。お手元の資料の「年金記録の訂正に関する事業状況」を御覧いただければと存じます。
 まず最初に、1ページ目でございます。1ページにおきましては、令和5年度の受付状況を概括的に記しておりますが、令和5年度の受付件数は5,454件ということで、前の年度、令和4年度に比べると485件増加しております。後ほど、2ページ目で、また御説明申し上げますが、制度別に見ると、厚生年金の一括事案が増えたことによる増加が主なものでございます。
 マルの2番目にございますとおり、受付件数の推移は、総務大臣あての確認申立を行っていた期間を含めて平成22年度以降、減少傾向を示している状況は変わりございませんが、平成28年度以降は、概ね五千件前後で推移していると、この傾向も今回も特に変わってないということでございます。
 マルの3点目でございますが、厚生年金が占める割合が95.8%となっております。
 マル2でございますが、令和6年の上期、令和6年4月から9月までにおける受付件数は1,902件ということで、前年度同期は1,893件でございましたので、約9件の増加と。9件の増加ではございますが、大体横ばいといったような状況でございます。
 お手元の資料2ページ目でございます。2ページ目は、いわゆる受付件数の平成27年から令和6年度上期に至る一覧表でございます。
 ここで、下の段の令和4年度と令和5年度を御覧いただきますと、結局、厚生年金の個別請求は前年度より減少と、一括請求が3,477件から3,984件と約500件ばかり増えていると。国民年金はほぼ横ばいで、脱退手当金は減少と。この結果で、先ほど申し上げましたように、前年度4,969件が、令和5年度は5,454件になっているという状況でございます。令和5年度増加の主な要因は、事業主が取りまとめて出す、いわゆる厚生年金の一括請求でございます。
 3ページ目は、受付事案の処理状況の一覧表でございますが、これはちょっと細かい数字が並んでおりますので、4ページ目以降の表やグラフで説明をさせていただきたいと存じます。
 4ページ目は、制度別の処理件数及び事案処理を行う機関別の処理件数でございます。左側は、どうしても受付が、厚生年金が多いので、厚生年金の処理件数が多いということでございます。右側でございますが、右側は、いわゆる一定の証拠と申しますか、資料があることで、年金事務所段階で記録回復が可能なものと、あとは、厚生局に送って、審議会の総合判断にかけるものの割合でございますが、この表のグラフの一番右端にございます令和5年度を御覧いただきますと、日本年金機構で処理が済んでいるものが、割合にして80.6%。厚生局が処理しておりますものが19.4%ということで、大体、日本年金機構で処理されているものが8割で、厚生局で処理しているものが2割といったような具合になっております。
 これも、昨年の傾向より、日本年金機構の処理分がちょっと増えたという感じではないかと思います。
 5ページ目でございます。これは、令和4年度と令和5年度を比較して、それぞれの事案の訂正・不訂正の状況でございますが、これも御覧いただきますとおり、令和4年度と令和5年度、傾向はあまり変わっていないと。どうしても厚生年金はまだ訂正が多いと。ただ、国民年金や脱退手当金については、前年度同様、不訂正がかなり多いということでございます。
 6ページ目でございます。6ページ目は、いわゆる処理件数のうち、どれだけ記録訂正につながっているかという割合でございますが、これを御覧いただきますと、日本年金機構の段階で訂正されているものの数が増えていることもございまして、後ほど、また出てまいりますが、結局、賞与事案がかなりの割合を占めておりますが、こういったものの影響もありまして、令和5年度も、前年度、令和4年度同様、90%台の記録訂正率になっております。
 続きまして、7ページ目でございます。これは、いわゆる年度末現在の処理中事案の状況でございます。令和5年度末現在、つまり令和6年3月末現在の処理中事案、まだ処理が終わっていない事案の状況でございますが、この7ページの表の上から4段目を御覧いただきますと、年度末の処理中事案の件数が、参考にございます令和4年度末の1,823件より、2,057件ということで、若干増えております。
 ただ、これは、令和6年の3月に、実は受付件数1,370件ということで、かなりの厚生年金の一括事案が参ったこともありまして、どうしても、3月に1,000件を超える受付があると、なかなか1か月では処理が終わらないので、見かけ上、令和5年度末は、令和4年度末より件数が増えたような状況になっております。ただ、その後の推移を追っていきますと、私どもが把握している直近の令和6年10月末現在では、この処理中事案は1,519件まで減少しておりますので、その後、処理は順調に進んでいるものと考えている次第でございます。
 続きまして、8ページ目でございます。8ページ目は、いわゆる事案処理について平均的にどのくらいの時間を必要としているかということでございますが、(1)の厚生局処理事案に係る処理期間を御覧いただきますと、マル1の「訂正請求処理期間」を御覧いただきますと、全制度平均が244.6日で、(参考)にございます令和4年度の平均202.9日よりは上回っているという状況がございます。
 これにつきましては、厚生年金の(一括請求)を御覧いただきますと、厚生年金の一括請求が、処理に要した平均的な期間が356.4日とありますが、これが全体の平均日数を引っ張る要因の一つになっております。若干補足させていただきますと、通常、厚生年金の一括請求は、大体賞与事案が多いのですが、令和5年度に関しましては、いわゆる処理に非常に時間のかかる標準報酬月額相違事案が一括請求全体の約4割ぐらいを占めておりまして、さらに、請求期間が2年とかそのくらいのものがかなりございましたので、そういったものについて、年金事務所なり厚生局なりがいろいろ事業主とやり取りをする中で、かなり時間がかかったというのが一つございます。
 あとは、これは申し立てがされたのは、どうしても令和4年の段階でございますので、令和4年は、新型コロナウイルス感染防止の関係の行動制限等がまだあった頃でございますので、そういったことも、事業主からの資料収集等に障害にはなってしまったのかなと推測されるものでございます。
 したがいまして、そういった事情がありまして、一括処理の期間がかなり延びて、それが全体に影響して、平均値を引き上げたとなっているようでございます。ただ、結果的には、年金事務所なり厚生局の努力で、記録訂正には結びついております。そういった状況もございまして、この「全制度平均」がちょっと上振れしたような状況になっております。
 この辺については以上でございます。
 ただ、先ほどの7ページ目の資料にございますとおり、現段階において、処理は順調に進んでいると考えております。
 9ページ目からは、請求者の属性についてでございます。9ページ目は、これも昨年とあまり変わっていないのですが、どうしても被保険者本人が多い。遺族より本人がメインになっておるということでございます。
 10ページ目、御覧いただきますと、これも最近の傾向でございますが、請求者の中で、訂正請求なさる方は、50代、60代などの年金の受給開始年齢がだんだん近づいてくる方が多いという状況でございます。
 その辺は11ページにも表れておりまして、区分で見ると、被保険者等、現役を中心とする方々が74.1%で、最近のこの傾向を引き継いでいるものと考えております。
 次は12ページ目でございます。これは、東京を初めとする大都市の請求者が多いという結果が表れております。
 ここまでが事案についてでございますが、13ページ目からは、各事案の細かな内容についてということで、御案内のとおり、1つの事案にも複数の請求期間がございますので、その請求期間ごとに分析した資料をつくったものでございます。
 これを御覧いただきますと、令和4年度同様、令和5年度も、賞与事案が全体に占める割合が高いということでございます。この辺の傾向は、最近変わっていないところでございます。
 14ページ目は、13ページの表の訂正決定率をグラフ化したものでございます。14ページを御覧いただきますと、賞与は、証拠がそれなりにあるものが出てまいりますので、訂正率は高いということでございます。
 15ページ目でございます。こちらも、平成15年4月、いわゆる賞与から厚生年金保険料を取るようになった平成15年4月以降の件数が圧倒的に多いということでございます。
 その辺を16ページで、棒グラフと円グラフで表しております。
 17ページ目も、1か月が圧倒的に多いのは、御案内のとおり、第三者委員会以来、賞与事案は1か月としてカウントしておりますので、賞与事案が多いことによる1か月が非常に多いということでございまして、18ページ目は、それをグラフ化したものでございます。
 続きまして、19ページ目は、いわゆる請求期間がどのくらいの月を含んでいるかを示しています。例えば賞与であれば、例えば令和6年の10月というふうに1か月ですが、標準報酬の申し立てですと、令和6年の4月から令和6年の12月というふうに、一定の幅がございますが、その辺の状況でございます。
 ここにもございますとおり、標準報酬に関する訂正請求の請求期間は、訂正決定されたもの、不訂正決定のものでも、どちらも25か月、26か月ぐらいとなっているのは、これまでの傾向と同様の傾向を示しております。
 次に20ページ目でございます。20ページ目はいわゆる厚生年金の訂正決定事案に関する適用法でございますが、これも、御案内のとおり、いわゆる厚生年金特例法が適用された事案、つまり事業主が届出を出していないけれども、保険料を控除しているといった事案ですが、この事案が圧倒的に多いということで、その中でも、賞与が非常に多いという、これまでと同じ傾向を示しております。
 続きまして、21ページ目は、日本年金機構段階で訂正されたものですが、これを御覧いただきますと、最近の傾向同様、賞与が全体の96.7%で、賞与による訂正が圧倒的に多いということになっております。
 ここまでが、事案の中身についての話でございます。
 続きまして、23ページ目からは、地方の年金記録訂正審議会に関する中身でございますが、23ページ目を御覧いただきますと、全国の35部会で審議が行われておるのですが、審議は順調に行われておりまして、24ページを御覧いただきますと、諮問してから答申が行われるまでの期間として、(3)でございますが、8日~14日が多く、大体一、二週間で諮問、答申という感じになっておりまして、順調に審議が進んでいるということでございます。
 続きまして、25ページ目は、これは、私ども年金記録審査室が、厚生局の行った処分に対する不服申立てを審査する、いわゆる審査請求のこれまでの状況でございます。下の段を御覧いただきますと、令和5年度受付件数、合計で45件、令和6年度上期は22件ということで、令和4年、令和5年、最近の傾向は、大体40件台くらいということでございます。これを累計ということで、全体を見てみますと、受付件数801件でございますが、裁決と取下げを合わせた782件で処理が終わっておりますので、大体98%は審査請求におきまして、処理は終わっております。
 続きまして、26ページ目でございますが、審査請求の申立てにつきましては、これも、これまで同様の傾向でございますが、裁定済み者、受給者の割合が高いということがございます。
 あと、厚生年金が件数的には一番多いのですが、国民年金も一定の申立てがあるということで、厚生年金・国民年金大体並んで申立てがあるという状況を、26・27ページが表しております。
 28ページ目は、厚生局の処分や年金記録審査室が、審査請求で裁決を行ったことに対する請求者からの訴訟の状況でございます。
 (1)の「提訴の状況」を御覧いただきますと、令和6年9月30日までに提訴された訴訟事件の合計件数は、(1)のマル1にございますとおり、78件に及んでおります。ただ、(3)の現状を御覧いただきますと、一番下の段ですが、確定判決65件で、取下げが7件ということで、令和6年度上期末、いわゆる令和6年9月30日現在で、係争中は6件でございます。ただ、この6件も、今の段階ですと、5件につきましては、地方裁判所で、原告の請求棄却の判決が下りておりまして、申し立てなさった方が控訴なり上告をしていると。残りの1件は、口頭弁論は終結しておりまして、来年1月に判決予定でございます。
 この令和5年度、令和6年度上期におきましては、こういう状況ですので、当審議会において御議論いただく対象としての、いわゆる記録訂正に係る判断基準に影響を及ぼすような、そういった判決等はなく、司法の場でも、認定基準は一定の合理性があると評価されておるところでございます。
 裁判の状況は以上でございます。
 29ページ目以降からは、いわゆる事務執行体制と関係条文の資料等がついております。
 その後は、参考資料ですが、恐縮ですが、参考資料2の35ページを御覧いただきますと、35ページに、「令和5年度の訂正請求の受付・処理状況」という表があるのですが、一番上の段の受付件数を御覧いただきますと、ちょうど令和5年度の状況ですが、令和5年は、最初のうちは200件、300件とか、400件くらいの受付だったのが、令和6年3月に、結局、1,370件で、一括請求が1,259件で、複数の会社からかなりの数の訂正請求が、一括請求として出てきたと、そういった状況もありまして、この3月の1,370件も入りましたことで、先ほど申し上げたような、令和5年度の受付件数が令和4年度を上回るという結果になっております。
ただ、この3月時点の数字がもしなければ、令和5年度は大体前年並みの状況であったように見ているところでございます。
 大変雑駁な説明で恐縮でございますが、概要は以上のとおりでございます。よろしくお願いいたします。
○瀬川分科会長代理 どうもありがとうございました。
 こういった形で、記録の訂正に関するいろいろな形の資料をおつくりいただいて、また、その傾向分析していただきまして、誠にありがとうございます。
 私たち委員のほうも、今回が第12回目でございますので、12回にわたって今のような傾向等をずっと分析をさせていただきながら、意見をいろいろな形で述べさせてきていただいたのではないかなと、このように思っているところであります。
 そこで、恐縮でございますが、会場にいらっしゃる委員の皆様方も含め、それから、ウェブで御参加いただいている委員の方も含めまして、今、御説明いただいた中で、とりあえず、この点をちょっと確認、質問したいという点があれば、御発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 もし、特に格別な質問点がないようであれば、大変恐縮でございますけれども、私のほうから、それぞれの委員を御指名させていただきますので、長いことこの審議会に関与していただきまして、いろいろな形で現在の記録訂正の問題に関して、いろいろな角度から御意見をいただいてきたかと思うのですけれども、それらを総括する意味で、それぞれいろいろな形での思いもおありになるかと思いますので、ぜひ、総括的なそれぞれの御意見を述べていただき、当委員会の今後の活動にどういう形で参考にしていただけるか、そういったところを含めた御意見を、順次お願い申し上げたいと思いますので、よろしく御協力のほどお願い申し上げます。
 では、まず会場にいらっしゃる委員の方から、私のほうで順番に勝手に指名させていただきますが、よろしくお願いいたします。
 まず、池田委員のほうからいかがでしょうか。
○池田委員 ありがとうございます。
 私も、最初から関わらせていただいて、今回で卒業させていただく形になりますが、私の専門は、本来、高齢者とか障害者を含みまして、特に私自身のところでは、独居の方々、家族の支援が受けづらい方、それから、認知症や判断力が十分でない方、そして、年金搾取とか虐待等を受けていらっしゃる方々に関しての支援ということで、自治体への指導とか研修を行わせていただいたり、実際にたくさんの相談に乗ってまいりました。
 たまたまそういうこともあって、2010年の年金機構の設立から運営委員も長くさせていただきましたけれども、この年金記録の訂正分科会にも関わらせていただく中で、そういった方々の置かれている立場、これからますます厳しくなる、また、増加することは間違いないと思いまして、これまでの日本の特に福祉とか年金の関係は、御本人がしっかりしていなければ、判断力十分でなければ、善意で、判断力十分な家族が関わってくれるという前提だったかなと思っておりまして、このあたりの危惧といいますか、勝手な、今後、そのあたり、きちんと支援を考えていくことは大変重要かなと思っています。
 関わらせていただいて、年金のパンフレットとか、難しい言葉や専門用語が多いのではないかというので、確認をさせていただいたり、また、日本年金機構のほうになりますけれども、窓口が高齢者とか障害者がいるのに、二階であって、階段しかなかったとか、あと、手続等にも、切手を貼らなければいけないけれども、皆さん、今、はがき、切手が幾らか御存じでしょうか。それを買いに行くとかというのができるだろうかとか、一人で行っても、説明が分からないから、また、ここら辺、自分の年金額についてちょっと不満があるけれども、一緒に行ってほしいとかという依頼があったりということで、私のほうも関わらせていただいたり、本当に瑣末な個々の問題ですが、関わらせていただく中で、今後の年金の重要性、私も韓国に高齢者虐待等で呼ばれたときに、日本は、高齢者も年金があっていいね、障害者も年金制度って、本当に世界に冠たるもので、こんなすばらしい制度は自分のところではなかなかできないというようなこともおっしゃっていましたけれども、今後の発展といいますか、今後、ますます間違いなく運営していただくことについて、本当に心から期待をしているところです。
 逆に関わらせていただいている間、非常に順調に、日本年金機構もですけれども、この訂正の分科会も、皆さんの本当に御努力で、順調に少しずつ減ってきて、落ち着いてきたことに、心から安堵しておりますが、今後とも、私も年金受給者になりましたが、この制度、そして、関わる方々に期待をして、お話を閉じたいと思います。ありがとうございました。
○瀬川分科会長代理 どうもありがとうございました。
 日本年金機構の皆様方のほうから、今の御意見を聞いていただいて、何か御意見として述べていただいたり、あるいは補足的な御説明があれば、お話を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。例えば今の感じだと、御高齢者というと、国民年金の関係が主になっていくのかなと思うのですが、国民年金部長の高橋さん、いかがですか。何か御発言いただくことがあれば。
○高橋日本年金機構国民年金部長 池田委員、本当にいろいろありがとうございます。これまで、本当にお疲れさまです。
 日本年金機構におきましては、社会福祉というところで、社会福祉協議会と連携し、生活困窮者の方に対して、相談・支援、そして、そこに支援をされている様々な支援者の方に向けて、説明会等を順次進めております。今後も、生活困窮者を初め、その中には、先ほどお話ありましたけれども、独居、認知症の方、いろいろ今御苦労されている方がいると思いますけれども、そういう方をこちらで拾い上げて、しっかり対応していきたいと思っております。
○池田委員 ありがとうございます。
○瀬川分科会長代理 ありがとうございました。
 次は、石倉委員のほうでお願いできますか。
○石倉委員 社会保険労務士 石倉です。よろしくお願いします。
 ごめんなさい。まず、1点だけ質問をさせてください。
 今回の御報告の中で、令和6年3月の一括の請求の件数が、今年度部分で1,354件あったと。ここは、数字的には大きなボリュームを持ったわけですけれども、先ほどのお話でいけば、これも、多分、賞与事案であってということだろうと思うのですが、現実的に、内容がどういうケースだったのか、御説明をいただければと思うのですが、いかがでしょうか。
○瀬川分科会長代理 これは、室長のほうから御説明いただけますかね。
○中嶋年金記録審査室長 先ほど御説明申し上げました、年度末の一括の話ですが、少数のそれなりの規模の企業がまとまって請求を出してきたということです。そのきっかけになりますのは、私どものほうでも、全体を把握しているわけではないのですけれども、最近、日本年金機構のほうで、事業所にいろいろ調査をして、指導をしていただいているのが端緒となって、事業主が出してきたものとか、あとは、従業員のほうから、恐らくねんきん定期便等の影響だと思うのですが、自分の年金記録がおかしいのではないかという申立てがあって、事業主が年金事務所に相談して、出してきたとか、あとは、私どもが把握している中では、日本年金機構のほうで、賞与事案があると、企業で同僚と思われるような人のリストをつくって、そういったもので事業所に照会したりとか、そういったいろいろな諸々の活動が、結果として、こういう数字になってきたようでございます。
 詳細まで全部分析していなくて恐縮ですが、大体概要は、以上のように把握しているところでございます。
○石倉委員 ありがとうございます。
 予想をしている回答ではあったのですけれども、日本年金機構のほうで、厚生年金の適用拡大はこれからも進んでいくと。特に、本年10月からは、51人以上のところは、週20時間以上働いているところも適用になっていったということでございまして、今後、小規模事業所に適用拡大が広がっていく中で、提出書類等々については、多分、漏れとかも非常に出てくることも容易に予想ができるところかなと思っていまして、今までの適用拡大の中で、総合調査等々で、傾向として、もし、こういう書類の漏れが散見されるというところがあれば、参考のために、教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○瀬川分科会長代理 これは、厚生年金保険部長の堀さんのほうから御説明いただけますでしょうかね。
○堀日本年金機構厚生年金保険部長 厚生年金保険の堀と申します。よろしくお願いします。
 今、委員のほうから御説明のありました適用拡大、こちらにつきましては、適用拡大が始まった年から、今年の令和6年10月からは、51人以上の事業所という枠組みの中も併せて、まずは制度周知、こちらのほうを昨年の10月からしっかり行ってきたところであります。
 新たに、適用拡大の対象となる可能性のある事業所が、大体5万4,000事業所ということで、10月から令和6年の8月までにかけて、年金事務所の職員が訪問等で、制度周知をまず図ってまいりました。
 それから、令和5年12月から令和6年7月まで、対象になる事業所のほうに、直接、ダイレクト便という形で制度周知を図ってまいりました。
 併せて、専門家の社会保険労務士等の連携を図りながら、制度周知をこまめに取り組んでまいったところです。
 令和6年8月時点では、法施行時に、特定適用事業所に該当することが確認できた事業所に対しては、特定適用事業所該当の事前のお知らせ、こちらのほうを送付させていただいています。
 また、法施行時に、特定適用事業所に該当する可能性のある事業所に対して、重要なお知らせという、こまめな取組を行ってきました。
 ただ、その後、実際に届出があるかないかということを確認させていただくといったようなところで、対象事業所につきましては、まずは、年金事務所による事業所調査、こちらのほうを進めてまいっているところです。
 実際に、本年10月のところから、適用拡大を行った事業所につきましては、まずは、そこの中身をしっかり見させていただいた上で、未加入者がいる、そういう人たちを加入させるというのももちろんでありますが、当然のことながら、他の従業員の方々の調査も、併せて、報酬の調査とか、そういったようなところを掛け合わせながら、調査を行っています。
 実際に傾向として、どのくらい適用をされたかといったところにつきましては、まずは、事前周知の段階で、該当して、自主的に出されたところもありますが、調査で、実際に獲得したというところの数字につきましては、今、全国の各年金事務所からの報告を基に、どのぐらい対象を指導していったのかといったところについては、追って、お知らせをすることになるかと思います。
 以上です。
○瀬川分科会長代理 どうもありがとうございました。
 以上のような御発言を聞いて、石倉委員のほうで、感想を交えた御意見でも結構ですので、ちょっとお願いします。
○石倉委員 今、我々、現場で迷うところがあるのは、厚生年金の被保険者は、いわゆる70歳未満の方々、しかし、健康保険の被保険者は75歳までいられるわけです。そうなってくると、短時間就労の被保険者、該当するのかしないのかといったときに、厚生年金の被保険者の数と健康保険の被保険者の数が違ってくるわけですね。つまり、70歳超えても、健康保険は、その事業所で被保険者になる。今、基本的に、セットになっていますから。そうなってきたときに、該当するのかしないのかというのを、事業所がすごく迷うところがあるのですよ。人数制限でいくと、51人以上だったらどうかというときに。この辺も、取扱いは、多分、年金事務所の現場では、もう問題が出てきていて、クリアにしていこうという流れになっていると思うのですけれども、今後の適用拡大を進める中でも、その辺で、制度の違いがある中で、事業所からしてみたら同じ被保険者のイメージがありますから、この人数をどうカウントするのかというところでの齟齬といいますか、その辺を徹底していくことによって、記録の問題にもこれはつながっていくのかなと感じておりますので、ぜひ御留意いただいて、事業所の御指導をお願いしたいと思います。
 最後に、これは質問ではございません。私も、瀬川先生の御指導をずっと賜りながら、総務省の年金記録第三者委員会時代から、このような席に座らせていただいて、様々な意見を言わせていただきました。
 本当に、皆様方の御苦労で、件数的にも、当時の殺人的な数字から見ますと、本当に落ち着いたこの約10年近くかなと感じておりまして、その間は、厚生労働省本省の年金局の皆さんや日本年金機構の皆さんが御努力されたことにつきましては、心より敬意を表したいと思います。
 1つは、先ほど来ずっとお話ししている、現場にいる社労士としての一つの思いです。中小・小規模事業所においての事業主、特に50人未満、20人未満、様々な事業所を見ていますと、賞与の取扱いについて、今、非常に厳格に、実は、日本年金機構がやっていただいているのは、僕はいいことだと思っているのです。思っているのですけれども、つまり、頑張ってくれた社員に対して、通常の夏と冬の賞与以外に、社長は1万円でも2万円でもあげたいのですね。頑張ってくれてありがとうねというところと、もっと頑張れよという気持ちを表すのが、中小・小規模の実はいいところでもあったりする。
 そういうのが、たまたま特別手当とかというふうに賃金台帳に載ってきますと、これは賞与だろうと。別に、賞与支払届で申告しなさいということが調査で、ぼーんと来るのですよね。現実問題、来ます。これが記録につながったりする部分で、本人の利益にも後々は来るものですから、いいことなのですけれども、その辺の頃合いとして、厳しいなと思われている中小・小規模の現場もあるかなというところだけはお伝えしておかなければいけないかなと思います。
 最後に、私も社会保険労務士として、先ほど来、生活困窮者のお話もございましたけれども、障害年金等々の手続をするときに、この年金の記録ということの重みをすごく感じます。つまり、保険料納付済み期間が一月で足らなければ、障害年金にも該当しない、この人を救うことができないという場面が、現場では本当に出合うのですね。そういった意味で、本当にこの年金記録は一月であったとしても、非常に重みがあって、大切なものであり、いわゆる憲法25条に保障された国民の権利を実は補完していく、その一翼を担っているのが年金制度だと、私は思っています。そういった意味では、非常に重要な審議会に私も参加させていただきましたけれども、そういう記録一つ一つを大切に、今後も取り扱っていただいて、一人でも多くの人間の笑顔がつくれるような、そんな年金制度にしていっていただければと思います。よろしくお願いします。
○瀬川分科会長代理 どうもありがとうございました。
 今の御意見に対して、何か補足するところがございましたら。
 特にございませんか。
 では、次、鈴木委員のほうでお願いいたします。
○鈴木委員 鈴木です。
 私も、総務省の年金記録第三者委員会のほうからずっと関わらせていただきまして、今回、私も卒業ということで、もうそんなにたったのかという感慨が深いものがありますけれども、第三者委員会の頃は、本当に、現場の方が必死に調査していただいて、上がってくる記録を一生懸命少しでも認められるように、認定できるようにということで、口頭審理なんかもやりましたし、そういうことをずっとやっておりまして、そういう事案が積み上がったその結果が、その認定基準が、今、裁判所でも、合理性があると、いわゆる交通事故事件で言う赤本のような、金科玉条ではないですけれども、そういうふうな判例のような位置づけに来たのだなということで、ちょっと感慨深いものがございます。
 卒業ということで、これからは、年金記録自体も外から見ると。あと、自分の年金の記録も相当気になるみたいな年頃になってまいりましたので、そういう意味からも、ちょっと見させていただきまして、仕事で関わらせていただくことがあれば、全力でサポートさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 そして、ありがとうございました。
○瀬川分科会長代理 どうもありがとうございました。
 日本年金機構のほうで、瀧波さん、何かコメントしていただけるところがあれば、お願いいたします。
○瀧波日本年金機構年金記録企画部長 特に制度がどうのこうのではないのですけれども、おっしゃるとおり、第三者委員会の時代、私、現場で担当しておったのですけれども、その当時は、確かに、第三者委員会への申立ての件数も物すごかったのですけれども、その裏には、調査してくださいというのがまずございます。これを片づけるだけでも大変だったという記憶がございます。
 そこからすると、今は、大分落ち着いてきたといいますかね、皆様がルールを決めていただいて、こういうものは日本年金機構で直せるのだよと、こういうものを上げるのだよというような、線引きをきちんとしていただいて、現場のほうも判断がしやすくなったというようなことを感じております。大変な作業だったと思いますけれども、どうもありがとうございます。
○瀬川分科会長代理 どうもありがとうございます。
 それでは、ウェブのほうでお待ちいただいている委員の皆様方に、それぞれ御発言をお願いしたいと思います。まずは、早々から、しっかりとウェブの画面にお座りいただきました西村委員のほうで、ひとつ御意見をお願いいたします。
○西村委員 西村でございます。
 皆さん方に大変お世話になっています。また、職員の皆様方には、私は税理士ですから、中小企業の立場に立って、PRをお願いしますというお話を随分させていただいてきましたけれども、結構PRが行き届いてきたかなという意識は感じております。
 賞与の部分についての訂正の申立てがまだまだ相当数ございますけれども、私は、この年金記録訂正分科会に関わらせていただいたときから比べますと、若干少なくなってきているかなというのが印象でございます。
 ただ、特に我々の税理士という立場といきますと、我々が関与しているところは、特に中小零細企業が非常に多いものでございまして、その経営者たちが、年金についての理解がなかなかなくて、ちょっと前には、PRを企業にどんどんしてくださいというお話をさせていただきまして、最近は、非常に日本年金機構あたりから書類がいっぱい来て、企業のほうでも、注目をして、真剣になって考えているのが多いと思っております。
 また、先ほど、石倉先生のお話の中にありましたけれども、適用対象者が拡大していっているという話がございまして、新聞記事ですけれども、50人の規模を撤廃するみたいな話を読んだ記憶がありますけれども、そうしますと、ますます中小零細企業のところは、知識がないと、そこに勤めている従業員の皆様方の将来の不利益になりますので、もっとPRを今まで以上にしていただかないと、何年か先には、また訂正の申立てが増えていくのではないかという気もしますので、大変とは思いますけれども、皆さん方のPRをお願いしたいと思っているところでございます。
 また、年金に対する意識が何か増えてきておりますので、まだ若い、働いている方々も、自分たちの将来の年金ということを考えている人が多くなってきているような気がしますので、そういう方たちにも、適正な情報を提供することを、今後、考えていただければよろしいかなと思っているところでございます。
 職員の皆様方の御努力に感謝申し上げまして、1年間ありがとうございました。
○瀬川分科会長代理 どうもありがとうございます。
 今の御発言に対して、日本年金機構の皆様方のほうから、何か補足的にお話しされることがございましたら、お願いしたいと思いますが、ありますか。
 堀さん、お願いします。
○堀日本年金機構厚生年金保険部長 西村委員、ありがとうございました。
 厚生年金のほうのまずは数多くの中小の方々、事業主様のほうに、どのように制度を周知していくのかというところにつきましては、私ども日本年金機構のほうも、どういうことを取り組むべきなのかということを、常日頃から非常に考えているところです。まずは、今現在、いろいろな周知の方法といったようなところで、まず賞与につきましては、前回の会議のときに、前任者が御説明したかと思うのですが、まず、支払予定月前の着実な、賞与を支払った場合の届出勧奨を充実させていただいております。
 また、実際の届出様式が、A4サイズになっていますので、封筒になりましたら、角2封筒で、大きなものでお知らせしているところです。まだまだこれを気がつかないといったような事業所もあるかもしれませんので、さらなる、目に触れるようなところではしっかりとした周知を図っていきたいかと思っております。
 それから、実際に日本年金機構としては、制度周知という意味では、各種広報媒体を、現在も取り組んでおります。まずは、日本年金機構のホームページでいろいろな制度の周知、Xのほうの投稿、それから、各種広報誌ということで、各事業所に、納入告知書をお送りしている際には、日本年金機構からのお知らせといったものを同封させていただく、また、事業所の事務の方々が、社会保険事務を、ポイントで分かりやすくお届けしていることを取り組んでいるところです。
 また、今後は、新規適用事業所、そちらのほうの制度説明もしっかり行った上で、今後も、広報として、制度周知はどういうものが必要なのかということを考え、検討してまいりたいと思います。今後も御意見の方、よろしくお願いします。
○瀬川分科会長代理 どうもありがとうございました。
 それでは、加倉井委員よろしくお願いいたします。
○加倉井委員 加倉井でございます。
 ただいまの御報告で、一括請求の件はございますけれども、ほぼ順調に推移しているとのお話しかと思われます。これも、ひとえに、関係者の皆様の御尽力の賜物と思われます。
 御報告の内容とは若干ずれますが、また、先ほどの質問とも重なりますけれども、お伺いをさせていただきたいと思います。
 今年の夏に公表されました財政検証結果を踏まえ、年金部会では、在職老齢年金の見直しや、標準報酬月額の上限改定など、様々な議論が進んでおります。よりよい制度ができることを期待したいと思います。
 一方で、このような改正内容を各事業所内に周知するためには、各事業所における事務担当者等の研鑽や努力に負うところが大です。さらに今後、適用拡大の流れはますます進んでいき、小規模事業者へもその流れは広まってまいります。そのような中、多忙、理解不足といったことから、提出物の誤りや出し忘れ等が心配されます。そこで、現在、また、今後の事業所及び事務担当者に対するフォローを伺いたいと思います。既に、何点か返答をされておりますので、それ以外に何かあれば、お願いをしたいと思います。
○瀬川分科会長代理 ありがとうございます。
 それ以外とおっしゃっていましたが、何か補足すべき点がおありになれば、この際ですから、御意見を。
 では、審議官のほうで。
○巽年金管理審議官 年金部会を、違うフロアで取りまとめの方向で今やっております。今言われたような話、特に適用拡大については、先ほどの50人未満の話、小規模の話、あるいは個人の事業所の話、そういった話も、今、議論されておりまして、基本的には、適用拡大を進めていくことについては、全体的には、そういう取りまとめになると思われます。
 ただ、施行日について、準備期間をとるというような話がよく言われておりますので、そのあたりは、今後、施行日もしっかり準備期間をとりながらとっていくと、その期間の間に、先ほど日本年金機構のほうから言いましたような、周知の方法とか、あるいは社労士とかいろいろな団体に御理解をいただきながら、やっていくことになると思います。
 税理士の方もおられますので、一言言いますと、日本年金機構、国税庁の税情報を使って適用しているということが非常に役立っております。そのあたりもよく連携しながら、適用していくということがあると思います。
 ただ、中小の特に10人未満の法人とか個人の事業所は、我々も適用は難しいと思っておりまして、そこは、これまでにないような周知あるいはやり方、いろいろな取組は必要になってくると思っておりまして、そこは、我々も、今後、どうしていくかということは、日本年金機構と連携して、実際、適用徴収、納付をしていただくと、そういう形になっていくのではないかなと思っております。
○瀬川分科会長代理 どうもありがとうございました。
 それでは、ほぼ最後になりますが、南委員、よろしくお願いいたします。
○南委員 南でございます。すみません。今日は大事な会と思って、現場で御挨拶したいと思ったのですけれども、あいにく出られなくなってしまいまして、ウェブで、しかも遅刻で、大変失礼いたしました。
 私も、あまりにも長く関わってしまいまして、感想のようなことしか申し上げられませんが、現況を御説明伺っていると、年金記録確認第三者委員会に最初関わったときのことなどは、あまりにも旧い歴史のようなことになってしまったという印象で、あのときの記録漏れの訴えの多さや、社会的な騒動は、まさに政権が変わるほどの大きなことになったわけですけれども、当時のことを思い出しましても、ここまで本当によく落ち着いたと思います。厚生労働省に戻るまでの第三者委員会の時代、それから、厚労省にもどって、社会保障審議会の傘下になってからのこの10年余りを考えてみると、よく落ち着くべきところに落ち着いたなという感慨があります。その背景には、どれくらい現場の方の御苦労があったかと。年金記録の定期便ですね、国民全員に送られるような、ああいうものの徹底とか、大きな現場の御尽力と御配慮があってのことだと、痛切に感じます。
 一方で、何人かの方が御指摘されたのですけれども、日本の行政は年金だけではないのですが、制度が丁寧に仕組まれているがあまり、利用者からすると非常に複雑なのです。行政苦情という名前は今はなくなったので旧称ですが、総務省の行政苦情救済推進委員会の委員を引き受けしてきたのですが、厚生年金や、老齢年金と障害年金、遺族年金と老齢年金などの兼ね合いをめぐる相談がとても多くありました。複数の年金が対象になると片方は申請できないとか、細かな規定に抵触して、ある年金は受給できない、といったことがあるのです。
 そういうことを見るにつけ、利用者が細かな規定を理解しないのが悪いと言うよりは、制度があまりにも細かく丁寧に仕組まれていて、普通に生活をしている限りでは、細かいことまで理解し切れないというぐらい、丁寧な細かな制度になっていると思うのです。これを、現在、当局が行っていらっしゃるような、ねんきん定期便とか、将来受給するためのいろいろな記録を本人に周知する努力はもちろん大事なのですけれども、現役で、忙しく働いてる人たちにそれが十分響いていないことも含め、国民の意識をかなり変えていくこともしないと、これはもう将来、池田委員も言われたような、独居の方とか、障害のある方とか、いろいろな方のことをそれぞれ考えてみますと、知らないから悪いともなかなか言い切れないようなことが多いように思います。
 ですから、国としての政策上の努力もさることながら、国民側の理解、認識を高める努力といいますか、そういうものも大事です。こうことを言うと、必ず「年金教育」というような話になって、文部科学省などが、○○教育というようなものは、これ以上はもうとてもできない、教育の現場は、新たな教育のテーマを抱えるのはとても無理だという悲鳴がいつも聞こえてくるのですが、国民の認識に働きかけて、なるべく多くの方に行政のことを知っていただくような努力はメディアも含めて必要ですね。とはいえメディアもデジタル化しているわけですから、その辺、これからどうしていったらいいか、みんなで考えていかないといけないのかと思います。制度が分かりよくなって、周知もしていただいて、それにもかかわらず、その声が届いていないのは残念なことですので、どうしたらいいか知恵を絞りたいですね。
 長いこと、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
○瀬川分科会長代理 ありがとうございます。
 審議官のほうで、今の御発言に対して、何か。
○巽年金管理審議官 南委員がおっしゃるとおり、我々、年金の広報は、かなり昔から、どうやったら若い人たちに周知されるのかということで、日本年金機構は、例えば11月30日に年金の日とか、そういうようなことを設定して、学生とかいろいろな人に年金のことについての文章を書いていただいて、厚生労働省大臣賞を授与したりしております。ほかにも、大学とかそういうところにも、年金局の者が、ゼミとか、高校とかに行っていると思いますけれども、そういうところに行き、行けば、意外とすごく反響があります。一般的には、私もそうですけれども、65歳、年金を受給する直前になれば、皆さん、結構年金制度に関心を持つわけですけれども、障害年金みたいに、誰かが、障害により、その稼得能力の喪失に対する所得保障を必要とするようなことを経験すれば、経験した人は障害年金があってよかったというようなことをおっしゃるわけですね。
 そういうことをどういうふうに、これは草の根運動だと思いますけれども、我々も、できるだけ文部科学省とか、各大学にも、例えば北海道大学とか東京大学とか早稲田大学とか、いろいろ大学等にも行ったりして、年金の広報をやったら、いろいろな意見が出ますが、こういった啓発を引き続きやっていくことが必要だと思います。
 ですから、先ほど、我々も文科省にも、社会保障の広報ですね、教育というかそういうことは必要だということは、昔から言っているわけですけれども、そういうことを引き続き、取り組んでいきたいなと思っております。
○瀬川分科会長代理 どうもありがとうございました。
 ということで、各委員の皆様方からいろいろな御意見を頂戴し、また、それに対して、日本年金機構であったり、審議官のほうからも、様々な形で、御意見あるいは補足的な御説明を頂戴できました。
 大分時間も押して参りましたので、最終的なところで、そろそろ締めをしたいと思いますけれども、皆様方のほうで、何か追加的な御意見とか御質問がおありになれば、お受けいたしますが、ございませんですか。
 分かりました。
 先ほど来から、私、司会進行はやっておりましたのですが、私自身の意見を全く述べていなかったといったところで、簡単でございますが、ちょっと述べさせていただきたいと思います。
 先ほどのいろいろな委員の御意見の中にございましたとおり、私も第三者委員会に関与して約7年、そして、こちらの分科会に関与して約10年ということで、記録訂正の問題に関して、17年間関与させていただいているというところであります。その間の数字的に見れば、記録訂正という問題がいかに小さくなってきたか。また、そうするためのいろいろな御努力を、それぞれの部局の方々が必死にやってきたのだなといったことは、痛切に感じているところであります。
 そういう意味では、記録訂正に関するかなりの成果を、皆様方の御努力で示すことができているのだろうなと思います。ただ、強いて言えば、記録訂正の問題、年金というのはいろいろな御発言にもございましたとおり、私たちにとってセーフティネットなんですね。
高齢になればなるほど、そういう状態なわけでありまして、その制度がしっかりと他国に比べて完備している。だけれども、それを、我々一人一人が、若いうちから、必ずしも周知、認識していない。そういうことの中から、記録ということに対して、一方において忘れてしまう。一方において管理する側も、ついつい怠ってしまう。それが、もしかすると記録訂正の問題が大きく社会問題になった原因なのではないかと考えております。そういうところの部分を、この長い期間ではありましたけれども、皆様方の努力でしっかりとやってきたことに対しては、改めて、皆様方に敬意を表したいと思っております。本当にありがとうございました。
 かといって、ちょっと最後、辛いことを言いますが、記録訂正の問題がゼロになったわけではない。本来、記録訂正というのは、ゼロになることが理想である。なかなか難しいことではありますけれどもね。だから、ゼロを目指してやっていかなければならないという意味では、この分科会の存在意義は続くのだろうなと、このように思っているところであります。そのための御努力が、これまでもいろいろ御説明いただいて、徐々に徐々にいろいろな形で御努力いただいた結果、その成果が現れてきていると思いますが、何とかこれをゼロに持っていけるような、そういった御努力を、今後もぜひ続けていただければというところであります。
 それからもう一つ、一点言わせていただきますと、仮に、記録訂正の問題が起こってしまったとき、これを適切にかつ迅速に処理するのが、第2番目の対応策だと思っているのですね。そのための日本年金機構の皆様方を含めたり、地方厚生局の皆様方が必死になって、できるだけ短期間できちんと処理をしよう、訂正の必要性があれば訂正をしよう、あるいはその必要性がなければそれなりの御判断をしよう、こういった努力をずっと続けてきたと思います。
 そういう中で、先ほどの御説明もございましたけれども、その期間が今の対応からいくと、報酬に関する一括請求というところが出てくると、処理期間にもどうしても影響を与えて、本来の理想とする短期間といったところになかなか持っていきにくい。ということは、逆に言うと、そういった現象が生じてこないようにしないと、そこの短縮させる期間といったものも短縮できないだろうと思います。そうすると、受けてから処理をするということよりも、先ほど申し上げました、起きないようにするといったことの御努力のほうが、効率的なことなのだろうなとも、ふと考えているところであります。
 いずれにしましても、年金制度そのものに対して、いろいろな形で信頼性を得たり、不信感を持たれたりとか、世の中はみんな、我々はいろいろな形で疑問に思ったり、信頼したりといったことを繰り返している状態ですから、制度自体の設計ももちろん大切だろうと思いますし、また、その状態をしっかりと記録として残していかないと、最終的に受給の段階で、また問題が起こるということになりますから、そこのしっかりとした記録の保存といいましょうか、そこいらあたりを、今後もしっかりと皆様方で御努力いただいて、維持していっていただけること、それを切にお願い申し上げたいと思っております。
 私も17年間関わらせていただいて、ようやく足抜けができる状態になりましたので、ほっとしているところでありますが、これからも、皆様方と一緒になって、この制度といったものを見させていただきたいと、このように思っておりますので、これからも御苦労をおかけいたしますが、しっかりとよろしく運営をしていただければと思います。
 どうも、長いことありがとうございました。
 と言って、勝手な何か卒業の辞みたいな挨拶になって、申し訳ございません。
 ということで、今日、実は、御発言を個人的に一人一人いただきましたのは、先ほど来からのお話がございましたとおり、私も含めまして、ようやく卒業させていただける。また、新たな委員が選任されて、この分科会を継続していかれるのだろうと思います。日本年金機構の皆様や、本体であります事務局の皆様方におかれましても、新たな委員と、ぜひとも、熱心なディスカッションをしていただいて、この制度をますますいいいものにしていっていただければと、このように思っているところであります。どうも、長い期間お世話になりまして、ありがとうございました。
 以上をもちまして、第12回分科会を閉じさせていただきたいと思います。
 どうも、委員の皆様方、ありがとうございました。また、日本年金機構の皆様方、審議官も、ありがとうございました。
 では、事務局のほうから、御連絡をお願いいたします。
○中嶋年金記録審査室長 本日は、いろいろとありがとうございます。
 次回の日程につきましては、また、改めて、日程調整の御連絡をさしあげたいと存じます。
 なお、本日は、瀬川分科会長代理を初め御参加されました委員の皆様方から、いろいろとこれまでを展望して、これからに有益な、いろいろと御意見を賜りまして、ありがとうございました。また、御退任なさる先生方の皆様には、本当にいろいろお世話になりまして、ありがとうございました。どうぞ、今後とも、皆様方それぞれのお立場から、私どもを御指導賜ればと考えております。どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。大変ありがとうございました。
○瀬川分科会長代理 以上をもちまして、閉会とさせていただきます。
 どうも長い時間、ありがとうございました。