第4回公的職業訓練の在り方に関する研究会議事録

人材開発統括官付訓練企画室

日時

令和6年12月16日(月)11:00~
 

場所

厚生労働省 共用第8会議室(19階)

議題

(1)公的職業訓練の在り方に関する研究会開催要綱の改正について
(2)民間教育訓練機関における職業訓練の質の向上を促す取組について
(3)「非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練試行事業」の実施状況について(報告)
(4)その他

議事

○今野座長 皆さん、こんにちは。時間ですので、ただいまから「第4回公的職業訓練の在り方に関する研究会」を開催いたします。まず、新たに御参加された構成員の方について御紹介させていただきます。お二人いらっしゃいます。お一人目は、東京都産業労働局雇用就業部能力開発課長の菅沼聡人さんです。
○菅沼構成員 菅沼と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○今野座長 続いて、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構求職者支援訓練部次長の中原英彦さんです。よろしくお願いします。 
○中原構成員 中原でございます。よろしくお願いします。
○今野座長 なお、事務局において人事異動がありましたので御紹介いたします。まず、人材開発統括官の堀井さんです。
○堀井人材開発統括官 堀井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○今野座長 次は、人材開発、外国人雇用、都道府県労働局担当審議官の高橋さんです。
○高橋大臣官房審議官 高橋でございます。よろしくお願いします。
○今野座長 次は、人材開発総務担当参事官の溝口さんです。
○溝口人材開発総務担当参事官 溝口です。よろしくお願いいたします。
○今野座長 その次は、政策企画室長の横田さんです。
○横田政策企画室長 横田です。よろしくお願いいたします。
○今野座長 訓練企画室長の大塚さんです。
○大塚訓練企画室長 大塚です。よろしくお願いいたします。
○今野座長 ということですので、よろしくお願いします。まず、はじめに人材開発統括官の堀井さんから御挨拶を頂ければと思います。
○堀井人材開発統括官 御紹介いただきました。7月からこちらのポストに異動してまいりました堀井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日は大変お忙しい中、公的職業訓練の在り方に関する研究会ということで御参集いただきまして誠にありがとうございます。また、御参集いただきました委員の皆様方におかれましては、日頃より人材開発行政に多大なる御理解、御協力いただいておりますことを、冒頭、この場を借りてお礼申し上げたいと思います。
 さて、皆様御案内のとおり、この研究会のミッションでございますが、公的職業訓練の適正かつ効果的運営の在り方に関すること等について有識者の皆様に御議論いただくと、このようなことを目的に昨年の5月から発足しているところでございます。そして、開催実績といたしましては、昨年は3回開催されたと承知しております。具体的に、非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練の制度設計について、御議論いただいて、報告書の取りまとめをしていただいたと承知しております。
 今回、久しぶりに1年5か月ぶりに改めて御参集いただいたということでございまして、この間、夏の異動で、先ほど座長からお話がございましたように、事務局も人事異動等がございました。新しいメンバーでということになります。そして、今回の御議論ということでお願いしたいことですが、民間の教育訓練機関における職業訓練の質の向上、これは大変重要な課題と認識しておりまして、一層、どのような形で、この取組を進めていくのかというようなことについて、御議論いただきたいと考えております。
 また、先ほどお話しました非正規雇用の方々の職業訓練の施行事業、こういったことにつきましても実施状況についての御報告、こういったことを予定しております。
 公的職業訓練というのは、我が国の労働市場、大変重要なインフラということで考えておりまして、このような公的職業訓練の今後の在り方につきまして、御参集の皆様、本当にいろいろなお立場で、この分野について精通されておられる方々ばかりと認識しております。具体的に幅広い御議論をいただくことを祈念、期待しまして、私から簡単でございますが御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 
○今野座長 ありがとうございました。それでは、報道関係者の方々の撮影はここまでとさせていただきます。では早速、議事に入りたいと思います、最初の議題は、公的職業訓練の在り方に関する研究会の開催要綱の改正についてです。まず、事務局から説明をお願いします。
○松村訓練企画室長補佐 2列目から失礼させていただきます。私は、訓練企画室長補佐の松村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。資料につきましては通し番号の2ページを御参照ください。この開催要綱のうち、4番の研究会の運営等の(3)につきまして関係者の出席を求めることができるという規定を追加したものです。改正の趣旨ですが、各議題に知見のある方などにオブザーバーとして御出席いただくことにより、より充実した議論を行うことができるようにしたものです。事務局からは以上です。
○今野座長 よろしいですか。それでは、ここからが本題だと思いますので。次に、「民間教育訓練機関における職業訓練の質の向上を促す取組について」の議論を行いたいと思います。それに当たっては、本日オブザーバーとして、休止される前の民間職業訓練サービスガイドラインの協議会及び認証委員会の座長を務められていらっしゃいました独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校より原圭吾教授に御出席いただいております。
○原オブザーバー 原です。どうぞよろしくお願いします。
○今野座長 後から是非、御発言いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○横田政策企画室長 政策企画室長の横田と申します。資料2-1「民間職業訓練サービスガイドラインについて」を御覧ください。1ページを御覧ください。こちらは、職業訓練サービスガイドラインの概要を記載しております。こちらは平成23年12月に策定されたものです。求職者支援訓練の担い手として民間教育訓練が果たす役割が増大し、具体的には、公的職業訓練のうち7割~8割程度を民間教育訓練機関が実施するという状況を踏まえて、訓練の質の向上が喫緊の課題となっていたことから策定されたものです。
 内容としては、PDCAサイクルを活用した職業訓練の運営というものを記載しております。こちらはプロセス管理を内容としたガイドラインになっておりまして、PDCAそれぞれを分解して必要な事項等が満たされているかというところを確認するものとなっております。
 次に、2ページを御覧ください。ガイドライン研修について、研修事業を平成26年度から実施しております。こちらは6時間のカリキュラムで、平成26年度の開始以降、延べ8,000人強が受講しております。こちらは、求職者支援訓練の認定要件と密接に関連しておりまして、研修を、事業所においてどなたかが受講していることというのが求職者支援訓練の認定要件になっております。都道府県の委託訓練におきましても、47全ての都道府県で委託訓練の研修の受講が要件とされております。こういったことから、令和3年から5年度の直近の受講生のうち、99.5%は「公的職業訓練を実施(予定)している」事業所に所属されている方でした。
 次に、3ページを御覧ください。2つ目のガイドラインの関連事業で、適合事業所認定というものがあります。こちらは平成30年度から始めている制度で、ガイドラインの要求事項に適合している事業所を認定していくという仕組みです。こちらも、求職者支援訓練と関係を持っておりまして、加点を得ることができる形となっております。都道府県委託訓練におきましても、32の都道府県におきまして、こちらの認定を取得すると加点が得られるということになっております。認定の仕組みを下の図に表わしております。職業訓練実施機関は、民間の審査機関に認定の申請をしていただきます。民間の審査機関がこちらの実質的な審査を行いまして、審査結果を認証委員会のほうに報告していただきます。認証委員会というのは、厚生労働省が委託している事業の中で設置された委員会です。この委員会で民間の審査機関からの審査結果の報告を認証し、それをもって認定が成立するという2段構えの審査を取っております。こちらの委託事業については、先ほど申し上げた研修事業、そして、この民間の審査結果を認証する認証委員会、そして運営協議会と言いまして、研修事業や認定事業の制度設計と運営について検討する協議会の3つを運営することを委託事業として行っておりました。今、過去型で申し上げましたが、本事業は令和6年度より休止しております。休止の理由としては、利用実績が低調であったことが主な理由です。予算事業というところもあり、低調であったために休止という形になっております。こちらの点が本研究会での御議論いただく事項でございます。
 次に、4ページです。この認定につきまして、審査基準のほうを少し御説明させていただきます。審査基準は全部で85項目あります。職業訓練のPDCAということで、ニーズ等の把握から始まりまして、訓練の設計やモニタリングの方法、カリキュラムの作成、見直し、評価といったことが項目に入っております。また、その訓練のPDCAサイクルを支えるものとして、事業戦略や記録管理、財務管理やリスク管理、内部監査、こういったところの経営に関する項目も含まれた形の審査項目ということになっております。こちらは85項目を全て満たしているかどうかというエビデンスを示していただく、つまりドキュメントベースで審査していくということになります。そして、85項目が全て満たされた状態で、初めて適合事業所として認定を得られるという形になっております。
 次に、5ページを御覧ください。サービスガイドラインと求職者支援訓練の要件について改めて示しております。認定基準の所が、研修受講が必要というお話をさせていただきました。そして、加点要件のほう、適合事業所としての認定の加点の仕方ですが、こちらは実績がある枠と、新規の参入枠に分かれます。実績枠のほうは、就職率が100点、多面的要素が100点というところで、こちらの点数が多い所から求職者支援訓練として選定されていくという形になっております。この多面的評価要素100点のうちの15点をガイドライン関係が占めております。ガイドライン適合事業所として認定を取得すると10点、認定を取得するまでいかなくても自己診断表を提出していると5点という形になっております。適合事業所は、自己診断表を作るのは容易ですので、こちらは適合事業所になると15点を得られるという形で捉えていただければと思います。
 一方で、新規参入枠は、実績に対する点がありません。ですので、満点が85点のうち、15点がガイドラインの認定関係で得られるという形になっております。
 次に、6ページを御覧ください。6ページは、ガイドライン作成の経緯について述べさせていただいております。平成23年12月に「民間職業訓練サービスガイドライン」が制定されましたが、厚生労働省の民間の職業訓練に対しての質の向上に対する取組としては、アプローチが平成21年4月から始まっております。まず、JEEDへ室内訓練のノウハウをまとめてほしいという依頼を厚生労働省からしております。そして、JEEDでPDCAサイクルを基本とする質の向上の取組ということでまとめられたのが、JEED版の職業訓練サービスガイドラインです。まず、これが平成21年4月に制定されました。
 それから、民間のことではありますが、ISO29990シリーズの「非公式教育・訓練における基本的要求事項」というものが発行されております。こういった流れを踏まえて、厚生労働省のほうで平成23年12月に制定したものが「民間職業訓練サービスガイドライン」です。このガイドラインを補強するために、平成26年4月にガイドライン研修を開始し、認定事業所を平成30年4月に開始し、適合事業所認定は令和6年4月に一旦休止という形にさせていただいております。利用者が低調であったというお話をさせていただきましたが、6ページの右下の図です。大体、10から30程度が適合事業所数の推移という形でした。
 次に、7ページを御覧ください。こちらの適合事業所において、適合事業所の認定を受けている所と、それ以外で適合事業所の認定を受けていない事業所と、我々がアウトカムで重視している開講率や、充足率、就職率といったところに差が出るのかということを、求職者支援訓練の中で適合事業所とそれ以外で分けて比較したものです。適合事業所の数がなかなか多くないもので5都府県(埼玉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府)に絞った下の図で御覧いただいたほうがよろしいかと思います。こちらについて、さらに留意申し上げさせていただきますと、適合事業所はオンラインコースが少ないということがありました。ですので、こちらの比較は通所のみの比較とさせていただいております。その結果、令和2年度から令和5年度で見た隔年におきまして、開講率、充足率、就職率が大体5%~10%、年度によっては10%強高いというようになっております。もちろん因果関係を示せるものではありませんが、相関として、適合事業所のほうが開講率、充足率、就職率といった指標のほうが高い結果になっておりました。先ほど実績が少ないと申しましたが、令和5年度のときだけは適合事業所につきましてオンライン訓練の数が少し出ております。まだ未確定の数字ですが、確認させていただいたところ、就職率におきましても、適合事業所のほうがオンライン同士で比較したときも適合事業所以外よりも、かなり高いという状況となっておりました。
 次に、8ページを御覧ください。サービスガイドラインの適合事業所の認定を受けた認定事業所から頂いている御意見です。まず、認定を受けたことによる良いところとして、PDCAサイクルの運用を通じて、マニュアルや記録の整備が進み、職員の入れ替わりや異動が生じた際に以前よりもトラブルが少なく運営できるようになったということをいただいています。一方で、御指摘としては、しっかりした訓練運営を行っているというアピールをねらって取得したが、制度が知られていないため、余りアピールになっていない。認定マークについて、ハロートレーニングのマークと似ていて埋れてしまう。そして、申請費用が高く感じる。苦労して認定取得をしているので、求職者支援訓練の認定などでもっとメリットが欲しい。制度自体が休止されたことは極めて残念である。こういった御意見を頂いております。
 こういったところも踏まえて、我々のほうでどう考えていくかというときに参考になる制度が1つありますので御紹介いたします。
 9ページです。職業紹介優良事業者認定制度について記しております。こちらは職業紹介の許可を得た後、優良である事業者を認定していくという仕組みです。我々のガイドラインとの比較をするために、11ページに表を作っております。こちらは共通する悩みとして、利用が低調であったというところがあります。そういった形で職業紹介優良事業者のほうは、令和5年度に制度を改正しております。その改正を踏まえた比較を説明させていただきます。
 まず、審査基準につきまして、どちらも80項目程度の審査項目を設けておりました。こちらは職業紹介の半分程度に絞っております。どう絞ったかと言いますと、もともと法令遵守、コンプライアンスの所を割と重視されていた制度でしたが、制度開始から年数が経ちコンプライアンス重視の所は既に業界としてクリアしてきているということもありまして、採用後の定着とかマッチングとか、そういったところに関連する指標に重点化したとのことでした。あとは経営に関する指標が割と多くなっていたところもありまして、そういったところを削減した。あとは重複項目や職業安定法でカバーできる項目であったものを整理したということでした。
 そして、審査の実施主体です。こちらは、どちらももともと民間評価機関を使っておりました。こちらは、職業紹介を事務局の内部審査に切り換えております。職業紹介のほうは、人材協、言ってみれば、人材紹介の協会を包括するような業界団体のほうで引き受けていただいているところです。そして、審査方法につきまして、どちらも書面プラス実地がありました。職業紹介は原則、オンラインに切り換えております。そういった工夫をして、職業紹介のほうは審査料が30~40万円ベースで掛かっていたものを、原則11万円にコストダウンしております。サービスガイドラインの認定のほうは審査料が高いという意見もいただいておりますが、ベースとして40~50万円がありまして、それに旅費や追加審査が生じた場合の追加審査料が、別途掛かってくるという仕組みになっております。認定の単位としては、サービスガイドラインのほうが事業所単位、職業紹介のほうは企業単位です。認定の有効期間はどちらも3年です。認定を得た場合に得られるメリットとしては、どちらも使用できるのですが、認定マークを使用できるということ以外に、サービスガイドラインのほうは求職者支援訓練の選定において加点を得られるというメリットもあります。こういった類似制度も参考にして、議論を進めたいと思っております。
 そして、資料2-2を御覧ください。本研究会で御議論いただきたい主な事項として記載しております。1点目は、公的職業訓練のうち民間機関が実施する訓練の割合が7~8割である点も踏まえて、PDCAサイクルによる継続的な改善を推奨している本ガイドラインについてどのように考えるかという点です。
 2点目は、適合事業所認定についてです。利用が低調であることなどから令和6年度より休止しておりますが、民間訓練の質の向上をさせるという観点から、このことをどのように考えるかというところです。
 3点目は、仮に認定事業制度を再開する場合、どのような角度で考えていくかというところを記載しております。多くの民間職業訓練実施機関に継続的な活動を行っていただき、我が国の訓練の質の向上を推進していただく、なるべく多くの事業所に参加していただく制度にしていきたいという点から、どのように考えるかというところを事務局として示させていただきました。
 その上で、まず1点目は審査項目についてです。要求事項について、訓練のPDCAの部分のニーズ把握、設計、実施、モニタリング、評価のほかに、経営についての事業戦略、財務管理、リスク管理なども含んでおります。こういった多岐の項目にわたっていることについて、どのように考えるかというところが1点目です。
 2点目は、認定の仕組みです。こちらは利用を促進し、幅広い事業所に審査認定のプロセスを通じてPDCAサイクルを通じた継続的な改善活動を確立していただくというところから考えますと、現在の認定の仕組みをどのように考えるかということです。なお、現在の認定の仕組みを*で示しております。ガイドライン適合事業所の審査は民間の審査機関が行っています。そして、厚生労働省の委託事業で認証する仕組みを取っているという2段構えです。そして、受託事業者のほうは、審査結果を認証する役割のほか、運営協議会を設置し、ガイドラインの適合事業所認定、研修の運営について検討する役割も担っているというものです。
 次の点もこれと関連するところですが、ガイドラインの研修について、受託事業者が主体となって行っておりますが、研修内容の質の担保の観点から、どのように考えるかということです。
 そして最後に、求職者支援訓練の要件と民間サービスガイドラインの関係です。認定の要件として、「民間訓練ガイドラインの研修の受講」を求めております。1点目としては、この受講だけで、継続的な訓練の質の向上に対する取組を行っていただくための要件として十分であるかどうかというところがあるかと思っております。2点目が加点要件についてです。こちらは加点要件について設定されておりますが、利用を促進するという観点から、現在の加点をどのように考えるかというところです。以上、事務局からの説明です。
○今野座長 ありがとうございました。それでは皆様、内容の御質問でも結構ですし、御意見でも結構ですので、御自由にどうぞ。
○黒澤構成員 質問ですが、よろしいですか。御説明どうもありがとうございます。不勉強で大変恐縮なのですけれども、幾つか教えていただきたいことがあります。資料2-1の右下のページ数の3なのですけれども、上の四角の中の都道府県における委託訓練においても加点を得ることができるような状況に、この認定がなっているということなのですが、それが32都道府県ということです。研修のほうは全てなのですが、事業所認定のほうは32に留まっています。その要因みたいなものを、もし御存知であれば、どういう議論がそれぞれの都道府県であって、加点を実行していない都道府県はどういうふうに考えているのかということについて教えていただきたいというのが1点です。
 もう1つは、本当に申し訳ないのですけれども、7ページに「開講率」というのがあるのですけれども、この開講率の定義というのはどういうふうになっているのかを教えていただきたいのです。あと、就職率、充足率とあって、充足率は定員に占めるということなのでしょうけれども、その定員というのは、そもそもどういうふうに決められているのか。それから就職率というのも結局、分母というのは修了した人たち全体に占める就職率なのか、分子のほうは正規・非正規、パートも全て含んだ形なのか、その辺りを教えていただければと思います。よろしくお願いします。
〇横田政策企画室長 まず、1点目について、32都道府県のところです。こちらは厚生労働省のほうから都道府県に、認定のほうを加点要件にしてほしいと要請しているところです。全てに聞いたわけではないのですが、都道府県の中で認定を加点に入れていない県からは、実態として適合事業所が県内になさそうだということで入れていないということを聞いています。 2点目、7ページ目の就職率、充足率、開講率という所です。まず、就職率についてですが、こちらは分母が修了した人数という形で、分子が就職した人数という形です。充足率というのは、定員について、実際に定員分が入ってきて受講された人数です。
○吉田訓練企画室補佐 開講率については、求職者支援訓練ですけれども、民間教育訓練機関からの申請に基づいて、まずコースを認定します。そこから訓練の受講生等を集めるのですけれども、一部、訓練受講生が集まらない場合は中止にすることができるということで、一応、こちらは認定した訓練コースのうち開講に至った率というような形で計算しています。
○今野座長 今の就職率については、分子が就職した人ですよね。その場合も、終わってすぐなのか、3か月後なのか、そういう点はどうなのかという質問です。それから正社員も非正社員もこみかどうかという意味もあったと思います。
○横田政策企画室長 こちらの就職者は、訓練終了後3か月以内に就職された方ということでカウントしております。あと、就職された方の定義ですが、これは雇用保険適用就職をされた方ということでカウントしています。
○今野座長 よろしいですか。
○黒澤構成員 どうもありがとうございます。開講はそういうことですね。そうすると、修了率も取っているということですか。途中でドロップアウトする場合は、この就職率の分母に含まれなくなるということですね。
〇吉田訓練企画室補佐 途中で辞める方もいらっしゃるということで、基本的には、分母については訓練を終了された方と、途中で就職されて退職された方を、分母に置いています。
○黒澤構成員 途中で辞めてドロップアウトして就職していない人は、分母にも分子にも含まれていないということですね。
〇吉田訓練企画室補佐 左様でございます。
○黒澤構成員 分かりました、ありがとうございます。
○今野座長 ほかにいかがですか。では、私のほうから1つ、いいですか。6ページに、「適合事業所認定数の推移」がありますね。これはフローとしての認定数ですか、それとも認定のストック数ですか。有効期間は3年ですよね。
〇横田政策企画室長 はい。有効期間は3年で、ストックとなります。それぞれ令和5年4月1日、令和6年4月1日、その時点での認定事業所の数という形です。
○今野座長 そうすると、年度によっては、ほとんどゼロで、すごく少ないというときがあるわけですね。
○横田政策企画室長 はい。
○今野座長 分かりました。では、是非とも原様に御意見を頂ければと思うのですが。
○原オブザーバー 職業能力開発総合大学校の原と申します。実は私のほうは令和5年度まで、職業訓練サービスガイドライン適合所認定制度の座長をしていまして、民間教育訓練機関の皆様、あるいは審査員の中の意見をまとめておりました。その中で一番問題となったのは、審査の数の問題であって、数が非常に少ないというところです。
 そもそも、こちらのほうは先ほど御説明のあったように、民間で自走化をするということが大きな目的で始まっています。ただし、実績の伸び悩みも含めまして、民間の自走化がやはり困難だという結論に至り、令和5年度の時点で、一応民間のほうは終了するということで、その中で意見がまとまったのは、やはり国の関与がないとなかなか運営が困難だろうという話がありました。
 その中でも1つ大きな点があったのは、私ども審査員全員が言っていたのは、やはり職業訓練の質の向上、こちらは絶対に避けることができなくて、この事業に関しては非常にいいことをやっていると。ですけれども、認知度の問題とか、特に費用の問題も含めて、特に大手さんはこちらの審査に入っていただけるのですけれども、今御説明のあった小規模の事業所、例えばパソコン教室とか、いろいろな介護施設などがあるのですけれども、そういう所はなかなか。全体のスタッフもそんなに多くの人数でやっているわけではありませんので、費用も含めると、なかなか難しい。
 あと、もう1点ありましたのが、審査項目の数がかなり多いと。特に、訓練の質は当然必要なのですけれども、それ以外にも例えば財務面であるとか、経営戦略の話というのがあり、なかなかその辺りも、赤字になっていると厳しいとか、様々な課題がありますが、そういったところで、やはり書類を準備するのは非常に時間が掛かっているというところです。
 私ども審査をしていますと、やはり最初、例えば審査で何件と数が出るのですけれども、最初は書類で適合か不適合か見るのです。実際は不適合がちょっといるのですけれども、そこは現地審査が入るわけです。そこで、やはりお金が掛かってくる。また更に、そこで不適合を修正するのだけれども、また不適合になるというケースがあり、また、そこでその際に追加費用が発生するため、やはり人が移動することによって旅費の面だとか、かなり負担がどんどん増えてくることになります。
 2019年から、ちょうどコロナ禍になりましたので、審査もオンラインを活用して、それでうまくいくようになっていますので、実際に旅費が発生する部分は少なくなってきているのですけれども、やはり現地調査とか実地というのが必要になってきますので、40~50万という金額はなかなか変えられないところになっています。
 ただ、民間の審査機関が言っていたのは、40~50万でも利益が出ないと。したがって、このままでは、言われていたのは、繰り返しになりますが国の関与がないと、要は予算的な補填がないとやっていられないという御指摘がありました。
 ということで、前回まで座長をしていた立場でまとめますと、訓練の質を向上させるというのは、みんな一致しています。ただし、予算面や審査項目と手間、これが本当に訓練の質に直結しているのかどうかというところが、私も感じており、非常に疑問というか、その辺は改善の余地があるのではないかと考えています。以上になります。
○今野座長 ありがとうございました。それでは、実際の経験のお話もしていただきましたので、それも含めてで結構ですので、御質問、ご意見はありますか。
 直観的に言って、80何項目について100点じゃなければいけないという審査基準は厳しいですね。大変ですよね。大学でも成績の「優」でも80点ですからね。
○黒澤構成員 大学の認証評価においてもエビデンスベースになってきていて、文書化しなくてはいけないことになっています。誰がトップになろうが回るようにする、それを担保するという意味で文書を出させるというのは意味があることだと思うのですけれども、提出してから3年というのは余りに短く、もう少し長い間オーケーにするほうがよいと思います。
 また、その内容としては、先ほどおっしゃったように、訓練の中身がうまくいけば、結局はそこで採算が取れるようになるのだろう、市場のニーズにマッチしたような、高いクオリティの訓練をやっていれば人が集まるはず、ということであれば、経営の部分というのは、この認定制度の中で審査する必要はないはずです。その代わりに訓練の実績をより広く公表するとか、市場にクオリティを知らしめるということを、より安易にできるような整備をすれば、この認定制度の中で経営部分を審査する必要がなくなるのではと思います。
 それからもう1つ、一番最初のガイドラインの、「御議論いただきたい」のところで、認定は民間訓練の質を向上させているのかの観点ですが、それに関する7ページの表については、その要因を少なくとも一度、回帰分析で検証してはいかがでしょうか。
 このようなクロスタブにすると、適合事業所が少ないのでサンプル数が余りに異なり、それらを比較するには問題があります。また、事業所が雇用情勢の異なる場所に散らばっていて、例えば雇用情勢が悪い所ほど認定適合事業所が少なかったり、地方のほうが適合事業所が少ないといったことがあるのかもしれません。そういう状況があっても、回帰分析であれば、エリアを限定せずとも、雇用情勢やその他いろいろな個人属性などをコントロールした上で、適合事業所とそうでない事業所の違いを見ることができます。
 もちろん、その結果は厳密に因果関係を示すものではないです。しかしながら、7ページのようなクロスタブを示すよりは、より説得力のある1つの情報になりますし、やはりこの認定事業というのをやり続ける上の1つの根拠として、すぐできると思いますので、やっていただければと思いました。
 その場合は、アウトカム指標として、やはり修了率というのも、併せて示されたほうがよいと思います。例えばアメリカの大学などは、1年経ってドロップアウトがどれだけかというのは明確に、その大学の教育の質を示す非常に重要なアウトカム指標になっています。面白くなかったら辞めますから。つまり、就職しないでドロップアウトした人がどのぐらいの率でいるのかということです。これは修了率の逆になりますが、そういう変数も1つのアウトカム指標として、幾つか回帰分析をすれば、まずは認定事業の根拠情報の一つとして、スターティングポイントに立てるのではないかと思います。
○今野座長 今の点について、何かコメントはありますか。
〇横田政策企画室長 貴重な御指摘をありがとうございます。どのような方法で分析ができるか、おっしゃっていただいたとおり、いろいろな要素がありますが、何らかの工夫をして分析をしてみたいと思います。
○宮地構成員 今ちょっと、原先生のお話を伺って気付いたことなのですけれども、原先生から小規模の事業者にとっては、費用的にも審査の項目的にも負担になっているというお話だったのですが、実際に求職者支援訓練ですとか委託訓練を引き受けてくださっている民間の事業者の規模感ですね、大手のところと中小のところの、どれぐらいの企業がどれぐらいの規模で訓練を引き受けてくださっているのかをお聞きしたいと思います。
 それによって、もしかして中小の企業が大部分を引き受けてくださっているということであれば、非常に重いハードルを課しているということになると思いますので、事業者の規模感と引き受けている割合について教えていただければと思います。
○横田政策企画室長 すみません。今は手元に資料がありませんので、追ってお示しさせていただきたいと思います。申し訳ございません。
○今野座長 正確なデータは、今度また示していただいて、直感的にはどうですか。やはり大手が多いとか、やや地場の中小が多いなとか、そんな直感はないですか。とりあえず、そのぐらいでもいいよね。
○原オブザーバー 求職者支援訓練は、かなり全国規模でやっておりまして、例えば種子島や長崎の壱岐、五島といった所までやっているのですね。そこにおきましては、やはりパソコン教室も含めて、かなり小さな所があります。求職者支援訓練は様々な分野がありまして、例えばネイルやフラワーもあり、そういった所は非常に小規模になっています。一方、大手では、例えば株式会社ニチイ学館さんは全国47都道府県に拡げてやっていますので、求職者支援訓練の中でも、かなり大きな所と小さな所があります。ただ、小さな所は、例えば離島とか地方に所在していますので、その辺りの、要は求職者に対するサービスというのは欠くことができませんので、やっていただく必要があるのですね。ただ繰り返しになるのですけれども、先ほどの職業訓練サービスガイドラインの認定では、やはり自走化に引っ張られるところがありまして、かなり重いハードルを課しているというのが印象としてあります。したがって、そういったところが地方の、例えば先ほどの離島みたいな所にまで課して、実地検査まですることは非常に重たいのではないかと考えております。以上です。
○今野座長 どうぞ。
○大嶋構成員 ありがとうございます。御質問させていただきたいことと、少し御意見を伺いたいことが1点ずつあります。1つは、事業所ごとに大変重い負荷を課すような内容になっているということを今お伺いしたのですけれども、審査で現地調査などを行ったり、あるいは書類が返ってきたときに、不合格ですというような返しを出すときに、例えばアドバイスのようなものとか、ポジティブなフィードバックや改善点といったものが行われているのかを1点、お伺いしたいです。
 もう一つは、ガイドラインについて、PDCAを事業所さんが回せるような仕組みをしっかり作るという意義があると感じているのですけれども、質の保証とともに、労働市場のこれからの大きな変化を踏まえて、より新しい手法や、より良い提案の導入につながるような情報提供といったものが、どの程度されているのかをお伺いできればと思います。
○今野座長 これも、原さんでいいですか。
○原オブザーバー 審査に関しては、ポジティブなフィードバックもしております。審査には、軽微な不適合がありまして、それはその場で指摘をすることによって改善するということで、全て駄目ですよというようなことだけで終わっているわけではなく、審査員がポジティブなフィードバックを返しています。また、軽微なものは、その場で改善をして、修正をおこなっているという形になります。あと、新しい制度を導入することでも、私が知っている範囲ですけれども、例えば求職者支援訓練にある委託訓練機関に、最近の話題ということで、JEEDのほうでサポート講習を実施したり、様々な研修制度を実施しておりまして、質の向上を図っております。
 また、認定サービスガイドラインの、あくまで認定というところになりますので、最新の情報を提供するというよりも、むしろ審査に合ってるかどうかというところに主眼を置いていますので、例えば新しい手法をフィードバックするような仕組みは、これまでのサービスガイドラインの認定ではなかったと思います。
○大嶋構成員 有難うございました。
○今野座長 ほかには。では、私のほうから。制度のつくりとして、評価対象は事業所単位ですよね。これを、企業単位ではなくて、事業所単位にした心というのは、何かあるのですか。
〇横田政策企画室長 企業単位で全て同じやり方をしているとは限らないからというところで、事業所単位で任されている部分について可能性があるので、そこは企業一律にせず、事業所単位で見ていくというやり方を取っております。
○今野座長 そうすると、大手は大変だね。もし全事業所についてやろうと思ったら。いっぱい取らなければいけなくなるね。
〇横田政策企画室長 はい、実際にかつて入られていた大手の企業は、都市部の事業所だけ入られていました。事業所全部が入るということは負荷が重たかったということであろうと思っています。
○今野座長 大手の熱心な企業がいて、全ての事業所で入れましょうということになると、40万円なので事業所が100か所だと4,000万円ぐらいかかるよね。これは無理だな。はい、余計なことを言いました。どうぞ、ほかに。中原さん、何かありますか。何でもいいですよ。
○中原構成員 先ほどの審査項目の80項目が非常に大変という話もあったのですが、私も職業訓練のカリキュラム等を、基金訓練のときから拝見し、求訓では審査等をしていたのですが、そのときに、カリキュラムを見たときに直感的に、ニーズ調査の結果がをきちんと反映したカリキュラムであれば、訓練の質も良かったと思っていました。財務的なところで、どうしても小さな所は非常に苦しい所もあるかと思うのですが、しっかりとやられる所もありますので、その80項目をどうするのかというのは、皆さんで議論をして、必要なものとそうでないものとを整理できるのではないかと思っております。
○今野座長 何か、あれですよね。手軽にとれて効果のある認定があって、それを多くの民間職業訓練機関が入れれば社会における訓練の質が上がって良くなるというのは、みんなそう思っている。そこに余り異論がないんだよね。では現実にはどうするのか、こっちを立てればこっちが立たずみたいなものがいっぱいあるので、その辺をどうするかですよね。立派なものを作ると、手を挙げる企業はほとんどない。逆に、簡易で安いけれどできの悪いのを作ると、、取る所がいっぱい出ても訓練の質は担保できない、そんな感じですよね。そうすると、ISOもそうだと思うのですけれど、抽象的で申し訳ないのだけれど、いろいろな会社があるなかで、その認定はどの企業を狙っているのか。たとえば大学の成績でいうと、マル優の企業を狙っているのか、優の企業を狙っているのか、良ぐらいの企業でいいと考えているのか。それによって、審査項目の数とか、審査項目の重み付けが違ってきますよね。原さん、いかがですかね。そういう点からすると、気持ちとして、どのような感じですか。
○原オブザーバー あくまで私の知る範囲ですが、6ページに、ISO29990というのがあります。これは、出来上がりも政府が絡んで国家レベルでやっていた話です。国家レベルのISO29990というのを、こちらのサービスガイドラインに適用していますので、先生がおっしゃったように、これはトップを目指しているものだと感じています。私どもは、職業訓練はトップというよりも、むしろお客様目線というか、お客様がどのように就職して修了して充足して、それから以後はしっかりするという、そこをやりたいところであって、トップの、いわゆる国家レベルのトップの部分を目指すものではありませんので、議論にあるように、質の向上はあるけれども、そこにそういった様々な審査項目を課すことによって、本来の求めている質の向上にならないということですね。それになっているのではないかと思うのです。それが現実問題として、例えばサービスガイドラインのマークを作ったって認知もされない。あるいは、それがあるからといって何も知らないという状況が生まれていまして、まずは、そこにあるのではないかと思っています。したがって、本質的な質というところに、もっとフォーカスを当てて、そこに中心とした審査項目を当てることによって、お互いがウインウインになるように、小規模な事業者でも大規模な事業者でもウインウインになるような審査をするし、あるいは、そこに関して新しく、先生がおっしゃったような新しい試験をやるような、こういうサイクルを回していかないと質は上がっていかないと感じています。以上です。
〇横田政策企画室長 少しこちらからも補足させていただきます。もともと制度を作りましたのが公的職業訓練の7、8割を民間が占めているという状況の中で、ここに対する質の向上のアプローチという形でした。ですので、制度への参加者は現状のような数十という形ではなく、もっと多くの事業所を、質の向上への取組がガイドライン適合しているものとして認定したいという気持ちはあっての始まりです。そのため利用の伸びないとからで、利用が拡大するように見直しの方向を示させていただいているところです。
○黒澤構成員 すみません。今、原先生がおっしゃったことは本当に、よくよくそのとおりだなと思ったのですけれど、この取組は結局は、より良い訓練ができるように、特に小規模事業所にノウハウを伝授する目的というのは、実は大変大きいと思うのですね。そう考えると、これをやっているか、やっていないかで認定したらおしまいということではなく、先ほど大嶋さんがおっしゃったように、どちらかというと、教える部分、研修の部分というか、事業所全体の取組についてのノウハウのレベルアップを促すサービスが内包されているようなシステムにできないでしょうか。その中で認定するのは本当に最低限の部分だけで、後は疑義があったときに対応し、ノウハウを伝授する部分をもう少し追加したほうが、結局はトータルとして訓練の質の向上も全国レベルで目指すことができやすくなるのではないかと、ちょっと感じました。
○今野座長 なるほど。あれだよね、良くなるようにコンサルテーションみたいな、相談やアドバイスのサービスを入れれば入れるほど、しかけは大きくなってくる。単純な言い方をすると、認定が一番しかけが小さくて済むわけよね。イエス、ノーでチェックだけすればいいので。もし、黒澤さんが言われたような形でやっていたら、もう少し大きく考えなければいけなくなりますかね。どうですかね。
〇横田政策企画室長 おっしゃっていただいているとおり、民間の質の向上という広い枠で考えますと、いろいろなノウハウを伝授するというところまで入ってくるような活動だろうと思っております。こちらの民間ガイドラインの認定は、あくまでガイドラインの基準を満たしているところを認定していくという形になっています。先ほど原先生からも話がありましたが、今、実際に良い事例とか、やり方のノウハウについて伝授していくというのは、このガイドラインの枠というよりは、JEEDの方でサポート講習、求職者支援訓練の認定、実地確認などを通じて行っているところです。こういった取組がトータルとしては民間の質の向上の取組という形になっているところです。各取組を行う主体が少し違うというのが現状です。
○今野座長 まだ、議論はあると思いますが、今日、実はもう一つ議題があるのですよね。そちらに入らせていただきます。まだ、これからも今日のテーマを議論する機会は幾らでもあると思います。
 それでは次に、議題3の「非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練試行事業」、これは我々が報告書を作ったものですが、その実施状況について報告していただいて、議論したいと思います。それではお願いします。
○大塚訓練企画室長 では、訓練企画室の大塚から御説明申し上げます。
 資料3です。通しページは18ページからになります。この訓練については、現在、まだ実施している最中です。今月、12月末で終了する予定としております。そこで、訓練の実施結果を踏まえました御議論というのは、データが集まります3月に開催する研究会にてお願いしたいと思っております。今回の研究会では、どのような訓練をどのようなスケジュールで始めたかという部分を御報告したいと思います。
 19ページです。こちらは、昨年度3回にわたり研究会で御議論いただいて、9月に公表した報告書の概要になります。上部の欄に記載のとおり、現状と課題の2ポツ目です。非正規雇用労働者は、正社員に比べて企業を通じた能力開発機会が乏しいだけではなくて、自己啓発の実施割合も少ないということです。3ポツ目ですが、時間的制約、経済的制約、情報等に関する制約の解消が必要であるなどの課題認識から、真ん中にありますように、4つの視点、訓練内容について周知方法、受講勧奨、申込方法、訓練機関、そして成果指標について、それぞれの観点から具体的な制度設計についての御提言を頂きました。また、右下の枠にありますとおり、新しい試みであることから、まず、試行事業として実施すべき、そして試行事業の進捗状況や結果を随時研究会に報告すべきとの御提言も、併せて頂きました。
 この報告書を受けまして、どのような仕様・要件で訓練コースを設定したかを対比させる形でまとめたのが、20ページ以降の資料になります。この場で全て説明することは割愛いたしますが、例えば項番1について、報告書では現行の離職者向け訓練と同じ水準で、早期のキャリア形成などに必要な技能・知識を習得するレベルにするのが適当とされています。これを受けて、試行事業における仕様・要件には、非正規雇用労働者等のキャリアアップに資する150時間の訓練を標準時間として設定いたしました。
項番3について、報告書では通所日の設定の思い切った柔軟化や、オンライン訓練、オンデマンドのeラーニングの活用など、実施手法に関する提言を、そして、項番4では、オンライン訓練は全国的にニーズの高い分野を実施し、地域のニーズの高い分野は通所でも可能ではないかといった訓練分野に関する御提言を頂きました。これを受けまして、仕様・要件としては、実施手法に、eラーニングのみのコース、同時双方向のオンライン授業とeラーニングを組み合わせたコース、そして、スクーリングとeラーニングを組み合わせたコースの3手法を用いること。そして、訓練分野についてはデジタル分野と営業・販売・事務分野の2分野を実施するといった形で進めることにいたしました。
 次のページの項番5です。働きながら学び続けるためには受講継続のための支援が重要であると、こういう御提言を受けまして、ビジネスチャットなどの活用によるコミュニケーション機会を確保すること。また、各コースに、伴走支援者を配置して、受講継続のため、理解促進のための支援を実施すること、受講者に寄り添った支援をすること。そして、各訓練機関にキャリアコンサルタントなどを配置して、キャリアコンサルティングを実施することを必須要件といたしました。
 項番の6は広報です。離職者向けの職業訓練とは違いまして、訓練の対象者がハローワークの利用者ではないことから、SNSやホームページなど、インターネットを活用した広報に力を入れて、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構、訓練機関及び厚労省において実施することにいたしました。
 22ページの項番9、成果指標についてです。右側にありますように、訓練の修了率、就職率などの定量的なものに加えて、修了者の主観的評価といった定性的なものについて、「訓練終了時点」のものと「訓練終了後2か月経過時点」のものを把握することとしております。このような仕様・要件として試行事業を立ち上げました。
 23ページは、今年の予算要求内容をまとめた資料です。左側ですが、受講者720名分、約3億円の予算を確保いたしまして、試行事業として新規事業化しています。右側の図です。立て付けとしては、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構による調査研究事業と位置付けまして、厚労省から機構へ補助金を支給いたしまして、機構から訓練機関に訓練業務を委託するといったスキームとなっております。
 24ページは、実施スケジュールです。今年の1月から春先にかけまして、訓練実施機関や広報事業者の選定や各種準備を行いました。7月~8月にかけては、広報事業者による制度全体の広報と、各訓練機関による個別の広報を連携して実施しながら受講生の募集を行っております。冒頭にも申し上げましたが、8月の終わりから訓練を開始して、現在は訓練を実施している最中です。12月末に終了予定となりますので、この訓練の実施結果を踏まえた御議論というのは、データが出そろう3月の研究会にて行っていただくことと予定しております。
 最後の25ページは、実際に設定した訓練コースの一覧です。御覧いただけますように、2つの事業者に、デジタル分野と事務分野の2分野のコースをそれぞれ実施いただいております。実施方式は、eラーニングのみの訓練や、同時双方向性のオンライン訓練、スクーリングのある訓練など、合計で20コースを準備いたしました。応募者数や受講開始者数の実績は表のとおりです。いずれの訓練機関についても、eラーニングや同時双方向通信のオンライン訓練に人が集まりまして、スクーリングのある訓練は集客に非常に苦労したというのが実態です。特に下の2つの、営業事務科のスクーリングありの訓練は、残念ながら受講者が集まらず、中止となってしまったところです。引き続き受講継続支援なども進めながら訓練終了後のデータについて、3月の研究会にて御報告させていただければと考えております。私からの説明は以上になります。
○今野座長 ありがとうございます。何か御質問、御意見はありますか。これはスクーリングのお客さんが集まらなかったのですが、このスクーリングの場所は福岡と沖縄ですよね。ということは、結局は福岡の場合は福岡周辺しかお客さんの範囲にならないということですかね。
○大塚訓練企画室長 はい、そのように考えております。なので、その地域に限った集客を募るということになりますので、なかなか集まらなかったと思っています。
○宮地構成員 こちらの試行事業はJEEDが担当しておりまして、その試行事業の成果を分析する役割を、我々職業大が担っておりまして、私も職業大のプロジェクトチームの一員として、この間、福岡と東京の事業者に、ヒアリングに行ってまいりました。確かに、スクーリングのほうが人気がなくて、オンライン、オンデマンド訓練のほうが時間の自由が効きますので人気は高いのですが、一方、現場の先生方からは、やはりスクーリングのほうが教育効果、訓練効果は高いという声が挙がっております。あと、スクーリングも平日の夜間はつらそうですが、土日は非常に雰囲気がよいとか。あと、せめて最初だけはスクーリングで顔合わせをしたほうがいいとか、いろいろな御意見が挙がっておりまして、一概にスクーリングは人気がないからといって切り捨てるのではなくて、立地や教育効果の面を考えて、うまく使っていく必要があるかと思っております。
○菅沼構成員 東京都の菅沼です。東京都でもeラーニングを活用した訓練を実施しております。私どもが実施しているeラーニングの訓練では、途中で離脱される方や挫折される方が結構いらっしゃるので、メンターを付け、スクーリングではありませんが、セミナーを開催して受講されている方が対面で情報交換や悩みを共有できるような仕組みを取り入れています。試行事業ではいろいろなパターンや地域に分けて御検討なさっているので、調査結果について楽しみにしています。是非、私も3月に参加させていただき勉強させてください。よろしくお願いします。
○今野座長 今、宮地構成員がおっしゃられた分析結果というのは、ここで報告してくれるわけですか。
○宮地構成員 恐らく、機構本部と、あと厚労省と御相談の上で、何らかの形で御報告する形になるかと思います。
○今野座長 はい。
○大嶋構成員 現時点で、ある程度は傾向が見えているのではないかなと思える点についてご質問します。如何にハローワークにはいらっしゃらないけれども、労働市場の中で訓練をしたいと思っていらっしゃる方に来てもらえるように周知するかという観点から、どの広報ルートが一番有効であったかというところが重要かと思っているのですが、その辺りで、もし何か、分かっているところがあれば教えていただければと思います。
○今野座長 どうですか。
○大塚訓練企画室長 では、まずは私のほうから。細かい分析については、また3月に御報告申し上げますが、SNSを通じた応募が非常に多かったということです。また、SNSもいろいろな媒体を通じてやっていますが、そこでも相当ばらつきがあるというところは見えております。私からは以上になります。
○宮地構成員 私のヒアリング先の御意見も全く同じで、SNSが圧倒的に強かった。特に30代から40代、50代前半にかけての女性からの反応がとても多くて、やはり非正規は女性の方が多いので、きちんと事業が意図した方をキャッチできたのではないかということでした。ただ、不思議と言いますか、若年層ですね、若者からの反応が余りなくて、若者はなかなか見えない存在だったということで、年齢的にも、まだ将来のことが喫緊の課題になりづらいということもあるのではないかと。30代、40代の非正規の女性からのリスポンスはあったけれど若年層は見えてこなかったというお話がありました。
○中原構成員 SNS広告ですが、機構で広報をした中では、FacebookとInstagramからの訓練実施機関へのホームページ誘導率が、高かったという数値が出ております。先ほどちょっと宮地先生も言っておられたのですが、受講申込者は40代、50代が多くて、女性が8割ぐらいという状況だったと聞いております。以上です。
○今野座長 今のお話は中途報告ですね、最終報告はまた別途ですね、楽しみにしています。ちなみに、前回の研究会で訓練内容の問題もありましたけれど、伴走をきちんとするとか、受講者もお互いにコミュニケーションして仲間になるとか、キャリアの相談に乗るとかという、意外に人的要素のところが非常に重要だということだったのですけれど。そういう試みをされていますけれど、その辺の評判はどうですかね。我々が一番気にした点の1つだったのですが。
○大塚訓練室長 申し訳ございません。この部分については、まだこちらのほうでは把握仕切れておりませんので、発言は控えさせていただこうと思います。
○今野座長 何かありますか。
○宮地構成員 これから正式な報告として、また機構本部から厚労省のほうに挙げていくことだとは思うのですが、私がヒアリングした生の声としては、やはりキャリアコンサルティングは非常に有り難かったという声が受講者の方から寄せられていて、キャリアコンサルティングの方に相談できたからこそ、忙しい中でも続けていけたという声が寄せられたということを伺っております。
○黒澤構成員 22ページの所に、「以下の成果指標をアンケートにより把握」というように書いてあるのですが、これは、まだなさってないのですよね。であれば是非、今のような取組についての御意見も聞いていただけるとよいかなと思いました。もちろんヒアリングは大変重要ですけれども、なるべく多くの方々から御意見を頂けるといいのではないかと。たとえば受講継続の支援についてどう思われたかとか、広報の内容、どういう経緯で、どこから経由で受講するに至ったのかとか、是非その辺も聞いていただけると大変有り難いと思います。
○大塚訓練企画室長 ありがとうございます。聞き取りについては、JEEDのほうにお願いしていますので、その辺りについてはJEEDのほうも今回の研究会を踏まえ御対応いただけるものと思っております。すみません、よろしくお願いします。
○黒澤構成員 それはアンケートに入れていただきたいというのが私の発言の趣旨です。もちろんヒアリングではなさると思いますが、是非アンケートにそういう項目を入れていただきたいということです。
○大塚訓練企画室長 分かりました。
○今野座長 このアンケートは、こういうアンケートをしなさいということは決まっているのですよね。決まっているというか、厚生労働省のフォーマットを決めてやってもらうのですね、それでいいですね。
○大塚訓練企画室長 すみません、そこの細かいところはあれですが、JEEDの中で、確か会議体か何かを作って、細かい部分については御検討いただいていると承知しております。
○今野座長 では、私の誤解だ。このアンケートは、事業者にやってもらって、事業者が結果を出してくるのではないの。
○大塚訓練企画室長 委託をしているJEEDから事業者にお願いして、事業者に取ってもらうと、そういうやり方です。
○今野座長 そういう形ですか。ということは、JEEDに言えばいいんだ。
 では、今言われてたことも考えてください。
○宮地構成員 一応、JEEDのほうでもアンケートを作りまして、研究会で作ったアンケートを事業者さんにお願いしている形になります。
○今野座長 あと、ざくっとした質問でもいいですか。やって、うまくいいきましたか。例えば、思ったほどお客さんが集まらなくて、すごい苦労したとか、そのようなざくっとした感じでいいんですが。
○大塚訓練企画室長 訓練の形態で、応募に相当ばらつきがあるというのが今、確実に言えることだと思います。やはり、eラーニングですと、全国から応募ができるという手軽さもあってか。ただ、eラーニングで取りあえず応募して、連絡をしようとしたけれど、なかなか事業者から連絡が付かない人がいたり、そういうデメリットもあると思った一方で、スクーリングはなかなか人が集まらず、例えば連合さんとか、そういう所を通じて、募集中であることを周知したり、その結果、最終的には中止に至った部分もありますが、何とか幾つかは開講できているという実態ですので、ばらつきはあります。
○今野座長 もう一度、質問を変えます。個々の点については、うまくいったとか、うまくいかなかったとか当然あるわけですが、でも、トータルとして、この新しい形態はいけるぞという感じかどうかとということは重要ではないですか。そういう意味では、どうですか。答えにくいですか。
○大塚訓練企画室長 それなりに、応募は全体とすれば集まりましたので、いけると思っています。
○今野座長 そうなんですね。どうぞ。
○大嶋構成員 東京でデジタル系の学びを行う講座だと、それほど充足率に苦労していない。応募者確保に苦労しているのは東京と地方の差なのか、訓練内容がデジタル系か事務系の内容の差なのかが、今の実験の枠組みではちょっと分かりにくいかなと思っています。その辺りが、今後検証される予定だとは思うのですけれども、なぜ、そのスクーリングは難しいのかみたいなところが、要因がはっきり分かると有り難いなということが1点です。
 あと、コミュニティで学ぶみたいなことがすごく大事だと言われる中で、eラーニングでもコミュニティみたいなものがきちんと作り得るのかみたいな観点も、もし検証の中で分かれば有り難いと思っています。
○今野座長 今おっしゃられたeラーニングの方の、ネットベースでのコミュニティ作りみたいなのは非常に重要だという話にはなっていましたね、研究会で。
○宮地構成員 はい。
○今野座長 そこが、うまくできると、みんな一生懸命に長続きして勉強してくれるということです。結果を楽しみにしています。
 ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、もう終わりますか、12時過ぎてるし。
○黒澤構成員 すみません、1点だけいいですか、最後の7ページ(25ページ)の下ですけれど、些末なことでごめんなさい。ソフトウェア開発科のスクーリング東京+ラーニングで、応募者数より受講開始者数のほうが断然多いのですけれども、これは逆ですか。
○中原構成員 eラーニングのみのコースを申し込まれた方が、第2志望などで、こちらのほうに移ったりする方もいらっしゃるので、応募者数よりも受講開始者数が増えているという状況です。
○黒澤構成員 これだけ集まったのですね、スクーリングにもかかわらず。
○中原構成員 はい。
○黒澤構成員 よかったです。ありがとうございます。
○今野座長 よろしいですか。では、全体を通して何かありますか。前の議題でも結構ですので。よろしいでしょうか。それでは、今日はこの辺にしたいと思います。ありがとうございました。では、事務局に返します、どうぞ。
○横田政策企画室長 今野座長、ありがとうございました。また、皆様、貴重な御意見をありがとうございました。
 次回の研究会におきまして、まず、サービスガイドラインの関係で、適合事業所認定を取得されている事業所にヒアリングを行いたいと考えております。また、中原構成員より、民間訓練ガイドラインの基となったJEEDにおけるPDCAサイクルの運用と、求職者支援訓練を通じた民間訓練機関の訓練の質の向上に対する取組について御説明を頂く予定です。
 次回の開催日程につきましては、改めて調整させていただきます。本日はありがとうございました。