2024年11月5日 薬事審議会 指定薬物部会 議事録

日時

令和6年11月5日(火)10:00~

出席者

出席委員(9名)五十音順 

 (注)◎部会長 ○部会長代理 
 

欠席委員(2名)五十音順

行政機関出席者​
  •  佐藤大作(大臣官房審議官)
  •  小園英俊(監視指導・麻薬対策課長) 他

議事

○監視指導・麻薬対策課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから令和6年度第3回薬事審議会指定薬物部会を開催させていただきます。委員の先生方には、大変御多用のところ、御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。
 まず初めに、本部会指定薬物部会の部会長ですが、関野祐子前部会長が御退任されましたので、池田和隆前部会長代理が部会長に選出されておりますので、御報告申し上げます。最初に、部会長から一言御挨拶をお願いいたします。
○池田部会長 部会長を拝命いたしました池田和隆でございます。東京都医学研とNCNPとにクロスアポイントメントで勤めております。この指定薬物を指定するという大変重要な審議をする場ですので、是非、御専門の先生の皆様方から、また一般市民を代表した御意見を頂いて適切に進めてまいりたいと思いますので、御協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、薬事審議会令第6条第5項の規定に基づきまして、「部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」ことになっておりますので、部会長代理につきましては、部会長から御指名いただきたいと思います。池田部会長、よろしくお願いいたします。
○池田部会長 それでは、薬理学を専門にしておられます、舩田委員にお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、舩田委員にお願いしたいと思います。どうぞ、部会長代理の席の方にお移り願います。それでは、舩田委員、一言御挨拶をよろしくお願いいたします。
○舩田委員 部会長の池田先生より、御指名いただきました舩田でございます。部会長代理を仰せつかりましたので、責任を持って務めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございました。また、関野委員の後任に、富山大学学術研究部の新田淳美教授が選出されておりますので御報告申し上げます。新田委員、一言御挨拶をいただけますでしょうか。
○新田委員 ネットから失礼いたします。富山大学薬学部の新田でございます。この度、この指定薬物部会の委員とならせていただきまして責任の重さを感じております。どうぞ、よろしくお願いいたします。以上です。
○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございました。本日の指定薬物部会は、Web形式併用での開催ですが、池田部会長、舩田部会長代理、田中委員にはこちらに御越しいただいております。当部会の委員数11名のうち、合川委員、松本委員より御欠席との御連絡を頂いておりますが、現時点で9名の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。また、本日は局長が所用のため欠席しております。
 続きまして、部会を開始する前に、本部会の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。審議会総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立なる審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから、非公開とされています。また、会議の議事録の公開につきましては、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して外部から圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。
 それでは、以後の議事進行は、池田部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○池田部会長 それでは、本日の部会資料の確認及び注意点につきまして、事務局よりお願いいたします。
○事務局 本日の部会資料に関しましては、事前に各委員宛てに送付しております。また、会場に御出席の委員は、タブレットにて御確認をお願いいたします。三つのフォルダを登載しております。資料フォルダ、文献フォルダ、参考資料フォルダになります。主に資料フォルダを使って説明をさせていただきます。部会資料についての説明は以上です。また、審議物質の説明中は、画面上に資料を共有いたしますので、併せて御覧ください。
○池田部会長 ありがとうございました。本日の議題は、「指定薬物の指定について」です。それでは、審議に入りたいと思います。審議物質について、事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 資料を御覧ください。資料No.1は、本日審議いただく4物質の名称、構造式、通称名等を記載しております。資料No.2は、御審議いただく4物質のほか、構造が類似する指定薬物、麻薬などについて一覧表としてまとめております。資料No.3は、審議物質の動物実験の結果等について取りまとめたものです。それでは、合成カンナビノイド系である審議物質マル1について説明いたします。
 資料No.2-1を御覧ください。資料No.2-1は、合成カンナビノイド系である審議物質マル1、通称名ADB-5´Br-PINACA及び、これに構造が類似する麻薬、指定薬物について、症状観察、カンナビノイド受容体への影響等のデータをまとめております。ADB-5´Br-PINACAのカンナビノイド受容体活性、中枢神経系への作用は過去に指定した指定薬物と同程度有することを確認しております。資料No.2-1は以上です。
 続いて、資料No.3について説明いたします。資料No.3の1ページを御覧ください。ADB-5´Br-PINACAは、指定薬物であるADB-5´Br-BUTINACAと構造が類似する化合物です。
 2ページ(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにADB-5´Br-PINACA15mgを添加したマシュマロリーフ0.25gを燃焼させることで、マウスに薬物をばく露させ、燃焼後15分、30分、60分後の行動及び中枢・自律神経症状について、観察された症状を記載しております。
 また、3、4ページの表1~3に、ADB-5´Br-PINACAに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。続いて、4ページ(2)カタレプシー試験の結果を御覧ください。カタレプシー試験の結果は、燃焼後15分、30分、60分後では、5匹全てが30秒以上動かない陽性を示すことはありませんでした。5ページには、観察された特徴的な症状を示した写真を載せております。
 ここで、実際の動画を御覧ください。動画は二つあります。これは、燃焼終了直後のマウスですが、閉眼し、腹這い姿勢で静止しております。これは、燃焼終了後約10分経過後のマウスですが、網をつたっての立ち上がりや跳躍など、動きが戻り始めることが確認されました。動画は以上です。
 続いて、6ページ(3)ヒトカンナビノイド受容体機能評価を御覧ください。ヒトカンナビノイド受容体(CB1及びCB2受容体)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を載せております。CB1受容体では、S体で1.46×10-mol/L、R体で1.06×10-mol/Lでした。また、CB2受容体では、S体では3.04×10-mol/L、R体では算出されませんでした。これらの結果から、カンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性があることが確認されております。
 以上の結果から、ADB-5´Br-PINACAは、動物に対する行動観察、受容体親和性評価の結果において有意な影響が認められていることから、中枢神経系への作用を科学的に類推でき、その強さは医薬品医療機器等法に基づき指定薬物として指定されている指定薬物と比較して同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えております。
 続いて、(4)海外での流通事例についてです。ブルガリア、フランス、ルーマニア、ブラジルで流通が確認されております。また、(5)海外での規制状況については、イタリア、スロベニア、スウェーデンで規制されていることを確認しております。審議物質マル1は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず最初に、流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例はありませんでした。以上です。
○池田部会長 ありがとうございます。改めまして、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。かなり活性も強いようですので、指定するのが妥当のように思いますけれども、よろしいでしょうか。それでは、審議をまとめます。
 ただいま御審議いただきました物質は、医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
 それでは、異議がないようですので、そのように決議させていただきたいと思います。
 それでは、引き続き、事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 続いて、ニタゼン系化合物である物質マル2について説明いたします。資料No.2-2・3を御覧ください。資料No.2-2・3は、ニタゼン系(合成オピオイド系)である審議物質マル2Flunitazene、これに構造が類似する麻薬、指定薬物について、オピオイド受容体活性、中枢神経系への作用、マイクロダイアリシス試験のデータをまとめております。
 審議物質マル2であるFlunitazeneは、マイクロダイアリシス試験でモノアミンを有意に増加させており、オピオイド受容体への影響も過去に指定した指定薬物と同程度有することを確認しております。資料No.2-2・3は以上です。
 続いて、資料No.3について説明いたします。資料No.3の7ページを御覧ください。Flunitazeneは、Protonitazeneと構造が類似する化合物です。
 8ページ(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにFlunitazeneを1.1、11、27.5mg/kgを腹腔内投与し、投与後30分、60分、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。また、9ページ、10ページの表1~表3にFlunitazeneに対する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、観察された特徴的な症状を示した写真を11ページに載せております。
 ここで、写真と併せて実際の動画も御確認ください。動画は三つあります。これは、27.5mg/kg投与群の投与後10分経過したマウスですが、腰高姿勢でせわしなく旋回歩行を繰り返す、挙尾が認められ、耳を後方に倒すことが確認されました。これも、27.5mg/kg投与群の投与後10分経過したマウスですが、後肢の踵を上げて、腹這い姿勢でゆっくり旋回歩行が確認されました。これは、27.5mg/kg投与群の投与後30分経過したマウスですが、運動量は低下するが、挙尾、旋回歩行は持続する、うずくまりと立ち上がりを繰り返すことが確認されました。動画は以上です。
 続いて、12ページ(2)を御覧ください。自発運動における運動量について、マウスにFlunitazeneを11.0mg/kgを腹腔内投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しております。各群マウス4匹を使用し測定しました。総運動量、大きい運動量、総移動距離は測定開始10分では有意な増加が確認されました。
 続いて、13ページ(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。Flunitazene約0.8mg/kg腹腔内投与群マウス5匹、コントロール群6匹を用いて、モノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されました。
 続いて、14ページ(4)を御覧ください。Flunitazeneのヒトオピオイド受容体に対するアゴニスト活性を明らかにするために、EC50を算出しております。μ受容体のEC50は2.88×10-mol/L、κ受容体のEC50は算出されませんでした。
 以上の結果から、Flunitazeneは、動物による行動観察の結果、モノアミン類の経時的変化及びμオピオイド受容体に対するアゴニスト活性の結果において有意な影響が認められていることから、中枢神経系への作用を科学的に類推でき、その強さは既に医薬品医療機器等法に基づき指定薬物として指定されている指定薬物と比較して同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えております。
 続いて、(5)海外での流通事例についてですが、カナダ、ドイツ、イタリア、アメリカで流通が確認されております。また、(6)海外での規制状況については、アメリカ、イギリスで規制されていることを確認しております。審議物質マル2は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。まず最初に、流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例はありませんでした。以上です。
○池田部会長 ありがとうございます。改めまして、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。典型的なμオピオイド受容体の作動薬かと思います。Webで御参加いただいている委員の皆様方、もし、何かありましたら「挙手ボタン」を押していただければと思いますが、よろしいでしょうか、特に御意見はないでしょうか。それでは、審議をまとめたいと思います。
 ただいま御審議いただきました物質は、医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物と指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。御賛同いただいたということですね、ありがとうございます。それでは、異議がないようですので、決議としたいと思います。
 それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続いて、同じくニタゼン系化合物であります審議物質マル3について説明いたします。先ほどと同じく、資料No.2-2・3を御覧ください。資料No.2-2・3に、ニタゼン系(合成オピオイド系)である審議物質マル3Metodesnitazeneに構造が類似する麻薬、指定薬物について、オピオイド受容体活性、中枢神経系への作用、マイクロダイアリシス試験の結果等のデータをまとめております。
 審議物質マル3であるMetodesnitazeneは、マイクロダイアリシス試験でモノアミンを有意に増加させており、オピオイド受容体への影響も過去に指定した指定薬物と同程度有することを確認しております。資料No.2-2・3については以上です。
 続いて、資料No.3について説明いたします。資料No.3の15ページを御覧ください。Metodesnitazeneは、Etazeneと構造が類似する化合物です。続いて、16ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにMetodesnitazeneを1.1、11、27.5mg/kgを腹腔内投与し、投与後30分、60分、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。また、17ページ、18ページの表1~表3に、Metodesnitazeneに対する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、観察された特徴的な症状を示した写真を19ページに載せております。
 ここで、写真と併せて実際の動画も御確認ください。動画は三つあります。これは、11.0mg/kg投与群の投与後10分経過したマウスですが、網蓋につかまり、舐める、かじるなどの反復動作が確認されました。これは、27.5mg/kg投与群の投与後12分経過したマウスですが、挙尾、旋回歩行が確認されました。これは、27.5mg/kg投与群の投与後16分経過したマウスですが、壁に寄り掛かり静止することが確認されました。動画は以上です。
 続いて、20ページ(2)を御覧ください。自発運動における運動量について、マウスにMetodesnitazeneを11.0mg/kgを腹腔内投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動を測定しております。各群マウス4匹を使用して測定しております。総運動量、大きい運動量、総移動距離は測定開始10~20分では有意な増加が確認されております。
 続いて、21ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。Metodesnitazene約22mg/kg腹腔内投与群マウス6匹、コントロール群6匹を用いて、モノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されました。
 続いて、22ページ(4)を御覧ください。Metodesnitazeneのヒトオピオイド受容体に対するアゴニスト活性を明らかにするために、EC50を算出しております。μ受容体のEC50は9.15×10-mol/L、κ受容体のEC50は算出されませんでした。
 以上の結果から、Metodesnitazeneは、動物による行動観察の結果、モノアミン類の経時的変化及びμオピオイド受容体に対するアゴニスト活性の結果において有意な影響が認められていることから、中枢神経系への作用を科学的に類推でき、その強さは既に医薬品医療機器等法に基づき指定薬物として指定されている指定薬物と比較して同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えております。
 続いて、(5)海外での流通実態についてですが、オーストリア、ベルギー、エストニア、フランス、アメリカで流通が確認されております。また、(6)海外での規制状況については、アメリカ、イギリス、スウェーデンで規制されていることを確認しております。審議物質マル3は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○池田部会長 それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。まず最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例はありませんでした。以上です。
○池田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方に改めて御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○□□委員 すみません、□□ですが、日本での流通状態についてが音割れして聴こえなかったのですが、もう一度お願いしてよろしいですか。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例はありませんでした。
○□□委員 ありがとうございました。
○池田部会長 そのほか、いかがでしょうか。こちらも、μオピオイド受容体の作動薬ということで、指定することが適当のように思われますが、よろしいでしょうか。それでは、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
 異議がないようですので、決議といたします。ありがとうございました。
 それでは、引き続き事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、最後にカチノン系化合物である審議物質マル4について説明いたします。資料No.2-4を御覧ください。資料No.2-4は、カチノン系である審議物質マル4、通称名MD-PiHP並びにこれらに構造が類似する指定薬物について、モノアミントランスポーターへの影響、セロトニンに対する受容体機能評価等のデータをまとめております。
 MD-PiHPは、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、モノアミントランスポーターへの影響についても過去に指定した指定薬物と同程度の活性を有することを確認しております。資料No.2-4の説明は以上です。
 それでは、資料No.3の23ページを御覧ください。MD-PiHPですが、指定薬物であるN-Cyclohexylbutylonと構造が類似する化合物です。続いて、24ページ(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにMD-PiHPを2、20、100mg/kgを経口投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。また、25ページ、26ページの表1~表3に、MD-PiHPに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、27ページには観察された特徴的な症状を示した写真を載せております。
 ここで、写真と併せて実際の動画とともに御確認ください。動画は三つあります。これは、20mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、忙しなく立ち上がり、網蓋につかまる反復動作が確認されました。これは、100mg/kg投与群の投与後約15分経過したマウスですが、断続的に跳躍する、ゲージ上部や網蓋を舐める、かじるなどの反復動作が確認されました。最後は、100mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、あとずさりの反復動作が確認されました。動画は以上です。
 続いて、28ページ(2)自発運動における運動量の測定結果を御覧ください。いずれの項目においても増加傾向がみられ、幾つかの測定時間において有意な増加が確認されました。続いて、29ページ(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。MD-PiHP約26mg/kg経口投与群を5匹、コントロール群6匹を用い、マウス線条体内神経、シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンの有意を確認しております。
 続いて、30ページ(4)MD-PiHPのモノアミントランスポーターに対する阻害作用評価のため、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出しました。結果は、表4及び31ページの図のとおり、MD-PiHPのノルアドレナリントランスポーターに対するIC50は2.5×10-Mで、コカイン塩酸塩の約0.068倍でした。ドパミントランスポーターに対するIC50は8.5×10-Mで、コカイン塩酸塩の約0.024倍でした。セロトニントランスポーターに対するIC50は2.4×10^-5Mで、コカイン塩酸塩の約4.4倍でした。
 続いて、32ページ(5)ヒトセロトニン受容体(2A及び2C)に対するアゴニスト活性ですが、いずれも算出されませんでした。
 以上から、MD-PiHPは、動物による行動観察の結果、モノアミン類の経時的変化及びモノアミントランスポーターに対する阻害活性においては有意な影響が認められていることから、中枢神経系への作用を科学的に類推でき、その強さは既に医薬品医療機器等法に基づき指定薬物として指定されている指定薬物と比較して同等であると考えられることから、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 続いて、(6)海外での流通状況についてですが、スウェーデンで流通が確認されております。また、(7)海外での規制状況については、スウェーデン、フィンランド、イタリア、ロシアで規制されていることを確認しております。審議物質マル4は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○池田部会長 それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。まず最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例はありませんでした。以上です。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方に改めて御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。コカインよりも強力な作用を持っているということで、指定するのがふさわしいと思われますが、いかがでしょうか。それでは、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
 それでは異議がないようですので、そのように決議いたします。ありがとうございました。
 それでは、引き続き事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 今後のスケジュール等について説明いたします。本件の結果については、次回開催の薬事審議会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、本日御審議いただいた物質に関する、いわゆる正規用途については、今のところ、確認されておりません。いずれにいたしましても、可能な限り適正使用に支障を来たさないように対応いたします。以上です。
○池田部会長 以上で、本日の議題は終了いたしました。事務局から次回の予定について御連絡をお願いいたします。
○事務局 次回の部会日程については、正式に決まり次第、改めて御連絡いたします。以上です。
○池田部会長 それでは、以上をもちまして令和6年度第3回指定薬物部会を閉会いたします。
 ( 了 )
備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。

照会先

医薬局

監視指導・麻薬対策課 課長補佐 藤井(2779)