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第201回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録
日時
令和6年12月23日(月) 10:00~12:00
場所
厚生労働省 共用第8会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館19階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館19階)
議事
- 議事内容
- ○守島部会長 おはようございます。
それでは、ただいまより、第201回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
出欠状況ですけれども、公益委員の小畑委員、中窪委員、水島委員が御欠席となっております。また、労働者委員の内藤委員が所用のため途中退席予定と伺っております。
それでは、議事に入りたいと思います。議題1は「雇用保険制度について」でございます。まず資料1について事務局より御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○鈴木調査官 事務局でございます。
資料1「財政運営について」を御覧いただければと思います。前回、前々回と、来年度の雇用保険料率をどのようにするかという観点から本部会で御議論をいただいてまいりました。資料1の2ページ目以降、この部会でいただきました御意見について概要をお示しさせていただいております。前回の雇用保険部会で幾つかのシミュレーションをお示しさせていただきました。前回の部会でいただいた御意見について御紹介をさせていただきます。
4ページを御覧いただければと思っております。失業等給付の保険料率、雇用保険二事業による失業等給付の積立金からの借入金の扱いについてでございます。
まず、保険料率に関する意見について御紹介をさせていただきます。上から3つ目のポツでございます。料率について、コスト高・賃上げなどの動きに鑑み、できる限り中長期的に考える必要がある。段階的に引き下げることもあり得るのではないか。
1つ飛びまして5つ目のポツでございます。安定的な財政運営の観点では、保険料率を0.4%から0.5%とする場合、料率の変動が激しく、安定的ではない。0.6%の場合、足元の基本手当の受給者実人員の増加を踏まえた推計でも安定的な財政運営が可能に見える。ただし、給付制限見直しの行動変容の影響等も踏まえ、バランスを見つつ判断する必要がある。
下から2つ目でございます。料率をできるだけ抑えるべきという意見は前回と変わらないが、安定的財政運営という観点も重要。
保険料率に関しましては以上のような御意見をいただいているところでございます。
このほか、年末の財務大臣との折衝事項となっております積立金から二事業への繰入れの返還に関する論点についても御意見いただいてございます。同じ4ページ目の上から1つ目、借入金の返済速度・料率については、借入金の返済額の検討がないと検討しづらい。借入の要因はコロナ禍の雇調金。一般会計からの2.5兆円繰入れは大半が雇調金原資になったと推測され、返済免除すべき。令和3年度の一般会計からの繰入れ1.7兆円は、令和2年度の失業等給付からの貸出分1.4兆円を補填する意味があったのではないか。返済額は2.9兆円から2.5兆円を控除した0.4兆円から令和2年度の貸出分1.4兆円の幅の中で検討すべき。
次のポツでございます。借入金の返済速度について、二事業の雇用安定資金に一定の残高を積み上げるのが適当であり、2分の1が妥当。
1つ飛びまして、失業等給付の積立金は順調に積み上がっていくと理解したが、これは二事業が犠牲になっている結果。二事業が本来の役割を果たせるようにすべき。平時対応は毎年の収入で十分かもしれないが、有事の対応のためには一定の積立てが必要。雇用安定資金の再建が可能になるようなバランスの取れた対応案を財政当局と詰めてほしい。
1つ飛びまして、借入金の返済は、貸出しに労働者の拠出した保険料が含まれること、積立金の額が失業等給付の保険料率も影響することも踏まえ、早期の返済が適当。
1つ飛びまして、借入金の返済は、相当程度の免除があってしかるべき。返済速度は、今後数年は2分の1で固定したほうがよいと思うが、今後体制状況が安定した場合は変更も視野に入るのではないか。
以上のような御意見をいただいてございます。こちらにつきましては、いただいた御意見を十分に踏まえつつ、財政当局と調整し、追って本部会において御報告をさせていただきたいと考えてございます。
続きまして、5ページ、育児休業給付の保険料率についてでございます。
試算を見ると令和8年度までは弾力倍率が1.2を上回る安定的な運営ができるため、令和7年度は0.4%に据え置いて問題ないと考えるといった御意見をいただいてございます。
以上のような御意見を踏まえまして、本日、事務局から御提案させていただきます令和7年度の保険料率につきましては、6ページを御覧いただければと思います。まず、失業等給付の保険料率について、令和5年度決算を踏まえた弾力倍率は2を超えており、令和7年度の保険料率は現在の0.8%から0.4%まで引下げが可能な状況となってございます。令和6年法改正に伴う影響も考慮した上で令和7年度以降の雇用保険財政状況の試算を行い、検討を行いましたが、給付制限の見直しに伴う被保険者の行動変容が十分に予測することが困難であること、令和5年度以降、受給者実人員が増加傾向であること等の状況も踏まえ、安定的な財政運営と保険料負担軽減の両立を図る観点から、令和7年度の保険料率は0.1%引き下げ、0.7%としてはどうか。
育児休業給付の保険料率につきましては、令和5年度決算を踏まえた弾力倍率は1.2を超えており、令和7年度の保険料率は、本則(0.5%)の規定にかかわらず、現在の0.4%とすることが可能となっている。令和7年度以降の財政運営試算の結果を踏まえ、令和7年度の料率は現行の0.4%に据え置くこととしてはどうか。
以上のように事務局から御提案をさせていただきたいと考えてございます。
続きまして、7ページをご覧ください。こちらは事務局案の保険料率ということで総覧をお示しさせていただくものでございます。令和6年度は保険料率全体で1.55%、失業等給付0.8%、育児休業給付0.4%、二事業0.35%ということとなってございます。事務局案では失業等給付を0.1%引き下げ、0.7%としてはどうかということでございますので、令和7年度の案という部分を見ていただきますと、全体で0.1%引き下がりまして1.45%、失業等給付の部分のみ0.7%に引き下げてはどうかということで御提案をさせていただくものでございます。
以上につきまして、本日、御意見いただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして御質問、御意見があれば、お伺いしたいと思います。どなたからでもどうぞ。
平田委員、お願いいたします。
○平田委員 御説明ありがとうございました。
保険料率を検討する上で、累計2.9兆円に上る失業等給付の積立金から二事業への貸出しについて、雇用保険二事業の費用負担をする使用者側の考え方を改めて申し上げておきたいと思います。
コロナ禍において政府からの休業要請があって多くの事業者が休業を強いられて、事業の存続と社員の雇用維持のために雇用調整助成金を活用せざるを得なかったと認識しております。度重なる特例措置を長期間にわたって講じた結果、雇用の安定には大きく寄与した一方で、その財源である二事業の雇用安定資金は、積立金から約2.9兆円を繰り入れたにもかかわらず4年度連続で残高0円という危機的な状況にあると理解しております。最終的に6兆円という雇調金の大幅活用によって、事業主の助成を通じてその社員と御家族を含む大きな国民生活が守られたと理解をしております。
こうした事実に照らすと、繰り入れられた2.9兆円を事業主のみが拠出する雇用保険二事業に係る雇用安定資金で賄うことは、費用を負担する多くの事業主から理解を得られないと考えております。費用を負担する事業者の納得が得られて、かつ、雇用保険財政の再建も可能となるような雇用保険料率も含めて、対応案について財政当局とも詰めてほしいと考えております。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
オンラインの清田委員が手を挙げていらっしゃいます。どうぞ。
○清田委員 ありがとうございます。日商の清田です。
ただいまの平田委員と発言が重複するところがございます。二事業の失業等給付の借入金についてでございます。繰り返しとなり恐縮でございますけれども、借入金の大半が雇用調整助成金の原資になっていることを踏まえますと、返済については、これまで申し上げましたとおり相応の額の免除を行うべきというところを改めて申し上げたいと思っております。
また、今回お示しいただきました失業等給付に係る保険料率につきましては、負担の軽減と財政の安定運営の両輪で考慮した場合、お示しいただいた案には異論はございません。他方で、足元のコスト高や賃上げ原資の確保ということを踏まえた中で、弾力条項を適用し、可能な限り引き下げていきたいという思いもございます。来年以降も一定の長期的な視点で弾力倍率の推移も踏まえながら、毎年の検討を通じて段階的に引き下げていくということを検討いただきたいと思ってございます。
最後ですけれども、今回の雇用調整助成金の貸出し等をはじめとする財政悪化に関し、今後こうした議論が起きないように、国家の非常事態における雇用の維持・安定の支援の在り方、また、財政支援の在り方については平時に早期に検討を行うべきと思います。この点については強くお願いを申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
では、渡辺委員、お願いいたします。
○渡辺委員 資料の御説明ありがとうございました。3点申し上げたいと思います。
1点目が、借入金の返済額についてです。こちらは先ほど平田委員、清田委員からもありましたとおり、背景や事情については全く同じ考えを持っておるところです。その上で、これまで相当程度の金額の返済免除と申し上げてきたところでございますが、基本的には法律の関係で積立金を経由して一般会計から支出された金額をベースに免除されるべきということを考えております。できる限りの交渉を財政当局としていただければと思っています。
次に、料率については資料にもあるとおり、失業等給付については給付制限の見直しに伴う被保険者の行動変容を十分予測することが困難であること及び令和5年度以降の受給者実人員が増加傾向であること等を踏まえた上で、安定的な財政運営と保険料負担軽減の両立がなされるということで御提案をいただいているかと思いますので、こちらの案については事務局案で妥当ではないかと考えております。
最後に、剰余金の積立てですが、直近今年度分については2分の1を安定資金に積み立てておくということで、財政当局との交渉をぜひ行っていただければと思っております。その後につきましては雇用保険全体の安定的な財政運営、そして政策的要請への対応といった観点も踏まえて積立てについて検討していくべきと考えているところです。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
では、冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
まず、失業等給付の保険料率につきまして、事務局案として示された0.7%につきましては一定理解できるところではないかと考えております。ただし、令和8年度以降の保険料率を検討する際には、法改正による影響等も十分分析していただきつつ、この部会において丁寧な議論を毎年行っていただきたいと思っております。
育児休業給付の保険料率についても異論はございませんが、こちらも引き続き丁寧な分析をお願いしたいと思っております。
積立金から二事業への貸出しについては、今、使用者側委員から様々な御指摘がございました。また、今までの御発言の中にも一般財源で行うべきものを雇用保険二事業で対応したという経緯があるのだからというお話もございました。そこは同じ思いでございまして、本来であれば一般会計で措置すべきであったというところは労働側としても発言してきたところでございます。
一方で、貸出しの中にはこれまでも申し上げているとおり労働者の保険料も含まれていることから、最優先で保全されるべきと考えておりますし、返済の速度につきましても速やかに返済をしていただくということはこの間も申し上げており、そこについては変わらないところでございます。いずれにしろ労使が本部会において様々な意見を述べているところでございますが、そうした意見の背景も含めて十分認識いただいた上で今後の対応を検討していただければと思います。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかに御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。オンラインの方も大丈夫ですね。
ありがとうございました。
それでは、御発言はありますか。
○岡雇用保険課長 御意見ありがとうございました。
これまでも繰り返し御意見いただきましたけれども、本日も貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。2.9兆円の積立金から二事業への繰入れ、その積立金への返還についても御意見を様々いただきました。こちらにつきましては、この間、雇調金によって失業が防止されてきたことから、使用者の皆様方が負担する二事業からだけで返還していくべきなのかということについての考え方も十分配慮しなければいけないと思っております。
また一方で、積立金については求職者の方の生活の安定、それから就職支援のために欠かせないものとして労使の皆様が負担してくださっております保険料で運営をしていることから、その安定的な運営も確保していかなければならないと思っております。その両方を踏まえた形での積立金への返還となるように、今日の御意見も踏まえまして財政当局に十分交渉してまいりたいと思います。その結果につきましてもこの部会でしっかりと御報告させていただきたいと思っております。
また、保険料率につきましても、現在の弾力倍率2倍を超えているという状況の一方で、足下で受給者が増えている状況、それから、給付制限の緩和による行動変容がまだ十分予測できないといったことも踏まえまして、雇用保険の安定的な財政運営と保険料の負担軽減の両立を図っていくという観点から、来年度の保険料率については0.7%にしてはどうかと、本日、御提案させていただきました。両者の観点を両立するためということで、0.7%につきましては一定の御理解をいただけたかと思っております。
一方で、令和8年度以降の保険料率につきましては失業等給付の状況、あるいは保険料負担の軽減といったその時々の様々な状況を勘案しまして、丁寧な議論をしていただきながら、検討させていただきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、資料1に関しましては以上とさせていただきたいと思います。事務局におかれましては、本日、委員からいただいた御意見を踏まえて対応をお願いいたします。
本日予定されている議題は以上ですので、本日の部会はこれで終了したいと思います。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきどうもありがとうございました。
終了いたします。