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中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第234回議事録(2025年1月15日)
日時
場所
出席者
- 構成員等
-
- 安川文朗部会長
- 笠木映里委員
- 本田文子委員
- 小塩隆士委員
- 鳥潟美夏子委員
- 松本真人委員
- 佐保昌一委員
- 奥田好秀委員
- 長島公之委員
- 江澤和彦委員
- 林正純委員
- 森昌平委員
- 藤原尚也専門委員
- 石牟禮武志専門委員
- 荒川隆治専門委員
- 事務局
-
- 鹿沼保険局長
- 林医療課長
- 木下医療技術評価推進室長
- 米田保険医療企画調査室長
- 清原薬剤管理官
- 和田歯科医療管理官 他
議題
- 令和7年度薬価改定について
議事
- 議事内容
○安川部会長
ただいまより、第234回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出欠状況について、御報告いたします。
本日は全委員御出席です。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。
(カメラ退室)
○安川部会長
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は「令和7年度薬価改定について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
お手元の資料薬-1を御覧ください。
「令和7年度薬価改定に係る薬価算定基準の見直しについて(案)」でございます。
昨年12月25日に御了解いただきました、令和7年度薬価改定の骨子に基づき、薬価算定基準の改正箇所について、お示しした資料でございます。
資料の構成ですが、点線の囲みの中が骨子の抜粋で、その後に「改正後」といたしまして、骨子に基づく薬価算定の基準の改正内容の案が赤字で記載をしております。
まず「1.対象品目及び改定方式」につきましては、骨子の記載に基づき、次のページの「第1節 市場実勢価格加重平均値調整幅方式」として、赤字、下線に薬価算定の基準に記載予定の事項が示されております。
具体的には、改定の対象品目は、市場実勢価格の薬価に対する乖離率が、全ての既収載品の平均乖離率に係数を乗じて得た乖離率を超える品目とされ、具体的な係数は、新薬創出等加算の対象品目は1.0、新薬であって後発品が薬価収載されておらず、新薬創出等加算の対象外の品目は0.75、新薬であって後発品が薬価収載されている品目は0.5、後発品は1.0、昭和42年9月30日以前に、薬事承認された品目は1.0としております。
また、このほか、第6節の後発品等の価格帯に関しても、規定の対象範囲に影響が出ますので、同じような記載をしているところでございます。
次に「2.適用する算定ルール」でございます。
今回の改定におきましては、囲みでお示ししました骨子では、基礎的医薬品、最低薬価、次のページに行っていただきまして、不採算品再算定、新薬創出・適応外薬解消等促進加算(加算及び累積額控除)、それから、後発品等の価格帯、既収載品の外国平均価格調整、既収載品の薬価改定時の加算、これらのルールを適用とすることとしております。
それに基づきまして、4ページ「改正後」と書いているところでございますが、まず、第3章のただし書きで、先ほどのルールを適用する旨を規定しております。
その下の第1節及び第6節の次の5ページの上段までの赤字は、対象品目のところで御説明したものの再掲となっております。
5ページの真ん中の上方のほうの3は、後発品の価格帯集約の特例についてでございますが「(1)対象企業」は、別表12に基づきA区分と分類された企業とされております。
今回、別表12について新たに評価方法等が追加・追記され、5ページ~8ページに示しております。
また、同じ5ページの「(3)適用条件」のイについては、最も高い価格帯の対象には、改定の対象外の品目の薬価も含める旨を明記しております。
8ページからは「第7節 低薬価品の特例」についてでございます。
「1 基礎的医薬品」では、令和6年度に基礎的医薬品に該当した品目を原則とするものの、今年度適用する際には、乖離率を超えるものは対象とならないことを明記しております。
次の9ページの「3 最低薬価」でございます。
中ほどの「また」以下は、今回最低薬価の引上げを予定しておりますので、先ほどの基礎的医薬品が引き上げられた最低薬価を下回る価格の場合は、最低薬価まで引き上げる旨の記載でございます。
具体的な最低薬価の引上げですが、9ページ~10ページにかけてお示ししております最低薬価に改定をいたします。
参考といたしましたのは、薬-1の参考の26ページを御覧ください。
26ページ「賃上げの動向」でございますが、過去5年の賃上げ率の平均と、下のほうの※印でお示ししております、消費者物価指数の昨年平均等を総合的に勘案して、およそ3%の引上げとしております。
薬-1にお戻りいただきまして、10ページを御覧ください。
下に記載しております「第9節 既収載品の薬価改定時の加算」について、今回適用する加算要件に該当する期間を記載しております。
11ページ「第4章 実施時期等」「3 経過措置」の(2)として、先ほどの最低薬価に関するものですが、みなし最低薬価品目についても、今回の最低薬価の引上げと同様に引き上げるものとするものです。
そのうち、みなし最低薬価の同じ組成、剤形区分の品目全体の平均乖離率が全体の平均乖離率以内の場合は、先ほどの最低薬価まで引き上げる。
ただし、薬価の急激な引上げの影響を緩和するために、その上限は2倍としております。
その下(4)の記載につきましては、これは不採算品再算定の運用面について、記載したものでございます。
①は対象範囲の記載で、基礎的医薬品、安定確保医薬品のカテゴリーA及びB、大臣の安定供給要請品目等としており、基礎的医薬品及び安定確保医薬品については、組成、剤形及び規格が同一の医薬品の全てが不採算となっていることの要件と、乖離率要件をつけております。
この対象範囲について、追加説明がございます。薬-1の参考の23ページを御覧ください。
感染症の流行状況の直近のデータでございます。左下にあるように、インフルエンザの流行が過去に例がないほどに前倒しで急激に伸びております。
次のページを御覧ください。
下の表は、感染症法に基づく報告徴収を行っている感染症対症療法薬です。
骨子においては、先ほど御説明いたしました3つの対象を基本として、不採算品再算定を行うとしているところでございますが、赤囲みをしております解熱鎮痛薬及び止血剤につきましては対象外となっておりますが、不採算品として引上げの要望が出ていること、インフルエンザの急激な拡大等を踏まえると、それ以外の感染症対症療法薬と同様に、不採算の状況を改善するための下支えが必要であり、今回の不採算品の対象と考えております。
適用範囲は、基礎的医薬品及び安定確保医薬品と同様の運用を考えております。
薬-1の11ページにお戻りいただければと思います。
下のほうにあります②は、薬価の改定方式の説明で、下のイが基礎的医薬品及び安定確保医薬品に関する算定方法で、こちらは、全ての会社が不採算品という要件があり(イ)で、長期収載品を含める場合、次の12ページの(ロ)は、長期収載品を含めない場合の記載でございます。
12ページの括弧なしのロは、こちらにつきましては、大臣の安定供給要請品目に関する記載でございます。
その下「3.その他の取扱い」については、13ページの上は再掲。
「(3)『薬価改定』を区切りとして品目を選定する規定の取扱い」につきましては、14ページにかけて、令和7年度改定で適用しないものに関する手当となっております。
15ページの中段の赤字も再掲でございます。
15ページの中ほど以降は、令和6年度の算定基準で追記等となった箇所の記載整備等になっております。
説明は以上でございます。
○安川部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
ありがとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
さて、12月25日に了解された骨子を具体的に肉づけしたものであり、異論ありません。
私からは以上です。
○安川部会長
ありがとうございました。
ほかに御質問、御意見等ございますか。
森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
見直し案については異論ありません。
その上で、今後の課題として、1点コメントをさせていただきます。
見直し案の6ページ目を御覧いただければと思います。
6ページ目の「3.製造販売する後発医薬品の供給実績」の「② 製造販売する『安定確保医薬品』の品目数」について、コメントをさせていただきたいと思っています。
まず、品目数での評価を否定するわけではありませんけれども、企業規模による影響が1つ大きいこと。また、今後、例えばバイオシミラーの生産に特化した企業や注射薬、また、デバイスが必要な外用薬などの生産を得意として、そうしたことに特化した企業が出てくることも予想されます。
そうした企業が品目数で不利にならないような配慮が必要と考えます。事務局におかれましては、今後の課題として受け止めていただければと思います。
また、現在、安定確保医薬品のカテゴリーA、B相当の医薬品については、生産の促進や、その他、安定的な供給の確保のために必要な措置の要請を法律上位置づける方向となっています。
安定確保医薬品のカテゴリーAは、基礎的医薬品として薬価上評価していると承知していますが、今後、改正の状況を踏まえて供給実績の重みづけに関して、カテゴリーBについても配慮を検討する必要があると考えます。
また、抗インフルエンザウイルス薬の1つであるオセルタミビルリン酸塩製剤についてコメントいたします。
タミフルの後発医薬品は2社から発売されていますが、12月中旬以降のインフルエンザの急激な流行拡大による需要増大の影響を受けて、1社は出荷停止、もう一社は限定出荷となっており、先発医薬品も限定出荷となっています。
薬局現場のオセルタミビルリン酸塩製剤の納品状況について確認しましたが、入手困難で大変困っていて、入手のめども立っていませんでした。
感染症の流行については、予想することは難しく、生産計画を立てる難しさも理解していますが、特に治療上必要な感染症治療薬については、安定確保医薬品のカテゴリーA、Bに位置づけてもよいのではないかと考えます。
事務局におかれては、関係部局と連携して検討していただくようお願いいたします。
最後に、これは、中医協マターではないかもしれませんが、抗インフルエンザ薬に関連して、もう一点申し上げます。
国備蓄の抗インフルエンザ薬については、新型インフルエンザの流行に備えた備蓄となっていますが、今回のケースのように、季節性のインフルエンザの急激な感染拡大により、安定供給に大きな支障を来したときには、国備蓄品の開放を検討すべきと考えます。
医療現場はもちろん、国民が困っていますので、厚生労働省全体として関係部署や関係者との連携を図り、必要な対応を講じていただくようお願いいたします。
私からは以上です。
○安川部会長
ありがとうございました。
今、森委員から3点ほどコメントがございましたが、事務局から何か応答はございますでしょうか。事務局、お願いいたします。
○医薬産業振興・医療情報企画課長
医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。御指摘どうもありがとうございます。
後発医薬品企業の評価指標についての御指摘は、検討課題として受け止めをさせていただきます。
そのほか、抗インフルエンザウイルス薬について、様々な御指摘を頂戴いたしました。感染が急激に拡大しているということでございまして、抗インフルエンザウイルス薬、これは、供給計画上は、インフルエンザの流行が拡大した昨年度の供給実績量、約1400万人程度ですが、それを上回る量の供給、具体的には2400万人強の供給が計画されております。
また、現時点においても、メーカー・卸の在庫は1000万人分を超える在庫は確保されているということでございまして、ただ、1社で出荷停止があったことによって、注文が殺到した場合に、在庫の偏在等を来してはならないということで、限定出荷をかけているところが出てきているという状況でございます。医療現場には大変な御迷惑をおかけしておりますが、私どもとして、医療機関、薬局から過剰な発注を抑制していただくことで、うまく全体を回していきたいということで、御協力のお願いをさせていただいているところでございます。
こうした取組の中で、代替薬の使用も含めて御検討いただくことで対応できるのではないかと思っておりますので、引き続き、御協力をいただければと思ってございます。
以上です。
○安川部会長
ありがとうございます。
森委員、よろしいでしょうか。
○森委員
ありがとうございます。
オセルタミビルリン酸塩製剤が出荷停止、限定出荷となった影響で、他の製剤も限定出荷になっていて、現場は、今、非常に困っています。今後の状況を見ながら、ぜひ判断をいただきたいと思います。
以上です。
○安川部会長
御質問、御意見等ございますでしょうか。
では、松本委員からお願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
まず、今回の資料薬-1につきましては、昨年末に取りまとめられました骨子の内容を反映したものであり、特段の異論はございません。
その上で、2点コメントをしたいと思います。
1点目は、8ページから記載のあります、最低薬価についてでございます。
今回、消費税改定以来では、初めての本格的見直しということで、改定後の薬価を見ますと、3%程度の底上げとなっておりますが、今後インフレが続いた場合に、同様の見直しが自動的に行えるものではないということ。
また、原則この仕組みが薬価の下限値ということで、薬価差益の調整弁になることがないように、くれぐれもお願いをしたいということでございます。
2点目は、11ページ以降にあります、不採算品再算定についてでございます。
資料薬-1の参考の23ページにありますような、足元でのインフルエンザの大流行を踏まえまして、24ページにございます、対症療法薬のうち、一定の要件を満たすものを対象品目に位置づけるということで、これまでの議論を振り返りますと、安定確保医薬品のカテゴリーA、Bと、大臣要請品目のみが対象になるものと考えておりましたので、今回こうした形で追加になることは、いささか唐突感は感じますが、インフルエンザは過去に例を見ないほど大幅に流行する中で、必要な医薬品を製造するほど、メーカーの赤字が膨らむ状態にあり、下支えが必要だということで理解はいたします。
ただ、今後、告示前の期間に事務局の御判断で、さらなる追加がないように御留意をいただきたいということでございます。
私からは以上でございます。
○安川部会長
ありがとうございます。
では、続いて、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
まず、薬-1につきまして、骨子を踏まえてまとめていただいたものと認識しております。整理をありがとうございました。
今後の論点といたしまして、5ページ目以降の企業指標につきまして、個別企業の評価結果の公表についても、安定供給が確保できる企業を可視化し、そうした企業の品目を医療現場で選定しやすくするという目的に立ち返り、引き続き議論していくべきと考えております。
また、最低薬価の引上げについても異論はございませんが、今般の引上げが価格に適切に反映されているかについては、今後確認していくべきと考えております。
以上です。
○安川部会長
ありがとうございます。
ほかに。
今、松本委員、鳥潟委員からも2、3点コメントがございましたけれども、それについて、もし、事務局から応答等ございましたら、特によろしいでしょうか。
では、事務局、お願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。御指摘ありがとうございます。
まず、1点目の最低薬価のほうでございますが、これは、自動的にと考えておりませんでして、その都度、その都度、必要があれば、この場で御議論をしていただければと考えております。
特に、薬価差益の調整弁あるいは今後の実勢価はどうなるのか、注視したいという御意見もございましたので、それについては注視をし、また、その結果については、また、この場で御報告をさせていただければと考えております。
それから、松本委員の2点目のほうでございます。こちらのほう、対象範囲が少し広がることになりましたが、時点での判断ということになっておりますので、御理解いただき、ありがとうございます。
今後の追加については、基本的にはないことを考えております。
以上でございます。
○安川部会長
ありがとうございます。
松本委員、鳥潟委員、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
よろしいですかね。専門委員のほうから、もし、何かございましたら、特によろしいでしょうか。
では、石牟禮専門委員、お願いいたします。
○石牟禮専門委員
専門委員の石牟禮でございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
ただいま、安定供給確保の観点の御意見も多数ございました。今回の見直し案の中で、特にみなし最低薬価に対する措置ですとか、不採算品再算定の対象について御検討いただきましたこと、これは、不採算でも通常流通を継続している品目や、増産に努めている低薬価品の供給の下支えになるものと認識しております。引き続き、業界といたしましては、医薬品の供給不安の解消に向けて努めてまいりたいと存じます。
以上でございます。ありがとうございます。
○安川部会長
ありがとうございました。
ほかに御質問等ございますでしょうか。
ほかに御質問、御意見等ないようでしたら、本案を総会に報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○安川部会長
ありがとうございます。
それでは、そのようにいたしたいと思います。
本日の議題は以上です。
次回の日程等につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の「薬価専門部会」は、これにて閉会といたします。
どうもありがとうございました。