2024年5月9日 薬事審議会 医療機器・体外診断薬部会 プログラム医療機器調査会 議事録

日時

令和6年5月9日(木)16:00~

場所

厚生労働省 共用第9会議室

出席者

出席委員(11名)五十音順

 (注)◎座長 ○座長代理
 

欠席委員(2名)五十音順

行政機関出席者
  •  城克文(医薬局長)
  •  佐藤大作(大臣官房審議官)
  •  高江慎一(医療機器審査管理課長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長
  •  石井健介(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(機器審査等部門担当)) 他

議事

○医療機器審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、「薬事審議会医療機器・体外診断薬部会プログラム医療機器調査会」を開催いたします。
 委員の先生方におかれましては、御多用の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 まず最初に、事務局に異動がございましたので、御報告させていただきます。
 医療機器審査管理課長として、私、高江慎一が4月1日付で就任いたしましたので、何卒よろしくお願いいたします。
 また、同じく4月1日付でPMDA医療機器審査第一部長として矢花直幸、医療機器審査第二部長として白土治己がそれぞれ着任しております。
 本年4月1日をもちまして、従前「薬事・食品衛生審議会」と言っておりましたが、審議会の改正がございまして「薬事審議会」と組織改編されたことに伴いまして、本調査会につきましても設置要綱を改定してございます。先生方には既にメールで新旧対照表と改正後の設置要綱をお送りしているところですので、御確認いただければと思います。
 本日の委員の出欠状況について御報告いたします。現時点でプログラム医療機器調査会委員13名のうち10名御出席いただいておりますので、薬事審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを報告いたします。また、4名の委員におかれましては、Webシステムにて御出席いただいております。また、田中先生におかれましては、遅れて御出席の予定でございます。
 続きまして、議事に先立ちまして、事務局より所属委員の薬事審議会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告いたします。薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任された委員はおられませんでしたので、御報告させていただきます。
 委員の皆様には会議の開催の都度、書面を御提出いただいておりまして、御負担をおかけしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 続けて、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、事務局から御説明させていただきます。
○事務局 事務局でございます。本日予定している全ての議題については、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。
 会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。
 また、Webにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料をお手元に御用意ください。
 資料4「影響企業リスト」をお聞きください。
 本日の審議事項に関する影響企業として、委員の先生方から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、審議及び議決に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。
 Web会議で御参加されている委員の皆様におかれましては、審議中はマイクミュート、通信環境等支障がない限りカメラオンで進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上でございます。
 以後の進行につきまして、佐久間座長、よろしくお願い申し上げます。
○佐久間座長 それでは、よろしくお願いいたします。
 ただいまの事務局の説明について御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
 よろしければ、これより議題に入ります。
 それでは、議題1「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」に入ります。
 まずは事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
 議題1につきまして、資料1に基づいて御説明させていただきます。
 既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、「いずれのクラス分類に該当するかについて」、また、「その保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否か」について、御審議いただいております。
 今回は、医療機器の承認に際し、一般的名称の新設が必要なものが1件ございます。
 1ページ目の「新設する一般的名称(案)について」を御覧ください。
 新設予定の一般的名称は「体動情報解析プログラム」、その定義は「体動センサ等から得られた体動情報をさらに処理して診断等のために使用する医療機器プログラム。通常、睡眠時等に検知される体動信号を解析し、患者の疾病診断等に用いるプログラムをいう。当該プログラムを記録した記録媒体を含む場合もある。」となっております。
 2ページ目に「新しい一般的名称が付される予定の品目概要」がございますので、こちらを御覧ください。本品は、「5.構造・原理の概要」に記載がございますとおり、体動センサから得られた体動情報を解析し、呼吸が乱れている時間に基づき指標化された呼吸安定時間(RST)を算出するプログラムです。RSTは、同じ様式の呼吸が何秒間継続するかという観点から、呼吸の安定度を示す定量指標として企業が独自に定めた指標となっており、基礎研究や臨床試験において心不全増悪を予見できる指標として開発されております。臨床試験においては、RSTを用いて心不全増悪を臨床上意義のある管理ができるところまでは検証ができませんでしたが、心不全増悪との一定の関連が評価できたことから、通知に基づいた二段階承認の考え方を適用した品目として、まずはRSTの値を算出するプログラムとしての承認を目指すことで申請されております。
 なお、二段階承認の第一段階目として取り扱うことからRSTの臨床的な意義が確立されていないことを明確にした上で、臨床試験で得られたRSTと心不全による入院・死亡の日数の関係は情報提供する予定です。
 1ページ目の記載に戻りまして、既存の一般的名称のいずれにも該当しないと考える理由を御説明させていただきます。睡眠評価装置にて得られた体動情報を含む複数の生体信号情報を処理して診断等に用いるプログラムや、体動の有無を検知する医療機器はございますが、体動センサから得られた体動情報を解析の主としてさらに処理し、睡眠時等の患者の状態判定の支援等に用いるプログラムについては、既存の一般的名称には該当しないため、新設をする必要があると判断いたしました。
 また、事前に委員の先生より御質問いただきました算出される指標の高周波、超低周波の区分についてですが、高周波成分はO.008Hz~O.6Hz、超低周波成分はO.008Hz~O.04Hzの周波数成分として定義されております。
 本品は、クラスⅡ、管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については非該当と考えております。
 事務局からは以上でございます。
○佐久間座長 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から御意見・御質問等はありますでしょうか。いかがでしょうか。どうぞ。
○宮川委員 宮川でございます。
 この23時から翌朝の5時までの時間帯をこの体動センサをずっと稼動させて、フィルタリングしてある一定の周波数だけを選んで、そのデータを集積していく。それでその計算式から、呼吸のリズムを何とか析出させるという、そういう考え方でよろしいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構よりお答えさせていただきます。
 御理解のとおりでして、体動センサは、患者さんのベッドの下にマットレス状態で敷かれているものでして、ベッドの上に乗っている夜間の23時から5時の間ずっとデータを取得するというものになります。なので、計算結果も23時から5時までの間のデータを全て積算して解析するということになります。
 以上です。
○宮川委員 このフィルタをかけたりいろいろしても、体動というのは寝返りを打ったりするのと、それから呼吸のリズム、吸ったり吐いたりする呼気・吸気のリズムというのをどのぐらい検出するのでしょうか。私、事前にも御質問したのですけれども、非常に難しいだろうと思うのですが、小さな揺らぎをどこまで検出できるのでしょうか。そういうことを今までやられた基礎データというのは実際にあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構より御説明いたします。
 御理解のとおりでして、本品は体動からRSTというものを算出する製品です。RSTというものは、コンセプトとしては呼吸に関連する指標というものではございますけれども、厳密な意味で呼吸というものを正しく、精度よく取れるかというと、そこは難しいところではございます。ただ、呼吸というものが一応周期的に一晩繰り返されるものということで、かつ長い時間解析することで、呼吸に関連した指標として算出できそうだと。併せて、RSTというものを本品の開発に至るまで臨床研究が複数行われておりまして、心不全の増悪に関連して何かRSTの変化が見られそうだというところは、研究が大分進められていったというところから、今回の開発に至ったという経緯がございます。したがいまして、この承認に至るまで基礎的な研究は複数されていると考えております。
 以上です。
○宮川委員 了解しました。ただし、非常に難しいのは、この二段階承認という制度の対象になってしまったということで、本来からすると、そういうわけではない形にすればもう少し厳密にいろんなことが審査できるはずなのですが、二段階承認というシステムの中で、実際に体動情報解析システムというものがRSTの算出プログラムという形になって、3ページの「構造・原理の概要」の一番下の2行「今後、市販後の臨床現場での使用経験において、心不全等との関連性が明らかになることが期待される」と記載されています。ここまで書き込んでいいのか疑問で、書き込み過ぎているのではないかなと心配しています。体動のことで実際に呼吸のリズムというのは分かるわけですが、それが「心不全等」とここまで書き込みされてしまうと、非常に危ういなと思います。そういうことが二段階承認の難しさだろうと私は理解しています。プログラム医療機器の審査というものに対しての危機を感じてしまうのですが、それはいかがなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構よりお答えいたします。
 ありがとうございます。御懸念の点はごもっともですが、今回、二段階承認の考え方の第一段階として承認をしようと考えているところではございますけれども、その場合においても本件に関しては臨床試験をさせていただいておりまして、心不全の増悪イベントに対してRSTがどの程度反応したかというところまでは一応評価しております。それに基づくエビデンスから説明できる範囲において、心不全増悪との関連が説明できる範囲で情報提供しながら承認するというのが第一段階と考えておりまして、さらにそれを現場に使って、本当に心不全の管理に対して有用かというところは、エビデンスを蓄えてデータを詰めて第二段階に進めていくということを考えております。なので、第一段階でも全く分からないということではないというところは説明させていただきたいと思います。
 以上です。
○宮川委員 しかしながら、睡眠時の呼吸の安定性というのは、無呼吸も含めて、そういう疾病のある方が心不全に結びつくのは当然なのです。それは当然のことなのですけれども、こういう書き方をして、RSTが直接心不全との関連というところに持っていくというところに違和感を覚えるということなので、二段階承認であるからこそもう少し慎重にやるべき姿ではなかろうかなと思います。実際に無呼吸の診断を含めてやっていらっしゃる方は、呼吸が乱れてしまうということになれば、高血圧も含めてですが、心不全につながってくるということは明らかなのですから、そことどうやって結びつけるのかということは慎重に書いていただかないと、少し問題が起こってくるのではないかなと思います。
 体動の情報解析プログラムというものが即心不全のところに持っていってしまうというのが、この二段階承認の危うさにつながってくるのではないかなと思うので、これはそういう危ういところであるということは私の意見として提示させていただきたいと思います。
 以上です。
○医薬品医療機器総合機構 PMDAでございます。
 宮川先生、御意見いただきましてありがとうございます。その点、私たちも二段階承認の考え方を活用するというところですので、しっかりと先生の御意見については受け止めさせていただければと思います。
 この資料に関しましては、この調査会の場で先生方にどういった品目なのかということをイメージしていただくためにつくらせていただいている資料でございまして、そういう意味で、開発の経緯であったり、今後期待されるところということを少し書き込ませていただいたというところでございます。
 先生のおっしゃるとおり、現時点においてもそういった体動などから心不全の増悪など、いろいろなところが研究されているというところについて、理解はしておりますけれども、そこはまだ確立していないとして出すというところではございますので、そこは理解はした上で、ただ、こういうものですということを御説明させていただくために書かせていただいたと御理解いただけると大変助かります。
 ありがとうございました。
○宮川委員 ありがとうございます。
○佐久間座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見ございますでしょうか。今の点も明確に臨床的意義は。
 北澤先生、よろしくお願いします。
○北澤委員 北澤です。
 私も今、宮川先生の言われた二段階承認ということについて素朴な疑問があり、意見を述べさせていただきます。臨床的意義が確立されていないのに、一段階目の承認をして、市販後に臨床現場で使用していいのかどうかというのが、まずよく分かりませんでした。
 あと、「市販後の臨床現場での使用経験において、心不全等との関連性が明らかになることが期待される」と書いてあるのですけれども、市販後の使用経験でどうやってその関連性を明らかにするのか。少なくともどういう試験をすればそういう関連性が明らかになると思われるかという、その道筋みたいなものを示していただかないと、やみくもに承認されてしまうのではないかと思います。
 以上です。
○佐久間座長 ありがとうございます。
 今の御意見に対して、どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構よりお答えさせていただきます。
 先生、御意見いただきましてありがとうございます。まず、3ページ目の「5.構造・原理の概要」に記載している、令和5年11月16日付で出されている「プログラム医療機器の特性を踏まえた二段階承認に係る取扱いについて」という通知がございまして、この中で、まだ臨床的意義が確立していない、ただ、診断の参考にはなるであろうという指標に関しましては、算出の正しさなどを確認した上で、臨床的意義が確立していないということを明記した上で承認するというのが第一段階承認という形で定義をされております。
 今回、算出の正しさにつきましては、しっかりとアルゴリズムが掲載されておりますし、実際臨床試験においても一定程度算出はできるということは確認ができてきておりますので、そういった意味で、通知に基づきまして第一段階承認という形を取らせていただきたいというのがまず1点ございます。
 もう一点、どういう形で臨床現場での使用経験を踏まえてこういった指標の臨床的意義を見出していくかというところに関しましては、まだ申請者とも議論させていただいている途中でございまして、明確にこういう形というところはお示しできるわけではないのですけれども、まずは今、得られた内容で通知に基づく承認をする。申請者としましては、第一段階、第二段階という通知が出ておりますので、第二段階を目指して開発をされるというところから、5番の最後の2行のような記載をさせていただいております。
 どういった形で取っていくかというところは、どちらかというと単純に世に出して、そこにあるデータを集めてくるというよりも、やり方としてはいろいろあると思います。もちろん、臨床試験を実施するというやり方もあると思いますし、あるいはレジストリという形で情報を集めていって、傾向スコアマッチングなどによって必要な患者さんのデータなど、対照群のデータと比較する、そういったこともやり方としてはあると思います。ただ、そこについては、現在議論を進行しているというところで、こういった形でやりますというところまで御説明がちょっと難しい状況というところになります。
 総合機構からは以上となります。
○宮川委員 北澤先生、いかがでしょうか。今の御回答ですけれども。
○北澤委員 北澤です。
 私がそもそも二段階承認ということ自体に疑問を持っているので、今言ったような意見を申し上げたのですけれども、結局、一段階目で承認されて、医療現場、病院とかで使われることになるわけで、そうすると、患者にしてみれば、病院でやっていることなのだから自分の病気に何かいいことがあるのだろうと当然期待するわけですが、しかし、実際には臨床上の意義は分からないものを検査されるということになるわけで、そんなことを本当にやっていいのかというのがまずもって分からないので、そこは意見としてお伝えしたいと思います。
 以上です。
○佐久間座長 ありがとうございます。
 高江さん、お願いします。
○医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長です。
 北澤先生、御意見ありがとうございます。こちらの第一段階、第二段階の承認ですけれども、確かに何も知らない患者さんの立場からすると、先生がお受け止めになられる形もごもっともかと思います。ただ、これは第一段階の承認ができたからといって、全ての医療機関で勝手に使われるということは想定しておりません。なぜならば、先生がおっしゃられるとおり、これは臨床的意義がまだ確立していないものですので、すべからく全ての医療機関でこれが使われるということは想定しておらず、さらにその研究開発を進める中で、承認を取得しているということで、安全性はきちんと確立しているというところと、その数値の持つ意味のところはきちんと算出できているという品質のところは確立しているということで、例えば、病院で特定臨床研究とか様々な研究をする際にも倫理審査委員会が通りやすいとか、そういった開発の加速化が進むというところで、こういった一段階、二段階承認を行っていて、一段階目でまだ何もよく分からないものがちまたでたくさん使われるということを想定したものではない、そういった制度ではないということを御理解いただければと思います。
○北澤委員 ありがとうございます。
 それはもちろんそうなんだろうと思います。私の意見としては、このように第一段階承認されたものを特定臨床研究等で臨床的意義というのを調べていくのではなく、あくまで治験としてやっていくことを希望します。
 以上です。
○医療機器審査管理課長 御意見として承ります。
○佐久間座長 ほかに意見ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決を行います。
 「体動情報解析プログラム」を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、そのように議決いたします。
 本件は、分科会にて文書報告を行うこととなっております。
 これで議題1を終了いたします。
 それでは、次の議題2「優先審査報告について」に移ります。
 まずは事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、議題2につきまして御説明いたします。
 本議題では、令和5年度のプログラム医療機器に係る優先的な審査等の対象品目について御報告させていただきます。
 初めに、当指定制度及び各申請品目の概要を御説明させていただきますので、資料2を御覧ください。また、本年度の指定に関する通知を参考資料2-1、PMDAからの報告書を参考資料2-2、各企業からの指定に係る申請資料を参考資料2-3としてお示ししておりますので、併せて御覧ください。
 資料2のスライド2ページ目にて、プログラム医療機器に係る優先的な審査等の試行的実施について御説明させていただきます。本指定制度は、令和4年度よりスタートした制度で、こちらに示す3つの指定要件を満たすプログラム医療機器について優先的な審査等の対象とする制度でございます。
 世界に先駆けて革新的な医療機器を日本で早期に実用化し、その開発を促進するための支援制度として「先駆的医療機器指定制度」という指定制度がございますが、プログラム医療機器では「先駆的医療機器指定制度」の要件への該当のハードルが高いのが現状でございます。我が国発の革新的なプログラム医療機器の実用化を積極的に支援していくために、令和4年度よりプログラム医療機器専用の本指定制度を開始いたしました。
 指定要件1では治療法、診断法又は予防法の画期性、指定要件2では対象疾患に係る医療上の有用性、指定要件3では世界に先駆けて日本で早期開発及び承認申請する意思並びに体制を有していることを指定要件としており、3点いずれにも該当する場合に指定対象とします。
 指定までの流れとしましては、品目の公募、ヒアリング、予備的審査を行いまして、指定要件が明らかに該当しないものは除外しております。予備的審査を通過し、正式に指定申請された品目につきましては、指定の可否をPMDAで評価した上で、特に優れていると判断されたものを選定し、薬事審議会で審議・了承を得た品目を指定しております。令和5年度分につきましては、今年1月に開催された医療機器・体外診断薬部会にて御審議いただきました。
 指定されたプログラム医療機器については、優先相談、事前評価の充実、優先審査、コンシェルジュによる支援を受けることが可能でございます。承認申請から承認までの期間は通常の新医療機器では12か月ですが、指定品目は6か月以内に短縮することになります。なお、指定を受けた後、承認申請までに原則PMDAの先駆け総合評価相談を利用いただく必要がございます。
 それでは、スライド3ページ目を御覧ください。本プログラム調査会では、令和5年度指定案件3品目についての御報告となります。
 スライド4ページ目より、各製品の概要を御説明させていただきます。
 1品目めはGenomedia株式会社のQA Commonsとなります。本品は、がん遺伝子パネル検査で得られた遺伝子情報に対するアノテーション情報を提供し、医師の治療法の決定を補助することを目的とする製品でございます。下に現在の診療フローと本品導入後の診療フローを記載しておりますとおり、エキスパートパネルが提案する治療推奨と同等の結果をエキスパートパネルに代替して提示することが期待されるプログラム医療機器です。
 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○におきまして高い一致率を確認しており、2026年〇月頃に製造販売承認申請を予定しております。
 各要件への該当性については、エキスパートパネルを経ずとも、主治医等による治療法が決定できる点には画期性があると考えられることから要件1に該当すると判断しております。また、先行研究におきまして、模範的な推奨治療と高い一致率を出したということを報告しておりまして、医療上の有用性があると考えられることから要件2に該当すると判断しております。さらに、国内での開発が着実に進んでおり、世界に先駆けて日本での製造販売承認申請を行う予定であることから要件3にも該当すると判断しております。
 続きまして、5ページ目を御覧ください。2品目めは株式会社BiPSEEのVRうつ病治療システムとなります。本品は、うつ病・うつ状態の治療補助に使用されますプログラム医療機器です。うつ病治療におきましては、薬物療法にて寛解に至らないケースがあり、原因の一つとしてネガティブな事象や事柄を繰り返し考え込む反すうが知られております。本品は、VRにて映像や音を使って自己以外に注目することを促すことなどを通じまして、症状改善のための治療コンテンツなどを提供するSaMDで、2026年度12月頃までに製造販売承認申請を予定しております。
 各要件への該当性につきましては、VRを用いて患者の状況や嗜好に合わせた認知行動療法を提供できる点に画期性があると考えられることから要件1に該当すると判断しております。また、〇〇〇〇〇〇におきまして、本品プロトタイプの使用回数が増えるほどうつ病指標の改善が確認されており、安全性面でもめまいなどが懸念されるものの、既存の薬物療法と比較すると副作用は低いと考えられることから、医療上の有用性があると考えられ、要件2に該当すると判断しております。さらに、国内での開発は着実に進んでおり、世界に先駆けて日本での製造販売承認申請を行う予定であることから要件3にも該当すると判断しております。
 続きまして、6ページ目を御覧ください。3品目めはBoston Medical Sciences株式会社/AIM4CRCとなります。本品は、下剤使用の有無を問わず、大腸CT情報から大腸ポリープ検出支援を行うプログラム医療機器です。本品による解析結果のみで大腸がんのスクリーニングや確定診断を行うことは目的としておりません。下剤を飲まなくても大腸CTを可能とするプログラム医療機器であり、これまでに下剤による前処理を実施した大腸CT検査と同程度の大腸ポリープの検出精度が確認されております。2026年2月頃までに製造販売承認申請予定です。
 各要件への該当性につきましては、標準的な前処理である下剤による物理的腸管洗浄をせずに、大腸CT検査により大腸ポリープを検出できる点に画期性があると考えられることから要件1に該当すると判断しております。また、性能試験等により、下剤による前処理を実施した大腸CT検査と同程度の大腸ポリープの検出精度が確認されており、下剤による前処理を要しないことで、患者の肉体的及び精神的負担等を軽減するとともに、下剤を服用できない等の理由で大腸CT検査を実施できない患者におきましては、大腸がん検診における新たな選択肢となることが期待できるため、医療上の有用性があると考えられ、要件2に該当すると判断しております。さらに、国内での開発は着実に進んでおり、世界に先駆けて日本での製造販売承認申請を行う予定であることから要件3にも該当すると判断しております。
 令和5年度プログラム医療機器に係る優先的な審査等の対象品目の御報告は以上となります。
 なお、鷲尾委員より事前の御質問をいただいておりますので、御説明をさせていただきます。
 指定された品目の進捗に関する課題とその検討方法及び1回目に指定された品目の現状について御質問をいただきました。指定された6品目につきましては、全ての品目につきまして総合機構との相談が実施され、承認申請に向けて準備が進められております。現状、半数はスケジュールどおりに進んでおりますが、半数につきましては、治験の計画立案等におきましてPMDAと細かな調整が実施されている段階でございまして、予定よりもやや遅れている状況でございます。進捗が遅れている企業に対しましては、PMDAからも定期的に進捗状況の確認や承認申請に向けた働きかけを実施しております。類似品目が先に承認を得る等の状況変化が確認されたり、プログラムの大幅な変更を行う必要があることが分かった場合等につきましては、その都度、指定取消の選択も含めて検討を行う予定でございます。
 事務局からの説明は以上となります。
○佐久間座長 ありがとうございました。
 それでは、今の御報告に対しまして、委員の皆様から御意見・質問等はありますでしょうか。Web上の先生方も何かありましたら。よろしいですか。お願いします。
○渡邊委員 今回の承認を受けた後に、前年度の3つ目に書いてあるテンクーさんのエキスパートパネルに関するプログラムに承認が下りると、今回のGenomediaの製品については、治療方針の決定に至るか至らないかというところが違うと言えば違うのですけれども、類似品が先に承認されたとみなして、今回のGenomediaさんのものに関しては取下げるという判断がなされたりするのですか。
○事務局 事務局より回答させていただきます。
 御指摘いただきましてありがとうございます。まず、今、御指摘いただきました株式会社テンクーの製品と今回のGenomediaの製品でございますが、御指摘のとおり、テンクー社のほうはエキスパートパネルが使用する製品でございまして、一方で、本年度のGenomediaの製品は主治医が使うものということで、少し位置づけが違うものと考えております。
 指定解除の要否につきましては、両製品において検査スキーム全体において代替する場所というのが異なりますので、最終的な承認事項や開発状況などに応じて判断をしたいと考えております。
○佐久間座長 どうぞ。
○渡邊委員 ありがとうございます。
 その辺りの判断というのは、例えば令和5年の段階でのGenomediaさんのプログラムを判断するときに、前年度に優先審査等に承認されているテンクーさんのものも考慮して判断するという意味ですか。
○事務局 ありがとうございます。
 指定に当たりましては、承認された品目を考慮することになりますので、前年度に例えば類似のものが指定をされていた場合も、基本的には指定対象の中に含めることで考えております。ただ、今回のテンクー社とGenomedia社のものに関しましては位置づけが少し異なるものということで考えております。
○渡邊委員 ありがとうございます。
 優先審査の場合は、今までに同じ希少のようなものが優先審査に入っていても、今回同じ希少なものが優先審査に上がってきても、それは対象とするという意味なのですね。
○事務局 御理解のとおりでございます。
○渡邊委員 分かりました。
 もう一点。3点目の部分に関しても、これは海外と同時に開発がされているかと思うのですけれども、これは海外の承認を受けてから30日たっても日本で承認されなかった場合というのは取下げになるのですか。
○事務局 こちらの要件におきましては、まずは日本で承認申請というのがございますので、海外で既に承認されたようなものに関しては対象外ということで、指定から外れるということになります。
○渡邊委員 分かりました。ありがとうございます。
○佐久間座長 そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 御意見・御質問がないようですので、よろしければ、これで議題2を終了したいと思います。ありがとうございました。
 それでは、議題3「調査会報告品目について」に入ります。
 まずは事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題3につきまして、事務局より御説明いたします。
 本議題では「調査会報告品目」について御報告いたします。資料3を御覧ください。
 令和5年7月3日~令和6年2月29日に承認されたプログラム医療機器の2品目を示しております。1品目め、2品目めについて簡単に御説明させていただきます。
 1品目め、販売名「メディス QFR」、申請者名「Medis medical imaging systems」が2023年8月8日に新規承認を取得しました。
 本品は、冠動脈疾患が疑われる患者に対し、冠動脈造影画像から冠動脈を3次元モデルとして再構築し、数値解析を行うことによりQFR、定量的冠血流比を算出し、診断を支援する製品となっております。
 本品に関する評価としては、性能試験成績及び国内臨床試験成績が提出されて、承認されております。
 2品目め「ミレボ」、申請者名が「株式会社アイ・ブレインサイエンス」であり、2023年10月5日に新規承認を取得しました。
 本品は、認知症の診療支援として、アイトラッキングを用いて視線の情報を連続的に収集し、神経心理検査に用いる製品となっております。
 本品に関する評価としては、性能試験成績、ソフトウエアライフサイクルに関する規格への適合を確認する資料及び国内臨床試験成績が提出されて、承認されております。
 事務局からの報告は以上でございます。
○佐久間座長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御報告に対して、委員の皆様から御意見・御質問等ありますでしょうか。どうぞ。
○鷲尾委員 産総研の鷲尾です。
 確認させていただきたいのですけれども、循環動態解析プログラムのほうは、先行品で似たようなものがあると思うのですが、そちらと同じようにオンライン上での使用という医療機器になりますか。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構でございます。
 先生、申し訳ありません。少々確認いたしますので、お待ちいただいてもよろしいでしょうか。
○鷲尾委員 はい。
 では、2個目も。2つ目の神経心理検査のほうもオンサイトなのか、オンラインなのか。この手のやつは、データをオンサイトで解析するというパターンはあまり見ないような気がしていて、全てがオンラインなのかどうかというところがちょっと気になりましたので、確認させていただきました。よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 まず、「ミレボ」に関しましては、オンサイトでの解析をするプログラムになっております。ダウンロードする必要はございますけれども、医療機関において解析いただきまして、特にオンライン上にアクセスする必要がないというプログラムになっております。
 「メディス QFR」については、今、確認させていただいておりますが、前例品の最初に承認をされたものについては、たしかオンサイトで解析をされるものです。
○鷲尾委員 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○、○○はオンラインですよね。
○事務局 ○○はオンラインなのですけれども、これの前例品として取り扱っているのは、○○というものがありまして、また別に。これはアンギオをベースに解析をしていくものですので、○○とは別の前例品がございます。そちらはたしかオンサイトで解析をするものであったかなと思います。
○鷲尾委員 なるほど。そうすると、造影画像は単写でやったやつを3Dにするという意味ですか。
○医薬品医療機器総合機構 造影を2方向で撮って、2方向で撮ったものから解析をして3D化していくというような製品になります。
○鷲尾委員 分かりました。ありがとうございます。
 以上です。
○佐久間座長 ありがとうございます。
 ほかに御質問ございますでしょうか。多分オンラインだとか、実行形態がいろいろ変わってきますが。北澤先生、お願いします。
○北澤委員 北澤です。
 教えていただきたいのですけれども、2番の神経心理検査用プログラムで、視線の情報等と認知症とが、そもそもこういう関係にあることについて知らなかったので、お教え願えればと思います。お願いします。
○佐久間座長 どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構よりお答えいたします。ありがとうございます。
 もともとこのプログラム自体がMMSEという神経心理検査の一つであります、もう既に確立された検査がございますけれども、その検査をベースにつくられておりまして、本来であれば先生方と患者さんとのやり取りの中で回答をつくっていくというのがMMSEのもともとのベースでございますが、会話が難しかったりする場合に視線を使って回答を作っていく。要は、本来であれば先生方との会話の中でこの回答が正しい、こういう回答をしますということを決定していくのですけれども、それが難しい場合に、画面の中に選択肢を4つ提示いたしまして、その中からどの選択肢を選択するかというのを目線で選択していくというものになります。プログラム側がその目線がどこに集中しているかというのをトラッキングしているというような製品になっておりまして、それを基に回答を作っていきながら、視線がぶれている場合には、うまく回答ができないというような判定をしながら、その方の神経心理学的な機能を確認していくというような製品になってございます。
○北澤委員 よく分かりました。どうもありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 座長、申し訳ありません。先ほどの鷲尾先生からの御質問について回答させていただきます。
○佐久間座長 はい。
○医薬品医療機器総合機構 確認するお時間をいただきましてありがとうございます。
 1番の「メディス QFR」につきましてもダウンロードをして、その場にインストールした状態で使用するというような製品でございますので、前例品と同じような使い方をされるというふうに確認をさせていただきました。
○佐久間座長 よろしいですか。
○鷲尾委員 ありがとうございます。
○佐久間座長 ソフトウエアはどういう体制で実行するかで随分要求されるものが違ってきますので、その点は御指摘していただいてありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、よろしければ、これで議題3を終了したいと思います。ありがとうございました。
 本日の議題は以上でありますけれども、事務局よりその他連絡事項等ありますでしょうか。
○医療機器審査管理課長 委員の先生方におかれましては、本日は御多忙の中、プログラム医療機器調査会に御参加いただきまして誠にありがとうございます。
 次回以降の調査会につきまして、日程等を後日メールで御連絡させていただきます。
 連絡事項は以上でございます。
○佐久間座長 それでは、これをもちまして本日のプログラム医療機器調査会を閉会します。本日はありがとうございました。オンラインの先生方もありがとうございました。
 
( 了 )
備考
本調査会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。