第188回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和6年12月5日(木)9:58~11:11

場所

全国都市会館 大ホール

議題

  1. 1.医療保険制度改革について
  2. 2.「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~」について(報告)
  3. 3.令和6年度補正予算案(保険局関係)の主な事項について(報告)

議事

議事内容
○姫野課長 それでは、定刻前ではございますけれども、皆様おそろいになりましたので、ただいまより第188回「医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、内堀委員、河野委員、任委員、前葉委員より、御欠席の御連絡をいただいております。
 また、本日の会議は傍聴希望者向けにYouTubeにおいてライブ配信を行っております。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。カメラの方は御退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○姫野課長 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず、欠席される委員の代わりに御出席なさる方についてお諮り申し上げます。内堀委員の代理といたしまして根本和代参考人、任委員の代理といたしまして木澤晃代参考人、前葉委員の代理といたしまして木﨑彰参考人、以上3名の出席につきまして御承認を賜れればと思いますが、いかがでございましょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
 それでは、早速議事のほうに入ってまいりたいと思います。
 本日は「医療保険制度改革について」を議題といたします。
 では、まず「医療保険制度改革について」、事務局から資料の説明をお願いいたします。
 では、よろしくお願いいたします。
○佐藤課長 保険課長でございます。
 タブレットの資料1をお開きください。
 医療保険制度改革についてということで、これまで御議論いただいております高額療養費の関係でございます。
 右下の1ページ目から4ページ目までは、前回の議事録、速記をベースに、事務局の下で各委員の先生方の御発言を要約しているというものでございます。
 5ページ目でございます。5ページ目につきましては、前回あるいは前々回のこの医療保険部会の場でもお示しいたしました高額療養費の在り方についてということで、検討の方向性ということで、基本的には様々な物価賃金等の経済環境の変化、あるいはこの10年間自己負担の上限額が実質的に維持されてきたこと等を踏まえて、セーフティーネットとしての高額療養費の役割を維持しつつ、全ての世代の被保険者の保険料負担の軽減を図るという観点から、高額療養費の自己負担限度額の見直し(一定程度の引上げ)、また、きめ細かい制度設計とする観点からの所得区分の細分化などが考えられないかと私どものほうから論点をお出しして御議論いただいているペーパーでございます。中身自体は変えておりませんので、さらなる詳細な説明は割愛いたします。
 それを踏まえまして、6ページ目、7ページ目でございます。これは案ということではなく、議論をしていただきやすいようにという観点から、私ども事務局のほうで機械的なモデルの試算というものを作っております。
 6ページ目に基本的な考え方を整理してございます。6ページ目の上に●で2つございますけれども、基本的な考え方として、これはこの部会の場でも方向性としてはおおむね一致しているのではないかと思っておりますけれども、まず所得区分については、今、5段階に分かれておりますけれども、本来であれば、きめ細かい制度設計を行うという観点からはこの刻みをできるだけ細かくする。目指すべくはリニアな形なのだろうと思うのですけれども、そういう観点からは本来所得区分を細分化してきめ細かい制度設計が必要であるよねということについては、おおむね皆さんそういう方向ではないだろうかといただいていると思いますので、まずそのあるべき姿として、住民税非課税世帯を除いて各所得区分を細分化して、できるだけ刻みを細かくする。こういう観点から、まず下のイメージ図のほうでは所得区分細分化という青い点線の絵を作っております。
 まずこういうものを発射台といたしました上で、自己負担限度額を機械的に一律の率で引き上げるという試算をしてございます。この一律の率で何%を引き上げるかというところで、5%、7.5%、10%、12.5%、15%の5パターンで試算を行っているというものでございます。
 参考に、この10年間、前回実質的な見直しを行ったのが平成27年度(2015年度)でございますので、足元までの指標の変化というものを幾つか並べてございます。世帯主収入であればプラス7%、CPI(生鮮を除く総合)でございましたら7.5%のプラス、また、平均給与(民間給与実態統計調査)では大体9.5%のプラス、また、家計調査においては世帯収入がプラス15.9%となってございます。
 また、6ページ目の点線の枠囲いの参考2でございますけれども、協会けんぽの平均総報酬月額の推移ということでございまして、こちらは直近のデータが令和4年度(2022年度)でございましたので、参考1よりも1年前倒しのデータになってございますけれども、平成27年度からの推移としては平均総報酬月額がプラス6.5%となってございます。
 ただ、この後、関係の皆様の御尽力もありまして、春闘でかなり賃上げが進んでおります。令和5年、令和6年は春闘で過去に例を見ないほどの賃上げが進んでおりますので、ここでの春闘における平均の賃上げ率、ベアが公表されておりますので、仮にということでこの令和4年度の平均総報酬月額の協会けんぽの数字に春闘のベアの数字を機械的に掛け算すると、平均総報酬月額は令和6年度で約36万円となるというものでございます。この辺りを勘案しながら、一律の率というもので掛け算をしているというものでございます。
 右下の7ページ目でございます。機械的なモデル試算の結果ということで、粗い推計といいますか、単なる掛け算をしているだけでございますけれども、一律の率、上に青い帯の部分がございます。5%引き上げたらどうです、7.5%引き上げたらどうです、10%引き上げたらどうです、12.5%引き上げたらこうです、15%引き上げたらこうですというものがそれぞれの下に数字として羅列されております。
 仮に5%自己負担上限額を一律に引き上げるとした場合には、その反射的効果として、保険料についてはマクロでは2600億円のマイナスになります。一番上のプラス15%一律の率を引き上げた場合には、保険料についてはマクロでは4300億円の減になるという数字でございます。これは当然ではありますけれども、一律の率を上げれば上げるほど保険料の軽減効果というものが大きくなってくるというものでございます。
 それを上から3行目ですかね、加入者1人当たり保険料軽減額(年額)と書いてございますけれども、それぞれ保険者はいますけれども、このマクロの保険料、例えば今度は真ん中の10%で御紹介申し上げますと、10%一律の率を引き上げた場合には3500億円の保険料の軽減効果があるわけではございますけれども、それを1人当たり頭数で機械的に割り返した場合には、例えば年間900円の保険料の軽減、あるいは4,600円の保険料の軽減効果が発生するというものでございます。
 これは900円から4,600円、ほかの一律の率でも同じように幅がかなり大きいですけれども、なぜこれだけの幅が生じるかと申し上げますと、10%の率の引上げの例で申し上げますと、900円の減となるのは後期高齢者の方でございます。一方で、4,600円の保険料の軽減効果が発生するのは基本的には現役の方と御理解いただければと思っております。現役の方の場合には、現役世代の医療費の減という効果と高齢者の支援金への効果の減が二重で効いてくることになりますので、軽減の幅が大きくなるというものでございます。保険料軽減額の実額はもちろん一律の率によって違ってまいりますけれども、基本的に幅がこれだけ大きいのはそういう理由であると御理解いただければと思っております。
 もちろんお一人お一人の給料といいましょうか、標準報酬によって実際の保険料軽減額は、例えば10%の一律引上げ額の場合には4,600円の方もいらっしゃれば、もう少し大きい方もいる、あるいはもう少し小さい方もいるわけでありますけれども、その辺りのお一人お一人の所得については加味しておりません。マクロでの単純な頭数での人数割りというもので御理解いただければと思います。
 また、保険料の軽減が例えば10%の場合には保険料が3500億円減りますけれども、給付費総額としては5000億円の減となります。その差額は公費ということになります。また、これによって実効給付率、総医療費に占める公費プラス保険料が占める割合、実効給付率もそれぞれ低下するということになります。保険料給付費が減れば、当然ですが、その分だけ実効給付率が低下するわけでございます。これも一律の率を引き上げれば引き上げるほど実効給付率が下がるという構造になっております。
 ちなみに小さく※で書かせていただいておりますけれども、実行給付率は前回見直しを行った平成27年度から令和3年度までの6年間では0.62%増加しているというのが事実関係でございます。
 以下、参考資料でございます。基本的にこれまでお出しした参考資料をそのまま添付してございますけれども、前回の部会で御指摘いただきました点を踏まえて若干参考資料を追加している部分がございますので、その点だけ御紹介を申し上げます。
 右下のページで申し上げますと、16ページでございます。16ページに健保組合における高額レセプト上位100位についてという資料を御用意いたしました。前回の部会で健保組合の高額レセプトはこのように変化したという御紹介が佐野委員からございましたけれども、健保連のデータをそのまま私どものほうでおつけしているというものでございます。
 平成26年度では循環器系の疾患が約50%を占めていた。一方で、令和5年度では悪性腫瘍が74%を占めているという状況でございます。また、高額レセの上位100位の平均についても、平成26年度では約1861万円であったものが令和5年度では約5586万円と3倍程度に増加している。また、最高金額についても、平成26年度は3000万円であったものが令和5年度は1億7800万円と6倍弱に増加しているというものでございます。
 ページが飛びまして、右下のページで申し上げますと20ページから23ページまででございます。これは前回、前々回もそうでございますけれども、村上委員から家計における医療費の負担といいましょうか、支出がどうなっているか分かるデータがないだろうかという投げかけを事務局にいただいております。なかなかピンポイントのデータを把握するのが難しいところはあるのですけれども、家計調査という総務省の統計がございますので、やや近しいものとして今回事務局からお出ししてございます。
 20ページと21ページにつきましては、2023年時点のデータでありまして、20ページが勤労者世帯、21ページが無職世帯の収入別に分けた上で、毎月平均支出はどれぐらいあるだろうかというデータを整理しているものでございます。
 まず勤労者世帯、20ページで申し上げますと、2023年においては、棒グラフがございますけれども、横軸が年収の階級でございますけれども、年収が200万未満の世帯においては毎月の保健医療の支出というものが0.4万円、他方で年収800万円以上の世帯については保険医療の支出が1.6万円となってございます。
 また、21ページにおきましては無職世帯、基本的には高齢者世帯等と御理解いただければと思いますけれども、それぞれ年収別に、例えば200万円未満であれば0.9万円の支出、また、800万円以上であれば2.2万円の支出となってございます。
 なお、この保険医療でございますけれども、もちろん医療費の自己負担もございますけれども、それ以外の医療器具等も含めての支出となっております。例えばマスクとかもこの保健医療に入ってきますので、純粋な医療費だけではないという点については御理解を賜ればと思っております。
 22ページ、23ページは、同じ統計でございますけれども、時系列と申しましょうか、2013年と2023年でどれくらい保健医療の支出が変化したかというものを表しているデータでございます。これも22ページは勤労者世帯、23ページは無職世帯でございます。
 22ページの勤労者世帯で申し上げますと、年収別に、例えば200万円未満の世帯であれば0.4、0.4と横置きになってございますけれども、800万円以上の世帯であれば1.5から1.6万円と変化してございます。
 23ページについては、無職世帯について同じように年収別に記載をしてございます。200万円以下の世帯であれば0.7万円から0.9万円に増えている。また、800万円以上の世帯であれば2.2万円から2.2万円、こちらは横置きの数字となってございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等がございましたら挙手にてお願い申し上げます。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いです。
 では、よろしくお願いいたします。
 佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 今回もまた短期間で新たにモデル試算やデータをお示しいただいたことにまず感謝を申し上げたいと思います。
 6ページで示していただいた機械的なモデル試算の考え方について、所得区分の細分化及び各区分における引上げについて異論はございません。
 7ページの機械的なモデル試算の結果を拝見しますと、例えばプラス10%の加入者1人当たりの保険料軽減幅は900円から4,600円と大変大きな差が生じております。先ほど御説明がありましたように、軽減幅が小さいのは高齢者で軽減幅が大きいのは現役世代ということでございましたが、これは言い換えますと、今現在、現役世代が高齢者医療に係る拠出金も含めて過重な負担を強いられているということの裏返しであり、前回申し上げたとおり、「現役世代の負担軽減」が喫緊の課題であることを踏まえれば、高額療養費の見直しというのは不可欠だと考えております。
 その上で2点申し上げたいと思います。
 まず1点目は、引上げ幅が5パターン示されておりますが、年収370万円以下の一般区分及び上位所得者の区分の引上げ幅について、2つの視点から検討する必要があると思っています。
 ひとつは、7ページの下の※に記載のあるとおり、実効給付率が前回の高額療養費制度の見直しの議論を行った平成27年度から6年間でプラス0.62%伸びており、今後も増加が予想されますので、この増加幅をカバーできる水準にすべきだと思います。
 それからもう一点、上位所得者の区分の現行の自己負担限度額の設定方法は、各区分の最低標準報酬月額に対応する総報酬月額の25%で設定されていると認識しております。特に年収370万円から770万円の方については、平成14年の改正当時は、協会けんぽの平均的な所得額である32万円の25%相当である8万100円に引き上げられたと思っています。今回の見直しに当たっては、直近の賃上げ状況も踏まえて引き上げ幅を見直すべきであり、その他の区分の方についても同様の考え方で実施すべきだと考えます。
 それから、2点目は高齢者の外来特例についてでございます。この外来特例については、前回の部会でも資料の御説明がありましたが、参考資料の10ページの表を拝見しますと、セーフティーネットの機能としての役割は理解するものの、70歳以上の高齢者の方については二重、三重のセーフティーネットになっている感が否めません。上位区分の自己負担額の見直しに合わせて、外来特例の廃止も含めた抜本的な見直しが必要ではないかと考えます。
 具体的に申し上げると、年間上限の廃止や月額8,000円や1万8000円の引上げなども含めて検討すべきであり、各々のケースについて、次回の医療保険部会までにシミュレーション等を行っていただいて提示いただければと思っております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
 事務局からお示しいただきました高額療養費の在り方に関する見直しの方向性については、基本的に異論はございません。重要なことは、いかに現役世代の負担を軽減できるか、ということであります。保険者を通じて多くの支援金を拠出している現役世代が負担の軽減を実感できるよう、検討を進めていただきたいと思います。
 もとより、我が国の医療保険制度は素晴らしいものではございますが、窓口負担以外の原資は保険料や公費であり、皆で支え合っているものだということを忘れてはならないと思います。間違っても、病気になっても病院に行けば比較的安く薬をもらえるのだからいい、というものではないことを、国民がしっかり理解する必要があると思います。
 大切なことは、まずは自助が基本だということであります。健康を維持できるよう自身で努力し、軽度な疾病はセルフメディケーションで対応するという意識と姿勢を国民全体が共有・実践することが必要であります。もちろん重篤化のリスクを個人に負わせないというような対応は必須であり、先天的な疾病や予測できない事故等についても「助け合い」として保険で対応する、という形を当たり前にしていくべきだと思います。
 現役世代の負担軽減に加えて、こうした自助の観点からも、高額療養費について適正な在り方とはどういうものか、真剣に検討していくべきと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。本日は市議会日程の関係のためオンラインで失礼いたします。
 高額療養費についての説明、また、基本的な方向性については特に異論がないところでございますが、添付していただいた資料の10ページでございますが、現行の高額医療費の場合の自己負担の限度額についての計算式も書いていただいています。基本的にこれは計算式は変わらないのでしょうか。少し数字が変わるのでしょうか。まずそのことを教えてください。○田辺部会長 では、お願いいたします。
○佐藤課長 事務局、保険課長でございます。
 先ほどモデルの機械的な試算というものをお出ししましたけれども、これは自己負担の限度額の上限額を機械的に例えば5%引き上げます、10%引き上げますという計算の仕方をしておりますので、例えば10ページの資料で申し上げますと、70歳未満でも70歳以上でも、例えば平均年収370万から770万円の方であったら、8万100円+(医療費-26万7000円)×1%となっておりますけれども、この8万100円の部分を機械的に×5%、×10%として計算をしております。同様に多数回該当の分も4万4400円×15%、×10%しておりますし、外来特例についても×5%、×10%という形で、ここの自己負担のところの天井の部分を機械的に掛け算しているという計算式でございます。
○横尾委員 ありがとうございます。
 ということは、基本的に大きくは変わらないで、ここの%の数字の部分が少し上下するということでございますね。
 なぜお尋ねしたかというと、今回この件につきましても既に報道でも出ていますし、多くの方が関心を寄せられていると思います。また、前回も触れましたが、現在も多くの方々が、医療を受けるに当たって、大手術を受けたり、大きな費用のかかる治療を受けられた場合に、大変支払いも気にされていると思うのですが、この制度があるおかげで大いに助かっていらっしゃる方が多数いらっしゃると認識しているところです。そういった方々、あるいは今はそういうお世話になっていないけれども、これからお世話になる方は、みんな実は可能性としてあり得るわけです。そうすると、こういった計算式で自分の場合どれぐらいの費用負担に現実にはなるのかなというのが分かれば、負担感の理解というのも分かってくると思うのです。
 ちなみに、仮に300万円の医療費がかかったとして試算をしてみたのですけれども、現行でいうと、上からいきますと1160万円以上の方は27万4180円、その次の770万円から1160万円ぐらいの方は19万1820円、そして、370万円から770万円の方は10万7430円となり、そう多額ではない費用負担で大きな医療に関するサービスを受けて、手術を受けて、退院ができるという形になっていると思いますので、ぜひこういったことをより分かりやすく提示できるように、今後、広報とか説明の資料等でも丁寧にお願いをしたいなと思います。
 そのことが、日本の社会保障制度は国民皆保険・皆年金制度でございます。特に皆保険において、国民の皆さんにとって、本当にこの高額療養費制度が大いに助かる制度であるなと思います。その費用負担の一部を負担能力に応じて負担をしてみんなで支えようというのが、今回の大きな改定の趣旨だと思いますので、その理解にもつながっていくと思いますので、ぜひそういった点をよろしくお願いしたいと思います。
特に高齢者の皆さんや、退職をなさってさらに人生を謳歌しようと張り切っていらっしゃるけれども、一方では病気にならないように気をつけなくてはいけないなとお考えの方々にとっても、この試算は大切な数字だと思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 ありがとうございます。
 高額療養費の見直しというのは、現役世代の社会保険料の負担が非常に過大なものになっているので致し方ないとは思うのですが、なぜ日本でこんなに社会保険料が上がってきたかというと、社会保険料は取りやすいからですよね。税と社会保障の一体改革のはずだったのに、税のほうを改革しないで社会保険料のほうからいろいろ取っていくという方針を取ってきたことが今日のおかしい状況になってきたと私は考えていますので、やはり基本的なことを変えないといけないと思います。
 そのほかでございますが、所得に応じて払う。つまり、年齢ではなく負担能力によって払うというのは分からないでもないのですが、ただ、所得の持つ意味が現役世代と高齢者では違う。つまり、現役世代の方はこれから働いて増やしていくことができますが、高齢者の場合になかなかそうはいかない。ごく一部には増やせる方もいますけれども、多くの人の場合、将来的に増やすということはかなり難しい。ですから、年齢というファクターを本当に無視していいのかということについて私は大いに疑問なので、その辺は考慮していただきたいと思います。
 それから、これはお願いでございますが、いろいろなデータをお示しいただきましたが、今のところ適切なデータがないということで、家計に占める医療費の負担など、家計調査で示していただいています。でも、家計調査というのは、医療を受けている人と受けていない人と全部入った平均値なので、詳しいことはよく分からない。できれば厚生労働科学研究費などを使って、もっと詳細に事例的に医療費が無職世帯や高齢者世帯にどういうインパクトを与えているかということを調査していただきたい。
 高齢者の受診行動などについてもよく分かっていない面もありますので、こういうミクロな点についてできれば今後詳細な調査をして、独自のデータを出していただいて、その上での改革というようなことを考えていただきたい。これはお願いでございます。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、横本委員、よろしくお願いいたします。
○横本委員 それでは、経団連の立場から発言させていただきます。
 これまでも参考人より申し上げてきたとおり、現役世代の負担軽減に向け、改革工程に基づいて着実に取組を進めていくことが重要であり、高額療養費の引上げを進めていくべきと考えます。
 今回、7ページに機械的なモデル試算が示されていますが、現役世代が保険料負担の軽減を実感できるよう、相当程度高い水準で引き上げていくことが重要です。
 また、資料の17、18ページ、前回の部会でも説明のあった外来の状況も踏まえますと、70歳以上の外来上限特例についても廃止の方向で検討すべきことは強調しておきたいと思います。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、根本参考人、よろしくお願いいたします。
○根本参考人 ありがとうございます。
 今回、資料ですと6ページ、7ページですけれども、自己負担限度額を機械的に一律で引き上げた場合の試算結果をお示しいただきました。前々回の医療保険部会での発言の繰り返しとはなりますけれども、高額療養費の見直しにつきましては、医療を必要とする方々の受診抑制につながることがないよう、また、特に低所得者に十分配慮した制度となるよう検討をお願いいたします。なお、施行時期につきましても、被保険者等への周知や保険者のシステム改修に要する期間が十分に確保できるよう、配慮をお願いいたします。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、中村委員、よろしくお願いいたします。
○中村委員 ありがとうございます。
 まず、全世代型社会保障の観点から年齢区分をなくして負担能力に応じた負担を求めるということ、それから、インフレ対応が必要だということに関しては理解できるものだと思います。なのですけれども、先ほど袖井委員もおっしゃっていましたように、全体の数字を見るだけではいろいろなケースで何が起きているのかが分からないということで、特に疾病に罹患してその後治療を受けるという方について、自己負担の在り方、特に高額療養費の上限額というものがどういう影響を与えているか。それから、この影響を因果関係として正確にはかるのは難しいかもしれませんけれども、そこまで緻密な分析ではないにしても、大体どういう年収の方がこういう病気にかかって多額の医療費がかかってしまったときに家計がどうなっているのかとか、所得の違いによって受ける医療の内容に差があるのかとか、そういったことをより明らかにしていく必要があるのではないかと思います。そういうことができるようなデータを出していただければ、研究者に使わせていただければと思います。
 それから、細かい点なのですけれども、資料7ページの機械的なモデル試算の結果の下の脚注というのでしょうか。※の3番のところです。実効給付率が変化した場合に経験的に得られている医療費の増減効果(いわゆる長瀬効果)を見込んでいるということなのですけれども、自己負担率が変化したときにこういった長瀬効果というものがあるということは分かるのですけれども、今回は自己負担率が変わるというよりは、上限が変わるということですよね。
 そうしますと、経済学原論の最初のクラスで学生に教えることは、合理的主体は限界原理に基づいて意思決定する、つまり、追加1単位に対して幾らかかるのかということを考えて合理的主体は行動する、意思決定するのだということです。そうすると、限界的な、つまり追加1単位の自己負担率が重要だということになります。例えば今からかぜで病院に行くかどうか迷っているのだけれども、行った場合の費用というか自己負担率はどうなるのかということです。そうしますと、この上限額というのは上限に達していない人には全く影響しませんし、上限に達している場合は追加費用がゼロになるということなので、いわゆる何割負担の何割ということが変わる場合とは非常に異なるものではないかと思います。
 それから、実証的に、特にアメリカの実証研究で言われているのは、患者が治療内容とか医療費に関して決定権があるのは主に最初に病院に行くかどうかだけであると。一旦診療を始めてしまったら、その先はほとんど医師が決定権を持っていて、もちろん患者が主体的に決められる部分はあるのですけれども、こと医療費に関する部分で患者の選択によって医療費が余計にかかるということはあまりないのではないかと言われているのです。
 どういうことかといいますと、患者の自己負担をランダムに割り振るという、今の視点で考えると倫理的には非常に問題のあるような実験がアメリカでかつて行われて、そのときに自己負担がゼロになる人もいれば、満額、100%自己負担しなくてはいけないような人もいて、これらの場合を比べても、最初に治療を開始するかのところには自己負担額はすごく影響するのですけれども、治療開始後の医療費には自己負担割合がほとんど影響しないという結果が得られています。
 そうしますと、その意味でも自己負担の上限額の変化が長瀬効果と言われているものを生むかというと、よく分からないので、これは機械的に当てはめてしまうと正しい推計が得られなくなってしまうのではないかと思います。なので、この長瀬効果というのを見込んだ場合と見込んでいない場合について、両方数字を出していただいたほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、島委員、よろしくお願いいたします。
○島委員 ありがとうございます。
 前々回、どういった割合が変化するのかということを示していただきたいという発言をしておりましたが、今回、6ページに試案と7ページに具体的にどれくらい支払いが変わるかという表を示していただきましたので、非常に分かりやすく説明を受けたと思っております。
 これだけ医療費自体がどんどん上昇してきておりますので、こういう自己負担をある程度増やさざるを得ないといったところに関して、高額医療費の制度とともに国民に十分理解してもらうということが一番肝要かなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 それと、7ページで一律の率ということで示されておりますが、実際にはどれくらいのパーセンテージで引き上げようということを考えておられるのかをお聞きできれば幸いです。
 それから、16ページにありますように、これだけ高額レセプトの中身が経年的にどんどん変わってきていて、一番問題なのは、高額の医薬品がどんどん登場して、ほぼそれは患者にとってはいいことだということでまずは認めて、費用対効果というところでまた本当に効果があるのかということをやっているのですけれども、こういう流れは止めることはなかなか難しかろうかとは現実には思っておりますが、無制限に採用すれば限りなく医療費は上がっていくということで、これについてももう少し考える余地があるのではなかろうかと私は思っております。
 以上でございます。
○田辺部会長 なかなか答えづらいクエスチョンでございましたけれども、可能な範囲でお願いいたします。
○佐藤課長 保険課長でございます。
 現時点においてこのような形でという数字があるわけではございません。これはあくまでも機械的に、しかも一律に何%と掛け算をしただけの数字でございますので、この医療保険部会における御議論、また、これから年末に向けては予算の関係で政府内においてもしっかり議論していかなければいけないわけでございますけれども、この部会における議論も踏まえながら最終的に検討していく、決定をしていく。こういうプロセスになると思いますので、現時点で具体的な数字があるわけでございません。
 以上でございます。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
 それでは、木﨑参考人、よろしくお願いいたします。
○木﨑参考人 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 先ほども議論していただきました、社会経済情勢の変化を踏まえた高額医療費の自己負担額の見直しを行うことにつきましては理解するところでございますが、先ほどおっしゃっていただきました6ページで示された機械的なモデルの試算では、住民税非課税世帯を含む低所得者層についても一律の率で引上げを行った場合となっておりますので、具体的な制度設計に当たっては、一律の率の引上げによる逆進性が生じ、低所得者に対する過度な負担とならないよう、引上げ幅の設定には十分御留意いただくようお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、城守委員、よろしくお願いします。
○城守委員 ありがとうございます。
 まず初めに、先月と今月の2回にわたって、一部のメディアから本テーマに関してのより踏み込んだ情報が事前に報じられているということは皆様も御案内のとおりだろうと思います。このような事態というのは、要するに国の情報管理というものに問題があると思いますので、このテーマに関してはやはりこの社保審の場においての議論というものが重要であることを改めて認識させていただきたいと思いますし、事務局におかれましては情報管理の在り方をしっかりと見直していただきますよう、強く要望したいと思います。
 本日のテーマでございますが、基本的には皆さんがおっしゃられるように、確かに現役世代の負担の軽減ということは重要ではございますが、一方、高齢者の負担の在り方をどうするのかという問題もございますので、そのバランスをどう取るのかという視点が極めて重要になろうと思います。
 前回も発言をさせていただきましたけれども、後期高齢者医療の窓口負担の割合が変動した場合に、やはり患者さんの受診行動というものが変化するということは明確になってございますし、今回のこの高額療養費の制度の見直しによって、患者さんの受診行動が大きく変わるということが考えられます。
 本日の資料の6ページに一律の引上げの例を示していただいたわけでございますが、参考資料の17ページにもありますように、外来受診の経験のある高齢者の半数近くがほぼ毎月の受診となっているというのは、高齢化によって複数の疾患を抱えるものの、定期的な受診によって医学管理をしっかりとされて、それによって病状の悪化を防いでいるということがあろうと思います。
 ですので、この受診・受療行動の変化によって病態の悪化を招くようなことがないよう、さらには、高齢者の中でも特に所得の低い方等への対応の配慮など、丁寧な対応を改めてお願いしたいと思います。
 その上で1点、外来特例の廃止という御意見がございますが、これには明確に反対をさせていただきたいと思います。18ページにありますように、現在でも月額上限に該当する方は70歳以上の3割から5割ぐらいの方がおられますし、割合は少ないですが、年間上限額に該当する方も一定数存在はされております。これらの外来特例に該当される方というのは、複数の疾患治療による方とか、先ほどからお話に出ております高額薬剤による方等が想定はされますが、その他、在宅医療を受けておられる方というのは、外来医療に比して負担が大きいために外来特例に該当しやすいのではないかとも考えられます。
 このように、外来特例の該当者というのは、その類型も含めて様々であろうと思いますので、そして、この方々は現在一定の負担軽減を受けておられるということであろうと思いますので、事務局におかれましては、難しいかもしれませんが、可能な限りこの該当者の分析をしっかりと行っていただいて、そして、これらの方々の追加負担が適切なのかどうかという丁寧な議論が必要と考えます。
 私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
 最初に言い訳めいたことですが、いつもZoomでの参加ですけれども、私たち老人クラブの場合は地域で様々な活動に取り組んでおります。それが、前回も多くの方から発言がありましたように、そういう社会参加を通じて健康を維持していくということで、ある程度の役割を果たしている。そんなことで地域のクラブ、市の連合会等の役割を果たしていますと、いろいろそういった行事等に追われまして、いつもZoomで失礼いたしております。
 それで、今日の議題なのですけれども、言うまでもなく、医療の場合、早期発見、早期治療が基本だと思うのですが、そこでこの医療の件で引っかかってくるのは、やはり窓口負担が高いとか、あるいは高額負担、限度額が高くなるとか、こういったことでもろに影響を受けるのは高齢者であるとか非正規の所得の低い人たちだと思うのです。
 そういう意味では、先ほどから発言がございますように、高齢者の健康維持、社会参加に対して配慮していただきたいと思うわけです。しばしばこういった負担の問題で給付は高齢者、負担は現役ということを言われるわけですけれども、高齢期は医療を利用する機会が大変多くなってきますが、確かに個体としては高齢者が給付を受けるわけですけれども、家族等の支え合いということからいけば、現役世代をも支える形になっているところを見落とさないでいただきたいと思います。あまり話を広げるつもりはありませんが、税金の負担の問題でも高額所得者に対する優遇というのが現実にあるわけです。例えば株での所得ですか。そういったものは分離課税で低い税率になっているとか、保険料負担でも限度額が金額で抑えられているわけですけれども、私自身はやはり保険料や税金については個人の所得そのもので見ていくということが必要だと思うのです。
 そういう意味では、税金のような高い累進課税率ということではないでしょうけれども、私は社会保険料についても緩やかな形で累進的に保険料を所得に対する料率で負担していただくような方向で検討される必要があるのではないかと思っております。
 それで、今回、試算的というか単純な形で出された6ページの段階的な表ですけれども、今のような考え方からいくと、具体的に言えば、住民税非課税世帯や、あるいは現役世代並みと言われる年収370万のところは、基本的には現状維持でいくような形でやっていただきたいと考えております。それを超える方々のところはやはり細かく階段を設けて、高額所得の方の負担を少し高く設定していただく。それでも所得が高い層は、その所得に占める比率は非常に低いものになりながら低所得層を支えることができますので、先ほど申し上げた所得の低い方たちあるいは比較的平均的な生活者の人たちのところを抑えることによって、医療について必要と思いながらも逡巡するような、要するに受診抑制が生じないようにしていただければと思うわけです。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
 今回、参考資料で、家計による支出の状況を年収別で示していただき、ありがとうございました。
 また、7ページに機械的な試算モデルを示していただきまして、保険料の軽減額は想像できるようになりました。
 一方で、病気やけがの治療で自己負担が高額となるということは誰にでも起こり得ることでありまして、その中にはがんなど長期的な治療が必要となる場合もあります。そうした場合、家計において自己負担が過重なものとなるのかならないのかということについて、袖井委員もおっしゃったようにこの資料だけでは分からないところでございます。
 また、6ページの図ですけれども、これはイメージということですが、年収が770万円未満あるいは1160万未満などの境界付近に当たる場合に、現状からの引上げ幅が大きくなるように見えます。
 今回の提案は健康な被保険者と事業主全体の保険料を軽減し、患者の負担に直接影響が及ぶというものです。現役世代の保険料負担の抑制というものは大変重要だと考えておりますが、医療を受ける患者にとって現状と比較して急激な負担増とならないよう、また、その負担というものが一部の階層の方に偏らないよう、バランスを取ること、公平性という点も必要ではないかと考えております。
 今後の議論に向けましては、横尾委員もおっしゃっておりましたけれども、例えば高齢者で外来を中心とする治療行動の方はどうなるのか、現役世代で高額な医療を受けたらどうなるのかなど、年収別の具体的な仮のモデルを設定して、それを示していただくことで具体的にどうなるのかということがイメージできるかと思いますので、そういった分かりやすい資料を示していただくことも必要と考えますので、毎回リクエストして申し訳ございませんが、ぜひ御検討いただければと思います。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
 この高額療養費については何回か発言してきておりますけれども、やはり保険料という収入面の負担と給付という受益面の負担の両方をセットで考える必要があるのだろうと思っています。そこに今回の場合も応能負担の要素ということが入ってきているわけですけれども、そういった場合、大ざっぱなマトリックスで言いますと、低所得でも健康な人と病気がちな人がいる。お金持ちでも健康な人とそうでない人がいるとすると、今回の場合、低所得だけれども健康で保険料も払っているという人に対してどのように負担軽減が効いてくるのか、その辺りが重要なのだろうと思っています。
 そういう点で、今回7ページの資料を拝見しますと、実効給付率が低下するということと並んで、保険料負担の関係のマクロ的なデータを出していただいていまして、それを拝見すると、2600億円から4300億円という範囲で保険料負担が減少するということのようでありますけれども、これは、厚労省が出している医療保険に関する基礎資料を拝見すると、令和3年度の保険料収入が25兆円弱とすると、その大体1%から1.7%ぐらいではないかと思うのです。そうすると、肌感覚で言うとそれなりの効果があるのだということが分かるわけでありまして、全体として、また、効き方としては現役世代のほうが効果が大きいという点から言うと、全世代型社会保障改革の方向にも沿っているのかなと感じております。
 それと、6ページの関係ですけれども、今回はモデルということで機械的に3つの区分ということになっているわけですけれども、その辺りの傾斜のかけ方によっても応能負担という点ではいろいろな影響があるのだろうと思います。細分化というのは制度を複雑にする面があって、これを大学で教える立場から言うと、今でも説明がしにくいのですけれども、さらに説明がしにくくなりそうでありますけれども、所得区分の階段がカクカクとなることによる激変を緩和するような意味もあると思いますので、そういった点では妥当な方向なのかなと思っております。
 いずれにしても、恐らく2つの要素があって、この区分の刻み方ともし一律に上げるとすれば上げ方の効き方、あるいは場合によればその辺りも所得に応じた傾斜配分があるのかないのか、その辺りの組合せによって変わってくると思いますので、なるべく納得感のある、大学の教員にとっても説明しやすい仕組みにしていただければと思います。
 以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。渡邊です。
 今回6ページに示されたような部分に関しては、伊奈川先生が教えにくくなるかもしれないですけれども、区分に関してはぜひ細分化していただいて、細かな対応をお願いしたいと思います。
 少し現場からの意見になりますが、今回、参考の16ページにも高額医療の薬剤が示されているのですけれども、このような一定期間にどんと発生する超高額の薬剤だけではなくて、持続して飲み続けなければならない一定の高額な薬剤というのがあります。これは、ずっと飲み続けるがためにずっと限度額のぎりぎりのところで費用が発生する、しないというラインの方々がたくさんおられますので、そのような方々の服用控えにならないように十分に丁寧な対応をお願いしたいと思いますので、御考慮をお願いしておきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
 事務局におかれましては、高額療養費の自己負担限度額の引上げに関する試算等、様々なデータを示していただき、誠にありがとうございました。
 7ページを見ますと、全ての世代の保険料負担の軽減、特に現役世代の軽減を図る観点において加入者1人当たりの保険料の年額の軽減額が示されています。できれば全ての世代の方々に、このような公的医療保険のメリットや、いざ自分が疾病を持ったときに安心して受診することができるセーフネットの存在をしっかりと周知広報していただき、国民皆保険制度を堅持していっていただくことが重要だと考えております。
 また、何度も申し上げておりますけれども、自己負担額等の仕組みが変わるということで受診控えのないように、できるだけ細かな設計と制度変更後の影響把握、分析についてもお願いをしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、北川委員、よろしくお願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。
 高額療養費の在り方につきましては、繰り返し申し上げておりますけれども、高額薬剤や医療技術の高度化等によって医療費が増大している中、セーフティーネットとしての役割に留意しつつ、全世代型社会保障の実現に向けて、また、保険料負担の軽減を図る観点から、負担能力に応じた負担となるように見直していくべきと考えております。
 その意味で、今回6ページにお示しされたモデルですけれども、非常に合理性のある考え方ではないかと考えております。
 ただ、今回の現行制度から所得区分を細分化する提案でございますけれども、制度の変数を変えるのではなく、枠組みを変更するような場合、システムへの影響が大きいため、施行時期については保険者がシステム改修に必要な期間を確保できることにも御配慮いただきたいと改めてお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ほかに御意見がなければ、本議題についてはこれまでとしたいと存じます。
 事務局におかれましては、本日いただいた意見を踏まえて、引き続き議論を深めていただきますようお願い申し上げます。
 次に、事務局から別途報告事項があるということでございますので、総務課長のほうから報告をお願いいたします。
 では、よろしくお願いいたします。
○姫野課長 ありがとうございます。
 それでは、資料2と資料3を続けて御説明をさせていただきます。
 まず資料2でございますが、国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策ということで、令和6年11月22日に閣議決定されたものでございます。
 1ページから医療保険に関連する部分を抜粋してございます。
 まず、第2章の第1節、第1ということで「賃上げ環境の整備~足元の賃上げに向けて~」という見出しになっておりますが、1つ目のパラグラフ、いわゆる年収の壁に対する支援強化パッケージにつきまして、新たに社会保険対象となる短時間労働者をきめ細かく支援することと併せ、制度の見直しに取り組むとされております。
 次のパラグラフですが、働き方に中立な年金制度の構築ということで、被用者保険の適用拡大などについて2024年内に結論を得るとされております。
 その次のパラグラフですけれども、足元の人材確保の課題に対応する観点から、令和6年度診療報酬改定において講じた医療などの職員の処遇改善の措置を確実に届け、賃上げを実現するとともに、加えまして、生産性向上、職場環境改善等によるさらなる賃上げ等を支援するとされてございます。
 次のページでございますが、こちらは創薬環境などの支援ということでございまして、医療保険に関連する部分でいいますと、1つ目のパラグラフの3行目でございますが、2025年度薬価改定に関する記述が行われてございます。
 次の3ページですけれども、DXの推進ということで、マイナ保険証の利用促進と定着に向けて、訪問診療等の用途拡大、その他の利用促進に係る支援等を行うとされてございますし、また、マイナ保険証へのさらなる移行や不安解消を進めるため、継続的な周知広報を行うとされてございます。
 次のパラグラフですが、全国医療情報プラットフォームの構築、また、3行目にありますように電子カルテ情報共有サービスの円滑な運用に向けた環境の整備、診療報酬改定DXに向けた共通算定モジュールの実装のための設計・開発を支援すると定めてございます。
 最後4ページでございますけれども、物価高に対する対応ということで、地方創生臨時交付金の中で重点支援地方交付金といたしまして、これまでも支援を行ってまいりました。
 2つ目の黒ポツの中にございますけれども、医療・介護などの事業者に対してもエネルギー価格や食料品価格等の物価高騰に対する支援を行ってきておりましたが、こういった取組を継続するということも記載されてございます。
 これが経済対策の抜粋でございますが、この経済対策に基づきまして、資料3ですけれども、予算に関連する部分について補正予算、こちらも11月29日に閣議決定したものでございます。
 1ページ目から簡潔に御説明いたしますと、まず医療分野におけるDXの推進ということで、①のマイナ保険証の利用促進に向けた支援、②のシステム改修、③の周知広報といったところで、マイナ保険証の利用促進に向けて合計353億円の予算を計上してございます。④、⑤につきましては診療報酬改定DXを推進するための開発費用を計上しておりますし、⑥につきましては医療DXの観点からの健保組合等における保険事業の取組を支援するための財政支援も盛り込んでいるところでございます。
 次の2ページでございますけれども、データヘルスの推進という観点で、レセプト・健診情報等を活用したデータヘルス推進事業、これは健保組合向けでございます。また、②については国保・後期高齢者の保健事業のデータヘルスの標準化に向けた予算を計上してございます。その他、③は療養費に関する調査費用を計上してございます。
 3ページでございますけれども、ICTの推進という観点でのシステム改修経費も計上してございます。①はNDBの利活用推進のための費用でございます。②からは国保総合システムなどの開発費用ということで、②、③、また、④についても計上してございます。⑤は後期高齢者のシステム改修の費用ということも計上してございますし、次のページになりますけれども、⑥、マイナンバーを利用する際の中間サーバーのシステム更新の費用ですとか、⑦は国保総合のデータベースの更新の費用を計上してございます。⑧、⑨につきましては、行政側でのシステムの更改費用ということで、様々手続の簡素化に向けたバージョンアップをしていく費用を計上してございます。
 5ページにその他ということでございますが、令和6年能登半島地震における国保や後期高齢者におけます窓口負担、保険料減免に対する財政支援の費用、また、②は出産なびに関する整備の費用などを計上してございますし、③といたしましては後期高齢者のコールセンターの設置費用を計上しているところでございます。
 以下、次のページからは、今申し上げましたような項目ですとか、あるいは28ページからは、他部局のものではございますけれども、医療に関係する補正予算の概要を添付してございますので、御覧いただければと思います。
 説明は以上となります。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 これは報告事項ではございますけれども、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
 では、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 よろしくお願いします。
 予算まで御説明いただきましてありがとうございました。
 これまでも各種給付が始まったり、新たな施策での給付が加わったりしているところです。また、増額とか充実とかあると思うのです。そして、その都度、対象者の方への郵送あるいは実際のお金の給付等が実施されてきているわけです。
 自治体現場で大変苦労しているのは、必ずしもデジタルガバナンス的にまだ完成していないなという印象が強くて、政府で省庁別に様々な施策部門がもちろんある訳ですけれども、早く統一するとか、コストをリーズナブルにするとか、そういったことを政府各省庁一体となってぜひ改革イノベーションをしてほしいといつも感じているところです。それぞれ1つずつの施策ごとにいろいろなシステムとかアプリとかが出てきますけれども、それを搭載しなさいといけないのですが、その搭載費用は結構かかるのです。本当に結構かかると思います。
 こういったところは、可能ならば、デジタル庁はもちろんあるのですけれども、各所管官庁におかれましても、ほかのところと連携が必要なら連携を図る、あるいは新たにするなら新たにするでいいのですけれども、例えば行政の全体的な標準システム化とかが一方では進んでいますけれども、こういった福祉、医療、健康等に関する給付やサービスの充実についても、今後はデジタルガバナンスの時代だと思いますから、ぜひデジタルの様々なテクノロジーやスキルを使って、より効率的で正確で、また、よりコストのかからない方法で、そして、より的確な対応ができるように、そういった開発をしていただけるように、関係機関、関係省庁との連携、そして、実際に作られるのは民間の専門ベンダーさんだと思うのですが、そういったところへのリクエストもどんどん重ねていってやっていかなくてはいけないと思います。
 私も必ずしも詳細までは存じませんけれども、例えばエストニアという国は人口が少ないからできるという議論がよくありますが、システムの作り方、サービスの提供の仕方については範とすべきことがあると思います。エストニアはX-Roadという大きなシステムの中で全ての行政サービスを一体的に対応しているのです。また北欧等では、出生があったときから既に番号制度に基づく対応やプッシュ型のサービスにつなげていくということを迅速、的確にされているようです。日本の科学技術水準をもってしても、テクノロジーの技術をもってしても、それは可能だと思うのですよね。ぜひそうなっていくように、それが大きなトランスフォーメーションだと思いますので、厚生労働省はそういう技術やシステムに直接関わっていないという言い方もあるかもしれませんけれども、大きな予算を使い、また、大きな社会的使命を果たしていただいている官庁でございますから、そういったことも念頭に置いていただいて促進をするなり、プッシュするなり、そういったこともぜひお願いしたいと思います。そのことが、ひいては非常に手続等が簡素化すればするほど自治体現場は混乱も少ないし、コストもかかりませんし、必要とされる方への給付も早く的確にできると思いますので、こういった対応も予算の金額と直接関係ないかもしれませんが、この中におそらくシステムの改修費とかも入っておりますので関連していますから、今後そういった発想で充実、推進をぜひお願いしたいと思います。多くの自治体が助かると思います。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 参考資料の中の後発医薬品の供給体制について申し上げます。ここに産業構造の改革と記載されておりますが、そんなに簡単なものではないというのはいつも申し上げているとおりです。既に今のコスト構造だと、原末も含めると、日本で作るのはほぼ困難です。ですから、製造を全部海外に委託してしまうということが本当に現実的かどうかというのは、一製造事業者としても非常に不安に思うところでございます。
 改革ということであれば、そもそもの製造キャパシティー自体に限界があるわけですから、何回も申し上げているとおり、OTC類似薬以外の製造を優先していく必要があると思います。本当に必要な医薬品が手に入らないという事態がまさに現実で起こっていますし、さらに加速しているのではないかということを大変危惧しております。ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ほかに御意見がないようでございますので、本日はこれまでとしたいと存じます。
 次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡申し上げます。
 本日は、御多忙の折、御参加いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、閉会いたします。