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- 第16回がん診療提供体制のあり方に関する検討会(議事録)
第16回がん診療提供体制のあり方に関する検討会(議事録)
健康・生活衛生局がん・疾病対策課
日時
令和6年12月23日(月)16:00~18:00
場所
※オンライン開催
新橋ビジネスフォーラム
(東京都港区新橋1-18-21 第一日比谷ビル8F)
新橋ビジネスフォーラム
(東京都港区新橋1-18-21 第一日比谷ビル8F)
議題
- (1)がん診療提供体制について
- (2)その他
議事
- 議事内容
○がん対策推進官 事務局でございます。
それでは、定刻となりましたので、ただいまより第16回がん診療提供体制のあり方に関する検討会を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。事務局を務めます厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課の九十九でございます。
本検討会はYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
本日は13名の構成員の方に御出席いただいております。
なお、茂松構成員より、途中より御出席と伺っております。
今回の検討会からは、公益財団法人がん研究会有明病院病院長の佐野武構成員、公立大学法人奈良県立医科大学公衆衛生学講座准教授の野田龍也構成員、公益社団法人日本看護協会常任理事の橋本美穂構成員、国立大学法人東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野教授の東尚弘構成員、産業医科大学医学部公衆衛生学教室准教授の村松圭司構成員に新たに御参画いただいております。
それでは、佐野構成員、一言御挨拶をお願い申し上げます。
○佐野構成員 がん研有明病院の病院長の佐野です。私はもともと土岐先生と同じ消化器外科医ですが、今、病院長として、それから、がん研は東京都の都道府県がん診療連携拠点病院2つのうちの1つとして仕事をしております。よろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 佐野構成員、ありがとうございました。続きまして、野田構成員、一言御挨拶をお願い申し上げます。
○野田構成員 奈良県立医科大学の野田でございます。ふだんは公衆衛生学を専門としておりまして、地域医療構想など、そちらのほうでお話ができればと思っております。本日は何とぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 野田構成員、ありがとうございました。続きまして、橋本構成員、一言御挨拶をお願いいたします。
橋本構成員、聞こえていますでしょうか。
そうしましたら、少し先に進ませていただきまして、東構成員、一言御挨拶をお願いいたします。
○東構成員 東京大学医学系研究科公衆衛生学分野の東尚弘と申します。医療の質の評価ということを専門に研究・教育に携わっております。前職が国立がん研究センターで、がんのQIとか患者体験調査、希少がん対策などをさせていただいておりました。この構成員の先生方にも大変お世話になっておりまして、本当にありがとうございます。大学に移って、その立場はより広い視点から教育・研究を進めておりまして、最近では医療者調査のあり方なども研究を進めている次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 東構成員、ありがとうございました。続きまして、村松構成員、一言御挨拶をお願いいたします。
○村松構成員 産業医科大学公衆衛生学教室の村松でございます。よろしくお願いします。ふだんはDPCの研究ですとか、あとは福岡県の地域医療構想アドバイザーを拝命していますので、そうしたことを行っています。そうした立場から発言できればと思います。どうぞよろしくお願いします。
○がん対策推進官 村松構成員、ありがとうございました。
また、今回の検討会には国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所副所長の井上真奈美参考人と、国立大学法人琉球大学病院がんセンター特命准教授の増田昌人参考人に御参画いただいております。それでは、井上参考人、一言御挨拶をお願いいたします。
○井上参考人 国立がん研究センターがん対策研究所の副所長をしております井上と申します。よろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 井上参考人、ありがとうございました。続きまして、増田参考人より一言御挨拶をお願いいたします。
○増田参考人 琉球大学病院がんセンターにおります増田と申します。今日はよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 増田参考人、ありがとうございました。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。議事次第、資料1から資料3、参考資料1から4までございますので、御確認いただければと思います。
なお、資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載してございます。
本日の議題としましては、がん診療提供体制について、また2つ目がその他を予定してございます。
それでは、座長の土岐構成員におかれましては、一言御挨拶をお願いいたします。
○土岐座長 このたび、がん診療提供体制のあり方に関する検討会の座長を務めさせていただきます、大阪大学の土岐でございます。
皆様御存じのように、現在、第4期のがん対策推進基本計画に従いまして我が国のがん政策は進められております。全体目標としまして、誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指すというのが全体の目標でございます。
本日は、その中の医療の部門でも第一番に挙げられておりますがん医療の提供体制、こちらにつきまして、この検討会でディスカッションをしていきたいと思います。特にその第一の項目に挙げられております医療提供体制の均てん化・集約化について、こちらのほうは昨今非常に大きな問題となっております。この全体目標のほうは誰一人取り残さないとなっておりますが、様々な格差が拡大しており、種々の問題も生じております。
特に医療が大変高度化していること、もちろん費用とかインフラもかかりますし、非常に高度ながん医療が進んでいるということ、一方、人口につきましては、人口は減少、まだまだ高齢者は増加しておりますけれども、今後を見据えると、がん患者も恐らく将来は減少に転じるだろうと考えられております。さらに、地方と都市の医療の不均衡、そして最近問題となっています医師の偏在、こういった問題も含めて改めて我々はこのがん医療提供の均てん化・集約化を考えていかなければいけない、そういうフェーズに来ていると思います。
今日は、様々な分野の先生方に御参加いただきまして、我が国の将来像のがん診療提供体制のあり方について、ぜひ活発な御意見をいただきたいと思っております。
それでは、これからディスカッションのほう、またよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 土岐先生、ありがとうございました。それでは、今後の進行は土岐座長にお願いいたします。
○土岐座長 それでは、お手元の資料の議題の1番、がん診療提供体制の議題に移りたいと思います。まずは、資料1のほうを事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 それでは、事務局より資料1「がん診療提供体制について」を御説明いたします。
本資料の構成ですが、「2040年を見据えたがん医療提供体制の構築について」ということで、「第4期がん対策推進基本計画に係る目標と進捗状況の評価について」、2つ目が「がん医療提供体制の均てん化・集約化について」御説明申し上げます。
ページをめくっていただきまして3ページ目を御覧ください。まず、がん対策推進基本計画における全体目標でございますが、こちらのスライドは第1期のがん対策推進基本計画と第2期のがん対策推進基本計画の全体目標について抜粋したものでございますが、この第1期のがん対策推進基本計画におきまして、平成19年度に10年間の全体目標としてがんの年齢調整死亡率(75歳未満)の20%減少を掲げているところでございます。
次のページをお願いします。こちらは、第3期、第4期の目標を掲載したものでございますが、この第4期のがん対策推進基本計画におきましては、全体目標は「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す。」とし、がん医療分野の分野別目標の中でがん生存率の向上、がん死亡率の減少を掲げているところでございます。
次のページをお願いします。こちらのスライドは、今ほど申し上げました全体目標についてどのようになっているかというところでございますが、一番左が2007年度のデータから、直近では2022年度までのデータを掲載してございます。人口10万人対の昭和60年モデル人口を標準としました年齢調整死亡率になってございますが、平成19年度からの10年間の全体目標であるがんの年齢調整死亡率の20%減少につきましては、当初の10年の目標から、2017年の時点では達成しておりませんが、2年遅れた2019年度の時点で達成できているという状況でございます。
次のページをおめくりください。こちらは第4期のがん対策推進基本計画の概要を示したもので、第3期の基本計画から、がん予防、がん医療、がんとの共生の3つの柱の骨格は維持したままでございます。本日議論いただきたいのは、真ん中の赤で囲んでおりますがんの医療に関してでございます。
1ページめくっていただきまして、第4期のがん対策推進基本計画からはロジックモデルを導入してございます。一番左が基盤ですが、その次に、今ほど申し上げておりますがんの予防、これは検診もありますが、また医療共生の柱となっておりまして、今回御議論いただく医療に関しまして、最終アウトカムはがん死亡率の減少、がん生存率の向上となってございまして、それにひもづく指標としましては、がんの年齢調整死亡率とがん種別5年生存率となってございます。
次のページをめくっていただきまして、こちらのスライドは、全年齢に関するがんの年齢調整死亡率の推移を1980年から直近2022年まで見たものでございます。この色分けをしておりますのは臓器別になっておりまして、上に寄せております、これは右のほうに「増加」と書いておりますが、こういったがんに関しましては増加傾向。一方で、下に「減少」とまとめておりますこういったがんに関しましては、年齢調整死亡率が減少傾向ということであります。
全体的には、こういったがん対策の推進により着実にこの年齢調整死亡率は減少しておりまして、特にこの下の赤い、胃がんであったり、深い緑の肝臓であったり、こういったものについての減少が顕著かなというところで、例えばこれはピロリ菌の感染者の減少等の影響により、従来多かったがんが減少傾向ということを示しているものでございます。
次のページを御覧ください。こちらは全がん及びがん種別の5年相対生存率というところでございます。左の図が進展度別の5年の相対生存率の推移で、赤が全進展度、一番上に来ていますのが局在で、また、その赤のすぐ下のところが領域リンパ節浸潤・隣接臓器浸潤、一番下が遠隔転移を伴うものでございますが、いずれの進展度に関しましても、こういった5年の相対生存率は改善傾向ということが言えるかなと思います。
また、右のほうは、今度は臓器別に同じく5年の相対生存率の推移を見たものでございますが、いずれにおきましても、程度の差はございますが、こういった5年の相対生存率が改善しているところを示唆しているものでございます。
次のページをおめくりください。こちらは夏に行われましたがん対策推進協議会の資料を持ってきたものでございますが、今ほど申し上げております第4期がん対策基本計画の中間評価について議論したものでございますが、この中間評価につきましては、メリハリのある分析・評価のためのコア指標を今後選定していくこと、さらには、都道府県ごとのがん対策の進捗状況の測定・公表と好事例の横展開の推進について方向性を確認したところでございます。
11ページ目にいっていただきまして、こちらは今回読み上げませんが、今ほど私が申し上げましたような現状の評価について記載したものでございます。
次のページをおめくりください。ここからはがん医療提供体制の均てん化・集約化についての御説明でございます。1ページめくっていただきまして、こちらは新たな地域医療構想等に関する検討会のこの夏の資料を持ってきたものでございます。
左の図を御覧いただきますと、2040年には、85歳以上の人口を中心とした高齢化と生産年齢の人口の減少が見られるところでございます。
右の図に関しましては、赤い丸が大都市型、緑の丸が地方都市型、青い丸が過疎地域型それぞれで見たものでございますが、こういった地域ごとに見ますと、生産年齢人口は、これらの3つのほぼ全ての地域で減少しておりまして、高齢人口に関しますと、大都市部では増加、過疎地域では減少、地方都市部では高齢人口が増加する地域と減少する地域がある、そういった特徴が見て取れます。
次のページを御覧ください。今度は同じく同検討会における9月の資料を持ってきたものでございます。こちらは高齢者の急性期における疾病の特徴を見たもので、左が85歳以上の頻度の高い傷病名で、右のほうが15~65歳の頻度の高い傷病名、手術が必要なものが赤、必要でないものが青と整理されたものでございますが、御覧いただけるとおり、85歳以上の急性期における入院は、若年者と比べまして医療資源を多く要する手術を実施するものが少なく、疾患の種類は限定的で、比較的多くの病院で対応可能という特徴がございます。
次のページを御覧ください。こちらはがん患者に特化したものでございますが、85歳以上のがん患者において代表的な治療である手術療法、化学療法、放射線治療の実施の割合を見たものでございますが、85歳以上に関しましては、こういったそれぞれの治療の割合がいずれも低下するといったところでございます。ただし、こちらのデータですが、がん診療連携拠点病院等を中心とした院内がん登録実施施設を対象としていることに留意が必要でございます。
次のページを御覧ください。こちらはまたこの新たな地域医療構想等に関する検討会の夏の資料でございます。これまで地域医療構想、これまでといいますか、現行もそうでございますが、現行の地域医療構想は病床の機能分化連携に着目して議論をしておりましたが、新たな地域医療構想におきましては、入院医療だけでなく、外来、在宅医療、介護との連携等を含む医療提供体制全体の課題解決を図るための地域医療構想を打ち出しております。
この真ん中の太い青文字のところになりますが、今後の医療提供体制の構築ですが、病床機能だけでなくて、急性期医療の提供、高齢者救急の受け皿、在宅医療提供の拠点など地域で求められる医療機関の役割も踏まえ医療提供体制を構築するとなってございます。
次のページを御覧ください。こちらは同検討会の12月の資料の改編でございますが、ここで議論されている主な内容を記載しております。新たな地域医療構想における議論のとりまとめ、これは12月に取りまとまってございますが、救急・急性期に関する医療について、「地域の医療需要や医療資源などを踏まえながら、持続可能な医療従事者の働き方や医療の質及び患者の医療機関へのアクセスを確保する観点から、搬送体制の強化等に取り組みつつ、地域ごとに必要な連携・再編・集約を進め、二次救急医療施設も含めた医療機関において一定の症例数を集約して対応する地域の拠点として対応できる医療機関を確保することが求められる」となってございまして、こうした医療機関を地域ごとに確保するための医療機関機能を報告することとなってございます。
また、地域ごとに均てん化し確保することが望ましい医療につきましても、圏域の中で医療従事者の働き方等が確保されるよう連携・再編・集約等のあり方について整理が必要とされてございます。
ここで申し上げます地域ごとの医療機関機能については資料を確認いただければと思います。
次のページを御覧ください。こちらは、またがんに関する話に戻りますが、全国のがんの推計患者の推移ということで、調査日の当日に病院、一般診療所、歯科診療所で受療した患者の推計数、断面で見た場合の推計数になりますが、推計入院患者数、青色の部分に関しましては減少傾向ですが、一方でオレンジ色の推計外来患者数は増加してございます。
次のページお願いします。今度は、先ほど青で見ておりました入院患者数についての年齢階級の内訳を見たものでございますが、こういったものを見ますと、65歳以上が6割以上を占めているというところでございます。
次のページを御覧ください。こちらの資料は、調査対象期間中、これは具体的には9月1日から30日に退院した患者の在院日数の平均を見た資料でございますが、全国のがんの退院患者数の平均在院日数は、御覧のとおり、おおむね短縮傾向にあるということが見て取れます。
次のページを御覧ください。今度は全国の、先ほど申し上げた入院患者数の推移を在院期間別で見たものでございます。この薄い青のところが2週間未満で、濃い青のところが2週間以上1か月未満、オレンジが1か月以上3か月未満、黄色のところが3か月以上でございますが、在院期間が2週間以上の入院患者数が減少しているところでございます。
次のページを御覧ください。続きまして、推計患者数の経年推移を在院期間別に見たものでございますが、2週間未満及び2週間以上1か月未満のものはおおむね増加傾向ですが、1か月以上3か月未満及び3か月以上は減少傾向であるということで、全体としては推計の退院患者数はおおむね増加傾向であると言えるかと思います。
次のページを御覧ください。こちらは部位別のがん罹患数で最も多い大腸がんについての治療法の推移を見たものでございますが、青が腹腔鏡下手術、緑が開腹手術、オレンジが内視鏡手術、黄色がロボット支援手術でございますが、年々開腹手術の割合が減少しておりまして、内視鏡治療、腹腔鏡下手術、ロボット支援手術の割合が増加していることが分かるかと思います。
続きまして、1枚めくっていただきまして、今度は部位別がん罹患数が3位の胃がんについてでございますが、今ほど申し上げましたが、大腸の治療の推移と同様の傾向となってございます。
次のページをお願いいたします。これは先ほど説明いたしました第4期のがん対策基本計画の概要ですが、このがん医療に関しまして、がんの医療提供体制の均てん化のみでなくて、集約化についても項目として挙がっておりまして、次のページを御覧ください。
具体的にどのようなことが書かれているかというのがこちらでございますが、第4期の基本計画において、がん医療提供体制の集約化・均てん化については、国は、都道府県がん診療連携協議会等に対し好事例の共有や、ほかの地域や医療機関との比較が可能となるような検討に必要なデータの提供などの技術的支援を行うとされてございます。
次のページを御覧ください。こちらも皆様御承知かもしれませんが、がん診療連携拠点病院の制度の概要を示したものでございます。都道府県知事が推薦する医療機関を、検討会の意見を踏まえて厚生労働大臣が拠点病院等として指定するシステムでございます。
全国でこういった拠点病院等は461か所ございます。国レベルでは国立がん研究センターがありまして、国協議会を開催、都道府県レベルでは都道府県がん診療連携拠点病院が原則として都道府県に1か所整備されまして、都道府県がん診療連携協議会を設置いただいております。また、がん医療圏には原則として1か所、地域がん診療連携拠点病院を設置いただくこととなっております。
次のページを御覧ください。今ほど申し上げましたがん診療連携拠点病院等の整備の状況でございます。こちらはがん対策基本法施行、また、この推進基本計画に基づきましてこの整備を進めておりまして、現在、400程度の拠点病院が整備されているという状況でございます。
次のページを御覧ください。とは申し上げましたが、現在、空白のがんの医療圏というところもございまして、この日本地図で白く抜けたところが、拠点病院等ががん医療圏にない空白のがん医療圏でございます。これは数えますと、令和6年4月時点で全国336のがん医療圏のうち56のがん医療圏が空白のがん医療圏となっているのを示したものでございます。
次のページを御覧ください。こちらはまた地域医療構想の話に戻りますが、これは12月の地域医療構想等に関する検討会の資料でございますが、現行の地域医療構想におきまして、構想区域の設定に当たりましては、現行の二次医療圏を原則とするとなっております。実際にこの構想区域、令和6年4月現在では339構想区域に対して二次医療圏は330医療圏とほぼ同じような数値となってございます。
次のページを御覧ください。こちらも新たな地域医療構想等に関する検討会からの資料でございます。二次医療圏と申し上げましても、人口規模は実際には様々でございまして、中央値は20万人程度でございますが、下の資料にありますとおり、20万人未満の二次医療圏は合計161、一方で、100万人以上の二次医療圏は25あるという状況でございます。
次のページを御覧ください。同じく地域医療構想等に関する検討会の資料ですが、今度は三次医療圏はどうかというところでございますが、三次医療圏については基本的には都道府県単位で整備をしてきております。しかしながら、東京都のように、2040年の推計ですけれども、1,451万人となるような三次医療圏もある一方で、一番右のオレンジのところですが、2040年には17県が人口100万人未満となるような見込みでございます。
次のページをお願いします。こういった中で、今後の新たな地域医療構想等に関する検討会の構想区域についての案を示したものでございますが、この構想区域の設定に当たりましては、引き続き二次医療圏を原則として、人口規模が20万人未満の構想区域や100万人以上の構想区域と医療需要の変化や医療従事者の確保、医療機関の維持等の観点から医療提供体制上の課題がある場合には、必要に応じて構想区域を見直すこととしてはどうかと書かれてございまして、また、在宅医療等については必要に応じて二次医療圏よりむしろ狭い区域での議論が必要であるとか、そういったことが書かれております。
具体的な区域の検討につきましては、今後ガイドラインを検討する際に検討してはどうかということになってございます。
次のページを御覧ください。それでは、がん医療圏の設定はどうなっているかというところでございます。がんの医療提供体制に関する指針のところですが、この圏域の設定に当たりましては、各医療機能の実施状況を勘案し、従来の二次医療圏にこだわらず、地域の医療資源等の実情に応じて弾力的に設定することとなってございます。
次のページをお願いします。先ほど来申し上げております空白のがん医療圏について、少し細かい資料になりますが、人口20万人より低値の圏域について青で示しておりまして、20万人以上より高値のところを赤で示しております。一部、埼玉県の利根のように人口が多いところもありますが、多くの空白のがん医療圏に関しましては人口が20万人以下となってございます。
次のページを御覧ください。こちらの資料ですが、同じく空白のがん医療圏を横に並べております。上は何かというと、2020年と比較した2030年の推計人口変化率を見たものでございます。多くのところでほぼほぼ人口は今後減少するわけでございますが、一番上が2030年の変化率、真ん中が2020年と比較した2035年の推計人口変化率、一番下が2020年と比較した2040年の推計人口変化率ですが、こういった空白の医療圏に関しましては、大半で全国平均よりもさらに大きな人口減少が見込まれるという状況でございます。
次のページを御覧ください。そういった中で、各都道府県の取組の例を今から2つお示ししますが、こちら、和歌山県におけるがん医療圏の見直しです。令和5年度に実施しましたがん医療圏の見直しにおきまして、左の図にございますが、有田の医療圏に関しましては、がん医療圏の設定基準である要件ですね。国又は県指定のがん医療の拠点となる病院の設置の要件が見込めなくなったために、もともと有田医療圏におきましては、左のテーブルにありますが、和歌山の医療圏で手術・薬物療法、放射線療法を行っていたことが分かりましたので、こういった全国がん登録のデータ等を用いながら、圏域を和歌山有田医療圏と統合したという事例がございます。
こちらは圏域の見直しの話ですが、続きまして、今度は奈良県の事例になります。1枚めくっていただきまして、奈良県におきましては、圏域の見直しではなくて、圏域内の機能再編による地域がん診療病院の設置を行った例がございます。一番下の左の図を御覧いただきたいのですが、この南和医療圏というところは従来空白のがん医療圏となってございましたが、新たに南和医療圏に南奈良総合医療センター、そちらにがんの診療機能を集約しまして、この南和医療圏に地域がん診療病院を設置することによりまして、右の図を見ていただきたいのですが、この南和医療圏在住の5大患者の入院先が、平成27年の時点ではほかの地域に多く行っていたところでございますが、平成29年には5割以上が南和医療圏に受診しているという状況になりました。
39ページ目を御覧ください。こちらは、少し話は変わりますが、後からQI研究等が出てきますので、その説明の前に院内がん登録の歩みについて御説明いたします。これまで、がん診療連携拠点病院等を中心に院内がん登録の標準化等が進められまして、集計データの利活用の推進が図られております。例えば平成18年には、がん診療連携拠点病院等の指定要件に標準登録様式に基づく院内がん登録を実施することとされております。また、平成20年には毎年院内がん登録の集計結果等をがん対策情報センターに提供することと明記されております。
また、平成25年には都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会がん登録部会の活動の一環として、院内がん登録とDPC調査データをリンク可能な形で匿名化して収集し、統合的に分析する活動が開始されてございます。
次のページを御覧ください。こういった院内がん登録の全国集計ですが、ここに提示しておりますように、院内がん登録の全国集計として公表されていたり、また、この院内がん登録の生存率の集計をしたり、そういったものも公表されてきてございます。
次のページを御覧ください。こちらは後ほど井上先生からお話があるかと承知しておりますが、Quality Indicator研究、QI研究についての御説明でございます。全国のがん医療の質を評価する体制を構築するため、平成18年より国立がん研究センターを中心に検討が開始されておりまして、日本における、記載しました主要ながん種に関して各分野の臨床専門家パネルにより診療ガイドライン等を基に診療の質評価、QIが作成されてございます。こういった中で、最新のデータですが、591施設から協力が得られておりまして、約90万症例が解析対象となってございます。
次のページを御覧ください。先ほど医療の質について申し上げましたが、実際のがん患者とその家族及び一般市民ががん治療病院選択に当たって求める情報に関して厚労科研の報告を抜粋したものでございますが、こちらを御覧いただいたとおり、がんの治療件数であったり、がんの治療成績であったり、がんの診療科の医師の業績というような情報が患者目線などでは求められているというところが分かってきております。
次のページを御覧ください。こちらも後ほど井上先生から説明があるかと思いますが、国立がん研究センターでがん情報センター利用者からの回答について、アンケートに関してまとめていただいたものでございますが、こういった解析によりますと、病院ごとに実施可能な治療症例数、治療成績、がん種別の実施可能な治療法、実績、専門病院の受入状況等に関する情報のニーズがあると考えられ、また、それぞれ病院によっては公表されている例もありますが、患者様目線からしますと、各地域別、また病院別のQIを一元的に確認できるリソースのニーズがあるといった、これはQIだけでないかもしれませんけれども、そういったニーズがあるということが分かってきております。
44ページ目を御覧ください。ちょっとビジーなスライドにはなりますが、今ほど私のほうから申し上げました現状、課題についてまとめたものでございますので御確認いただければと思います。
45ページ目を御覧ください。そういった現状の課題を踏まえまして、対応の方向性について事務局の案でございます。こういったものに対しまして本日皆様から御意見をいただければと思いますが、第4期のがん対策推進基本計画を踏まえまして、都道府県が拠点病院等と連携して地域の実情に応じ均てん化を推進するとともに、2040年を見据えた持続可能ながん医療の提供に向け、拠点病院等の役割分担を踏まえた集約化を推進できるよう、国は今後学会等の意見も聞きながら、現状の分析も踏まえて持続可能な医療提供となるよう均てん化に取り組む医療と集約化に取り組む医療について一定の考え方の整理を行ってはどうかと考えております。
また、都道府県が各がん医療圏の分析を実施するとともに、将来の医療需要の減少が一定程度見込まれる圏域におきましては、従来のがん医療圏にこだわらず、地域の医療資源等の実情を踏まえて、より広域となるがん医療圏を見直すことを含めて検討してはどうか。特に空白のがん医療圏につきましては、がん医療圏の見直しを行うのか、病院機能再編による拠点病院等の整備を目指すのか検討することを促してはどうかと考えてございます。
その際に、国は上記の申し上げましたような検討や、地域の実情に応じたがん医療の質の均てん化・集約化に資するよう都道府県から拠点病院等、都道府県がん診療連携協議会等に対して好事例の共有とともに、院内がん登録やQI研究から得られた診療時実績等の情報提供を行うことを検討してはどうかと考えてございます。
また、先ほど来申し上げておりますが、がん患者とその家族及び一般市民から診療実績等を一元化して公表することが求められていることから、公表の了承の得られた拠点病院等を対象に治療件数などの情報を一覧化するウェブサイトを作成してはどうかと考えておりますので御意見をいただければと思います。
次のページをおめくりください。一言、がんの医療の均てん化・集約化と申し上げましても、これはモダリティごとに見ていく必要があるのではないかと考えてございまして、これはあくまで事務局のイメージのたたき台なので、ここをベースに御議論いただきたいもので、何もこれはまだ方向性が決まったものではないのですが、議論の参考となるように事務局として提示させていただいているものです。
具体的にモダリティとしましては、我々が考えておりますのは、主に手術療法、薬物療法、放射線療法でございますが、その他にも、診断であったり、妊孕性の温存であったり、がんのリハビリ、支持療法、緩和ケア、そういったものがあるかなと考えてございます。
検討の視点としましては、こういったモダリティごとに医療の均てん化・集約化に取り組むものに加えて、ほかの軸としましては、都道府県又は複数の都道府県単位で確保することが望ましい医療、これは持続可能な医療提供体制となるよう一定の集約化の検討が必要ではないかという問題意識でございます。
また、がん医療圏又は複数のがん医療圏単位で確保することが望ましい医療、こちらも同様、持続可能なという観点が必要かと思います。
また、一番下のところが「より多くの医療機関で提供できるように均てん化に取り組む医療」というところで、本日も御意見いただくこういったモダリティごとにどのようなものについてはどのように均てん化・集約化に取り組むのか、この分類でいくとどこに該当するかといったような御意見をいただきたいと思っておりますし、先ほど申し上げましたが、事務局から各学会の意見を伺って、今後さらに議論を深めていきたいと考えております。
次のページは参考でございますが、日本消化器外科学会様から医師偏在対策に関する検討会に御提出いただいた資料でございますが、こちらに関してこういった高度ながん手術に関して集約化によって短期成績が向上するような例が示されているところでございます。
事務局の説明としましては以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○土岐座長 ありがとうございます。ただいま、2040年を見据えたがん医療提供体制の構築についてという説明をしていただきました。本日は、先に資料2、3の説明を全て終わった後、一括して皆様からの御質問をお受けしようと思いますので、先に次に進ませていただきます。
それでは、資料2「医療の質の見える化 QI研究の取り組み」につきまして、井上参考人より御説明をよろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。国立がん研究センターがん対策研究所の井上真奈美と申します。
私のほうからは、先ほどの話とかなりオーバーラップもいたしますけれども、医療の質の見える化として、これまで当センターが関与してまいりましたQI研究の取組の概要、そして病院ごとのQIの見える化ということについてのがん情報サービス利用者からの要望などについて簡単にまとめましたので御紹介させていただきます。
次のスライドをお願いいたします。がん対策推進基本計画が展開していく中で、がん医療の実態を評価する体制が求められていたというのは皆様御承知のことと存じます。その評価指標としてQuality Indicatorが設定されまして、それを全国の拠点病院等で測定し、各参加施設へのフィードバックをすることにより、医療の中でのがん診療の質の向上につなげることができますし、また、標準診療の実施率も地域や病院種別による分布を把握することによって、がん対策の側から役立てるということもできます。そういうことを目的としましてQI研究が進められています。
これまでの取組としましては、各参加施設から収集されたDPCデータと院内がん登録の全国収集データなどを結合した解析を行って、一般公開又は参加施設や希望の都道府県などに還元しているという状況です。
次のスライドをお願いいたします。QIの項目は各がん種の診療ガイドライン作成委員会など専門家の協力によって御提案されまして、その実現可能性などを考慮した上で決定されています。現在、このスライドにありますように、がん種ごとに10~20の項目が設定され、その動向が分かるように継続的に測定する継続QIというのを別に定めております。
次のスライドをお願いいたします。参加施設に対するQIのフィードバックはウェブシステムを用いて行っております。自施設の各QI実施率が確認できますとともに、全国比較も可能となっております。
この下のほうにありますのがその例になりますけれども、これは施設別のQI実施率を施設のランキングのように示したものですけれども、これで自分たちの施設の立ち位置が確認できるということになっております。
次のスライドをお願いいたします。QIデータの収集は、先ほども厚労省からの御説明にありました施設数、患者数とも年々増加しておりまして、現在は拠点病院の9割以上をカバーしているということが分かっております。
次お願いいたします。さて、2番目の病院ごとのQIの見える化の要望に関わるがん情報サービス利用者の声というものについて御紹介したいと思います。現在に至るまでの国立がん研究センターのがん情報サービス利用者のアンケート調査が、これは様々な形で、ポップアップアンケートですとか、常設のアンケートですとか、そういうものが行われておりますけれども、病院ごとのQIの見える化に関しての御要望に関する利用者の声を自由記載の中から抽出しまして、それを整理し、今後の方向性につなげていきたいということが今回の分析の目的となっております。
先ほど言いましたように、自由記載の部分を確認しまして、患者が病院を選ぶ際に求める情報について、こんなものがあったほうがいいというようなことを抽出しましたので御紹介させていただきます。
全体で自由記載の回答数は、2021年度から利用しておりますけれども、全部で1万3,000件の中の4,000件弱に自由記載がありました。その中の病院を含む自由の回答項目というのは200件ありまして、その中でさらに具体的にこの件について明確に書いてあったものが39件ということになっております。
次のスライドをお願いします。こちら、分析結果を示しました。情報としましては、遺伝子パネル検査を実施している病院や各県ごとの情報ですとか、病院ごとの症例数や専門医の有無などが同時に見られるようなレイアウトの工夫のことですとか、部位ごとの手術件数のランキングが欲しいですとか、希少がんの治療成績に関する御要望など、また、もう少し具体的な話としては、家の近くのフォローアップできる病院の情報が欲しいですとか、緩和ケアを受けられる病院の詳細な情報が取れるような仕組みが欲しいというような非常に多岐にわたった御希望になります。
ただ、まとめますと、全体として、治療の選択に関わる情報としましては、病院ごとに実施可能な治療症例数、あるいは治療成績、がん種別の実施可能な治療法やその実績、それから専門病院や受入状況に関するニーズ、そして治療以外のケアや病院設備に関わる情報としましては、治療の副作用、晩期合併症のフォローアップが可能な病院の情報、それから、緩和ケアを受けられる病院や具体的なケアの内容、病院の設備に関するニーズなどがありました。
自由記載には、各県ごとのとか、病院一覧、病院リスト、各病院等の記述が見受けられまして、各地域別、病院別のQIを一覧で確認できるようなリソースのニーズがあるということが全体として考えられました。このようなことを今後の情報提供の体制の改善に役立てていきたいと考えております。
私からは以上となります。ありがとうございました。
○土岐座長 井上参考人、どうもありがとうございました。
それでは続きまして、資料3につきまして、沖縄県がん診療連携協議会による院内がん登録データの利活用ということで、増田参考人、よろしくお願いいたします。
○増田参考人 琉球大学病院がんセンターの増田です。よろしくお願いいたします。
本日の発表内容です。初めに、沖縄県がん診療連携協議会について、次に沖縄県院内がん登録報告書の作成と公表の取組について述べます。
これは沖縄県がん診療連携協議会、以下、協議会の組織図です。沖縄県にはがん診療連携拠点病院が3つと地域がん診療病院が3つ、計6病院あります。これで構成される協議会には、議題調整を行っていく幹事会と専門家で構成される6つの専門部会があります。
次に、沖縄県院内がん登録報告書、以下、報告書と述べますが、の作成と公表について、これまでの経緯を述べます。
沖縄県では、拠点病院と6病院のカバー率が全国一低い県でした。そこで、拠点病院以外の医療機関を訪問し、院内がん登録をお願いした結果、依頼した11病院全てで院内がん登録が実現できました。その結果、現在ではカバー率は9割を超え、全国一となっております。
当院では、2010年度から報告書の発行を開始し、2015年度からは協議会と協力し、改善活動を行ってきました。がん情報サービスのホームページには結果閲覧システムがあり、一般の方も閲覧することが可能です。しかし、がんの知識や統計の知識がない患者さんは、このホームページを見ても直接活用することがなかなか難しいのではないかと思います。
そのため、私たちは専門知識のない方でも利用できるための報告書をつくる必要があると考えました。まずは、院内がん登録を行っている全ての病院の院長を訪問し、直接説明を行い、集計に関する許可と協力依頼を行いました。
幸い、全ての病院長から承諾をいただきました。それ以降、データの収集と公開については、このような形で毎年文書で承諾をいただいております。報告書の内容につきましては協議会でも審議を行い、委員から多くの意見が出ました。代表的な意見を赤字で記しました。
それを受けて、スライドにありますように、5つの改善を行いました。当初3施設だった病院の解析は、現在、21施設に拡大しております。集計は、当初は5大がんのみでしたが、現在では沖縄県の罹患の上位10部位プラス死亡上位10部位、計15部位の詳細集計をしています。
これらの分析結果から分かることをお話しします。ここでは、報告書の目次を示しています。青いラベルのページですが、沖縄県内で院内がん登録を実施している施設の集計を横並びで表示し、施設間の比較を行っています。この赤いラベルのページでは部位ごとの詳細集計を施設別に表示しています。オレンジのラベルのページでは、病院ごとの来院患者の特徴が分かるように記載しています。
この報告書の特徴の一つが、利用者のためのガイドページを設けていることです。集計結果を並べるだけでは、患者さんや一般の方に活用されません。このように具体的に病院ごとの特徴を知るため、全ての病院を比較してみたい場合は19ページへという形でガイドをしています。
全施設の集計のページでは、このように7年分の登録数の推移が分かります。ここでは、各施設の症例数の多い上位5部位を示して横並びで見ることができます。赤で囲んでいます病院に注目しますと、一番上の国立沖縄病院では肺がん、次の浦添総合病院では乳がん、琉球大学病院は子宮頸がん、県立南部医療センターでは血液腫瘍、南部徳州会病院では前立腺がんがそれぞれ1位を占めており、これら病院ごとの特徴が一目で分かります。
世代別の分析のページです。小児がんにつきましては県立南部医療センター・こども医療センターと琉球大学病院に患者が集中していることが分かります。小児がんはこの2つの病院に集約化するという協議会での決議が実現できていることが分かります。
一方、AYA世代のがんでは琉球大学病院の患者が多いものの、中部病院、那覇市立病院の2つの拠点病院はさほどでもなく、AYA世代のがんは拠点病院3つに集約するという協議会としての決議はいまだ実現できていないことが分かります。
施設別、二次医療圏別の分析です。この緑は宮古医療圏の、青は、石垣市のあるところを八重山と言っていますが、八重山医療圏の患者の割合を示しています。沖縄本島の病院でも、この青で囲った4つの病院に関しましては、緑の宮古医療圏、そして青の八重山医療圏からの患者さんを比較的多く診ていることが分かります。この結果は地域連携の際の病院選定の検討材料になるかと思います。
カバー率が90%を超えていることから、二次医療圏別、部位別、ステージ別の分析結果も掲載しています。あくまでも参考値ではあるのですが、ステージ別に結果を出すことで地域がん登録や全国がん登録の進展度別の結果と違い、協議会委員が大いに関心を示し、様々な意見や提案が出ました。
3つの拠点病院に関しましては、施設別に15部位の5年生存率を公開しています。これは琉球大学病院のものです。比較しやすいように、全国のデータも隣に掲載しています。こちらは那覇市立病院と県立中部病院のデータです。肺がんのステージ3期の5年生存率が、那覇市立病院と県立中部病院では、全国のがん拠点病院と比べてかなり低いことが協議会で問題視され、以降の議論につながっています。
まとめますと、当初は地域がん登録の生存率を出していましたが、熱心な討議がされていませんでした。今回、生存率が院内がん登録により施設別かつステージ別に出るようになって、協議会委員、特に拠点病院等の医師が初めて自分事として捉えるようになり、その後、活発かつ有意義な議論につながりました。
がん種別の分析。ここは胃がんについて述べます。沖縄県では罹患が非常に少ない胃がんでは、診療施設が分散化していることが分かります。ステージ別治療件数を見ますと、各施設への内視鏡治療や鏡視下治療の普及が進んでいることが分かります。がん種やステージによってはこれらのデータから、標準治療を遵守していない施設の存在の可能性が示唆されることもあります。
肺がんについてです。国立沖縄病院と中頭病院に、ある程度ではありますが、集約化が進んでいることが分かります。後で詳細を述べますが、この2施設、沖縄県ではがん診療を行う医療施設の選定条件を決めて、毎年選定を行っています。近年ではこの2施設が選定施設であり、このような選定結果を踏まえて緩やかに集約化が進んでいるのかもしれません。
ステージ別の治療の件数です。ステージIIでは選択される治療が施設間でかなり異なっていることが分かります。利用者の助けとなりますように、疫学の専門家からは全体の集計から見える罹患の傾向に関して、専門医からは県内のがん診療の現状についてのコメントをがん種ごとに報告書に記載しています。また、各病院長からもコメントをいただいています。このページを開設してからは病院長が自ら院内がん登録から何が分かるのかを把握するようになり、また集計値や生存率に関しても考察をしてくれるようになりました。
この報告書は毎年400部発行し、県内の患者会や県内の図書館に配布しています。また、協議会のホームページでもある「うちな~がんネットがんじゅう」でもダウンロードができるようになっています。
報告書の作成や公開に当たっての問題点と対応策について述べます。時間の関係で詳細は省きますが、協議会の事務局として各病院を訪問し、病院長に対して直接説明を行い、問題の解決を図りました。特にデータの公開が、患者さんに有益なだけでなく、ほかの医療機関との比較が可能になることでがん医療における自施設の状況が分かり、今後がん医療にどのように取り組めばよいのか、また、どのがん種に注力すればよいかなどの自施設の方向性を検討するための基本データとして有益であることを説明しました。
その結果、全ての病院長からデータの提供と分析結果の公開について許可をいただくことができました。現在では、参加している非拠点の病院長からも、本報告書は病院運営や経営にとっては「宝の山、なくてはならないもの」という評価をいただいております。
最後に活用事例の一部を紹介します。
報告書は、がん相談支援センターや非拠点の医療機関の相談部門でも活用されています。相談員からは、がん種ごとに登録数の多い医療機関が明らかになり、患者さんが病院を選ぶ際の目安になっているということです。
また、この報告書は、各がん種に関します医療機関の選定で活用されています。この事業は、第7次沖縄県医療計画に基づき、2018年度に沖縄県が琉球大学に委託した事業です。具体的には、琉球大学病院がんセンターが事務局となり、協議会の組織を用いて12のがん種について選定条件を決定しています。その後は毎年の院内がん登録及び医療機能調査の結果に基づき、条件に合った医療機関を毎年選定し直しています。
なお、今年度は第8次沖縄県医療計画に基づき、15のがん種について選定条件を決定する予定で、現在この準備中です。選定条件をどのように決定したのかについて概要を述べます。
まずは協議会の組織を用いまして、12のがん種ごとにワーキンググループを設置しました。具体的には、12のがん種ごとに院内がん登録症例数の多い上位6施設から副院長又は部長などの現場の責任者をワーキンググループの構成員としました。さらに、県内の指導的立場のがん薬物療法専門医と同じく指導的立場の放射線治療専門医を複数追加して、全てのワーキンググループの構成員となっていただいております。
選定条件の決定には、院内がん登録によるベンチマーク分析結果が有用でした。スライドの写真では、報告書を手にして構成員が会議に臨んでいるのが分かるかと思います。
肺がんの選定要件を示します。要件は大きく2つあり、施設として満たすべき施設要件と、がん種として満たすべき個別要件があります。施設要件は、キャンサーボードを運営していること、がん薬物療法のレジメン審査登録管理委員会があることなどを要件にしています。この施設要件はほかのがん種でもほぼ同様な要件となっています。
次に個別要件ですが、内科系と外科系の学会の認定施設であること、手術件数、化学放射線治療、又は放射線治療の件数、薬物療法の件数、新規治療開始の件数となっています。現在この条件を満たす施設は、県内では2病院となっています。選定要件の議論の際には、院内がん登録によるベンチマーク分析結果に加えて、毎年行われている沖縄県医療機能調査の結果、例えば細かい術式ごとの比較ですとか学会指導医の数など多岐にわたる条件設定を検討しました。
しかし、最終的には分かりやすい、なるべくシンプルな条件がよいだろうということになり、どのがん種も同じような項目となっています。なお、選定された医療施設の一覧だけでなく、これらの選定要件も沖縄県庁のホームページで公開されています。
まとめを述べます。沖縄県では、拠点病院以外の主要医療機関でも院内がん登録を行っていることで、全国最下位から全国一の院内がん登録カバー率となっています。結果として、今後の沖縄県のがん医療をどうしていくべきかを院内がん登録のデータを用いて議論することができるようになっています。各医療機関の長に直接働きかけることにより、院内がん登録データの公開が、患者さんに有益なだけでなく、医療機関にも有益であるということを理解していただけました。また、各医療機関の長の理解が得られたことで、患者さんに有益な情報公開のみならず、その後に、協議会において委員から得た提案事項に関しても全て実現し、かつ公開することができました。
さらに、院内がん登録データを利用しての相談支援部門での活動、そして、協議会における集約化と分散化の議論を受けての12がん種ごとの医療機関の選定における活用について報告しました。
以上です。御清聴ありがとうございました。
○土岐座長 増田参考人、どうもありがとうございました。ただいま、沖縄県における医療の質の見える化について御説明いただきました。そして、井上参考人につきましては、資料2におきまして国立がん研究センターにおける医療の質の見える化について御説明をいただきました。
それではディスカッションのほうに入りたいと思いますが、資料1から3まで、特に資料1ですね。がん診療提供体制、2040年を見据えた、こちらの45ページのほうには対応の方向性もまとめられております。こういったものにつきまして構成員の皆様から御質問を頂戴したいと思います。
それでは、早速でございますけれども、天野構成員、どうぞよろしくお願いします。
○天野構成員 御説明ありがとうございました。大きく分けて参考人への質問と私の意見がございますが、まず参考人への質問2点述べさせていただきたいと思います。
まず、井上参考人への質問です。資料の2ページで、臓器別のQIを参加施設と希望のある都道府県担当者に還元しているという記載がありましたが、希望している都道府県というのは現状どれぐらいあるのか、もし分かれば教えていただければというのが井上参考人への質問です。
増田参考人への質問が、4ページのほうで「大腸がん死激減プロジェクト」との記載がありましたが、これはどういったプロジェクトなのかについて教えていただければと思います。
私から質問については以上です。まず質問について参考人からお答えいただければと思っております。よろしくお願いします。
○土岐座長 それでは、井上参考人いかがでしょうか。
○井上参考人 天野委員、ありがとうございます。大変申し訳ありません。ちょっとその辺の細かい、どのぐらいの都道府県が希望しているかということについて数字を持ち合わせておりません。また後日お答えしたいと思います。
○土岐座長 それでは、増田参考人、いかがでしょうか。
○増田参考人 沖縄県は、大腸がんに関する死亡率が全国ワースト1位ないし2位の期間がずうっと長く10年以上続いていたものですから、約10年前に、沖縄県がん診療連携協議会において、これは余りひど過ぎるということがありまして、その結果を基に予防検診の専門家の方々及び医療の方々をそれぞれ5人ほどずつ招集しまして、大腸がんに特化した対策を検討する委員会をつくりまして、そこで分析を行ったり活動を行ったりしているものを、協議会の専門部会とは別につくって活動しています。
以上です。
○土岐座長 天野構成員、よろしいでしょうか。引き続き質問があれば、事務局に対してでも結構ですので、お願いします。
○天野構成員 ありがとうございます。事務局に対して意見、質問合わせて5点ございます。
まず1点目です。冒頭、座長からも御説明あったように、国のがん対策推進基本計画では、誰一人取り残さないがん対策を推進するとはなっていて、実際、がんゲノム医療や革新的な治療薬が出ている一方で、従来できていたがん治療が維持できなくなる拠点病院も出てきている。例えば放射線治療であるとか病理医の確保であるとか、そういったことを考えた場合、現実問題としては、特に人口減少が著しい医療圏では、今後ソフトランディングとなるのか、あるいはハードランディングになるかのその岐路に立っているという現状認識があるかと思います。
その中で1点目ですが、まず、現状、国のがん対策推進計画では、従来、均てん化と、一部では集約化という方針が示されてきたわけですが、これは現状、ソフトランディングになるかハードランディングになるかという違いはありますが、いずれにせよ大きな方針転換を強いられている状況になっているということがありますので、国として、あるいは地方自治体としても、住民あるいは患者家族の方に丁寧な説明が必要であると。
その際、特に国のがん対策推進基本計画は患者・市民参画推進というものがうたわれているわけでして、地域の患者や家族、あるいは住民の理解、あるいは参画が必須であると考えています。現状、例えば都道府県のがん対策推進協議会には多くの都道府県で患者参画が見られますが、これからの診療提供体制が話し合われるであろうがん診療連携協議会では、いまだ患者・市民参画はほとんど進んでいないという現状があるかと思います。
いわゆる障害者権利条約でも、Nothing About Us without Us、「私たちのことは私たち抜きに決めないで」という言葉がありますが、やはりその地域でこういった医療再編が進む以上は、地域の患者や家族の方の患者・市民参画というものは必須であると考えているというのが1点目の意見になります。
2点目になりますが、資料1の45ページで、事務局案として、今後、がん医療圏の見直しを行うのか、あるいは病院機能再編による拠点病院の整備を目指すのかを検討することを促してはどうかという記載をしていただいています。結果としてこういう方向性になっていくのはやむを得ないかと思いますが、ただ、私も幾つかの地方自治体の審議会に患者の立場で関わっておりますが、現状、地方自治体のほうとしても、かなり国から強く言われないとこれは難しい現状があるかと思います。
そういった地方の検討会においても現状様々な意見があるのが現状ですし、ある意味、しがらみと言ってもいいかもしれませんが、そういったものがある中で、この「促してはどうか」という一文だけではなかなかこれは進まないだろうと思いますので、より強い表現、より強い方向性というものを示す必要があると思います。
その際に、先ほど増田参考人から沖縄県の大腸がんプロジェクトについて御説明いただいたわけですが、現状、地域のがん対策推進計画は、残念ながら、都道府県によっては国の計画をそのまま移しただけであるとか、あるいはロジックモデルをつくっていないような都道府県があるような現状で、先ほどの沖縄県の大腸がんプロジェクトに見られるように、それぞれの都道府県に即した計画、あるいは医療提供体制というのをよりしっかりつくっていただくことが必要だと思っていますので、その部分について国のほうから技術的な助言も含めて様々なサポートが必要かと思っております。
3点目になります。均てん化と集約化について、資料1の46ページでお示しいただいていて、事務局のほうからも、あくまでこれは今後の議論のたたき台と御説明いただいていますが、現状、例えば標準的な薬物療法、あるいは標準的な手術、あるいは放射線療法は、がん医療圏又は複数のがん医療圏単位で確保することが望ましい医療ということで記載していただいていまして、これはいわゆるがん診療連携拠点病院等で行えるものということを想定しているかと思いますが、例えば薬物療法一つにしても、日本人に本当に多いがんであればこのとおりですが、例えば婦人科腫瘍であるとか血液がん等においては、標準的な薬物療法は、がん診療連携拠点病院全てではもう行えなくなってきているという現状があるかと思いますし、また均てん化に取り組む緩和ケアについても、現状はかなり地域差があるということがありますので、この部分については、関連の学会、あるいは専門の医療者の方に丁寧な説明をしていただいた上でより詳細な検討が必須であると感じます。
4点目になりますが、先ほど増田参考人から御説明がありまして、私も実は沖縄県がん診療連携協議会の外部委員を拝命しているのですが、先ほど増田参考人からのお言葉にもあったように、集計結果を並べるだけでは全く活用されないという言葉のとおりだと思っておりまして、現状、院内がん登録については多くの医療者の方々の努力によって集計がされているわけですが、その公開については相当程度できていない。
例えば、先ほども御説明あったように、院内がん登録集計結果閲覧システムというのは以前つくられていましたが、非常に分かりにくいですし、また、国立がん研究センターからも院内がん登録に関わるデータを公開していただいていますが、これは実際に都道府県でどうなのか、個別の医療機関でどうなのか、つまり、地域の患者さんや御家族の方が今後御自分の住んでいる地域で否応なく集約化が進んでいく中で、自分の身近な医療機関で何ができて何ができないのか、あるいは患者がどこに行けばよいのかということが分かるようなデータ公開でないと、一方的に集約が進んで患者は非常に大きな不利益を受けるということになるので、特に沖縄県の事例は参考にしていただきながら、各都道府県で同様の情報公開できるような体制を進めていただきたいと思っております。
最後5点目になりますが、本日の資料では出ていなかったので今後出るかと思いますが、いわゆる集約化はやむを得なく進めていく際に、医療DXであるとか、がんの遠隔診療というものが助けになる場合もあるかと思いますので、事務局におかれましては、今後の議論の際に、がんの遠隔診療、あるいは医療DXにおいてがん診療に役立つような事例の収集、あるいは好事例の共有をお願いできればと考えております。
私から、長くなりましたが、以上5点となります。
○土岐座長 ありがとうございます。おおよそ意見として賜るということでよろしいと思います。特に最後の遠隔のところは新しい観点で、まだ資料のほうに記載されておりませんので、そちらのほうも引き続き検討していきたいと思います。天野構成員、どうもありがとうございました。
そのほかの構成員の方から御意見等ございましたら。佐野構成員、どうぞ。
○佐野構成員 ありがとうございます。増田参考人に2つ質問させてください。沖縄県、大変参考になりましたけれども、沖縄県は人口が百四十何万人かでほぼ鹿児島県と同じぐらいだと思いますが、がん診療連携拠点病院の数が、大学を入れて3つですかね、そして診療病院が3つと少ないと思うのですが、診療連携拠点病院というのは県が申請して厚労省が認めると思うのですけれども、これは何か、つまり要件を満たさない病院が多いということなのでしょうか。というのが1つです。今後どうされるおつもりかというのが1つ。
それからもう一つは集約化についてなのですが、今はそれぞれどのぐらい現状やられているか、得意なところとかそういうものを参考に緩やかな集約化を進められていると思うのですけれども、例えば胃がんに関してはもうほとんど集約化はないということでした。私は、たまたま胃がんが専門なのですけれども、先ほどの事務局の資料でも、日本消化器外科学会提出資料というのが参考に出ていたのですが、胃がんというのはどこでも大体昔からやれる手術ではあったのですが、年間に10例以下の病院に対して、50例以上やる病院とではやはり手術の死亡率が違うというのがもうはっきりしたデータが出ていて、そういう意味で、先ほどの沖縄県の病院別の患者数というのを見ると、10例、20例以下の病院がたくさんあるのですね。ですので、胃がんぐらいどこでもできるでしょという、このままでいくのか、あるいは呼吸器外科や、あるいは肝臓、胆道、これはもう高度な、本当に難しい手術ですが、そういう意味での集約化というのを積極的に進めるのでしょうか。ちょっとそこが対策として、フリーアクセスの日本では難しいと思いますが、よろしくお願いします。
○土岐座長 増田参考人、いかがでしょうか。
○増田参考人 ちょっと資料共有させていただいてよろしいでしょうか。
○土岐座長 はい、どうぞ。
○増田参考人 今、私どもの沖縄県では、11年前、第6次の沖縄県がん計画の段階から集約化の作業を進めております。ただ、集約化といいましても、あくまでもそれは理屈上の話でして、その集約化のここに選ばれた病院以外で診てはいけない、診療してはいけないということではないのですが、一応このような形で、今、大腸がん、肺がん、胃がん、乳がん、子宮がん、胆道がん、膵臓がん、食道がん、前立腺がん、甲状腺がん、血液腫瘍に関しましては、一応その集約化は、ワーキンググループがつくられまして、そこで12年前と6年前にそれぞれ会議が持たれまして、先ほど肺がんの条件を示しましたけれども、そういう条件を示しまして選定を行っています。
このデータは、毎年医療機能調査と院外がん登録が出ますから、その検査で選定し直しますので、年によっては2施設になったり3施設になったりということは肺がんでもあります。ですので、またこれはこのような形で、県庁のホームページにも全部公開していますが、毎年3万部無料配布しております「沖縄がんサポートハンドブック」でも、マルと傍線で、今どこが選定施設かということをお見せしています。
○佐野構成員 申し訳ありません。これはとても興味があるのですが、これは毎年変わるのですか。
○増田参考人 はい。
○佐野構成員 そうすると、去年まで丸だったけど、今年、棒が引かれて、もうここではやらないほうがいいというか、そういう意味になるのですか。
○増田参考人 最終的に胃がんの専門家の先生方もやはり最初から集約化したほうがいいということで、沖縄県、ほかの地域に比べまして胃がんの発症率が低いものですから、ただ、どうしてもやりたい先生もいらっしゃるのですね。ですので、決議はしていますけれども、緩やかにそれが淘汰されていくことを目指そうというような形で、胃がんの専門の先生方はそういう形で方向性としても一致しているのですね。
ただ、なかなかそれが進まない状況、がん種によっては進むがん種と進まないがん種がありまして、例えば先ほど肺がんをお見せしましたけれども、子宮頸がんですと、90%以上は2か所、琉球大学病院と県立中部病院の2か所でほぼ九十数%治療していますので、そういうがん種もあれば、さっきお見せした胃がんのようにうまくいっていない。今回は、うまくいっていない胃がんと、多少集約化が進んでいる肺がんについてお出ししているという状況です。
○佐野構成員 胃がんですと丸ついているのが7つぐらいですけれども、それでも病院の反発というのはなかったでしょうか。
○増田参考人 全くありません。それはやはり一番診ている6施設の院長、副院長クラスが来ていますので、そこで責任ある立場の方々がディスカッションして決めたということですし、また、それぞれ非常に公平に、皆さん、一堂に会しますと、僕もびっくりしたのですけれども、12年前も6年前も、うちの病院入れてくれという話はなくて、例えば肺がんですと、当時、肺がんは、琉球大学病院は症例数が少なかったものですから、琉球大学病院は落とすことを前提に考えてくれと、琉球大学病院の肺がんのチーフの講師が最初にそういうことを言ってくれて、それで議論が始まりましたので、そういった形で、非常にプロフェッショナリズムに基づきまして、やはり症例数でこれぐらいだろうとか、先生おっしゃったように、将来的には集約化だよねという話がありますし、また、肝胆膵に関しましてもかなりデータが出そろっていますのでそこは集約化なのですが、それ以外のところでも、集約化は絶対必要だということのコンセンサスはあるということです。
落ちたところから、最初やるときは、私たちも苦情が絶対出るだろうなと思っていたのですが、実は一本も電話もなく、県医師会のほうも、ぜひ進めるべきだということで県医師会長もおっしゃっていただきましたし、2回目の選定会議、6年前もそうですし、実は今年度、今準備しているのですけれども、今の医師会長もぜひこれは進めるべきだということで後押ししてくださっていますので、そういう意味では、かなり県として、県の医療者としては方向性が見えてきているのではないかと。
それ以外に、希少がんに関しましては、琉球大学病院と県立中部病院に集約化しましょうと。これは協議会で決議しています。あと、AYA世代も協議会で決議して、診ることができる病院はいっぱいあるのですけれども、収容のことですとか、進学のことですとか、学校のことですとか、そういった意味でかなり体力がないとバックアップできないだろうから、医療の部分というよりはむしろ周辺部分のことで、やはり拠点病院がイニシアティブを取ったほうがいいのではないかということで、拠点病院3病院集めようと。小児がんは、先ほど。
○土岐座長 増田先生、一つ一つを説明すると非常に長いので、できる限り今日は多くの方から御意見聞きたいと思っていますので、おおよそ沖縄県の方向については理解できたと思います。今日はできる限り多くの方から御意見頂戴したいと思いますので、簡潔に御質問、御回答のほうをよろしくお願いしたいと思います。そのほか。
藤先生、どうぞ。
○藤構成員 藤です。
先ほどの天野構成員の話と相当ダブるのですけれども、私、がん診療連携拠点病院の指定とか、その活動そのものに多く関わっておりますので、そちらの立場からもお話しさせていただければと思います。
まずは医療圏を合併するというか併せるということに関してですが、空白の医療圏をなくすということは非常に大切ですので、その方向性をやっているというのは非常に大切ですし、それを全国に好事例として提出するというのは大切だと思います。
ただ、広い圏域でがん拠点病院が1個だけあるようなところをつくるということ自体が本当に解決になるのかというような問題意識も持っておく必要があると思います。先ほどの和歌山県の有田医療圏で受療行動を見ますと、和歌山医療圏のほうに多く移動しているということは分かりますので、そこを一緒にするというのは正しい方向なのでしょうけれども、そうでない人たちもやはりたくさんいるのだということ、そして、拠点病院としては、実は令和4年の整備指針にも書かれましたけれども、自分が存在する医療圏のがん医療のことを考えることが書かれています。
要するに、広くなった医療圏のことまで自分たちのテリトリーというか、責任の範囲内だということを拠点病院が認識できるかということが非常に大切になってくるかと思います。ですから、これは拠点病院、ちゃんとやるよね、整備指針にあるからやらなきゃということだけではなかなか難しくて、各基本計画というのは各都道府県の行動に、施策になりますので、国としてはそのようなことをちゃんと問題提示、意識として都道府県に認識させるような活動がしっかり必要になってくるのではないかと思います。そうしないと、ここでもやはり10%、20%の人たちが取り残されてしまうというのは、やはり現在の基本計画の誰一人取り残さないということには問題が出てくるのではないかと思います。
取りあえず私はそこで止めたいと思います。よろしくお願いいたします。
○土岐座長 ありがとうございます。続きまして、松本構成員、よろしくお願いします。
○松本構成員 ありがとうございます。国立成育医療研究センターの松本でございます。
小児がんを主に診させていただいております。先ほどの藤先生と同じ発言になると思いますが、医療圏の統合ということで数合わせはできると思うのですけれども、確かに圏域が広くなった場合に困るなあということも感じました。
確かに小児がんの医療提供体制、今、厚労省のほうで小児がん拠点病院中央機関、整備を進めていただいているところですが、実は小児がんというのはブロック単位で拠点病院が決まります。では拠点病院に集めればいいのかというと、拠点病院の集約化はこの10年間で僅か40%にとどまっています。しかも遠くになればなるだけ、本人が動けばいいという、子供だけの問題にとどまらず、御両親の仕事のこととかいろんなことで動けない人というのはいっぱいいるものですから、そのブロックならブロックの中だけで決めていいものなのかどうかということを少し考えました。
それから、ちょっと増田参考人と井上参考人それぞれに質問というか、あるのですけれども、まず増田参考人に関しても、意見になると思いますが、小児がんに関して2つの施設を協議会で決めて集約化するというのは本当にすばらしいことだと思いました。見ていると、例えば小児がん以外に、肺がんも2つの病院に集めようという気持ちはすごくあるのですけれども、ただ、そうなると、例えば南部とか北部とか、実際に肺がんを診ている施設というのはそれなりにありますので、そういうところがその指定のところに行けないというのは何かトラブルはないかどうかということをお伺いいたします。
○土岐座長 増田参考人、いかがでしょうか。アクセスの問題でしたけれども。
○増田参考人 ちょっともう一回お伺いしたいのですが。
○土岐座長 松本先生、もう一度。
○松本構成員 肺がんに関しては、今、中頭病院と沖縄病院に集めようという話で、2つとも中部の病院ですよね。そうしますと、南部とか北部の人たちは中部まで行かなくてはいけないのか、あるいは、南部でもやはり診ている病院、北部でも診ている病院というのはいろいろあるものですから、そういうところで診るべきなのかどうなのかというところに関して議論というのはないのでしょうかということをお伺いしました。
○増田参考人 それぞれこれはほかの病院で診ることを禁止しているわけではありませんので、実際、南部でも4つぐらい手術をしている病院もありますので、そういうところに、そこまで行くのが遠いと思える方は近くの病院に行かれていますし、また、少し遠めの、南部から行っても車で30分から1時間ぐらいですけれども、そういうところに行くことをいとわない人はその2つの病院に行っていただくような形を県民の方は取っていらっしゃるのではないかと思います。
○松本構成員 ありがとうございます。それでは井上参考人に1つ質問と、それから、これは事務局に対しての御意見ということになるかと思います。例えば7ページの資料にございました希少がんの治療実績、どこの病院でどんな患者がいて、どういう治療をして、予後はどうだったのか知らせてほしいという情報がなかったと、御意見があるのですが、実際には希少がんというのはものすごく多彩で、一例一例でぶれ幅が大きいと考えます。それで、質問なのですけれども、10例以下の症例というのは小児がんでは大変多いのですけれども、それぞれを例えば2年とか3年とかまとめてもせいぜい5例とか、そんな10例以下のような症例の、どこの病院でどんな患者がいてという情報を公開すべきなのかどうなのかということを少しお伺いしたいと思います。
○土岐座長 井上構成員、お願いします。
○井上参考人 松本先生、御質問ありがとうございます。まさに先生のポイントは重大なポイントでして、公開すべきなのか、その人数の10例未満の問題ですとか、10例以上いたとしても細かく出していくということがどうなのか、その可否については本当に議論も必要ですし、今の状況からですとなかなかその数字の中で情報公開していくというのは難しいとは考えておりますが、今回の医療提供体制のあり方というところからしっかり議論して、どうしていったらいいのかということをサゼッションいただきたいとも思いますし、本当にずっと続いてきている症例数が少ない中での情報提供のあり方ということは課題だと思っておりますので、先生に問題提起をいただいたと思って、今後しっかり検討していきたいと考えております。ありがとうございます。
○松本構成員 ありがとうございます。ちょっと時間押しておりますが、1つだけ意見ということでお願いします。この院内がん登録、今現在、捕捉率が9割以上ということですばらしいシステムだと思っているのですが、残念ながら、実際に大学病院ではなく、こども病院というのは院内がん登録できる診療情報管理士を入れることができなくて、院内がん登録ができないという施設が多いのが現状です。ですので、そういう施設に関しては、これは私の個人的な意見ですけれども、例えば近隣の大学病院なり何なりの診療情報管理士の人が非常勤みたいな形で少しお手伝いに来ていただくとか、そのような形で何とか院内がん登録ができるシステムというのが100%になるような形でぜひお願いできればと思います。
私からの意見は以上です。ありがとうございました。
○土岐座長 ありがとうございます。それでは引き続きまして、家保構成員、どうぞ。
○家保構成員 ありがとうございます。全国衛生部長会長の家保と申します。
まず1点、増田参考人にお尋ねしたいです。これはそもそも都道府県がん診療連携拠点病院が設置する協議会の活動がベースになっていると思うのですが、都道府県の関与というのはどのようになって いるのかという点についてお教えいただきたい。他県にとって沖縄の活動は非常に参考になりますし、今後の集約化統合の検討の際にはやはりデータに基づいた話をしないといけませんので、その点について教えていただきたいというのが1点でございます。
それから意見としまして、地方の都道府県としては、医師の高齢化自体もございますし、人口減で一定の集約化等は必要だと思っております。当県も、がん拠点病院がない医療圏が1つございます。ただ、それを統合したからといって、そこに住んでおられる患者さんにとっては何ら御本人のメリットがないですので、どういう連携を取っていったらいいのかというところについてぜひ国として一定方針を示していただきたいと思います。やはり集約化する部分と、アウトリーチではないですけれども、分散してでも何とか身近なところで対応できるような分野は何なのかということをよく考えていただきたいと思います。
それから、集中化しますとどうしても移動の問題というのが地方で出てまいります。こども家庭庁では、分娩などでそれに対する補助金とかいうのもございます。そういう交通の不便な、また移動に要する経費がかかるところについての支援をしていかないと、集約後の負担はそういう地域の方々に発生しますので、ぜひともそういう点について国として考えていただきたいというのが、こちらは意見でございます。
以上です。
○土岐座長 よろしいですか。では、1点目は、増田参考人、都道府県の関与につきまして具体的にどのように関与しているかということでしたけれども、いかがでしょうか。
○増田参考人 沖縄県の協議会においては、県の保健医療部長が委員として入られてディスカッションに加わられています。また、その下の具体的な議題を検討する幹事会にも担当の課長さんが入っていただいているということで、かなり県と一緒になってやっているという状況です。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。それでは、引き続きまして泉構成員、よろしくお願いします。
○泉構成員 日本病院会の泉でございます。
さっきのお話の中で佐野構成員からも医師の偏在対策のことがありましたし、国としてもいろいろ対策やっているわけですし、それから医療DXが今後どんどん進歩してくるということを考えますと、今後、拠点病院の均てん化・集約化ということですけれども、藤構成員が、今、拠点病院のことをやっていらっしゃると思いますけれども、今後、拠点病院が地域で少し回らなくなってくるという一番大きな原因が、放射線の常勤医が確保できない、あと病理医が確保できないということになるのですけれども、これもやはり結構DXを用いることによって、例えば病理の難しい診断だったらちゃんとコンサルできるシステムがあるということをどのように今後拠点病院の中に持ち込んでいくかということになるかと思います。
それから、治療になるとなかなか難しい部分があると思うのですけれども、今後このDXが進むことによってそれをうまく生かして、それで救急診療の質を上げるということに努めていくほうが私としてはいいのではないかということで、もちろん医師偏在対策がうまくいけばいいのですけれども、なかなかうまくいかないときにDXを使うということも非常に重要な課題だろうと思っております。これはあくまでも私の意見ということでお話しさせていただきました。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。事務局はよろしいですか。
それでは続きまして橋本構成員、よろしくお願いいたします。
○橋本構成員 よろしくお願いいたします。日本看護協会の橋本でございます。声届いていますでしょうか。
○土岐座長 大丈夫です。
○橋本構成員 ありがとうございます。先ほどは失礼いたしました。
いろんな構成員の方々からお伺いしていましても、空白の医療圏、空白の地域をなくすということで、どんどんがん医療圏が広くなっていくと思います。そのときに、46ページの資料にありますような均てん化ですが、より多くの医療機関で提供できるようにすべきことであるとか、地域の病院との連携というのが今後恐らくもっと必要になってくる。この検討会ではないかもしれませんが、併せて考えていく必要がもっとあるだろうと思っております。
その辺りで、やはり1つには医療従事者の人材確保がこれからますます難しくなってまいります。どの職種にとっても課題と思いますが、看護職員におきましても非常に確保・育成が難しくなってきていますので、これはぜひ地域全体を面として捉えていただいて、人材を育成・確保し共有するといった考え方をぜひ取っていただければと思っております。
例えば看護で言いますと、拠点病院の指定要件として、放射線治療や薬物療法、緩和ケアに携わる専門的な知識及び技能を有する看護師の配置が定められているかと思います。拠点病院等でそういった専門性の高い看護師を育成していただき、それらの専門性の高い看護師が拠点病院以外の医療機関への派遣や出向を行うような機能を持つということを考えていただくことによって、地域のがん医療提供体制を効率的に、かつ質の維持向上ができるのではないかと思いましたので発言させていただきました。意見でございます。どうもありがとうございます。
○土岐座長 ありがとうございました。人材育成の観点から貴重な御意見を頂戴いたしました。それでは続きまして、東構成員、よろしくお願いいたします。
○東構成員 すみません。東京大学の東です。ありがとうございます。
1点、事務局の資料に対してお伺いしたいのですけれども、37ページ、38ページで和歌山県と奈良県のがん医療圏の空白に対する対策ということで御紹介いただいたのですが、奈良県のほうは医療機関をつくったということで、県内での完結率が増えたということで、それはよかったということで分かるのですが、和歌山県のほうで、特に医療機関を設置することなく医療圏を統合したということで、これはどういう効果があったのかということの情報があれば教えていただきたいのと、あと、和歌山県モデルでいくのか奈良県モデルでいくのかということのその分岐点というか判断というのは何か基準がありそうなのか、それとももう県で任されているのか、そういった現状を教えていただけるとうれしいです。
以上です。
○土岐座長 いかがでしょうか。事務局のほうから。
○がん対策推進官 事務局でございます。
ただいま東委員から御質問いただいた点でございますが、例えば患者の動向ですね。そういったものを例えば37ページ目にお示ししておりますが、実際、和歌山県で圏域の見直しをするに当たってこのような患者の受療動向というのも把握されておりまして、こういった受療動向を見ますと、やはり実際に患者様がそちらに行っている。具体的には有田医療圏から和歌山の医療圏に手術療法、薬物療法、放射線療法で受診している傾向が多いというところから、このようなケースはやはり圏域内の機能再編というよりかは、今回、和歌山県が行われたような圏域の見直し、そういったものが重要かと思います。
1つは、回答としましてはこういった患者の受療動向が重要であると思いますし、当然ながら、奈良県のような機能再編の例につきましては丁寧な議論といいますか、今回の場合ですと、例えば町立病院が数個ありますけれども、そういった中での議論というのは非常に丁寧にやっていかないといけないので、合意形成の過程も非常に重要かなと思います。なので、こういった患者動向とか地域における相互のコミュニケーションとかそういったところの中で決まっていくものだと思いますが、御質問いただきました和歌山県における事例の意義といいますか、圏域の見直しの意義ですが、そもそもこのがん診療連携拠点病院等の整備指針におきましては、所在する医療圏に関して地域連携や人材育成等についての役割を担うことも求めておりますので、これまで空白の地域だったところに新しく拠点病院が設置されることによって、このような役割を担う拠点病院の整備がされたということになるかと思います。
ただ、これは先ほど御意見いただきましたとおり、都道府県も含めて、また拠点病院も含めて、そういった機能を圏域に対して担うということをしっかり意識づけといいますか、先ほど藤先生から御指摘あったような話だと思いますが、そういったところを我々もしっかり、ただ指定するだけでなくて、意識づけをしていくことが重要かなと思っております。
以上でございます。
○土岐座長 それでは引き続きまして野田構成員、よろしくお願いいたします。
○野田構成員 奈良医大、野田でございます。ありがとうございます。
3つほど御意見のほうを述べさせていただきます。1つは、高度な医療等を見据えた集約化でございますが、やはりきちんと、今さっきから話が出ておりますけれども、紹介受診できるような体制ですね。情報提供及び紹介受診ができる。A地域では受診できるけれどもB地域の住民は事実上受診ができないといったことがないように、きちんとした連携及び情報提供の体制の確保が必要であろうかと思っております。
2つ目でございますけれども、例えば46ページの表の中で、均てん化・集約化に取り組む医療のイメージのたたき台など拝見いたしますと、主に一発目のといいますか、罹患した直後の大きな医療に関しての議論が結構多いなと思うのですが、それらが終わった後、例えば2年、3年、5年とフォローアップで受診をするときにどのように連携が行われるのかという点は非常に重要かと思っております。
例えば我々奈良県の者が、例えば何らかの高度の治療のために兵庫県まで出向くということが当然あり得ると思うのですけれども、ずうっと兵庫県まで通い続けることは非常に難しいということです。やはり勤務している人のアブセンティーズムなどの問題なんかもありますので、そういうフォローアップ期といいましょうか、正確な用語は分からないのですが、最初の罹患直後の大きな医療とその後のフォローアップしていく時期にちょっとした入院ができるような、いわば高度急性期以外のちょっとした急性期といいますか、そういう入院などに対応できるような病院間の連携などが進むことがあればいいなと考えております。
3つ目でございますが、人口推計についてです。主に社人研の人口推計が使われていると承知しております。35ページ、36ページなどはそうだと思いますけれども、将来の人口推計は結構外れることが大きいと考えております。外れるというのは言葉が強い場合には、そのとおりにならないこともあると考えております。特に社人研の令和5年度、最新の将来人口推計においては、10代から20代の若者の外国人が16万人ぐらい毎年日本にやってきて定住するという仮定を置いているのですね。つまり、外国人が毎年16万人やってきて住み続けて、お年寄りになるまでずっと住み続けて、出ていかないという人口推計の仮定を置いておりまして、本当にそのとおりになるのかどうかといった点も含めまして考える必要があります。
あともう一つですけれども、がんの罹患につきましては、女性のがんとか子供のがんはありますけれども、主には、大きなボリュームとしましてはやはり50代以上などが多いのかなと思いますので、例えば20万人であるとか100万人であるとか、そのような数字を見るときには、もし可能であればですけれども、事務局の皆様におかれましては、今後もずっと出してほしいという意味ではないのですが、一度検討いただきたいというのは、例えば50歳以上の人口に切った将来人口推計とかそういったもので動きを見てみる。そうしますと、意外に、予想以上に人口減が激しいであるとか、そういったものが見えるかもしれません。
というのがありまして、将来人口推計の影響というのは、若者のほうでは大きいのですけれども、高齢者のほうではまだ小さいのですね。外国人が余り入ってこないからですね。そのように二層化、将来人口推計のギャップというのですか、それが分かれておりまして、そういうのもありますので、一旦50歳なんかで切って内々に検討してみるということも大事かなあとは考えているところであります。
私からは以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございます。事務局のほう、よろしいですか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
野田委員、貴重な御意見ありがとうございます。まず最初に、46ページの事務局のたたき台というところにおきまして、今回出させていただいたような、初回治療がメインになっているけれども、フォローアップの観点でどのように医療提供するのかという視点も重要だというところで、それは本当に御指摘のとおりかと思いますので、そういった視点でも、どのように書き込めるかというのは学会様の御意見もいただきながら考えていきたいと思っております。
2つ目の人口推計ですね。これはあくまで推計なので、そうなるとは限らないといった御指摘です。そういったいろんなデータの制約なども踏まえながら検討しつつ、とはいえ、やはりデータを示していかないと議論が進まないというところもございますので、そういった留意点に留意しながらデータ提供に努めていきたいと思っております。
以上でございます。
○野田構成員 承知いたしました。1点だけすみません。30秒だけ。
今の人口推計の問題もざっくりいえば、お年寄りの人口は思ったよりもはるかに早く、2040年以降減るかもしれないというのが1点と、もう一つは、人手不足のほうでの若者が意外に増えないかもしれない、社人研の推計が外れればですね、というふうになっておりますので、様々な問題がより気になっていくと考えているところでございます。
コメントは以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございます。続きまして茂松構成員、どうぞ。
○茂松構成員 日本医師会副会長の茂松でございます。意見の場を与えていただきましてありがとうございます。
私のほうからは、2040年を見据えた持続可能ながん医療の提供という中で、やはり人材ということが一番重要であろうかと思いますが、医師がこれだけ専門性に走っていると、腫瘍をやっていただける先生がそんなに多くないとは捉えられております。そこで、外科、内科、小児科、産婦人科、麻酔科等、研修医のときに回りますが、やはり専門医になってもそういうところに腫瘍学をしっかりと学んでいただけるような教育の場をつくっていただいて、人材育成をしっかりしていただきたいなと思っております。地域偏在とか診療科偏在、いろいろ言われておりますし、やはりそこのところはほとんどの医師であればこういう知識は持っているという教育をしっかりさせていただくということが非常に大事ではないかと思っているのですが、その辺、国のほうとしてはどのようにお考えでしょうか。
○土岐座長 医師の偏在です。専門医育成のことでございますが、いかがでしょうか。
○がん対策推進官 茂松先生、貴重な御意見ありがとうございます。少し観点がずれるかもしれませんけれども、51ページの参考資料のところに診療科別の医師数の推移というところもございまして、これを見ますと、診療科によって、例えば外科に関してなかなか確保が進んでいないような状況もありますし、そういった中で、先生御指摘のような、ほかの分野に進まれても、腫瘍に対応できる人材が必要という貴重な御意見かと思いましたので、御意見につきましては、関係部局とも相談しながら検討していきたいと思っております。
○茂松構成員 よろしいでしょうか。今の教育の中でサブスペシャリティ等の部門が余り明確になっていないという専門医機構の動きがございます。その中でやはり腫瘍学というものをベースに持っていただいて、何かあってもそこはしっかりと勉強しているのだという医者をつくっていかないと、これは均てん化・集約化というのは本当に外れていくのではないかと思いますので、その辺の教育をどうぞよろしくお願いしたいと思っております。ありがとうございました。
○土岐座長 茂松先生、ありがとうございます。私も全く同感で、がんを専門とする医師の基礎的な知識の育成等が本当に必要だと考えております。ありがとうございました。
それでは続きまして川上構成員、いかがでしょうか。
○川上構成員 ありがとうございます。日本薬剤師会の川上純一と申します。2点申し上げます。
1点目は、病院薬剤師の不足・偏在に関してです。がん医療提供体制の均てん化・集約化に向けて都道府県や地域のがん診療連携拠点病院、またそういった病院と連携する病院において、病院薬剤師の不足・偏在の状況が厳しいと、薬物治療を十分な体制で行っていくことが難しくなることもあろうかと思います。そういったことのないように、ぜひ様々な面で御支援をいただければと思います。
それから2点目は、薬局の側ですけれども、専門医療機関連携薬局が現在整備されてきております。直近ですと2024年の9月の時点で205の薬局が認定を受けているのですけれども、全国のがん医療圏の数から見ても、またその認定薬局の偏在等もありますので、決して十分な状況ではないと思います。そういった薬局の整備、また薬局におけるがん領域の専門性を持った薬剤師の育成にも課題があろうかと考えております。
この2点、行政からも御支援賜ればと思いましたので発言させていただきました。以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございます。それでは、村松構成員、どうぞよろしくお願いします。
○村松構成員 ありがとうございます。産業医科大学公衆衛生学、村松です。
参考人の増田先生にお伺いしたいことがあります。先ほどのお話も大変興味深かったです。ありがとうございます。先ほどのお話もずっと聞きたいぐらい、大変地域医療構想アドバイザーとしても参考になるかなあと思いました。
特にどの点かといいますと、若手ですとか、様々な現場に近い職員の方々を巻き込んでワーキングをされている点が非常に興味深いと思いました。地域医療構成会議に、福岡県に限らずいろいろな地域医療構想、支援をしているのですが、どうしても上位の意思決定者の場になってしまって、実働部隊を持たない調整会議が多くございます。沖縄県でどうして、先ほどのような、各がんごとにワーキングを組むような若手ですとか現場に近い方を巻き込めるようになったのかを教えていただければと思いました。お願いします。
○土岐座長 増田参考人、いかがでしょうか。
○増田参考人 沖縄県は、人口は146万人しかいませんし、医師会も非常に開かれた医師会ですし、学閥もなく、各病院間のコミュニケーションがかなり取れているのではないかと思いますので、そういう下地がまずベースにあるのではないかと思います。その上で、私のほうが事務局となりまして、各病院長先生方にお願いをして、その上で医師会と相談しながら、県と相談しながら、各病院から1人ずつ代表を出していただいたということがありますので、関わっている先生方、皆さん、プロフェッショナリズムという意識がすごく高い方が多いので、そういった意味では、非常に難しい作業ではありますけれども、自分の病院は置いておいて、県全体で10年先、20年先を見据えてという土壌があるのではないかなあと思います。
あともう一つは、院内がん登録のデータ分析がかなり進んでおりますので、そういった意味で、どこの病院はどれだけ診ていますか、どれだけ手術していますか、どれだけ化学療法していますかというのはすぐお出しできるので、そういった部分もあるかと思います。データの充実もあるかと思います。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。それでは、中釜構成員、よろしくお願いします。
○中釜構成員 国立がん研究センターの中釜です。
私から1点、井上参考人に質問なのですけれども、QI指標、QI研究は非常に重要で、病院ごとにQIの見える化ということは重要であるし、患者目線から見て、まずどのようながん医療の現状であるのかなどを知る意味では非常に重要な指標と思うのです。一方で、今回の検討会の大きなテーマである2040年に向けた医療提供のあり方を考えたときに、現在議論している均てん化というのは恐らく人口減の中で限界が見えてくると思います。均てん化と集約化が大きなテーマになっていくと理解するのですけれども、その際に、現状を知るという意味でのQI指標だけではどうも不十分ではないかというのが今日の話を聞いていて感じました。このQI指標を、人口減や高齢者が増えるという社会の中でどのように研究としてダイナミックに展開していくことが成果として期待できるのかということに関して、現状で何かお考えがあったら教えていただけますか。
○井上参考人 お答えしてよろしいでしょうか。
○土岐座長 よろしくお願いします、すみません。
○井上参考人 ありがとうございます。均てん化と集約化というところで、またQIという指標が少し違った意味を持って現れてくるので、我々もそれに向けてデータの出し方を、少しそれに取り組めるような出し方をしていかなくてはいけないともちろん考えております。例えば標準治療のあり方ですとか、標準治療が実際に本当にどうやって行われているのか、あるいは高齢者が多いような地域、それから、拠点病院のカバー率も高くて医療の非常に充実した地域とそうでない地域、あるいは簡単に言ってしまうと都会と田舎ですとか、そのような違いによって、医療の質というか、標準診療の質というものがどう違っているのかということをそもそもよく分かっていないという現状もありますので、そのような軸から少しQIというものを見直してというか、データがそもそも今出ていないという現状もあるので、そういう観点からもう一度データを見直して、そこに均てん化、あるいは集約化につながるような何かしらの示唆を出していければいいなとは考えておりますけれども、まずはその実態をつかむということが我々の急務とも思いますので、今その辺のデータの出し方の工夫を少ししなくてはいけないのではないかという観点から検討しているところです。
○中釜構成員 理解いたしました。私も同じセンターの者としてですけれども、このQI指標というのは今後の医療提供の10年20年後を見据えたときに、ただ単一的な変数による指標ではなくて、いわゆる多次元的な指標を考慮したようなもので、今後、医療診療提供体制に、どのようにこのQI指標が貢献するのかということ、その成果をどのように評価するかということも含めて考えていければと思いましたのでコメントさせていただきました。ありがとうございます。
○土岐座長 ありがとうございます。一通り構成員の皆様から御意見頂戴しましたが、多くございましたのは、沖縄県の事例が非常に皆さん興味深くて、どのように都道府県の協議会がこの集約化・均てん化を誘導していくかという、その手法についてよく示していただきました。これもすばらしい、今後も検討していきたいと思います。あと多かった意見としては、医療圏を統合したら当然広くなってしまうのだけれども、そのアクセスをどうするのだと。そこにDXとか遠隔とかそういったものを使って、本当に広域をカバーできるのか、そういった取組もできれば考慮してほしいという意見が多かったと思います。
最後にもう一度、資料1の45ページ、これが今後の次の検討会の方向性になりますので、もう一度確認していただいて、皆様から御意見を伺えたらと思っております。短時間でよろしくお願いいたします。
私からは1点、今回、学会に意見を聞きたいと。具体的には、先ほどの資料でございました学会に、どのがんだったら何十例がいいのではないかと、非常に貴重な意見ですけれども、学会というのは、多くの場合は日本全体のがん医療圏、都道府県、考えているのですけれども、例えば私は胃がんと食道がん、両方関わっておりますけれども、胃がんであれば、やはりがん医療圏まで考えたい。食道がんであれば都道府県でいいのではないか。そういったことも考えながらこの症例数の設定などしております。ぜひ学会に頼むときに、そういう実情も考慮しながら、そういう具体的な数字を出していただくようにお願いすべきではないかと感じました。
あともう一点、ちょっとしつこく言わせていただきますと、逆に余り少ない症例数を設定すると、都市部でいわゆる施設の乱立につながるおそれがあって、都市部での集約化がすごく後れる可能性もあるので、もしかすると都市部と地方部では集約化の指標を変える必要があるのかもしれないと感じております。
そのほか、この45ページの方針につきまして、何かこの場でどうしても御意見を追加しておきたいという先生いらっしゃったら。
どうぞ、藤先生。
○藤構成員 ありがとうございます。一番最後のところです。診療情報実績などを一元化して公表するというのは、患者・市民の要望として非常に大きいわけですから、これは実現していかないといけないとは思うのですが、ここでは「など」とは書いてありますが、治療件数などの情報を一覧化するということですが、これはやり方をしっかり議論した上でないと大きな問題が起こるのではないかと思います。件数だけではその質は分からないし、ではどうやってするのがベストなのかというのはいろんなところで問題点もあります。生存率といっても、総合病院とがんセンターでは当然違うのだといういろいろな現場からの文句というか不満も出てきたりしますので、そういうことをしっかり分かった上で一元化するという方向をしていく必要があるかと思います。そして、その上では、今でも結構出されているのですが、どこを見ていいか分からないというのもありますので、シンプルにということも含めてですけれども、これは大きなプロジェクトとして進めていくべきものかと思って聞いておりました。
以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございます。それでは、佐野構成員、どうぞ。
○佐野構成員 すみません、時間がないところ。参考までですけれども、やはり集約化を進めていって、これらの病院でやることによって成績が上がるというふうにする以上、遠くから来る人の話が今日出ましたけれども、御参考までに、例えばイギリスのNHSなんかはどんどん集約化して、成績をよくして、遠くに住んでいる人は、そこに行くための旅費とかを補助するのですね。これはそのほうがフェアであるということになって。だから、ずうっとフォローアップとかいうと大変かもしれませんが、大きな手術を受けるときに集約化する、この病院でやることによっていい成績が出るはずだから、その間は、集約化をする以上、県なり国なりがそのアクセスに対しての補助を真剣に考えるべきなのではないかというのは前から思っております。
以上です。
○土岐座長 大変貴重な御意見ありがとうございます。天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。手短に。
まず1点目、治療件数の公開についてですが、既に国立がん研究センターがん情報サービス等でも、いわゆる症例数は既に公開されているかと思います。特に希少がんや難病がんの方は今後集約化の対象となる可能性がありますので、まさに診療件数の公開はぜひお願いしたい。
一方で、例えば治療成績となってくると、当然患者背景であるとか様々なことがあり得るので、なかなか議論が難しいところがあるかなと伺っていた次第です。
もう一点、今、佐野構成員から御指摘のあった件については、本日、増田構成員も御出席されていますが、沖縄県においては、例えば離島医療圏から、放射線治療機器が離島の医療圏にはないので、離島から本島に行く際の宿泊費の補助が県の予算から出されているということもありますので、そういった事例についても今後広がることを期待しているところです。
私から以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。松本構成員からも小児がんの補助の話をお伺いいたしました。ちょっと時間も限られておりますけれども、村松構成員、どうぞよろしくお願いいたします。
○村松構成員 ありがとうございます。一番下のポツの「公表の了承の得られた」の部分について意見をします。先ほどの沖縄県の事例でも、データを公表していくというよりは、それに向けたプロセスにとても意味があったように思います。したがって、この了承を得るというプロセスが、医療機関同士の対話ですとかそういったものをデザインするようになっているということを期待します。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。東構成員、いかがでしょうか。
○東構成員 ありがとうございます。東京大学の東です。
私も、この公表ということに関しては、進めていくという大前提は疑いはないと考えておりますけれども、私も前職で5年生存率の公表の責任者等もしておりましたけれども、やはり病院からの手紙もいただきますし、それが何を意味するのかということをきちんと説明できるような形で、それでもやっていくのか、それともどのような形でやっていけば誤解が少ないのか、それは非常に難しい問題ではありますし、どちらかというと、経験上公表に対して反応されるのは、患者さんというよりも、医療機関のほうが大きい印象ですので、そういったことも検証しながらやっていくというのは必要だと思います。前に進まないということは絶対ないと思いますが、検証しつつ、よくよく見てやっていくというのが必要だと思います。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。ほか、全体を通しまして、いかがでしょうか。御質問等よろしいでしょうか。
それでは、ただいまいただいた意見、特に公表とか公開につきましては十分注意を払っていく、そのような点も踏まえて進めていきたいと思います。
それでは、資料1の45ページにつきまして、基本的な方向性として、この均てん化・集約化の方向性の対応について御了解いただいたということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、事務局ではその方向で進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
本日は、ちょっと時間を延長してしまいましたけれども、大変活発な御議論をありがとうございました。構成員の皆様の協力に改めて感謝を申し上げます。それでは、以上をもちまして本日の会議を終了いたします。どうもありがとうございました。
照会先
健康・生活衛生局がん・疾病対策課
代表 03-5253-1111(内線2924)