2024年9月4日 薬事審議会 要指導・一般用医薬品部会 議事録

日時

令和6年9月4日(水)17:00~

出席者

出席委員(18名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(1名)
木下玲子
行政機関出席者
  • 城克文(医薬局長)
  • 佐藤大作(大臣官房審議官)
  • 中井清人(医薬局医薬品審査管理課長)
  • 野村由美子(医薬局医薬安全対策課長) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、「薬事審議会要指導・一般用医薬品部会」を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中、御出席を賜りましてどうもありがとうございます。
 本日の会議の公開部分については、YouTubeによるライブ配信で行うこととしていますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。なお、配信における留意事項ですが、本配信の著作権は厚生労働省に帰属しますので、配信している動画あるいは内容を許可なくほかのWebサイトや著作物等へ掲載することを禁止します。
 最初に、新たに委員に就任されました方々を御紹介させていただきます。株式会社亀山薬局代表取締役の亀山貴康委員です。亀山さん、一言お願いできますか。
○亀山委員 亀山と申します。よろしくお願いします。国民のため慎重に審議を行いたいと思いますので、よろしくお願いします。
○医薬品審査管理課長 ありがとうございました。続きまして、公益社団法人日本薬剤師会常務理事の富永孝治委員です。富永さん、一言お願いします。
○富永委員 日本薬剤師会の一般用医薬品を担当しています富永です。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 ありがとうございました。本日の委員の出欠状況についてですが、木下委員より御欠席との御連絡を頂いています。現時点で委員19名のうち、18名の委員の御出席を頂いていますので、定足数に達していることを御報告します。また、前回5月23日開催以降の厚生労働省及び医薬品医療機器総合機構における幹部の人事異動について紹介します。まず厚生労働省からですが、大臣官房審議官の佐藤です。続いて、医薬品医療機器総合機構です。一般薬等審査部長の髙橋です。医薬品安全対策第二部長の前田です。
 続いて、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事審議会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告させていただきます。薬事審議会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しています。今回、全ての委員の皆様より薬事審議会規程第11条に適合している旨を御申告いただいていますので、御報告させていただきます。先生方におかれましては、会議開催の都度、書面にて御提出を頂いています。御負担をお掛けしますが、引き続きどうぞよろしくお願いします。
 それでは、奥田部会長に以後の進行をお願いします。
○奥田部会長 それでは、事務局からこの審議の進行方法について、御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。Webでの審議の進行方法について、御説明をさせていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まずシステム上で挙手をお願いします。部会長から順に発言者を御指名いただきますので、指名されましたら、ミュートを切った上で御自身のお名前をおっしゃっていただき、その後、御発言を頂きますようお願いいたします。なお、発言者が多いときには、発言されたい委員がメッセージに御記入いただくことで、部会長より発言者を順番に御指名いただきます。適宜、メッセージ機能も御利用ください。
 また、システムの動作不良などがありましたら、会議の途中でも構いませんので、事務局までお申し付けください。事務局からは以上です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。ここまでの事務局からの説明に、御質問、御意見はありませんか。よろしいですね。
 それでは、まず公開の議事として「その他事項議題1」に入ります。まずこの「その他事項議題1」について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。その他事項の議題1として、資料の1「スイッチOTC WGからの報告について」、御説明をさせていただきます。1ページを御覧ください。令和6年3月28日に開催されました「規制改革推進会議」の健康・医療・介護WGにおいて、厚生労働省、機構及び日本OTC医薬品協会からなる検討会議として、スイッチOTC WGというものを新設して、スイッチOTCの審査に必要となる申請資料の内容の見直し等に着手するとともに、整ったものから順次、実施段階に移行する旨を御報告をしていました。今般、これまでのスイッチOTCの審査の実例分析等を通じて、現時点で行い得るスイッチOTCの審査の改善方策等を整理したことから、その御報告をさせていただきます。
 医療用医薬品として承認されているものの、OTCとしては初めて承認する成分であるスイッチOTC成分については、OTCの承認申請に際して、医療用医薬品の承認申請の際に提出された臨床試験結果の添付又はOTC化に際して実施をされた臨床試験結果の添付を求めています。しかし、スイッチ成分は、医療用医薬品として臨床現場で長年使用されていて、適切に使用すれば、その有効性及び安全性は十分に確保されることが既に確認されているものであることを踏まえ、要指導医薬品の区分が設定された平成26年6月以降に承認した新規スイッチOTC医薬品18品目の審査報告書を対象とし、その審査に際して医療用医薬品の臨床試験結果、あるいはOTC化に際して実施した臨床試験結果がどのように活用されたのかを確認しました。
 その結果、医療用医薬品の臨床試験結果の再解析をそのまま添付した事例は8品目、医療用医薬品の臨床試験結果をそのまま添付した事例が10品目、医療用医薬品の臨床試験結果以外の臨床試験結果を添付した事例は0品目となりました。
 ここから、約半数の10品目では、医療用医薬品の承認申請資料における臨床試験結果が提出されているものの、OTCの審査において、スイッチOTCとして使用される場合に想定される新たな知見は認められなかったこと、また、再解析は、医療用医薬品とスイッチOTCの効能・効果や用法・用量が一致をしないため、その条件を合わせるために再解析されたものであったことが確認されました。これらの確認結果及び臨床試験は、当該申請された効能・効果、用法・用量における有効性・安全性を確認する目的で実施されるものであることを踏まえると、一定の条件を満たすスイッチOTCに限っては、申請時の臨床試験結果の提出は必須ではないとの結論に至りました。
 2ページを御覧ください。今、申し上げました一定の条件とは、マル1元となる医療用医薬品と生物学的同等性が確認をされており、また、マル2元となる医療用医薬品と同一成分及び分量並びに剤形で、かつ、マル3効能又は効果が元となる医療用医薬品の承認事項の範囲内であり、各々の効能又は効果について、用法及び用量が元となる医療用医薬品の承認事項と同一であるスイッチOTC医薬品です。
 なお、スイッチOTCは、承認当初は要指導医薬品として、また、その後は一般用医薬品として、薬剤師その他の医薬関係者の確認・サポートの下で、需要者の選択に基づき使用される点が医療用医薬品とは異なることから、そのような状況でも安全かつ適切に使用できるかが課題であり、これまでの承認審査でも、薬局等での購入時に薬剤師から需要者へ行うスイッチOTC医薬品の確認事項・指導内容の充実性、あるいは適正使用を確保するための方策の適切性の観点を含めた審査が行われてきていますが、引き続きこの観点での審査は維持します。
 さらに、今年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」において、スイッチOTC化の承認申請から承認の可否判断までの総期間を1年以内に設定することが定められたことを確実に達成するためには、当局側及び申請企業側双方がそれに向けて努力を行う必要があるため、照会・回答に際して期限を設定する等、今後、詳細な標準的プロセスの検討を開始することとします。更に業界側では、各企業が適切な申請を行えるようにするための申請ガイダンスを今後作成して、それに則って申請するとともに、当局側では、機構において、スイッチOTCに関してその妥当性等を申請前から申請企業が判断しやすくするように、新たな対面助言の枠組みを設置し、申請企業はその枠組みを十分活用することとします。なお、この両者の取組は定期的にフォローアップし、改善方策を引き続き両者で協議をしていくということです。
 次に製造販売後調査の実施についてです。3ページを御覧ください。スイッチOTCの承認後には、製造販売後調査を実施して、調査結果に基づき副作用の発現状況に加えて、OTCの販売環境下における適正使用の状況についても評価を行い、情報提供資材の改良等、必要な措置をこれまで行っています。引き続き、製造販売後の安全確保方策を実施するに当たり、製造販売後調査は重要であることには変わりませんが、今後の調査に際しては一つ目ですが、製造販売後安全性調査における副作用頻度の調査の調査予定症例数について、現状では原則として内服薬は3,000例、外用薬は1,000例の収集を指導してきたところですが、品目の特性に応じたより適切な調査予定症例数の設定等、あるいはマル2ですが、調査方法について、従来のモニター店舗を介した方法に加え、例えばQRコードを利用した購入者等からの直接回答等、電子化を含むことにより効率的・効果的な方法の追加について検討を行い、今後、所要の措置を講じることとしています。事務局からの説明は以上です。
○奥田部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明の内容に関して、御質問、御意見などお願いいたします。皆様が用意をしている間に、一つだけ教えてください。部会長から伺いますが、品目の特性に応じたより適切な調査予定症例の設定というのは、例えば、どういう品目はもう少し少なくていいなど、何かそういう目安は今、何かお考えなのでしょうか。若しくはもっとやらなければいけないという場合もあるかもしれないですが。
○一般薬等審査部長 御質問いただきましてありがとうございます。機構から回答します。今、具体的にこれという明確な回答は申し上げられず恐縮ですが、基本的に今、内服薬は3,000例、外用は1,000例ということにさせていただいています。今後はいろいろなケースがあると思いますが、そういった情報をどのように集めるのか、関係者への負荷も最小限にしつつも、最大限の情報を集められるかという観点で設定をしていこうと考えています。現時点で3,000や1,000より多いか少ないかというところは、申し上げるのが難しいこと、また具体的にこれはこうであるというところでは、まだないのですが、今後、検討していきたいと思っています。また、一定の経験が積まれたところで、実際にどういった調査になったかということは、また改めて部会に御報告したいと思います。直接的なお答えになっておらず、申し訳ありません。以上です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。3,000例というのは、昔の市販後調査の一律のその数字がそのまままだここに残っているのかと思いますが、リスクベースな形で考えていただければと思います。
 ほかに先生方から御質問、御意見など、もしありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、議題1については御確認を頂いたものとします。
 公開案件については、これで全てとなりますので、ここで5分間の休憩に入ります。先生方は5分後にまたお集まりください。
休憩
○奥田部会長 皆様、お集まりでしょうか。それでは部会を再開し、本日の審議に入ります。
 まずは事務局から資料の確認をお願いいたします。
○事務局 事務局です。それでは資料の確認をさせていただきます。本日はあらかじめお送りさせていただいた資料のうち、既に御議論いただいた資料1のほかに、資料2として「ナゾネックス点鼻薬〈季節性アレルギー専用〉の要指導医薬品への指定の要否及び製造販売承認の可否について」。資料3として「バップフォーレディの製造販売後調査について」。資料4として「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議の報告について」。資料5として「競合品目・競合企業リスト」。資料6として「専門委員リスト」。それぞれ事前にメールにてお送りさせていただいています。
 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、御報告をさせていただきます。資料5を御覧ください。競合品目、競合企業及びその選定理由について御説明させていただきます。議題1のナゾネックス点鼻薬は、モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物を含有する点鼻薬です。効能・効果は、「花粉による季節性アレルギーの次のような症状の緩和、鼻づまり、鼻水、くしゃみ」であり、同様の効能・効果を有する製剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。以上です。
○奥田部会長 ただいまの事務局からの説明について、御意見はありませんか。よろしいですね。
 それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものとします。
 それでは各委員の申出状況について、報告してください。
○事務局 事務局です。各委員からの申出状況について御報告させていただきます。議題1「ナゾネックス点鼻薬、ナザールNX」については、退室委員はなし、議決に参加できない委員はなし。以上です。
○奥田部会長 ただいまの事務局からの説明について、御意見はありませんか。よろしければ、皆様に御確認を頂いたものとして、議題に入ります。本日の残りの議題は、審議事項が1議題、その他事項が2議題となっています。
 それでは、審議事項に移ります。議題1ですが、「ナゾネックス点鼻薬〈季節性アレルギー専用〉、ナザールNX〈季節性アレルギー専用〉」についてです。まず、機構から概要の説明を頂きまして、その後、質疑応答としたいと思います。機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から資料2「ナゾネックス点鼻薬〈季節性アレルギー専用〉」及び同一製剤で販売名のみが異なる「ナザールNX〈季節性アレルギー専用〉」について、御説明します。製剤サンプルについては、その写真を電子媒体で事前にお送りしています。併せて御確認をお願いいたします。
 審査報告書の3ページを御覧ください。本剤は合成副腎皮質ステロイドであるモメタゾンフランカルボン酸エステル水和物を有効成分とする医療用医薬品「ナゾネックス点鼻液50μg 56噴霧用」を要指導・一般用医薬品にスイッチするものです。申請者は「佐藤製薬株式会社」です。
 3ページを御覧ください。本剤は、3ページの1、申請品目に記載の効能・効果、用法・用量にて申請されました。
 4ページ、表の下の文章を御覧ください。医療用ナゾネックスは、平成20年に「アレルギー性鼻炎」の効能・効果で承認され、平成30年に再審査結果が通知されています。その間、平成22年に処方を変更する承認事項一部変更承認申請が承認されました。
 4ページ下段より始まる箇条書きを御覧ください。本剤を要指導・一般用医薬品とする意義について、申請者は次に述べる3点を説明しています。まず1点目としては、アレルギー性鼻炎は日常生活に支障を生じさせること。また、その有病率が増加していることから、自らの判断で使用できる医薬品は生活者の必要性が高いと考えられること。2点目としては、ステロイド点鼻薬は、効果が強く、また、全身的副作用や局所的副作用が少ない特徴があること。3点目としては、既承認の一般用ステロイド点鼻薬はいずれも1日2回投与である一方、本剤は1日1回投与であり、使用者の利便性の向上に寄与できること。以上の3点になります。
 また、外国での使用状況については、審査報告書5ページ冒頭に記載のとおり、令和6年1月現在、本薬を含有する一般用点鼻薬は英国等10か国において承認されています。
 5ページ、その続きに記載をしていますが、本剤は「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」において、要指導・一般用医薬品への転用について検討され、箇条書きで記した即効性のある薬剤ではない点を周知して、頻回投与を回避すること、1回の使用量を最小限とし、漫然と使用しないよう注意喚起を行うこと、症状が軽快しない場合は、漫然と使用することなく受診勧奨を行うことの3点が課題として挙げられています。これらの点に対する対応については、後ほど御説明します。5ページ中段からは、申請に際し提出された資料を記しています。
 6ページ、ト、臨床試験に関する資料を御覧ください。本剤は、「ナゾネックス点鼻液50μg 56噴霧用」と同一の製剤であるため、表2にお示ししたとおり、臨床試験に関する資料として、医療用ナゾネックス初回承認申請時の臨床試験成績及び特定使用成績調査の結果が提出され、本申請に際し新たな臨床試験は行われていません。なお、医療用ナゾネックスの開発に際し、旧製剤、新製剤、現行製剤と記される3種類の製剤が使用されています。これらの製剤については、6ページ中ほどにその概要を記載しています。臨床試験で使用された製剤は、表2に記載したとおり旧製剤及び新製剤になり、旧製剤と新製剤は臨床試験において、その臨床的同等性が確認されています。また、現行製剤は、平成22年の承認事項一部変更承認申請により承認された新製剤から添加剤を削除した製剤であり、新製剤と品質が同等であることが確認されています。現在、製造販売されている医療用ナゾネックスは現行製剤になり、本申請製剤は現行製剤と同一製剤となります。
 7ページ下段の「有効性」を御覧ください。申請資料において本剤の有効性は、新製剤を用い、通年性アレルギー性鼻炎患者を対象とした第II相試験、第III相試験及び長期投与試験成績に基づき説明されています。これら3試験における本剤と同一の用法・用量での投与2週間後の全般改善度が「中等度改善」以上の割合は、8ページの表3に示すとおり、71.43~81.08%でした。
 安全性について、8ページ中段を御覧ください。医療用ナゾネックスについて実施された国内臨床試験において、本剤と同じ用法・用量での副作用の発現割合は7.1%であり、多く認められた事象は鼻部不快感、咽喉頭疼痛、頭痛、鼻出血等でした。
 特定使用成績調査について、9ページ上段を御覧ください。本調査はアレルギー性鼻炎患者を対象とし、使用実態下における有効性及び安全性を把握することを目的として実施され、季節性アレルギー性鼻炎患者では、全般改善度が「改善」以上であった患者の割合は88.4%でした。また、副作用は、2,880例中43例、44件が認められ、多く認められた事象は鼻出血、鼻部不快感等でした。
 次に添付文書理解度調査について、9ページ下段を御覧ください。「要指導医薬品の添付文書理解度調査ガイダンスについて」に基づき実施された調査結果が、参考資料として提出され、特に問題は認められませんでした。
 続いて、10ページ上段、〈審査の概略〉を御説明します。規格及び試験方法並びに安定性については、「ナゾネックス点鼻液50μg 56噴霧用」に準じて設定されており、特段の問題はないと判断しました。
 有効性についてです。本剤の効能・効果は季節性アレルギー性鼻炎ですが、申請資料では、主に通年性アレルギー性鼻炎患者を対象とした臨床試験成績に基づき、本剤の有効性が説明されています。この点について、機構は、11ページ上段から中段に掛けて示すように、季節性アレルギー性鼻炎と通年性アレルギー性鼻炎とで発症メカニズムや症状に違いはないと考えられること、医療用ナゾネックスの特定使用成績調査において、季節性アレルギー性鼻炎に対する有効性が確認されており、全般改善度の改善割合は通年性アレルギー性鼻炎と同程度であったことなどから、季節性アレルギー性鼻炎に対する本剤の有効性は期待できると判断しました。
 12ページ下段、安全性についてです。機構は、本剤と類似した効能を有する医薬品と併用した場合の安全性について説明を求めました。申請者からは、ステロイド点鼻薬との併用については、作用が増強する恐れがあることから、医師の指示に基づき、医師の管理下で使用する場合を除いて併用しないよう、添付文書等において注意喚起を行うこと。また、ステロイド点鼻薬以外の一般用鼻炎用点鼻薬や経口薬等の全身性ステロイドとの併用については、安全性上重大な問題が生じる可能性は低いと考えることが説明されました。
 機構は、以上の申請者の説明や臨床試験成績、特定使用成績調査結果から、現時点で本剤の安全性に特段の問題はないと判断しました。ただし、製造販売後調査等において、新たな情報が得られた場合には、追加の注意喚起を行うなど、必要に応じて適切な措置を講じる必要があると判断しています。
 14ページ上段を御覧ください。効能・効果については、医療用ナゾネックスの効能・効果を基に、既承認の一般用ステロイド点鼻薬と同一の効能・効果が設定されており、機構は、特段の問題はないと判断しました。
 続いて用法・用量ですが、医療用ナゾネックスの用法・用量を基に設定されています。また、既承認の一般用ステロイド点鼻薬と同様に、適正使用等の観点から長期連用を防ぐために、他のステロイド点鼻薬の使用期間を合わせて1年間に3か月という使用期間の制限が設定されています。この使用期間の制限は、評価検討会議で課題点として示された「漫然と使用しないよう注意喚起を行うこと」にも対応するものであり、機構は、本剤の用法・用量について特段の問題はないと判断しました。
 続いて、14ページ中段、使用上の注意についてです。本剤の使用上の注意は、医療用ナゾネックスの添付文書、既承認の一般用ステロイド点鼻薬の添付文書等を参考に設定されています。評価検討会議で示された課題点に関しては、「他のステロイド点鼻薬の使用期間を合わせて3か月を超える使用が必要な場合には、他の疾患の可能性が高くなるため、耳鼻咽喉科専門医に相談する」旨が、「してはいけないこと」に、また「1週間くらい使用しても症状の改善が認められない場合は、使用を中止し、医師又は薬剤師に相談する」旨が「相談すること」に、それぞれ記載されています。機構は、設定された使用上の注意について、特段の問題はないと判断しました。
 14ページ下段、適正使用及び情報提供資料についてです。これらについても、評価検討会議で示された課題点への対応が適切になされていると判断しています。具体的には、「即効性のある薬剤ではないことを十分に周知して、頻回投与を回避すること」について、添付文書、情報提供資料及びチェックシートにおいて用法・用量を厳守するよう注意喚起が記載されており、販売店向け情報提供資料には、本剤は投与後直ちに効果が見られる医薬品ではないこと、そのため追加投与等の頻回の使用をしないことが注意喚起されています。また、1週間ぐらい使用しても効果が認められない場合には、他の疾患の可能性があるため、医師又は薬剤師に相談すること。他のステロイド点鼻薬の使用期間を合わせて、1年間に3か月を超えて使用しないことが、添付文書の使用上の注意に記載されているほか、情報提供資料及びチェックシートにおいても注意喚起されています。なお、本剤の内容量は、「ナゾネックス点鼻液50μg 56噴霧用」と同じく、1本当たり10gです。これは用法・用量に従い使用した場合、約2週間分に該当するため、本剤の使用期間を考慮しても特段の問題はないと判断しました。
 以上より、機構は本剤の適正使用、情報提供資料及び内容量について、現時点で特段の問題はないと判断しました。ただし、販売に当たっては適正使用されるための対策が十分になされることが重要と考えます。したがって、製造販売後調査において、適正使用状況も含めて十分に確認し、必要に応じて適切な措置を検討する必要があると考えました。なお、添付文書案、チェックシート及び情報提供資料について、審査報告書確定以降も引き続き調整し、改訂案を作成しています。
 差し替え資料としてお送りしました添付文書案、チェックシート案、販売店向け情報提供資料案を御覧ください。まず、添付文書案の「してはいけないこと」の4について、部会資料としてお送りした版では「鼻腔内に化膿(毛根の感染によって膿がたまり、痛みや腫れを伴う)、潰瘍、外傷がある人」と記載していますが、化膿は毛根の感染以外に起因する可能性も想定されること、毛根以外の感染であっても鼻腔内に化膿を有する者は本剤を使用しないことが適切と考えることから、差し替え版では「毛根の感染によって」を削除しています。
 チェックシート案について、Q6では安全性の観点からこれらの合併症がある場合、本剤を使用できないとするものですが、現在、完治し、治療を受けていない場合は使用可能であるため、その旨を追記しています。
 販売店向け情報提供資料案について、2ページ「3.2.用法・用量について」の項や14ページ「Q.本剤は1年に3か月以上使用できないのは」から始まるQAに、ステロイド点鼻薬を1年間に3か月以上使用してはいけない安全性上の理由を追記しています。また、同じく販売店向け情報提供資料4ページ「使用し忘れたときの対応について」の項に、1日2回投与とならないよう注意喚起を追記しています。通し番号は266/299です。
 最後に総合評価です。審査報告書15ページの3を御覧ください。以上の検討を行った結果、機構はこちらに記載した効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断しました。なお、本剤は要指導医薬品に該当し、承認条件として少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を課すことが適切であると考えています。機構からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○奥田部会長 ありがとうございました。では、ただいまの内容に関して、委員の先生方から御質問や御意見などをお願いいたします。川名先生、挙手されていらっしゃるかと思いますが。
○川名委員 ココカラファイン薬局砧店の川名です。分かりやすい説明をありがとうございました。290/299ページ、チェックシートQ6について御提案があります。「次の診断を受けましたか」の問いについて、コメントで、「現在、これらの治療を受けていなければ使用できます」とあります。まだこの枠の中では使用可否については判断すべきではないと思うので、「使用できます」ではなくて、「いいえ」を選択してくださいの方がふさわしいように思います。また、診断を受けても未治療である可能性を排除するために、「治療を受けていなければ」よりも、「治療を終了していれば」の方が誤解は少ないと思います。つまり、この一文を、「現在これらの治療が終了していれば「いいえ」を選択してください」とすることを御検討ください。
 一方で、販売店向け資料にも同様の記載がございますが、こちらはお客様が読むのではなくて、薬剤師が読むものなので、このままでも十分理解ができると思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 機構でございます。川名先生、御指摘、大変ありがとうございました。頂いた御指摘に関しまして、チェックシートの方へ反映させていただきたいと思います。以上です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。続きまして、今、宗林先生がその次に挙手されていたかと思いますので、宗林先生、お願いいたします。
○宗林委員 宗林です。説明ありがとうございました。転用の検討会議のところも含めての確認なのですが、これはもともと通年性のアレルギー性鼻炎に対しても効果があるということで、試験結果も、それを基に今回のものが出てきているのだと思うのですが、今回、OTCということで、漫然と効き目がないのに続けるとか、効いていて、治っているのに季節性のアレルギーで効果があって、改善しているのに漫然と続ける。これはもちろんそういう使い方はよくないと思うのですが、1年に3か月以内という厳格な記載がございますが、例えば3か月以内に季節性のものが発症していた、あるいは通年性のアレルギーがあった場合、他の疾患の可能性がないかどうかをお医者さんに1回行って確認した場合は、それでも3か月を超えるので使えないという意味でしたでしょうか。漫然というところは、もちろん私も会議にも出席していましたし、漫然と継続するのはよくないというのはよく分かるのですが、でも、通年のアレルギー性のものにも効果があることは明らかで、それの疾患であることを耳鼻科に行って、きちんと診察を受けたら、これ、また使えるという話はあるのでしたでしょうか。質問なのですけれども、お願いします。
○奥田部会長 いかがでしょうか。解釈ですが。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。まず御質問いただいた中で、季節性アレルギー性鼻炎に限定することについては、対象疾患を使用者が自己判断しやすいとされていることから、季節性アレルギー性鼻炎に限定することが適切と考えています。
 通年性アレルギー性鼻炎では、先生も御理解いただいておりますように、長期間の使用が想定され、ステロイドの漫然とした投与による副作用の発現や、血管運動性鼻炎のような医師による診断、治療を要する疾患の見逃しを防ぐことが重要と考えています。そのため、3か月で抑えられる季節性アレルギー性鼻炎にOTCとしては限定したいと考えているところです。
 一方で、後半で御質問いただきましたように、医師の診断の下で本剤を使うことが適切と判断された場合などは、医師と御相談の上で、という形になるかと考えております。機構からは以上です。
○宗林委員 ありがとうございました。今回のOTCは、多分3か月使うと1本なくなるぐらいの用量だと理解していますので、そうすると、使用上のところで、3か月を超えては絶対使ってはいけないみたいなことは書いてありますが、自己診断で漫然と使うことが問題であって、一応、季節性であっても、通年性であっても、3か月以内に収めて、お医者さんに行って、また、これでいいですという話であれば、また使えるという解釈でよろしいですかね。
○奥田部会長 宗林先生、1点だけ。2週間分の容れ目です。だから1回OTCで買ったそのお薬は、2週間使える。
○宗林委員 ただ、改善がされることが確認された場合は使えていくわけですよね、このOTCを。季節性は2週間で全部治るわけではないので、1、2か月という範囲でその季節の間は使うわけですよね。
○奥田部会長 まず機構から、もう一回、用法・用量について御確認をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。本剤の内容量については、用法・用量を適切に遵守して使用いただいた場合、2週間の使用期間で使い切る量とされています。そのため、3か月使用する場合は6本御購入いただく、その度にチェックシート等で確認いただくという形になるかと考えています。
○宗林委員 分かりました。使い方については、お医者さんと相談の上、この薬剤でということか相談するということですね。
○宮川委員 宮川ですけれども、それは医師の判断の下で長期使用しているので、薬剤師の先生方の協力も含めてですけれども、医師の判断で使用というのは、どのくらい使っても、検査を行いつつ、漫然ではなく長期間使うという意味です。これがOTCとなりますと、漫然と使うことはしないようにという意味で、できる限り短期間とし、幾ら効いていても、一回立ち止まって薬局や薬剤師の先生、それから医療機関に相談して確かめることによって、今後起こってくるであろう副作用、粘膜の疲弊等に対して、しっかりと診断等をしながら長期に使うことも含めて検討させるという趣旨です。これはOTCという薬のジャンルですから、やはり期限は切らないといけないということで御理解いただいた方がいいのではないかと思っています。以上です。
○奥田部会長 機構から、もう一回お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。ただいまの先生の御理解で差し支えございません。OTCとしては効果があっても、3か月で止めていただく。と言いますのは、やはり3か月を超えると、先ほど宮川委員から御説明賜りましたように、やはり安全性の問題ということも出てきます。長期間の投与によって全身性の副作用や、鼻中隔潰瘍等の副作用の発現も増大する恐れがあることから、OTCとしては3か月を守っていただき、それ以上の使用が必要と考えられる場合は、医師又は薬剤師に相談し、必要に応じて受診勧奨という形にしていただければと考えております。機構からは以上になります。
○宗林委員 確認まで承知しました。ありがとうございます。
○奥田部会長 よろしいでしょうか。続きまして、稲葉先生が挙手されていますので、お願いします。
○稲葉委員 10ページの所ですが、この薬剤の効果が2週間未満で86.9%で、2~4週間で91.6%と、日にちがたつにつれて効果が上がってくると思うのですけれども。この添付文書の方で1週間ぐらいでやめるようにと、効果がなければとなっているのですけれども、1週間で何パーセントぐらいあって、例えば、これ、1缶が2週間分なので、途中でやめないといけないことに、効果がなかったらやめないといけないことになると、ちょっと購入の方は、もやもやっとした感じが出てくるかなと思うのですけれども。1、2週間使ったときに、1缶使ったときに何か副作用が多かったとか、多分、1、2週間の方が効果の率というのは高くなると思うのですけれども、1週間で止めないといけないエビデンスはあるのでしょうか。
○奥田部会長 いかがでしょうか。機構から。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。まず、1週間後と2週間後の有効性については、資料の通し番号193/299の表ト-12を御覧ください。こちらが医療用ナゾネックスの第III相試験における鼻症状スコアのベースラインからの変化量の投与前、1週間後変化量、2週間後変化量をお示ししたものになります。プラセボとの対比較については、1週後と2週後のいずれにおいてもプラセボとの有意差はついているという形になっております。
 投与1週後において、フルチカゾンプロピオン酸エステルに対して非劣性と考えられております。また、同様にプラセボに対してもp値が0.0001を下回っておりますので、1週間後でも有効性はあると考えられます。
○稲葉委員 データとして、1週間後と2週間後というのがほとんど変わらないデータがあるのですが、例えば2週間分を1缶で販売しているのに、途中でやめるというので、やめないといけないというのは、割と購入者にとってそこら辺の問題があって、後でいろいろな問題が出てこないかと危惧しております。そこら辺の問題がなければ大丈夫だと思いますけれども。
○医薬品医療機器総合機構 機構でございます。先生、御指摘ありがとうございます。1週間と添付文書に書いておりますのは、補足でございますけれども、症状の改善が見られない場合の注意喚起ですので、症状の改善が見られている場合は、続けて2週間使用していただいても問題はないかと存じます。機構からは以上でございます。
○奥田部会長 今の件はよろしゅうございますか。宮川先生、お願いいたします。
○宮川委員 宮川ですけれども、機構にお尋ねします。例えばスギであれば、早い人であれば1月から大体5月ぐらいまで、ヒノキも少し遅れまして、2、3月から5月ぐらい、イネ科だと7月ぐらいから10月ぐらい、ブタクサであれば8月から10月ぐらいと、3か月以上にわたることがある。それから、複数の花粉症になっている方は、もっと長期間になってしまう。つまり、1月から10月までと、ほとんど通年性と変わらないわけです。季節性と言ったとしても、これは薬剤師の先生や実地医家の方は皆さんお分かりになっているのですが、ほとんど通年性と変わりなくなるということを理解して、なおかつ、販売店向け書類、使用者向け書類、それからパッケージに明記していることを機構から全ての所に通達していただく必要があります。季節性と言っても、今述べたような形で薬が使用されることを徹底していただかないといけない。もちろん薬剤師の先生はみんなプロですから、そういうことはお分かりになっているので、全く問題ないとは思います。OTCの特性上、連用を避けていただいて、受診勧奨も含めてしっかり対応するようにというところは、別立てでもいいから、書いていただくことが非常に重要なことなのかなと思います。メーカーの方はパッケージなどは医療用と同じ成分と、よくドラマチックに書くわけです。そういうことを書くよりは、適正使用に関する注意喚起がやはり医師にとっても薬剤師にとっても、もちろん国民にとっても有用であることを理解していただいて、機構から企業に対して、使用上の注意をしっかり書くように、また、そういう概念を理解していただくように、お勧めいただければ幸いかなと思います。よろしくお願いします。
○奥田部会長 宮川先生、ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。対応を検討したいと思います。
○奥田部会長 富永先生が挙手されていらっしゃいますので、御発言をお願いいたします。
○富永委員 今、宮川先生、どうもありがとうございます。よく理解できました。我々も今、医療用の医薬品、処方箋で出ているナゾネックスに関しては、まず最初、すぐ鼻が通るものでもないとか、鼻みずが止まるものでもないとか、そういう指導をしているわけです。確かに1週間でどうかと言われると、1週間、10日、2週間かかる方も、中にはいらっしゃるということですので、例えば花粉の飛散状況に応じて、臨機応変に対応しているというのが現状です。
 そこで、改善が見られない場合は、使用を中止してとありますけれども、そこはやはり薬剤師の今までの経験や、季節性花粉の状況、患者さんのどれに反応があるのか、それを知った上で指導していきたいと思いますので、薬剤師も対応していきたいと思います。余りチェックシートで、ばしばしこのとおりやるのではなくて、今までの経験上で指導できることもありますので、受診勧奨ももちろんやりますし、その辺は御理解いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。宮川先生、お願いいたします。
○宮川委員 宮川ですけれども、厚労省にお尋ねします。パッケージの中で、先ほど私が申し上げましたけれども、医療用と同成分、同量、という記載が必要なのでしょうか。こういうことがよく起こるわけですね。また、例えばナゾネックスは何とも書いてありませんが、ほかの薬だとEXやDX、プレミアムといった医薬品の名前の語尾がここに載ってくることがあるわけですけれども、そういうことが今後必要でなければ、適切な注意喚起というか、企業に対して、いたずらに購買意欲をかきたてるというほどではないのですが、EX又はDX、プレミアム等をいたずらに記載するのではなくて、これは薬剤師の先生や、それから登販も含めてですけれども、しっかりと果たすべき役割を果たして患者に説明することが非常に重要なので、今後も厚労省として指導等も含めて御検討いただければ幸いです。以上です。
○奥田部会長 宮川先生、どうもありがとうございます。
○事務局 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。今、宮川先生から頂いた御指摘を踏まえて、これまでも販売名については、いたずらに華美にならないようにということで指導はしているところではありますけれども、御指摘を踏まえ、検討させていただきます。ありがとうございます。
○奥田部会長 ほかによろしゅうございますか。貴重な意見を幾つも頂きました。ありがとうございました。それでは議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に指定してよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可、要指導医薬品に指定することとして、薬事審議会に報告をさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、その他事項に移ります。その他事項の議題2について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。その他事項の議題2として、資料3の「バップフォーレディの製造販売後調査について」、御説明をさせていただきます。1ページを御覧ください。バップフォーレディは、15歳以上70歳未満の成人女性が使用できる「尿意切迫、尿意切迫感に伴う頻尿・尿もれ」を効能・効果とする要指導医薬品です。令和3年5月31日に承認をされています。本品は、承認条件として、「少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を実施すること」が付与されており、調査予定症例は3,000例、調査実施予定期間は販売開始日の令和3年11月24日から今年の令和6年11月23日までとなっています。
 図1を御覧ください。調査1年目の回収数が128例であったため、調査対象店舗の増加、調査対象店舗全店にMRが訪問して調査協力を依頼する。販売宣伝活動による製品認知度の向上等の対策を段階的に講じ、調査から2年超が経過をした今年の1月31日時点では581例が回収をされていますが、調査終了予定日の今年の11月までに調査予定数である3,000例を回収できる見込みは大変に乏しい状況です。
 2ページを御覧ください。製造販売業者からはアンケート回収数が低迷した原因として、一つ目、スイッチ元の医療用医薬品であるバップフォーは出荷数量に季節の偏りがなかったため、当該要指導医薬品も通年で販売需要があると見込んでいたものの、OTCでは症状に気が付きやすい秋、冬に需要が偏ったため、想定販売数量を達成できなかった。また、新型コロナウイルスの感染拡大時期と販売時期の一部が重なったため、販売店がコロナウイルス検査キットの販売対応に従事する必要があり、要指導医薬品の販売に加えて本調査対応を行うことが困難であった旨を説明しています。
 加えて、製造販売業者はこれまでの回収数の傾向を踏まえると、令和9年3月末を目途に調査予定数を達成できる見込みである旨を説明しています。
 事務局としては、アンケート回収数が低迷した原因は、製造販売業者には、一定程度、予見困難であったと判断して、解析期間も含め、製造販売後調査期間を所要の期間より3年延長して、令和9年11月23日までとすることが妥当と判断し、お伝えをしております。その旨をこの場で御報告をさせていただきます。事務局からの御説明は以上です。
○奥田部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関しまして、御質問、御意見などありましたらお願いいたします。理由があって症例数が集まらなかったということです。よろしいですね。ありがとうございました。それでは、議題2については御確認を頂いたものとして、議題3に移りたいと思います。
 その他事項の議題3について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。その他事項の議題3について、資料4「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議の報告について」、御説明をさせていただきます。
 「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」では、欧米諸国での承認状況及び消費者・学会等からの要望等を定期的に把握し、消費者等の多用な主体からの意見を幅広く収集した上で、スイッチOTC化する上での課題点及びその解決策等について、医学・薬学の専門家のほか、医療関係者、消費者代表、産業界代表、販売関係者等に御参加をいただき、公開の場で議論をしているものです。会議結果案については、パブリックコメントを実施し、改めて広く御意見を頂いた上で、再度、評価検討会議で議論をして確定をするという形で公表をしています。
 1ページを御覧ください。本年5月の前回部会以降、本日までに新たにデプロドンプロピオン酸エステル(軟膏、クリーム、ローション)、デプロドンプロピオン酸エステル(テープ)及びモメタゾンフランフランカルボン酸エステル水和物について、会議結果を公表しており、結果の概要についてこの場で御報告をさせていただきます。
 「デプロドンプロピオン酸エステル(軟膏、クリーム、ローション)」は、「しっしん、皮膚炎、あせも、かぶれ、かゆみ、しもやけ、虫さされ、じんましん」を効能・効果として、OTC化する際の課題とその解決策について検討しています。主な課題としては、あせも、単なるかゆみ、じんましんに対しては、内服や他の外用を使用すべきであり、効能・効果から削除すべきこと等が挙げられています。
 「デプロドンプロピオン酸エステル(テープ)」も同じ内容で、効能・効果としてOTC化する際の課題とその解決策について検討しています。主な課題としては、ストロングクラスのステロイド外用剤であるが、テープ剤であるため、効果の増強や不適切な用法による皮膚感染症等のリスクの増大が懸念されること等が挙げられています。
 また、「モメタゾンフランフランカルボン酸エステル水和物」は、「花粉による季節性アレルギーの次のような症状の緩和、鼻づまり、鼻水、くしゃみ」を効能・効果としてOTC化する際の課題とその解決策について検討しています。主な課題としては、局所性及び全身性の副作用が発現する可能性があるため、使用者の年齢も考慮した副作用対策を実施することの必要性等が挙げられています。なお、各成分の検討結果は2ページ以降にありますので、適宜、御参照ください。
 今後の評価検討会議の結果についても、随時、当部会へ御報告をさせていただきます。また、評価検討会議で整理された課題点やその対応策を受け、医薬品メーカーが開発を行い、承認申請がなされることとなります。その承認の際には、当部会において改めて承認の可否について御審議を頂くことになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○奥田部会長 ありがとうございました。ただいまの説明に関しまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。多田先生、よろしくお願いいたします。
○多田委員 帝京大学皮膚科の多田と申します。参考資料4-2のテープの検討会議結果の議事録について、3点ほど、専門家の意見をどのように考えられているかということに関連してお伺いしたいところがあります。
まず、1点目は、こちらの議事録での記載についてです。こちらのテープ剤に関しては薬剤としての効果からみたステロイドとしての強さがストロングクラスと全く違います。こちらの会議に出ていらっしゃった2人の皮膚科の先生方は、これはOTC化としてはふさわしくないと反対されたと伺っています。
 ただ、こういった形で議事録に課題とそれに対する対策という形でフラットに書いてしまうと、その専門家の非常に重要な意見、つまり実際に処方して副作用とその効果をみている先生の意見がほかの方の意見と同じ扱いとなり、他の意見のなかに埋没してしまいます。この議事録をもとに今後、審議が進んでいくことは、若干、問題があるのではないかと思います。特に重要と思われる6/10の右の所の記述が太字にもならず全体の中に埋もれています。臨床現場では、ベリーストロングの強さの外用剤を使用しても症状の改善が認められない場合にテープ剤を使用しています。つまり、実質ベリーストロング以上、あるいはストロンゲストと同等という形でテープ剤を使っていて、ほかのストロングクラスの軟膏、クリーム、ローションとはものが違うというところが、この議事録だけを読むと分かりません。安全性の面でもこのテープ剤の場合、ストロングクラスのステロイドと別に議論しなければいけないというところが議事録から読み取れなくなってしまっています。つまり、この議事録の記載において、専門家の意見をどのように反映させていくべきかというお考えを、まずお伺いしたいというのが1点目になります。
 それから、2点目が、この議題について2回、会議が行われているということなのですけれども、2回目の会議に皮膚科の専門医の委員の先生が2人とも御欠席されていたと伺っています。にもかかわらず、こちらの会議が開催されてしまったというところが問題かと思います。以前、こちらの要指導・一般医薬品部会で皮膚科の製品が議題に挙がったときに、厚労省の方がわざわざ、委員になりたての私のところに意見を聞きに出向いてくださいました。さらに、皮膚科の専門家の意見をきちんと聞いて、国民の安全を確保できるように議論をしたいので、是非、私が出席できる日に部会を開催したいとまでおっしゃってくださったのです。当時の私は本当に厚労省というのは国民の安全を守るために慎重な議論を重ねてくださるところなのだなと思いました。しかし、今回は1回目は皮膚科の専門医が反対されたのにも関わらず、2回目の議論の場には皮膚科の専門医がいない状態で議事が進んで、そのまま結果は議事録として、今日、報告されるといったことについて、どうかと思いました。できるだけ専門家の先生がいらっしゃる所で議論が進められて、それで結果として上がってくるのがふさわしいのではないかというのが二つ目の意見です。
 それから、三つ目はお二人の専門家が1回目に反対されて、2回目はいないままで会議が終わってしまって、それで今回この報告書が上がってきています。もし、これがこのまま次のステップにつながっていくということになると、この薬の効果の強さや副作用などの議論が十分になされないまま次のステップに進んでしまう可能性はないのかどうかというところです。まだ議論が十分にされていないのではないかなというのが、こちらの検討会議に御出席された先生からのお話を私が伺ったうえでの印象です。以上で3点、つまり、専門家の意見について厚労省はどのように考えられているかについてお伺いしたいです。
 まとめますと、1点目は議事録における専門家の意見の反映の仕方、特に今回みたいにお二人とも反対されている場合に、それをどのように反映されるかというところと、あとは、その会議体における専門家が参加していない会議体をそのまま開いてしまうことに関して、それは安全性が十分担保されているのかという点です。それから、三つ目は、結局、そういったところで議論が十分されないまま次のステップに進んでしまうかもしれないという点、この三つについて御意見をお伺いしたいのですけれども、よろしいでしょうか。
○奥田部会長 多田先生、どうもありがとうございます。
○事務局 事務局からでよろしいですか。
○奥田部会長 よろしくお願いします。
○事務局 事務局です。多田先生、御指摘ありがとうございます。我々の姿勢として専門家の御意見を軽視しているということは全くありません。すみません、当時の開催の経緯などを今つまびらかにできない状況ではあるのですが、そこは確認をさせていただきたいと思います。ただ、今御指摘を頂いた、このまま次のステップに行ってしまうのではないかという点については、実際にその承認申請がされた場合には、今御指摘を頂いた点も含めて、審査の中で有効性、安全性の確保をしっかりとしていくということですので、その中で、例えば機構の専門協議の中でそういう御意見があれば、当然、その点についてよく議論をされるべきでしょうし、そのような形で確保していくということだけ、御理解を頂ければと思います。
 あと、議事録というのは多分、この検討会議結果のことを指されているのだと理解をしているのですけれども、こちらについては実際に出た御意見について、我々、このような表の形にして実際に評価検討会議の先生方に御意見を頂いて、例えば大事なものについては太字にするとか、あるいは、これは短期的課題であるみたいな御意見を改めて頂いた上で取りまとめているもので、その中で専門家の意見が十分に反映されていないのではないのかという御指摘については、どのように対応していくのかは今すぐに答えはないのですけれども、丁寧にやっていくということだけお伝えをさせていただきます。以上です。
○多田委員 ありがとうございます。この検討会の結果が報告され、今日、御出席の部会の先生方の頭の中に残って、次、これが本当にいよいよ審議事項として上がってきた場合に、この記憶の基で議論される可能性は十分あるかと思いますので、こうした報告書においても、特に2人いて2人とも反対されているような場合には、是非、それが分かるように記載させていただきたいというところと、あとは、せっかく会議体の中に専門家がいる場合には、やはり専門家が特に関連している薬剤については、是非、その専門家がいる場で議論を進めて慎重に検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 多田先生、重要な指摘をありがとうございます。宮川先生、お願いします。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。多田先生、本当にありがとうございます。私も評価検討会議に参画しており、この報告は少しぼやけているなと思います。議事録においては、皮膚科の先生お二方の否定されている発言の記載も、私は議事録を全部読んでいますので、確認しております。それがこういう報告書になると、全体的に網羅的になり、このような記載になるのかもしれません。やはり専門家の先生が参考人としてお出になって明確に否定されたのであれば、それは明確に反映されるべきであろうかなと私も考えておりますので、多田先生の意見に賛成しております。ありがとうございます。今後も慎重にやっていかなければいけません。「規制改革推進会議」は、先ほど冒頭でありましたように、議論を狭めたり、それから期間を短くしたりという傾向が見られますので、専門家の先生がしっかりと御議論いただいていかなければならないと思います。評価検討会議も昔であれば、この会議で議論を終わらせる判断もできたのですが、今は議論をして国民の皆様からの御意見を聞いて反映させる会議となります。医学や薬学も含めた様々な専門の先生が、明確に国民に対しての安心、安全を考えて検討して施策に反映させている省庁は厚生労働省が随一であろうと私も思っていますので、協力し合いながら国民のためにやっていくべきであろうと考えています。ありがとうございます。
○奥田部会長 宮川先生、どうもありがとうございました。
○審議官 先生、貴重な御指摘いただきまして、ありがとうございます。こちらの検討会議の報告のスタイルがこういう形になっているのは、その経緯については今、宮川先生が御指摘をされたとおりなのですが。ただ、この報告書において、スイッチ化が良い悪いということは書きません。それは、反対意見があったということはおっしゃるとおりなのですけれど、そうは書いていないのですが、逆に反対意見があったときの何が理由で反対なのか、その理由をここに書いていただいている格好にしています。例えば、ケロイド、こういったものに対してステロイド外用薬のOTCは使用されておらず、適正使用に関して懸念があるというのは正に、これ反対された一つの理由でもありますし、むしろ、その理由をここに列記して書かさせていただいています。それは何かと言いますと、これから実際に製品が申請されてくる、審査をしてくる際に、ここに書かれている専門家が反対している理由がきちんと書いてあれば、それにきちんと合っているかどうかを、今度は審査の段階で我々の方でチェックすることができるわけなので、そういうことで賛成反対ということではなくて、何が問題なのかということを書いてもらうスタイルの報告書にしているのは、この報告の趣旨ですので、そういう点も御考慮いただいて、一応、そういう意味では御出席された先生方の懸念事項については、一応、網羅しているつもりではありますので、その辺は御理解を頂きたいなと思っております。
○多田委員 ありがとうございます。宮川先生、まず、ありがとうございます。本当に先生のおっしゃるとおり、ここにいらっしゃる先生方、皆さん国民の健康のことを、安全のことを一番に考えているので、そこは思いは全く同じです。また、今、お答えいただいた厚労省の先生におかれましても、こちらの会議体が決定するものではないというところで、賛成意見、反対意見、そして課題に対する解決方法といった記載をするという方法しか、今のところはないというところはよくわかりました。賛成反対というところとは別に、是非、専門家の意見と、それが埋もれてしまわないようなやり方を、例えば、括弧、皮膚科医の意見、そういった形で書いていただいた方が、やはり重み付けといったものもあるのではないかなと思います。こちらは是非、御検討いただければというところで、意見として残していただければと思います。以上です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。ほかによろしいですか。幾つか貴重な御提案を頂いておりますので、また事務局で検討いただけるものと思います。それでは、議題3については、御確認を頂いたものといたします。
 その他について、事務局から何かありますか。
○事務局 事務局です。次回の当部会ですが、先日御連絡をしていますが、令和6年11月22日(金)15~17時を予定しています。議題等の詳細につきましては、改めて御連絡をいたします。よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 どうもありがとうございました。それでは、本日の要指導・一般用医薬品部会をこれで終了し、閉会といたします。どうもありがとうございました。
( 了 )

備考

本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬局

医薬品審査管理課 課長補佐 宮坂(内線2737)