第30回アルコール健康障害対策関係者会議 議事録

社会・援護局障害保健福祉部企画課アルコール健康障害対策推進室

日時

令和6年10月28日(月) 10:00~12:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム(701会議室+702会議室)
(東京都港区新橋1-18-1)

議題

1.第2期アルコール健康障害対策推進基本計画の令和5年度取組状況について
2.純アルコール量とアルコール分解時間を把握するツール「アルコールウォッチ」について
3.アルコール健康障害対策推進基本計画の検討スケジュール
4.  その他
 

議事内容

○小野室長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、第30回「アルコール健康障害対策関係者会議」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本検討会はオンライン併用ですので、一部の構成員はオンラインでの参加となっております。
 ペーパーレス化の取組として、資料は原則としてタブレットで御覧いただきたく存じますが、操作等で御不明点や紙による資料の御希望等がございましたら、適宜事務局までお申しつけください。
 また、本日の会議は、あらかじめ傍聴を希望された方を対象に音声の配信を行っておりますので、御発言の際はマイクを近づけていただいた上で、お名前を名乗ってできるだけ大きな声で発言いただき、発言時はマイクを御使用いただき、発言されない際はマイクを切るよう御協力をお願いいたします。
 傍聴される方におかれましては、開催案内の際に御連絡している「傍聴される皆様へのお願い」事項の遵守をお願いいたします。また、会場設備の関係で音声に不都合が生じる可能性がありますので、聞き取れなかった箇所については、後日、議事録を公開させていただきますので、そちらで御確認をお願いいたします。
 事務局に人事異動がありましたので、御紹介申し上げます。
 7月5日付で、社会・援護局障害保健福祉部長に野村部長が就任しておりますが、野村部長は親族に不幸があったため、本日は欠席とさせていただいております。
 事務局の人事異動の御紹介を続けさせていただきます。
 7月5日付で、障害保健福祉部企画課アルコール健康障害対策推進室長に本後課長が就任しております。
○本後室長 本後です。よろしくお願いいたします。
○小野室長補佐 また、4月1日付で、アルコール健康障害対策推進官に谷口室長が就任しております。
○谷口推進官 谷口でございます。よろしくお願いいたします。
○小野室長補佐 続きまして、委員に改選がございましたので、御報告を申し上げます。
 岸野博行委員が退任され、新たに小野里俊哉委員が就任されております。
 また、柴田淳委員が退任され、新たに渋木昭仁委員が就任されましたので、御報告申し上げます。
 小野里委員、渋木委員におかれましては、よろしくお願いいたします。
 続きまして、本日の出席状況について御報告いたします。会場での御出席が、上村敬一委員、勝嶋委員、渋木委員、白川委員、塚本委員、堀井委員、松下会長、山口委員、米山委員となっております。オンラインでの御出席が、東委員、石井委員、上村真也委員、江澤委員、金城委員、小松委員、白石委員、稗田委員となっております。また、小野里委員、保坂委員は御欠席となっております。現在、19名中17名御出席されていますので、会議が成立することを御報告申し上げます。
 また、本日は、関係省庁より法務省矯正局成人矯正課、法務省保護局観察課、国税庁酒税課、文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習安全課、文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課、文部科学省高等教育局学生支援課及び医学教育課、警察庁生活安全局人身安全・少年課、警察庁交通局交通企画課、こども家庭庁成育局母子保健課、国土交通省大臣官房運輸安全管理官付よりオブザーバーとして参加いただいております。
 以上、よろしくお願いいたします。
 これ以降の進行は、松下会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○松下会長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
 初めに、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○小野室長補佐 お手元の資料を確認させていただきます。
 資料1-1、第2期アルコール健康障害対策推進基本計画の令和5年度取組状況(概要)。
 資料1-2、第2期アルコール健康障害対策推進基本計画(基本的施策等)の取組状況(令和5年度)。
 資料2、純アルコール量とアルコール分解時間を把握するツール「アルコールウォッチ」をリリース。
 資料3、アルコール健康障害対策推進基本計画の検討スケジュール(案)。
 参考資料1、アルコール健康障害対策基本法。
 参考資料2、アルコール健康障害対策関係者会議令。
 参考資料3、アルコール健康障害対策推進基本計画。
 参考資料4、委員名簿。
 不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。
 以上となります。
○松下会長 ありがとうございました。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。議事次第2「第2期アルコール健康障害対策推進基本計画の令和5年度取組状況について」と、議事次第3の「準アルコール量とアルコール分解時間を把握するツール『アルコールウォッチ』について」、まとめて議論をさせていただきたいと思いますので、まずは資料について事務局から説明をお願いします。
○羽野推進官 事務局の羽野でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、私から、資料1-1に沿いまして第2期の計画の今年度の取組状況について概要を報告したいと思います。資料1-2はその詳細版ですので、1-1を御覧いただければと思います。
 まず、1-1の1ページでございます。第2期計画の重点課題についてというところで1番目のところが「アルコール健康障害の発生予防」というテーマでございます。この達成状況のところを御覧いただければと思いますけれども、1つ目の丸の生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合というところで、直近値がR4年の数字が出ておりまして、男性13.5%、女性9%というところでございます。これは昨年度御報告したときにはこの数字は空欄になっておったと思いますが、その数字が入ってきたというところでございます。
 それから、右下の丸でございますが、妊娠中の飲酒者の割合というところでございまして、直近値がR4年の数字になっております。昨年度は令和3年の数字を御報告しておりましたが、0.9%となっておりまして、これは令和3年度から変化がないという変わらずのデータというところでございます。
 それから、取組状況のところを御覧いただければと思いますが、3つ目の丸のところでございます。飲酒ガイドラインの作成につきまして、検討・公表を今年の2月に行ったというところでございます。この飲酒ガイドラインにつきましては、昨年度の本会議におきましても皆様から様々な御意見をいただきまして、そこでいただいた御意見も含めまして、またさらにそのときに見直しを行いまして、この2月に公表に至ったというところでございます。その際には皆様にも御意見をいただきましてありがとうございました。この公表を行いまして周知に努めているというところでございます。
 続きまして、2ページを御覧いただければと思います。重点課題の続きでございますが、アルコール健康障害の進行・重症化予防・再発予防・回復支援というところでございます。達成状況のところを御覧いただければと思いますが、1つ目の丸の関係者連携会議の設置・開催状況というところでございまして、設置状況につきましては令和5年度末の直近のデータを更新しております。直近のデータで設置状況は67自治体中67というところで、たしか1年前は65だったと思いますが、67になっておりまして、これで設置状況としては全自治体になったというところでございます。
 続きまして、その下の開催状況(年複数回)というところでございますが、こちらが令和5年度末34自治体となっておりまして、これは1年前はたしか20自治体だったと思いますけれども、20から34自治体に増えているというところでございます。もちろん設置いただくだけではなくて活発な議論をお願いしたいというところでございますので、引き続き活発な議論に向けたお願いを自治体の皆さんともしていきたいと思っております。
 続きまして、その下のアルコール依存症に対する認識というところでございます。こちらは①、②というところで意識の状況についてのデータを載せてございます。これは※2とついておりますけれども、達成状況の下のところに※2というところがありまして、ちょっと見ていただければと思いますが、令和5年度の世論調査でアルコール依存症に対する意識に関する世論調査というものが公表されております。この中で、①のところで例えば誰でも成り得る病気であるということを挙げた世論調査に回答いただいた方の割合というのが54.2%だったというデータがございます。当然アルコール依存症というのは誰でもなり得る病気であるということで、そういう正しい理解をしていただいている方がどの程度いるかということを世論調査の中で把握したというところでございます。これは平成28年にも同様の調査をしておりまして、単純比較はなかなかできないのですけれども、そのときに誰でも成り得る病気であるというものを挙げた方の割合というのは40%ぐらい、40.1%だったと思います。したがいまして、単純比較はできないのですけれども、それなりに御理解いただくということが進んできているのかなという評価もできるのかなと思っております。
 続きまして、達成状況の右下のところ、アルコール健康障害の重症化予防の中でのアルコール性肝疾患による死亡者数が右側のところでございます。死亡者数のところにつきまして、直近令和5年のデータが出ております。合計6,211人というところでございまして、これは1つ前の数字がたしか令和3年のデータだったと思いますけれども、6,016人ぐらいでして、微増というところでございます。この増加をどう見るかというのはなかなか難しいところでありまして、そもそも死亡者数全体が増えているということもありますので、そんなところも影響としてはあるのかなと思っておりますが、引き続き注視していきたいと考えております。
 続きまして、3ページを御覧いただければと思います。ここからは基本的施策の取組状況についてというところでございます。教育の振興のところにつきましては再掲しておりますが、飲酒ガイドラインの公表・周知のところがまた追加になっておりますし、この飲酒ガイドラインの周知のリーフレットが真ん中辺りの画像のところで貼付けをさせていただいております。
 続きまして、4ページを御覧いただければと思います。取組状況の続きですけれども、御覧いただきたいのは4番のアルコール健康障害に係る医療の充実等というところでございます。こちらで専門医療機関の設置状況というところがございます。専門医療機関につきましては令和5年度の数字でございますが、令和3年度が62だったところで、それから令和4年度、令和5年と63となっているというところで、残り4自治体というところになっております。いずれもたしか政令市だったと思いますけれども、その辺りのところでの設置促進の取組を引き続きやらなくてはいけないということ、それから治療拠点機関のところでございます。治療拠点機関につきましては、令和4年度が49のところが令和5年度に53というところで、少しずつ増えてきているというところでございます。
 それから、次のページに行っていただきまして、5ページを御覧いただければと思います。一番下の8番を御覧いただければと思いますが、民間団体に対する支援というところでございます。民間団体への支援といたしまして、地方で活動する団体への支援、それから全国規模の団体への支援というところでございまして、令和4年度は32の自治体が地方での活動の支援ということでしておりましたけれども、令和5年度は35自治体ということで、こちらも少しずつ伸びてきているというところでございます。
 その後ろの6ページ以降は、今、御説明した内容に関するバックデータといいますか、参考的な詳細な資料をおつけしているという構成でございます。
 資料1-1の関係は以上でございます。フォローアップの取組状況につきましては以上でございます。
 続きまして、資料2を御覧いただければと思います。「アルコールウォッチ」のリリースの話でございます。先ほど御説明申し上げましたとおり、飲酒ガイドラインにつきましては今年の2月に公表させていただいたところでございます。それを受けまして、純アルコール量を把握していただきながら、飲酒について健康に配慮して飲んでいただくように気をつけていただくということが重要だと考えておりまして、そのために、ふだん飲酒習慣のある方に飲むときにどの程度飲んでいるのかということを把握していただけるようなウェブツールを厚生労働省のほうでリリースしたというところでございます。これが9月20日付のプレスリリースでございますけれども、文章の1段落目にございますが、普及啓発事業を厚生労働省でやっておりますが、その一環として純アルコール量とアルコールの分解時間を把握するためのウェブツールということでリリースをしてございます。ツール掲載先というのが下にございますが、このリンク先のところから飛んでいただきますと、実際にツールイメージの画像が貼っておりますけれども、このような形で、真ん中の画像を御覧いただければと思いますが、お酒の種類を選んでいただいて、それをドラッグアンドドロップで飲んだものをドラッグしていただくと、右側の結果のような形で出てまいりまして、実際に飲んだ純アルコール量が何グラムであるか、それから分解時間の目安がどの程度になるのかということが分かるようなツールになっているというところでございます。これを普及啓発で活用させていただいて、純アルコール量の把握につなげていきたいと考えております。
 私からは取り急ぎ以上でございます。
○松下会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明について御意見、御質問をお願いしたいと思います。発言されるときは挙手していただいて、御指名申し上げますので、その後、発言いただくよう御協力のほど、お願いいたします。
 それでは、いかがでしょうか。
 では、米山委員、お願いします。
○米山委員 米山です。
 今回、4点、意見ということで用意をしてきたのですけれども、まず1点目は、アルコールの専門医療に関する事柄です。
 資料の画面共有をお願いいたします。現場では、非常に内科等の精神科以外の病院と精神科の連携というところがまだまだうまくいっていないということがあるかと思うのですけれども、先日、東北アルコール関連問題学会というのがありまして、その会員病院からぜひこういった依頼といいますか、意見を届けてほしいということで持ってまいりました。
 次をお願いします。東北会病院は皆様も御存じかもしれませんが、東北で早くからアルコール依存症に取り組んできた病院です。依存症治療拠点機関になっていたと思います。
 次をお願いいたします。依存症の診療の実績というのがこのようになっております。アルコールが一番多いのですけれども、薬物、ギャンブル等もかなり相談や受診等があります。外来、入院ともにこういったデータになっております。
 次をお願いします。東北会病院では、治療ギャップ対策、アウトリーチということで病院のスタッフのソーシャルワーカーが、精神科以外の内科や一般科と言われるような病院に患者さんがいらしたときに精神科に転院していただくためにスタッフが出向いて、専門治療のことを説明したり、動機づけを行うということをやっていらっしゃるということです。なかなか一般病院等  のスタッフの方たちの理解が進んでいないということから、直接行って話すということをやっていらっしゃるということでした。
 次をお願いします。これが病院等に向けてのリーフレットを作っていらっしゃるということです。
 次です。この結果、転院の調整ができた事例ということでここに挙げられています。
 次をお願いします。内訳もこのようになっております。皆様のお手元に紙で追加の資料の配布はないですか。ちょっと文字が小さくて見にくいかもしれませんが、専門医療機関ではない精神科から23%で、救急からも来ておりますし、一般内科からの割合が結構多いのかなと思います。特に消化器内科が多くなっているかと思います。
 次をお願いします。紹介元診療科別転院調整結果ということで、数的にはこのようになっております。内科も含めてかなり精神科や救急での調整率としては成績が良いのではないかと伺っております。
 ということで、実はこういったお金にならない事業を持ち出しでやっていますということでしたので、ぜひ将来的にはこういった活動にもインセンティブをつけるような形で全国的に展開できればいいのではないかと私も考えました。
 ただ、こういったアウトリーチができる医療機関というのは限られていると思いますので、モデル事業のようなものをぜひ厚労省等でやっていただけるといいのではないかということです。
 手短に言います。2点目は、特に資料は用意していないのですが、教育啓発について、中学生、高校生の飲酒量は減ってきているということだったのですけれども、大学生になりますと年齢的に飲める年齢になるということでかなりいろいろな問題が起こっていますので、中高生の間に包括的依存症予防教育ということでぜひもっと力を入れていただきたいということです。できれば、専門家と当事者とセットで教育啓発を行うということがいいのではないかと思います。
 教育啓発のポスターなどに協力していただく方で、例えば海外のDV防止の事例では有名スポーツ選手などが採用されていたのですけれども、子供たちや若者にとってモデルになる芸能人やスポーツ選手やオリンピアンといった方たちに御協力いただけるといいのかなと思います。
 それから3つ目、これは厚労省だけでは難しいことだと思うのですが、特にインターネット上での広告の規制ということをぜひお願いしたいなと思います。インターネット上での酒類等に関する宣伝というのは、企業が行っていなくとも、ステマ広告というのでしょうか、若者が自発的に面白おかしく宣伝の片棒を担っているという事例が多数見られますので、そういったことに対してもっと規制を強化していただく必要があるのではないかと考えました。
 それから4つ目なのですが、これは福祉関係者から伺ってきたことなのですけれども、福祉事業サービス事業者において高齢者でかつアルコールの問題を持っている方への対応が迫られることがあるのですが、障害者区分のケアに算定されないということが現場で非常に手をこまねいているということをお聞きしてまいりました。なかなか福祉の部分ではまだまだ対策が弱いところかと思いますが、ぜひ今後、盛り込んでいただけたらと思います。
 長くなりましたが、以上です。
○松下会長 どうもありがとうございました。
 ほかにはいかがですか。
 白川委員、お願いします。
○白川委員 白川です。3点ほど。
 1点目ですが、資料1の1ページ目の二十歳未満の飲酒者の割合ということですけれども、中学の女子が2.7のまま、ほかが下がっているのに対して下がっていないというところがちょっと気になっていますので、ぜひ二十歳未満の飲酒者の割合を減らすことを継続していただきたいと思っているというのが1点目でございます。
 2点目ですが、2ページ目の関係者会議になりますけれども、努力されて複数回の実施をしているところが増えてはおるのですけれども、そうはいってもまだ半分程度ということですので、この辺りのところもぜひ増やすように、1回限りですとやりっ放しみたいな形になるということで複数回の開催を提案してきたわけですから、ぜひここのところはさらに強化していただきたいと思っています。
 あと、3点目になりますけれども、4ページ目の専門の医療機関の問題になりますが、まだ専門医療機関が全自治体に行き渡っていないということと、拠点機関の整備もまだ十分ではないということだと思いますので、ぜひその辺りのところもさらなる推進をお願いしたいと思います。
 以上、3点でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 塚本委員、お願いします。
○塚本委員 ASKの塚本です。
 今回、飲酒ガイドラインが公表されたということで、マスコミでもかなり取り上げられる機会が多くて、飲酒に関して世の人たちに知ってもらうということ自体はとてもよかったことだなと思うのですけれども、一方で、最初にこの会議の中でも懸念していたとおり、指標というのが40・20しかなかったということで、テレビの報道も含めて結構40・20まで飲めてオーケーみたいなところが大きく出たと思うのです。今、ASKでも、要はマスコミの報道が二手に分かれた理由みたいなものについてかなり分析をしているわけなのですけれども、今回、健康診断及び保健指導ということで各自治体にいろいろお願いしているところがある中で、この誤解みたいなものが都道府県や政令市にも及んでいるのではないかという懸念をすごく改めて感じました。その点、厚生労働省としてどう思っているのかということと、この誤解の広がりを防ぐためにはどうすればいいのかみたいなものが意見として聞きたいなと思っています。
○松下会長 どうもありがとうございました。
 では、事務局からお願いします。
○羽野推進官 ありがとうございます。
 塚本委員から御質問いただいた例の40・20の話で、昨年度のアルコール関係者会議でもこの飲酒ガイドラインについて御懸念の声をいただいて、皆さん御案内かもしれませんが、その後、飲酒ガイドラインについても40・20以外のところの研究結果を様々な疾患別のデータなども含めて整理してお示しをするということで、飲酒ガイドラインの中では一定対応したつもりではあるわけですけれども、とはいえ、どうしてもマスコミの皆さんの取り上げるところがどこになるのかというところで、それがどうしても40・20に行ってしまったところが一部あるというところでありまして、そこから誤解が生まれかねないので、それをどう対応していくのかという御意見なのかなと思っております。
 もちろん飲酒ガイドラインを正しく理解していただけるように、我々は作って終わりではいけないと思いますから、普及啓発していきたいということがまず第一であります。それとともに、今回、作らせていただいたアルコールウォッチを御覧いただく中で、何グラム飲んでいるのかということが分かるというのが大事ではあるのですけれども、それに併せて分解時間がどれぐらいかかるかというのも見えてきます。そうすると、例えば40グラム飲むと結構な時間がかかるわけですので、そういったところも御覧いただくと、40というのは別に少ない数字とは見えてこないと思いますので、アルコールウォッチの活用も含めて周知啓発活動を今年度もやっておりますけれども、引き続きやっていきたいと思っております。
 以上でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
 では、山口委員、お願いします。
○山口委員 保健所長会から来ております、山口と申します。
 1つ確認したいのですけれども、今の普及啓発というところなのですが、保健所の担当部署はこのアルコールの問題というのが依存症だと「精神の分野」、健康障害だと「健康づくりの分野」で、県庁でも全く違う課が担当しています。情報を両方で共有してほしいのですけれども、必ずしもうまくいっていないようです。情報の流れについて厚労省の中では、今日も来ていらっしゃると思うのですけれども、健康づくりの分野との連携をどうしているか、教えてください。
○松下会長 事務局からお願いします。
○羽野推進官 ありがとうございます。
 ただいま御質問いただきました点は、もう委員の皆様はお分かりだと思いますが、このアルコール健康障害対策推進室というのは一応障害保健福祉部ではありますけれども、厚生労働省の職員としては障害保健福祉部の依存症室のメンバーだけではなくて障害保健福祉部の企画課のメンバー、それから健康局の健康課の部門と、それぞれがアルコール健康障害対策推進室の任についておりまして、それでそれぞれの専門性を生かしながらこの分野について対応させていただいているところでございます。
 御質問は自治体との関係でどのように情報を流していくのかというところでありまして、我々は一応こういう一つの組織でやっておるわけですけれども、自治体によっては必ずしもそうなっていないというところもあるのかなと思います。したがいまして、いただいた御意見を受けて具体的に対応を考えたいと思いますけれども、例えば私どものほうでは確かにもしかしたら依存症の部門に流しているかもしれませんので、依存症の部門に流すだけではなくて、ヘルスの部門と両方に同じ内容を流すといった工夫ができないかちょっと考えたいと思いますので、そういった形で少なくとも両方の部門にちゃんと情報が行くような形で対応を考えたいと思います。
○松下会長 ありがとうございました。
 オンラインで小松委員から挙手いただいています。では、小松委員、お願いします。
○小松委員 今回の計画で改善されてよかったのは、連携会議複数回のところが増えたというのと、大きいのは飲酒ガイドラインの制定と周知だと思うのですね。
 あと、アルコールウォッチを出してくださって大変よかったと思います。そこから少し改善していただきたい点も述べていきますが、アルコールウォッチに節酒カレンダーのような、要するに減酒を促すアプリをくっつけてリリースしていただくともっとありがたい。節酒カレンダーとさっき私は言いましたけれども、実は沖縄県では独自にリリースしていたのですが、予算がなくなってしまってOSが変わったら使えなくなってしまった。これは結構人気があって、シーサー君がお酒を飲み過ぎると顔が真っ赤になるのですね。それでうちの患者さん、それから本土にいらっしゃる方でも使っていらっしゃる方がいたのですけれども使えなくなってしまったので、これは何とかならないか。これがまず1点目です。
 それから、ちょっと大きなところに行きますと、専門医療機関について、私は指標の設定をもう変えてもいいのではないかと思うのです。というのは、第1期の計画ができたときにはとにかくそれぞれの都道府県に1個以上は専門医療機関をつくりましょうよと。指定されていないところもたくさんあったので、そういう趣旨で指標を設定したと思うのですが、それぞれの自治体に1個はできましたと。ただ、アルコール依存症というのは慢性で進行性で致死性の病気なわけです。それで、例えば地域のがん診療病院などだとがん医療圏という2次医療圏に非常に近い概念を出していて、そこに1つ以上はつくりましょうということで、ちょっと調べてみましたらもう460以上あるのですね。だけれども、アルコールのほうは結局専門医療機関は一つの都道府県・政令市に1個あればよしだけれども、全然2次医療圏の中にはなくて、私はこの前、滋賀に呼ばれて行ったのですけれども、滋賀県の北部の患者さんというのは県の東南部に1個の県立の精神科医療センターしか専門医療機関がないので、100キロの道を飛ばして京都や大阪の医療機関を受診している患者さんもたくさんいると滋賀の断酒会の会長さんから伺いました。
 こういうことが実は別に滋賀だけではなくて、沖縄もそれぞれ2次医療圏に1個ずつはあるのですが、沖縄はなんせ金城文先生が調べてくださった2015年の疫学調査でオーディット15点以上の方が約9%いらっしゃる県なのです。だから、全然足りない。これを増やすためにはまず効果測定するための指標を変えていただくのと、それから、どうして増えないのかということをもうちょっと本庁のほうでも精査をしていただきたいと思います。
 それから、2点目は飲酒運転の話で、資料1-2でいくと15ページなのですが、沖縄県は非常に早く飲酒運転防止条例ができました。ですけれども、モラルの条例なのです。背後に隠れている病気のことは全然触れていない条例で、実は早期に防止条例をつくった県というのはほとんどそうなのですね。遅れてつくっているところは背景に依存症という問題があるということを非常に意識して、例えば三重県や福岡県では検挙された方の受診義務というのを課しています。少しは効果があるのですが、これも福岡や三重の先生方から伺った話だと、本当に来てほしい重い人は来ないでばっくれてしまう。軽いけれどもちょっと気になっている人は来てくれると。これは罰則がついていないからだと思うのですね。だから、防止条例を罰則つきの受診義務にしていくにはどうしたらいいかということをぜひ考えていただきたい。
 3点目は、今、非常にハームリダクションということが言われております。これは非常に大事な観点で、ですからこそ、受診のハードルを下げるために減酒でもいいからいらっしゃいと、できるだけ治療につなげましょうとなってきているのは大変結構なのですけれども、同時に、私は御家族のサポートが実は最大のハームリダクションではないかと思うのです。というのは、アルコールは『Lancet』にも論文が出ているように非常に他者への有害性が高い薬物、特に同居している家族というのはもう毎日毎日被害に遭っているわけですから、ここのサポートが何かできるような方策を考えていかないとまずいのではないかなと思っております。
 それから、先ほど米山先生からもありましたけれども、教育について、もちろん中高生も大事なのですけれども、援助職ですね。先ほどの東北会病院さんも、行ってみるとなかなか一般病院の医療職は依存症に対する理解がないと。本当にそうだと思います。私ももう14年戦ってまいりまして、ICUにアル中は入れないという病院から変えてまいりました。なので、援助職の現任教育と養成課程での教育は今、カリキュラムに入れてはくれているのですけれども、それだけでは足りない。形だけになっていて、実習ではアルコール依存症をほとんど取り扱わない精神保健福祉士の養成学校も多いので、そういうところも何とかしていただきたいと思います。
 取りあえず以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
 では、事務局から。
○羽野推進官 ありがとうございます。小松委員から何点か御意見もいただきましたので、今の時点で私からお答えできる範囲でお答えしたいと思います。
 最初に、アルコールウォッチのところでカレンダー機能もというお話をいただきました。実はアルコールウォッチを作る際に我々も中でいろいろ検討しまして、例えばアプリで作るのかといったところも含めていろいろ検討したのですが、先ほど小松委員もおっしゃいましたけれども、実はアプリにすると更新作業が結構大変だというのがあったりして、そこの費用をどうしていくのかというところもありまして、そこを速やかにスムーズにやるという意味ではウェブツールベースでやるのがいいだろうというところで、とはいえ携帯でも見られるようにできる限りシンプルなものでというところで今回始めてみたというところでございます。まずはそこをベースに始めてみて、まずは使いやすくシンプルなものでとは思って始めておりますが、そこからもちろん様々なところとの連携なり、機能の追加というのができればいいのかもしれませんが、ちょっと技術的な問題や費用的な問題も確かにあるかもしれないので、何ができるかというのはちょっと考えていきたいと思っています。
 それから、専門医療機関についての指標を見直すべきではないかという話もありました。これは後ほどの議題とも関連してきますけれども、今後の次期計画に向けた検討の際にまた委員の皆様からも御意見をいただきたいと思いますけれども、専門医療機関についてはまだ設置できていないところがあるというのもそうですけれども、とはいえ67分の63は設置されているので、そういった中で今度は各地域の中でちゃんと、自治体1つではなくてもう少し満遍なく医療としての体制を組めるようにはどうしていったらいいのかという辺りのところは皆様からも御意見をいただきたいと思っています。
 それから、飲酒運転の受診義務のことについても御意見をいただきました。確かに小松委員がおっしゃったように、一部の自治体において飲酒運転を行った場合の受診義務を条例で定めているというところはございます。その中には受診義務をかけているというところと、受診義務にとどまらず加療みたいなものを設けているというところもあります。その辺りのところでどういった取組に実効性があるのかというのは私たちもよく注視していきたいと思っていますけれども、今はまだ公表はしていないのですけれども、来月にはアルコールの週間がありますので、それも念頭に置いて厚生労働省のほうでシンポジウムをやろうと思っています。その中でも飲酒運転の条例の辺りのところをやっていただいている自治体にも発表いただけないかということを調整したいと思っていますので、そういったことでも御意見をいただきながら、広く考えていただくということができればと思っています。
 それから、援助職、福祉職の支援について、カリキュラムには入っているけれども、それだけではなくてカリキュラムが入る前からも援助職の支援が重要ではないかというところがありました。こちらについては御指摘はそのとおりだと思っていまして、今、たしか久里浜のほうでも福祉職に対する研修もやっていただいていますので、現任の方も含めてきちんと受けていただけるようなことをやっていきたいと思っています。
 取り急ぎ私から御説明できることは以上でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
 オンラインで東委員から挙手いただいております。お願いします。
○東委員 ジャスト提案でもいいですか。まだ考えがまとまっていないのですけれども。
○松下会長 どうぞ。
○東委員 啓発で先ほど有名著名人が携わるという話がありましたけれども、イベントはすごくたくさんされていて、私も参加して、ハイブリッドで開催されていますし、結構大きな影響力があるなと思っています。
 今、思いつきなのですけれども、選挙に行きましょうという動画があって、「ボイスプロジェクト 投票はあなたの声」というのが2021年ぐらいから始まっていて、今をときめく若いタレントさんや俳優さん、そしてキャリアのある人、例えば小栗旬さんや渡辺謙さんや池田エライザさんなど、14人がリレー方式でカメラに向かって選挙に行こうと言ってハッシュタグをつけたのですね。それがかなり拡散されて、最初の頃は影響力があったのです。だからといって投票率がすぐに伸びたというわけではないのですけれども、メディアもそれを取り上げたので、若い人たちへの意識への影響は大きかったようなのです。
 まっすぐにこういう指針を発表しますといっても、今のマスコミメディアがそれをキャッチしてくれるかどうかはとても難しいところに来ているのですね。なので、手法を変える必要があって、この「ボイスプロジェクト 投票はあなたの声」は最初は物すごい再生数だったのですけれども、今年のものはあまり伸びていないのですよ。それは同じやり方をしているからなのですね。カズレーザーさんなどはあのやり方をちょっと変えたほうがいいのではないか、もっと若い人に響くような演出をしたほうがいいのではないかというコメントも出しているのです。出演者の人はたしか賛同してボランティアで無償で出ているのですね。お金をそんなにかけないで若い人たちに影響を与える動画の作り方というのが今、主流なので、その辺も考えてもいいのではないかなと思いました。
○松下会長 ありがとうございました。
 続いて、オンラインで石井委員が挙手をされています。お願いします。
○石井委員 当事者で会議に参加させていただいています、石井と申します。
 このアルコールウォッチの資料を頂いて、スマホでやってみました。当事者として私はお酒は30何年飲んでいないのですけれども、飲み会などでみんなで注文したときに、あなた幾らねとか、何時間後ねとか、あしたの勤務は何なのとか、お互いにお店で注文して和気あいあいとやってちょっと遊べるというか、本当にスマホで簡単にできるようなので、楽しくやってみれるなと。ただ、今、東委員からも話がありましたけれども、こういうものがあるということを若い人たちに楽しくお知らせできるような方法はないかなと思っています。
 それと、今日の先ほどの東北会のアウトリーチのお話なども聞いて、本当にそうだなとすごく共感がありましたので、私も日頃思っていたことをちょっとお話しさせていただきます。今回、配付になった資料1-2の詳細が書いてあるほうの13ページに「SBIRTS」という言葉が入っていて、保健所などのいろいろな健診のときに問題のある人たちに情報を差し上げたり、あと、内科などでアルコールの問題があると、いろいろな身体の状況でそういうことが思われる方を専門病院に紹介して、それから専門病院では治療とともに自助グループとの連携もしながらという流れがあるのがこのSBIRTSの普及を図ったと書いてあるところなのかなと思うのですが、私は現場で内科の先生が、患者さんへ「肝機能が高くなって今回のこのデータは非常に高いですね、やはりお酒をやめられませんかと言う」と、「えへへ」とその方が笑って、「このままだともう肝硬変になっている可能性が高いですね」とか、「専門の病院に行きますか」と、専門というのは消化器の専門の病院を紹介しますかという意味でお話しされていて、「いやいいです」みたいな話をして、「ではまたお薬出しますね」ということで特にそこから進展がないという例をたまたま2件経験しました。私はそこはスタッフとして行っていたわけではなくて、たまたま診察室の隣の処置室にいたのですがちょっとびっくりしました。どちらの患者さんも40代後半ぐらい、50代前後ぐらいの男性で、内科医からはお酒がやめられない人なのだということが分かって相手にもそれを伝えているのに、お互いに患者さんは「えへへ」と笑うような感じで、内科医もしようがないですねみたいな感じで、どうしてそこで専門医というときに精神科の専門医のほうでお酒の節酒の方法があるからという説明ができないのかなと気になりました。
 先ほどのアウトリーチで専門病院のソーシャルワーカーの方たちが本当に何も診療報酬もないままで内科へ出向いてそういった専門治療の内容の説明をしたりしているというお話を伺うと、もっと内科医の開業医さんも、今はかかりつけ医という段階から専門病院という流れを医療はされているわけですので、そういったかかりつけ医さんになっているような地域と密着している内科医の方へ、アルコールの専門病院がいろいろな自治体にたくさんできているので、もっとそういったところに紹介ができるような活動を、各専門病院が自分たちのスタッフが出向いて動くだけではなくて、別の形のいろいろな動きをしながらやっていくことができないかなということを思いました。
 私はよく分からないのにこんなことを言うのはあれなのですけれども、紹介状を書くことで診療報酬がちょこっとでもつくというやり方だとどうなのでしょうか。もちろんお金が国からまた出るようになってしまうのでしょうけれども、こういうことに診療報酬がちょっとでもつくのだと思うと、ちょっと注目度が上がりますね。内科医からアルコールの専門病院に紹介することを国がすごく大事にしているのだということを何かで意思表示してもらうような方法はないかなという妄想まで思いました。
 それと、専門病院に紹介された方の治療をその専門病院で一生懸命やっていただくのはいいのですけれども、当事者の私自身の人生を考えたときに、自助グループということを強く専門の先生から勧めていただいたことはものすごく大きいのですね。もちろん私自身の人生ががらっと変わったこともそうですけれども、私を取り囲む私の家族や友人や職場の人たちなど私自身に関係する何十人という人たちも恩恵を受けたわけです。専門病院への申請をする中には自助グループとの連携のことはさらっとしか書かれていないのですけれども、多分そこは研修した人たちがいるという条件で申請できるのだと思うのですけれども、その研修の内容の中にもっと自助グループの活用をして、実際この病気は不治の病でもあるけれども、なったからといっても絶望ではなくて回復があるということをより伝えていただきたい。そのために自助グループで実際にやめて人生を普通に過ごされている人たちの姿や体験談を専門病院に配置される方たちに多く経験していただきたい。そうすれば実際に病院の中で患者さんと接するときに、自助グループが効果があるということを当事者に自信を持って伝えていただくことができるのかなと思います。
 このSBIRTSということはすごくすばらしい流れなので、何か深める工夫をいろいろな形でしていけたらなと希望しております。
 長くなりました。ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
 それでは、稗田委員に挙手いただいているのですが、予定の時間が少し迫ってきておりますので、手短にお願いできればと思います。よろしくお願いします。
○稗田委員 稗田です。私からは、今までの関連もありますけれども、2点ほど提案できたらと思っています。
 一つは、ヤングケアラー法、子ども・若者育成支援推進法が制定されて、その連携を図って子供や若者などを含む家族の立場にある人々のアルコール健康障害に積極的にアウトリーチすることを強化するということを今度の計画に盛り込んでいただきたいということがあります。アウトリーチということはずっとこの国の対策の課題ではありますけれども、例えば診療報酬で入退院加算に退院困難な要因を有する患者としてヤングケアラーやその家族を追加するということが2022年の診療報酬改定の答申で新しく挙がっています。ただ、これにはもちろん依存症という言葉はないのですけれども、ヤングケアラーの厚労省が出している中に薬物依存等の依存症に苦しむ子供たちということが一つきちんと入っておりますので、この入退院加算というのは実は医療の現場で総合病院の現場等でソーシャルワーカー、社会福祉士がこれを主にやっていますけれども、社会福祉士の中でも依存症にアウトリーチするということで、残念ながらまだまだ全く周知されていない、周知されていたとしても非常に忙し過ぎてそこまで手が回らないというジレンマを抱えながらやっているのが現状ですので、この診療報酬というインセンティブをつけるということと併せて、国の対策として家族の支援というのは挙げられていますけれども、もっと踏み込んでその家族の中の子供とか、そういうことを法律と連携させながら推進していくということはこれからの大きな課題ではないかなと思っております。
 虐待を受けているという疑いの背景には既にいろいろなエビデンスが出ていますけれども、依存症というのが必ず入っていますので、そういうことももっと明確に現場に周知できるように、国ぐるみで現場に下ろしていただきたいということがあります。
 そのためにもう一つですけれども、人材育成の実施の定着と安定化ということをさらに強化していただきたいと思います。先ほどの報告では肝疾患で亡くなる方が増えているということで、もう何十年も前から肝臓の脂肪というのは取り上げられていますけれども、これは私の経験ですけれども、医療の現場で肝疾患等でいわゆるアルコール性の臓器障害で入退院を繰り返しているという方がいたときには、先ほどの入退院の支援の中に必ずスクリーニングをして、その御本人だけでなく、家族がいれば恐らく家族は非常に苦しんでいるけれども、そこまでアウトリーチはやはりできていないということですので、今、私たちは久里浜医療センターの全国センターから研修の委託を受けてソーシャルワークベースでやらせていただいていて、これは本当にとても現場の人たちに効果を現しています。『厚生の指標』という論文にもアクセプトしていただいていますので、ぜひこれを単年度の依頼ではなくて、今、ソーシャルワーカーがまとまって協議会をつくってやろうという気合いが入っておりますので、これを定着化させていくためにぜひ継続的にバックアップをしていただいて、できるだけたくさんの現場の医療従事者の方、ソーシャルワーカーに支援を継続していきたいなと。その中にヤングケアラーももちろん入れていきたいなと思っておりますので、これを次の計画の中で御検討いただけたらと思っています。
 以上です。
○松下会長 どうもありがとうございました。
 江澤委員、それから金城委員に挙手をいただいておりますが、予定の時刻を過ぎておりますので、江澤委員、金城委員に御発言いただいた後、ここで打ち切りたいと思います。
 まず、江澤委員から、できたら簡潔にお願いいたします。
○江澤委員 会議は12時までではないのでしょうか。
○松下会長 議事進行という意味で、この後にもまだ議題がありますので。
○江澤委員 最後に意見交換の時間があれば、私はそちらでも大丈夫です。後ほどもし意見交換の時間があれば、そのときにまとめてお話しいたしますが、いかがでしょうか。
○松下会長 分かりました。では、後ほどということでよろしいでしょうか。
○江澤委員 はい。後ほどまとめて発言させていただければと思います。
○松下会長 承知しました。ありがとうございました。
 金城先生はいかがでしょう。
○金城委員 では、この議事の中で資料1-1と1-2に関してというところで、2期までのところで様々な取組がされていて、啓発の資料などもたくさん作られているものを、この次の第3期の計画を作成される際にどう現場で実践していくのかということも考えていただければなというのが私の意見です。
 具体的なところとしては、例えばアルコールの重点課題や基本的施策の1のところで、啓発というところで様々な良い資料が作られているのですけれども、それが実際に手元に届くかというと、例えば子供がいる家庭の手元にはなかなか配布されていなかったりする面があるので、それをどのように実際に活用していただくかということであったり、2点目としては産業保健現場でもアルコール健康障害対策に関わる早期介入というところでガイドライン等が作成されているのが2期までのところであると思うのですけれども、それを実際に現場でどうやって使ったらいいのか、どうやって使い始めたらいいのかという好事例のようなものを第3期のところで実装という形で展開していただければなと思います。
 あと、最後にもう一点ですけれども、どうしても依存症というのがアルコールの健康障害の中で大きな部分を占めることがあるので、この計画の中でも依存症ということがメインになるのですけれども、早期の発見であったり、例えば肝機能障害でも早い段階での医療につなげるということでいくのであれば、健康障害のヘルスのところに関しても、先ほど山口委員からお話があったように3期のところでもう少し盛り込んでいただければなと思ったところです。
 以上です。ありがとうございました。
○松下会長 ありがとうございました。
 まだちょっと時間的には余裕があると事務局から言われましたので、江澤先生、もしよろしければ、お願いしてよろしいでしょうか。
○江澤委員 ありがとうございます。
 まずは先ほど石井委員もおっしゃったこととちょうど同じことを申し上げようと思っておりました。一般かかりつけ医と専門医療機関の連携をいかに深めるかというのは課題だと思っております。そういった中で、アルコール依存症などの医療連携ネットワークを構築して、そういったものをかかりつけ医などに周知していくことが必要ではないかなと思っています。
 2点目は、資料1-1の14ページに依存症専門医療機関における新規受診者数のグラフがございます。その前の13ページのアルコール依存症の患者数の推移は恐らく同じ患者さんが重複カウントされているかなと思いますけれども、14ページの新規の受診患者数については、今後、第3期の計画においては、こういった数を全部足し合わせますと1万3000人を超えるわけですけれども、こういった新規の患者さんの数を取組の効果指標という形でフォローアップすることも方策ではないかなと思っております。
 最後にもう一点は、これまで内科的なアルコール性の肝障害については第2期までは言及が少ないかなと感じております。最近ではアルコール性脂肪肝からアルコール性脂肪性肝炎、そして肝硬変、肝がんという進展もいろいろ指摘されて、そういった患者さんも結構いらっしゃるわけです。したがいまして、アルコール性脂肪肝の段階でもう少しいろいろな取組ができるのではないか。例えば血液検査の肝の線維化マーカーを測定したり、あるいは最近では肝臓の硬さを測るフィブロスキャンといった超音波検査もございます。そういったものを含めてアルコール性脂肪肝、特に最近では実は非アルコール性の脂肪肝が臨床的には課題になっている部分もありますけれども、そういった脂肪肝の段階からいろいろ対策を講じていけばかなり改善が見込める状況でございますので、そういった内科臨床的な取組も今後、含めていくべきかなと思っております。
 以上でございます。ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
 勝嶋委員からお願いします。
○勝嶋委員 私は学校教育ということで、米山委員が冒頭2点目でおっしゃってくださいました中学、高校の包括的な予防教育が必要なのではないかということで、学校現場では実際に学習指導要領に基づきまして、中学と高校では保健体育科の保健編ということで、特に飲酒と健康につきましては第1章という現代社会と健康の中で重要点として喫煙と薬物乱用と並ぶほど重要視され、飲酒と健康というところで授業を展開しております。
 ただし、年間の保健の授業というのが35時間、1単位ものでありますので、アルコールに関してかけられる時間が授業の中では多くて2時間というところです。教科書といろいろな補助資料を使いながら展開をしていくのですが、実際に20歳未満の飲酒者の割合というものを見まして、先ほど御指摘があった中学3年生の女子が2.7から変わらないというところ、相変わらず高校3年生の男子が4.3ということで高い数値を出しているというところは、やはり教育の要素が非常に大きいのかなと思っております。
 ただし、この4年間においてこれだけ数値を下げているというのは非常に評価できるところだと思いますし、実際に現場でも、先ほどいろいろな提案がございましたが、本校でも理数教育等の理科のほうでオリンパスさんを呼んで内視鏡の体験型の授業をして、実際に医療に関わっていきたいという生徒が出てきたり、家庭科等では金融教育ということで現場の企業さんを呼んで、できれば講義型の展開ではなく、体験させるような授業を展開できるといいのかなと思います。実際にはアルコールのパッチテスト等も実施をしております。自分の分解能力を知るというのは非常に興味深いということで、中学生も高校生もそれは取り入れて実施をしているところです。なかなか授業ではそういった限られたところがございますので、その体験型のところを学校で入れていただければと思います。
 それと、御提案がありました有名人の方を入れながら周知をしていきたいということで、私も元教育庁におりましたので、15年前ぐらいになるのですが、どうしても教育の政策というのが一般の都民の方々にも周知できないということで、実は嵐さんを使っていろいろ解説をしていただいたら、ほとんど教育庁には在庫がないというぐらい飛ぶようにその冊子が周知できた経験もございます。やはり有名人の方を活用しながらアルコールの健康障害等をお伝えするというのは大事なことかなと思います。
 今回、アルコールウォッチも大変すばらしい提案だと思いました。これにつきましても、今は自分を知るというところでは、自分のアルコールの分解能力がどれぐらいなのかというのをベースにしてまたそれが測れると、より良くなるのではと思いました。
 以上、学校現場も含めたところの思いをちょっと発言させていただきました。
○松下会長 ありがとうございました。
 それでは、上村敬一委員、お願いします。
○上村(敬)委員 上村でございます。精神科の診療所の立場で御意見をさせていただきます。
 今までの各委員の意見を伺っておりまして、啓蒙、早期介入、あとは内科などからの連携といったことがずっと話をされているのですけれども、それと依存症と専門医療機関とのつながりという話をしているのですが、どうしても精神科そのものへの受診のハードルの高さがまず一つあると思います。それと、さらに今度は依存症という疾患に対してのスティグマというか、偏見の高さがあると思います。現状、一番市民の生活の近くにあるのが精神科の診療所という医療資源なのですけれども、そこで依存症治療に関わっているところは全国的にもかなり少ないですし、また、専門医療機関になっているところは僅かです。先日、調べてみたのですけれども、全国で10個もありません。
 また、専門医療機関の整備を進めていますことは知っていますけれども、実際各県ごとに人口比で、例えば100万人当たりで何か所あるかなというのを調べてみたのですけれども、全然足りていないところが圧倒的に多いのですね。福岡県の場合には各保健所管内に1か所ずつ認定していこうというのを県として目標を立てているところもあるのですけれども、そういう方向性が全然まだ見えていないなというのが一つあります。
 そして、精神科、医療機関がもっと依存症を診られるような体制を取らなくてはいけないなとは思うのですけれども、専門医療機関になるためのハードルが高うございます。それぞれ研修を受けた専門職が必要になってきますけれども、これを精神科の診療所がやるとなると、クリニックの経営状況として常勤の人間を雇用していかなくてはいけないのですが、残念ながら今の精神科の診療所の診療報酬の中でこういった心理師を雇用するとか、OTを雇用するプラスアルファのものがないのですね。依存症の集団療法はありますけれども、集団療法をするとなるとそれ相応のスペースが必要です。都市部で多く開業している診療所においてワンフロアをもう一個借りるというのはかなり家賃やランニングコストがかかるのですね。だから、いわゆるビル診といった都市部で行っているような診療所ではほぼ手足が出ないような状況になってきます。先ほど各委員からもいろいろ意見が出ておりましたけれども、今後、こういったところで診療報酬においてもぜひとも検討していただきたいなと思っております。
 その上で、専門医療機関としての役割よりスクリーニングの段階、そしてさらに専門医療、そしてさらに重度の患者さんの治療というふうに、依存症の治療においてもステージをきちんと考えて、それぞれの役割を配置していくような医療計画が必要ではないかなと思っております。
 ちょっと急ぎでお話をさせていただきました。ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
 では、堀井委員、お願いします。
○堀井委員 精神科病院協会から来ております、堀井です。
 2点ほど追加といいますか、お願いがあるのですが、一つは診療報酬の話が出ておりますけれども、これは今年、アルコール・アディクション医学会、あるいはアルコール関連問題学会の理事会でも報告させてもらったのですが、診療報酬の中で自殺に関連して鬱病の内科や一般科の先生が鬱病の疑いで精神科に相談したら、診療報酬で300点から400点の点数がつくのですね。アルコール依存症の関連でその点数がもらえるかどうかというのを数年前から岡山県立病院の先生が厚労省にお聞きしていたら、なかなか返事がなかったのですがこの春に返事が来まして、取ってもいい、取れるということをきちんと言ってくれています。だから、消化器内科、肝臓病内科でも、一般の開業医の先生がアルコール依存症の疑いでその治療をということで紹介をしてくれたら点数が取れるのですね。それをアルコールの関連問題の会議でもちゃんと文章化して書いて、みんなに行き渡るようにしていただけたらいいのではないかと思うのですね。
 それから、それに関連してSBIRTSなどで一般科の先生がAUDITやCAGEなどのスクリーニングテストをするのには時間、手間、人がかかるわけで、それが簡単なスクリーニング料として点数化できないかということもありますので、この会議でも診療報酬の検討ということで文書化されておりますけれども、そういう具体的なことで今、点数化ができているという事実と、さらに診療報酬に関してそういう連携系統の点数を求めていけばいいという方針を今後、第3期をこれから考えるに当たって考えていけたらいいなと思いますので、それをぜひ検討の中に加えていただきたい。
 それから、厚労省のほうもその点数が取れるのだということをこういうところではっきり言っていただいておくほうが、皆さんにお分かりいただけていいのではないかと思います。
 それからもう一つは、私は研究や調査というのをアルコールに関連して毎年やっていただいていて、久里浜を中心に飲酒実態やアルコール依存に関する意識調査等をやって、これは不勉強で具体的な報告がどこにあるのか知らないのですが、その辺のところをよく分かるように示していただけるとありがたい。そういう研究や調査などが非常に大事なので、次期に向けてもそういうところを忘れないようにお願いしたい。
 以上2点、お願いします。
○松下会長 ありがとうございました。
 ちなみに研究の報告書は病院の拠点のほうのホームページに公開しておりますけれども、探しにくいという御意見をいただいております。すみませんでした。
 そうしたら、ネットのほうで小松委員が挙手をされていますが、お願いします。
○小松委員 今、堀井先生からこころの連携指導料のことで非常に貴重な発言をいただいてありがとうございました。アルコール依存症でも、AUDITなどのスクリーニング検査をした患者さんでもいいのですねということについては厚労省の保険局医療課でオーケーをくださったそうなのですが、実はちょっとハードルがありまして、紹介をする側のかかりつけの先生たちが自殺に関連した研修を受けないと、これは取れない立てつけになっているのですね。ちょっとその実態に合わないので、ここら辺は変えていただくと、例えば普通の「あなたはがんだから拠点病院に行きなさい」という紹介状なら患者さんは「はいはい」と言ってもらって行くのだけれども、「依存症だから行きましょう」という紹介状をもらってくれるにはかなりの手間がかかるので、やはりこころの連携指導料をちゃんとかかりつけの先生たちが取れるように、この研修の立てつけを変えていただくといいのではないかと思います。補足です。
 以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
 では、米山委員、お願いします。
○米山委員 診療報酬に関連してのお話なのですけれども、現在、外来受診と集団精神療法の受診が、同一日算定は難しいということになっているというお話なのですね。これは医療者側もそうですし、患者さんの当事者側からも大変不便であるという、1週間に何回も病院に行けないとか、せっかくのチャンスに指導が難しい、不都合であるという声があちこちから出ておりますので、これが同一日でも算定できるような方向で検討いただけるとありがたいのではないかと思います。
○松下会長 ありがとうございました。
 アルコール・アディクション医学会やアルコール関連問題学会でも診療報酬の改定の際には依頼はしているのですけれども、まだなかなか認められないということで、引き続き取り組んでいきたいと思います。
 それでは、オンラインで石井委員から挙手いただいております。お願いします。
○石井委員 当事者としてなのですが、専門病院では節酒療法もされているということはもう大分周知されていると思うのですが、どうしても内科の外来の席で患者さんに精神科医の紹介というのはやはりすごくハードルが高いと思うのですね。しかし、当事者としても自分も減らしたほうがいいと内心思っているわけだし、ましてや中にはやめたいと思っている人もいるかもしれない。でも、それを口に出せないだけでいるので、専門の医療の助けを借りてでも節酒できるならばということでチャレンジする気持ちにはなってもらえるのかなと。ですから、そういった情報の持っていき方で紹介をしていただくというのは非常にいいかなと。
 節酒が失敗した後は、本当に節酒ができないということは次の断酒というステージに上がっていくことなので、依存症者の節酒療法での御家族の大変さというお話もたくさん聞きますけれども、まずはそういった紹介の仕方だと本人も受け入れやすいかなと思います。
○松下会長 ありがとうございました。
 上村先生、どうぞ。
○上村(敬)委員 先ほど言い忘れておりました。アルコールウォッチの件なのですけれども、先ほど御説明されていましたけれども、健康被害は単年度で終わるような事業ではなくて、対策はずっと継続的に国として取り組むような話だと思うのですね。そういったことにこそ予算をつけていただいて、アプリ化をぜひとも図っていただきたい。
 というのは、あれはアルコールウォッチと入れない限り出てこないのですよ。しかも、URLの頭のほうには依存症と書いてあるのですね。だから、普通にお酒を飲んでいて自分の飲む量がどのくらいかな、調べたいなとか、これだけ飲んでどれぐらいでお酒が抜けるのだろうという目安を広く使っていただかなくてはいけないと思うのですね。これは依存症やお酒の問題を抱えているだけではなくて普通の人がどうかなという社会にならないといけないのではないか。こういう社会運動的なニュアンスがあるのだったら、予算をぜひとも獲得していただいて、継続して取り組むように、ぽちっと単独のアプリを押したらスマホで見られるような形にしていただければと思っております。
 ちょっと追加で思ったことを話しました。
○松下会長 ありがとうございました。
 まだ御質問等があるかもしれませんが、次の議題もございますので、この質疑応答についてはこれまでにさせていただきたいと思います。また、ほかにも御意見等がございます場合は、後日、個別に事務局までお問い合わせいただければと思います。
 続きまして、議事次第4「アルコール健康障害対策推進基本計画の検討スケジュール」に入ります。まずは事務局から御説明をお願いします。
○羽野推進官 資料3を御覧いただければと思います。「アルコール健康障害対策推進基本計画の検討スケジュール(案)」というところでございます。現行のアルコール健康障害対策推進基本計画第2期でございますけれども、こちらは令和7年度までというところでございます。こちらのアルコール健康障害対策基本計画は、当然ながらこの基本法に基づいて定めるということになっておりますが、この変更についての規定というのを真ん中のところで紹介しております。基本法12条というところですけれども、政府は、少なくとも5年ごとに検討を加えて、必要があると認められるときは変更しなければならないとなっております。
 次のところですけれども、変更しようとするときは、厚生労働大臣は、アルコール健康障害対策関係者会議の意見を聴いて、この計画の変更案を作成して決定していくということにしなければならないとなっております。
 したがいまして、今後のスケジュールについての御相談というところでございますが、下に「今後のスケジュール」としてございます。今回、開催して議論いただいておりますのが10月28日の本日の会議でございますが、今年度はそれ以降、おおむね2~3回と書いておりますけれども、もしかしたら2回になるかもしれませんが、有識者の皆様から意見聴取などをいただくということにしたらどうかと思っております。有識者などからと書いておりますが、本日御出席いただいている委員の方々、もしくは外部の有識者の方々などからいただくということで、個別に御相談していきたいと思っております。
 それから、令和7年度のうちには変更の案について御審議いただく必要がございますけれども、実際これは計画変更のときに最終的には閣議決定まで行く必要がございまして、その前に案を作るということを考えますと、令和7年度のところの下に書いてございますが、おおむね年内ぐらいには関係者会議の皆様からの御意見はいただいた上である程度取りまとめるところまで行きたいと考えております。したがいまして、おおむね4~5回程度と書かせていただいておりますが、この辺りのところは議論の進捗状況を踏まえて柔軟にということだと思いますけれども、基本計画の変更について令和7年内には皆様から御審議をいただく。有識者からのヒアリングをお願いするというところについても来年に差しかかる部分はあると思いますけれども、大体来年中には変更案について御審議をいただいて、ある程度取りまとめまで行ければというところで事務局としては考えているところでございます。
 私からは以上でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明について御意見、御質問等がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 特にないようです。よろしいですかね。
 それでは、私の手違いで少し発言を急かしてしまったところがありましたので、もし何か言い足りないとか、これだけ言っておきたいということがございましたら、改めてお願いしたいと思います。いかがでしょう。
 上村委員、お願いします。
○上村(敬)委員 先ほど話さなかったことなので、先生方からも診療報酬のことが大分出ておりました。国もいろいろと事情があるかと思うのですけれども、今回の診療報酬改定で精神科においては精神科の診療での一番の柱であります通院精神療法がかなり減らされました。特に精神科診療所においては結構これは死活問題でした。なおかつ、そこでいろいろな早期対応加算とか、今、精神科医療において初めて受診をするまでの時間が長いからということで話がありました。それでそれに対する加算がありました。いろいろなものはあるのですけれども、残念ながら先ほども話しましたように通常の精神科の診療所というのはそれだけの体制が取れない状況です。なおかつ、多くの患者さんを抱えていて、できるだけ新患を診なくてはいけないと思っていますけれども、待ち時間がどうしても発生しております。
 なぜこの話をするかというと、SBIRTSの話をしていくときに一番身近な精神科の資源である精神科の診療所に受診をしたい、今、問題なのだというときに、なかなか一番身近な精神科、あるいは近くにある依存症の専門医療機関なりにアクセスしにくいという点はちょっと問題ではないかと思っております。先ほどの連携料もそうなのですけれども、そこに受ける側も何かしらのインセンティブがないと、たくさんの患者さんの中からそこのケースだけを拾って診ていくというのは難しいと思います。
 それに、アクセスの話なのですけれども、実は先ほど東北会病院の実態の話をしましたけれども、私が調べたときには宮城県はあそこ1か所だけなのですね。拠点病院である専門医療機関がそこに1か所しかなくて、そこまで通うというのはどれだけ大変なことだろうかと想像いたします。2次医療機関において、福岡県においては各保健所ごとに専門医療機関を整備しようと言っておりますが、それでもまだ身近でないとよく言われています。どうすればそのアクセスが良くなるのか、とにかく普通の精神科の診療所の先生方の仲間が依存症をもっと診られるような形を取らないことには、なかなか啓発や連携や早期介入といっても最初のハードルが厳しいのではないかなと思っております。単純に先ほど診療報酬の話をさせていただいたのは一つの例ではあるのですけれども、それだけではなくて依存症はもっと普通に相談していい疾患であり、早期に介入することによって進行予防にもなり、しかもアルコールの問題がその後の鬱や自殺予防にもつながるというのは周知のことだと思います。こういった点も踏まえて、依存症にもっと早い段階から介入をする、内科の先生方がまず地域の顔の見える関係にある精神科の診療所の先生方に紹介をするという流れができる体制構築、そして、インセンティブの話ばかりして大変恐縮なのですけれども、そのためにそういうものをしやすくなるような仕組みづくりというのをぜひともこれから検討すべきではないかなと思っております。
 そのためにも、先ほどのアルコールウォッチなどもそうなのですけれども、診療所で依存症の治療を行っておりまして、私どもが診療所をやっていますと、いわゆる慢性の進行した患者さんよりは20代、30代の比較的若い方で最近飲み方が問題だということで奥さんや御家族が心配していらっしゃるという患者さんが多うございます。そういう方々こそ介入のしがいがありますし、そういった方々は結構いらっしゃる前にそういう飲酒のアプリを使っておられるのです。ですから、啓発や教育といいますけれども、その仕組みとアクセスのしやすさ、気軽に相談しやすさというところを担保できればなと思っております。
 ちょっとまどろっこしい話になりましたけれども、よろしくお願いいたします。
○松下会長 ありがとうございました。
 石井委員が挙手されています。では、石井委員、お願いします。
○石井委員 質問なのですが、自分で調べればいいのでしょうけれども、さっき私は節酒療法の話をしましたけれども、節酒療法というのは別にアルコール依存症の専門病院ではなくても、通常の精神科のクリニックといったところでされていらっしゃるのですか。それが質問です。
○松下会長 事務局からよろしいですか。
○田中専門官 事務局でございます。
 実態として行われておられるということは承知しておるところです。例えば内科医でも精神科の先生方でも行われているというのを、こちらとして事実は把握しております。
○石井委員 その治療自体が専門医でないとできないというわけではないということですね。
○田中専門官 そのように承知はしているところです。
○石井委員 ありがとうございます。
○松下会長 ただ、お薬があるのですが、内科の先生でも研修を受ければ処方することができるようになっております。そこは専門医という縛りはございません。
○松下会長 ありがとうございます。
○上村(敬)委員 上村でございます。診療所の仲間たちともその話はするのですけれども、残念ながらいわゆる節酒療法として節酒を目的としたお薬を出すよという先生は幾らか出てきておりますけれども、それにプラスアルファの治療的なプログラム、あるいは専門的なカウンセリングまで行っているという先生はまだ多くはないと思いますし、その前に依存症やお酒の問題があるのだけれどもと言って受診をしたいと言っても、残念ながら門前払いを食らってしまうということがまだあるのだという実態は私どもの調査でも出てきております。残念ながら、まだ全て先生方が節酒療法オーケーだという状況にはなっておりません。
○石井委員 ありがとうございます。
 ちょっとお話しさせていただいていいですか。
○松下会長 どうぞ。
○石井委員 情報ありがとうございます。
 私自身は節酒療法を受けた経験はないのですが、逆に節酒療法は依存症になった人に非常に危険なことだし、家族も大変な思いをするだけなので、それは非常に不都合な治療かなとは思うのですが、節酒できる状態の方がそういった治療を受ける機会をたくさん持てるというのは非常に良いことかなと。
 そして、なおかつ先ほど話したように、節酒ができないということでだんだんと周りも本人も絞り込まれてきたときに本格的に依存症の治療をというところで、そんなきれいにはいかなくても、少しでも間口を広くという意味ではたくさんの医療機関で節酒療法に一応チャレンジしてみるようなことも一つかなとは思って、今、伺いました。ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
 ほかに何か最後に話しておきたいということがございましたら。よろしいでしょうかね。
 米山委員、お願いします。
○米山委員 米山です。
 今、おっしゃってくださった、節酒では難しい方なのに節酒でというのは御本人の御家族がかなり苦労されているという話を私もあちこちで聞いているのですけれども、節酒で大丈夫というか、入り口は節酒でそこから入れるタイプの方と、そうではない、明らかに依存症で最初から断酒という方の基準というものの専門医療機関の医療としてのガイドラインを作成していく必要があるのではないかなと思います。患者さんが節酒から行きたいと言っても、あなたはそのレベルではないからという診断がかなり重要なのではないかなと感じております。そうではない方が節酒で始まると、本当に御家族の方の悩みや苦しみが遷延化する、そしてもっと深まってしまうということにつながりますので、ぜひそういったことも考えていただきたいなと思っております。
○松下会長 ありがとうございました。
 ちなみに日本アルコール関連問題学会とアルコール・アディクション医学会でガイドラインを作ろうという委員会を組織しております。まだ形にはなっていないのですけれども、そういう方向には向いております。
 小松委員、どうぞお願いします。
○小松委員 今、すごく充実した議論がいっぱいされていて、ただ、ポイントがいっぱいあって、これを少し松下先生から、あるいは事務局の方からまとめていただいて、今日はこういう話が出ましたねという暫定的な今日の会議のまとめみたいなことはしていただかないとちょっととっ散らかってしまうかなと思ったものですから、それをぜひ残り時間でお願いできればと思いました。
 以上です。
○松下会長 では、事務局、お願いします。
○羽野推進官 残り時間というのはこの20分のうちなのかちょっと分かりませんが、様々な医療の話も含めてたくさん御意見をいただいて、貴重な御意見だと思っています。いただいた御意見は当然ながら次期計画に向けた検討の重要な視点だと受け止めておりますので、様々な論点があるのは確かにそのとおりでして、様々な観点がありますし、専門医療機関と一般医療機関とクリニックの関係もあるし、クリニックの中でも診療科別の対応もございますし、あとはそれをどういうアプローチでやるのがいいのか、診療報酬がいいのかも含めて様々あると思いますので、その辺りのところは次期計画の検討をいただく段階ではきちんと整理をしたいと思っています。
 今日、御説明したとおり、専門家の皆様から御意見をいただくという時間もこれからつくっていきたいと思っていますので、そこでいただいた御意見も併せて一定の整理をした上で、皆様に次期計画の案を御審議いただくということで段取りを整理したいと思っていますので、どのような形で整理するかはまた追って委員の皆様とも御相談しながら進めていきたいと思っております。
 以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
 金城委員は挙手をされていましたか。
 では、お願いします。
○金城委員 先ほど石井委員と上村委員が話されていたように、肝疾患で早期に受診されている方がおられたり、一般内科で減酒支援がされているかという点についてです。最近、内科、特に消化器内科といったこれまで重症の肝疾患等を診てこられた医師から、なるべく早くアルコールに関して対処するよう介入をしたいのだけれども、どうしたらいいかという質問があります。消化器内科や一般内科で何とかしたいと思っておられる方がおられますので、そういった医療者がまずどうしたらいいのかがわかる、実践できるような何か取組があればいいなと思いました。精神科のクリニックだけで対応という形になると、ちょっと数が多過ぎて難しいかと思いますので、早期介入ということになれば、より幅広く医療機関、クリニックで診られればなと思ったところです。
 以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
 ほかにはよろしいでしょうか。
 特にないようでしたら、本日の議論はここで終わりにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 最後に、事務局からお願いします。
○小野室長補佐 本日はありがとうございました。
 次回の開催日程については、決まり次第、御連絡させていただきます。
○松下会長 それでは、第30回「アルコール健康障害対策関係者会議」を閉会いたします。
 本日は御多忙のところ、御参集いただきましてどうもありがとうございました。