2025年1月31日 第3回 標準型電子カルテ検討ワーキンググループ​議事録

日時

令和7年1月31日(金)13:00~14:30

場所

AP虎ノ門Bルーム(WEB会議併用)

出席者

構成員(五十音順、敬称略)
オブザーバー(五十音順、敬称略)

議題

(1)標準型電子カルテα版のコンセプト
(2)標準型電子カルテα版の実装機能
(3)α版モデル事業実施計画

議事

議事内容
  1.  開会
【穴田主査】 定刻になりましたので、只今より第3回標準型電子カルテ検討ワーキンググループを開催いたします。皆様におかれましては、ご多用のところ本ワーキングにご出席いただきありがとうございます。本日は対面とオンラインの併用による開催とし、会議の公開につきましては、事前申込制のZoomウェビナー配信で行うこととしております。約220名の皆様から傍聴申し込みをいただいておりますことをご報告いたします。次に資料の確認をさせていただきます。本日の資料は議事次第記載の資料1、参考資料1でございます。不備などございましたら、事務局までお申し付けください。また、オブザーバーとして日本薬剤師会、日本歯科医師会、社会保険診療報酬支払基金、SIP統合型ヘルスケアD3の受託者である一般社団法人NeXEHRS様にご参画いただいております。それではこれより議事に入ります。オンラインでご参加の構成員の皆様は、会議中ご発言の際は「手を上げる」ボタンをクリックし、指名を受けてからマイクのミュートを解除し、ご発言をお願いいたします。ご発言終了後は再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。
 
  1. 議事
(1) 標準型電子カルテα版のコンセプト(資料1)
(2) 標準型電子カルテα版の実装機能(資料1)
(3) α版モデル事業実施計画(資料1)
 
【穴田主査】 資料1の2頁目に、本日構成員の皆様からご意見をいただきたい二つの確認項目をお示ししております。議題につきましては三つに分けておりますが、事務局から資料1を使い、まとめてご説明します。その後、構成員の皆様からご意見をいただく時間を取りたいと思います。
【河内係員】 それでは事務局により資料に沿ってご説明をし、その後ご意見を頂くという方法で進めさせていただきます。資料1をご覧ください。資料の1頁目です。現在、政府が出している医療DXの工程表に基づき、標準型電子カルテの開発に取り組んでおります。現在は工程表通りに進んでおり、開発中のため現状を共有させていただきます。
資料2頁目をご覧ください。標準型電子カルテα版では、医科の無床診療所向けの機能を開発しています。本日は、モデル事業実施計画と来年度の検討事項について、ご意見をいただければと思います。特にモデル事業については、検証計画に追加する要素としてどのようなものが考えられるか、来年度の検討事項については、標準型電子カルテの本格実施に向けた想定課題の観点についてどのようなものが考えられるか、ご意見をいただきたいと思っております。
資料3頁目をご覧ください。本日は議題を三つに分けております。1つ目はα版のコンセプトについてです。前回のワーキンググループから日が空いてしまったため、標準型電子カルテのコンセプトを改めて共有させていただきます。
資料4頁目をご覧ください。標準型電子カルテの目的は、医療DXのシステム群につながり、情報共有をすることと、民間サービスとの組み合わせを可能にすることにあります。
資料5頁目をご覧ください。標準型電子カルテは現在α版として開発しており、対象は医科の無床診療所で、その中でも診療科によらない共通の診療行為を想定しております。
資料6頁目をご覧ください。標準型電子カルテは、標準規格に準拠したクラウドベースで、基本機能は必要最小限でAPI連携によって民間事業者のオプション機能と組み合わせることを目指しております。
資料7頁目をご覧ください。接続する外部システムについてのイメージは図表の通りです。α版では黄色に塗った部分とまず接続をいたします。
資料8頁目をご覧ください。標準型電子カルテを導入するメリットとして、大きく二つを挙げております。一点目は医療DXのサービス群の利用によって紹介状等の電子的な共有ができ、診療情報を患者様自身が閲覧できるようになることです。二点目は、医療DXのサービス群が標準搭載されるため、導入負担が軽減されることにあります。
資料9頁目の図は、システムとしてどのような特徴があるのかについての図となっております。標準型電子カルテの意義と特徴は大きく三点ございます。一点目は医療DXを活用した新たな付加価値、二点目は標準規格対応による負荷削減、三点目は民間サービスの組み合わせによる拡張性となっております。二つ目の議題として、標準型電子カルテα版の実装機能についてご紹介いたします。
資料9頁目でお示しした意義の特徴に合わせ、資料11頁目では標準型電子カルテα版の機能の開発アプローチを示しております。例えば、情報共有するメリットを生かしつつ、利用開始のハードルを下げられるように、一般的な電子カルテ画面に加えて紙カルテとの併用を想定した画面を作成しております。また、医療DXサービス群への情報の登録、閲覧の負荷を軽減できるよう機能を設定しており、検査結果の場合ですと、外注検査システムと標準規格で連携することで、検査結果の手入力をなくすような取り組みをしております。また、全国医療情報プラットフォームと標準型電子カルテは、クラウド間での連携方法を採用しており、電子カルテの情報共有について、円滑な連携ができるような機能の実装を進めております。
資料12頁目では、先ほど申し上げた紙カルテとの併用を想定した画面についてご紹介いたします。標準型電子カルテα版は現在開発中であり、今お見せしている画面等は途中段階というもことを念頭に、資料を見ていただければと思います。現在、一般的な電子カルテ画面と紙カルテとの併用を想定した画面の二パターンを開発しております。一般的な電子カルテ画面は、画面左側にプロファイル、中央に診療録を入力する部分、右側に処方などのオーダーをする機能が並んでおります。紙カルテとの併用を想定した画面は、診療録を書く部分を無くし、紙カルテとの併用ができるようにしております。この画面においては、入力の手間をできる限り省いた機能を作成しております。このように、紙カルテ利用の診療所の方々の利用開始のハードルをなるべく下げるよう考えております。
資料13~14頁目は、標準型電子カルテα版の機能の一覧です。13頁目は電子カルテとしての基本的な機能となります。患者基本属性の連携やレセプトコンピュータの算定情報の連携などの機能を実装する予定です。紙カルテとの併用を想定した機能については、表の右側に丸をつけており、診療録の入力や参照については、紙カルテ併用の実装パターンでは実装しない予定となっております。14頁目は外部システムとの連携機能として実装予定のものとなっております。電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋、外注検査システム、PACSと連携する予定となっております。
資料15頁目は、標準型電子カルテα版と医療DXサービス群との連携についてのイメージ図です。データ連携方針についてはクラウド間での連携を試行的に行うことを検討しております。クラウド間で連携することで、システムの接続点を減らし、医療機関内の端末の性能や故障等の障害リスクを低減することを検討しており、これによる円滑な情報登録閲覧ができることを目指しております。
資料16頁目では検査結果を例にとって、システム間連携のイメージをお伝えいたします。標準型電子カルテα版と外注検査システムとの間は、医療データ交換における標準規格を採用し、Web APIによる連携を行うことを検討しております。こちらにつきましては、臨床検査会社様と個別で調整を進めております。
資料17頁目は検査結果の画面イメージです。先ほどまでご説明したシステム間連携を行うことで、標準型電子カルテα版に検査結果が手入力することなく自動反映され、検査結果を電子カルテ情報共有サービスに連携する際の入力負荷の軽減が可能となると考えております。
資料18頁以降は参考資料となります。18頁目はレセプトコンピュータとの連携のイメージです。α版ではクラウドで提供し、Web API連携が可能なレセプトコンピュータとの連携を想定しており、まずはWeb ORCAクラウド版と連携する予定となっております。
資料19頁目は、標準型電子カルテα版の受付一覧の画面イメージです。レセプトコンピュータから患者情報を取得し、入力の手間なく受付一覧等の画面へ反映されるよう実装を進めております。
資料20頁は、標準型電子カルテα版のログイン時の機能のイメージです。IDパスワードに加え、デジタル認証アプリと組み合わせた2要素認証方式を検討しております。また、普段のログインについては2要素認証を求めないよう調整をしております。資料21頁目は割愛いたします。
資料22頁で、三つ目の議題として、標準型電子カルテα版のモデル事業実施計画をご紹介いたします。資料23頁目は、前回ワーキンググループでお示ししたモデル事業案です。
資料24頁目は前回のワーキンググループでいただいた主なご意見を紹介しております。これまでいただいたご意見を参考にしつつ、モデル事業の計画を作成いたしました。例えば、紙カルテ併用のユースケースも検証してはどうかという意見を複数いただいたため、紙カルテを想定した実装パターンを用意して検証いたします。また、すでに電子カルテが導入されている医療機関をモデル事業の対象に含めてはどうかという意見につきましては、別途α版のデモ機の操作やデモを検討してまいりたいと思います。
いただいたご意見をもとに、資料25頁目のモデル事業実施計画を作成いたしました。目的は医療DXの想定する有用性や機能や使い勝手の検証と課題を収集することです。実施予定期間は2025年3月より開始し、終期はモデル事業の経過を踏まえ判断いたします。モデル事業の対象となる医療機関は、電子カルテ未導入の医療機関で、電子カルテ情報共有サービスのモデル事業
の対象地域を中心に探しております。検証方法につきましては、対象施設の職員や患者にヒアリングやアンケートを実施する予定となっております。
資料26頁目は、検証項目の概要です。実用最小限の機能として過不足がないか、導入・運用負荷がどうなのか、医療DXを活用した付加価値などについて検証を行う予定です。これらの観点で検証を行うことで、本格実施に向けた課題を収集してまいりたいと思います。資料27頁目は参考資料となっております。
資料28頁は今後のスケジュールです。標準型電子カルテα版について、2025年3月に第1弾機能として紙カルテとの併用パターンを提供開始いたします。また、2025年夏ごろには第2弾として一般的な電子カルテの実装パターンを提供開始する予定となっております。2025年度につきましては、モデル事業を通して課題収集を行い、適宜改修をする予定となっております。モデル事業につきましては、2025年3月より開始する予定で、2025年度には施設数を順次増やし、十数施設程度で実施する予定となっております。モデル事業の状況を踏まえ、標準型電子カルテの本格実施の時期や方法について検討いたします。
資料29頁目は本格実施に向けた主な検討事項です。標準型電子カルテの本格実施に向けた想定の課題について、現状は以下のことを考えております。想定課題の例としては、診療所内の検査機器との連携をどうするか、標準的なデータ連携をどのように拡充していくとよいか、必要最小限の機能としてどのような機能が必要か等が挙げられます。α版のモデル事業によって収集する課題と合わせて、これらの課題への対応を検討いたします。
資料30頁以降は、参考資料です。30頁目は、2023年の電子カルテシステムの普及状況となっております。資料31~32頁は、病院情報システムについて、先日厚生労働省が示した方針となっております。本日は、診療所を対象とした標準型電子カルテα版についての議題となっておりまして、あくまで参考資料としてお付けしております。
資料2頁目に戻らせていただき、ここからはご意見を皆様からいただきたいと思います。冒頭で申し上げました通り、特にモデル事業実施計画に関するものや、本格実施に向けた検討事項などについて教えていただければと思っております。まずはウェブの方からお願いできればと思います。ウェブで参加されている構成員の方々の挙手をお願いできますでしょうか。日本医師会の長島構成員、お願いできますでしょうか。
【長島構成員】 長島です。モデル事業実施計画の中で、α版は診療科によらない共通の診療行為を想定していますが、ある程度は診療科を踏まえたものがあるといいのではないでしょうか。つまり、内科だけでなく色々な診療科で共通の診療行為は何かを検証いただくとよいと思います。
【河内係員】 ありがとうございます。日本歯科医師会の小野寺オブザーバーお願いできますでしょうか。
【小野寺オブザーバー】 日本歯科医師会の小野寺でございます。歯科の場合は随分遅れた形で始まると思っているのですが、基本となる部分についてお伺いします。今回の標準型電子カルテは、基本的にオンプレミス型ではなくてクラウド型であると理解しています。歯科の場合、クラウド型の電子カルテはほとんど無いですが、オンプレミス型からクラウド型への移行のハードルは非常に高いと思われます。その点については、色々と配慮いただければと思います。また、大災害などの緊急時に全ての通信手段がなくなると、クラウド型の電子カルテは全く読めなくなってしまいます。災害時等で通信が遮断されても、直近のデータが読めるような体制を組んでいただきたいと思います。
【河内係員】 ありがとうございます。一旦皆様からご意見をいただいてから、私どもがお話しさせていただければと思っております。日本病院会の大道構成員お願いできますでしょうか。
【大道構成員】 今回はα版ということで無床診療所が主体ですが、日本病院会には中小の病院が多く参加しています。資料8頁目の2.に「初期の導入時にこうした機能が標準搭載されるため、導入負担が軽減される」と記載がありました。導入負担が軽減されるということで、初期費用だけでなく、更新時の費用も軽減されることを大変期待をしている中小病院が多くございます。今回のモデルでは出てきにくいと思いますが、将来的な方向性でもいいので、「標準型電子カルテを導入した病院はこのように負担が軽くなる予定です」というものを示していただけるとありがたいと思います。
また、モデルケースの評価の仕方について、いくつか視点があったと思いますが、「医療の質がどう変わるか」という視点から評価していただければ、わかりやすいと思います。例えば、歴年のデータが見られることによって今までにない診療ができた等の事例があればいいと思いますので、ご考慮ください。以上です。
【河内係員】 ありがとうございます。それでは日本慢性期医療協会の池端構成員お願いできますでしょうか
【池端構成員】 日本慢性期医療協会の池端です。現在は200床未満の病院の電子カルテの普及率は診療所とほとんど変わらない50数%となっていますが、今後電子カルテの導入状況がIT化の進捗状況として診療報酬に関わってくるため、未導入の病院は導入を検討しています。標準型電子カルテに入院機能を追加することはそう簡単ではないと思いますが、有床診療所・200床未満の医療機関向けの標準型電子カルテが今後完成するのであれば、それを待ちたいという声も出てくると思います。完成が2~3年先ということであれば、既存のベンダーを使って電子カルテを導入すべきなので、既存ベンダーの電子カルテの導入支援等も検討しつつ、今後の計画や方向性が見えているのであればお教えいただきたいと思います。また、α版を本格導入する場合、各医療機関にはセキュリティ対策が求められると思いますが、このあたりについてどういう対策を考えているのかお教えいただきたいと思います。
【河内係員】 ありがとうございます。続きまして、日本精神科病院協会の中島構成員お願いできますでしょうか。
【中島構成員】 はい。日本精神科病院協会の中島でございます。精神科病院では電子カルテの普及率が4割程度、中小の病院では3割程度です。この標準型電子カルテα版を使った医療機関が実際慣れるのにどの程度時間がかかったか、今回はコストが発生しないとしてもどの程度の費用であれば導入に前向きになるのか、導入することによって何が便利になったか、何が不便になったか等を検証してもらいたいと思います。また、紙カルテ併用時はα版を隣に置いて活用するようなイメージをしていますが、例えばタブレットで表示して見られるようにするなど、簡便に活用できればいいのではないかと思いました。
【河内係員】 ありがとうございます。日本医療法人協会の菅間構成員お願いできますでしょうか。
【菅間構成員】 菅間です。今までの先生方がお話しされた内容についてはその通りだと思います。医療法人協会の会員病院の多くは中小の病院で、そのほとんどがすでに電子カルテを導入しており、診療報酬改定前等その維持費に苦労しています。今回のα版は、電子カルテを導入していない診療所が対象ですが、今回をきっかけに、すでに電子カルテを導入している医療機関にも維持費等諸々の面でメリットがあるような形を考えていただければと思っています。今回は触れられていませんが、同時に進行している標準型電子レセプトコンピュータシステムとの連携も含めて検討していただければと思います。今回の標準型電子カルテα版で最大の利益を得るのは、外部の検査センターであると感じています。その結果、すでに検査機器を持っている中小病院がこのシステム関連で何らかのデメリットを受けないよう、病診連携の中で診療所から検査を受けている病院もたくさんあることも頭に入れながら、外部の検査センターとのシステムの連携に関して考えていただければと思います。以上です。
【河内係員】 ありがとうございます。葛西オブザーバーお願いできますでしょうか。
【葛西オブザーバー】 ありがとうございます。モデル事業に向けて何をしたらいいか整理するためにモデル事業の観点で拾い上げるべき部分が4点あります。資料9頁目が見やすいかもしれません。1点目はユーザーインターフェースの部分です。臨床現場のあり方は診療科によって全く違います。当然認証部分の負担によって、臨床行為を阻むようなことが無いよう注目していただきたいと思います。そのあたりはタブレットで行うクリニックがあったり、透析病院のように頻繁に巡回している場合もあります。特に認証の部分を複雑化すればするほど使わなくなってしまいます。
ユーザーに対する使いやすさや視認性等の工夫は当然行うと思うのですが、インターフェースの視認性とフォーマッティングの部分は、既存の電子カルテとあまり変えていく必要はないと思っています。電子カルテのアフォーダンスは認識に近いものでなければいけないため、あまりに変わってしまうと使い勝手が悪くなるかもしれません。
2点目がインフラストラクチャーの部分についてです。インフラストラクチャーは恐らくクラウドに接続する病院が非常に少ないので、接続の際にルーターやONU(光回線終端装置)等が配られるのか、もしくは病院側で手配するコストが発生するのか、病院は気にされると思います。どのように接続すればセキュリティが確保された状態でネットワーク接続をできるのかという具体的な方式や、製品構造を確認いただくのが非常に重要だと思います。
ここからは少し専門的ですが、データ交換規約の部分は決して簡単なことではないと考えております。データ交換規約は医療DX系に対してはHL7 FHIRやRESTful API に変えていくため、この部分に関しては問題ないと思います。しかし医事会計、外注、その他部門システムに関してはまだデータソースです。我々が厚生労働省として標準電子カルテをクラウド型にしてモダナイズしていくことは非常に重要ですが、一方で医事会計、外注その他部門システムが主であるクリニックはたくさんあります。耳鼻科や歯科のように部門システム側を主にみているところもあり、部門システム側との連携の際に連携サーバーのようなものを入れるとコスト増の要因になります。厚生労働省として、外注システムや部門システムに連携するサーバーを入れることはスコープ外なので、お金がかかっても仕方ないというわけにはいかないと思います。実際に我々が標準型電子カルテを導入することによって、交換契約を実装する際に必要なコストについてははかなり丁寧に拾い上げていただき、それが妥当かどうか、場合によっては部門連携や外注連携を連携サーバーごと作っていく必要があるのか等を検討する必要があります。これは非常に重要です。
4点目はデータ構造についてです。資料9頁目の横軸は、HL7 FHIRやJSONのようなデータ構造でやり取りするのですが、最終的にはリアルワールドデータのようにデータを二次利用することについても確認いただきたいです。研究事業等をされているクリニックの先生等に確認しても結構ですが、こういったデータ構造を二次利用する際に、今のFHIRリソースのまま二次利用することはほぼできないため、このデータ構造を二次利用する際にどういったインターフェースを構築すべきかについても調査していただけるとありがたいと思います。以上4点について、モデル事業にて手分けして効率的に調査いただけると非常にありがたいと思います。
【河内係員】 ありがとうございます。長島構成員お願いできますでしょうか。
【長島構成員】 長島からご意見を申し上げます。今回、モデル事業の対象が電子カルテ未導入、つまり新規導入の医療機関に主眼を置いていることを考えると、現在オンプレミス型の電子カルテを使用している医療機関が移行することについてはあまり考えてないということだと思います。つまり、最初からクラウド型の電子カルテを導入することを想定しているということです。ただし、将来的には医療機関が既存の電子カルテからリプレースする場合もあるため、今後そのあたりについても考える必要があるかと思います。モデル事業においては、電子カルテ未導入の医療機関が対象ということですが、レセプトコンピュータはオンプレミスで使っていると思われるため、そのあたりについても今後検討が必要と思います。オンプレミス型のレセプトコンピュータを使用している医療機関が、クラウド型の標準型電子カルテを使う場合にどのような移行をするのかという観点は必要かと思っています。また、導入と維持のセキュリティに関してはどのような課題があるのか、どうすれば安全に導入維持ができるのか、ぜひ検証に加えていただければと思います。
それから、端末はOSに依存するのか、iOSやアンドロイド等のタブレットにも対応するのか等によってどのような端末が使えるかが変わってくるため、そのあたりをお知らせいただけるといいと思います。それから、無床診療所は部門システムがないところがほとんどで、あるとするとPACSやX線のCR、外注の検査くらいなので、部門システムについては基本的に考えなくてもいいだろうと思っています。以上です。
【河内係員】 ありがとうございます。それでは現地の構成員の方々にもお願いできればと思います。山口構成員お願いいたします。
【山口構成員】 モデル事業に関係して、基本的なことをいくつかご質問したいと思います。まず、一般的な電子カルテと紙カルテと併用する電子カルテの二種類があるということですが、どちらを使用するかはモデル事業に参加される方が選ぶのでしょうか。資料を見ていると、診療録の入力の部分が紙で、それ以外の部分が電子カルテというような形態かと思います。両方使用してみることが可能なのかどうかは少し気になりました。また、モデル事業の参加者をどのように募られるのかが見えないと思いました。モデル事業の期間についても気になりました。未導入の医療機関の場合、電子カルテに関して初めは難しく感じたり、とっつきにくいと感じたりする方がいると思うので、使用に慣れて、問題点が見えてくるような期間が必要ではないかと思います。人によって一週間程度でだいたい色々な意見が言える場合もあれば、一ヶ月以上使ってみないとわからないという場合もあると思います。そのあたりは臨機応変なモデル事業にした方がよいと思っているのですが、厚生労働省の見解を教えていただきたいと思います。このモデル事業は、実施後に結果がどうだったのかというフィードバックを受けることが非常に大事だと思いますが、誰かがつきっきりで対応するわけにはいかないと思います。どのような体制でどのように現場の意見を救い上げていくのかが次につながる重要なポイントになると思います。よく分からずに電子カルテを使っている場合、問題点も見出せない場合があると思いますので、そのあたりのフォローアップ体制がどうなのか気になりました。
それから、先ほどの説明の中で患者からも情報共有ができるという話があったのですが、患者が自主的に共有できるとしたら、マイナポータルで共有可能な情報だと思います。それ以外に何か共有できるものを想定しているかどうかが気になりました。今回外注した検査結果はそのまま電子カルテのα版に流れてきます。今まで患者が手にすることができなかった血液検査の結果を、検査データとして印刷して返す等が可能になるのでしょうか。そのあたりがもう少し見える情報をいただけたらと思いました。先ほど患者にもヒアリングをすると説明がありましたが、患者にとっても何か導入による変化がないと、ヒアリングをされても答えられないと思います。どんなことが変わるのか、どのようなことをヒアリングしようと思われているのか、そのあたりを教えていただければと思いました。以上です。
【河内係員】 ありがとうございます。それでは高橋構成員お願いいたします。
【高橋構成員】 全日本病院協会の高橋です。まず資料6頁目ですが、上の方の下線で必要最小限と書いてありますが、誰の目線の必要最小限なのでしょうか。開発者目線なのか、あるいはユーザーサイドであるならば、必要最小限の機能を持っていれば日常診療をこなすことができるのかという点なのかが1点目です。2点目は資料7頁目ですが、橙のところがα版ですが、部門でリハビリやデイケアをお持ちの診療所はどのようになるのかと思います。このようなことを考えるにあたっては、端末の台数、プリンターの台数、ネットワークに繋ぐ別回線が必要なのか、そのための専用のPCが必要なのか、セキュリティはどうするか、ルーター、Wi-Fi、アクセスポイントなどが関わってきます。イニシャルコスト、保守費用、回線費用等々にも関連します。先程葛西オブザーバーがおっしゃっていましたが、今後標準化を考えるのであれば、HL7FHIRもどのように費用がかかっていくか。データ構造やデータ交換規約などの標準化を整えていく場合、ベンダーからのコストがどのようになるのか少し心配しているところです。それから次の資料8頁目には、「導入や維持負担の軽減」、一番下の下線では「導入負担が軽減される」と書かれていますが、初めて電子カルテを導入する立場から見ると、マスターメンテナンスなどは軽減ではなく、新たに増える業務になるかと思います。セキュリティ等々含め、職員へのIT教育をどうするか。何かあった時にどこがバックアップするのか、いわゆるマネジメント、ガバナンスをどう取るのかについて、どのようになっているのかと思った次第です。資料11頁目にクラウドという言葉が出てきますが、本当にオンプレミスに比べて費用が安くなるのか、改めて問いたいと思います。それから、資料12頁目の紙カルテと併用というのは、以前の言葉で言うオーダリングということでいいのか。レセプトコンピュータ、オーダリング、そして電子カルテと進んできたと思いますが、診療記録が紙であれば、オーダリングと言われるものと一緒なのかどうか。最後資料14頁目について、検索機能が載っていませんが、二次利用のあり方があまり見えていないなと思います。今後電子カルテを購入する開業医の先生方には若い人たちも多く、データ連携の時代ですので、統計データなど、論文や学会に発表する機会も多いと思います。検索機能が載っていた方が、α版を導入するきっかけになると思った次第です。以上です。
【河内係員】 ありがとうございます。木澤構成員、お願いいたします。
【木澤構成員】 木澤でございます。3点意見を述べます。まず1点目は、先ほどから出ておりますが、紙カルテの併用のイメージについてです。導入のハードルを下げるということで、診療録のキーボード入力をなくしているようですが、診療のプロセスから「この処方が出た」というような内容はどこかに掲載するのか、それとも掲載しないまま運用するのでしょうか。2点目は、資料24頁の、これまでのワーキングでいただいた主なご意見の「対象施設」についてです。すでに電子カルテが導入されている医療機関も対象に含めてはどうかという意見がありましたが、α版での取り組みにつきましては、電子カルテ利用者、地域連携での情報共有の経験者を対象ということで、今実際に利用されていない方は対象外になっていると理解いたしました。これから導入する際には、電子カルテに慣れていない方との比較がなくても大丈夫なのでしょうか。これから電子カルテを利用される方にとっては、診療されながら様々な操作をすることが非常にストレスフルになると思いますので、導入前のオリエンテーションをしっかり行うなどのサポートがきちんとできるのか、困った時の支援はあるのでしょうか。3点目は、クラウドでは、セキュリティへの懸念が大きな導入のハードルになると思います。以上でございます。
【河内係員】 ありがとうございます。それでは、いただきましたご意見についてご回答させていただければと思います。端末の依存につきましては、ノートパソコンにブラウザからアクセスすることを想定しております。タブレットの対応につきましては、今後の課題になると考えております。更新時の費用について、負担が軽くなるように他の病院の方々を参考にできるようにというご意見もあったと思いますが、標準型電子カルテを導入することで、どの程度負担があるのか見てまいりたいと思っております。必要最小限の機能が誰にとってかというご質問があったと思いますが、日常診療に耐えられるものかどうかを軸に見ていきたいと思っております。私どもの仮説として、先ほど機能の一覧をお示しさせていただきましたが、モデル事業で必要最小限として十分かどうかを検証してまいりたいと思っております。紙カルテとの併用につきまして、オーダリングと一緒なのかというご質問につきましては、オーダーする機能ももちろんついていますし、電子カルテ情報共有サービス等の医療DXのサービス群も利用できるところが違いになると考えております。OSにつきましては、まずはWindowsで実装を検討したいと考えております。標準型レセプトコンピュータとの関係はどうなのかというご質問をいただいたと思いますが、現在、診療報酬改定DXにおいて共通算定モジュールを作成しております。標準型電子カルテと標準型レセプトコンピュータとの一体提供のあり方等につきましては、保険局と検討を進めてまいりたいと思っております。入院機能につきまして、今後実装するのが難しいというご意見もあり、紙カルテの医療機関の方々が標準型電子カルテを待っていればよろしいのかというご質問につきましては、開発・提供がこれからになること、必要最小限の基本機能になることから、標準型電子カルテをお待ちいただく必要はないと考えております。医療機関での電子カルテの導入にあたりましては、各医療機関が抱える様々な経営課題の解決を図るものと考えておりまして、そうした状況も踏まえ、導入のご判断をいただくと良いと考えております。導入済みの医療機関の方々へどう検証していくかにつきましては、お示しさせていただいたモデル事業の計画については未導入の医療機関を対象としていますが、これとは別に電子カルテを既に導入されている方々や情報共有を経験したことのある方々など、広く触っていただくような機会を別途企画してまいりたいと考えております。モデル事業につきまして、紙カルテ併用と一般的な電子カルテのどちらかを選んで使うのかというご質問があったと思いますが、どちらかを選ぶ形になると考えております。診療所ごとに様々なお考えがあると考えており、その運用フローにどう当てはまるか、また紙カルテ併用の画面から一般的な電子カルテの画面への移行もあり得ると考えております。医療機関の方々のお考えを丁寧にヒアリングさせていただき、決めてまいりたいと思っております。モデル事業の期間は長めに必要だというご意見もあったと思いますが、モデル事業でぜひ検証したいと考えております。導入のサポートにつきましては、モデル事業の導入時には、診療所の方々へ、複数回丁寧に操作の説明を行うことを想定しております。導入後は適切な問い合わせ体制を設け、必要な時に必要なサポートを提供できるような体制にできればと思っております。問い合わせ体制につきましては、診療所にレセプトコンピュータやPACSなどを導入して機器のメンテナンスを担当している事業者様とも協議をさせていただいた上で、手厚いサポートができるように、どのような時にどこに問い合わせれば良いのかも併せて、体制を整えたいと思っております。
【上田参事官】 いくつか補足させていただくと、OSの依存のお話があったと思いますが、技術的にはOSに依存しているというよりはブラウザに依存しており、Google ChromeとEdgeに対応しております。そのため、Windowsだけでなく、Macも使えるということであります。現状はパソコンを念頭に置いていますが、iOSやAndroidもブラウザに依拠していますので、将来的にはタブレットも利用可能になっていくと思っています。在宅医療などでタブレットの使用も考えられますが、その場合には、パソコンとタブレットではレイアウトやキーボードの有無などが違いますので、レイアウトなどを変えていく必要があるかと思っております。セキュリティの面は、現状のオンプレミス型では医療機関のサーバーに医療情報があります。そのため、医療機関のサーバーへのガードをかけるために、ベンダーと協力しながら医療機関のサーバーに対するゾーンディフェンスを行う必要があります。そのために、例えばルーターのIPアドレスの制限を行い、権限のない人がアクセスできないようにするという考え方でございます。今回はクラウド型で考えておりますので、情報はクラウドにあり、クラウドのセキュリティサービスを使って防御していくということが基本的な考え方であります。ただ、ローカル面で何も対策をしなくて良いということではなく、クラウドに情報が入っているため、正しい権限を持っている医療機関の職員が、自分が必要な情報だけ取ることのできる状況を作り出す必要があります。そのために、20頁の認証の仕組みが大切です。認証が緩いと他の人になりすまされてアクセスされてしまうということになるため、二要素認証となっています。日常的にはID/パスワードでログインするものの、何ヶ月かに1回、マイナンバーカードで入るデジタル認証アプリを使い、二要素で認証をかけてガードをかけていくことを考えているところでございます。
【杉山室長補佐】 もう一点補足をさせていただきます。モデル事業にご参加いただく方をどう募っていくかという観点でございますが、情報共有をする世界に入っていただくことが目的かと思っているため、標準型電子カルテの案件とは異なりますが、電子カルテ情報共有サービスでご参加いただいているモデル地域、大体10地域の医療圏の中にある診療所という形で考えています。加えて、今回レセプトコンピュータはORCAを使うなど、環境面での実施可否を勘案し、モデル事業に参加いただく施設の方々を募っております。もう一点は患者の観点です。患者様にも今回、ぜひご協力いただきたいと思っています。ご認識の通り、基本的にはマイナポータルを介して、例えば6情報の検査情報などをご覧になっていただきます。これまでそのような情報を見たことがない方々に見ていただくことで、実際に日常で生活習慣病の方々などが「こういったものがあるといいよね」というような声をいただければと思っています。医療機関の先生方や患者さんもいらっしゃる話なので、丁寧に話をしながら進めていきたいと思っております。モデル事業は、医療DXの世界に入っていただくために、標準型電子カルテというツールを使います。その際、医療機関の皆様の視点では、紙カルテしか使ったことがない方々が、いきなりこのようなツールを渡されてもなかなか難しい部分があると思っています。操作の難しさや、導入前のパソコンの購入やネットワークの設定、導入後のメンテナンスに負荷がかかってしまうと大変だと思います。導入前・導入時・導入後に付き添わせていただきながら、動線を確認させていただこうと思っています。その上で、医療DXの情報をどこまで使えるのか、どのような点が課題なのかをあぶり出すというのが大きな考え方でございます。補足でございました。では長島構成員お願いできますでしょうか。
【長島構成員】 12頁に一般的な電子カルテ画面と紙カルテとの併用を想定した画面があります。現在紙カルテの診療所に、まずは紙カルテとの併用を想定した画面で使っていただき、しばらく使ううちに「電子カルテとしても使いたい」と思っていただくのが一番望ましい。電子カルテの機能も使いたい場合には、単に画面モードを切り替えるだけで良いのか、システムそのものを変える必要があるのか、ここはどうなっているのでしょうか。
【上田参事官】 デジタル庁でございますが、お答えさせていただきます。紙カルテから電子カルテに切り替える際は、基本的にはシステムは別ではなく、設定変更で行っていただくことになります。そういった意味では、事業者を呼ぶ必要はないと思っております。院内の業務をどう変えていくかというところに1つハードルはあると思いますが、システム的には今申し上げた通りでございます。
【長島構成員】 まずは紙カルテ併用で使っていただき、将来電子カルテとしても使いたいという場合、設定を変えるだけでいいということ、つまりこれを使うことが電子カルテ導入の逆風ではなく、むしろ電子カルテ導入に向いていただくためのツールであるということをご理解いただくということも、メッセージとしても非常に重要かと思っております。そのあたりの丁寧な説明をお願いいたします。
【河内係員】 ありがとうございます。池端構成員、お願いできますでしょうか。
【池端構成員】 ありがとうございます。私も今長島構成員がおっしゃったことが気になっていました。特に端末を変える必要もなく、設定の切り替えだけでできるというのは非常に重要な情報だと思います。電子カルテ化していく方がいろいろな意味でも効率的だと思いますので、ぜひモデル事業からもしっかり情報提供していただきたいと思います。1点質問ですが、どなたか委員からもご質問あったかとは思いますが、モデル事業あるいは本格導入の時のどちらでも良いのですが、期間をどれくらい設定していらっしゃるのか。ちなみに私は200床未満の中小病院ですが、約2年半前に電子カルテを導入し、最初は端末のキーボードそのものに対してもいろいろ質問したいことがあり、現場で指導していただかなければならない期間が一定期間必要でした。その後はクラウド型でしたので、診療中に電子カルテが止まってしまった際も、リモートで話を聞きながらキーボード操作をすることで対応することできました。何らかの形で3ヶ月程は必要かという印象を持ちましたが、その辺の期間をどの程度設定されているのか、もし今お決まりでしたら教えていただければと思います。以上です。
【河内係員】 ありがとうございます。モデル事業の期間につきましては、現在は半年以上は見ていかなければいけないと認識しております。現地のサポートにつきましては、おっしゃる通り、電話での問い合わせ受付や、リモートでのメンテナンスも検討しており、丁寧なサポートをさせていただければと思っております。高橋構成員、お願いいたします。
【高橋構成員】 高橋です。先程の12頁で気になったのですが、一般的に電子カルテを導入する時は右側がオーダー画面で、左側で診療記録を打つ。紙カルテ併用の場合は、左側の診療記録を打たないで紙に打つ。その場合のメリットは、オーダリングだけではなく電子カルテも使いたい場合には、画面がほぼ変わりません。今回の場合、12頁のように左側と右側で画面が大きく変わると現場が大変ですので、そのあたりも考慮に入れていただければと思っております。以上です。
【河内係員】 山口構成員、お願いいたします。
【山口構成員】 今のお話と少し関連しますが、スイッチひとつで一般的な電子カルテ画面と紙カルテ併用画面を変えることができますが、データはそのまま移行できるかと思います。使ったことがない方にとっては不安になるところだと思いますので、どこが変わり、どこが変わらないのか、変わるのならば、例えば見方は変わるがデータは変わらないなどということも丁寧にお伝えいただくことが大事かと思いました。
【上田参事官】 12頁の左側がよくある画面でございまして、中央に診療録を書くパターンがあり、3画面です。右側の画面については、我々が先生方に行ったインタビューでは、今まで電子カルテを使っていない先生からすると、今の電子カルテは結構情報量があるというお話でした。さらに、右側の紙カルテ併用では診療録のスペースが必要ないため、そのスペースに3文書6情報などからさまざまな情報が入るので、そういった情報をできるだけ見やすいレイアウトにしていくというコンセプトです。紙カルテ併用画面から一般的な電子カルテ画面に移行する際に、データを移す必要はもちろんございませんし、設定を変えればよい。ただ、今おっしゃっていただいたような、ユーザーに伝えなければいけない点を伝えきれていないという点はございます。実際の機能面に加え、ユーザーが何をハードルと感じ、どこを伝えればハードルが下がるのか、できるだけユーザー目線の伝え方を工夫していきたいと思っています。
【河内係員】 高橋構成員お願いいたします。
【高橋構成員】 高橋です。先ほどおっしゃった、今までとどう違うかという点では、電子カルテ情報共有サービスが入ってきます。標準型電子カルテα版は、3文書6情報やマイナポータルが使えるという点で、今までと随分違うだろうというところをPRしていただければと思っております。以上です。
【河内係員】 ありがとうございます。ご質問の中で、紙カルテでも処方を紙で印刷しなければいけないのかというご質問があったかと思いますが、電子処方はそのままとなっておりまして、印刷して保管する必要はないという整理でございます。
【上田参事官】 基本的なコンセプトは、支払基金で現在開発をしている3文書6情報の電子カルテ情報共有サービス、電子処方箋、オンライン資格確認サービスの情報があります。処方に関しては、電子処方箋をできるだけ使ってほしいと思っています。電子処方箋を通して、様々な確認や薬局との交換といったメリットがございますので、電子カルテ情報共有サービスだけではなく、電子処方箋も含めて電子で使っていただく。ただ、既存の業務の中でデータとして交換が必要ないところに関しては、右側の紙カルテ併用画面では、従来通り紙でもできるようにしようといったコンセプトでございます。
【河内係員】 長島構成員お願いできますでしょうか。
【長島構成員】 12頁の右側、紙カルテとの併用を想定した画面は、オーダリングではありません。ここの目的は、医療DXで提供される情報の基本的な閲覧、あるいは登録ができるということです。電子処方箋に関しては、当然医療の質・安定性を上げるためには、なるべくお使いいただきたいと思いますが、使わなければいけないというものではないです。レセプト由来のオンライン資格確認で利用できる情報の閲覧や、3文書6情報の閲覧だけに使っていただいても、特に当初は大丈夫な機能です。ただし、もちろん、ぜひここを使って登録もしていただきたいというコンセプトだと思っています。以上です。
【河内係員】 ありがとうございます。その他ご意見等ございますか。高橋構成員お願いいたします。
【高橋構成員】 先ほどのお話からすると、医療情報基盤に乗っている情報はかなり入ってくる印象を持っています。標準型電子カルテα版の場合、オーダーについては、処方のオーダーはできますが注射のオーダーはできるのでしょうか。
【上田参事官】 右側の紙カルテ併用を想定した画面では注射のオーダーは入っていません。左側は一般的な電子カルテ画面なので、オーダーが入ってくる予定です。医療機関の中で、オーダーについては、どちらかというと紙や口頭で行うケースも結構あるというお話もあり、システムオーダーが必須ではないということから、右側の紙カルテ併用の画面では注射オーダーは入ってきていないということであります。これはクリニックで使用する想定であります。
【高橋構成員】 高橋です。電子処方箋では、当然注射のオーダーなど何をどうしたかという情報が乗ってくるということですが、今回の右側のパターンを使った場合は、注射のオーダーがないということは、電子処方箋の方には記録として残らないということでよろしいでしょうか。
【有村プロジェクトマネージャー】 デジタル庁の有村です。右側の紙カルテ併用を想定した画面の中では、処方箋発行に関しては、おっしゃっていただいた注射の情報も入るようになっています。それが薬剤情報として入りますので、そこに対しては入ります。ただ、それをレセプトコンピュータの方に登録をする、処置登録のようなものについては右側の画面には入れておりません。通常利用を想定した場合には、左側の一般的な画面の中で入るような形になっています。
【杉山室長補佐】 少し補足をさせていただきますと、病院の場合は、オーダーを出すと部門システムで受けて結果を入れるというやり取りを電子的に行うイメージかと思います。診療所の場合は、オーダーは口頭や紙で行っています。一方で、結果を登録してレセプトコンピュータに繋げることは必要かと思っています。そのため、処置や注射等の結果を入れることは一応想定しています。診療所の中でオーダー機能がどこまで必要なのかという部分については、モデル事業の中で確認をしたいと思っております。まずは外注検査のオーダー機能と電子処方箋を発行する機能から始めようかと思っております。
【河内係員】 長島構成員お願いできますでしょうか。
【長島構成員】 今の点ですが、私は30年以上無床の診療所を運営しておりますが、オーダリングのシステムは一度も使ったことがありませんし、必要がありません。全部口頭なり紙です。一方、電子カルテとしては、行った処置をきちんと記録に残す必要がありますし、レセプトとして請求するためにも記録は残す必要がありますが、オーダリングを使うことはほとんどないと思って良いと思います。以上です。
【河内係員】 ありがとうございます。池端構成員お願いできますでしょうか。
【池端構成員】 ありがとうございます。今の点も確認しておきたいのですが、右側の紙カルテ併用の場合、例えば外来で点滴をする、検査をするなどは口頭で指示を行うことが想定されると思います。その場合、電子カルテもレセプトコンピュータと連携されているということなので、どこかで処置等の情報を入れなければいけない。ドクターがいれば口頭で指示をし、それを受けて事務方が右側の電子カルテを使って打ち込み、レセプトコンピュータから自動的に請求されるようになるという理解でよろしいでしょうか。
【杉山室長補佐】 長島構成員、今こちらの件でございますでしょうか。
【長島構成員】 まさに今のことですが、医師が紙カルテに行った行為などを記入します。事務がそれを見てレセプトコンピュータに入力します。池端先生が今おっしゃった通りです。
【池端構成員】 了解しました。ありがとうございます。
【河内係員】 ありがとうございます。その他ございますか。中島構成員お願いできますでしょうか。
【中島構成員】 日本精神科病院協会の中島です。12頁目のα版の機能でパターン①とパターン②がありますが、医師やスタッフの中でパソコンやキーボードに全然慣れていない人がたくさんいますので、実際に使ってみないと慣れないと思います。例えば、タブレットやスマホで練習できるような画面があれば、家に帰って少し触ってみることができ、割とスムーズに行くのではないかと思ったのですが、どうでしょうか。
【杉山室長補佐】 ありがとうございます。まさに、使ったことがない方々に、事前・事後も含めてどのようなサポートが必要かというところは、ご意見いただきたいと思っております。モデル事業の中でも、最初は一緒に寄り添いながら進めていきたいと思っておりますが、今後の本格実施を考えていくと難しいかと思っておりますので、どのようなコンテンツを用意すれば慣れていただけるかというところは取り組んでいきたいと思っております。
【河内係員】 長島構成員お願いできますでしょうか。
【長島構成員】 電子カルテすべてに共通する課題と、今回の標準型電子カルテ特有の課題を別に考えるべきです。今電子カルテ共通の課題について話しているように思います。
【河内係員】 ありがとうございます。電子カルテ共通の課題か標準型電子カルテα版特有のものかというところにつきましては、モデル事業で丁寧に検証をしてまいりたいと考えております。ありがとうございます。続きまして、池端構成員お願いできますでしょうか。
【池端構成員】 共通の課題に関する点にはなりますが、2年前に電子カルテを導入した際に、約1ヶ月端末を置いていただき、皆が自由にモデル患者の情報を打ち込んだりすることでかなりトレーニングができ、それを踏まえて本格導入に入ったことがあります。そのようなことも参考になるかと思い、少し発言させていただきました。以上です。
【河内係員】 ありがとうございます。その他ご意見等ある方いらっしゃいますでしょうか。長島構成員お願いできますでしょうか。
【長島構成員】 本物の電子カルテのシステムではなくても、それを真似たようなもので練習やチュートリアルなどは十分作れると思うので、考えても良いのではないでしょうか。以上です。
【河内係員】 ありがとうございます。何かある方いらっしゃいますでしょうか。では以上で本日の議題を終了させていただければと思います。皆様、多数のご意見をいただきましてありがとうございます。いただきましたご意見を踏まえまして、こちら標準型電子カルテα版を具体化させていきたいと考えておりますので、引き続きこのような場でご意見をいただけたらと思っております。

3. 閉会
【穴田主査】 それでは、本日は忌端なきご意見をいただきましてありがとうございました。引き続き皆様どうぞよろしくお願いいたします。また、本日の議事録につきましては、作成次第、ご発言者の皆様方にご確認いただき、その後公開させていただきますのでよろしくお願いいたします。それでは、本日はこれで閉会といたします。活発なご議論ありがとうございました。