第9回救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ(議事録)
医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室
日時
令和6年12月20日(金)10:00~12:00
場所
TKP新橋カンファレンスセンター 14D
議事
- 下記のとおり
- 2024-12-20 第9回救急・災害医療提供体制等に関する検討会ワーキンググループ
○浦部専門官 ただいまから、第9回「救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
本日進行を務めさせていただきます事務局の浦部でございます。よろしくお願いいたします。
議事に入ります前に、本来であれば構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、構成員名簿及び座席表の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
さて、今回のワーキンググループにつきましては、公開のワーキンググループとして実施、資料や議事録については厚生労働省のホームページで公開、事前に御希望があったマスコミの方の傍聴あり、そしてYouTubeでのライブ配信ありという形での開催としております。構成員の皆様におかれましては、あらかじめこの点について御了承ください。
御出席いただいている構成員の方々のうち、会場にお越しいただいた構成員の方とウェブで参加される方がいらっしゃいます。ウェブには、猪口構成員、織田構成員、野木構成員、細川構成員、松原構成員、溝端構成員が参加予定であり、そのほかの構成員の方には会場にお越しいただいております。
なお、横堀構成員、田中構成員からは御欠席の御連絡をいただいております。
また、参考人として、公立昭和病院病院長の坂本哲也先生に会場に御出席いただいております。
まず、御発言の方法から確認させていただきます。ウェブ参加されている構成員の方々におかれましては、御発言の際にはZoom画面の下部にございますリアクションボタン、または参加者一覧の下部から「手を挙げる」をクリックし、指名を受けてからマイクのミュートを解除し御発言をお願いいたします。御発言終了後は再度マイクをミュートにしていただき、「手を挙げる」を解除していただきますようお願いいたします。「手を挙げる」ボタンがない場合には、代わりに画面に向かって手を挙げていただくなどでの表明をお願いいたします。
続きまして、お手元の資料を御確認ください。開催要綱、議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料、参考資料をお配りしております。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
報道の方で冒頭のカメラ撮りをしておられる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
それでは、以降の進行は大友座長にお願いいたします。
○大友座長 おはようございます。大友でございます。
早速議事に入りたいと思います。
本日の議題は1つでございます。前回、このワーキンググループで議論いたしました「救命救急センターの充実段階評価の見直し案について」でございます。
それでは、資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○浦部専門官 事務局でございます。
お手元の資料「救命救急センターの充実段階評価の見直し案について」を御覧ください。
2ページです。
こちらは救命救急センターの充実段階評価についての概要をお示ししております。
平成11年より救命救急センターの質の向上を図ることを目的として、充実段階評価がなされるようになりました。直近では平成30年に、各検討会での議論を重ねた上で、新しい充実段階評価として改正をしております。その後、新型コロナウイルス流行下におきましては、一部の項目を評価対象から外す、あるいは新型コロナウイルスへの対応を行っていただいた医療機関にはその影響についてヒアリングをするといった特例措置を行っておりましたけれども、大きな項目としましては、平成30年を最後に変更しておりません。
充実段階評価につきましては、厚生労働省のホームページでその結果を施設ごとに公表することのほか、診療報酬等にも関わっております。左下を見ていただきますと、診療報酬の点数につきまして、救命救急入院料に係る加算で救急体制充実加算1から3というものがございまして、それぞれに充実段階評価のS、A、B評価で、こちらにお示ししているような点数がつくというものがございます。
また、右側を見ていただきますと、医療提供体制推進事業費補助金という、救命救急センターの運営等に係る補助金でございますけれども、こちらの交付額を算定するに当たって、充実段階評価の結果に応じた係数を乗じているというものでございます。
3ページです。
上の表の縦軸を見ていただきますと、合計点数ごとにs、a、b、cの評価がつきまして、また、横軸を見ていただきますと、是正を要する項目が幾つかあるということで、それぞれ評価がついております。それらを総合的に勘案した上で、この表のようにS評価からC評価までをつけるものになっております。
下の表を見ていただきますと、評価区分ごとの施設数の推移をお示ししております。一番右側に令和5年の評価区分をお示ししておりまして、S評価の施設が98施設で約32%、A評価の施設が200施設で約66%、B評価の施設が6施設で約2%という配分になっております。
4ページです。
こちらは現行の救命救急センターの充実段階評価の項目でございます。
45項目、合計100点になっております。また、番号にオレンジ色がついておりますものが、是正を要するか否かというものを判断する項目になっております。
5ページです。
充実段階評価の見直し案についてです。
第8回救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループにおいて、厚生労働科学研究班の分担研究班の坂本参考人より提示された、救命救急センターの充実段階評価の見直し案等を踏まえ、評価項目の見直しの候補として大きく5つ御提示しております。1、救急外来における看護師の配置について、2、充実段階評価に関するピアレビューの実施について、3、重症外傷に対する診療体制整備について、4、第三者による医療機能の評価について、5、診療データ登録制度への参加と自己評価についての大きく5つございまして、1から3につきましては新規項目、4と5につきましては現行の評価項目への追加となっております。
なお、ここでは大きく上記の5つの見直し項目案を御提示しておりますが、救命救急センターの機能の強化、質の向上の観点から、引き続き評価項目の見直しの検討を進めてまいります。
6ページです。
ここからは見直し案について1つずつ御説明させていただきます。
まず、救急外来における看護師の配置についてです。救命救急センターの人員配置につきましては、薬剤師や臨床工学技士の配置に関する評価項目がある一方で、看護師の配置に関する評価項目はございません。医師の働き方改革の施行に伴い、医師から看護師へのタスク・シフト/シェアが進められていることから、その配置に関する取組を評価の対象としてはどうかというところと、また、救急医療に関する専門性の高い看護師の養成数が不十分であるという御意見がありますが、専門性の高い看護師は、救急外来におけるチーム医療・患者支援を担う役割として重要であることから、その配置状況を評価の対象としてはどうかというところで、「救急外来に配置する看護師についてあらかじめ取り決めている」、「上記に加え、救急医療に関する専門性が高い看護師を配置している」という新規項目案を御提示させていただいております。
7ページです。
充実段階評価に関するピアレビューの実施についてです。
現行の充実段階評価では、評価点の裏づけとなる資料の提出は求めておりません。各医療機関から提出される充実段階評価について、客観的な妥当性を保証する仕組みが重要であることから、第三者から評価を受けていることを評価の対象としてはどうかというところで、以下、新規項目案を御提示させていただいております。
なお、本評価項目の充実段階評価への採用の要否・時期については、ピアレビューが複数の病院間での体制構築が必要なことも踏まえた検討が必要と考えております。
項目案としましては、「自施設の充実段階評価の妥当性について第三者によるピアレビューを受けている」という新規項目案を御提示させていただいております。ここで言う第三者とは、自施設以外の医療機関職員ですとか、各都道府県職員等を想定しております。また、ピアレビューの方法としましては、レビュアーとなる第三者と当該施設職員が一堂に会する場、ウェブミーティングなどを通じて内容を確認し、質疑応答に応じるような形式を想定しております。
8ページです。
重症外傷に対する診療体制整備についてです。
救命救急センターには、重症外傷やその他の複数診療科にまたがる重篤な患者を24時間体制で受け入れる役割が求められております。大量輸血プロトコール(MTP)は外傷対応の一部である一方、外傷診療体制を客観的に評価する指標となり得ることから、MTPを整備していることを評価の対象としてはどうかということ。
また、重症外傷に関する医療提供体制の整備の一環として、厚生労働省においては、これまで外傷外科医等養成研修事業を実施するなどの対策を実施しておりますが、外傷診療については、研修等を通じた専門性の確保やチームでの対応を促進するため、本研修等の受講者の有無を評価項目としてはどうかというところで、「大量輸血プロトコールを整備している」、そして「自施設に外傷外科医等養成研修等の受講者がいる」という新規項目案を御提示させていただいております。
9ページです。
第三者による医療機能の評価についてです。
現行の充実段階評価においては、医療機能の評価機構を日本医療機能評価機構またはISOによる評価を対象としておりますが、ここにJCIを追加してはどうかというところで、こちらは現行の評価項目からの変更でございますが、変更案としまして、「日本医療機能評価機構、ISOまたはJCIの評価を受けている」という変更案を御提示させていただいております。
10ページです。
診療データ登録制度への参加と自己評価についてです。
日本は主要先進7か国の中で最も自殺死亡率が高く、国において総合的な自殺対策のさらなる推進・強化が進められているところです。
近年、日本臨床救急医学会及び一般社団法人いのち支える自殺対策推進センターにより「自傷・自殺未遂レジストリ」が構築され運用が開始されております。自傷・自殺未遂症例に関する情報集積を促進するために、本レジストリへの登録の有無を評価項目に追加してはどうかというところで、こちらも現行の評価項目からの変更ではございますが、変更案としまして、「救命救急センターで診療を行ったAIS3以上の外傷処理を全て「日本外傷データバンク」に登録している」、「上記に加え、救命救急センターで診療を行った自傷・自殺未遂者を全て「自傷・自殺未遂レジストリ」に登録している」という変更案を御提示させていただいております。
11ページです。
新たな地域医療構想と医療計画の進め方の案の資料でございますが、医療計画の中で5疾病6事業という部分がございますけれども、その中の6事業のところに救急医療は位置づけられておりますが、救急医療体制についても継続的に検討し、必要に応じて見直しを行っていくことを検討しております。
12ページです。
充実段階評価の見直しに関する想定スケジュールについてです。
救命救急センターの充実段階評価につきましては、現状の救命救急センターにおける取組状況や、厚生労働科学研究班の評価項目の見直し案を踏まえ、評価項目を見直し、令和7年に試行調査を行った上で、令和8年に行う令和7年実績の評価から新しい項目により評価することとしてはどうかとしております。
下の表を見ていただきますと、試行調査というものは前回の見直しの際にも行っておりますが、見直し案として御提示した項目について、まずは試行調査を行った上で、その結果を踏まえて最終的に新たな項目案を決定するという流れを想定しております。
本資料についての御説明は以上になります。
○大友座長 御説明ありがとうございました。
この救命救急センターの充実段階評価の見直しですけれども、御説明にありましたように、新たな地域医療構想の策定、取組、それから第9次医療計画に向けて、救命救急センターに求められる機能・役割、それから二次医療機関の機能・役割に関して、今後さらに整理が進められると思います。その中でこの充実段階評価も大幅な改定が必要だと説明がございましたけれども、今回に関しましては、坂本先生の研究班の中で提案されました5つの改定項目について御説明いただきました。
一つ一つやったほうがよろしいかと思いますので、項目1、まず救急外来における看護師の配置に関しまして、御意見をお願いいたします。
どうぞ。
○本多構成員 ありがとうございます。埼玉県の本多でございます。
基本的には賛成でございます。御案内のとおり、看護職についてはこれまで評価項目がなかったので、今回設けられたというのは妥当な方向性だと考えます。また、向かうべき方向性について、専門性が高い看護師を配置しているかどうかという視点が盛り込まれたのも、方向性として適切ではないかと思っております。
一方、前回の会議でも御議論がございましたけれども、救急医療機関におかれましては、三次に限らず看護師の確保には苦労しているというようなお話も伺っておりますので、その辺をどう捉えて項目をつくっていくかという辺りは慎重な配慮は必要かと思いますが、今回の案に関してはよろしいのではないかと考えております。
以上でございます。
○大友座長 新たな人員増になるかもしれない。その手当はどうするのだという話だと思いますけれども、井本構成員、どうですか。
○井本構成員 御質問といいますか、御意見ありがとうございます。
本会で実態調査をしているところ、救命救急センターにおいては、一体配置、つまり救急の病棟側と外来で一体的に配置している、もしくは救急外来で配置しているところがほとんどで、実態として看護師がいるという状況にある病院がほとんどであると推察していることから、新たな確保ということにはならないと考えておりまして、本会としましても、ぜひこれからの救急医療の充実に向けて、この提案を進めていただけたらと思っているところでございます。
以上でございます。
○大友座長 よろしいですか。
溝端構成員、手が挙がっております。
○溝端構成員 ありがとうございます。
この2つの項目に関しましては、取り入れていただいて大変ありがたく思っています。
私からの意見としましては、配置という言葉が持つ意味なのですけれども、1つ目の項目の配置というのは、救急外来に患者が来たときに、そこに配置される、つまり勤務を行う看護師についてあらかじめ取り決めているという意味での配置のように受け取れます。
2つ目について、救急医療に関する専門性が高い看護師を配置しているとすると、先と同じ意味であれば、必ず救急外来に救急医療に関する専門性の高い認定看護師等々が一人はいないといけないという意味に受け取れてしまいます、。本来、これは救急外来で勤務する看護師グループの中にこの資格を持った看護師がおればいいという意味だろうと思いますので、救急外来に配置する看護師の中に、救急医療に関する専門性が高い看護師が含まれているというような文章にしていただければと思います。
この2つの項目の意味が、今、私が申し上げたとおりの意図の内容であるならば、そのようにしていただければと思います。
以上です。
○大友座長 恐らく溝端構成員の御理解のとおりだと思いますが、事務局、御説明をお願いします。
○近藤室長 事務局でございます。
御意見ありがとうございます。
1つ目の点については、まさに先生のおっしゃるとおりの意味だと考えております。
2つ目の救急医療に関する専門性が高い看護師の配置については、決して1つ目の部分でも救急外来として独立した看護単位を持たなければならないということを求めているわけでもございませんし、そういった意味では、救急外来で勤務をするという人の中にこの人がいる、こういった専門看護師がいるということが一つポイントだと思っております。
そういった意味で、書きぶりについて御指摘があったところではございますけれども、一応この配置は今申し上げたような意味合いであると考えておりますので、書きぶりのところ、もしかすると今後また実施していく試行調査の段階、もしくは実際に本項目に取り入れる段階で、もう少し工夫について相談させていただくことがあろうかとは思いますけれども、その際はまたお知恵をお借りできればと思っております。
以上です。
○大友座長 確かにこの「配置」はいろいろなふうに捉えられるので、配置のところをちゃんと説明したほうがいいのだと思います。看護師グループの中に専門性の高い看護師がいればいいということだと思います。
坂本先生、お願いします。
○坂本参考人 参考人の坂本です。
この点につきましては、先ほど井本構成員のほうからもお話があったように、多くの救命救急センターで、救命救急センターの三次救急の外来については、そこに専属の看護師を置く施設と、それから救命救急センターのICU等から急患が来たときに外来に出動していくというようなシステムが一般的かと思います。
その中で、救急の専門性の高い看護師、特に重症患者を専門とする看護師等については、救命救急センターのICUに配置している施設は多いのですがけれども、救急外来に関してはあまり配置できていなくて、ICUにおいてしか十分な関与できていないという施設もあるかと思います。三次救急の患者の治療においては、初療の段階から看護師も含めた専門性の高い重症対応が必要ですので、救急外来部分にも関与できるような体制が担保されていればいいのかなと研究班としては考えております。
○大友座長 ありがとうございます。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 ありがとうございます。
この件に関しましては、我々病院団体のほうから考えますととんでもない話だということでこの前もお話しさせていただきました。本当に今、コロナの後、多くの急性期の民間病院が半分以上赤字というデータが出てきております。その中で今、困っているのは看護師さんの配置なのです。本当に今、看護師さんがどんどん辞めていく。我々の医療から、またほかの業種にも移られているのかと思いますが、看護師さんの確保が大変な中で、今までの外来配置というのは、決まっていた配置でいけていたわけですが、これをし出すとこれが一つの突破口という形になり、診療科によっての配置が認められることになるような方向性が出てくるのではないか。
今の状況ですと、将来はそういう考え方もあるのかもしれませんけれども、十分な看護師さんが居る中ではそういうことが十分考慮されるべきかとは思いますけれども、現時点ではとてもではないけれどもそういうことをやっていただくととんでもない方向性に向かっていきます。多くの今、救急を受けているところは、二次救急がしっかり受けています。この前のデータでは救急の7割とかいう数字が出ていましたけれども、そこにも本当に熱心に救急を頑張っている看護師さんがいらっしゃるわけなので、そこらの看護師さんの引き抜き等になるような可能性もありますし、もう一つ下欄の専門性の高い看護師さん、我々も一生懸命認定看護師さんを育ててきたわけです。これには前も申しましたように、非常に病院も投資をしながら育ててきた、つくってきたという過程がありますが、この看護師さんたちを三次救急がこういう募集をするという形になるかと思うのです。これがないと点数がないということになりますと、恐らくそちらのほうへシフトしていく可能性が高いと思います。
というのは、一つは先ほど申しましたように、今、二次救急を担っている民間病院がほとんど赤字状態の中で、コストを上げることがなかなか厳しい状況下、そういう中で今回も診療報酬の加算とかを使いながらコストを上げようと対応はしていますけれども、実は元々三次救急を担っている公的な病院のほうの高い給与体系とは大きく違っているということが現実的にあるわけなので、これで募集をかけられてしまうと、せっかく育てた認定看護師さんもそちらのほうへシフトしていく。そういう意味では、今回の看護師の配置に関しましては、私は時期尚早だと思っております。
○大友座長 多分同じような意見だと思うのですが、猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 御推察のとおりかと思いますけれども、実態としてそれほど変わらないのだというお話があったのですが、確かにそうなのかもしれませんけれども、もっと広い範囲で全体の需給状況、すなわち看護師さんの需給状況、そういったものが分かるように、今後あらゆる基準においても、働いている方たちがどのぐらいいるのかということを前提に、調べた上でいろいろ決めていただかないと、加納構成員もおっしゃっておりましたけれども、これが一つの始まりになってしまうと、あらゆるところで人手不足が進みますので、そういった需給状況なんかも考えながら、ぜひいろいろなものを決めていただきたいなと思います。
以上です。
○大友座長 恐らく二次救急病院から救命救急センターに看護師の引き抜きというようなことは起きないのだと思っているのですが、井本構成員、どうでしょうか。
○井本構成員 御意見ありがとうございます。
今、明らかな数字というところでは、手元にないのですが、私どもの調査では、二次救のほうでも先ほど加納構成員がおっしゃったようにかなり救急体制は強化していただいて、看護師もそこで対応できるような体制づくりがされているというデータもあるところでございます。確かに確保困難という課題については本会もしっかり取り組んでいく所存でございますけれども、ここに挙げられている項目の手法に関して、これがあったからといって引き抜きというのは、私どもとしては実態からすると、としか申し上げようがないのですが、そんなに懸念すべき事項ではないかと思っているところでございます。ただ、意見としては真摯に受け止めたいと思います。
○大友座長 救命救急センターを持つ病院の中での看護配置の工夫で対応可能ではないかなと私は考えておりますが、これは個人的な意見でございます。
御意見があったことは、事務局、ぜひ御認識いただければと。何かコメントありますか。
○近藤室長 先生方の御意見、真摯に承って、また今後の検討に生かしたいと考えております。
今回については、三次救急の話ではございますので、これが二次救急に波及するとすれば、まさに引き抜きとかそういった形だとは認識をしているところですけれども、この点についてはまた養成が進んでいって、これから人員がさらに増えていく中で、そのような形にならないように我々としても努力をしてまいりたいと考えておりますし、また、今、先生方からもありましたとおり、引き抜きにつながるというようなところについては、我々としても注視をしながら、今回、試行調査をさせていただきますので、大体どのぐらいいるのかとか、そういったところも踏まえて検討させていただく。また、評価全体の影響についても、我々としてもしっかりと検討してまいりたいと考えておりますので、今後とも御指導のほどよろしくお願いいたします。
○大友座長 加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 ありがとうございます。
引き抜きという言葉はよくないかもしれませんが、明らかにそちらへシフトしていくという流れが出てくるかなということを大きく懸念しているわけでありまして、募集をかければ、それを見た看護婦さん、我々、今、救急現場の看護師さん、当直とかそういったことがございますので非常に集めにくい、二次救急でも非常に苦慮しているところであります。そこらを志望している大事な看護師さんたちが、先ほど申しましたように、大きくコストの違いというのは明らかにありますので、募集を三次救急がかけていただいたらそちらへシフトする。これは引き抜きという言葉ではなくて、そういう選択が出てくる可能性が十分考えられるわけなので、非常に危険な話だと私自身は思っております。
注意しても、今回こういった評価票に入れると、多くの三次救急の施設ががこの項目を取りに来るわけですから、ただでさえ足りないところに、また新たな需要が出てくるということが懸念されますので、決して引き抜きという言葉ではなくて、そういう流れができてくるという考えで私は思っております。
○大友座長 分かりました。
どうぞお願いします。
○中田課長 事務局でございます。
今回、評価票の試行調査ということで、最終的にそれを評価として取り入れるかどうかというのは改めてまた来年、令和7年度、このスケジュールがありますとおり、そこで最終的な判断をするという流れになっております。
今回の評価項目について、今ここで決めたからすなわち評価の項目に入るというものではなくて、まずは試行調査として実態を調べてみるという段階で御意見を賜りたいなと思っています。その中で、この評価項目を試行調査であったとしても調査することについて、これが非常に問題となるような影響があるのか。例えば、将来的な懸念が想定されるということであれば、試行調査の段階で、この項目を取ったときに現状でも対応ができるのか、それとも、やはり足りなくて何らかの対応が必要なのか、そういったことも併せて情報収集し、また改めて御検討いただくという方法で進められることができるかどうか、そういった点も含めて御意見賜れればありがたいなと思っております。
事務局から補足であります。
○大友座長 恐らく既にクリアしている救命救急センターも相当数あると思うので、これから工夫しなければいけないところがどれくらいあり、どのように看護師配置するかですけれども、それはまた実態調査をやるということでございますので、最終的にはこの項目は消えるかもしれませんし、加納先生、よろしくお願いします。
猪口構成員、手が挙がっているのですか。
○猪口構成員 ずっと挙げていました。
○大友座長 失礼しました。どうぞお願いします。
○猪口構成員 試行調査を行うと、もうそういうふうに決まりのような流れになっているようですけれども、その試行調査も、専門性の高いナースだけがシフトしていくという話ではなくて、それを三次救急院内で24時間体制でそこに置くということではないようだけれども、そこの部署の近辺のところに必ず置いておかなければいけないような状況になってきたときに、それを確保しておくためにほかのナースも急性期に関わっているナースというのは限定的でありますので、二次救急からどんどん行く可能性もある。
試行調査段階で二次救急と三次救急の間の人の流れだとか、それから賃金とか、そういったものも全部含めてトータルで見ていくような調査が加わってこないと、我々としては今まで言っているような懸念は払拭されないと思いますので、試行段階において詳しい調査をぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○大友座長 どういう実態調査、試行調査をしたほうがいいのかも御意見を承るということでございます。恐らくクリアしているところがどのぐらいあって、これからクリアしようとする病院がどのように体制を組むのか、どのぐらいの人員が必要なのか、その辺りを把握することになるのかなと思いますけれども、また猪口構成員からも御意見いただければと思います。
○中田課長 事務局でございます。
御意見ありがとうございます。
例えば今回、6ページの内容だけですと、どういう試行調査をやって、どういうふうに把握するのか、なかなか御理解もこの状況だと難しいのかなと思いましたので、一旦事務局のほうで試行調査の素案みたいなもの、具体的なもの、案を作成させていただきまして、各委員に一度見ていただいた後に、それでいけるかどうかということを御意見賜りたいなと思っていますので、今の段階ではペンディングという形でさせていただければなと思っております。
以上であります。
○大友座長 そういうことで、もし調査の結果、大幅な影響があるようだったらまた検討するということのようでございます。よろしいですか。
どうぞ。
○中田課長 私が申し上げたのは、まず調査をする前の調査票をもう一回見ていただいた上でという意味でございますので、先生方もそれを見てみないとなかなかはっきり意見がここの間というのは難しいのかなと理解しましたので、そういうふうにさせていただきたいと思っております。
○大友座長 ぜひ御懸念のところが確認できるような調査方法を、皆さんの御意見をいただいて実施するということでございます。
それでは、次に参りたいと思います。次はピアレビューの実施に関してでございます。どうぞ御意見をお願いいたします。
手が挙がっております。よろしくお願いします。
○野木構成員 日精協の野木でございます。ありがとうございます。
前回もこの件に関しては質問を出したのです。内容は別に悪くはないと思うのですけれども、ピアレビューというのは同僚審査とか仲間の審査ということなので、第三者のピアレビューは言葉としておかしい。それであれば、充実段階評価に関するレビューの実施ということにされるほうが良いです。第三者のピアレビューというのは非常におかしい。第三者とはと下に書いておられますけれども、ピアではなくて、いわゆる関係者、ステークホルダーの方なのです。ですから、ここにピアレビューという言葉を使うと、私は前回からすごく違和感があったのですけれども、第三者によるピアレビューという言葉は日本語としておかしいと感じているので、されるならばもうレビューとされるのか、ステークホルダーの方からのレビューとするのか、日本語としてちょっとおかしいので、そこは考えられるほうが、良いと思いました。
以上です。
○大友座長 同僚という言い方をしていますけれども、機能評価とかそういうときに客観的にちゃんと適切に行われているかどうかをレビューすることをピアレビューと言っているように思うのですが、坂本参考人、どうですか。
○坂本参考人 ありがとうございます。
このピアレビューという言葉が出てきたもともとは、医療法で定めている特定機能病院の第三者評価の一つとして、特定機能病院同士で行うピアレビューという表記がございました。それと同じような形で、同じ県内、あるいは同じ地域の中で、救命救急センター同士でお互いの工夫あるいは欠点等について検討し合うということがお互いの向上に役立つだろうという意味で、ピアレビューという言葉を使っておりました。ピアレビューは広く第三者評価の一つではあるという概念ですけれども、第三者評価イコールピアレビューという概念ではないと考えております。
○大友座長 野木構成員の御指摘、同僚評価という言葉をそのまま受け取るとそうなのですが、もうちょっと第三者的な評価という意味も入っていると思います。
○野木構成員 ありがとうございます。
おっしゃっていることは分かるのですけれども、私からするとすごく違和感があって、さっきおっしゃったように、同じ施設同士の人たちが見合うというのはピアレビューになると思いますけれども、各都道府県の職員等となってきたら完全にピアではありませんから、全くの第三者になるので、ここはステークホルダーの方なので、日本語としてはおかしいように思いますけれども、僕の意見としてはそういうことを言いたいということです。
以上です。
○大友座長 事務局、どうぞ。
○中田課長 御意見ありがとうございます。
先生の御趣旨を踏まえまして、例えば「第三者によるレビュー」とか、こういうふうにすれば恐らく受け手のほうも理解できるのかなと思います。表現は修正対応させていただきます。
○大友座長 松原構成員、どうぞ。
○松原構成員 第三者によるレビューの第三者とはというところで、医療機関職員と都道府県の職員等となっているのですけれども、ステークホルダーで大きいところは消防車の方々ではないかなと思いますので、そこを明記していただいたほうがよろしいのではと思いました。
以上です。
○大友座長 事務局、お願いします。
○近藤室長 事務局でございます。
消防のほうがもちろん第三者の中に入っていただくというのは一つ大きなポイントかなとは考えておりますし、そうなることは一つの形として有益だとは考えているところですけれども、その一方で、かなり利害関係の強いところもあって、遠慮が出るところもあるやにも聞いておりますので、形としては、消防署がやるというよりは、どちらかというとMC協議会として、その関係者が対応していただくというようなことも含めて、「等」の部分には含むようにイメージはしておるところでございます。
○大友座長 日々運んでいる消防が一番実態は認識しているはずなのですけれども、一方で、受け入れてもらわなければいけないという立場があるので、どうしても遠慮が入るのではないかということで、客観的にならないのかもしれないということで恐らく外れたのだろうと思います。ただ、MC協議会としてということであればよろしいのではないかなということだと思います。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 私も、消防の方が一番御存じだとは思うのですけれども、一番利害関係があるので、かなり評価するのが難しい立場かなと思います。
第三者というのはやはり重要だと思います。例えば都道府県の職員でも、都道府県のセンターであればあげなさいという話になるのではないかなと思いますし、この第三者の在り方というのはどこかでチェックするような形がないと、恐らくあるセンターにとってはいい点数になってしまう可能性もあります。第三者というのは非常に難しいという意味では、さっきのMC協議会にやっていただくとか、いろいろな形での公平性があるような形の第三者であれば、これは2点も上がるわけですから、かなり大きな点数だと思いますので、公平性が保たれる第三者をぜひともきっちりと決めるやり方を表記する必要があるのではないかなと思います。
○大友座長 どうぞ。
○近藤室長 1点追加なのですけれども、決して消防関係者が関わることを否定するものではもちろんございませんで、その地域の中の関係性において、評価に加わっていただけるという部分においては、まさにMC協議会という呼称の下に参加していただく。恐らく搬送件数であるとかそういうファクトベースの部分の評価については、していただくことは可能ではないかなとも思っておりますので、そこを決して否定するものではない。ただ、それを必ずしも入れていただかなければならないと強要することもなかなか難しいとも思っておりますので、それは地域の実情に応じてというか、施設ごとの実情に応じて、レビュアーになっていただく方たちを選定していくというか、そういった形が求められると考えておるところでございます。
○大友座長 加納構成員が御指摘されたのは、甘い点数をつける方と厳しい方で不公平感が出るのではないかなということだと思うのですが、その辺のやり方に関してしっかり試行調査のときに確認するしかないのかなと思いますし、ちゃんとやろうとするとかなり手間がかかるように私は思うのです。その辺も、実際やってみてどうなのかというのもまた確認する必要があるかなと思っております。
どうぞ。
○中田課長 いずれにしても、こういった評価の公正性が重要だと思いますので、先ほどの御指摘のとおり、そういったものが担保できるように最終的にはしていきたいなと思っております。
以上でございます。
○大友座長 レビューに関してよろしいでしょうか。
それでは、次、重症外傷に対する診療体制整備でございます。どうぞ御意見をお願いいたします。
溝端構成員、お願いいたします。
○溝端構成員 溝端でございます。
2つ目の項目に、自施設に外傷外科医等養成研修等の受講者がいるということで、外傷外科医等養成研修は厚生労働省が主催しているものですので、この内容が入るのは非常に妥当なものかと思います。
ただ、恐らくこれの受講自体が全ての救命救急センターにまで行き渡っていないような状況ですので、ここに「等」を入れて、下の説明書きの2つ目のところに、SSTTコースを受講した者又はインストラクターとして参加している者を想定していると追記いただいているのだろうと思います。
外傷外科医等養成研修は、外傷外科医及び外傷の手術に関わる看護師、そして今年度からは麻酔科医も含めた研修となっております。そのように多職種を含めて外傷手術に関わる人たちの能力を上げるオフザジョブトレーニングとして、この養成研修に入っているSSTTコースを入れるということについては妥当なものかと思いますが、同じようなオフザジョブトレーニングとして、ATOMコースやDSTC/DATCコースといったもの、また、それ以外にも御献体を用いた手術手技のトレーニングであるアセットコースASSETコ-ス等もございます。そのようなSSTT以外のオフザジョブトレーニングの受講者あるいはインストラクターがいることも想定して、加点できるような形にしていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○大友座長 恐らくSSTTだけだと、何でSSTTだけなのだと出てくると思いますので、同様のトラウマサージカルトレーニング、御遺体もしくは動物を使ったものですけれども、それも認めてはいかがかという御指摘ですが、いかがでしょうか。
○近藤室長 事務局でございます。
御指摘のとおり、ほかにも研修が存在することは承知をしております。その一方で、この2つについては私どもの外傷外科医等養成研修事業の中で養成をしているというところで、この2つを一旦名指しでというか、明示的に示させていただいているということが現状でございます。
こちらについても、正直そのほかの研修の受講状況がまだ把握できていないということもございますので、試行調査をして、その結果をもって先生方にまた御相談をさせていただくということで考えていければなと思っているところでございます。
以上です。
○大友座長 私のほうから追加で説明しますと、外傷外科医等養成研修は、必ずSSTTかASSETのどちらかを受講することになっているので、この研修を受ければもうSSTTが終わっているということになるので、それ以外でまたSSTTを別個で受けた方が加わるという話になるので、そうするとSSTTの特別感がすごく際立つように思います。
もう一点の懸念は、溝端先生も私も外傷外科医等養成研修事業で実施のほうに関わっているのですけれども、毎年、受講希望者を選ぶときに、当初は4倍ぐらい、つまり4分の1に絞らなければいけない。それから、3分の1、2分の1ということで、今年もたしか10人ぐらい落としたのですけれども、もし要件に入ると希望する受講希望者がかなり増えてしまうことが予想されます。それに対して対応できない状況でこれを要件に入れると、またいろいろ混乱が起きるかもしれない。もしかしたら、希望者が増えても対応出来るように受講枠を増やすとか、そういうことも必要になる対ということになるのかなと考えておりました。
MTPに関して、溝端構成員、御意見があるのではないかと思うのです。
○溝端構成員 ありがとうございます。
前回のこの会議で、外傷診療の質ということにおいては、MTPだけではなくて、もう少し広く診療機能というものを捉えるほうがいいのではないでしょうかということで、日本外傷学会が今年度から行っている外傷診療施設の機能評価の点数などを考慮いただいてはどうでしょうという意見を申し述べさせていただきました。それを考慮いただいた上で、今回についてはMTPということで入れられているのだと理解しております。
あと、このMTPという言葉を言ったときに、ただ単に大量の血液が供給されてくるプロトコールというものもあれば、それが誰によってどれぐらいの時間間隔でどういった分量が供給されるのか、また、プロトコールのスタートと終わりをどのように取り決めているかというものまで含むものもあり、一言でプロトコールと言っても大分質が違うものがあります。このため、本来であれば内容も含めてある程度具体化して、より実効性のあるプロトコールを整備しているというところを評価していただくのがいいのではないかと思いますが、試行調査の中で、そのプロトコールの内容等についても確認いただけるようであれば、それを基に項目の内容を再検討していただけたらと思っております。
私のほうからは以上です。
○大友座長 あくまでも自己申告なので、うちはMTPあります、外来に10単位の大型輸血を用意しています、それだけでMTPやっていますということになるかもしれませんし、何をどう整えればMTPのプロトコールがあるのかということに関しては、明確にしないと混乱が起きるかなと思いますので、また御検討いただければと思います。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 ありがとうございます。
いろいろな問題があるかとは思うのですが、救命救急センターの役割、その1行目に書かれていますように、重症外傷やその他の複数の診療所、例えば脳卒中の妊婦さんとかそういった方々、我々二次救急ではなかなか受けられない患者さんをしっかりと診ていただくのが役割でありますし、第8次医療計画で銃創・爆損傷等の対応もできる医師を育てるのも一つの三次救急の役割ということが明記されておりますので、非常に大事なところだと思っております。そういう意味では、ぜひともこのポイントは今回、追加すべきことだと私も思っておりますので、よろしくお願いします。
○大友座長 それでは、よろしいでしょうか。
次に進みたいと思います。第三者による医療機能の評価でございます。御意見をお願いいたします。
これはJCIを追加ということで、特に御異論はないと。
猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 救急における機能評価はすごく大事なことだと私は思っています。患者さん側からすると、どこに行くかということを選択できない状況でセンターに運ばれることが多いと思いますので、質の高さというのはすごく大事なことだと思います。
○大友座長 音声が途切れました。
○猪口構成員 機能評価は非常に大事なことだと思いますので、一つ加わることは賛成です。
以上です。
○大友座長 ありがとうございます。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 私も猪口先生と同じで、本当の第三者的な形での評価は大事でありますし、今後、以前から言われていますように、三次救急が307という施設数も、以前から考えますと、本来は100万人に1か所という最初の趣旨から考えますとはるかにオーバーしている中で、これからの集約化も含めた考え方の中では、第三者による医療機能評価というのも一つの大きなポイントになるのではないかなと思いますので、ぜひともこれは入れるべきだと思っております。よろしくお願いします。
○大友座長 特に御異論ないということで、次に行きたいと思います。
次は、診療データ登録制度への参加と自己評価でございます。御意見をお願いいたします。
本多構成員、どうぞ。
○本多構成員 ありがとうございます。
これまであった項目の変更案ということでございますけれども、まず「日本外傷データバンク」に登録していることと、「自傷・自殺未遂レジストリ」に登録していることを評価点評価に加えていくという辺りについては、望ましい、よろしいことではないかと思います。
ただ、現場の御意見とかを聞いてみますと、ほかにも院外の心停止のレジストリですとか、ICU患者さんのデータベースとか、あとは熱中症の被害も年々増えつつありますけれども、そちらのほうの疫学調査ですとか、ドクターカーのレジストリ等、いろいろな登録や疫学調査やレジストリに関わっていらっしゃるセンターさんもあると伺っています。
原案ですと、まず「日本外傷データバンク」に登録していれば1点で、さらに「自傷・自殺未遂レジストリ」に登録している。これも大事なことで、これをやっていれば1点加点ですけれども、院外心停止、ICU、熱中症については、ドクターカーもそうですけれども、やっていたとしても、あるいは逆にやっていなかったとしても、あまり点数には影響がないというような形になっているので、この辺をどうするかという辺りは、一つ検討のポイントかなと感じました。
また、実際事務的な負担という面でも、結構影響があるというようなお話は病院のほうからお聞きしておりまして、医師の働き方改革とか医師の確保とかの影響を心配する声も一部ございました。もちろん医師が登録しなければこの登録システムができないのかどうか辺りは細かく聞いておりませんので、一概に言えるものではないのかもしれませんけれども、そうした辺りも含め、点数の配分なり、他の評価項目案ではJCIの話もありましたけれども、ほかの登録に協力していたらどう評価するかなど、その辺については聞かれた場合にきちんと整理してお答えできるような形が望ましいのではないかと思いました。
以上でございます。ありがとうございました。
○大友座長 ほかにも多くのレジストリがある中で、この2つであることに対して説明がちゃんとできるようにしておかなければいけないのではないかという御指摘でございました。
いかがでしょうか。
○近藤室長 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、多くのレジストリが存在していることは承知をしておりまして、その全てを求めていくのかというところになるかと思うのですけれども、順番というか優先順位という話でお話をさせていただければと思います。
そういった観点で申しますと、先ほどほかの委員の先生からもありましたとおり、外傷の対応というのは救命救急センターに求められる最も重要な機能の一つであろうと考えておりますので、「日本外傷データバンク」への登録というのは一つ入れておきたいと考えております。
さらに自傷・自殺未遂、自殺に関するレジストリについては、我が国においても社会的にも非常に大きな課題であると考えている。さらには、CPAとかについては、救急の先生方のところに運ばれて、救急の先生方が蘇生をするという意味では、入り口と出口が一緒といえば、共通の部分がかなりあるというか、見渡せる部分もあろうかと思う一方で、自傷・自殺というところについては、精神科との連携といったところにもつながってまいります。精神科と救急の連携というのは、恐らく一つ課題として大きなものだと考えておりますので、そういった意味でも、結果的にこのような行動を取られた方の情報をしっかりと集積をするということが精神科医療のほうにもお役立ていただけると思いますので、そういった大きな目で見ると、このレジストリのほうもぜひ今回進めてまいりたいと考えたところでございます。
以上です。
○大友座長 どうぞ。
○本多構成員 御趣旨は資料を拝見させていただいてよく分かります。自殺とか精神科との連携というのは大事な視点で、そこまでできることが望ましいという方向性を示すということに何ら反対するものではないのですけれども、事務的なお話として、登録ということは事務的に結構現場の負担にもなり得るのかなということと、その中で「日本外傷データバンク」のほうは当然と言うと怒られてしまいますけれども、まず最初の1点目というのはそんなに異存はないのかなと思うのですが、次の加点については、自殺のレジストリのみ加点対象で、ほかは対象ではないという辺りの考え方がそれでいいのかということについて、どう説明するかというのがちょっとあるかなと思ったので、発言をさせていただきました。
もし重要性が同等のものがほかにもあるということであれば、あるいは逆に重要性のあるものがほかにないということであれば、その辺りで説明していくしかないと思いますし、これかこれか1つか2つやればもう一点加算というような考え方があってもおかしくはないのかなとは思うのですがその辺をどう整理されているのかをお聞きできればと思いました。
○大友座長 複数のもので可にしてはいかがかということです。
○近藤室長 おっしゃるとおり、ほかのレジストリについてもというところはあろうかと思いますけれども、このレジストリ全体について、今回、試行の中で、この2つに限らず少し調査を行って、今の実施状況等を把握した上でまた御検討させていただいて、先生方にも御相談をさせていただければと考えておりますので、自殺のレジストリについては、重要性は考えているところではございますが、ほかのものの重要性がないというわけでは決してございませんので、その辺りも検討させていただきたいと思っております。
○大友座長 このレジストリは、日本臨床救急医学会が実施されるということですけれども、日本臨床救急医学会の立場から御説明を追加いただけますか。溝端構成員。
○溝端構成員 ありがとうございます。
臨床救急医学会代表理事の溝端でございます。
「自傷・自殺未遂レジストリ」は、厚生労働科学研究の一環として、2021年度だったかと思いますが始まりまして、そして現在は日本臨床救急医学会と厚生労働大臣指定法人の一般社団法人いのち支える自殺対策推進センターの共同でこのレジストリを管理して進めているところでございます。
今申し上げましたように、まだ歴史的には2~3年ということで浅く、現在参加している施設数は57施設というところで、今後ますます自傷・自殺が問題になってくるであろう中で、しっかりとその背景を検証できるようなレジストリを進めていきたいというのが日本臨床救急医学会の立場でございます。
そうした中で、今回の救命救急センターの評価項目の中に本レジストリの登録というものが組み入れられましたのは、このレジストリ登録を進めていくという中で、大変ありがたい内容ではないかと思っております。
ただ、現状、先日出しました報告書で、先ほど申し上げましたように、日本で57の病院が登録しているのみであるということを考えると、新たにこの項目が評価項目の中に加わった場合に、新しくレジストリ登録をする手続をしないといけない施設はかなり出てくるのだろうとは思っています。ただ、このレジストリを推進していくという意味では、日本臨床救急医学会としては大変ありがたい内容だとは思っております。
以上です。
○大友座長 ということでございます。
手が挙がっている松原構成員、どうぞお願いいたします。
○松原構成員 主要先進7か国の中で日本は最も自殺死亡率が高いということ。これがよく高齢者も多いからではないかと言われるのですけれども、若者の死因のトップが自殺というのは日本ぐらいで、非常に特異な状況にありますので、ぜひ対策の推進強化のためにも、こうしたデータバンクなりレジストリの登録などでこういう評価をすることが後押しになると思いますので、進めていっていただければと考えています。
以上です。
○大友座長 若者の死因の観点からいうと、自殺は非常に重要な疾患であるということで、その実態を把握するこのレジストリは重要だろうと。57施設ではなくてもっともっと広げていくべきだろうという御意見だと思います。ありがとうございます。
それでは、野木構成員、お願いいたします。
○野木構成員 ありがとうございます。
同じ意見で、溝端構成員も言われたのですけれども、自傷・自殺未遂等はかなり多くて、日本精神病院協会としては、今、問題視されているところでありますので、今回ここに入っているというのは非常にありがたいし、今後それに対する対策も考えていくという意味合いで、このレジストリが入っているということは非常にありがたく思っていますので、外さずこれを入れていただきたいというように思っていますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○大友座長 御意見承りました。
ほかはよろしいですか。加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 ありがとうございます。
確かにこのレジストリというのは非常に大事だという認識でいきますと、救命救急センターだけではなくて、我々二次救急の現場でもこういった方々が取り扱いをするわけなので、病院団体としてもこういう大事な方向性を共有化する必要があるのかなと思っております。そういう意味では、まず第一歩として救命救急センターがやるという段階かなと認識しております。ぜひともこれは日本全体で考えるべき一つの在り方かなと思います。
○大友座長 ということでございます。
よろしいでしょうか。
それでは、5項目終わりましたけれども、ほかに全体を通して、今後の流れも含めまして、確認、御質問をお願いいたします。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 4ページのところに、いわゆる充実段階評価の現行があるわけなのですけれども、今回5つ入ると新たに5つ増えるということで、50項目になるという認識なのか、どこかへ入れ込むのか。今、点数が100点満点でつけられているとしたら、もし新たにつくるとなると、点数をどういうふうにいじるかということも議論していくことになるわけなのでしょうか。
○大友座長 事務局、お願いいたします。
○近藤室長 御認識のとおりでございまして、基本的に足す分を必ず5項目抜くと決めたわけではございませんけれども、全施設達成されているものについて、不要だという考え方もできるかとは思いますので、こちらのほうも併せて検討したい。100点満点でなければならないというルールも特にあるわけではございませんので、そこら辺も併せて、しっかりと試行調査の後に評価の仕方についても御相談をしたいと考えております。
以上です。
○大友座長 5項目増えた分、減らすことも検討すると。全ての救命救急センターが達成しているところは不要になるかもしれないということでございました。
ほかに御意見、確認事項はございますか。
溝端構成員、どうぞ。
○溝端構成員 今回、ピアレビューを行うという項目が追加されるということですが、従来からある項目に関しまして、その判断基準というものについては一応注意書きというか説明文があるのですけれども、その説明文でもなかなか判断がつきにくいところがあるように感じています。自らの評価の中では、どうしてもいいほうに点数がつくように判断、評価をしているというところがあるのですけれども、ピアレビューを行っていくという中では、この辺りの内容について明確に理解でき、そして判断のぶれがないような形での定義をより明確にしたほうがいいのではないかと思っています。
そういった意味で、現在の項目の中でも、評価をつけるに際し少しあやふやな内容というか、どういうことを求めているのかということが少し不明瞭な部分があるかと思いますので、そのことについても確認といいますか調査をしていただけますと、ピアレビューの中での評価がより正確なものになっていくのではないかと思っています。
以上です。
○大友座長 そこのところは非常に重要だと思います。先ほどの加納構成員からの指摘もそうですけれども、公平にやれるようにしていかなければいけないだろうと。
多くの機能評価等々では、自己評価と評価者の結果が間違うこともあったり当然しているわけです。その辺のところをきちんと客観的にできるようにというのは必要だなと思います。
本多構成員、どうぞ。
○本多構成員 関連して、溝端構成員のおっしゃったとおりと思いますけれども、今後、都道府県の職員等がレビューのほうに関わって、役割を果たしていくとなると、例えば医務業務ですとか、病院の管理とか調整とかということに関わっていないわけではないのですけれども、こうした三次救急の機能の中身に関して公正な立場で評価をするとなると、いろいろな視点でいろいろなセンターから出てきた場合に、どこまで評価としてよしとする、あるいはこれがない場合は指導・助言等を考慮すべきかという辺りは、技能的な意味でも難しい部分が出てくる可能性もあると思いますので、統一性が図られるという観点から、その辺の事務的なサポートについては配慮が必要と思いますので、よろしくお願いできればと思います。
以上でございます。
○大友座長 分かりました。
ほかはよろしいでしょうか。
特にこれ以上御意見がないようでしたら、事務局のほうにマイクをお返ししたいと思います。よろしくお願いいたします。
○浦部専門官 次回のワーキンググループにつきましては、日程が決まり次第、お知らせいたします。
よろしくお願いいたします。
○大友座長 それでは、これにて本日のワーキンググループを終了いたします。
長時間ありがとうございました。