中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第231回議事録(2024年12月18日)

日時

令和6年12月18日(水) 10:00~

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア8階

出席者

構成員等
事務局

議題

  • 令和7年度薬価改定について

議事

議事内容

○安川部会長
 おはようございます。
 ただいまより、第231回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。本日もよろしくお願いいたします。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は全委員が御出席です。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○安川部会長
 それでは、議事に入らせていただきます。
 今回は「令和7年度薬価改定について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 資料薬-1を御覧ください。
 これまでの議論と2回の業界ヒアリングを踏まえた論点整理でございます。
 2ページを御覧ください。
 平成28年の4大臣合意では、国民皆保険の持続性とイノベーションの推進を両立し、国民が恩恵を受ける国民負担の軽減と医療の質の向上を実現する観点から、中間年においても、価格乖離の大きな品目について薬価改定を行うとされております。
 また、骨太方針2024では、イノベーションの推進、安定供給確保の必要性、物価上昇など取り巻く環境の変化を踏まえ、国民皆保険の持続可能性を考慮しながら、その在り方について検討することとされております。
 3ページ目を御覧ください。こちらは令和6年度薬価調査の速報値、4ページ目は診療報酬改定がない年の薬価改定の実施についての主な御意見でございます。
 5ページを御覧ください。
 上の表は、過去の平均乖離率と薬価改定の対象となった乖離率の範囲であり、下がこれまでの主な御意見でございます。
 6ページ目、こちらは薬価調査の分野別の乖離率等でございます。
 7ページ目は、令和6年薬価調査結果に基づき、改定対象となる品目数について、医薬品のカテゴリー別に試算をしたものでございます。上記の棒は、上から全体、新薬、そのうち新創加算対象品、長期収載品、後発医薬品、その他医薬品について、水色の部分が、仮に過去の改定対象と同様に平均乖離率5.2%の0.625倍を超える範囲を示しております。目印ですが、白丸が平均乖離率の2倍、ひし形が平均乖離率、黒丸が平均乖離率の0.75倍、星型が0.5倍のところを示しております。
 8ページからは、どのような算定ルールを適用するかについて論点整理をいたしました。
 9ページ目は、算定ルールの一覧と過去2回の適用の有無。
 10ページ目は、算定ルールと判断要素及び対象カテゴリーを示したものでございます。
 11ページ目は、イノベーションの推進についてでございます。
 12ページを御覧ください。
 令和6年度薬価制度改革骨子のイノベーションに関する記載で、次期薬価改定に関する記載といたしまして、新創加算の控除時期があり、その記載箇所と、これに関するこれまでの御意見について記載をしております。
 13ページ及び14ページは新創加算の概要と企業要件であり、赤字が令和6年度制度改正で変更したところでございます。企業指標とこれに基づく加算係数の設定を廃止したこと等により、平均乖離率以内の新創加算対象品は、薬価が維持される額が加算されることとなっております。
 15ページ目は、新薬収載時の補正加算のリストでございます。
 16ページ目~20ページ目までは、9月開催の薬価専門部会の資料に、11月に収載されました新薬の情報を追加したものでございます。
 16ページは、何らかの補正加算が適用されたものの割合でございますが、昨年度は約7割ですが、今年度は約8割となっております。
 21ページを御覧ください。
 こちらは薬価改定時の加算の資料でございます。赤字が令和6年度薬価制度改革での変更の点でございます。
 下の注3を御覧ください。新創加算の対象品目でなかった新薬に本加算が適用されますと新創加算品となり、要件を満たせば薬価が維持されることとなります。
 22ページを御覧ください。
 こちらは令和6年度の改定時の加算の実績でございます。加算率でベージュに塗られている箇所が加算を充実させた品目、そして左側にピンクの円で新創と記載がある2品目が新たに新創加算品となったものでございます。
 23ページを御覧ください。
 今年度に初めて収載された後発医薬品及びバイオシミラーのリストでございます。
 24ページ、こちらは収載後の外国平均価格調整でございます。
 こちらは前回の中間年改定の対象でしたが、該当品目はなかったルールでございます。これまで引下げのみのルールでございましたが、令和6年度では引上げのルールが赤字のとおり追加をされております。
 25ページを御覧ください。
 こちらは後発医薬品が収載された新薬の薬価算定についてでございます。令和6年度骨子では、10月に開始された選定療養を踏まえ、後発品への置き換えの状況等について検証し、さらなる薬価上の措置について検討することとされております。
 26ページ、こちらは長期収載品の算定ルール。
 27ページは選定療養の概要でございます。
 なお長期収載品の選定療養につきましては、検証調査が実施され、その結果は来年の春頃に報告される予定となっております。
 以上が、令和6年度薬価制度改革を中心といたしました新薬に関するめり張りをつけたイノベーションの評価でございます。
 おめくりいただきまして、次は医薬品の安定供給確保についてでございます。
 29ページからは、企業評価指標の導入及び評価についてでございます。
 29ページ上段は、令和6年度骨子の記載と、その後、31ページまでは、企業評価等に関する主な御意見でございます。
 32ページを御覧ください。
 こちらは令和6年度における企業評価を用いた算定のルールでございます。
 33ページ~35ページまでは、企業評価指標と評価方法でございます。
 新たに評価方法が策定されましたのは、33ページの全て、34ページの最上段の3.の①、そして35ページの最後の3.の⑦でございます。
 36ページが、本企業指標を活用するスケジュール案でございます。来年度は、全ての指標について企業評価を実施し、薬価改定時に反映をする。令和8年度以降は、これらを実施するとともに、企業評価を公表することとしております。
 37ページは、実際に企業の評価方法を当てはめたシミュレーションの結果でございます。トータルが0ポイント未満となった企業をC区分、全体の上位20%をA区分、残りをB区分としたものでございます。
 次は、薬価の下支え制度でございます。
 38ページを御覧ください。
 不採算品再算定に関してですが、骨子では、令和6年度に不採算品再算定を適用された品目につきまして、次の薬価調査の乖離状況を確認、2年連続の特例的取扱いを踏まえて、適用の在り方を検討するとされております。
 39ページ、こちらは算定ルール、そして赤字の部分が過去2年での実施において特例的に適用しないとされた箇所でございます。
 40ページが、令和6年度に不採算品再算定が適用された品目の乖離率の状況でございます。対象品目の平均乖離率は2.1%、95%以上が平均乖離率の5.2%以内となっております。
 41ページ、こちらが基礎的医薬品でございます。
 42ページ~44ページまでが安定確保医薬品でございます。
 45ページが昨年大臣要請を受けました品目に関する概要等でございます。
 46ページを御覧ください。こちらは物価関連指標の動向でございます。
 47ページは、直近の民間主要企業における賃上げ動向でございます。
 48ページは、最低薬価でございます。
 49ページは、最低薬価に関するご意見でございます。
 最後に、国民皆保険の持続性の観点から、51ページは市場拡大再算定についてのご意見でございます。
 52、53ページは市場拡大再算定でございます。
 54ページは効能変化再算定でございます。
 それから、55ページは用法用量変化再算定でございます。
 最後に57ページを御覧ください。
 論点は7つございます。前回12月4日の論点から2つ追加しております。それは下線で示しておるものでございます。
 追加されたものは、上から3つ目、改定の範囲についてでございますが、医薬品の取引実態を踏まえ、新薬、そのうち新創加算対象品の新薬、長期収載品、後発医薬品、その他品目などの医薬品のカテゴリーごとに薬価差の程度や役割等を踏まえた場合に、「価格乖離の大きい品目」をどのように考えるのかというもの。
 それから、下から3つ目の不採算品再算定を適用する場合、安定供給に対する効果は限定的であるという意見がある中、医療上の必要性が高い品目をどのように考えるかとしております。
 58ページ目以降は参考資料となりますので、説明は割愛させていただきます。
 薬-1の資料は以上となります。よろしくお願いいたします。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関しまして御意見、御質問等ございましたらよろしくお願いします。
 では、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 ただいまの説明の冒頭で示された4大臣合意では、国民が恩恵を受ける「国民負担軽減」と「医療の質の向上」を実現する観点から、薬価制度抜本改革に取り組むとされています。薬価改定だけでなく、物価高騰等による昨今の医療を取り巻く極めて厳しい状況の中、医療の質の維持・向上のためには、時宣に即した評価が必要と考えます。医療機関においては、こういった環境も踏まえた医療の質向上への対応として、医療DXの取組強化等とともに、働き方改革への万全な対応など時代に即した努力が求められ、実行を続けております。4大臣合意において盛り込まていれた「国民負担軽減」と「医療の質の向上」という薬価制度抜本改革の本来の目的を意識した対応としていく必要があると考えています。
 それでは、57ページの論点についてですが、前回と同様の点については、既に以前に意見を述べておりますので、今回追加となった箇所についてコメントいたします。
 まず、改定の対象範囲については、医薬品の役割等に対応して、価格乖離の大きな品目を考えることは合理的と考えます。価格乖離の大きい品目については、様々な考え方があり得ると思いますが、これまでの議論の大きな流れである長期収載品に依存しない創薬開発型企業への転換や、後発医薬品の使用を促進することで国民皆保険の持続性を維持していくといった視点に加え、昨今の安定供給確保の必要性等にも配慮しつつ、できるだけシンプルに考えるのがよいと考えます。
 次に、不採算品再算定については、これまで2年連続、特例的に、大規模に行ってきましたが、残念ながらいまだに必要な医薬品がいつも届くという状況とはなっておりません。円安、物価上昇、賃金上昇など、原価が上がる要因が継続していますので、必要な医薬品が患者さんに届くよう対応を検討することは必要ですが、不採算品再算定を行う場合に、その範囲は、必要性のより高い品目やこれまでの対応が十分ではなかった品目に限定することなど、メリハリのついた対応を提案いたします。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見。
 では、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 薬-1の57ページの論点の中でも、特に追加の5つ目のポツの部分に関しまして、歯科の立場から発言させていただきます。
 これまでも何度も発言いたしましたが、小規模な歯科医療機関を中心に、日常的に使用する薬剤が品薄状態になっていることに関しまして、これまでにはなかった危惧を抱いております。安全・安心な医療の提供を持続していくには、医薬品の安定供給の問題は非常に重要な課題でございます。
 中間年薬価改定に関しましては、足元の供給不安に拍車をかけることがないように、薬価の下支え制度を含め、安定供給確保とのバランスをしっかりと考慮して対応すべきと考えております。
 また、薬価財源につきましては、一部は安全・安心な医療提供に還元されるべきという日本医師会の長島委員、これまでも御発言いただいておりますが、その内容に賛同いたします。御対応のほど、よろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 では、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 資料と57ページ目に示されている論点について、幾つかコメントをさせていただきます。
 まず1つ目の論点についてですが、これまでも申し上げているとおり、中間年改定を実施できる状況ではないと思います。また、4大臣合意からの医療、医薬品を取り巻く状況の変化を踏まえて、中間年改定については廃止に向けて検討していくべきと考えます。
 仮にやむを得ず中間年改定を実施するのであれば、イノベーションと安定供給の確保、そして薬局・医療機関へ与える影響に十分配慮する必要があります。特に薬局は薬剤料の割合が大きいため、備蓄医薬品の資産額の目減り、売上げの減少は薬局経営に大きな損害を与えます。47ページ目に民間企業の賃上げ動向がありますが、現場が賃上げ等に対応できる、そして医療の質、国民の医薬品アクセス低下とならないよう、薬局・医療機関を支える対応は不可欠だと考えます。
 また、長期収載品の選定療養の導入により、安定供給がまた悪化し始めているという情報にも接しています。長期収載品の選定療養については、その他にも、薬局における患者への説明が長時間に及ぶ事例が多数報告されるなど、薬局に大きな負担を生じさせています。現場ではこれらの影響に大変苦労しているところで、これらに関する配慮が必要です。
 次に、2つ目の論点の改定対象範囲についてですが、以前も発言いたしましたが、もっと対象範囲は限定すべきと考えます。乖離率が縮小しているにもかかわらず、同じ改定対象範囲で実施することは、対象範囲をさらに拡大していることと同義と考えます。平成28年の4大臣合意では、価格乖離の大きな品目について薬価改定を行うとされており、価格乖離が大きいというのは、平均乖離率1倍超より下は切り込み過ぎているという認識です。
 次に、3つ目の論点についてですが、医薬品のカテゴリーごとの乖離率を踏まえた対応はあり得るものと考えます。過去2回の中間年改定では、改定対象範囲の決定に当たり、医薬品のカテゴリーにかかわらず、一律の乖離率の倍数が適用されていましたが、医薬品のカテゴリーごとに対応を変えるのは、イノベーションや安定供給確保への配慮からあり得るものと考えます。
 次に、4つ目の論点についてです。既収載品の算定ルールに関しては、前回の薬価改定で適用された外国平均価格調整やイノベーション、安定供給確保の観点から、特に適用が必要であると考えられるものを除き、実勢価改定と連動するものに限定して適用することを原則とすべきと考えます。その上で、安定供給の点から不採算品再算定の適用は必要ですが、過去2回の改定で大規模に対応していること、前回の業界ヒアリング内容等を踏まえながら、適用の際には全ての不採算品目に対して再算定を適用するのではなく、乖離率に加え、医療上の必要性や効果の点から、どのような範囲で行うか検討する必要があると考えます。
 また、令和6年度の薬価改定では、イノベーション評価の充実が高く評価されていると理解しています。中間年改定でもイノベーション評価はさらに充実させるべきであり、例えば新薬に対する改定時加算を適用するなどの対応があり得るものと考えます。
 また、市場拡大再算定については、イノベーションの推進やドラッグ・ラグ/ロスの解消の観点からも、中間年改定での適用はすべきではないと考えます。
 次に、6つ目の論点についてです。48ページ目に示されている最低薬価は、医薬品の安定供給を支えるために設定されています。しばらく見直しが行われておらず、物価変動や現在の原材料価格等の高騰やインフレ下に鑑みた見直しは必要と考えます。
 一例を挙げますけれども、例えば精製水は内用液剤の調製や消毒剤の希釈などに用いる医療上必要な医薬品となりますが、薬価が10ミリリットル1.1円~2.5円と非常に低薬価であるため、250ミリリットルの薬価が27.5円~60.25円となります。医療用医薬品としてのレギュレーションによって品質管理・製造販売しているにもかかわらず、一般的な清涼飲料水よりも安価となっています。現在の薬価では採算性が乏しく、長期的な安定供給に支障を来しかねない状況だと考えます。昨今の原料、資材価格の高騰化、人件費の高騰、流通経費の増大等を踏まえ、最低薬価の引上げを検討する必要があると考えます。
 最後、7つ目の論点についてですが、32~36ページ目に示されている企業指標や企業評価を導入することや、企業指標に関するスケジュールに異論はありません。評価指標、評価方法を見ると、プラスの評価項目が少ないように感じます。また、37ページ目のシミュレーション結果では、安定供給のために重要な支障となる予備能力が高く、マイナスが多くないにもかかわらずB区分となっているところがあるなど、以前も発言しましたが、こうした評価は初めての試みであり、企業にどのような影響があるのか、また、この指標や評価方法が妥当なのか、評価の重みづけは合っているのかなど、検証しながら慎重に進めていくべきと考えます。
 最後に1点質問で、37ページ目の表のC区分の最後にプラス評価がなく、全てマイナス評価の企業がありますが、これはどういう企業なのかということがもし分かるようであれば、事務局からお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 今の御質問について、事務局から回答をお願いいたします。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長
 医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。
 今、森委員から御指摘いただきました37ページのグラフ、C区分の一番右のところにプラス項目が一つもなく、マイナスの企業があるということ、このグラフでも御覧いただけるかと存じます。御指摘の企業は、今回初めて評価の対象といたしました情報の公表、ここでいうと濃い青の1番「後発品の安定供給に関する情報の公表など」、こうしたことにつきまして、私どもはこうした情報の公表を求めているわけですが、残念ながらまだ御対応いただいていないということで、そうしたことが大きくマイナスになることが影響して、マイナスの評価となっているものでございます。
 私どもが情報の公表を求めておりますのは、安定供給ができる、そういう企業を可視化して、当該企業の品目を医療現場で選定しやすくする、こうしたことを目的としているものでございます。これまでも当該企業に対しまして、この情報公表の対応を求めてまいりましたが、引き続き対応を求めてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○安川部会長
 森委員、いかがでしょう。
 お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 情報の公開もしない、それから供給実績もマイナスということは考えられないと思います。産業構造改革を進め、このような企業をどうするのか、また、37ページ目のシミュレーション結果等を参考に、評価指標、方法等について検討していく必要があると考えます。
 以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見。
 では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 どうもありがとうございます。
 それでは、初めにまず令和7年度薬価改定に向けた基本的な考え方を申し上げたいと思います。
 まず、先週の業界ヒアリングでは、私どものほうから薬価調査の速報値に関する受け止めについて各団体にお尋ねしましたけれども、製薬団体からは特段のコメントがありませんでしたので、卸連からのみ御説明のあった範囲で判断するしかございませんけれども、流通改善ガイドラインにのっとって価格交渉が行われた結果、全体的には乖離率が縮小している中でも、いまだ競合品があるものや物量が多いものは依然として大きな薬価差が出ていること。一方で、不採算品再算定品目については平均乖離率が2.1%と縮小しておりますので、特に手堅く売ってくるという実態があることを踏まえますと、粛々と実勢価改定を実施することで、薬価差を速やかに国民負担の軽減に還元しても、安定供給自体に支障はないものと考えております。
 また、イノベーションの評価や安定供給対策とのバランスの中で、医療保険制度の持続可能性を確保する必要性についても、総論としては業界の皆様にも御理解をいただいたものと受け止めております。
 以上のような基本認識に基づきまして、57ページの論点についてコメントしたいと思います。
 まず、論点の2つ目と3つ目にあります実勢価改定の対象範囲についてですが、資料7ページにありますとおり、令和6年度薬価調査結果に基づく試算を見てみますと、対象範囲を狭めるほど新薬が対象から外れて、平均乖離率の2倍というあまりに極端なケースを別といたしますと、後発品については大きな変動がないということが分かります。
 また、イノベーションの評価という観点でいえば、新薬創出加算の対象品目は、一旦改定の対象になったとしても、加算で薬価が戻ることを踏まえれば、新薬を含めて幅広く対象範囲にすべきだと考えております。
 論点の5つ目にあります不採算品への対応にも関連いたしますが、安定供給確保の効果が限定的な不採算品再算定の特例的な充実は、これ以上繰り返す妥当性は乏しく、以前にも指摘しましたが、実勢価改定の対象範囲を狭くするのであれば、当然、不採算品再算定や最低薬価の維持に充当する財源が限定的になるということが考えられます。
 論点の4つ目の適用する算定ルールにつきましてですが、基本的には全てのルールを粛々と適用すべきという考え方は変わっておりませんが、特に新薬創出加算の累積額控除については、資料の23ページが今回の対象品目ということだと思いますけれども、後発品に市場を譲りつつ、長期収載品として患者負担の軽減、そして医療保険制度の持続可能性に寄与していただくという観点からも、過去に実勢価改定で薬価の引き下げが猶予された部分は、しっかり還元すべきと改めて主張いたします。
 最後に、後発品産業の構造転換に向けた対応についてですが、37ページにございます企業指標のシミュレーション結果を見てみますと、A区分であったとしてもピンクの少量多品種構造の適正化、あるいは水色の薬価の乖離状況に関するマイナスが出ていることは、やや懸念材料と感じております。
 また、全体的なグラフの形状を見た率直な印象として、上位20%でA区分とB区分の境界線を引く妥当性にやや疑問はございますけれども、ヒアリングの場で、高い品質の医薬品を安定供給するために企業指標が設定されたものであるという認識が業界からも示され、全ての指標を適用することで、安定供給確保に逆行する懸念は特段ないというコメントがございました。
 したがいまして、令和7年度からは可能な限り幅広い指標を適用した上で、企業区分の基準について、次期薬価制度改革で改めて議論すべきと考えております。
 私からは以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問。
 では、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 令和7年度の薬価改定につきましては、繰り返しになりますけれども、国民負担の抑制や国民皆保険の持続可能性の観点から、平時のルールに基づき例年どおり行うべきものと考えております。そのため、対象範囲についても、令和3年度、令和5年度薬価改定の前例を基に検討していくべきだと思っております。
 一方、イノベーションの推進、安定供給確保の必要性、物価上昇など取り巻く環境の変化を踏まえる必要性についても理解をしておるつもりですが、両立を図っていくのが妥当かと考えております。
 そうした観点で、今回の改定で考慮が必要なケースであれば、その範囲を特定して対応を行うべきであると考えております。
 特に不採算品再算定につきましては、その効果に疑問も生じているところではありますけれども、物価高騰や賃上げが続く中、今般も対応を行うのであれば、メリハリのある対応が必要と考えております。前回と同じルールをそのまま適用するのではなく、医療上必要性が高い品目に限定することに加え、乖離率要件等についても検討していただきたいと考えております。
 以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見。
 では、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 資料47ページの賃上げの動向を見ますと、2024年は5.33%と昨年より伸びております。以前にも申し上げましたが、こうした状況も勘案し、総合的な配慮が必要ではないかと考えております。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかに。
 では、奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員
 ありがとうございます。
 私からは、前回の業界からのヒアリングを踏まえた意見を申し上げたいと思います。
 令和6年度薬価制度改革によって、国内への新薬の早期上市の促進に向けた前向きな動きが起こり始めているということが紹介されました。また、後発品の安定供給に向けた取組も紹介されたところであります。
 令和7年度の薬価改定の在り方を検討する上では、国民負担の軽減と併せて、こうした製薬業界の取組意欲が阻害されないよう、改定対象範囲などに配慮することも重要ではないかと思います。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。
 これまでの御意見、コメント等で、もし事務局から補足などございましたら。特によろしいですか。
 それでは、ほかに御意見、御質問がないようですので、出尽くしたようですので、本議題については、本日はここまでとさせていただきます。
 今後、事務局において、本日いただきました御意見も踏まえて、御対応をよろしくお願いいたします。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の「薬価専門部会」はこれにて閉会といたします。
 どうもありがとうございました。