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- 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第229回議事録(2024年12月4日)
中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第229回議事録(2024年12月4日)
日時
場所
出席者
- 構成員等
-
- 安川文朗部会長
- 笠木映里委員
- 本田文子委員
- 小塩隆士委員
- 鳥潟美夏子委員
- 松本真人委員
- 佐保昌一委員
- 奥田好秀委員
- 長島公之委員
- 林正純委員
- 森昌平委員
- 藤原尚也専門委員
- 石牟禮武志専門委員
- 荒川隆治専門委員
- 事務局
-
- 鹿沼保険局長
- 林医療課長
- 木下医療技術評価推進室長
- 米田保険医療企画調査室長
- 清原薬剤管理官
- 和田歯科医療管理官 他
議題
- 令和7年度薬価改定について
議事
- 議事内容
○安川部会長
おはようございます。
ただいまより、第229回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。本日もよろしくお願いいたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は江澤委員が御欠席です。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○安川部会長
それでは、議事に入らせていただきます。
今回は「令和7年度薬価改定について」を議題といたします。
事務局より複数の資料が提出されておりますが、いずれも関連する内容ですので、まとめて御説明をお願いしたいと思います。
それでは、事務局、御説明をお願いいたします。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長
医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。
私のほうからは、薬-1「令和6年医薬品価格調査(薬価調査)の速報値」について御説明を申し上げます。
2ページへお進みいただけますでしょうか。
本年の薬価調査につきましては、7月17日の総会で御承認をいただいておりました。そうした調査計画に基づきまして、令和6年9月取引分につきまして、販売サイドから11月1日までに報告があったものを集計した速報値でございますが、平均乖離率約5.2%となってございます。
注の3のところに、過去2回分の実績を付してございますが、前回令和5年度は6.0%、前々回令和4年度は7.0%となってございます。
続きまして、後発医薬品のシェアでございます。
本年9月時点における後発医薬品の数量シェアは約85.0%となってございます。注の3に過去の実績をつけてございますが、前回令和5年度は80.2%でございました。
また、後発医薬品のシェアにつきましては、本年9月、後発医薬品の使用に係るロードマップの中におきまして、副次目標として新たに金額シェアを設定いたしましたので、今回、金額シェアについてもお示しをいたしてございます。金額シェアは、本年9月時点におきまして約62.1%となってございます。注の3のところに、前回、令和5年度56.7%であった旨を記載してございます。
3ページにお進みいただきますと、速報値の内訳として、分野別の乖離率についてお示しをしてございます。
これは、前回確定値の際にお示しをしていたものを、今回は速報値の段階でお示しをしているものでございます。
先発医薬品のうち後発医薬品なしのものの乖離率が3.8%、後発医薬品ありのものが9.5%、後発医薬品が9.4%、その他の品目が2.6%となってございます。
また、参考といたしまして、本年3月、いわゆる流通改善ガイドラインにおきまして、この改訂の中で、価格交渉の段階から別枠とし、個々の医薬品の価値を踏まえた単品単価交渉とする、そうした医薬品のカテゴリーを幾つかお示しをいたしておりました。
その主なものということで、基礎的医薬品、安定確保医薬品のカテゴリーA、それから不採算品再算定品につきましても、乖離率をお示ししてございます。
基礎的医薬品につきましては1.6%、令和5年度の調査結果ですと1.8%でございます。
安定確保医薬品のカテゴリーAにつきましては乖離率3.5%、令和5年度の調査結果では5.8%でございました。
不採算品再算定品につきましては乖離率2.1%、令和5年度の調査結果では3.3%でございました。
4ページ、速報値の内訳その他、(2)として投与形態別の乖離率、それから(3)として主要薬効分別の乖離率を示してございます。
私からの説明は以上でございます。
○清原薬剤管理官
続きまして、薬剤管理官から説明をいたします。
私のほうから、資料薬-2及び薬-3のほうを続けて説明させていただきます。
まずは、資料薬-2を御覧ください。
先ほど速報値の御説明がありましたが、それを基に同様のデータとなりますが、改めてまとめたものでございます。
2ページ目を御覧ください。
こちらは、平成30年度からの過去6年間の薬価調査結果の推移でございます。
3ページ目、投与形態別の乖離率データにつきまして、過去6年間の推移を表にしたものでございます。
4ページ目、こちらは主要薬効群別の乖離率を、過去の数値も含めて示したものでございます。
続きまして、資料薬-3を御覧ください。
こちらは、令和7年度薬価改定の論点整理でございます。
2ページ目を御覧ください。
総論と各論を今までの御意見を踏まえ、資料にまとめたものでございます。
おめくりいただきまして、まず、総論から御説明をいたします。
4ページを御覧ください。
現状について、まず、診療報酬改定がない年の薬価改定につきましては、令和6年度の薬価制度改革の骨子において、薬価改定の在り方については、引き続き検討することとし、令和6年度速やかに議論を開始することとしておりまして、7月より議論を行ったところでございます。
また、令和5年度の薬価改定の結果もまとめております。
薬価調査につきましては、今回は令和2年と同様に、一定率で抽出された医薬品卸売販売業者の営業所等を対象としており、通常の薬価調査とは異なっているところでございます。
5ページ目、こちらは、平成28年の4大臣合意に基づく基本方針となっております。
6ページ目は、骨太方針2024でございます。
7ページ目は、これまでの診療報酬改定がない年の薬価改定に関する骨子の記載でございます。
8ページ目、こちらは、令和6年度薬価調査の概要でございます。
9ページ目、こちらが、診療報酬改定がない年の薬価改定に関しまして、中医協におけるこれまでの主な意見を示しております。
また、業界ヒアリングで触れられている事項につきましては、ヒアリングでの主な意見としてまとめております。
10ページ目、総論の論点といたしまして、診療報酬改定のない年の薬価改定、特に令和7年度の薬価改定について、どのように考えるかということをお示ししております。
続きまして、11枚目でございます。各論でございます。
まず「(1)改定の対象範囲」でございます。
12ページを御覧ください。
現状をまとめております。
1ポツ目、平成28年の基本方針では、価格乖離の大きな品目について薬価改定を行う。平成29年の骨子では、国民負担の軽減の観点から、できる限り広くすることが適当とされております。
2ポツ目ですが、令和5年度の改定の際には、平均乖離率7.0%の0.625倍を超えるものを価格乖離の大きな品目としております。
3ポツ目は、骨太の方針2024の記載を抜粋したものでございます。
13ページ目、こちらが、前回の中間年改定である令和5年度の結果の概要でございます。
14ページ目、こちらは、参考でございますが、直近の薬価調査データである令和6年度薬価改定で用いました薬価調査のデータ、こちらに基づいて分析したものでございます。
仮に、前回の中間年改定と同様に、平均乖離率の0.625倍を超える品目を改定対象とした場合にどのような影響になるかということを、新薬、長期収載品、後発品、その他の品目ごとに示したものでございます。
改定対象範囲は、横棒グラフで示している水色の範囲でございます。
目印についてでございますが、ひし形が平均乖離率、楕円が平均乖離率の0.75倍、星型が0.66倍、三角が平均乖離率の0.5倍のところに目印を付しております。
例えば、長期収載品では0.625倍のところで、前回の中間年改定と同様に8割を超える品目が対象となっております。
また、新薬と、そのうち新薬創出等加算の対象品目につきましては、この乖離率によってかなりの影響の幅が広がっていることが示されております。
今年度の薬価調査の速報値では、平均乖離率が5.2%でしたので、これの0.625倍としますと、乖離率が約3.25%となるものでございます。
15ページを御覧ください。
改定の対象範囲に関するこれまでの主な意見をまとめております。
また、関連する論点につきましては、最後にまとめて示しております。
おめくりいただきまして、次は「(2)適用する既収載品目の算定ルール」についてでございます。
17ページ目、現状についてでございます。
適用する算定ルールにつきましては、令和3年度薬価改定では実勢価改定に連動し、その影響を補正するものが適用されております。
令和5年度薬価改定では、実勢価改定に連動して、その影響を補正するものに加え、急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するため、不採算品再算定について臨時・特例的に全品目対象に適用するとともに、イノベーションに配慮する観点から、新薬創出等加算の加算額を臨時・特例的に増額し、従前の薬価と遜色のない水準とする対応を行っております。
18ページ目、こちらは、令和3年度、令和5年度の薬価改定で適用したルールを示しております。
19ページ目は、適用する算定ルールに関するこれまでの主な意見を列挙しております。
おめくりいただきまして、各論の「(3)その他」でございます。
21ページ目、現状でございます。
まず、毎年薬価改定が行われることで、2年に1度の薬価改定と比較しまして、2倍のスピードで価格が下がっているという意見がございました。
また、薬価に対する医薬品の原薬等の調達コストは、円安、物価高騰等の影響により引き続き増加しているものの、不採算品再算定によって一定程度対応を行ってまいりました。
また、安定供給に関する御意見が中医協の中でも出ておりましたが、供給不安を解消するために、供給不安品目の増産や、品質管理体制の強化などが行われたことで、限定出荷等となっている医薬品の割合も、4分の1程度から5分の1程度となってきております。
その一方で、20円未満の低薬価の医薬品の多くが限定出荷となっている状況も報告されています。
このほかにも、自発的あるいは国による増産要請に伴い、増産を行った医薬品もございました。
薬価改定をめぐりましては、このような安定供給の確保のほか、新薬のイノベーション評価や、長期収載品の薬価改定、流通への影響等も関連する課題として挙げられております。
22ページは、物価関連指数の動向について示したものでございます。
23ページは、医療用医薬品の限定出荷・供給停止の状況の推移でございます。
24ページは、平均乖離率の推移を示したものでございます。
25ページは、昨年実施いたしました、鎮咳薬・去痰薬の安定供給に向けた緊急対応についてでございます。
26ページ、こちらは先月22日に閣議決定されました総合経済対策の抜粋でございます。
赤字で示しておりますが、後発医薬品の安定供給に向けては、少量多品目生産の非効率的な生産体制の解消に向けて、計画的に生産性向上に取り組む企業に対する支援や、足元の供給不安については、必要な医薬品の増産体制を整える企業に緊急支援を行うことを記載しております。
27ページは、後発医薬品の産業構造改革のための支援事業に関する補正予算の内容でございます。
28ページは、医薬品安定供給体制緊急整備事業に関する補正予算の内容でございます。
29ページは、前回お示ししました後発品を製造販売する企業の評価指標及び評価方法について示したものでございます。
「1.後発品の安定供給に関連する情報の公表など」につきましては、当然なされるべき内容であることから、公表されていない場合はマイナスとなる指標としております。
一方、「2.後発品の安定供給のための予備対応力の確保」につきましては、しっかりと対応している企業に対して、プラスとなるような指標となっております。
最後に、「3.製造販売する後発品の供給実績」につきましては、製造計画を下回って供給する場合にはマイナスとなるような指標としております。
30ページは、企業指標及び評価方法の続きであり、既に実施されているものですが、赤字で示しておりますとおり、現在、医政局で検討しておりますとおり、少量多品目構造の解消に資する品目統合により経過措置となったことが確認できた品目につきましては、計算時に除外することとしたことを明記しております。
31ページは、前回の薬価専門部会の論点にもお示ししたものでございますが、少量多品目構造の適正化を評価する指標として検討しているものの案をおつけしております。
一番下でございますが、内容といたしまして、製造販売業者が製造販売する後発品につきまして、同一成分内でのシェアが3%以下の品目の占める割合に応じて、マイナス評価とするものでございます。
32ページを御覧ください。
その他に関する主な意見をまとめてお示ししております。
まずは、不採算品再算定に関する御意見を示しております。
33ページは、後発品企業指標に関する御意見を示しております。
34ページも同じく、後発品企業指標についてまとめております。
35ページ目、「(4)各論に関する論点について」でございます。
最後、36ページ目に論点を5つお示ししております。
1つ目、改定対象範囲について、前回の診療報酬改定のない年の薬価改定となる令和5年度薬価改定では、平均乖離率の0.625倍を超えるものを対象としておりましたが、今回はどのように考えるのか。
2つ目、適用する既収載品目の算定ルールについて、令和元年の消費税改定と、令和3年度の薬価改定では、実勢価改定と連動して、その影響を補正するものを適用し、令和5年度薬価改定では、実勢価改定と連動するルールの他、不採算品再算定等を適用したが、今回はどのように考えるか。
3つ目、毎年の薬価改定によるイノベーション推進への影響、原材料等の高騰やインフレ下による影響が生じているという意見がある一方で、薬価の乖離が引き続き生じていることを踏まえ、薬価の観点から対応すべきことについて、どのように考えるのか。また、その際、適用する既収載品目の算定ルールとの関係について、どのように考えるのか。
4つ目、上記のほか、少量多品目構造の解消のため、薬価制度において取るべき対応についてどのように考えるのか。
5つ目、令和7年度薬価改定を検討するにあたり、これまでの薬価専門部会での意見等を踏まえ、この他に留意するべき事項があるかどうか。
37ページ以降は参考資料となりますので、説明は割愛させていただきます。
薬-3の資料は以上となります。
御審議よろしくお願いいたします。
○安川部会長
ありがとうございました。
それでは、議論の整理のために、まず、データのほうですね、資料薬-1、薬-2についての御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。
では、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
今回、このような平均乖離率が出たということで、これを踏まえて、現状に即した合理的な判断をしていく必要があると考えております。
以上です。
○安川部会長
ありがとうございます。
では、林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
本日示されました薬価調査の速報値についてでございますが、数値の精査は、これからいたしますが、歯科用薬剤のうち、特に歯科用局所麻酔剤につきましては、平成27年から依然マイナス乖離、いわゆる逆ざや状態が続いておりまして、過去二桁を超えた令和4年にも発言させていただき、厚労省におかれましては、様々な対応を取っていただいているところと認識しております。
ただ、やはり今回もマイナスということで、過去最大のマイナス12.5%ということでございますので、歯科特有の薬価差偏在問題として、是正に向けて、引き続き対応を検討していただくよう要望いたします。よろしくお願いいたします。
○安川部会長
では、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
長島委員からもありましたけれども、本日公表された薬価調査の結果等を踏まえて、検討していく必要があると考えます。
以上です。
○安川部会長
ほかにいかがでしょうか。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
薬価調査の速報値についてコメントいたします。
平均乖離率が着々と縮小し、今回全体平均が5.2%ということで、これはメーカーや卸のコスト上昇を踏まえまして、医療現場がより医薬品の価値を評価した結果だと受け止めております。
ただし、まだまだ値引き販売が行われていることも事実であり、投与形態別、薬効群別に見ますと、依然としてかなり乖離率が大きいものがあるというのが率直な印象でございます。
また、お示しいただきました後発医薬品のシェアについては、数量、金額ともに着実に拡大し、特に金額シェアについては、新たな政府目標の65%に大きく近づく62.1%という結果となっております。
これが、不採算品再算定を実施した影響だとすれば、金額目標を設定した意図とは若干異なることも考えられますけれども、後発品がさらに浸透しているという実態がうかがえると感じております。
私からは以上でございます。
○安川部会長
ありがとうございます。
ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。
では、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
薬価調査の速報値が示されたことに関しましては、平均乖離率等の数値は、前回よりやや低い水準となっておりますが、極端な数値であるとは考えておりません。通常どおりの薬価改定が可能なことが、データからも示されたのではないかと考えております。
4大臣合意がある以上、国民負担の抑制や国民皆保険の持続可能性の観点から、令和3年度、令和5年度薬価改定の前例を踏まえつつ、平常のルールに基づき、令和7年度薬価改定に向けて議論を進めていくべきと考えております。
今後、新薬、長期収載品、後発品といったカテゴリー別のデータもしっかり見ていきたいと考えております。
以上です。
○安川部会長
ありがとうございます。
ほかにはよろしいでしょうか。
それでは、引き続き、資料薬-3の論点のところについての御意見、御質問等をお願いしたいと思います。
では、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
ありがとうございます。
令和6年度薬価改定においては、限りある医療財源の中から、特に昨今のドラックロスやドラッグラグ、供給停止等の事情から、国民医療の維持向上のために、医薬品のイノベーションの推進と安定供給確保を高く評価いたしました。
しかし、現状、医療の現場では、治療に必要な医薬品が届かない状況が続いており、非常に困っております。
これまで繰り返し発言してまいりましたが、関係業界や企業は、令和6年度薬価改定で行った薬価上の評価が、ドラッグラグ・ロスや、供給停止の解消にどのような効果があったのか、どのような取組をしてきたのか、具体的に説明していただきたいと考えています。
その説明、報告の上で、これらの課題の完全な解消には時間が必要なことも理解しており、今回、仮に薬価改定を行う場合には、各論に関する論点については、これまでのイノベーションの推進と安定供給という方針を維持しつつ、メリハリをつけた改定を行うとともに、医療の質が下がることのないよう十分に配慮し、現状に即した合理的な判断を行うべきと考えます。
製薬企業におかれては、国民・患者が安心して最善の医療が受けられるよう、不断の努力を行うことを期待します。
最後に、もし今回改定を実施するなら、薬価財源は医療現場へ還元すべきであると考えます。
私からは以上です。
○安川部会長
ありがとうございます。
では、林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
資料の3の10ページにあります総論、いわゆる令和7年度の薬価改定について、歯科の立場からも発言させていただきます。
これまでも何度か意見をしておりますが、日常的に処方していた汎用薬剤が手に入らないといった安定供給の問題は、いまだ解決されていないと認識しております。安全・安心な医療の提供を持続していく上で、非常に重要な課題であると考えております。
安定供給が確保された上での薬価改定だとも考えておりますので、必要な解決策をお願いしたいと考えております。
中間年薬価改定に関しましては、その辺りのバランスをしっかりと考慮の上、御対応をよろしくお願いいたします。
私からは以上でございます。
○安川部会長
ありがとうございます。
では、森委員、お願いします。
○森委員
ありがとうございます。
10ページ目の総論に関してコメントをさせていただきます。
診療報酬改定がない年の薬価改定、いわゆる中間年改定については、従前から申し上げているとおり、廃止または中止すべきと考えています。
なお、具体的な意見や考え方などにつきましては、後ほどの各論での議論の際にまとめて発言させていただければと思います。
以上です。
○安川部会長
ほかに、今、総論のところの議論ができましたが、では、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
中間年改定、特に令和7年度の薬価改定を考えるに当たっては、現下の状況として賃金の引上げを含めて、総合的な配慮が必要ではないかと考えております。
私からは以上です。
○安川部会長
ありがとうございます。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
それでは、薬-3の10ページの総論についてコメントいたします。
薬価改定の実施の可否については、これは政府の判断ではありますけれども、薬価差が生じている以上、国民負担の軽減に還元すべきというのが健保連の考え方でございます。
医療保険制度の持続可能性を前提としつつ、イノベーションの推進や安定供給の確保に向けた対応を行うためには、薬価制度全体のバランスが重要だと考えております。
以前から申し上げているとおり、診療報酬改定がある年、ない年にかかわらず、政策的なルールを含め、毎年粛々と薬価改定を実施すべきというのが我々の基本的なスタンスであり、これは変わっておりません。
薬価専門部会においては、令和7年度改定を実施する場合を想定し、議論を進めることが不可欠だと考えております。
私からは以上でございます。
○安川部会長
ありがとうございます。
では、奥田委員、お手が挙がっております。奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員
ありがとうございます。
従来より申し上げているとおり、経団連として、国民皆保険の持続性はもちろんのこと、イノベーションの推進も重要であると考えております。
今回、令和7年度の薬価改定についての検討に当たっては、国民皆保険の持続性とイノベーションの推進の双方を両立させていくことが重要であると考えておりますので、改めて申し上げておきたいと思います。
私からは以上です。
○安川部会長
ありがとうございます。
ほかに、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
骨太にも記載があるとおり、イノベーションの推進、安定供給確保の必要性、物価上昇など、取り巻く環境の変化を踏まえる必要性については理解しているつもりでおります。
しかしながら、繰り返し申し上げておりますとおり、ドラッグラグ・ロス、安定供給の問題は、薬価のみで対応する問題ではなく、また、これまでに御提示いただいた資料などを踏まえると、令和7年度薬価改定の際に、何らか特別な配慮をする必要性があるかについては、まだ十分腑に落ちていないところであります。
例えば、不採算品再算定の特例対応については、供給状況改善の効果が出ているか、以前提示された資料を見て疑問に思ったところです。
通常、改定の流れであれば、次回以降、業界団体のヒアリングがあると思いますが、今回の薬価改定に当たって、特別に配慮すべき事情にあるかについては、具体的なエビデンスに基づき説明いただきたいと考えております。
以上です。
○安川部会長
ありがとうございます。
では、総論に関しては、皆さん、一通り御意見を承ったかと思いますが、では、各論の方についてはいかがでしょうか、御意見、御質問等ございますでしょうか。
では、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
資料の36ページ目に示されております論点について、コメントをさせていただきます。
本日公表された薬価調査の結果から明らかなように、薬価差は以前に比べて相当小さくなってきております。
市場実勢価格との乖離を適宜薬価に反映して、患者負担を軽減、抑制するという考え方は理解いたしますが、平成28年度4大臣合意当時と現在では、医療を取り巻く環境が大きく異なります。
先日もテレビで、薬局における医薬品の供給不安が相変わらず続いており、改善の兆しが見えないことが報道されていました。
要するに、まず、重要なことは、4大臣合意が行われた平成28年当時は当たり前であった安定供給の状態には、全然戻っていないということです。
また、今年10月から始まった長期収載品の選定療養の導入の影響により、後発品を選択する患者さんが増加したことで、これまで後発品を継続して使用されてきた患者さんにまで影響が及んでしまっています。
令和5年度、令和6年度の薬価改定において、安定供給確保に向けた、薬価面での下支えが行われていますが、現場では深刻な供給不足の状況が続いています。
そのような状況であることを考えれば、先ほど申し上げたとおり、中間年改定については廃止もしくは現在の医薬品供給状況の改善のめどが立つまで、少なくとも中止すべきであると考えますが、仮に患者負担の軽減、抑制の観点から、やむを得ず中間年改定を実施するのであれば、その大前提として、イノベーションと安定供給確保、保険薬局、保険医療機関に与える影響に十分配慮する必要があります。
特に保険薬局の場合は、調剤報酬に占める薬剤料の割合が約75%と大きいため、備蓄品目の資産額の目減りは、昨今の高額医薬品が増えていることもあり、調剤に係る医薬品の廃棄、損耗にかかる費用の捻出を極めて困難にさせることになります。また、総売上、収益の減少、資金繰りの悪化にもつながります。
その上で、論点1つ目の改定範囲についてですが、これまで中間年改定では、乖離率0.625倍を超える品目が改定の対象範囲とされてきましたが、もっと対象範囲は限定するべきです。
前々回の中間年改定に当たり実施された薬価調査の平均乖離率は8%、改定対象とされたのはその0.625倍である5%でした。
今回の薬価調査の平均乖離率は5.2%であり、当時と比べて約4割弱縮小しているだけではなく、過去の対象範囲とされた8%の0.625倍、つまり5%とほぼ同等のレベルに達してしまっていると言えます。
乖離率が縮小し、令和3年度改定の対象乖離率である5%とほぼ同じ乖離率になっているにもかかわらず、同じ改定対象範囲で実施することは、対象範囲をさらに拡大していることと同義と考えます。
次に、論点の2つ目と3つ目についてですが、適用する既収載品目の算定ルールに関しては、基本的に実勢価改定と連動するルールに限定すべきと考えます。
また、不採算品再算定については必要な対応と考えますが、今回どのような範囲で行うのかは、多数の品目が対象となった過去2年の薬価改定による、不採算品再算定の適用による供給状況の改善等を考慮しつつ、効果的な範囲も含めて、業界ヒアリングを踏まえた検討が必要と考えます。
次に、論点の4つ目についてですが、資料31ページ目の検討されている指標を企業評価に導入することに異論はありませんが、こうした評価は初めての試みであり、企業経営や安定供給などにどのような影響があるのか、また、この指標や方法が企業評価として妥当なのかなど、検証しながら慎重に進めていくべきと考えます。
この辺りについても業界ヒアリングで、業界の考え方を踏まえる必要があると思いますので、厚生労働省におかれましては、関係者にお伝えいただければと思います。
最後の論点についてですが、頻回で過度な薬価改定によって医薬品のライフサイクルは壊されています。
また、薬局機能の低下にもつながっており、結果として、医薬品提供体制にも大きな影響を及ぼしています。
国民の医薬品へのアクセスが阻害されることは、医療提供の質を大きく下げることになります。薬価改定の影響によって、医療の質を落としてはいけません。しっかりと国民が必要な医薬品にアクセスできるよう、医薬品提供体制の維持や確保のための配慮が必要です。
私からは以上です。
○安川部会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
それでは、資料の36ページの論点に沿ってコメントいたします。
まず、1点目の対象範囲についてですが、まず、資料の14ページを御覧いただきたいと思います。
これは、事務局のほうで、前回のデータに基づくカテゴリー別の推計をしていただいたものでございますけれども、例えば、範囲を狭くするほど、新薬、そのうち、新薬創出加算品目が対象から外れていき、逆に後発品や長期収載品に偏った改定になる可能性が高いということが分かります。
厚生労働省には、今回のデータを使って、よりきめ細かい分析をお願いしたいと思いますが、令和6年度薬価制度改革でイノベーション評価の観点から、新薬創出加算を充実し、特許期間中に薬価が維持されやすくなったことを踏まえますと、新薬を含めて値引き販売されているものを、最大限に幅広く対象とすべきだと強く主張いたします。
続いて、2点目の適用するルールについてでございますが、令和5年度改定で、収載後の外国平均価格調整を適用した実績も踏まえ、政策的な対応を含めて、原則全てのルールを適用すべきだということは改めて指摘させていただきます。
特に、新薬創出加算の累積額の控除については、令和6年度改定に向けた業界ヒアリングの中でも再三確認させていただいたとおり、イノベーションの評価と一体ということで、製薬業界からも御理解をいただいたものと受け止めております。
また、後発品の実勢価改定と連動する長期収載品のG1、G2ルールについても当然適用すべきです。
さらに、近年、高額医薬品による財政影響が大きくなっていることを踏まえれば、市場拡大再算定の適用も検討すべきです。
次に、3点目の薬価の観点から対応すべきことについてですが、令和6年度の薬価制度改革において、イノベーションの評価を相当程度充実したこと。
また、原材料価格の高騰やインフレへの対応について、不採算品再算定の特例を2年連続で実施したにもかかわらず、一方、効果は限定的であったこと。
さらに薬価差が縮小して、メーカーや卸のコスト増が実勢価格に反映されていることもあり、企業の実績が総じて好調であることを踏まえれば、不採算品に対する特例的な対応は、これ以上繰り返すべきではないということも強く主張いたします。
4点目にあります、後発品産業の少量多品目構造については、政府の令和6年度補正予算で、産業構造改革や増産体制の確保に向けて、国の事業が充実されることも念頭に置き、薬価制度としては、企業指標をアップデートするとともに、可能な限り幅広い指標を適用することで、バランスの取れた評価になると考えております。
事務局から御提案のとおり、少量多品目構造の適正化に関する指標を追加することに異論はございません。
新たな評価方法で企業の分布がどうなるのか、事務局にシミュレーションを行っていただきたいと思います。
最後になりますが、実勢価改定の範囲が限定的になれば、不採算品再算定や最低薬価の維持に充当する財源も当然限定的になってまいります。
資料の32ページの最後にありますが、薬価改定を行わない場合でも、低薬価品にのみ、薬価上で対応するということは、なかなか困難であるとコメントをさせていただきます。
私からは以上でございます。
○安川部会長
ありがとうございます。
ほかに御意見等ございますでしょうか。
今、平均乖離率の調整倍率のことで、幾つか御意見をいただきましたが、事務局から、もし何かそれに関して、ここで補足することがありましたら、お願いいたしますが、よろしいでしょうか。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
次期にやるとしたときの場合の平均乖離率に関する倍率でございますが、様々な御意見をいただきました。
先ほど松本委員からもおっしゃられたとおり、シミュレーションは今回の薬価調査の結果に基づきまして、いろいろ出させていただきまして、また御議論を深めていただきたいと思っております。
以上でございます。
○安川部会長
ありがとうございます。
あと、企業経営の問題等も御意見としてありましたが、業界ヒアリング等は、また計画されているようですので、もし、専門委員のほうで、今日ここで何か御発言することがあればですが、いかがでしょうか。
では、石牟禮専門委員、お願いいたします。
○石牟禮専門委員
ありがとうございます、専門委員の石牟禮でございます。
これまでも御指摘いただいておりますように、医薬品の安定供給に不安が生じているという状況については、大変申し訳なく思っておるところでございます。
前回のこの場でも、供給不安への取組と、それから、不採算品再算定のデータをお示しいただいたところでございます。
通常出荷を継続しているものの中にも、不採算品目があり、また、不採算品再算定が適用された品目の大半は通常出荷を継続しているというデータをお示しいただきました。
また、供給状況が悪化している例においては、採算性というよりは、別の要があるということについても、私のほうから御説明申し上げた次第でございます。
次回以降に予定されていると聞いております。意見陳述におきまして、その辺りについても、委員の皆様方からの御理解を賜るように、御準備をさせていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○安川部会長
ありがとうございます。
ほかには、いかがでしょうか。
御意見、御質問等ないようでしたら、本日の議題については、ここまでとさせていただきたいと思います。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
なお、次回は、予定では関係業界からの意見聴取を行う予定となっておりますので、これも改めましてよろしくお願いいたします。
それでは、本日の「薬価専門部会」は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。