地方課

都道府県労働局における法令遵守の徹底に係る取組みの実施状況等の評価について(令和5年度)

 厚生労働省大臣官房地方課地方支分部局法令遵守室は、令和5年度の都道府県労働局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等について、次のとおり評価を行いましたので、公表します。
 なお、当該評価結果については、令和6年12月に、外部有識者を委員とする地方支分部局法令遵守委員会の各委員に報告し、その際の意見とともに、令和6年12月26日付けで都道府県労働局長宛て通知しました。
 令和5年度に各労働局において実施した内部点検等の結果に基づき、各労働局における法令遵守の徹底に係る取組みの実施状況等について、以下のとおり総括的に評価する。
 なお、太字部分は好事例として労働局に横展開を図る予定としている。

第1 定期的な内部点検結果について

 「法令遵守チェックリスト」を用いて、各都道府県労働局長が自ら点検と検証を実施し、当課に報告してきたところである。
 
【好事例】
1 一部の部署において、公務員倫理・法令遵守のための独自啓発資料を作成し、全職員に配布した。

【是正措置等を講じた事例】
1 新規採用職員のフォローアップ面談において、相談しやすい環境構築の要望があったため、新たにメンター制度及び業務サポーター制度を創設し、令和5年8月から運用を開始している。

2 所定の時間を過ぎても出勤簿が所定の位置に置きっぱなしの状態であったため、所定時刻を過ぎたら保管場所に戻すよう指導した。

3 長期間病気休暇を取得している職員の所属する部署の職員に超過勤務が集中したため、業務計画の見直しや労働局からの応援により解消を図った。

4 非常勤職員がハローワークシステムにて求職者の個人情報を本人の同意なく閲覧、取得するとともに、第三者に故意に漏らす行為が認められた。守秘義務については、研修等により周知していたが、一部において徹底されていなかったため、全職員に研修を実施した。

第2 会計事務監査指導結果について

 大臣官房会計課監査指導室における一般監査指導は、令和5年度は対面監査として23労働局に対して実施され、是正等を要するものとして指摘された件数は23局で76件(令和4年度は22局で99件)である。

【主な指摘事項】
1 予算執行機関の補助者設置基準について、本来は支出負担行為担当官代理の設置基準に定める事務の範囲を補助者任免簿に記載するべきところ、記載を誤っているものが認められたため、適正な記載に修正することとした。

2 旅行命令簿等について、本来の旅行命令権者ではない局長が確認している事例が認められたため、制度の周知、確認を行うこととした。

3 旅費の支給状況について、公務出張後に私事旅行がある場合の旅行命令簿の旅行期間に私事旅行が含まれている事例が認められたため、制度の周知を行うこととした。

4 特定の委託事業契約について、一般競争入札を実施していないにもかかわらず、予算決算及び会計令第99条の2「競争に付しても入札者がないとき、又は再度の入札をしても落札者がないとき」に該当するものとして随意契約を締結していることが認められたため、会計法令の周知を図り、随意契約の事前の入札公告の実施を徹底するとともに、チェック体制を強化した。

5 予定価格調書の作成状況において、変更契約後の予定価格が100万円を超える見込みであるのにもかかわらず、本来必要な積算根拠を示す予定価格算定調書が作成されていなかった。事案の内容について周知を図り、チェック体制を確立することとした。

6 個人情報を取り扱う業務に係る契約について、担当課室長等又は担当職員が、原則、履行開始時(契約後約1月以内)に、業者の作業場所及びデータ保管場所に立入検査を実施することとされているが、これが実施されていなかったため、周知を図り実施を徹底することとした。

第3 管理事務及び企画調整事務に係る中央監察結果について

 労働局の管理事務及び企画調整事務に係る中央監察は、令和5年度は対面監査として27労働局に対して実施されたところ。是正等を要するものとして指摘された件数は27局で114件(令和4年度は22局で30件)である。令和5年度から地方課内においてより適切に監察を行うため、ノウハウの共有化を図り、監察時の留意点など、監察スキルの向上を図ったことにより、指摘件数が大きく伸びている。

【好事例】
1 「労働局ハラスメント対応要領」を独自に策定し、相談時のフローチャートや事務の進め方などを定めて研修を行っている。
 
【主な指摘事項】
1 ハラスメント相談員及び管理監督者向けの各種苦情相談に対応するための研修が実施されていない。

2 再就職等規制について、定年退職目前となった全職員に対して、局幹部職員(局長、部長、課長)から直接説明するとされているところ、説明を対象職員の一部に限定していたり、局幹部職員以外の者が説明していた。

3 委託事業者に対し、速やかな個人情報の取扱いの研修の実施が徹底されていなかったり、実施した記録が確認できなかった。

第4 総括的な評価等について

 上記第1から第3を踏まえ、当課においては、各労働局における法令遵守の徹底に係る取組について、次のように総括的に評価等を行うこととする。
 
1 総括的な評価について
 各労働局における法令遵守の徹底に係る取組は、おおむね適正に実施されているものと総括的に評価できる。しかしながら、依然として、担当者の認識誤りや決裁時の確認漏れ、法令等に定められた手続漏れ等の取扱いの誤りが認められ、法令・通達に基づく取扱いの徹底、会計法令に関する知識習得と引継ぎ、勤務時間管理の適正化、保有個人情報の適正な管理など、引き続き取り組むべき課題がみられた。特に特定の局において著しく指摘事項が増加している状況が認められる。一方で、創意工夫により様々な課題に取り組む局も認められる。
 
2 具体的な取組指示について
 各労働局においては、以下の取組を推進するとともに、地方支分部局法令遵守室として、各労働局における指摘事項等、その再発防止策及び好事例について、引き続き横展開を行うとともに、室員による計画的な実地検分等により法令遵守の徹底を図ることとする。
 ア 職員に対して、服務規律等の遵守に係る意識の向上及び法令・通達に基づく必要な手続きの実施に係る必要な措置を講ずること。【公務員倫理の徹底と綱紀保持】
 イ 会計法令等に関する知識の習得や浸透のために必要な措置を講ずること。【適正な会計経理事務等の徹底】
 ウ 職員や相談員等の勤務時間管理にあたり、規則等に基づく管理と適正な手続き及び長時間勤務の縮減等を徹底すること。【勤務時間管理の適正化】
 エ 保有個人情報の取扱いに係る、意識の向上に必要な措置を講じるとともに、漏えい防止対策の確実な履行を徹底すること。【保有個人情報の適正な管理】
 オ 会計事務監査指導や中央監察において、是正等を要するものとして指摘された事項は、その後の監査指導等で同様の指摘を受けることのないよう、また、局の内部監査においても、是正等を要するものとして指摘した事項が、その後の内部監査で同一部署がくり返し指摘されることが生じないよう指導を徹底すること。
 カ これらの課題に適切に対応するため、他労働局における好事例を参考としつつ、各労働局において機動的に取り組むこと。

地方支分部局法令遵守委員会委員の主な意見(令和5年度)

○民間企業では、マニュアルや法令をAI、システムに組み込ませて学習させ、業務の効率化と改善に努めている例があり、DXの推進の取組も参考に、厚生労働省における進捗も踏まえつつ、導入について検討いただきたい。
 
○AI、DXの推進について検討しつつ、職員へ法令遵守の知識を付与することにも努めていただきたい。

○AIで機械化を図りつつ、職員に法令遵守の意識を根付かせるため、研修を継続していくことも必要と思います。

厚生労働本省の地方支分部局の職員等からの法令違反行為に関する通報対応の仕組みの運用状況(令和5年度)

 厚生労働本省の地方支分部局(都道府県労働局(労働基準監督署・公共職業安定所を含む。)及び地方厚生(支)局)の職員等からの法令違反行為に関する通報対応の仕組みの運用状況について、令和5年度は以下のとおりでした。
   通報又は入手した情報  
調査(事実確認)に着手したもの  
事実関係が確認され、是正等措置を講じたもの
 件数
74
38
   
内部窓口 
64
28
外部窓口 
10
10
※ 通報又は入手した情報について、法令違反行為に関する内容であって、具体的なものについては、全件、調査(事実確認)を行っています。

(厚生労働省大臣官房地方課 03-5253-1111(内線7273))