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- 第170回労働政策審議会安全衛生分科会議事録
第170回労働政策審議会安全衛生分科会議事録
労働基準局安全衛生部計画課
日時
令和6年11月6日(水)10:00~13:00
場所
対面及びオンラインにより開催
会場:AP虎ノ門(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)
出席者
会場
- 公益代表委員
-
- 髙田礼子(分科会長)
- 宮内博幸
- 労働者代表委員
-
- 佐々木弘臣
- 松尾慎一郎
- 山脇義光
- 使用者代表委員
-
- 及川勝
- 小澤達也
- 鈴木重也
- 出口和則
- 七浦広志
(五十音順、敬称略)
- 事務局
-
- 井内努(安全衛生部長)
- 佐藤俊(計画課長)
- 安井省侍郎(安全課長)
- 佐々木孝治(労働衛生課長)
- 土井智史(化学物質対策課長)
- 大村倫久(産業保健支援室長)
- 富賀見英城(メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長)
オンライン
- 公益代表委員
-
- 砂金伸治
- 熊﨑美枝子
- 新屋敷恵美子
- 中嶋義文
- 労働者代表委員
-
- 山口裕之
- 使用者代表委員
-
- 大下英和
- 矢内美雪
(五十音順、敬称略)
議題
(1)ストレスチェック制度を含めたメンタルヘルス対策について
(2)労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等について
(3)高年齢労働者の労働災害防止対策について(その3)
(4)治療と仕事の両立支援対策について(その3)
(5)その他
(2)労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等について
(3)高年齢労働者の労働災害防止対策について(その3)
(4)治療と仕事の両立支援対策について(その3)
(5)その他
議事
- 議事内容
○髙田分科会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第170回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。本日の出欠状況は、原委員、袈裟丸委員、中村委員、門﨑委員が御欠席しております。それから、砂金委員が遅れて参加の見込みとなっております。本日は、対面及びオンラインの併用により開催することとしておりますので、お含みおきください。また、今回の参考資料1に委員名簿を付けておりますが、労働者代表委員として新たに就任いただいた委員の方を御紹介いたします。10月25日付けで奈良委員が退任され、全国建設労働組合総連合の松尾慎一郎委員が就任されました。それでは、松尾委員、一言お願いいたします。
○松尾委員 皆さん、おはようございます。ただいま紹介いただきました全国建設労働組合総連合、全建総連の松尾と申します。以後よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございました。カメラ撮影等については、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。それでは、事務局からオンラインによるZoomの操作方法等について説明をお願いいたします。
○計画課長 それでは、私、佐藤のほうからZoomの操作方法等の御説明をさせていただきたいと思います。本日は、ハウリング防止のため、御発言されないときには、マイクをオフに設定をお願いしたいと思います。また、オンライン参加の委員の方々につきましては、御発言される場合には、御発言がある旨をチャットに書き込んでいただき、分科会長から指名されましたら、マイクをオンに設定して、氏名をおっしゃってから御発言をお願いできればと思います。このほか、進行中、通信トラブル等の不具合がありましたら、チャットへの書き込み又は事務局へのメールにて御連絡をお願いします。以上です。
○髙田分科会長 それでは、議事に入ります。議題(1)ストレスチェック制度を含めたメンタルヘルス対策についてです。資料1に基づいて説明をお願いいたします。
○労働衛生課長 労働衛生課長です。資料1をお開きください。メンタルヘルス対策ですけれども、有識者による検討会の中間とりまとめを11月1日に公表させていただきました。これに沿いまして、本日、方向性について審議をお願いしたいと思っております。
まず、メンタルヘルス対策全体とストレスチェック制度の位置付けですけれども、スライド2です。メンタルヘルス対策は一次予防、二次予防、三次予防からなりますけれども、このうちストレスチェック制度は一次予防に位置付けられ、メンタルヘルス不調の未然防止を図るとしています。御案内のとおり、メンタルヘルスの問題は、一度不調を来しますとなかなか治りにくいといったところもありますので、一次予防をしっかりやっていくことが大変重要です。
スライド3、ストレスチェック制度の実施手順を示しています。上から矢印で流れが順番に書かれています。質問票の配布、労働者に記入していただきまして、向かって左側の矢印の流れですけれども、本人に結果を通知し、ストレスが高い人、いわゆる高ストレスと判断された御本人から医師による面接指導の申出があった場合は、これを事業者は実施しなければならないとしています。その上で、必要があると認める場合には就業上の措置を実施していただくことになります。こちらが、個人に向けての流れです。
もう1つは、向かって右側の矢印の流れですけれども、こちらは集団の流れになります。個人の結果を一定規模のまとまりの集団ごとに集計・分析する、いわゆる集団分析、その上で、必要があると認めるときには職場環境の改善を図っていただくことになります。これらにより、メンタルヘルスの不調を未然に防止するとしています。
次のスライドは、ストレスチェック制度の現行の義務対象について示したマトリックスです。一番左上の象限になりますけれども、50人以上の事業場においてストレスチェックは義務となっておりますが、50人未満については努力義務、そして、集団分析・職場環境改善については、事業場の規模にかかわらず努力義務となっています。1点注意事項ですけれども、10人未満の集団分析の所ですけれども、10人を下回る場合には、全ての労働者の同意を取得しない限り、個々の労働者が特定されるおそれのない方法で実施するということを、指針の中で求めています。
次のスライドは、現状、課題です。一番上の○ですが、精神障害の労災支給決定件数は、令和5年度で883件と過去最多となっています。併せて、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業又は退職した労働者がいる事業場の割合は、近年上昇傾向にあります。そして、2つ目の○ですけれども、現在の災防計画であります第14次労働災害防止計画において、メンタルヘルス対策に取り組む事業場、労働者数50人未満の小規模事業場におけるストレスチェック実施の割合、これらについて目標値を定めて取り組むとしています。最後の○ですが、一方、メンタルヘルス対策、これは何らかの対策ですけれども、これに取り組む事業場の割合は、特に10~29人など小規模の事業場においては取組がいまだ低調であるということです。
併せて、下の囲み、ストレスチェック制度の実施状況ですけれども、棒グラフで、ストレスチェック自体、集団分析、それを踏まえての職場環境改善の状況ということで3つ示しています。いずれも、赤い帯の所、50人未満の所はやはり取組が十分ではないことがうかがわれます。
次のページです。こうした現状を踏まえまして、ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会を立ち上げて、これまで議論を頂きました。また、もう1つ、背景事業として、1の目的の2つ目のパラグラフにありますように、いわゆる骨太方針2023の中で、メンタルヘルス対策の強化等を一層進めるとされたこともあります。いずれにしましても、本年3月に第1回を開催し、これまで計7回開催してきたところです。
次のスライドは、7回の議論を踏まえ、中間とりまとめをした概要です。一番上のマトリックス表にありますように、変更点としましては、50人未満の事業場について、ストレスチェックを努力義務であったところを義務としてはどうかという提言を頂いています。そのバックグラウンドですが、1.ストレスチェック制度の効果検証を書いています。最初のポツですけれども、ストレスチェックに加え、集団分析・職場環境改善の取組により、労働者の心理的ストレス反応の改善等が見られたとしています。これは、有意差があるという調査分析の結果があります。次のポツですが、医師による面接指導を受けた労働者の過半数から、この面接指導を受けたことを有効とする回答が得られた状況があります。ストレスチェックだけでも医師につながったというところに対してメリットを感じている回答が過半だったということです。
こうしたことを踏まえつつ、2.の考え方ですが、ストレスチェック、面接指導による気付きの機会は、全ての労働者に与えられることが望ましく、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することの重要性は、事業場の規模に関わらない。そして、次ですけれども、このストレスチェックの実施については、制度創設当時は、労働者のプライバシー保護等の懸念により、50人未満の事業場において当分の間努力義務とされたわけですけれども、現時点におきましては、外部機関の活用が進んでいる、それから、国において指針が策定されてきたことにより、対応可能な環境は一定程度整備されているとしています。
以上を踏まえまして、方向性ですけれども、実施義務対象を50人未満の全ての事業場に拡大することが適当とされました。ただし、条件が幾つかございます。最初のポツにございますように、50人未満の事業場では、原則、労働者のプライバシー保護の観点から外部委託が推奨されるとされました。また、次のポツですけれども、50人未満の事業場には、50人以上の事業場における実施内容を一律に求めることは困難ということから、50人未満の事業場に即した現実的で実効性のある実施内容を求めていく必要があるとされたところです。これと関連しまして、2つほどポツを飛ばして上から5つ目のポツになりますけれども、50人未満の事業場に即した実施体制・実施方法についてマニュアルを作成することが必要とされました。それから、下から3つ目のポツになりますけれども、面接指導の対象者が大幅に増えることが予想されるため、円滑な施行に資するよう、地域産業保健センター、いわゆる地産保の体制強化が不可欠とされました。以上を踏まえつつ、最後のポツになりますけれども、こうした支援体制の整備、支援を含めた制度の周知、その上での50人未満の事業場における実施体制の整備に要する期間を確保するため、十分な準備期間の設定を行うことが適当とされたところです。
次のスライド、3.集団分析・職場環境改善です。こちらについては、職場環境改善を義務化すべきとする意見も一定程度見受けられました。しかしながら、実際の実施状況ですけれども、大企業であっても試行錯誤しながら取り組んでいる、また、その取組内容というのは極めて多様であり、現時点では何をどこまでやったら履行水準を確保できたかという判断が困難とされたところです。また、ここには書いてありませんけれども、集団分析だけでも義務化してはどうかという御意見もありました。ただ、このことにつきましては、集団分析だけやればいいというものではない、職場環境改善と一体的に行われるべきという意見がありました。
以上を踏まえまして方向性です。集団分析・職場環境改善は、事業場規模にかかわらず義務化することは時期尚早であり、義務化については引き続きの検討課題としつつ、まずは適切な取組の普及を図るべきとされたところです。そうした上で、最初のポツですけれども、特に集団分析については、労働者のプライバシーの保護の観点が必要です。そうしたことから、個人を特定できない方法での実施を努力義務とするとされました。また、その下のポツですが、集団分析、職場環境改善まで含めて、ストレスチェック制度もそうですけれども、全体的に一体的な制度であることを明確に伝えることができるような方策を検討すべきとされました。そして、一番最後のポツですけれども、集団分析及び職場環境改善の具体的な実施の促進に向けて、この集団分析結果を活用した職場環境改善の取組事例の収集・とりまとめを行い、その上で、取組事例を含めた制度の周知啓発、及び取組事例を活用した関係者に対する研修の実施等について、国、事業者、労働者、医療関係者において、今後も計画的かつ確実に進めていくべきであるとされたところです。なお、この取組事例ですけれども、好事例だけでなく良くなかった事例、混乱を招いた事例、そういったものも含めて収集するとされました。
以上を踏まえまして、9ページから今回の提案です。まず、①50人未満の事業場におけるストレスチェックです。ほぼ繰り返しになりますが、最初の○にありますように、ストレスチェックの実施義務を50人未満の全ての事業場に拡大してはどうかとしています。ただ、括弧書にありますように、その際には、労働者のプライバシー保護の観点から、原則として外部委託を推奨することとしてはどうか。また、実施結果の監督署への報告義務は、一般健診と同様に、50人未満の事業場については、負担軽減の観点から課さないこととしてはどうかとしています。
2つ目の○、併せて国として支援策を講じていくべきではないかということで、2点記載しています。1つは、50人未満の事業場に即したマニュアルの作成です。特に10人未満等の小規模な事業場については、その実情を考慮し、取組可能な実施内容を示す必要があると考えております。また、2つ目のポツにつきましては、面接指導の対象者が増えることに備えて、地産保の体制強化、例えば高ストレス者の面接指導に対応するための登録産業医の充実が挙げられますけれども、こうしたことを講じていくべきではないかとしています。
そうした上で、最後の○ですけれども、施行までに十分な準備期間を設けるべきではないかとしています。
10ページ、②集団分析・職場環境改善です。こちらも繰り返しになりますけれども、義務化については時期尚早、引き続き検討課題としつつ、まずは以下の対策を通じて、適切な取組の普及を、国、事業者、労働者、医療関係者において計画的かつ確実に進めていくこととしてはどうかとしています。1つは、このストレスチェック制度が、集団分析、職場環境改善まで含めた一体的な制度であることの周知。それから、職場環境改善の取組事例の収集・とりまとめ。そして、取組事例を含めた研修の実施等としています。
最後、また、集団分析の実施方法については、現行、努力義務の規定がありますけれども、これを、プライバシー保護の観点から、個人を特定できない方法で実施する努力義務規定としてはどうかとしています。以上になります。
参考資料を、データやストレスチェックの効果等をお示ししていますので、こちらも御参照いただけたらと思います。説明は以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。9、10ページ目に今後のストレスチェック制度の在り方(案)が示されております。本件につきまして、質問、意見等のある方は、会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員につきましては、御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。まず会場の委員からお願いいたします。御発言がある方は、挙手をお願いいたします。山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 労働側の山脇です。今般、示された内容は、基本的にストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会の中間まとめに沿ったものと承知をしています。
私からは、50人未満の事業場におけるストレスチェックについて発言したいと思います。50人未満の事業場を含む、全ての事業場にストレスチェックの実施対象を拡大するという考え方については、ストレスチェック制度の発足時より労働側が一貫して求めてきた内容であり、深く賛同するところです。
その上で、先ほど課長から条件が幾つかある旨、ご説明があった点について発言したいと思います。1つ目は、9ページの○の2つ目のポツの1つ目で、50人未満事業場に即した現実的、実効性のある実施体制・方法についてマニュアルを作成するとされている点です。私としては、本来であれば事業場規模にかかわらず同様の取り扱いとすることが望ましいと考えます。事業場の規模は、零細企業で社員が数人しかいない事業場もあれば、複数の事業場がある中、1つの事業場でみると50人を若干切るようなところまで、様々なケースがあろうかと思います。そのため、取り組める事業場においては、50人以上の事業場と同一の内容で実施することが望ましい旨について、マニュアルへの記載を含め、周知啓発に努めていただきたいと思います。
2点目は、○の1つ目の下段括弧書についてです。今回、外部委託を推奨することになると、新たに外部機関として参入する事業者が増加することが見込まれますので、外部機関の質の担保が重要と考えます。そのため、外部機関の質の担保を行うための仕組みを何らか設けることができないのか、検討していただければと思います。
また、その後段、監督署への報告義務は50人未満の事業場については、負担軽減の観点から課さないとされている点です。このように取り扱われるとしても、事業者がストレスチェックを実施しない場合には法違反に問われると承知しています。50人未満事業場において、ストレスチェックが確実に実施されるよう、実効的な周知の在り方について、検討いただきたい思います。
次に、7ページ、概要の方向性のポツの3つ目に記載されている、衛生委員会等の設置義務がない50人未満事業場では、関係労働者の意見を聴く機会を活用するとされている点です。この間、他の仕組みにおいて、関係労働者への意見聴取が適切に運用されているのか疑問もあるところです。今般の義務化に当たっては、労働者への意見聴取が実効性あるものとなるよう、詳細を検討していただきたいと思います。
あと、9ページに記載がある地産保の体制強化について、国として支援策を講じていくべきとの記載があります。今回の義務化に当たっては、地産保による中小企業への支援というのが大変重要だと考えています。個々の労働者が制度をうまく活用できるように、事業者の支援という観点も含めて、地産保の体制強化を改めてお願いしたいと思います。
最後に9ページの○で、施行までに十分な準備期間を設けるとの記載があります。義務化によって対象事業所が増加する中で、産業医等の育成に一定期間を要するということは、理解をするところですが、14次防において、小規模事業場のメンタルヘルス対策は低調とされていることを踏まえると、できるだけ早期に義務化することが望ましいと考えます。そのため、準備期間については適切な期間としていただくように要望したいと思います。以上です。
○髙田分科会長 御発言ありがとうございます。そうしましたら、事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 山脇委員、ありがとうございます。幾つか頂きました。まずは、マニュアル作成に当たって、50人未満の事業場について、50人以上と同等とすべきということが望ましいのではないかという御指摘を頂いています。現時点で、何が望ましいかというのは、予断を持って言うことは難しいと思っております。実際にそのマニュアルを作成するときには、今回、検討会でも小規模事業場の意見をしっかり聴いてほしいという御意見を頂いていますので、御意見を伺いながら適切なものを作っていきたいと思っております。
それから2点目は、外部委託をする場合の一定の質の確保について御指摘いただいております。このこともマニュアルを、現在ございますけれども、実際に外部委託を推奨するという流れの中で、実際に委託する場合の注意点、こういったものを例えばチェックリストの中でお示ししたい。現行のものの内容を見直し、注視していく必要があると考えているところでございます。
それから3点目、周知についてでございます。正におっしゃるとおりでございまして、今回、しっかり実施の義務が課せられるわけですけれども、取り組みやすい内容をマニュアルとしてお示ししながら、しっかりそれの周知を図っていくと。これによりまして、この義務を果たしていくように促してまいりたいと考えております。
それから4点目は、衛生委員会についての言及でございました。これについての現状での厳しい御指摘を頂いたかと承知しておりますけれども、このことにつきましても、マニュアルの作成の中で実際的な運用ができるような形でお示しできたらと思っております。
それから、地産保の体制について御指摘を頂きました。このことについても、正に中小企業、小規模の事業場にしっかりと取り組んでいただくためにも、地産保の体制の強化は必要だと考えております。国として受け止めて、今後、検討課題としたいと思っております。
最後、施行までの十分な準備期間でございます。御指摘のとおり、だらだらとこの準備期間を設けるのではなくて、適切な形で必要な支援体制の整備、そして、そのことの周知を図る。それによりまして、50人未満事業場でもちゃんと実施できるといった見極めが大変大事だと思っていますので、一定程度の期間は設けたいと考えているところでございます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。山脇委員、いかがでしょうか。そうしましたら、お願いいたします。
○山脇委員 御回答ありがとうございます。外部機関の質の担保について、質の担保が難しいような事業者に対する取扱いについて、どのように対策を行うか引き続き検討いただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 事務局、お願いします。
○労働衛生課長 今後の検討課題とさせてください。ありがとうございます。
○髙田分科会長 ありがとうございました。続きまして、挙手されていた佐々木委員、お願いいたします。
○佐々木委員 労働側の佐々木です。10ページの集団分析・職場環境改善について、発言したいと思います。資料の10ページの○の1つ目、集団分析・職場環境改善の義務化について、現時点では何をもって履行されたかの判断が難しく、義務化は時期尚早であり、引き続きの検討課題として着実に進めていくと記述がされています。
そもそもストレスチェック制度については、労働者個々人が受検をすることで、本人に気付きを促すだけではなく、集団分析を行って職場環境改善まで一体的に実施することで、より高い予防効果を発揮できるものと考えています。そのため、集団分析・職場環境改善についても義務化が望ましいという考えは、改めて申し上げておきたいと思います。
他方で、履行水準が定められない中で、義務化だけを実施したとしても、制度が形骸化をしかねないという懸念もあり、現時点においては義務化を見送ることは、やむを得ないものと考えています。今回の検討会等の議論を通じて、集団分析・職場環境改善の義務化に向けて何が問題なのかということが明らかになったことから、是非、集団分析等の定着と併せて、履行水準の在り方について検討を進めていただきたいと思います。
それから、集団分析の実施を推進する観点から、現行の14次防のアウトプット指標に、集団分析・職場環境改善の実施率を加えるということについても御検討いただければと思います。
また、○の1つ目の後段では、国、事業者、労働者、医療関係者において、計画的かつ確実に進めるという記述があります。それぞれの関係者がいつまでに何を行うか、ロードマップを示すことで、政府任せにすることなく、関係者全体で取り組む体制を構築していくことが必要ではないかと考えます。
最後に、平成26年に取りまとめがされたストレスチェック制度検討会の報告によれば、当時、集団分析等を努力義務にした趣旨についての記載があります。それによると、集団分析の実施の必要性や緊急性が低いことを意味するものではなく、事業者は、職場のストレスの状況、その他の職場環境の状況から改善の必要性が認められる場合には、集団分析を実施し、その結果を踏まえて必要な対応を行うことが、おのずと求められることに留意しなければならないと、まとめられております。この考え方については、現在においても何ら変わるものではないと思っています。この考え方について、改めて周知をお願いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 ありがとうございます。この集団分析・職場環境改善は、正にストレスチェック制度と一体的なものであるということについて、取り組むべきという御指摘を頂いたかと思っています。検討会でも今お話いただいたような形の取りまとめになりまして、我々といたしましては、まずは取組事例を、特に効果があったものなどを周知して、本当にいいことですよということで紹介していく、そういったことを進めていけたらと思っているところでございます。
それから、14次防へ集団分析等の実施率を加えてはどうかという御提案を頂きましたけれども、14次防はもう走っておりますので、現行では今の指標で確認させていただきたいと思いますが、当然、今、申し上げましたように、取組事例の好事例の紹介もしながら、実施の状況というのも、別途、捕捉してまいりたいと思っております。そうした形で、全体的にこの集団分析・職場環境改善の取組を促してまいりたいと思っております。
そして、計画的かつ確実に進めていくということについては、ここに並べてある関係者で、また国のほうが主導しながら整理をして、どのような形でこういった取組の普及を進めていけるかといったことをお示しできたらと考えております。
最後に、平成26年の検討会の考え方を御紹介いただきました。その考え方は今般の検討会でも引き継がれて、その土台の上で御議論いただき、このような中間とりまとめに至ったものと承知していますので、我々といたしましては、このとりまとめを中心にしっかり周知を図って、繰り返しになりますけれども、ストレスチェック制度はもとより、集団分析・職場環境改善の取組を促す方策を引き続き検討してまいりたいと考えております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。佐々木委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。そうしましたら、宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員 精神障害の労災の決定件数が過去最多になったということ、また、メンタルヘルス不調の連続1か月以上の休業が上昇傾向にあるということを踏まえて、今後、事業場の人数が50人未満であっても、やはりこれは今のこのタイミングできちんとやっていくということが、ものすごく重要かと思いました。事業場の規模に関係なく実施することには私は大賛成です。
実際の現場で、こういった事後措置というか職場環境改善を担っているのは産業保健スタッフや、50名以上であれば選任された衛生管理者だと思います。ただし、今回の検討は50名未満ですから、衛生推進者が中心として担うような形になると思うのです。そういう中で、まだまだ衛生推進者に対するこういった情報、それから教育も含めて十分ではないのかと私は思っています。衛生推進者はいろいろな方々の協力を得ながら、確実にやらなくてはいけないと思います。現在も衛生推進者の方々は、職場内で、しっかりとした環境改善を整えるということを、義務としてもちろんやっているわけですが、ストレス対策も含めた衛生教育の機会を、今後、さらに設けていただければと思いました。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、会場から小澤委員、お願いいたします。
○小澤委員 小澤です。10ページ目に、職場環境改善の実施状況は、大企業であっても試行錯誤しながら取り組んでいるとありますけれども、正にこのとおりでして、弊社でも本当に試行錯誤しながら取り組んでいます。
そのような中で、ポツの2つ目に、取組事例の収集・とりまとめをやっていただくと書いてありますので、正にここに期待しているところです。特に、より具体的に集団分析の結果、こういうところに原因があって、こういうアプローチをして、うまくいったとか、逆に先ほどうまくいかなかった事例も集めていただけるという話を伺えたので、是非そこに期待しておりまして、多くの事例が集まって、それで我々もそれを参考にしてやって、成果が上がって、手応えが出てきてから、将来的に義務化かと思っております。取組事例の収集・とりまとめ、ここを期待しておりますので、是非よろしくお願いいたします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。宮内委員と小澤委員の御発言につきましてお願いいたします。
○労働衛生課長 ありがとうございます。まず、宮内委員から、産業保健スタッフ、衛生推進と教育について御指摘を頂きました。50人未満となりますと、ストレスチェックについては、原則、外部委託を推奨することとしてはどうかと取りまとめられたところでございますけれども、一方で、この制度の理解を事業所内で深めていただくということは、とても重要だと思っております。国といたしましては、産業保健センター、それから地産保といった体制の強化、充実と併せまして、そちらからの専門的な情報提供や研修、その実践も確実にやってまいりたいと考えているところでございます。
それから、小澤委員のほうから、取組事例の収集についての御期待を頂きました。繰り返しになりますけれども、良い事例とトラブルになった事例、それらをお示しすることによって、取組の道しるべになるようになればと思っておりますので、しっかり取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございます。
○髙田分科会長 ありがとうございます。宮内委員、よろしいでしょうか。
○宮内委員 はい。
○髙田分科会長 小澤委員、よろしいでしょうか。
○小澤委員 はい。
○髙田分科会長 続きまして、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 経団連の鈴木でございます。まず、資料1の9、10ページの「今後のストレスチェック制度の在り方(案)」は検討会の中間とりまとめに沿ったものだと受け止めております。その上で、2点コメントさせていただければと思います。
まず、50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施は、原則として外部委託を推奨することとされております。労働者のプライバシー保護の必要性を踏まえると、外部委託を通じたオンラインでの実施が多くなることが考えられます。それに伴い、高ストレス者に対する医師による面接指導も、受託機関のサービスの一環として、オンラインでの実施が想定されるところです。
先ほど山脇委員から質の担保というお話もありました。50人未満の事業場で就労する労働者は相当な数にのぼります。今後、オンラインによる医師の面接指導について、厚生労働省が既に発出している通達の要件を満たす方法での実施を確保していく必要性が高まってくると考えます。また、事業者が外部委託先に丸投げすることがないよう、ストレスチェックの実施計画を立て、適正な委託先を選定できるよう、十分な支援と準備期間の確保が必要になると思いますので、特段の御配慮をお願いいたします。
もう一点ございます。ストレスチェックと集団分析・職場環境改善、これらは一体的に取り組むことが大切だという点は、私どもも同じ思いです。ただし、職場環境改善等の義務化というお話が出たところですが、先ほど小澤委員からもございましたように、大企業であっても本当に試行錯誤しながら取り組んでいる状況です。そのベースは、やはり職場環境改善というものが、何か1つのことを実施すれば効果が上がるというような性質のものではなく、職場の特性、業種、業態によっても有効な措置は変わり得るものだと理解しております。先ほど佐々木委員から履行水準の在り方の検討というお話がありましたが、私どもとしては、職場環境改善への取り組み方は多種多様であるため、そもそも義務化になじまないものではないかとこれまで主張してきましたので、改めて申し上げたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。オンラインでお待たせしており申し訳ございません。大下委員がお急ぎだということなので、大下委員、よろしければ御発言をお願いいたします。
○大下委員 日本商工会議所の大下です。発言順ご配慮いただきまして大変恐縮です。
今回お示しいただいた今後のストレスチェック制度の在り方(案)に、大きな方向性としては異論ありません。9ページの50人未満の事業場におけるストレスチェックの内容について、4点ほど申し上げたいと思います。
1点目は、中小企業の実態を踏まえて外部委託を推奨するという考え方は妥当だと思っております。労働側の委員の方から、質の担保をというお話がありましたが、併せて量と価格、コストの部分も重要だと思っています。地方も含めて、広くあまねく利用できる体制をしっかりと組んでいただくことがマストだと思います。また、1件当たりの費用の負担が課題となると、中小企業において少し取組が進みづらくなる懸念もございます。この点、施行までに十分な確認と必要な取組をお願いしたいと思います。
2点目は、50人未満の事業場に即した取組という考え方についても妥当だと思っております。通常、中小企業にいろいろな義務が課される際、商工会議所としては中小企業側、経営者側の負担ということを申し上げますが、今回のこの件に関しては、その点よりも、むしろ経営者と従業員の距離が極めて近い中小企業において、今のままの仕組みをそのまま適用すると、従業員のプライバシー保護の観点でリスクがあると考えております。この点から、現実的で実効性のある実施体制、実施方法を是非御検討いただきたいと思っておりますし、これも含めて有効な形を組むためには、地産保の体制強化がマストだと思っておりますので、是非この点もお願いをしたいと思います。
3点目は、今申し上げたようなことも踏まえますと、十分な準備期間を設けるべきとの考え方も妥当だと思っております。ただ一方で、現在もこれらの企業にも努力義務は課されているわけですので、既に50人未満の事業場においても一定割合で実施をしている事業場もある状況です。是非、今後の義務化に向けて、前広に、いつから義務化になる予定か、ということも含め周知をしていただき、小規模の事業場も含めて義務化を見据えた自主的な取組を促していただくことも重要かと思います。その際には、取り組む意義や効果、あるいは取組事例などを、是非、併せて周知、御案内を頂ければと思っております。
最後に4点目です。これは今回の件の外に出る部分かもしれませんが、これまで50人以上の事業場でこれだけストレスチェックの取組が進んでも、残念ながらメンタルヘルス事案が増え続けていることについてどう捉えるかは、非常に重要なポイントと認識しています。改めて、日本の企業でこの問題がなかなか解決をしない要因は何なのかということをしっかりと考えて、今やっている取組を広げるだけではなく、ほかに何か打つ手はないのかということも検討することが重要だと思います。私からは以上です。ありがとうございます。
○髙田分科会長 ありがとうございました。鈴木委員と大下委員の御発言について、事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 ありがとうございます。鈴木委員からは、質の確保、特にオンラインも多くなってくるときの担保についての御指摘がありました。この点については、過去に出させていただいている通知も踏まえながら、どのような取組方があるのか、また、質の確保をどう担保できるのかは、マニュアルの作成と併せて引き続き検討したいと思っております。併せて、十分な支援ができるように、これは地産保の体制の充実と併せて、国として検討していきたいと考えております。
2つ目、職場環境改善について御指摘を頂きました。御意見としては承りますが、ただ、現時点では義務化は時期尚早だけれども、取組事例の紹介等を通じて、実施、促進につなげていけたらと思っております。水準や基準という言葉が適当かどうかは分かりませんが、まずは国としては取組事例の収集・とりまとめを進めてまいりたいと考えております。
大下委員からは、まず最初に、質の確保の観点で、特に費用面での御指摘を頂きました。今回も参考資料の24ページに表もお示しして、現時点での1人当たりの費用が数百円から1,000円程度と確認ができておりますが、施行に当たっては、更にその他の工夫もできないかどうかということも現状確認しながら、マニュアル等でお示しできたらと思っております。
2点目は、本当に御指摘のとおりで、規模が小さくなればなるほど、50人以上とは違ってくる様相、特にプライバシーの確保の問題がありますので、実効性のあるマニュアルの作成は心がけていきたいと思っております。
3点目は、貴重な御提案を頂きました。周知を通じて、前倒しでできれば、自主的に取組を促していただく方策です。我々としても、まだ現時点で政策として決定したというわけではありませんが、もし決まりましたら、早めに施行の時期などをお示しすることにより、併せて取り組むことの良い効果もお伝えしながら、ストレスチェック実施を進めてまいりたいと考えております。
最後は、極めて本質的なお話だと思っております。冒頭、労災の決定件数が増えていると紹介いたしました。背景には、いろいろあると思います。ひょっとしたら認知度が高まっている、いや、もともと精神障害を有する方が増えてきている、そういうトレンドにあるといった分析もあろうかと思います。しかし、それはそれとして、別途、我々としても更に取り組むことがあるのか、ないのかという、常にそういった目を持って、今後業務に臨んでいきたいと思っております。ありがとうございます。
○髙田分科会長 大下委員、追加で御発言はありますか。
○大下委員 是非よろしくお願いします。特段、これ以上のコメントはございません。発言順を御配慮いただき、ありがとうございました。
○髙田分科会長 続いて、鈴木委員、いかがでしょうか。
○鈴木委員 大丈夫です。
○髙田分科会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。そうしましたら、そのほか会場で御発言を御希望の方はいらっしゃいますか。出口委員からお願いします。
○出口委員 出口です。御指名ありがとうございます。検討会の結果だということは重々認識しております。その中で、建設業として意見を取りまとめてまいりました。建設業としては、50人未満の事業場にまでストレスチェックを義務化、拡大することに対しては、おおむね反対の意見が多かったです。50人以上の事業場において、ストレスチェックの実施義務を導入後も、精神障害の労災補償認定件数も増え続けております。対策を講じなければなりませんが、ストレスチェックの実施だけでは、この数値が減少するわけではありません。50人未満の事業場に実施義務を課しても、負担が増え、効果は期待できず、中小零細企業の経営活動の圧迫、ひいては雇用する労働者そのものに悪影響を及ぼしかねないのではないでしょうか。
規模が極めて小さい零細の事業所においては、ストレスチェックを外部委託するとなれば、費用も掛かりますし、また、プライバシー保護ができず、他の労働者にプライバシーが露見してしまうおそれがあります。現状、50人以上の事業場において、義務化にもかかわらず、まだ100%になっていない、令和5年で81.7%、集団分析の実施状況が64.5%、結果の活用状況に至っては52.1%と低調です。結果の活用を講じ、対策、環境を変えることによって、初めて期待する成果、効果が得られます。
要望になりますが、建設業の場合、建災防の第9次建設業労働災害防止5か年計画の中に、中小企業の調査研究を進めるとの記載があります。調査自身はよいのですが、その中でも建災防方式の健康KYや無記名のストレスチェック、これらは共に低調なのが現状です。建設業としては、まず普及しないのはなぜか、原因を追求して、施策を立てることが重要であると考えております。50人未満の事業場において義務化し、逆に事業者を圧迫、労働者においては不利益を被るおそれがあり、これは回避しなければなりません。
総論的には賛成ですが、各論に入りますと、費用の問題、監督署の対応等、現状、数多くの問題点があります。一定程度の整備等ではなく、まず50人以上の事業場において原因を分析し、国の支援等も厚く頂き、普及を図り、集団分析の実施状況、結果の活用状況までの環境整備が整い、一通り流れが完成した後に、50人未満の事業場においては丁寧な指導とともに義務化していただくようお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございました。続いて、七浦委員、お願いいたします。
○七浦委員 七浦です。御説明も含めて、非常に一次予防の必要性は重要であると認識しております。実際にストレスチェックを実施している企業の産業医として、コメントをさせていただきます。そういう意味では、一次予防は非常に大切で、もともとのメンタル不調者が増えているということもあるでしょうが、気づきを与えるという非常に重要なタイミングになるかと思っています。恐らく、50人未満の企業であれば、集団の健康診断の中に組み込まれる、健診の業者さんがやる所であれば、そんな仕組みになっていくような気もするなと、あるいは、オンラインで産業保健に対するストレスチェックをやられている企業というような形になるのかと、そのように実際には広がっていくタイミングを考えています。
実際に、我々も50人未満の分析をする際に、お一人であったりお二人のごく少数の方の影響によって、そこの集団自体のデータが非常に左右されてしまうと、正確な判断ができないという理由で、集団分析であったり職場環境改善の際に、もしかすると正しい方向にいかないというようなことにも、実際には留意しておく必要性があるのではないかと考えております。実際、我々の所でも、50人未満の所では、職場改善のデータが悪い所に訪問をするのですが、そのような所には少し個別の、少し言葉は悪いですが、犯人捜しにならないようにということで、全体のイメージとしてしっかりと考えていけるような分析が要るだろうと。そう考えると、50人未満の企業にとっては非常に負担が大きい可能性があり、そういう意味からも、いろいろな面接指導であったり、オンライン、それから産保センターの方の分析を慎重にやった上での集団分析、あるいは職場介入になってくるのだろうと考えています。
また、基本的に中小の企業には産業保健スタッフがおりませんので、そのようなところを考えると、どのような対応が正しいのか。過去の事例や企業観、横展のようなことをしっかりできるような仕組みづくりが必要ではないかと。実際に50人未満の所で実施されたということをイメージしながら、自分であったらどう動くかという認識で発言をさせていただきました。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。出口委員と七浦委員の御発言について、お願いいたします。
○労働衛生課長 出口委員から、厳しい御指摘を頂きました。50人未満は、かえって負担が大きくなるのではないかという話がありました。既に御議論を頂いておりますが、懸念点として費用面、プライバシーの確保の面、その他もろもろですが、こういったことも踏まえながら、我々としては、しっかり準備期間は設定しつつ、マニュアルの作成、支援をするための体制の整備、併せて周知をしてまいりたいと思っています。また、取組事例の収集の過程においては、何がよかったのか、逆に何がよくなかったのかといったことの分析も可能だと思っていますので、そういった分析も併せて行いながら、制度をスタートさせると決まりましたら、こういった準備を進めてまいりたいと思っております。
七浦委員からは、一次予防の必要性、重要性についてのコメントを頂きました。ありがとうございます。正に、今後は労働者数も非常に厳しくなるといった中で、健康診断だけでなく、メンタルの面でもしっかり取り組んでいくことは重要ではないかと思っております。ただ、そうした中でも、一定の配慮は必要であろうと。特に非常に規模の小さい所での集団分析の在り方は、かなり配慮が必要ですので、制度をスタートさせるとなりましたら、この集団分析の在り方についての留意事項も含めて、お示しできたらと思っております。併せて、過去の事例をイメージしながらということですので、取組事例もしっかり収集して、参考になるようなものをお示しできたらと思っております。以上です。
○髙田分科会長 出口委員、いかがでしょうか。追加の御発言はありますか。
○出口委員 ありがとうございます。総論的には賛成ですので、ただいま御回答いただきましたように、丁寧に時間を掛けていただき、準備を整えた後に、50人未満の事業所に展開していただくよう、よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。七浦委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、オンラインで大変お待たせしておりますので、中嶋委員、御発言をお願いいたします。
○中嶋委員 有識者委員の中嶋です。事業者に対する産業医、それから高ストレス労働者に対する臨床医、事業者、労働者に対するストレスチェック実施者の経験より、2点指摘させていただきます。22ページの50人未満の事業場におけるストレスチェック制度の実施の流れの図に基づいてお話をしていきますので、よろしくお願いいたします。
現在の議論は、集団分析・職場環境改善までを目標とするストレスチェック制度に関する義務ではなく、ストレスチェックの実施義務についてであると理解しております。実施の流れのストレスチェックの実施については、外部機関等への委託を推奨されておりますが、「こころの耳」の中にある職場のストレスセルフチェックは相同の内容であり、妥当性、効果が示されておりますので、50人未満の事業者の労働者に、事業者より、そちらの利用を促し、その結果をもって面接指導を地産保の高ストレス者面談によって行っていただくという流れも、現実的で実効性のある実施体制・実施方法についてのマニュアルに、代替案の1つとして明記していただきたいというのが1点目です。ストレスチェック実施者の経験からは、この流れは、集団分析・職場環境改善までを目標とするストレスチェック制度の代替にはならないものの、ストレスチェックの実施という観点では、事実上支障はないものと考えております。
2点目は、令和5年度の地産保での高ストレス者面接指導は僅か489件ですので、地産保の体制強化を実行されることをお願いしたいと思います。面接指導が、単に産業医の数あるいは面接指導担当医の数を増やすのみならず、面接指導の機会設定が、高ストレス労働者と高ストレス者の面接指導に当たる医師にとって、負担少なく行われるような面接指導実施体制が作られるよう支援していただくことをお願い申し上げます。以上です。
○髙田分科会長 御発言ありがとうございました。続いて、山口委員、お願いいたします。
○山口委員 労働側委員の山口です。2点申し述べたいと思います。1点目は、10ページの2つ目の○の集団分析の実施方法に関して、労働者のプライバシー保護等の観点から、個人を特定できない方法での実施を努力義務としてはどうかとされている点についてです。これは、現行の努力義務規定を維持しつつ、労働者のプライバシー保護を担保する観点から、上乗せ規定を設ける趣旨と承知しています。労働者のプライバシー保護が重要なことは言うまでもなく、その趣旨に賛同したいと思います。
2点目は、ストレスチェック制度の運用上の課題についてです。今回、ストレスチェック制度に関して、法的な枠組みや制度の拡充が論点化されていますが、ストレスチェックが義務化されている事業場においても100%実施となっていない中で、どのように改善を図っていくか。高ストレス判定を受けた労働者を、いかに医師の面談につなげていくか。地産保などの外部機関の効果的な活用方法の周知など、現行制度を運用する上で課題となっている点についても、対応策の検討が重要と考えております。今後の有識者検討会においては、現行制度の運用上の課題解決はもとより、ストレスチェック制度以外のメンタルヘルス対策の在り方についても、検討を行っていただきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そうしましたら、中嶋委員と山口委員の御発言について、お願いいたします。
○労働衛生課長 中嶋委員から、ストレスチェックについて、こころの耳に掲載されているセルフチェックによる代替案の御提案を頂きました。ただ、このことについては、現行法の労働安全衛生法では、ストレスチェックは事業者が労働者に対して実施しなければならないものとされていることから、これを前提として今後の義務対象の拡大というように臨みたいと考えております。
2点目は、それとは別に、地産保の体制の充実のお話がありました。セルフでやるのではなくて事業者が実施するもの、それに対する支援ということで、地産保の体制強化は必要になってくると思っております。このことについても、国として検討してまいりたいと思っております。
山口委員からは、集団分析の努力義務規定についてのコメントがありました。正に御指摘のとおりであり、現行でただ努力義務としているところだけではなく、加えて個人を特定できない方法での実施の規定という形で、上乗せ的なものをイメージしているところです。それから、現行でもまだまだ改善点があるのではないかという御指摘ですので、今後、現行の問題点等も分析しながら、50人未満に対象を拡大するに当たって、参考にしていきたいと思っております。また、効果としては、その取組事例を周知することによって、「あ、こんなにいいことがあるんだ」と、これがやはり訴求ポイントになると思いますので、この取組も併せて行ってまいりたいと考えております。以上です。
○髙田分科会長 中嶋委員、いかがでしょうか。追加で御発言はありますか。
○中嶋委員 大下委員や出口委員が費用のことに関する懸念を申しておりましたので、こころの耳と地産保の高ストレス者面接指導は、事業者がそれを命じるものであれば、一つ候補として考えていただければという趣旨です。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。山口委員、いかがでしょうか。
○山口委員 ありがとうございました。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか、会場からいかがでしょうか。お待たせしました。及川委員、お願いいたします。
○及川委員 私からは、10人未満の小規模の事業者について、現状を鑑みますと、義務化についてはかなり課題が多いと感じております。国の支援策が10人未満の小規模事業者に行き届かないなどということがないように、あるいは10人未満の小規模の事業者が取り残されないように、是非、国としての支援機関の制度設計を万全なものにしていただきますよう、お願い申し上げます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
○労働衛生課長 承知しました。
○髙田分科会長 続いて、松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 私たちの関係では、事業体として国保組合を運営しております。その中で医療費分析をしますと、やはり精神疾患の方が増加をしているというのは顕著です。先ほどありましたが、建設業の関係では中小零細業者が非常に多いという状況の中で、明らかに精神疾患が多いということは、その予防を図るためにも、こうした取組は必要だと思っております。
ただし、各委員がおっしゃったように、やはり環境整備が非常に重要です。この間、50人未満の事業場は後ろに置かれていたのかと思いますし、都道府県単位の労働局の関係での具体的な施策も、20年前と変わっていないと個人的には思っています。そうした意味で、地産保の体制強化は非常に重要だと思いますし、実際に始めることになれば、この強化を是非お願いしたいと。そうしないと、結局50人以上と50人未満の事業場の格差が今後生まれる可能性がありますので、是非お願いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか、会場で御発言はありますか。山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 山脇です。皆様のお話や御意見を伺って、集団分析・職場環境改善の義務化について1点だけ発言させていただきます。私は、検討会の委員でもありましたので、こういった議論があったということを紹介させていただきたいと思います。今から述べるのは、平成26年検討会の構成員でもあった医師である専門家の御発言です。「平成26年検討会では、本来の制度趣旨から見ると、集団分析・職場環境改善は当然義務化すべきであるが、今の時点で義務化すると企業が混乱する可能性があるので、猶予期間を設け準備しましょう、この間に、好事例その他をしっかりマニュアルに記載して準備して、数年後には集団分析・職場環境改善が義務化できるようにしましょうという結論であったと。今回、義務化の見送りに関する議論を聞いていると、前回検討会と全く同じ議論をしている。7年前から全然進んでいないことになってしまう。私としては忸怩たる思いだ」。
本内容が取りまとまれば、検討規定が付き、数年後に改めて検討がされることになるかと思います。その検討に当たっては、このような専門家の御発言がないように、義務化に向けて何をしていくかということは、確実に厚労省に整理して頂きたいと思います。また、現行の集団分析・職場環境改善について、引き続きの努力義務であったとしても、労働者・事業者を含めた関係者が確実に取り組みを進めていかなければならないと考えます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ただいまの松尾委員と山脇委員の御発言について、事務局、お願いいたします。
○労働衛生課長 松尾委員からの御指摘は、その前にあった及川委員の御指摘と共通していると考えております。正に小規模の所が取り残されないようにということで、精神疾患が現場で増えているといった危機感からのコメントであると承知しております。国として、地産保の体制強化も含めて、しっかり施策を行き届かせるようにしたいと考えております。
それから、山脇委員からは、平成26年から現状変わっていないとりまとめになっているのではないかという趣旨の御指摘と捉えております。ただ、検討会でもお話がありましたように、全く進んでいないわけではなくて、現状50人未満でもストレスチェックを実施しているという実態がある中で、現時点では、まだ大企業でもどうしたらいいか非常に悩んでいると。どこまでやったらいいかといったところがはっきりしないといった課題については変わっていないところがありますので、今後、より一層、取組事例等の収集、その周知、その効果の程を提示しながら、環境整備を進めてまいりたいと考えております。
○髙田分科会長 松尾委員、山脇委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。そのほか、ありますか。ありがとうございます。委員の皆様から、様々な御意見を頂戴いたしました。ストレスチェック制度を含めたメンタルヘルス対策については、おおむね皆様の御了解が得られたかと思いますので、委員の皆様の御指摘を踏まえて、この形で進めることにいたします。
続いて、議題(2)労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等についてになります。事務局から、資料2に基づき説明をお願いいたします。
○労働衛生課長 続きまして、資料2をお開きください。労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等について、労働衛生課長より御説明いたします。まず、2ページ目です。こちらは、日本の健診制度の概要を示したものです。詳細は御説明しませんが、対象者の年齢や属性ごとに健診の仕組みというのがあり、このうち労働者については、赤い枠囲みでありますように、労働安全衛生法に基づき、常時使用する労働者を対象に、事業者が実施主体となっている状況です。
次のページです。こうした中で、労働安全衛生法に基づく定期健康診断の項目がこちらです。全部で11項目ありまして、これは労働安全衛生規則に提示されているものです。
次のスライドです。この定期健康診断の性格について取りまとめた文章がこちらになります。最初のポツにありますように、労働安全衛生法に基づく定期健康診断等は、その目的が、常時使用する労働者について、その健康状態を把握し、労働時間の短縮、作業転換などの事後措置を行い、脳・心臓疾患の発症の防止、生活習慣病等の増悪防止を図ることなどであるとされています。ここで言わんとすることは、この健診の実施、その結果に基づいて、必要に応じての就業上の措置、事後措置というのは、その費用負担も含めて事業者に義務が課されるということで、あらゆる健康データを入手するというような立て付けになっていないということです。この後に述べる検討会でもそうですが、そのようなことから、疾病については業務起因性、業務増悪性、併せて就業上の措置、事後措置の有無について問うという形になっています。
次のスライドです。こちらは、健康診断を行ってから事業者による就業上の措置の決定に至るまでの流れを示したものです。御参照ください。
次のスライドです。こうした中、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等の検討を行うことになりました。その経緯を示したものがこちらです。大きく2つポイントがあります。最初は、平成28年にも実は検討会を行っていますが、それ以降、健康診断についての医学的知見が集積されてきている。こうした中、2つ目のポツにありますように、政府の規制改革実施計画で、定期健診について、最新の医学的知見等を踏まえて、検査項目、検査手法について所要の検討を行うとされたところです。
2点目は、3つ目のポツですが、女性版骨太の方針、正式には「女性活躍・男女共同参画の重点方針」ですが、その2023の中で、「事業主健診に係る問診に、月経困難症、更年期症状等の女性の健康に関連する項目を追加する」とされまして、女性版骨太の方針2024でも同様のことが記載されております。
こうしたことから、スライド7ページのこの検討会を昨年末に立ち上げて、計8回開催してきました。そして、先ほどのストレスチェックと同様に、中間とりまとめが11月1日に公表となりました。
次のページです。その検討会の中間とりまとめの概要をこれから御説明いたします。①です。最初にお断りですが、この検討会の対象となる検査項目は広くございます。ただ、現時点では、このうち女性特有の健康課題に関する項目と歯科に関する項目を先行して検討してきました。その検討結果を中間とりまとめとしております。したがいまして、まだ十分に御議論を頂いていないその他の項目については、本検討会において、引き続き検討を行っていただく予定です。
それでは、2つの点について御報告申し上げます。まず、女性特有の健康課題に関する項目ですが、最初のポツ、一般健康診断の機会を活用し、女性労働者本人への気づきを促し、必要な場合には、産婦人科医等女性特有の健康課題に係る診療を専門とする医師への早期受診を勧奨し、また、女性特有の健康課題に対する配慮について申出を行いやすい職場づくりにもつながるよう、一般健康診断問診票に女性特有の健康課題に係る質問を追加することが適当とされました。
そうした上で、2つ目のポツですが、質問票をイメージで書いておりますが、この質問に対して「はい」と回答した労働者に対して、健診機関から、必要に応じて、女性特有の健康課題に関する情報提供や専門医への早期受診を促すことが適当とされました。
次のスライドですが、この女性特有の健康課題に関する質問はどこに追加するのかということを分かりやすく示すために、このような資料を御用意しました。現行の労働安全衛生法に基づく定期健診の検査項目を並べています。先ほど、安衛則に列記されている11項目と申し上げましたが、上段の部分が正にそのようなもので、既往歴の調査等から心電図検査に至るまでとなっています。
その他の項目については、例えば血清クレアチニン検査は、医師が必要と認めた場合に実施することが望ましいとされています。また、一般健康診断問診票のうち、最上段に掲げた既往歴の調査等を除く部分、例えば健康について相談したいことの有無というのは1項目、2つ目の特定健康審査、いわゆるメタボ健診ですが、この標準的な質問項目は22となっており、これらから構成されています。このうち、女性特有の健康課題に関する質問というのは、健康について相談したいことの有無と並ぶ項目に位置付けられるということです。
したがいまして、何が言いたいかというと、今回の追加される項目というのは安衛法に基づく実施義務はないと。したがいまして、労働者の受診義務並びに事業者の事後措置の実施義務も課されないものとなっています。
次のスライドです。中間とりまとめ②です。女性特有の健康課題の続きですが、質問に対する労働者の回答は、健診機関から事業者に提供しないこととするとされました。この点について、検討会では、労働者本人が希望するのであれば、事業者に提供してもよいのではないかと意見があった一方で、現時点では一般に女性特有の健康課題とその業務起因性等との関係が明らかにされていないことから、労働者が受診した専門医の意見とともに事業者に申し出ることを出発点とすべきとの意見があったことから、このような推移となっています。
ただし、次のポツですが、女性特有の健康課題を抱える個々の労働者と事業者をつなぐ観点から、望ましい対応を厚労省において健診機関向けマニュアルに示すこととされました。具体的には、職場において困っている場合、専門医の早期受診を勧奨すること、その上で、専門医の診断書を持って事業者に相談することは可能であること、既に専門医の診断を受けている場合も同様に可能であることを明示するものです。
加えまして、3つ目のポツですが、今、申し上げました内容と同様のものを、健診機関だけではなく、事業者向けガイドラインにも明示するとされました。なお、これらの取扱いについては、あらかじめ衛生委員会等において労使間で十分に話し合うことが考えられるとされています。
そして最後のポツですが、望ましい職場環境の拡充等の観点から、女性特有の健康課題に配慮した職場環境を積極的に推進する企業においては、労働者に説明した上で、労働者からの回答を集計した情報「集計情報」を健診機関より入手し、取組に活用することが考えられるとしております。もちろん、労働者のプライバシーに配慮して、個人が特定されないようにすることが必要であるともされました。
スライド11です。併せて、この検討会では、女性だけではなく男性の更年期障害についても一般健康診断に含めるべきではないかという御意見がありました。ただ、このことについては、業務起因性等に係る知見が乏しい、あるいは現時点で男性の更年期障害という疾患概念自体に曖昧さがある等の意見がありまして、結論としては、最後のポツですが、厚労省は更なる医学的知見の集積を踏まえ、必要に応じて検討していくこととするとされました。1つ飛ばしましたが、この男性の更年期障害について、自分の抱えている不調が更年期の症状であるという理解促進を促すことについて、問診とは別に検討を進めて欲しいとの意見がありましたが、このような対応についても知見の集積を前提として考えていくものと捉えています。
次のスライドです。今度は歯科に関する項目についてです。これについては、最初のポツにありますように、歯科疾患というのが業務起因性又は業務増悪性、就業上の措置等のエビデンスが乏しいことを踏まえると、問診を含め、労働安全衛生法に基づく一般健康診断に歯科健診を追加することは困難とされました。ただ、労働者の口腔の健康の保持・増進は重要であることから、2つ目のポツですが、事業場における労働者の健康保持増進のための指針、いわゆる「THP指針」ですが、この中に「歯と口の健康づくりに向けた口腔保健指導」が盛り込まれていると。ただ、その取組は十分ではないということから、今後、好事例を展開するなど、普及啓発を強化することにより、歯科受診につなげる方策を検討することとしてはどうかとしております。
そして最後、この口腔保健指導について、職場の健康診断実施強化月間、全国労働衛生週間の周知等の機会を捉えて、改めて、周知を強化することが可能ではないかとしております。
以上が中間とりまとめの概要です。それを受けてスライド13ですが、今回の提案事項です。こちらもほぼ繰り返しになりますが、女性特有の健康課題に関する項目については、一般健康診断問診票に追加してはどうか。その質問に対して健康課題があると回答した労働者に対し、健診機関が必要に応じて情報提供や専門医への早期受診を促してはどうか。厚労省において、望ましい対応を健診機関マニュアル及び事業者向けガイドラインに示すこととしてはどうかとしております。そして、男性の更年期障害について、厚労省は、更なる医学的知見の集積を踏まえ、必要に応じて検討していくこととしてはどうか。
最後、歯科に関する項目については、一般健診に歯科健診を追加することは困難であるものの、労働者の口腔の健康の保持・増進は重要であるということを踏まえ、「歯と口の健康づくりに向けた口腔保健指導」に係る好事例を展開するなど普及啓発を強化することにより、歯科受診につなげる方策を検討することとしてはどうか。口腔保健指導について、職場の健診診断実施強化月間等の機会を捉えて、改めて、周知を強化することとしてはどうかとしています。
参考資料を付けておりますが、説明は割愛させていただきます。よろしくお願いします。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。資料2の13ページに、中間とりまとめを踏まえた労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等(案)が示されております。本件について、質問、意見等のある方は、会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員については、御発言のある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。まずは、会場の委員で御発言のある方は挙手をお願いいたします。佐々木委員、お願いいたします。
○佐々木委員 労働側の佐々木です。私からは、歯科健診に関する項目について発言します。12ページでは、医学的エビデンスが乏しいことを理由に、問診を含め、一般健康診断の項目に歯科検診を追加することは、困難とされています。
労働者の職業人生が長期化している状況にあって、口腔内の健康維持や増進は、高年齢者を含む全ての労働者が健康で活躍することができる環境整備にも資するものと考えています。13ページ下段にあるとおり、「歯と口の健康づくりに向けた口腔保健指導」の周知啓発等を図るとともに、歯科受診につなげる情報・分析の収集にも積極的に努めていただき、将来的にエビデンスが集積された際には、歯科健診の追加について、検討をいただきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続いて、宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員 佐々木委員の御発言とかぶりますが、13ページの口腔の健康づくりということで、今後、見本を示すようなことで好事例を出す、それから、保健指導では強化月間と衛生週間等を強化をするということですが、やはり、歯や口腔というのは、もともと栄養を摂取するのに欠かせない非常に重要な器官です。生涯を通じて健康で働き、生活を送るときに本当に礎となるため、口腔疾病の予防は重要なポイントだと思っております。そういう中で、これだけではなく、歯科の領域の健康を推進する環境づくりといいますか、そのような職場環境の中での観点から何かほかにないでしょうか、というのをお聞きしたいです。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そうしましたら、佐々木委員、宮内委員の御発言についてお願いいたします。
○労働衛生課長 ありがとうございます。佐々木委員から御指摘がありました、御案内のとおり、エビデンスそのものは、今回、健診に追加することではないという結論を頂いたわけですが、一方で、労働者の口腔の健康の保持・増進は重要であると、健康で働けることは大事だという御理解は検討会でもあったかと承知しております。そうした結論の結果、このTHP指針、正に環境整備、事業場における環境整備の一環と言えると思いますが、これについて取組が十分でないところも我々は承知していますので、まず、しっかりこの取組を促す、そのための普及啓発を強化してまいりたいと考えているところです。併せて、そのエビデンスの部分については、今後の収集について御指摘いただいたところですので、御意見を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
それから、宮内委員からも同様に、この環境整備が大事だという御意見でした。ここでは、口腔保健指導について、職場の健康診断実施強化月間、全国労働衛生週間の周知等の機会を捉えてということで、例示的に2つお示ししておりますが、御案内のとおり、この職場における取組というのは、もっと様々なものがあると考えているところです。この周知等の「等」に少し気持ちを込め、取りまとめていただいたつもりですが、国としては、今後、何ができるかは併せて検討してまいりたいと考えております。
○髙田分科会長 ありがとうございます。佐々木委員、宮内委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。続いて、山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 私からは、13ページの女性の健康課題に関する項目について発言したいと思います。更年期障害あるいは月経困難症などが、労働者個々人の職業生活のみならず、職場に与える影響の大きさなどが、近年明らかになっています。このようなことを踏まえると、13ページの上の矢羽の1つ目に示された一般健康診断問診票に女性の健康課題を追加するという方針については賛同するところです。その上で2点発言させていただきます。
1点目は、矢羽の3つ目、労働者と事業者をつなぐ観点から、望ましい対応をマニュアルで示すとされている点についてです。労働側としては、労働者本人の希望がある場合には、問診結果を健診機関から産業医等に対して情報提供されることが、個々人の健康管理はもとより、職場環境改善の観点からも望ましいと考えています。事業者への情報提供の在り方については、制度確立以降も、その実施状況を把握し、改めて検討いただきたいと思います。
2点目は、10ページの3つ目のポツの最後、あらかじめ、衛生委員会等において、労使間で十分に話し合うことが考えられるとされている点です。適切な健康診断の実施に向けては、労使間で十分に議論した上で、実施することが重要と考えます。その旨が、しっかりと事業者、労働者に広く伝わるように、周知をお願いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか、会場で御発言がございましたらお願いいたします。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。私も検討会に参加をしてまいりましたところ、中間報告に沿った内容である、13ページの対応案に異存ございません。その上で何点かコメントを申し上げたいと思います。
女性特有の健康課題への対応は大変重要な課題だと認識しております。その上で、8ページのとおり、中間とりまとめでは、一般健康診断問診票に追加する質問の例として、「女性特有の健康課題で職場において困っていることはありますか」という質問に「はい」か「いいえ」で回答することが想定されています。こちらの質問について、改めて経団連の会員企業のお声をお聞きしました。女性の健康の保持・増進にしっかり取り組んでいる企業も多いのですが、そうした経験からも、女性特有の健康課題に関する質問への回答が必須、必ず答えなければならないのかという懸念もございました。女性労働者のプライバシー確保の観点から、回答の任意性が担保されないと現場では運用しにくいという声が寄せられたことを御紹介しつつ、今後の周知広報に当たっては、女性労働者の回答は任意であることをしっかりと押さえていただきたいと思います。これが1点目です。
2点目は、健診項目の検討に当たっての考え方です。12ページに記載のとおり、歯科に関する項目については、業務起因性又は業務増悪性、就業上の措置等のエビデンスが乏しいことから、一般健康診断への追加は困難と整理されました。健診項目を考えるにあたり、エビデンスを前提に検討することが重要です。歯科に限らず、今後、検討会において健診項目に関する更なる検討を行うことが想定されていますが、16ページに記載の「健診項目を検討する際の要件、着眼点」を丁寧に確認していく作業が不可欠です。繰り返しになりますが、業務起因性又は業務増悪性との関連性が薄いのであれば、労働安全衛生法における手当ては行わない、この大原則を堅持することが重要ですので、改めて要望いたします。
最後に、労働者本人の希望に応じて、産業医をはじめ産業保健スタッフ等に、個々人の情報をフィードバックすることについてです。私は、個別の労働者の情報が健診機関から事業者に直接フィードバックされることには反対の立場です。理由を3点申し述べます。
1点目です。一般に、女性特有の健康課題は、業務起因性又は業務増悪性との関連性が明らかでないというのが、検討会のコンセンサスであったと認識しています。そのため、治療と仕事の両立支援対策に倣い、労働者が受診した医師の意見と併せて事業者に申し出ることを出発点とすべきだと考えます。
2点目です。専門医を受診せずに、事業者や産業保健スタッフに情報が流れたとしても、配慮も含めた適切な対応が行えるかどうかに疑問を持っているところです。検討会では、専門家の構成員から、自覚症状が主体となる疾患への就業上の配慮は、客観性を担保するためにも、産婦人科医の診断書あるいは意見書を基にした検討が必要になるのではないか、このような御発言もあったところです。
3点目です。問診の回答のみに基づき事業者が何らかの配慮を実施できると仮定したとしても、そのような対応が一般化しますと、医療機関を受診する方が我が国ではごく僅かという状況の中で、引き続き専門医の受診が進まないことになりかねないと懸念いたします。女性労働者の健康課題の解消という大きな目的にかなうかどうかという点からも疑問があることを申し添えます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そうしましたら、七浦委員、お願いいたします。
○七浦委員 女性に関する歯科健診というところではありますが、労働安全衛生法の基本的な考え方である業務起因性、業務遂行性の大きな柱というのは、本来、守られてのことだろうと認識はしております。鈴木委員の御発言にもありましたが、任意の点において、回答が強制となってしまう勘違いであるとか、従業員の方との説明不足による誤解が生じてくる可能性、また、企業や健康診断の業者への正確な説明が必要になってくると思っております。企業としては、女性独自に女性の健康被害についてのお話をしたり、職場の十分な理解を得るための職場に対する教育ということも、現時点では開始して、心掛けているつもりではありますが、まだまだ、やはりお互いの認識のずれがあると感じております。そのような意味からも、やはり丁寧に進めていくのは非常に大切なことだと考えます。
一方、歯科健診の取組については、やはり実際に産業歯科医が不足しているという現実もありますし、健康保険組合との連携を実施していく必要性があるかと考えております。実際に弊社では健康診断に歯科衛生士の口腔内のチェックを実施しており、また、2年前から、産業歯科医を独自に、この中で教育等も含めて心掛けていこうという取組ではありますが、なかなか全体の取組としては、まだまだ歯科医に対する働き掛けも非常に大切だろうと考えております。この辺りの進め方についても、是非、厚労省でお考えいただき、全体の健康維持・増進に寄与する必要性があると考えております。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そうしましたら、山脇委員、鈴木委員、七浦委員の御発言について事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 ありがとうございます。お三方の委員の御意見を少しまとめた形で返す形になります。まず、質問に対する労働者への回答については、検討会でも同様の双方の御議論があったことを、10ページで御紹介申し上げたところです。繰り返しになりますので割愛しますが、そうした結論から、労働者の回答を、直接、健診機関から事業者へ提供しない。だけれども、この両者をつなぐという観点から、その対応の在り方について、マニュアルないしガイドラインでお示ししてまいりたいと思っておりますので、頂いた御意見も踏まえながら、今後、この作成について検討をしてまいりたいと思っております。そうした中で、今回、女性の質問例をお示ししておりますが、この質問項目というのは任意で、必ず答えなければいけないというものではございません。しかし、気づきを促すことが大事だと検討会でも御指摘を頂いておりますので、こういった趣旨も併せて、周知のときには心を配りたいと思っております。
衛生委員会等についての言及がございました。こうした取扱いについて、やはり、事業者側においても、しっかり労働者側と十分に話し合い、備えをしておくことが大事だと思いますので、こちらの検討会の中間とりまとめを踏まえ、このマニュアルないしガイドラインでお示しできたらと思っております。
それから、歯科については、現時点ではエビデンスが十分ではないことから、ただ、職場での口腔保健指導が大事だということですので、繰り返しになりますが、健診強化月間の機会だけでなく、様々な方法により歯科受診につなげる方策というのは考えてまいりたいと思っております。以上です。
○髙田分科会長 山脇委員、いかがでしょうか。よろしいですか。鈴木委員はいかがでしょうか。お願いいたします。
○鈴木委員 先ほどの私の発言へのご回答は了解いたしました。衛生委員会の関係で追加でコメントいたします。労使で話し合うことの重要性は、私も十分承知しているつもりです。個別の事業場の実態に応じた対応が取られることについて反対するものではありませんが、今回の一般健康診断問診票に追加される女性特有の健康課題への質問は、法定外の健診項目であることを押さえた上で、今後議論を進めていくことが重要ではないかと思います。
私傷病への対応等を含めて、法定外の健診を実施している企業があることは承知しています。ただし、法定外の検診項目について、衛生委員会でどこまで話し合うかというのは、一線を画すべき議論だと思います。法定外と法定を切り分けた議論が重要であることを申し添えます。
○髙田分科会長 ありがとうございます。七浦委員はいかがでしょうか。それでは事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 鈴木委員、ありがとうございます。少し言葉が足りなかったかもしれませんが、御指摘のとおり、今回の問診項目への追加というのは法定外という位置付けになりますので、この労使間の十分な話合いというのも、それを前提にしたものと捉えております。ただ、実際、採用するとなって、「困りました」など、何かしらの形で情報が届けられる場合があったときの対応で、混乱を来さないことが大事だと思っていますので、ガイドラインの記載の仕方というのは、今、頂いた御指摘を踏まえて考えてまいりたいと思っております。
○髙田分科会長 鈴木委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。オンラインでお待たせしておりますので、山口委員が御発言を御希望ということでお願いいたします。
○山口委員 労働側委員の山口です。13ページ、男性の更年期障害についてはエビデンスが不十分として問診への追加が見送られることとなったと認識しています。一方で、2022年に厚生労働省が行った更年期症状・障害に関する意識調査の結果によると、更年期症状を持つ男性が一定程度存在することが分かります。また、労働組合に対して、男性の更年期障害の深刻さを訴える声や、安全衛生面での対策強化を期待する組合員の声が寄せられているのも事実です。そのため、厚生労働省においては、科研費の活用も含め、男性更年期障害に関する医学的知見の集積していただき、ある程度エビデンスが整った際には、男性の更年期障害に関する問診項目の追加について、改めて御検討いただきたいと思っています。
次に、11ページ2つ目のポツに、自身の抱える不調が更年期症状であることの理解促進を促すことは、問診とは別に検討を進めてほしい旨の意見があったことが示されています。男女を問わず、更年期症状に関して理解促進を促すことは、労働者個々人の健康課題の解消のみならず、事業者に不調の申出をしやすい職場環境の整備にもつながるものでありますので、具体的な対応策について検討をお願いしたいと思いります。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。オンラインでは、そのほか御発言を御希望の委員はいらっしゃらないでしょうか。そうしましたら、山口委員の御発言についてお願いいたします。
○労働衛生課長 御指摘ありがとうございます。御指摘を踏まえて、今後、検討してまいりたいと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。お待たせしました。出口委員、お願いいたします。
○出口委員 御指名ありがとうございます。出口です。一般健康診断問診票に女性特有の健康課題に係る質問を追加すること、歯科に関係する項目等については、特に異論ございません。企業の大切な人材である女性特有の健康課題において、職場で困っている現状があるならば、取り組んでいかなければなりません。ただし、プライベートな部分もございます。この部分は、先ほどほかの委員からも御発言がありましたように、非常にデリケートな課題でございます。丁寧に十分な配慮を御検討願います。また、これらの検討については、今後、当事者である多くの女性の意見も聞いていただくべきであると考えておりますので、こちらは要望とさせていただきます。
あと、先ほどの山口委員の話とかぶりますが、男性の更年期障害についても、抱える不調が、この後にもあります高年齢労働者の労働災害防止にも大きく影響を及ぼすと考えております。継続して御検討いただきますよう、よろしくお願いいたします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか、会場で御発言を御希望の委員はいらっしゃいますか。そうしましたら、出口委員の御発言についてお願いいたします。
○労働衛生課長 ありがとうございます。御指摘を踏まえ、今後、検討させていただきたいと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございました。様々な御意見、御指摘を頂きましたが、よろしいでしょうか。そうしましたら、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等については、おおむね委員の皆様の御了解が得られたと思いますので、様々な御指摘を踏まえて、この形で進めさせていただくことにしたいと思います。
続いて、議題(3)高年齢労働者の労働災害防止対策について(その3)となります。事務局から資料3に基づいて説明をお願いいたします。
○安全課長 安全課長の安井でございます。私から、資料3につきまして御説明いたします。こちらにつきましては、前回から引き続きということで3回目の議論でございます。なお、冒頭に申し上げたいことがございます。本日、一部報道におきまして、厚生労働省として、高年齢労働者対策の法制化、あるいは企業に努力義務を課すことを決めたという報道がございましたけれども、そのような事実は当然ございませんので、本日の分科会で忌憚のない御議論を頂いた上で、また引き続き検討させていただきたいと思います。
資料の構成でございますが、前回、より詳細な災害分析、あるいはガイドラインに基づく対策の効果のエビデンスについて追加してほしいという御要望がございましたので、そちらの資料を前回の資料に挿入しているような形になっております。本日は、追加した資料を中心に御説明いたします。
まず、5ページです。こちらは、前回、御説明した資料でして、性別・年齢層別の労働災害発生率です。こちらは千人率というもので、分母が労働者の数になっております。このようなものについて、より詳細な分析が必要という御指摘を踏まえて、次の6ページに度数率というものを追加しております。度数率というのは、分母が労働時間ということになりますので、60歳以上の労働者は、なかなかフルタイムで働く方が少なく、相対的に労働時間が短くなる傾向がございますので、千人率のグラフと比べると、60歳以上の方の労働災害発生率の増加がより顕著になるという形になっております。
もう1つ、7ページです。こちらは、1,000労働時間当たりの休業見込み日数です。本来、強度率という数字がございまして、こちらは分子が労働損失日数なのですけれども、死傷病報告からは分かりませんので、それを代替するものとして、休業見込み日数というものを入れております。そのような意味では、強度率に相当するような数値と見ていただければいいと思います。
こちらにつきましては、特に度数率と比べて顕著に違うのは、19歳以下の部分の災害発生率が大きく下がっているということです。災害が発生しても休業が少ないということで、このような形になっているというところです。また、こちらを見ていただきますと、50~54歳では全体平均を下回っておりまして、55~59歳でごく僅かに上回っています。その後、60歳から非常に高い顕著な形で上昇が続くという形になっています。こちらの強度率に相当する数値は、実際の企業に与える損失という意味においては、最も代表性が高い数字だと考えております。この数字を踏まえますと、従来の高年齢労働者を対策の中心としていくというところに特段の変更はないということで考えております。
8ページは、業種別の分類をしているところです。こちらは千人率で分析をしております。まず1点目は、第三次産業ですけれども、特にホワイトカラーでどうなのかというところが前回御議論になったところでございます。真ん中の2段目の金融業、教育・研究業、このような所がホワイトワーカーに当たると考えております。災害発生率の高さは、金融業であると一番高い所で3.0ぐらい、それから教育・研究業であると1を少し超えるくらいで、高さに違いはありますけれども、40歳ぐらいから加齢に伴って災害発生率が上昇していく形は共通です。また、建設業につきましては、特異な形をしているように見えますが、こちらは若年者層の発生率が高いということですので、よく見ていただきますと、40歳以降に加齢に伴って災害発生率が上昇している傾向に変わりはないということで、このような加齢による発生率の上昇は業種には関わらないと考えています。
9ページは、このような加齢に伴う労働災害発生率に大きく寄与している墜落・転落、転倒の災害です。こちらにつきましても、10ページに墜落・転落についての業種別の分類をしております。こちらも、金融業、教育・研究業について高さは違いますけれども、加齢に伴って上昇していくという傾向は同じです。また、製造業、建設業、陸上貨物運送業についても同じということです。
それから、11ページは転倒です。こちらにつきましても、ホワイトカラー、そうでないものについても、業種にかかわらず、加齢に応じて発生率が上昇していると認識しておりますので、業種に関わらない高年齢労働者対策は必要であると認識しています。
続いて、エイジフレンドリーガイドラインに掲げられている措置を実施した場合、それで災害が減るのかという御質問があった点です。まず、19ページです。エイジフレンドリー補助金を使ってエイジフレンドリーガイドラインの促進を図っているわけですが、この中で、左の真ん中辺りに3つのコースがございます。①が、高年齢労働者の労働災害発生防止対策コースです。こちらは、対象事業場が60歳以上の方を雇用している事業場で、そうした事業場について、高年齢労働者の身体機能の低下を補う設備・装置の導入、その他の労働災害防止に対する経費を一部補助している事業です。こちらの補助金を受けられた方に対してアンケートを行っております。
20ページです。アンケート結果概要の3ですけれども、調査件数524社に対して回答いただいたのは216社ということで、回答率は41.2%です。それから、アンケート回答事業場の業種別の割合です。こちらは製造業に非常に偏っておりまして、ほかのものについては少ないということで、業種別の分類はできない程度の数になっているということです。一方で、補助の対象となる措置につきましては、うまくばらついておりますので、こちらについては分析を行っております。右下ですが、今回、参考として、申請をした時点と現時点において60歳以上の労働者が増えましたか、減りましたかというのを聞いております。減少しましたというのは27.2%、増減なしが32.0%、増加しているというのは39.9%になっておりますので、このアンケート結果からも、引き続き高年齢労働者の割合が増えていることはうかがい知れるという結果になっております。
結果については、21ページです。こちらは、申請以前の3年間の平均の労働災害発生率と、申請年の翌年以降、対策を実施したその次の年以降の災害発生率を比較して、増えたか減ったかというところを分析しているものです。まず、左側が休業4日以上の災害ですけれども、8.4%の事業場で災害発生率は減少しております。対策につきましては、床や通路の段差の解消工事が10.7%の減少、階段等への手すりの設置が9.6%の減少、このようなものが目立って減少しています。一方、右側に出してありますオレンジ色の所ですが、4.2%の事業場については災害が増加しています。
こちらにつきましては、休業4日未満と比べてみたいと思います。全取組事業場の10.7%と、休業4日以上よりも、より多い事業場において減少しております。また、トラック荷台等の昇降設備の導入につきましても20%ということなので、休業4日以上の災害よりも災害の減少率が高い形になっております。一方で、災害が増加したという事業場は1.7%にすぎないということですので、こちらを見比べると、休業4日以上の大きな災害が起きるような事業場につきましては、やはり高所作業があるとか、そもそもの作業の危険性が高い事業場と考えると、そのような事業場に対して、段差の解消をしたり、階段に手すりを設置すれば効果はございますが、全ての災害を防止できるわけではないという、一定の限界があるのかということを示していると考えております。一方、休業4日未満の災害、災害が起きても大きなけがにならないような事業場においては、トラックの荷台の昇降設備の導入のような設備面の対策で、非常に高い効果が得られる、そのようなことではないかということです。
続きまして、定性的な分析になりますけれども、問1というのが次のページにあります。こちらは、エイジフレンドリー補助金を活用した結果、ヒヤリハット事案が減りましたか、増えましたかというのを聞いているわけですが、39.2%がすごく減った、47.6%が少し減った、変わらないが12.8%ということで、増えたという事業場は全くないということですので、ヒヤリハット事案のように、より重篤度が低いような事案については、エイジフレンドリー補助金で行っているような設備対策には十分な効果があるということです。
一方で、問2、問3につきましては、労働者あるいは安全衛生担当者の労働災害防止に関する意識の向上というのを聞いております。問2は、安全衛生担当者について、すごく向上したが39.6%、少し向上したが55.1%、変わらないが5.3%、低下したというのはないということです。問3のほうが労働者のことですけれども、こちらも、すごく上昇したが31.9%、少し向上したが55.8%、低下したという事業場はございませんので、このようなエイジフレンドリー補助金を受けて災害防止対策を取り組むことによって、労働災害防止に対する意識の向上も図られたということが分かります。
続きまして、25ページです。こちらは、大きな点は変えておりません。先ほども申し上げておりますように、高年齢労働者の労働災害防止対策の必要性につきましては、今回の追加資料でより明らかになったということですので、こちらにつきましては、前回の論点から大きく変えておりません。唯一、ガイドラインにおいて求められている対応は何かという御議論がありましたので、例えば法律で書くとすればこのようなイメージということで、「高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善、適切な作業の管理その他の措置」というものを努力義務の対象にするということです。「高年齢労働者の特性に配慮した」というところで、きちんとディスカッションしていただいた上で適切な措置を取っていただくというところも読み込めるのではないかと考えています。私からの説明は以上でございます。
○髙田分科会長 ありがとうございます。前回の分科会で御指摘いただきました内容につきまして、追加資料を提示いただきました。また、25ページに高年齢労働者の労働災害防止対策の論点が示されておりますけれども、下線部が追記部分となっております。本件につきまして質問、意見等のある方は、会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員につきましては、御発言のある旨、チャットに書き込みをお願いします。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。前回の分科会における私の発言を踏まえ、事務局には、短期間で、度数率、休業見込み日数、千人率のデータや、エイジフレンドリー補助金を受けた事業場のアンケート調査結果などをまとめていただきまして、感謝申し上げます。
8ページ、10ページ、11ページの業種別の労災発生率を見ますと、業種を問わず加齢に応じた発生率の上昇傾向が見られます。先ほど御紹介がございましたように、金融業や教育・研究業等のいわゆるホワイトカラー職場も含めて、業種横断的な対策の重要性を改めて認識したところです。
その上で、25ページの論点の3つ目の●で、エイジフレンドリーガイドラインにおいて求められているような対策を企業の努力義務とするという御提案があります。高年齢労働者の労働災害防止対策は極めて重要な課題であることは十分認識しつつ申し上げます。ガイドラインの認知度が2割程度にとどまる中で、努力義務化するだけで、ノウハウに乏しく、あるいは費用負担感が相対的に高い中小零細を含めた全ての事業場がついていけるのか懸念もあるところです。
特にエイジフレンドリーガイドラインに基づく取組をしていない理由として、自社の高年齢労働者は健康であるということを上げている事業所が半数近いとの調査結果も示されました。意識改革から始めなければならない問題だと思います。例えば、これまで実施していなかった、転倒に関するヒヤリハットの、転倒災害に遭った労働者の休業日数の長期化の傾向を調べることなどを通じて、取り組みの必要性を感じていただき、具体的な取組につなげられるようにする。あるいは同業他社の好事例を増やして周知していくといった地道な取組が大切です。また、先ほど御紹介がございました、中小企業向けのエイジフレンドリー補助金等の支援も引き続き重要です。その意味で、努力義務化は、特に中小・零細企業の支援とセットで検討していくことが必要だと考えております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、七浦委員、お願いいたします。
○七浦委員 御説明ありがとうございます。高年齢労働者の災害防止、労災防止というところのお話は十分理解しております。先般も、168回ですか、お話させていただきました。基本的に労働者全体がけがをしないというような観点からいくと、結果的に高年齢労働者が安全に作業できるということは、安全な職場であろうと認識しているのですけれども、若い世代においても、そもそもが、どの従業員もけがをしないような設備を段取り、準備できるというのが、本来の企業として求められる部分であろうなとは理解しております。そういう意味で、こちらに書いていただいた中身も、十分そういうものを盛り込んでいただいた上での話かなと理解しているつもりです。実際には無理な姿勢、これは高年齢者のみではなくて、力の要る作業であるとか、そのような工夫を企業における現場で改善をしていくということが、最も一番大事だろうなと思っています。そういう意味から、より安全な職場をつくっていくというところを大本線として、高年齢者でも働けるという環境になるのが、本来の方向性なのかなという認識でおりますので、その辺りをもう少し、もう少しというか伝わるような形で広報できれば、労働災害自体が減るのではないかなという認識でございます。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。出口委員、お願いいたします。
○出口委員 出口です。御指名ありがとうございます。私のほうからは、建設業の意見を取りまとめましたので、発言させていただきます。労働安全衛生法第62条の措置内容を広げることに関しては、ほとんどが反対でした。前回にも発言しましたが、低迷する実績を改善する方法が、事業者に課す努力義務となることに対しての反発が大きかったです。それだけ、国や行政の周知展開が余り認識されていないようで、時期尚早という意見が圧倒的でした。こちらに関しましても、前回、総論的には賛成という形で発言させていただいております。建設業でこれらがなかなか認知されない、展開できないのは、どうしても現場を始点として考えたときに、有期事業だというところもあるのではないかと考えております。その中で各論的な要望となるのですが、8ページを参照ください。第三次産業や社会福祉施設等と建設業では、災害の発生率やグラフの動きに違いがあり、これらの対策も異なってきます。職種別の災害傾向の分析に基づく対策が必要となります。
また、建設業では高年齢者の肉体的な労働を実施している割合は、他産業に比べて非常に高いと考えております。先日、香川県で、89歳の作業員の方がコンクリートミキサー車の下敷きになって亡くなるという労働災害も発生しております。今の日本では、90歳近くになっても働かないといけないという方がいらっしゃいます。これらの大きな課題については、ここでの議論の対象ではございませんが、まずは危険な作業には就かせてはならない、適正配置や法的就労制限等も講じる必要があるのではないかという意見が多くを占めました。現在の日本社会では、70歳を超える高年齢の方でも、継続して働かないといけないという方が多数おられます。これらの高年齢労働者の方々を使用する事業者に対して、肉体的な労働を制限する、高年齢労働者が安心して働ける法的な規制を設けていただくことを是非御検討いただくよう、お願いいたします。要望となります。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいまの鈴木委員、七浦委員、出口委員の御発言につきまして、事務局からお願いいたします。
○安全課長 御指摘ありがとうございます。まず、鈴木委員からの御指摘ですけれども、エイジフレンドリーガイドラインの認知度がまだ20%にすぎないということ、中小企業も含めて、こういう対策にきちんとついていけるのかというところについては懸念がある、あるいは、その意識改革が必要ではないかという御指摘を頂いたところです。
こちらにつきましては、努力義務になれば、法令に基づく指針に現在のガイドラインを格上げすることになるわけですが、引き続き、あらゆる手段を使って周知を図っていくということになると思います。現状のエイジフレンドリーガイドラインの中でも、リスクアセスメントの手法としては、ヒヤリハットの件数を調べるとか、労働災害の発生状況を年齢別に調べるとか、そういったことを推奨しています。そういったことをやっていただくことで、我が社は実は高年齢労働者の災害が多いのだということを自覚していただくことから、まずは始めるというところにつきましては、全く私も同意見でございますので、そういったことができるように進めていきたいと思います。
また、支援の関係につきましては、中小企業を対象にしましたエイジフレンドリーガイドラインの措置に基づく補助について、令和7年度におきましても拡充の予算要求をしているところです。当然、この支援、あるいは監督署による懇切丁寧な指導というものも含めまして、中小企業に対して、高年齢労働者の対策について促進していただけるように指導してまいりたいと考えています。
続きまして、七浦委員からの御指摘でございますが、全ての労働者に被益するような、無理な姿勢をなくすとか、力の要る仕事をなくすとか、そういったもので全体をカバーする対策が必要ではないのかという御指摘と理解しています。全くそのとおりでございまして、私も、トヨタ自動車のほうで、からくりを使った対策なども見学させていただきましたけれども、専門家からの御意見でも、高年齢労働者を取り分けて、あたかもそこがハイリスクの集団であるというような形でやるのはよくない、それは皆さんの統一した御意見でございます。もし何か対策を取るのではあれば、全ての年齢の方についてやっていただく。例えば体力測定をするにしても、若い頃からやって、だんだん経年で落ちていくということを自覚していただくということも含めて、高年齢労働者だけに特化したような対策にならないように、対策としては進めていきたいと考えています。ただ、こちらは法律ですので、どうしても立法措置として立法事実があるものについて努力義務をお願いするということでございます。ですので、条文上どうしても高年齢労働者という形になりますけれども、進め方につきましては、より広い形で進めてまいりたいと考えています。
続きまして、出口委員からの御意見でございます。こちらにつきましては、62条の措置を広げるというところについては反対が多かったということ、総論としては賛成ということではございますが、高年齢の方が肉体労働に就くということについては適切な配置が必要ではないかと、そういった御意見、御要望だったと思います。
こちらにつきましては、従来、62条には適切な配置ということしか書いていなくて、それで対応してきたわけです。本日の資料にも入っていますけれども、閣議決定されました高年齢大綱というものがあり、こちらにつきましては、やはりそれぞれの置かれた生活上のニーズに応じ、実態に応じた活動ができる環境整備、社会システムの構築ということでございます。適切な配置ということで、一定の年齢になった方々を一定の仕事に就かせないようにするという対策ではなくて、七浦委員からもございましたが、全ての労働者が安全に、高年齢の方も安全に働けるような環境整備をするというところも含めて対策を進めるべきだというのが政府の方針ですので、今回の改正もそれに沿った形となっているところでございます。
そういったことで、特定の年齢の方が特定の作業に就くのを制限すべきではないかというところにつきましては、現在の政府の方針とは相容れないところがございます。ですので、今回につきましては、様々な状況において適切な配置が必要な場合もあろうかと思いますけれども、やはり全ての方が安全に仕事ができる環境整備あるいは社会システムの構築というところに、今後は力点を置いてまいりたいと考えているところです。以上でございます。
○髙田分科会長 鈴木委員、七浦委員、出口委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。そうしましたら、佐々木委員からお願いいたします。
○佐々木委員 労働側の佐々木です。資料の最後のページで示された論点について、前回労働側から発言をした内容と重なるところがありますが、安衛法第62条の措置内容の拡充や、エイジフレンドリーガイドラインの根拠条文を設けることについては、我々が求めてきた内容に合致するものでもあるということで、賛同できる内容と考えています。
その上で、エイジフレンドリーガイドラインの法定化に当たっては、ガイドラインに記載されている事業者に求められる取組の内容を豊富化する形で検討いただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員 高齢者の労働災害防止の措置で、適正配置だけではなくて、これから職場環境とか作業の改善の推進をされるという内容で、非常に重要なことだと思いました。1つ、安全に関して言うと、リスク評価という形でどうしても見てしまうのですけれども、今回の場合は環境改善ということもありますので、より良い職場環境とか作業の仕方の改善の推進が、非常にポイントになるかと思いました。
そういう中で、やはり経営者自身の意識とか取組というのは重要だということで、例えば、今、自分の所の会社がどのレベルなのか、一生懸命これに対して取り組んでいるけれども、果たしてどの辺なのかということが分かるような指標があると、非常に取組がしやすいのかなと思いました。例えば、1つの案とすると、既に実施されているかもしれませんけれども、女性活躍の推進だと「えるぼし認定」とか、そういう分かりやすいものが最近は出てきていると思います。こういうエイジフレンドリーガイドライン等もできておりますので、そういうものを踏まえて、努力がしっかりと認識できるもの、また、直接の担当者だけではなくて、やはり経営者に訴え掛けるような方法があると、非常に推進するのではないかと思いました。既に健康経営等でこういった内容が取り組まれているのかもしれませんけれども、是非そういう観点からも推進してもらうということは重要かなと思いましたので、発言させていただきました。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 先ほどもあったように、建設業の関係では、今年、私たちは年金のアンケートに取り組みました。その中では高齢期の働き方の意識というのも併せて調査しました。そうした中で、70歳まで現役で働くといった意識が一番多く、次に多かったのは75歳まででした。やはり高齢になるまで働くという意思と実際に現役で働いているという方たちが非常に多くなってきている点です。
そういった意味で、労働災害防止の観点でも、高齢者における労働災害というのは必ず増えますので、安全対策の強化は必要であろうと思っています。また、高齢者の安全対策を通じて全年齢につながると思います。併せて、私たちの働き方の事象からも必要なものだという認識をしているところであります。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 先ほど、鈴木委員から、周知啓発、あるいはヒヤリハット事例を含めて広く周知していくことが重要だという御指摘を頂きました。そのとおりだと思います。先ほど佐々木委員が申し上げたとおり、労働側としては、現行制度の周知啓発と25ページに示されているような対策のどちらか一方ではなくて、両方実施していくことが重要だと思っています。25ページに記載の方向で進めていただきたい旨、改めて申し述べたいと思います。
また、1点、対象年齢について質問させていただきたいと思います。9ページから11ページに墜落・転落に関するデータが示されていますが、事故の発生率は50歳以上でより顕著に現れています。取り分け業種別に見ると、ばらつきが大きく、建設業などは、50歳ぐらいが経験値や職業に見合った身体に仕上がるということもあり、むしろ事故が平均よりも低いという状況にあると思います。その一方で、ホワイトカラーに属するような業種を見ると、50歳、特に55歳を超えると、事故の発生率が大幅に増えていると受け止めています。こういった状況を踏まえると、対象年齢は、55歳以上とするなど、従来の60歳から対象年齢を引き下げることも選択肢ではないかと考えますが、事務局に見解をお伺いしたいと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいまの佐々木委員、宮内委員、松尾委員、山脇委員からの御発言につきまして、事務局、お願いいたします。
○安全課長 御指摘ありがとうございます。まず佐々木委員から、新たに定める指針で、事業者に求める内容というのを充実すべきだという御指摘がありました。こちらにつきましては、何らかの検討会を設立して、指針で充実した内容を検討していくというように考えているところです。
宮内委員からは、経営者に対する働き掛けといいましょうか、何らかの指標があれば取り組みやすいのではないかという御提案があったところです。例示として、えるぼし認定のような御発言がございましたが、現時点におきましては、高年齢の対策の取組について、特段の認定制度などはないわけで、御発言にもありました健康経営の一部で進めているというところです。こういったところは様々なアイディアもあろうかと思いますので、今後、経営者に訴えかける制度や仕組みというものにつきましては、引き続き検討してまいりたいと考えています。
それから、松尾委員からの御指摘でございますが、やはり建設業においては70歳、75歳でも働きたいし、現に働いているということでございますので、先ほども申し上げましたけれども、やはり、一定年齢だからといって、ある作業に就いてはいけないということではなくて、全ての年齢の方が安全に働けるような環境整備というのが重要であるということを考えています。
それから、山脇委員から、周知啓発の必要性、それから対象年齢について、55歳でも増えているのではないかという御指摘があったところでございます。御指摘のあった11ページなどの資料につきましては、全部、千人率で分析していますので、全体の事業場の数でいいますと、5ページのようなものとなっています。5ページのものを見ると、御指摘のように、確かに50歳から既に平均を超えて、55歳になってくると、かなり上昇していくということですけれども、いわゆる強度率というものを直した7ページになりますと、もうちょっと形が寝てくるというか、50歳台につきましては、やや低めで推移して、60歳からグッと上がってくるという形にはなっています。ですので、こちらが、より実態に即している数字と考えていますので、引き続き高年齢を、高年齢というのはエイジフレンドリー補助金では60歳を対象としていますけれども、こちらを対策の中心にするというところは、それで引き続きいいのではないかと考えています。
ただ、御指摘のとおり、業種・業態にもよりますし、性別にもよって、55歳ぐらいから増え始めているというのも聞いておりますので、今後、指針というものを作っていく中で、高年齢労働者に予備軍といいましょうか。早めな対策というのが当然に有効であるという打ち出しというのは必要があるとは考えていまして、そういった中で検討させていただきたいと考えています。以上でございます。
○髙田分科会長 ありがとうございます。佐々木委員、宮内委員、松尾委員、山脇委員、追加で何か御発言はありますか。山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 対象年齢について、回答ありがとうございます。今般、努力義務上の対象年齢を維持するということは理解いたします。一方で、加齢による身体機能の低下は、年齢を追うごとに、かつ業種により違いが大きいというのは、このデータからも見て取れます。身体機能低下による労働者個々人ごとのリスク評価の実施と、事業場の災害リスク発生をいち早く見極めるということが、この災害防止対策上、重要ではないかと思っています。エイジフレンドリーガイドラインの指針化に当たっては、労働者個々人のリスク評価の観点も含めて、検討をお願いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。特に追加はよろしいですか。
○安全課長 御指摘ありがとうございます。現状のエイジフレンドリーガイドラインにおきましても、リスクアセスメントにつきましては、ある意味、集団的にヒヤリハットであるとか労働災害の発生状況でやるということですが、それとは別に、オプションとして、個々人の身体機能を測定した上で、きちんとした対策を取るというのも推奨されていますので、そういった形で新たに作成する指針の中でも進めてまいりたいと考えています。
○髙田分科会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 対象年齢については、確かに50歳以上の年齢層で労働災害の発生率が平均を上回る結果も示されていますが、先ほど安全課長から御指摘がありましたように、7ページの休業見込み日数もそうですし、6ページの度数率を見ても、50~54歳の年齢層で、男性は平均未満、女性は平均とほぼ同等の結果が示されています。業種・業態によっても、事業場の状況によっても、年齢を含めた対策の必要性は変わってくるのではないかと思っています。
先ほど七浦委員からも、全年齢を対象とした安全な職場づくりの重要性の御指摘も頂いたところですので、対象となる年齢を明確化して議論を進めることは余り適さないと思います。
それから、個々人の身体機能の低下に関するリスクアセスメントについてです。前回も申し上げましたが、厚生労働省のリスクアセスメント指針では、例えば労働者の疲労等は付加的な要因という位置付けです。おっしゃったようにオプションして取り組んでいる会社もあるとは思いますが、やはりリスクアセスメントのメインは、ヒヤリハットや労災発生状況の把握からスタートしていくところが基本だと認識しておりますので、コメントさせていただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか御発言はよろしいでしょうか。そうしましたら、鈴木委員の御発言につきましてお願いいたします。
○安全課長 コメントありがとうございました。年齢につきましては、御指摘のとおり、従来から労働安全衛生法では「中高年齢」という言葉は使っていますし、今回もあくまで「高年齢労働者」という形で示させていただいて、明確な数字の定義というものは従来から行っておりませんし、今回も行わない予定でございます。ただ、1つの目安として補助金などでは60歳を使っているということですが、これは明確な定義ではなく、そういう目安として使っているということで御理解いただければと思います。
それから、個々人のリスクアセスメントにつきましては、御指摘のとおり、現状のリスクアセスメント指針で付加的な要素として取り扱っています。業種・業態によって、比較的、力が要るような、例えば鉄鋼業のような所ですと、実際に身体測定はかなり普及している所もございますが、ホワイトカラーでそれを一律にやるというのは、これはまた現実的ではないと考えていますので、こちらは業種・業態に合わせた形で、オプションのような形で柔軟に進めていきたいと考えているところです。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。鈴木委員、よろしいでしょうか。そのほか、よろしいでしょうか。ありがとうございます。委員の皆様から様々な御意見、御指摘を頂きました。高年齢労働者の労働災害防止対策につきまして、おおむね皆様の御了解が得られたかと思いますので、皆様の御意見等を踏まえつつ、この形で進めさせていただくことにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、議題(4)治療と仕事の両立支援対策について(その3)となります。事務局から資料4に基づいて説明をお願いいたします。
○労働衛生課長 労働衛生課長です。資料4をお開きください。手短に御説明いたします。まず、2ページです。これは、10月15日の前回の第169回分科会でお示しした「検討の視点 ガイドラインによる取組の促進」です。これについては前回おおむね御了解を頂いているところですが、簡単におさらいがてら御説明を申し上げます。
現状・課題につきましては、高齢者の就労の増加等で、病気を抱える労働者が年々増加しています。こうした中、病気になっても生き生きと働き続けることのできる環境の整備が重要となっており、治療と仕事の両立支援の必要性が高まっています。厚労省としては、両立支援を推進するため、ガイドラインを策定し、周知啓発を図っていますけれども、中小企業を中心に取組状況は低調です。こうしたことから、厚労省では、令和6年3月、今年の3月になりますが、「治療と仕事の両立支援カード」を開発しました。このカードは、手続上は企業からの勤務情報の提供支援という手続をスキップして、かつ、様式上も職務の特性の類型化やチェックボックス形式の採用等により、労働者の負担軽減を図るなど、適確かつ迅速な支援に向けたものとなっております。
対策の方向性については、この両立支援カードについて企業に理解を求めるとともに、医療機関での活用が促進されるよう支援策を講じて、関係者の連携した取組を積極的に推進すべきではないか。このカードも含めて各種様式を盛り込んだガイドラインですが、その普及に当たっては、事業者に対して、両立支援の取組が経営課題として位置付けられるよう理解を図るとともに、具体的な事例を示していくべきではないか。また、中小企業に向けた周知を強化すべきではないか。最後のポツですが、この中小企業に対する支援ということで、両立支援の専門家が配置されている都道府県産業保健総合支援センターによる支援を更に充実していくべきではないかとしました。繰り返しになりますけれども、これらについておおむね御了解を頂いているのですが、最後の残った部分について、一番最後でまた論点としてお示ししたいと思います。
以降、関連するデータと補足資料ですが、説明は割愛させていただきまして、8ページをお開きください。こちらは、前回の分科会における主なご指摘とその対応等について①です。指摘は2つありまして、1点目は、両立支援に係る取組が低調であると考えられる中小企業への周知や取組の推進が必要とされたところです。矢印下の最初のポツにありますように、ガイドラインはもとより、このガイドラインの中にあります両立支援カードについて、今後、積極的に周知を進め、活用を促していくことが必要としております。
指摘の2点目は、その両立支援カードの認知度はどうかという御質問を頂きました。これについては、矢印下の真ん中のポツ、持ち帰り確認しましたけれども、両立支援カードそのものに対する事業者、労働者及び医療機関における認知度に関するデータはありませんでした。こうしたことから、最後のポツですが、今後、この認知度等を調査し、更なる周知方法、活用促進策を検討していくこととしております。
また、データ等が続くのですが、1点、新しい資料を挿入しております。スライド11です。カードの認知度そのものではないですけれども、両立支援を求めた方を対象に、その内容、情報をどこから仕入れたか、どこから入手したかを事業所の規模別にお示ししたものがこちらになります。向かって左側から2列が勤め先、人事労務担当者や産業保健スタッフだったりしますが、そちらから入手したということで、御覧のとおり、事業所の規模が小さいと、やはりこちらからの入手の割合も低くなっている状況が分かります。また、左から4列目の病院の医師など医療従事者からの入手ですけれども、こちらは事業所の規模にかかわらず、一定程度、2割ないし3割の割合で入手している状況が分かりますが、ただ、いずれにしても低いと言わざるを得ないと思っています。こうしたところを踏まえながら周知取組を図っていく必要があると考えております。
12ページは、産保センターの実績です。中小企業を支援する産保センターの実績です。13ページは、医療機関の取組のインセンティブになりますが、診療報酬の概要です。
そして最後の14ページです。前回分科会における主なご指摘とその対応等について②ということで、この両立支援の取組の法的な位置付けについて御議論いただきました。主な御指摘が2つございまして、最初の1つは、両立支援のための事業者の取組やガイドラインを法的に位置付けることが必要ではないかというものです。もう1つは、両立支援の取組が低調であることなどを踏まえれば、その法制化は慎重であるべきとするものです。こうした上で、本日、御議論いただきたい論点ですが、両立支援の事業者の取組やガイドラインについて、法的な位置付けをどのように考えるか。例えば、ガイドラインの法的位置付けをより明確にすることについてはどうかとしております。なお、参考までに、下段に労働施策総合推進法の抜粋を付けております。現状では、国の施策第4条10号として両立支援が位置付けられているものです。説明は以上です。どうぞよろしくお願いします。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。前回分科会における主なご指摘とその対応等についてということで、8ページと14ページにまとめられております。それから、本日、御議論いただきたい論点としては、14ページに赤枠の囲みで示されているとおりです。本件につきまして質問、意見等のある方は、会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員につきましては、御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。まずは会場からお願いいたします。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。14ページの両立支援のための事業者の取組や、既存の両立支援ガイドラインに関する法的な位置付けについてです。一番下に記載がありますように、両立支援は現在、労働施策総合推進法、いわゆる労推法に盛り込まれております。このことからも、労働安全衛生法とは目的を異にするテーマだと理解しております。先ほど議論しました高年齢労働者の労働災害防止対策と異なり、業務起因性又は業務増悪性との関連性が薄い私傷病の対策であり、特に休職復帰時の就業継続の可否判断などは、労働安全衛生法というよりは労働契約法の世界の話ですので、事業者の自主的な取組を後押しする施策を展開するアプローチが基本だと思います。法令上の手当てを検討することに反対するものでは決してありませんが、安衛法に位置付けて検討することは強く反対いたします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか、御発言をお願いいたします。出口委員、よろしいですか。
○出口委員 御指名ありがとうございます。出口です。対策の方向性に関しましては、特に異論等はございません。その中で、建設業の意見として取りまとめたものを発言させていただきます。この論点についても、ガイドラインの周知、企業の好事例などを厚労省のホームページ、リーフレット等で紹介するなどの活動も含め、周知をもっと徹底的に実施していただきたい。法的な位置付けを議論するのは時期尚早ではないか、慎重な対応を求める。前回示された現状・課題、更なる対策の方向性を強化し、満たした後に議論すべきではないかという意見が大半でした。
その中で、要望となります。建設技能労働者は、雇用形態や賃金が他の産業と異なる部分があります。仕事に穴をあけられない資格保有者など、代わりになる人がすぐ手配できない。また、多くは日給月給のため休むと収入が減るなど、治療と仕事の両立は難しく感じるという多くの意見が寄せられております。治療を行いながら仕事に従事される方が今後はより増えていきますが、片や、収入の面で両立が難しいと言われる方がおられます。「治療と仕事の両立支援カード」は、とても重要な取組と考えております。これらの取組をより推進するべく、今後は、「治療と仕事の両立支援カード」の電子化にも早急に取り組んでいただき、紙面での手続ではなく、場所を選ばず、仕事をしながらでも手続がはかどり、生活への影響も最小限にできる取組をしていただき、双方に負担なく、労働者等の方々が治療と仕事を両立し、企業が大切な人材を失うことのないよう、国や厚生労働省様にはお願いいたします。以上、要望となります。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいまの鈴木委員と出口委員の御発言につきまして、事務局からお願いします。
○労働衛生課長 鈴木委員の御指摘については特にコメントはございませんけれども、出口委員から御要望がありました両立支援の取組、カードを含めてガイドラインの周知については、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。なお、電子化についての御要望がありましたが、現在、両立支援カードを含め、ガイドラインの各様式につきましては、利便性を図る観点から、電子的な作成や加工が可能となるよう、ワード版により厚労省のホームページから提供を行っているところです。その活用も含めて、今後、周知を図ってまいりたいと思っております。また、ガイドラインのほうでは、スタッフなどの体制整備や制度的な面での整備、例えば有給休暇以外の休暇制度や勤務制度といったものにも触れているところですので、内容と併せてしっかり周知をしてまいりたいと思っております。
○髙田分科会長 出口委員、よろしいでしょうか。そうしましたら、山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 先ほどの高年齢労働者対策と同様に、現行制度に基づく周知啓発だけではなく、法的な位置付けの在り方を含め、双方からの検討が必要と考えます。前回も、労働側から発言したとおりですが、法的な位置付けについて、しっかりと検討いただきたい旨、強く申し述べておきたいと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。七浦委員、お願いいたします。
○七浦委員 基本的には、進め方も含めて、両立支援に関しては異論を申し上げるようなところではございません。ついつい今日発言させていただく中身を現場としてという観点で考えますと、両立支援カードの様式の中に、主治医が作業可・不可というように書く欄がありますが、実際に私も臨床をやっていた頃に、仕事は会社がいいというんだったらいいんじゃないみたいな形で、現場の作業の様子を知り得ないことが多かった経験がございます。そういう意味で、産業保健スタッフがいる所であればですが、いない所もありますので何とも言えないのですけれども、作業の有無について、5ページの企業・労働者・主治医というここの所に、産業保健スタッフがもう少し関わって配慮ができる。あるいは、いない所をどうしたらいいかというところで、うまく労働者の方が配置転換も含めて考えないといけない際の対策等で、この辺りでうまく意見交換ができるような、そういう手法がないかと考える次第です。そこがうまくできると、労働者の方が皆さんおっしゃられているように、就労を継続できる状況を維持できるのではないかと。そのような形で、実際に元の職場に戻られて就業ができなくて残念というような、主治医はOKと言っているよねなんていう話にならないかどうかというところが、ちょっと懸念されるところですので、もう少し工夫していただけると、よりいい形で、これは母健連絡カードと同じでよく分かりやすいので、工夫いただけるといいのかなと思っております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいまの山脇委員と七浦委員の御発言についてお願いします。
○労働衛生課長 山脇委員のほうについては特に私もコメントはございませんが、七浦委員から御指摘がありました、今回ちょっと説明は割愛しましたけれども、この両立支援カードが使われるときの前提としましては、労働者御本人と企業との間で意思疎通が十分図られて、齟齬がないようにしていると、そういったことが前提で手続の簡素化などが行われているものです。そうした上で、この事業者の事業所のスタッフとして産業保健スタッフも位置付けられるということで、実際、このガイドラインの中でも、産業保健スタッフも含めた連携体制が重要だと示しているところですので、このガイドラインないしカードの周知に当たり、産業保健スタッフと主治医との連携の部分というのを併せてお伝えしてまいりたいと思っております。
○髙田分科会長 七浦委員、よろしいでしょうか。そうしましたら、オンラインでお待たせしております砂金委員が御発言希望ですので、お願いいたします。
○砂金委員 砂金です。聞こえますでしょうか。
○髙田分科会長 聞こえております。
○砂金委員 どうもありがとうございます。今回、法的位置付けというお話でありまして、それを考えると、やはり何らかの道しるべは必要なのではないかと思いました。その一方で、対象疾患など、内容もかなり多岐にわたるような印象を受けており、ケース・バイ・ケースで考えるべきものもあるように思えると同時に、強制力をどこまでもって使うのかというところは慎重な議論が必要で、また、そもそもなじまないような部分もあるのではないかと感じています。全体が同じ方向を向いた議論、ここでいう全体というのは例えば労働者さんや使用者さん、今お話にもありました主治医の方などですが、そのような方による議論をもう少しきっちりした上で、法的位置付けのところにつなげていただくのがいいのではないかと感じました。私からは以上です。よろしくお願いします。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、会場から御発言希望の委員はいらっしゃいますか。そうしましたら、砂金委員からの御発言につきまして、事務局から何かございますか。
○労働衛生課長 特段ございません。御指摘ありがとうございます。
○髙田分科会長 そのほかは特によろしいでしょうか。ありがとうございます。本議題につきましては、委員の皆様から様々な御意見を頂いているところです。法的な位置付けにつきましては、引き続き整理が必要な部分が残っておりますが、法的な位置付け以外の部分につきましては、おおむね皆様の御了解が得られたかと思いますので、この形で進めさせていただくことにしたいと思います。
さて、本年4月26日の第161回分科会から本日まで、各種検討会等で取りまとめられた内容を中心に、委員の皆様には多くの分野について御議論いただきました。具体的には、個人事業者等に対する安全衛生対策、機械による労働災害防止及びそのための体制整備、化学物質のリスクアセスメントの的確な実施に向けた制度改善、高年齢労働者の労働災害防止対策、治療と仕事の両立支援対策、ストレスチェック制度を含めたメンタルヘルス対策、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等といった点について御議論いただき、様々な御意見を頂いたところです。これらにつきましては、おおむね皆様に御議論いただけたものと思います。つきましては、次回は、これまでの議論を踏まえ、事務局から報告書案をお示しいただき、更に議論を深めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。(異議なし)○髙田分科会長 ありがとうございます。本日の議題は全て終了いたしました。本日の分科会はこれにて終了いたします。本日も、お忙しい中、長時間ありがとうございました。