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第59回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 議事録
日時
- 令和6年11月5日(火)17:00~19:00
場所
オンライン開催
議題
<審議事項>
1.自治体検診DXについて
<報告事項>
1.国民健康・栄養調査について
2.新型インフルエンザ等対策行動計画・ガイドラインについて
1.自治体検診DXについて
<報告事項>
1.国民健康・栄養調査について
2.新型インフルエンザ等対策行動計画・ガイドラインについて
議事
- 議事内容
- 1 開会
【漆畑課長補佐】 定刻になりましたので、ただいまから、「第59回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会」を開催いたします。
本日、議事に入るまでの間、議事進行役を務めさせていただきます、健康・生活衛生局健康課の漆畑と申します。よろしくお願いいたします。委員の皆様には、ご多忙の折、ご参加いただき御礼申し上げます。本日は、委員の皆様にはオンラインにてご参加いただいております。なお、会議の模様をYouTubeによるライブ配信にて公開しておりますので、ご承知おきください。開会にあたりまして、健康・生活衛生局長の大坪よりご挨拶申し上げます。
・ご挨拶
【大坪健康・生活衛生局長】 皆様こんばんは。厚生労働省健康・生活衛生局長の大坪でございます。本日も遅い時間からご参画いただきまして、誠にありがとうございます。久方ぶりの会議開催となりますが、今回、改選されて新たにご参画いただいた先生方も多くいらっしゃると思います。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
本日の議題は、資料の方にございますように、自治体検診のDXについてご意見・ご審議をいただきたいと思っております。ご案内のとおりではありますが、昨年5月に医療DXの推進に関する工程表を定めて、政府では統一的に一丸となって医療DXを推進しているところであります。この栄養部会でご審議いただく内容として自治体検診がございまして、本日議題とさせていただいております。具体的に申し上げますと、自治体検診に関する医療機関や自治体間での情報共有の仕方や、自治体検診に係る情報の二次利用、全国データベースを作成することなどについて、先生方にこちらから案をお示しして、本日ご議論をいただければと思っております。
デジタルの技術の活用というのは、今、厚生労働省では複数の部局にわたって進めているところでありますが、本日も活発なご議論をいただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
・オンライン参加に係る留意事項
【漆畑課長補佐】 ありがとうございました。議事に入る前に、Webご参加者への留意点、本日の出欠席状況等をご説明いたします。
まず、オンラインで参加の委員の皆さまに向けてお願いでございます。ビデオカメラはオンにしていただき、発言時以外はマイクをミュートにしてください。発言される場合には、オンライン会議システムで挙手ボタンを押していただくか、画面上で見えるように挙手をしていただき、部会長からの指名後に発言をするようにしてください。発言時はマイクをオンにして名前をおっしゃってください。発言が終わりましたら挙手ボタンを下ろし、マイクを再度ミュートにしてください。よろしくお願いいたします。なお、委員会中のチャット機能による資料掲示等はお控えいただけますようお願い申し上げます。
・資料の確認
【漆畑課長補佐】 次に資料の確認をさせていただきます。事前にお送りしているファイルに不足がないかご確認ください。議事次第、委員名簿、座席表、資料として、資料1のファイル「自治体検診DXについて」及び参考資料1から7が本日の配布資料になります。不備がございましたらお申し付けください。
・委員の紹介
【漆畑課長補佐】 それでは委員の方をご紹介いたします。
これまで、本部会の部会長であった辻先生が6月末で任期満了となりました。部会長は厚生科学審議会と本部会の両方に所属する委員による互選により選任することとされています。事前に互選いただき、中山委員を部会長として選任いただいておりますのでご報告させていただきます。
次に、前回の実地開催以降に委員の改選がございました。先ほど申し上げた辻先生以外に
井伊委員、尾﨑委員、黒瀬委員、祖父江委員、松本委員、水澤委員が退任されました。
そして、新しく当部会の委員にご就任いただきました7名の方々をご紹介させていただきます。
【漆畑課長補佐】 まずは本部会の部会長であります、京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻健康情報学分野教授 中山 健夫委員。
【中山部会長】 京都大学の中山健夫です。よろしくお願いいたします。
【漆畑課長補佐】 公益財団法人日本看護協会副会長 勝又 浜子委員。
【勝又委員】 勝又でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【漆畑課長補佐】 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部部長 栗山 健一委員。
【栗山委員】 栗山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【漆畑課長補佐】 公益社団法人日本医師会常任理事 佐原 博之委員。
【佐原委員】 日本医師会の佐原でございます。よろしくお願いします。
【漆畑課長補佐】 自治医科大学看護学部教授 春山 早苗委員。
【春山委員】 自治医科大学の春山です。どうぞよろしくお願いいたします。
【漆畑課長補佐】 福島県保健福祉部健康づくり推進課主幹兼全国保健師長会会長 前田 香委員。
【前田委員】 前田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【漆畑課長補佐】 国立保健医療科学院生涯健康研究部長 横山 徹爾委員。
【横山委員】 横山でございます。よろしくお願いいたします。
【漆畑課長補佐】 次に、出席及び欠席状況でございます。部会については、過半数が出席しなければ会議を開くことができないとされていますが、本日、過半数を超える委員の方々にご参加いただき、部会が成立することを報告いたします。本日は委員の方はWebでのご参加になり、座席表上にご出席委員を記載しております。
植木委員、松田委員、友岡委員、米川委員からご欠席の連絡を受けております。また、達増委員の代理として、岩手県企画理事兼保健福祉部長 野原様にご参加いただいております。なお、岡村委員におかれましては、遅れてのご出席、また、大津委員におかれましては、他の用務のため途中退席と伺っております。
・事務局の紹介
【漆畑課長補佐】 続きまして、事務局員のご紹介をさせていただきます。健康・生活衛生局健康課長の松岡です。保健指導室長の後藤です。栄養指導室長の塩澤です。地域保健室長の斎藤です。女性の健康推進室長の谷口です。健康課長補佐の荻野です。地域保健室課長補佐の森です。医政局参事官室室長補佐の山崎です。その他関係各課も出席しております。よろしくお願いいたします。
・部会長ご挨拶
【漆畑課長補佐】 審議に入る前に中山部会長になりまして、初めての実開催になりますので、部会長代理の指名を実施させていただきます。
厚生科学審議会令第6条第5項には、部会長に事故があるときは、本部会に属する委員のうち、部会長があらかじめ指名する方がその職務を代理することとなっております。以後のご指名、議事のご進行は中山部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【中山部会長】 京都大学の中山健夫と申します。本部会の部会長を担当させていただくことになりました。どうぞ、改めてよろしくお願いいたします。それでは部会長の代理につきましては、横山委員にお願いしたいと思いますがよろしいでしょうか。
【構成員一同】異議なし。
【中山部会長】どうもありがとうございました。それでは横山委員、ひと言よろしくお願いいたします。
【横山委員】 国立保健医療科学院の横山でございます。部会長のご指名ですので、微力ではございますけれども、部会長代理を務めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
2 議題
・審議事項(1) 自治体検診DXについて
【中山部会長】 それでは審議事項の1に入りたいと思います。自治体検診DXについて、事務局からまずご説明をお願いいたします。なお、資料は事前に送付されていますので、審議時間の確保のため説明は簡潔にお願いします。
【荻野課長補佐】 健康・生活衛生局健康課の荻野でございます。それでは、資料1に基づいてご説明させていただきます。
1ページ目は昨年の医療DX推進本部で取りまとめられました、医療DXの推進に関する工程表でございます。工程表には様々な事項がございますが、資料の中ほどの赤枠で囲っておりますところに「全国医療情報プラットフォームの構築」の項目の中に、「自治体・医療機関・介護事業所間の連携等」という行がございます。
その中で、令和8年度以降の箇所に公費負担医療・予防接種・母子保健情報・介護などと並んで、自治体検診が記載されております。自治体検診につきましては、これまでPHRの推進の一環として、マイナポータルで自治体検診情報の閲覧を可能とする取組を推進してきたところでございます。今回は、さらにこうした取組を進め、ここで記載されております、自治体検診情報に関する関係者間での共有等についてご審議いただきたく存じております。
2ページ目は引き続き医療DXの推進に関する工程表の記載ですが、資料の中ほどに自治体検診情報、介護、予防接種や母子保健に関する情報を連携させる仕組みを構築することにより、医療機関、薬局等と自治体の間で必要な情報を共有可能とするという記載がございます。
さらに、がん検診、骨粗鬆症検診、歯周疾患検診、肝炎ウイルス検診といった共有すべき自治体検診情報について制度面と合わせて検討などと記載されております。私どもが自治体検診というときは、このように市町村が健康増進法に基づき、努力義務として実施しております、がん検診等の検診を指しております。また、スライド下半分には、保健医療情報の二次利用に関する記載を抜粋させていただいております。具体的には、全国医療情報プラットフォームにおいて共有される医療情報の二次利用について、必要となる論点について整理し、幅広く検討するとされているところでございます。
3ページ目は全国医療情報プラットフォームの全体像です。まず、全国医療情報プラットフォームはレセプトや特定健診等情報に加え、予防接種、電子処方箋情報、電子カルテ等の医療介護情報を共有・交換できる全国的なプラットフォームです。この資料上では、真ん中に国民の皆様がおり、それを囲むように医療機関、医療保険者、介護事業者、自治体などが描かれております。自治体などの様々な主体が保有する情報が共有され、これらの情報を医療機関等の様々な主体が利活用を行うことができるよう、先ほどの工程表に沿って取組が進められているところでございます。
そして、このような仕組みを構築するメリットとして、資料右側に列挙されておりますが、切れ目のない情報共有、サービスの効率化や負担軽減、健康管理、疾病予防等のサポート、公衆衛生等の振興に資する二次利用があると考えております。さて、この絵の中で、右下に赤枠で囲んでおりますところにPMH(Public Medical Hub)と記載しております。さらにその下に、公費助成情報、母子保健、予防接種、介護保険といった分野を記載しております。特に予防接種や母子保健の分野においては、現在、先行してPMHを活用したデジタル化の取組が進められております。これと同様に、自治体において実施していただいております自治体検診につきましても、予防接種や母子保健の取組を参考としつつ、PMHという共通基盤を活用し、関係者間の連携を進めるということを検討してはどうかと考えております。
4ページ目では自治体検診DXの方向性として2点お示ししております。1点目は、自治体検診は現状、紙を中心とした運用となっており、住民の手間や事務的なコストが発生しています。PMHの仕組みを活用し、自治体検診事務のデジタル化を図ることとしてはどうかという点でございます。2点目は、PMHを活用した自治体検診事務のデジタル化を図る中で、自治体検診情報のデータベースを構築してはどうか、また、他の公的データベース等とも連結することを可能とし、政策研究等へ活用することとしてはどうかという点でございます。
1点目をより具体的に申し上げますと、資料の中ほどになりますが、自治体検診では現在、住民の方に紙の問診票への記入や、紙の受診券の医療機関への提出を行っていただいております。これを将来的にはスマートフォンやマイナンバーカードで行っていただくことが可能となるのではないかと考えております。また、自治体では紙媒体で対象者への受診券や実施通知の送付等を行っていただいております。これについてもペーパーレス化が進み、事務コストの軽減が図られるのではないかと考えております。あわせてデジタル化以外にも、例えば集合契約など事務負担の軽減等に資する他の方策も検討することも考えられないかとしています。さらに、医療機関にとっても、検診結果の報告や費用請求のペーパーレス化が図られると考えております。そしてその際に必要となる費用について、PMH導入による効果等を勘案し費用負担のあり方を検討することが必要としております。
2点目の自治体検診情報の二次利用についてです。これにつきましては、他の公的データベース等と連結することで、例えば、がん検診受診の有無とがん罹患情報の連結解析や、歯周病検診受診の有無と生活習慣病・介護等の関係性の分析、骨粗鬆症検診受診の有無と医療介護の関係性の分析など、政策研究等への利活用が考えられるのではないかと考えております。
5ページ目は自治体検診のデジタル化の将来像のイメージです。資料左側に各市町村における運用イメージをお示ししておりますが、自治体や受診対象者、医療機関等の間で、受診者情報や問診情報、検診結果情報などのやり取りをPMH・自治体検診システムを介して行っていただくことで、自治体検診事務のデジタル化が図られるのではないかと考えております。また、資料右側になりますが、各市町村において自治体検診事務のデジタル化に取り組んでいただき、それを厚生労働省にご提供いただければ、自治体検診情報のデータベースを構築することが可能になると考えております。そしてさらに、このデータベースを他のデータベースと連結し、大学や研究機関等に提供することで、政策研究等へご活用いただくことができるのではないかと考えております。
6ページ目はPMHの概要になります。PMHは住民、医療機関、自治体間で必要な情報を連携するためにデジタル庁で開発された自治体・医療機関間の情報連携基盤でございますが、母子保健や予防接種、公費負担医療、地方単独の医療費助成制度における活用の検討が進められております。特に、予防接種や母子保健については、法改正もいたしまして、現在、具体化の作業が進められているところであり、資料中ほどにそのイメージを付けております。また、公費負担医療等の医療助成制度につきましても、PMHの活用に向けた検討が進められているところだと承知しております。自治体検診も予防接種や母子保健と同様に自治体で実施していただいております。これらの制度にならい、自治体検診でもPMHの仕組みを活用し、デジタル化を進めることとしてはどうかと考えております。
7ページ目は医療・介護関係のデータベースの利活用促進の方向性です。医療等情報の二次利用は厚生労働省の医政局のワーキンググループなどで議論されてきており、そちらの関係資料からこのスライドを持ってきております。また、本日の資料の参考資料1としても、関係資料をつけさせていただいております。医療等情報の二次利用についてはスライド中ほどに具体的に列挙しておりますが、厚生労働大臣が保有する医療・介護関係のデータベースについて、仮名化情報の提供を可能とするとともに、利用申請の一元的な受付や、利活用可能なデータの可視化などの方向で検討が進められているところでございます。
私どもといたしましては、自治体検診のデータベースを構築する際には、こうした他の公的データベースの利活用の動きを踏まえながら、取り組んでいきたいと考えております。
8ページ目は自治体検診情報データベースの運用です。方向性といたしまして、1点目は、自治体検診情報のデータベースについて、ニーズに応じた幅広い政策研究等への活用を見据え、匿名化や仮名化した情報の利用提供を可能としてはどうかということでございます。2点目は、適切な利用を担保するため、データベースの管理方法や保護措置等については以下のとおりとしてはどうかとしております。その内容については、参考資料1にございます、医療等情報の二次利用に関するワーキンググループにおける議論の整理で記載されている内容を参考として記載させていただいております。具体的には、データベースの管理については厳格な安全管理措置を講じること。国民保健の向上に資するため、幅広い利用を可能とし、審査委員会における審査を経た上で提供すること、また、その情報の加工基準や審査基準は厚生労働大臣が別途定めるということ。このほか、保護措置や利用環境に関しましては、照合の禁止、データの消去、不正利用の際の罰則等の措置を講じることなどとしてはどうかと考えております。
資料1のご説明は以上となります。
<質疑応答>
【中山部会長】 それでは審議事項1についてご意見・ご質問がある方はご発言をお願いいたします。ご発言の際は手を挙げる機能をご活用いただいて挙手していただければご指名させていただきます。またご意見ご質問の際は、審議事項1のいずれに関連するか、該当箇所が資料の何ページに関連するかなど提示していただければ幸いです。それではどうぞよろしくお願いいたします。日本看護協会勝又委員からお願いいたします。
【勝又委員】 日本看護協会副会長の勝又と申します。まず、4ページに記載の自治体検診DXの主たるメリットが自治体の事務の負担の軽減となっていますが、それだけでは不十分でないかと思っております。検診後のフォローや継続支援におけるメリットなど、国民にとってのメリットがないと自治体検診DXの推進の意味がないというように思っております。保険者検診、あるいは労働者の事業者検診と自治体検診の情報が逐次連携できることにより、例えば自治体からの検診受診勧奨通知なども省略することができるなどのメリット、また、退職後に国民健康保険に異動したときなどに、これまでの情報を活用して、保健指導をしっかりとできるなどのメリットが出てくるというように思うので、早く3ページのプラットフォームの連携を実行していただきたいと思っております。
また1ページに関して、2026年度以降の運用の内容の具体、それからシステムの評価、改善計画、工程についてもしっかりとお示しいただきたいと考えております。また、貴省内での複数の部署でDXについて議論されていると思いますが、担当間での連携をしっかりとっていただいて、協議を進めていただきたいと思っております。
それから最後に2つご質問でございます。8ページに記載の審査委員会というのはどのような会議体で、構成員としてはどのような人を考えているのかということと、情報の加工基準や審査基準は厚生労働大臣が別途定めるというようにありますが、その内容の検討をどのように進めていくのかという2点についてご質問したいと思います。
【中山部会長】 勝又委員からのご質問に対していかがでしょうか。お願いいたします。
【山崎室長補佐】 質問1点目のデータベースのデータ提供を審査する第三者提供委員会の構成員について、NDBや介護データベース、DPCデータベースなどは既に第三者提供を始めているところでございまして、そこにはそれぞれのデータベースが含む情報をよく理解していらっしゃる先生、あるいは、一般の立場としてマスコミの方々などに入っていただいているところでございます。そのようなことを参考にしながら、自治体検診情報DBでどういった方々に審査をしていただくかというところは今後検討いただくことになるかと思っております。
2点目については、今は匿名化についてガイドラインが定められているところでございますが、仮名化については今後検討するというところでありますので、具体的な加工基準は今後それぞれの各データベースの所管課の委員会などで検討していくことになるかと思います。
【中山部会長】 勝又委員、現時点ではよろしいでしょうか。
【勝又委員】 わかりました。意見をぜひ聞いていただければと思います。
【中山部会長】 川俣委員、お願いいたします。
【川俣委員】 発言の時間をいただきましてありがとうございます。全国市長会からのご意見とあわせて伺いたいと思っています。まず、資料1の4ページに自治体検診DXの方向性が示されており、真ん中の表の右下の※印に「PMH導入による効果等を勘案し、費用負担のあり方を検討することが必要」とあります。PMHは自治体検診だけではなく、医療費助成や予防接種情報、母子保健情報等を含めたシステムになると存じますので、全体の費用額の規模等を示していただいた上で、今後法的な位置づけや費用負担の在り方について、関係の意見を十分に踏まえて、検討してもらいたいと思っています。
また、資料1の11ページに自治体検診のDX推進モデル事業の令和7年度の予算要求が示されていますが、PMHについては令和8年度以降の全国展開に向けた体制構築が求められています。体制構築に必要なシステムの仕様、また具体的な情報等をできる限り早期に自治体間に示していただくとともに、システム開発に必要な財政措置もお願いしたいと思います。なお、自治体では基幹システムの標準化に向けた取組も行っており、自治体によっては体制構築にかかる進捗状況に差が出てきますので、早く国において必要なご支援・ご配慮をお願いしたいと思います。
また、自治体によってはマイナンバーカードの保有率自体がまだ低いところもあります。当自治体では80%に上がっていますが、未だに作ってない方もいらっしゃるため、厚生労働省からも便利になるということをまず力を入れて言っていただけると、このようなシステムの普及が進むのが早いかと思っていますので、よろしくお願いいたします。
【中山部会長】 ご要望が中心だったと思いますが、もし事務局の方でご回答いただけるものがありましたらお願いいたします。
【荻野課長補佐】 先生がおっしゃったところのご指摘を踏まえて、しっかりと検討してまいりたいと思っております。
【中山部会長】 白井委員お願いいたします。
【白井委員】 1ページ目に工程表が示されておりまして、その中でいろんな作業をしていくということのご説明があります。令和8年度以降に自治体検診、その流れで予防接種や母子保健、介護などが書いてありますが、健康日本21(第三次)計画も始まっておりますし、このようなことを繋ぎながら、このあたりの政策の反映をビジョンとして、例えば5年後には実現したいとか10年後には実現したいなど、いつぐらいに見える化できるかという見通しが構想の中でもしあればお示しいただきたいと思います。
そういった意味で、先ほど川俣委員からもお話がありましたが、いろいろなデータをデータベースに入れる中で、マイナンバーカードの取得もなかなか道半ばというところもあり、国民の方々に自分たちのデータがどのように可視化されるかということがわかってくると、やっぱり入れないといけないのではないか、参加しないといけないのではないかということが理解できると思います。何のためにこのような情報が集められているのかということがわからないと強制感があるかもしれないため、そういったところの工程表の次のビジョンや政策の見せ方といったものをぜひお示しいただきたいなと思います。
また、11ページではモデル事業のお話がありましたが、この10億円の予算の中で、どれぐらいの自治体を選定することを想定しているか、挙手制とは思いますが、地域的なバランスをとりながらモデル事業を進めるのかなど、もしお考えであれば教えていただきたいと思いました。
【中山部会長】 事務局からいかがでしょうか。
【荻野課長補佐】 全体のスケジュールについて、自治体検診のデジタル化を全国的に行うためには、自治体の皆様やPMHを運営する機関とシステムを構築する必要がありますが、システム構築については、業務要件やシステム要件の定義、システム開発や試行運用など一定の期間を要すると思っております。また、現在、予防接種や母子保健などでPMHを活用したデジタル化に取り組んでおりますが、こうした取組とシステム構築を順次進めていく必要があると認識しております。その結果、現時点では確たるスケジュールを申し上げられないのですが、先ほど委員からご指摘がございましたとおり、自治体の皆様に円滑に導入していただけるように、関係者の皆様と十分に調整してまいりたいと思っております。
2点目の検診のモデル事業の実施体制は少々確認させていただきまして、また後ほどご回答させていただければと思います。
【中山部会長】 それでは後でまた用意ができましたらお答えいただければと思います。
それでは横山委員お願いいたします。
【横山委員】 国立保健医療科学院の横山です。資料1の4ページ目下部に記載のとおり、自治体検診情報の二次利用が進むようになって政策研究が広がっていけば、非常に素晴らしいことだと思います。例示のところにがん検診受診の有無とがん罹患情報の連結とありますが、これは受診の有無ですので、がん検診を受けた人と受けなかった人のがんの罹患の情報を比較するということが必要になるかと思います。要するに住民全体の台帳がこのデータベースと一緒に利用できないとこういう分析ができないということになるかと思いますが、そのような台帳情報が得られるのか、分母が得られるのか。それから歯周病や骨粗鬆症も同様です。検診受診後の要介護の関係などを分析するという、いわゆるコホート研究を想定していると思うのですが、その場合もやはり分母となる、対象となる台帳の情報が必要で、かつコホート研究だと、途中で脱落する人、転居していなくなるあるいは死亡して観察対象ではなくなるという情報も必要になってきます。ちゃんとしたコホート研究を行うためにはそのような台帳情報が必要ですが、台帳情報が利用可能になるのかについて教えていただければ思います。よろしくお願いします。
【中山部会長】 この件について事務局いかがでしょうか。
【荻野課長補佐】 先ほどご回答できなかったところからまずご回答させていただきます。モデル事業でイメージしている自治体の件数は、確たる数字は申し上げられないのですが、6ページ目に記載のとおり、今予防接種や母子保健等でPMHに関係する先行事業を実施しているところでございまして、本ページの下側に16自治体で実施いただいていると記載しております。自治体検診につきましても、先んじて実施しております医療費助成、予防接種等の先行事業の自治体の数等を踏まえて検討することになると思っております。それが1点目のご回答でございます。
2点目のご質問において台帳の話がありましたが、実際にどのようなデータベースを構築するかというところは、これから要件定義等をさせていただくところでございます。委員のご指摘を踏まえて、どのようなことができるかということを考えてまいりたいと思っております。
【中山部会長】 確かに疫学的な検討をする上では大切なところかなと思いました。
【山崎室長補佐】 医政局から追加させていただきます。いろいろなデータベースを連結することや、調査対象者の方を今後フォローしていくことが必要になるかと思います。その際にそれぞれのデータベースでどのようにやるかは今後の課題ですが、例えば、最古の被保険者番号をハッシュ化したID5というものがございまして、それを使うことによって、経時的に追うことや他のデータベースと連結することは可能になります。ただ、データベースでどのような情報を集めるかによって、当該ID5が使えるかも変わってきますので、その点は今後の検討とさせていただきたいと思います。
【中山部会長】 福田委員お願いいたします。
【福田委員】 国立保健医療科学院の福田です。4ページに記載の自治体検診情報の二次利用の推進への期待を込めてコメントしたいと思います。自治体検診のひとつとして、歯周疾患検診がございます。現在80%の自治体で、毎年35万人程度の方が受けていらっしゃるような検診でございます。実は2024年5月に、地域の分析、それから地域間比較ができるよう、項目の標準化を目的として、歯周病マニュアル2023を作成したばかりでございます。標準化されたということで、複数の県から診査票・問診票を統一して自治体間の比較を行いたいという話も聞いております。自治体検診データベースが確立して、自治体における検診情報が容易に入手できるということであれば、マニュアルの目的達成に向けて大きく前進することになるかと思っております。自治体検診DXの方向性につきましては、自治体に対する早めの周知・広報をいただくことをお願いいたします。
【中山部会長】 これもご要望として結果の検討いただくということになりますかね。追加のことが特になければそのようにさせていただきます。
それでは長津委員よろしくお願いいたします。
【長津委員】 日本薬剤師会の長津でございます。資料の3ページに記載のプラットフォームができたら、確かに非常に有効なデータがあらゆるところで利用できるという夢のような話で、早く実現してほしいなとは思いますが、2点気になるところがあります。まずは自治体検診を拾い上げるわけですが、例えば働き手が多く受けるであろう保険者等の検診を置いていってしまうのかなというところが気になっています。それから検診部分のデータも非常に重要でありますが、これは医療情報とマッチングされるところで極めて有効なものとなると理解しています。医療情報閲覧機能というところが書かれていますけども、このためには、私の理解では、電子処方箋がくまなく普及したときにようやくマッチングされると思っております。現場で国民というか、地域の方と接している我々としましては、医療情報が早くこの中に載ってこなければ、検診情報だけではなかなか有効なツールにはならないような気がしております。
それらを踏まえた上でお聞きしたいのですが、このシステムを作るということ自体ではなくて、データを収集するということ、それを閲覧できるようにするということが問題なのかなと思いますが、データの収集や閲覧に対して、何か気になる障壁や想定されている障壁があるのかどうかということをお伺いしたいのですがいかがでしょうか。
【中山部会長】 事務局いかがでしょうか。お願いいたします。
【荻野課長補佐】 まず障壁というところに関しまして、ひとつは医療機関での実際の事務というところもあるのかなと思っております。例えば、自治体検診のデジタル化を進めていく中では、医療機関で電子的に検査結果を入力していただくことが必要になると思いますが、実際に今手書きしていただいているところなどもある中で、電子的に検査結果をどう入力していただくかなど、そういうところの負担やオペレーションが変わるといったところがあるのかなと承知しております。
【長津委員】 そういう懸念点があるものに対して、どのように解決していこうかというそういうお考えはいかがでしょうか。
【荻野課長補佐】 例えば、その検診結果の入力の方法につきましては、医療機関が利用する電子カルテや検診のシステムを活用して入力していただくことや、令和7年度から先行して実証事業に係る予算を要求しているところでございますが、実証事業ではPHRのアプリを搭載したタブレットを活用した入力をやっていただくこと、国で入力用のWebサイトあるいはホームページを整備する等の医療機関の実情に即した複数の方法を考えられるのではないかと思っております。あるいは、入力が困難な医療機関や歯科医療機関に対しましては、代行入力といった方法も可能とするような配慮をしていくというようなことを考えており、今後何ができるかなどを検討して参ります。
【長津委員】 今のお話ですと、電子処方箋にともなう医療情報というものは特に必要ないというお考えに聞こえてしまいますが、そこに関してはどう思っていらっしゃいますか。
【中山部会長】 電子処方箋の関連する診療情報の扱いというようなことについてでしょうか。
【長津委員】 及び調剤情報もあるにはあるわけです。
【中山部会長】 この点について現時点では事務局からいかがでしょうか。
【谷口室長】 先生のご指摘は重要と思っており、今後どのように情報の統合的を追求していくべきかということを検討する必要も十分あると思っております。一方で、まだ今回先行的にこのモデル事業をやらせていただくように要求したばかりでございまして、実施する中でどういった課題が出てくるかということを検証しながら、課題を洗い出していきたいと思っております。現時点で明確にこのように取り組むということをお示しできず恐縮ではございますけれども、取り組みつつご相談しながら、課題等を整理していきたいと考えております。
【中山部会長】 大きな課題としては認識されているということで、引き続き協議を進めたいと思います。長津委員もぜひご指導・ご支援よろしくお願いいたします。
それでは松岡委員お願いします。
【松岡委員】 国保中央会の松岡でございます。私の方から4点、要望事項で申し上げたいと思います。1点目はこのシステムを作るときに、受診券や請求書といった各種様式や実施方法などが自治体ごとにバラバラな状態でそのままシステムに取り込むという形になると、かなりシステムが複雑化して開発費用も運用費用もかかることになると思います。そういう意味でこのような取組を実施する上では、検診業務の標準化を進めていただいて、その上でシステム化をやっていただければと思います。2点目は、システムをせっかく作っても、加入するところが増えないと無駄になりますので、自治体のご理解・ご協力を得て、加入するところがなるべく増えるように国からの働きかけなどもお願いしたいと思います。3点目は、開発費用・運用費用に対しては国庫補助など公費の措置がしっかり行われる必要があると思いますので、その点をよろしくお願いしたいと思います。4点目は、システム開発・運用に当たっては結構複雑なシステムになり、時間を要すると思います。十分に時間をとっていただいて、円滑に実施できるようにご配慮いただければと思います。
【中山部会長】 4点のご要望をいただきましたけれども、事務局から現時点でいかがでしょうか。
【荻野課長補佐】 引き続きご相談させていただきながら進めさせていただければと思っております。
【中山部会長】 それでは佐原委員お願いいたします。
【佐原委員】 日本医師会の佐原でございます。私からは5ページ目と6ページ目について少し伺いたいのですが、まず5ページで⑥過去の検診情報を医療機関で利用できるということになっており、ぜひ、医療機関で過去の検診情報を日常診療に活用できるようにしていただければと思います。その際にデータがどこにあるかということがすごく重要だと思います。このデータで、PMHのあたりに予防接種、母子保健、公費負担医療、自治体検診が横に並んでいるのですが、6ページ目では現在、母子保健と予防接種はそれぞれの自治体のサーバーにデータがあると伺いました。6ページ目の図を見てもそのように見えるのですが、今後、検診データも同じようにそれぞれの自治体のサーバーに入っているというように考えていいのかということと、そうすると、5ページ目に戻って、それぞれの自治体にデータがあって、仮名化した情報を自治体検診情報データベースとして厚生労働省のクラウドに置くという理解でよろしいのでしょうか。つまり、厚生労働省の自治体検診情報データベースにあるのは仮名化された情報だけで、仮名化された情報には医療機関は直接アクセスすることはできないということでよろしいですか。
【中山部会長】 事務局からいかがでしょうか。
【荻野課長補佐】 先生がおっしゃったことは、そのようなご認識というところでよろしいかと思っております。
【佐原委員】 つまり検診情報はそれぞれの自治体のサーバーで管理されていて、医療機関はそこにアクセスするということで、仮名化された情報だけが厚生労働省のクラウドで管理されるということでよろしいということですね。
【荻野課長補佐】 そのようなことでよろしいかと思っております。
【中山部会長】 それでは瀧本委員からお願いいたします。
【瀧本委員】 医薬基盤・健康・栄養研究所の瀧本です。5ページでお話が出ましたとおり、自治体検診情報データベースは厚生労働省のクラウドに保存されるというところですが、厚生労働省で所管している国の統計調査、例えば、国民健康・栄養調査や生活基礎調査などとの連結を今後お考えかどうか教えていただけますと幸いです。
【中山部会長】 この点についてはいかがでしょうか。
【山崎室長補佐】 こちらの厚生労働大臣が保有するデータベースには、他に先ほど申し上げたNDBや介護DBなどがございまして、自治体検診情報DBはそれらと連結することを想定しております。またそれと別に行政利用ということで省内利用もできますので、そこで委員からご指摘のような調査と連結することができるかというのは、今後の自治体検診情報DBの使い方の検討になるのかなとは思っております。
【中山部会長】 それでは武見委員お願いいたします。
【武見委員】 女子栄養大学の武見です。4ページに記載のとおり、自治体検診DXが進むことはとても素晴らしいと思いますし、事務のデジタル化や今かなり議論になっている二次利用も良いと思います。しかし、そもそも抜本的に、例えばがん検診や骨粗鬆症検診は受診率が非常に低く、どのような人がこのデータベースに入っていくのかという問題があると思います。確かに住民にとっての将来像でも紙の問診票からスマホを使って問診票入力できるようになることや受診勧奨のデジタル化等が出てきているのですが、本当になかなか検診率は上がって来るのかという点が懸念されます。骨粗鬆症検診の受診率は健康日本21(第三次)の中で確か5%か10年ぐらいで15%という目標も出ていて、でも10年が経って15%しか受けないという中で、このデータベースが誰を扱っていくのか、そして二次利用した際も誰の分析になるのかということが重要だと思います。
質問として、この仕組みを作る中で、受診率の向上にどのように繋げていくかや、あるいは受診率向上に向けての取り組みとの関係はどうお考えなのかというあたりをお聞かせいただければと思います。
【中山部会長】 それでは事務局からよろしくお願いいたします。
【谷口室長】 先生のご指摘のとおり、健康日本21(第三次)で取り組んでおります骨粗鬆症検診受診率向上や、健康日本21(第三次)そのものを進めていくためのプロジェクトとしましても、検診の受診率を目指していくような普及啓発は必要なものと考えております。
今回自治体DXを進める中での普及啓発等であり、非常に重要な取組になってくると思っております。健康日本21(第三次)全体を進める上でも、またその中で骨粗鬆症検診の受診率を高めていく上でも、このようなDXの取組が寄与するように課内でもしっかり取り組んでいきたいと考えております。先生のご指摘のとおり、受診勧奨を進めながら、また様々な情報が活用できるということも踏まえ、国民の皆様の健康への取組に役に立つということをしっかりお示しし、受診勧奨とあわせて取り組んでいきたいと考えております。
【中山部会長】 システムを作ることがゴールではなく、その先にあることをきちんと見据えていかないといけないと改めて思います。それでは山本委員お願いいたします。
【山本委員】 日本歯科医師会の山本です。私からは4ページについて2点ほどご指摘をしたいと思います。まず1点は質問ですが、4ページの自治体の方の将来像のところに括弧書きで、「例えば集合契約など事務負担の軽減等に資する他の方法についても検討」という記載がありますけれども、この場合の集合契約というのはどのような形なのか、つまり都道府県単位で行うのか、あるいは国が一括して全ての集合契約をしていくのかという点をお聞きしたいと思います。
それからもう1点は、先ほど事務局の方からある程度お答えをいただきましたが、現在いわゆる検診結果は手書きしており、これをデジタル化することはまだまだ医療機関側では非常にハードルが高いということで、ぜひとも簡便に使えるような方法を考えていただきたいということがあります。と言いますのも、今回の医療DXによって、やはり多くの医師の先生方、特に高齢の先生方が医療機関自体をやめてしまおうというふうに考える方がかなり多くなってきましたので、ぜひそのあたりを考えてやっていただければと思います。
【中山部会長】 特に1点目がご質問だったと思いますので、事務局からいかがでしょうか。お願いいたします。
【荻野課長補佐】 集合契約につきましては、特定健診や予防接種などで仕組みがあると承知しておりますが、現在自治体検診にはそのような仕組みがございません。どのような形があるかは今後、他制度も踏まえつつ、課題等も含めて検討してまいりたいと考えております。
【中山部会長】 課題として認識していただければと思います。それでは諸岡委員お願いいたします。
【諸岡委員】 日本栄養士会の諸岡です。6ページに関して質問です。自治体検診DXを進めていくべきだと考えているのですが、すでに先行実施を進められている母子保健の分野で、具体的には9自治体19医療機関で進められていますが、先行事業で明らかになった課題や、課題に対してどのように対応されようとしているかというようなあたり、例えば、デジタル化への対応が難しい住民への対応などが課題として挙がっているかと思いますが、何かしらそういった課題や、先行事例の中で参考になるような課題対応を教えていただけると嬉しいと思います。
【中山部会長】 それでは事務局からいかがでしょうか。お願いいたします。
【荻野課長補佐】 母子保健等の先行事業については現在実施しているところだと承知しております。今後、どのような課題があったかを踏まえ、自治体検診にも反映していきたいと考えております。
【中山部会長】 まさに重要な経験が積まれているところだと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは前田委員からお願いいたします。
【前田委員】 私からも4ページへの要望になります。先ほど勝又委員の方から、国民にとってのメリットを明確化する必要があるというお話があったところだと思いますが、国民にとってのメリットの明確化と合わせて、やはりデジタルが苦手な方への配慮、そしてその配慮に対する情報発信というところも併せてお願いできればと思います。やはりデジタルが苦手な方はいらっしゃいますので、そういった方が取り残され、新たな格差が生じないための対策の検討と情報発信というところをお願いしたいと思います。
【中山部会長】 この点についてはいかがでしょうか。事務局からお願いいたします。
【荻野課長補佐】 先生からいただいたご指摘は重要な点だと思っており、ご指摘を踏まえて考えてまいります。
【中山部会長】それでは庄子委員、お願いいたします。
【庄子委員】 私からは意見になりますが、自治体検診のDX化が進むことを非常に期待しているところです。検診の受診の有無と罹患情報の解析が進むということで、検診未受診者をどこまで追えるのかといった課題はあるものの、うまくいけば、予防・健康づくりに寄与することになりますので。一方で、これも先ほど意見がありましたが、検診の受診率をいかに上げるかというところが大きな課題で、自治体の方は皆さんすごく悩まれているところだと思います。ただ、解析が進むことでデータが取れて相関関係等が出ればエビデンスもきっちりするということで、そういうものがはっきりすると我々はメディア企業ですので、メディアとしても周知しやすくなります。メディア企業としてはきっちりそのあたりの普及啓発活動というものに少しでもご協力できたらなとは思っております。
【中山部会長】 メディアから要望とご期待ということで、事務局でもぜひ引き続きご検討をよろしくお願いいたします。それでは春山委員お願いいたします。
【春山委員】 検診データと医療・介護の情報が繋がる、連携するということはこれからいろいろな政策を考えていく上で本当に重要であると思っていますが、やはりデータが繋がるだけではなくてデータの活用が大事かなと思いますので、活用に対する国のフォローや、自治体間でデータの活用に差が生じるというようなことがないようなサポート等も必要であると思いますので、ご検討いただきたいと思いました。
【中山部会長】 こちらもご要望という形になります。ぜひ事務局の方もデータを活用できる人材や体制をどのように支援していくかというのはとても大きな課題だと思いますので、よろしくお願いいたします。荒籾委員お願いいたします。
【荒籾委員】 健康日本21推進全国連絡協議会幹事の荒籾でございます。今回のDXにつきましては各先生方からの課題を伺いました。健康日本21(第三次)を推進する上でも、大変有意義であり、こういった様々な情報をリンクさせることによって、医療や保健、栄養分野の各専門家の方々が住民の方に対して良いサービスが提供できればと思っております。
こういったDXの普及とあわせて、各検診を積極的に行うことによって、結果的に住民の皆様1人1人の健康情報が有効に使われ、結果的にご自身のためになるというところをアピールしていただいて、様々な検診やDXの普及を合わせて進めていただければという要望でございます。あと、ゆくゆくは健康増進施設や指定運動療法施設などのそういった運動に関する情報等もデータベースに入れていただければと思うところでございます。このDXを推進いただくよう願うばかりでございます。よろしくお願いいたします。
【中山部会長】 ご要望とご期待ということで、ぜひ事務局も引き続きご検討をよろしくお願いいたします。非常に多くのご意見・ご質問をいただきましたので、よろしければ審議事項の1の議論はここまでとさせていただきたいと思います。この審議事項1につきましては、事務局からの説明について、いくつかとても非常に大事な論点の提示、それからご要望、ご期待がありましたが、方向性としてはおおむねご了承いただけたものと承知しております。
本日、委員の皆様からいただいたご意見を踏まえて、事務局に施策の具体化に向けて進めていただくこととして、次の報告事項に移らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
【構成員一同】異議なし。
【松岡課長】 健康・生活衛生局健康課長の松岡でございます。ご議論いただきましてどうもありがとうございました。先ほど佐原委員からいただいたご質問に少しだけ補足をさせていただきたく存じます。自治体ごとのサーバーにデータを取りに行かないといけないのかといったご質問をいただいたと思いますが、それにつきましては、PMHの方にシステムとして一旦格納するサーバーを建てますため、そこから顕名情報は引っ張ってくることができます。自治体の医療機関が検診情報そのものを仮名化して、厚生労働省のデータベースに移す、格納するというようなことになりますため、例えばある医療機関が過去の検診情報を欲しいなと思ったときには、PMH上の自治体検診のシステムにアクセスしていただいて取るというような手順になるというような設計をしようと今のところ考えてはおります。また、変更になるようなことがありましたら、ご相談したいとは思うのですが、現時点ではそのような想定だということをご承知おきいただければと思います。
【佐原委員】 それでは予防接種や母子保健の情報も今後新たに作るPMHのサーバーに自治体から移行していくということでしょうか。
【松岡課長】 今のところ先行実施の中ではそのようにやっていると聞いております。
【佐原委員】 わかりました。自治体で持つのか、それとも別のところでデータを持つのか、そのあたりをしっかり整理してから設計していただければと思います。
【中山部会長】 佐原委員、重要なご指摘をどうもありがとうございます。追加で事務局の方からありますでしょうか。
【松岡課長】 先ほど申し上げたように、先行実証の後、本運用になったときには、予防接種や母子保健も同じようにPMH上にサーバーを建てるようには今の段階では聞いております。
【中山部会長】 追加のご説明ありがとうございました。それでは審議事項1はここまでとさせていただきます。
報告事項(1)国民健康・栄養調査について
【中山部会長】 続きまして、報告事項1について事務局より説明をお願いいたします。
【塩澤室長】 それでは報告事項1について、参考資料2を用いて説明させていただきます。参考資料2は令和4年国民健康・栄養調査結果の概要でございまして、本年8月28日に既に公表させていただいているものでございますが、今回簡単にご報告させていただきます。
令和4年の調査ですが、毎年実施している基本項目に加えまして、社会環境と生活習慣等に関する状況として、世帯の等価所得と生活習慣等に関する状況や新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による生活習慣等の変化の状況について把握しております。
それでは調査結果のポイントを順にご説明させていただきます。まず1つ目の肥満者の関連ですが、20歳以上の男性の肥満者の割合は31.7%で、これは直近の10年間、すなわち平成24年から令和4年までの10年間でございますが、この10年間で有意に増加しているという結果になっております。
続きまして野菜摂取量です。20歳以上の野菜摂取量の平均値は270.3gでした。こちらは直近10年間で男女とも有意に減少しているという結果です。
2ページは歩数の関係でございます。20歳以上の歩数の平均値は、男性6,465歩、女性5,820歩でして、こちらは直近の10年間で男女とも有意に減少しているという結果でした。
続きまして、喫煙及び受動喫煙の状況、こちらの改善傾向ですが、まず喫煙の状況でございます。現在習慣的に喫煙している者の割合は14.8%でして、男性は24.8%、女性は6.2%です。直近の10年間で見てみますと、男女とも有意に減少しているという結果でした。
3ページ目は受動喫煙の関係でして、家庭、職場、学校等、こういったところでの受動喫煙の機会を有する者の割合は平成15年以降有意に減少しているという結果でございます。詳しくは下のグラフにそれぞれ経年的な結果が載っておりますので、ご参照いただければと思います。
4ページ目は世帯の等価所得と生活習慣等の状況で、野菜の摂取量の平均また現在習慣的に喫煙している者の割合は、男女とも有意に関連しているという結果です。具体的には下の表で黒く囲ったのが野菜の摂取量と喫煙のところです。まず、野菜摂取量の平均値と世帯の所得状況の関連ですが、男女とも①の200万円未満の世帯については、④の600万円以上の世帯に比べまして有意に少ないという結果になっております。
一方、真ん中にあります、現在習慣的に喫煙しているものの割合について見てみますと、男女とも200万円未満の世帯につきましては、④600万円以上の世帯に比べて有意に高い状況となっております。
5ページでございます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によって、体重や運動日数等に影響しているということを見出しとして書かせていただいております。こちらの問いを見ていただくと、「あなたのこの1ヶ月間における体重および生活習慣は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により変化がありましたか。」となっており、これについて答えていただき解析をしているというものです。
それぞれの棒グラフですが、一番多いのは灰色の部分「変わらない」という結果でした。あとは点々の模様になっておりますけれども「もともとない」、体重は少し異なりますが、他は「もともとない」というところが一番多いです。その中でもこの「増えた」「減った」というところに着目したとき、例えば、男性の体重のところを見ていただきますと、一番左にある「増えた」というのが13.2%、そして「減った」というのが7.4%というように、倍弱ではございますけれども、増えた方が多いというように偏りが男女ともに見られております。また同様に、偏りがあったものとしては、男女ともそれぞれ下の方にございますとおり、1週間当たりの運動日数でございまして、男性についてはこれが「増えた」と答えた方が5.0%、それから「減った」と回答されたのが12.7%という具合に、こちらは倍以上の開きが見てとれますが、同様の結果が女性においても見られたということがありまして、体重、それから1週間あたりの運動日数というところにこのような結果が見られました。簡単ではございますが、以上でございます。
【中山部会長】 ご説明ありがとうございました。本内容については報告事項とさせていただいておりますが、もしご発言のある委員の先生がいらっしゃいましたら承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【構成員一同】異議なし。
【中山部会長】どうもありがとうございます。それでは報告事項1については以上にさせていただきます。
報告事項(2)新型インフルエンザ等対策行動計画・ガイドラインについて
【中山部会長】 続きまして、報告事項の2、新型インフルエンザ等対策行動計画ガイドラインについて、事務局より説明をお願いいたします。
【斎藤室長】 それでは参考資料の3から7の新型インフルエンザ等対策行動計画ガイドラインについてご説明させていただきます。
新型インフルエンザ等対策行動計画及びガイドラインにつきましては、内閣感染症危機管理統括庁が事務局の新型インフルエンザ等対策推進会議を主体に議論をされておりまして、厚生科学審議会感染症部会などでも全体の議論が実施されておりました。
このため、地域保健健康増進栄養部会の委員の先生方におかれましては、地域保健の向上の観点で、今回の改正で新たに設けられました保健の部分を中心に、ご意見をお伺いしたところでして、本年3月には、感染症部会との合同開催による議論を実施いたしました。
また、5月には新型インフルエンザ等対策行動計画、7月には保健に関するガイドラインにつきまして、本部会においてそれぞれ持ち回りで書面開催をいたしまして、ご意見や修文案等を頂戴いたしました。いただきました修正文案等につきまして、内閣感染症危機管理統括庁等と連携いたしまして、行動計画や保健に関するガイドラインの反映をはじめ、各種調整等を行わせていただきました。
新型インフルエンザ等対策行動計画は7月2日に閣議決定いたしました。それから、行動計画のガイドラインは8月30日に内閣感染症危機管理監の決裁として決定いたしました。
委員の先生方からのご意見を踏まえた修正に係る主な点といたしまして、行動計画につきましては、都道府県等が保健所や地方衛生研究所等における人員体制の整備とともに、職員等のメンタルヘルスの支援等の対策を講じる旨を追記しました。それからガイドラインにつきましては、都道府県等が医療機関や老人保健福祉施設等において、感染症が発生、蔓延しないよう最新の医学的知見等を踏まえた施設内感染に関する情報をこれらの施設に提供する旨の追記、2つ目として、都道府県等が市町村と連携し高齢者、子供、日本語能力が十分ではない外国人、視覚・聴覚が不自由な方に対する情報提供・共有を行うに当たっての配慮すべき事項の追記などを行っております。
先生方におかれましては貴重なご意見、誠にありがとうございました。簡単でございますが、新型インフルエンザ等対策行動計画・ガイドラインにつきましてのご報告は以上となります。
<質疑応答>
【中山部会長】 ご報告どうもありがとうございました。本件につきましても報告事項となっておりますが、もしご発言のある委員の先生がいらっしゃいましたら承ります。ご遠慮なくご発言いただければと思います。いかがでしょうか。白井委員お願いいたします。
【白井委員】 確認で申し訳ございませんが、行動計画のガイドラインにつきましては、行動計画を実際に運用するというのが具体的な指針だと思うのですが、これは政府だけではなくて、自治体がそれぞれの新型インフルエンザ等対策行動計画を作るよりどころになると思うですが、それについての自治体向けの通知というか、そのご示唆をどのようなかたちでいただいたのか、これからいただくのかといったあたりを確認したいと思いましたのでよろしくお願いします。
【中山部会長】今の点はいかがでしょうか。
【斎藤室長】 先生、ご質問ありがとうございます。今のご質問に関して、ガイドライン・行動計画については、統括庁の方から事務連絡やご説明の方を自治体向けにさせていただいていると理解しております。
【中山部会長】 統括庁から自治体の方に連絡がされているということですね。
【白井委員】 保健に関しては、そのまま保健所に下してくるということではなく、自治体の方がきちんと危機管理というか、統括庁のほうから連絡をいただいてそのあたりを把握していると思いますが、その確認をお互いできたらなと思いましたので、あえて質問させていただきました。
【中山部会長】 松岡委員お願いいたします。
【松岡委員】 参考資料3の2ページの概要の保健のところにICTの活用による業務効率化という記載がございます。保健所、医療機関、都道府県、国などの間で、感染拡大時においても情報連携が円滑にいくようにということで、新型コロナウイルス感染症の経験も踏まえてシステムの整備や改善を平時においてしっかり引き続きやっていただくようにお願いしたいと思います。
【中山部会長】 これについてもご要望ということになるかと思います。ぜひ事務局の方よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
3 閉会
【中山部会長】 それでは定刻前ではありますけれども、非常に多くの重要なご意見・ご要望をいただいたかと思います。本日の議論はここまでとさせていただければと思います。さらに委員の先生方からご質問等がありましたら個別に事務局にメール・その他でご意見をいただければと思います。最後に事務局から次回のスケジュールについてお願いいたします。
【漆畑課長補佐】 今後のスケジュールについては、追って調整させていただきます。お忙しい中恐れ入りますがよろしくお願いいたします。
【中山部会長】 それでは本日の部会を終了したいと思います。委員の皆様にはスムーズな議事進行にご協力をいただきまして本当にどうもありがとうございました。
これにて閉会といたします。