第30回厚生科学審議会がん登録部会(議事録)

健康・生活衛生局 がん・疾病対策課

日時

令和6年11月25日(月)15:00~17:00

場所

オンライン開催

議題

  1. (1)中間とりまとめ等を踏まえた今後の対応(案)について【公開】
    (2)法第20条の規定により提供される生存確認情報の取扱いに対する対応【公開】
    (3)「全国がん登録 情報の提供マニュアル」の改訂について【公開】
    (4)全国がん登録情報の利用・提供に係る審査【非公開】

議事

議事内容
○石川専門官 定刻となりましたので、ただいまより第30回「厚生科学審議会がん登録部会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日の部会につきましては、YouTubeにおいて配信しております。委員の皆様方におかれましては、参加中、基本的にマイクをミュートにしていただき、御発言の際には挙手ボタンで挙手いただきまして、事務局から、もしくは部会長から指名がございましたら、初めにお名前をいただいてから御意見、御発言いただくようお願いいたします。
 続いて、委員の出欠状況でございますが、本日は松前恵環委員、中島直樹委員、木下義晶委員から御欠席の御連絡をいただいております。また、東尚弘委員から途中退席の旨の御連絡を頂戴してございます。また、徳永えり子委員から途中参加の御連絡をいただいております。
 本日のがん登録部会における委員及び議事に関係のある臨時委員定数13名に対しまして、現在11名が参加されています。厚生科学審議会令にある、議事運営に必要な「委員及び議事に関係のある臨時委員の過半数」を満たしていることを御報告申し上げます。
 本日、2名の参考人に御出席いただきます。
 国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターセンター長 松田智大参考人です。
 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業プロトタイプ政策研究所所長・シニアパートナー弁護士 落合孝文参考人です。落合参考人からは、途中参加及び途中退席の旨の御連絡を頂戴してございます。
 それでは、以後の議事進行を中山部会長にお願いいたします。
○中山部会長 先生方、お忙しい中、本日もお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 それでは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○石川専門官 事務局でございます。
 それでは、資料の確認をいたします。資料は委員の皆様方に事前にメールでお送りしておりますが、厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。議事次第、資料1から6、参考資料1から9がございますので御確認ください。資料の不足等がございましたら、事務局までお申し出ください。
 事務局からは以上です。
 それでは、中山部会長、議題をよろしくお願いいたします。
○中山部会長 特に問題なければ、議事に入りたいと思います。皆様、よろしいでしょうか。
 それでは、議題の1「中間とりまとめ等を踏まえた今後の対応(案)について」に入ります。まずは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○石川専門官 事務局でございます。
 資料1「中間とりまとめ等を踏まえた今後の対応(案)について」を御説明いたします。
 2ページを御覧ください。こちらは御報告事項となりますが、中間とりまとめ等を踏まえ、第27回から第29回までのがん登録部会において議論した内容を整理しております。
 医療DXの取組の一環として行う項目として、他のデータベースとの連結・解析、匿名化の定義の明確化、届出の照合・集約作業の効率化及びデータ精度の向上、住所異動確認調査の円滑化、仮名化情報の利用・提供、情報連携基盤の構築及び利用申請・審査の体制の一元化について御議論いただきました。
 また、がん登録制度における運用の見直し項目として、法第20条の規定により提供される生存確認情報の取扱いに対する対応、国外提供に係るルールの整理について御議論いただきました。
 それぞれの項目について、法の規定の整備または運用のルールの検討や明確化が必要であるとのこととなりましたので、その旨を改めて今回記載しております。
 事務局からは以上です。
○中山部会長 御説明ありがとうございました。
 この資料1の内容について御説明いただきましたが、委員の皆様から、この場で確認が必要な点がありましたら、御発言いただければと思います。いかがでしょうか。既にいただいた御質問に対しての事務局からの回答ということで、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。これで特に追加の御質問はなかったということですので、事務局におかれましては、第27回から第29回のがん登録部会における議論を踏まえて、主な見直しの項目について、法の規定の整備や運用の見直しなど、引き続き進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、2つ目の議題「法第20条の規定により提供される生存確認情報の取扱いに対する対応」に進みたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○石川専門官 事務局でございます。
 資料2「法第20条の規定により提供される生存確認情報の取扱いに対する対応」を御説明いたします。
 2ページを御覧ください。
 まず、法第20条の規定により提供された生存確認情報について、改めて現状・課題を記載しております。この法第20条提供情報は、法第30条から第34条までの規定により、安全管理措置等の適用を受けるものであることを踏まえ、第12回がん登録部会において運用ルールが示されており、これにより限定的な取扱いとなっております。
 こちらへの対応(案)として、これまでのがん登録部会における議論等を踏まえ、下の枠内のとおり、お示ししております。
 まず、利用目的については、法第20条に規定される目的に照らし、病院内で行われるがんに係る研究については、法第20条提供情報の利用を引き続き認めた上で、その旨を周知してはいかがかと考えております。
 次に、カルテへの転記については、特に法32条の規定による保有期間制限への対応が求められるところ、病院内における関連システムの整備状況等について把握を行い、実現可能性について、引き続き検討してはいかがかと考えております。
 3ページは、御参考として、第12回のがん登録部会の資料のうち、関連する部分の抜粋でございます。
 4ページを御覧ください。対応(案)の続きとして、病院からの第三者提供についてお示ししております。法第20条の規定により、提供される生存確認情報は、本人の同意なく収集された情報であることや、その機微性に鑑み、第三者に提供することは認められないものであります。
 しかし、予後情報は、がんに係る研究において重要な情報であり、正確な予後情報を活用した研究が推進されることは、医療の質の向上等につながるため、患者メリットが大きいものであります。これを踏まえ、法第20条提供情報について、一定の加工を施すことにより、法第20条により情報を提供された病院が参加する多施設共同研究における他の施設への提供や、当該病院が登録している学会のデータベース等への提供を認めることとしてはいかがかと考えております。
 具体的な加工方法は枠内下部に案としてお示ししておりますが、これから述べるとおりとしてはいかがかと考えております。
 まず、最終生存確認日又は死亡日については、提供者、すなわち病院側が、診断日等から起算した、最終生存確認日又は死亡日までの期間を算出することとします。
 提供先、すなわち第三者側は、最終生存確認日又は死亡日の復元が困難となるよう、もともと保有している診断日等の情報について、「年月日」を「年月」に置換することとします。なお、提供後において新規に診断日等を追加する際には、同様の取扱いとすることとします。
 次に、死因については、原死因を「がんによる死亡」又は「その他の原因による死亡」のいずれかに置換するものとします。
 以上の方針案の下、今後、運用の開始に向けてマニュアルの整備を検討してはいかがかと考えております。
 5ページを御覧ください。法第20条の規定により提供される生存確認情報の利活用による、患者・国民の方々への還元についてお示ししております。
 まず、黄色の枠は、現状について表しています。自施設におけるがんに係る調査研究への法第20条提供情報の活用等から、正確な予後情報を反映した治療成績を含む研究成果が出ることにより、医療の質の向上に資することや、ステージ分類ごとの生存率等、正確な予後情報に基づいて我が国のがん治療成績等を客観的に把握できるようになることにつながります。
 ただし、多施設共同研究等で予後情報を利用する場合には、医療者が電話等で患者等に予後追跡を行うほかなく、患者等の心理的・物理的な負担が大きい上、正確性にも限界があるという状況となっています。
 次に、青色の枠は、今後、先ほどお示しした対応案が実現された場合について表しております。法第20条提供情報の多施設共同研究での利用や、学会データベース等への提供が認められることにより、詳細な医療情報と正確な予後情報を併せた大規模な研究が可能となり、効果的ながん予防、がん医療、がんとの共生に関する検討や政策の促進が期待されるものと考えております。
 この結果、医療の質が向上し、患者・国民の方々がより良いがん医療や支援を受けられるようになるものと考えております。
 最後に、このような患者・国民の方々にとっての意義やメリットについて、今後、周知に努めていくことが重要であると考えておりますので、その旨、お示ししております。
 6ページは、御参考として、関連する条文の抜粋でございます。
 事務局からは以上です。
○中山部会長 ありがとうございました。
 ただいま事務局から説明のあった資料2「法第20条の規定により提供される生存確認情報の取扱いに対する対応」の内容について、委員の皆様から御意見、御質問等ございましたら、御発言をいただきたく思います。御意見、御質問がある場合には、Zoom機能で挙手をお願いいたします。
 西野委員、お願いいたします。
○西野委員 御説明いただきましてありがとうございます。
 今日の配付資料のスライド2の「カルテ転記について」から1点、およびスライド4の「病院からの第三者提供について」からいくつか質問と意見を述べさせていただきます。
 1つはカルテ転記についてです。これは実現可能性について引き続き検討するということでしたが、カルテ転記を認めていただきたいというのが従来より部会の意見として出ています。生存確認情報と診療録で保管している他の情報が一体となって保持されることによって、研究の利活用も推進されることがあるかと思いますので、ぜひ転記を認める方向で進めていただきたいということがございます。その上で、実現可能性について引き続き検討するというお話でしたけれども、どれくらいの期間で結論を出すのかということについて、可能な範囲で御回答いただければというのがカルテ転記についての質問でございます。
 続きまして、スライドの4枚目、病院からの第三者提供につきましては、特に具体的な加工方法の案について、もう少し詳細な検討が必要かと考えています。1つは「がんによる死亡」か「その他の原因による死亡」かということで書かれていますけれども、「がんによる死亡」とした場合には、がんの患者さんで複数の独立したがんになっている方がいらっしゃる場合に、どちらのがんで亡くなったかという区別がつかないということがございます。研究においては、複数のがんになった場合に、どのがんで亡くなったかという情報が非常に重要だということがございますので、「当該がんによる死亡」というような形にするのが望ましいのではないかと考えています。
 あとは、「その他の原因による死亡」ということでまとめられているものについても、もし可能であれば、例えば循環器疾患とか自殺というように、がん、あるいはがんの治療によってリスクが高まるような疾患について、研究ではもう少し詳細な区分で検討ができればということがありますので、可能であれば詳細な区分による提供を検討いただきたいです。
 あと、最終生存確認日及び死亡日について、スライドにある最終生存確認日及び死亡日の復元が困難となるよう提供先が診断日の「日」等の情報を削除するということについては、削除を求められる側にとっては、その情報を他の用途でも利用していますので、提供を受ける際の障害になる可能性があるかと考えます。その点につきましても、例えば最終生存確認日あるいは死亡日までの期間の提供方法と加工方法をセットで考えて、診断日の「日」等を削除しなくてもいいような形で提供できる方法を検討いただきたいと考えています。
 私からの意見は以上です。
○中山部会長 西野委員、どうもありがとうございました。転記についてと加工について、何点か御質問いただきました。
 まず、転記について、厚労省のほうからいかがでしょうか。
○石川専門官 西野委員、御指摘いただきまして、ありがとうございます。
 まず、カルテへの転記につきまして、認めていただきたいといったニーズがあることについて、承知いたしました。事務局でも、これまで部会の委員の方々から御指摘いただいて、そういったことができるかどうかは検討してきたところでございます。結論としては、すみません、現状の電子カルテのシステムといった状況を踏まえながらも、引き続き検討していこうと思っておりますけれども、その中で20条の目的、がんに係る調査研究のためとか、そういったことを踏まえて、カルテへの転記が可能であるかについては、引き続き検討させていただければと思います。
 どのくらいの期間で結論を出すかという御指摘もございましたけれども、すみません、現時点で明確な時期、この時期には結論が出るというふうに申し上げることは今の時点では難しいのですけれども、結論が出次第、お伝えさせていただけたらと思います。
 以上でございます。
○中山部会長 ありがとうございました。
 それでは、加工について、事務局からお願いいたします。
○石川専門官 ありがとうございます。
 第三者提供の加工につきましても、諸々御意見いただきまして、ありがとうございました。
 まず、死因の加工方法のところですけれども、事務局のほうで、これまでの御議論から、病院外で行われる研究における有用性や患者メリットについて承知しており、委員の方々からの御指摘も受け止めた上で検討してきたところでございます。情報の保護とのバランスを取る観点から、今回は、「がんによる死亡」、又は「その他の原因による死亡」のいずれかといった形がよいのではないかということでお示ししたものでございました。御意見を踏まえまして、そういった情報の保護は引き続き鑑みた上で、さらに細かく分けられるかについては、検討させていただければと思います。
 この点につきましては、今回、せっかくの機会ですので、ほかの委員の方々からも、さらにこうしたほうがよいといった御指摘がございましたら、いただければ幸いでございます。
 また、「その他の原因による死亡」についても、さらに詳しく分けることができないかといった御指摘ございましたけれども、こちらも循環器とか自殺とか、いろいろあるということは承知しているところで、情報の保護といったところに鑑みて、どこまで詳しくできるかということを考えた上で、現状としては「その他の原因による死亡」の一つに置換すればよいのではないかと考えたところでございました。御指摘を踏まえて、さらに細かくできるか、先ほどの「がんによる死亡」のところとも併せて、今後検討できればと思っております。
 以上でございます。
○中山部会長 ありがとうございます。今の死因の扱いのことについては、ほかの委員からも御質問、御提案があれば、またお受けしたいと思いますので、挙手いただければと思います。
 西野委員、現時点でいかがでしょうか。
○西野委員 これはおそらく、今後マニュアルの改訂を検討する中で詳細な加工方法を検討するというふうに理解していますけれども、その中で検討いただけるという理解でよろしいかを確認させていただければと思います。
○中山部会長 この点、事務局、いかがでしょうか。
○石川専門官 ありがとうございます。
 次の資料3のところでも説明させていただく予定でございますけれども、今年度末にマニュアル改訂と考えておりますので、その検討の中で、こういったところも併せて議論していければと思っております。
 以上でございます。
○中山部会長 ありがとうございました。
 それでは、東委員、次は村本委員の順番でお願いいたします。東委員、お願いいたします。
○東委員 ありがとうございます。詳細な説明、ありがたいです。
 私からは3点あるのですけれども、第1点目として、今、スライドで出ております4ページ目の具体的な加工方法、第三者提供してよい条件となる加工方法というところですが、最終生存確認日又は死亡日を日数に変換して提供というふうに書いてありますけれども、念のため確認なのですが、いつからの日数にしたのかという情報は、提供または共有しても構わないという前提で日数を提供するということでよろしいでしょうか。つまり、提供された日数が、診断日からなのか、または治療開始日なのかとか、そういった起点を提供するということで日数を提供する。その前提でよろしいですか。そこだけ。
○中山部会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局、お願いいたします。
○石川専門官 東先生、ありがとうございます。
 御指摘につきましては、おっしゃるとおりと思います。診断日、または起点というところは初回治療開始日とか、幾つか考えられるかと思うのですけれども、そういったところから死亡までの日数ということで今回考えているところでございます。
○東委員 起点はいつなのかは教えてもらえるということですね。
○石川専門官 はい。
○東委員 当たり前過ぎる質問で、ちょっと戸惑われたのかもしれないと思うのですが、当たり前のことも一応言っておきたいと思って、後で転ばないように質問させていただきました。
 そこを確認できたので、よいのですけれども、死因については、私は特に強い意見はなくて、ただ、もっと情報があったほうがいいとか、これはミニマムにしたほうがいいという意見も様々あると思うのですけれども、できるだけ早く死亡までの期間、日数というものを提供できるようになったほうがいいと思いますので、それが死因のことをどこまでというのを検討するがために遅くなるというのは、避けていただければと考えております。それが2点目の意見です。
 もう一点、カルテ転記についてですが、私自身、カルテ転記についてもそんなに強い意見はないのです。ただ、第三者提供が日数で可能になるということでしたら、最低限、カルテ転記についても、つまり、亡くなっているのかどうなのかということと日数については、転記しても構わないのではないかと思います。これもちょっと時間がかかる検討になるのではないかという懸念をしております。時間がかかるのだったら、日数だけだったら転記してもいいと、第三者提供及び転記も構わないというふうにしてもいいのかなと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
○中山部会長 東委員、ありがとうございます。
 この点について、事務局、いかがでしょうか。御意見、御提案をいただいたということになりますかね。事務局からありますか。
○石川専門官 ありがとうございます。
 早く第三者提供を可能にできるといったところが重要であるといったお話、理解いたしました。死因、カルテ転記に関しては、いただいた御意見等を踏まえながら、引き続き検討していければと思います。
 以上でございます。
○中山部会長 ありがとうございました。
 それでは、村本委員、お願いいたします。
○村本委員 ありがとうございます。
 私からは、スライド5枚目に関して1点、それから、スライド4枚目の具体的な加工方法の死因について1点申し上げます。
 まず、スライド5枚目に関し、下方に「今後、患者・国民にとっての意義について周知に努めていくことが重要」という一文を入れていただき、ありがとうございます。患者・国民にとっても正確な予後情報に基づく多施設共同研究や学会等での大規模研究が進展し、その成果が還元されることは大いに期待したいところであり、また現在のように予後追跡を行うことは、特に予後がよろしくない患者・家族にとっては、心理的に大きな負担になるものであり、この負担なしで研究をしていただけるのであれば、患者・家族の気持ちにも沿ったものだと考えます。
 一方で、こうした多施設共同等の大規模研究やがん登録そのものの意義に関しては、患者・国民の理解が大前提であり、このスライドにあるように、ぜひ周知に努めながら進めていただきたいと思います。
 以上が1点目で、2点目は、先ほど西野委員からも御意見があり、事務局からも御回答いただいているスライド4枚目の具体的な加工方法の死因についてです。がんを罹患後、患者がどのように生きていったか、あるいはどのように亡くなられたかは、患者にとってのサバイバーシップあるいはサバイバーシップ研究の上でも大変重要なことだと考えております。
 その点で、現在のがんでは、「がんによる死亡」又は「その他の原因による死亡」となっておりますが、先ほど西野委員からの御指摘にもありましたように、がんといっても、当該がんなのか、それ以外なのか、あるいはその他の原因といっても、循環器、その他の疾病なのか、自殺なのか、あるいはそれ以外の要因なのかといったところを、ぜひもう少し詳しく見ていただき、患者・国民に成果還元できるような研究の進展に期待して、サバイバーシップ研究の還元につながっていただければと思っております。
 私からは以上です。
○中山部会長 村本委員、どうもありがとうございました。
 それでは、事務局、いかがでしょうか。お願いいたします。
○石川専門官 ありがとうございます。
 まず、周知に関しまして御意見いただきまして、ありがとうございます。こちらとしても重要な点だと思っておりますので、今後、運用できるとなったときに併せて、こちらもちゃんと周知に努められるように考えていこうと思います。
 死因の加工方法につきましても、ありがとうございます。先ほどと同様ですが、引き続き、御意見を踏まえて、どれぐらい細かくできるかは検討できればと思います。
 以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、黒瀨委員、藤田委員の順番でお願いいたします。黒瀨委員、お願いいたします。
○黒瀨委員 
 詳細な御説明、ありがとうございました。
 私のほうからも、大体重複する話でございますけれども、まず、5ページ目に書かれているように、今回の検討の最大の目的は、詳細な医療情報と正確な予後情報を併せた大規模な研究を行うことによって医療の質が向上し、最終的には患者・国民がよりよいがん医療や支援を受けられる。この目的に対して、我々はそのデータをどう取り扱っていくかという視点を大切にしたいと思っています。
 その中で、例えばデータベースとの関係なのですけれども、他のデータベースで得られる情報との整合性、標準型電子カルテ情報が共有されるようになったとき、このがん登録との関係というのがちゃんと整合性が取れているかということも必要だと思います。そのためには、病名等も、「がんによる死亡」あるいは「その他の原因による死亡」の2点だけということではなく、がんの直接死因により近いような状況だったのか、あるいは全く本当に関係ない情報でも、重要な死因であったのかといったところがはっきりと分かるような情報にしていただかないと、これからの医療の質の向上というものを鑑みた場合には、この2点だけというのは厳しいのかなと思います。この点をマニュアルでしっかりと明記していただくことが重要であろうと思います。
 また、先ほど来出ていますけれども、カルテ転記につきましても、実現可能性について引き続き検討するということを明記していただいておりますけれども、実際にどのような条件なら認めるのかとか、あるいはいつ頃までにこういったことをしっかりと明示することを目指すのかといったことも含めて、より詳細に我々として情報を共有していく必要があると思います。
 最後に1点、5ページ目の一番下に赤字で書いていただいている点について、患者・国民にとっての意義について周知に努めていく。これが本当に重要だと思います。そのために具体的な周知、本当に必要とされる方に周知されることができるのかという具体的なプランをぜひ明示していただきたいと思います。
 以上でございます。
○中山部会長 黒瀨委員、どうもありがとうございました。
 それでは、事務局、お願いいたします。
○石川専門官 ありがとうございます。
 5ページ目の国民への還元、最後おっしゃっていただいた周知については、引き続き重要であるということで、対応できるようにしていこうと考えております。
 カルテへの転記につきましても、どういった条件なら認めることができるかは、引き続き検討した結果、結論を出す際には、そういったところも明示しようというふうに考えております。こちらも情報の保護、現状の第30条から第34条の規定、電子カルテ等の現状のシステムの状況等も踏まえながら、可能な範囲はあるかどうか、どのような条件なら認めることができるかは、引き続き検討できればと思っております。
 ほかのDBとの関連、整合性といったところ、そして死因の分け方につきましても、御意見ありがとうございます。それらが重要であるとの御指摘を踏まえて、こちらも情報の保護とのバランスといったところを踏まえながら、どこまでできるかを検討できればと思います。
 以上です。
○黒瀨委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
○中山部会長 ありがとうございました。
 それでは、藤田委員、お願いいたします。
○藤田委員 御説明ありがとうございました。
 私もほかの委員の方々と同じく、死因については、患者様と国民の皆様が一番知りたい、どのがんによって死亡したかという情報と、もし治療するとして、その治療に関連した副作用に関する死因があるなら、その情報も知りたいと思いますので、できれば最低限、当該がんによる死亡というのと、副作用に関連するような死因を認めてくださるなら、そちらのほうがありがたいと思います。
 あとはカルテ転記なのですけれども、電子カルテの3原則だと、有効期限が過ぎた提供情報を消すというのができなくて非表示にするだけなので、今のところ、このルールのままでは提供された情報の内容はカルテへ転記はできないと思うのですが、今のルールでも、カルテに「がん登録情報を参照」というふうに記載するのはオーケーなのでしょうか。こちらが知りたいです。
○中山部会長 ありがとうございます。
 この点、事務局、いかがでしょうか。
○石川専門官 ありがとうございます。
 先ほどおっしゃっていただいたことについては、現状として、診療録に記載しないといけない項目というのは医師法で規定されておりますけれども、それ以外のところにつきましては、何らか制限があるわけではないので、今おっしゃっていただいたことを書くことは妨げられてはいないのかなと思います。
○藤田委員 ありがとうございます。
○中山部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、坂元委員、お願いいたします。
○坂元委員 御説明、どうもありがとうございました。
 カルテ転記に関して、ちょっとしつこいようですが、例えば医師法の24条で、医師は診療を行った際、その内容を速やかにカルテに記載することということで、この診療というのは、要するに幅広く取る場合と狭い場合がいろいろあって、患者さんの情報を知り得て、それが診療とか患者さんの予後に必要なものは、医師として速やかに記録すべきだと思います。そうすると、がん登録情報でこの患者さんが亡くなったというのは、患者さんの状態を把握する上で、1つの診療行為に当たるのではないかと思います。そうすると、それをカルテに速やかに転記するというのは、医師法から考えるとそんなに法的に外れた行為とは思えないのではないかということです。
 それから、今、電子カルテなので、その保管というのが以前の紙カルテとは大分違うのですが、死亡した場合、通常、これは最終診療という形で、保管義務は5年ということです。この方が亡くなっているということが分かっていながら、そういう情報をいつまでも半永久的に保管し続けるというのは、個人情報の観点からどうなのかと思います。こういう観点からも、カルテ転記というのはしっかり考え直す必要があるのではないかというふうに思っているところでございます。
 以上です。
○中山部会長 坂元委員、ありがとうございました。
 事務局、いかがでしょうか。お願いいたします。
○石川専門官 ありがとうございます。
 カルテへの転記につきまして、患者さんの情報を把握することにも使いたいとのお話がございましたけれども、カルテの情報をどのように利用するかは、最終的にはお医者さんの判断があるかと思いますが、今回、我々のほうで考えているものは、20条に基づくものということで、それにはがんに係る調査研究のためという目的がございますので、そういった目的の下で、カルテへの転記を可能にできるか、その検討に当たっては、現状のシステム等の状況をいろいろ見ていく必要があるかと思いますけれども、これがどこまでできるかは、今後また検討できればと思っております。
 以上です。
○中山部会長 ありがとうございます。なかなか難しい問題ですけれども、議論をきちんとしていければと思います。
 では、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 産経新聞 佐藤です。ありがとうございます。
 制度の大きな設計の変更はせず、一方で、研究を進めていくために、ぎりぎりどこまで情報を共有できるかということで、何とか解決策を見出そうとしているものと理解しています。そのために、研究を進める場合には、がん登録の情報の精度を落とすことで共有して対応していこうというものとの理解です。考え方自体には賛成で、現状のところ、こうすることで少しでも研究を進めることに意味があると思います。
 一方で、そのためにどこまで情報を共有できるのかということと、がん登録法の及ぶ範囲、つまり、がん登録法で得た情報ががん登録法の及ばないところへ行かないためには、どこまで情報の精度を落とすべきなのかというところで、ぎりぎりのせめぎ合いといいますか、接点を探ることが難しいところなのだと思います。転帰、予後等の情報なしで研究が進まないのは明らかであり、これからの医療の発展のために研究を進めていただくことは不可欠で、今回の対応は当面の対応であると認識しています。
 患者・国民に今回、情報による研究の成果が還元されることで理解を進めていくということが明記されているわけですけれども、そのことを進めるとともに、制度そのものを考え直すことも考えなければいけないのではないか。こうした現状でできるぎりぎりを探るとともに、制度そのものを考え直すことも一度考える必要があるのではないかと思います。
 また、それに当たっては、予後情報とか転帰の情報が必要なのはがんの研究に限りません。全国医療情報プラットフォームがこちらの外の世界で進んでいるところで、死亡診断書の情報をどのように使えるようにしていくのか、というような話もあるはずです。そのプロセスと足並みをそろえて、国民に研究の成果が還元されるような制度設計を、厚生労働省全体で行っていただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○中山部会長 佐藤委員、どうもありがとうございました。
 それでは、事務局、いかがでしょうか。お願いいたします。
○石川専門官 ありがとうございます。
 御指摘いただいたとおり、現行法の枠組み、法第20条の規定を維持した上で、どの程度運用で見直して、第三者提供などができるようにしていくかをこれまで考えてきたところでございます。おっしゃるとおり、現行のがん登録法の中で、ぎりぎり、どこまでできるかをまさに今、議論しているところでございますけれども、それは引き続き、今回いただいた御指摘を踏まえて議論しながら、研究者の方々に20条の情報を、先ほどお示ししているような案で、さらに検討は進めますが、加工することによって、利用していただいて、研究をさらに進められるようにできればと、まずは考えております。
 その中で、制度そのものを見直すといった御指摘もございましたけれども、それにつきましては、まずは現行法でできることを我々のほうでもぎりぎり見極めた上で、第三者提供を進めることで、研究者の方々が利用できるようになった後の状況を見て、その上でさらに足りないところがあれば、現行の制度を見直すといったところも考え得るかと思います。ただ、その場合には、必要性とか現状の課題みたいなところを改めて考えるとか、一定程度、高いハードルはあるかと思いますので、まずは今回、現行法の中で運用を見直して、できる限りニーズに応えられるようにできればと考えております。
 その中で、最後に御指摘いただいた全国医療情報プラットフォームの中での全体の動きは、こちらとしてもそれに鑑みながら進められればと思います。全国医療情報プラットフォームといっても、1次利用、2次利用とか、いろいろと内容があるわけでございますけれども、今回、我々のほうで考えている2次利用に関しては、ほかのデータベースの検討状況等も必要に応じて見ていきながら、政府全体と足並みをそろえる形で検討を進められればと思います。
 以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。まさに制度内の議論と並行して、制度を超えた新しい制度を見据えた議論も、こういった会議体では必要なことだと思いますので、佐藤委員、どうもありがとうございました。
 それでは、いかがでしょうか。いろいろな視点からいただきました。
 落合参考人から御意見をいただけるということを伺っているのですけれども、落合参考人は今、参加されていらっしゃいますでしょうか。まだ御参加されていらっしゃらないですかね。分かりました。それでは、もし後でお時間があれば、また追加で御発言いただくということで、どうもありがとうございました。非常に多面的に様々な重要な御指摘をいただいたかと思います。
 がん登録部会として意見をまとめますと、法第20条の提供情報の利用目的については、病院内で行われるがんに係る研究は、生存確認情報の利用を引き続き認めた上で、その旨を周知していくこととしていただきたいと思います。
 カルテへの転記につきましては、特に法32条の規定による保有期間制限への具体的な対応方法について、病院内における関連システムの整備状況等について把握を行った上で、実現可能性について引き続き検討していただきたいと思います。
 また、病院からの第三者提供については、一定の加工を施すことにより、多施設共同研究における他施設への提供や、学会のデータベース等への提供を可能することとし、その加工方法については、委員からの御指摘を踏まえて検討させていただきながら、運用開始に向けてマニュアルの整備を検討していただきたいと思います。以上のような整理、方向性でよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。厚労省も宿題が多くて大変ですけれども、ぜひ前向きに取り組んでいっていただきたいと思います。
 それでは、3つ目の議題「「全国がん登録 情報の提供マニュアル」の改訂について」に入りたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○石川専門官 事務局でございます。
 資料3「全国がん登録 情報の提供マニュアル」の改訂について御説明いたします。
 2ページ目を御覧ください。これまでのがん登録部会において、運用の見直しにより対応することとした事項については、「全国がん登録 情報の提供マニュアル」の改訂により対応することを考えております。
 こちらのマニュアルは、令和6年度末を目途に改訂を行うことを考えており、その改訂事項を枠内に記載しております。
 まず、第27回から第29回までのがん登録部会において検討してきた事項として、法第20条提供情報の登録に係る方針や、国外提供の運用ルールの明確化がございます。
 次に、これまでの情報提供や審議の状況を踏まえ、利用者の範囲の明確化、「利用者用」と「提供者用」の分冊化、申出文書の利便性向上についても、今回、併せて反映することを考えております。
 3ページ目を御覧ください。令和6年度末を目途に行う改訂の方針案をお示ししております。
 まず、法第20条提供情報の取扱いに係る方針の明確化については、これまでの御議論を踏まえ、第三者提供を可能とする場合の加工方法といったような内容を明記してはいかがかと考えております。
 2点目に、国外提供に係る運用ルールの明確化については、前回の部会でお示しした運用ルールを明記してはいかがかと考えております。
 3点目に、利用者の範囲の明確化については、中間とりまとめにおいて、利用者の範囲及びその基準が不明確との課題が挙げられておりました。これを踏まえ、今回、広く一般国民の利益となることが期待できる場合など、民間事業者における情報の利用が可能であることが分かるよう、民間事業者を含めた利用者の範囲などを明記してはいかがかと考えております。
 4点目に、「利用者用」と「提供者用」の分冊化については、現行のマニュアルに利用者向けと提供者向けの記載が混在している状況を踏まえ、今回、マニュアルを2冊に分け、それぞれ利用者向け、提供者向けの内容を記載することとしてはいかがかと考えております。
 最後に、申出文書の利便性向上については、申出文書に係る記載が一部分かりにくい。各種様式において、事務負担の増加につながっている部分があるとの状況を踏まえ、記載や様式を分かりやすく、使いやすいものにしてはいかがかと考えております。
 4ページ、5ページは、御参考として、前回のがん登録部会の資料のうち、国外提供のルールに関係する部分の抜粋でございます。
 事務局からは以上です。
○中山部会長 ありがとうございました。
 ただいまの説明にありました資料3、提供マニュアルの改訂について、委員の皆様から御意見、御質問を受けたいと思います。いかがでしょうか。お願いいたします。こちらのほうについては、この方向でよろしいでしょうか。大きな疑義がなければ、この方向で。
 村本委員、お願いいたします。
○村本委員 ありがとうございます。
 内容に異論はないのですが、利用者用と提供者用の分冊化に関し、素朴な疑問ですが、マニュアルのタイトルそのものは提供マニュアルのままなのでしょうか。国民・患者に成果を還元すべく利用を進めていただきたいという観点で、タイトルそのものも利用者が自分事として捉えやすいよう、「情報の提供・利用マニュアル(利用者用・提供者用)」とするか、「情報の提供マニュアル」・「情報の利用マニュアル」と分けるかしたほうがよいように思いました。素朴な疑問で恐縮ですが、よろしくお願いします。
○中山部会長 村本委員、どうもありがとうございます。
 この点について、いかがでしょうか。事務局、お願いします。
○石川専門官 ありがとうございます。
 これまでのマニュアルにつきましては、どちらかというと提供する側のことについて書いている部分が多かったのかなと思いましたので、今後、分冊化するに当たっては、そういったタイトルにも留意して、これから見直しできればと思います。
○中山部会長 ありがとうございます。タイトルが変わるというのは大きなメッセージになると思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。村本委員、どうもありがとうございました。
 それでは、黒瀨委員、お願いいたします。
○黒瀨委員 ありがとうございます。
 1点、基本的な話をお伺いします。4ページ目も5ページ目も、共同で責任を負うと書かれているのですけれども、責任というのは、例えば具体的な罰則みたいなものが規定されているのかどうかということと、この提供自体が本当に不適切であったかどうかということを判断するのは、どこがどう判断して、どのように対応するのか。それによって、どういう罰則があるのかないのか、その辺りを教えていただければと思います。いかがでしょうか。
○中山部会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局、お願いいたします。
○石川専門官 ありがとうございます。
 こちら、前回の御議論を踏まえて、今回、参考としてつけさせていただきましたが、共同で責任を負う場合、罰則があるかといいますと、ここに直接ひもづく罰則というのが規定されているわけではないところでございます。そちらにいかに実効性を担保するか、本当に不適切でないのかをどう担保するかは、まさにこれから一定程度、マニュアルでも何らか示せるかといったところは考えられればと思います。どういった形で確認するか、どこまでできるかは、これから詳しく検討できればと思います。
○黒瀨委員 ありがとうございます。
 方向性に関しては、私も全く異存はございません。今まで提供不可だったものを加味した場合に、そういったルールづくりというのは本当に慎重に、丁寧に行うべきであろうと感じますので、その点、特に日本の国民の皆さんの不利益にならないように、しっかりしたルールづくりをお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○中山部会長 黒瀨委員、重要な御指摘、どうもありがとうございました。
 それでは、ほか、御意見、御質問、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、よろしければ、本部会としての意見をまとめますと、「全国がん登録 情報提供マニュアル」の改訂につきましては、法第20条提供情報の取扱いに係る方針、国外提供に係る運用のルール、利用者の範囲について明確化していただき、併せてマニュアルの構成及び申出文書の利便性の向上のために必要な見直しを進めていただきたいと思います。そのような方針でよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。それでは、事務局のほうは御対応をぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。次の議題は非公開となりますので、事務局、対応をお願いいたします。
○石川専門官 それでは、これより非公開の議事となりますので、YouTubeを切断させていただきます。

照会先

健康・生活衛生局 がん・疾病対策課

代表03-5253-1111(内線 8306)