2024年5月23日 薬事審議会 要指導・一般用医薬品部会 議事録
日時
令和6年5月23日(木)15:00~
出席者
出席委員(17名)五十音順
他、参考人1名出席
欠席委員(2名)五十音順
多賀谷悦子
長谷川洋一
行政機関出席者
城克文(医薬局長)
吉田易範(大臣官房審議官)
中井清人(医薬局医薬品審査管理課長)
野村由美子(医薬局医薬安全対策課長) 他
- 市瀬浩志
- 稲葉雅章
- 岩月進
- ◎奥田晴宏
- 川名三知代
- 神田祥一郎
- 木下玲子
- 齋藤嘉朗
- 酒井愛子
- 嶋澤るみ子
- ○新保卓郎
- 宗林さおり
- 多田弥生
- 立石敬介
- 西森康夫
- 堀里子
- 宮川政昭
他、参考人1名出席
欠席委員(2名)五十音順
多賀谷悦子
長谷川洋一
行政機関出席者
城克文(医薬局長)
吉田易範(大臣官房審議官)
中井清人(医薬局医薬品審査管理課長)
野村由美子(医薬局医薬安全対策課長) 他
議事
○医薬品審査管理課長 それでは、定刻になりましたので「薬事審議会要指導・一般用医薬品部会」を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては大変お忙しい中、御出席を賜わりまして、どうもありがとうございます。本日の委員の出欠状況についてですが、多賀谷委員、長谷川委員から御欠席との御連絡を頂いております。現時点で委員19名のうち、17名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。
また、本日は審議事項、議題1の参考人として佐々木香る先生に御出席を頂いております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
部会を開始する前に、事務局より、所属委員の薬事審議会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告させていただきます。薬事審議会規程第11条においては『委員、臨事委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない』と規定されております。今回、全ての委員の皆様より、薬事審議会規程第11条に適合している旨を御報告いただいておりますので、その旨を御報告させていただきます。
委員の先生方におかれましては、会議開催の都度、書面の御提出を頂いており御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜わりますようどうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは奥田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○奥田部会長 それでは、よろしくお願いします。まず、事務局から今日の審議の進行方法について御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。Webでの審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず、システム上で挙手をお願いいたします。部会長から順に発言者を御指名いただきますので、指名されましたらミュートを切った上で、御自身のお名前をおっしゃっていただき、その後、御発言を頂きますよう、お願いいたします。なお、発言者が多いときには発言されたい委員がメッセージに御記入を頂くことで、部会長より発言者を順番に御指名いただきます。適宜、メッセージ機能も御利用いただければと思います。
また、システムの動作不良などがありましたら会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。事務局からは以上です。
○奥田部会長 ただいまの事務局の御説明はよろしいでしょうか。御不明な点などございませんか。
それでは、本日の審議に入ります。まずは事務局から資料の確認をお願いします。
○事務局 事務局です。それでは、資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りをさせていただいた資料のうち、資料1を主に使いますので、お手元に御用意をお願いいたします。このほか資料2として、「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議の報告について」、資料3として、「SMOによるGCP違反について」、資料4として、「令和5年度緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業の報告について」、資料5として、「競合品目・競合企業リスト」、資料6として、「専門員リスト」を、それぞれ事前にメールにてお送りをさせていただいております。
続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御説明させていただきます。資料5を御覧ください。競合品目・競合企業及びその選定理由について御説明をさせていただきます。議題1の「マイティアルミファイ」は、ブリモニジン酒石酸塩を含有する眼科用の薬です。効果・効能は「結膜充血」であり、同様の効能・効果を有する製剤として、資料に掲げております品目を競合品目として選定しております。以上です。
○奥田部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの説明について御意見はございませんでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては皆さんの了解を得たものといたします。
それでは、各委員及び参考人からの申出状況について報告をお願いします。
○事務局 事務局です。各委員及び参考人からの申出状況について御報告をさせていただきます。議題1、マイティアルミファイについては退室員はなし、議決に参加できない委員はなし。また、佐々木参考人は審議への出席は可、意見を述べることは可。以上です。
○奥田部会長 ただいまの事務局の説明について御意見はございますでしょうか。よろしければ、皆さんに御確認を頂いたものとして、議題に入ります。本日は審議事項が1議題、その他の事項が3議題となっています。
それでは、審議事項に移ります。議題の1、マイティアルミファイについてですが、まず、機構からこの品目の概要を御説明いただいた上で、参考人からの御意見を頂き、その後の質疑応答としたいと思います。機構の方、概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から資料1、マイティアルミファイについて御説明します。Web会議にて部会を開催する関係上、製剤サンプルの写真は事前に電子媒体でお送りしたものを御確認ください。
それでは、審査報告書を御覧ください。本剤は有効成分として、100mL中に0.01gのブリモニジン酒石酸塩を含有する点眼剤です。ブリモニジン酒石酸塩は医療用医薬品として緑内障、高眼圧症には承認されているものの、本薬を含有する医療用医薬品、要指導医薬品又は一般用医薬品のいずれにおいても、「結膜充血」の効能・効果では承認されておらず、本薬における初めての効能・効果であることから、申請区分(3)-マル1新効能医薬品として本剤は申請されています。申請者は、「千寿製薬株式会社」です。
2ページを御覧ください。効能・効果は、「結膜充血」であり、用法・用量は「年齢: 成人(15歳以上) 1回量:1滴を点眼する。 1日の点眼回数:4回まで 点眼間隔は4時間以上あけてください。」です。
3ページ、イ項に示しましたとおり、医療用の本薬の点眼剤は単剤としてアイファガン点眼液0.1%が、配合剤としてアイベータ配合点眼液、アイラミド配合懸濁性点眼液及びグラアルファ配合点眼液が、それぞれ緑内障、高眼圧症を効能・効果として承認されています。アイファガン点眼液0.1%については、令和2年に再審査結果が通知されています。4ページにお示しのとおり、申請者は本剤はアドレナリンα2受容体作動薬を低濃度で含有することから、既存のα1受容体作動薬で認められるリバウンドやタキフィラキシーが起こりにくいという特徴を有すると述べています。
外国での使用状況について、本薬を含有するOTC点眼液は結膜充血の効能・効果にて令和5年6月時点で米国、韓国、アラブ首長国連邦、カナダなどの4か国において販売されています。
以降は臨床試験成績、適正使用に関する取組を中心に御説明します。7ページのト項を御覧ください。臨床試験に関する資料として7ページ、表2に示す国内臨床試験2試験の成績が提出されました。そのうち検証試験である国内第III相試験について、説明します。8ページ上段、ト-2を御覧ください。眼疾患に起因しない結膜充血を有する15歳以上の日本人を対象に、本剤の有効性及び安全性を評価することを目的とした多施設共同無作為化二重遮蔽並行群間比較試験が実施されました。
有効性について、8ページ、表4を御覧ください。主要評価項目とされた治験薬投与開始日の治験薬投与5~240分後の結膜充血スコアの治験薬投与前からの変化量は、本剤群で-0.884、プラセボ群で-0.120であり、プラセボ群に対する本剤群の統計学的な有意な改善が認められました。
安全性について、8ページ下段から9ページ上段を御覧ください。本剤群で有害事象の発現は7.3%、副作用は109例中1例のみで、有害事象はいずれも軽度でした。中止に至った有害事象は4例認められましたが、いずれも本剤との因果関係は否定されています。
続いて、審査の概略を御説明します。審査上の論点を中心に説明します。10ページ中段から11ページ上段、「有効性について」、「安全性について」及び「効能・効果について」を御覧ください。国内第II相試験及び第III相試験の結果から、機構は有効性及び本剤の効能・効果を結膜充血とすることに特段の問題はないと考えています。安全性については、提出された資料から懸念が認められていないと考えていますが、本剤の安全性の評価は国内第II相試験及び第III相試験に限られていることから、製造販売後調査において新たな情報が得られた場合には追加の注意喚起を行う等、必要に応じて適切な措置を講じる必要があると考えています。
11ページ中段、「小児の使用について」を御覧ください。申請者は○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○を根拠として、申請時の添付文書案の「してはいけないこと」に「○歳未満の小児」と記載していました。申請者は○歳以上の小児における本剤の使用について、有効性については○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○こと、安全性については○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○等を説明しています。
この点について、機構は国内第II相試験及び第III相試験では15歳未満の小児は組み入れられておらず、小児における本剤の有効性及び安全性の評価がなされていないこと等を踏まえると、○歳以上の小児を本剤の使用対象とする根拠は十分ではないと考えました。専門協議において、本方針は支持されたことから、本剤の用法・用量には「年齢:成人(15歳以上)」を記載し、添付文書の「してはいけないこと」において、15歳未満の小児は本剤を使用しないよう注意喚起することとしました。
12ページ、「適正使用について」を御覧ください。本剤の適正使用の方策として、添付文書のほか、購入前に適正な使用者であることを確認するチェックシート、販売店向け情報提供資料、使用者向け情報提供資料が作成されています。
眼科医の下、治療が必要な疾患を除外する目的で必要な注意喚起は、添付文書の「相談すること」に記載しているところですが、それ以外の点で適正使用の観点から議論になりました点、3点を御説明します。
1点目は、リバウンド及びタキフィラキシーに対する注意喚起の記載です。既存のアドレナリン受容体作動薬の充血除去成分では、「過度に使用すると、異常なまぶしさを感じたり、かえって充血を招くことがある」という記載をしているところですが、申請者は本剤においては本薬がアドレナリンα2受容体作動薬であること、及び国内第II相試験及び国内第III相試験の本剤投与完了例において、相当する事象が認められていないことから、この注意喚起は不要であるとしています。
この点について、機構は既存の充血除去成分との直接比較はないものの、リバウンド及びタキフィラキシーが起こりにくい根拠が作用機序に基づき説明されていること及び国内外の臨床試験においてリバウンド及びタキフィラキシーに相当する事象が認められないことを踏まえ、申請者の対応は差し支えないと判断しました。
2点目は、長期使用等の不適切な使用に対する注意についてです。本剤の専門協議において、専門委員より、長期使用によって結膜濾胞の形成等の副作用を示すことがあり、長期使用に関する対策が必要である旨、美容目的に近い使用者の濫用の可能性を考慮する必要がある旨、結膜下出血時には本剤を使用するべきではなく、医療機関に受診できるように適切に添付文書、販売店及び使用者向け情報提供資料、並びにチェックシートに記載すべき旨の意見が出されました。
機構は、専門委員からの意見を踏まえ、情報提供資料とチェックシートに本剤を漫然と長期使用しないこと及び本剤は眼の疾患に起因しない軽度の眼刺激による充血に使用するものであることを記載すること、添付文書の「相談すること」に「結膜下出血」を記載し、相当する症状がある場合には医師又は薬剤師に相談することを注意喚起するよう、申請者に求めました。このうち長期使用に関する注意喚起及び結膜下出血のある方への注意喚起については、審査報告書確定後の調整の結果、使用者により適切に注意喚起が伝わるよう添付文書の「してはいけないこと」に「結膜下出血のある人」及び「長期連用しないこと」を記載することとしました。具体的には、差換え資料の添付文書案、情報提供案並びにチェックシート案を御覧ください。
3点目は、ブリモニジン酒石酸塩に関するリスク情報についてです。本薬について令和6年4月5日に「角膜混濁」が「使用上の注意の改訂等に繋がりうる注目しているリスク情報」として公表されたことを踏まえ、機構は本剤の対応について説明するよう求め、申請者は医療用医薬品の添付文書の改訂状況も踏まえ、本剤においても角膜混濁に関して適切に対応する方針であると回答していました。審査報告書確定以降も引き続き調整し、改訂案を作成しています。差換え資料として配布している添付文書案を御覧ください。「相談すること」、2.の副作用の可能性がある関係部位、症状の表の下に「まれに下記の重篤な症状が起こることがある。その場合には直ちに医師の診療を受けること。」と記載し、症状の名称として「角膜混濁」、症状として「目のかすみ、物が見えにくい、まぶしい、視力の低下」と記載することを予定しています。
最後に15ページ上段、「総合評価」を御覧ください。以上の検討を行った結果、機構はこちらに示した効能・効果、用法・用量において本剤を承認して差し支えないと判断しました。なお、本剤は新効能医薬品であることから、再審査期間は4年とすることが適当であり、要指導医薬品に該当すると考えます。機構からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ありがとうございました。それでは、審議に移る前に参考人としてお呼びしている佐々木先生から御意見を賜りたいと思います。佐々木先生、よろしくお願いいたします。
○佐々木参考人 今、機構様から十分な説明がなされたことにはなりますが、私からは一般的に眼科医がこの点眼に関して共通して思うところ2点ほど述べさせていただきたいと思います。
まず一つ目は、今、御報告がありましたが副作用としての角膜実質炎の報告が急増していることです。2017年、本邦のMaruyamaらの報告を皮切りに、同様の報告が次々と積み重なってきています。もともと緑内障用点眼としてのブリモニジン酒石酸塩の点眼は、1996年からアメリカにて「開放隅角緑内障又は高眼圧症」の薬として承認されて、本邦では2012年5月から販売されています。この薬剤で起こる角膜実質炎、角膜混濁という臨床所見が一般的に私たち眼科医が薬剤の副作用による角膜炎と認識している所見と非常に異なっています。そのために、この点眼副作用による角膜炎を眼科医が見ても、薬剤によるものだと気づきにくく、今まで見逃されている例がたくさん存在しているのではないかというふうに考えます。
お手元の資料をご覧ください。新しい順番に並べてしまいましたので、ページの6という所を見ていただきますと。
○事務局 先生、すみません。一般の眼科医さんが、なかなかこれは薬剤性ものだというふうに判断ができづらいのではないかというところまでは、こちらでも聞こえていたのですが、通信障害でうまく聞き取れませんでしたので、それ以降、申し訳ないのですが改めてよろしくお願いいたします。
○佐々木参考人 分かりました。本邦から2017年に初めて報告されているブリモニジン酒石酸塩点眼の副作用報告は、この点眼発売後5年経過時点です。そしてその後、報告が増えているということは、今後もこの副作用報告が増加するのではないかという懸念があります。
このブリモニジン酒石酸塩点眼の副作用による角膜実質炎は血管侵入を伴うのですが、まだその発症機序が明らかにはなっていません。また、ある程度混濁が進むと不可逆性であるということが問題だと思っています。今、共有している6番目の論文が先ほどお話した2017年の本邦のMaruyamaらの報告で、Severe Corneal Disorders Developed After Brimonidine Tartrate Ophthalmic Solution Use.というタイトルで報告されています。その後も同様の報告が数編あり、海外からも2023年、そして2024年と報告されています。
Maruyamaらの報告の内容を、共有させていただきます。この左のaという写真の真ん中の角膜の写真を見ていただくと、左から白く濁っています。そこに血管侵入を認めます。これは従来から言われている薬剤副作用による角膜炎という所見と、全く様相が違っています。これらの論文を見て、そう言えばこのような所見を原因不明として見逃したかもしれないと、振り返っている眼科医が多いと思います。重篤化しますと、bの写真のように中央まで混濁が掛かってしまいますので、視力低下を来してしまいます。
配布していただきました資料の1-4-3を共有します。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
以上の理由から、使用者向けの情報シート、添付文書、チェックシート、それに販売店向けの資料に十分その旨の注意喚起が記されてあります。
今回の一般用薬の濃度は副作用報告が問題となっている緑内障の点眼薬に比して、非常に薄い濃度です。そのため、まず当初は問題ないと思います。ただ、使用者が勝手に自己判断で、長期に継続して使用した場合に、緑内障用点眼としてのブリモニジン酒石酸塩の点眼と同様の副作用が出現する可能性は否定できないのではないか思います。セットしていただいているモニタリングが十分活用されるように、また調査に当たっても特にこれまで述べた点に注意して、使用者に情報提供していただくように、販売店様にお伝えいただければ有り難いと思います。
続きまして、2点目は、充血軽減効果による疾患発見の遅れの懸念です。近年、眼科医が大変困っているのは、高校生、大学生のインターネットでのコンタクトレンズ購入が非常に多くなっていることです。また、ドラッグストアなどの販売店でのカラーコンタクトレンズ購入も多くなっています。高校生の健診でも、多くの学生が学校でカラーコンタクトをはめているという状況に出くわします。インターネットやドラッグストアなどでの購入では、高度医療機器であるにもかかわらず、十分な説明を聞く機会を逸しています。そのため、コンタクトレンズのケアが不十分であり、定期検査を怠って発症する重篤な角膜感染症が多く報告されています。学会でもこの情報を全国レベルで収集することが難しい問題ですが、コンタクトレンズの不適切使用によって非常に多くの若者が視力障害に至るような重篤な合併症を起こしている現状です。この合併症の最初の所見は充血であり、私たちにその危険を教えてくれる所見です。「医師への受診を促す」最初の信号だと考えています。
資料を共有しましたとおり、特に多いのが、20代、30代のコンタクトレンズの使用者におけるアカントアメーバ角膜炎です。アカントアメーバ角膜炎は、初期には、この左の写真のように少し赤くなる程度ですが、この時点で今回の審議されている点眼により、充血を抑えてしまうと、3か月ぐらい後にはこの右の写真ような白濁を来して、視力障害を来します。これは非常に難治で1年ぐらいの治療期間が必要です。場合によっては角膜移植に至ることもあります。
このような状況下、コンタクトレンズを不適切に使用している若者が、最初の疾患信号である充血を解消するために、本製剤を使用し続けるということがあると受診の遅れ、診断の遅れとなる可能性があると懸念しています。先ほどのチェックシート、添付文書、使用者向けの情報シート、販売店向けの資料にも3日間使用しても症状がよくならない場合には必ず使用を中止して、眼科医の受診をということを促していただいていますので、この項目を販売時に本品を漫然と流すことがないように、薬剤師や販売店が使用者へ、確実に伝えることを強調して指導いただければ有り難いと思います。以上です。
○奥田部会長 佐々木先生、ありがとうございました。それでは、機構からの概要説明、佐々木先生から今頂いた御意見に関して、御質問、御意見などお願いいたします。川名先生、よろしくお願いします。
○川名委員 もうチェックシートのことでの意見でも大丈夫ですか。
○奥田部会長 はい、結構です。
○川名委員 実際に販売する現場での立場で、チェックシートが分かりづらいことを申し上げます。頂いているチェックシートの上から左側に水色の四角が三つ、右側にグレーの四角が三つ並んでいると思います。右側のグレーの四角の三つ目の所に、【結膜充血に加えて、これらの症状がある場合は目の疾患の可能性がありますので、不調を放置せず、医療機関を受診してください】と書いてあります。これらの症状というのは、左のマル3の中にある「次の症状」の所を指していると考えてよろしいのでしょうか。そうでしたら、その項目だけ分けて書いていただきますと、今、佐々木先生がおっしゃったようなリスクもしっかりと把握した上で、しっかりとしたチェックシートの運用ができるようになるのではないかと思います。だらっと並んでいると意識が分散してしまうと思います。
2点目が、その下の「本品をご使用いただけます」みたいな四角の一番下の方の「使用後」の四角のすぐ下ですが、「本品使用後、乗物または機械類の運転・操作をしないでください」と書いてあるのですが、これはアイファガンの添付文書では、「注意させること」となっています。「しないでください」という記述であれば、大体どの程度の時間又は日数、運転をしないようにお伝えすればいいのか。または運転・操作、機械の操作をする方には販売しない方がよいのかということを知りたいと思いました。その旨は、チェックシートに記載がなくても、販売者向けの資料にでも入れておいていただけると、より適切な販売ができると思って意見させていただきました。以上です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。今頂いたチェックシートの件ですが、2点頂いたわけですが、機構から何かこの件に関してありますか。
○医薬品医療機器総合機構 それに関して回答させていただきます。まず、1点目御指摘いただきましたチェックシートのマル3の範囲の枠囲みの中の「これらの症状」ですが、チェックシートマル3の御指摘いただきましたとおり、チェックシートマル3の次の症状がある、下の10症状、即ち添付文書の相談することの1.(3)に記した症状を指しております。御指摘のとおり、今のチェックシートですと不明瞭のため、症状が明確になるように追記させていただきたいと思います。というのが、1点目に対する回答になります。
もう1点いただきました乗物または機械での運転・操作を禁じる時間の目安についても、確かに御指摘のとおり不明瞭でしたので、使用後、運転等を避ける時間について、申請者に確認の上、情報提供資料を使用者向けとか、販売者向けとかには記載するように求めていきたいと考えております。以上です。
○川名委員 ありがとうございました。
○奥田部会長 酒井先生、お願いします。
○酒井委員 佐々木先生、詳細にありがとうございました。私も2番目の御指摘を頂いた、そもそも結膜充血を呈して、それが信号となって見つかるべき眼疾患の発見が遅れるというのを、一番懸念事項かなと思いました。今のチェックシートと関連して、「3日間使用しても改善がないときは」と書かれていますが、例えば、これが3日間使用して改善して、またやめたらぶり返して、また3日間使用してとなると、やはり疾患の発見が遅れるので、一旦改善しても繰り返すときは、受診を促すみたいな何かコメントが入ったらいいのではないかと思いました。先ほどのアカントアメーバみたいなものでしたら必ずもう一回出てくると思いますので、漫然とそこで良くなったり、悪くなったりを繰り返さないという工夫がもし何かできるようでしたら、機構の方、御検討をお願いできればと思いました。以上です。
○奥田部会長 今のは大事なポイントかと思います。機構の方、改善はしてもまたすぐぶり返すようなケースについての注意ということについて。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。御指摘いただきましてありがとうございます。改善しても症状がぶり返すというのは、確かに今の情報提供資料ですとかにはそのような注意喚起はなされていないと思います。そういったことがありましたら、これはもちろん注意すべき事項になると思いますので、情報提供資料等に反映することを検討させていただきたいと思います。
○酒井委員 よろしくお願いします。
○奥田部会長 齋藤先生、よろしくお願いします。
○齋藤委員 ありがとうございます。国衛研の齋藤と申します。佐々木先生の御説明は本当によく理解できました。ありがとうございました。角膜混濁に関して、機構のJADERを調べてみたのですが、確かに2019年度から急に増えておりまして、この薬剤の特徴的な重篤副作用であると理解いたしました。その上で、今回いただいている販売店向けの情報提供資料に、角膜混濁についてもう少し詳しい説明が数行でもあった方が、薬剤師としても指導を頂きやすいのではないかと考えておりますが、いかがですか。
○奥田部会長 機構の方、この問題は、恐らく、医療用の医薬品の方も今年の4月改訂になったというところで、まだそのような状況だと思いますが、そこも含めてこの問題について情報提供について、今どんな状況にあるのか教えていただけないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。御指摘のとおり、医療用の情報の改訂に合わせて適切に情報提供することについては再度検討させていただきたいと思います。
○齋藤委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課長 医療用側の対応について補足をさせていただきます。現在、ホームページに、想定されるリスクということで、現在検討中というステイタスで情報を公開させていただいております。先ほど、佐々木先生の方から御指摘を頂きました、少し今までとは異なる症状があるということもありまして、少し文言の調整などをさせていただきましたが、近く添付文書の改訂の公開をさせていただきたいと思っておりまして、このような情報も御活用いただければと考えております。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。両方が同時に併行で進んでいるところかと思います。新保先生、よろしくお願いします。
○新保委員 私も佐々木委員がお話された2番目の点について懸念しているところです。薬の一番最初を見て目に入る効能・効果の所で、「結膜充血」と書かれていますので、ここだけ見てしまいますと、どんな結膜充血でも使えるのかと誤解されないのかと感じているところです。
このお薬の非常に大切な概念は、眼疾患によらない結膜充血、眼疾患によらないというところが大切であって、こういった概念をやはり最初の効能・効果の所で伝えられるような形にした方がいいのではないかという気がしています。
ほかの薬剤ですが、例えば、唇の口唇ヘルペスなどでは、効能・効果の所で、「口唇ヘルペスの再発」と書いてあって、その後ろに「過去に医師の診断・治療を受けた方に限る」というような括弧書きで注釈が書かれています。同じような書式を取ることもできるのではないかと感じています。
実際の販売では店頭で薬剤師さんの方から、詳細な説明をしていただけるのだとは思いますが、現実的には説明も余り聞かない方というのは恐らくいらっしゃると思いますし、マニュアルも読まない方もやはりいらっしゃるのではないかと思います。やはり、効能・効果の所で、なにがしか眼疾患によらないという概念を入れておいた方がいいのではないかと思っている次第です。以上です。
○奥田部会長 ありがとうございます。恐らく、この議論があったのではないかと思いますが、機構の方から、これに対して、何かうまい添付文書や情報提供の在り方などについてお考えがありましたらお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 少々お時間を頂きたく存じます。すみません。ミュートにさせていただきます。
○奥田部会長 分かりました。それでは、少し機構の方で御検討いただく時間が必要ということで、多田先生、よろしくお願いします。
○多田委員 少し気になったのが、感染症に伴う結膜充血を見逃す可能性がないかどうかというところですが、流行性角結膜炎に伴う結膜充血で、周囲にそういった結膜炎が既に流行っていて、それで初期症状でこれを使うことによって、その発見を遅らせる恐れがないのかどうかというところに関して、あとはプール熱とか、そういった全身症状を伴うようなもの、あるいは皮疹に伴うようなウイルス感染症に伴う結膜充血とか、そういったものに関して、結膜充血に対してだけこのお薬を使って、それで感染症の拡大を防ぐことが少し遅れてしまうことがないかというところが少し心配です。皮疹とかに関しては、進行というところではあるのですが、例えば、発熱とか咽頭痛、他症状を伴う場合の結膜充血に関しては、対症療法的には使わないようにするという記載は必要ではないかと思ったのですが、いかがですか。
○奥田部会長 ありがとうございます。佐々木先生、よろしくお願いします。
○佐々木参考人 多田先生がおっしゃるとおりです。アデノウイルスによる結膜炎においても、今回審議対象の点眼を充血改善の目的で使用すると、診断が遅れて、本人のみならず、周囲にも感染症が伝播する可能性は十分にあると思います。
ただ、アデノウイルス結膜炎の場合、当該点眼をしていても、急激に悪くなってくると思いますので、比較的早めに眼科を受診するとは思いますが、1日、2日、当該点眼で凌いでいると、点眼時にウイルスを播種して、それをまた周囲にうつしてという可能性も十分にあると思います。
本来ならば、充血して眼科に行くべきところを、薬局に行って、販売店に行って、点眼を購入してしまう。そして、販売員や他の客にも伝播してしまう可能性も否定できないと思います。おっしゃるとおりだと思います。
○多田委員 佐々木先生、ありがとうございます。そういった感染症を疑うような症状があるとか、あるいは周囲にそういった感染症がある方については、その使用について制限を掛けるような書きぶりを入れていただくと安全ではないかと思いました。以上です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。疾患によらない結膜充血というところをどういうふうに表現して、また実際にする患者さんの方々、販売店の方々にそこのところを情報提供していただけるかということかと思いますが。そこについて、今のチェックシートもある程度配慮はあると思いますが、何か重ねてそこについて機構から御検討は今の段階でありますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。おっしゃったとおり、現状の情報提供資料等でも少し記載はありますが、御指摘いただいた件、更なる検討をさせていただきたいと思います。情報提供資料やチェックシートの記載、もう一度見直しさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。ほかに先生方から効能・効果やチェックシートの記載について、よろしいですか。私からも一つ懸念があって、車の運転の話が先ほど委員の先生方から御発言がありましたが、やはり車を運転していると、目が充血しがちなので、ついつい使ってしまうのではないかと思うのです。そういう意味でも、そこも含めてどれぐらいの間運転がいけないのかとか、あと本当に運転をしてはいけないということを、どういうふうに伝えていくかということが重要かなと、その点についても私は思いました。
○医薬品医療機器総合機構 御意見を頂きありがとうございます。御指摘の件は再度機構の方でも検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○奥田部会長 分かりました。一応、御意見がほぼ先生方から頂戴したように思います。大体議論が出尽くしたということであれば、議決に入りたいと思いますが、随分いろいろな議論があって、添付文書やチェックシートについては改訂が必要かと思います。それについては、審査管理課さんの方で処理をお願いできますか?。
○事務局 医薬品審査管理課です。よろしければ、機構と相談して幾つか直した上で、座長の先生方、御意見を頂いた先生方に個別に確認をさせていただきたいと思っております。
○奥田部会長 一度、申請企業にもう一回戻して、その結果を添付文書、チェックリストに反映させて、それについて関係の先生方にもう一回フィードバックして御確認を頂くと。そういった手続を踏むということを踏まえて、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。
それでは、御異議がないようですので、承認を可、再審査期間を4年、要指導医薬品に該当するとして、薬事審議会に報告をさせていただきます。ありがとうございました。
佐々木先生には大変有意義な御意見を頂きました。佐々木先生はここまでの御参加となります。本日は御多用のところ、御出席をいただきましてありがとうございました。
○佐々木参考人 失礼いたします。
○事務局 その他事項の議題1として資料2、医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議の報告について、説明をさせていただきます。
「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」では、欧米諸国での承認条件及び消費者・学会等からの要望等を定期的に把握し、消費者等の多様な主体からの意見を幅広く収集した上で、スイッチOTC化する上での課題点及びその解決策等について、医学・薬学の専門家の他、医療関係者、消費者代表、産業界代表、販売関係者等に御参加をいただき、公開の場で議論をしているものです、会議の結果の案については、パブリックコメントを実施させていただきまして、広く御意見を聞いた上で再度、評価検討会議で議論をし、確定した結果を改めて公表しているところです。
1ページを御覧ください。昨年11月の前回の部会以降、本日までに新たにβ-ガラクトシダーゼ及びオキシブチニン塩酸塩について、会議結果を公表しております。その結果の概要について御報告をさせていただきます。まず、β-ガラクトシダーゼは健康な成人・小児等の乳糖不耐症により生ずる消化不良の改善を効能・効果としてOTC化する際の課題と、その解決策について検討しております。主な課題としては、医療用医薬品と効果・効能が異なることによる用法・用量の設定等が挙げられました。
もう一つのオキシブチニン塩酸塩につきましては、尿意切迫感及びそれに伴う頻尿・尿漏れを効能・効果としてOTC化する際の課題と、その解決策について検討しております。主な課題としては、テープ剤として徐放化することで、抗コリン性の副作用が軽減されることが報告されている一方で、高い確率で貼り付けた部位に、皮膚炎が発現することへの情報提供・注意喚起の必要性等が挙げられております。各成分の検討結果は2ページ以降にありますので、適宜御参照いただければと思います。
今後の評価検討会議の経過につきましても、随時、このような形で当部会で御報告をさせていただきます。また、評価検討会議で整理された課題点や、その対応策を受け、医薬品メーカーが開発を行い、承認申請がなされることになります。その承認の際には当部会において御審議いただくことになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○奥田部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関しまして、御意見・御質問など、ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。これを踏まえて申請があったときに、再度議論することかと思いますが、それでは御確認を、この段階では頂いたものとして議題2に移りたいと思います。
その他事項の議題2について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項、議題2、「SMO(治験施設支援機関)によるGCP違反について」、事務局より説明させていただきます。資料3を御覧ください。経緯ですが、SMO(治験施設支援機関)である株式会社メディファーマ、代表取締役 三原酉木、本社 東京都港区芝5丁目31番19号に関する公益通報を受け、医薬品医療機器法第80条の2第7項及び第80条の5第1項の規定に基づき、令和5年8月29日、30日に無通告の立入検査を東京本社・大阪営業所に対して実施しました。また、同年9月4日に、大阪府内の医療機関に対しても、同様に立入検査を実施しました。立入検査の結果、GCP違反が確認されました。現在、違反の詳細等について精査中であります。
続いて、現時点で確認されている主な違反の概要を説明します。「(1)治験データの改竄」に関してですが、少なくとも7試験において治験薬投与時間や、採血時間等の改竄が確認されています。「(2)呼吸機能検査の不適切な実施」についてですが、呼吸機能検査(スパイロメトリー)について、意図的に吐く息の量を減らすよう誘導し、呼吸機能の悪化を偽装していました。その結果、組入基準に合致しない被験者が治験に組み入られていました。「(3)医師・施設スタッフ・CRCのIDパスワード共有、トレーニング代理受講」については、治験に必要なトレーニング及び電子署名等のIDパスワードを社内で共有していました。さらに、医師・施設スタッフが受講すべきトレーニング等を、メディファーマ社員が代理受講していました。「(4)治験薬保管不備の隠蔽」については、治験薬の保管温度逸脱の隠蔽や、保管温度の記録の改竄が確認されています。
株式会社メディファーマが関与した治験の範囲及び影響についてですが、資料3の2ページに詳細を表でまとめています。医薬品で116試験、医療機器で7試験、合計123試験に株式会社メディファーマが関与していました。うち、承認済みの品目に関係する試験は、医薬品で製造販売後臨床試験も含め34試験、医療機器で2試験、合計36試験となります。
これらを品目数で集計したものが下段になります。承認済みの医薬品23品目、医療機器が2品目、合計25品目に株式会社メディファーマが関与していることが確認されました。本事案に関係する123試験について、現時点で健康被害等の報告はありません。また、実施中の試験については、被験者の意向を確認した上での試験参加中止など、被験者保護を最優先に対応するよう指示済みであります。
試験ごとの違反の有無、及び詳細については精査中でありますが、株式会社メディファーマが関与した症例を除外しても、有効性評価及び安全性評価が変わらないこと、又は試験データの信頼性を検証して、信頼性が担保できることを、個々の試験ごとに確認することにより、承認済みの品目全てにおいて、有効性及び安全性の結果への影響はないと判断しました。
なお、確認結果も踏まえ、承認済みの品目について公衆衛生上の危害が生じる可能性がないこと、現時点では製造販売業者において違反等の不適切な行為が確認されていないこと、また、品目名の公表による臨床現場への影響等を考慮し、関係する製造販売業者の名称及び品目名等に関しては、引き続き非公表の取扱いとさせていただきます。本事案については、薬事審議会の関係する他の部会においても、本日と同様に御報告済みであることを申し添えます。事務局からの説明は以上になります。
○奥田部会長 ありがとうございました。この内容に関して、委員の先生方から御意見、御質問、コメントなどございましたらお願いいたします。
○新保委員 ここで議論するべきことかどうか分からないのですけれど、今回の事案に関しましてはSMOの問題だけではなくて、被験者を担当する医師の側の問題も、かなり大きいのではないかなという気がします。それで一般の臨床研修であれば、今、倫理指針、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針で、研究者の基本的責務という中で、研究者が教育研修を受けなければならないというようなことが倫理指針で定められています。
一方、治験なのですけれど、省令GCPでは、治験責任医師に関しては要件は定められているのですが、実際に被験者に対応するであろう、診療するであろう治験分担医師とか、治験協力者の資格要件だとか、教育研修に関しては、特別に記載がないというような現状だと思います。だから、その辺を少し何とかしていただいて、被験者に対応する医師の教育研修、あるいは資格要件等も、もう少ししっかりとしていく必要があるのではないかなと思った次第です。以上です。
○奥田部会長 ありがとうございます。再発防止というようなこととも関連した御発言というように御理解いたしました。ほかに先生方から、この件に関しまして、御意見や御質問などございませんでしょうか。それでは皆さん、ありがとうございました。
議題2については御確認いただいたものとして、議題3に移りたいと思います。それでは、その他事項、議題3について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項の議題3として資料4、令和5年度緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業の報告について、御報告をさせていただきます。 1ページを御覧ください。昨年11月の前回部会において、試行的に緊急避妊薬の販売を行うことを通じ、適正販売を確保できるか等を調査・解析する、いわゆるモデル的調査研究事業を、日本薬剤師会等の御協力の下、実施する旨を御報告させていただいております。今般、当該調査研究の令和5年度の報告書が委託先の日本薬剤師会から提出されましたため、その概要について御説明させていただきます。
2ページを御覧ください。試験販売はオンライン診療に基づく緊急避妊薬の調剤の研修を修了している薬剤師が販売可能であること、夜間及び土日祝日の対応が可能であること、プライバシーの確保が可能な個室等を有すること、及び近隣の産婦人科医等との連携を構築可能であることを満たす全国145の薬局で実施されております。
研究内容としては、本研究事業への参加者、協力薬局及び連携産婦人科に緊急避妊薬の適正販売に係るアンケートを実施させていただき、その結果を解析しております。なお、試験販売による緊急避妊薬の購入者との比較として、医師の処方を受けて緊急避妊薬を服用した方にも、緊急避妊薬の適正販売に係るアンケート調査を同様に実施しております。
結果です。まず2023年11月末から2024年1月末の販売実績は2,181件でした。都道府県によりばらつきはありますが、東京都及び神奈川県では200件超の販売がありました。
次に、調査研究における購入者への満足度調査では、「薬剤師の対応」、「説明の分かりやすさ」及び「プライバシーへの配慮」への満足度は高い一方で、「支払った費用」の満足度は低い傾向がありました。ただしこの傾向は、参照としている医師の処方を受けた者でも同様に見られているものです。なお、購入から3~5週間後に実施した購入者への事後アンケートでは、約8割の者が、「医師の診察を受けずに薬局で薬剤師の面談を受けてから服用したい」と回答したため、本調査研究はおおむね問題なく遂行されていると判断しております。
ただし協力薬局に対するアンケート調査では、「販売可否に係るチェックリスト」における、特に「妊娠の可能性」ですけれども、そこに関する項目を改善すべきという回答が約半数ありましたので、こちらについては改善すべき点があると考えております。
具体的なデータについては、3ページから7ページにありますので、御参照いただければと思います。また、報告書の全文につきましては、厚生労働省のホームページに掲載しておりますので、そちらを御確認いただけると幸いです。
8ページを御覧ください。令和5年度の調査事業においては、実施期間が2か月と限定されたこと。また、販売数量が限定され、有効な分析が難しい一部地域があること等を踏まえまして、引き続き令和6年度についても、本調査事業を継続することとしております。令和6年度の調査結果につきましても、また改めて当部会に御報告をさせていただければと思います。事務局からの説明は以上です。
○奥田部会長 ありがとうございました。ただいまの調査事業の報告に関しまして、御質問、御意見など、お願いいたします。よろしいでしょうか。
私から1点、この3ページの都道府県別の販売数量を拝見していると、これは人口当たりは分からないのですけれども、少し考えると、人口比に対して、やはり少ない所、多い所、随分あって、やはりなかなかアクセスが行き届かないような所もあったのではないかと、今回の調査の限りにおいては、引き続き、そういう所にもきちんとアクセスできるようにして、調査の精度を高めていただきたいなと思う次第でございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。承知いたしました。
○奥田部会長 先生方、御質問等よろしいでしょうか。それでは議題3についても御確認いただいたものといたします。どうもありがとうございました。
それでは、その他、事務局から何か追加で情報提供、ございますでしょうか。
○事務局 次回の当部会ですけれども、先日、御連絡を差し上げておりますが、令和6年9月4日水曜日、17時から19時を予定しております。議題等の詳細につきましては、改めて御連絡を差し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
○奥田部会長 それでは本日の要指導・一般用医薬品部会を、これで終了いたします。どうもありがとうございました。
また、本日は審議事項、議題1の参考人として佐々木香る先生に御出席を頂いております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
部会を開始する前に、事務局より、所属委員の薬事審議会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告させていただきます。薬事審議会規程第11条においては『委員、臨事委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない』と規定されております。今回、全ての委員の皆様より、薬事審議会規程第11条に適合している旨を御報告いただいておりますので、その旨を御報告させていただきます。
委員の先生方におかれましては、会議開催の都度、書面の御提出を頂いており御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜わりますようどうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは奥田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○奥田部会長 それでは、よろしくお願いします。まず、事務局から今日の審議の進行方法について御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。Webでの審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず、システム上で挙手をお願いいたします。部会長から順に発言者を御指名いただきますので、指名されましたらミュートを切った上で、御自身のお名前をおっしゃっていただき、その後、御発言を頂きますよう、お願いいたします。なお、発言者が多いときには発言されたい委員がメッセージに御記入を頂くことで、部会長より発言者を順番に御指名いただきます。適宜、メッセージ機能も御利用いただければと思います。
また、システムの動作不良などがありましたら会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。事務局からは以上です。
○奥田部会長 ただいまの事務局の御説明はよろしいでしょうか。御不明な点などございませんか。
それでは、本日の審議に入ります。まずは事務局から資料の確認をお願いします。
○事務局 事務局です。それでは、資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りをさせていただいた資料のうち、資料1を主に使いますので、お手元に御用意をお願いいたします。このほか資料2として、「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議の報告について」、資料3として、「SMOによるGCP違反について」、資料4として、「令和5年度緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業の報告について」、資料5として、「競合品目・競合企業リスト」、資料6として、「専門員リスト」を、それぞれ事前にメールにてお送りをさせていただいております。
続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御説明させていただきます。資料5を御覧ください。競合品目・競合企業及びその選定理由について御説明をさせていただきます。議題1の「マイティアルミファイ」は、ブリモニジン酒石酸塩を含有する眼科用の薬です。効果・効能は「結膜充血」であり、同様の効能・効果を有する製剤として、資料に掲げております品目を競合品目として選定しております。以上です。
○奥田部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの説明について御意見はございませんでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては皆さんの了解を得たものといたします。
それでは、各委員及び参考人からの申出状況について報告をお願いします。
○事務局 事務局です。各委員及び参考人からの申出状況について御報告をさせていただきます。議題1、マイティアルミファイについては退室員はなし、議決に参加できない委員はなし。また、佐々木参考人は審議への出席は可、意見を述べることは可。以上です。
○奥田部会長 ただいまの事務局の説明について御意見はございますでしょうか。よろしければ、皆さんに御確認を頂いたものとして、議題に入ります。本日は審議事項が1議題、その他の事項が3議題となっています。
それでは、審議事項に移ります。議題の1、マイティアルミファイについてですが、まず、機構からこの品目の概要を御説明いただいた上で、参考人からの御意見を頂き、その後の質疑応答としたいと思います。機構の方、概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から資料1、マイティアルミファイについて御説明します。Web会議にて部会を開催する関係上、製剤サンプルの写真は事前に電子媒体でお送りしたものを御確認ください。
それでは、審査報告書を御覧ください。本剤は有効成分として、100mL中に0.01gのブリモニジン酒石酸塩を含有する点眼剤です。ブリモニジン酒石酸塩は医療用医薬品として緑内障、高眼圧症には承認されているものの、本薬を含有する医療用医薬品、要指導医薬品又は一般用医薬品のいずれにおいても、「結膜充血」の効能・効果では承認されておらず、本薬における初めての効能・効果であることから、申請区分(3)-マル1新効能医薬品として本剤は申請されています。申請者は、「千寿製薬株式会社」です。
2ページを御覧ください。効能・効果は、「結膜充血」であり、用法・用量は「年齢: 成人(15歳以上) 1回量:1滴を点眼する。 1日の点眼回数:4回まで 点眼間隔は4時間以上あけてください。」です。
3ページ、イ項に示しましたとおり、医療用の本薬の点眼剤は単剤としてアイファガン点眼液0.1%が、配合剤としてアイベータ配合点眼液、アイラミド配合懸濁性点眼液及びグラアルファ配合点眼液が、それぞれ緑内障、高眼圧症を効能・効果として承認されています。アイファガン点眼液0.1%については、令和2年に再審査結果が通知されています。4ページにお示しのとおり、申請者は本剤はアドレナリンα2受容体作動薬を低濃度で含有することから、既存のα1受容体作動薬で認められるリバウンドやタキフィラキシーが起こりにくいという特徴を有すると述べています。
外国での使用状況について、本薬を含有するOTC点眼液は結膜充血の効能・効果にて令和5年6月時点で米国、韓国、アラブ首長国連邦、カナダなどの4か国において販売されています。
以降は臨床試験成績、適正使用に関する取組を中心に御説明します。7ページのト項を御覧ください。臨床試験に関する資料として7ページ、表2に示す国内臨床試験2試験の成績が提出されました。そのうち検証試験である国内第III相試験について、説明します。8ページ上段、ト-2を御覧ください。眼疾患に起因しない結膜充血を有する15歳以上の日本人を対象に、本剤の有効性及び安全性を評価することを目的とした多施設共同無作為化二重遮蔽並行群間比較試験が実施されました。
有効性について、8ページ、表4を御覧ください。主要評価項目とされた治験薬投与開始日の治験薬投与5~240分後の結膜充血スコアの治験薬投与前からの変化量は、本剤群で-0.884、プラセボ群で-0.120であり、プラセボ群に対する本剤群の統計学的な有意な改善が認められました。
安全性について、8ページ下段から9ページ上段を御覧ください。本剤群で有害事象の発現は7.3%、副作用は109例中1例のみで、有害事象はいずれも軽度でした。中止に至った有害事象は4例認められましたが、いずれも本剤との因果関係は否定されています。
続いて、審査の概略を御説明します。審査上の論点を中心に説明します。10ページ中段から11ページ上段、「有効性について」、「安全性について」及び「効能・効果について」を御覧ください。国内第II相試験及び第III相試験の結果から、機構は有効性及び本剤の効能・効果を結膜充血とすることに特段の問題はないと考えています。安全性については、提出された資料から懸念が認められていないと考えていますが、本剤の安全性の評価は国内第II相試験及び第III相試験に限られていることから、製造販売後調査において新たな情報が得られた場合には追加の注意喚起を行う等、必要に応じて適切な措置を講じる必要があると考えています。
11ページ中段、「小児の使用について」を御覧ください。申請者は○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○を根拠として、申請時の添付文書案の「してはいけないこと」に「○歳未満の小児」と記載していました。申請者は○歳以上の小児における本剤の使用について、有効性については○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○こと、安全性については○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○等を説明しています。
この点について、機構は国内第II相試験及び第III相試験では15歳未満の小児は組み入れられておらず、小児における本剤の有効性及び安全性の評価がなされていないこと等を踏まえると、○歳以上の小児を本剤の使用対象とする根拠は十分ではないと考えました。専門協議において、本方針は支持されたことから、本剤の用法・用量には「年齢:成人(15歳以上)」を記載し、添付文書の「してはいけないこと」において、15歳未満の小児は本剤を使用しないよう注意喚起することとしました。
12ページ、「適正使用について」を御覧ください。本剤の適正使用の方策として、添付文書のほか、購入前に適正な使用者であることを確認するチェックシート、販売店向け情報提供資料、使用者向け情報提供資料が作成されています。
眼科医の下、治療が必要な疾患を除外する目的で必要な注意喚起は、添付文書の「相談すること」に記載しているところですが、それ以外の点で適正使用の観点から議論になりました点、3点を御説明します。
1点目は、リバウンド及びタキフィラキシーに対する注意喚起の記載です。既存のアドレナリン受容体作動薬の充血除去成分では、「過度に使用すると、異常なまぶしさを感じたり、かえって充血を招くことがある」という記載をしているところですが、申請者は本剤においては本薬がアドレナリンα2受容体作動薬であること、及び国内第II相試験及び国内第III相試験の本剤投与完了例において、相当する事象が認められていないことから、この注意喚起は不要であるとしています。
この点について、機構は既存の充血除去成分との直接比較はないものの、リバウンド及びタキフィラキシーが起こりにくい根拠が作用機序に基づき説明されていること及び国内外の臨床試験においてリバウンド及びタキフィラキシーに相当する事象が認められないことを踏まえ、申請者の対応は差し支えないと判断しました。
2点目は、長期使用等の不適切な使用に対する注意についてです。本剤の専門協議において、専門委員より、長期使用によって結膜濾胞の形成等の副作用を示すことがあり、長期使用に関する対策が必要である旨、美容目的に近い使用者の濫用の可能性を考慮する必要がある旨、結膜下出血時には本剤を使用するべきではなく、医療機関に受診できるように適切に添付文書、販売店及び使用者向け情報提供資料、並びにチェックシートに記載すべき旨の意見が出されました。
機構は、専門委員からの意見を踏まえ、情報提供資料とチェックシートに本剤を漫然と長期使用しないこと及び本剤は眼の疾患に起因しない軽度の眼刺激による充血に使用するものであることを記載すること、添付文書の「相談すること」に「結膜下出血」を記載し、相当する症状がある場合には医師又は薬剤師に相談することを注意喚起するよう、申請者に求めました。このうち長期使用に関する注意喚起及び結膜下出血のある方への注意喚起については、審査報告書確定後の調整の結果、使用者により適切に注意喚起が伝わるよう添付文書の「してはいけないこと」に「結膜下出血のある人」及び「長期連用しないこと」を記載することとしました。具体的には、差換え資料の添付文書案、情報提供案並びにチェックシート案を御覧ください。
3点目は、ブリモニジン酒石酸塩に関するリスク情報についてです。本薬について令和6年4月5日に「角膜混濁」が「使用上の注意の改訂等に繋がりうる注目しているリスク情報」として公表されたことを踏まえ、機構は本剤の対応について説明するよう求め、申請者は医療用医薬品の添付文書の改訂状況も踏まえ、本剤においても角膜混濁に関して適切に対応する方針であると回答していました。審査報告書確定以降も引き続き調整し、改訂案を作成しています。差換え資料として配布している添付文書案を御覧ください。「相談すること」、2.の副作用の可能性がある関係部位、症状の表の下に「まれに下記の重篤な症状が起こることがある。その場合には直ちに医師の診療を受けること。」と記載し、症状の名称として「角膜混濁」、症状として「目のかすみ、物が見えにくい、まぶしい、視力の低下」と記載することを予定しています。
最後に15ページ上段、「総合評価」を御覧ください。以上の検討を行った結果、機構はこちらに示した効能・効果、用法・用量において本剤を承認して差し支えないと判断しました。なお、本剤は新効能医薬品であることから、再審査期間は4年とすることが適当であり、要指導医薬品に該当すると考えます。機構からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ありがとうございました。それでは、審議に移る前に参考人としてお呼びしている佐々木先生から御意見を賜りたいと思います。佐々木先生、よろしくお願いいたします。
○佐々木参考人 今、機構様から十分な説明がなされたことにはなりますが、私からは一般的に眼科医がこの点眼に関して共通して思うところ2点ほど述べさせていただきたいと思います。
まず一つ目は、今、御報告がありましたが副作用としての角膜実質炎の報告が急増していることです。2017年、本邦のMaruyamaらの報告を皮切りに、同様の報告が次々と積み重なってきています。もともと緑内障用点眼としてのブリモニジン酒石酸塩の点眼は、1996年からアメリカにて「開放隅角緑内障又は高眼圧症」の薬として承認されて、本邦では2012年5月から販売されています。この薬剤で起こる角膜実質炎、角膜混濁という臨床所見が一般的に私たち眼科医が薬剤の副作用による角膜炎と認識している所見と非常に異なっています。そのために、この点眼副作用による角膜炎を眼科医が見ても、薬剤によるものだと気づきにくく、今まで見逃されている例がたくさん存在しているのではないかというふうに考えます。
お手元の資料をご覧ください。新しい順番に並べてしまいましたので、ページの6という所を見ていただきますと。
○事務局 先生、すみません。一般の眼科医さんが、なかなかこれは薬剤性ものだというふうに判断ができづらいのではないかというところまでは、こちらでも聞こえていたのですが、通信障害でうまく聞き取れませんでしたので、それ以降、申し訳ないのですが改めてよろしくお願いいたします。
○佐々木参考人 分かりました。本邦から2017年に初めて報告されているブリモニジン酒石酸塩点眼の副作用報告は、この点眼発売後5年経過時点です。そしてその後、報告が増えているということは、今後もこの副作用報告が増加するのではないかという懸念があります。
このブリモニジン酒石酸塩点眼の副作用による角膜実質炎は血管侵入を伴うのですが、まだその発症機序が明らかにはなっていません。また、ある程度混濁が進むと不可逆性であるということが問題だと思っています。今、共有している6番目の論文が先ほどお話した2017年の本邦のMaruyamaらの報告で、Severe Corneal Disorders Developed After Brimonidine Tartrate Ophthalmic Solution Use.というタイトルで報告されています。その後も同様の報告が数編あり、海外からも2023年、そして2024年と報告されています。
Maruyamaらの報告の内容を、共有させていただきます。この左のaという写真の真ん中の角膜の写真を見ていただくと、左から白く濁っています。そこに血管侵入を認めます。これは従来から言われている薬剤副作用による角膜炎という所見と、全く様相が違っています。これらの論文を見て、そう言えばこのような所見を原因不明として見逃したかもしれないと、振り返っている眼科医が多いと思います。重篤化しますと、bの写真のように中央まで混濁が掛かってしまいますので、視力低下を来してしまいます。
配布していただきました資料の1-4-3を共有します。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
以上の理由から、使用者向けの情報シート、添付文書、チェックシート、それに販売店向けの資料に十分その旨の注意喚起が記されてあります。
今回の一般用薬の濃度は副作用報告が問題となっている緑内障の点眼薬に比して、非常に薄い濃度です。そのため、まず当初は問題ないと思います。ただ、使用者が勝手に自己判断で、長期に継続して使用した場合に、緑内障用点眼としてのブリモニジン酒石酸塩の点眼と同様の副作用が出現する可能性は否定できないのではないか思います。セットしていただいているモニタリングが十分活用されるように、また調査に当たっても特にこれまで述べた点に注意して、使用者に情報提供していただくように、販売店様にお伝えいただければ有り難いと思います。
続きまして、2点目は、充血軽減効果による疾患発見の遅れの懸念です。近年、眼科医が大変困っているのは、高校生、大学生のインターネットでのコンタクトレンズ購入が非常に多くなっていることです。また、ドラッグストアなどの販売店でのカラーコンタクトレンズ購入も多くなっています。高校生の健診でも、多くの学生が学校でカラーコンタクトをはめているという状況に出くわします。インターネットやドラッグストアなどでの購入では、高度医療機器であるにもかかわらず、十分な説明を聞く機会を逸しています。そのため、コンタクトレンズのケアが不十分であり、定期検査を怠って発症する重篤な角膜感染症が多く報告されています。学会でもこの情報を全国レベルで収集することが難しい問題ですが、コンタクトレンズの不適切使用によって非常に多くの若者が視力障害に至るような重篤な合併症を起こしている現状です。この合併症の最初の所見は充血であり、私たちにその危険を教えてくれる所見です。「医師への受診を促す」最初の信号だと考えています。
資料を共有しましたとおり、特に多いのが、20代、30代のコンタクトレンズの使用者におけるアカントアメーバ角膜炎です。アカントアメーバ角膜炎は、初期には、この左の写真のように少し赤くなる程度ですが、この時点で今回の審議されている点眼により、充血を抑えてしまうと、3か月ぐらい後にはこの右の写真ような白濁を来して、視力障害を来します。これは非常に難治で1年ぐらいの治療期間が必要です。場合によっては角膜移植に至ることもあります。
このような状況下、コンタクトレンズを不適切に使用している若者が、最初の疾患信号である充血を解消するために、本製剤を使用し続けるということがあると受診の遅れ、診断の遅れとなる可能性があると懸念しています。先ほどのチェックシート、添付文書、使用者向けの情報シート、販売店向けの資料にも3日間使用しても症状がよくならない場合には必ず使用を中止して、眼科医の受診をということを促していただいていますので、この項目を販売時に本品を漫然と流すことがないように、薬剤師や販売店が使用者へ、確実に伝えることを強調して指導いただければ有り難いと思います。以上です。
○奥田部会長 佐々木先生、ありがとうございました。それでは、機構からの概要説明、佐々木先生から今頂いた御意見に関して、御質問、御意見などお願いいたします。川名先生、よろしくお願いします。
○川名委員 もうチェックシートのことでの意見でも大丈夫ですか。
○奥田部会長 はい、結構です。
○川名委員 実際に販売する現場での立場で、チェックシートが分かりづらいことを申し上げます。頂いているチェックシートの上から左側に水色の四角が三つ、右側にグレーの四角が三つ並んでいると思います。右側のグレーの四角の三つ目の所に、【結膜充血に加えて、これらの症状がある場合は目の疾患の可能性がありますので、不調を放置せず、医療機関を受診してください】と書いてあります。これらの症状というのは、左のマル3の中にある「次の症状」の所を指していると考えてよろしいのでしょうか。そうでしたら、その項目だけ分けて書いていただきますと、今、佐々木先生がおっしゃったようなリスクもしっかりと把握した上で、しっかりとしたチェックシートの運用ができるようになるのではないかと思います。だらっと並んでいると意識が分散してしまうと思います。
2点目が、その下の「本品をご使用いただけます」みたいな四角の一番下の方の「使用後」の四角のすぐ下ですが、「本品使用後、乗物または機械類の運転・操作をしないでください」と書いてあるのですが、これはアイファガンの添付文書では、「注意させること」となっています。「しないでください」という記述であれば、大体どの程度の時間又は日数、運転をしないようにお伝えすればいいのか。または運転・操作、機械の操作をする方には販売しない方がよいのかということを知りたいと思いました。その旨は、チェックシートに記載がなくても、販売者向けの資料にでも入れておいていただけると、より適切な販売ができると思って意見させていただきました。以上です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。今頂いたチェックシートの件ですが、2点頂いたわけですが、機構から何かこの件に関してありますか。
○医薬品医療機器総合機構 それに関して回答させていただきます。まず、1点目御指摘いただきましたチェックシートのマル3の範囲の枠囲みの中の「これらの症状」ですが、チェックシートマル3の御指摘いただきましたとおり、チェックシートマル3の次の症状がある、下の10症状、即ち添付文書の相談することの1.(3)に記した症状を指しております。御指摘のとおり、今のチェックシートですと不明瞭のため、症状が明確になるように追記させていただきたいと思います。というのが、1点目に対する回答になります。
もう1点いただきました乗物または機械での運転・操作を禁じる時間の目安についても、確かに御指摘のとおり不明瞭でしたので、使用後、運転等を避ける時間について、申請者に確認の上、情報提供資料を使用者向けとか、販売者向けとかには記載するように求めていきたいと考えております。以上です。
○川名委員 ありがとうございました。
○奥田部会長 酒井先生、お願いします。
○酒井委員 佐々木先生、詳細にありがとうございました。私も2番目の御指摘を頂いた、そもそも結膜充血を呈して、それが信号となって見つかるべき眼疾患の発見が遅れるというのを、一番懸念事項かなと思いました。今のチェックシートと関連して、「3日間使用しても改善がないときは」と書かれていますが、例えば、これが3日間使用して改善して、またやめたらぶり返して、また3日間使用してとなると、やはり疾患の発見が遅れるので、一旦改善しても繰り返すときは、受診を促すみたいな何かコメントが入ったらいいのではないかと思いました。先ほどのアカントアメーバみたいなものでしたら必ずもう一回出てくると思いますので、漫然とそこで良くなったり、悪くなったりを繰り返さないという工夫がもし何かできるようでしたら、機構の方、御検討をお願いできればと思いました。以上です。
○奥田部会長 今のは大事なポイントかと思います。機構の方、改善はしてもまたすぐぶり返すようなケースについての注意ということについて。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。御指摘いただきましてありがとうございます。改善しても症状がぶり返すというのは、確かに今の情報提供資料ですとかにはそのような注意喚起はなされていないと思います。そういったことがありましたら、これはもちろん注意すべき事項になると思いますので、情報提供資料等に反映することを検討させていただきたいと思います。
○酒井委員 よろしくお願いします。
○奥田部会長 齋藤先生、よろしくお願いします。
○齋藤委員 ありがとうございます。国衛研の齋藤と申します。佐々木先生の御説明は本当によく理解できました。ありがとうございました。角膜混濁に関して、機構のJADERを調べてみたのですが、確かに2019年度から急に増えておりまして、この薬剤の特徴的な重篤副作用であると理解いたしました。その上で、今回いただいている販売店向けの情報提供資料に、角膜混濁についてもう少し詳しい説明が数行でもあった方が、薬剤師としても指導を頂きやすいのではないかと考えておりますが、いかがですか。
○奥田部会長 機構の方、この問題は、恐らく、医療用の医薬品の方も今年の4月改訂になったというところで、まだそのような状況だと思いますが、そこも含めてこの問題について情報提供について、今どんな状況にあるのか教えていただけないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。御指摘のとおり、医療用の情報の改訂に合わせて適切に情報提供することについては再度検討させていただきたいと思います。
○齋藤委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課長 医療用側の対応について補足をさせていただきます。現在、ホームページに、想定されるリスクということで、現在検討中というステイタスで情報を公開させていただいております。先ほど、佐々木先生の方から御指摘を頂きました、少し今までとは異なる症状があるということもありまして、少し文言の調整などをさせていただきましたが、近く添付文書の改訂の公開をさせていただきたいと思っておりまして、このような情報も御活用いただければと考えております。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。両方が同時に併行で進んでいるところかと思います。新保先生、よろしくお願いします。
○新保委員 私も佐々木委員がお話された2番目の点について懸念しているところです。薬の一番最初を見て目に入る効能・効果の所で、「結膜充血」と書かれていますので、ここだけ見てしまいますと、どんな結膜充血でも使えるのかと誤解されないのかと感じているところです。
このお薬の非常に大切な概念は、眼疾患によらない結膜充血、眼疾患によらないというところが大切であって、こういった概念をやはり最初の効能・効果の所で伝えられるような形にした方がいいのではないかという気がしています。
ほかの薬剤ですが、例えば、唇の口唇ヘルペスなどでは、効能・効果の所で、「口唇ヘルペスの再発」と書いてあって、その後ろに「過去に医師の診断・治療を受けた方に限る」というような括弧書きで注釈が書かれています。同じような書式を取ることもできるのではないかと感じています。
実際の販売では店頭で薬剤師さんの方から、詳細な説明をしていただけるのだとは思いますが、現実的には説明も余り聞かない方というのは恐らくいらっしゃると思いますし、マニュアルも読まない方もやはりいらっしゃるのではないかと思います。やはり、効能・効果の所で、なにがしか眼疾患によらないという概念を入れておいた方がいいのではないかと思っている次第です。以上です。
○奥田部会長 ありがとうございます。恐らく、この議論があったのではないかと思いますが、機構の方から、これに対して、何かうまい添付文書や情報提供の在り方などについてお考えがありましたらお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 少々お時間を頂きたく存じます。すみません。ミュートにさせていただきます。
○奥田部会長 分かりました。それでは、少し機構の方で御検討いただく時間が必要ということで、多田先生、よろしくお願いします。
○多田委員 少し気になったのが、感染症に伴う結膜充血を見逃す可能性がないかどうかというところですが、流行性角結膜炎に伴う結膜充血で、周囲にそういった結膜炎が既に流行っていて、それで初期症状でこれを使うことによって、その発見を遅らせる恐れがないのかどうかというところに関して、あとはプール熱とか、そういった全身症状を伴うようなもの、あるいは皮疹に伴うようなウイルス感染症に伴う結膜充血とか、そういったものに関して、結膜充血に対してだけこのお薬を使って、それで感染症の拡大を防ぐことが少し遅れてしまうことがないかというところが少し心配です。皮疹とかに関しては、進行というところではあるのですが、例えば、発熱とか咽頭痛、他症状を伴う場合の結膜充血に関しては、対症療法的には使わないようにするという記載は必要ではないかと思ったのですが、いかがですか。
○奥田部会長 ありがとうございます。佐々木先生、よろしくお願いします。
○佐々木参考人 多田先生がおっしゃるとおりです。アデノウイルスによる結膜炎においても、今回審議対象の点眼を充血改善の目的で使用すると、診断が遅れて、本人のみならず、周囲にも感染症が伝播する可能性は十分にあると思います。
ただ、アデノウイルス結膜炎の場合、当該点眼をしていても、急激に悪くなってくると思いますので、比較的早めに眼科を受診するとは思いますが、1日、2日、当該点眼で凌いでいると、点眼時にウイルスを播種して、それをまた周囲にうつしてという可能性も十分にあると思います。
本来ならば、充血して眼科に行くべきところを、薬局に行って、販売店に行って、点眼を購入してしまう。そして、販売員や他の客にも伝播してしまう可能性も否定できないと思います。おっしゃるとおりだと思います。
○多田委員 佐々木先生、ありがとうございます。そういった感染症を疑うような症状があるとか、あるいは周囲にそういった感染症がある方については、その使用について制限を掛けるような書きぶりを入れていただくと安全ではないかと思いました。以上です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。疾患によらない結膜充血というところをどういうふうに表現して、また実際にする患者さんの方々、販売店の方々にそこのところを情報提供していただけるかということかと思いますが。そこについて、今のチェックシートもある程度配慮はあると思いますが、何か重ねてそこについて機構から御検討は今の段階でありますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。おっしゃったとおり、現状の情報提供資料等でも少し記載はありますが、御指摘いただいた件、更なる検討をさせていただきたいと思います。情報提供資料やチェックシートの記載、もう一度見直しさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。ほかに先生方から効能・効果やチェックシートの記載について、よろしいですか。私からも一つ懸念があって、車の運転の話が先ほど委員の先生方から御発言がありましたが、やはり車を運転していると、目が充血しがちなので、ついつい使ってしまうのではないかと思うのです。そういう意味でも、そこも含めてどれぐらいの間運転がいけないのかとか、あと本当に運転をしてはいけないということを、どういうふうに伝えていくかということが重要かなと、その点についても私は思いました。
○医薬品医療機器総合機構 御意見を頂きありがとうございます。御指摘の件は再度機構の方でも検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○奥田部会長 分かりました。一応、御意見がほぼ先生方から頂戴したように思います。大体議論が出尽くしたということであれば、議決に入りたいと思いますが、随分いろいろな議論があって、添付文書やチェックシートについては改訂が必要かと思います。それについては、審査管理課さんの方で処理をお願いできますか?。
○事務局 医薬品審査管理課です。よろしければ、機構と相談して幾つか直した上で、座長の先生方、御意見を頂いた先生方に個別に確認をさせていただきたいと思っております。
○奥田部会長 一度、申請企業にもう一回戻して、その結果を添付文書、チェックリストに反映させて、それについて関係の先生方にもう一回フィードバックして御確認を頂くと。そういった手続を踏むということを踏まえて、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。
それでは、御異議がないようですので、承認を可、再審査期間を4年、要指導医薬品に該当するとして、薬事審議会に報告をさせていただきます。ありがとうございました。
佐々木先生には大変有意義な御意見を頂きました。佐々木先生はここまでの御参加となります。本日は御多用のところ、御出席をいただきましてありがとうございました。
○佐々木参考人 失礼いたします。
──佐々木参考人退席──
○奥田部会長 それでは、その他の事項に移ります。その他の事項の議題1について、事務局から説明をお願いいたします。○事務局 その他事項の議題1として資料2、医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議の報告について、説明をさせていただきます。
「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」では、欧米諸国での承認条件及び消費者・学会等からの要望等を定期的に把握し、消費者等の多様な主体からの意見を幅広く収集した上で、スイッチOTC化する上での課題点及びその解決策等について、医学・薬学の専門家の他、医療関係者、消費者代表、産業界代表、販売関係者等に御参加をいただき、公開の場で議論をしているものです、会議の結果の案については、パブリックコメントを実施させていただきまして、広く御意見を聞いた上で再度、評価検討会議で議論をし、確定した結果を改めて公表しているところです。
1ページを御覧ください。昨年11月の前回の部会以降、本日までに新たにβ-ガラクトシダーゼ及びオキシブチニン塩酸塩について、会議結果を公表しております。その結果の概要について御報告をさせていただきます。まず、β-ガラクトシダーゼは健康な成人・小児等の乳糖不耐症により生ずる消化不良の改善を効能・効果としてOTC化する際の課題と、その解決策について検討しております。主な課題としては、医療用医薬品と効果・効能が異なることによる用法・用量の設定等が挙げられました。
もう一つのオキシブチニン塩酸塩につきましては、尿意切迫感及びそれに伴う頻尿・尿漏れを効能・効果としてOTC化する際の課題と、その解決策について検討しております。主な課題としては、テープ剤として徐放化することで、抗コリン性の副作用が軽減されることが報告されている一方で、高い確率で貼り付けた部位に、皮膚炎が発現することへの情報提供・注意喚起の必要性等が挙げられております。各成分の検討結果は2ページ以降にありますので、適宜御参照いただければと思います。
今後の評価検討会議の経過につきましても、随時、このような形で当部会で御報告をさせていただきます。また、評価検討会議で整理された課題点や、その対応策を受け、医薬品メーカーが開発を行い、承認申請がなされることになります。その承認の際には当部会において御審議いただくことになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○奥田部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関しまして、御意見・御質問など、ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。これを踏まえて申請があったときに、再度議論することかと思いますが、それでは御確認を、この段階では頂いたものとして議題2に移りたいと思います。
その他事項の議題2について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項、議題2、「SMO(治験施設支援機関)によるGCP違反について」、事務局より説明させていただきます。資料3を御覧ください。経緯ですが、SMO(治験施設支援機関)である株式会社メディファーマ、代表取締役 三原酉木、本社 東京都港区芝5丁目31番19号に関する公益通報を受け、医薬品医療機器法第80条の2第7項及び第80条の5第1項の規定に基づき、令和5年8月29日、30日に無通告の立入検査を東京本社・大阪営業所に対して実施しました。また、同年9月4日に、大阪府内の医療機関に対しても、同様に立入検査を実施しました。立入検査の結果、GCP違反が確認されました。現在、違反の詳細等について精査中であります。
続いて、現時点で確認されている主な違反の概要を説明します。「(1)治験データの改竄」に関してですが、少なくとも7試験において治験薬投与時間や、採血時間等の改竄が確認されています。「(2)呼吸機能検査の不適切な実施」についてですが、呼吸機能検査(スパイロメトリー)について、意図的に吐く息の量を減らすよう誘導し、呼吸機能の悪化を偽装していました。その結果、組入基準に合致しない被験者が治験に組み入られていました。「(3)医師・施設スタッフ・CRCのIDパスワード共有、トレーニング代理受講」については、治験に必要なトレーニング及び電子署名等のIDパスワードを社内で共有していました。さらに、医師・施設スタッフが受講すべきトレーニング等を、メディファーマ社員が代理受講していました。「(4)治験薬保管不備の隠蔽」については、治験薬の保管温度逸脱の隠蔽や、保管温度の記録の改竄が確認されています。
株式会社メディファーマが関与した治験の範囲及び影響についてですが、資料3の2ページに詳細を表でまとめています。医薬品で116試験、医療機器で7試験、合計123試験に株式会社メディファーマが関与していました。うち、承認済みの品目に関係する試験は、医薬品で製造販売後臨床試験も含め34試験、医療機器で2試験、合計36試験となります。
これらを品目数で集計したものが下段になります。承認済みの医薬品23品目、医療機器が2品目、合計25品目に株式会社メディファーマが関与していることが確認されました。本事案に関係する123試験について、現時点で健康被害等の報告はありません。また、実施中の試験については、被験者の意向を確認した上での試験参加中止など、被験者保護を最優先に対応するよう指示済みであります。
試験ごとの違反の有無、及び詳細については精査中でありますが、株式会社メディファーマが関与した症例を除外しても、有効性評価及び安全性評価が変わらないこと、又は試験データの信頼性を検証して、信頼性が担保できることを、個々の試験ごとに確認することにより、承認済みの品目全てにおいて、有効性及び安全性の結果への影響はないと判断しました。
なお、確認結果も踏まえ、承認済みの品目について公衆衛生上の危害が生じる可能性がないこと、現時点では製造販売業者において違反等の不適切な行為が確認されていないこと、また、品目名の公表による臨床現場への影響等を考慮し、関係する製造販売業者の名称及び品目名等に関しては、引き続き非公表の取扱いとさせていただきます。本事案については、薬事審議会の関係する他の部会においても、本日と同様に御報告済みであることを申し添えます。事務局からの説明は以上になります。
○奥田部会長 ありがとうございました。この内容に関して、委員の先生方から御意見、御質問、コメントなどございましたらお願いいたします。
○新保委員 ここで議論するべきことかどうか分からないのですけれど、今回の事案に関しましてはSMOの問題だけではなくて、被験者を担当する医師の側の問題も、かなり大きいのではないかなという気がします。それで一般の臨床研修であれば、今、倫理指針、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針で、研究者の基本的責務という中で、研究者が教育研修を受けなければならないというようなことが倫理指針で定められています。
一方、治験なのですけれど、省令GCPでは、治験責任医師に関しては要件は定められているのですが、実際に被験者に対応するであろう、診療するであろう治験分担医師とか、治験協力者の資格要件だとか、教育研修に関しては、特別に記載がないというような現状だと思います。だから、その辺を少し何とかしていただいて、被験者に対応する医師の教育研修、あるいは資格要件等も、もう少ししっかりとしていく必要があるのではないかなと思った次第です。以上です。
○奥田部会長 ありがとうございます。再発防止というようなこととも関連した御発言というように御理解いたしました。ほかに先生方から、この件に関しまして、御意見や御質問などございませんでしょうか。それでは皆さん、ありがとうございました。
議題2については御確認いただいたものとして、議題3に移りたいと思います。それでは、その他事項、議題3について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項の議題3として資料4、令和5年度緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業の報告について、御報告をさせていただきます。 1ページを御覧ください。昨年11月の前回部会において、試行的に緊急避妊薬の販売を行うことを通じ、適正販売を確保できるか等を調査・解析する、いわゆるモデル的調査研究事業を、日本薬剤師会等の御協力の下、実施する旨を御報告させていただいております。今般、当該調査研究の令和5年度の報告書が委託先の日本薬剤師会から提出されましたため、その概要について御説明させていただきます。
2ページを御覧ください。試験販売はオンライン診療に基づく緊急避妊薬の調剤の研修を修了している薬剤師が販売可能であること、夜間及び土日祝日の対応が可能であること、プライバシーの確保が可能な個室等を有すること、及び近隣の産婦人科医等との連携を構築可能であることを満たす全国145の薬局で実施されております。
研究内容としては、本研究事業への参加者、協力薬局及び連携産婦人科に緊急避妊薬の適正販売に係るアンケートを実施させていただき、その結果を解析しております。なお、試験販売による緊急避妊薬の購入者との比較として、医師の処方を受けて緊急避妊薬を服用した方にも、緊急避妊薬の適正販売に係るアンケート調査を同様に実施しております。
結果です。まず2023年11月末から2024年1月末の販売実績は2,181件でした。都道府県によりばらつきはありますが、東京都及び神奈川県では200件超の販売がありました。
次に、調査研究における購入者への満足度調査では、「薬剤師の対応」、「説明の分かりやすさ」及び「プライバシーへの配慮」への満足度は高い一方で、「支払った費用」の満足度は低い傾向がありました。ただしこの傾向は、参照としている医師の処方を受けた者でも同様に見られているものです。なお、購入から3~5週間後に実施した購入者への事後アンケートでは、約8割の者が、「医師の診察を受けずに薬局で薬剤師の面談を受けてから服用したい」と回答したため、本調査研究はおおむね問題なく遂行されていると判断しております。
ただし協力薬局に対するアンケート調査では、「販売可否に係るチェックリスト」における、特に「妊娠の可能性」ですけれども、そこに関する項目を改善すべきという回答が約半数ありましたので、こちらについては改善すべき点があると考えております。
具体的なデータについては、3ページから7ページにありますので、御参照いただければと思います。また、報告書の全文につきましては、厚生労働省のホームページに掲載しておりますので、そちらを御確認いただけると幸いです。
8ページを御覧ください。令和5年度の調査事業においては、実施期間が2か月と限定されたこと。また、販売数量が限定され、有効な分析が難しい一部地域があること等を踏まえまして、引き続き令和6年度についても、本調査事業を継続することとしております。令和6年度の調査結果につきましても、また改めて当部会に御報告をさせていただければと思います。事務局からの説明は以上です。
○奥田部会長 ありがとうございました。ただいまの調査事業の報告に関しまして、御質問、御意見など、お願いいたします。よろしいでしょうか。
私から1点、この3ページの都道府県別の販売数量を拝見していると、これは人口当たりは分からないのですけれども、少し考えると、人口比に対して、やはり少ない所、多い所、随分あって、やはりなかなかアクセスが行き届かないような所もあったのではないかと、今回の調査の限りにおいては、引き続き、そういう所にもきちんとアクセスできるようにして、調査の精度を高めていただきたいなと思う次第でございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。承知いたしました。
○奥田部会長 先生方、御質問等よろしいでしょうか。それでは議題3についても御確認いただいたものといたします。どうもありがとうございました。
それでは、その他、事務局から何か追加で情報提供、ございますでしょうか。
○事務局 次回の当部会ですけれども、先日、御連絡を差し上げておりますが、令和6年9月4日水曜日、17時から19時を予定しております。議題等の詳細につきましては、改めて御連絡を差し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
○奥田部会長 それでは本日の要指導・一般用医薬品部会を、これで終了いたします。どうもありがとうございました。
( 了 )
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬局
医薬品審査管理課 課長補佐 宮坂(内線2737)