第185回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和6年11月7日(木)9:59~11:35

場所

全国都市会館 大ホール

議題

  1. 1.社会保険診療報酬支払基金の抜本改組について
  2. 2.医療等情報の二次利用に係る現状と今後の対応方針について
  3. 3.自治体と医療機関・薬局をつなぐ情報連携基盤(PMH)の構築を通じた医療費助成の効率化について

議事

議事内容
○姫野課長 それでは、定刻前ではありますが、皆様おそろいになりましたので、ただいまより第185回「医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、内堀委員、河野委員、任委員、前葉委員より、御欠席の御連絡をいただいております。また、横尾委員より途中一時退席されるとの御連絡をいただいております。
 本日の会議は傍聴希望者向けにYouTubeにおいてライブ配信を行っております。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。カメラの方は御退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○姫野課長 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 それでは、まず、欠席される委員の代わりに御出席なさる方についてお諮り申し上げます。内堀委員の代理として根本和代参考人、任委員の代理といたしまして木澤晃代参考人、以上の2名の出席につき御承認を賜れればと思いますけれども、いかがでございましょう。よろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
 それでは、早速議事のほうに入ってまいります。
 本日は「社会保険診療報酬支払基金の抜本改組について」、「医療等情報の二次利用に係る現状と今後の対応方針について」、3番目といたしまして「自治体と医療機関・薬局をつなぐ情報連携基盤(PMH)の構築を通じた医療費助成の効率化について」を議題といたします。
 なお、本日は、議題に関する資料に加えまして、本日御欠席の前葉委員から本日の議題に関しまして御意見が提出されておりますので、御紹介させていただきたいと存じます。
 では、まず「社会保険診療報酬支払基金の抜本改組について」を議題といたします。
 それでは、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
 では、よろしくお願いいたします。
○西川企画官 医政局でございます。
 それでは、資料1について御説明させていただきます。
 まず1ページ目でございます。これまでの議論についてということで、昨年6月の医療DX推進に関する工程表、それから、今年6月の骨太の方針2024の抜粋でございます。
 工程表のところの中ほどからですけれども、社会保険診療報酬支払基金を、審査支払機能に加え、医療DXに関するシステムの開発・運用主体の母体として抜本的に改組するといったことが規定されております。この改組に当たりまして、地方関係者の参画を得つつ、国が責任をもってガバナンスを発揮できる仕組みを確保する。また、システムの変化に柔軟に対応して一元的な意思決定が可能となる仕組みとするといったことが書かれてございます。
 次の2ページでございます。改組に関する基本的な考え方でございます。
 まず1つ目の○でございますが、改組に当たりましても、支払基金の審査支払機能を適切に維持することが前提ということにしたいと考えております。
 その上で、次の2つ目の○でありますけれども、ここに書いてあります3点について留意して、組織体制の見直しを行うということにしてはどうかと考えてございます。
 次の3ページでございます。法人の目的・業務の見直しでございます。
 (1)が法人の目的でございます。現在の支払基金法の第1条に法人の目的規定があります。現行ではここに書いてありますような3つのポツの内容が規定されてございます。ここで現在医療DXに関するものは読めないということになっておりますので、新たに今回第1条を改正いたしまして、2つ目の○の黒い太字になっているところ、医療DXの推進をしていくということ、また、その基盤の整備・運営を担うという旨を法律に規定したいと考えております。
 (2)が法人の業務でございます。支払基金法第15条には、法人が担う業務が列挙されてございます。現在でも支払基金は電子処方箋管理サービス、医療情報化支援基金といった医療DXに関する業務を行っておりますけれども、こうした業務というのは先ほどの第1条の目的以外の業務ということでありまして、支払基金法ではなく別の法律であります地域医療介護総合確保法に支払基金の業務として規定されてございます。今回、医療DXの実施主体とする上で、先ほどの第1条の目的規定の改正と併せまして、現在実施している医療DXの業務、またはこれから支払基金が担います電子カルテ情報共有サービス等の新たな業務についても、支払基金法本体に規定することとしたいと考えております。
 最後の○ですけれども、ただ、その場合におきましても、今後支払基金がどのようなDX業務を実施していくかというのは、1つずつ内容ですとか性質、また、関係者とも協議をした上で決めていくということでございます。
 それから、次の4ページをお願いします。医療DXに関する国のガバナンスを適切に発揮する方策の一つとしまして、今回新たに国が「医療DX総合確保方針」を定めまして、それを受けて支払基金が「医療DX中期計画」を定めることとしてはどうかと考えております。これら2つについては法律に位置づけることとしたいと思っております。
 この両方につきましては、資料下の赤い枠囲みの中にどういう内容を記載するかというのを書いてございます。総合確保方針につきましては、国や支払基金、国保中央会等の関係主体が取り組むべき事項、それから、医療DX中期計画に盛り込むべき事項などを規定したいと考えております。
 それを受けて策定します中期計画におきましては、総合確保方針の実現のための目標、取り組むべき年度ごとの具体的な事項、組織体制、人材確保、財務などを規定する。この計画につきましては、厚生労働大臣の認可を受ける。また、その実績についても厚労大臣が評価をするということにしたいと考えてございます。
 次の5ページでございます。支払基金の組織体制の見直しでございます。
 こちらにつきましては次の6ページで御説明をさせていただきたいと思いますので、6ページをお願いいたします。
 右側に現在の支払基金の体制、左側が改組後の案ということでございます。
 右側の現行のところですけれども、現在は16人で構成する理事会が最高の意思決定機関としてございます。これにつきまして、(仮)でございますけれども、左にあるような運営会議を新たに設置することとしたいと考えております。人数につきましては、現行の理事会の半数程度にしたいと考えております。ここに書いてありますような学識経験者、被保険者、保険者、診療担当者で構成することとし、保険者の中には、地方関係者の参画を得るという観点から、地域保健、地域行政の立場を代表する方を含めることとしたいと考えてございます。
 この運営会議の所掌ですけれども、ここに書いてございますが、役員の選任・解任、予算・決算、支払基金の定款・事業計画の作成・変更、先ほど出てきました中期計画の策定など、重要事項の議決をする機関ということでございます。
 その下に執行部というのがございます。これは現在も右側にも同じような薄いグレーの四角がございますが、常勤の役員としまして理事長、専務理事と常勤理事2名がおりまして、総務を含めた業務執行の主な部分を担ってございます。ここに新たに医療DXを担当するCIOという立場ですけれども、常勤理事1名を加えて、全部で5名の体制にしたいと考えております。
 その下に、さらに審査支払を主に担う組織として審査支払運営委員会、これは現行の理事会と同じ構成で御議論いただく組織を設けたいということであります。
 それから、医療DXの推進体制につきましては、資料中ほどの黄色い四角のところですけれども、運営会議での意思決定を受けまして、理事長、CIOなどを中心として業務を執行していく体制を新たに整備したいと考えてございます。
 続きまして、7ページでございます。サイバーセキュリティー対策、法人の名称の見直しでございます。
 (1)のサイバーセキュリティー対策ですけれども、支払基金が全国医療情報プラットフォームの中核的役割を果たすといったことも踏まえまして、重大なサイバーセキュリティーインシデント、または情報漏えい等が発生した場合の厚生労働大臣への報告義務を新たに設けてはどうかと考えてございます。
 それから、(2)法人の名称でございます。改組後の新たな法人の名称につきましては、審査支払業務と医療DXの業務の2つを担うという法人であることが分かるような名称を検討していきたいと考えております。また、医療DXに関して有能なシステム人材を確保できるような、DXの実施主体としてふさわしい名称とすることも検討していきたいと考えてございます。
 資料の説明は以上です。よろしくお願いします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等がございましたら、挙手にてお願い申し上げます。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いでございます。
 では、まずは横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
 説明ありがとうございました。新しい時代のDXを支払基金を中心にこの分野でも図っていこうというこれまでの方針を確認しつつ、それを戦略的にやっていこうということで期待しているところでございます。
 その上で意見を申し上げたいと思います。
 一つは、2ページ目に今後の留意点として3点書いておられまして、2つ目で行政の肥大化にならないように、3つ目でより一元的な意思決定が可能となるようにということが書かれています。そのことを考えますと、より効率的なマネジメント、経営というのがとても大切だと思っているところです。
 例えばピーター・ドラッカーという経営学者がおられますけれども、有名な著書の一つに『非営利組織の経営』というのがあって、ミッション、リーダーシップ、マネジメントをしっかり持って経営することが重要だと名著として書かれています。特に福祉とか医療機関の方々で高く評価されている方も一部あると聞いていますけれども、まさにこの分野に精通するものと思いますし、我々行政で扱っているわけですけれども、行政も似たようなところがあります。そういった意味では、行政の肥大化につながらない、無駄な仕事をしない、できるだけ効率を上げていく。そういった改革を常にできるようにぜひ取り組んでいただきたいなと思います。
 これはあくまで参考ですけれども、日本の医療行政や医療福祉に関する行政のシステムや制度について詳しい方とお会いして話をしていると、問題提起で逆に私に聞かれたのですけれども、不思議なことに日本には同じようなことをやっている組織機構が2つあって、この支払基金という現状の体制と国保中央会です。それぞれ発生が違いますので、両方を批判する気は私は全くありません。ただ、海外の目から見ると、同じような仕事を2つやっていて本当に効率的なのかなという疑問符を投げられましたし、併せて各都道府県別にもそれぞれありますので、本当に多くの仕事、ワークロードがそれぞれ重複していないだろうか。もっともっと効率的な経営ということを考える視点から、こういったことの改革も必要なのではないかなという問題提起を受けたところです。ぜひこういった視点も踏まえながら、今後のこのDXを進めながらやっていくことをぜひ期待したいなというのが1つ目でございます。
 それと、改組後、改組前というのが資料に出ているのですけれども、地方自治体の皆さんから見ると、我々首長は首長であると同時に、片や保険者の代表、責任者ということもありますので、地方の現場でいろいろな事情がありますけれども、ぜひそのことを理解している、または一緒に格闘している首長なり、その関係者の方にしっかりヒアリングされるか、あるいはメンバーに入れるか、そういったところの御配慮も今後必要ではないかなと感じましたので、意見として申し上げたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
 基本的に、事務局がお示しになった見直しの方向性に異論はございません。審査業務に支障の出ないよう、また、被保険者や事業主に新たな負担がかかることのないよう進めていただければと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 医療DXの推進に関して、資料の2ページにあります「支払基金の改組に関する基本的な考え方」については全く異論はございません。医療DXの推進は言うまでもなく大変重要でございますので、国としてもぜひ強力に進めていただきたいと思います。
 その上で、何点かコメントをさせていただきます。
 この改組に当たっては、「医療DX関連業務への国のガバナンスを発揮する体制とする」こと、その上で、3ページにございます法人の目的として掲げられた、「医療DXの推進によって、医療の質の向上、医療機関・保険者等の業務効率化等の医療の効率的な提供に資する」ことは非常に重要であると思っております。
こういった目的を達成するためには、本日の資料の5~6ページに記載されている運営会議の果たす役割は大変大きいと思います。一般企業における取締役会に相当する機能であり、役員選任、予算・決算など、人事面、財務面も含めた事項を幅広く所管することになると思いますので、医療DXの推進に特に関連する保険者や医療界の考えをしっかりと反映できる構成としていただきたいと思います。
 また、従来支払基金が担ってきた審査支払業務は、保険者の委託により保険者が費用負担を行う形で運営されておりますが、今回の改組によって新たな業務が加えられるということになりますので、国も含めた費用負担の在り方についてもこの機会にぜひ検討いただきたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
 1点はコメントで1点は質問であります。
 まずコメントのほうですけれども、今回の見直しは、これまで診療報酬支払基金が果たしてきた審査支払という非常に重要な、私の理解ではハブ機能的なものだと思っておりますけれども、そこに医療DXのハブ機能が加わるということで、非常に意義があると考えております。
 そして、法人類型としては特別民間法人であるということからすると、やはり運営の自主性と特別という名称が表しているのは恐らく公共性ということだと思いますので、その辺りのバランスが今後どうなっていくかということが重要だと思っております。
 その点で今回の案を拝見しますと、運営会議の下に四者構成の審査支払運営委員会が医療DX推進体制とは隔離された形で設置されているということから、これも一つの知恵なのだろうと思っております。
 その上で質問なのですけれども、6ページの図にあります医療DX推進体制というところは、左側は運営委員会と委員会構成なのですけれども、ここは委員会と言わずわざわざ推進体制となっているのは何なのだろうと。委員会的なものを考えておられるのか、はたまた違うものなのか。意思決定と書いてあるところから見ますと、意思決定機関のようにも取れますし、その辺りを教えていただければと思います。
○田辺部会長 この点、いかがでございましょうか。お願いいたします。
○西川企画官 医政局でございます。
 6ページの黄色の医療DXの推進体制ですけれども、こちらはどういった形でつくっていくかはもう少し検討をさせていただきたいと思っております。左の審査支払運営委員会のような委員会体制とすることも考えられると思いますし、また、構成もここに理事長、CIO等と書いておりますけれども、ここももう少し関係者の御意見を聞いて、実際に恐らく定款等でこれは明らかにしていくことになると思いますけれども、その中で検討していきたいと考えております。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○伊奈川委員 結構です。ありがとうございます。
○田辺部会長 それでは、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
 今回、基金の抜本改組ということですけれども、基本的に皆様方の認識はどうなのかなと思う点もありますが、従来の審査支払機関としての適切な審査、そして、迅速な支払いという業務の上にアドオンした形で新たにDXの推進の役割を課せられるということですので、基本的には現在一部確保基金法において行っている業務は支払基金にはございますけれども、業務としては基本的には全く違う業務を行う組織であるという認識を持っていただきたいなと思います。
 その上で、これは1点要望なのですけれども、今お話ししたように、従来の基金の業務というものは七十数年にもわたって行ってきており、それも安定的に行ってきていただいておりますので、医療機関との信頼関係もかなりできているという非常に重要な業務であると思います。
 一方、このDXの推進という業務もこれから欠かせない役割になると思いますので、法人の名称を変えていくというのは大変難しい作業になると思いますし、なおかつ全く異なる業務内容をいかに名称の中に織り込んでいただけるのかということに関しては非常に難しいと思いますけれども、厚労省としてはその辺りをしっかり踏まえた上で名称を考えていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、根本参考人、よろしくお願いいたします。
○根本参考人 ありがとうございます。
 今回お示しいただいた社会保険診療報酬支払基金の抜本改組につきましては、医療サービスの効率化、質の向上に向け、医療DXをより強力に推進していくための取組であると認識しております。
 その上で、保険者の立場から発言をさせていただきます。これまでの医療保険部会においてもお願いをしているところでございますが、社会保険診療報酬支払基金の新たな体制にかかる費用を含め、医療DXに関する組織や様々なシステムの構築、運用等における費用負担について、負担の在り方の全体像を示した上で、関係者と丁寧に調整しながら検討を進める必要があると考えます。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
 3点意見を申し上げたいと思います。
 1点目は、組織の体制の見直しに当たりまして、運営会議の中に被保険者も含まれておりますけれども、人数など具体的な部分はこれからの検討かと思っております。被保険者の声をきちんと反映できる運営体制にしていただきたいと考えております。
 また、国のガバナンスを発揮するとございますけれども、支払基金は特別民間法人ですので、その主体性が損なわれないようにすることも必要ではないかと考えております。
 2点目ですが、支払基金というのは被用者保険の支払審査という重要な機能を担っております。そこに今回医療DXの業務が追加されるということになれば、今後の人員体制や人材育成がどうなっていくのかということについて、対応する現場の課題もあるかと思いますので、運営に関わる関係者の合意形成というものは重要ですが、それだけではなく、組織の見直しの当事者である労使が十分に話し合い、協議ができるよう、前広に情報を提供し、十分コミュニケーションを図っていただきたいというお願いでございます。
 3点目は名称について、先ほど城守委員からもございましたが、医療DXだけではなく、審査支払業務を担ってきた歴史を尊重した適切な名称にしていただきたいと考えております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。薬剤師会の渡邊です。
 今回の改組案に関しましては、今までの組織の上に非役員の運営会議が設置された上で重要なことが決定されていくというような組織体になっていますが、その上で、現行の業務に関してはもちろん支障が生じないように対応していっていただきたいと思います。その上で、1点お願いですが、この組織でDX関連業務をどのように実施するかを判断していくと書かれていますので、ここに関しましてはぜひどのような経緯でのように判断されていくのか、どのような部分は実施してどのような部分はしないのか等のことに関しては、併せて、適宜、本部会にその進捗の報告はしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、大杉委員からよろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
 今回示されました支払基金の抜本改組につきましては、2ページに記載がございますように、組織体制の見直し後においても審査支払機能が適切に維持されることが大前提であり、その独立性が引き続き確保された上で、新たに担うことになる医療DX関連業務について、政府のDX推進施策が支払基金の意思決定に迅速かつ適切に反映できるよう、国のガバナンスが発揮できる正常の対応をお願いしたいと思います。
 また、医療DXを推進するに当たり、今後、支払基金が実務上中心的な役割を担っていくと思いますけれども、基金の組織改革や職員等の削減により、支払基金の本来業務である審査支払業務に支障が出ないよう、人材をしっかりと確保していただきたいと思います。
 最後の重要事項の議決を行う仮称運営会議では、診療担当者等の意見がしっかりと反映される体制づくりをお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
 医療DXの推進に当たってこうした方向性が実現していくことは大変うれしいことで、進めていくべき話だと認識しております。
 その上で、今回につきましては、私どもが非常に深く関わっております支払基金にこの機能を加えるという構想でございますので、6ページにあります点につきましてコメントをさせていただきたいと思っております。
 審査支払業務自体が、先ほど申しましたように保険者の業務と深く結びつきがありますので、今後医療DXの推進を進めるに当たりましても、我々保険者にとって非常に重要な役割を果たしていくと認識しております。我々の業務等も関連しながら取り組まれていくという前提においては、現行の理事会に代わる新たな意思決定機関である運営会議におきましては、我々も含め、支払基金の審査支払業務にも医療DXにも深く関係する保険者をはじめとしたステークホルダーが運営会議に参画し、その意見を適切に反映できる構成としていただきたいと思っております。
 その下の審査支払運営委員会については現状同様と書いてございますので、ここについてもよろしくお願いしたいと思っております。
 また、これまで審査支払業務は保険者が費用負担を行う形で運営されておりますが、今後新たに医療DXの業務が加わることを踏まえまして、今後の基金の組織運営のコスト負担の在り方についても、この機会にぜひ検討を進めていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 皆様方から頂戴した御意見でいいますと、名称をどうするかという大問題、それから、特に医療DXの推進体制に関わる組織の形、費用負担というような今後の課題というのが御提示されたところではございますけれども、ここで示された全体の方向性に関しましてはおおむね御賛同いただけたという認識でございます。このような認識でよろしゅうございますでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございました。それでは、この形でさらに進めていただければと思います。
 本議題についてはこれまでとしたいと存じます。
 それでは、次に進めさせていただきます。「医療等情報の二次利用に係る現状と今後の対応方針について」を議題としたいと存じます。
 事務局から資料の説明をお願いいたします。
 では、よろしくお願いいたします。
○西川企画官 医政局でございます。
 それでは、資料2の医療等情報の二次利用に係る現状と今後の対応方針について御説明させていただきます。
 資料の2ページでございます。こちらはDXの推進に関する工程表、また、規制改革実施計画の抜粋でございます。医療等情報の二次利用の推進につきまして必要な論点について整理し、検討するとか、または所要の制度の運用の整備、情報連携基盤の構築等を検討していくといったことがこうした政府の決定の中で定められております。
 次の3ページは今年の6月の骨太方針2024の抜粋でございます。
 真ん中の赤字のところでございますけれども、新しい医療技術の開発、創薬等のために二次利用する環境の整備、または公的データベースの利活用を促進する、研究者や企業等が質の高いデータを安全かつ効率的に活用できる基盤を構築するといったことが規定されてございます。
 次に7ページまで飛んでいただきまして、今後の対応方針案でございます。
 今回御議論いただきたい点でございますけれども、今申し上げました政府の決定などを踏まえまして、この医療分野のイノベーションをさらに進めるために、二次医療等情報の維持活用を推進していく。そのために、ここにありますような現状・課題に対応して、今後右側の対応方針を取っていきたいと考えてございます。
 主に3点ございます。まず1つ目は、カルテ情報に関する二次利用可能なデータベースを構築していくということでございます。我が国では、二次利用可能なカルテ情報に関する悉皆性のあるデータベースがないということが指摘されてございます。
 これに対応しまして、右側の黄色いところですけれども、現在構築しております電子カルテ情報共有サービスで共有される電子カルテの情報、まず3文書6情報を収集して共有していくということですけれども、これについて、個人を特定できない形にした上でデータベースをつくって二次利用を可能としていくということにしたいと考えております。
 それから、2つ目が真ん中でございます。こちらは仮名化情報の利用・提供でございます。これまで我が国ではNDBや介護DBなど厚生労働大臣のデータベースにおいて、匿名化した情報の利活用を推進してきたところでございます。一方、諸外国では、匿名化情報だけでなく、より多くの情報を利活用できる仮名化情報の利用が既に可能となってございます。また、我が国におきましても、昨年の次世代医療基盤法の改正によりまして、今年の4月から一定の枠組みの下で仮名加工医療情報の利活用が始まっているところでございます。
 そうしたことも受けまして、右側の真ん中の黄色の箱ですけれども、厚生労働大臣が持つ医療・介護の公的データベースにおいて、これまでの匿名化情報に加えまして、仮名化情報の利活用を可能にし、臨床情報のデータとの連結解析も可能としていくということとしてはどうかと考えてございます。
 それから、3点目でございますが、こちらはデータの利活用環境でございます。現在、公的データベースの利用環境としましては、物理的な閉鎖空間を求めるなど、研究者の負担が大きいといったことが指摘されています。また、各所管部局が異なっておりまして、それぞれに申請をするといった申請手続の煩雑さも指摘されているところでございます。
 こうしたことを受けまして、右下ですけれども、厚生労働大臣の持つ公的データベースにつきましては、研究者や企業がリモートアクセスをして一元的に解析などを行うクラウド環境の基盤を構築してはどうかということでございます。もう一つが、利用申請手続についてもワンストップ化をする。また、利用の審査の体制についても、現在はデータベースごとに設けられておりますけれども、これをなるべく一元化していくということとしてはどうかということでございます。
 次の8ページでございますが、今申し上げたものをイメージにした図でございます。真ん中の上に、現在構築中のものも含めまして、厚生労働大臣の持つ医療・介護のデータベースを絵にしてございます。右から2つ目の電子カルテデータベースにつきましては、今後構築していきたいということであります。
9ページでございます。今申し上げた内容の詳細を記載してございます。
 9ページの下の対応方針案のところでございます。レセプトデータ、DPCデータ等につきまして、適切な審査を行う。また、厚生労働大臣、研究者等の利用者が守るべき保護措置などを適切に定めた上で、仮名化情報の利用・提供を可能としてはどうかということでございます。また、こうした仮名化情報につきましては、他のデータベースの仮名化情報、また、次世代医療基盤法の仮名加工医療情報との連結解析も可能としてはどうかということでございます。
 それから、10ページでございます。こうした仮名化情報の利用・提供に当たっての保護措置などの具体的な対応を整理したものでございます。
 仮名化情報につきましては、匿名化情報よりもより多くの情報が含まれております。それ単体では個人が特定できないという点は同じでありますけれども、より多くの情報が含まれていることから、匿名化情報よりもより厳格な措置を講じた上で利活用できるようにしていくということにしたいと考えております。
 具体的な内容をここに主に3点に分けて書いてございます。
 まずデータベースの管理でございます。仮名化情報を利用・提供していくデータベースにつきましては、そこに格納するデータにつきまして、氏名などを削除するなどの措置を講じて、本人が特定できない状態にしたいと考えております。その上で、このデータベースにつきましては、個人情報保護法上、個人情報を保有するのと同等の安全管理措置、または不適正利用の禁止、職員の義務などの措置を講じていきたいと考えております。
 それから、真ん中の利用の場面・目的でございますけれども、現在の匿名化情報の利用と同様に、相当の公益性がある場合にのみ利用・提供を認めるということであります。特定の商品のマーケティングなどには利用してはならないということを法律に位置づけたいと考えております。その上で、仮名化情報については、仮名化情報が真に必要と認められる場合に限定するということで、匿名化情報で研究目的が達成できる場合には匿名化情報を利用していただくということにしたいと考えております。その上で、情報の加工基準、審査基準につきましては今後検討し、ガイドラインを整備し、仮名化情報を実際に提供していく上では、利用目的またはその内容などを適切に審査していく体制を整備していきたいと考えております。
 最後、利用者の保護措置でございます。先ほど申し上げましたクラウド環境の整備につきましては、研究者等の利便性向上だけではなくて、安全性の向上という点でも非常に重要と考えてございます。クラウド上での利活用、解析をしたログなどが残りますので、それを日常的に監視・監督するという体制を設けたいと考えております。また、基本的にクラウド上でのデータの解析にとどまりますので、研究者などにデータそのものを渡さないという点でも安全性が向上するものと考えております。
 また、匿名化情報と同様に、利用者には照合の禁止、データの消去、安全管理措置、不適正利用の際の罰則などを設けることとしたいと思っています。
 さらに、匿名化情報よりも、より厳格な管理を担保するために、厚生労働大臣から利用者に対する措置要求の義務ですとか、利用者に対しては従業者の監督義務、罰則などを上乗せで設けるということにしたいと考えてございます。
 最後の11ページでございます。今申し上げましたクラウド等の基盤につきましては、セキュリティーの要件、また、どのような機能を持たせるべきかなどにつきまして、引き続き有識者の意見を聞きながら検討していきたいと考えてございます。
 また、利用申請の手続、審査体制の一元化につきましても、引き続き厚生労働省におきまして各データベースの実情、また、審査体制を踏まえまして、引き続き検討を進めていきたいと考えてございます。
 資料の説明は以上です。よろしくお願いします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
 では、藤井委員、お願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
 我が国は海外と比較して医療DXが遅れており、そのことが創薬力の低下や効率化の遅れにつながっていると言えると思います。医療DXが遅れれば遅れるだけ、国民の健康・命が脅かされると言っても過言ではございません。個人情報保護や情報保全は当然のこととして、本取組を迅速かつ強力に進めていただきたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、横本委員、よろしくお願いいたします。
○横本委員 経団連の横本でございます。
 資料にありますとおり、医学・医療分野のイノベーションを進めて、国民・患者にその成果を還元していくために、二次利用の推進は重要であると考えております。イノベーションの発展という観点から産業界にもインパクトのある事項でございますし、注目も高く、適宜法案提出の前のタイミングを含めまして、適切に情報提供、相互連携の機会を持っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、中村委員、よろしくお願いいたします。
○中村委員 ありがとうございます。
 まず、今検討されていることはどれも非常にすばらしいことだと思いまして、まずカルテ情報の二次利用、それから、仮名化情報の利用を可能にする。それから、データ間の連結、リモートアクセス、申請・審査の一元化、各研究機関での審査は必ずしも求めないということですね。これは、やはり審査の負担というのが大学に非常にかかっておりまして、そのため、非常に審査の時間がかかってしまって、結局研究者の負担が重くなるということもございます。それから、あまり内輪の審査になってしまうと、どうしても利害関係があって、審査の独立性ということも必ずしも担保されないので、各研究機関の審査を求めないということは非常によいのではないかと思いました。
 1つお願いしたい点は、仮名化情報によって患者を長期間追ったり、データを連結して利用したりはできるようになるということなのですが、供給者の情報というのがなかなかこういうデータで利用できないことがありまして、例えば医療機関であるとか医師とかが特定できると非常にいろいろな研究ができるようになるのですが、それが現時点ではできないです。医師を特定するとなると、それはなかなか大変かもしれませんし、小さい医療機関を特定してしまうと、それもまた匿名化・仮名化しても患者が特定されやすくなるということがあると思うのですけれども、例えば非常に大きな病院だけでもどこの病院か分かるようになれば、非常に様々なことが明らかになると思います。
 例えば医療機関の閉鎖とか、お産を扱っている部門の廃止のようなことがアウトカムにどういう影響があるか。死亡率とか健康状態ということにどういう影響があるか。それから、医療費とか周辺の医療機関での医療利用にどういう影響があるかということを調べたくても、医療機関の情報がないとなかなか難しいわけです。
 それから、新しい非常に高額な医療技術というのがどんどん出てきて、それがどういうふうに広がっていって、広がっていくにつれてアウトカム、健康状態とか死亡率、それから、医療費とか医療利用にどういう影響があるかということを見たいわけですけれども、その場合にもやはり医療機関が特定できないと、どういう医療機関なのかという情報がないと十分な分析ができないということがございます。
 ですので、もし可能であれば、供給者の情報が利用できるようになるということもぜひ御検討いただければと存じます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 ありがとうございます。
 仮名化情報と匿名情報は、なぜ2段構えにしているかというのがいまいちよく分からない。もちろん個人情報の問題があるかと思うのですが、匿名情報の場合、私の聞いた御説明では、いろいろな情報がそのままではなくて、ある程度幅を持って提供されているという感じですね。そうすると、なぜ仮名化情報一本にしてはまずいのかということです。つまり、個人がトレースできないように慎重に配慮するということだったので、なぜこういうことをするのか。あるいは2段構えにすることによって、審査する側の負担も非常に増える。どこまでが仮名化情報でどこまでが匿名化というのは分からないので、この辺はどうなっているのか。そして、諸外国ではこういうようなデータの扱いはどうなっているのかということをお聞きしたい。
 それから、もう一点はお願いなのですが、マイナンバーカードでいろいろなことがどんどん進んでいってしまって、利用者としては大変な状況になっているのですが、診療所、あるいは病院などに行ったときに医療情報を提供しますかというところに「はい」と自動的に押してしまっており、その意味を理解していない人が多い。この辺のところを利用者にきちんと伝えてほしい。医療情報が伝わるということは、結果としてこれがどう使われるのかということをきちんと伝えていただきたい。自動的にぽんぽんぽんとカードリーダーで押してしまわないように、その辺のちゃんとした情報提供もお願いしたいということでございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 1点御質問がございましたので、回答をよろしくお願いいたします。簡単に言うと、匿名と仮名はどう違うのという話だと思います。
○西川企画官 ありがとうございます。
 匿名化データと仮名化データの違いにつきましては、参考資料の17ページにイメージをつけております。これはあくまでも一般的な違いということでありまして、実際の加工の程度についてはその時々の研究内容に応じて変えることがあるわけですけれども、先ほど委員がおっしゃったように、匿名化情報については、17ページの上にありますように、体重を一定の幅で出すですとか、血圧なども非常に特異な値がある場合には丸めて、ここでは201以上となっていますが、そういった形にして出しています
 これは、匿名化情報というのが、それ単体では本人が特定できないことはもちろんですけれども、どのような情報とぶつけても本人が特定できないようにするということになっておりますから、こうしたようなデータの削除や加工が行われているということでございます。
 一方で、仮名化情報につきましては、資料の一番下にありますように、氏名などは削除または置き換えたりして個人が特定できないのですけれども、基本的に体重や血圧等のデータについてはそのままの状態でお出しするということでございます。
 外国との違いということでありますけれども、外国では日本のようなこういった匿名化、仮名化という分類は厳密ではないところがございます。むしろ個人情報とそれ以外の情報というような形で分類されているところが多いと思っております。個々の研究内容に応じてどこまでの情報を出していくか、出さないかというのはそれぞれで判断されていくというのが外国の実態かと思っております。ですので、外国では研究内容に応じて今お示ししているような仮名化情報の利用が既に行われているというのは、今申し上げたとおりでございます。
 以上でございます。
○田辺部会長 袖井委員、よろしゅうございますでしょうか。
○袖井委員 はい。ありがとうございます。
 では、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
 この医療等情報の二次利用に関してですが、資料の8ページにお示しいただきましたとおり、医療・介護のデータベースの利用促進の方向性については、まずは情報の連携基盤を一元的に整備するということによって、研究者等においてもより安全に利活用ができる環境が整うということは望ましいものですし、また、事務局のほうから説明がありましたように、利用申請者の受付、利用目的等の審査を一元的に行う体制の整備ということも、研究等で利用する者にとってみては望ましい体制整備ということであろうと思います。
 ただし、今も若干お話はあったかもしれませんが、仮名化加工の医療情報というのは、匿名加工の医療情報に比べて研究者サイドから見ると確かに利活用はしやすいということがあるわけですが、反面、個人特定のリスクは相対的に高くなってしまう。いわゆるデータの復元が他の情報とすり合わせることによって可能になるというのが仮名加工のデメリットといいますか、リスクがあるという点でございます。
 この利活用者の視点になりますと、これをどんどん進めていっていただくということは大切ではございますが、御自身の機微な医療情報、医療情報というのは遺伝的な問題も含めて非常に機微な情報となりますので、これを提供する患者さんや国民の視点からという形の議論を一緒に行わないと、なかなかスムーズには進まない可能性が出るという認識をやはり持たれるべきであろうと思います。
 その観点からも、まずは各データベースにおいて利活用の方法をそれぞれの所掌する審議会や検討会でばらばらに検討するということではなくて、まずは先行して利活用が進められてきたNDBにおいて、特にこの医療分野における仮名加工の医療情報の実践的な利活用の基本的な考え方をまずここでしっかり固めていただくということが必要になると思います。
 それに関しては、9ページから10ページに書いてございますデータベースの管理や保護措置等に関する具体的な対応については、懸念な点等も含めて議論すべきポイント等を一定程度まとめておりますが、こういうことをまず体制を整備するときに当たってしっかりと整えていただいて、さらには審査の委員会が設置されることもありますので、審査の体制においてどのような形の議論をしていくことが必要になるのかという辺りも含めて、丁寧にしっかりと御議論をしていただくということが必要になると思います。
 ですので、今後様々な検討会を設けて、それにおいて議論されるのであろうと思いますけれども、そこで今お話ししたようなことをしっかりと議論していただきたい。さらには、利活用者のみならず、医療現場または国民とか患者さんにも公的なデータベースの利活用についてどういうことなのかということを丁寧に説明を重ねて、十分な理解と安心感を得ながら進めていくということをしないと、やはりなかなか難しい問題もあろうかと思いますので、この点に関しても強く要望いたしたいと思います。
 私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、島委員、よろしくお願いいたします。
○島委員 ありがとうございます。
 医療DXの推進を行っていく上では、データの二次利用というのは診療の質の向上に大きなメリットがあると考えております。ここに示されておりますように、匿名化情報に加えて仮名化情報を利用すること、さらにデータを連結解析できるようにするということに関しては賛成でございます。また、クラウド上でのVisiting解析環境での利用というのが基本だということは非常に重要なことだろうと思います。
 ただし、城守委員が今発言されたように、個人情報の保護とかシステムのセキュリティーに関しては十分配慮をしていただければと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
 医療情報、いろいろ個人情報の扱いとか、今話題になっているいろいろなセキュリティーの問題とかもあるのですけれども、例えば振り返って通常一般の感覚で考えてみましても、坂本龍馬が活躍した時代、太平洋戦争の前後の時代、その後、昭和、平成、令和となっているのですけれども、本当に医療は進んできていると思うのです。かなり前だったら、開腹して、手術室で格闘して、その後縫合されて出てきて、その後のケアは物すごい時間がかかる。でも、今は腹腔鏡手術で本当に1週間ぐらいで退院できるとなっていますし、また、そこに至る経過の中で、人間ドックや様々な検査で事前に血液検査をベースとして、あるいはがんの腫瘍マーカー等をベースとして、こういうケアがいいよ、こういう対策がいいよということをできるようになっているわけです。そのことで我々は、私自身も年に1回人間ドックで健診を受けています。これは車の安全走行で例えると、いわゆる車検みたいなもので、この1年は一応大丈夫ということでまた頑張っていくのです。多くの方々も同じように自らの健康のチェックの結果とか、あるいはドクターの先生方の御指導とか、あるいは専門医の方々のアドバイスを聞きながら、自分の健康を大切にされていると思うのです。
 そのベースの中に、実は患者情報や、数年間を経て確認をされた健康や医療の情報などの蓄積があり、そのことを基にした新しい医療ケアの在り方ということを専門家の方々が研究されて、いろいろな手だてが今までされてきたと思います。例えば病の発症のときどう対処したらいいのか、あるいは必要な手術はどのようなタイミングでどこをどう扱ったらいいのか、術後のケアはどうしたらいいのか、あるいは健康チェックデータ、先ほど言いましたようなことをもっともっとより細かく分析したらどうなるのか。こういったことは本当に大切な情報になっていくと思います。このことのベースにこの医療情報があると思っているところです。
 そういった意味では、このことの意義をより多くの方々によく知っていただくことと、有効な機能ということを認識していただけるようなことも必要かなと思っています。例えば全国にがんセンターという基幹病院がありますけれども、かなりの方々が自らのがんの症状や状況に関して、研究にも資するということにほとんど同意されていると思います。その情報を医療の新たな研究のためにあなたのデータを活用させてくださいということで承諾をしますよね。もちろん個人情報の保護が前提で、そういった形の中で蓄積されて、それがよりよく活用されていると思うのですが、こういったセキュリティーをしっかりした上で、個人情報の扱いについてもケアをしながら、そして、医療の進展のために十分に活用していこうという志のある方々もおられるわけで、そういった方々の本当に大切な基礎になるものがこの医療データだという認識も持っているところです。こういったことも二次利用の中の大きな役割だと思っています。
 ぜひこういったことを、一方では教育機関を通じてなのかも分かりませんけれども、教育の中に今ICTが進んできて、ICTのリテラシーはどんどん進もうとしていますが、一方ではこの会議でもよく話題になっている健康や医療のリテラシー、そういったことも啓発していくことが、この医療情報の二次利用についてより多くの方々が正しく理解されたり、「よりよい方向に向かうために理解して後押しをしよう」とか、「自分も協力していいよ」など、そういったことも片方でしていくことがとても大切かなと改めて感じているところです。
 説明のあったワーキンググループについても、ここの資料に出ていましたので、そのホームページで拝見させていただいて、特に興味があった「諸外国の取組について」の項目を含む今年の1月11日の議事録とか、添付資料も拝見させてもらいました。そこで個人的にも感じたのは、もうちょっと図示してもらうと分かりやすいなということとか、事例としては英国と米国、あと、EUとかが出ていました。添付資料ではフィンランド、フランスも出ていました。ほかの国々でももっともっとやっているところはあると思うのですけれども、それらをよく整理していただいて、より分かりやすく図示するとか、一般の方に分かるような提示をするとか、そういったこともぜひしていただくといいと思います。3番目のテーマの中にもそういった分かりやすい図示をした医療費助成のことがありますけれども、まさにそういったことも一方では取り組んでいただきたいと感じています。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかに。
 伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
 今回のお話を聞きまして、かなりEUのEHDSと言うのでしょうか、規則案を参考にしている部分もあるなと思って見ておりました。EUの規則案を見ると、やはりきっかけとしては一つはコロナの感染の拡大、そういった中での医療情報の重要性が認識されたということに言及されていて、我が国の場合も決して例外ではないのだろうと思いました。
 そして、もう一つEUの規則案を見て思いましたのは、今回は利用ということがかなり前面に出ていて、その後に保護ということが入っていますけれども、EUのほうを見ると、やはり利用と保護というのは車の両輪の関係だというような立てつけになっているわけでありまして、そういう点で言いますと、EUの規則にもあるような自己情報に対するコントロール権といった話も含めて、その上での二次利用だというようなところは常に意識しておく必要があるのだろうと思いました。
 また、ガバナンスという点も非常に注視されておるわけでありまして、今回、仮名化情報の連結解析といったようなところについても、10ページを拝見すると、ログの管理などを通じて担保するというようなことだと理解しておりますけれども、やはり国民的な理解、そして、周知ということが重要かなと改めて思いました。
 以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
 今回示されております医療等情報の二次利用の方法につきましては、先ほど事務局からございましたように、参考資料の17ページ以降に分かりやすく示されておりますけれども、従来の匿名化情報ではなく仮名化情報として活用することで、様々な情報がひもづけされることで、研究分野等での期待が大きいということは理解をいたしました。
 しかし、一方で城守委員、島委員等から御発言がありましたように、医療等情報における患者情報や医療機関等情報は非常に機微な情報であり、何らかの原因で患者さんに不利益なことなどが起こり、国民の医療情報が活用されることへの不安や不信感など出ることがないように、十分な配慮をお願いしたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。薬剤師会の渡邊です。
 データの二次利用に関しては、我が国の皆保険制度である特性を生かした部分に関してはNBD等がありますが、臨床の情報においても悉皆性のある公的データとして連結解析していくということは、医療の進展等に大変寄与していくのではないかなということで賛成しています。
 その上で1点だけ質問なのですが、スライド8のところに全体を連携させた部分での審査委員会が書かれているのですが、審査体制については先ほど城守先生からもあったのですけれども、データベースをまたがって、仮名化情報等で連結して使用していくことをこの審査委員会で判断していくことになるかと思いますが、この審査委員会に関しては、審査委員等を含めた審査の体制であったり、組織編成のビジョンという部分があったら、現段階で分かっていればお教えいただきたければと思いします。
○田辺部会長 では、この点、御回答をよろしくお願いいたします。
○西川企画官 医政局でございます。
 御指摘のとおり、この仮名化情報の提供、または連結をした場合の解析については、この審査委員会での審査をしていただくことを考えております。
 この構成につきましては、今後の検討でございますけれども、現在も行われていますNDBや介護DBでの審査につきましても同様に審査委員会があり、そこで行われております。そこには保険者の代表の方、診療側の代表の方ですとか、あとは研究者の方、それから、一般の国民の立場を代表する方が入って審査をしていただいていますので、こういった現行の体制もベースに考えていきたいとは思っております。
 ただ、データベースごとに、あるいはがんとか難病とかそれぞれの専門分野がありますので、そうした専門分野の方々の有識者の御意見もしっかり反映できるような一元的な体制をつくっておく必要があると思っておりますので、引き続き検討していきたいと考えております。
○渡邊委員 ありがとうございます。
 それぞれのデータベースだけでの今までの審査とは違って、データベースをまたがって審査していくということになりますので、ぜひその辺の連結させたデータの解析に関する詳しい判断が可能な方なども入れていっていただければと思います。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょうか。
 では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
 被保険者の立場からも、情報の利活用によって研究開発が進み、医療の質の向上につながるということは期待していますが、皆様もおっしゃっていますように、医療情報というのは機微性の高い情報で、特定の個人が識別された場合は権利侵害につながるというリスクがあるものです。国民、患者の不安払拭に向けましては、個人情報保護などの考え方を踏まえまして、プライバシーを含む権利利益の保護を図ることはもちろん、自らの情報をコントロールする権利にも十分留意することも重要だと考えております。
 そこで、コントロールに関して質問ですけれども、例えば本人からの申出によって情報を削除するなどの対応は検討されているのでしょうか。1点教えていただければと思います。
○田辺部会長 いかがでございましょうか。
○西川企画官 ありがとうございます。
 本人の申出による情報削除ということでございますけれども、これにつきましては、現在の厚生労働大臣が持っているデータベースにおいては行われていないということでございます。今後、仮名化情報を提供する場合でも、資料の10ページに書かせていただきましたが、格納するデータについては本人の氏名などを削除して、それ自体誰のものかを分からなくした形でデータを持つということにしたいと考えておりますので、申出があっても誰のものかは分からないという状態でありますので、基本的なそうした削除への対応というのは難しいと考えております。
 ただ一方で、御懸念のありますような提供または連結をしていく際での個人の特定性というところには十分配慮しないといけないと思っておりますので、先ほど申し上げました審査体制の中で、研究の目的ですとか内容、また、連結することで個人の特定にどの程度つながるおそれがあるのかというのを有識者の方々にきちんと審査をしていただいて、その結果を踏まえて、おそれがある場合には一定の加工を行うとか提供しないといった判断を適切にしていくということが大事だと思っております。
 以上です。
○田辺部会長 村上委員、よろしゅうございますでしょうか。
○村上委員 御説明ありがとうございました。
 先ほどの御回答にもありましたように、審査体制についてはこれから検討ということですけれども、どのようになっていくのかということをやはり明らかにしていただく必要があるのではないかと思っております。
 また、公的データベースだけではなくて、電子カルテも共有するということになっていますので、そちらに関しましては、個人の名前がついているものですから、少なくとも電子カルテ情報共有サービスについては希望しない方の情報を削除できる対応策なども必要ではないかと考えております。患者、国民の理解を得ながら進めていくということですので、その辺り、できるだけ分かりやすく説明などいただければと思っております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 資料には特に記載ありませんが、昨日、OTC医薬品にかかるデータベースセンターの総会があり、ここでは、OTC医薬品のデータベースをより一層整備していくことが決議されたわけですけれども、OTC医薬品につきましても、ぜひ医療用医薬品と同様に、情報の整備をしっかりと進めていただければと思います。というのは、やはり、今後、スイッチOTC医薬品の品目が増え、それらの活用がさらに進む際、活用情報がきちんと整備されていないと、メーカーの立場からすれば、臨床結果に重大な欠陥を与えかねないということも懸念されます。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 あと、中村委員、お手が挙がっていますけれども。
○中村委員 再びで申し訳ないのですけれども、本人が自分の情報を使われることを希望しない場合にどうするかという問題がございまして、一方で、もしそれが認められた場合、非常に深刻な状態が起きる可能性がございまして、例えばアンケートで回答をお願いした方に断られてしまって回収率が落ちるということになりますと、データが非常に偏ったことになります。もしそういうことが認められてしまうと、データベースの価値というのが非常に低くなって、国民全体に関するデータ分析ができなくなる。
 それから、御本人の個人情報の保護ということはもちろん大事ですが、この場合、匿名化されて、それから、非常に重要なことはログを通じて監視されているのです。我々研究者たちがやった全ての分析というのは、何をしたかということが全て記録に残されているので、個人を特定しようとして例えばここにいる誰かさんを探したいというようなことをすれば、それはログに残りますから分かってしまうのです。ですから、そういう情報保護が徹底された中で基本的に全員のデータが使えるという状況が非常に重要だと思います。
 それから、もう一つは、やはりこれは公的なものであって、皆さんのお金を使って自分は治療を受けているのだと。その中で自分の情報だけは使わないでほしいということは、十分な安全性、個人情報保護が担保された中では、やはりその要求というのは必ずしも認めなければいけないものではないのではないかと私は考えております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 様々な御意見ありがとうございました。セキュリティーに関する問題、個人情報の保護という観点、それから、連結分析等ができるということでございますので、従来のNDBという審査体制と異なるような審査体制が必要ではないか等、いろいろな御意見をいただいたところでございます。
 ただ、この二次利用に関わる方向性に関しましては拡大していくということではあるのですが、それに対する御反対というのは特になかったというのが私のお伺いしたところの御判断でございます。こちらの方向でいろいろさらに詰めないといけないところはあろうかと思いますけれども、全体としてはこの方向で御対応いただくということでよろしゅうございますでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございました。それでは、この形で進めていただければと思います。
 本議題についてはこれまでとしたいと存じます。
 次に「自治体と医療機関・薬局をつなぐ情報連携基盤(PMH)の構築を通じた医療費助成の効率化について」を議題といたします。
 事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
 では、よろしくお願いします。
○草野企画官 情報化担当参事官室で政策企画官をしております草野と申します。よろしくお願いいたします。
 資料3に基づき御説明いたします。
 1ページ目を御覧ください。
 1ページの左側、これは全国医療情報プラットフォームの絵ですけれども、赤枠で囲んだところが今回議論の対象となるPMHというところでございます。自治体と医療機関等をつなぐ情報連携基盤ということでございます。
 具体的なユースケース・メリットとしては、右側に赤枠で囲ってございますように、これを通じて医療機関・自治体サービスの効率化・負担軽減を図る。こういう目的でございます。
 2ページを御覧ください。
 PMHのユースケースは何点かございますけれども、このうち、今回は赤で囲った医療費助成の部分について御議論いただきたいというものでございます。
 3ページを御覧ください。
 医療DXの推進に関する工程表、政府の決定でございますが、下線部にございますように、この案件につきましては、2023年度中に先行実施事業を開始し、順次、参加する自治体や医療機関を拡大し、全国展開をしていく。これは政府の決定として決まってございます。
 4ページを御覧ください。
 医療DX推進工程表の全体像でございますけれども、これも赤で囲った部分にございますように、このマイナンバーカードを活用した医療費助成の効率化につきましては、令和5年度から先行実施事業を実施、順次、参加する自治体を拡大し、令和8年度以降、全国的運用ということが政府の決定として決まってございます。
 5ページを御覧ください。
 デジタル社会の実現に向けた重点計画にも、今の工程表と同様のことが規定されてございます。
 6ページを御覧ください。
 先行実施事業の結果も踏まえまして、このマイナンバーカードを活用した医療費助成の効率化のメリットをまとめてございます。今、例えば子どもの医療費の場合、マイナ保険証とは別に子ども医療費の受給者証が要りますけれども、それがマイナ保険証1枚で対応できるというものでございます。
 患者さんのメリットとしては緑のところにございます。紙の受給者証を持参する手間が軽減する、紙の受給者証の紛失リスクがなくなり、持参忘れによる再来院が防止されるというメリットがございます。
 それから、年齢階級別にマイナ保険証の利用率を見ますと、お子さんは受給者証が要るということもあると考えられるのですけれども、ほかの年代に比べ低くなってございます。ですので、マイナ保険証に一本化されることによる利便性の向上によってマイナ保険証の利用が促進されて、患者御本人の薬剤や診療データに基づくよりよい医療の提供につながるというメリットがございます。
 それから、自治体さんのメリットとして、真ん中の青の部分でまとめてございます。1つは正確な資格情報に基づき医療機関・薬局から請求が行われることによって、資格過誤請求が減少し、支払の事務負担を軽減できます。
 それから、2番目ですけれども、紙の受給者証の場合、資格が確認できない場合、医療機関の方から自治体さんにお電話をされている場合もございますけれども、これは結構事務負担になっておりますが、こういう照会が減る。それから、患者さんが受給者証を忘れた場合、償還払いになってしまいますけれども、これもなかなかお手間ですが、こういうことが防げる。こういう事務負担の軽減がございます。
 それから、3点目は個別の制度・自治体ごとの御判断になりますけれども、マイナ保険証での対応を希望する方に受給者証を発行しないこととした場合は、受給者証を定期的に印刷・発行する事務負担やコストが削減できます。
 4点目は住民の方の利便性の向上ということでございます。
 それから、医療機関・薬局のメリットとしてはオレンジのところ、下でございます。今までのマイナ保険証の場合ですと、医療保険の資格情報は自動で入力される一方で、受給者証情報は手で入力していただいていますが、これが一本化されることで、受給者証部分も含めての自動入力になります。それから、医療費助成の資格を有しているかどうかの確認の事務負担が軽減できます。
 それから、2点目にございますように、正確な資格情報に基づき請求を行えるようになり、資格過誤請求が減って、請求の事務負担を軽減できます。
 最後のところはマイナ保険証の利用促進というメリットでございます。
 おめくりいただきまして、7ページでございます。政府決定などに基づく全国展開の案ということで書いてございます。
 本件につきましては、システムが設計・開発されるとともに、令和5年度・6年度に183の自治体、都道府県は22ですので半分程度、それから、市町村は161ですので1割程度が先行実施事業に参加いただいています。
 医療DXの推進の工程表、それから、デジタル社会の実現に向けた重点計画に基づきまして、順次、参加自治体を拡大しつつ、令和8年度以降、これは具体的には令和9年度を想定してございますけれども、全国展開の体制を構築して、公費負担医療・地方単独医療費助成におけるオンライン資格確認、マイナ保険証による資格確認を推進していきたいと考えてございます。
 ※のところにございますけれども、公費負担医療や地方単独医療費助成には様々な制度がございまして、自治体ごとに多様なシステムが構築されてございますし、それから、自治体システム標準化の取組状況等も踏まえる必要がございますので、全国展開の体制を構築した上で、順次、自治体や医療機関・薬局におけるシステム対応を推進していきたいと考えてございます。
 具体的な仕組みは下にございます。今、マイナ保険証ともう一つ、紙の受給者証を持って来ていただいていますが、この紙の受給者証は要らなくなる、マイナ保険証一本で医療保険の資格情報と公費負担医療等の資格情報が確認できる、こういう仕組みになります。
 法的措置が必要でございまして、赤で書いてございます。一つは上にございますけれども、公費負担医療におけるオンライン資格確認を制度化するということ。それから、右側にございますけれども、全国規模でこのシステム等の管理・運用業務を実施する仕組みを整備する。こういう法的な手当てが必要になります。
 それから、※のところでございます。例えば、福祉事務所が実施主体である生活保護のオンライン資格確認など、既存のオンライン資格確認における費用負担を勘案しつつ、こうした業務に要する費用負担の在り方を検討することが必要とございます。
 それから、最後、8ページでございます。これは今の先行実施事業の実施状況、都道府県・市町村の実施状況をまとめてございます。
 以降は参考資料となります。
 説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等がございましたら挙手にてお願い申し上げます。
 では、藤井委員、お願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
 お示しいただいた方針で特に異論はございません。国と自治体との連携の下、医療機関・薬局とともに取組を進めていただきたいと思います。
 なお、当然の話でございますが、こうした施策が機能を発揮するためには、マイナ保険証の利活用が基本となることが大前提であると考えます。前回の部会でも、資格確認書の発行はあくまでも限定的な措置であり、マイナ保険証が原則なのだ、という意見が複数出ているわけでございます。まさしくそのとおりでありまして、資格確認書や従来の保険証では、必ずしもマイナ保険証の代わりにならず、機能も限定されます。にもかかわらず、資格確認書を出したからしばらく安心です、というメッセージだけを出すと、国としての姿勢が問われるのではないか、という心配をしております。基本的にマイナ保険証は進めるのだけれど、どうしても対応が難しい状況にある人については、例外的に救済措置を取ります、というメッセージとしていただくのが正しいあり方ではないかと考えます。
 以上、よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、原委員、よろしくお願いします。
○原委員 ありがとうございます。
 このPMH、自治体と医療機関の情報連携基盤でございますけれども、この資料の6ページにありますように、各関係者に大変メリットのある仕組みだと思いますので、しっかりと進めていっていただきたいと思いますし、私たち国保連合会・中央会も地方自治体の業務支援という大きな役割を担っていますので、そういう意味でも、この開発については支払基金さんとともに厚生労働省から委託を受け、あるいはデジタル庁等の指導を受けながら、開発業務等の一端を担っているところでございますが、2つ要望がございます。
 一つは、特に地方単独医療費助成の問題なのですけれども、ありとあらゆる種類の物すごい数のものがあります。それから、給付の仕方あるいは負担の仕方も千差万別と言うと言い過ぎかもしれませんが、これを全て前提にしたシステム開発というのは大変なことになりますので、今、政府が法律までつくって進めている地方自治体業務の標準化ということを一方で進めていただきながら、システム化を進めていくということがやはり大事だと思います。この点については、全国の自治体の関係者の皆様には業務の標準化ということについてぜひ御協力をいただきたいと思いますし、また、それに対する指導といいますか支援ということについてはぜひ国のほうで、これは総務省も含めてだと思いますけれども、お願いをしたいということが1点目です。
 2点目は、最初の支払基金の改組の話とも関係してまいりますけれども、支払基金は新しい組織になって、特別民間法人というのですか、民間組織でありますので、ガバナンスとかの上ではもちろん自由度みたいなものも確保していくというのは当然のことだと思いますが、一方で、そこで担う開発業務、大体は国からの依頼を受けて、国のシステムとして開発していくわけでございます。そうしますと、この3番目の問題もそうでございますけれども、やはり国、特に厚生労働省のガバナンスというのでしょうか、先ほど佐野委員からも発言がございましたけれども、特にシステム開発等においてしっかりとガバナンスを発揮してもらいたい。厚生労働省にはそのことを要望したいと思います。
 そのときに、御案内のように厚生労働省は定員事情が大変厳しくて、とりわけシステム人材というものが非常に少ない。これは厚生労働省に限らず、世の中みんな民間企業も含めてその人材確保・育成に苦労されているのだと思いますが、やはり厚生労働省におかれても増員というものをしていただいて、そして、そういったシステム人材の育成・確保ということにぜひ努めていただきたい。そのことはぜひ関係の皆さんには御理解をいただきたいということでございます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
 今回お示しいただいたPMHですが、これは今後の医療情報の基盤の一つになるということは理解しておりますし、医療機関としてもマイナ保険証を各医療費の助成の受給者証として利用できるようになるということに関しては、今、お話にもございましたように、この6ページにありますとおり、患者さん、自治体、医療機関等にとって大変メリットが大きいということで期待をしているところではございます。
 ただし、今お話にもございましたように、4ページの赤囲みのところにありますように、いろいろな公費負担とか予防接種、母子保健、これらのシステムがそれぞれの検討会でばらばらに検討されているということになってございまして、要するにシステムがそれぞれに出来上がって、それが五月雨式に出てくるということになりますと、医療機関としてはその都度対応してベンダーにお願いをするということになりますし、無駄なコストも発生するということもありますので、主務官庁としても、今お話にもございました。厚労省としては、全体的にシステムの考え方であるとか、また、体制も含めて、方向性を一にした形にしての議論をしっかりとガバナンスを利かせて指導していただきたい。そして、セットとしてシステムを提示していただくということを強く要望したいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、中村委員、よろしくお願いします。
○中村委員 ありがとうございます。
 細かい点かもしれないのですけれども、あと、これは医療保険のユーザーとして、被保険者として気づいたことなのですけれども、紙の受給証を持ち歩かないで済むというメリットがやはり大きいなとは思います。
 それから、例えば子供の医療費助成で所得制限があったような場合に、受給者証を医療機関に出すか出さないかで所得が分かってしまうようなことがあるのです。なので、マイナンバーカードに全て収まっていれば、受給者証を出す出さないで周りの人に自分の状況が分かってしまうということも防げるので、細かい点ではありますが、その意味でも被保険者にとってメリットがあるということを被保険者にお伝えしてもいいのかなと思いました。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、根本参考人、よろしくお願いします。
○根本参考人 ありがとうございます。
 地方単独医療費助成等につきましては様々な制度がございます。自治体ごとにシステム改修等の対応に一定の期間を要すると思いますので、全国運用につきましては自治体への早期のアナウンスを引き続きお願いいたします。
 また、システムの費用負担につきましては、負担の在り方を早急に示した上で、自治体を含む関係者と丁寧に調整しながら検討を進める必要があると考えます。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、島委員、よろしくお願いいたします。
○島委員 ありがとうございます。
 マイナンバーカードを活用した医療費助成の効率化、方向性としては非常に賛成でございます。医療機関としても、また、患者さんや御家族としても、これはウェルカムな話だろうと思いますが、実際に8ページを見てみますと、それぞれの地方行政の先行しているところ、かなり都道府県によっても、それから、市町村によっても温度差があるのかなと思います。先ほどから委員の意見にもありましたが、こういったものがきちんとそれぞれの市町村に伝えられて、準備はただ単に手を挙げるだけで済まないはずですので、その辺のお金の話も出ておりましたが、そういった助成も含めてきちんとやっていただければ、患者さんや家族、それから、先ほどから言っておりますが、医療機関としても非常にこれは有効な方向性だと理解しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。
 PMHの構築によって医療費助成が効率化されることは、国民にとってもメリットがあると思います。ただ、先行実施事業も始まったばかりでありますし、これからも課題などは出てくるのではないかと思います。
 また、先ほど原委員からもありましたけれども、自治体独自の制度は様々でございますので、全国展開の実施に当たりましては、様々な課題に対して一つ一つ丁寧に対応策を検討いただきたいと思います。
 また、業務に関する費用負担の在り方につきましては、いわゆる一般の保険診療と公費負担医療、地方単独医療費助成と性格の違いを踏まえることが必要だと考えますので、費用の負担の在り方の検討に当たりましては、こういったことについても配慮いただければと思っております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
 6ページから7ページには医療費助成の効率化のメリットということで整理して、分かりやすく図示もし、説明をされているわけですから、まさにこういったものをより広く、より分かりやすく伝えていくことが重要と重ねてお伝えをしたいと思っています。
 また、17ページ、参考のページですけれども、マイナ保険証に関わる医療DXの基盤となるということを改めて強調して図示されているところです。今回のいろいろな議論もありましたし、先の総選挙でもマイナンバーカードのみにするのか、紙の保険証をしばらく出すのかということもいろいろなところで各党から発言があったように聞いていますので、今後は少し時間を丁寧にかけながらやっていくプロセスも必要になるのかなと感じたりします。
 ただ一方では、例えば北欧の国ですけれども、赤ちゃんが今生まれましたら、生まれた医療機関でそのことがプッシュ型サービスのキックオフになりまして、その御両親様に保険で連携をされて、そして、翌日からというかその日から医療給付的なことのサービスがプッシュ型で始まっているようです。
 日本の場合、例えば核家族のような状況で、お子さんをお持ちになった御家庭は、自分が子供に恵まれて、でも、養育の経験はまだない訳ですから、仮に御家族がサポートされても、いつもいつもいらっしゃるとは限りませんので、どうしたらいいかなと不安もあると思うのです。ネットで探したり、本屋に行ったり、調べられると思います。そのときに、保健師職員を抱えている自治体から、「こういったことで保健師が訪問しますよ、何でも聞いてくださいという連絡や対応が来て、とてもうれしかった」ということを先般聞きました。
 まさにそういったケアにもつながっていくのが、このマイナンバーカードと様々な連携を図っていくことで、データとか数値をもとに政策を考案したりとか、事務の合理化も当然できますけれども、併せてそこにヒューマンなサービスをより早く的確にお届けすることができるようにもなっていきます。そういったトータルのことを、まさにこれで言いますと資料の1ページ目、全体のプラットフォームの全体像が書かれていますが、右側にユースケース・メリットも書かれていますけれども、まさにそういったシステムどうこうのみならず、そのことを生かしてプッシュ型で必要な人に早く的確に公平・公正にサービスが届けることができる。そういった大きなトランスフォーメーションをやろうとしているのだということをぜひ政府としてもお伝えいただいて、「そのことなら分かったよ、マイナンバーカードをもっと活用できるようにしてね」となっていくように展開できることを心から願っています。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
この公費負担の医療制度の情報共有については、現場にとっては大変有効であって、診療報酬改定DXの共通算定マスターをつくられている部分においても、各都道府県の公費情報を集約されているかと思います。ここに関しては、全国的に使用して現物給付を受けられるというのは患者さんにとってもメリットなので、ぜひしっかりしたシステムの構築をお願いします。
 その上で3点ほどお願いなのですけれども、先ほど来、原委員からも出たように、自治体ごとの仕組みというのはかなり細かくばらばらに決まっている状況にあります。現在の先行実施の状態においては、このような現状になってしまっていると思うのですが、公費間であったり自治体間であったりというところのばらつきが全国展開の開始時点でもばらばらの状態にあると、現場ではどこの情報がつながっているのか分からないような状態になりますので、ぜひあまりばらつきが生じた形での全体的な運用開始にならないようにお願いをしておきたいと思います。
 2点目なのですけれども、マイナ保険証との連結がリアルタイムで公費情報等の資格をつかんでいくと理解しておりますので、公費によっては医療機関・薬局をまたいで自己負担金の上限管理等をされている公費があります。これに関しては、実際の運用が始まった時点で管理表だけが紙で残るとか、そういうことのないようにぜひお願いをしておきたいと思います。
 3点目は、スライドの7の一番下に医療機関・薬局におけるシステム改修ということで、現場負担が生じる記載がされているのですが、これは基本的な保険の資格確認であり、つまり公費にもかかる基本的な資格確認ですので、オンライン資格確認の導入時と同じように、ぜひ全額実費補助等をしていただきたいと思いますので、3点要望しておきます。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
 Public Medical Hubの構築に通じては、様々な医療費助成部分の効率化が進むことは、医療機関の負担軽減につながることで非常によいことと考えております。
 また、7~8ページに記載の先行事業の参加市町村数を見ると、22の都道府県、161の市町が参加しており、多くの市町村が参加しております。そして、令和8年度には全国展開するとされておりますけれども、今後、いつ頃までにどのように取り組むが進んでいくのか、前広に情報提供をしていただき、地域差が広がらないようにお願いをしたいところであります。
 また、マイナンバーカード保有者率の向上とともに、医療機関への別途のシステム改修費など、負担がかからないように御配慮をいただきたいと思います。
 あと1つ、質問になりますけれども、現時点において、医療費助成において紙の受給券の仕組みは本当に様々あると思っておりますけれども、全国でどの程度が統一された方法で実施されているのか。また、医療機関が医療費の助成を受けた方々を国保連合会等に電子媒体もしくは紙を通じて報告をしなければならないというところもございます。煩雑な事務処理が続いておりますけれども、これもどのようになっていくのか。後で結構ですけれども、前広に情報があれば教えていただければと思います。
 以上です。
○田辺部会長 いかがでございましょうか。
○草野企画官 個々の事務は、それぞれの制度ごとに違いますので、今、具体的に御説明できるものは持ち合わせておりません。また、何か御説明できるものがあれば、個別に御説明したいと思います。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○大杉委員 いろいろな方法があって、医療機関はどんどん事務手間が煩雑になってくるのです。そこら辺のことをこの統一化されていくことによってすっきりさせていただければ、本当にありがたいと思います。今後ともよろしくお願いします。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 では、ほかに御意見がなければ、本議題につきましてはこれまでとしたいと存じます。
 事務局におかれましては、本日いただいた意見を踏まえて、引き続き議論を深めていただくようお願い申し上げます。
 ほかに全体を通じて何か御意見等、よろしゅうございますか。
 では、本日はこれまでとしたいと存じます。
 次回の開催日については、追って事務局より御連絡いたします。
 本日は、御多忙の折、御参加いただき、誠にありがとうございました。
 では、散会いたします。