第64回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録|厚生労働省

健康・生活衛生局 感染症対策部予防接種課

日時

令和6年11月27日(水)10:00~12:00

場所

WEB会議にて開催
(厚生労働省 共用第8会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

  1. (1)HPVワクチンのキャッチアップ接種について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○溝口予防接種課課長補佐 それでは、定刻になりましたので、第64回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催いたします。
 本日は御多忙のところ、委員の方々におかれましては御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の議事は、公開・頭撮り可としております。
 また、前回と同様、議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
 なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りにつきましては、議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴される方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 次に、本日の出欠状況につきまして御報告を申し上げます。
 本日は、伊東亜矢子委員、磯部委員、清元委員より欠席の連絡をいただいております。
 現在、委員12名のうち、9名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定に基づきまして、本日の会議は成立したことを御報告申し上げます。
 続きまして、資料の確認でございます。
 本部会の資料につきましては、あらかじめ送付させていただいております電子ファイルで閲覧する方式で実施いたします。
 番号01の議事次第及び委員名簿から番号04の利益相反関係書類までを用意しております。
 資料の不足等、御不明な点がございましたら、事務局までお申し出ください。
 なお、大変申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○溝口予防接種課課長補佐 それでは、ここからの進行につきましては、脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 皆様、おはようございます。
 今日も基本方針部会をどうぞよろしくお願いいたします。
 では、まず事務局から審議参加に関する遵守事項についての御報告をお願いいたします。
○溝口予防接種課課長補佐 事務局でございます。
 本日の審議参加の取扱いについて、御報告いたします。
 本日御出席の委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づきまして、薬事承認等の申請資料への関与・ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況について申告をいただきました。
 委員からの申告内容につきましては、番号04の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
 なお、本日は、議事内容に関しまして「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はおりませんので、御報告を申し上げます。
 また、毎回のお願いで大変恐縮でございますが、各委員におかれましては、講演料等の受け取りにつきまして、通帳や源泉徴収票などの書類も確認していただくことにより、正しい内容につきまして御申告いただきますよう、お願い申し上げます。
 事務局からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入ってまいりたいと思います。
 まず、議事次第を御覧ください。
 今日の議題は1件で、「HPVワクチンのキャッチアップ接種について」ということであります。
 それでは、資料が提出されていますので、事務局から資料1についての説明をお願いいたします。
○小塩予防接種課課長補佐 事務局でございます。
 本日は御議論いただきたい点が大きく2つございますので、論点1と論点2でお時間を分けて御議論いただき、その後に意見の取りまとめを行っていただければと思います。
 まず、論点1までの部分について御説明をいたします。
 資料1をおめくりください。
 2ページ、本日の内容を大きく2つの論点に分けております。
 まず、これまでの経緯でございます。4ページでございます。HPVワクチンについては、平成25年に定期接種化後、積極的勧奨が差し控えられ、その後、議論を経まして、令和4年より積極的勧奨が再開、併せてこの間に機会を逃された方に対するキャッチアップ接種を開始しております。その後、9価のワクチンも定期接種に位置づけられ、現在の形となっております。
 5ページでございます。積極的勧奨及びキャッチアップ接種開始前の分科会の議論についてまとめております。
 主な御意見について書かせていただいております。まず有効性・安全性につきましては、HPV関連の子宮病変に対するワクチンの有効性について、定期接種の対象年齢以上の世代に接種した場合であっても一定程度の予防効果が期待できるが、性交経験によるHPV感染によってワクチンの予防効果が減少することも当時のエビデンスで示されている。また、定期接種の対象年齢以上の世代への接種においても、明らかな安全性の懸念は示されていないということであります。
 対象者の範囲につきましては、積極的勧奨を差し控えている間に定期接種の対象であった9学年は、この勧奨の差し控えにより機会を逃した可能性があり、公平性の観点から、これらの全ての世代を対象とすべきではないかという御意見。一方で、積極的勧奨は「標準的な接種期間」を対象としていることから、積極的勧奨を差し控えている間にこの標準的な接種期間に該当した6学年を対象とするという考え方もあり得るのではないかという御意見をいただきました。
 期間につきましては、期間が短過ぎると接種機会を十分に提供できない可能性がある一方、長過ぎると早期に接種を行う必要がないという誤ったメッセージになる可能性があるといった御意見。また、自治体の準備や医療機関における接種体制、対象者の接種機会の確保の観点から、具体的に3年間程度が妥当ではないかという御意見をいただきました。
 周知・勧奨の方法については、ワクチンの有効性や年齢・性交経験との関係等についてしっかりと情報を周知した上で、接種するかどうかについては接種対象者に検討・判断してもらうのがよいのではないかといった御意見。また、予診票を個別送付すると接種が強制であるかのように捉えられる可能性についても考慮すべきではないかという御意見をいただきました。
 こうした御意見を踏まえまして、分科会の結論といたしまして、まず対象者の範囲としては、ワクチンの積極的な勧奨の差し控えにより機会を逃した方に対して公平な機会を確保する観点から、差し控えている間に定期接種の対象であった9学年全てをキャッチアップ接種の対象とする。※書きで書いておりますように、キャッチアップ接種の期間中に新たに定期接種の対象から外れる世代についても、この間順次対象とするということでございます。
 また、期間につきましては、自治体の準備や医療機関における体制、対象者の機会の確保の観点等を踏まえて、3年間とする。
 そして、周知・勧奨の方法については、この対象者については予診票の個別送付を行うことによる個別の勧奨を一律に求めることはせずに、対象者が接種について検討・判断できるよう、有効性・安全性について丁寧に情報提供を実施する。その際、情報提供資材を個別に送付するなどの対象者への確実な周知に努めるということでした。
 7ページでございます。当時の法令改正のイメージとしてお示ししております。
 下の囲みの赤線にございますように、最終的な期間については、令和4年4月1日から令和7年3月31日までの間、対象者については平成9年4月2日から20年4月1日までに生まれた女子として政令改正をしております。
 8ページでございますが、こうした内容については、下の図にございますような接種のスケジュールと併せて周知をしてきたところでございます。
 続きまして、9ページからワクチンの接種状況についてお示ししております。
 10ページ、まず接種者数の推移について、こちらは過去の部会でもお示しした資料でございます。出典は国の統計としておりまして、令和4年度までの情報を載せております。
 御覧いただきますと、積極的勧奨及びキャッチアップ接種を開始した令和4年度よりも少し前の時点から数としては増加傾向にあることが、1回目から3回目それぞれにおいて見てとれるかと思います。
 11ページでございますが、これを踏まえた接種率について、こちらも過去にお示しした資料を更新しております。HPVワクチンの累積の初回接種率について、令和4年度までは前ページの統計の数字を用いて、また、令和5年度以降は別途調査をしております数値を速報値として用いて計算をしたものでございます。
 左側の上、黄色で塗っておりますように、当時、緊急促進事業として接種をしております世代が一定程度あります。また、右側にグリーンで塗っておりますように積極的勧奨再開及びキャッチアップ接種が2022年度から3年間行われて、現状に至っております。これらを踏まえまして一番右の列、累積の初回の接種率を計算してございますが、キャッチアップ接種世代である緑で塗っている世代のうち、緊急促進事業の対象世代を除きますと、おおむね3割台から4割台の累積の初回の接種率となっているということでございます。
 続きまして、HPVワクチンの安全性・有効性についてでございます。
 13ページでございますが、まず安全性につきましては、これまでも部会でもお示ししております数値をこちらも更新しております。法に基づく副反応報告の件数、頻度を示したものでございますが、上段の積極的勧奨再開前と下段の再開後を比較しまして、いずれのワクチン製剤についても、この報告の頻度には顕著な増加は認められないものと部会において御確認いただいているものでございます。
 14ページでございますが、こちらは副反応報告とは別に研究班で調査いただいているものでございます。こちらも過去の部会でお示ししたものを更新してございますが、ワクチン接種後の症状で全国95あります協力医療機関に受診した方について継続的に調査を行っているものでございます。
 破線の上が2022年の3月、積極的勧奨再開前の月の数ということでありまして、これと比較しまして、例えば、表中段にあります1年後の3月で比較をいたしますと、ワクチンの納入数がおよそ2倍になっており、新規受診の患者数も2倍、それに対して継続の受診の患者数は同程度でありまして、ここからワクチンの供給や接種が増えますと、それに比例して一定の程度の新規患者数というのは増えますが、接種の数に比較して桁が違うような顕著な増加は認められず、また、継続の患者数は必ずしも増加してないということでございます。
 15ページ、この調査については2024年の5月まで更新をしております。
 続いて16ページ、有効性についてでございます。ワクチンの有効性については、これまで積極的勧奨及びキャッチアップ接種の開始時に、当時の知見を用いてよく御議論いただいたものと承知しております。今回の論点ではございませんけれども、当時のデータでは国内の知見は限られ、海外の知見を比較的多く用いていたということを踏まえまして、直近の国内におけるエビデンスを1つお示しするものでございます。
 上の囲みの2つ目の丸でありますけれども、今回のこの研究のデザインとしましては、2013年4月から2020年3月の間に、子宮頸がん検診時点で20歳から26歳であった女性を対象に、2,790例の細胞診初回異常群と、年齢等を考慮してマッチングされた1万3990例の対照群についてロジスティック回帰分析が行われ、それを用いて有効性を計算したものでございます。
 結果としましては、ワクチン接種(1回以上)の有効性は、子宮頸部病変CIN1+、2+、3+いずれに対しても認められまして、特にCIN3+に対する発症予防効果は86%であったと下の表のとおりでございます。
 また、研究の限界として、接種したワクチンの種類やセクシュアルヒストリー等が不明であることが記載されておりますが、これを踏まえましても一定の有効性が確認されるものとして報告されております。こちらは参考としてお示しいたします。
 続きまして、17ページからワクチンの流通状況についてでございます。
 18ページに、ワクチンの納入数の推移を、定期接種化以降3か月を1つの棒としてグラフを示しているものでございます。直近の令和6年7月から9月が一番右端の棒になっておりますが、この間が1つ前の棒と比べて顕著な増加になっていることが見てとれるかと思います。
 こうした状況に伴いまして、19ページですが、メーカーにおいて10月から限定出荷がなされています。こちらのメーカーからのお知らせにありますとおり、期間中は予約状況に応じた購入に協力いただきたい旨、メーカーから医療機関等に周知がなされているところと承知をしております。
 20ページでございますが、その後もメーカーから続報として今後の出荷量の見通しが示されております。直近のものでは、11月15日時点の情報として、右の表に書いておりますとおり、10月の出荷量は約72万本に対して納入実績が44万本であった。また、11月のその時点としては約68万本の出荷量を予定しており、また、12月以降についてはそれぞれ表のとおりの出荷量を予定しているというような見通しがメーカーから示されております。
 こうした状況を踏まえまして、論点に参ります。
 22ページ、論点1でございます。
 現状と課題につきましては、今まで御説明いたしましたことなので割愛をさせていただきます。
 下の囲みに書いております論点1-マル1、キャッチアップ接種の終了に向けた対応についてでございますが、キャッチアップ接種期間は、予防接種法施行令において令和4年4月1日から令和7年3月31日までと定められておりますところ、この夏以降の需要の大幅な増加に伴う限定出荷の状況等を踏まえまして、期間中に接種を希望される方が接種機会を逃さないようにする観点から、キャッチアップ接種を開始したが期間中に3回の接種を完了できないことが見込まれる方について、公費で接種を完了できるよう取り扱うべきと考えるがどうかとしております。
 また、次のページで、論点1-マル2、対象者及び期間についてでございます。論点1-マル1で3回の接種を完了できるよう経過措置を設けるべきとされる場合、対象者及び期間についてどのように考えるかということでございます。
 まず、対象者につきましては、キャッチアップ接種期間中に接種を希望される方が機会を逃さないようにするため、また、ワクチンの有効性は年齢が高くなるにつれて低下することから早期に接種を完了できるよう、キャッチアップ接種期間中に少なくとも1回以上接種している方を対象としてはどうか。
 また、これまで接種機会の確保の観点で、キャッチアップ接種の期間中に定期接種の対象から新たに外れる世代についても、順次キャッチアップ接種の対象者としていたことから、平成20年度生まれの女子についても上記の期間に少なくとも1回以上接種している方を対象に含めてはどうか。
 期間につきましては、添付文書上、いずれのワクチンも標準的な接種期間は6か月(最短では4か月から5か月)とされている一方で、最長ではおおむね1年以内に接種を完了することが望ましいとされていることから、対象の期間は最大で1年間としてはどうかとしております。
 論点1の説明は以上でございます。御議論よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 今御説明いただきましたけれども、HPVのキャッチアップ接種が3年間という期間で今実施されております。これは先生方に議論をしていただいた部会の結論に基づいて、厚生労働省のほうで実施していただいたということですけれども、来年の3月までということになりますが、現状、ワクチンの流通状況の御説明もありました。需給が少し厳しいというようなところもあり、そこで、来年の3月までに接種が終了しないような方が出てくるおそれもあるかもしれないというところもあり、そういった3月末までに3回の接種を完了できない場合においても、それは期間がずれても公費で接種できるようにしてはどうかといったところです。
 それから、論点の1-マル2として、その対象者と期間について。対象者はキャッチアップの対象になる方全てとしてはどうかというところ、あとはその期間は1年間と考えてはどうかというところでございました。
 それでは、まず論点1です。これは1-マル1とマル2がありますので、まずは1-マル1のほうから先生方から御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 まずは、キャッチアップの接種期間中に3回が終了しない方、これを公費で完了できるようにしてはどうかというところですが、私は当然これはそうしたほうがいいとは考えていますが、皆様からの御意見をということであります。
 それでは、まず坂元委員、お願いします。
○坂元委員 御説明ありがとうございました。
 川崎市の坂元でございます。
 今回の事態はワクチンの供給に問題があったという形で、接種を受けられる方の責任ではないということから考えて、延長はやむを得ないだろうと思っております。ただ、これは日本が抱えるワクチン供給の問題にも関することなので、今後こういうことが起きないように、やはりメーカー等には供給体制をしっかり指導をされた上で、こういうことが二度と起きないということをちゃんと指導された上で、延長ということは私はやむを得ないと思います。またほとんどの市町村の方もそのように思っておられるかと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、笹本委員、お願いします。
○笹本委員 日本医師会の笹本でございます。御指名ありがとうございます。
 まず、今回のキャッチアップ接種につきましては、厚生労働省、製薬メーカー、自治体、関連団体におきまして、積極的な広報活動が大々的に行われました。日本医師会としましても、テレビや動画配信サービスのコマーシャルやYouTube、ホームページでの啓発動画や広報資材の作成などを行い、多くの方にアピールをでき、接種の促進に向けて貢献できたものと考えております。我が国全体の取組の結果、ワクチン接種に対する国民の皆様の理解、接種に向けた機運の高まりが見られたことは大きな成果だったと思います。
 一方、ワクチンメーカーからの限定出荷の連絡のとおり、地域性もあろうかと思いますが、ワクチンが医療機関に届かず、接種ができないとの現場の声が日本医師会にも届いております。それにより、接種を希望される方がワクチン接種の予約が取れない、予定が立てられないという状況も一部で発生しております。
 日本医師会としまして、このような状況下において、キャッチアップ接種の対象者の方がワクチン接種を希望する際にしっかりと救済される今回の措置の提案につきましては、非常に重要なことであり、また、対象期間とともに大いに賛成しております。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、白井委員、お願いします。
○白井委員 枚方市保健所の白井です。
 御説明ありがとうございました。
 夏以降の供給の状況については、報道でもかなり問題にはなったと思うのですが、困った状況というのは地域性があったのではないかと思っておりますので、この影響については致し方ないところもあるかと思いますが、それほど影響を受けていない地域もあったのではないかと思っています。
 国として救済に近いような経過措置になるとは思うのですけれども、対象の方については医療機関が把握していらっしゃるというか、1回接種であるとかまだ2回という方についてはお分かりであると思いますので、また方法については次の論点になると思いますけれども、基礎自治体が主体となる予防接種でございますので、今後、来年度どれぐらいの延長になるかということにも鑑みますけれども、どれだけ補正予算が必要かということも早急に考えないといけない時期ではありますので、そういった意味での御配慮をぜひお願いしたいと思っております。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に宮入委員、お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。宮入です。
 今回の延長の措置に関しては賛成いたします。こちらは救済という側面が大きいようですが、全体の接種率を見ますと必ずしもまだ高くないということが背景にありまして、国としても接種率を上げていく一環として延長しているというメッセージにもなるのかなと思っておりまして、そのような観点からも、積極的な公費の助成、公費の公的関与の延長ということに賛成いたします。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。まだ全体としての接種率も低いということも一つの要素としてはあるのではないかということですね。
 中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。ありがとうございます。
 一つは、先ほど宮入委員が指摘されたまだ接種率が日本全体で低いということ。もう一つは、ワクチンの供給不足もあって、接種を希望する方に十分にワクチンが行き渡っていないという現状がある。この2点を鑑みますと、今回、次年度以降も接種できる方をまた確保していただけるという今回の案に私は賛成いたします。感謝申し上げたいと思います。
 ここで確認申し上げたいのは、先ほど来複数の委員の先生から延長という言葉が出ていましたが、先ほどの御説明を聞く限りは、延長ではなくて、キャッチアップ期間中に1回の接種を終えている方々には2回目以降の分も一定期間接種の機会を確保するという御計画であると私は理解いたしました。それで間違いがないかということを一度確認しておきたいと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 次に鈴木先生、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
 既に宮入委員や中野委員も言われたことと重なりはしますけれども、まず私として、今回の経過措置には賛成をいたします。少しずつですが、ようやくHPVワクチンの接種率が上昇してきているように見えます。もちろん正確な接種率をどこまで把握できるのかの課題はありますが、少なくとも今日示していただいたデータを見る限り、接種率は年々上昇してきている傾向にあると言えると思います。これには厚生労働省や自治体の担当者の方々、そして、啓発活動に取り組んでこられた方々の御尽力があったものと理解しております。
 ただ、その上でですが、既にありましたように、絶対的な数を見た場合に、やはり海外の高所得国の接種率に比べればまだまだ十分な値とは言えません。特にWHOが設定しています2030年までに15歳の少女の90%が接種することが必要であるといった目標を鑑みますと、やはりまだ数字は今後改善の余地があると考えます。
 そうした観点からの今回の経過措置というのは、そこを抜本的に解決するというまでの力はないとしても、やはり国として積極的に今後の接種率を改善していく。接種を希望する者にはその機会を担保するというポリシーを示していくためにも重要な判断であると私は考えます。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 ほかの先生、よろしいですか。
 今、先生方の御意見は、おおむねこの論点1-マル1、つまり、キャッチアップ期間中に一度でも接種した方に関しては、来年の3月以降でも公費で3回の接種を完了させるということに関しては賛成であるという御意見がほとんどでした。
 それに加えて様々御意見があったというところと、中野先生からは確認があった。つまり、延長ではなくて、来年4月から1回目の接種を受けるという方は対象ではないというようなところが確認という形でありました。
 それでは、事務局のほうからもし何かレスポンスをいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○小塩予防接種課課長補佐 事務局でございます。
 様々に御意見をいただきまして、どうもありがとうございます。
 今、脇田部会長におまとめいただきましたように、おおむね方針としては全体的に賛同の意を示していただいたものと理解をいたしております。
 まず、中野先生から御確認をいただきました、今回の示している方針が制度の延長ではなく措置であるかという点につきましては、これはご認識のとおりでございまして、今回キャッチアップ接種期間はあくまでも令和7年3月末で終了となりますが、需給の状態等に鑑みまして、この年度内に一度打った方について経過的な措置を置いてはどうかとしております。
 その理由といたしましては、一つには、キャッチアップ接種期間を単純に延長する場合、全ての1回目からの希望者にも接種の機会を提供できることにはなる一方で、早期に接種する動機というのは失われ得るのかと思っております。
 また、機会が単純に長くなりますと、本来の定期接種の対象となる年齢の方々に対する接種勧奨と併せまして、自治体や医療機関における事務や体制に継続的に一定の御負担がかかるものと理解しております。
 こうした観点などから、単純な制度の延長ではなく、期間中に1回以上接種した方ということで今回の措置をお示ししているものでございます。
 また、委員の先生方から、賛同の方向性の意のほかに、自治体の事務についてはよく整理をしていただきたいでありますとか、全体的な接種率についての御意見もいただきました。これは御指摘のとおりでございまして、まず事務については今後よく整理をしてお示ししたいと思っておりますし、また、接種率については、本日お示ししたものはこの上半期までの接種率でございまして、今回の措置を今後どう周知していくかによって、当然に下半期にも一定程度数は積み上がるものと考えてございますが、そういったことも併せまして、厚労省としては引き続き丁寧に進めてまいりたいと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 自治体の事務の問題もございますし、それから、白井委員御指摘の予算的な問題もあろうかと思いますので、ぜひそこはしっかりと厚生労働省のほうで検討いただきたいと思いますが、
 それでは、よろしいですか。今、事務局からもお答えいただいたとおり、中野先生からの御質問に関しては、延長ではなくて、少なくとも1回目が終わっている方に対して公費の接種が終了できるような措置になるということでありました。
 そうしましたら、続いて論点1-マル2、対象者及び期間についてということであります。対象者に関しましては、先ほどから申し上げているとおり、キャッチアップ期間中に少なくとも1回以上接種している者を対象とする。それから、平成20年生まれの女子についても同様に対象にしてはどうかというところでした。
 それから、期間です。標準的な接種期間は6か月とされていますが、最長では1年以内ということですので、この期間に関しては最大で来年度1年間、4月から再来年の3月末までという形でどうでしょうかという御提案でありますが、委員の皆様の御意見はいかがでしょうか。
 伊藤澄信先生、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 9月に東京都医師会で各地区の感染症対策理事を対象にして、11月までに初回接種すれば4か月で年度内に間に合いますよというアナウンスまでさせていただいていて、現場としては最大の努力をしたとは思っておりますが、今回初回接種済みの人だけを対象にするということではありますが、1年延長するというのはあまりにも無謀なのではないかという気がします。現場がこれだけ努力したのは何だったのだろうという話になるのは嫌だなと個人的に思います。
 ワクチンが足りなくて初回接種できないことを救済するのはもちろんいいことだと思いますが、そうは言っても9月までに接種の機会を見つけようとさんざん努力された方々もいらっしゃいますし、そういう人たちから見れば、朝令暮改というのもどうかなという気が個人的にはします。そういった方々への配慮した妥当な期間を設定するべきではないかと思います。
 秋から冬にかけてインフルエンザのワクチン接種も含めて忙しくなることもあるので、1年丸々延ばすということは妥当なのかと思います。
 もう一点は、生産流通部会では、毎年インフルエンザのワクチンについては足りないかもしれないというアナウンスをマスメディアに避けるようにお願いしているのですが、今回、限定出荷というアナウンスをしたことで、ワクチンの需給の乱れが生じたのではないかという気がします。ワクチンだけでなく、後発品もそうですが、情報提供の在り方はより考えないといけないのではないかという気がしますし、ワクチンが余ったからといって現場からの返品を受け付けないことについては徹底すべきだと思います。
 後段については意見です。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。この期間1年というのは本当に妥当なのかといった御意見がございました。
 次に坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
 私も伊藤先生のお考えに本当に基本的には賛成なのですけれども、ただ、市町村側の準備という観点から考えると余裕があったほうがいいのかなと思います。本当にコンセプトから言えば、努力した人に対して1年の延長というのは確かに各医師会などの努力とかは何だったのだということもあるとは思うので、すごくお気持ちはよく分かるのですけれども、これがいつ実施規則が改正されて、それでどういうパンフレットを作って、市町村の中には個別通知をするところもあると思いますので、そうすると相当準備期間が必要だと思います。それから、先ほど白井先生が言ったように補正予算を組むだどうのこうのという事務とか、パンフレットを印刷所に回すとかそういうもろもろのことを考えると、確かに理論的には半年でいいのかもしれないけれども、例えば大きな市になるとかなり準備期間が必要になるので、1年あったら余裕ができるかなと思いますので、お気持ちはよく分かりますが、やはり1年の余裕を求める市町村が結構あるのではないかと思っているところでございます。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 伊藤先生が先ほど現場のお気持ちを代弁してくださいましたけれども、ただ一方で、今度はこれが実施するということになれば、また現場のほうではやはり余裕があったほうがいいのではないかといった坂元委員の御意見でもありました。
 では、続けて御意見を伺います。宮入委員、お願いいたします。
○宮入委員 ありがとうございます。
 先ほどの伊藤先生の御意見は全くそのとおりだなと。現場として、あるいは情報発信してきた身としては思うところはあります。
 ただその一方で、今回このHPVワクチンというものを急いて打つことによって発生したいろいろな諸問題というものがありましたので、しっかり時間をかけて接種の機会を与えてあげるということ、あとは接種対象になるような年齢の成人女性の方のライフスタイルを考えると、やはり接種機会というものは1年の猶予があった方がよろしいかなと思っております。
 また、接種対象者についても、今回高校1年生、やはり今回の対象になる中では有効性が最も高いと思われる対象ですので、そちらについて含めていただくということも妥当だと思っております。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
 方法論としては、対象者は先ほどのことでいいと思うのですけれども、3月までに1回受けた方ということになると、場合によっては滑り込みで1回を3月31日に受けようという人も出てくるかもしれませんが、それを最後としても、最短で4か月、あと1回を4か月という形になると、11月ぐらいまでかかってしまうのではないかなと思うのです。それを1か月延ばすぐらいで、先生方は6か月と言ったのですが、いつから6か月を考えるかということとか、せいぜい12月末までということが現実的ではないかなと今考えていました。
 それと、接種率がまだ十分上がっていないというのはもちろんそうなのですけれども、このキャッチアップを進めていくキャンペーンというか活動の中で、定期の方もかなり上乗せしてこの期間に受けてくださっているような状況もありましたので、今回は定期の方々への経過措置ではないということなのですけれども、定期の方々の接種率をより上げる方法としては、今日の論点とは外れますけれども、2回接種であるとか男性への接種ということで、女性も含めての間接的な効果も得るということも含めての両者のHPV感染予防ということも考えていくことを同時にやっていく必要があるかなと思っていますので、そういうことも今回の話の周辺にはなるかもしれませんけれども、接種率を上げるということについての対応を総合的にやっていく必要があるかなとは思っています。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 期間に関しては、今、白井先生の御意見だと半年だと短い場合も出てくる可能性があるということで、12月ぐらいまでが現実的かというお話もございました。
 それから、先ほど鈴木委員からもありましたけれども、今、全体的な接種率がまだWHOが求めているようなところまでは達していない現状も考えて、接種率をどうやって上げていくか。その場合には男性の接種も併せて考えていく必要もあるのではないかといった御意見もいただいたということであります。
 期間に関しては少し御意見があったところですけれども、そのほか追加で。先ほど笹本委員からは期間については賛成といった意見もいただいたところですが、そのほかいかがでしょうか。
 特に大きな御意見はないということになりますか。
 では、もし事務局から何かあればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○小塩予防接種課課長補佐 ありがとうございます。事務局でございます。
 様々に御議論をいただきまして、どうもありがとうございます。
 伊藤委員からまさに現場の気持ちを代弁いただいたということで、事務局としてはまずしっかりそういったご意見を受け止めたいと思います。
 その上で、方針としてどうするかということと、この後の論点2であります周知や広報の仕方をどのように配慮するかということは分けて、合わせて全体としてどうするかということで対応していければと思ってございますので、まずそういった御意見をいただいた上で、方針としてはどうするかということで論点1をおまとめいただければと思います。
 期間と対象者ということでございますけれども、まず期間については、幾つか御意見をいただきましたように、理論的には確かに半年からもう少し長い程度でも収まるのではないかという御意見をいただいた一方で、自治体の様々な御準備、医療機関の御準備、そして、急いて打つことになってはいけないといった観点からも、1年だと余裕があるという御意見で、おおむねは御理解をいただいたのかなと受け止めております。
 また、最後に白井委員から御意見をいただきましたように、これはこれとして、男性への接種とか回数についても今後全体として取組を進めていくべきということについては、しかるべき時期にまた御議論いただければと考えております。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 さらなる御意見はございますでしょうか。大丈夫ですか。
 坂元委員、お願いします。それから、白井委員ですね。
○坂元委員 具体的な話なのですけれども、今日仮に期間を1年にするか、12月までにするか、半年にするかと決定した場合、これは実施規則の改正になると思いますので、その改正がいつ行われて、いつ自治体にアナウンスが来るのかということです。そうすると、自治体はそういうものが改正されてから補正予算を組んだり、それから、国がいわゆる新たな期間を設けるという意味で新たなパンフレットを用意するとかになると、またそれもひょっとするとこの基本方針部会で内容をチェックしたり、それから、市町村のほうに配付して市町村が独自の版を作って個別通知をするとかということがありますので、要するに、国のほうが今日仮にここの基本方針部会で決まったら、いつ頃具体的な話として実施規則、それから、市町村のほうに作業を開始してくださいという通知をされるのかです。その辺、答えられる範囲で結構ですが、市町村としてはそこが一番知りたいところなので、よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 それでは、それは後ほど伺うこととして、白井委員、まずどうぞ。
○白井委員 ありがとうございます。
 時期もそうなのですけれども、アナウンスをいただいて周知をするというか、勧奨というか、その方法なのですが、それについても何か一定の御指示があるのか、今回のキャッチアップについても、自治体によっては個別勧奨をしたとかしていないとかいろいろあると思うのですが、その辺は自治体に任せていただけるのか。最初のほうにお話ししましたけれども、医療機関は接種日を分かっていると思いますので、その方に個別に御案内をしていただくというようなお願いをしてもいいのか、そういった形でいろいろ工夫はしたいなと思うのですが、自治体の周知の方法については裁量があるのかなと思うのですが、その辺について御示唆をいただければと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 先ほど事務局からも少しありましたけれども、論点2のほうで周知・広報といったところもありますので、そちらでまた資料の説明と議論ということになりますが、今、坂元委員、白井委員からあった御意見について、今の時点で事務局から何かお答えできることはございますか。
○小塩予防接種課課長補佐 事務局でございます。ありがとうございます。
 まず、坂元委員から御指摘いただいた今後のスケジュール感についてでございますけれども、こちらは政令改正が必要になるものでございます。これまでもキャッチアップ接種の開始に当たって政令改正を行ったときは、分科会にもお諮りをして、そちらを最終決定として具体的な改正の条文に落とし込みまして、所定の手続を経て改正したということでございます。
 今回、部会で本日御議論をいただきまして、おおむね前回と同じような形で進めますと、分科会にもお諮りをした上で、政令改正は年が明けてからになろうかと思います。
 一方で、こういった情報や方針について自治体が早めにお知りになって準備を進めることが重要と考えておりますので、この間においても提供できる情報や方向性については、適宜丁寧に提供させていただきたいと思います。
 また、併せてパンフのお話がありましたけれども、直接御活用いただけるような広報資材についても、可能な限りお示しさせていただきたいと考えております。
 また、白井委員の御指摘の勧奨の方法等について、これは基本は経過措置として行うものでございますので、基本的なやり方についてはこれまでと同様の形を想定いたしておりますので、当然に一定の裁量を持ってやっていただくことになろうかと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、論点1-マル2に関して、主には期間のところでどの程度行うのかというところで、半年あるいは12月までといった御意見を1つずついただきましたが、そのほかの先生方はおおむね1年間ということでよろしいですか。
 最後にまとめさせていただくことにして、それでは、論点1-マル1とマル2の議論は、この程度にさせていただきまして、次の論点2のほうに進みたいと思います。
 それでは、事務局から論点2に関する資料の説明をお願いいたします。
○小塩予防接種課課長補佐 事務局でございます。
 では、続きまして、24ページからキャッチアップ接種の周知方法についてでございます。
 25ページ、再掲のスライドでございますが、赤で囲っておりますとおり、積極的勧奨及びキャッチアップ接種開始に当たっては、周知・勧奨の方法について御議論をいただいたものでございます。
 また、26ページ、キャッチアップ接種の周知・広報について、今年が最終年度であることを踏まえまして、本年5月の部会でも御議論をいただきました。主な御意見としましては、下線を引いておりますとおり、この夏に照準を合わせて全国レベルでしっかりとリマインド、周知を行うべきということで御意見をおまとめいただいたものでございます。
 こうした御意見を踏まえまして、厚生労働省のほうでも幾つかの取組を行ってまいりました。
 紹介させていただきますと、まず27ページ、文部科学省と連携した大学等への周知ということで、この6月に厚労省から文科省に依頼をしまして、全国の大学及び高等専門学校への周知を行っていただくことといたしました。これを受けて、7月以降、全国の大学等でキャッチアップ接種の認知を高める取組を実施いただいたものと承知しております。
 その例といたしまして28ページにお示ししておりますが、こちらに記載の幾つかの大学においては、例えば学食トレイのチラシへの掲出や学内のポスター掲示を行うなどの周知を行っていただいております。
 また、29ページでございますが、キャッチアップ接種の対象者には基礎教育等を終了した方も多くいらっしゃるので、そういった方にもしっかりと周知を行うため、厚生労働省のほうで保険者と連携した職域における接種対象者への周知というものをお願いいたしました。
 また、30ページですが、こうした連携した取組のほか、厚生労働省自らとしても様々な広告媒体を活用して、例えば動画を作成したり、SNSに様々な投稿をしたりといった取組を行ってまいりましたので、こういった取組を行ってきたということで紹介をさせていただきます。
 また、31ページでございますが、標準的な接種期間が6か月であることを踏まえまして、10月以降にどのような周知を行っていくのかについて、自治体の皆様からの照会が増えてきたことも踏まえまして、9月に事務連絡を発出させていただいております。
 こちらのQ&Aでお示ししておりますように、まず赤で囲っているとおり、標準的な接種期間は6か月ですが、最短の期間では4か月ないしは5か月で接種可能であるということ。また、下で下線を引っ張っておりますように、接種の回数が3回まで完了するか否かによらず、今年度内であれば定期接種として取り扱って差し支えないということでお示ししております。
 こうした短い期間での接種について、Q&Aの形だけではなかなか分かりにくいといった御意見も踏まえまして、厚労省のほうからお配りしているチラシにおいても、こういった短縮で接種することもできることについて10月以降お示ししております。
 あわせて、33ページにございますとおり、厚労省のSNSのほうでも、短縮の図と一緒にメッセージを流しているところでございます。
 こうした現状を踏まえまして、論点2でございます。
 35ページ、現状と課題については割愛させていただきます。
 論点2、周知・広報についてということで、論点1につきまして、需給の状況に鑑みて、この夏以降の需要の大幅な増加に伴うこの状況を踏まえた経過措置を設ける場合に、対象者本人や保護者が適切な理解の下で令和6年度内に接種を検討・判断され、希望される方に対しては自治体や医療機関が円滑に実施体制を確保できるよう、どのような点に留意して情報提供を行っていくべきかということで、御意見をいただければと存じます。
 本体の御説明は以上でございまして、以下、参考資料として2枚おつけしております。
 36ページは、HPVワクチンの各ワクチンの用法等について添付文書の記載でございます。
 また、37ページは、海外における取扱いといたしまして、主に用いられている9価のワクチンの接種スケジュールや、キャッチアップ接種の対象者及び方法について、国際機関や諸外国の取扱いを事務局で調べる限りでお示ししているものでございます。本日の議論に関連する参考資料として示しているものでございます。
 説明は以上でございます。御議論のほど、よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 今、これまでの取組と、それから、10月からの広報への取組ということで御紹介をいただきました。最短4か月で完了できますから、接種を希望される方は早めに打ってくださいということは広報してきたというところですね。
 ただ、論点2に関しては、需要が非常に増えたというところで限定出荷という状況があり、そして、論点1のところで御議論いただいた、経過措置を1年延長して行う場合にどのような広報の体制を取るかというところに関しての先生方の御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 自治体の先生方もかなりそこのところが気になるところかと思いますが、白井先生、お願いします。
○白井委員 白井です。
 この夏を勝負だと言って自治体も頑張って勧奨しましたし、うちの市などは3回、4回ぐらい本当に昨年度から計画しながら個別勧奨して、どれぐらいのキャッチアップの方が受けられたかという個別の接種率は分からないのですけれども、先ほどお示しいただいたような学年ごとだということになると、学年によっては2割ぐらいの方が受けていただいたということがあると、5分の1ぐらいは受けていただいているのだなという感覚を持つと、3月ぐらいまで滑り込みで受けていただいた方もそれ以上はないと思うのですよね。
 そういったときにどこまで力を入れるかということなのですが、自治体としては、終わりですよと言いながら、いや延びましたというか、できるようになりましたといった手のひらを返すような勧奨はすごくお伝えしにくいなと思うのですが、逆にやはりせっかく3月まであるところで受けた方には、対象の方を切り捨てない、一人でも多くの対象者にHPV感染を予防してほしいと。そのチャンスを行政が与えるというか提供しますよというこの国全体の本気度を示すような提供ができたらなと思いますので、どういう留意点が必要かといったときには、それを覆してもやはりこういう対応が必要だったということを言えるような周知ができたらなとは思っています。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 池田委員、お願いします。
○池田委員 池田でございます。
 こうしたせっかくの接種可能な期間に少し猶予ができたということもありますので、ぜひ周知・広報をさらに行って、多くの方に受けていただくのがよいと個人的には思っています。
 1点質問というか、私として理解できていないのは、25ページの周知勧奨の方法というところで、ワクチンの有効性や年齢・性交経験との関係等についての情報をしっかり周知した上で、接種するかどうかについては接種対象者に検討・判断してもらうのがよいのではないかというような御意見があり、このように進めるのかなと思っておりましたが、一方で、例えば先ほど海外の状況の御紹介がありましたが、私の知る限り、例えばアメリカのほうのレコメンデーションでは、26歳までの方には特段年齢や性交経験との関係とは無関係に全ての方に推奨する形になっていると思います。27歳から45歳の方に対してはShared Clinical Decision-Makingということで、この件に関しての説明をした上での判断を行うことになっていたと思うので、この周知・勧奨のほうのところで下線の引いてある年齢・性交経験との関係等の情報の周知というのがどの程度要るものなのか、これをきちんと相談した上で受けるかどうかの御判断をしてもらうのか、それとも、そうではなく基本的には一律に推奨ということでよろしいのか、そこはどちらの考えで行くのかというのは確認が必要かと思いました。
 細かいことかもしれませんが、以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。こちらも後ほど事務局に確認をしてみたいと思います。
 続きまして、笹本委員、お願いします。
○笹本委員 日本医師会の笹本でございます。
 今回の経過措置は、来年の3月末までに初回接種を済ませた方という前提でございますので、経過措置の実施が決まった場合には、速やかにできるだけ早く案内が必要だと考えております。
 また、当初9月から11月までの接種開始、あるいは3月までの接種と内容が変更されておりますので、また、今回は対象年齢の方につきましても定期接種の高校1年生も加わっておりますので、なかなか分かりづらいところがありますから、この点について国民の方にしっかりと理解できるように、丁寧にかつ大々的な広報がまた必要になるのではないかなと考えております。
 これらの点につきまして、十分国のほうでも配慮をしていただいて、円滑に勧奨していきたいと思っております。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
 具体的な話をしますと、年度内に間に合うためには11月の終わりまでに打たなくてはいけないとなるとあと数日しかないので、これは今さらアナウンスのしようのないことかと思います。
 ただ、現実問題として、先ほど厚生労働省からの御説明では、年明けに政令改正が行われて周知がされるということですと、それが行われてから仮に市町村が案内のビラ、パンフ等を被接種者の方に送付するとなりますと、恐らく2月、3月中に届くのかなと思います。では、その中にどういう文言を入れるかですね。3月までに打ってしまえば翌年権利がありますよという文言をわざわざ入れるのか、これは先ほど白井先生もおっしゃったのですけれども、手のひらを返すようなやり方になってしまうのかなと思います。それとも、そこは淡々と一回打った人は4月以降それが継続される権利がありますよとやるのか、これはかなり難しいところだと思うのです。国の政令改正とかパンフレットの出来もあると思うのですけれども、少なくとも多くの市町村では年度内に周知が間に合ってしまうと思います。その中に、3月まで打てばこういう権利が継続されるということをわざわざ書き込むとか、その案内は一回でも年度内に打った人は4月から権利が保障される。そこは書きようがものすごく難しいなと思いますので、政令改正が具体的にいつ行われるか、その辺との兼ね合いがあると思いますので、やはり書きぶりは検討を要することかと思っております。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。確かに3月末までに一度でも受ければ権利を保障しますよと書き込むかどうかというところですね。
 宮入委員、お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。
 これまでの経緯の中で、急いで4か月で接種をしていったという人が、これはあくまでも用法・用量に設定されている接種の仕方であって、早く受けたから不利益を被ったというメッセージにならないように気をつけていただきたいなと思っています。今までの流れを全部踏まえて矛盾なく話をするのはなかなか難しいところがありますので、丁寧に丁寧に繰り返し説明をしていただく必要があるかと思っています。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。これまでに急いで接種をしていただいた人が不利益を感じないような広報の仕方ということですね。
 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 経過措置に関してどのように具体的に周知をしていくか。その方法論については、私自身はヘルスコミュニケーションや行動経済学などが専門ではありませんので、具体についてはそういった専門家の方々と行政のほうで検討していただくということでよいのかなとは思っているところです。
 一方で、私が意見として今申し上げたいのは、経過措置についてというよりも、今後のそもそもの定期接種率をどう上げていくのか、その方向性について意見を述べたいと思います。
 先ほど申し上げましたHPVワクチンの接種率が上昇傾向にあるということは非常に喜ばしいことですけれども、一方で、今この論点2の上の四角の中にもありますが、積極的勧奨はするものの、個別勧奨を一律に求めることはしないと現行の方針はなっています。これについて見直しをしてはどうかなと考えます。そもそも予防接種法に定められている自治体による積極的勧奨という制度の在り方そのものについての本質的な議論というのも必要だとは思いますが、少なくとも現行の制度で進められている以上は、積極的勧奨をするというのであれば、やはり個別勧奨を含めて積極的にやっていただくことが重要なのかなと思うところです。
 既に審議会資料として、昨年8月に厚労省が実施した調査で、令和4年4月時点ですけれども、定期接種対象者に対して接種券や個別案内を送付する計画を持つ自治体が約90%であったというデータがあります。2年たっていますので、実際にはもっと上がっているのかなと期待はしますけれども、この機会に改めて個別勧奨も含めた積極的勧奨と位置づけてはどうかなと考えます。
 一方で、行政の枠組みだけで対応するのも限界があろうと思います。先ほど白井委員から国としての本気度を示すことも重要だという御意見もありました。私もそう思いますが、行政だけでの限界はあると思いますので、例えば行政とのチャンネルでありますワクチン関係の審議会とアカデミアの連携というのも考えていく必要があるのではないかと思っております。何でもアメリカがいいとは言いませんけれども、アメリカのACIPと米国小児学会とか、複数の学会とかが連名で定期接種スケジュールに関しては毎年推奨をアップデートしているという状況があります。全くアメリカと同じようにはできないとしても、我々としても、我々委員も含めて学会と連携をして、例えば小児科学会とか産婦人科学会と連携して、小児頸がん排除に向けた取組を共同でアピールしていくといったことも今後の接種率を上げていくためには重要ではないかなと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 鈴木先生からは、もちろん広報の専門家、ヘルスコミュニケーションの専門家とよく検討してほしいという御意見とともに、今後のHPVの定期接種率をどう上げていくか。その点においては、個別の勧奨というものを求めていくことも必要ではないかと。あるいはそのほか一般的な定期接種に関する今後の進め方に関しての御意見もあったというところと理解しております。
 そのほかいかがでしょうか。大体御意見はいただいたのですかね。
 そうしましたら、今、様々御意見をいただいたところですので、事務局からレスポンスいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○小塩予防接種課課長補佐 事務局でございます。
 御意見ありがとうございます。
 幾つかお答えをさせていただきますと、まず池田委員から御指摘いただいた25ページの下線の部分の情報の周知ということについて、アメリカのリコメンドの状況と合わせて御示唆をいただきました。こちらは、ワクチン全体にまず言えることとして、定期接種の接種勧奨や努力義務がかかっているものがありますけれども、最終的には個人の判断ということになるわけでありまして、その中で、特にこのHPVワクチンについては、これまでの経緯も踏まえ、そういった判断をする上での基礎情報として、年齢や性交経験、有効性・安全性の情報を併せてきちんと提供いただいて御判断いただくということでこれまでの体制を組んできていただいたものと思いますので、こういった体制については今後も変わらないものと承知をしております。
 また、坂元先生からスケジュールや具体的な周知の文言について御指摘をいただきました。まず、政省令の改正との兼ね合いにつきましては、具体的な時期については年が明けてからいつになるのかということは現時点ではまだ確たることは申し上げられませんけれども、一方で早めに動くことが当然必要になってくるかと思いますので、年内を予定して、自治体の方を中心としまして、ある程度しっかりとした情報を御提供できるような場を設けることを考えてございますので、それを踏まえて、動けるところはまず動いていただくということでお願いをしたいと思ってございます。こちらの詳細についてはまた御提供いたします。
 文言につきましても、本日御議論いただいた方針を踏まえて、事務局でまたよく整理をしたいと思っております。
 また、宮入先生から御指摘いただいた早く打った方が不利益を被ったというイメージにならないようにということ、これは非常に重要な御指摘と思ってございますので、こういった観点も踏まえてよく考えたいと思います。
 最後に、鈴木委員から御指摘いただきました積極的勧奨、一律の接種を求めるということについて見直すということも考えていいのではないかと。今回は経過的な措置として御提案しているものでございますので、この段階で何か変えるということではないと思いますが、今後の定期接種の接種率を上げていくという観点からは非常に重要な御指摘をいただいたと思っておりまして、今後またどういったことができるかについては、ご指摘の海外アカデミアとの連携の推進も含めて、御議論をいただくようにしていきたいと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、さらに御意見はいかがでしょうか。大丈夫ですか。
 今、様々御意見をいただいたところですので、広報に関しては特に分かりやすく、それから、これまで頑張って接種をしていただいた人が不利益を感じないようにとか、それから、広報の専門家と検討してほしいというような御意見がありましたので、そこは十分に検討していただきたいと思います。
 そうしましたら、特にさらなる御意見がなければ、今回の意見の取りまとめをしたいと思います。
 論点1-マル1、それから、1-マル2というところがありました。こちらはHPVワクチンのキャッチアップ接種はこれまで3年間、来年の3月までですけれども、行ってきているということですが、ワクチンの需給の逼迫というところもあり、一定の経過措置を置くというところは皆様大きな御異論はなかったと思います。
 また、接種の対象者、実施方法についても、事務局からの御提案で大きな異議はなかったと考えます。
 ただ、1年間というところに関しては意見がございましたが、おおむねこの1年間という方向性でよろしいのではないかと私のほうは理解をしていましたので、その方向でお願いしたいと思っております。
 また、周知に関しましては、対象者が接種について検討・判断できるように、今日御議論いただいた経過措置の取扱いも含めて、引き続き丁寧、それから、確実に情報提供を実施していただくということですね。先ほど申し上げたとおり、分かりやすいということ。それから、不利益を感じないようなこと、そういったことも十分検討していただきたいと思っております。
 ということで取りまとめたいと思います。
 事務局におかれましては、今日のこの結論を踏まえた上で、キャッチアップ接種の経過措置の取扱いについては必要な手続を進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、ありがとうございました。HPVワクチンについては、この取りまとめで御対応いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、そのほかのところがありますが、その他、特にこちらから準備はないのですけれども、委員の先生方から何か御意見、御提案、御質問等があれば。
 坂元委員、お願いします。
○坂元委員 2点ございます。
 一点、これは各市町村から国のほうにいろいろ意見が行っていると思うのですが、帯状疱疹のワクチンですね。これは独自に補助等を始めている市町村がどんどん増えている中で、このことに関してできるだけ早く議論してほしいという市町村からの強い要望が上がっております。
 それから、2点目が、2025年度のコロナワクチンに関して、今回と同様の補助が出るのか出ないかによって、市町村にとってはかなり大きな財政負担が求められることになりますので、今回は国のほうの御努力で8,300円の補助をつけていただいたことで感謝申し上げていますが、来年度どうなるかという点、この点に関しても、すぐ新年度になりますので、できるだけ早い市町村への周知、議論をよろしくお願いいたしたいと思います。
 以上2点でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 ただいま坂元委員のほうからは、帯状疱疹ワクチンの今後の議論についてどんな予定があるか、早く議論してほしいということ。それから、2番目、来年度のコロナワクチンの補助について今分かることがあればということだと思います。
 事務局から何か今お話しできることはありますか。
○前田予防接種課課長 事務局でございます。予防接種課長でございます。
 いずれも重要な御指摘だと思っておりますが、大変申し訳ございませんが、現時点で特に定まったものがないという状況でございます。こちら側の準備ができ次第、速やかに御提案させていただきまして御議論いただきたいと思いますし、また、そういったところがございましたら、市町村の皆様にも適宜御提供申し上げたいと思ってございます。
 今の段階で特段申し上げられない状況であることはおわびを申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○坂元委員 よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 現時点ではお答えできることはないということですけれども、事務局にはその点御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。
 そのほかいかがでしょうか。大丈夫ですか。
 それでは、特になければ、事務局のほうにお返ししたいと思います。
○溝口予防接種課課長補佐 事務局でございます。
 本日も活発な御意見、御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。
 次回の開催につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
 事務局からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、本日の基本方針部会はこれで終了したいと思います。
 今日も活発な御議論をありがとうございました。
 また次回もよろしくお願いいたします。