第29回過労死等防止対策推進協議会 議事録

労働基準局総務課(過労死等防止対策推進室)

日時

令和6年11月14日(木) 13:00~15:00

場所

厚生労働省 専用22~24会議室(中央合同庁舎5号館18階)
東京都千代田区霞ヶ関1-2-2

出席者

専門家委員
岩城穣委員、戎野淑子委員、川人博委員、木下潮音委員、堤明純委員、中窪裕也委員、宮本俊明委員
当事者代表委員
工藤祥子委員、髙橋幸美委員、寺西笑子委員、渡辺しのぶ委員
労働者代表委員
青木哲彦委員、上野友里子委員、冨髙裕子委員 西尾多聞委員
使用者代表委員
神尚武委員、佐久間一浩委員、鈴木重也委員、

議題

  1. (1)令和6年版過労死等防止対策白書について
  2. (2)令和6年度の取組状況及び令和7年度概算要求について

議事

議事内容

○中窪会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第29回「過労死等防止対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多用中にかかわらずお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、岩城委員と佐久間委員がオンラインでの御出席です。また、御都合により、清山委員、大下委員が御欠席ということです。宮本委員と鈴木委員は、御都合により遅れて参加されるということです。
 なお、大下委員の代理としまして日本商工会議所産業政策第二部副部長、清田素弘様がオンラインで参加されております。
 本日は、会場にお越しの委員についてはタブレットに格納されている資料を御覧いただきます。不具合などありましたら、職員をお呼びください。オンラインで御参加の委員におかれましては、事前にお送りした資料をお使いください。
 議事に入る前に、事務局に異動があったとのことですので紹介をお願いします。
○企画官 前回6月の協議会以降、事務局に異動がございましたので御紹介いたします。
 労働基準局長の岸本です。
○労働基準局長 よろしくお願いいたします。
○企画官 大臣官房審議官(労働条件政策、働き方改革担当)の尾田です。
○審議官 よろしくお願いします。
○企画官 労働基準局総務課長の佐々木です。
○総務課長 よろしくお願いいたします。
○企画官 労働基準局監督課長の村野です。
○監督課長 よろしくお願いします。
○企画官 事務局の紹介は以上でございます。
○中窪会長 それでは、カメラ撮影につきましてはここまでとさせていただきますので、御協力のほどお願いいたします。
(カメラ退室)
○中窪会長 それでは、議事に入ります。
 本日の議事は2つ、「令和6年版過労死等防止対策白書について」と「令和6年度の取組状況及び令和7年度概算要求について」です。
 事務局からまとめて御説明いただいた後に、一括して質問等の時間を設けたいと思います。委員からの発言をできるだけ多くいただきたいと思いますので、事務局の説明は簡潔にお願いいたします。
○企画官 厚生労働省でございます。
 私からは資料1から資料3、そして資料8について御説明いたします。資料の右下に通しのページ番号を振ってございますので、こちらで御案内してまいります。
 では1ページ、資料1の「令和6年版過労死等防止対策白書」の概要でございます。
 次の2ページになりますが、過労死等防止対策推進法に基づく法定白書で今回が9回目となります。先月11日に閣議決定されたところでございます。白書のポイントは医療、芸術・芸能分野、DX等先端技術担当者の調査分析結果を掲載したところとなっております。 白書の構成ですが、第1章が労働時間等の状況、第2章が過労死等の現状、第3章が過労死等防止対策大綱の変更で、今年8月2日に閣議決定されました。その経緯と変更のポイントを記載しております。第4章が過労死等をめぐる調査・分析結果について記載しておりまして、第5章が過労死等防止対策の実施状況をまとめたものとなっております。
 次の3ページを御覧ください。第1章の「労働時間等の状況」ですが、赤の折れ線グラフ、週労働時間40時間以上の雇用者のうち60時間以上の雇用者の割合は長期的には減少傾向となっておりまして、直近の令和5年で8.4%となっております。
 次の4ページ、勤務間インターバル制度について左上、この制度を知らない企業割合が近年増加しておりますが、左下、制度の導入企業割合は少しずつ増えております。右上の「年次有給休暇」の取得率ですが、62.1%まで上がってきております。
 次の5ページ、職場におけるメンタルヘルス対策の状況で、左上、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は60%前後で推移しております。左下、50人未満の小規模事業場におけるストレスチェックの実施割合も増加傾向にあります。
 右上のグラフで、仕事に関する強い不安やストレスがあるとする労働者の割合ですが、80%強の高い割合となっております。
 次の6ページです。第2章の「過労死等の現状」について、左上、脳・心臓疾患の支給決定(認定)件数は前年より増加し、4年ぶりに200件を超えました。その右側の精神障害の支給決定(認定)件数ですが、こちらは令和元年度以降増加傾向にあります。
 次の7ページ、第3章の「過労死等の防止のための対策に関する大綱の変更」について、変更の経緯や変更のポイントについて記載しております。変更のポイントの1点目としまして、大綱策定10年の節目でこの間の振り返りなどを記載しております。
 第2点目としまして、時間外労働の上限規制の遵守徹底、過労死等を繰り返し発生させた企業に対して改善計画を策定させるなど再発防止指導を強化することなどとしております。
 次の8ページ、第4章でございますが、過労死等に関する調査・分析結果を掲載しております。まず平成22年度から令和3年度までの12年間の脳・心臓疾患事案について分析したものとなります。左下ですが、令和3年9月に脳・心臓疾患の認定基準が改正されまして、労働時間以外の負荷要因も加味することとされました。改正以降の分析結果を見ますと、「勤務間インターバルが短い勤務」と「拘束時間の長い勤務」が多く、業種を見ますと右側の2と3にありますように、いずれも割合が高いものは「運輸業、郵便業」となっております。
 次の9ページでは、医療従事者である医師・看護師について、平成22年度から令和2年度までの11年間の精神障害事案を分析したものを掲載しております。左側、労災支給決定件数は医師、看護師とも近年増加傾向にありまして、年齢層を見ますと30歳代を中心に多くなっております。右側、労災認定の要因となった出来事では、医師は「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」、看護師は「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が一番多くなっております。
 次の10ページでは、事業場へのアンケート調査から商慣行や契約等の課題について記載しております。左上の納期に困難のある契約は「製造業」や「建設業」で多く、右上の人員確保が困難な契約の経験については「建設業」や「情報通信業」で多くなっております。 また、左下の価格転嫁について「できている」、「一部できている」とした事業場や、右下の生産性が「向上した」「やや向上した」という事業場の割合はおおむね50%を超えております。
 次の11ページですが、DX等に携わる先端技術担当者へのアンケート調査の結果を掲載しております。先端技術の担当でない者に比べ、若干労働時間は長く、うつ傾向・不安については高い傾向となっております。また、負担軽減策として「教育・研修・知識の充実」を求める声が多くなっております。
 次の12ページでございますが、芸術・芸能従事者のうちスタッフに対するアンケート調査の結果でございます。スタッフは、拘束時間が60時間以上の割合は「技術スタッフ」が最も高くなっております。また、休日数では1週間当たりの休日が1日相当以下の方が高い職種で6割という状況ですが、主観的幸福感は一般就業者全体よりも高くなっております。
 次の13ページになりますが、ハラスメントの経験は「仕事の関係者に、心が傷つくことを言われた」の割合が最も高く、また取引上のトラブルの経験では「仕事を受ける前に報酬額を提示されない」など総じて高くなっております。
 次の14ページから15ページにつきましては、令和5年度の「過労死等の防止のための対策の実施状況」について記載しております。詳細は省略をさせていただきます。
 16ページから17ページは、コラムについて記載しております。関係団体や企業の取組など様々なコラムを掲載しております。委員の皆様にも御協力いただきましてありがとうございました。
 白書の概要については以上となります。
 続いて、18ページからが資料2になります。初めて大綱が策定された平成27年以降の対策の実施状況を項目別、年度別に取りまとめた資料となっております。本日は説明を割愛させていただきます。
 次に、ページは飛びまして70ページの資料3を御覧ください。令和6年度の厚生労働省の主な取組を載せております。
 71ページでありますが、11月の過労死等防止啓発月間における取組事項として、過労死等防止対策推進シンポジウムを全国各地で開催しております。
 72ページは周知啓発について、今年度も「しごとより、いのち。」をキーフレーズとして各種手法を用いて広報を展開しております。
 次の73ページですが、11月には過重労働解消キャンペーンも展開しておりまして、労使団体への協力要請のほか、重点監督や無料の電話相談等の各種取組を実施しております。
 74ページ、調査研究につきまして、引き続き過労死等の事案の分析、アンケート調査、疫学研究等を行いまして、支援ツール開発に向けて取り組んでおります。
 75ページですが、啓発について、勤務間インターバル制度についてシンポジウムの開催、導入・運用マニュアルの作成、動画コンテンツ等によりまして周知を行っております。
 次の76ページですが、フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行に向けた説明会の開催、個人事業者等の健康管理に関するガイドライン、労災保険特別加入制度の対象にフリーランスが追加されたことの周知などを行っております。
 77ページは、商慣行・勤務環境等も踏まえた取組で、自動車運転者の関係では国土交通省と連携しまして荷主企業への働きかけ等を行っております。
 次の78ページは建設業に関しまして、建設業等の一部を改正する法律が成立しまして、労働者の処遇改善、労務費へのしわ寄せ防止、働き方改革と生産性向上に取り組むこととされております。
 79ページは、啓発事業について高校、大学等への講師派遣事業の実施状況を載せております。
 80ページは民間団体の活動に対する支援等で、遺児交流会と相談室の実施状況となっております。
 本年度の取組については以上となります。
 最後に、ページがまた飛びまして97ページになります。資料8ですけれども、過労死等防止対策の関連予算についてです。令和7年度の要求額は232億円となっております。引き続き、調査研究や啓発、相談体制の整備等の過労死等防止対策が実施できるよう、必要な予算要求をしているところでございます。
 厚生労働省からの説明は以上でございます。
○人事院職員福祉局職員福祉課長 人事院でございます。続きまして、人事院の取組につきまして御説明を申し上げます。
 81ページの資料4を御覧ください。
 まず取組の1つ目は「超過勤務の縮減」でございます。人事院では勤務時間調査・指導室が各府省を直接訪問いたしまして勤務時間の管理等に関する調査を実施し、超過勤務時間の適正な管理に関する指導等を行っております。今後、調査・指導等をさらに充実させていくこととしております。
 また、各府省における超過勤務制度の運用状況を聴取する機会等を通じまして、超過勤務の縮減に向けた取組について各府省に働きかけを行っておりますが、引き続き業務の工夫ですとか認識変革等、一層の取組を依頼してまいります。
 また、このほか各種アンケートの結果を踏まえ、関係各方面に対する協力依頼なども行ってきております。今後も超過勤務の縮減が図られるよう、必要な取組を行っていきたいと考えております。
 続きまして、取組の2つ目でございますが、「勤務間のインターバルの確保」についてでございます。
 各省各庁の長の勤務間のインターバル確保に努める責務を法令上明確にするため、本年4月に努力義務規定を導入いたしました。
 併せまして、各府省における取組を支援する観点から、その目安となる時間や具体的な取組例などをお示ししております。
 また、現在、各府省における勤務間のインターバル確保に係る実態を把握し、課題の解消に資する取組を推進するため、職員アンケートやヒアリング等の調査研究事業を実施しております。
 これらを通じまして、各職場で勤務間のインターバル確保が図られるよう、引き続き取り組んでまいります。
 3つ目は「ゼロ・ハラスメントに向けた取組、職員の健康増進等」についてでございます。
 ゼロ・ハラスメントに向けた取組といたしましては、昨年度も実施いたしました幹部・管理職員ハラスメント防止研修につきまして本年度も実施し、ハラスメント防止対策に関する自身の役割の重要性の理解促進等を図っていくこととしております。
 また、各府省におけるハラスメント相談体制に係る実情・課題等を踏まえまして、外部相談窓口の活用を試行する等、相談担当者をサポートするための体制整備の具体化等の検討を行っていきたいと考えております。
 また、職員の健康増進につきましては人事院が設けている相談窓口をより利用しやすくするため、令和5年7月に全ての窓口にオンライン相談を拡大しております。引き続き、利用しやすくなるような工夫等に努めてまいります。
 さらに最後についてでございますけれども、脳・心臓疾患及び精神疾患等に係る公務災害認定事案の分析に基づきまして、過重な業務に従事している職員に対する勤務時間管理の徹底や体制面での配慮、日頃からの心身の健康管理や適切なケア等について、過労死等防止の観点から各府省に対して指導・助言を行ってきております。
 人事院からの御説明は以上でございます。
○内閣官房内閣人事局参事官補佐 内閣人事局でございます。
 資料5、右下のページ番号で84ページを御覧ください。令和5年度の内閣人事局における過労死等の防止対策の実施状況について説明いたします。
 「働き方改革の推進」につきましては、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」に基づき、現在長時間労働等対策、マネジメント改革等の取組を推進しているところです。
 内閣人事局の取組といたしましては、まず1つ目の「各府省等の取組の支援」として、国家公務員の働き方改革に関する職員アンケートを実施いたしました。各府省等の取組状況の実態及び職員の意識等を横断的に把握、検証するため、今年度も引き続きアンケートを実施する予定です。
 2つ目の「業務効率化・デジタル化の推進」につきましては、業務の見直しのさらなる推進のため、府省等横断の業務見直しに係る意見交換の場を設置・運営しております。
 3つ目は「長時間労働等対策の強化」です。引き続き、各府省に対して超過勤務時間の確実な把握と、これに応じた超過勤務手当の支給を要請しております。
 また、勤務時間管理システムについては職員の勤務時間の正確な把握、上司が部下の勤務状況を随時把握することによる適切なマネジメントなどが可能となることから、各府省におけるシステムの導入を支援いたしました。
 また、令和4年度末に最終報告が公表された人事院主催の「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」の議論を踏まえ、令和5年4月から柔軟化されたフレックスタイム制の活用を促進するとともに、令和5年8月に人事院から提出された勤務時間に関する勧告等も踏まえ、フレックスタイム制を活用し、週1日を限度に勤務時間を割り振らない日を設ける措置を一般の職員に拡大する法改正を行いました。
 4つ目は「WLB推進のためのマネジメントの向上」です。
 まず、アにございますマネジメント研修についてです。本府省の新任の管理職を対象とし、マネジメント能力の向上を図るための研修を令和4年度に引き続き実施しております。また、全ての新任の管理職を対象として、マネジメントの具体的な行動例をケーススタディを通じて学ぶeラーニングも実施しております。
 イの管理職員向けeラーニングも平成29年度から実施しており、引き続きワークライフバランスのために管理職に求められる行動・役割について啓発してまいります。
 さらに、ウにございますとおり、各府省等への当局のこれまでの知見や、各府省等の優良な取組事例等を共有し、各府省等の状況に応じた研修実施等の自主的な取組を引き続き支援してまいります。
○内閣官房内閣人事局参事官 続きまして、次のページを御覧ください。
 85ページ、「心身の健康の保持増進」についてでございます。
 まず、国家公務員に対する周知・啓発の具体的な取組として4点ございます。
 1点目として、管理監督者がメンタルヘルスの基礎知識やメンタルヘルス不調者への実際の対応方法を習得するためのセミナーを実施しております。
 2点目は、10月1日から7日までの国家公務員健康週間中に女性の健康及び心の健康に関するテーマで「健康に対する意識啓発講演会」を実施いたしました。
 3点目は、新任の幹部職員、課長級職員、課長補佐等を対象として、メンタルヘルスやパワーハラスメント防止等の知識や、部下からの相談への対応方法、幹部職員等の果たすべき役割や責任の理解、それらの習得のため、「eラーニングによるメンタルヘルス講習、ハラスメント防止講習」を実施いたしました。
 4点目は、過労死等の原因となる脳血管疾患等を予防する観点から、健康診断において要医療・二次健診の対象となった職員への確実な受診の指導などを推進しました。
 また、国家公務員に対する相談体制の整備に関する取組として、カウンセリング能力向上のため「カウンセラー・相談員のための講習会」を実施いたしました。
 なお、これらについては令和6年度も同様の取組を実施しております。
 内閣人事局の取組は以上になります。
○総務省自治行政局公務員部福利課安全厚生推進室長 続きまして、総務省より86ページ、資料6の「総務省における過労死等の防止対策の実施状況」について説明させていただきます。
 総務省におきましては、地方公務員の過労死防止対策を担っております都道府県や市区町村に対し、継続的に助言や情報提供、調査研究を行っております。
 87ページの上段には地方公共団体における時間外勤務縮減等の取組をまとめております。昨年末に公表しました令和4年度の地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果を踏まえまして、令和5年12月25日に通知を発出し、勤務時間の適正な把握と、長時間勤務者に対する健康確保措置、時間外勤務縮減の取組について改めて地方公共団体に助言しております。
 また、3のとおり、令和6年度も各種会議において同様の助言を行っております。
 また、4のとおり、先ほど申した昨年末の通知において年次有給休暇の取得促進のほか、勤務間のインターバル確保に係る取組の検討などを助言しております。
 また、5のとおり、ハラスメント防止対策についても適切に講じるよう要請をしておるところでございます。
 下段の「地方公務員の過労死等をめぐる調査・分析の取組」ですが、令和6年度においてもこれまで同様、労働者健康安全機構への委託により行っております。今年度は教職員の事案の分析を行いまして、白書のほうにも掲載したところでございます。
 88ページでございますが、こちらには「地方公共団体におけるメンタルヘルス対策の実施状況等」を取りまとめております。総務省では、50人未満の事業場を含め、全ての職員にストレスチェックを実施するよう地方公共団体に助言しておりますが、令和4年度は上の表のb/a欄のとおり、全事業場のうち98.6%でストレスチェックが実施されており、また、その下の表の合計欄のとおり、98.4%の地方公共団体で何らかのメンタルヘルス対策が実施されております。
 また、下から2つ目のポツのとおり、令和4年度に開催しました研究会において取りまとめられましたメンタルヘルス対策に関する計画例を参考として地方公共団体が主体的に計画を策定し、着実にメンタルヘルス対策を実施していただくよう助言しているところでございます。
 89ページですが、こちらには地方公務員に対する研修や相談についての取組を掲載しております。
 (1)のとおり、幹部職員等を対象とした研修課程がございまして、令和5年度においてもメンタルヘルスにおけるリーダーシップ等の講義を行っております。
 また、(2)のとおり、地方公務員安全衛生推進協会において東京のほか全国18会場でメンタルヘルス・マネジメント実践研修会を行っており、そのうち東京会場には私ども総務省からも出席いたしまして、先ほど御説明した過労死等に関する調査・分析結果などを説明し、地方公共団体の労働安全衛生の取組をさらに促進するようお願いしているところでございます。
 下段の地方公務員に対する相談関係につきましては、(1)のとおり地方公共団体の人事委員会等に苦情相談窓口が設置されておりますが、これに加えて(2)のとおり関係機関にメンタルヘルス相談先が設置されているほか、一番下の4のとおり、災害に伴う消防職員等に惨事ストレスに対応する必要な支援を行う緊急時メンタルサポートチームの派遣などが行われているところでございます。
 総務省からは以上でございます。
○文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐 文部科学省でございます。
 資料7、90ページを御覧いただければと思います。「文部科学省における過労死等の防止対策の実施状況」についてです。
 91ページを御覧ください。
 教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況等について調査を実施しておりまして、令和5年4月に公表しました速報値におきましては、時間外在校等時間について、小学校で月41時間、中学校で月約58時間程度となっておりまして、前回調査を行いました平成28年度より一定程度改善したものの、依然として時間外在校等時間の長い教師が存在し、引き続き取組を加速する必要がございます。
 それを受けまして、令和5年5月、中央教育審議会に諮問を行いまして、この審議会において議論が行われてまいりました。
 また、令和6年度予算におきましては教職員定数の改善や支援スタッフの配置充実等、教師を取り巻く環境整備の充実を図ってまいりました。
 下から2つ目ですけれども、令和6年8月には中央教育審議会におきまして「「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(答申)」が取りまとめられたところでございます。
 92ページを御覧ください。
 教師を取り巻く環境の現状、そして基本的な考え方について書いておりますが、右下、3.を御覧いただければと思います。
 1つ目として「学校における働き方改革の更なる加速化」、2つ目として「学校の指導・運営体制の充実」、そして3つ目として「教師の処遇改善」、この3つの柱を一体的、総合的に推進することが必要であると考えております。
 93ページを御覧ください。
 1つ目の柱である「学校における働き方改革の更なる加速化」についてでございますけれども、1.に記載しておりますとおり、業務量の適切な管理等に関する指針を策定したり、あるいは教職員定数の改善、支援スタッフの配置拡充等を進めて、教育委員会における取組も着実に進捗してきたところでございます。
 一方で、教育委員会や学校における取組状況の差も出てきており、その点が課題になっておりますところ、働き方改革の実効性を向上していくために、3.(1)でも書いておりますけれども、その取組状況を見える化して在校等時間の教育委員会ごとの公表などPDCAサイクルの構築に取り組むこととしております。
 また、4.でございます。「教師の健康及び福祉の確保に向けた取組の充実」としまして、教師のメンタルヘルス対策に関する事例の創出等をさらに進めて、各教育委員会における取組の充実が必要でございます。
 また、いわゆる勤務間インターバルについて、学校の特性も踏まえながら学校においても進めることが必要であるとされています。
 94ページにつきましては「学校の指導・運営体制の充実」について、95ページについては「教師の処遇改善」について記載しております。
 96ページを御覧ください。「公立学校教員のメンタルヘルス対策に関する調査研究事業」でございます。
 「背景・課題」のところにも書きましたけれども、令和4年度における精神疾患による病気休職者につきましては6,539人と、過去最多でございました。こうしたことも受けまして、令和5年度からこの調査研究事業を実施しているところでございます。
 「事業内容」としましては、各教育委員会において専門家等と協力しながら病気休職の原因分析やメンタルヘルス対策及び労働安全衛生体制の活用等に関するモデル事業を実施し、教員のメンタルヘルス対策に関する事例の創出や効果的な取組の研究を行っておるところでございます。こちらについては、令和7年度の予算についても要求しているところでございます。
 文部科学省からは以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
 ただいまの各府省からの御説明につきまして、御質問や御意見をお願いいたします。できるだけ多くの委員に御発言いただきたいと思いますので、できれば簡潔に御協力いただければありがたく思います。
 それでは、どなたからでもどうぞ。
 では、髙橋委員お願いします。
○髙橋委員 御指名ありがとうございます。髙橋と申します。私からは3点、意見と要望をお話しします。
 まず1つ目は、白書45ページの精神障害の労災請求の急増には大変驚いております。
 年々増加しておりましたが、前年度の2,683件から892件の増加です。娘の労災請求をした8年前、平成28年の2倍以上になっています。昨年11月の協議会で寺西委員が、このままでは来年の報告は3,000件を超えるのではと懸念されたとおりになってしまいました。労災補償課の人員を増員して、被災者や御遺族の救済に対応していただきたいと思います。
 そして、この10年の取組が、皆さんがこんなに頑張ってくださっているのに現実に過労死を減らすことができていない。何が足りないのか、何が必要なのか。人の命が失われていることにもっと危機感を持って、これまでにない実効性のある対策をしていただきたいと思います。
 2つ目、勤務間インターバル制度についてです。
 私の娘は大卒総合職で入社し、9か月後に自殺しました。長時間労働などが原因の精神障害でした。1日の労働時間が19時間の日もたびたびありました。47時間連続勤務、53時間連続勤務もありました。勤務間インターバル制度はなく、帰宅後にシャワーを浴びてすぐに出社することもありました。認定された10月の時間外労働は106時間、週の労働時間が87時間のこともありました。1週間の合計睡眠時間がわずか10時間ということもありました。どんなにつらかったか。せめてインターバルがあれば、ちゃんと眠って疲労を回復することができたと思います。
 今回、脳・心臓疾患のインターバルを調査していただきました。精神はまだですが、極度の長時間労働や連続勤務の事案は依然多くあります。
 また、白書の15ページからの統計では、インターバル制度を知らない企業が19.2%と、またも増加しています。努力義務という曖昧な制度では、認知が進まないのではないでしょうか。導入予定がない企業は依然として8割、そのうちの超過勤務の機会がないので導入をしないという50%の企業は義務化になっても困りません。導入したら困るという26.7%の企業にこそ過労死の危険があり、導入の必要があるのではないかと思いますので、ここに人手不足対策や労働時間管理などの支援をして導入につなげてほしいと思います。
 既にインターバルと疲労回復、長時間労働と循環器負担の研究など、十分にされておりますし、労働基準関係法制研究会、労政審などでも委員の先生方から健康確保、生活時間の確保から、最低でも11時間のインターバルの義務化が必要との意見が多く出されているところですので、ぜひとも義務化を推し進めていただきたいと思います。
 次に3つ目、白書170ページの企業の再発防止についてです。
 過労死と労災認定されている企業には労基署から再発防止策について指導されているところですが、一部の会社では社風といいますか、経営方針を変えるのは大変難しいと感じています。遺族との話合いで会社の責任を認めず、訴訟になっている方が多くおられるからです。このような企業で再発防止の改善が行われることが期待できるのか、大変疑問に思います。
 複数の過労死を出した事業場の本社に、改善計画の作成と実施状況の確認を行うということをしていただいておりますが、これを一度でも認定があった企業に改善計画の提出と職場の定着の確認を継続的に行えるような仕組みをつくって、さらなる再発防止を進めてもらえるように、いま一度お願いします。
 また、現在開催されている過労死防止シンポジウムにおいて、過労死を起こした企業の再発防止策の報告が御遺族からありました。社名を公表して報告することを会社が同意されたそうです。再発防止への会社の決意を感じることができました。
 過労死を起こした企業に対してシンポジウムへの参加の案内をしていただいていると思いますが、一部で人事担当者が参加してくださっているということを聞いています。このような企業の姿勢が広がるような取組をして、再発防止につなげてほしいと思います。
 4週4休の変形休日について検討されているということですが、無給勤務ということは本当にあり得ないことだと思います。これは絶対に撤廃、見直しをしてほしいと思います。
 過労死防止の最も有効な対策は、誰もが安心して働き続けられる職場づくりです。どうか一刻も早く着手してほしいと思います。
 被災者が増えているということに、言いようのない悲しみと憤りを毎年抱えることになっております。どうか皆さんのお力を貸していただきたいと思います。
 ありがとうございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
 それでは、渡辺委員お願いします。
○渡辺委員 御指名ありがとうございます。過労死を考える家族の会の渡辺と申します。よろしくお願いいたします。
 令和5年度の過労死等の概要と防止のための施策につきまして、立派な白書を作成していただき、ありがとうございます。過労死を減らすために御活用していただけるよう願っております。
 この白書の35ページによりますと、脳・心臓疾患の労災請求件数が令和5年度は1,023件となっております。コロナの影響でリモート勤務などがあった令和2年から4年にかけては請求件数が800件前後でしたが、令和5年には1年間で200件も増加しております。精神障害の労災請求件数はコロナ禍の令和2年には少し減少しましたが、それ以降は増加の一途をたどっております。特に令和5年度は前年と比較して900件近い増加となっております。
 しかし、シンポジウム等で配布されている白書の概要版ですと、過労死等の現状という項目で支給決定件数しか掲載されておらず、請求件数は白書を確認しないと分かりません。
 私たち家族の会では、労災申請した方たちは過労死だと考えております。認定されるかどうかは過重労働の証拠が証明できるかどうかですが、労働時間を事業所が把握していなかったり、改ざんしたり、過少申告するように圧力をかけられていた事案もあります。
 このような現状がある中で、労災の支給決定件数だけで過労死の現状としているのは遺族にとってはとてもつらいことです。厚生労働省さんからは、スペースの関係で申請件数は概要版に載せるのは難しいという御説明をいただきましたが、ぜひ載せていただきたいと思います。もしどうしても無理ということでしたら、せめて説明の文章の中で申請件数が増えているということに言及していただきたいと思います。
 シンポジウムには大勢の人が参加します。ここで配布される資料の中で、コロナ明けの令和5年から過労死と思われる事案の請求件数が急激に増加したという事実を多くの人に知っていただき、考えていただきたいと思います。
 この要因についての分析はこれからになると思いますが、1つの要因なのか、複合的に幾つかの要因が重なっているのか、分析していただきたいと思います。
 私たちの会には、過重な労働で家族を亡くしたり、自身が働き過ぎて体や心を壊したりした方たちがいます。そうなってしまった要因を振り返ったとき、1つではなく幾つかが重なってしまったということも多いです。
 過労死をなくすために、また過労で働けなくなる人を出さないためにも、労災申請をした事案の調査が必要だと思います。コロナ明けでなぜ脳・心臓疾患の労災申請が増えたのか。また、精神疾患の申請が毎年増え続けている理由について、コロナ禍の中での労働現場と、コロナが5類になった後の労働現場でどのような影響があったのか、要因の分析をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、啓発事業についてです。概要版の32ページにあるように、過労死等の防止のための対策の中で大学、高等学校等に労働条件に関する啓発事業として生徒・学生の皆さんに遺族の話を聞いてもらっています。その最後にアンケートを記入してもらっていますが、その内容を私たち発言者が目にすることはほとんどありません。
 遺族、当事者が話した内容を生徒さんたちが自分事として受け止め、それを就職活動時や自身のワークライフバランスを考えるときに少しでも参考になっていればと思っております。それが若い人たちの前でつらいことを話した私たち遺族、当事者の願いです。できましたら事業の感想や、どのように役立ったかをフィードバックしていただけると話した意義があります。まとめとしての形でもよいので、事業後のアンケートを遺族発言者にも学生さんにも、これから啓発事業を検討している学校にも役立てるような対応を考えていただけたらと願っております。
 また、私は啓発授業のときに、若年層の被災について現状を伝えています。それは、私たちの会ではお子さんを亡くされた会員さんが増加しており、親御さんの嘆く姿を見ると、何としてでも若い人の過労死をなくさなければならないという強い思いがあるからです。
 白書によりますと、20歳から29歳までの精神障害の労災支給決定件数ですが、令和3年度が153件、令和4年度が183件、令和5年度が206件となっており、年々増加しております。これから社会に出て働く人がこの数字を聞いてどう思うでしょうか。
 白書でも啓発の項目の中で、若年労働者への取組について「こころの耳」について書かれていますが、若年層の被災状況を見ると、これだけの支援では到底足りないと考えざるを得ません。もっと積極的に働きかける必要を感じています。これまで若年層に対して行った取組と、今後計画されている取組がありましたら教えていただきたいと思います。
 また、今年も遺児交流会を企画・運営していただいてありがとうございました。夏の秩父で行われた交流会に、子供たちは元気いっぱいで参加しました。自然の中での活動は、父親を失い、母親だけとなった家庭ではなかなかハードルが高くなります。それを、同じ体験をした子供たちだけで行うということは、子供が安心して参加できる環境です。
 今年度は交流会を8月上旬に行い、同じ8月にオンライン相談室の日程を設けていただきました。そのことで、交流会とつながった相談ができたように感じています。年に1度だけの交流会では、子供たちの心のケアに限界があります。オンライン相談室と連動しながら、子供たちを見守っていく仕組みをつくっていただき、ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
 以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
 それでは、オンラインで岩城委員が手を挙げられておりますのでお願いします。
○岩城委員 岩城です。ありがとうございます。
 令和6年白書の概要、大綱に基づく施策の実施状況、厚労省をはじめとする各省庁の過労死防止対策の実施状況、今回の大綱の変更について詳細な御報告をありがとうございました。非常に詳細かつ充実した施策が継続的に行われているということを改めて理解し、敬意を表したいと思います。
 私が感じていることを3点ほど申し上げます。
 1点目は、32ページにあります優良企業公表制度に現在40社が登録されているとあります。また、73ページに取引先と協力して長時間労働削減に向けて積極的に取り組んでいるベストプラクティス企業及びこれらの企業の取引先との意見交換を行っているというふうにお伺いしました。
 過労死防止対策の意義がだんだん経済界にも広がっていく中で、政府の過労死防止対策を積極的に受け入れていこうという企業も増えてきているのではないでしょうか。また、自らの会社が積極的に社員の働き方の改善をさせて効率を上げていこうとか、それから世間に積極的にアピールして企業価値を高めていきたいという会社も出てきているのではないかと思います。
 そこで、もっとこれらの制度を活用して先進的な取組例や、うちでもこういうことがやれるのではないかと感じられるような例を積極的に紹介して、今でもされていると思うのですけれども、もっともっと持ち上げていってほしいと思います。
 啓発シンポジウムの大阪会場に私は関わっているのですけれども、このような先進企業からの報告をお願いしたいと考えても、なかなか引き受け手が見つからないというのが実情であります。ぜひ全国各地の啓発シンポジウムでもこれら先進企業の取組事例が紹介されるよう、厚労省として、また経営者各団体として御尽力いただけないかと思っております。
 2点目は「トラックGメン」制度、77ページにありますけれども、この設置というものに非常に注目をしております。
 白書の205ページによれば、令和5年7月に国土交通省が全国162人体制で「トラックGメン」制度を創設したということが紹介をされています。これを単に国土交通省だけの取組にするのではなく、関係省庁、それから都道府県労働局の荷主特別対策担当官とも連携して、情報収集や是正指導にぜひつなげていっていただきたいと思います。
 3点目が、過労死防止啓発事業の増加であります。34ページにありますように、啓発事業は平成28年度から続けられてきておりますが、途中コロナもあり、実施回数は年間200回未満、受講者数も1万5000人前後で頭打ちとなっております。私たちは講師の確保には苦労しておりますけれども、講師の確保や予算の問題など、課題が多くあることは認識しておりますが、近い将来、社会に出ていき、厳しい就労環境に直面することも考えられる学生や生徒たちに、遺族の生の声を聞いてもらえる啓発事業を一人でも多く受講してほしいと思っております。
 先ほど渡辺委員もおっしゃったように、受講者の声をアンケートなどで取って、それを広報などで活用していくといったことも、シンポジウムのほうは結構それをされているのですけれども、啓発事業のほうではまだあまりされていないと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。厚労省の皆様の各段の御協力をお願いする次第であります。
 以上です。
○中窪会長 どうもありがとうございました。そのほかにいかがですか。
 では、木下委員お願いします。
○木下委員 木下でございます。
 この間、10年間この協議会に参加させていただきましてありがとうございます。協議会の成果は大変大きなものがあると思うのですが、まだまだ過労死、特に精神疾患の状況については状況が悪化しているというのを、私は企業側の立場で現場を見ながらもそのように感じるところがあります。
 また、この間、令和3年には脳・心臓疾患について、令和5年には精神疾患について労災認定基準が改められました。どちらの基準も非常に共通した事項がありまして、長時間労働とその他の負荷要因、中でもその他の負荷要因としてはハラスメントが重要であること、脳・心臓疾患の事案であっても長時間労働とハラスメントの事案がやはり重要だということ、そのことを踏まえた改正であったというふうに感じております。
 そこで、ハラスメントに関する取組なのですが、我が国の場合、ハラスメントは歴史的に1999年の男女雇用機会均等法による女性に対するセクシュアルハラスメント防止の配慮義務の法制化から始まり、その後、いわゆるマタハラ、パワハラというように、ハラスメントの種類を分けて、それぞれ法律が異なるという形で対策を行ってまいりました。いずれも企業に対して防止の措置義務を求めるというものなのですけれども、やはりそれではハラスメントを職場の環境自体の問題として捉えるのが非常に難しいのではないかと感じることがあります。
 前回の大綱改正についての議論でも発言させていただきましたが、ILOの108回総会で2019年に190号条約としてハラスメント、職場における暴力とハラスメント防止に関する条約というものが定められております。我が国は採択には賛成したのですが、まだ批准が整っておりません。このように、国内法がばらばらであるとか、統一的な法制度がないというのは、やはり批准にとっての障害になっていると思います。
 また、最近では例えばカスタマーハラスメントとか、それから就活生とか、そういう方に対するハラスメント、これは国としての取組を求めているのですが、残念ながらまだその根拠法令は明らかにはなっておりません。
 そういう中で、ぜひ国の立場として、あるいは関係者の立場として、このハラスメント防止条約の批准と、またそれを伴ってハラスメント防止に関する包括的な法律の制定というものについては、ぜひ積極的に今後も取り組んでいただきたいと思います。
 私どもも企業の方々、特に経営者や管理職の方にハラスメント防止に関する研修を本当にたびたび申し上げております。残念なことに、研修を重ねるにつれて、新しい事案でこんなものが起きましたというお話をしなければならなくなっております。新しいハラスメントといいますか、いろいろな立場やら職場での利害や経験の違いから、コミュニケーション上の問題というのは確かに起きていて、それを全てハラスメントということはいかがかという意見もありますけれども、包括的にハラスメントというものを知ることによって、皆さんがハラスメント問題を意識していけるような、ぜひそういう体制を取っていけるような取組をしていただきたいと思います。
 以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
 それでは、工藤委員お願いします。
○工藤委員 ありがとうございます。過労死を考える家族の会の工藤でございます。
 大綱の改正、白書の取りまとめなど、大変な作業をいただきましてありがとうございました。私からは、2点発言をさせていただきます。
 まず数値目標ですが、公務員について反映をしていただきましてありがとうございます。また、それぞれの数値目標の項目でも、公務員の数値を分かりやすく反映していただいたことも感謝申し上げます。今後、次年度以降ですけれども、引き続き公務部門の公表の充実などもお願いいたします。
 また、公務部門も公務というふうな形で大分類ではなくて、できるだけ中分類、小分類のほうに分けていただけるとありがたく存じます。
 そして、もう一点は教員の働き方についてでございます。文科省より御報告いただきましてありがとうございます。現在、働き方改革などで大変御尽力をいただいているところであると思います。教員の精神疾患による休職とか離職者の数、そして長時間労働は、教育の質のためにも喫緊の課題だと思います。例えば白書の152ページにも、教員は重点業種として調査の結果が出ていますので、過労死等防止対策推進協議会においては、例えば人事院さんの81ページの公務災害の事案の分析に基づいた対策ですとか白書の調査結果、そして大綱の数値目標に比較して現在どのような状態かとか、どのような対策を取れるかというようなことを文科省としてもぜひ具体的に示していただけると、もっと防止という観点から有効ではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
 また、御報告いただきましたことは全体的に必要なことを多く御報告いただいているのですけれども、労働安全衛生対策などはモデル事業のほかにも、例えば日常的に行われている具体的な取組ですとか対策などを御提示いただけますと、もっともっと分かりやすいかと思いますし、また中教審の答申では勤務間インターバル制度の導入なども書かれておりますので、今後その御報告もぜひお願いしたいと思います。
 以上になります。ありがとうございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
 それでは、寺西委員お願いします。
○寺西委員 ありがとうございます。過労死を考える家族の会の寺西でございます。私からは、4点意見を述べます。
 1つ目は、調査研究についてです。概要の3ページ目にも、毎年こうした労働時間についてグラフをつけていただいていますが、過労死防止対策を効果的な実施をするために、やはりこれまでの業種別に加えて雇用形態であったりとか、雇用形態の多様化が進んでいることで、雇用別の調査研究が必要になってくるのではないかと考えます。
 例えば正規労働者、またはパートタイム、アルバイト、そしてフリーランス、派遣労働とか裁量労働制、フレックスタイム制などの労働時間や労働環境について、そうした調査研究を細かくしていただくことによって対策も取りやすくなるのではないかと考えているところです。
 また、私どもの過労死家族会へ来られる相談者から思うことですが、毎年のように私どもの会に、海外赴任先で過労死された方の御遺族が相談に来られます。やはり国内だけではなく、もっと条件が悪くなる海外事業についての事業者の拡大が企業の成長につながるということで、海外進出していくところが多く見受けられます。そうした事業拡大が欠かせないようですが、そこにはこのような犠牲者がおられるということでもっと調査していただきたいと思っているところです。海外赴任者の実態調査をすることで、過労死防止対策を独自に講じていただきたいと思っております。
 2つ目は、啓発について概要版の7ページにも書かれていますが、過労死を繰り返している大企業があります。複数、もっと多く今出ているというのが現状であります。それには過労死防止対策が大変重要になっていますので、使用者に義務づけられている労働時間の適正把握が使用者及び経営幹部、上司などが守られていない実態があるところです。労働者が実際に働いた時間を書けずに過少申告を強要させられたり、またはサービス残業が横行している実態があります。とりわけ過労死を繰り返して発生させている企業については、職場改善、再発防止計画の徹底した指導強化をお願いいたします。
 3つ目は、5ページのストレスチェックであります。精神障害の労災申請件数が毎年のように過去最多の一途をたどっているところであります。これには様々な業種で長時間労働やハラスメントが多発していることが推察されることで、労働者が自分自身の心理的なストレス評価をして、職場改善や医師の面接指導を受けることなどをして早期の予防対策が求められるところであります。そのためにも、大企業だけではなく中小企業の事業場にも利用しやすいストレスチェック制度の促進と強化を講じていただくことを望みたいと思っております。
 最後に、過労死等防止対策推進法10年という節目の年になりました。私たちの認識では、一定定着してきたというふうに思っているところですが、やはり先ほど皆さんから御発言があるように、労災申請件数を見れば、ほど遠い現状にあるところです。こうした調査研究、分析で得られた知見を厚生労働省はもとより労政審や今、行われている労働基準の研究会など、過重労働対策であったりとか、そうした委員会で同じような形でこの過労死等防止対策についての内容を共有して生かしていただきたいと思っています。
 また、各省庁についても対策は講じていただいていますが、例えば労働基準法や労働安全衛生法、そして安全配慮に関するところにもこの過労死等防止対策の理念や、そして定義などを共有して生かしてもらいたい。そうすれば、少しは職場に浸透していくのではないかと考えているところです。
 以上、私からの意見です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
 では、川人委員お願いします。
○川人委員 弁護士の川人でございます。3点、意見とそれに関連する質問をしたいと思います。
 まず、第1点目は先ほどもお話がありましたけれども、労働時間の正確な把握という問題についてです。
 白書においても、時間外労働の上限規制の遵守の徹底ということを最も強調しているわけですが、実際の職場においては私どもが相談を受けている例から見ても、労働者がその実態どおりに労働時間数を申告できない、していないという職場が多数あるわけです。それで、例えば36協定で上限が60時間となっている場合には、60時間以上働かないようにするということではなくて、60時間以上は申告しないというふうな事実上、職場の慣行ルールになってしまっている。
 それで、とりわけこの間の2024年問題で問題になってきた病院で医師の業務においては、管理職が若手の医師が労働時間を実態どおり申告しようとする、あるいは残業の申告をしようとすると、それは駄目だ、そういうものは全て研さんであるなどと言ってほとんど残業時間の申請を受け付けない。こういうことが多数、相談事例として報告されております。
 それで、労働基準局に質問なのですが、現在労働基準局としては労働時間を実態どおり正確に把握するように企業に対してはどのように日常的に指導しているのか。そして、その場合の根拠としている通達についてはどのようなものか。これらの内容について、後で御説明をお願いしたいと思います。
 2番目に、労災申請の問題についても先ほどから発言が出ておりますが、この間、東京労働局においてはとても信じられないような事実関係の隠蔽が行われてきたということがあります。
 具体的に言いますと、遺族などがその情報開示の請求をした場合に、労働局側が認定した1日ごとの労働時間記録表を一切黒塗りにして、それで情報開示の文書を渡すということが相次いで起こりました。それで、1日ごとの180日間の労働時間の記録表をつくるというのは厚生労働省が労災認定の実務において指示をしたとおりでありますが、その内容について、被災者や御遺族に対して隠すというのはもってのほかのことであります。少なくとも現在までに3件こういう事態が発生しておりまして、労働局側は担当者のミスだと説明しておりますが、とてもミスとは思えないというのが遺族や被災者側の心情です。
 労働基準局としては、このような事態を真剣に受け止めていただいて、東京労働局に対して指導されているのかどうか。あるいは、全国でも同様のことが起こっていないのかどうかを調査したかどうか。これらについての御説明をお願いしたいと思います。
 3点目として国家公務員の問題についてです。国家公務員の問題については、先ほどいわゆる他律業務における長時間労働という御説明がありました。すなわち、国会対応業務などにおける長時間労働の割合が多いという御報告がありましたが、これはかねてから指摘されているところで、果たしてこの間、この問題について内閣府のほうから、あるいは各省庁から国会に対して具体的な要請をしたのか、改善要請をしたのか、これらの問題について経過の御説明をお願いしたいと思います。
 それから、省庁の業務の多忙さ等が問題になる場合には、省庁に出入りしている民間の労働者にも大きな影響が出ます。この間の例で言えば、マイナンバーカードにおけるトラブルの発生に伴って、省庁の職員の皆さんの長時間労働も相当数に上っているわけですが、それに委託を受けた業者、会社の労働者が非常な長時間労働の結果、病気になるという事案が発生しています。これらについて、行政側として省庁の仕事に協力する、参画している民間労働者の長時間労働や健康の問題についてどのように配慮しているのか。この問題についての御説明をお願いしたいと思います。
 最後に、公務上災害の申請においては遺族が申請をしてから2年以上も待たされて、ようやく出た結論が公務外決定だったという事案が今年あります。それで、厚生労働省は民間の事案において、精神疾患等の事案では8か月という基準も出していますが、国家公務員の事案においては申請をしても長く待たされるだけということが相次いでいます。この問題について、今日参加である人事院等の担当者の方から公務上災害申請の手続における著しい遅延問題についての問題意識、あるいは改善策について御説明を後でお願いしたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。
 それでは、西尾委員お願いします。
○西尾委員 UAゼンセンの西尾です。
 今までも発言をされておりましたけれども、ハラスメントについてです。新たな大綱の中で、我々の意見であります「カスハラ」も記載いただきまして、ハラスメント対策が充実されてきていると受け止めております。そういった意味では、この大綱に基づく対策を着実に実施していくことがまずは大事だと思っておりますが、木下委員も発言をされておりましたけれども、ILOの190号条約の批准に向け、法制定をしっかり視野に入れて取り組みを積み重ねていくということが重要と思っております。
 そのうえで、ハラスメントですけれども、精神障害事案が増えているという御指摘が髙橋委員からも冒頭ございましたし、実際にそのようなデータも示されています。白書の93ページを見ていただきますと、精神障害事案ではパワハラが大変多く、セクハラも多いという結果が示されておりまして、ハラスメントが精神障害発症の大きな要因の一つになっていることが読み取れると思います。
 UAゼンセンもカスタマーハラスメント対策に取り組んでおり、2017年、2020年、2024年と3回、5万人とか3万人という単位でアンケートをしております。その結果を見てみますと、迷惑行為という言い方をしていますが、いわゆるカスタマーハラスメントといったものによって9割以上の方が何らかのストレスを受けています。
 ストレスは、例えば嫌な思い、不快感が続いた、怖かった、不安な気持ちが続いたといった回答があります。その中で、おおむね毎年、1%くらいの方が「診療内科に行った」と答えていらっしゃいます。ストレスが精神障害を引き起こす要因であるということは、UAゼンセンのアンケート調査結果からも明らかになっていると思います。
 そうした中、UAゼンセンの中の労働条件調査の結果を御紹介しますが、ストレスチェックは法律で義務とされている50人以上の事業場では9割以上、正確に言うと97.4%実施となっておりますが、これが50人未満の事業場になりますと52.2%、約5割程度という結果です。事業場の規模にかかわらず、職場には同じ労働者が働いていますので、50人未満という区割りはあったとしましても、同じようにストレスチェックが行きわたるということが大切だと思っております。
 そういったことも実情を踏まえて、ハラスメントが精神障害に起因をするということをまず周知をする。その上で、具体的な対策を示すということを強化していくことが大切だと思いますので、勤務間インターバルの確保や有給休暇の取得等の長時間労働対策等も合わせまして、メンタルヘルスの観点から、ハラスメント対策をしっかり実施していくことをお願いしておきたいと思います。
 以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
 それでは、宮本委員、先ほどお手を挙げておられましたか。お願いします。
○宮本委員 ありがとうございます。宮本です。
 2点あるのですけれども、1つ目として、まず今ILOの条約の話がありましたが、ILO190号条約だけでなく、ILO155号条約の「職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約」も本国は未批准です。広く言いますとストレスチェックだけでなく、過重労働を生むような状況も集団分析等をしていくと作業環境、あるいは健康に関係してくると思います。批准のネックになる様々な問題があるのは承知しているのですけれども、少し批准に向けての検討、また再認識していただければと思うところでございます。
 もう一点ですけれども、管理監督の地位にある者についてお話しさせていただければと思います。この労働時間や休日に制約がないという対象を厳格化していただいたのは大変よいことで、さらに管理監督の地位にある者も労働時間管理の対象に入れることはこれまで徹底されてきました。管理監督の地位にあっても労働者性はあるということで、そうなってはきているのですけれども、一方で労働時間に上限が今はないという状況で、中企業、あるいは大企業で、産業医がいるところで産業医面談をしていればOKと免罪符のように誤解しているところがないかという懸念はございます。
 こうなりますと、今は管理監督者だけが時間外労働、あるいは休日出勤が常態化して、結果として休日や夜遅く、あるいは早朝にメールで上級管理職から中間管理職に指示が飛ぶというようなこともまま起こっているという懸念がございます。それで、休日確保や勤務間インターバルも今のところ管理監督者は対象外になっているということで、十分な休息がなくてもいいことになってしまっております。結果、本人の過労死リスク上昇だけでなく、部下の面倒が十分見られないですとか、あるいはいらいらが募ってハラスメントに至ってしまうなどのケースもあるのではないかと心配しております。
 そこで、今、労基法の見直しも進んでいるという報道も出ておりますけれども、せめて休日の規定だけでも管理監督者に適用することはできないでしょうか。管理監督者でも勤務間インターバル確保の徹底が理想ですが、一般労働者を優先するとまだちょっと難しいと思いますので、休日の確保についてはせめて進めていただけないかということがございます。今後の問題としてどういうふうに考えていくのかということもお話しいただければと思います。
 以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
 それでは、冨髙委員お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 先ほど御説明いただきましたとおり、今年の8月に新たな大綱が策定されましたが、これはこの10年間、様々な取組をしてきた中で勤務間インターバルや、ハラスメント対策、メンタルヘルス対策の強化などは協議会全体として重要という共通認識を持ってきたものがまとめられたものと思っております。この10年間の積み重ねた議論の重みも踏まえつつ、大綱に基づく取組を着実に進めていくことが重要です。
 その上で、先ほどから幾つか発言がございましたけれども、勤務間インターバル制度については、十分な生活時間や睡眠時間の確保というものを通して、働く方の命と健康を守る非常に重要な施策だと考えております。資料8ページの過去の12年間の脳心の労災事案の調査分析結果もございますが、拘束時間の長い勤務とか、勤務間インターバルが短い勤務の事案数が多くなっており、インターバル時間の短さなどがやはり心身に与える影響が大きいことを示唆していると思っております。
 その一方で、導入企業の割合は少なく、6%にとどまっているというのが現実ですし、認知度も低くなっているというような現状を考えると、周知啓発が重要ですし、より一層個別の企業がきちんと導入に取り組みやすくなるようなマニュアル、ツールの整備も含めたさらなる支援をお願いしたいと思います。先ほど労基法の見直しの話もありましたが、働き方改革関連法の見直しを機に、全ての労働者を対象とした勤務間インターバル制度の導入など、より具体的な検討を進めていくべきだと考えておりますので、発言として申し上げておきます。
 連合も春闘やその他の取組を通じて、いま一度長時間労働の是正、勤務間インターバル制度の導入や、つながらない権利等も意識した環境整備などの取り組みについて議論しているところです。もちろん労働組合として積極的に取組を推進していきたいと考えておりますけれども、ぜひ国全体でその後押しとなるような取組をぜひお願いしたいと考えております。
 以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
 そのほかいかがでしょうか。
 よろしければ、以上、様々な御意見をいただきました。その中に御質問もありましたので、それぞれの担当から御発言をお願いいたしたいと思います。
○総務課長 労働基準局総務課長の佐々木でございます。
 様々な御意見、御要望をいただきましてありがとうございます。私のほうから、まずはシンポジウム、それから白書における分析、学校などの啓発事業の関係、調査分析、こういった点について御質問、御要望をいただきましたので、まとめて御説明させていただければと思います。
 1つ目のシンポジウムでございます。私どももできるだけ企業の取組が広がるように、開催の工夫をしていきたいと思っております。それぞれの個別の会場でのシンポジウムについてどういう御要望があるのか、それからどういう企業に例えば御参加いただけるのか、そういった橋渡し、調整をさせていただければと思っております。
 また、シンポジウムにおける資料ですが、白書の概要版として今回お配りしているものを配らせていただきましたが、労災の状況、実態をしっかり白書の概要の中でも分かっていただけるような内容をという御要望の趣旨かと思いますので、支給申請件数を含めて来年度、白書をまとめる際にはそういった点が概要版でも分かるように工夫していきたいと思っております。
 啓発事業の関係で、アンケートについて講師となっていただいた方々に共有ができていないというところ、これまで配慮が足らず申し訳ございませんでした。私どものほうで、御協力いただける学校からいただいたアンケートは時間の関係であまり質問項目が多いわけではございませんけれども、どういった提供ができるか、数字的によかった、悪かった、そういった質問項目などもありますので、少し工夫して御協力いただいた皆様方に御提供、フィードバックできるようなことを考えていきたいと思っております。
 また、回数につきまして、こちらはまだ概算要求として政府部内で調整中ではございますけれども、私どもとしては御要望を踏まえて少し回数を増やしてできるようにと思っております。実際の運用に当たっても、御意見を踏まえながら工夫できるものがあるのかどうか、対応させていただきたいと思いますので、引き続き御協力方よろしくお願いいたします。
 それから、調査の関係で、コロナ明けで労災などがなぜ増えているのか。それから、雇用形態別に研究が必要ではないか等々、様々御意見をいただいたところでございます。労働安全衛生研究所にお願いして研究しているものですから、少しお時間をいただくこともあるかと思います。どこまで何が工夫できるのか、検討させていただければと思っております。
 私からは以上です。それぞれ担当から引き続いて説明させてください。よろしくお願いします。
○労働条件政策課長 労働条件政策課でございます。
 複数の委員の方から、現在私どもで進めております労働基準関係法制の見直しに関する議論について御意見をいただきましたこと、感謝を申し上げます。委員の皆様からも御発言がありましたけれども、まさに今、働き方改革関連法の施行から5年を経たことなどを踏まえまして、労働基準法制の見直しの議論を学識の方々にお願いをしているところでございます。本日も言及がありましたように、まさに健康を守る、あるいは生活時間の確保ということも含めまして、休日の確保、またはインターバル規制ということについて、どのような法規制の在り方が考えられるのかということについても幅広く御議論いただいているところでございます。
 本日いただいた御意見も踏まえながら、議論の取りまとめに向けて引き続き進行してまいりたいと思っております。
○監督課長 続きまして、監督課でございます。
 最初に、髙橋委員、寺西委員からも御意見をいただきましたけれども、過労死等防止計画指導についてでございます。これまで過労死等が発生した事業場に対しては監督指導、または個別指導を実施して長時間労働の是正、過重労働による健康障害防止対策及びメンタルヘルス対策を実施しているところでございます。
 ただ、こういった厳しい監督指導等を行っても、なお過労死等を同一企業で繰り返し発生させるという企業もございましたので、ここはもう一段の対策ということで、この4月から過労死等を同一企業に属する事業場で繰り返し発生させた企業に対しては、労働基準関係法令の違反がなくても、過労死等を再び発生させないための取組を定着させるため、新しい取組として始めたものでございます。これは我々としてもしっかりとやっていきたいと思っておりますし、まずは今こういった趣旨で始めたところでございますので、繰り返し発生した企業を対象にするものとは考えておりますが、今後運用していく中で、対象をどうするかということも含めて考えていきたいと思っております。
 ちなみに、今年の10月までになりますけれども、20件について指導を行っているところでございます。
 もう一つ、岩城委員からいただきましたトラックGメンの関係になりますけれども、これはもう御案内かと思いますが、今年の4月から自動車運転者にも時間外労働の上限規制の適用がされたということでございます。併せて、改正された改善基準告示の適用も開始したところでありまして、労働基準監督機関においては監督指導等を通じてその遵守徹底を図っているところでございます。
 また、御指摘がありましたように、国交省との相互通報や合同監督監査はこれまでも行っているのですけれども、トラックGメンとも連携しながら長時間の荷待ちを行わせている荷主等に対してその改善を要請するとか、あるいは標準的運賃の周知を行うなど、取引慣行にも着目した発着荷主等への取組を行っているところでございます。
 当然、取引慣行とか、そういったものもございますので、我々だけではなくて国交省ともよく連携をしてやっていきたいと思っていまして、今、申し上げたような取組を通じて自動車運転者の労働条件の確保、改善というものを図ってまいりたいと考えております。
 最後に3つ目になりますが、川人委員から御指摘いただきました、労働時間を過少申告する労働者の方の労働時間の把握をどうやっているのかということに関してでございます。平成29年に、「労働時間の適正な把握についてのガイドライン」というものを厚労省で出しております。ガイドラインにおいては、労働時間の適正把握について、時間外労働の時間数に上限を設けるなど、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないということとしております。労働基準監督署においては、こうしたことの指導を行っており、これからも監督指導を徹底してまいりたいと思いますし、あまりないとは思いますが、万が一このガイドラインをまだあまりよく知らないという企業もあるようでしたら、そこに対する周知もしっかりやっていきたいと考えております。
 監督課からは以上になります。
○補償課長 皆様、ありがとうございます。
 続きまして、補償課長の児屋野でございます。私のほうから、川人委員からお話のありました3件の黒塗り情報公開の話で、不適切な事案があったというような御指摘をいただきました。この場で具体的なお話は控えますが、個人情報にしろ、行政文書にしろ、法令に基づいた適切な取扱いをするということは常々地方局を指導してまいっております。本日のお話も踏まえまして、一層適切な取扱いをするようにしっかりと指導してまいりたいと考えております。
 併せまして、労災の請求につきまして各委員から増えているというお言葉をいただいてございます。こちらにつきましても当然のことでございますが、より一層適切な労災認定ができるように努力していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
 以上でございます。
○労働衛生課メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 続きまして、労働衛生課のほうから回答させていただきます。
 寺西委員から、資料の5ページに関連しまして小規模の事業場のメンタルヘルス対策、ストレスチェックの実施促進の御意見をいただきました。
 この小規模事業場のメンタルヘルス対策の強化に向けまして、検討会を3月に立ち上げてこれまで検討を行ってまいりました。11月にこの検討会において中間とりまとめといたしまして、御指摘いただいたような50人未満の小規模の事業場にストレスチェックを義務化すべきではないかということで、そういった内容のとりまとめがされたところでございます。
 それで、現在その検討会のとりまとめを踏まえまして、労働政策審議会の安全衛生分科会になりますが、議論が行われている、まさにそういったところでございます。
 私どももこの労働政策審議会の議論も踏まえまして、今後この小規模事業場でストレスチェックの取組が進みますように、その支援策も含めましてしっかり対策を講じてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○雇用環境・均等局雇用機会均等課ハラスメント防止対策室長 続きまして、雇用環境・均等局ハラスメント防止対策室から御発言させていただきます。
 ILO第190号条約の批准や、いわゆるカスタマーハラスメントを含めました対策の強化について御意見をいただいたところでございます。まずILO第190号条約につきましては、その趣旨はおおむね妥当と考えておりますけれども、国内法制と条約との整合性のさらなる検討が必要と考えております。
 そうした中で、本年2月から8月に開催いたしました雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会におきまして、職場におけるハラスメント対策の充実も検討課題の一つとして御議論いただいたところでございます。また、その検討会の報告書におきましては、カスタマーハラスメント対策の強化、就活等セクシュアルハラスメント対策の強化、職場のハラスメントは許されるものではないという趣旨を法律で明確化することなどについて御提言いただいたところでございまして、そうした対策を行うことが同条約の批准に向けた環境整備に資するものというふうに記載されているところでございます。
 当該検討会の報告書を踏まえまして、現在、労働政策審議会で今後のハラスメント対策の在り方等につきまして御議論をいただいているところでございます。厚生労働省といたしましては、そうした御議論を踏まえましてハラスメントの取組を進めていきたいと考えておりますし、引き続き条約と国内法制度の整合性についても必要な検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○雇用環境・均等局総務課雇用環境政策室室長補佐 続きまして、雇用環境均等局の雇用環境政策室より御回答させていただきます。
 冨髙委員から勤務間インターバル制度の周知啓発、そして導入促進についての御指摘をいただきました。勤務間インターバル制度につきましては、知らなかった割合が御指摘のとおり増加しておりますし、導入率も6%にとどまっている状況でございますので、積極的に取組を進めることが必要であると認識しております。
 その上で、厚生労働省としましては、これまでにシンポジウムの開催や業種別マニュアルの作成、助成金の活用勧奨、働き方改革推進支援センターの専門家による相談支援などの取組を行っております。特に、御指摘いただきました導入マニュアルにつきましては、例えば、昨年ですと導入率が他の業種よりも低い宿泊・飲食サービス業版を作成しておりますし、今年度はこの協議会の中での御指摘も踏まえまして、夜間の交代制勤務等の実態がある医療業種版を作成中でございます。引き続き、効果的な周知等の方法を不断に検討しながら、勤務間インターバル制度の導入促進に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○人事院職員福祉局職員福祉課長 では、続きまして人事院のほうから、川人委員からいただきました御質問について御回答させていただきます。
 まず、国会対応業務について国会への要請などをしているのかという御質問をいただきました。内閣府などからという御質問ではございましたけれども、人事院で行っている取組について御紹介をさせていただきます。
 委員御指摘のとおり、他律部署におきましては国会対応業務による長時間労働が多いという状況にございます。こうした状況を踏まえまして、昨年来このような状況を国会のほうにも御説明をいたしまして御理解や御協力を依頼してきたところでございます。
 その後、昨年の6月に衆議院議院運営委員会理事会におきまして、速やかな質問通告に努めることなどを内容とする申合せがなされていると承知をしております。
 私どもといたしましては、各府省や職員の声を受け止めていただきまして、国家公務員の超過勤務の縮減に向けて御協力いただけたものと考えております。
 人事院といたしましても、今後とも引き続き状況などを把握しつつ、関係各方面への御理解と御協力を依頼していきたいと考えております。
 続きまして、補償の関係について御説明させていただきます。
○人事院職員福祉局補償課長 人事院補償課でございます。
 川人委員から御質問のありました、公務災害の認定の関係でございます。法令上の処理期間というものはございませんけれども、各府省等が事案を認知してから認定の判断をするまで半年から1年程度を手続期間の目安としております。国家公務員災害補償制度の場合、各府省等の補償事務担当者は労災のようにその事務を専任で行っているわけでもないこともございまして、認定判断に係る対応にある程度の期間を要してしまうといった面もございます。特に事案の認定の判断に当たっては関係資料を精査し、事案の検討に必要な事実関係を整理の上、判断するというところがございまして時間を要しているという面がございます。
 いずれにしましても、手続の迅速化が重要であることから、人事院としても各府省等に対する助言や研修の実施、人事院との対応の簡素化などを行っているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
○内閣官房内閣人事局参事官補佐 続きまして、内閣人事局から、川人委員から御指摘があった点についてお答え申し上げます。
 まず、国会の関連につきましてですが、内閣人事局では国会からの質問につきまして、その通告時間について調査をしているところです。また、各府省による国会答弁作成プロセスの効率化の取組など、好事例の共有などを図っていきたいと思っております。
 また、省庁に出入りしている事業者の関連ですけれども、国家公務員の長時間労働是正に取り組んでいるところではございますが、国家公務員の働き方や業務方法などが省庁に出入りしているような事業者に影響を与えるということはおっしゃるとおりでございますので、川人委員からの御指摘いただいた点も踏まえまして業務効率化、デジタル化やマネジメント強化などによりまして長時間労働是正に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。
○文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐 続きまして、文部科学省でございます。
 工藤委員から御指摘いただきました。ありがとうございます。本日の御説明では中教審答申やメンタルヘルス対策の調査研究事業について中心的にお話をさせていただきましたけれども、この大綱を踏まえた取組というところでは資料の49ページから50ページ、51ページにも書かせていただいたところでございます。
 その中でも、労働安全衛生に関しましては、令和5年度におきまして公立学校等における労働安全衛生管理体制等に関する調査を実施いたしまして、衛生管理者等の選任状況ですとか、面接指導体制の整備状況等に関して調査結果を公表して、また教育委員会に対しては労働安全衛生管理の充実に係る教育委員会の施策例も紹介するなど、取り組んできたところでございます。
 また、令和6年3月に発出しております、「公立学校教職員の人事行政状況調査に係る留意事項について」という通知の中におきましても、メンタルヘルス対策の一層の推進について周知しているところでございまして、例えば教育委員会に対してはメンタルヘルス対策の一層の推進として、ストレスチェックについては学校の規模にかかわらず全ての学校において適切に実施し、メンタルヘルス不調の未然防止に取り組むことを通知しているほか、教職員の勤務時間把握の徹底や、ストレスチェック等の労働安全衛生管理を一層充実すること、相談体制の充実等のメンタルヘルス対策、ハラスメント対策などの取組を通して過労死等の未然防止を図ることということも含めて通知してきているところでございます。引き続き、取組をしっかり行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○労働基準局長 厚生労働省労働基準局に戻らせていただきますが、ILO条約に関しましてもう一点、155号条約に関する御指摘もいただきました。
 これに関しましては、批准に関します問題としまして、異なる事業主の下で働く労働者が混在する現場における安全管理の在り方をどうしていくかということが本条約の批准に当たっての論点でございますが、この点に関しましても先ほどのストレスチェックの関係で出てまいりました労働政策審議会安全衛生分科会におきまして、そういった混在現場の安全対策、現在の法令では業種を絞りまして建設業、造船業、製造業に関してこういった措置を講じているところでございますが、この業種限定をどう考えるかといったことも論点となっているところでございます。
 現在審議中でございますが、この論点をどういうふうにしていくかということと併せまして、この155号条約についての対応も検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
 それでは、まだまだ御質問、御意見等はあるかもしれませんけれども、時間の関係もありますのでこのくらいとさせていただきます。委員の皆様におかれましては、活発な御議論をいただきましてありがとうございました。各府省におかれましては、委員より出されました意見を踏まえ、今後さらに対策をしっかり行っていただきたいと思います。
 さて、この協議会の発足当初から10年間委員を務められておりました岩城委員、川人委員、木下委員、堤委員、宮本委員、寺西委員が本年12月16日の任期満了に伴い御退任されます。最後に、一言ずついただければと思います。
 では、まずは岩城委員からお願いいたします。
○岩城委員 ありがとうございます。
 2014年の過労死防止法の施行の最初の協議会委員に選任いただいてから、丸10年間務めさせていただき、ありがとうございました。
 大綱については、初回の手探りの作成から3回目の改定まで4回関わってきました。過労死をめぐるその時々の状況も踏まえ、つたないながら私なりの意見を述べさせていただいてきました。ほかの委員の皆様も、きっと同じだったろうと思います。その時々の推進室の皆様がそれを全面的に受け止め、取り入れていただいたことが現在の大綱に連綿とつながってきたと思っております。
 重点業種を私たちの要望も入れて次々と増やしていただき、また、労災認定されなかった事案の調査、それから非正規や自営業者、フリーランスなど、調査研究や啓発の対象として広く取り入れていただきました。毎年の白書では、これらの調査研究や啓発、国の過労死防止対策の到達点がしっかりと報告されてきました。この白書はあらゆる分野で、さらには海外でも大きな使用的価値があるものと思います。
 このように、法ができて10年間取り組んできたにもかかわらず、過労死やパワハラが原因と思われる事案は減っておらず、請求件数は増え続け、認定件数は高止まりが続いております。あるマスコミの方から、過労死防止法ができても過労死等は減っていないではないか。法律ができた意味があったのかと質問をされたこともありました。
 しかし、防止法の制定と、それに基づくこれだけの取組があった上で現状だということを考えると、もし法律制定がなかったならば、取組がなかったならばどのような状態になっていたのだろうかということも考える次第であります。
 最後に、協議会は現行の法制度を前提に国の過労死防止対策について議論していくというものですけれども、法の14条では、政府は過労死等に関する調査研究等の結果を踏まえ、必要があると認めるときは過労死の防止のために必要な法制上、または財政上の措置、その他の措置を講ずるとしています。したがって、本来、法令の改正も含めた過労死防止のために必要な法制上の措置についても協議会は積極的に議論をしていくべきではないかと思います。先ほど木下委員から、ハラスメントの横断的な法律が必要ではないかというような問題提起もありましたけれども、そういったこともこの協議会では積極的に議論をしていくべきだろうと思います。
 ただ、それをこの大綱に入れるとか、白書に入れるとか、なかなか難しい面があるというのは承知しております。そういった点では、議員連盟の方との連携などもより強めていく必要があるのかなと思います。
 協議会には、このように大きな役割と責任があると思いますので、引き続き委員をされる方、新たに委員に入られる方にはぜひよろしくお願いします。
 私は、委員を降りてからも弁護士としてできる限りの努力や発言を続けていきたいと思います。10年間、ありがとうございました。
 以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
 それでは、次に川人委員お願いいたします。
○川人委員 時間をいただいて恐縮でございます。
 この協議会は各関係省庁の方々、つまり厚生労働省の担当部門の方々と同時に、各省庁からも御参加いただいている。また、経済界、あるいは労働界、有識者、そして御遺族が一堂に集まって協議する、議論する。そういう意味では大変貴重な場であると痛感しておりますので、この間の参加者の皆様方、さらにこの運営を担当されてきた対策室の皆様方、あるいは司会運営を今日も行っていただいております会長、その他の皆様方に厚く御礼を申し上げたいと考えている次第でございます。
 残念なことに、私自身も毎日のように遺族の方や被災者の方から電話をいただき、また様々な自死の事案であれば遺書を見る機会が続いておりまして、過労死、あるいはメンタル不全による死亡が相次ぎ、病気療養している方もたくさん新たに生まれている。
 私は、これは根本的には恐らく世界的なグローバル経済での様々な競争関係にあるものが激化している。あるいは、IT等の急速な拡大や進化によってそのスピードがより求められるようになっている。あるいは、我が国における少子高齢化による労働力不足その他の問題など、非常に構造的な原因、背景があるものだと考えております。
 それだけに、働く人々の命や健康を守っていくためには日常不断な努力、取組が必要になっていると思うわけであります。
 ぜひ今後ともこの協議会において過労死防止法の目的実現に向かって、皆様方が活動を続けていただくことを心より期待しております。私も協議委員を降りた後も微力ながら力を尽くしたいと思います。長い間、ありがとうございました。
 以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
 それでは、次に木下委員お願いいたします。
○木下委員 弁護士の木下でございます。
 この過労死等防止対策推進法の制定と、この協議会設立から10年間、委員を務めさせていただきました。本当にありがとうございました。
 私は今年で弁護士40年になるわけですが、そのうちの10年をこのような活動に費やせたことは、本当に私自身にとってすばらしい経験だったと思っております。
 実は私自身、弁護士になった当初から過労死に関する案件を企業側の立場で個別案件として取り扱ってまいりました。お隣にいらっしゃる川人先生とは、数々の案件に対応してまいっております。立場は違いますけれども、私ども弁護士としてはやはり我が国において法が人々の安全と健康と暮らしを守るというのはとても大事なことだということを考えております。社会正義の実現というものは、私たち弁護士の本当に共通の課題になっております。
 そういう中で、私はこの協議会の参加で一つ感じましたのは、いろいろな立場の方にお目にかかる中でも特に御遺族の方、当事者委員の方々の御発言を直接伺うことができたというのは私の業務にとっても大きな経験になっております。私は多くの企業の方にこの過労死の問題についてお話をする機会がありますけれども、そういうときにも皆様方の言葉を本当に参考にさせていただいております。
 この10年を見てみますと、我が国の全体、産業界、経済界全体で企業が人の価値、人的資本などという言葉がつくられましたが、人の価値を大事にすることが企業の価値を高めるということがはっきりとしてまいりました。今、財務情報だけではなく、非財務情報の開示という中で、人的な状況の開示が非常に重要視されております。女性の活躍だけでなく、労働者の人々が安全に働けているということ、これが企業にとって重要な価値であることをこれからも伝えていき、微力ではございますが、過労死を起こさない企業づくりに力を尽くしてまいりたいと思います。
 この10年間、多くの方に支えられ、特に事務局の方々は大変な御苦労だったと思いますけれども、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございました。
 それでは、次に堤委員お願いいたします。
○堤委員 ありがとうございます。北里大学の堤でございます。
 先にお話のありました先生方とともに、この10年間、最初の大綱の策定のときからお世話になっておりました。
 近年に関しての私の関心事ですけれども、やはり社会が大きく動いている中で、見られている変化、特に働き方であれば兼業、副業といったマルチプルワークであるとか、それから先ほどもお話が出ておりましたけれども、フリーランス等の方々ですね。そういった多様な働き方に対応しなければならないといったようなこと。それから、川人先生も言われましたけれども、構造的に高齢化が進んでいて、いわゆる介護などを含めた仕事との両立といったようなところで大変な状況があることを懸念しているところでございます。
 それぞれガイドラインの制定とかが進んでおりまして行われてはおりますけれども、実効性のある対策というのは恐らくまだこれからではないかと考えています。
 それで、関連のことですけれども、この協議会では私は調査研究の立場で幾つか発言をさせていただきました。今後の研究に関する課題というのは、恐らく社会実装、研究の成果をいかに社会にうまく実装していくかというところではないかと思っています。これは研究者だけがやれるものではなくて、事業者の方々、それから労働者の方々、それと研究者と国とそれぞれが協力をして進めていかなければならない作業ではないかと思っております。こういうことを進めていく上での協力体制といったようなものもこの協議会からいろいろ御発信いただきますと、調査研究で分かったことがまた社会に生かせるといった流れもつくれるのではないかと思いますので、今後の協議会に大変期待をしたいと思っております。
 今後、私は本務のほうから過労死等の対策について微力を尽くしてまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いできればと思います。10年間、どうもありがとうございました。
○中窪会長 では、宮本委員お願いいたします。
○宮本委員 宮本でございます。
 もう10年かと思うと、本当に感慨深いものがございます。手探りで始めたところから非常に有意義な協議会になってきたなと思っております。
 私は、企業の産業医の立場で参画させていただいております。この間、大企業等で先進的に進めてきた対策を縦、横に広げて展開するという難しさを感じた10年でもありました。
 当初は認定事例について産業医や保健師の関わりが非常に薄かったことから、産業医の存在意義が問われることもありましたけれども、多くのまともな産業医や保健師の活動は過労死を抑制するという認識を委員の皆様をはじめ関係者に持って頂くことができ、大綱あるいは働き方改革で事業者や労働者が産業医等との関わりを強めるということが盛り込まれたというのは非常に思い出深いところでございます。
 この協議会の意見が自治体、公務員、あるいは教員の方への拡大もありまして、ハラスメント対策や勤務間インターバルといった文言の導入にもつながったということで、産業保健実務家にも影響が大きく、非常に私事なのですけれども、今年の10月3日から5日まで、第34回日本産業衛生学会全国協議会というところで過労死等防止対策推進のシンポジウムをつくることができたということも本協議会に参画できたおかげと思っております。
 労使から独立した産業医の立場ということが働き方改革の関連法案でも規定されてきておりますので、こういった立場の者が、ここは企業経営側の方、労働組合の方、そして遺族の方とのお話というのは非常に私も身に染みる思いでお聞きしましたけれども、様々な立場の方々との協議の場で、医学的な面だけでなく産業保健実務の面からも実行可能性を含めたお話しを発言できたことはよかったかなと思っております。
 引き続き、我が国から過労死をなくすために本協議会の役割はますます大きくなると思います。委員の皆様方、行政の方並びに私の後任の方にも思いを託していきたいと思います。この10年、本当にありがとうございました。
○中窪会長 それでは、最後に寺西委員お願いいたします。
○寺西委員 ありがとうございます。
 まずもって、10年間大変お世話になってありがとうございます。
 10年前の12月、第1回目の協議会に参加させていただいたことが本当に昨日のように思い出されるところです。事前に厚生労働省の事務局さんから、大綱というのはもう一つ意味が分かりにくいので副題をつけたい。その副題を家族の会の皆さんがつけてくれないかという宿題を事前にいただきましたことで、川人先生、岩城先生、また当時の森岡先生に御相談して、今タイトルの副題になっている「過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ」という、まさに私たちが目指す副題にしていただきました。
 法律の枠組みは4つでして、その中の啓発が私たちの参加させていただける活動になっておりました。啓発シンポジウムと啓発事業に関わらせていただいた中で、先ほども御意見がありましたが、アンケートというのは全部見せていただくことはできないのですけれども、時間の許す限り生徒さんからもう授業が終わっているのに質問責めに遭ったりとか、学校の先生から教師の働き方であったりとか、また実情はこうなんですよ、もう今日のお話が身に染みましたとか、そうしたその場の感想をいただくことによって、本当にお話しさせていただいてよかったなという思いで今日まで活動を続けているところであります。
 私たちの会の事情を少しお話しさせていただきますと、過労死家族会は1989年に名古屋家族会が初めてできました。この結成のときに、名古屋大学の山田先生という教授の先生が、過労死家族会というものではなくて過労死を生み出す原因を考えてほしい。ぜひ御遺族にそういうテーマをお願いしたいということで遺族に託されました。それで、過労死を考える家族の会という名前になったという由来を最近知ることができました。
 本当にこうした形で、私たちは過労死を考える家族の会、ただの遺族のつらさやしんどさ、悲しさという内容だけではなくて、なぜ過労死することになったのか、その原因を考えることに意義があるんだということを教わりました。そのとおり、私たちは過労死をなくす目的をもって今、活動しているところであります。
 ここに並んでいる私たち4人は全て特別な職責ではなくて、普通の家庭の奥さんやお母さん、そういう人たちがこうした研究者や有識者の皆様と一緒に会議をさせていただき、議論をさせていただき、要望を事務局の厚生労働省さんから御回答いただいて、本当に意義深い10年を過ごすことができました。心から感謝をしたいと思います。
 先ほどからも御意見が出ていますように、過労死はなかなかゼロに近づきません。ややもすれば、遠ざかっているのではないかとすら思ってしまうような数字を見ることもあります。
 だけど、これだけ10年活動してきて、そして一定成果を得、定着し、これを無駄にしてはならないと思いますし、この歩みを止めることによってまた遅れていってしまう。そういうことを考えますと、やはり続けていくことが大事かなと思っているところであります。
 過労死ゼロは一朝一夕になし遂げることはできませんでしたが、こうした活動を皆さんとともに一緒に歩んでいくことによって、少しずつ企業さんや、またいろいろな団体さん、そして働く人たちお一人お一人の意識を変えていくきっかけになると私たちは信じて、これからも私たちのライフワークとして活動、歩みを続けていきたいと思っております。
 協議会は本日をもって就任最後となりましたが、引き続いて活動はしていかせてもらいますので、今後ともよろしくお願いを申し上げます。
 本日までどうもありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
 退任される6名の皆様、それぞれのお立場からの思いのこもった御挨拶をいただきまして本当に感謝申し上げます。これらの委員の皆様には本協議会の発足当初から10年間、大綱の策定ですとか、その後の改定ですとか、その他、過労死防止に向けた様々な御意見をいただき、大変熱心に議論いただきました。そのおかげで、この協議会としてもいろいろな施策や取組を改善することができたと考えております。改めて厚く御礼を申し上げます。
 しかし、皆様からも御指摘がありましたように、現在の過労死等の発生状況を見ますとまだまだ課題が大きく残っているということでございます。今の皆様の御挨拶にありました思いを受け止めて、引き続き過労死ゼロを目指して今後とも本協議会で議論をしっかり進めていきたいと考えております。今後は外からになりますけれども、またしっかりと見守っていただければと思います。改めて10年間、本当にありがとうございました。
 オンラインの佐久間委員、何か手を挙げておられるように見えるのですけれども。
○佐久間委員 先ほどから手を挙げていたのですけれども、タイミングが悪くて申し訳ありません。委員任期満了で退任される6人の委員の皆様の想いのこもった退任ご挨拶の後に、発言することになってしまい、大変、申し訳ありません。先ほどの御質問ということで、1点教えていただければと思います。
 カスハラの関係で雇用環境・均等分科会を所管される雇用環境・均等局 様のほうからも回答は賜ったのですけれども、このカスハラの関係で予算化もされ、啓発、ホームページとかポスターの関係の項目があがっています。それらの項目も周知、啓発のためには必要だと思いますが、フリーランス110番のように、中小の事業者にとっても相談できる場というのを設けていただきたいということです。フリーランス110番と同じようにカスハラ110番みたいなことで弁護士の先生方に直接、相談できる場の設定。カスハラを受ける企業の従業員の方、または事業者の方、双方が利用できるように、ですね。これは従業員からだけだと、管理監督者の方からちゃんと問合せに対応するよう聞けと言われてしまうということもあるかもしれませんし、また事業者の方にとっても相談できる場というのはないですから、「カスハラ110番」みたいなものを設けられるとよい、という要望です。
○雇用環境・均等局雇用機会均等課ハラスメント防止対策室長 雇用環境・均等局でございます。
 カスタマーハラスメント対策に関しまして、労働政策審議会で御議論いただいておりまして、御指摘のような事業主の方が相談できるような窓口ですとか、そうした支援の御要望というのはかねてより伺っているところでございます。そうした御意見を伺っておりますので、引き続き労働政策審議会でもそうした御意見も踏まえて対策について御議論していただきたいと思っております。ありがとうございます。
○中窪会長 では、最後に次回の日程につきまして事務局から御説明をお願いいたします。
○企画官 次回につきまして、今年度の取組状況などを取りまとめまして来年の5月頃に開催したいと考えております。具体的な日程につきましては、委員の皆様と調整しました上で事務局より御連絡をさせていただきますのでどうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
 それでは、第29回「過労死等防止対策推進協議会」はこれで閉会といたします。本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。